JP5131176B2 - 動力出力装置および車両並びに異常判定方法 - Google Patents

動力出力装置および車両並びに異常判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、動力出力装置および車両並びに異常判定方法に関する。
従来、この種の動力出力装置としては、エンジンと、エンジンの始動に用いられる交流モータと、車両走行用のモータと、交流モータや車両走行用のモータを駆動するインバータを介して交流モータや車両走行用のモータと電力をやりとりするメインバッテリと、インバータに対してメインバッテリと並列に接続されたDC/DCコンバータと、DC/DCコンバータに対して補機負荷やECUと並列に接続された補機バッテリと、を備え、低温時には、エンジンの始動が完了するまではDC/DCコンバータの動作モードに低電圧モードを設定し、エンジンの始動が完了したと判断したときにDC/DCコンバータの動作モードを低電圧モードから高電圧モードに切り替え、高電圧モードまたは低電圧モードに対応する電圧指令(例えば、前者が14.0V、後者が10.5V)となるようDC/DCコンバータをフィードバック制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、低温時には、エンジンの始動が完了するまで、補機バッテリの電圧が補機負荷の動作電圧下限値(例えば11V)を下回ったときに補機負荷の異常と診断する異常診断動作を停止することにより、エンジンの始動時に補機負荷の異常と診断されることによる車両のシステムダウンを回避している。
特開2008−74195号公報
ところで、こうしたハード構成で、エンジンの始動が完了するまでは制御用下限電圧に比較的低い電圧(始動時電圧)を設定しエンジンの始動完了後は制御用下限電圧に始動時電圧より高い電圧(始動後電圧)を設定し、メインバッテリの電圧が制御用下限電圧以上となるように交流モータと車両走行用のモータとを制御するものにおいて、エンジンの始動時にメインバッテリの電圧の異常をより適正に判定できるようにするよう望まれることがある。
本発明の動力出力装置および車両並びに異常判定方法は、内燃機関の始動時に蓄電装置の電圧の異常をより適正に判定できるようにすることを主目的とする。
本発明の動力出力装置および車両並びに異常判定方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
内燃機関と、
前記内燃機関の出力軸に動力を入出力可能な第1の電動機と、
前記駆動軸に動力を入出力可能な第2の電動機と、
前記第1の電動機および前記第2の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電装置と、
前記蓄電装置の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記内燃機関を運転停止しているときには第1の電圧を制御用下限電圧に設定し、前記内燃機関を始動する機関始動時には前記第1の電圧より低い第2の電圧を前記制御用下限電圧に設定する制御用下限電圧設定手段と、
前記駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力され、前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記第1の電動機により前記内燃機関がモータリングされて始動され、前記検出された蓄電装置の電圧が前記設定された制御用下限電圧未満のときに該蓄電装置の電圧が該制御用下限電圧以上となるよう前記内燃機関と前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する制御手段と、
前記設定された制御用下限電圧が前記第1の電圧のときには前記検出された蓄電装置の電圧が前記第1の電圧より低い第3の電圧未満のときに前記蓄電装置の電圧の異常を判定し、前記設定された制御用下限電圧が前記第1の電圧より低いときには前記検出された蓄電装置の電圧が前記第2の電圧および前記第3の電圧より低い第4の電圧未満のときに前記蓄電装置の電圧の異常を判定する異常判定手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の動力出力装置では、駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力され、内燃機関の始動指示がなされたときに第1の電動機により内燃機関がモータリングされて始動され、蓄電装置の電圧が制御用下限電圧未満のときに蓄電装置の電圧が制御用下限電圧以上となるよう内燃機関と第1の電動機と第2の電動機とを制御するものにおいて、内燃機関を運転停止しているときには第1の電圧を制御用下限電圧に設定し、内燃機関を始動する機関始動時には第1の電圧より低い第2の電圧を制御用下限電圧に設定する。そして、制御用下限電圧が第1の電圧のときには蓄電装置の電圧が第1の電圧より低い第3の電圧未満のときに蓄電装置の電圧の異常を判定し、制御用下限電圧が第1の電圧より低いときには蓄電装置の電圧が第2の電圧および第3の電圧より低い第4の電圧未満のときに蓄電装置の電圧の異常を判定する。内燃機関を始動する機関始動時には、制御用下限電圧を低くすることによって蓄電装置の電圧も低下しやすいが、蓄電装置の電圧が第2の電圧や第3の電圧より低い第4の電圧未満のときに蓄電装置の電圧の異常を判定することにより、蓄電装置の電圧の異常をより適正に判定することができる。ここで、「蓄電装置」は、リチウムイオン二次電池であるものとすることもできる。
こうした本発明の動力出力装置において、前記制御用下限電圧設定手段は、前記機関始動時に前記第2の電圧を前記制御用下限電圧に設定し、前記内燃機関の始動を完了した後には前記第2の電圧から前記第1の電圧に向けて該第1の電圧となるまで時間の経過に従って大きくなるよう前記制御用下限電圧を設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の始動を完了した後には、制御用下限電圧を第2の電圧から第1の電圧に直ちに変更するものに比して蓄電装置の電圧が制御用下限電圧により追従しやすくなる。そして、本発明の動力出力装置では、内燃機関の始動が完了した後で制御用下限電圧が第1の電圧より低いとき(第1の電圧となる前)には、蓄電装置の電圧が第2の電圧や第3の電圧より低い第4の電圧未満のときに蓄電装置の電圧の異常を判定することにより、蓄電装置の電圧が制御用下限電圧の上昇に追従して上昇しているときに蓄電装置の電圧の異常を誤判定してしまうのを抑制することができる。
また、本発明の動力出力装置において、前記制御用下限電圧設定手段は、前記蓄電装置の温度が所定温度未満である冷間時における前記機関始動時に前記第2の電圧を前記制御用下限電圧に設定する手段である、ものとすることもできるし、前記蓄電装置が放電する際の最大許容電力としての出力制限が所定電力未満である低出力制限時における前記機関始動時に前記第2の電圧を前記制御用下限電圧に設定する手段である、ものとすることもできる。前者は、冷間時には、通常、蓄電装置の内部抵抗が大きく蓄電装置から放電する際に蓄電装置の電圧が低下しやすい、という理由に基づく。また、後者は、低出力制限時には、出力制限そのものが比較的大きく制限されるため、蓄電装置の電圧が制御用下限電圧未満のときに蓄電装置の電圧が制御用下限電圧以上のときに比して第1の電動機と第2の電動機とにより消費される消費電力の和が制限されるよう第1の電動機と第2の電動機とを制御する場合に蓄電装置の電圧ができるだけ制御用下限電圧未満とならないようにする、という理由に基づく。なお、前者の場合には、冷間時でないときには機関始動時であるか否かに拘わらず第1の電圧を制御用下限電圧に設定するものとしてもよく、後者の場合には、低出力制限時でないときには機関始動時であるか否かに拘わらず第1の電圧を制御用下限電圧に設定するものとしてもよい。
