JP2009292179A - ハイブリッド自動車およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】二次電池の劣化を考慮して二次電池の残存容量の制御上の下限値を設定する。
【解決手段】限界下限容量割合Slimに次回にエンジン22を始動する際に推定されるエンジン22の温度としての機関推定温度Teestに基づいてエンジン22を始動するのに必要な電力としての始動必要電力Wstartに対応する容量割合に劣化係数bkを考慮したものを加えて第1使用下限容量割合Slow1を計算すると共に電池推定温度Tbestや劣化係数bk,始動必要電力Wstartに基づいて第2使用下限容量割合Slow2を計算し(S100〜S140)、第1使用下限容量割合Slow1と第2使用下限容量割合Slow2とのうち大きい方を使用下限容量割合Slowとして設定する(S150)。これにより、より適正に使用下限容量割合Slowを設定することができ、システム起動をより確実に行なうことができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、ハイブリッド自動車およびその制御方法に関し、詳しくは、内燃機関と、内燃機関をクランキングするクランキング手段と、走行用の動力を出力する電動機と、クランキング手段および電動機と電力のやりとりを行なう二次電池と、を備えるハイブリッド自動車およびこうしたハイブリッド自動車の制御方法に関する。
従来、この種のハイブリッド自動車としては、次回のイグニッションオン時の二次電池の温度を予測し、二次電池の残存容量が予測した二次電池の温度に基づいた所定範囲内となるよう制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、予測した二次電池の温度が低い範囲では、二次電池の残存容量の制御範囲としての所定範囲の下限値が大きくなるようにすることにより、低温時でも車両システムの起動をより確実に行なうことができるようにしている。
特開2007−311309号公報
しかしながら、上述のハイブリッド自動車では、低温時に二次電池の残存容量の制御範囲としての所定範囲の下限値を大きくしても車両システムの起動を行なうことができない場合が生じたり、ハイブリッド自動車の性能を限定する場合が生じる。二次電池は、使用状況にもよるが、使用により劣化することが知られている。このため、二次電池の劣化を考慮せずに車両システムの起動に必要な残存容量を下限値として設定して二次電池の残存容量を制御すると、二次電池の劣化により車両システムの起動に必要な電力を得ることができない場合が生じる。一方、こうした車両システムの起動をより確実に行なうために車両システムの起動に必要な残存容量より必要以上に大きな残存容量を下限値として設定して二次電池の残存容量を制御すると、走行に必要な駆動力の出力を制限したり、エンジンを停止した状態でモータからの動力だけで走行するモータ走行の可能範囲を小さくしたりするなど、ハイブリッド自動車の性能を十分に発揮することができない場合が生じる。
本発明のハイブリッド自動車およびその制御方法は、二次電池の劣化を考慮して二次電池の残存容量の制御上の下限値を設定することを主目的とする。
本発明のハイブリッド自動車およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、前記内燃機関をクランキングするクランキング手段と、走行用の動力を出力する電動機と、前記クランキング手段および前記電動機と電力のやりとりを行なう二次電池と、前記二次電池から放電可能な電力量としての残容量の前記二次電池の全容量に対する割合である容量割合の制御上の下限としての定格値である限界下限割合に前記内燃機関の始動時に推定される前記内燃機関の温度に基づいて得られる前記内燃機関の始動に必要な電力量である始動必要電力量に対して前記二次電池の全容量を適用して得られる割合を加えることにより使用下限割合を設定する使用下限割合設定手段と、前記二次電池の容量割合が制御上の中心である中心容量割合を含む所定範囲内となる第1の条件と走行に必要なエネルギを供給する第2の条件とが両立するときには両条件を満たして走行するよう前記内燃機関と前記クランキング手段と前記電動機とを制御し、前記第1の条件と前記第2の条件とが両立しないときには前記二次電池の容量割合が前記設定された使用下限割合以上となる範囲内で前記第2の条件を前記第1の条件に優先して満たして走行するよう前記内燃機関と前記クランキング手段と前記電動機とを制御する制御手段と、を備えるハイブリッド自動車であって、
前記使用下限割合設定手段は、前記二次電池の使用履歴に基づく該二次電池の劣化の程度としての劣化係数と前記二次電池の定格容量とを用いて前記二次電池の全容量を演算すると共に該演算した全容量を用いて前記使用下限割合を設定する手段である、
ことを特徴とする。
この本発明のハイブリッド自動車では、二次電池の使用履歴に基づく二次電池の劣化の程度としての劣化係数と二次電池の定格容量とを用いて二次電池の全容量を演算すると共にこの演算した全容量を用いて使用下限割合する。即ち、二次電池から放電可能な電力量としての残容量の二次電池の全容量に対する割合である容量割合の制御上の下限としての定格値である限界下限割合に内燃機関の始動時に推定される内燃機関の温度に基づいて得られる内燃機関の始動に必要な電力量である始動必要電力量に対して二次電池の全容量を適用して得られる割合を加えることにより使用下限割合を設定する際に二次電池の全容量として二次電池の劣化係数と定格容量とを用いて演算された二次電池の全容量を用いるのである。そして、二次電池の容量割合が制御上の中心である中心容量割合を含む所定範囲内となる第1の条件と走行に必要なエネルギを供給する第2の条件とが両立するときには両条件を満たして走行するよう内燃機関とクランキング手段と電動機とを制御し、第1の条件と前記第2の条件とが両立しないときには二次電池の容量割合が使用下限割合以上となる範囲内で第2の条件を第1の条件に優先して満たして走行するよう内燃機関とクランキング手段と電動機とを制御する。これにより、システム起動に必要な電力量をより確実に確保することができると共に必要以上に使用下限割合を大きくすることによる自動車の性能の低下を抑制することができる。
こうした本発明のハイブリッド自動車において、前記使用下限割合設定手段は、前記限界下限割合をSlim、前記始動必要電力量をWstart、前記二次電池の電圧をVb、前記定格容量をBset、前記劣化係数をbk、前記使用下限割合をSlow、としたときに前記使用下限割合を次式(A)により演算して設定する手段であるものとすることもできる。
Slow=Slim+Wstart/Vb×100/(Bset/bk) (A)
また、本発明のハイブリッド自動車において、前記使用下限割合設定手段は、前記二次電池の温度と前記容量割合と前記二次電池から出力可能な電力量との関係としての前記二次電池の定格出力特性と前記劣化係数とに基づいて得られる劣化反映後出力特性に対して前記内燃機関の始動時に推定される前記二次電池の温度と前記始動必要電力量とを適用して導出される容量割合と前記式(A)による演算により得られる使用下限割合のうち大きい方を前記使用下限割合として設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より確実にシステム起動を行なうことができる。
