JP5132456B2 - 天井ブレース連結構造 - Google Patents

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本発明は、天井裏で格子状に組み付けられる天井下地材とこの天井下地材を吊り下げる吊りボルトの上端側との間に架け渡される天井ブレースを、前記天井下地材または前記吊りボルトに連結する天井ブレースの連結構造に関する。
列車が通過する線路が敷設された高架の下部に設けられる居室等の、振動が多く発生する場所における天井では、天井下地材を吊り下げる吊りボルトの途中に防振ハンガーと呼ばれる防振部材を介設して、躯体に発生する振動が、天井仕上材に直接伝わらないように構成されている。防振ハンガーは、例えば特許文献1に示すように、矩形の枠部材の上部と下部にそれぞれ防振ゴムが取り付けられており、上下方向に分割された吊りボルトを各防振ゴムにそれぞれ固定して、躯体からの振動を防振ゴムで吸収することで、天井仕上材に振動が伝わるのを抑制している。
前記構成の防振ハンガーは、長期の鉛直方向の荷重を支持することができるので、優れた防振性能を発揮できるものの、地震などにより発生する短期の水平方向の力に対抗することができないので、耐震性能を発揮することができない。そのため、このような天井構造では、躯体付近と天井仕上材付近とを結ぶ天井ブレースを設置することによって、水平方向の力を支持して耐震性能を得るように構成されている。
特開2002−174296号公報
しかしながら、前記のような天井構造では、天井ブレースを設置することにより、躯体と天井仕上材とが剛に連結されることとなり、躯体からの振動が天井仕上材に伝播して、天井仕上材から音が発生したり、耐久性が低下したりするといった問題があり、防振ハンガーの防振機能が亡失されていた。
そこで、本発明は、前記の問題を解決するためになされたものであり、防振性能を残しつつ、耐震性能を発揮することができる天井ブレース連結構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための請求項1に係る発明は、天井裏で格子状に組み付けられる天井下地材とこの天井下地材を吊り下げる吊りボルトの上端側との間に架け渡される天井ブレースを、前記天井下地材または前記吊りボルトに連結する構造において、前記天井下地材または前記吊りボルト側に設けられるブラケットと、前記ブラケットと天井ブレースの先端部との間に介設される弾性部材と、前記ブラケットと前記天井ブレースの先端部と前記弾性部材とに挿通する挿通部材を有し、これらを一体的に締め付けて固定するための締付手段とを備えており、前記ブラケットおよび前記天井ブレースの先端部のいずれか一方には、前記挿通部材よりも大径であって前記挿通部材が挿通する大径挿通孔が形成され、前記弾性部材には、前記大径挿通孔よりも小径であって前記挿通部材が挿通する弾性挿通孔が形成され、前記ブラケットおよび前記天井ブレースの先端部のいずれか他方には、前記挿通部材と同径であって前記挿通部材が挿通する同径挿通孔が形成されていることを特徴とする天井ブレース連結構造である。
このような構成によれば、天井ブレースと天井下地材とは剛接合されておらず、大径挿通孔と同径挿通孔の径寸法の差分、弾性部材を変形させながら相対移動することができるので、防振性能を発揮することができる。一方、短期の水平方向の力に対しては、天井ブレースは天井下地材に対して相対移動するときに、挿通部材が大径挿通孔に当接することでそれ以上の相対移動が規制されるので、吊りボルトや天井下地材の変形を防止でき、耐震性能を発揮することができる。すなわち、かかる天井ブレース連結構造によれば、大径挿通孔と同径挿通孔の径寸法の差分内では弾性部材を介して振動が吸収されて防振性能が発揮され、一方、天井ブレースと天井下地材が大径挿通孔と同径挿通孔の径寸法の差分まで相対移動するとそれ以上の相対移動は規制されて応力が伝達されて耐震性能を発揮できる。
