JP2010163061A - 動力出力装置、それを備えた車両および動力出力装置の制御方法 - Google Patents

動力出力装置、それを備えた車両および動力出力装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制しつつ内燃機関の運転停止領域をより適正に確保する。
【解決手段】劣化ファクター積算値Dsが所定の切換閾値Dsc以下であるときには、バッテリの状態から放電に許容される電力として定められる基本出力制限Woutbがエンジンの始動判定用出力制限Woutegに設定され(ステップS220)、劣化ファクター積算値Dsが切換閾値Dscを超えると始動判定用出力制限Wouegが基本出力制限Woubから必要に応じて劣化ファクターDに基づいて小さい値に制限される出力制限Woutへと変更され、劣化ファクター積算値Dsが所定の切換解除閾値Dsr未満になると始動判定用出力制限Woutegが出力制限Woutから基本出力制限Woutbへと戻される。
【選択図】図6

Description

本発明は、駆動軸に動力を出力する動力出力装置、それを備えた車両および動力出力装置の制御方法に関する。
従来から、走行用の動力を出力する内燃機関と、内燃機関を始動させるためのクランキングを実行可能な第1の電動機と、走行用の動力を出力可能な第2の電動機とを備えたハイブリッド自動車用の動力出力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この動力出力装置では、内燃機関の運転が停止された状態で第2の電動機から動力が出力されている最中に当該内燃機関の始動指示がなされると、第1の電動機により内燃機関がクランキングされると共に蓄電手段の放電許容電力と内燃機関のクランキングに伴って第1の電動機により入出力される電力との和である使用可能電力の範囲内の電力を用いて第2の電動機が駆動軸に要求される動力を出力するように内燃機関と第1および第2の電動機とが制御される。また、この種の動力出力装置としては、アクセル開度が閾値以上であって前回の超過出力処理から所定時間が経過している場合や、走行用電動機からの動力による走行中に内燃機関を始動すべき場合であって前回の超過出力処理から所定時間が経過している場合に、バッテリの定格出力に所定の超過出力分を加えた値をバッテリの出力制限として設定するものも知られている(例えば、特許文献2参照)。この動力出力装置では、バッテリの性能を充分に発揮させると共に、超過出力の要求の要因に応じた間隔で超過出力分を設定することによりバッテリをより適正に保護することが可能となる。
特開2002−058113号公報 特開2006−296183号公報
ところで、上述のような動力出力装置に備えられる蓄電手段としてのバッテリは、一般に、劣化することなくその性能を充分に発揮し得る電圧範囲の下限である下限電圧を有するものであるが、バッテリの中には、特に高電流での放電が継続されると出力電圧が下限電圧に達していなくても劣化し始めてしまうものがある。このため、バッテリの放電に起因した劣化を抑制するためには、下限電圧を遵守すると共に必要に応じてバッテリからの放電を制限して電流を低下させることが必要となる。ただし、このようにバッテリからの放電が制限されると、動力出力装置において内燃機関が停止されているときに内燃機関からの動力を利用すべく当該内燃機関を始動させる機会が増加し、それにより内燃機関の運転停止領域が狭まって、内燃機関を適宜始動・停止させる間欠運転の適正な実行による燃費やエネルギ効率の向上を図ることが困難となるおそれもある。
そこで、本発明は、蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制しつつ、内燃機関の運転停止領域をより適正に確保することを主目的とする。
本発明による動力出力装置、それを備えた車両および動力出力装置の制御方法は、上記主目的を達成するために以下の手段を採っている。
本発明による動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関を始動させるためのクランキングを実行可能な電動クランキング手段と、前記電動機および前記電動クランキング手段と電力をやり取り可能な蓄電手段とを含む動力出力装置であって、
前記蓄電手段を流れる電流の積算値に基づいて、所定の基準値を超えたときに前記蓄電手段の放電に起因した劣化が開始されることを示す劣化ファクターを算出する劣化ファクター算出手段と、
前記劣化ファクターの積算値を算出する劣化ファクター積算手段と、
前記算出された劣化ファクターが前記基準値よりも小さい所定の制限開始閾値未満であるときには、前記蓄電手段の状態から放電に許容される電力として定められる基本出力制限を該蓄電手段の出力制限に設定すると共に、前記算出された劣化ファクターが前記制限開始閾値以上になってから所定の制限解除閾値未満になるまで、前記劣化ファクターが前記基準値以下になるように前記基本出力制限よりも小さい電力を前記出力制限に設定する出力制限設定手段と、
前記算出された劣化ファクターの積算値が所定の切換閾値以下であるときには、前記基本出力制限を前記内燃機関の始動判定に用いられる始動判定用出力制限に設定し、前記算出された劣化ファクターの積算値が前記切換閾値を超えると前記始動判定用出力制限を前記基本出力制限から前記設定された出力制限へと変更すると共に、前記算出された劣化ファクターの積算値が所定の切換解除閾値未満になると前記始動判定用出力制限を前記出力制限から前記基本出力制限へと戻す始動判定用出力制限設定手段と、
前記駆動軸に出力すべきトルクである要求トルクに基づいて該駆動軸に要求される要求パワーを設定する要求パワー設定手段と、
前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記設定された要求パワーに所定のパワーを加算して得られる総要求パワーが前記始動判定用出力制限未満であるときには、前記内燃機関の運転が停止された状態で前記蓄電手段の放電電力が前記設定された出力制限を超えることなく前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御し、前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記総要求パワーが前記始動判定用出力制限以上になると、前記蓄電手段の放電電力が前記設定された出力制限を超えることなく前記電動クランキング手段のクランキングにより前記内燃機関が始動されると共に前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御する制御手段と、
を備えるものである。
この動力出力装置では、所定の基準値を超えたときに蓄電手段の放電に起因した劣化が開始されることを示す劣化ファクターが劣化ファクター算出手段により算出される。劣化ファクターが基準値よりも小さい所定の制限開始閾値未満であるときには、蓄電手段の状態から放電に許容される電力として定められる基本出力制限が蓄電手段の出力制限に設定され、劣化ファクターが制限開始閾値以上になってから所定の制限解除閾値未満になるまで、劣化ファクターが基準値以下になるように基本出力制限よりも小さい電力が出力制限に設定される。また、この動力出力装置では、劣化ファクターに加えて、劣化ファクターの積算値が劣化ファクター積算手段により算出される。劣化ファクターの積算値が所定の切換閾値以下であるときには、基本出力制限が内燃機関の始動判定に用いられる始動判定用出力制限に設定され、劣化ファクターの積算値が切換閾値を超えると始動判定用出力制限が基本出力制限から出力制限へと変更されると共に、劣化ファクターの積算値が所定の切換解除閾値未満になると始動判定用出力制限が出力制限から基本出力制限へと戻される。そして、内燃機関の運転が停止されている最中に総要求パワーが始動判定用出力制限未満であるときには、内燃機関の運転が停止された状態で蓄電手段の放電電力が出力制限を超えることなく駆動軸に要求トルクに基づくトルクが出力されるように内燃機関と電動機と電動クランキング手段とが制御され、内燃機関の運転が停止されている最中に総要求パワーが始動判定用出力制限以上になると、蓄電手段の放電電力が出力制限を超えることなく電動クランキング手段のクランキングにより内燃機関が始動されると共に駆動軸に要求トルクに基づくトルクが出力されるように内燃機関と電動機と電動クランキング手段とが制御される。
ここで、劣化ファクターは、蓄電手段を流れる電流の積算値に基づいて算出されるものであることから、放電電流を正とすると共に充電電流を負とすれば、劣化ファクターの値は、基本的に蓄電手段の放電が継続されると大きくなると共に蓄電手段の充電が継続されると小さくなる。このため、劣化ファクターの積算値は、蓄電手段の放電が継続されているときや劣化ファクターが基準値を超えたとき等、蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制すべきときに大きくなる傾向をもつ。従って、劣化ファクターの積算値が所定の切換閾値以下であるときに、基本出力制限を内燃機関の始動判定に用いられる始動判定用出力制限に設定すれば、劣化ファクターの積算値が比較的小さく蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制する必要性が比較的低いときに、必要以上に運転停止中の内燃機関が始動されないようにして内燃機関の運転停止領域を確保することが可能となる。また、劣化ファクターの積算値が切換閾値を超えると始動判定用出力制限を基本出力制限から出力制限へと変更することにより、劣化ファクターの値に応じて蓄電手段の出力制限が基本出力制限よりも小さい値に制限されていれば始動判定用出力制限は基本出力制限よりも小さい値になることから、蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制する必要性が高まったときに内燃機関の始動が許容されやすくなり、内燃機関を運転することで蓄電手段からの放電が継続されるのを抑制し、それにより蓄電手段の劣化を抑制することが可能となる。更に、劣化ファクターの積算値が所定の切換解除閾値未満になると始動判定用出力制限を出力制限から基本出力制限へと戻すことにより、蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制する必要性が低下したときに、必要以上に運転停止中の内燃機関が始動されないようにして内燃機関の運転停止領域を確保することが可能となる。この結果、この動力出力装置では、蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制しつつ、内燃機関の運転停止領域をより適正に確保することが可能となる。なお、上述の切換閾値と切換解除閾値とは同一の値であってもよく、互いに異なる値であってもよい。また、始動判定用出力制限を基本出力制限と出力制限との間で変更する際には、始動判定用出力制限を基本出力制限と出力制限との間で瞬時に変化させてもよく、緩変化させてもよい。
また、前記動力出力装置において、前記切換解除閾値は、前記切換閾値よりも小さくてもよく、前記始動判定用出力制限設定手段は、前記算出された劣化ファクターの積算値が前記切換閾値を超えると、前記始動判定用出力制限を前記基本出力制限から前記出力制限へと緩変化させると共に、前記算出された劣化ファクターの積算値が前記切換解除閾値未満になると、前記始動判定用出力制限を前記出力制限から前記基本出力制限へと緩変化させるものであってもよい。これにより、劣化ファクターの積算値の変化に応じて始動判定用出力制限をより適正に設定することが可能となる。
更に、前記出力制限設定手段は、前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記総要求パワーが前記始動判定用出力制限以上となって前記電動クランキング手段のクランキングにより前記内燃機関が始動されるときに、前記算出された劣化ファクターの値に拘わらず、前記出力制限を一時的に前記基本出力制限に所定の一時増加量を加算して得られる電力に設定可能なものであってもよい。すなわち、劣化ファクターが制限開始閾値以上になった場合、短時間であれば、劣化ファクターに基づく出力制限を越える蓄電手段からの放電を許容しても蓄電手段を劣化させてしまうおそれは極めて少ない。従って、電動クランキング手段のクランキングにより前記内燃機関が始動されるときに、劣化ファクターの値に拘わらず一時的に基本出力制限以上の電力を出力制限に設定可能とすれば、蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制しつつ、内燃機関を電動クランキング手段のクランキングにより良好に始動させることが可能となる。
