JP2005251676A - セパレータの製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 生産性を向上し、高い歩留まりを実現するセパレータの製造方法を提供する。
【解決手段】 基板処理工程において、金属薄板に被覆層を形成し、インク調製工程において、ビヒクルおよび導電性フィラーなどを含む導電性インクを調製する。樹脂層印刷工程では、導電性インクを、ステンシル印刷、スクリーン印刷または凹版印刷などの印刷方式で印刷し、流路が設けられた印刷インク層を形成する。樹脂層硬化工程で、熱硬化処理、光硬化処理などを施して印刷インク層を硬化して樹脂層を形成する。シール部形成工程では、プレス加工によりシール部を形成する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、スタック型の固体高分子型燃料電池に備えられるセパレータの製造方法に関する。
従来から、限りあるエネルギ資源の有効利用や、地球温暖化防止のための省エネルギの必要性は広く認識されている。今日では、火力発電によって、熱エネルギを電力エネルギに変換する形でエネルギ需要が賄われている。
しかしながら、火力発電に必要な石炭および石油は埋蔵量が有限な資源であり、これらに代わる新たなエネルギ資源が必要となっている。そこで注目されているのが水素を燃料にして化学発電する燃料電池である。
燃料電池は、2つの電極と電極間に挟まれた電解質とを有している。陰極では、供給された水素がイオン化して水素イオンとなり電解質中を陽極に向かって移動する。陽極では、供給された酸素と電解質中を移動してきた水素イオンとが反応して水を発生する。水素がイオン化したときに発生した電子が、陰極から配線を通って陽極へと移動することで電流が流れ、電気が発生する。
燃料電池は、主に電解質の違いから4種類に分類される。イオン導電性セラミックスを電解質に用いた固体電解質型燃料電池(SOFC)、水素イオン導電性高分子膜を電解質に用いた固体高分子型燃料電池(PEFC)、高濃度リン酸を電解質に用いたリン酸型燃料電池(PAFC)、アルカリ金属炭酸塩を電解質に用いた熔融炭酸型燃料電池(MCFC)の4種類である。この中でも特に作動温度が80℃と低い固体高分子型燃料電池(PEFC)の開発が進んでいる。
固体高分子型燃料電池の構造は、表面に触媒電極を設けた電解質層と、電解質層を両側から挟み、水素および酸素を供給するための溝を設けたセパレータと、電極発生した電気を回収する集電板などを含んで構成される。電解質層と同じく、セパレータについても改良が重ねられている。
セパレータの要求特性としては、導電性が高く、かつ燃料ガスおよび酸化剤ガスに対して気密性が高く、さらに水素および酸素を酸化還元する際の反応に対して高い耐食性を持つ必要がある。
これらの要求を満たすために以下のようなセパレータ材料が使用されている。
最もよく使用されているものとして緻密性カーボンがある。緻密性カーボンは導電性、耐食性に優れ、機械的強度も高い。また加工性がよく軽量である。しかし、振動や衝撃に弱く、切削加工が必要なため、加工費が高くなる。また気体の不浸透化処理を施す必要がある。
また、合成樹脂も使用され、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が使用される。合成樹脂は、低コストであることが主な特徴であるが、寸法安定性が悪く、導電性にも劣る。
導電性、加工性、密閉性などの観点から、金属が使用されることが多くなっている。金属としては、主にチタン、ステンレスが使用される。しかし、金属は腐食し易く、電解質膜に金属イオンが取り込まれてイオン導電性が低下してしまうため、セパレータ表面に金めっきを施す必要がある。
また、ゴムも使用され、エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどが使用される。ゴムは、ガス透過性が低く、シール性が高い。
特許文献1には、固体高分子電解質型燃料電池が開示されている。この固体高分子電解質型燃料電池では、セパレータとしてステンレス鋼、チタン合金など大気によって容易に不動態膜が形成される金属薄板を用いており、プレス加工によって所定の形状に加工している。
また、特許文献2には、燃料電池用セパレータが開示されている。この燃料電池用セパレータは、金属基板の少なくとも片面に、樹脂と導電性充填剤を混合した体積抵抗率が1.0Ω・cm以下の第1の樹脂層と、体積抵抗率が第1の樹脂層よりも小さい第2の樹脂層とを設け、集電性能と成型性、強度および耐食性を向上している。
このように、特許文献2記載の燃料電池用セパレータにおいても、特許文献1記載の固体高分子電解質型燃料電池のセパレータと同様に、プレス加工によって、ガス流路を形成している。
また、プレス加工以外では、特許文献3記載の固体高分子型燃料電池のセパレータが、導電基材に導電性材料を印刷することによってガス流路を形成している。具体的には、導電基材としては、炭素粉末および熱硬化性樹脂を主成分とする板状成形体が用いられ、導電性材料としては、炭素粉末を主成分として含むカーボンペーストが用いられる。
特開平8−180883号公報 特開2003−297383号公報 特開2001−767748号公報
今後のセパレータには、薄型軽量化が要求され、その実現のために金属基板の薄型軽量化、ガス流路の微細化が必要となるが、特許文献1および特許文献2記載のセパレータのようにプレス加工によってガス流路を形成しようとすると、反りおよび歪みが大きく寸法精度が悪くなる。この寸法精度の悪化により歩留まりが低下する。
特許文献3記載のセパレータは、カーボンペーストを印刷することによりガス流路の微細化には対応可能となっているが、基材が熱硬化性樹脂であるため、基材自体の寸法安定性が悪いという問題が残る。
さらに、特許文献1〜3記載のセパレータを含む従来のセパレータは、流体漏れを防ぐために、電解質層との間にガスケットを備える必要がある。
