JP3894159B2 - 動力出力装置およびその制御方法並びに自動車 - Google Patents

動力出力装置およびその制御方法並びに自動車 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力出力装置およびその制御方法並びに自動車に関し、詳しくは、駆動軸に動力を出力する動力出力装置およびその制御方法並びに自動車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の動力出力装置としては、エンジンと、このエンジンの出力軸をキャリアに接続すると共に車軸に機械的に連結された駆動軸にリングギヤを接続したプラネタリギヤと、このプラネタリギヤのサンギヤに接続された発電機と、駆動軸に動力を入出力するモータと、発電機により発電した電力により充電すると共にモータに電力を供給するバッテリとを備えるものを搭載したハイブリッド自動車が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド自動車に搭載された装置では、バッテリの残存容量が基準容量(例えば50%)より高いときには、エンジンを始動する際の目標回転数を通常の始動時の回転数より高い回転数とすることにより、エンジンからの出力の余剰エネルギによるバッテリの過充電を防止するものとしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−82203号公報(第4頁,図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした動力出力装置では、駆動軸に要求される要求動力が大きいときには、バッテリが過充電される場合が生じる。要求動力が大きいとエンジンの目標動力も大きく設定されるから、始動直後のエンジンは高負荷運転されることになる。このとき、エンジンの出力トルクに対して反力をとる必要から発電機は大きな電力を発電するから、バッテリの残存容量が多ければ、バッテリを過充電してしまう。
【0005】
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに自動車は、内燃機関の始動直後に生じ得る二次電池などの蓄電装置の過充電を防止することを目的の一つとする。また、本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに自動車は、内燃機関の始動をスムーズに行なうことを目的の一つとする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに自動車は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
内燃機関と、
該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、
前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
前記駆動軸に要求される要求動力に対して前記内燃機関を運転停止状態として前記電動機からの動力を前記駆動軸に出力している最中に該内燃機関の始動指示がなされたとき、始動を開始してから該内燃機関が所定の運転状態に至るまでは該内燃機関から出力すべき動力を制限すると共に前記要求動力に応じた動力が前記駆動軸に出力されるよう該内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する始動時制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の動力出力装置では、駆動軸に要求される要求動力に対して内燃機関を運転停止状態として電動機からの動力を駆動軸に出力している最中に内燃機関の始動指示がなされたときには、始動を開始してから内燃機関が所定の運転状態に至るまでは内燃機関から出力すべき動力を制限すると共に要求動力に応じた動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と電力と動力の入出力を伴って内燃機関からの動力の少なくとも一部を駆動軸に出力する電力動力入出力手段と電動機とを制御する。したがって、始動直後に内燃機関が高負荷運転されるのを抑止することができ、始動直後に内燃機関が高負荷運転されることに基づいて生じ得る蓄電手段の過充電を抑止することができる。また、要求動力に応じた動力を駆動軸に出力することができる。
【0009】
こうした本発明の動力出力装置において、前記蓄電手段の蓄電量を検出する蓄電量検出手段を備え、前記始動時制御手段は、前記蓄電量検出手段により検出された前記蓄電手段の蓄電量が所定蓄電量以上のときに、始動を開始してから前記内燃機関が所定の運転状態に至るまで該内燃機関から出力すべき動力を制限する手段であるものとすることもできる。こうすれば、蓄電手段の蓄電量に応じて内燃機関の始動制御を行なうことができると共により確実に蓄電手段の過充電を抑止することができる。
【0010】
また、本発明の動力出力装置において、前記始動時制御手段は、始動を開始してから前記内燃機関が安定した運転状態に至るまでは該内燃機関から出力すべき動力を制限し、前記内燃機関が安定した運転状態に至った後は前記要求動力に応じた動力が該内燃機関から出力されるよう制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関をスムーズに始動して動力を得ることができる。
【0011】
この内燃機関が安定した運転状態に至るまで内燃機関から出力すべき動力を制限する態様の本発明の動力出力装置において、前記始動時制御手段は、前記内燃機関が安定した運転状態に至るまでは、前記要求動力に拘わらず、所定動力が該内燃機関から出力されるよう制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、一定の条件下で内燃機関を始動することができる。