請求項2に係る発明は、前記弾性挿通孔が、軸方向に向かうに連れて孔径が拡径するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の天井ブレース連結構造である。
このような構成によれば、躯体への振動が小さく天井ブレースと天井下地材との相対移動量が少ないときには、挿通部材に対抗する弾性部材の断面積が小さく、小さい復元力で振動が吸収される。一方、躯体への振動が大きくなり天井ブレースと天井下地材との相対移動量が大きくなるに連れて、挿通部材に対抗する弾性部材の断面積が徐々に大きくなり、大きい復元力で振動を吸収することができる。すなわち、振動が小さいときには小さい復元力で対抗し、振動が大きくなると大きい復元力で対抗することで、効率的に防振を行うことができる。
請求項3に係る発明は、前記大径挿通孔、前記弾性挿通孔および前記同径挿通孔が互いに同芯状に並ぶように、前記ブラケット、前記弾性部材および前記天井ブレースの先端部が配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の天井ブレース連結構造である。
このような構成によれば、天井ブレースと天井下地材とは、上下左右いずれの方向にも相対移動可能となり、どの方向の力にも対応することができる。
請求項4に係る発明は、前記弾性部材が、前記天井ブレースの先端部の表面に接着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の天井ブレース連結構造である。
このような構成によれば、施工時の弾性部材の位置決めを容易に行えるとともに、天井ブレースと弾性部材の接合性を高めることで、弾性部材のずれを防止している。
本発明に係る天井ブレース連結構造によれば、防振性能を残しつつ、耐震性能を発揮することができるといった優れた効果を発揮する。
本発明に係る天井ブレース連結構造を実施するための最良の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る天井ブレース連結構造を示した分解斜視図である。図2は、本発明に係る天井ブレース連結構造を示した側面図である。図3は、本発明に係る天井ブレース連結構造を示した断面図(図2のA−A線断面図)である。図4は、本発明に係る天井ブレース連結構造を示した平面図である。図5は、天井ブレースと天井下地材とが相対移動した状態を示した側面図である。図6は、本発明に係る天井ブレース連結構造を採用した天井構造を示した側面図である。
まず、本発明に係る天井ブレース連結構造が採用された天井構造について説明する。図6に示すように、上方の天井スラブ2には、吊りボルト1が所定の間隔をあけて吊るされており、その吊りボルト1の下端で公知の固定金具3(固定ハンガー)を介して天井下地材5を支持するようになっている。天井下地材5は、例えばアルミニウム製の押出形材によって構成されており、格子状に組み付けられている。天井下地材5の下部には、天井仕上材6が固定されている。
吊りボルト1は、上下方向に二つに分割されており、その間には防振ハンガー10が介設されている。防振ハンガー10は、矩形の枠部材11の上部と下部にそれぞれ防振ゴム12,13が取り付けられており、各防振ゴム12,13に、分割された上下の吊りボルト1a,1bがそれぞれ固定されている。これによって、天井スラブ2に繋がる上側の吊りボルト1aと、天井下地材5に繋がる下側の吊りボルト1bとが構造的に分割されることとなり、躯体である天井スラブ2に発生した振動が防振ゴム12,13で吸収されて、天井仕上材6に振動が伝わるのが抑制される。
天井下地材5と吊りボルト1の上端側との間には、天井ブレース21が斜めに架け渡されて設けられている。本実施形態では、本発明に係る天井ブレース連結構造20は、天井ブレース21の下端部と天井下地材5との連結部分に採用されている。なお、本実施形態では、天井ブレース21と天井下地材5とが連結されているが、これに限定されるものではなく、天井下地材5の上部にブレース受部材を別体で固定し、このブレース受部材と天井ブレース21とを、かかる天井ブレース連結構造20によって連結するようにしてもよい。