本発明の目的は、生産性を向上し、高い歩留まりを実現するセパレータの製造方法を提供することである。
本発明は、電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在され、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部と、外周部に設けられ、燃料ガスおよび酸化剤ガスの漏出を防ぐシール部とを有するセパレータの製造方法であって、
被覆層で被覆された平板状の金属板表面のうち分離部に相当する領域には、導電性インクを印刷することによって、流路が設けられた樹脂層を形成し、被覆層で被覆された平板状の金属板表面のうちシール部に相当する領域には、プレス加工によって、電解質組立体の触媒電極形成面に平行に延びるシール突部であって、その頂部がばね力によって電解質組立体に圧接されるように構成されたシール突部を形成することを特徴とするセパレータの製造方法である。
また本発明は、電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在され、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部と、外周部に設けられ、燃料ガスおよび酸化剤ガスの漏出を防ぐシール部とを有するセパレータの製造方法であって、
平板状の金属板表面の全体に被覆層を形成する基板処理工程と、
導電性インクを印刷することによって、分離部に相当する領域の被覆層に、流路が設けられた印刷インク層を形成する樹脂層印刷工程と、
印刷インク層を硬化して樹脂層を形成する樹脂層硬化工程と、
プレス加工によって、シール部に相当する領域に、電解質組立体の触媒電極形成面に平行に延びるシール突部であって、その頂部がばね力によって電解質組立体に圧接されるように構成されたシール突部を形成するシール部形成工程とを含むことを特徴とするセパレータの製造方法である。
また本発明は、前記基板処理工程では、接着層を介して被覆層を金属板表面上に形成することを特徴とする。
また本発明は、前記接着層は、トリアジンチオールまたはポリアニリンを金属板表面に拡散させることで形成することを特徴とする。
また本発明は、被覆層は、導電性を有するゴムまたは合成樹脂からなり、
導電性インクは、ゴムまたは合成樹脂を形成するための硬化性モノマーまたは硬化性オリゴマーからなるビヒクルと、
金属化合物または炭素系材料からなる導電性フィラーとを含むことを特徴とする。
また本発明は、樹脂層印刷工程では、ステンシル印刷、スクリーン印刷または凹版印刷のいずれかの印刷方式で印刷することを特徴とする。
また本発明は、樹脂層硬化工程では、加熱による熱硬化処理、光照射による光硬化処理または熱硬化処理と光硬化処理との組み合わせのいずれかを行うことを特徴とする。
また本発明は、樹脂層表面に、樹脂層の導電性より高い導電性を有する高導電層を形成する高導電層形成工程を有することを特徴とする。
また本発明は、高導電層形成工程では、少なくとも樹脂層が電解質組立体と接触する領域に高導電層を形成することを特徴とする。
また本発明は、高導電層形成工程は、樹脂層印刷工程と樹脂層硬化工程との間で行い、カーボン粒子の分散液を、吹きつけることでカーボンによる薄膜を形成することを特徴とする。
本発明によれば、電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在されるセパレータの製造方法である。セパレータは、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部と、外周部に設けられ、燃料ガスおよび酸化剤ガスの漏出を防ぐシール部とを備えている。
導電性インクを印刷することによって、被覆層で被覆された平板状の金属板表面のうち分離部に相当する領域に、流路が設けられた樹脂層を形成する。また、プレス加工によって、被覆層で被覆された平板状の金属板表面のうちシール部に相当する領域に、電解質組立体の触媒電極形成面に平行に延びるシール突部であって、その頂部がばね力によって電解質組立体に圧接されるように構成されたシール突部を形成する。
さらに詳しくは、まず、基板処理工程で、平板状の金属板表面の全体に被覆層を形成する。樹脂層印刷工程で、導電性インクを印刷することによって、分離部に相当する領域の被覆層に、流路が設けられた印刷インク層を形成し、樹脂層硬化工程で、印刷インク層を硬化して樹脂層を形成する。印刷方式としては、ステンシル印刷、スクリーン印刷または凹版印刷のいずれかを用いる。また、シール部形成工程で、プレス加工によって、シール部に相当する領域に、シール突部を形成する。
以上のように、被覆層によって金属板の表面を被覆することで、水素ガスおよび酸素ガスならびに冷却水による腐食などの表面変化を防止することができる。
流路が設けられた樹脂層を印刷によって形成することで、従来のプレス加工に比べ、寸法精度が高く、反りおよび歪みも生じない。したがって、セパレータの生産性を向上し、高い歩留まりを実現することができる。さらに、形成する流路パターンの設計自由度が大きく向上する。たとえばプレス加工の場合、パターンが表裏一体で形成されるとともに直線形状パターンが多くなるためパターン設計が制限されてしまうが、印刷によればセパレータのそれぞれの面に全く異なるパターンを形成することが可能であり、曲線形状および孔形状のパターン形成も可能となる。また、シール部は、プレス加工によって形成され、簡単な加工で高いシール性を実現することができる。
また本発明によれば、基板処理工程では、接着層を介して被覆層を金属板表面上に形成する。より詳細には、金属板表面に対してトリアジンチオール類に代表される導電性カップリング剤によるコーティング、ポリアニリン類に代表される導電性ポリマーによるドーピング処理されたコーティングを行うことにより、金属表面に接着層となる拡散層を形成する。金属表面に拡散したトリアジンチオール類、ポリアニリン類は、導電性を示すので、樹脂層との導電性を確保し、発生した直流電力を直流電流として取り出すことができる。
