図1は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両であるハイブリッド自動車20の概略構成図である。同図に示すハイブリッド自動車20は、エンジン22と、エンジン22の出力軸であるクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに連結された減速ギヤ35と、この減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに接続されたモータMG2と、モータMG1およびMG2と電力をやり取り可能なバッテリ50と、ハイブリッド自動車20の全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「ハイブリッドECU」という)70等とを備えるものである。
エンジン22は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料の供給を受けて動力を出力する内燃機関であり、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24による燃料噴射量や点火時期、吸入空気量等の制御を受ける。エンジンECU24には、エンジン22に対して設けられて当該エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号が入力される。そして、エンジンECU24は、ハイブリッドECU70と通信しており、ハイブリッドECU70からの制御信号や上記センサからの信号等に基づいてエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31と噛合すると共にリングギヤ32と噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを有し、これら3つの要素が互いに差動回転できるように構成されたシングルピニオン式遊星歯車機構である。かかる動力分配統合機構30の第1要素であるキャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、第2要素であるサンギヤ31にはモータMG1の回転軸が、第3要素であるリングギヤ32にはリングギヤ軸32aと減速ギヤ35とを介してモータMG2の回転軸がそれぞれ連結されている。動力分配統合機構30は、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側とにそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ列37およびデファレンシャルギヤ38を介して最終的に駆動輪である車輪39a,39bに出力される。
モータMG1およびMG2は、いずれも発電機として作動すると共に電動機として作動可能な周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介して二次電池であるバッテリ50と電力のやり取りを行う。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれか一方により発電される電力を他方のモータで消費できるようになっている。従って、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電され、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとることにすれば、バッテリ50は充放電されないことになる。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や、図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流等が入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号等が出力される。また、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44から入力した信号に基づいて図示しない回転数算出ルーチンを実行し、モータMG1,MG2の回転子の回転数Nm1,Nm2を計算している。更に、モータECU40は、ハイブリッドECU70と通信しており、ハイブリッドECU70からの制御信号等に基づいてモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