また、前記総要求パワーは、前記要求パワーに少なくとも前記内燃機関の始動に際して前記電動クランキング手段のクランキングに伴って消費される電力を加算して得られるものであってもよい。これにより、総要求パワーと始動判定用出力制限との比較により、運転停止中の内燃機関の始動判定をより適正に実行することが可能となる。
また、前記動力出力装置は、動力を入出力可能な前記電動クランキング手段としての発電用電動機と、前記駆動軸と前記内燃機関の機関軸と前記発電用電動機の回転軸との3軸に接続され、これら3軸のうちの何れか2軸に入出力される動力に基づく動力を残余の軸に入出力する3軸式動力入出力手段とを更に備えてもよい。
そして、前記蓄電手段は、リチウムイオン二次電池であってもよい。すなわち、リチウムイオン二次電池は、高電流での放電が継続されると出力電圧が下限電圧に達していなくても劣化し始めてしまうという特性を有するものである。従って、本発明は、リチウムイオン二次電池を蓄電手段として備える動力出力装置に極めて好適なものとなる。ただし、劣化ファクターは、リチウムイオン二次電池以外の例えばニッケル水素二次電池といった他の形式の蓄電手段についても算出可能であるから、本発明による動力出力装置は、リチウムイオン二次電池以外の他の形式の蓄電手段を備えるものとされてもよいことはいうまでもない。
本発明による車両は、上記何れかの動力出力装置と、前記駆動軸に連結された駆動輪とを備えるものである。この車両では、蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制すると共に、内燃機関の運転停止領域をより適正に確保することにより、内燃機関の燃費と車両全体のエネルギ効率とを向上させることができる。
本発明による動力出力装置の制御方法は、
駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関を始動させるためのクランキングを実行可能な電動クランキング手段と、前記電動機および前記電動クランキング手段と電力をやり取り可能な蓄電手段とを含む動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記蓄電手段を流れる電流の積算値に基づいて、所定の基準値を超えたときに前記蓄電手段の放電に起因した劣化が開始されることを示す劣化ファクターを算出するステップと、
(b)前記劣化ファクターの積算値を算出するステップと、
(c)ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが前記基準値よりも小さい所定の制限開始閾値未満であるときには、前記蓄電手段の状態から放電に許容される電力として定められる基本出力制限を該蓄電手段の出力制限に設定すると共に、ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが前記制限開始閾値以上になってから所定の制限解除閾値未満になるまで、前記劣化ファクターが前記基準値以下になるように前記基本出力制限よりも小さい電力を前記出力制限に設定するステップと、
(d)ステップ(b)にて算出された劣化ファクターの積算値が所定の切換閾値以下であるときには、前記基本出力制限を前記内燃機関の始動判定に用いられる始動判定用出力制限に設定し、ステップ(b)にて算出された劣化ファクターの積算値が前記切換閾値を超えると前記始動判定用出力制限を前記基本出力制限からステップ(c)にて設定された出力制限へと変更すると共に、ステップ(b)にて算出された劣化ファクターの積算値が所定の切換解除閾値未満になると前記始動判定用出力制限を前記出力制限から前記基本出力制限へと戻す始動判定用出力制限設定手段と、
(e)前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記駆動軸に出力すべきトルクである要求トルクに基づいて設定される要求パワーに所定のパワーを加算して得られる総要求パワーが前記始動判定用出力制限未満であるときには、前記内燃機関の運転が停止された状態で前記蓄電手段の放電電力がステップ(c)にて設定された出力制限を超えることなく前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御し、前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記総要求パワーが前記始動判定用出力制限以上になると、前記蓄電手段の放電電力がステップ(c)にて設定された出力制限を超えることなく前記電動クランキング手段のクランキングにより前記内燃機関が始動されると共に前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御するステップと、
を含むものである。
この方法によれば、蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制しつつ、内燃機関の運転停止領域をより適正に確保することが可能となる。
本発明による他の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関を始動させるためのクランキングを実行可能な電動クランキング手段と、前記電動機および前記電動クランキング手段と電力をやり取り可能な蓄電手段とを含む動力出力装置であって、
前記蓄電手段を流れる電流の積算値に基づいて、所定の基準値を超えたときに前記蓄電手段の放電に起因した劣化が開始されることを示す劣化ファクターを算出する劣化ファクター算出手段と、
前記算出された劣化ファクターが前記基準値よりも小さい所定の制限開始閾値未満であるときには、前記蓄電手段の状態から放電に許容される電力として定められる基本出力制限を該蓄電手段の出力制限に設定すると共に、前記算出された劣化ファクターが前記制限開始閾値以上になってから所定の制限解除閾値未満になるまで、前記劣化ファクターが前記基準値以下になるように前記基本出力制限よりも小さい電力を前記出力制限に設定する出力制限設定手段と、
前記算出された劣化ファクターが所定の切換閾値以下であるときには、前記基本出力制限を前記内燃機関の始動判定に用いられる始動判定用出力制限に設定し、前記算出された劣化ファクターが前記切換閾値を超えると前記始動判定用出力制限を前記基本出力制限から前記設定された出力制限へと変更すると共に、前記算出された劣化ファクターが所定の切換解除閾値未満になると前記始動判定用出力制限を前記出力制限から前記基本出力制限へと戻す始動判定用出力制限設定手段と、
前記駆動軸に出力すべきトルクである要求トルクに基づいて該駆動軸に要求される要求パワーを設定する要求パワー設定手段と、
前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記設定された要求パワーに所定のパワーを加算して得られる総要求パワーが前記始動判定用出力制限未満であるときには、前記内燃機関の運転が停止された状態で前記蓄電手段の放電電力が前記設定された出力制限を超えることなく前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御し、前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記総要求パワーが前記始動判定用出力制限以上になると、前記蓄電手段の放電電力が前記設定された出力制限を超えることなく前記電動クランキング手段のクランキングにより前記内燃機関が始動されると共に前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御する制御手段と、
を備えるものである。
この動力出力装置において算出される劣化ファクターは、蓄電手段を流れる電流の積算値に基づいて算出されるものであって所定の基準値を超えたときに蓄電手段の放電に起因した劣化が開始されることを示すものである。従って、劣化ファクターが所定の切換閾値以下であるときに、基本出力制限を内燃機関の始動判定に用いられる始動判定用出力制限に設定すれば、劣化ファクターが比較的小さく蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制する必要性が比較的低いときに、必要以上に運転停止中の内燃機関が始動されないようにして内燃機関の運転停止領域を確保することが可能となる。また、劣化ファクターが切換閾値を超えると始動判定用出力制限を基本出力制限から出力制限へと変更することにより、劣化ファクターの値に応じて蓄電手段の出力制限が基本出力制限よりも小さい値に制限されていれば始動判定用出力制限が基本出力制限よりも小さい出力制限に一致することになるので、蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制する必要性が高まったときに内燃機関の始動が許容されやすくなり、内燃機関を運転することで蓄電手段からの放電が継続されるのを抑制し、それにより蓄電手段の劣化を抑制することが可能となる。更に、劣化ファクターが所定の切換解除閾値未満になると始動判定用出力制限を出力制限から基本出力制限へと戻すことにより、蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制する必要性が低下したときに、必要以上に運転停止中の内燃機関が始動されないようにして内燃機関の運転停止領域を確保することが可能となる。この結果、この動力出力装置では、蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制しつつ、内燃機関の運転停止領域をより適正に確保することが可能となる。なお、上述の切換閾値と切換解除閾値とは同一の値であってもよく、互いに異なる値であってもよい。また、始動判定用出力制限を基本出力制限と出力制限との間で変更する際には、始動判定用出力制限を基本出力制限と出力制限との間で瞬時に変化させてもよく、緩変化させてもよい。
本発明による他の動力出力装置の制御方法は、
駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関を始動させるためのクランキングを実行可能な電動クランキング手段と、前記電動機および前記電動クランキング手段と電力をやり取り可能な蓄電手段とを含む動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記蓄電手段を流れる電流の積算値に基づいて、所定の基準値を超えたときに前記蓄電手段の放電に起因した劣化が開始されることを示す劣化ファクターを算出するステップと、
(b)ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが前記基準値よりも小さい所定の制限開始閾値未満であるときには、前記蓄電手段の状態から放電に許容される電力として定められる基本出力制限を該蓄電手段の出力制限に設定すると共に、ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが前記制限開始閾値以上になってから所定の制限解除閾値未満になるまで、前記劣化ファクターが前記基準値以下になるように前記基本出力制限よりも小さい電力を前記出力制限に設定するステップと、
(c)ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが所定の切換閾値以下であるときには、前記基本出力制限を前記内燃機関の始動判定に用いられる始動判定用出力制限に設定し、ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが前記切換閾値を超えると前記始動判定用出力制限を前記基本出力制限からステップ(b)にて設定された出力制限へと変更すると共に、ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが所定の切換解除閾値未満になると前記始動判定用出力制限を前記出力制限から前記基本出力制限へと戻す始動判定用出力制限設定手段と、
(d)前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記駆動軸に出力すべきトルクである要求トルクに基づいて設定される要求パワーに所定のパワーを加算して得られる総要求パワーが前記始動判定用出力制限未満であるときには、前記内燃機関の運転が停止された状態で前記蓄電手段の放電電力がステップ(b)にて設定された出力制限を超えることなく前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御し、前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記総要求パワーが前記始動判定用出力制限以上になると、前記蓄電手段の放電電力がステップ(b)にて設定された出力制限を超えることなく前記電動クランキング手段のクランキングにより前記内燃機関が始動されると共に前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御するステップと、