さらに、本発明の動力出力装置において、前記制御手段は、前記検出された蓄電装置の電圧が前記設定された制御用下限電圧未満のとき、前記検出された蓄電装置の電圧が前記設定された制御用下限電圧以上のときに比して前記第1の電動機と前記第2の電動機とにより消費される消費電力の和が制限されるよう前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する手段である、ものとすることもできるし、前記検出された蓄電装置の電圧が前記設定された制御用下限電圧以上のときには前記蓄電装置を充放電する際の最大許容電力としての入出力制限を制御用入出力制限に設定し、前記検出された蓄電装置の電圧が前記設定された制御用下限電圧未満のときには前記入出力制限のうち出力制限に対して制限を課して前記制御用入出力制限を設定し、前記設定した制御用入出力制限の範囲内で前記蓄電装置が充放電されるよう前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する手段である、ものとすることもできる。
あるいは、本発明の動力出力装置において、前記駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記第1の電動機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段、を備えるものとすることもできる。ここで、「3軸式動力入出力手段」は、シングルピニオン式やダブルピニオン式の遊星歯車機構であるものとすることもできるし、デファレンシャルギヤであるものとすることもできる。
本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、前記内燃機関の出力軸に動力を入出力可能な第1の電動機と、前記駆動軸に動力を入出力可能な第2の電動機と、前記第1の電動機および前記第2の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電装置と、前記蓄電装置の電圧を検出する電圧検出手段と、前記内燃機関を運転停止しているときには第1の電圧を制御用下限電圧に設定し、前記内燃機関を始動する機関始動時には前記第1の電圧より低い第2の電圧を前記制御用下限電圧に設定する制御用下限電圧設定手段と、前記駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力され、前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記第1の電動機により前記内燃機関がモータリングされて始動され、前記検出された蓄電装置の電圧が前記設定された制御用下限電圧未満のときに該蓄電装置の電圧が該制御用下限電圧以上となるよう前記内燃機関と前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する制御手段と、前記設定された制御用下限電圧が前記第1の電圧のときには前記検出された蓄電装置の電圧が前記第1の電圧より低い第3の電圧未満のときに前記蓄電装置の電圧の異常を判定し、前記設定された制御用下限電圧が前記第1の電圧より低いときには前記検出された蓄電装置の電圧が前記第2の電圧および前記第3の電圧より低い第4の電圧未満のときに前記蓄電装置の電圧の異常を判定する異常判定手段と、を備える動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなることを要旨とする。
この本発明の車両では、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、内燃機関を始動する機関始動時に蓄電装置の電圧の異常をより適正に判定することができる効果などと同様の効果を奏することができる。
本発明の異常判定方法は、
内燃機関と、前記内燃機関の出力軸に動力を入出力可能な第1の電動機と、駆動軸に動力を入出力可能な第2の電動機と、前記第1の電動機および前記第2の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電装置と、を備え、前記駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力され、前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記第1の電動機により前記内燃機関がモータリングされて始動され、前記蓄電装置の電圧が制御用下限電圧未満のときに該蓄電装置の電圧が該制御用下限電圧以上となるよう前記内燃機関と前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する動力出力装置において蓄電装置の電圧の異常を判定する異常判定方法であって、
(a)前記内燃機関を運転停止しているときには第1の電圧を制御用下限電圧に設定し、前記内燃機関を始動する機関始動時には前記第1の電圧より低い第2の電圧を前記制御用下限電圧に設定し、
(b)前記設定した制御用下限電圧が前記第1の電圧のときには前記蓄電装置の電圧が前記第1の電圧より低い第3の電圧未満のときに前記蓄電装置の電圧の異常を判定し、前記設定した制御用下限電圧が前記第1の電圧より低いときには前記蓄電装置の電圧が前記第2の電圧および前記第3の電圧より低い第4の電圧未満のときに前記蓄電装置の電圧の異常を判定する、
ことを要旨とする。
この本発明の異常判定方法では、駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力され、内燃機関の始動指示がなされたときに第1の電動機により内燃機関がモータリングされて始動され、蓄電装置の電圧が制御用下限電圧未満のときに蓄電装置の電圧が制御用下限電圧以上となるよう内燃機関と第1の電動機と第2の電動機とを制御するものにおいて、内燃機関を運転停止しているときには第1の電圧を制御用下限電圧に設定し、内燃機関を始動する機関始動時には第1の電圧より低い第2の電圧を制御用下限電圧に設定する。そして、制御用下限電圧が第1の電圧のときには蓄電装置の電圧が第1の電圧より低い第3の電圧未満のときに蓄電装置の電圧の異常を判定し、制御用下限電圧が第1の電圧より低いときには蓄電装置の電圧が第2の電圧および第3の電圧より低い第4の電圧未満のときに蓄電装置の電圧の異常を判定する。内燃機関を始動する機関始動時には、制御用下限電圧を低くすることによって蓄電装置の電圧も低下しやすいが、蓄電装置の電圧が第2の電圧や第3の電圧より低い第4の電圧未満のときに蓄電装置の電圧の異常を判定することにより、蓄電装置の電圧の異常をより適正に判定することができる。ここで、「蓄電装置」は、リチウムイオン二次電池であるものとすることもできる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号、例えば、エンジン22を冷却する冷却水の温度を検出する温度センサ23からの冷却水温Twやエンジン22のクランクシャフト26のクランク角を検出する図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションなどが入力されている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、リチウムイオン二次電池として構成されており、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの端子間電圧Vb,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて残容量SOCを演算したり、演算した残容量SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。図2に電池温度Tbと入出力制限Win,Woutの基本値との関係の一例を示し、図3にバッテリ50の残容量SOCと入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す。