また本発明によれば、導電性を有するゴムまたは合成樹脂によって金属板の表面を被覆することで、表面変化を防止するとともに金属板と樹脂層との導電性を確保することができる。また樹脂層は、ゴムまたは合成樹脂を形成するための硬化性モノマーまたは硬化性オリゴマーからなるビヒクルと、金属化合物または炭素系材料からなる導電性フィラーとを含む導電性インクを用いて印刷することで実現できる。
また本発明によれば、樹脂層硬化工程では、加熱による熱硬化処理、光照射による光硬化処理または熱硬化処理と光硬化処理との組み合わせのいずれかを行う。熱硬化処理、光硬化処理または熱硬化処理と光硬化処理との組み合わせのいずれかを行うことで、樹脂層として形成するゴムまたは合成樹脂に適した硬化処理を行うことができる。
また本発明によれば、高導電層形成工程で、樹脂層表面に、樹脂層の導電性より高い導電性を有する高導電層を形成する。この高導電層は、少なくとも樹脂層が電解質組立体と接触する領域に形成する。
樹脂層の表面に高導電層を形成することで、触媒電極との接触抵抗を低下させて電力回収率を向上させることができる。
また本発明によれば、高導電層形成工程は、樹脂層印刷工程と樹脂層硬化工程との間で行い、カーボン粒子の分散液を、吹きつけることでカーボンによる薄膜を形成する。これにより非常に簡単な工程で高導電層を形成することができる。
図1は、固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、略称PEFC)100を展開した状態で模式的に示した斜視図である。PEFC100は、セパレータ1、燃料電池セル2、集電板3、絶縁シート4、エンドフランジ5、電極配線12を有する。PEFC100は、高電圧、高出力を得るために、複数の燃料電池セル2を直列に接続した、いわゆるスタック状態で構成される。このスタック状態を構成するためには、燃料電池セル2間にセパレータを配置し、各燃料電池セル2に対して水素および酸素の供給と、発生した電気の回収とを行う。したがって、図1に示すように、燃料電池セル2とセパレータ1とが交互に配置する。この配置の最外層にはセパレータ1が配置され、セパレータ1のさらに外側には集電板3が設けられる。集電板3は、各セパレータ1で回収された電気を集めて取り出すために設けられ、電極配線12が接続されている。絶縁シート4は、集電板3とエンドフランジ5との間に設けられ、集電板3からエンドフランジ5に電流が漏れるのを防止している。エンドフランジ5は、複数の燃料電池セル2をスタック状態に保持するためのケースである。
エンドフランジ5には、水素ガス供給口6、冷却水供給口7、酸素ガス供給口8、水素ガス排出口9、冷却水排出口10および酸素ガス排出口11が形成されている。各供給口から供給されたガスおよび水の流体は、燃料電池セル2の積層方向に貫通する各往路を通り最外層のセパレータ1で折り返し、各復路を通って各排出口から排出される。
往路および復路は、各セパレータ1で分岐しており、往路を流れる各流体は、セパレータ1によって形成された、燃料電池セル2の面方向に平行な流路を通って復路に流れ込む。水素ガスおよび酸素ガスは、燃料電池セル2で消費されるので、未反応ガスが復路を通って排出されることとなる。排出された未反応ガスは回収され、再度供給口から供給される。酸素ガス流路付近には酸素と水素との反応によって水が生成するので、排出された酸素ガスは水を含んでいる。排出された酸素ガスを再度供給するには水を除去する必要がある。
燃料ガスである水素ガスおよび酸化剤ガスである酸素ガスは、それぞれ水素および酸素のみからなるガスである必要はなく、水素、酸素以外にも、接触する流路を劣化、変性させないガスであれば含んでいてもよい。たとえば、酸素ガスとして窒素を含む空気を用いてもよい。また、水素源としては水素ガスに限らずメタンガス、エチレンガス、天然ガスなどでもよく、エタノールなどでもよい。
図2は、セパレータ1を含む単位電池101の水平断面図である。単位電池101とは、1つの燃料電池セル2と、この両側に配置された2つのセパレータ1とからなり、水素および酸素を供給することで電力を発生させることができる最小の構成である。
電解質組立体である燃料電池セル2は、電解質媒体である高分子膜20と、高分子膜20の厚み方向表面に形成した触媒電極21とからなり、MEA(Membrane Electrode
Assembly)とも呼ばれる。
高分子膜20は、水素イオン(プロトン)を透過するプロトン導電性電解質膜であり、パーフルオロスルホン酸樹脂膜(たとえば、デュポン社製、商品名ナフィオン)がよく用いられる。
触媒電極21は、高分子膜20の厚み方向表面に、プラチナ、ルテニウムなどの触媒金属を含むカーボン層として積層される。触媒電極21に水素ガス、酸素ガスが供給されると、触媒電極21と高分子膜20との界面で電気化学反応が生じて直流電力が発生する。
高分子膜20は、厚みが約0.1mmであり、触媒電極21は含有する触媒金属などによっても変わるが、数μmの厚みで形成される。
セパレータ1は、水素ガスおよび酸素ガスの流路を分離する分離部13と、外周部に設けられ、水素ガスおよび酸素ガスの漏出を防ぐシール部14とを有している。本実施形態では、触媒電極21は、高分子膜20の全面に形成されているのではなく、外周の幅1〜20mm、望ましくは5〜10mmにわたって高分子膜20が表面に露出している。セパレータ1の分離部13は、触媒電極21が形成されている領域に対向する領域に形成され、シール部は、高分子膜20が露出している領域に対向する領域に形成される。