さらに、本発明のハイブリッド自動車において、前記劣化係数の変化量に基づいて前記中心容量割合を更新する中心容量割合更新手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、二次電池の劣化に応じて中心容量割合を更新することができる。この場合、前記中心容量割合更新手段は、更新前の中心容量割合をSmid、更新後の中心容量割合をSmid*、更新前の中心容量割合に更新したときの劣化係数をbk1、今回の劣化係数をbk2としたときに前記更新後の中心容量割合を次式(B)により演算して更新する手段であるものとすることもできる。
Smid*=Smid+Wstart/Vb×(100/Bset)×(bk2-bk1) (B)
あるいは、本発明のハイブリッド自動車において、前記使用下限割合設定手段は、前記内燃機関の排気系に取り付けられた排気浄化装置の排気浄化触媒の前記内燃機関の始動時に推定される温度が低いほど大きくなる排気要求電力量を前記始動必要電力量に加えた電力量に対して前記演算した全容量を適用して得られる割合を加えることにより前記使用下限割合を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の始動時に推定される排気浄化触媒の温度を考慮して使用下限割合を設定することができる。
また、本発明のハイブリッド自動車において、前記内燃機関の出力軸と車軸に連結された駆動軸と前記出力軸および前記駆動軸とは異なる第3の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構を備え、前記クランキング手段は前記第3の回転軸に接続された発電機であり、前記電動機は前記駆動軸に動力を入出力するよう接続されてなる、ものとすることもできる。
本発明のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、前記内燃機関をクランキングするクランキング手段と、走行用の動力を出力する電動機と、前記クランキング手段および前記電動機と電力のやりとりを行なう二次電池と、を備えるハイブリッド自動車の制御方法であって、
(a)前記二次電池の使用履歴に基づく該二次電池の劣化の程度としての劣化係数と前記二次電池の定格容量とを用いて前記二次電池の全容量を演算すると共に前記二次電池から放電可能な電力量としての残容量の前記演算した全容量に対する割合である容量割合の制御上の下限としての定格値である限界下限割合に前記内燃機関の始動時に推定される前記内燃機関の温度に基づいて得られる前記内燃機関の始動に必要な電力量である始動必要電力量に対して前記演算した全容量を適用して得られる割合を加えることにより使用下限割合を設定し、
(b)前記二次電池の容量割合が制御上の中心である中心容量割合を含む所定範囲内となる第1の条件と走行に必要なエネルギを供給する第2の条件とが両立するときには両条件を満たして走行するよう前記内燃機関と前記クランキング手段と前記電動機とを制御し、前記第1の条件と前記第2の条件とが両立しないときには前記二次電池の容量割合が前記設定された使用下限割合以上となる範囲内で前記第2の条件を前記第1の条件に優先して満たして走行するよう前記内燃機関と前記クランキング手段と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
このハイブリッド自動車の制御方法では、二次電池の使用履歴に基づく二次電池の劣化の程度としての劣化係数と二次電池の定格容量とを用いて二次電池の全容量を演算すると共にこの演算した全容量を用いて使用下限割合する。即ち、二次電池から放電可能な電力量としての残容量の二次電池の全容量に対する割合である容量割合の制御上の下限としての定格値である限界下限割合に内燃機関の始動時に推定される内燃機関の温度に基づいて得られる内燃機関の始動に必要な電力量である始動必要電力量に対して二次電池の全容量を適用して得られる割合を加えることにより使用下限割合を設定する際に二次電池の全容量として二次電池の劣化係数と定格容量とを用いて演算された二次電池の全容量を用いるのである。そして、二次電池の容量割合が制御上の中心である中心容量割合を含む所定範囲内となる第1の条件と走行に必要なエネルギを供給する第2の条件とが両立するときには両条件を満たして走行するよう内燃機関とクランキング手段と電動機とを制御し、第1の条件と前記第2の条件とが両立しないときには二次電池の容量割合が使用下限割合以上となる範囲内で第2の条件を第1の条件に優先して満たして走行するよう内燃機関とクランキング手段と電動機とを制御する。これにより、システム起動に必要な電力量をより確実に確保することができると共に必要以上に使用下限割合を大きくすることによる自動車の性能の低下を抑制することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して接続されたモータMG2と、直流電流を交流電流に変換してモータMG1,MG2に供給可能なインバータ41,42と、バッテリ50からの電力をその電圧を変換してインバータ41,42に供給可能な昇圧回路55と、バッテリ50と昇圧回路55とに介在するシステムメインリレー56と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26のクランク角を検出するクランク角センサ23からのクランク角θなどが入力されている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランク角センサ23からのクランク角θに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
昇圧回路55は、図示しないが、インバータ41,42の正極母線54aと負極母線54bとに接続された2つのトランジスタと、この2つのトランジスタに逆方向に並列接続された2つのダイオードと、2つのトランジスタの接続点に接続されたリアクトルとにより構成されており、リアクトルと負極母線54bはそれぞれシステムメインリレー56を介してバッテリ50の正極端子と負極端子とが接続されている。したがって、2つのトランジスタをオンオフ制御することによりバッテリ50の直流電力をその電圧を昇圧してインバータ41,42に供給したり正極母線54aと負極母線54bとに作用している直流電圧を降圧してバッテリ50を充電したりすることができる。なお、リアクトルと負極母線54bとには平滑用のコンデンサ58が、正極母線54aと負極母線54bとには平滑用のコンデンサ57が、それぞれ接続されている。