バッテリ50は、リチウムイオン二次電池あるいはニッケル水素二次電池として構成されており、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52によって管理される。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧、バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流、バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からのバッテリ温度Tb等が入力される。バッテリECU52は、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッドECU70に出力する。更に、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(充電割合)SOCを算出したり、当該残容量SOCに基づいてバッテリ50の充放電要求パワーPb*を算出したり、残容量SOCとバッテリ温度Tbとに基づいてバッテリ50の充電に許容される最大の電力である許容充電電力としての入力制限(第1入力制限)Winとバッテリ50の放電に許容される最大の電力である許容放電電力としての出力制限Woutとを算出したりする。なお、実施例において、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定すると共に、バッテリ50の残容量SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定される。これにより、バッテリ50の本来の性能の範囲内で当該バッテリ50の充電を許容するように入力制限Winをより適正なものとすると共に、バッテリ50の本来の性能の範囲内で当該バッテリ50の放電を許容するように出力制限Woutをより適正なものとすることができる。図2にバッテリ温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示し、図3にバッテリ50の残容量SOCと入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す。また、図4にバッテリ50の残容量SOCとバッテリ温度Tbと入力制限Winとの関係の一例を示す。同図に示すように、バッテリ50の入力制限Winは、残容量SOCが所定値S1(実施例では75%)以上であると、残容量SOCが多いほど充電電力として小さく(値として大きく)なると共に、残容量SOCがバッテリ50を保護する観点から定められる実用上の上限残容量である常用上限Snlim(実施例では80%)よりも若干大きい定格上限Srat(実施例では85%)以上であると値0となるように設定される。そして、入力制限Winは、バッテリ温度Tbが低温域に含まれるときには当該バッテリ温度Tbが低ければ低いほど、バッテリ温度Tbが高温域に含まれるときには当該バッテリ温度Tbが高ければ高いほど充電電力として小さく設定される(図2参照)。
また、実施例のハイブリッド自動車20は、いわゆるプラグイン方式のハイブリッド車両として構成されており、家庭用電源(AC100V)といった外部電源90の外部電源側コネクタ92に接続される車両側コネクタ62と、車両側コネクタ62と電力ライン54との接続および当該接続の解除を実行可能な充電用リレー64と、外部電源90からの交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ66と、AC/DCコンバータ66からの直流電力の電圧を変換してバッテリ50側に供給するDC/DCコンバータ68と、充電用リレー64やAC/DCコンバータ66、DC/DCコンバータ68を制御する充電用電子制御ユニット(以下、「充電用ECU」という)60とを備える。充電用ECU60は、ハイブリッドECU70と通信しており、ハイブリッドECU70との間で必要に応じて各種データをやり取りする。これにより、実施例のハイブリッド自動車20では、走行開始前に外部電源90からの電力によりバッテリ50を充電しておくことができる。実施例では、残容量SOCの常用上限Snlim(80%)よりも若干小さい値(例えば78〜79%程度の値)が外部電源90による充電時の上限残容量(目標残容量)である充電上限Sclimとして定められており、外部電源90からの電力によりバッテリ50を充電する際、充電用ECU60は、バッテリ50の残容量SOCが充電上限Sclimになるように充電用リレー64やAC/DCコンバータ66、DC/DCコンバータ68を制御する。なお、上述の充電上限Sclimは、常用上限Snlimと同一の値とされてもよい。
ハイブリッドECU70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74や、データを一時的に記憶するRAM76、計時指令に応じて計時処理を実行するタイマ78、図示しない入出力ポートおよび通信ポート等を備える。ハイブリッドECU70には、イグニッションスイッチ(スタートスイッチ)80からのイグニッション信号、シフトレバー81の操作位置であるシフトポジションSPを検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP、アクセルペダル83の踏み込み量(アクセル操作量)を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルストロークセンサ86からのブレーキペダルストロークBS、車速センサ87からの車速V等が入力ポートを介して入力される。そして、ハイブリッドECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52、充電用ECU60等と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52、充電用ECU60等と各種制御信号やデータのやり取りを行う。
