JP5131074B2 - 車線逸脱防止装置及び車線逸脱防止方法 - Google Patents

車線逸脱防止装置及び車線逸脱防止方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両が走行車線から逸脱しそうになったときに、その逸脱を防止する車線逸脱防止装置及び車線逸脱防止方法に関する。
車線逸脱制御装置としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。
この特許文献1の車輪逸脱制御では、車両が走行車線から逸脱すると判定した場合には、制御量として逸脱防止出力を車両に付与する。この逸脱防止出力を付与することで、車両が走行車線から逸脱することを防止する。
特開2007−122569号公報
走行車線から車両が逸脱することを防止するという観点から、上記逸脱防止出力(制御量)は、走行車線に対する車両の逸脱傾向の度合いに応じた大きさの制御量となる。
したがって、逸脱傾向の度合い(例えばヨー角)が小さければ、逸脱防止出力は小さな値となる。このため車両が走行車線を逸脱する可能性がある場合でも、逸脱防止出力が小さいことから、路面の凹凸や傾斜による外乱によって車線逸脱防止制御時の実際の車両挙動が小さくなり、運転者に違和感を与える可能性がある。一方、逸脱傾向の度合いに対する逸脱防止出力を大きくすると、車線逸脱制御開始時の車両挙動が大きくなり、運転者に違和感を与える。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、運転者に違和感を与える事無く車両の走行車線に対する逸脱を防止可能な車線逸脱防止装置及び車線逸脱防止方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明の車線逸脱防技術は、走行車線に対する車両の逸脱傾向に応じたヨーモーメントを算出し、その算出したヨーモーメントに応じた目標ヨーモーメントを車両に付与する。その際に、算出したヨーモーメントが所定閾値以下の場合には、目標ヨーモーメントを、上記所定閾値未満の値から上記所定閾値を越える値となるまで、時間の経過と共に増大させる。
本発明によれば、逸脱傾向によって算出したヨーモーメントが所定閾値以下の場合には、目標ヨーモーメントを、上記所定閾値未満の値から上記所定閾値を越える値となるまで、時間の経過と共に増大させる。
この結果、初期の目標ヨーモーメントを抑えて、車線逸脱制御開始時の車両挙動が大きくなる事による乗員への違和感を抑える。さらに、すぐに逸脱が解消しなければ付与するヨーモーメントが増大していくことで車両が走行車線を逸脱することを防止し、乗員への違和感を抑えることが可能となる。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(構成)
本実施形態では、本発明に係る車線逸脱防止装置を搭載した後輪駆動車両で説明する。この後輪駆動車両は、自動変速機とコンベンショナルなディファレンシャルギヤとを搭載し、前後輪とも左右輪の制動力を独立制御可能な制動装置を搭載している。
図1は、本実施形態を示す概略構成図である。
図1中、符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバである。通常は運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧した制動流体圧を、各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給する。また、マスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間に、制動流体圧制御部7を介装する。この制動流体圧制御部7によって、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
制動流体圧制御部7は、例えばアンチスキッド制御やトラクション制御に用いられる制動流体圧制御部を利用したものである。制動流体圧制御部7は、単独で各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御することも可能である。また、制動流体圧制御部7は、後述する制駆動力コントロールユニット8から制動流体圧指令値を入力したときには、その制動流体圧指令値に応じて制動流体圧を制御するようにもなっている。
例えば、制動流体圧制御部7は、液圧供給系にアクチュエータを含んだ構成となっている。アクチュエータとしては、各ホイールシリンダ液圧を任意の制動液圧に制御可能な比例ソレノイド弁が挙げられる。
また、この車両に、駆動トルクコントロールユニット12を装備している。駆動トルクコントロールユニット12は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比及びスロットルバルブ11のスロットル開度を制御する。これによって、駆動トルクコントロールユニット12は、駆動輪である後輪5RL,5RRへの駆動トルクを制御する。また、駆動トルクコントロールユニット12は、燃料噴射量や点火時期を制御したり、同時にスロットル開度を制御したりすることで、エンジン9の運転状態を制御する。駆動トルクコントロールユニット12は、制御に使用した駆動トルクTwの値を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
なお、駆動トルクコントロールユニット12は、単独で後輪5RL,5RRの駆動トルクを制御することも可能である。更に、駆動トルクコントロールユニット12は、制駆動力コントロールユニット8から駆動トルク指令値を入力したときには、その駆動トルク指令値に応じて駆動トルクTwを制御するようにもなっている。
また、この車両に、画像処理機能付きの撮像部13を装備する。この撮像部13は、車両の車線逸脱傾向検出用として、走行車線内の車両の位置を検出するためのものである。例えば、撮像部13は、CCD(ChargeCoupled Device)カメラからなる単眼カメラで撮像するように構成しておく。その撮像部13を車両前部に設置する。
上記撮像部13は、車両前方の撮像画像から例えば白線等のレーンマーカを検出し、その検出したレーンマーカに基づいて走行車線を検出している。さらに、撮像部13は、その検出した走行車線に基づいて、車両の走行車線と車両の前後方向軸とのなす角(ヨー角)φ、走行車線中央からの横変位X及び走行車線曲率β等を算出する。撮像部13は、算出したこれらヨー角φ、横変位X及び走行車線曲率β等を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
ここで、画像処理以外の検出手段でレーンマーカを検出するようにしても良い。例えば、車両前方に取り付けられた複数の赤外線センサによりレーンマーカを検出し、その検出結果に基づいて走行車線を検出しても良い。
また、本実施形態は、走行車線を白線に基づいて決定する構成に限定するものではない。走行車線を認識させるための白線(レーンマーカ)が走路上にない場合は、次のように処理しても良い。すなわち、画像処理や各種センサによって得ることができる道路形状や周囲環境等の情報から、車両が走行に適した走路範囲や、運転者が車両を走行させるべき走路範囲を推測し、走行車線として決定しても良い。例えば、走路上に白線がなく、道路の両側ががけになっている場合には、走路のアスファルト部分を走行車線として決定する。また、ガードレールや縁石等がある場合は、その情報を考慮して走行車線を決定すれば良い。