分離部13には、触媒電極21の形成面に平行で、互いに平行な複数の流路溝が厚み方向両面に形成されている。この流路溝は、ガスの流れ方向に垂直な断面が凹形状となっている。所定の間隔で設けられた分離ブロック15と触媒電極21とで囲まれた空間が水素ガス流路16および酸素ガス流路17となる。分離ブロック15は、水素ガスと酸素ガスが混合しないように水素ガス流路16と酸素ガス流路17とを隔てるとともに、触媒電極21に接触し、高分子膜20と触媒電極21との界面で発生した直流電力は、直流電流として取り出される。取り出された直流電流は、他の分離ブロック15などを通って集電板3に収集される。
互いに隣接する流路溝は、開放面が同じ向きとなるように形成されており、これに応じて、一方の面には水素ガス流路16を設定し、他方の面には酸素ガス流路17を設定する。すなわち、同一の触媒電極21には同一のガスが接触するようにガス流路を設定する。さらに、1つの単位電池101を構成する2つのセパレータ1は、図2に示すように、流路溝の開放部が、燃料電池セル2を挟んで対向するように配置される。すなわち、2つのセパレータ1は、燃料電池セル2の中心を対称面として面対称の関係となるように配置される。ただし、ガス流路の設定は、面対称の関係ではなく、燃料電池セル2を挟んで対向する流路溝が、異なるガスのガス流路を形成するように設定する。たとえば、図2に示すように、燃料電池セル2を挟んで対向するガス流路は、一方が水素ガス流路16であり、もう一方が酸素ガス流路17である。
以上のようにセパレータ1を配置し、ガス流路を設定することで、電力を発生させることができる。
なお、流路溝と触媒電極21とによって形成された流路には、水素ガスおよび酸素ガスに限らず、冷却水を流してもよい。冷却水を流す場合は、燃料電池セル2を挟んで対向する流路溝のいずれにも流すことが好ましい。
セパレータ1の芯材として、平板状の金属薄板を用いる。たとえば、鉄、アルミニウム、チタンなどの金属薄板、特にステンレス(たとえばSUS304など)鋼板、SPCC(一般用冷間圧延鋼板)、耐食性鋼板が好ましい。ステンレス鋼板については、表面処理されたものを使用することができる。たとえば、表面を酸洗処理、電解エッチング処理したもの、導電性介在物を含むもの、BA皮膜を形成したもの、イオンプレーティング加工により導電性化合物をコーティングしたものなどが使用できる。
シール部14には、触媒電極21の形成面に平行に延びるシール突部が形成される。このシール突部は、ガスの流れ方向に垂直な断面が逆U字形状または逆V字形状となっている。セパレータ1の芯材を金属薄板とすることで、シール突部の頂部18は、ばね力によって、露出した高分子膜20に圧接される。この圧接位置でシールされ、水素ガスおよび酸素ガスの漏出を防ぐことができる。また、シール突部を逆U字形状または逆V字形状とすることで、頂部18の膜接触面積を小さくし、Oリングと同様の高圧シールを実現している。
図3は、セパレータ1の分離部13の要部拡大図である。芯材である金属薄板30の両面に被覆層31を形成し、さらに被覆層31上に樹脂層32を形成し、分離部13の樹脂層32には互いに平行な溝が設けられている。樹脂層32の溝が、水素ガス流路16および酸素ガス流路17となる。分離部13において、被覆層31によって金属薄板30の表面を被覆することで、水素ガスおよび酸素ガスならびに冷却水による腐食などの表面変化を防止することができる。被覆層31および樹脂層32には、ゴム(エラストマーを含む)および合成樹脂を用いることができる。
分離部13では、樹脂層32が触媒電極21に接触して、高分子膜20と触媒電極21との界面で発生した直流電力を直流電流として取り出し、被覆層31および金属薄板30を通って集電板に収集される。
被覆層31は、導電性を有することが必要であるので、ゴムとしては、たとえば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴムおよびエチレン−プロピレンゴムなどの汎用ゴム、耐ガス透過性および耐熱性を有するエピクロロヒドリンゴムなどの特殊ゴムに導電性フィラーを添加して導電性を付与したものを使用することができる。特に、耐熱性、耐酸性に優れたアリル系付加重合型ポリイソブチレンにカーボンフィラーを添加したものが好ましい。
また、合成樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、含フッ素樹脂などに導電性フィラーを添加して導電性を付与したものを使用することができる。特には、耐腐食性に優れた含フッ素樹脂が好ましく、たとえば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、EPE(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、ECTFE(クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVF(ポリビニルフルオライド)、THV(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体)、VDF−HFP(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、TFE−P(フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体)などにカーボンフィラーを添加したものが好ましい。
本発明では、従来のプレス加工ではなく、印刷によって流路溝が設けられた樹脂層32を形成する。樹脂層32は、被覆層31と同様のゴムまたは合成樹脂を用いることができ、特にゴムとしては、ポリイソブチレンなどが好ましく、合成樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが好ましい。また、樹脂層32は、導電性を有することが必要であるとともに、印刷によって形成可能である必要がある。詳細については後述するが、硬化性モノマーまたは硬化性オリゴマーからなるビヒクルと、金属化合物または炭素系材料からなる導電性フィラーとを含む導電性インクを調製し、所定の印刷方式で被覆層31上にパターン印刷を行い、樹脂層32を形成する。