含むものである。
この方法によっても、蓄電手段の放電に起因した劣化を抑制しつつ、内燃機関の運転停止領域をより適正に確保することが可能となる。
本発明の一実施例に係る車両としてのハイブリッド自動車20の概略構成図である。 バッテリ温度Tbとバッテリ50の出力制限の温度依存値WoutTとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の残容量SOCと出力制限用補正係数koutとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の特性を例示する説明図である。 劣化ファクターDに基づいて出力制限Woutを制限したときの劣化ファクターDおよび出力制限Woutの推移を例示する説明図である。 実施例のバッテリECU51により実行される出力制限設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 第1および第2係数設定用マップを例示する説明図である。 実施例のハイブリッドECU70により実行されるエンジン停止時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 変形例に係る第1および第2係数設定用マップを例示する説明図である。 変形例に係るハイブリッド自動車120の概略構成図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る車両としてのハイブリッド自動車20の概略構成図である。同図に示すハイブリッド自動車20は、エンジン22と、エンジン22の出力軸であるクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに連結された減速ギヤ35と、この減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに接続されたモータMG2と、モータMG1およびMG2と電力をやり取り可能なバッテリ50と、このバッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)51と、ハイブリッド自動車20の全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「ハイブリッドECU」という)70等とを備えるものである。
エンジン22は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料の供給を受けて動力を出力する内燃機関であり、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24による燃料噴射量や点火時期、吸入空気量等の制御を受ける。エンジンECU24には、エンジン22に対して設けられて当該エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号が入力される。そして、エンジンECU24は、ハイブリッドECU70と通信しており、ハイブリッドECU70からの制御信号や上記センサからの信号等に基づいてエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31と噛合すると共にリングギヤ32と噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行う遊星歯車機構として構成されている。キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されている。動力分配統合機構30は、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側とにそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構37およびデファレンシャルギヤ38を介して最終的に駆動輪である車輪39a,39bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、逆突極性を有するように内部に永久磁石が埋め込まれたロータと三相コイルが巻回されたステータとを含む同期発電電動機として構成されている。モータMG1は、直流電力を交流電力に変換すると共に交流電力を直流電力に変換することができるインバータ41を介して電力ライン52に接続されており、モータMG2は、直流電力を交流電力に変換すると共に交流電力を直流電力に変換することができるインバータ42を介して電力ライン52に接続されている。そして、電力ライン52には、システムメインリレー53と昇圧コンバータ55とを介してバッテリ50が接続されている。インバータ41および42は、それぞれ6個のトランジスタとこれらのトランジスタに逆方向に並列接続された6個のダイオードとにより構成されている。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン52は、両者が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2の何れか一方により発電される電力を他方のモータで消費できるようになっている。従って、バッテリ50は、モータMG1,MG2の何れかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになり、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されないことになる。昇圧コンバータ55は、2個のトランジスタ(上アームおよび下アーム)と、これらのトランジスタに逆方向に並列接続された2個のダイオードと、リアクトルとを含む。昇圧コンバータ55の2個のトランジスタをスイッチング制御することによりバッテリ50側の電圧に対してインバータ41,42側の電圧を昇圧したり、インバータ41,42側の電圧に対してバッテリ50側の電圧を降圧したりすることができる。なお、リアクトルと負極母線とには、昇圧コンバータ55のバッテリ50側の電圧を平滑化する図示しない平滑コンデンサが接続されており、この平滑コンデンサの端子間には昇圧前電圧センサ56が設置されている。なお、実施例において、システムメインリレー53は、ハイブリッドECU70によりオン/オフ制御される。
上述のインバータ41,42や昇圧コンバータ55は、何れもモータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40により制御され、それによりモータMG1,MG2が駆動制御される。モータECU40は、図示しないCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、図示しない入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)等を備える。モータECU40には、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や、平滑コンデンサ45の端子間電圧を検出する昇圧後電圧センサ46の検出値や、昇圧前電圧センサ56の検出値、バッテリ50の一方の端子に接続された電流センサ58からの充放電電流Ib、図示しない複数の電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流といったモータMG1,MG2の駆動制御に必要な信号が入力される。また、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号や昇圧コンバータ55へのスイッチング制御信号等が出力される。更に、モータECU40は、ハイブリッドECU70と通信しており、上記センサからの信号に加えてハイブリッドECU70からの制御信号をも用いてモータMG1,MG2を駆動制御する。加えて、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2といったモータMG1,MG2の運転状態に関するデータを計算・取得し、昇圧後電圧センサ46の検出値に基づいて昇圧後電圧VHを計算・取得すると共に、昇圧前電圧センサ56の検出値に基づいて昇圧コンバータ55の昇圧前電圧VLを計算・取得し、必要に応じてこれらのデータをハイブリッドECU70等に出力する。
バッテリ50は、実施例ではリチウムイオン二次電池として構成されており、バッテリECU51により管理される。バッテリECU51は、図示しないCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、図示しない入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)等を備える。バッテリECU51には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された端子間電圧センサ57からの端子間電圧Vb、電流センサ58からの充放電電流Ib、バッテリ50に取り付けられた温度センサ59からのバッテリ温度Tb等が入力される。また、バッテリECU51は、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッドECU70に出力する。更に、バッテリECU51は、バッテリ50を管理するために、電流センサ58により検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて残容量SOCを算出したり、当該残容量SOCと所定の充放電制約とに基づいてバッテリ50の充放電要求パワーPb*を設定したり、バッテリ50の充電に許容される電力である充電許容電力としての入力制限Winやバッテリ50の放電に許容される電力である放電許容電力としての出力制限Woutを設定したりする。バッテリ50の入力制限Winは、バッテリ温度Tbに基づく値である温度依存値にバッテリ50の残容量SOCに基づく入力制限用補正係数を乗じることにより設定可能である。
バッテリ50の出力制限Woutとしては、基本的には、バッテリ温度Tbに基づく値である温度依存値WoutTにバッテリ50の残容量SOCに基づく出力制限用補正係数koutを乗じて得られる基本出力制限(基本出力制限)Woutbが設定される。図2にバッテリ温度Tbと温度依存値WoutTとの関係の一例を示し、図3にバッテリ50の残容量SOCと出力制限用補正係数koutとの関係の一例を示す。ただし、実施例のハイブリッド自動車20に搭載されたバッテリ50はリチウムイオン二次電池であり、リチウムイオン二次電池に関しては、高電流での放電が継続された場合、端子間電圧Vbが電池性能を充分に発揮し得る電圧範囲の下限である下限電圧Vbminに達していなくても劣化し始めてしまうことが判明している。すなわち、リチウムイオン二次電池は、比較的高い(一定の)電流値での放電が継続された場合、図4に示すように、あるタイミング(以下「劣化開始タイミング」という)から端子間電圧Vbが時間の経過と共に比較的急峻に低下するという特性を有する。
これを踏まえて、実施例では、次式(1)の微分方程式により表される劣化ファクターDを導入し、当該劣化ファクターDが所定の基準値Dlim(実施例では、値1.0)を上回らなければ劣化開始タイミングが到来しないものと仮定することとした。この場合、式(1)の両辺のラプラス変換をとって式変形を行うことにより、劣化ファクターDは、次式(2)に示すように、バッテリ温度Tbおよび残容量SOCに基づいて定まる係数κと充放電電流Ib(ただし、放電電流を正とすると共に充電電流を負とする)の積算値との積として求めることができる。実施例では、かかる式(2)に従って、バッテリECU51により所定時間おきに劣化ファクターDが算出される。なお、係数κとしては、バッテリ電流Tbと残容量SOCと係数κとの関係を規定するように予め作成された図示しない係数設定用マップから劣化ファクターDの算出時に与えられるバッテリ温度Tbと残容量SOCとに対応したものが導出される。更に、バッテリECU51は、劣化ファクターDを算出をするたびに、当該劣化ファクターDの積算値(以下、「劣化ファクター積算値」という)Ds(=ΣD)をも算出する。
dD/dt +α・D=β・ Ib …(1)
D = κ・∫Ib・dt …(2)