上述のように構成された実施例のハイブリッド自動車20では、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動輪である車輪39a,39bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*が計算され、この要求トルクTr*に基づくトルクがリングギヤ軸32aに出力されるようにエンジン22とモータMG1とモータMG2とが制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御モードとしては、要求トルクTr*に見合うパワーがエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力されるパワーのすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求トルクTr*とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合うパワーがエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力されるパワーの全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求トルクTr*に基づくトルクがリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止して要求トルクTr*に基づくトルクをリングギヤ軸32aに出力するようにモータMG2を駆動制御するモータ運転モード等がある。
ここで、実施例のハイブリッド自動車20は、上述のように、プラグイン方式のハイブリッド車両として構成されていることから、走行開始前に予め外部電源90からの電力によりバッテリ50を充電しておくことができる。従って、外部電源90を用いた充電後に走行が開始された場合、ハイブリッド自動車20は、基本的に、所定のエンジン始動条件が成立するまでモータ運転モードのもとでモータMG2のみからの動力により走行する。そして、モータ運転モードのもとでの走行中にエンジン始動条件が成立したときには、エンジン22をクランキングするようにモータMG1を駆動制御すると共にクランキングに伴ってリングギヤ軸32aに作用する駆動トルクに対する反力としてのトルクをキャンセルしつつ要求トルクTr*に基づくトルクがリングギヤ軸32aに出力されるようにモータMG2を駆動制御することにより、エンジン22が始動される。
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にハイブリッド自動車20がモータ運転モードのもとで走行しているときの動作について説明する。図5は、実施例のハイブリッドECU70により実行されるエンジン停止時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン22の運転が停止された状態でハイブリッド自動車20が走行している最中に所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行されるものである。
図5のルーチンの開始に際して、ハイブリッドECU70のCPU72は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ87からの車速V、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2、バッテリ50の残容量SOC、入出力制限Win,Wout、空調運転フラグFacといった制御に必要なデータの入力処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、モータECU40から通信により入力される。また、バッテリ50の残容量SOCや入出力制限Win,Woutは、バッテリECU52から通信により入力される。空調運転フラグFacは、車室内のインストルメントパネル等に設けられたハイブリッド自動車20に搭載された図示しない車室空調ユニットの運転/停止を指示するための空調オンオフスイッチがオフされているときに値0に設定されると共に、当該スイッチがオンされているときに値1に設定されるものであり、車室空調ユニットを制御する図示しない空調用電子制御ユニットから通信により入力される。
ステップS100のデータ入力処理の後、入力した残容量SOCが予め定められた下限残容量Sref(例えば20〜40%程度の値)以上であるか否かを判定する(ステップS110)。そして、残容量SOCが下限残容量Sref以上であれば、ステップS100にて入力した入力制限(第1入力制限)Winに基づいて間欠禁止車速Vrefを設定する(ステップS120)。間欠禁止車速Vrefは、エンジン22の間欠運転(運転停止)を禁止すべき車速域の下限値である。実施例では、バッテリECU52により設定される入力制限Winと間欠禁止車速Vrefとの関係が予め定められて間欠禁止車速設定用マップとしてROM74に記憶されており、間欠禁止車速Vrefとしては、与えられた入力制限Winに対応したものが当該マップから導出・設定される。図6に間欠禁止車速設定用マップの一例を示す。