JP5135073B2 - 有機薄膜トランジスタ - Google Patents

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Description

本発明は、有機薄膜トランジスタに関する。
有機薄膜トランジスタは、低温の成膜プロセスが採用できる、樹脂等のフレキシブル且つ軽量な基板上への成膜が容易である、安価な溶液塗布プロセスに適する等、従来の無機シリコン薄膜を基礎とする薄膜トランジスタに比べて数々の優れた特徴を有し、次世代のフレキシブルエレクトロニクスの核となる技術として盛んに研究開発が進められている。
図2は、有機薄膜トランジスタ(以下、単に「有機TFT」という場合がある)の代表的な構成であるトップコンタクト型有機TFTの概略断面図である。
トップコンタクト型有機TFT2は、基板10上にゲート電極20、絶縁体層30及び有機半導体層40をこの順に有し、有機半導体層40上にドレイン電極50及びソース電極60が所定の間隔(チャネル領域70)を空けてそれぞれ配されている。
有機TFT2のように、有機半導体層40を介してソース電極60及びドレイン電極50が基板10に対向している構成を、特にトップコンタクト型という。
トップコンタクト型有機TFT2では、有機半導体層40がチャネル領域70を形成しており、ゲート電極20に印加される電圧でソース電極60及びドレイン電極50に流れる電流を制御することができる。
トップコンタクト型有機TFT2は、ゲート電極20及び絶縁体層30を形成した基板10の上に、有機半導体層40を真空蒸着又はスピンコート・ディップコート・キャスティング等の溶液プロセスによって形成し、さらにソース電極60及びドレイン電極50を例えば蒸着マスクを用いた真空蒸着によって形成することにより製造することができる。
図3は、ボトムコンタクト型有機TFTの概略断面図である。
ボトムコンタクト型有機TFT3は、基板10上にゲート電極20及び絶縁体層30をこの順に有し、絶縁体層30上にドレイン電極50及びソース電極60が所定の間隔(チャネル領域70)を空けてそれぞれ配され、ドレイン電極50及びソース電極60を覆うようにしてさらに有機半導体層40が積層されている。
有機TFT3のように、ソース電極60及びドレイン電極50が基板上に形成され、ソース電極60及びドレイン電極50上に有機半導体層40がさらに積層している構成を、特にボトムコンタクト型という。
ボトムコンタクト型有機TFT3では、基板10上にゲート電極20、ソース電極60及びドレイン電極50が回路パターンを形成し、この回路パターン上に有機半導体層40が形成されている。
電極の形成には公知のフォトリソグラフィー法等を適用することができるため、高精細で大面積の回路パターンを容易に形成できる。従って、トップコンタクト型有機TFTと異なり、ボトムコンタクト型有機TFTは予め回路パターンが形成された基板上に有機半導体層を形成するので、電極形成に伴う物理的・化学的ストレスによって有機半導体層を構成する有機半導体材料を劣化させることがないという利点を有する。
上記のような利点を有するボトムコンタクト型有機TFTであるが、その特性は同じ有機半導体材料を用いて作製されたトップコンタクト型有機TFTに比べて著しく劣るという問題があった。これは、ボトムコンタクト型有機TFTにおいて、有機半導体層と電極との間に大きな電気的接触抵抗が介在するためと考えられている。
この問題を解決するため、ソース・ドレイン電極に酸化物層/金属層の積層構成を用いる試みがなされている。即ち、酸化物層に電荷注入性のよい材料を用いて、電極層−有機半導体層間の電荷注入障壁を下げようとする試みである。
特許文献1では、ソース・ドレイン電極が、無機物の電荷注入層を介してp型有機半導体と接するTFTであって、電荷注入層にモリブデンの酸化物又はバナジウムの酸化物を用い、チャンネルとソース・ドレイン電極との間に、中間のエネルギーレベルを持つ無機電荷注入層を用いたTFTを開示している。
このTFTの効果としては、駆動電圧の低減、特性の安定化及び信頼性の向上が挙げられる。
非特許文献1では、Au電極の下地層として一般的なCr又はTiに代えて、MoOxを用いたMoOx/Au電極を有するTFTを開示している。尚、MoOxの膜厚は、2nmが適当であると開示している。
このTFTは、ソース・ドレイン電極−有機半導体(ペンタセン)間の接触抵抗を低下させ、低電圧化を図ることができる。
上記試みとは異なり、金属電極を例えば末端にチオール基を有する有機化合物で表面修飾して有機薄膜層を形成し、金属電極表面の濡れ性や仕事関数を制御する試みもなされている。
特許文献2では、ソース・ドレイン電極のエッジ部にテーパー(傾斜)を設け、テーパーの幅を半導体結晶の平均粒径より小さくし、ソース・ドレイン電極と、半導体層との間に、チオール基を有する化合物からなる有機化合物層(1Å〜10Å)を介在させたボトムコンタクト型TFTを開示している。
このTFTは、ソース・ドレイン電極/半導体界面のコンタクト抵抗を低減させ、その性能を向上させている。
特許文献3では、ソース・ドレイン電極と有機半導体膜の間に、チオクレゾールを挟んだTFTを開示している。
特許文献4では、金属と化学的結合を生じる官能基(例えばチオール基)を有する電極表面処理剤を用いたTFTを開示している。
このTFTは、TFT特性が良好であり、生産効率の高い溶液プロセスを適用することができる。
非特許文献2では、Au電極を、decanethiol CH3-(CH2)9-SH (DT)、perfluorodecanethiol CF3-(CF2)7-(CH2)2-SH (PFDT)、perfluorohexanethiol CF3-(CF2)3-(CH2)2-SH (PFHT)等のSAMs(自己組織化単分子膜)で処理して仕事関数を変化させ、電極からの電荷注入を改善したTFTを開示している。
このTFTにおいて、例えばDT/Au電極で仕事関数が0.45eV小さくなり、PFDT/Au電極では0.9eV増加する。それに伴い、Au単体の場合に比べて接触抵抗はDT/Au電極の場合増加し、PFDT/Au電極の場合減少した。
非特許文献3では、Cr/Au電極を1-hexadecanethiol (CH3-(CH2)15-SH)で処理してホール注入障壁を下げ、以下の関係を有するTFTを開示している。
Ip:Au(5.1ev) > Pentacene HOMO(5.0) > Au/C16H33SH(4.9)
非特許文献4では、金電極を、pentafluorothiophenol(PFTP)で処理し、電極-半導体の接触を改善したTFTを開示している。
以上のような試みにも関わらず、ボトムコンタクト型有機TFTの問題点である高い閾値電圧、低い移動度等を完全に解決するには至っていなかった。
特開2005−327797号公報 特開2005−93542号公報 特開2007−158140号公報 特開2008−60117号公報 D.Kumaki,Appl.Phys.Lett.,92,013301 (2008). P.Marmont et.al.,Organic Electronics (2008),doi: 10.1016/j.orgel.2008.01.004. N.Kawasaki,Appl.Phys.Lett.,91,123518 (2007) M.M.Payne et.al.,J.Am.Chem.Soc.,127,4986 (2005)