なお、バッテリ50は、上述したように、リチウムイオン二次電池として構成されており、リチウムイオン二次電池は、ニッケル水素に比して高い出力密度をもち、また、図2および図3に示すように、電池温度Tbが低いときやバッテリ50の残容量SOCが低いときに出力制限Woutが比較的大きく制限される(小さい値となる)と共に残容量SOCの変化と電池温度Tbの変化とに対して入出力制限Win,Woutが大きく変化する高い残容量依存性と温度依存性の入出力特性をもつことが知られている。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。図4は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の端子間電圧Vb,バッテリ50の入出力制限Win,Wout,バッテリ50の制御用の下限電圧としての制御用下限電圧Vbmin*など制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて演算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の端子間電圧Vbは、電圧センサ51aにより検出されたものを、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量SOCとに基づいて設定されたものを、それぞれバッテリECU52から通信により入力するものとした。バッテリ50の制御用下限電圧Vbmin*は、後述の制御用下限電圧設定ルーチンにより設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*とエンジン22に要求される要求パワーPe*とを設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図5に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求パワーPe*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として計算することができる。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じること(Nr=k・V)によって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ること(Nr=Nm2/Gr)によって求めることができる。
続いて、バッテリ50の端子間電圧Vbを制御用下限電圧Vbmin*と比較し(ステップS120)、バッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*以上のときには、バッテリ50の入出力制限Win,Woutを制御用入出力制限Win*,Wout*に設定し(ステップS130)、バッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*未満のときには、バッテリ50の入力制限Winを制御用入力制限Win*に設定すると共にバッテリ50の出力制限Woutと端子間電圧Vbと制御用下限電圧Vbminとに基づいて次式(1)により制御用出力制限Wout*を設定する(ステップS140)。ここで、式(1)は、制御用下限電圧Vbmin*と端子間電圧Vbとの差分を打ち消すためのフィードバック制御における関係式であり、式(1)中、「k1」は比例項のゲインである。こうして設定される制御用出力制限Wout*は、バッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*未満のときには、端子間電圧Vbが低いほど制限される傾向(値が小さくなる傾向)となる。
Wout*=Wout-k1(Vbmin*-Vb) (1)
続いて、要求パワーPe*を閾値Prefと比較する(ステップS150)。ここで、閾値Prefは、エンジン22の運転を停止してモータMG2から出力された動力だけで走行するモータ運転モードの範囲を設定するものであり、モータMG2の性能やバッテリ50の容量などにより設定することができる。要求パワーPe*が閾値Prefより大きいときには、エンジン22が運転されているか否かを判定し(ステップS160)、エンジン22が運転されていると判定されたときには、要求パワーPe*に基づいてエンジン22を運転すべき運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS170)。この設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて行なわれる。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図6に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
次に、エンジン22の目標回転数Ne*とモータMG2の回転数Nm2と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いて次式(2)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と入力したモータMG1の回転数Nm1とエンジン22の目標トルクTe*と動力分配統合機構30のギヤ比ρとに基づいて式(3)によりモータMG1から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm1tmpを計算する(ステップS180)。ここで、式(2)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。エンジン22からパワーを出力している状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図7に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。なお、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。式(2)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。また、式(3)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(3)中、右辺第2項の「k2」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k3」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) (2)
Tm1tmp=-ρ・Te*/(1+ρ)+k2・(Nm1*-Nm1)+k3・∫(Nm1*-Nm1)dt (3)
続いて、式(4)および式(5)を共に満たすモータMG1から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tm1min,Tm1maxを設定し(ステップS190)、設定した仮トルクTm1tmpを式(6)によりトルク制限Tm1min,Tm1maxで制限してモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS200)。ここで、式(4)はモータMG1やモータMG2によりリングギヤ軸32aに出力されるトルクの総和が値0から要求トルクTr*までの範囲内となる関係であり、式(5)はモータMG1とモータMG2とにより入出力される電力の総和が制御用入出力制限Win*,Wout*の範囲内となる関係である。トルク制限Tm1min,Tm1maxの一例を図8に示す。トルク制限Tm1min,Tm1maxは、図中斜線で示した領域内のトルク指令Tm1*の最大値と最小値として求めることができる。
0≦−Tm1/ρ+Tm2・Gr≦Tr* (4)
Win*≦Tm1・Nm1+Tm2・Nm2≦Wout* (5)