ここで、実施例のハイブリッド自動車20においてモータ運転モードのもとでの走行中にエンジン22を始動させる際には、動力分配統合機構30のサンギヤ31が負回転することからエンジン22をクランキングするモータMG1が発電を行い、車速Vが高いほどモータMG1による発電電力が大きくなる。このため、バッテリ50の充電に許容される電力が少ないときほど低車速状態でエンジン22を始動しないと、当該エンジン22の始動に際してモータMG1からバッテリ50に入力される電力が過剰になってしまうおそれがある。これを踏まえて、実施例の間欠禁止車速設定用マップは、入力制限Winごとにエンジン22をクランキングするモータMG1からバッテリ50に入力される電力が当該入力制限Winを超えるときの車速を間欠禁止車速Vrefとして規定すると共に、図6に示すように、入力制限Winが充電電力として小さいほど(値として大きいほど)間欠禁止車速Vrefを低く規定するように作成されている。これにより、エンジン22の始動に際してバッテリ50が入力制限Winを超えた電力により充電されてしまうのを抑制してバッテリ50を保護することが可能となる。
ステップS120にて間欠禁止車速Vrefを設定したならば、ステップS100にて入力した車速Vが当該間欠禁止車速Vref未満であるか否かを判定する(ステップS130)。そして、ステップS130にて車速Vが間欠禁止車速Vref未満であると判断された場合には、入力制限Winと車速Vとの関係からエンジン22を始動させる必要がないとみなして、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて車輪39a,39bに連結されたリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定した上で、ハイブリッド自動車20の走行(リングギヤ軸32a)に要求される要求走行パワーPr*を設定する(ステップS140)。実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係が予め定められて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶されており、要求トルクTr*としては、与えられたアクセル開度Accと車速Vとに対応したものが当該マップから導出・設定される。図7に要求トルク設定用マップの一例を示す。また、実施例において、要求走行パワーPr*としては、要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じた値が設定される。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除するか、あるいは車速Vに換算係数を乗じることによって求めることができる。
次いで、ステップS100にて入力した入力制限Winが値0に近い負の値である閾値W0以上であると共にステップS140にて設定した要求トルクTr*が値0未満であるか否かを判定する(ステップS150)。ここで、実施例のハイブリッド自動車20において入力制限Winが閾値W0以上であるとき(充電電力として非常に小さいとき)には、バッテリ50の充電が大幅に制限または禁止され、それに伴ってモータMG2による回生制動トルクの出力も大幅に制限または禁止されることになる。このため、実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の充電が大幅に制限または禁止された状態でアクセルペダル83の踏み込みが解除(アクセルオフ)されて駆動系から制動トルクを出力する必要があるような場合にモータMG2による回生制動トルクの出力を禁止してバッテリ50を保護するために、入力制限Winが閾値W0以上であると共にステップS140にて設定した要求トルクTr*が値0未満であるか否かを判定している。なお、閾値W0は、値0とされてもよい。
ステップS150にて入力制限Winが閾値W0未満であるか、あるいは要求トルクTr*が値0以上であると判断された場合には、要求走行パワーPr*や空調運転フラグFacの値等に基づく次式(1)に従って、エンジン22の始動判定に際して出力制限Woutと比較される総要求パワーPtotalを計算する(ステップS160)。式(1)は、エンジン22を始動させるためのモータMG1によるクランキングに伴って消費される電力(負の値すなわち発電電力を含む)であるエンジン始動用電力Pcrkと、空調ユニットによる車室内の空調に要求される空調用電力Pac(コンプレッサ駆動用の電力等)と空調運転フラグFacとの積(Fac=0であれば、値0)と、予め定められたマージン分の電力Pmrgとを要求走行パワーPr*に加算することにより、総要求パワーPtotalを導出するものである。なお、エンジン始動用電力Pcrkは、エンジン22をクランキングするモータMG1により入出力される電力と、エンジン22のクランキングに伴ってリングギヤ軸32aに作用する駆動トルクに対する反力としてのトルクをキャンセルするためにモータMG2により入出力される電力との和であり、基本的には放電側の値(正の値)となるが、特にハイブリッド自動車20の車速Vが高いときには充電側の値(負の値)にもなり得る。すなわち、ハイブリッド自動車20のエンジン22の始動に際しては、クランキングの開始時における車速Vが高いほど、モータMG1の回転数Nm1が負側に大きくなるのでモータMG1による発電量が増加し、その分だけエンジン22のクランキングに要する電力が低下することになる(車速Vによっては充電側の値になる)。これを踏まえて、実施例では、車速Vとエンジン始動用電力Pcrkの関係を規定する図示しないマップが予め作成されており、エンジン始動用電力Pcrkとしては、当該マップからステップS100にて入力した車速Vに対応したものが導出される。また、実施例において、車室内の空調に要求される空調用電力Pacは、空調ユニットの性能等を基に実験・解析を経て定められる一定値(例えば、数kW程度)とされる。