本発明は、低閾値電圧、高電界効果移動度及び高ON/OFF電流比を有するボトムコンタクト型有機TFTを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、酸化物層/金属層の積層電極に加え、有機薄膜層で金属層の表面を修飾することで、著しくTFT特性を改善できることを見出し、本発明を完成させた。
さらに、酸化物層の仕事関数と、有機薄膜層によって表面修飾された金属層の仕事関数が特定の関係を満たすことにより、著しい特性の改善効果を得られることを見出した。
本発明によれば、以下の有機薄膜トランジスタ等が提供される。
1.基板上に、少なくともゲート電極、絶縁体層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層を含むボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタであって、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極の少なくとも一方が、酸化物層及び金属層が積層してなる積層構造を有し、
前記金属層が有機薄膜層で表面修飾されてなる有機薄膜トランジスタ。
2.前記酸化物層の仕事関数をIPoxとし、前記金属層の仕事関数をIPmmとするとき、前記IPox及びIPmmが下記式(1)を満たす1に記載の有機薄膜トランジスタ。
IPox>IPmm ・・・(1)
3.前記酸化物層の仕事関数をIPoxとし、前記有機半導体層のHOMO準位をIPorgとするとき、前記IPox及びIPorgが下記式(2)を満たす1又は2に記載の有機薄膜トランジスタ。
IPox>IPorg ・・・(2)
4.溶液プロセスによって有機半導体層を形成する、1〜3のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
5.1〜3のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタを備えてなる装置。
本発明によれば、低閾値電圧、高電界効果移動度及び高ON/OFF電流比を有するボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタを提供することができる。
本発明の有機薄膜トランジスタは、基板上に、少なくともゲート電極、絶縁体層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層を含むボトムコンタクト方式有機薄膜トランジスタであって、ソース電極及びドレイン電極の少なくとも一方が、酸化物層及び金属層が積層してなる積層構造を有し、金属層が有機薄膜層で表面修飾されている。
図1は、本発明の有機薄膜トランジスタの一実施形態を示す概略断面図である。
図1の有機薄膜トランジスタ1は、基板10上にゲート電極20及び絶縁体層30をこの順に有し、絶縁体層30上に酸化物層52及び有機薄膜層で表面修飾された金属層54の積層体であるドレイン電極50並びに酸化物層62及び有機薄膜層で表面修飾された金属層64の積層体であるソース電極60が所定の間隔(チャネル領域70)を空けてそれぞれ配され、ドレイン電極50及びソース電極60を覆うようにしてさらに有機半導体層40が積層されている。
尚、有機薄膜トランジスタ1は、ドレイン電極50及びソース電極60の両方が酸化物層及び有機薄膜層で表面修飾された金属層の積層体であるが、これに限定されない。本発明ではドレイン電極50及びソース電極60の少なくとも一方が酸化物層及び有機薄膜層で表面修飾された金属層の積層構造を有すればよく、他方は公知の電極を用いることができる。
また、酸化物層52及び酸化物層62は同一でも異なってもよく、同様に有機薄膜層で表面修飾された金属層54と有機薄膜層で表面修飾された金属層64は同一でも異なってもよい。
本発明において「表面修飾」とは、金属層の有機半導体層に接する部分の少なくとも一部が有機薄膜層で覆われていればよく、好ましくは金属層の有機半導体層に接する部分の全てが有機薄膜層で覆われている。
本発明の有機薄膜トランジスタは、ドレイン電極及びソース電極の少なくとも一方が酸化物層及び有機薄膜層で表面修飾された金属層の積層構造を有する。
本発明の酸化物層に用いることができる材料としては、電気伝導性を有し、有機半導体層に対して電荷注入機能を発現する材料であれば各種の材料を用いることができ、例えば、GeO、SiO、MoO、V、VO、V、MnO、Mn、ZrO、WO、TiO、In、ZnONiO、HfO、Ta、ReO、PbO等の金属酸化物が望ましい。
また、GeO(1≦x≦2)、SnO、PbO、ZnO、GaO、CdO、ZnOS、MgInO、CdInO、MgZnO等も好適である。
上述の材料に加えて、酸化インジウム・スズ(ITO)、酸化インジウム・亜鉛(IZO)、酸化インジウム・スズ・亜鉛(ITZO)等の酸化物や、これら酸化物にCe、Nd、Sm、Eu、Tb、Ho等の元素を添加した酸化物も好適に用いることができる。
酸化物層の形成には、例えば、蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、印刷又はインクジェット等により形成することができ、必要に応じて熱処理等の後処理を併用する。
また、上記の方法を用いて形成した酸化物層をパターニングする方法としては、蒸着やスパッタリング時に金属マスクを用いる方法、成膜された薄膜に対し公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いてパターンを形成する方法、インクジェット等によりパターンを直に形成する方法等がある。
酸化物層の膜厚は特に制限はないが、好ましくは0.2nm〜100nmであり、さらに好ましくは1nm〜10nmの範囲である。酸化物層の膜厚が0.2nm未満の場合、酸化物層の電荷注入効果が失われるおそれがある。一方、酸化物層の膜厚が100nm超の場合、ソース・ドレイン電極に介在する内部抵抗が大きくなり、閾値電圧の上昇等の悪影響が生じるおそれがある。
本発明の金属層には、TFTのソース電極又はドレイン電極として用いられる公知の金属材料及び合金材料を用いることができる。
本発明の金属層の材料としては、例えば白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛、銀ペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が挙げられる。
金属層の形成方法としては、例えば蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法、電着法、無電解メッキ法、スピンコーティング法、印刷又はインクジェット等の手段により形成できる。
また、必要に応じてするパターニングの方法としては、上記方法を用いて形成した金属層を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等によりレジストを形成しエッチングする方法が挙げられる。