図4は、セパレータ1のシール部14の要部拡大図である。シール部14では、被覆層31が高分子膜20に接触してシールしている。シール部14は、プレス加工によって形成される。
シール突部の頂部18を、ばね力によって高分子膜20に圧接するには、高分子膜20と接触しない状態、すなわちPEFC1を組み立てる前の状態のセパレータ1において、シール突部の頂部18の位置が、PEFC1が組み立てられ、高分子膜20と接触する位置よりさらに高分子膜20側となるように予めシール部14を形成する。具体的には、図5(a)に示すように、PEFC1が組み立てられた状態では、シール突部の頂部18の位置は、触媒電極21との仮想接触面Aを基準とすると、触媒電極21との接触面と頂部18との距離が触媒電極21の厚みt1となるような位置になる。したがって、PEFC1が組み立てられる以前の状態では、図5(b)に示すように、シール突部の頂部18の位置は、触媒電極21との接触面との距離がt1より大きなt2となるように形成すればよい。分離部13とシール突部との接続部分がばねとして働くので、組み立て時に頂部18が高分子膜に圧接する際の圧力は、このばね力と接触面積によって決まる。ばね力は、フックの法則に従い、ばね定数(弾性定数)に変位量を掛けたものとなる。セパレータ1においては、ばね定数は、セパレータ1の材質およびシール部14の形状とで決まる。変位量は、Δt=t2−t1である。したがって、材質と形状とを予め決定し、ばね定数を決定した状態で、加工時にt2を変えることで、シール圧力を容易に調整することができる。最適なシール圧力を実現するために、材質および形状を変更してもよいことは言うまでもない。
前述のように、燃料電池セル2を挟む2つのセパレータ1は、面対称の関係となるように配置されるので、シール突部の頂部18による圧接位置も、燃料電池セル2の中心を対称面として面対称の関係となる。頂部18の圧接位置が対向する位置となることで、シール性が向上する。
金属薄板30が高分子膜20に直接に接触させると、シール突部の頂部18が変形しているような場合に、変形部分と高分子膜20表面との間に微小な隙間が生じ、この隙間から流体が漏出するおそれがある。シール部14において、弾性体である被覆層31で被覆すると、ばね力によって頂部18が圧接されることにより接触部分が変形し、高分子膜20表面との間に隙間が生じないのでシール性が向上する。
図6は、本発明の実施の一形態であるセパレータの製造方法を示す製造工程図である。
本製造工程は、基板処理工程、インク調製工程、樹脂層印刷工程、樹脂層硬化工程およびシール部形成工程を含む。
印刷によって、図2に示したような分離ブロック形状を実現するためには、印刷されたインク厚みがおよそ300μm〜700μmとなるような厚膜印刷を行う必要がある。また、樹脂層32が導電性を有するために導電性フィラーを多量に含む必要がある。
印刷作業性からすれば、インクの粘度は低いほうがよいが、上記のような必要性から、比較的高い粘度のインクを用いなければならない。したがって、要求される電気特性および構造特性を実現するためには、インク、印刷方式および硬化処理の組み合わせが重要となる。
ステップS1の基板処理工程では、基板としてステンレス鋼板などの金属薄板30を用いる場合に、被覆層31との導電性を確保するために、金属薄板30の表面をエッチングなどによって不動態膜を除去し、被覆層31を形成する。詳細には、所定の外形および厚み方向のガス経路を得るために、型抜き加工を行い、型抜き加工が施された金属薄板の表面に、予め導電性のカーボンフィラーなどを含有させた液状導電性ゴムをコーティングするか、グリーンシート状導電性ゴムを積層する。加熱による被覆層31の加硫処理は、基板処理工程で行ってもよいし、後述の樹脂層硬化工程で、樹脂層32の硬化と同時に行ってもよい。以下では金属薄板30に被覆層31が形成されたものを被覆基板と呼ぶことがある。
また、ステップS2のインク調製工程では、後工程の樹脂層印刷工程で用いる導電性インクを調製する。導電性インクは、少なくともビヒクル、導電性フィラーを含み、硬化を促進するための重合触媒および他の添加剤を含む。
ビヒクルとしては、樹脂層32が、上記に示したようなゴムまたは合成樹脂からなることから、これらを実現するための硬化性モノマーまたは硬化性オリゴマーを用いればよい。たとえば、アクリル系モノマーまたはオリゴマー、エポキシ系モノマーまたはオリゴマー、ポリイソブチレンオリゴマーなどを用いることができる。アクリル系モノマーまたはオリゴマーとしては、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートおよびイソボロニアルアクリレートなどが好ましい。
導電性フィラーとしては、金属化合物または炭素系材料を用いることができる。金属化合物としては、炭化ストロンチウム、窒化ストロンチウムおよび酸化セシウムなどが好ましい。炭素系材料としては、粉末状材料と、繊維状材料とがある。粉末状材料としては、人造黒鉛、天然黒鉛およびカーボンブラックなどが好ましく、繊維状材料としては、炭素繊維、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーなどが好ましい。
用いるビヒクルによって、後工程の樹脂層硬化工程において、熱硬化処理、光硬化処理およびその両方のいずれを行うかが決まり、重合触媒としても、熱重合触媒、光重合触媒およびその両方のいずれを用いるかが決まる。光硬化処理では、照射光として可視光領域〜近赤外光領域の波長を持つ光を用いることが好ましく、光重合触媒としては、ホウ素化合物と感光性色素との組み合わせ、アミノメタクリレートとカンファーキノンとの組み合わせが好ましい。