バッテリ50は、例えば定格電圧が200Vのリチウムイオン二次電池として構成されており、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの端子間電圧Vb,バッテリ50の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて残存容量の全容量に対する割合である残存容量割合(SOC)を演算したり、バッテリ50の入出力制限Win,Woutを設定したりしている。バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残存容量割合(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。図2に電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示し、図3にバッテリ50の残存容量割合(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す。図3には、通常の駆動制御を行なっているときの通常時出力制限用補正係数と残存容量割合(SOC)との関係と、エンジン22を始動しているときの始動時出力制限用補正係数と残存容量割合(SOC)との関係とを示した。実施例では、通常の駆動制御を行なっているときには、エンジン22を始動するのに必要な電力を賄うことができる残存容量割合(SOC)としての使用下限容量割合Slowが残存するよう出力制限用補正係数が設定され、エンジン22を始動しているときには、バッテリ50の機能を損なわない下限の残存容量割合(SOC)としての限界下限容量割合Slimが残存するよう出力制限用補正係数が設定される。このため、システムオフしたときにはバッテリ50の残存容量割合(SOC)は使用下限容量割合Slow以上となり、次回のシステム起動をより確実に行なうことができる。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、温度センサ55aからの昇圧回路55の温度Tupや、電圧センサ57aからのコンデンサ57の電圧,電圧センサ58aからのコンデンサ58の電圧,イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,外気温センサ89からの外気温Toutなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、昇圧回路55へのスイッチング制御信号やシステムメインリレー56への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に使用下限容量割合Slowやバッテリ50の残存容量割合(SOC)の制御に用いられる中心容量割合SOC*の設定およびこうした使用下限容量割合Slowや中心容量割合SOC*を用いた駆動制御の際の動作について説明する。以下、使用下限容量割合Slowの設定,中心容量割合SOC*の更新,駆動制御の順に説明する。
図4は使用下限容量割合Slowを設定する際にハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される使用下限容量割合設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定のタイミング、例えば、午前5時や6時など24時間毎のタイミングに実行される。使用下限容量割合設定ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、バッテリ50の電池電圧Vbや残存容量割合(SOC),定格容量Bset,限界下限容量割合Slim,バッテリ50の劣化係数bk,次回にエンジン22を始動する際に推定されるエンジン22の温度としての機関推定温度Teest,次回にエンジン22を始動する際に推定されるバッテリ50の温度である電池推定温度Tbestなどの使用下限容量割合Slowを設定するのに必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、バッテリ50の電池電圧Vbは、電圧センサ51aにより検出されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の残存容量割合(SOC)は、電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて演算された残存容量割合(SOC)をバッテリECU52から通信により入力するものとした。定格容量Bsetは、バッテリ50の定格値としてROM74の所定領域に記憶されているものを入力するものとした。限界下限容量割合Slimは、バッテリ50を通常使用してもよい下限限界の残存容量割合(SOC)として予め定められてROM74の所定領域に記憶されているものを入力するものとした。バッテリ50の劣化係数bkは、実施例では、全く劣化していないとき(新品のバッテリ50の使用を開始するとき)を値1.0とすると共に劣化の程度が大きくなるほど大きな値となる係数として設定されており、バッテリ50の使用を開始してから充放電した電力量や使用経過時間などにより設定されてRAM76の所定領域に記憶されたものを入力するものとした。劣化係数bkの設定としては、バッテリ50を充放電した電力の大きさを重みとしてカウンタをアップさせると共にカウンタの値が大きいほど大きな値となるよう設定する処理や、バッテリ50の使用を開始してからの経過時間が長いほど大きな値となるよう設定する処理、バッテリ50の使用を開始してからの経過時間に対するバッテリ50の全容量の減少量を実験などにより求めると共に実験結果から得られる全容量の減少量が大きいほど大きな値となるよう設定する処理などを用いることができる。バッテリ50の使用を開始してからの経過時間が長いほど大きな値となるよう設定する処理における経過時間と劣化係数bkの一例を図5に示す。機関推定温度Teestは、外気温センサ89によって検出された外気温Toutの履歴に基づいて設定されてRAM76の所定領域に記憶されたものを入力するものとした。機関推定温度Teestの設定としては、外気温センサ89によって検出された外気温Toutの履歴と次回にエンジン22を始動するときのエンジン22の温度との関係を実験などにより関係式として求めておくと共に外気温センサ89により検出された外気温Toutの数日分の履歴を関係式に代入して演算して設定する処理などを用いることができる。電池推定温度Tbestは、外気温センサ89によって検出された外気温Toutの履歴などに基づいて設定されてRAM76の所定領域に記憶されたものを入力するものとした。電池推定温度Tbestの設定としては、外気温センサ89によって検出された外気温Toutの履歴と次回にエンジン22を始動するときのバッテリ50の電池温度Tbとの関係を実験などにより関係式として求めておくと共に外気温センサ89により検出された外気温Toutの数日分の履歴を関係式に代入して演算して設定する処理などを用いることができる。なお、劣化係数bkの設定や機関推定温度Teestの設定,電池推定温度Tbestの設定手法は、種々のものを用いることができるが、本発明の中核をなさないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
こうしてデータを入力すると、入力した定格容量Bsetを劣化係数bkで除して劣化の程度を反映させた電池容量Bを計算すると共に(ステップS110)、機関推定温度Teestに基づいてエンジン22を始動するのに必要な電力である始動必要電力Wstartを設定する(ステップS120)。始動必要電力Wstartは、実施例では、エンジン22の温度(機関温度)と始動必要電力Wstartとの関係を予め実験などにより求めて始動必要電力設定用マップとしてROM74に記憶しておき、機関推定温度Teestが与えられると与えられた機関推定温度Teestを機関温度としてマップから対応する始動必要電力Wstartを導出して設定するものとした。始動必要電力設定用マップの一例を図6に示す。図示するように、機関温度が低いほど始動必要電力Wstartは大きくなる。これは、機関温度が低いほど潤滑油の粘性が高くなり、エンジン22を回転させるのに必要なエネルギーが大きくなることに基づく。