【0012】
また、内燃機関が安定した運転状態に至るまで内燃機関から出力すべき動力を制限する態様の本発明の動力出力装置において、前記始動時制御手段は、前記内燃機関が安定した運転状態に至った後は、単位時間当たりの動力変化の上下限値の範囲内で前記要求動力が出力される方向に調整された動力が前記内燃機関から出力されるよう制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、始動直後の内燃機関から出力する動力を滑らかに変化させることができるから、内燃機関を急激に高負荷運転することを抑止することができる。
【0013】
さらに、内燃機関が安定した運転状態に至るまで内燃機関から出力すべき動力を制限する態様の本発明の動力出力装置において、前記始動時制御手段は、前記電力動力入出力手段の駆動状態に基づいて前記内燃機関が安定した運転状態に至ったか否かを判定し、該判定結果に基づいて制御する手段であるものとすることもできる。これは、電力動力入出力手段が電力と動力の入出力を伴って内燃機関からの動力を駆動軸に出力することに基づく。この場合、前記始動時制御手段は、前記電力動力入出力手段が電力消費を伴う駆動状態のときには前記内燃機関は安定した運転状態に至っていないと判定し、前記電力動力入出力手段が発電を伴う駆動状態のときには前記内燃機関は安定した運転状態に至っていると判定する手段であるものとすることもできる。これは、電力動力入出力手段が電力消費を伴う駆動状態のときには内燃機関はまだモータリングされている状態、即ち始動が完了していない状態であり、電力動力入出力手段が発電を伴う駆動状態のときには内燃機関の始動が完了して内燃機関から動力が出力されている状態であることに基づく。
【0014】
本発明の動力出力装置において、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の軸の3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力する発電機とを備える手段であるものとすることもできるし、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸に取り付けられた第1の回転子と前記駆動軸に取り付けられた第2の回転子とを有し該第1の回転子と該第2の回転子との電磁作用による電力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する対回転子電動機であるものとすることもできる。
【0015】
本発明の自動車は、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され電力と動力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、前記駆動軸に要求される要求動力に対して前記内燃機関を運転停止状態として前記電動機からの動力を前記駆動軸に出力している最中に該内燃機関の始動指示がなされたとき、始動を開始してから該内燃機関が所定の運転状態に至るまでは該内燃機関から出力すべき動力を制限すると共に前記要求動力に応じた動力が前記駆動軸に出力されるよう該内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する始動時制御手段と、を備える動力出力装置を備え、前記駆動軸が機械的に車軸に接続されて走行することを要旨とする。
【0016】
この本発明の自動車によれば、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置を備えるから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、始動直後に内燃機関が高負荷運転されるのを抑止することができる効果や始動直後に内燃機関が高負荷運転されることに基づいて生じ得る蓄電手段の過充電を抑止することができる効果,要求動力に応じた動力を駆動軸に出力することができる効果,内燃機関をスムーズに始動して動力を得ることができる効果,始動直後の内燃機関から出力する動力を滑らかに変化させることができる効果などと同様な効果を奏することができる。
【0017】
本発明の動力出力装置の制御方法は、
内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され電力と動力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
前記蓄電手段の蓄電量が所定蓄電量以上で前記駆動軸に要求される要求動力に対して前記内燃機関を運転停止状態として前記電動機からの動力を前記駆動軸に出力している最中に該内燃機関の始動指示がなされたとき、
(a)始動を開始してから前記内燃機関が安定した運転状態に至ったか否かを判定し、
(b)前記内燃機関が安定した運転状態に至ったと判定されるまでは該内燃機関から出力すべき動力を制限すると共に前記要求動力に応じた動力が前記駆動軸に出力されるよう該内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御し、前記内燃機関が安定した運転状態に至ったと判定された後は前記要求動力に応じた動力が該内燃機関から出力されると共に前記要求動力に応じた動力が前記駆動軸に出力されるよう該内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する
ことを要旨とする。
【0018】