Tm1*=max(min(Tm1tmp,Tm1max),Tm1min) (6)
そして、要求トルクTr*に設定したトルク指令Tm1*を動力分配統合機構30のギヤ比ρで除したものを加えて更に減速ギヤ35のギヤ比Grで除してモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを次式(7)により計算すると共に(ステップS210)、バッテリ50の制御用入出力制限Win*,Wout*と設定したトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との差分をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tm2min,Tm2maxを次式(8)および式(9)により計算すると共に(ステップS220)、設定した仮トルクTm2tmpを式(10)によりトルク制限Tm2min,Tm2maxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS230)。ここで、式(7)は、図7の共線図から容易に導くことができる。
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (7)
Tm2min=(Win*-Tm1*・Nm1)/Nm2 (8)
Tm2max=(Wout*-Tm1*・Nm1)/Nm2 (9)
Tm2*=max(min(Tm2tmp,Tm2max),Tm2min) (10)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信し(ステップS240)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、バッテリ50の制御用入出力制限Win*,Wout*の範囲内でエンジン22を効率よく運転して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。しかも、バッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*未満のときには、端子間電圧Vbが低いほど制限される傾向(値が小さくなる傾向)に設定した制御用出力制限Wout*と制御用入力制限Win*(=Win)との範囲内でモータMG1,MG2を制御することにより、バッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*以上のときに比してモータMG1,MG2の消費電力の和が制限される即ちバッテリ50からの放電電力が制限されることになり、バッテリ50の電圧降下を抑制することができる。
ステップS150で要求パワーPe*が閾値Pref以下のときには、モータ運転モードで走行すべきであると判断し、エンジン22が停止されるようエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*に共に値0を設定し(ステップS250)、モータMG1の仮トルクTm1tmpに値0を設定し(ステップS260)、ステップS190〜S240の処理を実行して、駆動制御ルーチンを終了する。こうしてエンジン22が停止した以降は、バッテリ50の制御用入出力制限Win*,Wout*の範囲内でモータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行する。
ステップS160でエンジン22が運転されていないと判定されたときには、始動時フラグFに値1を設定してバッテリECU52に送信し(ステップS270)、エンジン22をモータリングするためのトルクTstartをモータMG1の仮トルクTm1tmpに設定し(ステップS280)、前述のステップS190の処理と同様にモータMG1のトルク制限Tm1min,Tm1maxを設定し(ステップS290)、設定した仮トルクTm1tmpを前述の式(6)によりトルク制限Tm1min,Tm1maxで制限してモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS300)。そして、エンジン22の回転数Neを燃料噴射制御や点火制御を開始する所定回転数Nref(例えば、1000rpmや1200rpmなど)と比較し(ステップS310)、エンジン22の回転数Neが所定回転数Nref未満のときにはステップS210〜S240の処理を実行して駆動制御ルーチンを終了し、エンジン22の回転数Neが所定回転数Nref以上のときにはエンジン22の燃料噴射や点火制御などの指示をエンジンECU24に送信し(ステップS320)、エンジン22が完爆したか否かを判定し(ステップS330)、エンジン22が完爆していないときにはステップS210〜S240の処理を実行して駆動制御ルーチンを終了し、エンジン22が完爆したときにはエンジン22の始動が完了したと判断して始動時フラグFに値0を設定し(ステップS340)、ステップS210〜S240の処理を実行して駆動制御ルーチンを終了する。ここで、始動時フラグFは、エンジン22を始動する際に値1が設定されるフラグであり、実施例では、イグニッションオン時に初期値としての値0が設定されてバッテリECU52に送信されるものとした。また、所定回転数Nrefは、冷間時(例えば、エンジン22の冷却水温Twが所定温度以下のときなど)には、エンジン22の潤滑油の粘性が高いためにエンジン22のクランキング(モータリング)の際のフリクショントルクが大きくなることやバッテリ50の制御用出力制限Wout*(出力制限Wout)が大きく制限される(値が小さい)ことを考慮して、共振による振動が生じてもエンジン22を迅速に始動するために、エンジン22を始動可能な比較的低い回転数、例えば200rpmや300rpmなどを用いるものとしてもよい。さらに、指示を受信したエンジンECU24は、エンジン22における燃料噴射制御や点火制御を行なう。こうしてエンジン22の始動が完了すると、次回以降にこのルーチンが実行されたときにはステップS160でエンジン22が運転されていると判定される。
以上、図4の駆動制御ルーチンについて説明した。次に、この駆動制御ルーチンで用いられる制御用下限電圧Vbmin*を設定する処理について図9に例示する制御用下限電圧設定ルーチンを用いて設定する。このルーチンは、バッテリECU52により、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
制御用下限電圧設定ルーチンが実行されると、バッテリECU52の図示しないCPUは、まず、始動時フラグFや、温度センサ51cからの電池温度Tbを入力し(ステップS400)、入力した電池温度Tbを閾値Tbrefと比較する(ステップS410)。ここで、始動時フラグFは、イグニッションオン時に設定されたものや図4の駆動制御ルーチンにより設定されたものをハイブリッド用電子制御ユニット70から通信により入力するものとした。また、閾値Tbrefは、電池温度Tbが低い冷間時であるか否かを判定するために用いられるものであり、例えば、−10℃や−15℃などの値を用いることができる。一般に、電池温度Tbが低いときにはバッテリ50の内部抵抗が大きく、バッテリ50が放電する際に端子間電圧Vbが低下しやすい。ステップS410の電池温度Tbと閾値Tbrefとの比較は、こうしたバッテリ50の端子間電圧Vbが比較的低下しやすい状態であるか否かを判定する処理である。
バッテリ50の電池温度Tbが閾値Tbref以上のときには、バッテリ50の端子間電圧Vbが比較的低下しやすい状態ではないと判断し、所定電圧V1(例えば、140Vや150Vなど)をバッテリ50の制御用の下限電圧である制御用下限電圧Vbmin*に設定すると共にこれをハイブリッド用電子制御ユニット70に送信して(ステップS420)、制御用下限電圧設定ルーチンを終了する。