天井ブレース21は、例えばリップ付C型チャンネルにて構成されている。天井ブレース21の上端部は、公知のブレース取付金具15を介して吊りボルト1の上端部に固定されている。ブレース取付金具15は、吊りボルト1に係止されたプレート部16に、天井ブレース21から延びるボルト17を螺合させることで、吊りボルト1の上端部に天井ブレース21を接合している。
本実施形態に係る天井ブレース連結構造20は、図1および図2に示すように、天井下地材5に設けられる第一ブラケット22と、天井ブレース21の先端に設けられる第二ブラケット23と、第一ブラケット22と第二ブラケット23(請求項における天井ブレース21の先端部に相当)との間に介設される弾性部材24と、第一ブラケット22と第二ブラケット23と弾性部材24とを一体的に締め付けて固定するための締付手段25とを備えている。さらに、第一ブラケット22には、当該第一ブラケット22に一体化して固定され、第二ブラケット23と弾性部材24を挟み込むための第三ブラケット26が取り付けられている。
締付手段25は、例えばボルト25aおよびナット25bにて構成されており、ボルト25aが、第一ブラケット22、第二ブラケット23、弾性部材24および第三ブラケット26に挿通される挿通部材を構成している。
第一ブラケット22は、例えばアルミニウム製のプレートにて構成されており、天井下地材5にビス27c等の固定手段を介して固定されている。第一ブラケット22は、下側が天井下地材5との接合部22aを構成し、上側が上方に突出して天井ブレース21との連結部22bを構成している。第一ブラケット22の上側の連結部22bには、挿通部材であるボルト25aの軸径と同径であってボルト25aが挿通する同径挿通孔30が形成されている。また、この連結部22bには、第三ブラケット26を固定するためのボルト27aが挿通する挿通孔28が形成されている。
第二ブラケット23は、例えばアルミニウム製のプレートにて構成されており、天井ブレース21の下端部の側面に、ビス27c等の固定手段を介して固定されている。なお、本実施形態では、第二ブラケット23は、プレートを二枚重ね合わせて構成されているが、これに限定されるものではなく、一枚の厚いプレートにて構成してもよいのは勿論である。第二ブラケット23は、その先端が、天井ブレース21の先端からその軸方向先方に突出するように取り付けられている。第二ブラケット23の先端部(天井ブレース21の先端部)には、ボルト25aの軸径よりも大径であってボルト25aが挿通する大径挿通孔31が形成されている。
弾性部材24は、所定の厚さの円盤状を呈しており、例えば硬度60度の天然ゴムにて形成されている。弾性部材24には、大径挿通孔31よりも小径であってボルト25aが挿通する弾性挿通孔32が形成されている。弾性挿通孔32は、弾性部材24の中心部に位置し、厚さ方向に貫通して形成されている。弾性挿通孔32は、軸方向(弾性部材24の厚さ方向)に向かうに連れて孔径が拡径するテーパ状に形成されている。弾性挿通孔32の小径部32aは、ボルト25aと同径に形成され、大径部32bは、大径挿通孔31と同径に形成されている。本実施形態では、小径部32aが第二ブラケット23側になるように、弾性部材24が配置されている。
弾性部材24は、二つ設けられており、第二ブラケット23の両面にそれぞれ接着されて固定されている。弾性部材24は、弾性挿通孔32と第二ブラケット23の大径挿通孔31が互いに同芯状に並ぶように、第二ブラケット23に固定されている。
第三ブラケット26は、例えばアルミニウム製のプレートにて構成されており、平面視Z字状に形成されている。第三ブラケット26は、第一ブラケット22と当接する当接部26aと、この当接部26aからオフセットして配置された挟持部26bとを有している。挟持部26bは、二つの弾性部材24,24と第二ブラケット23の厚さ分より僅かに短い寸法でオフセットしており、第一ブラケット22と合わせて、弾性部材24,24と第二ブラケット23を挟み込むようになっている。