この本発明の動力出力装置の制御方法によれば、蓄電手段の蓄電量が所定蓄電量以上で駆動軸に要求される要求動力に対して内燃機関を運転停止状態として電動機からの動力を駆動軸に出力している最中に内燃機関の始動指示がなされたときには、始動を開始してから内燃機関が安定した運転状態に至ったか否かを判定し、内燃機関が安定した運転状態に至ったと判定されるまでは内燃機関から出力すべき動力を制限すると共に要求動力に応じた動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と電力動力入出力手段と電動機とを制御し、内燃機関が安定した運転状態に至ったと判定された後は要求動力に応じた動力が内燃機関から出力されると共に要求動力に応じた動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と電力動力入出力手段と電動機とを制御するから、始動直後に内燃機関が高負荷運転されるのを抑止することができ、始動直後に内燃機関が高負荷運転されることに基づいて生じ得る蓄電手段の過充電を抑止することができる。また、要求動力に応じた動力を駆動軸に出力することができる。
【0019】
こうした本発明の動力出力装置の制御方法において、前記ステップ(a)は、前記電力動力入出力手段が電力消費を伴う駆動状態のときには前記内燃機関は安定した運転状態に至っていないと判定し、前記電力動力入出力手段が発電を伴う駆動状態のときには前記内燃機関は安定した運転状態に至っていると判定する手段であるものとすることもできる。これは、電力動力入出力手段が電力消費を伴う駆動状態のときには内燃機関はまだモータリングされている状態、即ち始動が完了していない状態であり、電力動力入出力手段が発電を伴う駆動状態のときには内燃機関の始動が完了して内燃機関から動力が出力されている状態であることに基づく。
【0020】
また、本発明の動力出力装置の制御方法において、前記ステップ(b)は、前記内燃機関が安定した運転状態に至った後は、単位時間当たりの動力変化の上下限値の範囲内で前記要求動力が出力される方向に調整された動力が前記内燃機関から出力されるよう制御するステップであるものとすることもできる。こうすれば、始動直後の内燃機関から出力する動力を滑らかに変化させることができるから、内燃機関を急激に高負荷運転することを抑止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0022】
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0023】
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
【0024】
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0025】
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば,バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
【0026】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0027】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
【0028】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にモータMG2によるモータ走行している状態(モータ運転モード)から運転者がアクセルペダル83を踏み込んだことによりエンジン22を始動してエンジン22からの動力により走行する状態(トルク変換運転モードや充放電運転モード)に移行する際の動作について説明する。図2は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される始動時処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば8msec毎)に繰り返し実行される。図示した始動時処理ルーチンには、説明の容易のためにモータ走行している際の制御についても示した。
【0029】
モータ走行している際の制御では、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2など制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力することができる。そして、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*と車両に必要な要求パワーP*とを設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図3に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求パワーP*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものにバッテリ50の充放電要求量Pb*とロスとを加えたものとして計算することができる。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じることによって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ることによって求めることができる。充放電要求量Pb*は、バッテリ50の残容量(SOC)やアクセル開度Accなどによって設定することができる。
【0030】