一方、電池温度Tbが閾値Tbref未満のときには、バッテリ50の端子間電圧Vbが比較的低下しやすい状態であると判断し、始動時フラグFの値を調べ(ステップS430)、始動時フラグFが値1のとき、即ち、エンジン22の始動時には、所定電圧V1より低い所定電圧V2(例えば、105Vや110Vなど)を制御用下限電圧Vbmin*に設定すると共にこれをハイブリッド用電子制御ユニット70に送信して(ステップS440)、制御用下限電圧設定ルーチンを終了する。前述したように、冷間時には、バッテリ50が放電する際にバッテリ50の端子間電圧Vbが比較的低下しやすい。また、バッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*未満のときには、端子間電圧Vbが低いほど制御用出力制限Wout*が大きく制限される(値が小さくなる)。さらに、エンジン22の始動時には、モータMG1によりエンジン22をモータリングするために、モータMG1の回転数Nm1が正の範囲ではモータMG1は力行駆動となり、バッテリ50から放電が行なわれやすい。これらを考慮して、冷間時には、比較的低い所定電圧V2を制御用下限電圧Vbmin*に設定するものとした。これにより、エンジン22を始動する際に、バッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*未満となりくくなるから、制御用出力制限Wout*が出力制限Woutに比して制限されるのを抑制することができ、制御用出力制限Wout*が制限されることによってモータMG1から出力されるトルクが大きく制限されるのを抑制できる。この結果、エンジン22の始動性の向上を図ることができる。
ステップS430で始動時フラグFが値0のとき、即ち、エンジン22の始動時でないとき(イグニッションオン時やエンジン22の始動が完了した後など)には、前回このルーチンが実行されたときに設定された制御用下限電圧(前回Vbmin*)を所定電圧V1と比較し(ステップS450)、前回の制御用下限電圧(前回Vbmin*)が所定電圧V1より小さいときには、前回の制御用下限電圧(前回Vbmin*)に所定値ΔVを加えたものと所定電圧V1とのうち小さい方を制御用下限電圧Vbmin*に設定すると共にこれをハイブリッド用電子制御ユニット70に送信して(ステップS460)、制御用下限電圧設定ルーチンを終了する。ここで、所定値ΔVは、制御用下限電圧Vbmin*を所定電圧V2から所定電圧V1に向けて近づける際のこのルーチンの実行間隔(実施例では数msec)における変化量即ちレート処理による変化量であり、モータMG1,MG2やバッテリ50の充放電特性などに基づいて定められる。このように制御用下限電圧Vbmin*を設定することにより、制御用下限電圧Vbmin*は、電池温度Tbが閾値Tbref未満でエンジン22の始動が完了した後(始動時フラグFが値1から値0に切り替わった後)には、所定値ΔVを用いたレート処理により所定電圧V2から所定電圧V1に向けて徐々に近づくことになる。そして、この制御用下限電圧Vbmin*を用いて設定された制御用入出力制限Win*,Wout*の範囲内でモータMG1,MG2が制御される。これらより、実施例では、エンジン22の始動完了時にバッテリ50の端子間電圧Vbが所定電圧V1未満のときには、制御用下限電圧Vbmin*の上昇に追従してバッテリ50の端子間電圧Vbが所定電圧V1以上に上昇することになる。
ステップS450で前回このルーチンが実行されたときに設定された制御用下限電圧(前回Vbmin*)が所定電圧V1に等しいときには、所定電圧V1を今回の制御用下限電圧Vbmin*に設定してこれをハイブリッド用電子制御ユニット70に送信して(ステップS420)、制御用下限電圧設定ルーチンを終了する。
次に、バッテリECU52により実行されるバッテリ50の端子間電圧Vbの異常の判定について図10に例示する異常判定ルーチンを用いて説明する。このルーチンは、バッテリECU52により、図9に例示する制御用下限電圧設定ルーチンと並行して、所定時間毎(例えば、数十msec毎や数百msec毎)に繰り返し実行される。
異常判定ルーチンが実行されると、バッテリECU52の図示しないCPUは、まず、図9の制御用下限電圧設定ルーチンで設定された制御用下限電圧Vbmin*と電圧センサ51aからのバッテリ50の端子間電圧Vbとを入力し(ステップS500)、入力した制御用下限電圧Vbmin*が所定電圧V1か否かを判定し(ステップS510)、制御用下限電圧Vbmin*が所定電圧V1のときには、所定電圧V1より低い所定電圧V3(例えば、125Vや130Vなど)をバッテリ50の許容下限電圧Vblimに設定し(ステップS520)、制御用下限電圧Vbmin*が所定電圧V1より小さいときには、所定電圧V2や所定電圧V3より低い所定電圧V4(例えば、95Vや100Vなど)をバッテリ50の許容下限電圧Vblimに設定する(ステップS530)。そして、バッテリ50の端子間電圧Vbを許容下限電圧Vblimと比較し(ステップS540)、バッテリ50の端子間電圧Vbが許容下限電圧Vblim以上のときにはそのまま異常判定ルーチンを終了し、バッテリ50の端子間電圧Vbが許容下限電圧Vblim未満のときにはバッテリ50の端子間電圧Vbの異常を判定して(ステップS550)、異常判定ルーチンを終了する。このようにバッテリ50の端子間電圧Vbの異常を判定することにより、冷間時のエンジン22の始動時などバッテリ50の端子間電圧Vbが比較的低下しやすい状態のときに、エンジン22の始動時にバッテリ50の端子間電圧Vbの異常をより適正に判定することができると共に冷間時におけるエンジン22の始動が完了した後に制御用下限電圧Vbmin*の上昇に追従してバッテリ50の端子間電圧Vbが上昇していくときにバッテリ50の端子間電圧Vbの異常を誤判定してしまうのを抑制することができる。なお、バッテリ50の端子間電圧Vbの異常が判定されたときには、例えば、図示しない警告灯の点灯などを行なうことによって運転者に報知することができる。
図11は、始動時フラグF,バッテリ50の端子間電圧Vb,制御用下限電圧Vbmin*,許容下限電圧Vblimの時間変化の様子の一例を示す説明図である。図11に例示するように、エンジン22を運転停止しているときには、始動時フラグFに値0が設定されていて制御用下限電圧Vbmin*に所定電圧V1が設定されていると共に許容下限電圧Vblimに所定電圧V3が設定されている。そして、エンジン22を始動する際に始動時フラグFに値1が設定されると(時刻t1)、制御用下限電圧Vbmin*を所定電圧V1から所定電圧V2に切り替えると共に許容下限電圧Vblimを所定電圧V3から所定電圧V4に切り替える。冷間時にエンジン22を始動する際には、制御用下限電圧Vbmin*を低くすることにより、制御用出力制限Wout*が制限されにくく(小さくなりにくく)なりモータMG1,MG2の駆動が制限されにくくなるため、バッテリ50の端子間電圧Vbが低下しやすくなる。しかし、このときに、許容下限電圧Vblimも低くすることにより、エンジン22の始動時にバッテリ50の端子間電圧Vbが許容下限電圧Vblim未満となるのを抑制することができる。また、実施例では、エンジン22の始動時でも、バッテリ50の端子間電圧Vbが異常か否かの判定を行なうため、即ち、バッテリ50の端子間電圧Vbが異常か否かの判定を停止するものではないため、バッテリ50の端子間電圧Vbが過剰に低下したときにはバッテリ50の端子間電圧Vbの異常を判定することができる。そして、エンジン22の始動が完了して始動時フラグFに値0が設定されると(時刻t2)、制御用下限電圧Vbmin*を所定電圧V2から所定電圧V1に向けて徐々に上昇させ、制御用下限電圧Vbmin*が所定電圧V1になったとき(時刻t3)に許容下限電圧Vblimを所定電圧V4から所定電圧V3に切り替える。エンジン22の始動完了直後には、バッテリ50の端子間電圧Vbが所定電圧V3より低いことがあるが、このときには、制御用下限電圧Vbmin*の上昇に追従してバッテリ50の端子間電圧Vbが上昇する。