金属層の膜厚は、電流の導通さえあれば特に制限はないが、好ましくは0.2nm〜10μmであり、さらに好ましくは4nm〜300nmの範囲である。
金属層の膜厚が0.2nm未満の場合、膜厚が薄いことにより抵抗が高くなり電圧降下を生じるおそれがある。一方、金属層の膜厚が10μm超の場合、金属層形成に時間がかかりすぎたり、保護層や有機半導体層等の他の層を積層する場合に、段差が生じて積層膜が円滑に積層できないおそれがある。
金属層を表面修飾する有機薄膜層には、金属層と親和性を有し、金属層を覆って表面修飾を施すことのできる各種材料を用いることができる。有機薄膜層に用いることができる材料のなかでも、好ましくは自己組織化単分子膜(SAMs)剤として知られる材料であり、より好ましくはカップリング反応により金属層表面に付着し得る末端基を有する自己組織化単分子膜剤である。
有機薄膜層の材料としては、例えばPentafluorothiophenol(PFTP)、Fluorothiophenol(FTP)、(Trifluoromethyl)thiophenol(TFMTP)、Nitrothiophenol(NTP)、Chlorothiophenol(CTP)、Methoxythiophenol(MOTP)等のチオフェノール類、Pentanethiol(PT)、Octanethiol(OT)、Decanethiol(DT)、Stearyl mercaptan(SM)等のアルカンチオール類、又はこれらアルカンチオール類を部分フッ素化した、Heptadecafluoro-1-decanethiol(HDFDT)、Tridecafluoro-1-octanethiol(TDFOT)等のフッ素化アルカンチオール、(ω-(Biphenyl-4-yl)alkanethiol)等の芳香族アルカンチオール類である。
金属層の有機薄膜層による表面修飾は、上述の有機薄膜層材料をジクロロメタン、エタノール等の溶媒に溶解させて調製した溶液に金属層が形成された基板を浸漬させることによって行うことができる。
溶液の濃度は通常0.1〜100mMであり、好ましくは0.1〜10mMである。浸漬時間は用いる材料、溶液の温度等によって異なるが、通常、室温で1分〜24時間であり、好ましくは10分〜6時間である。
有機薄膜層で表面修飾した金属層は、金属層が形成するソース電極又はドレイン電極に対する有機半導体層材料の濡れ性、及び電極上の有機半導体結晶のモルフォロジーを変化させ、チャネル領域に存在する有機半導体層との接合が改善され、接触抵抗を低減できると推測される。
金属層を表面修飾する有機薄膜層材料として好適なSAM剤は、分子内にダイポールを持つ。このSAM剤を用いて金属層表面を覆うことにより、金属表面の実効的仕事関数を変化させ、金属層から有機半導体層への電荷注入障壁を引き下げ、接触抵抗を低減させると推測される。
有機半導体層への電荷注入という観点からは、金属電極の下地となり、有機半導体層の、特にチャネルを形成する絶縁体層最近傍層に直接する酸化物層の方が、より大きな効果を発揮すると期待される。しかしながら、例えば、酸化物層(例えば酸化モリブデン)及び金属層(例えば金)のみからなる積層体がソース・ドレイン電極であるボトムコンタクト型TFTの移動度は、同様の材料構成のトップコンタクト型TFTのそれに比べ、1桁以上小さい値である。また、有機薄膜層で表面修飾された金属層のみからなるボトムコンタクト型TFTも、金属層のみのソース・ドレイン電極であるボトムコンタクト型TFTに比べて特性が改善されるものの、トップコンタクト型TFTの移動度には及ばない。本発明では、酸化物層/金属層の積層電極と、有機薄膜層による電極修飾を組み合わせることで、本発明のボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタは、トップコンタクト型TFTと遜色ない性能を引き出すことができる。
本発明のボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタにおいて、酸化物層の仕事関数をIPoxとし、金属層の仕事関数をIPmmとするとき、IPox及びIPmmは好ましくは下記式(1)を満たす。
IPox>IPmm ・・・(1)
また、本発明のボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタにおいて、酸化物層の仕事関数をIPoxとし、有機半導体層のHOMO準位をIPorgとするとき、IPox及びIPorgは好ましくは下記式(2)を満たす。
IPox>IPorg ・・・(2)
有機半導体層に用いる材料としては、有機薄膜トランジスタに用いられる公知の有機半導体を広く用いることができ、例えばChemical Review、107巻、1066頁 2007年に記載の有機半導体材料等が挙げられる。
有機半導体層に用いることができる材料の具体例としては、以下の(1)〜(3)の材料が挙げられる。
(1)ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン等の置換基を有してもよいアセン類
上記アセン類の例としては、1,4−ビススチリルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン(4MSB)、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ポリフェニレンビニレン等C−CH=CH−Cで表されるスチリル構造を有する化合物、及びこれら化合物のオリゴマー又はポリマーが挙げられる。
(2)チオフェン環を含む化合物
上記チオフェン環を含む化合物として、以下の(i)〜(iii)が挙げられる。
(i)α−4T、α−5T、α−6T、α−7T、α−8Tの誘導体等の置換基を有してもよいチオフェンオリゴマー
(ii)ポリヘキシルチオフェン、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル−コ−ビチオフェン)等のチオフェン系高分子等のチオフェン系高分子
(iii)ビスベンゾチオフェン誘導体、α,α’−ビス(ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン)、ジチエノチオフェン−チオフェンのコオリゴマー、ペンタチエノアセン等の縮合オリゴチオフェン(好ましくはチエノベンゼン骨格又はジチエノベンゼン骨格を有する化合物、ジベンゾチエノベンゾチオフェン誘導体)
(3)セレノフェンオリゴマー、無金属フタロシアニン、銅フタロシアニン、鉛フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、白金ポルフィリン、ポルフィリン、ベンゾポルフィリン等のポルフィリン類、テトラチアフルバレン(TTF)及びその誘導体、並びにルブレン及びその誘導体