要求トルクTr*と要求パワーP*とを設定すると、設定した要求パワーP*を閾値Prefと比較する(ステップS120)。ここで、閾値Prefは、エンジン22の運転を停止してモータMG2から出力された動力だけで走行するモータ運転モードの範囲を設定するものであり、モータMG2の性能やバッテリ50の容量などにより設定することができる。いま、モータ走行を考えているから、ここでは要求パワーP*は閾値Pref以下と判定され、モータ運転モードを実行するためにエンジン22の停止を設定すると共にモータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS130)、モータMG2のトルク指令Tm2*に要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除した値を設定する(ステップS140)。そして、エンジンECU24に対してはエンジン22の運転停止の制御信号を送信すると共にモータECU40に対してはモータMG1の値0のトルク指令Tm1*とモータMG2のトルク指令Tm2*とを送信して(ステップS150)、このルーチンを終了する。エンジン22の運転停止の制御信号を受信したエンジンECU24は、エンジン22の運転停止の状態を保持し、トルク指令Tm1*とトルク指令Tm2*とを受信したモータECU40は、モータMG1からはトルクが出力されないように、モータMG2からはトルク指令Tm2*のトルクが出力されるようにインバータ41,42のスイッチング素子をスイッチング制御する。こうした処理により、エンジン22の運転を停止した状態でモータMG2からの動力だけで走行することができる。
【0031】
こうしてモータ運転モードで運転している最中に運転者がアクセルペダル83を踏み込んでステップS110で設定される要求パワーP*が閾値Prefより大きくなると、前回このルーチンが実行されたときに設定されたモータMG1のトルク指令Tm1*が正の値か否かを判定する(ステップS160)。モータ運転モードで走行している最中はステップS140でモータMG1のトルク指令Tm1*には値0が設定されるから、モータ運転モードで走行している直後にステップS160が実行されたときには肯定的な判定(Tm1*≧0)がなされる。ここで、このモータMG1のトルク指令Tm1*の正負の判定は、実施例では、トルク指令Tm1*が正のときにはエンジン22はモータMG1によりモータリングされている状態、即ちエンジン22はまだ安定した運転状態に至っていない状態であるのを判定することに相当し、トルク指令Tm1*が負のときにはエンジン22から動力が出力されている状態、即ちエンジン22は安定した運転状態に至った状態であるのを判定することに相当する。
【0032】
前回のトルク指令Tm1*が値0か正のときには、エンジン22の始動を開始する状態にあるかエンジン22はまだ安定した運転状態に至っていない状態にあると判断し、エンジン22の目標パワーPe*に所定パワーPsetを設定する。(ステップS170)。ここで、所定パワーPsetは、エンジン22を始動する際にエンジン22から出力すべきパワーとして設定されるものであり、実施例ではエンジン22から出力可能な動力のうち比較的低い動力として設定している。
【0033】
こうして目標パワーPe*を設定すると、設定した目標パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS200)。この設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと目標パワーPe*とに基づいて目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図4に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと目標パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。いま、目標パワーPe*に所定パワーPsetが設定されている場合を考えているから、図4に示すように、目標回転数Ne*には回転数Nsetが設定されると共に目標トルクTe*にはトルクTsetが設定される。
【0034】
続いて、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS210)。式(1)は動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式であり、式(2)はモータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図5に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2に減速ギヤ35のギヤ比Grを乗じたリングギヤ32の回転数Nrを示す。また、図中、実線はエンジン22の始動開始時の共線図を示し、破線は所定パワーPsetが目標パワーPe*に設定されエンジン22がこの目標パワーPe*を出力するよう目標回転数Ne*および目標トルクTe*の運転ポイントで運転されたときの共線図を示す。式(1)は、破線の共線図を用いれば容易に導くことができる。実施例では、エンジンECU24によるエンジン22の始動は、停止している状態からエンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*に至ったときに目標トルクTe*がエンジン22から出力されるよう燃料噴射制御や点火制御を開始することにより行なわれる。いま、エンジン22の始動開始時やエンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*に至っていないときを考えているから、実線の共線図に示すようにエンジン22が停止している状態であったり、実線の共線図から破線の共線図に至る途中の状態であるから、モータMG1のトルク指令Tm1*は、エンジン22のフリクショントルクに逆らってエンジン22の回転数Neを目標回転数Ne*にするようモータMG1を正回転させる方向のトルク(正の値のトルク)が設定される。即ち、モータMG1によりエンジン22をモータリングするのである。なお、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1でエンジン22をモータリングすることによりリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2*が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。