また、走行車線曲率βを、後述のステアリングホイール21の操舵角δに基づいて算出しても良い。
また、本実施形態の車両に、ナビゲーション装置14を装備する。ナビゲーション装置14は、車両に発生する前後加速度Yg或いは横加速度Xg、又は車両に発生するヨーレイトφ´を検出する。ナビゲーション装置14は、検出した前後加速度Yg、横加速度Xg及びヨーレイトφ´(=dφ/dt)を、道路情報とともに、制駆動力コントロールユニット8に出力する。ここで、道路情報としては、車線数や一般道路か高速道路かを示す道路種別情報がある。
なお、専用のセンサにより各値を検出するようにしても良い。すなわち、加速度センサにより前後加速度Yg及び横加速度Xgを検出し、ヨーレイトセンサによりヨーレイトφ´を検出するようにしても良い。
また、この車両にレーダ16を装備する。このレーダ16は、レーザ光を前方に掃射して先行障害物からの反射光を受光することで、自車両と前方障害物との間の距離等を計測するためのものである。そして、レーダ16は、前方障害物の位置の情報を制駆動力コントロールユニット8に出力する。レーダ16による検出結果は、追従走行制御(クルーズコントロール)や追突速度低減ブレーキ装置等における処理のために使用する。
また、この車両に、マスタシリンダ圧センサ17、アクセル開度センサ18、操舵角センサ19、方向指示スイッチ20、及び車輪速度センサ22FL〜22RRを装備する。
マスタシリンダ圧センサ17は、マスタシリンダ3の出力圧、すなわちマスタシリンダ液圧Pmf,Pmrを検出する。アクセル開度センサ18は、アクセルペダルの踏込み量、すなわちアクセル開度θtを検出する。操舵角センサ19は、ステアリングホイール21の操舵角(ステアリング舵角)δを検出する。方向指示スイッチ20は、方向指示器による方向指示操作を検出する。車輪速度センサ22FL〜22RRは、各車輪5FL〜5RRの回転速度、所謂車輪速度Vwi(i=fl,fr,rl,rr)を検出する。
そして、これらセンサ等が検出した検出信号を、制駆動力コントロールユニット8に出力する。
ここで、検出した車両の走行状態データに左右の方向性がある場合には、いずれも右方向を正方向とする。すなわち、ヨーレイトφ´、横加速度Xg及びヨー角φは、右旋回時に正値となり、横変位Xは、走行車線中央から右方にずれているときに正値となる。また、前後加速度Ygは、加速時に正値となり、減速時に負値となる。
次に、制駆動力コントロールユニット8で行う演算処理を、図2を参照しつつ説明する。
図2は、その制駆動力コントロールユニット8で行う車線逸脱防止のための演算処理手順を示す図である。
この演算処理は、例えば10msec.毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行するように設定しておく。なお、図2に示す処理には通信処理を図示していないが、演算処理によって得られた情報は、随時、記憶装置に更新記憶すると共に、必要な情報は随時、記憶装置から読み出す。
まず、制駆動力コントロールユニット8で処理を開始すると、先ずステップS10において、上記各センサやコントローラ、コントロールユニットから各種データを読み込む。
具体的には、ナビゲーション装置14が得た前後加速度Yg、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び道路情報を読み込む。また、各センサが検出した、各車輪速度Vwi、操舵角δ、アクセル開度θt、マスタシリンダ液圧Pmf,Pmr及び方向スイッチ信号を読み込む。さらに駆動トルクコントロールユニット12からの駆動トルクTw、撮像部13からヨー角φ、横変位X(X0)及び走行車線曲率βを読み込む。
続いてステップS20において、車速Vを算出する。具体的には、上記ステップS10で読み込んだ車輪速度Vwiに基づき、下記(1)式によって車速Vを算出する。
前輪駆動の場合 V=(Vwrl+Vwrr)/2
後輪駆動の場合 V=(Vwfl+Vwfr)/2 ・・・(1)
ここで、Vwfl,Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度であり、Vwrl,Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。すなわち、この(1)式では、従動輪の車輪速の平均値として車速Vを算出している。なお、本実施形態では、後輪駆動の車両であるので、後者の式、すなわち前輪の車輪速度により車速Vを算出する。
また、このように算出した車速Vは、好ましくは通常走行時に用いる。ABS(Anti-lock Brake System)制御その他の自動制動制御等が作動している場合には、そのABS制御等内で推定している推定車体速度を上記車速Vとして用いるようにする。また、ナビゲーション装置14でナビゲーション情報に利用している値を、車速Vとして用いても良い。
続いてステップS30において、車両の逸脱角度φtとして、上記ステップS10で得たヨー角φ及び走行車線曲率βを用いて、下記(2)式に基づき、走行車線に対する車両のヨー角φtを算出する。
φt=φ+β ・・・(2)
続いてステップS40において、走行路の凹凸状態(走行路面の凹凸度合い)を示す走行路状態指標値Nを、下記(3)式に基づき、算出する。
N=f1(φ´,φ0´) ・・・(3)
ここで、関数f1は、各処理タイミングにおけるヨーレイトφ´を標本値とし、φ0´を標本平均として、ヨーレイトφ´についての分散値を算出する関数である。すなわち、ヨーレイトφ´の変動と走行路の凹凸状態とが密接に関連することを前提とする。そして、その前提のもと、ヨーレイトφ´についての分散値から走行路の凹凸状態を示す走行路状態指標値Nを推定している。具体的には、分散値が大きくなるほど、走行路の凹凸度合いが大きく(高く)なるとみなして、走行路状態指標値Nが大きくなる。
続いてステップS50において、車線逸脱傾向の判定を行う。このステップS50の処理においては、上記ステップS10で得たヨー角φ、走行車線曲率β及び現在の車両の横変位X0、及び上記ステップS20で得た車速Vを用いる。そして、先ず下記(4)式によって、図3で示すような、将来の推定横変位Xsを算出する。
Xs=Tt・V・(φ+Tt・V・β)+X0 ・・・(4)
ここで、Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、この車頭時間Ttに自車速Vを乗じると前方注視点距離になる。すなわち、車頭時間Tt後の自車両の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位Xsとなる。
この(4)式によれば、推定横変位Xsは、例えばヨー角φに着目した場合、ヨー角φが大きくなるほど、大きくなる。
そして、上記算出した推定横変位Xsと所定の逸脱傾向判定用閾値(横変位限界距離)XLとを比較して、車線逸脱傾向を判定する。
ここで、逸脱傾向判定用閾値XLは、一般的に、車両が車線逸脱傾向にあると把握できる値であり、実験等で得る。例えば、逸脱傾向判定用閾値XLは、図3に示すような、走行路の境界線の位置を示す値であり、例えば、下記(5)式から算出する。