当接部26aには、第一ブラケット22と第三ブラケット26を固定するためのボルト27aが挿通する挿通孔29が形成されている。挟持部26bには、挿通部材であるボルト25aの軸径と同径であってボルト25aが挿通する同径挿通孔33が形成されている。図3および図4に示すように、この同径挿通孔33は、第一ブラケット22に形成された同径挿通孔30と同等の形状であって、同径挿通孔30、大径挿通孔31および弾性挿通孔32,32と、互いに同芯状に並ぶように構成されている。
同径挿通孔30,33、大径挿通孔31および弾性挿通孔32,32には、ボルト25aが挿通され、ナット25bによって締め付けられている。これによって、弾性部材24,24が圧縮された状態で、第一ブラケット22と第三ブラケット26間で挟持されることとなる。
次に、前記構成の天井ブレース連結構造20の施工手順を説明する。
図1に示すように、まず、天井ブレース21の先端に、ビス27cを用いて第二ブラケット23を固定する。この工程と前後して、第二ブラケット23の両面に、弾性部材24を接着しておく。このとき、弾性部材24の弾性挿通孔32と第二ブラケット23の大径挿通孔31が互いに同芯状に並ぶ(図3及び図4参照)ように、弾性部材24を第二ブラケット23に固定する。このように、弾性部材24を、第二ブラケット23に接着することで、弾性挿通孔32と大径挿通孔31との位置関係が固定され、容易に位置決めがなされる。また、天井下地材5の所定位置に、ビス27cを用いて第一ブラケット22を固定しておく。
その後、天井ブレース21の先端部の第二ブラケット23の大径挿通孔31が、第一ブラケット22の同径挿通孔30と同芯状に並ぶように、天井ブレース21を配置する。そして、第二ブラケット23および弾性部材24,24を挟み込むように、第三ブラケット26を配置して、ボルト27aおよびナット27bを用いて、第三ブラケット26を第一ブラケット22に固定する。
そして、ボルト25aを、第三ブラケット26の同径挿通孔33、弾性部材24の弾性挿通孔32、第二ブラケット23の大径挿通孔31、弾性部材24の弾性挿通孔32および第一ブラケット22の同径挿通孔30に挿通させて、ナット25bで締め付ける。このとき、弾性部材24,24は第二ブラケット23に接着されて、弾性挿通孔32,32と大径挿通孔31は同芯状の状態を保持しているので、ボルト25aを各挿通孔33,32,31,32,30に挿通させるだけで、これらが全て同芯状に並ぶこととなる。また、ナット25bでボルト25aを締め付けることによって、弾性部材24が圧縮された状態で、挟持される。これによって、弾性部材24は、第一ブラケット22および第三ブラケット26に対しても、表面摩擦力を持って固定されることとなる。
以上の工程で形成された天井ブレース連結構造20によれば、天井ブレース21と天井下地材5とは剛接合されておらず、大径挿通孔31と同径挿通孔30,33の径寸法の差分の範囲内で、弾性部材24を変形させながら相対移動することができるので、防振性能を発揮することができる。具体的には、列車の走行等の要因によって躯体に発生する軽微な振動に対しては、躯体(天井スラブ2)からの振動が小さいので、天井ブレース21と天井下地材5との相対移動量が少なく、ボルト25aは、大径挿通孔31の内周面に干渉することなく、相対移動する。このとき、ボルト25aは、大径挿通孔31と同径挿通孔30,33の径寸法の差分の範囲内で、弾性部材24の弾性挿通孔32の内周面を押し広げるように相対移動するので、弾性部材24は、その復元力によってボルト25aを元の位置に戻そうとする。また、弾性部材24は、第二ブラケット23の接合面と第一ブラケット22(第三ブラケット26)の接合面とが互いにずれることによって、厚さ方向とは直交する方向に引っ張られて断面平行四辺形状に変形するので、この変形に対する復元力も発生する。これによって、振動が弾性部材24に吸収され、防振性能が発揮される。
特に、弾性挿通孔32がテーパ状に形成されているので、振動が小さく相対移動量が小さいときは、ボルト25aに対抗する弾性部材24の断面積が小さく、小さい復元力で振動が吸収される。一方、振動が大きく相対移動量が大きくなるときは、ボルト25aに対抗する弾性部材24の断面積が大きくなるので、大きい復元力で振動が吸収される。このように、振動量に応じて復元力が自動的に調節され、効率的に防振を行うことができる。