【0035】
【数1】
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ−ρ・Nm2/Gr …(1)
Tm1*=前回Tm1*+k1(Nm1*−Nm1)+k2∫(Nm1*−Nm1)dt …(2)
【0036】
こうしてモータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とを計算すると、バッテリ50の出力制限Woutと計算したモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(または発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tmaxを次式(3)により計算すると共に(ステップS220)、目標トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(4)により計算し(ステップS230)、計算したトルク制限Tmaxと仮モータトルクTm2tmpとを比較して小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する(ステップS240)。このようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、モータMG1によりエンジン22をモータリングすることによってリングギヤ軸32aに作用するトルクをモータMG2から出力されるトルクでキャンセルすると共にリングギヤ軸32aに出力する目標トルクTr*をバッテリ50の出力制限の範囲内で制限したトルクとして設定することができる。なお、式(4)は、前述した図5の共線図から容易に導き出すことができる。
【0037】
【数2】
Tmax=(Wout−Tm1*・Nm1)/Nm2 …(3)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr …(4)
【0038】
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*やモータMG1の目標回転数Nm1*およびトルク指令Tm1*,モータMG2のトルク指令Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とモータMG2のトルク指令Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS250)、始動時処理ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*に至ったときにエンジン22から目標トルクTe*が出力されるよう燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。また、目標回転数Nm1*やトルク指令Tm1*,トルク指令Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
【0039】
こうしてモータMG1によるエンジン22のモータリングが行なわれ、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*に至ると、エンジンECU24により燃料噴射制御や点火制御などが行なわれ、エンジン22は目標トルクTe*のトルクを出力するようになる。このとき、目標パワーPe*には比較的小さな所定パワーPsetが設定されているから、エンジン22からは比較的小さなトルクが出力されることになる。この状態の共線図を図6に示す。この状態では、モータMG1のトルク指令Tm1*は、上述した式(2)によって設定されるから、エンジン22から目標トルクTe*を出力することに基づいてサンギヤ31に作用するモータMG1の正の回転方向のトルクに基づいてモータMG1の回転数Nm1が目標回転数Nm1*を超えて大きくなろうとするのを抑止する方向、即ち負の値のトルクが設定される。前述したように、トルク指令Tm1*には、エンジン22をモータリングしているときには正の値のトルクが設定されるから、エンジン22における燃料噴射制御や点火制御が開始された直後に負の値のトルクが設定されることになる。ステップS160でトルク指令Tm1*が正の値から負の値に反転した状態を判定すると、エンジン22は安定した運転状態に至ったと判断し、前回の目標パワーPe*に上限パワーPrtを加えて仮エンジン目標パワーPetmpに設定する(ステップS180)。ここで、上限パワーPrtは、エンジン22の目標パワーPe*を滑らかに増加するためにこの始動時処理ルーチンの起動間隔時間当たりの目標パワーPe*の変化の上限値として設定されるものであり、エンジン22の性能やモータMG1の性能などにより求めることができる。なお、モータMG1のトルク指令Tm1*が負の値になった後は、このルーチンが実行される毎に前回の目標パワーPe*に上限パワーPrtを加えて仮エンジン目標パワーPetmpが設定される。そして、設定した仮エンジン目標パワーPetmpと要求パワーP*とのうち小さい方を目標パワーPe*として設定する(ステップS190)。即ち、目標パワーPe*を上限パワーPrtの範囲内で要求パワーP*に応じたものに設定し、目標パワーPe*が急増しないようにするのである。
【0040】
こうしてエンジン22の目標パワーPe*を設定すると、この目標パワーPe*と図4に例示した動作ラインとを用いてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*と設定し(ステップS200)、上述の式(1)および式(2)によりモータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とを設定する(ステップS210)。モータMG1のトルク指令Tm1*が負の値に反転した直後では、目標パワーPe*には比較的小さな所定パワーPsetが設定されているから、サンギヤ31に作用するトルクも小さなものとなる。このため、トルク指令Tm1*に設定されるトルクのその絶対値は比較的小さなものとなり、モータMG1による発電電力も比較的小さなものとなる。即ち、過大な電力の発電を抑止することができるのである。
