JP5139630B2 - セパレータの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スタック型の固体高分子型燃料電池に備えられるセパレータの製造方法に関する。
従来から、限りあるエネルギ資源の有効利用や、地球温暖化防止のための省エネルギの必要性は広く認識されている。今日では、火力発電によって、熱エネルギを電力エネルギに変換する形でエネルギ需要が賄われている。
しかしながら、火力発電に必要な石炭および石油は埋蔵量が有限な資源であり、これらに代わる新たなエネルギ資源が必要となっている。そこで注目されているのが水素を燃料にして化学発電する燃料電池である。
燃料電池は、2つの電極と電極間に挟まれた電解質とを有している。陰極では、供給された水素がイオン化して水素イオンとなり電解質中を陽極に向かって移動する。陽極では、供給された酸素と電解質中を移動してきた水素イオンとが反応して水を発生する。水素がイオン化したときに発生した電子が、陰極から配線を通って陽極へと移動することで電流が流れ、電気が発生する。
燃料電池は、主に電解質の違いから4種類に分類される。イオン導電性セラミックスを電解質に用いた固体電解質型燃料電池(SOFC)、水素イオン導電性高分子膜を電解質に用いた固体高分子型燃料電池(PEFC)、高濃度リン酸を電解質に用いたリン酸型燃料電池(PAFC)、アルカリ金属炭酸塩を電解質に用いた熔融炭酸型燃料電池(MCFC)の4種類である。この中でも特に作動温度が80℃と低い固体高分子型燃料電池(PEFC)の開発が進んでいる。
固体高分子型燃料電池の構造は、表面に触媒電極を設けた電解質層と、電解質層を両側から挟み、水素および酸素を供給するための溝を設けたセパレータと、電極発生した電気を回収する集電板などを含んで構成される。電解質層と同じく、セパレータについても改良が重ねられている。
セパレータの要求特性としては、導電性が高く、かつ燃料ガスおよび酸化剤ガスに対して気密性が高く、さらに水素および酸素を酸化還元する際の反応に対して高い耐食性を持つ必要がある。
これらの要求を満たすために以下のようなセパレータ材料が使用されている。
最もよく使用されているものとして緻密性カーボンがある。緻密性カーボンは導電性、耐食性に優れ、機械的強度も高い。また加工性がよく軽量である。しかし、振動や衝撃に弱く、切削加工が必要なため、加工費が高くなる。また気体の不浸透化処理を施す必要がある。
また、合成樹脂も使用され、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が使用される。合成樹脂は、低コストであることが主な特徴であるが、寸法安定性が悪く、導電性にも劣る。
導電性、加工性、密閉性などの観点から、金属が使用されることが多くなっている。金属としては、主にチタン、ステンレスが使用される。しかし、金属は腐食し易く、電解質膜に金属イオンが取り込まれてイオン導電性が低下してしまうため、セパレータ表面に金めっきを施す必要がある。
また、ゴムも使用され、エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどが使用される。ゴムは、ガス透過性が低く、シール性が高い。
特許文献1には、固体高分子電解質型燃料電池が開示されている。この固体高分子電解質型燃料電池では、セパレータとしてステンレス鋼、チタン合金など大気によって容易に不動態膜が形成される金属薄板を用いており、プレス加工によって所定の形状に加工している。
また、特許文献2には、燃料電池用セパレータが開示されている。この燃料電池用セパレータは、金属基板の少なくとも片面に、樹脂と導電性充填剤を混合した体積抵抗率が1.0Ω・cm以下の第1の樹脂層と、体積抵抗率が第1の樹脂層よりも小さい第2の樹脂層とを設け、集電性能と成型性、強度および耐食性を向上している。
このように、特許文献2記載の燃料電池用セパレータにおいても、特許文献1記載の固体高分子電解質型燃料電池のセパレータと同様に、プレス加工によって、ガス流路を形成している。
また、プレス加工以外では、特許文献3記載の固体高分子型燃料電池のセパレータが、導電基材に導電性材料を印刷することによってガス流路を形成している。具体的には、導電基材としては、炭素粉末および熱硬化性樹脂を主成分とする板状成型体が用いられ、導電性材料としては、炭素粉末を主成分として含むカーボンペーストが用いられる。
特開平8−180883号公報 特開2003−297383号公報 特開2001−76748号公報
今後のセパレータには、薄型軽量化が要求され、その実現のために金属基板の薄型軽量化、ガス流路の微細化が必要となるが、特許文献1および特許文献2記載のセパレータのようにプレス加工によってガス流路を形成しようとすると、反りおよび歪みが大きく寸法精度が悪くなり、この寸法精度の悪化により歩留まりが低下する。
特許文献3記載のセパレータは、カーボンペーストを印刷することによりガス流路の微細化には対応可能となっているが、基材が熱硬化性樹脂であるため、基材自体の寸法安定性が悪いという問題が残る。
さらに、特許文献1〜3記載のセパレータを含む従来のセパレータは、流体漏れを防ぐために、電解質層との間にガスケットを備える必要がある。
本発明の目的は、生産性を向上し、高い歩留まりを実現するセパレータの製造方法を提供することである。
本発明は、電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在され、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部を有するセパレータの製造方法であって、
バインダである電子線硬化性のエポキシ系モノマーもしくは電子線硬化性のエポキシ系オリゴマーと導電性フィラーとを含む混合層を形成する混合層形成工程と、
スタンパによって前記混合層に前記流路を設けた成型層を形成する成型工程と、
前記成型層1kgあたりの吸収線量が10kGy以上200kGy以下となるように電子線を照射することにより硬化して樹脂層を形成する成型層硬化工程とを含むことを特徴とするセパレータの製造方法である。
また本発明は、電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在され、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部を有するセパレータの製造方法であって、
金属板表面に、バインダである電子線硬化性のエポキシ系モノマーもしくは電子線硬化性のエポキシ系オリゴマーと導電性フィラーとを含む混合層を形成する混合層形成工程と、
スタンパによって前記混合層に前記流路を設けた成型層を形成する成型工程と、
前記成型層1kgあたりの吸収線量が10kGy以上200kGy以下となるように電子線を照射することにより硬化して樹脂層を形成する成型層硬化工程とを含むことを特徴とするセパレータの製造方法である。
また本発明は、前記混合層形成工程は、前記金属板表面に導電性スラリーを塗布し、塗布された前記導電性スラリーに含まれる溶媒を除去して前記混合層を形成することを特徴とする。
また本発明は、前記導電性スラリーは、前記バインダである電子線硬化性のエポキシ系モノマーもしくは電子線硬化性のエポキシ系オリゴマーと、金属化合物または炭素系材料からなる前記導電性フィラーと、溶媒とを混合して得られることを特徴とする。
また本発明は、前記混合層形成工程は、前記導電性スラリーを、ディッピング法、ドクターブレード法またはカーテンコート法によって塗布することを特徴とする。
また本発明は、前記混合層形成工程は、塗布された前記導電性スラリーに温風を吹き付けて乾燥させることで前記溶媒を除去することを特徴とする。
また本発明は、前記混合層形成工程は、前記金属板表面に導電性グリーンシートを積層して前記混合層を形成することを特徴とする。
また本発明は、前記導電性グリーンシートは、前電子線硬化性のエポキシ系モノマーもしくは電子線硬化性のエポキシ系オリゴマーからなる前記バインダと、金属化合物または炭素系材料からなる前記導電性フィラーとを含むことを特徴とする請求項7記載のセパレータの製造方法。
また本発明は、前記混合層形成工程は、押し出し成型により、前記金属板表面に前記導電性グリーンシートを直接積層することを特徴とする。
また本発明は、前記混合層形成工程は、予め押し出し成型により前記導電性グリーンシートを作製し、作製された前記導電性グリーンシートを前記金属板表面に積層することを特徴とする。
また本発明は、前記混合層形成工程より前に、前記金属板表面に、前記混合層との密着性を増加させるための処理を行う基板処理工程を含むことを特徴とする。
また本発明は、前記基板処理工程では、トリアジンチオールまたはポリアニリンを前記金属板表面に拡散させることを特徴とする。
また本発明は、電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在され、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部を有するセパレータの製造方法であって、
平板状の金属板表面の全体に、導電性を有するゴムまたは合成樹脂からなる被覆層を形成する被覆層形成工程と、
前記被覆層表面に、バインダである電子線硬化性のエポキシ系モノマーもしくは電子線硬化性のエポキシ系オリゴマーと導電性フィラーとを含む混合層を形成する混合層形成工程と、
スタンパによって前記混合層に前記流路を設けた成型層を形成する成型工程と、
前記成型層1kgあたりの吸収線量が10kGy以上200kGy以下となるように電子線を照射し、前記成型層を電子線照射により硬化して樹脂層を形成する成型層硬化工程とを含むことを特徴とするセパレータの製造方法である。
また本発明は、前記樹脂層表面に、前記樹脂層の導電性より高い導電性を有する高導電層を形成する高導電層形成工程を有することを特徴とする。
また本発明は、前記高導電層形成工程では、少なくとも前記樹脂層が前記電解質組立体と接触する領域に前記高導電層を形成することを特徴とする。