XL=(L−H)/2 ・・・(5)
ここで、Lは車線幅であり、Hは車両の幅である。車線幅Lについては、撮像部13が撮像画像を処理することで得ている。また、ナビゲーション装置14から車両の位置を得たり、ナビゲーション装置14の地図データから車線幅Lを得たりしても良い。
ここで、図3においては、逸脱傾向判定用閾値XLを、車両の走行車線内に設定している。これに代えて、逸脱傾向判定用閾値XLを、走行車線の外側に設定しても良い。
また、車両が走行車線から逸脱する前に逸脱傾向を判定するものに限らない。例えば車輪の少なくとも1つが車線から逸脱した後に逸脱傾向を判定するように、逸脱傾向判定用閾値XLを設定しておいても良い。
ここで、下記(6)式が成立すれば、車線逸脱傾向がある又は車線逸脱傾向の度合いが高いと判定して、逸脱判断フラグFoutをONにする(Fout=ON)。
|Xs|≧XL ・・・(6)
一方、下記(7)式が成立すれば、車線逸脱傾向がない又は車線逸脱傾向の度合いが低いと判定して、逸脱判断フラグFoutをOFFにする(Fout=OFF)。
|Xs|<XL ・・・(7)
またここで、横変位Xに基づいて逸脱方向Doutを判定する。具体的には、車線中央から左方向に横変位している場合、その方向を逸脱方向Doutとする(Dout=left)。一方、車線中央から右方向に横変位している場合、その方向を逸脱方向Doutとする(Dout=right)。
続いてステップS60において、運転者の車線変更の意思を判定する。具体的には、上記ステップS10で得た方向スイッチ信号及び操舵角δに基づいて、次のように運転者の車線変更の意思を判定する。
すなわち、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、上記ステップS50で得た逸脱方向Doutが示す方向とが同じである場合は、運転者が意識的に車線変更していると判定する。そして、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。すなわち、車線逸脱傾向無しとの判定結果に変更する。
また、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、上記ステップS5で得た逸脱方向Doutが示す方向とが異なる場合は、逸脱判断フラグFoutを維持する。つまり、逸脱判断フラグFoutをONのままにする(Fout=ON)。すなわち、車線逸脱傾向有りとの判定結果を維持する。
また、方向指示スイッチ20が操作されていない場合には、操舵角δに基づいて運転者の車線変更の意思を判定する。すなわち、運転者が逸脱方向に操舵している場合において、その操舵角δとその操舵角の変化量(単位時間当たりの変化量)Δδとの両方が設定値以上のときには、運転者が意識的に車線変更していると判定する。このように判定した場合にも、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。
なお、操舵トルクに基づいて運転者の意思を判定しても良い。
このように、逸脱判断フラグFoutがONである場合において運転者が意識的に車線変更していないと判定したときには、逸脱判断フラグFoutをONに維持している。
続いてステップS70において、上記逸脱判断フラグFoutがONの場合には、車線逸脱回避のための警報として、音出力又は表示出力をする。
なお、後述するように、逸脱判断フラグFoutがONの場合、車線逸脱防止制御として車両へのヨーモーメント付与を開始するから、この車両へのヨーモーメント付与と同時に当該警報出力を行う。しかし、警報の出力タイミングは、これに限定するものではなく、例えば、上記ヨーモーメント付与の開始タイミングよりも早くしても良い。
続いてステップS80において、車線逸脱防止制御として車両を減速させる減速制御(以下、車線逸脱防止用減速制御という。)を行うか否かを判定する。
具体的には、上記ステップS50で算出した推定横変位Xsから横変位限界距離XLを減じて得た減算値(|Xs|−XL)が、減速制御判定用閾値Xβ以上か否かを判定する。
ここで、減速制御判定用閾値Xβは、走行車線曲率βに応じて設定する値であり、その関係は、例えば図4に示すようになる。図4に示すように、走行車線曲率βが小さいときには、減速制御判定用閾値Xβはある一定の大きい値となる。また、走行車線曲率βがある値より大きくなると、走行車線曲率βの増加に対して、減速制御判定用閾値Xβが減少する。走行車線曲率βがさらに大きくなると、減速制御判定用閾値Xβはある一定の小さい値となる。
そして、上記減算値(|Xs|−XL)が減速制御判定用閾値Xβ以上の場合(|Xs|−XL≧Xβ)には、減速制御を行うと決定するとともに、減速制御作動判断フラグFgsをONにする。一方、上記減算値(|Xs|−XL)が減速制御判定用閾値Xβ未満の場合(|Xs|−XL<Xβ)には、減速制御を行わない決定をするとともに、減速制御作動判断フラグFgsをOFFにする。
ここで、上記ステップS50において推定横変位Xsが逸脱傾向判定用閾値XL以上の場合(|Xs|≧XL)には、逸脱判断フラグFoutをONに設定している。また、上記減算値(|Xs|−XL)が減速制御判定用閾値Xβ以上の場合には、減速制御作動判断フラグFgsをONに設定している。このような関係上、上記ステップS50で設定する逸脱判断フラグFoutとの関係では、逸脱判断フラグFoutをONに設定するとしても、その設定は、減速制御作動判断フラグFgsをONに設定した後になる。すなわち、後述する逸脱判断フラグFoutがONになった場合に実施する車両へのヨーモーメント付与との関係では、車両の減速制御を実施した後、ヨーモーメントを付与するようになる。
続いてステップS90において、車線逸脱防止制御として車両に付与する基準目標ヨーモーメントM1を算出する。
具体的には、上記ステップS30で得た推定横変位Xsと横変位限界距離XLとを用いて、下記(8)式に基づき、基準目標ヨーモーメントM1を算出する。
M1=K1・K2・(|Xs|−XL) ・・・(8)
ここで、K1は車両諸元から決まる比例ゲインである。K2は車速Vに応じて変動するゲインである。図5はそのゲインK2の例を示す。図5に示すように、低速域では、ゲインK2は、ある一定の大きい値となる。また、車速Vがある値よりも大きくなると、車速Vの増加に対してゲインK2は減少し、その後ある車速Vに達するとゲインK2はある一定の小さい値となる。
この(8)式によれば、推定横変位Xsと横変位限界距離XLとの差分が大きくなるほど、基準目標ヨーモーメントM1は大きくなる。
更に、算出した基準目標ヨーモーメントM1を、補正目標ヨーモーメントM2に設定しておく。
続いてステップS100において、基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMmin以下か否かを判定する。基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMmin以下の場合には、ステップS110に移行する。一方、基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMminよりも大きい場合には、ステップS105に移行する。