そして、制御用下限電圧Vbmin*が所定電圧V1になるのを待って許容下限電圧Vblimを上昇させることにより、エンジン22の始動完了時に許容電圧を上昇させるものに比してバッテリ50の端子間電圧Vbの異常を誤判定するのを抑制することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、バッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*以上のときにはバッテリ50の入出力制限Win,Woutを制御用入出力制限Win*,Wout*に設定しバッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*未満のときにはバッテリ50の出力制限Woutに制限を課して制御用出力制限Wout*を設定すると共に入力制限Winを制御用入力制限Win*に設定し、設定した制御用入出力制限Win*,Wout*の範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されると共にエンジン22の始動指示がなされたときにモータMG1によりエンジン22がモータリングされて始動されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するものにおいて、冷間時にエンジン22を始動する際には、エンジン22を運転停止しているときの所定電圧V1より低い所定電圧V2を制御用下限電圧Vbmin*に設定し、バッテリ50の端子間電圧Vbが比較的低い所定電圧V4未満のときにバッテリ50の端子間電圧Vbの異常を判定するから、エンジン22を始動する際にバッテリ50の端子間電圧Vbの異常をより適正に判定することができる。また、冷間時にエンジン22を始動を完了した後には、所定電圧V2から所定電圧V1に向けて所定電圧V1となるまで時間の経過に従って大きくなるよう制御用下限電圧Vbmin*を設定し所定電圧V1となった以降は所定電圧V1を制御用下限電圧Vbmin*に設定し、制御用下限電圧Vbmin*が所定電圧V1未満のときにはバッテリ50の端子間電圧Vbが比較的低い所定電圧V4未満のときにバッテリ50の端子間電圧Vbの異常を判定し、制御用下限電圧Vbmin*が所定電圧V1になったときにはバッテリ50の端子間電圧Vbが所定電圧V4より高い所定電圧V3未満のときにバッテリ50の端子間電圧Vbの異常を判定するから、バッテリ50の端子間電圧Vbの異常の誤判定を抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*未満のときには、式(1)に示したように、比例制御によるフィードバック制御における関係式を用いて制御用出力制限Wout*を計算するものとしたが、積分項を加えたPI制御によるフィードバック制御における関係式や、さらに微分項を加えたPID制御によるフィードバック制御における関係式を用いて制御用出力制限Wout*を計算するものとしてもよい。また、バッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*未満のときには、出力制限Woutから所定値を減じて制御用出力制限Wout*を計算するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の電池温度Tbが閾値Tbref未満のときのエンジン22の始動時に所定電圧V1より低い所定電圧V2を制御用下限電圧Vbmin*に設定するものとしたが、これに代えて、バッテリ50の出力制限Woutが閾値Wref未満のときのエンジン22の始動時に所定電圧V2を制御用下限電圧Vbmin*に設定するものとしてもよいし、バッテリ50の電池温度Tbが閾値Tbref未満で且つバッテリ50の出力制限Woutが閾値Wref未満のときのエンジン22の始動時に所定電圧V2を制御用下限電圧Vbmin*に設定するものとしてもよい。ここで、閾値Wrefは、バッテリ50の端子間電圧Vbができるだけ制御用下限電圧Vbmin*未満とならないようにすることが望まれているか否かを判定するのに用いられるものであり、バッテリ50の特性などにより定められる。いま、バッテリ50の出力制限Woutが比較的大きく制限されているとき(値が小さいとき)を考える。この状態でエンジン22を始動する際には、モータMG1によってエンジン22をモータリングするために、バッテリ50の端子間電圧Vbができるだけ制御用下限電圧Vbmin*未満とならないようにし、エンジン22をモータリングするためにモータMG1から出力されるトルクが制御用出力制限Wout*によってできるだけ制限されないようにすることが望まれる。この変形例では、このことを考慮して、バッテリ50の出力制限Woutが閾値Wref未満のときのエンジン22の始動時に所定電圧V1より低い所定電圧V2を制御用下限電圧Vbmin*に設定するものとした。なお、バッテリ50の出力制限Woutは、前述の図2および図3から分かるように、バッテリ50の電池温度Tbが低いときや残容量SOCが低いときに比較的大きく制限される。
実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の電池温度Tbが閾値Tbref未満のときのエンジン22の始動時に、所定電圧V1より低い所定電圧V2を制御用下限電圧Vbmin*に設定するものとしたが、エンジン22の始動時には、バッテリ50の電池温度Tbが閾値Tbref未満か否かに拘わらず所定電圧V1より低い所定電圧V2を制御用下限電圧Vbmin*に設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の電池温度Tbが閾値Tbref未満でエンジン22の始動が完了した後には、所定値ΔVを用いたレート処理によって所定電圧V2から所定電圧V1に向けて所定電圧V1となるまで制御用下限電圧Vbmin*を上昇させるものとしたが、レート処理に代えて、なまし処理などによって所定電圧V2から所定電圧V1に向けて所定電圧V1となるまで制御用下限電圧Vbmin*を上昇させるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50からの電力を昇圧せずにモータMG1,MG2を駆動するインバータ41,42に供給するものとしたが、バッテリ50からの電力を昇圧回路により昇圧してインバータ41,42に供給するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、減速ギヤ35を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしたが、減速ギヤ35に代えて2段変速や3段変速,4段変速などの変速機を介してリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図12の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図12における車輪64a,64bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図13の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22に発電用のモータMG1が取り付けられていると共に走行用のモータMG2を備えるものとしてもよい。