【0041】
こうしてモータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とが設定されると、前述したステップS220〜S240の処理によりモータMG2のトルク指令Tm2*をバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で設定し、設定した目標回転数Ne*と目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共に目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とトルク指令Tm2*とをモータECU40に送信して(ステップS250)、本ルーチンを終了する。これらの設定値を受信したエンジンECU24によるエンジン22の制御やモータECU40によるモータMG1,MG2の制御については前述した。
【0042】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、始動開始からエンジン22が安定した運転状態に至るまではエンジン22の目標パワーPe*をエンジン22が出力可能な動力のうち比較的低い動力として設定された所定パワーPsetとして制御するから、始動直後のエンジン22が高負荷運転されるのを抑止することができる。この結果、モータMG1のトルク指令Tm1*に絶対値が過大な値となる負のトルクが設定されるのを抑止することができ、エンジン22の始動直後にモータMG1により過大な電力が発電されることに基づくバッテリ50の過充電を抑止することができる。しかも、エンジン22が安定した運転状態に至った後はエンジン22の目標パワーPe*を上限パワーPrtの範囲内で増加して制御するから、エンジン22から出力する動力を滑らかに増加することができる。これらの結果、エンジン22をスムーズに始動してエンジン22から出力する動力を滑らかに増加させることができる。もとより、運転者が要求する要求トルクTr*に応じたトルクを駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力することができる。
【0043】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22を始動する際には、エンジン22の目標パワーPe*に比較的小さな所定パワーPsetを設定し、モータMG1のトルク指令Tm1*が正から負の値に反転した後は、上限パワーPrtの範囲内で目標パワーPe*を設定するものとしたが、こうした処理はバッテリ50の残容量(SOC)が90%や95%などのようにバッテリ50の過充電のおそれがあるときだけに実行するものとしてもよい。この場合、バッテリ50の過充電のおそれが生じる閾値を用いて残容量(SOC)を閾値と比較することにより判定すればよい。また、この場合、バッテリ50の過充電のおそれがないときには、エンジン22を始動する際に、エンジン22の目標パワーPe*に要求パワーP*を設定するものとしてもかまわない。
【0044】
実施例のハイブリッド自動車20では、始動開始からエンジン22が安定した運転状態に至るまではエンジン22の目標パワーPe*を所定パワーPsetとしたが、エンジン22が出力可能な動力のうち比較的低い動力であれば所定パワーPsetに限られず、時間経過に応じて目標パワーPe*を変更するものとしてもよい。
【0045】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22が安定した運転状態に至った後はエンジン22の目標パワーPe*を上限パワーPrtの範囲内で増加するものとしたが、上限パワーPrtは固定値である必要はなく、変動的な値であっても差し支えない。
【0046】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図7の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図7における車輪64a,64bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
【0047】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図8の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される始動時処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図4】 エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する様子を示す説明図である。
【図5】 エンジン22の始動開始時における動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明する共線図の一例を示す説明図である。
【図6】 エンジン22が安定した運転状態に至ったときの動力分配統合機構30の共線図の一例を示す説明図である。
【図7】 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図8】 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35,135 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b,64a,64b 駆動輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (11)