ステップS105では、下記式のように、補正目標ヨーモーメントM2と最小制御ヨーモーメントMsmとのセレクトハイを行い、大きい値の方を、補正目標ヨーモーメントM2とする。その後、ステップS150に移行する。
M2 ← max(M2 、Msm )
ステップS110では、タイマーTiをカウントアップしてステップS120に移行する。このタイマーTiは、例えば、ステップS80において、逸脱判断フラグFoutがOFFからONに変更したことを検知すると、ゼロクリアしておく。また、最小制御ヨーモーメントMsmも初期値Msm0に再設定する。
すなわち、タイマーTiは、基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMmin以下と判定したときに、カウントアップが開始する。そして、基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMmin以下と判定している間は、連続してカウントアップしていく。
ステップS120では、補正目標ヨーモーメントM2として、最小制御ヨーモーメントMsmを設定する。
ここで、最小制御ヨーモーメントMsmは、予め、図6に示すようなマップとなる、テーブル若しくは関数として設定しておく。この最小制御ヨーモーメントMsmは、タイマーTiが大きくなるほど、大きくなるように設定している。
また、この最小制御ヨーモーメントMsmの初期値Msm0は、図6のように、最小目標ヨーモーメントMminよりも小さな値となっている。
なお、最小目標ヨーモーメントMminとは、車両に付与することにより運転者の覚醒度を高める程度の値であり、実験等によって予め定めた値である。上記「運転者の覚醒度を高める程度の値」とは、ヨーモーメントを付与したことを、運転者が認識できる程度の値、若しくはそれよりもやや大きな値である。
ここで、例えば最小目標ヨーモーメントMminを制御上の目標値として車両の制御を行った場合、実際に車両に付与されるヨーモーメントは、走行路面の凹凸や横断勾配等の外乱によって、ばらつく。そのバラツキの幅は、図6に示すように、ヨーモーメントMminlからヨーモーメントMminhまでの間となる。これに対し、本実施形態においては、最小制御ヨーモーメントMsmの初期値Msm0を、図6に示すように、最小目標ヨーモーメントMminよりも小さいヨーモーメントMminl、若しくはその近傍値の値にする場合を例示している。
また、タイマーTiが大きくなるにつれて、最小制御ヨーモーメントMsmは、図6のように、最小目標ヨーモーメントMminよりも大きな値となるまで増大するように設定しておく。また、最小目標ヨーモーメントMminを目標値とした場合に想定出来るバラツキによる制御量の最大値若しくはその近傍値を、最小制御ヨーモーメントMsmの上限値としている。
本実施形態においては、最小制御ヨーモーメントMsmの初期値Msm0を、図6に示すように、ヨーモーメントMminl若しくはその近傍値の値に設定している。すなわち、まず、車両にヨーモーメントを付与する場合、実際に車両に付与されるヨーモーメントの初期値を、運転者にヨーモーメントが付与されていることを感じさせない程度の値とする。その後、時間の経過と共に車両に付与されるヨーモーメントを増大させて、運転者にヨーモーメントが付与されていることを認識させる。つまり、最小制御ヨーモーメントMsmの初期値Msm0を、ヨーモーメントMminlと同等の大きさ、若しくはその近傍とする。これによって、外乱によってヨーモーメントにバラツキが発生しても、実際の車両に付与されるヨーモーメントの初期値は最小目標ヨーモーメントMmin以下となる。その後、実際の車両に付与されるヨーモーメントを最小目標ヨーモーメントMmin以上とする。これによって、運転者にとってより好ましい制御が可能となる。
なお、上述の様に本実施形態では、運転者にとってより好ましい制御を実現する為に、最小制御ヨーモーメントMsmの初期値Msm0を、ヨーモーメントMminl若しくはその近傍値の値に設定している。しかし、これに限定しない。最小制御ヨーモーメントMsmの初期値Msm0は、最小目標ヨーモーメントMmin以下の値であれば良い。その理由を次に説明する。なお、図6に示すヨーモーメントMmaxは、初期値として車両に付与された場合に運転者が違和感を感じる程度の大きさのヨーモーメントである。そして、制御上の目標ヨーモーメントの初期値を、最小目標ヨーモーメントMmin以下の値に設定すれば、外乱等によって実際に車両に付与されるヨーモーメントがばらついたとしても、実際に車両に付与されるヨーモーメントを、ヨーモーメントMmax以上とならないようにする事ができる。
ここで、図6では、基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMmin以下となってから、最小制御ヨーモーメントMsmが線形に増加する場合を例示している。これに代えて、最小制御ヨーモーメントMsmは、図8に示すように、曲線を描いて増加しても良い。すなわち、時間と共に増加率を変化させても良い。図8の例では、最小制御ヨーモーメントMsmの増加率を図8のように時間の経過と共に増大している。このように最小制御ヨーモーメントMsmの増加量を図8のように時間の経過と共に増大すると、自車両が車線逸脱傾向にあることを、より確実に運転者に認識させる事が可能となる。
また、最小制御ヨーモーメントMsmは、図9に示すように、階段状に段階的に増加するように設定しても良い。
続いてステップS130において、走行路状態指標値Nに基づいて、下記(13)式に基づき、後述のステップS140で用いるゲインgrを算出する。
gr=f3(N) ・・・(13)
ここで、関数f3は、走行路状態指標値Nに基づいてゲインgrを得る関数であり、例えば、走行路状態指標値Nが大きくなるほど、ゲインgrを大きくする関数である。すなわち、上記(3)式との関係から、走行路の凹凸度合い(凹凸の大きさや密度)が大きくなるほど、ゲインgrが大きくなる。
続いてステップS140において、下記(15)式に基づき、設定変更した補正目標ヨーモーメントM2を算出する。
M2=gr・Msm ・・・(15)
ここで、grは、補正用のゲインである。
また、(15)式と上記(13)式との関係では、基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMmin未満となる場合には、走行路状態指標値Nが大きくなるほど、補正目標ヨーモーメントM2は大きくなる。
ここで、走行路状態指標値Nは、車両の乗員が感じるヨーモーメント(乗員の感覚)に影響する路面の状態を表わす指標値である。すなわち、走行路の凹凸度合いが大きい場合に、乗員は、ヨーモーメントの変化を感じ取り難くなる。このため、走行路面の凹凸度合いが大きいほど大きくなる走行路状態指標値Nに基づいたゲインgrを、最小制御ヨーモーメントMsmに乗算して、補正目標ヨーモーメントM2を算出している。ここで、凹凸度合いは、走行路の凹凸が大きい程、また走行路の凹凸上を頻繁に走行する程、大きくなる。
なお、上述の通り、走行路の凹凸による乗員の感覚への影響を考慮して、上記処理では、(15)式で最小制御ヨーモーメントMsmにゲインgrを掛けている。乗員の感覚を考慮しない場合には、最小制御ヨーモーメントMsmそのものを補正目標ヨーモーメントM2としても良い。つまり、M2=Msmとしても良い。