他の添加剤としては、粘度低下剤などを用いることができる。
ステップS3の樹脂層印刷工程では、インク調製工程で調製した導電性インクを、分離部13に相当する領域の被覆基板表面にパターン印刷することで、印刷インク層を形成する。印刷インク層は、樹脂層として硬化させる前の状態の層であり、流路溝が形成され、目的とする樹脂層32とほぼ同形状に形成される。
導電性インクは、導電性フィラーを多量に含むため高粘度となり、流路溝を形成するための高稠度性を有することから印刷方式としては、シリコーンゴムに凹所を形成した凹版を用いる凹版印刷、金属板に印刷パターン孔を形成したステンシル版を用いるステンシル印刷、レジストパターンにより紗布に印刷パターン孔を形成したスクリーンを用いるスクリーン印刷が適している。
一般的にインク粘度が高くなるほどステンシル印刷が適しており、インク粘度が低くなるほどスクリーン印刷が適している。凹版印刷はその中間粘度での使用に適している。流路溝のピッチなど平面的な微細パターンへの適性としては、スクリーン印刷およびステンシル印刷が適している。パターン断面形状については、変形量などから凹版印刷が最も適している。
樹脂層印刷工程では、導電性、流路ピッチなどセパレータに要求される特性に応じて導電性インクに適した印刷方式を選択すればよい。
ステップS4の樹脂層硬化工程では、用いた導電性インクのビヒクルに応じて、熱硬化処理、光硬化処理およびその両方のいずれかを選択して行う。樹脂層32をゴム層とする場合、ビヒクルには、たとえばポリイソブチレンオリゴマーを用い、加熱によって硬化させる。樹脂層32を合成樹脂層とする場合、ビヒクルには、たとえばエポキシアクリレートを用い、光照射および加熱によって硬化させる。
熱硬化処理の場合、印刷インク層の厚みが厚くとも十分に内部まで硬化させることができるが、硬化するまでに長時間を要する。光硬化処理の場合、硬化に必要な時間は短時間であるが、照射した光が印刷インク層内の到達深度までしか硬化しないので、全体を硬化することは困難である。光硬化と熱硬化を行う場合、予め光照射によって、印刷インク層の表層を硬化させ、加熱によって層全体を硬化させる。
光硬化では、照射光として紫外線を使用すると、波長が短いために硬化させるためのエネルギーは大きいが、到達深度が浅く、本発明のような厚膜の硬化には適さない。したがって、可視光から近赤外光程度の波長を有する光を照射するのが好ましい。また、光源となるランプからは光のみならず熱も放出されるので、ランプからの熱によって硬化を促進させてもよい。さらに、印刷時または印刷前に予め金属薄板に予熱処理を施すことで、印刷時のインク付着性もよく硬化も促進される。
熱硬化では、加熱炉による加熱、電磁波照射による電磁波加熱が好ましい。
基板処理工程、樹脂層印刷工程および樹脂層硬化工程では、金属薄板はロール状で供給してもよいし、予めセパレータの外寸大に切断されたピース状で供給してもよい。
ステップS5のシール部形成工程では、プレス加工によって、被覆基板のシール部14に相当する領域にシール突部を形成する。図5に示したように、PEFC組み立て時にばね力によってシール突部が高分子膜20に圧接するようにシール突部の形状を決定し、プレス加工によって決定した形状のシール突部を形成する。被覆基板がロール状で供給される場合は、シール部形成工程において、1回のプレスでシール突部を形成するとともに、セパレータの外寸大に打ち抜いてセパレータ1を得る。また、シール突部の形成と、外寸打ち抜きとを連続する2回のプレスで行ってもよい。
以上のようにして得られたセパレータ1は、組立工程において、燃料電池セル2と交互に積層され、さらに集電板3、絶縁シート4、エンドフランジ5および電極配線12を加えて、図1に示したような構成のPEFC100として組み立てられる。
以上のように、流路溝が設けられた樹脂層32を印刷によって形成することで、従来のプレス加工に比べ、寸法精度が高く、反りおよび歪みも生じない。したがって、セパレータの生産性を向上し、高い歩留まりを実現することができる。
さらに、金属薄板30と被覆層31との密着性が十分に得られない場合は、セパレータ1は、金属薄板と被覆層との間に接着層を設けてもよい。
図7は、接着層33を設けたときの分離部13の要部拡大図であり、図8は、接着層33を設けたときのシール部14の要部拡大図である。接着層33を介して金属薄板30と被覆層31とが接着される。金属薄板30表面に対してトリアジンチオール類に代表される導電性カップリング剤によるコーティング、ポリアニリン類に代表される導電性ポリマーによるドーピング処理されたコーティングを行うことにより、金属表面に接着層33となる拡散層が形成される。金属表面に拡散したトリアジンチオール類、ポリアニリン類は、導電性を示すので、樹脂層32との導電性を確保し、発生した直流電力を直流電流として取り出すことができる。なお、製造工程においては、ステップS1の基板処理工程で、被覆層31を形成する前、金属薄板30の表面をエッチングなどによって不動態膜を除去した直後に接着層33の形成を行う。
さらに、セパレータ1は、樹脂層の表面に高導電層を設けた構成としてもよい。
図9は、高導電層34を設けたときの分離部13の要部拡大図である。樹脂層32表面の触媒電極21と接触する領域にのみ高導電層32を形成する。