また、本実施形態に係る天井ブレース連結構造20によれば、第三ブラケット26の同径挿通孔33、弾性部材24の弾性挿通孔32、第二ブラケット23の大径挿通孔31、弾性部材24の弾性挿通孔32および第一ブラケット22の同径挿通孔30が同芯状に並ぶように構成されているので、ボルト25aは、大径挿通孔31の内周面全周から一定距離離反した場所に位置することとなる。したがって、ボルト25aが、弾性部材24に対して上下左右いずれの方向にも相対移動可能となり、どの方向の振動に対しても弾性部材24の復元力が得られ、防振性能を発揮することができる。
さらに、かかる天井ブレース連結構造20によれば、耐震性能も発揮することができる。具体的には、図5に示すように、地震等によって躯体(天井スラブ2)に水平方向の力がかかったとき(図5では右側への力がかかった場合を例示している)に、天井ブレース21が、天井下地材5に対して水平方向に相対移動(図5では右側へ移動)する。このとき、ボルト25aは天井下地材5に対して位置が変わらず、天井ブレース21の大径挿通孔31が、ボルト25aに対して図5中、右側へ相対移動することになる。そして、弾性部材24は、ボルト25aの側面によって側方に押し広げられながら、第二ブラケット23とともに、右側へ相対移動する。ここで、弾性挿通孔32は、テーパ状に形成されているので、天井ブレース21の相対移動量が大きくなるに連れて、ボルト25aの押圧力に対抗する弾性部材24の断面積が徐々に大きくなり、水平方向の力をその大きさに応じた復元力で効率的に吸収できる。
躯体にかかる水平方向の力が小さい場合には、弾性部材24の弾性力によって水平方向の力が吸収される。一方、躯体にかかる水平方向の力が大きい場合には、弾性部材24の変形では吸収しきれずに、図5に示すように、天井下地材5と一体的に固定されたボルト25aが、第二ブラケット23の大径挿通孔31の内周面に当接する。これによって、天井ブレース21と天井下地材5との相対移動が規制され、逆側の水平方向の力が加わるまでは、天井ブレース21と天井下地材5とが一体的に移動する。すなわち、天井ブレース21と天井下地材5とは、大径挿通孔31と同径挿通孔30の径寸法の差分以上は相対移動しないので、吊りボルト1、天井下地材5や天井ブレース21等の変形を防止することができるとともに、天井下地材5と壁面(図示せず)との干渉を防止することができ、耐震性能を発揮できる。
次に、本発明に係る天井ブレース連結構造20を採用した天井構造を用いて行った耐震性能試験および防振性能試験について説明する。
(耐震性能試験)
耐震性能試験は、在来鋼製天井下地材を用いて形成した2100mm×2700mmの天井に防振ハンガーを設けた従来型試験体(天井ブレースなし)と、前記天井に防振ハンガーを設けるとともに本発明に係る天井ブレース連結構造を採用して天井ブレースを連結した本発明型試験体と、前記天井に防振ハンガーを設けるとともに前記天井ブレース連結構造から弾性部材を取り除いた連結構造を採用して天井ブレースを連結した剛接合型試験体とを用いて、静的水平加力実験をすることによって行った。
天井下地材は、JIS19形を使用し、野縁を長手方向(2700mm方向)に沿うように配置し300mmピッチで並列している。野縁の上には、その直交方向に沿うように野縁受けを配置し900mmピッチで並列している。各野縁受けには、900mmピッチで長さ1500mmの吊りボルトが接続されている。野縁の下には、働き幅105mmのアルミニウム製スパンドレル(0.8mm)からなる天井仕上材を、ネジ径3mmのビスにより固定している。
吊りボルトの中間部に介設された防振ハンガーは、昭和電線デバイステクノロジー社製のMSF−30−Sを用いた。また、天井ブレース連結構造および天井ブレースは、前記実施形態と同等の構成のものを採用した。