続いてステップS150において、最終的な制御量としての目標ヨーモーメントMsを算出する。
具体的には、上記算出した補正目標ヨーモーメントM2と、前回の割込処理において算出した目標ヨーモーメントMs(−1)とを用いて、下記(16)式に基づき、今回の処理における最終的な目標ヨーモーメントMs(0)を算出する。
Ms(0)=f4(M2,Ms(−1)) ・・・(16)
ここで、関数f4は、今回の処理で算出した値である補正目標ヨーモーメントM2と、前回の処理において算出した目標ヨーモーメントMs(−1)とを連続的(線形性を持たせて又は滑らか)に繋げるための関数である。
なお、逸脱判断フラグFoutがONの場合には、前述のような目標ヨーモーメントMs(0)の演算を実行する。一方、逸脱判断フラグFoutがOFFの場合には、目標ヨーモーメントMs(0)に0を設定する。
続いてステップS160において、車線逸脱防止用減速制御における減速度を算出する。
すなわち、車両を減速させる目的として左右両輪に与える制動力を算出する。ここでは、そのような制動力を左右両輪に与える目標制動液圧Pgf,Pgrとして算出する。前輪用の目標制動液圧Pgfについては、上記ステップS4で算出した推定横変位Xs及び横変位限界距離XL、並びに上記ステップS8で得た減速制御判定用閾値Xβを用いて、下記(17)式に基づき、算出する。
Pgf=Kgv・Kgx・(|Xs|−XL−Xβ) ・・・(17)
ここで、Kgvは車速Vに応じて設定される換算係数であり、Kgxは車両諸元により定まる換算係数である。図7は換算係数Kgvの例を示す。図7に示すように、低速域では、換算係数Kgvは、ある一定の小さい値となる。一方、車速Vがある値よりも大きくなると、車速Vとともに換算係数Kgvが増加し、その後ある車速Vに達すると換算係数Kgvはある一定の大きい値となる。
さらに、以上のように算出した前輪用の目標制動液圧Pgfに基づいて、前後配分を考慮した後輪用の目標制動液圧Pgrを算出する。
このようにステップS160において、逸脱回避用の減速度(具体的には目標制動液圧Pgf,Pgr)を得る。
続いてステップS170において、各車輪の目標制動液圧を算出する。すなわち、車線逸脱防止の制動制御の有無に基づいて最終的な制動液圧を算出する。具体的には次のように算出する。
逸脱判断フラグFoutがOFFの場合、すなわち車線逸脱傾向がないとの判定結果を得た場合は次の処理を行う。すなわち、下記(18)式及び(19)式に基づき、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動液圧Pmf,Pmrにする。
Psfl=Psfr=Pmf ・・・(18)
Psrl=Psrr=Pmr ・・・(19)
ここで、Pmfは前輪用の制動液圧である。また、Pmrは後輪用の制動液圧である。これらの制動液圧は、前後配分を考慮して前輪用の制動液圧Pmfに基づき算出した値になる。例えば、運転者がブレーキ操作をしていれば、制動液圧Pmf,Pmrはそのブレーキ操作の操作量に応じた値になる。
一方、逸脱判断フラグFoutがONの場合、すなわち車線逸脱傾向があるとの判定結果を得た場合には、次の処理を行う。すなわち、先ず目標ヨーモーメントMs(今回の処理における目標ヨーモーメントMs(0))に基づいて、前輪目標制動液圧差ΔPsf及び後輪目標制動液圧差ΔPsrを算出する。具体的には、下記(20)式〜(23)式に基づき、目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを算出する。
|Ms|<Ms1の場合
ΔPsf=0 ・・・(20)
ΔPsr=Kbr・Ms/LTR ・・・(21)
|Ms|≧Ms1の場合
ΔPsf=Kbf・(Ms/|Ms|)・(|Ms|−Ms1)/LTR
・・・(22)
ΔPsr=Kbr・(Ms/|Ms|)・Ms1/LTR ・・・(23)
ここで、Ms1は設定用閾値を示す。なお、トレッドLTRは、便宜上前後で同じ値にする。また、Kbf,Kbrは、制動力を制動液圧に換算する場合の前輪及び後輪についての換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。
このように、目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて、車輪に発生させる制動力を配分している。そして、目標ヨーモーメントMsが設定用閾値Ms1未満のときには、前輪目標制動液圧差ΔPsfを0として、後輪目標制動液圧差ΔPsrに所定値を与える。これによって、左右後輪で制動力差を発生させる。また、目標ヨーモーメントMsが設定用閾値Ms1以上のときには、各目標制動液圧差ΔPsr,ΔPsrに所定値を与えることで、前後左右輪で制動力差を発生させる。
そして、以上のように算出した目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsr及び減速用の目標制動液圧Pgf,Pgrを用いて最終的な各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。すなわち、上記ステップS80で設定している減速制御作動判断フラグFgsをも参照して、最終的な各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
これを具体的に場合分けして説明する。
まず、逸脱判断フラグFoutがONの場合、すなわち車線逸脱傾向があるとの判定結果を得ている一方、減速制御作動判断フラグFgsがOFFの場合を説明する。この場合には、車両へのヨーモーメント付与だけを行う場合となる。したがって、下記(24)式に基づき、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
Psfl=Pmf
Psfr=Pmf+ΔPsf
Psrl=Pmr
Psrr=Pmr+ΔPsr
・・・(24)
次に、逸脱判断フラグFoutがONであり、かつ減速制御作動判断フラグFgsがONの場合を説明する。この場合は、車両にヨーモーメントを付与しつつも、車両を減速させる場合である。したがって、下記(25)式に基づき、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
Psfl=Pmf+Pgf/2
Psfr=Pmf+ΔPsf+Pgf/2
Psrl=Pmr+Pgr/2
Psrr=Pmr+ΔPsr+Pgr/2
・・・(25)
また、この(24)式及び(25)式が示すように、運転者によるブレーキ操作、すなわち制動液圧Pmf,Pmrを考慮して各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出している。そして、制駆動力コントロールユニット8は、このようにして算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧指令値として、制動流体圧制御部7に出力する。
なお、上記(20)式〜(25)式に示した各車輪の目標制動液圧等は、逸脱方向Doutがleftの場合(Dout=left)、すなわち左側車線に対して車線逸脱傾向がある場合のものである。逸脱方向Doutがrightの場合(Dout=right)、すなわち右側車線に対して車線逸脱傾向がある場合の上記(20)式〜(25)式に対応する式の説明については省略する。なお、逸脱方向Doutがrightの場合における、上記(24)式に対応する各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)は、下記(26)式に基づき、算出する。