また、式(2)からわかるように、劣化ファクターDは、高電流でのバッテリ50の放電が継続すればするほど大きな値となり、逆にバッテリ50が充電されているときには徐々に小さくなる。このため、実施例では、このような劣化ファクターDの特性を考慮して、劣化ファクターDを算出すると共に、バッテリ50の状態すなわちバッテリ電流Tbと残容量SOCに基づいて上記基準値Dlimよりも小さい制限開始閾値Dtag1を設定した上で、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag1以上になった時点から上述の基本出力制限Woutbや制限開始閾値Dtag1と劣化ファクターDとの偏差に基づく次式(3)に従って出力制限Woutを設定し、それにより劣化ファクターDを上記基準値Dlim以下に保ってバッテリ50の劣化開始タイミングが到来しないようにすることとしている。式(3)は、劣化ファクターDと制限開始閾値Dtag1との偏差を打ち消すためのフィードバック制御における関係式であり、式(3)中、右辺の“Kp”は比例項のゲインであり、右辺の“Ki”は積分項のゲインである。ゲイン“Kp”および“Ki”は、式(3)から得られる出力制限Woutをできるだけ大きく保つと共に、劣化ファクターDが基準値Dlimを超えないようにする値として実験・解析を経て定められる。
Wout = Woutb + Kp・(Dtag-D) + Ki・∫(Dtag-D)・dt …(3)
このように、実施例のバッテリECU51は、劣化ファクターDが基準値Dlimよりも小さい制限開始閾値Dtag1未満であるときには、バッテリ50の状態すなわちバッテリ温度Tbと残容量SOCとに基づく基本出力制限Woutbを出力制限Woutに設定する。また、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag1以上になると、バッテリECU51は、基本出力制限Woutbや劣化ファクターD、制限開始閾値Dtag1とを用いて式(3)に従って出力制限Woutを設定する。図5にバッテリECU51により設定される出力制限Woutの時間変化の一例を示す。同図に示すように、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag1以上になると、バッテリ50の出力制限Woutは、劣化ファクターDが基準値Dlimを超えないように基本出力制限Woutbよりも小さく、かつ劣化ファクターDが大きいほど小さくなる傾向に設定されることになる。
ハイブリッドECU70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74や、データを一時的に記憶するRAM76、計時指令に応じて計時処理を実行するタイマ78、図示しない入出力ポートおよび通信ポート等を備える。ハイブリッドECU70には、イグニッションスイッチ(スタートスイッチ)80からのイグニッション信号、シフトレバー81の操作位置であるシフトポジションSPを検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルストロークセンサ86からのブレーキペダルストロークBS、車速センサ87からの車速V等が入力ポートを介して入力される。そして、ハイブリッドECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU51等と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU51等と各種制御信号やデータのやり取りを行っている。
上述のように構成された実施例のハイブリッド自動車20では、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動輪である車輪39a,39bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*が計算され、この要求トルクTr*に基づくトルクがリングギヤ軸32aに出力されるようにエンジン22とモータMG1とモータMG2とが制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御モードとしては、要求トルクTr*に見合うパワーがエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力されるパワーのすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求トルクTr*とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合うパワーがエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力されるパワーの全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求トルクTr*に基づくトルクがリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止して要求トルクTr*に基づくトルクをリングギヤ軸32aに出力するようにモータMG2を駆動制御するモータ運転モード等がある。また、実施例のハイブリッド自動車20では、トルク変換運転モードや充放電運転モードのもとで所定条件が成立した場合、エンジン22を自動的に停止・始動させる間欠運転が実行される。
次に、図6を参照しながら、バッテリ50の放電に許容される電力である出力制限Woutの設定手順について詳細に説明する。図6は、実施例のバッテリECU51により実行される出力制限設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、運転者によりイグニッションスイッチ80がオンされると所定時間ごとに繰り返し実行される。
図6の出力制限設定ルーチンの開始に際して、バッテリECU51の図示しないCPUは、端子間電圧センサ57からの端子間電圧Vbや電流センサ58からの充放電電流Ib、温度センサ59からのバッテリ温度Tb、別途算出した残容量SOC、劣化ファクターD、制限開始閾値Dtag1、劣化ファクター積算値Ds、ハイブリッドECU70からの超過出力要求フラグFout1,Fout2の値といった制御に必要なデータの入力処理を実行する(ステップS100)。ここで、超過出力要求フラグFout1は、ハイブリッドECU70により、ハイブリッド自動車20の走行中に通常値0に設定されると共に運転者によるアクセル開度Accが所定の閾値Aref以上であって運転者による駆動力(トルク)の要求度合(加速要求の度合)が比較的大きいと認められるときに、バッテリ50側に出力制限Woutの一時的な増加を要求すべく値1に設定されるものである。また、超過出力要求フラグFout2は、ハイブリッドECU70により、ハイブリッド自動車20の走行中に通常値0に設定されると共に運転停止されているエンジン22を始動すべきときにバッテリ50側に出力制限Woutの一時的な増加を要求すべく値1に設定されるものである。
ステップS100のデータ入力処理の後、バッテリ温度Tbと温度依存値WoutTとの関係(図2参照)を規定するマップから導出される温度依存値WoutTに残容量SOCと出力制限用補正係数koutとの関係(図3参照)を規定するマップから導出される出力制限用補正係数koutを乗じて、バッテリ温度Tbと残容量SOCとに基づく基本出力制限Woutbを設定する(ステップS110)。なお、ステップS110では、異常発生時のフェールセーフ等を考慮して、温度依存値WoutTと出力制限用補正係数koutとの積をより小さい値に制限してもよい。次いで、劣化ファクターDが上述の制限開始閾値Dtag1未満であるか否かを判定し(ステップS120)、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag1未満であれば、劣化ファクターDに基づく出力制限Woutの制限が実行されているときに値1に設定されるフラグFが値0であるか否かを判定する(ステップS130)。フラグFが値0であれば、フラグFを値0に設定(保持)した上で(ステップS150)、ステップS110にて設定した基本出力制限Woutbをそのまま出力制限Woutとして設定し、設定した出力制限Woutを図示しないRAMの所定の記憶領域に格納する(ステップS160)。
これに対して、ステップS120にて劣化ファクターDが閾値Dref以上であると判断された場合には、上記フラグFを値1に設定(保持)した上で(ステップS170)、劣化ファクターDを基準値Dlim以下に保ってバッテリ50の劣化開始タイミングが到来しないように上記式(3)に従って出力制限Woutを設定する(ステップS180)。ステップS170にてフラグFが値1に設定されると、それ以後の本ルーチンの実行に際してステップS130にて肯定判断がなされることになり、この場合には、ステップS100にて入力された劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag1から所定値ΔD(正の値)を差し引いた値である制限解除閾値Dtag0と比較される(ステップS140)。そして、ステップS140にて劣化ファクターDが制限解除閾値Dtag0以上であると判断される間、ステップS170およびS180の処理が実行され、ステップS140にて劣化ファクターDが制限解除閾値Dtag0未満であると判断されると、ステップS150およびS160の処理が実行されることになる。これにより、実施例のハイブリッド自動車20では、劣化ファクターDが一旦制限開始閾値Dtag1以上になると、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag1よりも小さい制限解除閾値Dtag0未満に低下するまで、劣化ファクターDに基づく出力制限Woutの制限が実行され、その間、バッテリ50の出力制限Woutは、劣化ファクターDが基準値Dlimを超えないように基本出力制限Woutbよりも小さく、かつ劣化ファクターDが大きいほど小さくなる傾向に設定されることになる。なお、実施例では、制限解除閾値Dtag0を制限開始閾値Dtag1よりも小さい値としているが、制限解除閾値Dtag0を制限開始閾値Dtag1に一致させてもよい。
ステップS160またはS180にて出力制限Woutを設定した後、エンジン22の始動判定閾値としての始動判定用出力制限Woutegの設定に用いられる所定の係数αが一旦値0になると値0に設定されると共に、係数αが一旦値1になると値1に設定されるフラグFαの値を調べる(ステップS190)。そして、フラグFαが値0であれば、ステップS100にて入力した劣化ファクター積算値Dsと第1係数設定用マップとを用いて係数αを設定し(ステップS200)、フラグFαが値1であれば、ステップS100にて入力した劣化ファクター積算値Dsと第2係数設定用マップとを用いて係数αを設定する(ステップS210)。こうして係数αを設定したならば、係数αとステップS110にて設定した基本出力制限WoutbとステップS160またはS180にて設定した出力制限Woutとを用いて次式(4)に従い始動判定用出力制限Woutegを設定する(ステップS220)。
Wouteg=(1-α)・Woutb+α・Wout …(4)
ここで、第1係数設定用マップと第2係数設定用マップとは、それぞれ劣化ファクター積算値Dsと係数αとの関係を規定するように予め作成されたものである。実施例の第1係数設定用マップは、図7に示すように、劣化ファクター積算値Dsが所定の切換閾値Dsc以下であるときに係数αを値0とし、劣化ファクター積算値Dsが切換閾値Dscよりも大きくかつ所定値Ds1(図7の例では、Ds1>Dsc)未満であるときに係数αを劣化ファクター積算値Dsの増加に伴って線形的に増加させ、劣化ファクター積算値Dsが所定値Ds1に達すると係数αを値1とするように作成されている。また、実施例の第2係数設定用マップは、図7に示すように、劣化ファクター積算値Dsが所定の切換解除閾値Dsr以上であるときに係数αを値1とし、劣化ファクター積算値Dsが切換解除閾値Dsr(図7の例では、Dsr<Dsc)よりも小さくかつ所定値Ds0(図7の例では、Ds0<Dsr)よりも大きいときに係数αを劣化ファクター積算値Dsの減少に伴って線形的に減少させ、劣化ファクター積算値Dsが所定値Ds0に達すると係数αを値0とするように作成されている。これにより、ステップS220にて上記式(4)に従って設定される始動判定用出力制限Woutegは、フラグFαが値0であるときに劣化ファクター積算値Dsが切換閾値Dsc以下であれば基本出力制限Woutbに一致し、劣化ファクター積算値Dsが切換閾値Dscを超えると基本出力制限Woutbから出力制限Woutへと比較的緩やかに変化し、劣化ファクター積算値Dsが所定値Ds1以上になると出力制限Woutに一致することになる。また、ステップS220にて上記式(4)に従って設定される始動判定用出力制限Woutegは、フラグFαが値1であるときに劣化ファクター積算値Dsが切換解除閾値Dsr以上であれば出力制限Woutに一致し、劣化ファクター積算値Dsが切換解除閾値Dsr未満になると出力制限Woutから基本出力制限Woutbへと比較的緩やかに変化し、劣化ファクター積算値Dsが所定値Ds0以下になると基本出力制限Woutegに一致することになる。