水平加力は、油圧シリンダに接続したC型鋼を天井仕上材の4点に固定し、油圧シリンダを作動させることで、天井仕上材の4点に一様に加力した。加力方向は、野縁の長手方向とした。加力の荷重レベルはロードセルを用いて測定し、天井面の変位は、天井仕上材の端部に設置した変位計によって測定した。
従来型試験体では、図7に示すように、加力荷重が50Nで変位が約50mm、加力荷重が100Nで変位が約100mmとなっており、小さい加力で非常に大きい変位が発生することが判った。
図8に示すように、本発明型試験体では、最大耐力3465Nのときの変位が約28mm(図8中、グラフL1参照)であり、また、剛接合型試験体では、最大耐力3537Nのときの変位が約30mm(図8中、グラフL2参照)であり、従来型試験体と比較して、非常に大きい加力でも、変位を小さく抑えられ、防振性能が非常に高くなっていることがわかった。これは、天井ブレースを設けたことが大きく寄与していると考えられる。
ここで、本発明型試験体と剛接合型試験体とを比較すると、最大耐力と変位に殆んど差は見られず、弾性部材を設けても、防振性能が低下していないことが判った。これは、図5に示すように、かかる天井ブレース連結構造20では、天井ブレース21と天井下地材5との相対移動範囲が、第二ブラケット23に形成された大径挿通孔31と同径挿通孔30,33の径寸法の差分内に制限されており、ボルト25aが大径挿通孔31に当接すると、天井ブレース21と天井下地材5は一体化されるので、天井ブレース21に応力が伝達されるからであると考えられる。
(防振性能試験)
防振性能試験は、下記の表1(防振性能試験における試験体A〜Cの仕様を示した表)に示した各試験体を、列車が通過する線路が敷設された高架の下部の居室の天井スラブに設けて、各種列車の通過、停車、発車時における振動測定を行った。振動測定は、各試験体の天井スラブと天井仕上材(天井面)にそれぞれ振動ピックアップ装置を設置して、データレコーダーを用いて信号を録音した。
Figure 0005132456
表1に示すように、試験体Aは、天井スラブから吊りボルトを用いて測定用天井面が吊り下げられている。吊りボルトには、防振ハンガー(昭和電線デバイステクノロジー社製のMSF−30−D)が介設されている。試験体Aには、天井ブレースは設けられていない。試験体Bは、試験体Aに天井ブレースを設け、前記実施形態と同様の天井ブレース連結構造(弾性部材に、硬度60度で厚さ4mmの天然ゴムを2枚使用)によって、天井ブレースを天井下地材に連結している。試験体Cは、試験体Aに天井ブレースを設け天井ブレースと天井下地材とを剛接合している。
下記の表2に防振性能試験における試験体A〜Cの振動レベルと効果を示す。
Figure 0005132456
表2に示すように、試験体Aでは、天井面での振動レベルを天井スラブでの振動レベルで割った数値(効果)が、車両の通過時には0.6〜0.88で、車両の停車、発車時には、0.54〜0.84であり、効果の数値を平均すると0.7であった。なお、表2中、振動のレベルの数値の単位はgalである。
試験体Bでは、効果の数値が、車両の通過時には0.93〜0.95で、車両の停車、発車時には、0.78〜1.17であり、効果の数値を平均すると1.01であった。
試験体Cでは、効果の数値が、車両の通過時には1.82〜2.97で、車両の停車、発車時には、1.34〜2.79であり、効果の数値を平均すると2.16であった。
以上のように、天井ブレースのない従来型の防振天井である試験体Aでは、効果が0.7と最良の結果を示し、本発明に係る天井ブレース連結構造である試験体Bでは、1.01倍の増幅率で、天井ブレースを剛接合した試験体Cでは、2倍以上の増幅率となっている。すなわち、本発明に係る天井ブレース連結構造によれば、防振性能に特化した天井ブレースのない防振天井と比較すると、防振性能は若干劣るものの、天井ブレースを設けた通常の天井と比較すると、防振性能が非常に高くなっていることが判った。