また本発明は、セパレータは、外周部に設けられ、燃料ガスおよび酸化剤ガスの漏出を防ぐシール部を有し、
前記シール部に相当する領域には、プレス加工によって、前記電解質組立体から露出した前記電解質層に平行に延びるシール突部であって、その頂部がばね力によって前記電解質層に圧接されるように構成されたシール突部を形成することを特徴とする。
本発明によれば、電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在されるセパレータの製造方法である。セパレータは、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部を備えている。
まず、混合層形成工程で、バインダである電子線硬化性のエポキシ系モノマーもしくは電子線硬化性のエポキシ系オリゴマー(以下、単にバインダという)と導電性フィラーとを含む混合層を形成する。成型工程でスタンパによって混合層に流路を設けた成型層を形成し、成型層硬化工程で成型層を電子線照射により硬化して樹脂層を形成する。成型層硬化工程では、成型層1kgあたりの吸収線量が10kGy以上200kGy以下となるように電子線を照射する。
流路が設けられた樹脂層をスタンパ成型によって形成することで、寸法精度が高く、反りおよび歪みも生じない。したがって、セパレータの生産性を向上し、高い歩留まりを実現することができる。さらに、形成する流路パターンの設計自由度が大きく向上する。
また、成型層は電子線照射により硬化させるので、常温で硬化させることができる。したがって、温度変化による収縮がなく、寸法精度がさらに高くなる。さらに、短時間で硬化させることができるので、生産性がさらに向上する。
また本発明によれば、電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在されるセパレータの製造方法である。セパレータは、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部を備えている。
まず、混合層形成工程で、金属板表面に、バインダと導電性フィラーとを含む混合層を形成する。成型工程でスタンパによって混合層に流路を設けた成型層を形成し、成型層硬化工程で成型層を電子線照射により硬化して樹脂層を形成する。成型層硬化工程では、成型層1kgあたりの吸収線量が10kGy以上200kGy以下となるように電子線を照射する。
流路が設けられた樹脂層をスタンパ成型によって形成することで、従来のプレス加工に比べ、寸法精度が高く、反りおよび歪みも生じない。したがって、セパレータの生産性を向上し、高い歩留まりを実現することができる。さらに、形成する流路パターンの設計自由度が大きく向上する。たとえばプレス加工の場合、パターンが表裏一体で形成されるとともに直線形状パターンが多くなるためパターン設計が制限されてしまうが、スタンパ成型によればセパレータのそれぞれの面に全く異なるパターンを形成することが可能であり、曲線形状および孔形状のパターン形成も可能となる。
また、成型層は電子線照射により硬化させるので、常温で硬化させることができる。したがって、温度変化による収縮がなく、寸法精度がさらに高くなる。さらに、短時間で硬化させることができるので、生産性がさらに向上する。
また本発明によれば、混合層形成工程では、金属板表面に導電性スラリーを塗布し、塗布された導電性スラリーに含まれる溶媒を除去することによって、混合層を容易に形成することができるので、セパレータの生産性の向上を実現できる。
また本発明によれば、導電性スラリーは、ゴムまたは合成樹脂を形成するためのバインダと、金属化合物または炭素系材料からなる導電性フィラーと、溶媒とを混合することで容易に実現できる。
また本発明によれば、混合層形成工程では、導電性スラリーを、ディッピング法、ドクターブレード法またはカーテンコート法によって塗布する。これにより、所望の混合層の特性(層厚み、表面状態など)を容易に実現できる。
また本発明によれば、混合層形成工程では、塗布された導電性スラリーに温風を吹き付けて乾燥させることで溶媒を除去する。これにより、所望の混合層の特性(層厚み、表面状態など)を容易に実現できる。
また本発明によれば、混合層形成工程では、金属板表面に導電性グリーンシートを積層することによって、混合層を容易に形成することができるので、セパレータの生産性の向上を実現できる。
また本発明によれば、導電性グリーンシートは、ゴムまたは合成樹脂を形成するためのバインダと、金属化合物または炭素系材料からなる導電性フィラーとを含む導電性組成物によって実現できる。
また本発明によれば、積層工程では、押し出し成型により、直接金属板表面に導電性グリーンシートを積層する。
また本発明によれば、積層工程では、予め押し出し成型により導電性グリーンシートを作製し、作製された導電性グリーンシートを金属板表面に積層する。
導電性グリーンシートは、導電性組成物を押出し成型によってシート化することができる。また、直接金属板表面に導電性グリーンシートを積層してもよいし、予め作製した導電性グリーンシートを金属板表面に積層してもよく、製造条件などによって選択することができる。
また本発明によれば、積層工程より前に、基板処理工程で、金属板表面に、導電性グリーンシートとの密着性を増加させるための処理を行う。より詳細には、金属板表面に対してトリアジンチオール類に代表される導電性カップリング剤によるコーティング、ポリアニリン類に代表される導電性ポリマーによるドーピング処理されたコーティングを行うことにより拡散層を形成する。金属表面に拡散したトリアジンチオール類、ポリアニリン類は、導電性を示すので、樹脂層との導電性を確保し、発生した直流電力を直流電流として取り出すことができる。
また本発明によれば、電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在されるセパレータの製造方法である。セパレータは、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部を備えている。
スタンパによって導電性グリーンシートに流路を設けることによって、分離部に相当する領域に、流路が設けられた樹脂層を形成する。
さらに詳しくは、まず、被覆層形成工程で、平板状の金属板表面の全体に、導電性を有するゴムまたは合成樹脂からなる被覆層を形成する。混合層形成工程で、被覆層表面に、バインダと導電性フィラーとを含む混合層を形成する。成型工程で、スタンパによって混合層に流路が設けられた成型層を形成し、成型層硬化工程で、成型層を電子線照射により硬化して樹脂層を形成する。成型層硬化工程では、成型層1kgあたりの吸収線量が10kGy以上200kGy以下となるように電子線を照射する。
被覆層によって金属板の表面を被覆することで、水素ガスおよび酸素ガスならびに冷却水による腐食などの表面変化を防止することができる。また、流路が設けられた樹脂層をスタンパ成型によって形成することで、従来のプレス加工に比べ、寸法精度が高く、反りおよび歪みも生じない。したがって、セパレータの生産性を向上し、高い歩留まりを実現することができる。さらに、形成する流路パターンの設計自由度が大きく向上する。たとえばプレス加工の場合、パターンが表裏一体で形成されるとともに直線形状パターンが多くなるためパターン設計が制限されてしまうが、スタンパ成型によればセパレータのそれぞれの面に全く異なるパターンを形成することが可能であり、曲線形状および孔形状のパターン形成も可能となる。
また、成型層は電子線照射により硬化させるので、常温で硬化させることができる。したがって、温度変化による収縮がなく、寸法精度がさらに高くなる。さらに、短時間で硬化させることができるので、生産性がさらに向上する。
また本発明によれば、高導電層形成工程で、樹脂層表面に、樹脂層の導電性より高い導電性を有する高導電層を形成する。この高導電層は、少なくとも樹脂層が電解質組立体と接触する領域に形成する。
樹脂層の表面に高導電層を形成することで、触媒電極との接触抵抗を低下させて電力回収率を向上させることができる。
また本発明によれば、セパレータは、外周部に設けられ、燃料ガスおよび酸化剤ガスの漏出を防ぐシール部を備えている。
プレス加工によって、シール部に相当する領域に、電解質組立体から露出した電解質層に平行に延びるシール突部であって、その頂部がばね力によって前記電解質層に圧接されるように構成されたシール突部を形成する。
シール部は、プレス加工によって形成されるので、簡単な加工で高いシール性を実現することができる。
図1は、固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、略称PEFC)100を展開した状態で模式的に示した斜視図である。PEFC100は、セパレータ1、燃料電池セル2、集電板3、絶縁シート4、エンドフランジ5、電極配線12を有する。PEFC100は、高電圧、高出力を得るために、複数の燃料電池セル2を直列に接続した、いわゆるスタック状態で構成される。このスタック状態を構成するためには、燃料電池セル2間にセパレータを配置し、各燃料電池セル2に対して水素および酸素の供給と、発生した電気の回収とを行う。したがって、図1に示すように、燃料電池セル2とセパレータ1とが交互に配置される。この配置の最外層にはセパレータ1が配置され、セパレータ1のさらに外側には集電板3が設けられる。集電板3は、各セパレータ1で回収された電気を集めて取り出すために設けられ、電極配線12が接続されている。絶縁シート4は、集電板3とエンドフランジ5との間に設けられ、集電板3からエンドフランジ5に電流が漏れるのを防止している。エンドフランジ5は、複数の燃料電池セル2をスタック状態に保持するためのケースである。
エンドフランジ5には、水素ガス供給口6、冷却水供給口7、酸素ガス供給口8、水素ガス排出口9、冷却水排出口10および酸素ガス排出口11が形成されている。各供給口から供給されたガスおよび水の流体は、燃料電池セル2の積層方向に貫通する各往路を通り最外層のセパレータ1で折り返し、各復路を通って各排出口から排出される。