Psfl=Pmf+ΔPsf
Psfr=Pmf
Psrl=Pmr+ΔPsr
Psrr=Pmr ・・・(26)
(動作)
動作は次のようになる。
車両走行中、各種データを読み込むとともに(上記ステップS10)、車速Vを算出する(上記ステップS20)。そして、将来の推定横変位(逸脱推定値)Xsに基づいて車線逸脱傾向の判定(逸脱判断フラグFoutの設定)を行うとともに(上記ステップS50)、その車線逸脱傾向の判定結果(逸脱判断フラグFout)を、運転者の車線変更の意思に基づいて修正する(上記ステップS60)。そして、車線逸脱傾向の判定結果に基づいて、警報出力を行う(上記ステップS70)。
また、推定横変位Xsから逸脱傾向判定用閾値XLを減じて得た減算値(|Xs|−XL)と減速制御判定用閾値Xβとの比較結果に基づいて、減速制御作動判断フラグFgsを設定する(上記ステップS80)。
また、算出した基準目標ヨーモーメントM1を補正目標ヨーモーメントM2とする(ステップS90)。このとき、算出した基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMmin以下の場合には、予め設定している最小制御ヨーモーメントMsmを採用して、補正目標ヨーモーメントM2を設置する(ステップS120)。
このとき、最小制御ヨーモーメントMsmを、最小目標ヨーモーメントMminより小さな値から当該最小目標ヨーモーメントMminを越える値まで、時間が経過するにつれて徐々に増加させる。
そして、算出した補正目標ヨーモーメントM2と、前回の処理(1ステップ前の処理)において算出した目標ヨーモーメントMs(−1)とを用いて、今回の処理における目標ヨーモーメントMs(0)を算出する(上記ステップS150)。
更に、逸脱判断フラグFout及び減速制御作動判断フラグFgsの状態に基づいて、目標ヨーモーメントMs(目標ヨーモーメントMs(0))及び減速度(目標制動液圧Pgf)に基づく各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)の算出を行い、算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧制御部7に出力する(上記ステップS160)。これにより、車両の車線逸脱傾向に応じて車両にヨーモーメントが付与され、場合により、車両は減速される。
ここで、ステップS90はヨーモーメント算出手段を構成する。ステップS80,S150〜S170は、逸脱抑制制御手段を構成する。ステップS100〜S120は、制御モーメント補正手段を構成する。基準目標ヨーモーメントM1は算出したヨーモーメントである。最小目標ヨーモーメントMminは、制御モーメント補正手段で使用する所定閾値である。
(本実施形態の効果)
(1)制御モーメント補正手段は、ヨーモーメント算出手段が算出したヨーモーメントが所定閾値以下と判定すると、上記目標ヨーモーメントを、上記所定閾値未満の値から上記所定閾値を越える値となるまで、時間の経過と共に連続的若しくは断続的に増大させるように補正する。
すなわち、逸脱傾向の度合いによって算出した基準目標ヨーモーメントM1が、所定閾値である最小目標ヨーモーメントMmin以下の場合には、目標ヨーモーメントMsを、最小目標ヨーモーメントMmin以下の初期値から時間の経過と共に徐々に増加させる。
これによって、まず、逸脱防止制御の初期の目標ヨーモーメントMs(以下、目標値とも呼称する。)を抑える。この結果、車両にヨーモーメントを付与する制御を開始した時点において実際に車両に付与されるヨーモーメント(以下、制御量とも呼称する。)が目標値から大きくなるバラツキが発生した場合であっても、車線逸脱防止制御開始時の車両の制御量(即ち車両挙動)が大きくなり過ぎる事による乗員への違和感を抑える。上記バラツキの発生は、例えば、アクチュエータの制御公差、路面凹凸、横断勾配等によって発生する。
更に、その後は、目標ヨーモーメントMsが時間の経過と共に徐々に増加する。この結果、時間の経過と共に車両の制御量を増大して、車両が走行車線を逸脱することを防止することが出来る。
(2)初期値が上記所定閾値未満の値の最小制御ヨーモーメントを設定する。その最小制御ヨーモーメントは、上記ヨーモーメント算出手段が算出したヨーモーメントが所定閾値以下となったことを検出すると、上記所定閾値未満の値から上記所定閾値を越える値まで、時間の経過と共に連続的若しくは断続的に増加する。そして、上記ヨーモーメント算出手段が算出したヨーモーメントが所定閾値以下の場合には、上記最小制御ヨーモーメントを上記目標ヨーモーメントとする。
これによって、逸脱傾向によって算出したヨーモーメントが所定閾値以下の場合には、目標ヨーモーメントを、初期値が上記所定閾値未満で且つ上記所定閾値を越えるまで、時間と共に増大するヨーモーメントとする。
この結果、初期の目標ヨーモーメントを抑えて、車線逸脱制御開始時の車両挙動が大きくなる事による乗員への違和感を抑える。さらに、すぐに逸脱が解消しなければ付与するヨーモーメントが増大していくことで車両が走行車線を逸脱することを防止し、乗員への違和感を抑えることが可能となる。
ここで、基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMminよりも小さい状態が続く場合であっても、最小制御ヨーモーメントMsmが時間の経過と共に増大して所定の大きさのヨーモーメントを車両に付与する。この結果、車線逸脱を防止しつつも、ヨーモーメントの付与により変化する車両挙動を介して運転者に自車両が車線逸脱する可能性が高いことを知らせることができる。
例えば、車線逸脱傾向の度合い(推定横変位Xs)が小さく、基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMminよりも小さい状態が続く場合には、本来であれば、車両に付与するヨーモーメント(実際の車両の制御量)が小さくなるところを、所定の大きさのヨーモーメントを車両に付与することで、運転者に自車両が車線逸脱する可能性が高いことを知らせることができる。
ここで、最小制御ヨーモーメントMsmの初期値を、最小目標ヨーモーメントMminよりも小さい値としている。このため、基準目標ヨーモーメントM1の値が、最小目標ヨーモーメントMsmと最小制御ヨーモーメントMsmの初期値Msm0との間の値の場合には、目標ヨーモーメントMsの値は、一時的に基準目標ヨーモーメントM1の値よりも小さくなる。しかし、その後、最小制御ヨーモーメントMsmが時間の経過と共に増大することで、上述のように車両に付与されるヨーモーメントが大きくなって上記効果を奏する。
なお、本実施形態では、最小制御ヨーモーメントMsmの初期値Msm0を予め定められた値としている。しかし、これに限定しない。例えば、基準目標ヨーモーメントM1を最小制御ヨーモーメントMsmの初期値とし、時間の経過と共に最小制御ヨーモーメントMsmを増大させても良い。
(3)ヨーモーメント算出手段が算出したヨーモーメントが上記所定閾値を越えた場合には、上記ヨーモーメント算出手段が算出したヨーモーメントと、上記最小制御ヨーモーメントとのうちの大きい値を、上記目標ヨーモーメントとする。