ステップS220にて始動判定用出力制限Woutegを設定したならば、上述のフラグFが値0であるか否かを判定し(ステップS230)、フラグFが値0であって劣化ファクターDに基づく出力制限Woutの制限が実行されていない場合には、更にステップS100にて入力した超過出力要求フラグFout1が値1であるか否かを判定する(ステップS240)。駆動力の要求度合の高まりに起因して超過出力要求フラグFout1が値1に設定されていれば、前回バッテリ50の出力制限Woutを一時的に増加させてから所定時間t1が経過しているか否かを判定する(ステップS250)。前回の出力制限Woutの一時的増加から所定時間t1が経過していれば、更に、今回の出力制限Woutの一時的増加が開始されてからの経過時間が所定時間t0以下であるか否かを判定する(ステップS260)。そして、当該経過時間が所定時間t0以下であれば、ステップS160にて設定された出力制限Woutと所定の一時増加量ΔW(例えば6kW程度)との和を新たな出力制限Woutとして再設定し、再設定した出力制限Woutを上記記憶領域に格納した上で(ステップS270)、本ルーチンを一旦終了させる。また、ステップS250またはS260にて否定判断がなされた場合には、超過出力要求フラグFout1を値0に設定した上で(ステップS280)、ステップS160にて設定された出力制限Woutを変更することなく、本ルーチンを一旦終了させる。なお、実施例において、一時増加量ΔWは、例えばエンジン22の始動を1回実行する際にモータMG1によるエンジン22を始動させるためのクランキングに要求される電力(例えば5kW程度)と、モータMG2から動力を出力して走行を継続するのに要する電力(例えば1kW程度)の和として定められる。
一方、ステップS240にて超過出力要求フラグFout1が値0であると判断された場合には、ステップS100にて入力した超過出力要求フラグFout2が値1であるか否かを判定する(ステップS290)。エンジン22の始動要求に起因して超過出力要求フラグFout2が値1に設定されていれば、前回バッテリ50の出力制限Woutを一時的に増加させてから所定時間t2が経過しているか否かを判定する(ステップS300)。前回の出力制限Woutの一時的増加から所定時間t2が経過していれば、更に、今回の出力制限Woutの一時的増加が開始されてからの経過時間が所定時間t0以下であるか否かを判定する(ステップS310)。そして、当該経過時間が所定時間t0以下であれば、ステップS110にて設定された基本出力制限Woutbと上記所定値ΔWとの和を新たな出力制限Woutとして再設定し、再設定した出力制限Woutを上記記憶領域に格納した上で(ステップS320)、本ルーチンを一旦終了させる。また、ステップS290、S300またはS310にて否定判断がなされた場合には、超過出力要求フラグFout2を値0に設定した上で(ステップS330)、ステップS160にて設定された出力制限Woutを再設定することなく、本ルーチンを一旦終了させる。
これに対して、ステップS230にてフラグFが値1であると判断された場合、すなわち劣化ファクターDに基づく出力制限Woutの制限が実行されている場合には、超過出力要求フラグFout1についての判定を実行することなく、直ちに超過出力要求フラグFout2が値1であるか否かを判定する(ステップS290)。そして、エンジン22の始動要求に起因して超過出力要求フラグFout2が値1に設定されており、ステップS300およびS310にて肯定判断がなされた場合には、ステップS110にて設定された基本出力制限Woutbに所定値ΔW(例えば6kW程度)を加算した値が新たな出力制限Woutとして再設定・保持され(ステップS320)、本ルーチンが一旦終了することになる。
このように、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag1(制限開始閾値Dtag1を一旦超えた後には制限解除閾値Dtag0(=Dtag1−ΔD))未満であるときには、基本的に、バッテリ50の状態に基づく基本出力制限Woutbが出力制限Woutに設定され(ステップS160)、駆動力の要求度合の高まりに起因して超過出力要求フラグFout1が値1に設定されたり、エンジン22の始動要求に起因して超過出力要求フラグFout2が値1に設定されたりすると、一時的に(時間t0の間)、基本出力制限Wout以上の電力すなわち基本出力制限Woutbに一時増加量ΔWを加算して得られる電力が出力制限Woutに設定される(ステップS270,S320)。また、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag1以上となるときには、基本的に、劣化ファクターDが基準値Dlim以下になるように上記式(3)に従って基本出力制限Woutbよりも小さい電力が出力制限Woutに設定され(ステップS180)、エンジン22の始動要求に起因して超過出力要求フラグFout2が値1に設定された場合にのみ、一時的に(時間t0の間)、基本出力制限Wout以上の電力すなわち基本出力制限Woutbに一時増加量ΔWを加算して得られる電力が出力制限Woutに設定される(ステップS320)。なお、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag1以上となっているときに、劣化ファクターDに基づく出力制限Woutの制限を解除したり、出力制限Woutの増加を許容したりしても、それらが短時間に限定されるものであれば、バッテリ50の放電に起因した劣化を招いてしまうおそれは極めて少ない。
引き続き、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にハイブリッド自動車20がモータ運転モードのもとで走行しているときの動作について説明する。図8は、実施例のハイブリッドECU70により実行されるエンジン停止時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン22の運転が停止された状態でハイブリッド自動車20が走行している最中にアクセルペダル83が踏み込まれているときに所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行されるものである。
図8のルーチンの開始に際して、ハイブリッドECU70のCPU72は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ87からの車速V、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2、バッテリ50の残容量SOC、入出力制限Win,Wout、始動判定用出力制限Wouteg、劣化ファクターD、エンジン始動判定閾値Des、空調運転フラグFacといった制御に必要なデータの入力処理を実行する(ステップS500)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、モータECU40から通信により入力される。また、バッテリ50の入出力制限Win,Wout、始動判定用出力制限Wouteg、劣化ファクターD、およびエンジン始動判定閾値Desは、バッテリECU51から通信により入力される。出力制限Woutや始動判定用出力制限Woutegは、上述の出力制限設定ルーチンを経て設定されるものである。また、エンジン始動判定閾値Desは、劣化ファクターDとの比較によりエンジン22を始動させるか否かを判定するためのものであり、バッテリECU51によりバッテリ温度Tbとバッテリ50の残容量SOCとに基づいて劣化ファクターDが当該エンジン始動判定閾値Des以上となってエンジン22が始動された後に尚バッテリ50から所定量(例えば6kW程度)の電力の出力を可能とする上述の基準値Dlimよりも小さい値として設定される。空調運転フラグFacは、車室内のインストルメントパネル等に設けられたハイブリッド自動車20に搭載された図示しない車室空調ユニットの運転/停止を指示するための空調オンオフスイッチがオフされているときに値0に設定されると共に、当該スイッチがオンされているときに値1に設定されるものであり、車室空調ユニットを制御する図示しない空調用電子制御ユニットから通信により入力される。
ステップS500のデータ入力処理の後、入力したアクセル開度Accが所定の閾値Aref以上であるか否かを判定する(ステップS510)。ステップS510にてアクセル開度Accが閾値Aref以上である場合には、運転者による駆動力(トルク)の要求度合(加速要求の度合)が比較的大きいと認められることから、上述の超過出力要求フラグFout1を値1に設定する(ステップS520)。実施例において、閾値Arefは、例えば70%や80%といった値に設定される。また、ステップS510にてアクセル開度Accが閾値Aref未満であると判断された場合、ステップS520の処理はスキップされる。ステップS510またはS520の処理の後、ステップS500にて入力した劣化ファクターDとエンジン始動判定閾値Desとを比較し(ステップS530)、劣化ファクターDがエンジン始動判定閾値Des未満であれば、ステップS500にて入力した残容量SOCが予め定められた下限残容量Sref(例えば20〜40%程度の値)以上であるか否かを判定する(ステップS540)。そして、残容量SOCが下限残容量Sref以上であれば、ステップS500にて入力した車速Vが予め定められた間欠禁止車速Vref未満であるか否かを判定する(ステップS550)。間欠禁止車速Vrefは、例えばエンジン22の運転が必要となって間欠運転を禁止すべき車速域の下限値として設定され、バッテリ50の状態やエンジン22の状態、ハイブリッド自動車20の走行状態等に応じて変化するように設定されてもよいものである。
ステップS550にて車速Vが間欠禁止車速Vref未満であると判断された場合には、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて車輪39a,39bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定した上で、ハイブリッド自動車20の走行(リングギヤ軸32a)に要求される要求走行パワーPr*を設定する(ステップS560)。実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係が予め定められて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶されており、要求トルクTr*としては、与えられたアクセル開度Accと車速Vとに対応したものが当該マップから導出・設定される。図9に要求トルク設定用マップの一例を示す。また、実施例において、要求走行パワーPr*としては、要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じた値が設定される。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除するか、あるいは車速Vに換算係数を乗じることによって求めることができる。
次いで、要求走行パワーPr*や空調運転フラグFacの値等に基づく次式(5)に従って、始動判定用出力制限Woutegとの比較によりエンジン22を始動させるか否かを判定するための総要求パワーPtotalを計算する(ステップS570)。式(5)は、エンジン22を始動させるためのモータMG1によるクランキングに伴って消費される電力(負の値すなわち発電電力を含む)であるエンジン始動用電力Pcrkと、空調ユニットによる車室内の空調に要求される空調用電力Pac(コンプレッサ駆動用の電力等)と空調運転フラグFacとの積(Fac=0であれば、値0)と、予め定められたマージン分の電力Pmrgとを要求走行パワーPr*に加算することにより、総要求パワーPtotalを導出するものである。なお、エンジン始動用電力Pcrkは、エンジン22をクランキングするモータMG1により入出力される電力と、エンジン22のクランキングに伴ってリングギヤ軸32aに作用する駆動トルクに対する反力としてのトルクをキャンセルするためにモータMG2により入出力される電力との和であり、基本的には放電側の値(正の値)となるが、ハイブリッド自動車20の走行状態によっては充電側の値(負の値)にもなり得る。実施例のハイブリッド自動車20のエンジン22の始動に際しては、クランキングの開始時における車速Vが高いほど、モータMG1の回転数Nm1が負側に大きくなるのでモータMG1による発電量が増加し、その分だけエンジン22のクランキングに要する電力が低下することになる(場合によっては充電側の値になる)。これを踏まえて、実施例では、車速Vとエンジン始動用電力Pcrkの関係を規定する図示しないマップが予め作成されており、エンジン始動用電力Pcrkとしては、当該マップからステップS500にて入力した車速Vに対応したものが導出される。また、実施例において、車室内の空調に要求される空調用電力Pacは、空調ユニットの性能等を基に実験・解析を経て定められる一定値(例えば、数kW程度)とされる。