  1. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    内燃機関と、
    該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、
    前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
    前記蓄電手段の蓄電量が少なくとも所定蓄電量以上の状態で前記駆動軸に要求される要求動力に対して前記内燃機関を運転停止状態として前記電動機からの動力を前記駆動軸に出力している最中に該内燃機関の始動指示がなされたときには、始動を開始してから該内燃機関が安定した運転状態に至るまでは該内燃機関から出力すべき動力を制限すると共に前記要求動力に応じた動力が前記駆動軸に出力されるよう該内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御し、前記蓄電手段の蓄電量が前記所定蓄電量未満の状態で前記駆動軸に要求される要求動力に対して前記内燃機関を運転停止状態として前記電動機からの動力を前記駆動軸に出力している最中に該内燃機関の始動指示がなされたときには、前記内燃機関から出力すべき動力の制限を行なうことなく前記要求動力に応じた動力が前記駆動軸に出力されるよう該内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する始動時制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  2. 前記始動時制御手段は、始動を開始してから前記内燃機関が安定した運転状態に至るまでは該内燃機関から出力すべき動力を制限し、前記内燃機関が安定した運転状態に至った後は前記要求動力に応じた動力が該内燃機関から出力されるよう制御する手段である請求項1記載の動力出力装置。
  3. 前記始動時制御手段は、前記内燃機関が安定した運転状態に至るまでは、前記要求動力
    に拘わらず、所定動力が該内燃機関から出力されるよう制御する手段である請求項2記載の動力出力装置。
  4. 前記始動時制御手段は、前記内燃機関が安定した運転状態に至った後は、単位時間当たりの動力変化の上下限値の範囲内で前記要求動力が出力される方向に調整された動力が前記内燃機関から出力されるよう制御する手段である請求項2または3記載の動力出力装置。
  5. 前記始動時制御手段は、前記電力動力入出力手段の駆動状態に基づいて前記内燃機関が安定した運転状態に至ったか否かを判定し、該判定結果に基づいて制御する手段である請求項2ないし4いずれか記載の動力出力装置。
  6. 前記始動時制御手段は、前記電力動力入出力手段が電力消費を伴う駆動状態のときには前記内燃機関は安定した運転状態に至っていないと判定し、前記電力動力入出力手段が発電を伴う駆動状態のときには前記内燃機関は安定した運転状態に至っていると判定する手段である請求項5記載の動力出力装置。
  7. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の軸の3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力する発電機とを備える手段である請求項1ないし6いずれか記載の動力出力装置。
  8. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸に取り付けられた第1の回転子と前記駆動軸に取り付けられた第2の回転子とを有し該第1の回転子と該第2の回転子との電磁作用による電力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する対回転子電動機である請求項1ないし6いずれか記載の動力出力装置。
  9. 請求項1ないし8いずれか記載の動力出力装置を備え、前記駆動軸が機械的に車軸に接続されて走行する自動車。
  10. 内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され電力と動力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
    前記蓄電手段の蓄電量が少なくとも所定蓄電量以上の状態で前記駆動軸に要求される要求動力に対して前記内燃機関を運転停止状態として前記電動機からの動力を前記駆動軸に出力している最中に該内燃機関の始動指示がなされたときには、
    (a)始動を開始してから前記内燃機関が安定した運転状態に至ったか否かの判定に際して、前記電力動力入出力手段が電力消費を伴う駆動状態のときには前記内燃機関は安定した運転状態に至っていないと判定し、前記電力動力入出力手段が発電を伴う駆動状態のときには前記内燃機関は安定した運転状態に至っていると判定し、
    (b)前記内燃機関が安定した運転状態に至ったと判定されるまでは該内燃機関から出力すべき動力を制限すると共に前記要求動力に応じた動力が前記駆動軸に出力されるよう該内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御し、前記内燃機関が安定した運転状態に至ったと判定された後は前記要求動力に応じた動力が該内燃機関から出力されると共に前記要求動力に応じた動力が前記駆動軸に出力されるよう該内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する
    動力出力装置の制御方法。
  11. 前記ステップ(b)は、前記内燃機関が安定した運転状態に至った後は、単位時間当たりの動力変化の上下限値の範囲内で前記要求動力が出力される方向に調整された動力が前記内燃機関から出力されるよう制御するステップである請求項10記載の動力出力装置の制御方法。
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