Ptoral=Pr*+Pcrk+Fac・Pac+Pmrg …(1)
総要求パワーPtotalを計算したならば、総要求パワーPtotalがステップS100にて入力した出力制限Wout未満であるか否かを判定する(ステップS170)。そして、総要求パワーPtotalが出力制限Wout未満であれば、エンジン22を始動させる必要がないとみなして、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をそれぞれに値0に設定すると共に(ステップS180)、モータMG1に対するトルク指令Tm1*を値0に設定する(ステップS190)。次いで、ステップS100にて入力した残容量SOCに基づいてバッテリ保護入力制限(第2入力制限)Winbpを設定する(ステップS200)。バッテリ保護入力制限Winbpは、バッテリ50の保護面から当該バッテリ50の充電に許容される電力であり、基本的に、バッテリECU52により設定される入力制限(第1入力制限)Winよりもバッテリ50の充電を制限する傾向に設定される(もちろん、常時、入力制限Winよりもバッテリ50の充電を制限するように設定されてもよい)。実施例では、バッテリ50の残容量SOCとバッテリ保護入力制限Winbpとの関係が予め定められてバッテリ保護入力制限設定用マップとしてROM74に記憶されており、バッテリ保護入力制限Winbpとしては、与えられた残容量SOCに対応したものが当該マップから導出・設定される。図8にバッテリ保護入力制限設定用マップの一例を示す。同図に示すように、実施例のバッテリ保護入力制限設定用マップは、バッテリ50の残容量SOCが上述の充電上限Sclim未満であるときにはバッテリ保護入力制限Winbpを予め定められた一定値(例えば、−35kW)とし、残容量SOCが充電上限Sclimを超えているときには、バッテリ保護入力制限Winbpを残容量SOCが大きいほど充電電力として小さくする(残容量SOCに比例して小さくする)と共に残容量SOCが上述の常用上限Snlim(実施例では、80%)以上であると値0とするように作成されている。これにより、外部電源90を用いた充電によりバッテリ50の残容量SOCが上述の充電上限Sclimを超えてしまっているときに、バッテリ50の残容量SOCが常用上限Snlimを超えないようにバッテリ保護入力制限Winbpを設定してバッテリ50を良好に保護することが可能となる。
ステップS200の処理の後、ステップS100にて入力した入力制限Winとバッテリ保護入力制限Winbpとの大きい方、すなわち充電電力として小さい方を新たな入力制限Winとして再設定する(ステップS210)。そして、次式(2)および(3)に従って、入出力制限Win,WoutからS190にて設定したモータMG1のトルク指令Tm1*と現在のモータMG1の回転数Nm1との積(この場合、値0)として得られるモータMG1の消費電力(発電電力)を減じて得られる偏差をモータMG2の回転数Nm2で除することによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを計算する(ステップS220)。更に、次式(4)に従って要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除することによりモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを計算し(ステップS230)、仮モータトルクTm2tmpをトルク制限Tmin,Tmaxで制限した値をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定する(ステップS240)。このようにしてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、リングギヤ軸32aに出力するトルクをバッテリECU52により設定された入力制限Winとバッテリ保護入力制限Winbpとの充電電力として小さい方と出力制限Woutとの範囲内に制限することができる。こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40にそれぞれ送信し(ステップS250)、再度ステップS100以降の処理を実行する。この場合、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm2*に従ってモータMG2が駆動されるようにインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