有機半導体層材料は、その純度を高くすることで、得られる有機薄膜トランジスタの電界効果移動度、オン/オフ比等をより向上させることができる。従って、必要に応じて有機半導体層材料をカラムクロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇華等の方法により精製することが望ましい。これら精製方法を、繰り返し行う及び/又は複数の方法を組み合わせることにより有機半導体層材料の純度を向上させることができ、好ましくは精製の最終工程として昇華精製を少なくとも2回以上繰り返す。
有機半導体層材料は、好ましくはHPLCで測定した純度が90%以上であり、より好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上である。このような純度である有機半導体層材料を用いることにより、得られる有機薄膜トランジスタの電界効果移動度、オン/オフ比等を高めることができる。
尚、有機半導体層は、上記有機半導体材料の複数の材料を組み合わせた混合物からなってもよく、それぞれ異なる材料からなる複数の層の積層体でもよい。
有機半導体層の膜厚は、特に制限されることはないが、通常、0.5nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜250nmである。有機半導体層の膜厚が0.5nm未満の場合、電荷を輸送するチャネルが有効に形成されないおそれがある。一方、有機半導体層の膜厚が1μm超の場合、結晶粒塊が発達して、剥離しやすくなる等の不具合を生じるおそれがある。
有機半導体層の形成方法は公知の方法を用いることができ、例えば分子線蒸着法(MBE法)、真空蒸着法、化学蒸着、材料を溶媒に溶かした溶液のディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の印刷、塗布法及びベーキング、エレクトロポリマラインゼーション、分子ビーム蒸着、溶液からのセルフ・アセンブリ、及びこれらを組合せた方法が挙げられる。
本発明において、有機半導体層は好ましくは溶液プロセスによって形成される。
溶液プロセスとは、材料を溶媒に溶かした溶液を、ディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法、インクジェット法等の方法で、印刷又は塗布して、有機半導体層を形成するプロセスである。
有機半導体層の結晶性を向上させると有機TFTの電界効果移動度を向上させることができるので、気相成膜(蒸着、スパッタ等)を用いて有機半導体層を成膜する場合、成膜中の基板温度を高温で保持すると望ましい。基板温度は好ましくは50〜250℃であり、より好ましくは70〜150℃である。
また、成膜方法に関わらず、有機半導体層成膜後にアニーリングを実施すると高性能有機薄膜トランジスタが得られるため好ましい。アニーリング温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは70〜200℃である。アニーリング時間は、好ましくは10分〜12時間であり、より好ましくは1〜10時間である。
以下、本発明のボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの他の部材について説明する。
本発明の有機薄膜トランジスタの基板は、有機薄膜トランジスタの構造を支持する役目を担う。
基板の材料としては、ガラス、金属酸化物や窒化物等の無機化合物、プラスチックフィルム(PET、PES、PC、ポリイミド)、金属基板、又はこれら材料の複合体及び積層体等が挙げられる。尚、基板以外の構成要素により有機薄膜トランジスタの構造を十分に支持し得る場合には、基板を使用しないことも可能である。
基板の材料としてプスチックフィルムを用いる場合、基板に耐溶剤性やガスバリア性を付与する目的で、プラスチックフィルム上にさらに他の樹脂材料、無機材料、金属材料、酸化物材料等の薄膜が積層又はコーティングされていてもよい。
基板の材料としてはシリコン(Si)ウエハが用いられることもあるが、基板材料としてシリコンウエハを用いる場合、シリコン自体をゲート電極兼基板として用いることができる。尚、ゲート電極としての機能を有するシリコン基板に、リード線接続用の取り出し電極として、Au等の金属層を成膜する場合もある。
また、シリコン基板は、シリコン表面を酸化してSiO層を形成し、絶縁層として用いることも可能である。
ゲート電極は、TFTにおいて、ソース・ドレイン電極、ゲート電極として用いられる金属材料、合金材料、金属酸化物材料等の導電性を有し且つ膜を形成する公知の材料を広く用いることができる。
ゲート電極の材料としては、上述した金属層及び酸化物層に用いることができる材料を好適に用いることができる。ゲート電極に用いる特に好ましい材料としては、Au、Ag、Cu、Al等の金属、これらを含む合金材料及びペースト材料、並びにITO、IZO等の酸化物透明電極材料である。
また、ゲート電極のパターンニングも、上述した金属層及び酸化物層と同様の方法により行うことができる。
絶縁体層の材料としては、電気絶縁性を有し薄膜を形成できる材料であれば特に限定されず、例えば金属酸化物(珪素の酸化物を含む)、金属窒化物(珪素の窒化物を含む)、高分子、有機低分子等、室温での電気抵抗率が10Ωcm以上の材料を用いることができ、好ましくは比誘電率の高い無機酸化物である。
上記無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、ランタン酸化物、フッ素酸化物、マグネシウム酸化物、ビスマス酸化物、チタン酸ビスマス、ニオブ酸化物,チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、五酸化タンタル、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム、及びこれらを混合物が挙げられ、好ましくは酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル及び酸化チタンである。
また、上記無機酸化物に加え、窒化ケイ素(Si、Si(x、y>0))、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
絶縁体層は、アルコキシド金属を含む前駆物質で形成されていてもよく、この前駆物質の溶液を、例えば基板に被覆し、この基板を、熱処理を含む化学溶液処理をすることにより絶縁体層を形成できる。
アルコキシド金属の金属としては、例えば、遷移金属、ランタノイド、又は主族元素から選択され、具体的には、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、タンタル(Ta)、ジルコン(Zr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、ランタン(La)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ニオブ(Nb)、タリウム(Tl)、水銀(Hg)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、スカンジウム(Sc)及びイットリウム(Y)等が挙げられる。