往路および復路は、各セパレータ1で分岐しており、往路を流れる各流体は、セパレータ1によって形成された、燃料電池セル2の面方向に平行な流路を通って復路に流れ込む。水素ガスおよび酸素ガスは、燃料電池セル2で消費されるので、未反応ガスが復路を通って排出されることとなる。排出された未反応ガスは回収され、再度供給口から供給される。酸素ガス流路付近では酸素と水素との反応によって水が生成するので、排出された酸素ガスは水を含んでいる。排出された酸素ガスを再度供給するには水を除去する必要がある。
燃料ガスである水素ガスおよび酸化剤ガスである酸素ガスは、それぞれ水素および酸素のみからなるガスである必要はなく、水素、酸素以外にも、接触する流路を劣化、変性させないガスであれば含んでいてもよい。たとえば、酸素ガスとして窒素を含む空気を用いてもよい。また、水素源としては水素ガスに限らずメタンガス、エチレンガス、天然ガスなどでもよく、エタノールなどでもよい。
図2は、セパレータ1を含む単位電池101の水平断面図である。単位電池101とは、1つの燃料電池セル2と、この両側に配置された2つのセパレータ1とからなり、水素および酸素を供給することで電力を発生させることができる最小の構成である。
電解質組立体である燃料電池セル2は、電解質媒体である高分子膜20と、高分子膜20の厚み方向表面に形成した触媒電極21とからなり、MEA(Membrane Electrode
Assembly)とも呼ばれる。
高分子膜20は、水素イオン(プロトン)を透過するプロトン導電性電解質膜であり、パーフルオロスルホン酸樹脂膜(たとえば、デュポン社製、商品名ナフィオン)がよく用いられる。
触媒電極21は、高分子膜20の厚み方向表面に、プラチナ、ルテニウムなどの触媒金属を含むカーボン層として積層される。触媒電極21に水素ガス、酸素ガスが供給されると、触媒電極21と高分子膜20との界面で電気化学反応が生じて直流電力が発生する。
高分子膜20は、厚みが約0.1mmであり、触媒電極21は含有する触媒金属などによっても変わるが、数μmの厚みで形成される。
セパレータ1は、水素ガスおよび酸素ガスの流路を分離する分離部13と、外周部に設けられ、水素ガスおよび酸素ガスの漏出を防ぐシール部14とを有している。本実施形態では、触媒電極21は、高分子膜20の全面に形成されているのではなく、外周の幅1〜20mm、望ましくは5〜10mmにわたって高分子膜20が表面に露出している。セパレータ1の分離部13は、触媒電極21が形成されている領域に対向する領域に形成され、シール部14は、高分子膜20が露出している領域に対向する領域に形成される。
分離部13には、触媒電極21の形成面に平行で、互いに平行な複数の流路溝が厚み方向両面に形成されている。この流路溝は、ガスの流れ方向に垂直な断面が凹形状となっている。所定の間隔で設けられた分離ブロック15と触媒電極21とで囲まれた空間が水素ガス流路16および酸素ガス流路17となる。分離ブロック15は、水素ガスと酸素ガスが混合しないように水素ガス流路16と酸素ガス流路17とを隔てるとともに、触媒電極21に接触し、高分子膜20と触媒電極21との界面で発生した直流電力は、直流電流として取り出される。取り出された直流電流は、他の分離ブロック15などを通って集電板3に収集される。
互いに隣接する流路溝は、開放面が同じ向きとなるように形成されており、これに応じて、一方の面には水素ガス流路16を設定し、他方の面には酸素ガス流路17を設定する。すなわち、同一の触媒電極21には同一のガスが接触するようにガス流路を設定する。さらに、1つの単位電池101を構成する2つのセパレータ1は、図2に示すように、流路溝の開放部が、燃料電池セル2を挟んで対向するように配置される。すなわち、2つのセパレータ1は、燃料電池セル2の中心を対称面として面対称の関係となるように配置される。ただし、ガス流路の設定は、面対称の関係ではなく、燃料電池セル2を挟んで対向する流路溝が、異なるガスのガス流路を形成するように設定する。たとえば、図2に示すように、燃料電池セル2を挟んで対向するガス流路は、一方が水素ガス流路16であり、もう一方が酸素ガス流路17である。
以上のようにセパレータ1を配置し、ガス流路を設定することで、電力を発生させることができる。
なお、流路溝と触媒電極21とによって形成された流路には、水素ガスおよび酸素ガスに限らず、冷却水を流してもよい。冷却水を流す場合は、燃料電池セル2を挟んで対向する流路溝のいずれにも流すことが好ましい。
セパレータ1の芯材として、平板状の金属薄板を用いる。たとえば、鉄、アルミニウム、チタンなどの金属薄板、特にステンレス(たとえばSUS304など)鋼板、SPCC(一般用冷間圧延鋼板)、耐食性鋼板が好ましい。ステンレス鋼板については、表面処理されたものを使用することができる。たとえば、表面を酸洗処理、電解エッチング処理したもの、導電性介在物を含むもの、BA皮膜を形成したもの、イオンプレーティング加工により導電性化合物をコーティングしたものなどが使用できる。また、結晶組織を超微細化した高耐食性ステンレス鋼板なども使用できる。
シール部14には、高分子膜20に平行に延びるシール突部が形成される。このシール突部は、ガスの流れ方向に垂直な断面が逆U字形状または逆V字形状となっている。セパレータ1の芯材を金属薄板とすることで、シール突部の頂部18は、ばね力によって、露出した高分子膜20に圧接される。この圧接位置でシールされ、水素ガスおよび酸素ガスの漏出を防ぐことができる。また、シール突部を逆U字形状または逆V字形状とすることで、頂部18の膜接触面積を小さくし、Oリングと同様の高圧シールを実現している。
図3は、第1の実施形態であるセパレータ1の分離部13の要部拡大図である。芯材である金属薄板30の両面に接着層31を介して樹脂層32を形成し、分離部13の樹脂層32には互いに平行な溝が設けられている。この樹脂層32に設けられた溝が、水素ガス流路16および酸素ガス流路17となる。樹脂層32には、ゴム(エラストマー)または合成樹脂を用いることができる。
分離部13では、樹脂層32が触媒電極21に接触して、高分子膜20と触媒電極21との界面で発生した直流電力を直流電流として取り出し、金属薄板30を通って集電板に収集される。
接着層31は、金属薄板30表面に対してトリアジンチオール類に代表される導電性カップリング剤によるコーティング、ポリアニリン類に代表される導電性ポリマーによるドーピング処理されたコーティングを行うことにより、金属表面に拡散層として形成される。金属表面に拡散したトリアジンチオール類、ポリアニリン類は、導電性を示すので、樹脂層32との導電性を確保し、発生した直流電力を直流電流として取り出すことができる。
本発明では、従来のプレス加工ではなく、バインダと導電性フィラーを含む混合層を金属薄板表面に形成した後、スタンパによって混合層に凹凸を成型して流路溝が設けられた樹脂層32を形成する。混合層は、金属薄板表面に導電性スラリーを塗布し、塗布された導電性スラリーを乾燥させて形成させた塗布層であってもよいし、金属薄板表面に積層させた導電性グリーンシートであってもよい。樹脂層32は、導電性を有することが必要であるので、導電性フィラーを含むゴムまたは合成樹脂を用いることができ、特にゴムとしては、ポリイソブチレンなどが好ましく、合成樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが好ましく、エポキシ樹脂とアクリル樹脂とを組み合わせた相互侵入高分子網目(Interpenetrating Polymer Network、略称「IPN」)構造の樹脂がさらに好ましい。また、樹脂層32は、一旦、混合層として形成され、スタンパによって流路成型可能である必要がある。
混合層が塗布層である場合、硬化性モノマー、硬化性オリゴマーまたは硬化性プレポリマーからなるバインダおよび金属化合物または炭素系材料からなる導電性フィラーを溶媒と混合して導電性スラリーを調製し、金属薄板表面に塗布する。塗布された導電性スラリーを乾燥し塗布層を形成したのち、所定の転写パターンが設けられたスタンパ(金型)で塗布層に凹凸を成型して樹脂層32を形成する。
また、混合層が導電性グリーンシートである場合、硬化性モノマー、硬化性オリゴマーまたは硬化性プレポリマーからなるバインダと、金属化合物または炭素系材料からなる導電性フィラーとを含む組成物を調製し、導電性グリーンシートを形成する。この導電性グリーンシートを金属薄板表面に積層したのち、所定の転写パターンが設けられたスタンパで導電性グリーンシートに凹凸を成型して樹脂層32を形成する。
図4は、第1の実施形態のシール部14の要部拡大図である。シール部14では、金属薄板30が高分子膜20に接触してシールしている。シール部14は、プレス加工によって形成される。
シール突部の頂部18を、ばね力によって高分子膜20に圧接するには、高分子膜20と接触しない状態、すなわちPEFC1を組み立てる前の状態のセパレータ1において、シール突部の頂部18の位置が、PEFC1が組み立てられ、高分子膜20と接触する位置よりさらに高分子膜20側となるように予めシール部14を形成する。具体的には、図5(a)に示すように、PEFC1が組み立てられた状態では、シール突部の頂部18の位置は、触媒電極21との仮想接触面Aを基準とすると、触媒電極21との接触面と頂部18との距離が触媒電極21の厚みt1となるような位置になる。したがって、PEFC1が組み立てられる以前の状態では、図5(b)に示すように、シール突部の頂部18の位置は、触媒電極21との接触面との距離がt1より大きなt2となるように形成すればよい。分離部13とシール突部との接続部分がばねとして働くので、組み立て時に頂部18が高分子膜に圧接する際の圧力は、このばね力と接触面積によって決まる。ばね力は、フックの法則に従い、ばね定数(弾性定数)に変位量を掛けたものとなる。セパレータ1においては、ばね定数は、セパレータ1の材質およびシール部14の形状とで決まる。変位量は、Δt=t2−t1である。したがって、材質と形状とを予め決定し、ばね定数を決定した状態で、加工時にt2を変えることで、シール圧力を容易に調整することができる。最適なシール圧力を実現するために、材質および形状を変更してもよいことは言うまでもない。