Tmin=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(2)
Tmax=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(3)
Tm2tmp=Tr*/Gr …(4)
一方、ステップS110にて残容量SOCが下限残容量Sref未満であると判断された場合には、運転停止されているエンジン22を始動させてエンジン22からの動力の一部を用いて発電するモータMG1からの電力によりバッテリ50を充電することができるように、エンジン始動フラグをオンした上で(ステップS260)、本ルーチンを終了させる。また、ステップS130にて車速Vが間欠禁止車速Vref以上であると判断された場合には、エンジン22が始動されるのに伴って入力制限Winを超える電力によりバッテリ50が充電されるのを抑制すると共に、エンジン22からの動力をリングギヤ軸32aに出力可能として加速性能等を確保することができるように、エンジン始動フラグをオンした上で(ステップS260)、本ルーチンを終了させる。更に、ステップS150にて入力制限Winが閾値W0以上であると共に要求トルクTr*が値0未満であると判断された場合には、バッテリ50の充電の制限または禁止に伴ってモータMG2による回生制動トルクの出力が禁止されるときにエンジン22を始動させて当該エンジン22からフリクショントルク(エンジンブレーキ)を出力することができるように、エンジン始動フラグをオンした上で(ステップS260)、本ルーチンを終了させる。そして、ステップS170にて総要求パワーPtotalが出力制限Wout以上であると判断された場合には、バッテリ50からの電力だけでは総要求パワーPtotalを賄いきれないとみなして、エンジン始動フラグをオンした上で(ステップS260)、本ルーチンを終了させる。こうしてエンジン始動フラグがオンされて図5のエンジン停止時駆動制御ルーチンが終了した場合には、ハイブリッドECU70により図示しないエンジン始動時駆動制御ルーチンが実行される。エンジン始動時駆動制御ルーチンは、モータMG1およびMG2により入出力されるパワーがバッテリ50の入力制限Winと出力制限Woutとの範囲内に収まるようにしながら、モータMG1によりエンジン22をクランキングしてエンジン22を始動させると共に、エンジン22のクランキングに伴ってリングギヤ軸32aに作用する駆動トルクに対する反力としてのトルクをキャンセルしつつ要求トルクTr*に基づくトルクがリングギヤ軸32aに出力されるようにモータMG2を駆動制御する処理である。そして、かかるエンジン始動時駆動制御ルーチンが終了するとエンジン始動フラグがオフされることになる。
以上説明したように、実施例のハイブリッド自動車20は、外部電源90からの電力により充電することができるバッテリ50を有しており、走行開始前に外部電源90からの電力によりバッテリ50を予め充電しておき、走行開始後にエンジン22の運転を停止した状態でモータMG2のみからの動力により比較的長い距離を走行することができる。また、このハイブリッド自動車20では、バッテリ50の充電に許容される最大の電力である入力制限(第1入力制限)WinがバッテリECU52によりバッテリ50の状態すなわち残容量SOCおよびバッテリ温度Tbに基づいて設定される。更に、バッテリ50の残容量SOCが予め定められた充電上限Sclimを超えているときには、バッテリ50の保護面から当該バッテリ50の充電に許容される電力であるバッテリ保護入力制限(第2入力制限)Winbpが入力制限Winに比べてバッテリ50の充電を制限する傾向に設定される(ステップS200)。そして、モータ運転モードのもとでエンジン22の運転が停止されている最中に、バッテリECU52により設定された入力制限Winを超える電力によるバッテリ50の充電を抑制するためにエンジン22を始動すべきか否かが判定され(ステップS130,S150)、当該判定結果に応じてエンジン22が運転(始動)または停止(停止状態に維持)されると共にバッテリ50がバッテリECU52により設定された入力制限Winとバッテリ保護入力制限Winbpとのうちの充電電力として小さい方を超える電力で充電されることなく要求トルクTr*に基づくトルクがリングギヤ軸32aに出力されるようにエンジン22とモータMG1およびMG2とが制御される(ステップS180〜S260)。
すなわち、バッテリ50の残容量SOCが多いときには、充電による残容量SOCの更なる増加を抑制してバッテリ50を保護するために、バッテリ50の充電が制限または禁止されるように当該バッテリ50の充電に許容される電力が抑えられる。このため、エンジン22の運転停止中にバッテリ50の残容量SOCが高いときには、バッテリ50の充電に許容される電力を超える電力により当該バッテリ50が充電されて残容量SOCが過度に増加してしまわないように、モータMG2により回生された電力によるバッテリ50の充電も制限または禁止されることになるが、このような場合には、エンジン22を始動させ、エンジン22からのフリクショントルク(エンジンブレーキ)の出力により回生制動トルクの不足分を補うことでバッテリ50の充電を抑制して当該バッテリ50を保護することができる。