アルコキシド金属のアルコキシドとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等を含むアルコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ペントキシエタノール、ヘプトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール、ブトキシプロパノール、ペントキシプロパノール、ヘプトキシプロパノールを含むアルコキシアルコール類等から誘導されるアルコキシドが挙げられる。
絶縁体層を上記材料で形成すると、絶縁体層中に分極が発生しやすくなり、有機TFT動作の閾電圧を低減することができる。また、上記材料の中でも、特に、Si、Si、SiON(x、y>0)等の窒化ケイ素を用いて絶縁体層を形成すると、分極がいっそう発生しやすくなり、閾電圧をさらに低減させることができる。
絶縁体層に用いることができる有機化合物としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系の光硬化性樹脂、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びシアノエチルプルラン等が挙げられる。これら有機化合物に加えて、ワックス、ポリエチレン、ポリクロロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリイミドシアノエチルプルラン、ポリ(ビニルフェノール)(PVP)、ポリ(メチルメタクレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリル酸)、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリイミド、ポリキシリレン、エポキシ樹脂、プルラン等の高い誘電率を有する高分子材料も使用することができる。
絶縁体層に用いることができる有機化合物のうち、特に好ましいのは撥水性を有する有機化合物である。撥水性を有する有機化合物を絶縁体層に用いることにより、絶縁体層とチャネル制御層との相互作用を抑え、チャネル制御層が有する非晶質性を保持できるので、チャネル制御層が機能を発揮してTFT性能を向上させることができる。
撥水性を有する有機化合物としては、例えばYasudaら Jpn.J.Appl.Phys. Vol.42 (2003) pp.6614-6618に記載のポリパラキシリレン誘導体、Janos Veresら Chem.Mater., Vol.16 (2004) pp.4543-4555に記載の化合物が挙げられる。
絶縁体層は、上述の無機化合物材料又は有機化合物材料を複数用いた混合層であってもよく、これら材料からなる層をそれぞれ積層した積層体であってもよい。この場合、必要に応じて誘電率の高い材料と撥水性を有する材料を混合又は、これら材料からなる層をそれぞれ積層することでTFT性能を制御することもできる。
また、絶縁体層は、陽極酸化膜である、又は該陽極酸化膜を構成として含んでもよい。陽極酸化膜は好ましくは封孔処理される。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができる。
陽極酸化処理の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができる電解液であればよく、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸又はこれらの塩が用いられる。
陽極酸化の処理条件は使用する電解液により異なるが、通常、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/cm、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲で行われる。好ましい陽極酸化処理としては、電解液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いてもよい。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/cmで20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
絶縁体層の厚さとしては、通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜2μm、さらに好ましくは100nm〜1μmである。
絶縁体層の厚さが10nm未満の場合、有機半導体に印加される実効電圧が大きくなり、TFT自体の駆動電圧、閾電圧を下げることができるが、逆にソースーゲート間のリーク電流が大きくなるおそれがある。
絶縁体層の形成方法としては、絶縁体層に用いる材料によるが、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、特開平11−61406号公報、特開平11−133205号公報、特開2000−121804号公報、特開2000−147209号公報、特開2000−185362号公報に記載の大気圧プラズマ法等のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスが挙げられる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤又は水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えば、アルコキシド体の溶液を塗布及び乾燥するゾルゲル法が用いられる。
本発明の有機薄膜トランジスタではソース電極及びドレイン電極が所定の間隔をあけて対向するように形成されるが、ソース電極とドレイン電極の間隔は、通常0.1μm〜1mm、好ましくは1μm〜100μm、さらに好ましくは5μm〜100μmである。
ソース電極及びドレイン電極のうち、酸化物層及び金属層が積層してなる積層構造を有さない電極については、TFTにおいて、ソース・ドレイン電極、ゲート電極として用いられる金属材料、合金材料、金属酸化物材料等の導電性を有し且つ膜を形成する公知の材料を広く用いることができる。
このソース電極及びドレイン電極に用いる特に好ましい材料としては、Au、Ag、Cu、Al等の金属、これらを含む合金材料及びペースト材料、並びにITO、IZO等の酸化物透明電極材料である。
また、このソース電極及びドレイン電極のパターンニングも、上述した金属層及び酸化物層と同様の方法により行うことができる。
本発明の有機薄膜トランジスタは低閾値電圧、高電界効果移動度及び高ON/OFF電流比を有し、例えば、各種電子回路、パーソナルコンピュータ、ディスプレイ、携帯電話機、RFタグ、商品値札タグ、各種センサー等に好適に用いることができる。
実施例1
[有機薄膜トランジスタの作製]
ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタを以下の手順で作製した。
Si基板(N型、比抵抗1Ωcm、ゲート電極兼用)を熱酸化法を用いてその表面を酸化させ、基板上に膜厚300nmの熱酸化膜を成膜して絶縁体層とした。さらに基板の絶縁体層としたSiOの反対側のSiO膜をドライエッチングにて完全に除去した後、スパッタ法にてクロムを20nmの膜厚でSiO除去面上に成膜し、さらにクロム膜上に膜厚100nmの金(Au)をスパッタにて成膜しゲート電極の取り出し電極とした。この基板を、中性洗剤、純水、アセトン及びエタノールで各30分超音波洗浄した。