以上、本発明を実施するための形態についてそれぞれ説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、材質、形状や大きさなど適宜設計変更が可能である。例えば、前記実施形態では、かかる天井ブレース連結構造20を、天井ブレース21と天井下地材5との連結部分に採用しているが、天井ブレース21と吊りボルト1の上端部との連結部分に採用してもよい。
また、前記実施形態では、天井ブレース21の先端に第二ブラケット23を固定して、この第二ブラケット23に大径挿通孔31を形成しているが、第二ブラケットを設けずに、天井ブレース21の先端部に大径挿通孔を直接形成するようにしてもよい。
さらに、前記実施形態では、天井ブレース21の先端部の第二ブラケット23に大径挿通孔31を形成し、天井下地材5側の第一ブラケット22および第三ブラケット26に同径挿通孔30,33を形成しているが、第二ブラケットまたは天井ブレースの先端に同径挿通孔を形成し、第一ブラケットおよび第三ブラケットに大径挿通孔を形成してもよい。
また、前記実施形態では、弾性部材24の弾性挿通孔32をテーパ状に形成しているが、これに限定されるものではなく、内径が変化しない円柱状の孔であってもよい。この場合、ボルト25aの軸径と同径の内径とする。
本発明に係る天井ブレース連結構造を示した分解斜視図である。 本発明に係る天井ブレース連結構造を示した側面図である。 本発明に係る天井ブレース連結構造を示した断面図である。 本発明に係る天井ブレース連結構造を示した平面図である。 天井ブレースと天井下地材とが相対移動した状態を示した側面図である。 本発明に係る天井ブレース連結構造を採用した天井構造を示した側面図である。 耐震性能試験における従来型試験体の荷重と変位の関係を示したグラフである。 耐震性能試験における本発明型試験体と剛接合型試験体の荷重と変位の関係を示したグラフである。
符号の説明
1 吊りボルト
5 天井下地材
20 天井ブレース連結構造
21 天井ブレース
22 第一ブラケット(ブラケット)
24 弾性部材
25 締付手段
25a ボルト(挿通部材)
30 同径挿通孔
31 大径挿通孔
32 弾性挿通孔
33 同径挿通孔

Claims (4)

  1. 天井裏で格子状に組み付けられる天井下地材とこの天井下地材を吊り下げる吊りボルトの上端側との間に架け渡される天井ブレースを、前記天井下地材または前記吊りボルトに連結する構造において、
    前記天井下地材または前記吊りボルト側に設けられるブラケットと、
    前記ブラケットと天井ブレースの先端部との間に介設される弾性部材と、
    前記ブラケットと前記天井ブレースの先端部と前記弾性部材とに挿通する挿通部材を有し、これらを一体的に締め付けて固定するための締付手段とを備えており、
    前記ブラケットおよび前記天井ブレースの先端部のいずれか一方には、前記挿通部材よりも大径であって前記挿通部材が挿通する大径挿通孔が形成され、
    前記弾性部材には、前記大径挿通孔よりも小径であって前記挿通部材が挿通する弾性挿通孔が形成され、
    前記ブラケットおよび前記天井ブレースの先端部のいずれか他方には、前記挿通部材と同径であって前記挿通部材が挿通する同径挿通孔が形成されている
    ことを特徴とする天井ブレース連結構造。
  2. 前記弾性挿通孔は、軸方向に向かうに連れて孔径が拡径するテーパ状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の天井ブレース連結構造。
  3. 前記大径挿通孔、前記弾性挿通孔および前記同径挿通孔が互いに同芯状に並ぶように、前記ブラケット、前記弾性部材および前記天井ブレースの先端部が配置されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の天井ブレース連結構造。
  4. 前記弾性部材は、前記天井ブレースの先端部の表面に接着されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の天井ブレース連結構造。
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