図10に、この場合のタイムチャート例を示す。図10において、細線がそれぞれヨーモーメント算出手段が算出した基準ヨーモーメントM1と最小制御ヨーモーメントであり、太線が目標ヨーモーメントである。なお、図11及び図12においても同様である。
基準目標ヨーモーメントM1を目標値として車両のヨーモーメントを制御した場合には、次の課題がある。すなわち、アクチュエータの制御公差、路面凹凸、横断勾配等によって、実際の車両の戻し量(制御量)が目標値よりも小さくなるバラツキが発生した場合には、車線中央方向に車両が戻り難くなり乗員に違和感を与える。また、このバラツキによる乗員の違和感は、算出した基準目標ヨーモーメントM1が小さい場合、つまり、目標値が低い場合ほど大きくなると想定できる。即ち、逸脱傾向の度合いに基づいて算出した基準目標ヨーモーメントM1を目標値として車両のヨーモーメントを制御した場合には、逸脱傾向の度合いが小さいと目標値も小さくなる。このため、例えば路面凹凸や横断勾配等の外乱によるバラツキが大きい時には車両のヨーモーメントが打ち消されて、車両の制御量に変化が発生せず、乗員に違和感を与える。
これに鑑み、本実施形態では、最小制御ヨーモーメントMsmを最小目標ヨーモーメントMmin以下の初期値から時間の経過と共に大きくする。また、逸脱傾向の度合いに基づいて算出した基準目標ヨーモーメントM1が最小制御ヨーモーメントMsm以下の場合には、当該最小制御ヨーモーメントMsmを目標ヨーモーメントMsとする。
これにより、車線逸脱傾向に基づいて算出した基準目標ヨーモーメントM1が小さな値である為に、車両が車線中央方向に戻り難い場合でも徐々に目標値が大きくなる。つまり、車両の車線逸脱傾向に基づいて算出した基準目標ヨーモーメントM1が小さくて、車両の制御量が発生し難い場合であっても、徐々に目標値を大きくする事により制御量が大きくなる。この結果、車両が走行車線を逸脱することを防止出来るだけのヨーモーメントを車両に付与可能となると共に、車両が車線中央方向に戻り難い事による乗員の違和感を抑える事ができる。
ここで、乗員への車線逸脱可能性の報知効果を高くする目的で、逸脱傾向の度合いに基づいて算出した基準目標ヨーモーメントM1を、最小目標ヨーモーメントMmin以下の場合に、最初から最小制御ヨーモーメントMsmを最小目標ヨーモーメントMminより十分大きな値に設定する場合を想定する。この場合、乗員への車線逸脱可能性の報知効果を高くすることが可能である。しかしながら、制御のバラツキにより実際の車両の制御量が目標値よりも高い制御量となった場合に、過大なヨーモーメントが発生して唐突な車両挙動となる可能性がある。これに対し、本実施形態では、最小制御ヨーモーメントMsmを時間の経過と共に徐々に最小目標ヨーモーメントMmin以下の値から増加させ、逸脱傾向の度合いに基づいて算出した基準目標ヨーモーメントM1が最小制御ヨーモーメントMsm以下の場合には、当該最小制御ヨーモーメンMsmを目標ヨーモーメントMsとする。このため、車両の制御量を徐々に大きくして、乗員に車線逸脱可能性を報知する事ができ、このような課題を解決することが出来る。
なお、図10(b)において、目標ヨーモーメントが最小制御ヨーモーメントMsmから基準目標ヨーモーメントM1に変化する際の、目標ヨーモーメントの変化速度が大きくなっているが、実際には最小制御ヨーモーメントMsmと基準目標ヨーモーメントM1との差は小さく、目標ヨーモーメントの変化による車両挙動変化は微小であり、ヨーモーメントの変化によって乗員に違和感を与える恐れは無い。また、最小制御ヨーモーメントMsmと基準目標ヨーモーメントM1との差が大きい場合には、目標ヨーモーメントの変化速度を乗員に違和感を与えない所定の変化速度以下に制限しても良い。
(4)最小制御ヨーモーメントが上記所定閾値を越えた場合には、上記ヨーモーメント算出手段が算出したヨーモーメントと、上記最小制御ヨーモーメントとのうちの大きい値を、上記目標ヨーモーメントとする。
図11に、このときのタイムチャート例を示す。
最小制御ヨーモーメントMsmを最小目標ヨーモーメントMmin以下の初期値から時間の経過と共に大きくする。また、逸脱傾向の度合いに基づいて算出した基準目標ヨーモーメントM1が最小制御ヨーモーメントMsm以下の場合には、当該最小制御ヨーモーメントMsmを目標ヨーモーメントMsとする。
これにより、車線逸脱傾向に基づいて算出した基準目標ヨーモーメントM1が小さな値である為に、車両が車線中央方向に戻り難い場合でも徐々に目標値が大きくなる。つまり、車両の車線逸脱傾向に基づいて算出した基準目標ヨーモーメントM1が小さくて、車両に制御量が発生し難い場合であっても、徐々に目標値を大きくする事により制御量が大きくなる。この結果、車両が走行車線を逸脱することを防止出来るだけのヨーモーメントを車両に付与可能となると共に、車両が車線中央方向に戻り難い事による乗員の違和感を抑える事ができる。
なお、図11(a)及び(b)において、目標ヨーモーメントが最小制御ヨーモーメントMsmから基準目標ヨーモーメントM1に変化する際の、目標ヨーモーメントの変化速度が大きくなっているが、実際には最小制御ヨーモーメントMsmと基準目標ヨーモーメントM1との差は小さく、目標ヨーモーメントの変化による車両挙動変化は微小であり、ヨーモーメントの変化によって乗員に違和感を与える恐れは無い。また、最小制御ヨーモーメントMsmと基準目標ヨーモーメントM1との差が大きい場合には、目標ヨーモーメントの変化速度を乗員に違和感を与えない所定の変化速度以下に制限しても良い。
(5)上記最小制御ヨーモーメントの初期値を、その値を目標値としたときに実際に車両に発生するヨーモーメントが上記所定の閾値以下となるように定めた値とする。すなわち、最小制御ヨーモーメントMsmの初期値を、実際の車両の制御量が最小目標ヨーモーメントMmin未満の値となるように、最小目標ヨーモーメントMminよりも小さくしている。
これによって、バラツキにより実際の車両の制御量が目標値よりも高い制御量となっても、例えば最小目標ヨーモーメントMmin値程度の大きさに制限出来る。これによって、制御介入初期において実際に車両に付与される制御量を、確実に高い制御量とすることはない。これによって、乗員に車両挙動の違和感を与え無いか抑えることが可能となる。
すなわち、最小制御ヨーモーメントMsmの初期値に対して実際の車両の制御量がバラツキで大きくなった場合であっても、実際の車両の制御量が最小目標ヨーモーメントMmin若しくはその近傍の値となるように最小制御モーメントMsmの初期値を設定しておけば、バラツキによって高い制御量となっても、初期の値を最小目標ヨーモーメントMmin近傍に抑えることが可能となる。
また、初期にできるだけブレーキの液圧を立てた場合には、制動のプレビュー効果により制御レスポンスが向上する。
(6)上記最小制御ヨーモーメントを、路面の凹凸度合いが大きくなる程大きな値に補正する。すなわち、前述のように、最小目標ヨーモーメントMminとゲインgrとの乗算値として補正目標ヨーモーメントM2を算出している(上記(15)式)。
これによって、走行路の凹凸度合いが大きくほど、ゲインgrが大きくなるので、補正目標ヨーモーメントM2も大きくなる。