前述のように、燃料電池セル2を挟む2つのセパレータ1は、面対称の関係となるように配置されるので、シール突部の頂部18による圧接位置も、燃料電池セル2の中心を対称面として面対称の関係となる。頂部18の圧接位置が対向する位置となることで、シール性が向上する。
セパレータ1の製造方法は、混合層形成工程、成型工程および成型層硬化工程を含む。混合層形成工程は、金属板表面にバインダと導電性フィラーとを含む混合層を形成する工程である。たとえば、金属板表面に導電性スラリーを塗布し、塗布された導電性スラリーに含まれる溶媒を除去して混合層を形成してもよいし、金属板表面に導電性グリーンシートを積層して混合層を形成してもよい。成型工程は、スタンパによって混合層に流路を設けた成型層を形成する工程である。成型層硬化工程は、成型層を電子線照射により硬化して樹脂層を形成する工程である。電子線照射による硬化は、熱硬化または光硬化を併用してもよい。また、熱硬化または光硬化と併用する場合については、後述する。
まず、金属板表面に導電性スラリーを塗布し、塗布された導電性スラリーに含まれる溶媒を除去して混合層を形成する場合のセパレータ1の製造方法を説明する。
図6は、本発明の実施の第1の形態であるセパレータの製造方法を示す製造工程図である。
本製造工程は、基板処理工程、スラリー調製工程、塗布工程、塗布層形成工程、成型工程、成型層硬化工程およびシール部形成工程を含む。塗布工程および塗布層形成工程は、混合層形成工程に相当する。
スタンパを用いた成型によって、図2に示したような分離ブロック形状を実現するためには、成型された樹脂層の厚みがおよそ100μm〜500μmとなるような厚膜を形成する必要がある。また、樹脂層32が導電性を有するために導電性フィラーを多量に含む必要がある。
厚膜の必要性から、ある程度粘度の高い導電性スラリーを用いなければならない。したがって、要求される電気特性および構造特性を実現するためには、導電性スラリーの組成が重要となる。
ステップA1の基板処理工程では、基板としてステンレス鋼板などの金属薄板30を用いる場合に、樹脂層32との導電性を確保するために、金属薄板30の表面をエッチングなどによって不動態膜を除去し、接着層31を形成する。詳細には、所定の外形および厚み方向のガス経路を得るために、型抜き加工を行い、型抜き加工が施された金属薄板の表面に、トリアジンチオール類に代表される導電性カップリング剤によるコーティング、ポリアニリン類に代表される導電性ポリマーによるドーピング処理されたコーティングを行う。
ステップA2のスラリー調製工程では、後工程の塗布工程で用いる導電性スラリーを調製する。
低コスト生産を実現するためには、原材料のみならず、加工工程が量産性に富むものであることが望ましい。本発明では、多量の導電性フィラーを用いるため、バインダと導電性フィラーと添加剤などとを混合しただけでは、高粘度、高稠度となり金属薄板表面に層を形成することが困難である。したがって、バインダ、導電性フィラーおよび添加剤などを溶媒と混合することで粘度を低下させ、容易に金属薄板表面に塗布することが可能となる。さらに、溶媒を用いることでバインダとしてより高分子量のものを使用することが可能となり、樹脂層32の特性を向上させることができる。したがって、導電性スラリーとしては、液状で反応性を有するバインダ、多量の導電性フィラー、硬化を促進するための重合触媒および他の添加剤を溶媒に混合して調製することが望ましい。
調製する導電性スラリーとしては、用いる溶媒によって2種類に分類される。1つは有機溶剤を溶媒として用いる有機溶剤型スラリーであり、もう1つは水を溶媒として用いる水性型スラリーである。さらに、有機溶剤型スラリーおよび水性型スラリーはそれぞれ2種類に分類される。有機溶剤型スラリーは、溶解溶剤型スラリーおよび非水性分散型(NAD型)スラリーに分類され、水性型スラリーは、エマルジョン型スラリーおよび水溶性型スラリーに分類される。
以下では各種類のスラリーについて説明する。
・溶解溶剤型スラリー
溶解溶剤型スラリーは、有機溶剤として、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族系溶解溶剤、アセトンなどのケトン系溶解溶剤、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルエステルなどのエステル系溶解溶剤のうち1種類または2種類以上を混合して用いることができる。バインダ、導電性フィラー、重合触媒および添加剤と有機溶剤を混合して導電性スラリーを調製する。
・非水性分散型スラリー
非水性分散型スラリーは、上記の溶解溶剤の代わりに、ミネラルターペン(脂肪族炭化水素系溶剤)を使用してバインダなどを分散させる。溶解溶剤を用いる場合に比べて低公害性の導電性スラリーが実現できる。
・エマルジョン型スラリー
エマルジョン型スラリーは、水に溶解しないバインダを用いる場合に調製する。水に界面活性剤などの助剤(乳化剤)を添加し、水に溶解しないバインダなどを乳化分散させて安定した導電性スラリーを実現する。さらに、共溶剤(必ずしも揮発性とは限らない)としてメチルアルコール、エチルアルコール、カルビトールなどを添加してもよい。
・水溶性型スラリー
水溶性型スラリーは、水に溶解する変性バインダを用いる場合に調製する。変性バインダなどを水に溶解させて導電性スラリーを実現する。さらに共溶剤としてエチレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールt−ブチルエーテルなどを添加する。
実際の製造工程においては、用いるバインダ、導電性フィラーおよび重合触媒の種類などにより、調製するスラリーの種類を選択すればよい。
導電性フィラーとしては、金属化合物または炭素系材料を用いることができる。金属化合物としては、炭化ストロンチウム、窒化ストロンチウムおよび酸化セシウムなどが好ましい。炭素系材料としては、粉末状材料と、繊維状材料とがある。粉末状材料としては、人造黒鉛、天然黒鉛およびカーボンブラックなどが好ましく、繊維状材料としては、炭素繊維、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーなどが好ましい。
電子線硬化反応において、エポキシ系のカチオン重合反応では、重合開始剤および硬化剤を用いる必要があるので、後述のカチオン重合開始剤またはトリエチレンテトラミン(TETA)など硬化剤を導電性スラリーに添加する。樹脂層32として、エポキシ樹脂とアクリル樹脂とからなるIPN構造樹脂などの2種類以上の電子線硬化性モノマー、電子線硬化性オリゴマーまたは電子線硬化性プレポリマーを配合することによって樹脂を得る場合は、導電性スラリーにカチオン重合開始剤およびラジカル重合開始剤を添加する。また、ヘテロ官能基モノマーなどのエポキシ基およびビニル基を有するモノマーである場合、導電性スラリーにカチオン重合開始剤およびラジカル重合開始剤を添加する。
他の添加剤としては、粘度低下剤などを用いることができる。
導電性スラリーを構成する上記物質についてさらに具体的に例示する。
エポキシ樹脂には、芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂があり、芳香族エポキシ樹脂として、少なくとも1個の芳香核を有する多価フェノールまたはそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテルであって、たとえばビスフェノールAやビスフェノールFまたはそのアルキレンオキサイド付加体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂が挙げられる。また、脂環族エポキシ樹脂としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテルまたは、シクロヘキセン、シクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸などの適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイド、またはシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。
脂環族エポキシ樹脂のモノマー例としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサン)カルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、3,4−エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート、1−ビニル−3,4−エポキシシクロへキサン、(3,4−エポキシシクロヘキシル−5−ヒドロキシヘキサノイックカルボキシレート)(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
脂肪族エポキシ樹脂のモノマー例としては、脂肪族多価アルコール、またはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどがあり、その代表例としては、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコ−ルのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。さらに脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン糖などが挙げられる。