また、実施例のハイブリッド自動車20がモータMG2のみからの動力により走行している際には、バッテリ50の充電に許容される電力が少ないときほど低車速状態でエンジン22を始動しないと、当該エンジン22の始動に際してモータMG1からバッテリ50に入力される電力が過剰になってしまうおそれがある。従って、エンジン22の運転停止中には、バッテリ50の充電に許容される電力を超える電力による当該バッテリ50の充電を抑制するためにエンジン22を始動すべきか否かを判定する必要がある。そして、このような場合、バッテリ50の保護を優先する観点からは、バッテリECU52により設定される入力制限Winに比べてバッテリ50の充電を制限する傾向をもったバッテリ保護入力制限Winbpに基づいてエンジン22を始動すべきか否かを判定するのが好ましいともいえる。しかしながら、バッテリ保護入力制限Winbpに基づいてエンジン22を始動すべきか否かを判定すれば、モータMG2のみからの動力による走行を継続するのに充分な残容量SOCが確保されているにも拘わらずエンジン22が始動されてしまう機会が増加してしまい、乗員に違和感を与えたり、燃費の悪化を招いたりするおそれがある。また、バッテリ保護入力制限Winbpを超える電力によりバッテリ50が充電されたとしても、その充電が一時的なものであれば、バッテリ50が劣化してしまうおそれは少ない。
これらを踏まえて、実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転停止中に、バッテリ50の保護を優先したバッテリ保護入力制限Winbpではなく、入力制限Winを超える電力によるバッテリ50の充電を抑制するためにエンジン22を始動すべきか否かを判定する(ステップS130,S150)。これにより、エンジン22の始動判定に関して、バッテリ50の充電に許容される電力に余裕をもたせることができるので、モータMG2のみからの動力による走行を継続するのに充分な残容量SOCが確保されているにも拘わらずエンジン22が始動されてしまうのを抑制することが可能となる。また、要求トルクTr*に基づくトルク(負のトルクすなわち制動トルクを含む)の出力に際し、エンジン22とモータMG1およびMG2は、バッテリ50が入力制限Winとバッテリ保護入力制限Winbpとのうちの充電電力として小さい方を超える電力で充電されることなく要求トルクTr*に基づくトルクが得られるように制御される(ステップS180〜S260)。従って、バッテリ50の残容量SOCが多い状態での要求トルクTr*に基づくトルクの出力に際して、バッテリ50の充電をより適正に制限して当該バッテリ50を良好に保護することができる。この結果、実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の保護を図りつつ、モータMG2のみからの動力による走行を継続するのに充分な残容量SOCが確保されているにも拘わらずエンジン22が始動されてしまうのを良好に抑制することが可能となる。
更に、上記実施例では、バッテリ50の残容量SOCが充電上限Sclimを超えているときに、残容量SOCが大きいほど充電電力として小さくなると共に残容量SOCが充電上限Sclim以上の値である常用上限Snlim以上であると値0になるようにバッテリ保護入力制限Winbpが設定される。これにより、外部電源90を用いた充電によりバッテリ50の残容量SOCが充電上限Sclimを超えてしまっているときに、バッテリ50の残容量SOCが常用上限Snlimを超えないようにバッテリ保護入力制限Winbpを設定してバッテリ50を良好に保護することが可能となる。なお、上記実施例では、バッテリ保護入力制限設定用マップを用いてバッテリ温度Tbに拘わらず一律にバッテリ保護入力制限Winbpを設定しているが、これに限られるものではない。すなわち、例えばバッテリ保護入力制限設定用マップをバッテリ温度Tbごとに作成したり、バッテリ温度Tbに応じた係数を導入したりすることにより、バッテリ保護入力制限Winbpを残容量SOCとバッテリ温度Tbとに応じて設定してもよい。また、上記実施例では、残容量SOCが常用上限Snlim(80%)よりも大きい定格上限Srat(85%)以上であると値0となるように入力制限Winが設定される。これにより、バッテリ50の劣化を生じない範囲内で当該バッテリ50の充電が許容されるように入力制限Winをより適正に設定することが可能となる。
そして、上記実施例では、バッテリECU52により設定された入力制限Winが充電電力として所定の閾値W0未満であると共に、要求トルクTr*が負の値であるときにエンジン22を始動すべきと判断される(ステップS150)。このように、バッテリ50の保護を優先したバッテリ保護入力制限Winbpではなく入力制限Winに基づいてエンジン22の始動判定を行うことで、エンジン22の始動に関してバッテリ50の充電に許容される電力に余裕をもたせてモータMG2のみからの動力による走行を継続するのに充分な残容量SOCが確保されているにも拘わらずエンジン22が始動されてしまうのを抑制することができる。また、入力制限Winが充電電力として閾値W0未満であってバッテリ50の充電が制限または禁止された状態で要求トルクTr*が負の値になったときに、エンジン22を始動させることで当該エンジン22からフリクショントルク(エンジンブレーキ)を出力することが可能となるので、入力制限Winを超えるモータMG2による回生電力でバッテリ50が充電されることを抑制し、それによりバッテリ50を保護することができる。