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される動力出力装置の形態や建設設備などの移動しない設備に組み込まれた動力出力装置の形態としても構わない。さらに、こうした動力出力装置の制御方法の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「第1の電動機」に相当し、モータMG2が「第2の電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電装置」に相当し、電圧センサ51aが「電圧検出手段」に相当し、冷間時に、エンジン22を運転停止しているときには所定電圧V1を制御用下限電圧Vbmin*に設定し、エンジン22を始動する際には所定電圧V1より低い所定電圧V2を制御用下限電圧Vbmin*に設定し、エンジン22の始動を完了した後には所定電圧V2から所定電圧V1に向けて所定電圧V1となるまで時間の経過に従って大きくなるよう制御用下限電圧Vbmin*を設定し所定電圧V1となった以降は所定電圧V1を制御用下限電圧Vbmin*に設定する図9に例示する制御用下限電圧設定ルーチンを実行するバッテリECU52が「制御用下限電圧設定手段」に相当し、バッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*以上のときにはバッテリ50の入出力制限Win,Woutを制御用入出力制限Win*,Wout*に設定しバッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*未満のときにはバッテリ50の出力制限Woutに制限を課して制御用出力制限Wout*を設定すると共に入力制限Winを制御用入力制限Win*に設定し、設定した制御用入出力制限Win*,Wout*の範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されると共にエンジン22の始動指示がなされたときにモータMG1によりエンジン22がモータリングされて始動されるようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信する図2の駆動制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、受信した目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてエンジン22を制御するエンジンECU24と、受信したトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御するモータECU40と、が「制御手段」に相当し、制御用下限電圧Vbmin*が所定電圧V1のときには所定電圧V1より低い所定電圧V3を許容下限電圧Vblimに設定し、制御用下限電圧Vbmin*が所定電圧V1より低いときには所定電圧V2や所定電圧V3より低い所定電圧V4を許容下限電圧Vblimに設定し、バッテリ50の端子間電圧Vbが許容下限電圧Vblim未満のときにバッテリ50の異常を判定する図10の異常判定ルーチンを実行するバッテリECU52が「異常判定手段」に相当する。また、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「第1の電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、内燃機関の出力軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機としても構わない。「第2の電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「蓄電装置」としては、二次電池としてのバッテリ50に限定されるものではなく、キャパシタなど、第1の電動機や第2の電動機と電力のやりとりが可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「電圧検出手段」としては、バッテリ50の端子間電圧Vbを検出する電圧センサ51aに限定されるものではなく、蓄電装置の電圧を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御用下限電圧設定手段」としては、冷間時に、エンジン22を運転停止しているときには所定電圧V1を制御用下限電圧Vbmin*に設定し、エンジン22を始動する際には所定電圧V1より低い所定電圧V2を制御用下限電圧Vbmin*に設定し、エンジン22の始動を完了した後には所定電圧V2から所定電圧V1に向けて所定電圧V1となるまで時間の経過に従って大きくなるよう制御用下限電圧Vbmin*を設定し所定電圧V1となった以降は所定電圧V1を制御用下限電圧Vbmin*に設定するものに限定されるものではなく、バッテリ50の出力制限Woutが閾値Wref未満のときのエンジン22の始動時に所定電圧V2を制御用下限電圧Vbmin*に設定するものとしたり、バッテリ50の電池温度Tbが閾値Tbref未満で且つバッテリ50の出力制限Woutが閾値Wref未満のときのエンジン22の始動時に所定電圧V2を制御用下限電圧Vbmin*に設定するものとするなど、内燃機関を運転停止しているときには第1の電圧を制御用下限電圧に設定し、内燃機関を始動する機関始動時には第1の電圧より低い第2の電圧を制御用下限電圧に設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、バッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*以上のときにはバッテリ50の入出力制限Win,Woutを制御用入出力制限Win*,Wout*に設定しバッテリ50の端子間電圧Vbが制御用下限電圧Vbmin*未満のときにはバッテリ50の出力制限Woutに制限を課して制御用出力制限Wout*を設定すると共に入力制限Winを制御用入力制限Win*に設定し、設定した制御用入出力制限Win*,Wout*の範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されると共にエンジン22の始動指示がなされたときにモータMG1によりエンジン22がモータリングされて始動されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するものに限定されるものではなく、駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力され、内燃機関の始動指示がなされたときに第1の電動機により内燃機関がモータリングされて始動され、蓄電装置の電圧が制御用下限電圧未満のときに蓄電装置の電圧が制御用下限電圧以上となるよう内燃機関と第1の電動機と第2の電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。「異常判定手段」としては、制御用下限電圧Vbmin*が所定電圧V1のときには所定電圧V1より低い所定電圧V3を許容下限電圧Vblimに設定し、制御用下限電圧Vbmin*が所定電圧V1より低いときには所定電圧V2や所定電圧V3より低い所定電圧V4を許容下限電圧Vblimに設定し、バッテリ50の端子間電圧Vbが許容下限電圧Vblim未満のときにバッテリ50の異常を判定するものに限定されるものではなく、制御用下限電圧が第1の電圧のときには蓄電装置の電圧が第1の電圧より低い第3の電圧未満のときに蓄電装置の電圧の異常を判定し、制御用下限電圧が第1の電圧より低いときには蓄電装置の電圧が第2の電圧および第3の電圧より低い第4の電圧未満のときに蓄電装置の電圧の異常を判定するものであれば如何なるものとしても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる作動作用を有するものなど、駆動軸と内燃機関の出力軸と第1の電動機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、動力出力装置や車両の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 バッテリ50における電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の残容量SOCと入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す説明図である。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。 エンジン22からパワーを出力している状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 トルク制限Tm1min,Tm1maxを設定する様子を説明する説明図である。 バッテリECU52により実行される制御用下限電圧設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 バッテリECU52により実行される異常判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 始動時フラグF,バッテリ50の端子間電圧Vb,制御用下限電圧Vbmin*,許容下限電圧Vblimの時間変化の様子の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 温度センサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。