次に、上記基板を真空蒸着装置(ULVAC社製、EX−400)内に設置し、金属マスクを通して、酸化モリブデンを0.05nm/sの蒸着速度で2nm膜厚になるように形成して酸化物層とし、続けて金を0.05nm/sの蒸着速度で50nm膜厚になるように形成して金属層とした。酸化物層/金属層の積層電極(ソース・ドレイン電極)は、間隔(チャンネル長L)が75μm、幅(チャンネル幅W)が5mmとなるようにした。
一旦、基板を蒸着装置から取り出し、PFTP(2,3,4,5,6-Pentafluorothiophenol)のジクロロメタン溶液(1mM)に6時間室温で浸漬して、金属層の上に有機薄膜層を形成して金属層を表面修飾金属層とした後、ジクロロメタン及びクロロホルムでリンスした。
リンスした基板を再度上記真空蒸着装置内に設置して、ペンタセン(Pentacene)を0.05nm/sの蒸着速度で50nm膜厚に形成して有機半導体層とし、有機薄膜トランジスタを作製した。
Figure 0005135073
得られた有機薄膜トランジスタのゲート電極に0〜−100Vのゲート電圧を印加し、ソース−ドレイン間に電圧を印加して電流を流した。この場合、正孔が有機半導体層のチャンネル領域(ソース−ドレイン間)に誘起され、作製した有機薄膜トランジスタはp型トランジスタとして動作した。その結果、電流飽和領域でのソース−ドレイン電極間の電流のオン/オフ比は4×10であった。また、電界効果移動度μを下記式(A)を用いて算出したところ0.30cm/Vsであり、閾値電圧V=−5.7Vであった。結果を表1に示す。
=(W/2L)・Cμ・(V−V (A)
(式中Iはソース−ドレイン間電流、Wはチャンネル幅、Lはチャンネル長、Cはゲート絶縁体層の単位面積あたりの電気容量、Vはゲート閾値電圧、Vはゲート電圧である。)
尚、上記オン/オフ比は、ソース−ドレイン電極間の印加電圧が−100Vのときにおいて、ゲート電圧Vを0〜−100Vまで変化させたときの、ドレイン電流Iの最大値(オン)と最小値(オフ)の比として求めた。
[酸化物層、表面修飾金属層及び有機半導体層の評価]
作製した有機薄膜トランジスタを構成する酸化物層、表面修飾金属層及び有機半導体層を以下のように評価した。
金属マスクを用いずに金属層を成膜した他は有機薄膜トランジスタの作製の場合と同様にして金及びPFTPのみからなる積層体を作製した。得られた積層体について、大気中光電子分光装置AC3(理研計器株式会社製)を用いて実効仕事関数を測定したところIPmm=5.6eVであった。
さらに、有機薄膜トランジスタの作製の場合と同様にして、酸化モリブデンのみからなる薄膜を作製し大気中光電子分光装置AC3を用いて実効仕事関数を測定したところIPox=5.7eVであり、IPox>IPmmであることが分かった。
また、有機薄膜トランジスタの作製の場合と同様にしてペンタセン(Pentacene)のみからなる薄膜を作製し大気中光電子分光装置AC3を用いてHOMO準位を評価したところ、Iorg=5.2eVであり、IPox>IPorgであることが判明した。
以上の結果を表2に示す。
実施例2
有機薄膜層の材料としてPFTPの代わりにFTP(4-Fluorothiophenol)を用いた他は実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が3×10、電界効果移動度が0.15cm/Vs、閾値電圧が−4.7Vであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、金及びFTPのみからなる積層体を作製し、評価した。その結果、IPmm=5.3eVであり、IPox>IPmmであることが判明した。
結果を表2に示す。
実施例3
ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタを以下の手順で作製した。
ガラス基板を、中性洗剤、純水、アセトン及びエタノールで各30分超音波洗浄した後、スパッタ法にて金(Au)を膜厚40nmで成膜してゲート電極とした。次いで、この基板を熱CVD装置の成膜部にセットした。原料の蒸発部には、絶縁体層の原料のポリパラキシレン誘導体(ポリパラ塩化キシレン(パリレン)、商品名:diX−C、第三化成株式会社製)250mgをシャーレに入れて設置した。熱CVD装置を真空ポンプで真空に引き、5Paまで減圧した後、蒸発部を180℃、重合部を680℃まで加熱して2時間放置しゲート電極上に膜厚800nmのパリレンからなる絶縁体層を形成した。
次に、上記基板を真空蒸着装置(ULVAC社製、EX−400)内に設置し、金属マスクを通して、酸化モリブデンを0.05nm/sの蒸着速度で2nm膜厚になるように酸化物層を形成し、続けて金を0.05nm/sの蒸着速度で50nm膜厚になるように金属層を形成した。酸化物層/金属層の積層電極(ソース・ドレイン電極)は、間隔(チャンネル長L)が75μm、幅(チャンネル幅W)が5mmとなるようにした。
一旦、基板を蒸着装置から取り出し、PFTPのジクロロメタン溶液(1mM)に6時間室温で浸漬して、金属層の上に有機薄膜層を形成して金属層を表面修飾金属層とした後、ジクロロメタン及びクロロホルムでリンスした。
リンスした基板を再度上記真空蒸着装置内に設置して、ペンタセン(Pentacene)を0.05nm/sの蒸着速度で50nm膜厚に形成して有機半導体層とし、有機薄膜トランジスタを作製した。
作製した有機薄膜トランジスタを実施例1と同様にして評価した。その結果、オン/オフ比が6×10、電界効果移動度が0.10cm/Vs、閾値電圧が−17.9Vであった。結果を表1に示す。
実施例4
酸化物層の膜厚を5nmとし、有機薄膜層の材料としてPFTPの代わりにFTPを用いた他は実施例3と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が2×10、電界効果移動度が0.12cm/Vs、閾値電圧が−21.2Vであった。結果を表1に示す。
実施例5
有機薄膜層の材料としてPFTPの代わりにTFMTP(4-(Trifluoromethyl)thiophenol)を用いた他は実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が3×10、電界効果移動度が0.095cm/Vs、閾値電圧が−1.4Vであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、金及びTFMTPのみからなる積層体を作製し、評価した。その結果、IPmm=5.8eVであり、IPox<IPmmであることが判明した。結果を表2に示す。
実施例6
酸化物層の厚みを5nmとし、有機半導体層の材料としてペンタセンの代わりに4MSBを用いた他は実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が8×10、電界効果移動度が0.038cm/Vs、閾値電圧が−7.3Vであった。結果を表1に示す。
