JP5143165B2 - ポンプ用電動機の回転子及びポンプ及び空気調和装置及び床暖房装置及び給湯装置及びポンプの製造方法 - Google Patents
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Description
回転子部は、
マグネットと、マグネットの内側に配置されるスリーブ軸受とを熱可塑性樹脂で一体成形し、同時に熱可塑性樹脂で羽根車取付部を形成するものであって、
マグネットは、
磁極位置検出素子対向側の端面の内周側に、周方向に略等間隔に複数個形成され、断面形状が略角形状の切欠きと、
羽根車取付部側の端面から所定の深さの内周側に内側に突出するように、周方向に略等間隔に複数個形成され、断面形状が略角形状の突起と、を備え、
熱可塑性樹脂による一体成形時に、成形用金型の下型にマグネットの切欠きをセットして同軸を確保するとともに、成形用金型の上型を突起に押し当て、マグネットの位置決めを行うものである。
本実施の形態のポンプ用電動機の回転子は、水と磁極位置検出素子が実装された基板を備えるモールド固定子とを椀状隔壁部品で仕切るポンプに搭載され、椀状隔壁部品内に回転自在に収納され、一端が磁極位置検出素子に対向し、他端に羽根車を取付ける羽根車取付部を備えるポンプ用電動機の回転子であって、
リング状のマグネットと、マグネットの内側に配設されるスリーブ軸受とを熱可塑性樹脂で一体成形し、同時に熱可塑性樹脂で羽根車取付部を形成し、
マグネットは、磁極位置検出素子対向側の内周側に軸方向に延びる断面形状が略角形状の切欠きを略等間隔に複数個備え、
羽根車取付部側の端面から所定の深さの内周側に、軸方向に延びる断面形状が略角形状の突起を周方向に略等間隔に複数個備えたもので、熱可塑性樹脂で一体成形時に、スリーブ軸受とマグネットとの位置関係及び同軸度の確保が可能となり、ポンプ用電動機の回転子の品質向上が図ることができるものである。
(1)厚さが0.1〜0.7mm程度の電磁鋼板が帯状に打ち抜かれ、かしめ、溶接、接着等で積層された帯状の固定子鉄心54を製作する。帯状の固定子鉄心54は、複数個のティースを備える。図3に示すモールド固定子50の内周部に、固定子鉄心54のティースの先端部が露出している。ここで示す固定子鉄心54は、薄肉連結部で連結されている6個のティースを有するので、図3においても、6箇所に固定子鉄心のティースの先端部が露出している。但し、図3で見えているのは二箇所のみ。
(2)固定子鉄心54のティースには、絶縁部56が施される。絶縁部56は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂を用いて、固定子鉄心54と一体に又は別体で成形される。
(3)絶縁部56が施されたティースに、集中巻のコイルが巻回される。6個の集中巻のコイル57を接続して、三相のシングルY結線の巻線を形成する。
(4)三相のシングルY結線であるので、絶縁部56の結線側には、各相(U相、V相、W相)のコイル57(図4参照)が接続される端子59(電源が供給される電源端子及び中性点端子)が組付けられる。電源端子は3個、中性点端子は1個である。
(5)基板58が結線側の絶縁部56(端子59が組付けられる側)に取り付けられる。基板58は、基板押え部品95により絶縁部56との間に挟持される。基板58には、電動機(ブラシレスDCモータ)を駆動するIC58a(駆動素子)、回転子60の位置を検出するホール素子(位置検出素子)等が実装されている。IC58aやホール素子を、電子部品と定義する。また、基板58には、その外周縁部付近の切り欠き部にリード線52を口出しするリード線口出し部品61が、取り付けられる。
(6)リード線口出し部品61が取り付けられた基板58が基板押え部品95により絶縁部56に固定され、端子59と基板58とが半田付けされた固定子47に下穴部品81を組みつけることで固定子組立49が完成する。