続いて、限界下限容量割合Slimと始動必要電力Wstartと電池容量Bとに基づいて次式(1)により第1使用下限容量割合Slow1を計算する(ステップS130)。ここで、使用下限容量割合Slowは、エンジン22を始動するのに必要な電力を賄うことができる残存容量割合(SOC)であるから、中心容量割合SOC*の残存容量割合(SOC)のときには中心容量割合SOC*から車両を停止するまでに使用できる停止前使用エネルギーEuseに相当する容量を減じたもの(式(2)参照)として定義される。そして、停止前使用エネルギーEuseは、中心容量割合SOC*から限界下限容量割合Slimを減じたものをエネルギーに換算した利用可能エネルギーEcanからエンジンを始動するのに必要な始動必要エネルギーEstartを減じたもの(式(3)参照)である。ここで、利用可能エネルギーEcanが式(4)で表わされ、始動必要エネルギーEstartが式(5)で表わされることを考慮し、式(2)に式(3)〜(5)を代入し、使用下限容量割合Slowを第1使用下限容量割合Slow1とすると、式(1)を導くことができる。
Slow1=Slim+Wstart/Vb×100/B (1)
Slow=SOC*−Euse×100/B (2)
Euse=Ecan−Estart (3)
Ecan=(SOC*−Slim)/100×B (4)
Estart=Wstart/Vb (5)
次に、電池推定温度Tbestと劣化係数bkと始動必要電力Wstartとに基づいて第2使用下限容量割合Slow2を設定する(ステップS140)。ここで、第2使用下限容量割合Slow2は、実施例では、バッテリ50の電池温度Tbと残存容量割合(SOC)とに対する定格値としての出力電力を劣化係数bkで除したマップに対して電池温度TbステップSと始動必要電力Wstartに対応する残存容量割合(SOC)を第2使用下限容量割合Slow2として導出して設定するものとした。電池温度Tbと残存容量割合(SOC)と定格値としての出力電力と劣化係数bkとの関係の一例を図7に示す。図示するように、残存容量割合(SOC)が小さいほど定格値の出力電力を劣化係数bkで除した値は小さくなり、電池温度Tbが低いほど出力電力は小さくなる。このマップに対して電池温度Tbが電池推定温度Tbestのときの定格値の出力電力を劣化係数bkで除した値が始動必要電力Wstartとなる残存容量割合(SOC)を導出し、これを第2使用下限容量割合Slow2とするのである。
そして、第1使用下限容量割合Slow1と第2使用下限容量割合Slow2とのうち大きい方を使用下限容量割合Slowとして設定して(ステップS150)、本ルーチンを終了する。このように第1使用下限容量割合Slow1と第2使用下限容量割合Slow2とのうち大きい方を使用下限容量割合Slowとして設定するのは、エンジン22の始動をより確実にするためである。こうして設定された使用下限容量割合Slowは、上述したように、図2および図3を用いて説明したように、バッテリECU52により入出力制限Win,Woutを設定する際に用いられる。
次に、中心容量割合SOC*の更新について説明する。図8は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される中心容量割合更新ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定のタイミング、例えば、午前5時や6時など24時間毎のタイミングや1週間毎のタイミングに実行される。中心容量割合更新ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、バッテリ50の電池電圧Vbや現在の中心容量割合SOC*,定格容量Bset,前回中心容量割合SOC*を更新したときのバッテリ50の劣化係数bk1および現在のバッテリ50の劣化係数bk2,次回にエンジン22を始動する際に推定されるエンジン22の温度としての機関推定温度Teestなどの中心容量割合SOC*を更新するのに必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。バッテリ50の電池電圧Vbの入力や定格容量Bsetの入力,機関推定温度Teestの入力などについては上述した。
こうしてデータを入力すると、機関推定温度Teestに基づいてエンジン22を始動するのに必要な電力である始動必要電力Wstartを設定すると共に(ステップS210)、現在の中心容量割合SOC*から始動必要電力Wstartに対応するバッテリ50の劣化係数の増加分に対応する分だけ増加させる次式(6)により新たな中心容量割合SOC*を計算して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。式(6)は、上述した式(2)を中心容量割合SOC*について解いて式(7)を求め、これに対して劣化係数bkの変化による中心容量割合SOC*の変化量(新SOC*−旧SOC*)を求める式(8)を誘導し、この式(8)に前回の劣化係数bk1を用いた式(3)〜(5)を適宜代入することにより求めることができる。
新SOC*=旧SOC*+Wstart/Vb×100/Bset×(bk2-bk1) (6)
SOC*=Slow−Euse×100/(Bset/bk) (7)
新SOC*−旧SOC*=−Euse×100/Bset×(bk2-bk1) (8)
次に、設定した使用下限容量割合Slowや更新した中心容量割合SOC*を用いて駆動制御を行なう際の動作、即ち、駆動制御について説明する。図9はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50を充放電するための充放電要求パワーPb*,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS300)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、充放電要求パワーPb*は、バッテリ50の残存容量割合(SOC)が中心容量割合SOC*を中心とする所定範囲を上回ると放電要求用のパワーが設定され、バッテリ50の残存容量割合(SOC)が中心容量割合SOC*を中心とする所定範囲を下回ると充電要求用のパワーが設定される。中心容量割合SOC*と残存容量割合(SOC)と充放電要求パワーPb*との関係を図10に示す。このように、中心容量割合SOC*は充放電要求パワーPb*を設定する際に用いられるから、中心容量割合SOC*をより適正な値に更新することにより、より適正な充放電要求パワーPb*を設定し、より適正にバッテリ50を充放電することができる。さらに、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残存容量割合(SOC)とに基づいて図2および図3に基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。このとき出力制限Woutとしては、駆動制御ルーチンが通常の駆動制御を行なっているときに実行されるものであるため、図3における使用下限容量割合Slowを用いて設定される通常時出力制限用補正係数により設定されたものが入力される。