さらに、エポキシ樹脂以外のカチオン重合反応性物質の例としては、トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、などのオキセタン化合物;テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフランのようなオキソラン化合物;トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタンのような環状アセタール化合物;β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトンのような環状ラクトン化合物;エチレンスルフィド、チオエピクロロヒドリンのようなチイラン化合物;1,3−プロピンスルフィド、3,3−ジメチルチエタンのようなチエタン化合物;エチレングリコールジビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、3,4−ジヒドロピラン−2−メチル(3,4−ジヒドロピラン−2−カルボキシレート)、トリエチレングリコールジビニルエーテルのようなビニルエーテル化合物;エポキシ化合物とラクトンとの反応によって得られるスピロオルソエステル化合物;ビニルシクロヘキサン、イソブチレン、ポリブタジエンのようなエチレン性不飽和化合物及び上記化合物の誘導体などが挙げられる。
カチオン重合開始剤の例としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルフォニウム塩、セレニウム塩、ピリジニウム塩、フェロセニウム塩、フォスフォニウム塩、チヲピリニウム塩などが挙げられるが、熱的に比較的安定である芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルフォニウム塩などのオニウム塩重合開始剤が好ましい。なお、オニウム塩重合開始剤を活性化させるためには、紫外線・可視光の照射または電子線照射が好ましい。芳香族ヨードニウム塩および芳香族スルフォニウム塩などのオニウム塩重合開始剤を使用する場合、アニオンとしてはBF 、AsF 、SbF 、PF 、B(C などが挙げられる。
カチオン重合開始剤の市販品としては、たとえば、サイラキュアUVI−6974(ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネートとジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートの混合物)、サイラキュアUVI−6990(UVI−6974のヘキサフルオロホスフェート)(以上、ユニオンカーバイド製)や、アデカオプトマーSP−151、アデカオプトマーSP−170(ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)フェニル]スルフィド)、アデカオプトマーSP−150(アデカオプトマーSP−170のヘキサフルオロホスフェート)、アデカオプトマーSP−171(以上、旭電化製)や、DTS−102、DTS−103、NAT−103、NDS−103((4−ヒドロキシナフチル)−ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、TPS−102(トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート)、TPS−103(トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、MDS−103(4−メトキシフェニル−ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、MPI−103(4−メトキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)、BBI−101(ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート)、BBI−103(ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)(以上、みどり化学製)や、Irgacure261(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(1+)ヘキサフルオロホスフェート(1−))(チバガイギー製)や、CD−1010,CD−1011、CD−1012(4−(2−ヒドロキシテトラデカニルオキシ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)(以上、サートマー製)や、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達製)や、Degacure K126(ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート)、Degacure KI85(トリアリルサルフォニウムヘキサフルオロフォスフェートの50%プロピレンカーボネート溶液)(以上、テグッサ製)や、RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074((トリクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)(Rhodia製)や、OPPI((4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)(ゼネラル・エレクトリック製)や、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンサルフォネート(以上、TCIアメリカ製)などが挙げられ、さらに、ジフェニルヨードニウムクロライドとヘキサフロロアンチモネートナトリウム塩とから調製されるジフェニルヨードニウムヘキサフルオロランチモネートなどが挙げられる。
ラジカル重合反応は、電子線照射によって容易に開始するので、ラジカル重合開始剤は、必ずしも添加する必要はないが、ラジカル重合反応のスムーズ化に利用できる。ラジカル重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル類、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのベンジルジメチルケタール類、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのα−ヒドロキシアルキルフェノン類、カンファーキノンなどのα−ジカルボニル化合物、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、過酸化ラウロイルなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリルなどのアゾ開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸系開始剤などが挙げられる。ラジカル重合開始剤は、電子線硬化性性組成物100質量部に対して、0.1〜20質量部使用することが好ましい。
有機溶媒としては、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ターペン、ジオキサン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、メチルアルコール、エチルアルコール、ミネラルスピリットなどが挙げられる。
以上のようなバインダ、導電性フィラーおよび重合開始剤と溶媒とを高速衝撃ミル、高速インペラーなどを用いて分散、混合し、導電性スラリーを得る。詳細には、最初に赤色光下で、バインダと重合開始剤とを混合して中粘度液を作製し、これに溶媒を加えて低粘度液を調製する。最後に、高速ミルなどを用いて剪断力を十分に加えながら低粘度液に導電性フィラーを添加し、導電性スラリーを得る。
ステップA3の塗布工程では、調製した導電性スラリーを金属薄板30の表面に所定の厚みで塗布する。具体的な塗布方法としては、既存の方法を用いることができるが、ディッピング法、ドクターブレード法、カーテンコート法を用いることが好ましい。塗布工程における導電性スラリーの厚みとしては、200μm〜500μm程度が好ましい。
ディッピング法は、被塗布部材を塗布液に浸漬させる方法で、本発明に適用すると、表面処理された金属薄板30を導電性スラリーに浸漬させることで塗布を行う。塗布された導電性スラリーの厚みは、導電性スラリーの組成と温度、浸漬時間、引き上げ速度などを調整することで制御することができる。
ドクターブレード法は、塗布液をタンクに入れ、被塗布部材を移動させながらドクターブレードと呼ばれるいわゆる堰を開けることで、連続的に被塗布部材表面に塗布する方法で、ドクターブレードの高さに応じた厚みで塗布することができる。本発明に適用すると、導電性スラリーをタンクに入れ、表面処理された金属薄板30を移動させて塗布を行う。塗布された導電性スラリーの厚みは、導電性スラリーの組成と温度、ドクターブレード高さ、金属薄板30の移動速度などを調製することで制御することができる。
カーテンコート法は、塗布液をカーテン状に落下させ、その中に被塗布部材を通過させる方法で、本発明に適用すると、導電性スラリーをカーテン状に落下させ、その中に表面処理された金属薄板30を通過させることで塗布を行う。塗布された導電性スラリーの厚みは、導電性スラリーの組成と温度、導電性スラリーの落下速度、金属薄板30の通過速度などを調製することで制御することができる。
特に、工業的には表面処理された長尺の金属薄板に対してディッピング法で塗布することが好ましい。
ステップA4の塗布層形成工程では、塗布された導電性スラリーに含まれる溶媒を除去して塗布層を形成する。ここで、塗布層とは、導電性スラリーに含まれる溶媒が除去された状態の層、すなわちバインダ、導電性フィラー、重合開始剤などの不揮発成分からなる層である。
溶媒の除去方法としては既存の方法を用いることができるが、温風吹き付けによる乾燥法が好ましい。具体的には、所定の温度の温風を塗布された導電性スラリー表面に吹き付け、溶媒を蒸発させて乾燥する。温風の温度としては、有機溶剤型スラリーまたは水性型スラリーのいずれを用いた場合であっても、含まれる溶媒に応じて選択すればよい。
ステップA5の成型工程では、スタンパによって、塗布層に流路が設けられた成型層を形成する。成型層は、樹脂層として硬化させる前の状態の層であり、流路溝が形成され、目的とする樹脂層32とほぼ同形状に形成される。