Ptoral=Pr*+Pcrk+Fac・Pac+Pmrg …(5)
総要求パワーPtotalを計算したならば、総要求パワーPtotalがステップS500にて入力した始動判定用出力制限Wouteg未満であるか否かを判定する(ステップS580)。そして、総要求パワーPtotalが始動判定用出力制限Wouteg未満であれば、エンジン22を始動させる必要がないとみなして、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をそれぞれに値0に設定すると共に(ステップS590)、モータMG1に対するトルク指令Tm1*を値0に設定する(ステップS600)。次いで、次式(6)および式(7)に従って、ステップS500にて入力したバッテリ50の入出力制限Win,WoutからS600にて設定したモータMG1のトルク指令Tm1*と現在のモータMG1の回転数Nm1との積(この場合、値0)として得られるモータMG1の消費電力(発電電力)を減じて得られる偏差をモータMG2の回転数Nm2で除することによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを計算する(ステップS610)。更に、次式(8)に従って要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除することによりモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを計算し(ステップS620)、仮モータトルクTm2tmpをトルク制限Tmin,Tmaxで制限した値をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定する(ステップS630)。このようにしてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクをバッテリ50の入力制限Winと基本出力制限Woutbまたは劣化ファクターDに基づいて制限された値である出力制限Woutとの範囲内に制限することができる。こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40にそれぞれ送信し(ステップS640)、再度ステップS500以降の処理を実行する。この場合、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm2*に従ってモータMG2が駆動されるようにインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
Tmin=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(6)
Tmax=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(7)
Tm2tmp=Tr*/Gr …(8)
一方、ステップS530にて劣化ファクターDがエンジン始動判定閾値Des以上であると判断された場合には、運転停止されているエンジン22を始動させるべく、エンジン始動フラグをオンすると共に(ステップS650)、出力制限Woutの一時的な増加を要求すべく上述の超過出力要求フラグFout2を値1に設定し(ステップS660)、本ルーチンを終了させる。また、ステップS540にてバッテリ50の残容量SOCが下限残容量Sref未満であると判断された場合には、エンジン22からの動力の少なくとも一部を用いたモータMG1の発電によるバッテリ50の充電を可能とすべく、エンジン始動フラグをオンすると共に(ステップS650)、超過出力要求フラグFout2を値1に設定し(ステップS660)、本ルーチンを終了させる。更に、ステップS550にて車速Vが間欠禁止車速Vref以上であると判断された場合には、エンジン22からの動力をリングギヤ軸32aに出力可能として加速性能等を確保すべく、エンジン始動フラグをオンすると共に(ステップS650)、超過出力要求フラグFout2を値1に設定し(ステップS660)、本ルーチンを終了させる。そして、ステップS580にて総要求パワーPtotalが始動判定用出力制限Wouteg以上であると判断された場合には、バッテリ50からの電力では総要求パワーPtotalを賄いきれないとみなして、エンジン始動フラグをオンすると共に(ステップS650)、超過出力要求フラグFout2を値1に設定し(ステップS660)、本ルーチンを終了させる。
こうしてエンジン始動フラグがオンされて図8のエンジン停止時駆動制御ルーチンが終了した場合には、ハイブリッドECU70により図示しないエンジン始動時駆動制御ルーチンが実行される。エンジン始動時駆動制御ルーチンは、モータMG1およびMG2により入出力されるパワーがバッテリ50の入力制限Winと出力制限Woutとの範囲内に収まるようにしながら、モータMG1によりエンジン22をクランキングしてエンジン22を始動させると共に、エンジン22のクランキングに伴ってリングギヤ軸32aに作用する駆動トルクに対する反力としてのトルクをキャンセルしつつ要求トルクTr*に基づくトルクがリングギヤ軸32aに出力されるようにモータMG2を駆動制御する処理である。そして、かかるエンジン始動時駆動制御ルーチンが終了するとエンジン始動フラグがオフされることになる。
以上説明したように、実施例のハイブリッド自動車20では、所定の基準値Dlimを超えたときにバッテリ50の放電に起因した劣化が開始されることを示す劣化ファクターDがバッテリECU51により算出される。そして、劣化ファクターDが基準値Dlimよりも小さい所定の制限開始閾値Dtag1未満であるときには、バッテリ50の状態から放電に許容される電力として定められる基本出力制限Woutbがバッテリ50の出力制限Woutに設定され(図6のステップS160)、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag1以上になってから所定の制限解除閾値Dtag0未満になるまで、劣化ファクターDが基準値Dlim以下になるように基本出力制限Woutbよりも小さい電力が出力制限Woutに設定される(ステップS180)。また、ハイブリッド自動車20では、劣化ファクターDに加えて、劣化ファクター積算値DsがバッテリECU51により算出される。そして、フラグFαが値0であると共に劣化ファクター積算値Dsが所定の切換閾値Dsc以下であるときには、基本出力制限Woutbがエンジン22の始動判定に用いられる始動判定用出力制限Woutegに設定され、劣化ファクター積算値Dsが切換閾値Dscを超えると始動判定用出力制限Woutegが基本出力制限Woutbから出力制限Woutへと徐々に変更されると共に劣化ファクター積算値Dsが所定値Ds1に達すると出力制限Woutが始動判定用出力制限Woutegに設定される(図6のステップS200,S220)。また、フラグFαが値1であると共に劣化ファクター積算値Dsが所定の切換解除閾値Dsr以下であるときには、出力制限Woutが始動判定用出力制限Woutegに設定され、劣化ファクター積算値Dsが切換解除閾値Dsr未満になると始動判定用出力制限Woutegが出力制限Woutから基本出力制限Woutbへと徐々に戻されると共に劣化ファクター積算値Dsが所定値Ds0に達すると基本出力制限Woutbが始動判定用出力制限Woutegに設定される(図6のステップS210,S220)。そして、エンジン22の運転が停止されている最中に総要求パワーPtotalが始動判定用出力制限Wouteg未満であるときには(図8のステップS580)、エンジン22の運転が停止された状態でバッテリ50の放電電力が出力制限Woutを超えることなくリングギヤ軸32aに要求トルクTr*に基づくトルクが出力されるようにエンジン22とモータMG1およびMG2とが制御される(図8のS590〜S640)。また、エンジン22の運転が停止されている最中に総要求パワーPtotalが始動判定用出力制限Wouteg以上になると(図8のステップS580)、バッテリ50の放電電力が出力制限Woutを超えることなくモータMG1のクランキングによりエンジン22が始動されると共にリングギヤ軸32aに要求トルクTr*に基づくトルクが出力されるようにエンジン22とモータMG1およびMG2とが制御される(図8のステップS650,S660等)。
ここで、劣化ファクターDは、バッテリ50を流れる電流の積算値に基づいて算出されるものであることから、劣化ファクターDの値は、基本的にバッテリ50の放電が継続されると大きくなると共にバッテリ50の充電が継続されると小さくなる。このため、劣化ファクター積算値Dsは、バッテリ50の放電が継続されているときや劣化ファクターDが基準値Dlimを超えたとき等、バッテリ50の放電に起因した劣化を抑制すべきときに大きくなる傾向をもつ。従って、劣化ファクター積算値Dsが所定の切換閾値Dsc以下であるときに、出力制限Wout以上の値となる基本出力制限Woutbを始動判定用出力制限Woutegに設定すれば、劣化ファクター積算値Dsが比較的小さくバッテリ50の放電に起因した劣化を抑制する必要性が比較的低いときに、必要以上に運転停止中のエンジン22が始動されないようにしてエンジン22の運転停止領域を確保することが可能となる。また、劣化ファクター積算値Dsが切換閾値Dscを超えると始動判定用出力制限Woutegを基本出力制限Woutbから出力制限Woutへと変更することにより、劣化ファクターDの値に応じてバッテリ50の出力制限Woutが基本出力制限Woutbよりも小さい値に制限されていれば始動判定用出力制限Woutegは基本出力制限Woutbよりも小さい値になることから、バッテリ50の放電に起因した劣化を抑制する必要性が高まったときにエンジン22の始動が許容されやすくなり、エンジン22を運転することでバッテリ50からの放電が継続されるのを抑制し、それによりバッテリ50の劣化を抑制することが可能となる。更に、劣化ファクター積算値Dsが所定の切換解除閾値Dsr未満になると始動判定用出力制限Woutegを出力制限Woutから基本出力制限Woutbへと戻すことにより、バッテリ50の放電に起因した劣化を抑制する必要性が低下したときに、必要以上に運転停止中のエンジン22が始動されないようにしてエンジン22の運転停止領域を確保することが可能となる。この結果、実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の放電に起因した劣化を抑制しつつ、エンジン22の運転停止領域をより適正に確保することが可能となり、エンジン22の燃費と車両全体のエネルギ効率とを向上させることができる。
また、実施例のハイブリッド自動車20では、切換解除閾値Dsrが切換閾値Dscよりも小さい値に定められており、始動判定用出力制限Woutegは、劣化ファクター積算値Dsが切換閾値Dscを超えると基本出力制限Woutbから出力制限Woutへと緩変化させられると共に、劣化ファクター積算値Dsが切換解除閾値Dsr未満になると、出力制限Woutから基本出力制限Woutbへと緩変化させられる。これにより、劣化ファクター積算値Dsの変化に応じて始動判定用出力制限Woutegをより適正に設定することが可能となる。ただし、上記実施例のように、始動判定用出力制限Woutegの設定に関して、いわゆるヒステリシスを設ける代わりに、切換閾値Dscと切換解除閾値Dsrとを同一の値としてもよい。また、上記実施例において、切換閾値Dscと所定値Ds1とを同一の値とすると共に、切換解除閾値Dsrと所定値Ds0とを同一の値としてもよく、切換閾値Dscと切換解除閾値Dsrと所定値Ds1と所定値Ds0とをすべて同一の値としてもよい。