(1)ケーシング41:水の吸水口42(吸入口)と吐出口43とを有し、内部に回転子60の羽根車60bを収納する。ケーシング41は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などの熱可塑性樹脂を用いて成形される。ケーシング41には、吸水口42側の端部に、ポンプ部40とモールド固定子50とを組み付ける際に用いられるネジ穴44aを有するボス部44が4箇所に設けられる。また、ケーシング41には、ポンプ10を、例えば、ヒートポンプ式給湯装置300のタンクユニット200に固定するための孔45aを有する取付脚45を3箇所に備える。
(2)スラスト軸受71:スラスト軸受71の材質はアルミナ等のセラミックである。回転子60は、ポンプ10の運転中、回転子60の羽根車60bの表裏に作用する水の圧力差によりスラスト軸受71を介してケーシング41に押し付けられるため、スラスト軸受にはセラミックにより製作されたものを使用し、耐摩耗性、摺動性を確保している。
(3)回転子60:回転子60は、回転子部60aと、羽根車60bとを備える。回転子部60aは、フェライト等の磁性粉末と樹脂を混練したペレットを成形したリング状(円筒状)の樹脂マグネット68(マグネットの一例)と、樹脂マグネット68の内側に設けられる円筒形のスリーブ軸受66(例えば、カーボン製)とが、例えばPPE(ポリフェニレンエーテル)等の樹脂部67で一体化される(図9参照)。羽根車60bは、例えばPPE(ポリフェニレンエーテル)等の樹脂成形品である。回転子部60aと、羽根車60bとが超音波溶着等により接合される。本実施の形態は、回転子60の回転子部60aに特徴があるので、その詳細は後述する。
(4)軸70:椀状隔壁部品90の軸支持部94に軸70の一端が挿入され、軸70の他端がケーシング41の軸支持部46に挿入される。椀状隔壁部品90の軸支持部94に挿入される軸70の一端は、軸支持部94に対して回転しないように挿入される。そのため、軸70の一端は所定の長さ(軸方向)円形の一部を切り欠いている(D字形状)。軸支持部94の孔もそれに合わせた形状になっている。ケーシング41の軸支持部46(図10も参照)に挿入される軸70の他端も、所定の長さ(軸方向)円形の一部を切り欠いている(D字形状)。即ち、軸70は長さ方向に対称形である。但し、軸70の他端は、ケーシング41の軸支持部46に回転可能に挿入される。軸70が長さ方向に対称形なのは、軸70を椀状隔壁部品90の軸支持部94に挿入する際に、上下の向きを意識することなく組立を可能とするためである。
(5)Oリング80:Oリング80は、ポンプ部40のケーシング41と椀状隔壁部品90とのシールを行う。
(6)椀状隔壁部品90:椀状隔壁部品90は、PPE(ポリフェニレンエーテル)などの熱可塑性樹脂を用いて成形される。椀状隔壁部品90は、モールド固定子50との嵌合部である椀状隔壁部90aと、鍔部90bとを備える。椀状隔壁部90aは、円形の底部と円筒形の隔壁とで構成される。円形の底部の内面の略中央部に、軸70の一端が挿入される軸支持部94が立設している。椀状隔壁部90aの外周面に軸方向に延びるリブ91(図示せず)が形成されている。リブ91(図示せず)は、椀状隔壁部90aの根元(鍔部90bとの連結部)から軸方向に所定の長さ形成されている。そして、リブ91(図示せず)の径方向の寸法は、椀状隔壁部90aの根元側が大きく、先に行くに従って小さくなるテーパ形状である。鍔部90bには、鍔部90bを補強する補強リブ(図示せず)が径方向に放射状に6個形成されている。その中の任意の一つの補強リブに椀状隔壁部90aのリブ91が接続している。これにより、椀状隔壁部品90の成形金型の製作が容易になる。また、鍔部90bには、モールド固定子50のポンプ部40のポンプ部設置面63に形成される環状の第3の溝65に納まる環状リブ(図示せず)を備える。また、鍔部90bには、タッピングネジ160が通る孔90dが4箇所に形成されている。さらに、鍔部90bのケーシング41側の面に、Oリング80を収納する環状のOリング収納溝90cが形成されている。
(1)樹脂マグネット68;
(2)スリーブ軸受66;
(3)樹脂部67(熱可塑性樹脂で構成される部分、羽根車60bを取付ける羽根車取付部67aは、熱可塑性樹脂で構成される樹脂部67に形成される)。