Figure 0005135073
また、実施例1と同様にして4MSBのみからなる薄膜を成膜し、HOMO準位を評価したところ、Iorg=5.6eVであり、IPox>IPorgであった。
実施例7
酸化モリブデンの代わりに以下の方法で調製したターゲット1を用い、後述の方法で成膜した酸化物層/金属層の積層体を用いた他は実施例6と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が3×10、電界効果移動度が0.042cm/Vs、閾値電圧が−6.9Vであった。結果を表1に示す。
ターゲット1の調製
酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛及び酸化ユウロピウムからなる粉末であって、インジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.8であり、スズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.1であり、亜鉛のモル比(Zn/(In+Sn+Zn))が0.1であり、金属元素全体におけるユウロピウムのモル比(Eu/(In+Sn+Zn+Eu))が0.04となるように配合した粉末(平均粒子径1μm以下)を、湿式ボールミル容器内に収容し、72時間にわたって混合粉砕した。次いで、得られた粉砕物を造粒し、ペレット状にプレス成型した。得られたペレットを焼成炉に収容した後、1400℃の温度で36時間加熱焼成し、ターゲット1を調製した。
酸化物層/金属層の積層体の作製
実施例1と同様にして調製したSi基板を、真空蒸着装置(ULVAC社製、EX−400)内に設置し、本蒸着装置内に設置された電子ビーム蒸着装置と、調製したターゲット1を用い、金属マスクを通して、0.05nm/sの蒸着速度で5nm膜厚になるように形成して酸化物層(ITZO:Eu)とし、続けて金を0.05nm/sの蒸着速度で50nm膜厚になるように形成して金属層とした。酸化物層/金属層の積層電極は、間隔(チャンネル長L)が75μm、幅(チャンネル幅W)が5mmとなるようにした。
また、上記電子ビーム蒸着装置を用いた成膜法を用い、ITZO:Euのみからなる薄膜を作製し、評価した。その結果、IPox=5.80eVであり、IPox>IPmm及びIPox>IPorgであることが判明した。
実施例8
ターゲット1の代わりに以下の方法で調製したターゲット2を用いて成膜した酸化物層(ITZO)を用いた他は実施例7と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が8×10、電界効果移動度が0.022cm/Vs、閾値電圧が−9.8Vであった。結果を表1に示す。
ターゲット2の調製
酸化インジウム、酸化スズ及び酸化亜鉛からなる粉末であって、インジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.6であり、スズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.3であり、亜鉛のモル比(Zn/(In+Sn+Zn))が0.1となるように配合した粉末(平均粒子径1μm以下)を、湿式ボールミル容器内に収容し、72時間にわたって混合粉砕した。次いで、得られた粉砕物を造粒してから、ペレット状にプレス成型した。得られたペレットを焼成炉に収容した後、1400℃の温度で、36時間加熱焼成し、ターゲット2を製造した。
また、実施例7と同様にして、電子ビーム蒸着装置を用いた成膜法を用い、ITZOのみからなる薄膜を作製し、評価した。その結果、IPox=5.23eVであり、IPox<IPmm及びIPox<IPorgであることが判明した。
比較例1
トップコンタクト型有機薄膜トランジスタを以下の手順で作製した。
Si基板(N型、比抵抗1Ωcm、ゲート電極兼用)を熱酸化法にて表面を酸化させ、基板上に膜厚300nmの熱酸化膜を成膜して絶縁体層とした。さらに基板の絶縁体層としたSiOの反対側のSiO膜をドライエッチングにて完全に除去した後、スパッタ法にてクロムを20nmの膜厚でSiO除去面上に成膜し、さらにクロム膜上に膜厚100nmの金(Au)をスパッタにて成膜し、ゲート電極の取り出し電極とした。この基板を、中性洗剤、純水、アセトン及びエタノールで各30分超音波洗浄し、さらにUVオゾン洗浄を行った後、気相法によりヘキサメチルジシラザンを用いて自己組織化膜を形成した。
次に、上記基板を真空蒸着装置(ULVAC社製、EX−400)内に設置し、Pentaceneを0.05nm/sの蒸着速度で形成して、膜厚50nmの有機半導体層とした。さらに、金属マスクを通して、金を0.05nm/sの蒸着速度で膜厚50nmとなるように形成し、間隔(チャンネル長L)が75μm、幅(チャンネル幅W)が5mmであるソース・ドレイン電極を形成し、トップコンタクト型有機薄膜トランジスタを得た。
得られた有機薄膜トランジスタを実施例1と同様にして評価したところ、オン/オフ比が3×10、電界効果移動度が0.4cm/Vs、閾値電圧が−20.0Vであった。結果を表1に示す。
比較例2
ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタを以下の手順で作製した。
Si基板(N型、比抵抗1Ωcm、ゲート電極兼用)を熱酸化法にて表面を酸化させ、基板上に膜厚300nmの熱酸化膜を成膜して絶縁体層とした。さらに基板の絶縁体層としたSiOの反対側のSiO膜をドライエッチングにて完全に除去した後、スパッタ法にてクロムを20nmの膜厚でSiO除去面上に成膜し、さらにクロム膜上に膜厚100nmの金(Au)をスパッタにて成膜し、ゲート電極の取り出し電極とした。この基板を、中性洗剤、純水、アセトン及びエタノールで各30分超音波洗浄し、さらにUVオゾン洗浄を行った後、気相法によりヘキサメチルジシラザンを用いて自己組織化膜を形成した。
次に、上記基板を真空蒸着装置(ULVAC社製、EX−400)内に設置し、金属マスクを通して、金を0.05nm/sの蒸着速度で膜厚50nmのソース・ドレイン電極を形成し、続いて金属マスクを用いずに、Pentaceneを0.05nm/sの蒸着速度で膜厚50nmの有機半導体層を形成し、有機薄膜トランジスタを作製した。尚、ソース・ドレイン電極は、間隔(チャンネル長L)が75μm、幅(チャンネル幅W)が5mmとなるようにした。
得られた有機薄膜トランジスタを実施例1と同様にして評価したところ、オン/オフ比が6×10、電界効果移動度が0.015cm/Vs、閾値電圧が−18.0Vであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、金のみからなる薄膜を作製し、評価した。その結果、IPmm=5.1eVであった。結果を表2に示す。
比較例3
酸化物層を成膜しなかった他は実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が7×10、電界効果移動度が0.10cm/Vs、閾値電圧が−1.4Vであった。結果を表1に示す。
比較例4