塗布層に対して、スタンパ(金型)を圧接し、スタンパに形成された凹凸パターンを転写する。スタンパとしては、平面版であってもよいし、緩やかに湾曲したものであってもよい。また、スタンパは、塗布層の賦型のための金型であるので、金属シートなどのプレス用金型と同等もしくはそれ以下の機械的強度を有していればよい。たとえば、試作など少量生産時にはアルミ合金製のもの、大量生産時にはSS鋼材(一般構造用圧延鋼材)製のものが使用できる。
塗布層は、非粘着性であるが、スタンパ圧接時に表面の粘着性が増加し、離型時に塗布層表面が粗化してしまうおそれがある。したがって、スタンパの塗布層との接触部は、離型性を向上させるために非粘着化加工されていることが望ましい。非粘着化加工としては、たとえばクロムメッキの微小クラック中にテフロン(登録商標)粒子を付着させる加工、DLC(Diamond Like Carbon)膜を形成する加工、窒化チタン、炭化チタン、炭窒化チタン、酸化チタン、窒化アルミニウムチタン、窒化クロムなどのセラミックス膜を形成する加工、プラズマソースイオン注入による硬質皮膜を形成する加工、放電による表面を硬質化する加工などが挙げられる。特に、塗布層に対しては、窒化クロム膜をスタンパ表面に形成することが好ましい。
ステップA6の成型層硬化工程では、流路が設けられた成型層を、電子線照射により硬化させる。電子線照射により硬化させると、常温で短時間に反応するので、高速処理ができ、さらに、熱に弱いまたは熱容量の大きい素材への適用が可能である。さらに、光硬化および熱硬化を組み合わせて成型層を硬化させてもよい。
電子線照射による硬化と、光硬化または熱硬化とを併用して成型層を硬化させる硬化反応が、たとえば、エポキシ系のカチオン重合反応である場合、電子線照射により硬化させた後、硬化が不充分な箇所に熱硬化を施すと、成型層の断面形状などを崩すことなく、完全に硬化させることができるので、好ましい。その際、重合開始剤として、IRGACURE261などの光重合開始剤のみを添加している場合、熱硬化しないので、サンエイドSI100Lなどの光・熱重合開始剤が添加されている必要がある。また、熱硬化よりコストがかかってしまうが、熱硬化の代わりに、光硬化によって硬化させる方法も、技術的には実現可能である。なお、成型層を熱硬化しない程度に、予め温めておいた後に、電子線照射により硬化させると、重合反応の進行が良好となる。
また、成型層を硬化させる硬化反応が、アクリル系のラジカル重合反応である場合は、電子線照射による硬化によって、成型層はほとんど硬化するので、光硬化および熱硬化は不必要である。
電子線照射による硬化に使用する電子線は、電子加速器によって電子を加速させることによって得られる。その加速された電子のエネルギ(keV)が、100keV以上300keV以下であることが好ましく、より好ましくは、150keV以上300keV以下である。
また、電子線が照射される物質である成型層1kgあたりに吸収されるエネルギである吸収線量(kGy)は、10kGy以上200kGy以下が好ましい。ポリエステルの硬化の場合には、10kGy以上30kGy以下がより好ましく、より好ましくは、約20kGyである。また、エポキシ樹脂の硬化の場合、100kGy以上200kGy以下がより好ましい。なお、吸収線量1kGyは、0.1Mradである。
また、カチオン重合開始剤は、エポキシ樹脂に対して、1重量%以上3重量%以下添加することが好ましい。
基板処理工程、塗布工程、塗布層形成工程、成型工程および成型層硬化工程では、金属薄板はロール状で供給してもよいし、予めセパレータの外寸大に切断されたピース状で供給してもよい。
ステップA7のシール部形成工程では、プレス加工によって、シール部14に相当する領域にシール突部を形成する。図5に示したように、PEFC組み立て時にばね力によってシール突部が高分子膜20に圧接するようにシール突部の形状を決定し、プレス加工によって決定した形状のシール突部を形成する。金属薄板がロール状で供給される場合は、シール部形成工程において、1回のプレスでシール突部を形成するとともに、セパレータの外寸大に打ち抜いてセパレータ1を得る。また、シール突部の形成と、外寸打ち抜きとを連続する2回のプレスで行ってもよい。
以上のようにして得られたセパレータ1は、組立工程において、燃料電池セル2と交互に積層され、さらに集電板3、絶縁シート4、エンドフランジ5および電極配線12を加えて、図1に示したような構成のPEFC100として組み立てられる。
以上のように、塗布層にスタンパ成型によって樹脂層32に流路を形成することで、従来のプレス加工に比べ、寸法精度が高く、反りおよび歪みも生じない。したがって、セパレータの生産性を向上し、高い歩留まりを実現することができる。
また、樹脂層32と金属薄板30との間に被覆層を設けた構成としてもよい。さらに、本実施形態では、金属薄板30または被覆層を形成させた金属薄板30に、導電性スラリーを塗布して混合層を形成させているが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの基材に、導電性スラリーを塗布して混合層を形成させてもよい。このような場合、スタンパによって基材上の混合層に流路を設けた成型層を形成させた後に、この成型層を金属薄板30に積層して、電子線照射により硬化させて樹脂層32を得てもよいし、スタンパによってこの混合層に流路を設けた成型層を形成させ、この成型層を電子線照射により硬化させて樹脂層32を得た後に、金属薄板30に積層してもよい。
次に、金属板表面に導電性グリーンシートを積層して混合層を形成する場合のセパレータ1の製造方法を説明する。
図7は、本発明の実施の第2の形態であるセパレータの製造方法を示す製造工程図である。
本製造工程は、基板処理工程、組成物調製工程、積層工程、成型工程、成型層硬化工程およびシール部形成工程を含む。積層工程は、混合層形成工程に相当する。
スタンパを用いた成型によって、図2に示したような分離ブロック形状を実現するためには、成型された樹脂層の厚みがおよそ300μm〜700μmとなるような厚膜を形成必要がある。また、樹脂層32が導電性を有するために導電性フィラーを多量に含む必要がある。
厚膜の必要性から、高粘度の組成物を用いなければならない。したがって、要求される電気特性および構造特性を実現するためには、導電性グリーンシートを形成するための組成物が重要となる。
ステップB1の基板処理工程は、ステップA1の基板処理工程と同様である。
ステップB2の組成物調製工程では、後工程の積層工程で用いる導電性グリーンシート用組成物(以下では単に「導電性組成物」と呼ぶ)を調製する。
低コスト生産を実現するためには、原材料のみならず、加工工程が量産性に富むものであることが望ましい。したがって、導電性組成物としては、液状で反応性を有するバインダに多量の導電性フィラーを配合し、硬化を促進するための重合触媒および他の添加剤を含むことが望ましい。バインダおよび導電性フィラーは、ステップA2のスラリー調製工程で用いたバインダおよび導電性フィラーと同様である。
硬化反応をより容易に開始させるために、導電性組成物に重合開始剤を添加してもよい。カチオン重合開始剤およびラジカル重合開始剤は、ステップA2のスラリー調製工程で用いたカチオン重合開始剤およびラジカル重合開始剤と同様である。
他の添加剤としては、粘度低下剤などを用いることができる。
バインダ、導電性フィラーおよび重合開始剤を混合し、導電性組成物を得る。なお、バインダ、導電性フィラーおよび重合開始剤は、まずバインダと重合開始剤とを均質に混合したのち、導電性フィラーを加えて混合することが望ましい。バインダ、導電性フィラーおよび重合開始剤を単純に混合すると、重合開始剤が導電性フィラーの表面に付着してしまい、均質な混合が行えなくなる場合があるため、導電性組成物を調製する際は、上記のような順序で混合することが望ましい。
ステップB3の積層工程としては、次のような2種類の工程が考えられ、製造条件によって適宜選択することができる。
第1の工程は、組成物調製工程で調製された導電性組成物を押し出し成型によって、基板処理工程で処理された金属薄板30に直接導電性グリーンシートを積層する工程である。
第2の工程は、組成物調製工程で調製された導電性組成物を押し出し成型によって、予め離型性に優れた樹脂フィルム上に導電性グリーンシートを作製し、作製された導電性グリーンシートを基板処理工程で処理された金属薄板30に積層する工程である。
上記のように、導電性組成物は揮発成分が含有されない堅練り型の組成物であるため、導電性グリーンシートを形成するためには、押出し機(エクストルーダー)を用いた押出し成型が望ましい。押出し機としては、たとえばスパイラルスクリュー型押出し機、モーノポンプ型押出し機などが挙げられる。
ステップB4の成型工程では、スタンパによって、積層された導電性グリーンシートに流路が設けられた成型層を形成する。成型層は、樹脂層として硬化させる前の状態の層であり、流路溝が形成され、目的とする樹脂層32とほぼ同形状に形成される。
導電性グリーンシートに対して、スタンパ(金型)を圧接し、スタンパに形成された凹凸パターンを転写する。スタンパとしては、平面版であってもよいし、緩やかに湾曲したものであってもよい。また、スタンパは、導電性グリーンシートの賦型のための金型であるので、金属シートなどのプレス用金型と同等もしくはそれ以下の機械的強度を有していてもよい。たとえば、試作など少量生産時にはアルミ合金製のもの、大量生産時にはSS鋼材(一般構造用圧延鋼材)製のものが使用できる。
導電性グリーンシートは、非粘着性であるが、スタンパ圧接時に表面の粘着性が増加し、離型時に導電性グリーンシート表面が粗化してしまうおそれがある。したがって、スタンパの導電性グリーンシートとの接触部は、離型性を向上させるために非粘着化加工されていることが望ましい。非粘着化加工としては、たとえばクロムメッキの微小クラック中にテフロン(登録商標)粒子を付着させる加工、DLC(Diamond Like Carbon)膜を形成する加工、窒化チタン、炭化チタン、炭窒化チタン、酸化チタン、窒化アルミニウムチタン、窒化クロムなどのセラミックス膜を形成する加工、プラズマソースイオン注入による硬質皮膜を形成する加工、放電による表面を硬質化する加工などが挙げられる。特に、本発明の導電性グリーンシートに対しては、窒化クロム膜を表面に形成することが望ましい。