(1)ポンプ用電動機の回転子60の熱可塑性樹脂(樹脂部67)による一体成形時、上型が有する突起押さえ部(図示せず)を、樹脂マグネット68のポンプ用電動機の回転子60の状態で、羽根車取付部67a側の端面の内周部に形成された略角形状の突起68aに押し当てることにより、スリーブ軸受66と樹脂マグネット68との位置関係および同軸が確保される。
(2)また、本実施の形態のポンプ用電動機の回転子60は、その外周面に上型の左右スライド機構が有する切欠き押さえ部(図示せず)による樹脂部の凹部(例えば、図25の凹部767g)やつり合い穴(例えば、図25のつり合い穴767e)による循環経路が存在しないため、ポンプ用電動機の回転子60が水中で回転した際の摩擦損失や循環損失を低減でき、ポンプ10の性能向上が可能となる。
(3)樹脂マグネット68とスリーブ軸受66とが金型にセットされた後、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の熱可塑性樹脂が射出成形されて、ポンプ用電動機の回転子60が形成されるときに、樹脂マグネット68の金型で押さえられない切欠き68b(図17参照)、即ち4箇所の切欠き68bと、樹脂マグネット68の射出成形時のゲート68cの周囲に設けられた凹部68d(図16参照)とが熱可塑性樹脂の樹脂部67に埋設されるので、樹脂マグネット68から樹脂部67へ確実に回転トルクを伝達することができる。
(4)樹脂マグネット68の着磁時に、ポンプ用電動機の回転子60の羽根車取付部67aと反対側の樹脂マグネット68端面の内周面に形成される切欠き68bを着磁時の位置決めに利用することで、精度の良い着磁が可能となる。
(1)ステップ1:固定子47を製造する。先ず、厚さが0.1〜0.7mm程度の電磁鋼板が帯状に打ち抜かれ、かしめ、溶接、接着等で積層され、薄肉連結部で連結された帯状の固定子鉄心54を製作する。ティースには、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂を用いる絶縁部56が施される。絶縁部56が施されたティースに集中巻のコイル57が巻回される。例えば、12個の集中巻のコイル57を接続して、三相のシングルY結線の巻線を形成する。三相のシングルY結線であるので、絶縁部56の結線側には、各相(U相、V相、W相)のコイル57が接続される端子59(電源が供給される電源端子及び中性点端子)が組付けられる。併せて、スリーブ軸受66を製造する。併せて、樹脂マグネット68を成形する。
(2)基板58を製造する。基板58は、基板押え部品95により絶縁部56との間に挟持される。基板58には、電動機(ブラシレスDCモータ)を駆動するIC、回転子60の位置を検出するホール素子等が実装されている。また、基板58には、その外周縁部付近の切り欠き部にリード線を口出しするリード線口出し部品61が、取り付けられる。併せて、回転子部60aを製造する。回転子部60aは、フェライト等の磁性粉末と樹脂を混練したペレットを成形したリング状(円筒状)の樹脂マグネット68と、樹脂マグネット68の内側に設けられる円筒形のスリーブ軸受66(例えば、カーボン製)とが、例えばPPE(ポリフェニレンエーテル)等の樹脂で一体化される。さらに、併せて、羽根車60bを成形する。羽根車60bは、PPE(ポリフェニレンエーテル)などの熱可塑性樹脂を用いて成形される。
(3)ステップ2:基板58を固定子47に固定する。リード線口出し部品61が取り付けられた基板58が基板押え部品95により絶縁部56に固定される。併せて、回転子部60aに羽根車60bを超音波溶着等により組付ける。併せて、椀状隔壁部品90を成形する。併せて、軸70とスラスト軸受71を製造する。軸70は、SUSで製造される。スラスト軸受71はセラミックで製造される。
(4)ステップ3:端子59(電源が供給される電源端子及び中性点端子)と基板58とを半田付けする。固定子47に、下穴部品81を組み付けることで固定子組立49が完成する。椀状隔壁部品90に回転子60等を組付ける。さらに、併せて、ケーシング41を成形する。ケーシング41は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などの熱可塑性樹脂を用いて成形される。