更に、実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転が停止されている最中に総要求パワーPtotalが始動判定用出力制限Wouteg以上となってモータMG1のクランキングによりエンジン22が始動されるときに、劣化ファクターDの値に拘わらず、出力制限Woutが一時的に基本出力制限Woutbに所定の一時増加量ΔWを加算して得られる電力に設定される(図6のステップS320)。すなわち、劣化ファクターDが制限開始閾値Dtag1以上になった場合、短時間であれば、劣化ファクターDに基づく出力制限Woutを越えるバッテリ50からの放電を許容してもバッテリ50を劣化させてしまうおそれは極めて少ない。従って、モータMG1のクランキングによりエンジン22が始動されるときに、劣化ファクターDの値に拘わらず一時的に基本出力制限Woutb以上の電力を出力制限Woutに設定可能とすれば、バッテリ50の放電に起因した劣化を抑制しつつ、エンジン22をモータMG1のクランキングにより良好に始動させることが可能となる。
また、要求走行パワーPr*にエンジン22のクランキングに伴ってモータMG1およびMG2により入出力されるエンジン始動用電力Pcrk、更には空調用電力Pacやマージン分の電力Pmrgを加算することにより総要求パワーPtotalを計算すれば、始動判定用出力制限Woutegと比較される総要求パワーPtotalをより適正な値とすることができる。ただし、必ずしも空調用電力Pacやマージン分の電力Wmrgを考慮する必要はなく、また、エンジン始動用電力Pcrkや空調用電力Pac、電力Pmrgを一括してマージンとして定めてもよい。そして、劣化ファクターDに基づいてバッテリ50の出力制限Woutを制限する処理は、リチウムイオン二次電池のような高電流での放電が継続されると端子間電圧Vbが下限電圧Vbminに達していなくても劣化し始めてしまうという特性を有するバッテリ50に特に好適なものである。ただし、劣化ファクターDは、リチウムイオン二次電池以外の例えばニッケル水素二次電池といった他の形式のバッテリ50についても算出可能であるから、ハイブリッド自動車20のバッテリ50は、リチウムイオン二次電池以外の他の形式のものであってもよいことはいうまでもない。
なお、上記実施例では、始動判定用出力制限Woutegの設定(図6のステップS190〜S210)に際して、それぞれ劣化ファクター積算値Dsと係数αとの関係を規定する第1および第2係数設定用マップを用いて係数αを設定しているが、これに限られるものではない。すなわち、第1および第2係数設定用マップは、図10に例示するように、それぞれ劣化ファクターD自体と係数αとの関係を規定するように作成されてもよい。このような第1および第2係数設定用マップを用いた場合、ステップS220にて設定される始動判定用出力制限Woutegは、フラグFαが値0であるときに劣化ファクターDが切換閾値Dc以下であれば基本出力制限Woutbに一致し、劣化ファクターDが切換閾値Dcを超えると基本出力制限Woutbから出力制限Woutへと比較的緩やかに変化し、劣化ファクターDが所定値D1(図10の例では、D1>Dc)以上になると出力制限Woutに一致することになる。また、ステップS220にて設定される始動判定用出力制限Woutegは、フラグFαが値1であるときに劣化ファクターDが切換解除閾値Dr以上であれば出力制限Woutに一致し、劣化ファクターDが切換解除閾値Dr(図10の例では、Dr<Dc)未満になると出力制限Woutから基本出力制限Woutbへと比較的緩やかに変化し、劣化ファクターDが所定値D0(図10の例では、D0<Dr)以下になると基本出力制限Woutegに一致することになる。
このように、劣化ファクターDが切換閾値Dc未満であるときに基本出力制限Woutbを始動判定用出力制限Woutegに設定すれば、劣化ファクターDが比較的小さくバッテリ50の放電に起因した劣化を抑制する必要性が比較的低いときに、必要以上に運転停止中のエンジン22が始動されないようにしてエンジン22の運転停止領域を確保することが可能となる。また、劣化ファクターDが切換閾値Dcを超えると始動判定用出力制限Woutegを基本出力制限Woutbから出力制限Woutへと変更することにより、劣化ファクターDの値に応じてバッテリ50の出力制限Woutが基本出力制限Woutbよりも小さい値に制限されていれば始動判定用出力制限Woutegは基本出力制限Woutbよりも小さい値になることから、バッテリ50の放電に起因した劣化を抑制する必要性が高まったときにエンジン22の始動が許容されやすくなり、エンジン22を運転することでバッテリ50からの放電が継続されるのを抑制し、それによりバッテリ50の劣化を抑制することが可能となる。更に、劣化ファクターDが所定の切換解除閾値Dr未満になると始動判定用出力制限Woutegを出力制限Woutから基本出力制限Woutbへと戻すことにより、バッテリ50の放電に起因した劣化を抑制する必要性が低下したときに、必要以上に運転停止中のエンジン22が始動されないようにしてエンジン22の運転停止領域を確保することが可能となる。このようにして始動用出力制限Woutegを設定しても、バッテリ50の放電に起因した劣化を抑制しつつ、エンジン22の運転停止領域をより適正に確保することが可能となる。この場合も、切換閾値Dcと切換解除閾値Drとを同一の値としてもよい。また、切換閾値Dcと所定値D1とを同一の値とすると共に、切換解除閾値Drと所定値D0とを同一の値としてもよく、切換閾値Dcと切換解除閾値Drと所定値D1と所定値D0とをすべて同一の値としてもよい。
また、上記ハイブリッド自動車20では、リングギヤ軸32aとモータMG2とがモータMG2の回転数を減速してリングギヤ軸32aに伝達する減速ギヤ35を介して連結されているが、減速ギヤ35の代わりに、例えばHi,Loの2段の変速段あるいは3段以上の変速段を有し、モータMG2の回転数を変速してリングギヤ軸32aに伝達する変速機を採用してもよい。更に、上記ハイブリッド自動車20は、モータMG2の動力を減速ギヤ35により減速してリングギヤ軸32aとしてのリングギヤ軸32aに出力するものであるが、本発明の適用対象は、これに限られるものではない。すなわち、本発明は、図11に示す変形例としてのハイブリッド自動車120のように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aに接続された車軸(駆動輪である車輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図11における車輪39c,39dに接続された車軸)に出力するものに適用されてもよい。加えて、実施例のハイブリッド自動車20は、バッテリ50を図示しない外部電源からの電力により充電可能な、いわゆるプラグイン方式のハイブリッド自動車として構成されてもよい。
ここで、上記実施例および変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明しておく。すなわち、上記実施例においては、リングギヤ軸32aに動力を出力可能なエンジン22が「内燃機関」に相当し、リングギヤ軸32aに動力を出力可能なモータMG2が「電動機」に相当し、エンジン22を始動させるためのクランキングを実行可能なモータMG1が「電動クランキング手段」に相当し、モータMG1およびMG2と電力をやり取り可能なバッテリ50が「蓄電手段」に相当し、充放電電流Ibの積算値に基づいて所定の基準値Dlimを超えたときにバッテリ50の劣化が開始されることを示す劣化ファクターDを算出すると共に、劣化ファクター積算値Dsを算出するバッテリECU51が「劣化ファクター算出手段」や「劣化ファクター積算手段」に相当し、図6のステップS110〜S180の処理を実行するバッテリECU51が「出力制限設定手段」に相当し、図6のステップS190〜S220の処理を実行するバッテリECU51が「始動判定用出力制限設定手段」に相当し、図8のステップS560の処理を実行するハイブリッドECU70が「要求パワー設定手段」に相当し、図8のステップS570〜S660の処理を実行するハイブリッドECU70、エンジンECU24およびモータECU40の組み合わせが「制御手段」に相当する。また、モータMG1が「発電用電動機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当する。
ただし、「内燃機関」は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料の供給を受けて動力を出力するエンジン22に限られず、水素エンジンといったような他の如何なる形式のものであっても構わない。「電動機」や「電動クランキング手段」、「発電用電動機」は、モータMG1およびMG2のような同期発電電動機に限られず、誘導電動機といったような他の如何なる形式のものであっても構わない。「劣化ファクター算出手段」は、蓄電手段を流れる電流の値に基づいて所定の基準値を超えたときに蓄電手段の劣化が開始されることを示す劣化ファクターを算出するものであれば、バッテリECU51以外の他の如何なる形式のものであっても構わない。「出力制限設定手段」は、劣化ファクターが基準値よりも小さい制限開始閾値未満であるときに蓄電手段の状態から放電に許容される電力として定められる基本出力制限を蓄電手段の出力制限に設定すると共に、劣化ファクターが制限開始閾値以上になってから制限解除閾値未満になるまで劣化ファクターが基準値以下になるように基本出力制限よりも小さい電力を出力制限に設定するものであれば、バッテリECU51以外の他の如何なる形式のものであっても構わない。「始動判定用出力制限設定手段」は、劣化ファクターの積算値が切換閾値以下であるときに基本出力制限を始動判定用出力制限に設定し、劣化ファクターの積算値が切換閾値を超えると始動判定用出力制限を基本出力制限から設定された出力制限へと変更すると共に、劣化ファクターの積算値が切換解除閾値未満になると始動判定用出力制限を出力制限から基本出力制限へと戻すものであれば、バッテリECU51以外の他の如何なる形式のものであっても構わない。「要求パワー設定手段」は、駆動軸に出力すべきトルクである要求トルクに基づいて要求パワーを設定するものであれば、ハイブリッドECU70以外の他の如何なる形式のものであっても構わない。「制御手段」は、単一の電子制御ユニットといったようなハイブリッドECU70とエンジンECU24とモータECU40との組み合わせ以外の他の如何なる形式のものであっても構わない。「3軸式動力入出力手段」は、動力分配統合機構30以外のダブルピニオン式遊星歯車機構やデファレンシャルギヤといった他の如何なる形式のものであっても構わない。何れにしても、これら実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
本発明は、動力出力装置や車両の製造産業等において利用可能である。
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b,39c,39d 車輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、45 平滑コンデンサ、46 昇圧後電圧センサ、50 バッテリ、51 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、52 電力ライン、53 システムメインリレー、55 昇圧コンバータ、56 昇圧前電圧センサ、57 端子間電圧センサ、58 電流センサ、59 温度センサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(ハイブリッドECU)、72 CPU、74 ROM、76 RAM、78 タイマ、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルストロークセンサ、87 車速センサ、MG1,MG2 モータ。

Claims (10)

  1. 駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関を始動させるためのクランキングを実行可能な電動クランキング手段と、前記電動機および前記電動クランキング手段と電力をやり取り可能な蓄電手段とを含む動力出力装置であって、
    前記蓄電手段を流れる電流の積算値に基づいて、所定の基準値を超えたときに前記蓄電手段の放電に起因した劣化が開始されることを示す劣化ファクターを算出する劣化ファクター算出手段と、
    前記劣化ファクターの積算値を算出する劣化ファクター積算手段と、
    前記算出された劣化ファクターが前記基準値よりも小さい所定の制限開始閾値未満であるときには、前記蓄電手段の状態から放電に許容される電力として定められる基本出力制限を該蓄電手段の出力制限に設定すると共に、前記算出された劣化ファクターが前記制限開始閾値以上になってから所定の制限解除閾値未満になるまで、前記劣化ファクターが前記基準値以下になるように前記基本出力制限よりも小さい電力を前記出力制限に設定する出力制限設定手段と、