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*とエンジン22に要求される要求パワーPe*とを設定すると共に(ステップS310)、設定した要求パワーPe*に基づいてエンジン22を運転すべき運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS320)。ここで、要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図11に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求パワーPe*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として計算することができる。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じること(Nr=k・V)によって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ること(Nr=Nm2/Gr)によって求めることができる。目標回転数Ne*と目標トルクTe*との設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて行なわれる。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図12に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
続いて、エンジン22の目標回転数Ne*とモータMG2の回転数Nm2と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(9)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と入力したモータMG1の回転数Nm1とに基づいて式(10)によりモータMG1から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm1tmpを計算する(ステップS330)。ここで、式(9)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。エンジン22からパワーを出力している状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図13に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(9)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。なお、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。また、式(10)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(10)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/ρ (9)
Tm1tmp=ρ・Te*/(1+ρ)+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (10)
次に、式(11)および式(12)を共に満たすモータMG1から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tm1min,Tm1maxを設定し(ステップS340)、設定した仮トルクTm1tmpを式(13)によりトルク制限Tm1min,Tm1maxで制限してモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップ350)。ここで、式(11)はモータMG1やモータMG2によりリングギヤ軸32aに出力されるトルクの総和が値0から要求トルクTr*までの範囲内となる関係であり、式(12)はモータMG1とモータMG2とにより入出力される電力の総和が入出力制限Win,Woutの範囲内となる関係である。トルク制限Tm1min,Tm1maxの一例を図14に示す。トルク制限Tm1min,Tm1maxは、図中斜線で示した領域内のトルク指令Tm1*の最大値と最小値として求めることができる。
0≦−Tm1/ρ+Tm2・Gr≦Tr* (11)
Win≦Tm1・Nm1+Tm2・Nm2≦Wout (12)
Tm1*=max(min(Tm1tmp,Tm1max),Tm1min) (13)
そして、要求トルクTr*に設定したトルク指令Tm1*を動力分配統合機構30のギヤ比ρで除したものを加えて更に減速ギヤ35のギヤ比Grで除してモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを次式(14)により計算すると共に(ステップS360)、バッテリ50の入出力制限Win,Woutと設定したトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tm2min,Tm2maxを次式(15)および式(16)により計算すると共に(ステップS370)、設定した仮トルクTm2tmpを式(17)によりトルク制限Tm2min,Tm2maxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS380)。ここで、式(14)は、図13の共線図から容易に導くことができる。
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (14)
Tm2min=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 (15)
Tm2max=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (16)
Tm2*=max(min(Tm2tmp,Tm2max),Tm2min) (17)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信し(ステップS390)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でエンジン22を効率よく運転して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。
上述の駆動制御は、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でエンジン22を効率よく運転して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行するもの、即ち、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で充放電要求パワーPb*によるバッテリ50の充電と要求トルクTr*の駆動軸としてのリングギヤ軸32aへの出力とが両立するときには、充放電要求パワーPb*によるバッテリ50の充電と要求トルクTr*の駆動軸としてのリングギヤ軸32aへの出力とが行なわれ、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で充放電要求パワーPb*によるバッテリ50の充電と要求トルクTr*の駆動軸としてのリングギヤ軸32aへの出力とが両立しないときには、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で充放電要求パワーPb*によるバッテリ50の充電より要求トルクTr*の駆動軸としてのリングギヤ軸32aへの出力を優先して行なうものとなる。