更に、上記実施例では、入力制限Winごとにエンジン22をクランキングするモータMG1からバッテリ50に入力される電力が当該入力制限Winを超えるときの車速を間欠禁止車速Vrefとして定めると共に、入力制限Winが充電電力として小さいほど間欠禁止車速Vrefを低く設定し、車速Vが入力制限Winに基づく間欠禁止車速Vref以上であるときにエンジン22を始動すべきと判断している(ステップS120,S130)。これにより、エンジン22の始動に関してバッテリ50の充電に許容される電力に余裕をもたせてモータMG2のみからの動力による走行を継続するのに充分な残容量SOCが確保されているにも拘わらずエンジン22が始動されてしまうのを抑制しつつ、エンジン22の始動に際してバッテリ50が入力制限Winを超えた電力により充電されてしまうのを抑制し、それによりバッテリ50を保護することができる。
なお、上記ハイブリッド自動車20では、リングギヤ軸32aとモータMG2とがモータMG2の回転数を減速してリングギヤ軸32aに伝達する減速ギヤ35を介して連結されているが、減速ギヤ35の代わりに、例えばHi,Loの2段の変速段あるいは3段以上の変速段を有し、モータMG2の回転数を変速してリングギヤ軸32aに伝達する変速機を採用してもよい。更に、上記ハイブリッド自動車20は、モータMG2の動力を減速ギヤ35により減速してリングギヤ軸32aとしてのリングギヤ軸32aに出力するものであるが、本発明の適用対象は、これに限られるものではない。すなわち、本発明は、図9に示す変形例としてのハイブリッド自動車120のように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aに接続された車軸(駆動輪である車輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図9における車輪39c,39dに接続された車軸)に出力するものに適用されてもよい。
ここで、上記実施例および変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明しておく。すなわち、上記実施例においては、リングギヤ軸32aに動力を出力可能なエンジン22が「内燃機関」に相当し、リングギヤ軸32aに動力を出力可能なモータMG2が「電動機」に相当し、モータMG2等と電力をやり取り可能であると共に外部電源90からの電力により充電することができるバッテリ50が「蓄電手段」に相当し、入力制限Winを設定するバッテリECU52が「第1入力制限設定手段」に相当し、図5のステップS200の処理を実行するハイブリッドECU70が「第2入力制限設定手段」に相当し、図5のステップS130およびS150の処理を実行するハイブリッドECU70が「機関始動判定手段」に相当し、図5のステップS140の処理を実行するハイブリッドECU70が「要求トルク設定手段」に相当し、図5のステップS180〜S260の処理を実行するハイブリッドECU70、エンジンECU24およびモータECU40の組み合わせが「制御手段」に相当する。また、モータMG1が「第2の電動機」に相当し、動力分配統合機構30が「遊星歯車機構」に相当する。
ただし、「内燃機関」は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料の供給を受けて動力を出力するエンジン22に限られず、水素エンジンといったような他の如何なる形式のものであっても構わない。「電動機」や「第2の電動機」は、モータMG1およびMG2のような同期発電電動機に限られず、誘導電動機といったような他の如何なる形式のものであっても構わない。「蓄電手段」は、電動機や発電用電動機と電力をやり取り可能であると共に外部電源からの電力により充電することができるものであれば、如何なる形式のものであっても構わない。「第1入力制限設定手段」は、蓄電手段の充電に許容される最大の電力である第1入力制限を充電割合等に基づいて設定するものであれば、如何なる形式のものであっても構わない。「第2入力制限設定手段」は、蓄電手段の充電割合が予め定められた充電上限を超えているときに、蓄電手段の保護面から当該蓄電手段の充電に許容される電力である第2入力制限を第1入力制限に比べて蓄電手段の充電を制限する傾向に設定するものであれば、如何なる形式のものであっても構わない。「機関始動判定手段」は、内燃機関の運転停止中に、第1入力制限を超える電力による蓄電手段の充電を抑制するために内燃機関を始動すべきか否かを判定するものであれば、如何なる形式のものであっても構わない。「要求トルク設定手段」は、走行に要求される要求トルクを設定するものであれば、例えばアクセル開度Accのみに基づいて要求トルクを設定するものといったような他の如何なる形式のものであっても構わない。「制御手段」は、単一の電子制御ユニットといったようなハイブリッドECU70とエンジンECU24とモータECU40との組み合わせ以外の他の如何なる形式のものであっても構わない。何れにしても、これら実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。