Claims (10)

  1. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    内燃機関と、
    前記内燃機関の出力軸に動力を入出力可能な第1の電動機と、
    前記駆動軸に動力を入出力可能な第2の電動機と、
    前記第1の電動機および前記第2の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電装置と、
    前記蓄電装置の電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記内燃機関を運転停止しているときには第1の電圧を制御用下限電圧に設定し、前記内燃機関を始動する機関始動時には前記第1の電圧より低い第2の電圧を前記制御用下限電圧に設定する制御用下限電圧設定手段と、
    前記駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力され、前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記第1の電動機により前記内燃機関がモータリングされて始動され、前記検出された蓄電装置の電圧が前記設定された制御用下限電圧未満のときに該蓄電装置の電圧が該制御用下限電圧以上となるよう前記内燃機関と前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する制御手段と、
    前記設定された制御用下限電圧が前記第1の電圧のときには前記検出された蓄電装置の電圧が前記第1の電圧より低い第3の電圧未満のときに前記蓄電装置の電圧の異常を判定し、前記設定された制御用下限電圧が前記第1の電圧より低いときには前記検出された蓄電装置の電圧が前記第2の電圧および前記第3の電圧より低い第4の電圧未満のときに前記蓄電装置の電圧の異常を判定する異常判定手段と、
    を備える動力出力装置。
  2. 請求項1記載の動力出力装置であって、
    前記制御用下限電圧設定手段は、前記機関始動時に前記第2の電圧を前記制御用下限電圧に設定し、前記内燃機関の始動を完了した後には前記第2の電圧から前記第1の電圧に向けて該第1の電圧となるまで時間の経過に従って大きくなるよう前記制御用下限電圧を設定する手段である、
    動力出力装置。
  3. 請求項1または2記載の動力出力装置であって、
    前記制御用下限電圧設定手段は、前記蓄電装置の温度が所定温度未満である冷間時における前記機関始動時に前記第2の電圧を前記制御用下限電圧に設定する手段である、
    動力出力装置。
  4. 請求項1または2記載の動力出力装置であって、
    前記制御用下限電圧設定手段は、前記蓄電装置が放電する際の最大許容電力としての出力制限が所定電力未満である低出力制限時における前記機関始動時に前記第2の電圧を前記制御用下限電圧に設定する手段である、
    動力出力装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の動力出力装置であって、
    前記制御手段は、前記検出された蓄電装置の電圧が前記設定された制御用下限電圧未満のとき、前記検出された蓄電装置の電圧が前記設定された制御用下限電圧以上のときに比して前記第1の電動機と前記第2の電動機とにより消費される消費電力の和が制限されるよう前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する手段である、
    動力出力装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載の動力出力装置であって、
    前記制御手段は、前記検出された蓄電装置の電圧が前記設定された制御用下限電圧以上のときには前記蓄電装置を充放電する際の最大許容電力としての入出力制限を制御用入出力制限に設定し、前記検出された蓄電装置の電圧が前記設定された制御用下限電圧未満のときには前記入出力制限のうち出力制限に対して制限を課して前記制御用入出力制限を設定し、前記設定した制御用入出力制限の範囲内で前記蓄電装置が充放電されるよう前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する手段である、
    動力出力装置。
  7. 前記蓄電装置は、リチウムイオン二次電池である請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載の動力出力装置
  8. 請求項1ないし7のいずれか1つの請求項に記載の動力出力装置であって、
    前記駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記第1の電動機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段、
    を備える動力出力装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1つの請求項に記載の動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなる車両。
  10. 内燃機関と、前記内燃機関の出力軸に動力を入出力可能な第1の電動機と、駆動軸に動力を入出力可能な第2の電動機と、前記第1の電動機および前記第2の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電装置と、を備え、前記駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力され、前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記第1の電動機により前記内燃機関がモータリングされて始動され、前記蓄電装置の電圧が制御用下限電圧未満のときに該蓄電装置の電圧が該制御用下限電圧以上となるよう前記内燃機関と前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する動力出力装置において蓄電装置の電圧の異常を判定する異常判定方法であって、
    (a)前記内燃機関を運転停止しているときには第1の電圧を制御用下限電圧に設定し、前記内燃機関を始動する機関始動時には前記第1の電圧より低い第2の電圧を前記制御用下限電圧に設定し、
    (b)前記設定した制御用下限電圧が前記第1の電圧のときには前記蓄電装置の電圧が前記第1の電圧より低い第3の電圧未満のときに前記蓄電装置の電圧の異常を判定し、前記設定した制御用下限電圧が前記第1の電圧より低いときには前記蓄電装置の電圧が前記第2の電圧および前記第3の電圧より低い第4の電圧未満のときに前記蓄電装置の電圧の異常を判定する、
    異常判定方法。
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