    前記算出された劣化ファクターの積算値が所定の切換閾値以下であるときには、前記基本出力制限を前記内燃機関の始動判定に用いられる始動判定用出力制限に設定し、前記算出された劣化ファクターの積算値が前記切換閾値を超えると前記始動判定用出力制限を前記基本出力制限から前記設定された出力制限へと変更すると共に、前記算出された劣化ファクターの積算値が所定の切換解除閾値未満になると前記始動判定用出力制限を前記出力制限から前記基本出力制限へと戻す始動判定用出力制限設定手段と、
    前記駆動軸に出力すべきトルクである要求トルクに基づいて該駆動軸に要求される要求パワーを設定する要求パワー設定手段と、
    前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記設定された要求パワーに所定のパワーを加算して得られる総要求パワーが前記始動判定用出力制限未満であるときには、前記内燃機関の運転が停止された状態で前記蓄電手段の放電電力が前記設定された出力制限を超えることなく前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御し、前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記総要求パワーが前記始動判定用出力制限以上になると、前記蓄電手段の放電電力が前記設定された出力制限を超えることなく前記電動クランキング手段のクランキングにより前記内燃機関が始動されると共に前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御する制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  2. 請求項1に記載の動力出力装置において、
    前記切換解除閾値は、前記切換閾値よりも小さく、
    前記始動判定用出力制限設定手段は、前記算出された劣化ファクターの積算値が前記切換閾値を超えると、前記始動判定用出力制限を前記基本出力制限から前記出力制限へと緩変化させると共に、前記算出された劣化ファクターの積算値が前記切換解除閾値未満になると、前記始動判定用出力制限を前記出力制限から前記基本出力制限へと緩変化させる動力出力装置。
  3. 請求項1または2に記載の動力出力装置において、
    前記出力制限設定手段は、前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記総要求パワーが前記始動判定用出力制限以上となって前記電動クランキング手段のクランキングにより前記内燃機関が始動されるときに、前記算出された劣化ファクターの値に拘わらず、前記出力制限を一時的に前記基本出力制限に所定の一時増加量を加算して得られる電力に設定可能である動力出力装置。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載の動力出力装置において、
    前記総要求パワーは、前記要求パワーに少なくとも前記内燃機関の始動に際して前記電動クランキング手段のクランキングに伴って消費される電力を加算して得られるものである動力出力装置。
  5. 請求項1から4の何れか一項に記載の動力出力装置において、
    動力を入出力可能な前記電動クランキング手段としての発電用電動機と、
    前記駆動軸と前記内燃機関の機関軸と前記発電用電動機の回転軸との3軸に接続され、これら3軸のうちの何れか2軸に入出力される動力に基づく動力を残余の軸に入出力する3軸式動力入出力手段と、
    を更に備える動力出力装置。
  6. 前記蓄電手段は、リチウムイオン二次電池である請求項1から5の何れか一項に記載の動力出力装置。
  7. 請求項1から6の何れか一項に記載の動力出力装置と、前記駆動軸に連結された駆動輪とを備える車両。
  8. 駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関を始動させるためのクランキングを実行可能な電動クランキング手段と、前記電動機および前記電動クランキング手段と電力をやり取り可能な蓄電手段とを含む動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記蓄電手段を流れる電流の積算値に基づいて、所定の基準値を超えたときに前記蓄電手段の放電に起因した劣化が開始されることを示す劣化ファクターを算出するステップと、
    (b)前記劣化ファクターの積算値を算出するステップと、
    (c)ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが前記基準値よりも小さい所定の制限開始閾値未満であるときには、前記蓄電手段の状態から放電に許容される電力として定められる基本出力制限を該蓄電手段の出力制限に設定すると共に、ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが前記制限開始閾値以上になってから所定の制限解除閾値未満になるまで、前記劣化ファクターが前記基準値以下になるように前記基本出力制限よりも小さい電力を前記出力制限に設定するステップと、
    (d)ステップ(b)にて算出された劣化ファクターの積算値が所定の切換閾値以下であるときには、前記基本出力制限を前記内燃機関の始動判定に用いられる始動判定用出力制限に設定し、ステップ(b)にて算出された劣化ファクターの積算値が前記切換閾値を超えると前記始動判定用出力制限を前記基本出力制限からステップ(c)にて設定された出力制限へと変更すると共に、ステップ(b)にて算出された劣化ファクターの積算値が所定の切換解除閾値未満になると前記始動判定用出力制限を前記出力制限から前記基本出力制限へと戻す始動判定用出力制限設定手段と、
    (e)前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記駆動軸に出力すべきトルクである要求トルクに基づいて設定される要求パワーに所定のパワーを加算して得られる総要求パワーが前記始動判定用出力制限未満であるときには、前記内燃機関の運転が停止された状態で前記蓄電手段の放電電力がステップ(c)にて設定された出力制限を超えることなく前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御し、前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記総要求パワーが前記始動判定用出力制限以上になると、前記蓄電手段の放電電力がステップ(c)にて設定された出力制限を超えることなく前記電動クランキング手段のクランキングにより前記内燃機関が始動されると共に前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御するステップと、
    を含む動力出力装置の制御方法。
  9. 駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関を始動させるためのクランキングを実行可能な電動クランキング手段と、前記電動機および前記電動クランキング手段と電力をやり取り可能な蓄電手段とを含む動力出力装置であって、
    前記蓄電手段を流れる電流の積算値に基づいて、所定の基準値を超えたときに前記蓄電手段の放電に起因した劣化が開始されることを示す劣化ファクターを算出する劣化ファクター算出手段と、
    前記算出された劣化ファクターが前記基準値よりも小さい所定の制限開始閾値未満であるときには、前記蓄電手段の状態から放電に許容される電力として定められる基本出力制限を該蓄電手段の出力制限に設定すると共に、前記算出された劣化ファクターが前記制限開始閾値以上になってから所定の制限解除閾値未満になるまで、前記劣化ファクターが前記基準値以下になるように前記基本出力制限よりも小さい電力を前記出力制限に設定する出力制限設定手段と、
    前記算出された劣化ファクターが所定の切換閾値以下であるときには、前記基本出力制限を前記内燃機関の始動判定に用いられる始動判定用出力制限に設定し、前記算出された劣化ファクターが前記切換閾値を超えると前記始動判定用出力制限を前記基本出力制限から前記設定された出力制限へと変更すると共に、前記算出された劣化ファクターが所定の切換解除閾値未満になると前記始動判定用出力制限を前記出力制限から前記基本出力制限へと戻す始動判定用出力制限設定手段と、
    前記駆動軸に出力すべきトルクである要求トルクに基づいて該駆動軸に要求される要求パワーを設定する要求パワー設定手段と、
    前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記設定された要求パワーに所定のパワーを加算して得られる総要求パワーが前記始動判定用出力制限未満であるときには、前記内燃機関の運転が停止された状態で前記蓄電手段の放電電力が前記設定された出力制限を超えることなく前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御し、前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記総要求パワーが前記始動判定用出力制限以上になると、前記蓄電手段の放電電力が前記設定された出力制限を超えることなく前記電動クランキング手段のクランキングにより前記内燃機関が始動されると共に前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御する制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  10. 駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関を始動させるためのクランキングを実行可能な電動クランキング手段と、前記電動機および前記電動クランキング手段と電力をやり取り可能な蓄電手段とを含む動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記蓄電手段を流れる電流の積算値に基づいて、所定の基準値を超えたときに前記蓄電手段の放電に起因した劣化が開始されることを示す劣化ファクターを算出するステップと、
    (b)ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが前記基準値よりも小さい所定の制限開始閾値未満であるときには、前記蓄電手段の状態から放電に許容される電力として定められる基本出力制限を該蓄電手段の出力制限に設定すると共に、ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが前記制限開始閾値以上になってから所定の制限解除閾値未満になるまで、前記劣化ファクターが前記基準値以下になるように前記基本出力制限よりも小さい電力を前記出力制限に設定するステップと、
    (c)ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが所定の切換閾値以下であるときには、前記基本出力制限を前記内燃機関の始動判定に用いられる始動判定用出力制限に設定し、ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが前記切換閾値を超えると前記始動判定用出力制限を前記基本出力制限からステップ(b)にて設定された出力制限へと変更すると共に、ステップ(a)にて算出された劣化ファクターが所定の切換解除閾値未満になると前記始動判定用出力制限を前記出力制限から前記基本出力制限へと戻す始動判定用出力制限設定手段と、
    (d)前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記駆動軸に出力すべきトルクである要求トルクに基づいて設定される要求パワーに所定のパワーを加算して得られる総要求パワーが前記始動判定用出力制限未満であるときには、前記内燃機関の運転が停止された状態で前記蓄電手段の放電電力がステップ(b)にて設定された出力制限を超えることなく前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御し、前記内燃機関の運転が停止されている最中に前記総要求パワーが前記始動判定用出力制限以上になると、前記蓄電手段の放電電力がステップ(b)にて設定された出力制限を超えることなく前記電動クランキング手段のクランキングにより前記内燃機関が始動されると共に前記駆動軸に前記要求トルクに基づくトルクが出力されるように前記内燃機関と前記電動機と前記電動クランキング手段とを制御するステップと、
    を含む動力出力装置の制御方法。


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