樹脂層32と触媒電極21との接触抵抗が高く電力の回収率が十分に得られないような場合、樹脂層32の表面に高導電層34を形成することで、触媒電極21との接触抵抗を低下させて回収率を向上させることができる。高導電層34には、バインダ樹脂と炭素との混合物(以下では「カーボン・樹脂コンパウンド」と呼ぶ。)を使用するのが好ましい。高導電層34は、炭素によって高導電性を実現し、バインダ樹脂によってガス透過性を低減させている。カーボン・樹脂コンパウンドの炭素含有量が増加するほど高導電層34の電気抵抗は低くなるが、バインダ樹脂の含有量が減少するので、ガスの透過性が高くなってしまう。電気抵抗とガス透過性のバランスからカーボン樹脂コンパウンドの樹脂含有率は、20〜30%の範囲が好ましい。含有する炭素としては、人造黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレンなどを使用し、特に人造黒鉛を使用することが好ましい。バインダ樹脂としては、ポリイソブチレンゴムなどを使用することが好ましい。
また、高導電層34は、樹脂層32表面の触媒電極21と接触する領域にのみ混合物を塗布すればよい。高導電層34による接触抵抗の低下は、樹脂層32と触媒電極21との接触領域にのみ高導電層34を形成すれば十分な効果が得られる。したがって、高導電層34の形成領域を減少させ、少量のカーボン・樹脂コンパウンドで効果的に接触抵抗を低下させることができる。
製造工程においては、樹脂層印刷工程後または樹脂層硬化工程後に、高導電層形成工程を行う。高導電層形成工程では、樹脂層の表面に、カーボン・樹脂コンパウンドを所定の厚みで塗布する。樹脂層印刷工程後に行う場合は、樹脂層硬化工程の熱硬化処理によって、樹脂層とともに高導電層を硬化させる。樹脂層に対して光硬化処理を行う場合は、カーボン・樹脂コンパウンドを硬化前に塗布してしまうと樹脂層を硬化させることができなくなるため、光硬化処理を行った後、加熱によって高導電層を硬化させる。
また、高導電層34としては、薄膜層であっても十分に効果が得られることから、樹脂層印刷工程後の印刷インク層がウェット状態のときに、カーボン粒子のアルコール分散液をスプレーによって数μmの厚みとなるように吹きつけ、その後、乾燥固化させることで簡単な工程で形成することもできる。
以上のように、セパレータ1では、被覆層31によって金属薄板30の表面を被覆することで、水素ガスおよび酸素ガスならびに冷却水による腐食などの表面変化を防止することができる。分離部13にガス流路を設けるための樹脂層32は、導電性インクを所定の印刷方式によって形成することで、従来のプレス加工に比べ、寸法精度が高く、反りおよび歪みも生じない。したがって、セパレータ1の生産性を向上し、高い歩留まりを実現することができる。さらに、形成する流路パターンの設計自由度が大きく向上する。たとえばプレス加工の場合、パターンが表裏一体で形成されるとともに直線形状のパターンが多くなるためパターン設計が制限されてしまうが、印刷によればセパレータ1のそれぞれの面に全く異なるパターンを形成することが可能であり、曲線形状および孔形状のパターン形成も可能となる。また、シール部14は、プレス加工によって形成され、簡単な加工で高いシール性を実現することができる。
さらに、分離部13に高導電層34を設けることで、触媒電極21とセパレータ1との接触抵抗を大幅に低下させることができるので、電力の回収率をさらに向上することができる。
図10は、他のセパレータ1を含む単位電池101の水平断面図である。図に示すように、単位電池101の一方のセパレータ1において、シール突部が、高分子膜20と面接触するように、シール突部の断面を台形形状としてもよい。また、図11に示すように、単位電池101の両方のセパレータ1において、シール突部が、高分子膜20と面接触するように、シール突部の断面を台形形状としてもよい。
なお、上記の説明では、セパレータ1の芯材として金属薄板を用いているが、高導電性炭素繊維強化樹脂(CFRP)など高導電性かつ高強度の樹脂を用いてもよい。
下記の実施例1〜3に示すように、樹脂層32を印刷によって形成する製造方法を用いてセパレータ1を作製した。
(実施例1)
実施例1では、樹脂層32をポリイソブチレンとし、ステンシル印刷を用いて形成した。
・インク組成
ビヒクル:ポリイソブチレンオリゴマー(鐘淵化学工業製、品名エピオン)
100重量部
導電性フィラー:球状黒鉛(日本黒鉛工業製)750重量部、導電性カーボンブラック(東海カーボン製、品名#5500)50重量部
重合触媒:有機ケイ素化合物ヒドロシリル化触媒 4重量部
・ステンシル版
版厚み:1mm
開口部幅:1mm
開口部ピッチ:2mm
・硬化方式
熱硬化:100℃、30分間または200℃、5〜7分間
(実施例2)
実施例2では、樹脂層32をエポキシ樹脂とし、スクリーン印刷を用いて形成した。
・インク組成
ビヒクル:エポキシアクリレート(昭和高分子製、品名リポキシSP1507)
100重量部
導電性フィラー:鱗状黒鉛(中越黒鉛工業所製、品名BFシリーズ)550重量部、導電性カーボンブラック(東海カーボン製、品名#5500)100重量部
重合触媒:色素・ボレート2分子型光重合開始剤 0.3重量部
・硬化方式
光硬化および熱硬化:メタルハライドランプ(三菱電機照明製、HQI−TS−250W/D)を光源とし、10cm離して3分間照射
・スクリーン
ステンレス紗を用い、クリーム半田印刷機で印刷
(実施例3)
実施例3では、樹脂層32をエポキシ樹脂とし、凹版印刷を用いて形成した。
・インク組成
ビヒクル:エポキシアクリレート(昭和高分子製、品名リポキシSP1507)
100重量部
導電性フィラー:鱗状黒鉛(中越黒鉛工業所製、品名BFシリーズ)550重量部、気相法炭素繊維(昭和電工製、品名VGCF)1重量部
重合触媒:色素・ボレート2分子型光重合開始剤 0.3重量部
・硬化方式
光硬化および熱硬化:メタルハライドランプ(三菱電機照明製、HQI−TS−250W/D)を光源とし、10cm離して分間照射した後、熱炉内で150℃、7分間加熱
・凹版(シリコーンゴム版)
版厚み:5mm
凹部幅:1mm
凹部ピッチ:2mm
凹部深さ:700μm
各実施例の機械特性および電気特性を表1に示す。
Figure 2005251676