これにより、バッテリ50の残存容量割合(SOC)としては少なくとも使用下限容量割合Slow以上となる範囲内で可能な限り運転者が要求する要求トルクTr*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力して走行しながら可能であればバッテリ50を充放電要求パワーPb*に基づいて充放電することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、バッテリ50の劣化の程度を反映する劣化係数bkを用いて使用下限容量割合Slowを設定するから、システム起動に必要な電力量をより確実に確保することができると共に必要以上に使用下限容量割合Slowを大きくすることによる自動車の性能の低下を抑制することができる。しかも、限界下限容量割合Slimや始動必要電力Wstart,電池容量Bに基づいて式(1)により計算された第1使用下限容量割合Slow1と電池推定温度Tbestや劣化係数bk,始動必要電力Wstartに基づいて設定された第2使用下限容量割合Slow2とのうち大きい方を使用下限容量割合Slowとして設定するから、次回のシステム起動時にエンジン22の始動をより確実に行なうことができる。また、実施例のハイブリッド自動車20によれば、バッテリ50の劣化の程度を反映する劣化係数bkの変化量を用いて中心容量割合SOC*を更新するから、バッテリ50の充放電をより適正に行なうことができる。もとより、機関推定温度Teestを用いて設定された始動必要電力Wstartに基づいて第1使用下限容量割合Slow1を設定すると共に電池推定温度Tbestを用いて第2使用下限容量割合Slow2を設定するから、次回のシステム起動に対してより適正な使用下限容量割合Slowを設定することができる。また、機関推定温度Teestを用いて中心容量割合SOC*を更新するから、より適正に中心容量割合SOC*を更新することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の劣化の程度を反映する劣化係数bkを用いて使用下限容量割合Slowを設定する際に機関推定温度Teestに基づく始動必要電力Wstartを考慮したが、これに加えてエンジン22の排気系に取り付けられた排気浄化装置の触媒の暖機にある程度必要な電力を考慮するものとしてもよい。この場合、図4の使用下限容量割合設定ルーチンに代えて図15の使用下限設定ルーチンを実行すればよい。図15の使用下限設定ルーチンでは、データを入力して劣化係数bkに基づいて電池容量Bを設定し(ステップS100,S110)、機関推定温度Teestに基づいて始動必要電力Wstartを設定すると(ステップS120)、機関推定温度Teestに基づいて排気要求電力Wemを設定する(ステップS125)。そして、限界下限容量割合Slimと始動必要電力Wstartと排気要求電力Wemと電池容量Bとに基づいて次式(18)により第1使用下限容量割合Slow1を計算すると共に(ステップS130B)、電池推定温度Tbestと劣化係数bkとに基づいて第2使用下限容量割合Slow2を設定し(ステップS140)、第1使用下限容量割合Slow1と第2使用下限容量割合Slow2とのうち大きい方を使用下限容量割合Slowとして設定して(ステップS150)、本ルーチンを終了する。ここで、排気要求電力Wemは、エンジン22の排気系に取り付けられた排気浄化装置の触媒の暖機にある程度必要な電力、即ち、触媒がある程度の温度となるまで触媒を暖機している最中にエンジン22から出力可能な動力では賄うことができない走行用の動力をバッテリ50からの電力で賄う際の電力であり、次回のエンジン22の始動時におけるエンジン22の温度である機関推定温度Teestが高いほど小さくなる傾向に設定され、車両の特性や排気浄化装置の触媒の性能などによって定めることができる。したがって、始動必要電力Wstartと排気要求電力Wemとがバッテリ50から出力する必要がある電力となるから、式(18)は式(1)の始動必要電力Wstartに始動必要電力Wstartと排気要求電力Wemとの和を代入したものとなる。このように排気要求電力Wemを考慮することにより、次回のシステム起動後のエミッションの悪化を抑制することができる。
Slow1=Slim+(Wstart+Wem)/Vb×100/B (18)
実施例のハイブリッド自動車20では、限界下限容量割合Slimや始動必要電力Wstart,電池容量Bに基づいて式(1)により計算された第1使用下限容量割合Slow1と電池推定温度Tbestや劣化係数bk,始動必要電力Wstartに基づいて設定された第2使用下限容量割合Slow2とのうち大きい方を使用下限容量割合Slowとして設定するものとしたが、限界下限容量割合Slimや始動必要電力Wstart,電池容量Bに基づいて式(1)により計算された第1使用下限容量割合Slow1をそのまま使用下限容量割合Slowとして設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、現在の中心容量割合SOC*から始動必要電力Wstartに対応する容量割合の劣化係数の増加分に対応する分だけ増加させて新たな中心容量割合SOC*を計算して中心容量割合SOC*を更新するものとしたが、中心容量割合SOC*の更新は行なわないものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、上述した式(11),(12)を満たす範囲内でモータMG1の仮トルクTm1tmpを制限するトルク制限Tm1min,Tm1maxを求めてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共に式(15),(16)によりトルク制限Tm2min,Tm2maxを求めてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定したが、式(11),(12)を満たす範囲内によるトルク制限Tm1min,Tm1maxの制限を受けることなくモータトルクTm1tmpをそのままモータMG1のトルク指令Tm1*として設定すると共にこのトルク指令Tm1*を用いて式(15),(16)によりトルク制限Tm2min,Tm2maxを求めてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定するものとしても構わない。この他、モータMG2の回転数Nm2や予想モータ回転数Nm2estを用いてバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*Tm2*を設定するものであれば、如何なる手法を用いるものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、減速ギヤ35を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしたが、リングギヤ軸32aにモータMG2を直接取り付けるものとしてもよいし、減速ギヤ35に代えて2段変速や3段変速,4段変速などの変速機を介してリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図16の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図16における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図17の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