(5)ステップ4:固定子組立49をモールド成形して、モールド固定子50を製造する。併せて、椀状隔壁部品90にケーシング41を固定してポンプ部40を組立てる。さらに、併せて、タッピングネジ160を製造する。
(6)ステップ5:ポンプ10の組立を行う。モールド固定子50にポンプ部40を組付けタッピングネジ160で固定する。
Claims (11)
- 水回路と、磁極位置検出素子が実装された基板を備えるモールド固定子と、を椀状隔壁部品で仕切るポンプに搭載され、前記椀状隔壁部品内に回転自在に収納され、一端が前記磁極位置検出素子に対向し、他端に羽根車を取付ける羽根車取付部を有する回転子部を備えるポンプ用電動機の回転子において、
前記回転子部は、
マグネットと、前記マグネットの内側に配置されるスリーブ軸受とを熱可塑性樹脂で一体成形し、同時に前記熱可塑性樹脂で前記羽根車取付部を形成するものであって、
前記マグネットは、
前記磁極位置検出素子対向側の端面の内周側に、周方向に略等間隔に複数個形成され、断面形状が略角形状の切欠きと、
前記羽根車取付部側の端面から所定の深さの内周側に内側に突出するように、周方向に略等間隔に複数個形成され、断面形状が略角形状の突起と、を備え、
前記熱可塑性樹脂による一体成形時に、成形用金型の下型に前記マグネットの前記切欠きをセットして同軸を確保するとともに、前記成形用金型の上型を前記突起に押し当て、前記マグネットの位置決めを行うことを特徴とするポンプ用電動機の回転子。 - 前記マグネットの前記羽根車取付部側に形成される前記突起は、当該回転子に形成される磁極の略中心に一致する、前記樹脂マグネットが供給されるゲートの位置と、略同一放射線状に該マグネットの中心部に向かって隆起する形で形成されていることを特徴とする請求項1記載のポンプ用電動機の回転子。
- 前記マグネットの前記羽根車取付部側に形成される前記突起は、当該回転子に形成される磁極間、且つ前記樹脂マグネットが供給されるゲート間に位置することを特徴とする請求項1のポンプ用電動機の回転子。
- 前記マグネットの前記羽根車取付部側に形成される前記突起は、当該回転子に形成される磁極と同数とすることを特徴とする請求項1のポンプ用電動機の回転子。
- 前記マグネットの前記羽根車取付部側に形成される前記突起にゲートを設け、前記マグネットを射出成形することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のポンプ用電動機の回転子。
- 前記マグネットの中空部は、前記突起が形成される端面から概略軸方向の中心位置までストレートで、かつ、前記突起が形成される端面の反対側端面から概略軸方向の中心位置までは抜きテーパとなっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のポンプ用電動機の回転子。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載のポンプ用電動機の回転子を搭載したことを特徴とするポンプ。
- 請求項7のポンプを搭載したことを特徴とする空気調和装置。
- 請求項7のポンプを搭載したことを特徴とする床暖房装置。
- 請求項7のポンプを搭載したことを特徴とする給湯装置。
- 請求項7記載のポンプの製造方法であって、
固定子を製造し、併せてマグネットを成形し、さらに併せてスリーブ軸受を製造し、
前記固定子に巻線し、併せて基板を製造し、併せて羽根車を製造し、さらに併せて前記マグネットと前記スリーブ軸受を一体成形して回転子部を製造し、
前記固定子に前記基板を組み付け、併せて前記羽根車と前記回転子部を組み付け、さらに併せて軸とスラスト軸受と椀状隔壁部品とを製造し、
前記固定子の端子と前記基板とを半田付けし、併せて下穴部品を成形し、併せてケーシングを成形し、さらに併せて前記椀状隔壁部品に回転子等を組付け、
前記固定子と下穴部品とをモールド一体成形してモールド固定子を製造し、併せてタッピングネジを製造し、さらに併せて前記椀状隔壁部品に前記ケーシングを固定してポンプ部を組立て、
前記モールド固定子に前記ポンプ部を組付け、前記タッピングネジで固定することを特徴とするポンプの製造方法。
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