ステップB5の成型層硬化工程は、ステップA6の成型層硬化工程と同様の工程である。基板処理工程、積層工程、成型工程および成型層硬化工程では、金属薄板はロール状で供給してもよいし、予めセパレータの外寸大に切断されたピース状で供給してもよい。
ステップB6のシール部形成工程は、ステップA5のシール部形成工程と同様の工程である。
以上のように、積層した導電性グリーンシートにスタンパ成型によって樹脂層32に流露を形成することで、従来のプレス加工に比べ、寸法精度が高く、反りおよび歪みも生じない。したがって、セパレータの生産性を向上し、高い歩留まりを実現することができる。
また、樹脂層32と金属薄板30との間に被覆層を設けた構成としてもよい。さらに、本実施形態では、金属薄板30または被覆層を形成させた金属薄板30に、導電性グリーンシートを積層させているが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの基材に、導電性グリーンシートを積層して混合層を形成させてもよい。このような場合、スタンパによって基材上の混合層に流路を設けた成型層を形成させた後に、この成型層を金属薄板30に積層して、電子線照射により硬化させて樹脂層32を得てもよいし、スタンパによってこの混合層に流路を設けた成型層を形成させ、この成型層を電子線照射により硬化させて樹脂層32を得た後に、金属薄板30に積層してもよい。
図8は、被覆層33を設けたときの分離部13の要部拡大図であり、図9は、被覆層33を設けたときのシール部14の要部拡大図である。分離部13において、被覆層33によって金属薄板30の表面を被覆することで、水素ガスおよび酸素ガスならびに冷却水による腐食などの表面変化を効果的に防止することができる。
被覆層33も樹脂層32と同様に導電性を有することが必要であるので、ゴムとしては、たとえば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴムおよびエチレン−プロピレンゴムなどの汎用ゴム、耐ガス透過性および耐熱性を有するエピクロロヒドリンゴムなどの特殊ゴムに導電性フィラーを添加して導電性を付与したものを使用することができる。特に、耐熱性、耐酸性に優れたアリル系付加重合型ポリイソブチレンにカーボンフィラーを添加したものが好ましい。
また、合成樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などに導電性フィラーを添加して導電性を付与したものを使用することができる。
またシール部14において、弾性体である被覆層33で被覆すると、ばね力によって頂部18が圧接されることにより接触部分が変形し、高分子膜20表面との間に隙間が生じないのでシール性がさらに向上する。
なお、製造工程においては、ステップA1およびステップB1の基板処理工程で、接着層31を形成したのち、被覆層33の形成を行う。被覆層33が形成された状態のものを被覆基板と呼ぶ。加熱による被覆層33の加硫処理は、基板処理工程で行ってもよいし、成型層硬化工程で、樹脂層32の硬化と同時に行ってもよい。
さらに、セパレータ1は、樹脂層32の表面に高導電層を設けた構成としてもよい。
図10は、高導電層34を設けたときの分離部13の要部拡大図である。樹脂層32表面の触媒電極21と接触する領域にのみ高導電層34を形成する。
樹脂層32と触媒電極21との接触抵抗が高く電力の回収率が十分に得られないような場合、樹脂層32の表面に高導電層34を形成することで、触媒電極21との接触抵抗を低下させて回収率を向上させることができる。高導電層34には、バインダ樹脂と炭素との混合物(以下では「カーボン・樹脂コンパウンド」と呼ぶ。)を使用するのが好ましい。高導電層34は、炭素によって高導電性を実現し、バインダ樹脂によってガス透過性を低減させている。カーボン・樹脂コンパウンドの炭素含有量が増加するほど高導電層34の電気抵抗は低くなるが、バインダ樹脂の含有量が減少するので、ガスの透過性が高くなってしまう。電気抵抗とガス透過性のバランスからカーボン樹脂コンパウンドの樹脂含有率は、20〜30%の範囲が好ましい。含有する炭素としては、人造黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレンなどを使用し、特に人造黒鉛を使用することが好ましい。バインダ樹脂としては、ポリイソブチレンゴムなどを使用することが好ましい。
また、高導電層34は、樹脂層32表面の触媒電極21と接触する領域にのみ混合物を塗布すればよい。高導電層34による接触抵抗の低下は、樹脂層32と触媒電極21との接触領域にのみ高導電層34を形成すれば十分な効果が得られる。したがって、高導電層34の形成領域を減少させ、少量のカーボン・樹脂コンパウンドで効果的に接触抵抗を低下させることができる。
製造工程においては、成型層硬化工程中または成型層硬化工程後に、高導電層形成工程を行う。高導電層形成工程では、樹脂層32の表面に、カーボン・樹脂コンパウンドを所定の厚みで塗布する。成型層硬化工程では、樹脂層32に対して電子線硬化処理を行うため、成型層硬化工程前にカーボン・樹脂コンパウンドを塗布してしまうと樹脂層32の硬化が困難となる。したがって、成型層硬化工程中に行う場合は、電子線硬化処理を行った後、熱硬化処理を行う前に行えばよい。
また、高導電層34としては、薄膜層であっても十分に効果が得られることから、成型工程後の印刷インク層がウェット状態のときに、カーボン粒子のアルコール分散液をスプレーによって数μmの厚みとなるように吹き付け、その後、乾燥固化させることで簡単な工程で形成することもできる。
以上のように、セパレータ1では、分離部13にガス流路を設けるための樹脂層32は、バインダと導電性フィラーとを含む混合層を形成したのち、スタンパ成型によって流路を形成することで、従来のプレス加工に比べ、寸法精度が高く、反りおよび歪みも生じない。したがって、セパレータ1の生産性を向上し、高い歩留まりを実現することができる。さらに、形成する流路パターンの設計自由度が大きく向上する。たとえばプレス加工の場合、パターンが表裏一体で形成されるとともに直線形状のパターンが多くなるためパターン設計が制限されてしまうが、スタンパ成型によればセパレータ1のそれぞれの面に全く異なるパターンを形成することが可能であり、曲線形状および孔形状のパターン形成も可能となる。また、シール部14は、プレス加工によって形成され、簡単な加工で高いシール性を実現することができる。
また、樹脂層32は、電子線照射により硬化させるので、常温で硬化させることができる。したがって、温度変化による収縮がなく、寸法精度がさらに高くなる。さらに、短時間で硬化させることができるので、生産性がさらに向上する。
さらに、分離部13に高導電層34を設けることで、触媒電極21とセパレータ1との接触抵抗を大幅に低下させることができるので、電力の回収率をさらに向上することができる。
図11は、他のセパレータ1を含む単位電池101の水平断面図である。図に示すように、単位電池101の一方のセパレータ1において、シール突部が、高分子膜20と面接触するように、シール突部の断面を台形形状としてもよい。また、図12に示すように、単位電池101の両方のセパレータ1において、シール突部が、高分子膜20と面接触するように、シール突部の断面を台形形状としてもよい。
なお、上記の説明では、セパレータ1の芯材として金属薄板を用いているが、高導電性炭素繊維強化樹脂(CFRP)など高導電性かつ高強度の樹脂を用いてもよい。
下記の実施例に示す条件でセパレータ1を作製した。
スタンパとしては、アルミ合金製で、離型性を向上させるために表面に窒化クロム膜を形成したものを実施例1および2で共用した。
また、実施例1において導電性スラリーを塗布する被覆基板および実施例2において導電性グリーンシートを積層する被覆基板は、次のような手順で作製した。SUS304(たて10cm、よこ10cm、厚さ0.2mm)からなる金属薄板表面の不動態層をサンドブラストによって除去し、直ちにトリアジンチオール溶液に浸漬して接着層を形成した。次に、アリル系付加重合型ポリイソブチレン100重量部と、導電性カーボングラファイトを400部とを混合したものを、表面処理した金属薄板表面に厚さ50μmで塗布し、130℃で2時間硬化させて被覆層を形成した。
(実施例1)
実施例1は、図6に示す導電性スラリーを用いたセパレータの製造方法の実施例である。
・導電性スラリーの組成
バインダ:エポキシ化ポリブタジエン(エポリード−PB3600、ダイセル化学社製)(分子量:5900)65重量部、液化ポリブタジエン(ハイカ−CTBN、宇部興産社製)(分子量:3500)25重量部、3官能エポキシオリゴマー(グリシジルアミン)(エピコート630、ジャパンエポキシレジン社製)10重量部
導電性フィラー:球状黒鉛(球状黒鉛、日本黒鉛社製)300重量部、カーボンブラック(#5500、東海カーボン社製)150重量部、鱗状黒鉛(BFシリーズ、中越黒鉛工業所製)300重量部
重合開始剤:トリアリルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート(サイラキュアUVI−6990、ダウケミカル社製)1.0重量部、ヒドロキシフェニルケトン(ダロキュア−1173、チバ社製)1.5重量部、
溶媒:メチルエチルケトン(MEK)200重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)70重量部
上記組成の導電性スラリーを、接着層31が被覆された金属薄板30にドクターブレードにより被覆し、40℃〜50℃で24時間乾燥させることにより、溶媒を揮発させて、400μmの混合層を形成させた。その後、スタンパによって混合層に流路を設けた成型層を形成し、電子線照射により硬化させて樹脂層32を得た。