また、こうしたパラレル式のハイブリッド自動車に限定されるものではなく、いわゆるシリーズ式のハイブリッド自動車に適用するものとしてもよく、その他のタイプのハイブリッド自動車に適用するものとしてもよい。さらに、こうしたハイブリッド自動車の制御方法の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、動力分配統合機構30を介してエンジン22のクランクシャフト26に接続されたモータMG1が「クランキング手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「二次電池」に相当し、限界下限容量割合Slimに機関推定温度Teestに基づいて設定された始動必要電力Wstartに対応する容量割合に劣化係数bkを考慮したものを加えて得られる第1使用下限容量割合Slow1と電池推定温度Tbestや劣化係数bk,始動必要電力Wstartに基づいて設定された第2使用下限容量割合Slow2とのうち大きい方を使用下限容量割合Slowとして設定する図4の使用下限容量割合設定ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「使用下限割合設定手段」に相当し、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で充放電要求パワーPb*によるバッテリ50の充電と要求トルクTr*の駆動軸としてのリングギヤ軸32aへの出力とが両立するときには、充放電要求パワーPb*によるバッテリ50の充電と要求トルクTr*の駆動軸としてのリングギヤ軸32aへの出力とが行なわれ、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で充放電要求パワーPb*によるバッテリ50の充電と要求トルクTr*の駆動軸としてのリングギヤ軸32aへの出力とが両立しないときには、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で充放電要求パワーPb*によるバッテリ50の充電より要求トルクTr*の駆動軸としてのリングギヤ軸32aへの出力を優先して行なう図9の駆動制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70およびエンジンECU24、モータECU40が「制御手段」に相当する。また、バッテリ50の劣化の程度を反映する劣化係数bkの変化量を用いて中心容量割合SOC*を更新する図8の中心容量割合更新ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「中心容量割合更新手段」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「クランキング手段」としては、動力分配統合機構30を介してエンジン22のクランクシャフト26に接続されたモータMG1に限定されるものではなく、対ロータ電動機230としたり、スタータモータとしたりするなど、内燃機関をクランキングするものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「二次電池」としては、定格電圧が200Vのリチウムイオン二次電池に限定されるものではなく如何なるタイプの二次電池であっても構わない。「使用下限割合設定手段」としては、限界下限容量割合Slimに機関推定温度Teestに基づいて設定された始動必要電力Wstartに対応する容量割合に劣化係数bkを考慮したものを加えて得られる第1使用下限容量割合Slow1と電池推定温度Tbestや劣化係数bk,始動必要電力Wstartに基づいて設定された第2使用下限容量割合Slow2とのうち大きい方を使用下限容量割合Slowとして設定するものではなく、限界下限容量割合Slimに機関推定温度Teestに基づいて設定された始動必要電力Wstartに対応する容量割合に劣化係数bkを考慮したものを加えて得られる第1使用下限容量割合Slow1をそのまま使用下限容量割合Slowとして設定するものなど、二次電池から放電可能な電力量としての残容量の二次電池の全容量に対する割合である容量割合の制御上の下限としての定格値である限界下限割合に内燃機関の始動時に推定される内燃機関の温度に基づいて得られる内燃機関の始動に必要な電力量である始動必要電力量に対して二次電池の全容量を適用して得られる割合を加えることにより使用下限割合を設定するものであって、二次電池の使用履歴に基づく二次電池の劣化の程度としての劣化係数と二次電池の定格容量とを用いて二次電池の全容量を演算すると共に演算した全容量を用いて使用下限割合を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で充放電要求パワーPb*によるバッテリ50の充電と要求トルクTr*の駆動軸としてのリングギヤ軸32aへの出力とが両立するときには、充放電要求パワーPb*によるバッテリ50の充電と要求トルクTr*の駆動軸としてのリングギヤ軸32aへの出力とが行なわれ、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で充放電要求パワーPb*によるバッテリ50の充電と要求トルクTr*の駆動軸としてのリングギヤ軸32aへの出力とが両立しないときには、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で充放電要求パワーPb*によるバッテリ50の充電より要求トルクTr*の駆動軸としてのリングギヤ軸32aへの出力を優先して行なうものに限定されるものではなく、二次電池の容量割合が制御上の中心である中心容量割合を含む所定範囲内となる第1の条件と走行に必要なエネルギを供給する第2の条件とが両立するときには両条件を満たして走行するよう内燃機関とクランキング手段と電動機とを制御し、第1の条件と第2の条件とが両立しないときには二次電池の容量割合が設定された使用下限割合以上となる範囲内で第2の条件を第1の条件に優先して満たして走行するよう内燃機関とクランキング手段と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 バッテリ50における電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示す説明図である。 通常の駆動時とエンジン22の始動時におけるバッテリ50の残存容量割合(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す説明図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される使用下限容量割合設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 バッテリ50の使用を開始してからの経過時間と劣化係数bkとの関係の一例を示す説明図である。 始動必要電力設定用マップの一例を示す説明図である。 