なお、接触抵抗値は、樹脂層印刷工程後の印刷インク層がウェット状態のときに、導電性カーボンブラック(東海カーボン製、品名#5500)のエチルアルコール分散液をスプレーにより、乾燥膜厚が2〜3μmの厚みとなるように吹きつけ、その後硬化させることで高導電層を形成したものを用いて測定した。
(特性評価方法)
固有体積抵抗値:4探針法(JIS K7194)準拠
接触抵抗値 :電気抵抗計(オームメータ)
硬度 :微小硬度計による測定値を[ショアD]に換算
実施例1〜3によって製造したセパレータは、未硬化部もなく均質であり、樹脂層32の密着性も良好であった。また、表1に示すように、セパレータとして十分に機能する機械特性および電気特性が得られた。
固体高分子型燃料電池(PEFC)100を展開した状態で模式的に示した斜視図である。 セパレータ1を含む単位電池101の水平断面図である。 セパレータ1の分離部13の要部拡大図である。 セパレータ1のシール部14の要部拡大図である。 ばね力が発生するためのシール部14の形状を説明する図である。 本発明の実施の一形態であるセパレータの製造方法を示す製造工程図である。 接着層33を設けたときの分離部13の要部拡大図である。 接着層33を設けたときのシール部14の要部拡大図である。 高導電層34を設けたときの分離部13の要部拡大図である。 他のセパレータ1を含む単位電池101の水平断面図である。 他のセパレータ1を含む単位電池101の水平断面図である。
符号の説明
1 セパレータ
2 燃料電池セル
3 集電板
4 絶縁シート
5 エンドフランジ
6 水素ガス供給口
7 冷却水供給口
8 酸素ガス供給口
9 水素ガス排出口
10 冷却水排出口
11 酸素ガス排出口
12 電極配線
13 分離部
14 シール部
15 分離ブロック
16 水素ガス流路
17 酸素ガス流路
18 底部
20 高分子膜
21 触媒電極
30 金属薄板
31 被覆層
32 樹脂層
33 接着層
34 高導電層
100 固体高分子型燃料電池(PEFC)
101 単位電池

Claims (10)

  1. 電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在され、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部と、外周部に設けられ、燃料ガスおよび酸化剤ガスの漏出を防ぐシール部とを有するセパレータの製造方法であって、
    被覆層で被覆された平板状の金属板表面のうち分離部に相当する領域には、導電性インクを印刷することによって、流路が設けられた樹脂層を形成し、被覆層で被覆された平板状の金属板表面のうちシール部に相当する領域には、プレス加工によって、電解質組立体の触媒電極形成面に平行に延びるシール突部であって、その頂部がばね力によって電解質組立体に圧接されるように構成されたシール突部を形成することを特徴とするセパレータの製造方法。
  2. 電解質媒体を含有した電解質層の厚み方向表面に触媒電極を設けた複数の電解質組立体間に介在され、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流路を分離する分離部と、外周部に設けられ、燃料ガスおよび酸化剤ガスの漏出を防ぐシール部とを有するセパレータの製造方法であって、
    平板状の金属板表面の全体に被覆層を形成する基板処理工程と、
    導電性インクを印刷することによって、分離部に相当する領域の被覆層に、流路が設けられた印刷インク層を形成する樹脂層印刷工程と、
    印刷インク層を硬化して樹脂層を形成する樹脂層硬化工程と、
    プレス加工によって、シール部に相当する領域に、電解質組立体の触媒電極形成面に平行に延びるシール突部であって、その頂部がばね力によって電解質組立体に圧接されるように構成されたシール突部を形成するシール部形成工程とを含むことを特徴とするセパレータの製造方法。
  3. 前記基板処理工程では、接着層を介して被覆層を金属板表面上に形成することを特徴とする請求項2記載のセパレータの製造方法。
  4. 前記接着層は、トリアジンチオールまたはポリアニリンを金属板表面に拡散させることで形成することを特徴とする請求項3記載のセパレータの製造方法。
  5. 被覆層は、導電性を有するゴムまたは合成樹脂からなり、
    導電性インクは、ゴムまたは合成樹脂を形成するための硬化性モノマーまたは硬化性オリゴマーからなるビヒクルと、
    金属化合物または炭素系材料からなる導電性フィラーとを含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載のセパレータの製造方法。
  6. 樹脂層印刷工程では、ステンシル印刷、スクリーン印刷または凹版印刷のいずれかの印刷方式で印刷することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載のセパレータの製造方法。
  7. 樹脂層硬化工程では、加熱による熱硬化処理、光照射による光硬化処理または熱硬化処理と光硬化処理との組み合わせのいずれかを行うことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1つに記載のセパレータの製造方法。
  8. 樹脂層表面に、樹脂層の導電性より高い導電性を有する高導電層を形成する高導電層形成工程を有することを特徴とする請求項2〜7のいずれか1つに記載のセパレータの製造方法。
  9. 高導電層形成工程では、少なくとも樹脂層が電解質組立体と接触する領域に高導電層を形成することを特徴とする請求項8記載のセパレータの製造方法。
  10. 高導電層形成工程は、樹脂層印刷工程と樹脂層硬化工程との間で行い、カーボン粒子の分散液を、吹きつけることでカーボンによる薄膜を形成することを特徴とする請求項8または9記載のセパレータの製造方法。
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