酸化物層の膜厚を5nmとし、有機薄膜層を成膜しなかった他は、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が9×101、電界効果移動度が0.0036cm/Vs、閾値電圧が+8.6Vであった。結果を表1に示す。
比較例5
酸化物層を成膜しなかった他は実施例2と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が3×10、電界効果移動度が0.079cm/Vs、閾値電圧が−5.2Vであった。結果を表1に示す。
比較例6
酸化物層及び有機薄膜層を成膜しなかった他は実施例3と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が7×10、電界効果移動度が0.027cm/Vs、閾値電圧が−15.5Vであった。結果を表1に示す。
比較例7
酸化物層を成膜しなかった他は実施例3と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が2×10、電界効果移動度が0.087cm/Vs、閾値電圧が−23.2Vであった。結果を表1に示す。
比較例8
有機薄膜層を成膜しなかった他は実施例3と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が3×10、電界効果移動度が0.021cm/Vs、閾値電圧が−25.3Vであった。結果を表1に示す。
比較例9
酸化物層を成膜しなかった他は実施例4と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が2×10、電界効果移動度が0.042cm/Vs、閾値電圧が−26.4Vであった。結果を表1に示す。
比較例10
有機薄膜層を成膜しなかった他は実施例4と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が3×10、電界効果移動度が0.005cm/Vs、閾値電圧が−22.8Vであった。結果を表1に示す。
比較例11
ペンタセンの代わりに4MSBを用いて有機半導体層を成膜した他は比較例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が6×10、電界効果移動度が0.053cm/Vs、閾値電圧が−10.3Vであった。結果を表1に示す。
比較例12
ペンタセンの代わりに4MSBを用いて有機半導体層を成膜した他は比較例2と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が8×10、電界効果移動度が0.00049cm/Vs、閾値電圧が−9.9Vであった。結果を表1に示す。
比較例13
酸化物層を成膜しなかった他は実施例6と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が1×10、電界効果移動度が0.0052cm/Vs、閾値電圧が−11.4Vであった。結果を表1に示す。
比較例14
有機薄膜層を成膜しなかった他は実施例6と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。その結果、オン/オフ比が2×10、電界効果移動度が0.0014cm/Vs、閾値電圧が−27.2Vであった。結果を表1に示す。
Figure 0005135073
Figure 0005135073
得られた結果から分かるように、金のみからなる金属層の仕事関数が5.1eVであるのに対し、この金属層をFTP、PFTP又はTFMTPで表面処理した表面修飾金属層の仕事関数は、それぞれ5.3eV、5.6eV、5.8eVであり、金属層を有機薄膜層で表面修飾することにより積層体の実効仕事関数が変化することがわかる。
また、酸化物層に用いた酸化モリブデン薄膜の仕事関数(IPox)が5.7eVであることを考慮すると、下記式(1)を満たす有機薄膜トランジスタは。閾値電圧、移動度及びオン/オフ比が良好であることが分かる。
IPox>IPmm ・・・(1)
このことは酸化物層/金属層、又は金属層電極/有機薄膜層それぞれの単独構成からは予期できない著しい相乗効果である。
加えて、有機半導体層のHOMO準位をIPorgとするとき、下記式(2)を満たす有機薄膜トランジスタは、閾値電圧、移動度及びオン/オフ比が良好であることが分かる。
IPox>IPorg ・・・(2)
これは、酸化物層からの電荷注入障壁が下がるためと推測される。
本発明の有機薄膜トランジスタは、高い移動度及び高い保存安定性を有するため、トランジスタとして有用である。
本発明の有機薄膜トランジスタの一実施形態を示す概略断面図である。 トップコンタクト型有機薄膜トランジスタの概略断面図である。 ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの概略断面図である。
符号の説明
1 有機薄膜トランジスタ
2 トップコンタクト型有機薄膜トランジスタ
3 ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ
10 基板
20 ゲート電極
30 絶縁体層
40 有機半導体層
50 ドレイン電極
52 酸化物層
54 表面修飾金属層
60 ソース電極
62 酸化物層
64 表面修飾金属層
70 チャネル領域

Claims (4)

  1. 基板上に、少なくともゲート電極、絶縁体層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層を含むボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタであって、
    前記ソース電極及び前記ドレイン電極の少なくとも一方が、酸化物層及び金属層が積層してなる積層構造を有し、
    前記金属層が有機薄膜層で表面修飾されてなり、
    前記酸化物層の仕事関数をIPoxとし、前記金属層の仕事関数をIPmmとするとき、前記IPox及びIPmmが下記式(1)を満たす有機薄膜トランジスタ。
    IPox>IPmm ・・・(1)
  2. 基板上に、少なくともゲート電極、絶縁体層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層を含むボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタであって、
    前記ソース電極及び前記ドレイン電極の少なくとも一方が、酸化物層及び金属層が積層してなる積層構造を有し、
    前記金属層が有機薄膜層で表面修飾されてなり、
    前記酸化物層の仕事関数をIPoxとし、前記有機半導体層のHOMO準位をIPorgとするとき、前記IPox及びIPorgが下記式(2)を満たす有機薄膜トランジスタ。
    IPox>IPorg ・・・(2)
  3. 溶液プロセスによって有機半導体層を形成する、請求項1又は2に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタを備えてなる装置。
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