電池温度Tbと残存容量割合(SOC)と定格値としての出力電力と劣化係数bkとの関係の一例を示す説明図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される中心容量割合更新ルーチンの一例を示すフローチャートである。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 中心容量割合SOC*と残存容量割合(SOC)と充放電要求パワーPb*との関係の一例を示す説明図である。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。 エンジン22からパワーを出力している状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 トルク制限Tm1min,Tm1maxを設定する様子を説明する説明図である。 変形例の使用下限容量割合設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 クランク角センサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、54a 正極母線、54b 負極母線、55 昇圧回路、55a 温度センサ、56 システムメインリレー、57,58 コンデンサ、57a,58a 電圧センサ、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 外気温センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (8)

  1. 内燃機関と、前記内燃機関をクランキングするクランキング手段と、走行用の動力を出力する電動機と、前記クランキング手段および前記電動機と電力のやりとりを行なう二次電池と、前記二次電池から放電可能な電力量としての残容量の前記二次電池の全容量に対する割合である容量割合の制御上の下限としての定格値である限界下限割合に前記内燃機関の始動時に推定される前記内燃機関の温度に基づいて得られる前記内燃機関の始動に必要な電力量である始動必要電力量に対して前記二次電池の全容量を適用して得られる割合を加えることにより使用下限割合を設定する使用下限割合設定手段と、前記二次電池の容量割合が制御上の中心である中心容量割合を含む所定範囲内となる第1の条件と走行に必要なエネルギを供給する第2の条件とが両立するときには両条件を満たして走行するよう前記内燃機関と前記クランキング手段と前記電動機とを制御し、前記第1の条件と前記第2の条件とが両立しないときには前記二次電池の容量割合が前記設定された使用下限割合以上となる範囲内で前記第2の条件を前記第1の条件に優先して満たして走行するよう前記内燃機関と前記クランキング手段と前記電動機とを制御する制御手段と、を備えるハイブリッド自動車であって、
    前記使用下限割合設定手段は、前記二次電池の使用履歴に基づく該二次電池の劣化の程度としての劣化係数と前記二次電池の定格容量とを用いて前記二次電池の全容量を演算すると共に該演算した全容量を用いて前記使用下限割合を設定する手段である、
    ことを特徴とするハイブリッド自動車。
  2. 前記使用下限割合設定手段は、前記限界下限割合をSlim、前記始動必要電力量をWstart、前記二次電池の電圧をVb、前記定格容量をBset、前記劣化係数をbk、前記使用下限割合をSlow、としたときに前記使用下限割合を次式(A)により演算して設定する手段である請求項1記載のハイブリッド自動車。
    Slow=Slim+Wstart/Vb×100/(Bset/bk) (A)
  3. 前記使用下限割合設定手段は、前記二次電池の温度と前記容量割合と前記二次電池から出力可能な電力量との関係としての前記二次電池の定格出力特性と前記劣化係数とに基づいて得られる劣化反映後出力特性に対して前記内燃機関の始動時に推定される前記二次電池の温度と前記始動必要電力量とを適用して導出される容量割合と前記式(A)による演算により得られる使用下限割合のうち大きい方を前記使用下限割合として設定する手段である請求項2記載のハイブリッド自動車。
  4. 前記劣化係数の変化量に基づいて前記中心容量割合を更新する中心容量割合更新手段を備える請求項2または3記載のハイブリッド自動車。
  5. 前記中心容量割合更新手段は、更新前の中心容量割合をSmid、更新後の中心容量割合をSmid*、更新前の中心容量割合に更新したときの劣化係数をbk1、今回の劣化係数をbk2としたときに前記更新後の中心容量割合を次式(B)により演算して更新する手段である請求項4記載のハイブリッド自動車。
    Smid*=Smid+Wstart/Vb×(100/Bset)×(bk2-bk1) (B)
  6. 前記使用下限割合設定手段は、前記内燃機関の排気系に取り付けられた排気浄化装置の排気浄化触媒の前記内燃機関の始動時に推定される温度が低いほど大きくなる排気要求電力量を前記始動必要電力量に加えた電力量に対して前記演算した全容量を適用して得られる割合を加えることにより前記使用下限割合を設定する手段である請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載のハイブリッド自動車。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載のハイブリッド自動車であって、
    前記内燃機関の出力軸と車軸に連結された駆動軸と前記出力軸および前記駆動軸とは異なる第3の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構を備え、
    前記クランキング手段は、前記第3の回転軸に接続された発電機であり、
    前記電動機は、前記駆動軸に動力を入出力するよう接続されてなる、
    ハイブリッド自動車。
  8. 内燃機関と、前記内燃機関をクランキングするクランキング手段と、走行用の動力を出力する電動機と、前記クランキング手段および前記電動機と電力のやりとりを行なう二次電池と、を備えるハイブリッド自動車の制御方法であって、
    (a)前記二次電池の使用履歴に基づく該二次電池の劣化の程度としての劣化係数と前記二次電池の定格容量とを用いて前記二次電池の全容量を演算すると共に前記二次電池から放電可能な電力量としての残容量の前記演算した全容量に対する割合である容量割合の制御上の下限としての定格値である限界下限割合に前記内燃機関の始動時に推定される前記内燃機関の温度に基づいて得られる前記内燃機関の始動に必要な電力量である始動必要電力量に対して前記演算した全容量を適用して得られる割合を加えることにより使用下限割合を設定し、
    (b)前記二次電池の容量割合が制御上の中心である中心容量割合を含む所定範囲内となる第1の条件と走行に必要なエネルギを供給する第2の条件とが両立するときには両条件を満たして走行するよう前記内燃機関と前記クランキング手段と前記電動機とを制御し、前記第1の条件と前記第2の条件とが両立しないときには前記二次電池の容量割合が前記設定された使用下限割合以上となる範囲内で前記第2の条件を前記第1の条件に優先して満たして走行するよう前記内燃機関と前記クランキング手段と前記電動機とを制御する、
    ことを特徴とするハイブリッド自動車の制御方法。
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