・硬化条件
電子線照射装置(CB250/15/180L、岩崎電気(株)製)を用いて、吸収線量が180kGyとなるように電子線照射した。
(実施例2)
実施例2は、図7に示す導電性グリーンシートを用いたセパレータの製造方法の実施例である。
・導電性組成物の組成
バインダ:ビニールエステル(リポキシ−SP1507、昭和高分子社製)75重量部、アクリレートオリゴマー(ヘキサジオールジアクリレート(HDDA)、UCBケミカル社製)25重量部
導電性フィラー:球状黒鉛(球状黒鉛、日本黒鉛社製)300重量部、カーボンブラック(#5500、東海カーボン社製)150重量部、鱗状黒鉛(BFシリーズ、中越黒鉛工業所製)300重量部
重合開始剤:ベンジルジメチルケタール(ジメトキシジフェニルエタン、シーベルヘグナー社製)1.0重量部
上記組成の導電性組成物を押出し機(エクストルーダー)にて押出すことによって、導電性グリーンシートを得た。この導電性グリーンシートを、接着層31が被覆された金属薄板30に積層し、ロール圧接によって、厚さが400μmとなるように調整した。その後、スタンパによって混合層に流路を設けた成型層を形成し、電子線照射により硬化させて樹脂層32を得た。
・硬化条件
電子線照射装置(CB250/15/180L、岩崎電気(株)製)を用いて、吸収線量が70kGyとなるように電子線照射した。
実施例1および実施例2の機械特性および電気特性を表1に示す。
Figure 0005139630
接触抵抗値は、成型工程後の成型層がウェット状態のときに、カーボンブラック(#5500、東海カーボン社製)のエチルアルコール分散液をスプレーにより、乾燥膜厚が2〜3μmの厚みとなるように吹きつけ、その後硬化させることで高導電層を形成したものを用いて測定した。
(特性評価方法)
固有体積抵抗値:4探針法(JIS K7194)準拠
接触抵抗値 :電気抵抗計(オームメータ)
硬度 :微小硬度計による測定値を[ショアD]に換算
図13は、実施例1および実施例2によって得られたセパレータの概略断面図である。触媒電極と接する凸部の幅a=2.0mm、流体流路となる凹部の幅b=2.0mm、凸部の厚みc=0.45mm、凹部の厚みd=0.1mmであった。また、流路となる凹部はその断面が逆台形上となり底辺と側面とのなす角度θ=135°であった。
実施例1および実施例2によって製造したセパレータは、未硬化部もなく均質であり、スタンパからの転写性も良好であった。また、表1に示すように、セパレータとして充分に機能する機械特性および電気特性が得られた。
固体高分子型燃料電池(PEFC)100を展開した状態で模式的に示した斜視図である。 セパレータ1を含む単位電池101の水平断面図である。 セパレータ1の分離部13の要部拡大図である。 セパレータ1のシール部14の要部拡大図である。 ばね力が発生するためのシール部14の形状を説明する図である。 本発明の実施の第1の形態であるセパレータの製造方法を示す製造工程図である。 本発明の実施の第2の形態であるセパレータの製造方法を示す製造工程図である。 被覆層33を設けたときの分離部13の要部拡大図である。 被覆層33を設けたときのシール部14の要部拡大図である。 高導電層34を設けたときの分離部13の要部拡大図である。 他のセパレータ1を含む単位電池101の水平断面図である。 他のセパレータ1を含む単位電池101の水平断面図である。 実施例1および実施例2によって得られたセパレータの概略断面図である。
符号の説明
1 セパレータ
2 燃料電池セル
3 集電板
4 絶縁シート
5 エンドフランジ
6 水素ガス供給口
7 冷却水供給口
8 酸素ガス供給口
9 水素ガス排出口
10 冷却水排出口
11 酸素ガス排出口
12 電極配線
13 分離部
14 シール部
15 分離ブロック
16 水素ガス流路
17 酸素ガス流路
18 底部
20 高分子膜
21 触媒電極
30 金属薄板
31 接着層
32 樹脂層
33 被覆層
34 高導電層
100 固体高分子型燃料電池(PEFC)
101 単位電池

Claims (16)

  1. 電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在され、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部を有するセパレータの製造方法であって、
    バインダである電子線硬化性のエポキシ系モノマーもしくは電子線硬化性のエポキシ系オリゴマーと導電性フィラーとを含む混合層を形成する混合層形成工程と、
    スタンパによって前記混合層に前記流路を設けた成型層を形成する成型工程と、
    前記成型層1kgあたりの吸収線量が10kGy以上200kGy以下となるように電子線を照射することにより硬化して樹脂層を形成する成型層硬化工程とを含むことを特徴とするセパレータの製造方法。
  2. 電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在され、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部を有するセパレータの製造方法であって、
    金属板表面に、バインダである電子線硬化性のエポキシ系モノマーもしくは電子線硬化性のエポキシ系オリゴマーと導電性フィラーとを含む混合層を形成する混合層形成工程と、
    スタンパによって前記混合層に前記流路を設けた成型層を形成する成型工程と、
    前記成型層1kgあたりの吸収線量が10kGy以上200kGy以下となるように電子線を照射することにより硬化して樹脂層を形成する成型層硬化工程とを含むことを特徴とするセパレータの製造方法。
  3. 前記混合層形成工程は、前記金属板表面に導電性スラリーを塗布し、塗布された前記導電性スラリーに含まれる溶媒を除去して前記混合層を形成することを特徴とする請求項2記載のセパレータの製造方法。
  4. 前記導電性スラリーは、前記バインダである電子線硬化性のエポキシ系モノマーもしくは電子線硬化性のエポキシ系オリゴマーと、金属化合物または炭素系材料からなる前記導電性フィラーと、溶媒とを混合して得られることを特徴とする請求項3記載のセパレータの製造方法。
  5. 前記混合層形成工程は、前記導電性スラリーを、ディッピング法、ドクターブレード法またはカーテンコート法によって塗布することを特徴とする請求項3または4記載のセパレータの製造方法。
  6. 前記混合層形成工程は、塗布された前記導電性スラリーに温風を吹き付けて乾燥させることで前記溶媒を除去することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載のセパレータの製造方法。
  7. 前記混合層形成工程は、前記金属板表面に導電性グリーンシートを積層して前記混合層を形成することを特徴とする請求項2記載のセパレータの製造方法。
  8. 前記導電性グリーンシートは、前電子線硬化性のエポキシ系モノマーもしくは電子線硬化性のエポキシ系オリゴマーからなる前記バインダと、金属化合物または炭素系材料からなる前記導電性フィラーとを含むことを特徴とする請求項7記載のセパレータの製造方法。
  9. 前記混合層形成工程は、押し出し成型により、前記金属板表面に前記導電性グリーンシートを直接積層することを特徴とする請求項7または8記載のセパレータの製造方法。
  10. 前記混合層形成工程は、予め押し出し成型により前記導電性グリーンシートを作製し、作製された前記導電性グリーンシートを前記金属板表面に積層することを特徴とする請求項7または8記載のセパレータの製造方法。
  11. 前記混合層形成工程より前に、前記金属板表面に、前記混合層との密着性を増加させるための処理を行う基板処理工程を含むことを特徴とする請求項2〜10のいずれか1つに記載のセパレータの製造方法。
  12. 前記基板処理工程では、トリアジンチオールまたはポリアニリンを前記金属板表面に拡散させることを特徴とする請求項11記載のセパレータの製造方法。
  13. 電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在され、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部を有するセパレータの製造方法であって、
    平板状の金属板表面の全体に、導電性を有するゴムまたは合成樹脂からなる被覆層を形成する被覆層形成工程と、
    前記被覆層表面に、バインダである電子線硬化性のエポキシ系モノマーもしくは電子線硬化性のエポキシ系オリゴマーと導電性フィラーとを含む混合層を形成する混合層形成工程と、
    スタンパによって前記混合層に前記流路を設けた成型層を形成する成型工程と、
    前記成型層1kgあたりの吸収線量が10kGy以上200kGy以下となるように電子線を照射し、前記成型層を電子線照射により硬化して樹脂層を形成する成型層硬化工程とを含むことを特徴とするセパレータの製造方法。
  14. 前記樹脂層表面に、前記樹脂層の導電性より高い導電性を有する高導電層を形成する高導電層形成工程を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載のセパレータの製造方法。
  15. 前記高導電層形成工程では、少なくとも前記樹脂層が前記電解質組立体と接触する領域に前記高導電層を形成することを特徴とする請求項14記載のセパレータの製造方法。
  16. セパレータは、外周部に設けられ、燃料ガスおよび酸化剤ガスの漏出を防ぐシール部を有し、
    前記シール部に相当する領域には、プレス加工によって、前記電解質組立体から露出した前記電解質層に平行に延びるシール突部であって、その頂部がばね力によって前記電解質層に圧接されるように構成されたシール突部を形成することを特徴とする請求項2〜15のいずれか1つに記載のセパレータの製造方法。
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