走行路の凹凸度合いが大きくなると、ヨーモーメントの付与により変化する車両挙動を運転者が感じにくくなる。すなわち自車両が車線逸脱する可能性が高いことを運転者は認識しにくくなるが、走行路の凹凸度合いが大きくなるほど、補正目標ヨーモーメントM2(より具体的には目標ヨーモーメントMs(0))を大きくしているので、走行路の凹凸度合いが大きい場合でも、運転者は、ヨーモーメントの付与により変化する車両挙動を介して自車両が車線逸脱する可能性が高いことを認識できるようになる。
(7)上記最小制御ヨーモーメントは、時間の経過と共に増大の割合を大きくする。
図8に記載のように、最小制御モーメントMsmの増大率は時間の経過と共に大きくする。
これによって、乗員が、車両が車線逸脱傾向となった時点から、車両が車線逸脱傾向に有る事を認識するまでの時間が長くなるほど、最小制御モーメントMsmの増大率を大きなる、この結果、車両に付与されるヨーモーメントを大きくして、確実に乗員に車両が車線逸脱傾向に有る事を認識させる事ができる。
(8)上記最小制御ヨーモーメントの最大値を、上記所定閾値より大きい値に制限する。
に上限値を設けることで、過大な制御量になることを防ぐ事が出来る。
(変形例)
ここで、逸脱判断フラグFoutがONとなった時点から、上記最小制御ヨーモーメントMsmの増大を開始して、その最小制御ヨーモーメントMsmと上記基準目標ヨーモーメントM1とのうちの大きい値を、目標ヨーモーメントとしても良い。すなわち、車両の車線逸脱傾向に基づいて算出した基準目標ヨーモーメントM1との初期値が最小目標ヨーモーメントMminに対して十分に小さい場合には、基準目標ヨーモーメントM1を目標ヨーモーメントとしても、運転者に違和感を与えるほど車両の挙動が大きくなる事はない。このため、基準目標ヨーモーメントM1の初期値が最小目標ヨーモーメントMminに対して十分に小さい場合(例えばMminl未満の場合)には、最小制御ヨーモーメントMsmと上記基準目標ヨーモーメントM1とのうちの大きい値を、目標ヨーモーメントとしても良い。
この場合のタイムチャート例を図12に示す。
(実施例)
図13に、本実施形態を適用した場合のタイムチャート例を示す。
この図13から分かるように、逸脱傾向の度合いに応じて算出した基準目標ヨーモーメントM1は増加する。しかし、算出した基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMmin以下の場合には、最小制御ヨーモーメントMsmに基づいて車両のヨーモーメントを制御する。従って、基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMmin以下であったとしても、最小制御ヨーモーメントMsmに沿って車両に付与するヨーモーメントが増大する。この結果、車両の逸脱が防止できる。
すなわち、制御開始時に過大な車両挙動とならず、且つ制御後半に向けて制御量が増大していく。これによって、車両を戻す効果を得ることが出来る。また、乗員に対する逸脱可能性の報知効果を高める事が出来る。
すなわち、図13から分かるように、算出した基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMmin以下であっても、最小制御ヨーモーメントMsmは最小目標ヨーモーメントMmin以下の初期値Msm0から時間と共に増大して最小目標ヨーモーメントMminより大きい値となる。これによって、全体としてみれば、算出した基準目標ヨーモーメントM1よりも大きな最小制御ヨーモーメントMsmに増大補正して逸脱の抑制が行われる。また、最小制御ヨーモーメントMsmの初期値Msm0は、最小目標ヨーモーメントMmin以下の値として、制御開始時の過大な車両挙動を抑えている。
なお、図13に示す例においては、算出した基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMmin以下の場合には、最小制御ヨーモーメントMsmに基づいて車両のヨーモーメントを制御するようにしている。しかし、この限りでは無い。算出した基準目標ヨーモーメントM1が制御開始時に過大な車両挙動を発生させる可能性の有るヨーモーメントよりも小さい場合は、基準目標ヨーモーメントM1と最小制御ヨーモーメントMsmとの大きい方に基づいて制御しても良い。
また図14に比較例を示す。この比較例は、乗員に対する逸脱可能性の報知効果を高めるために、基準目標ヨーモーメントM1が最小目標ヨーモーメントMmin未満の場合には、一定の最小目標ヨーモーメントMminに一律に増大補正した場合である。
この場合には、乗員に対する逸脱可能性の報知効果を高めることはできるものの、制御開始時に一気にヨーレイトが増大している。このため、制御開始時に過大な車両挙動となるおそれがある。
なお、図13及び図14に示す例においては、最小制御ヨーモーメントMsmが、制御開始から所定の時間で最小制御ヨーモーメントの初期値Msm0まで徐々に増大する例を示している。しかし、これに限定しない。図13に示す例においては、最小制御ヨーモーメントMsmの初期値Msm0は最小目標ヨーモーメントMminより充分小さい値である。したがって、制御開始時から最小制御ヨーモーメントMsmを初期値Msm0に設定しても、制御開始時に過大な車両挙動を発生させる事は無い。よって、制御開始時の最小制御ヨーモーメントMsmを、初期値Msm0に設定しても良い。
本発明に基づく実施形態に係る車両を示す概略構成図である。 本発明に基づく実施形態に係る車線逸脱防止装置のコントロールユニットの処理内容を示すフローチャートである。 本発明に基づく実施形態に係る推定横変位Xsや逸脱傾向判定用閾値XLの説明に使用した図である。 本発明に基づく実施形態に係る走行車線曲率βと減速制御判定用閾値Xβとの関係を示す特性図である。 本発明に基づく実施形態に係る車速VとゲインK2との関係を示す特性図である。 本発明に基づく実施形態に係る最小制御ヨーモーメントMsmを説明する図である。 本発明に基づく実施形態に係る車速Vと換算係数Kgvとの関係を示す特性図である。 本発明に基づく実施形態に係る車速Vと換算係数Kgvとの関係を示す特性図である。 本発明に基づく実施形態に係る車速Vと換算係数Kgvとの関係を示す特性図である。 目標ヨーモーメントのタイムチャート例である。 目標ヨーモーメントのタイムチャート例である。 目標ヨーモーメントのタイムチャート例である。 本発明に基づく実施形態に係るタイムチャート例である。 比較のためのタイムチャート例である。
符号の説明
7 制動流体圧制御部
8 制駆動力コントロールユニット
12 駆動トルクコントロールユニット
Dout 逸脱方向
Fgs 減速制御作動判断フラグ
Fout 逸脱判断フラグ
M1 基準目標ヨーモーメント
M2 補正目標ヨーモーメント
Mmin 最小目標ヨーモーメント(初期閾値)
Msm 最小制御ヨーモーメント
Msm0 最小制御ヨーモーメントの初期値
Ms 目標ヨーモーメント
Ti タイマー
XL 逸脱傾向判定用閾値(横変位限界距離)

Claims (10)

  1. 走行車線に対する車両の逸脱傾向に基づき、車両に付与するヨーモーメントを算出するヨーモーメント算出手段と、
    上記ヨーモーメント算出手段が算出したヨーモーメントに応じた目標ヨーモーメントを目標値としてヨーモーメントを車両に付与することで、走行車線に対する車両の逸脱傾向を抑制する逸脱抑制制御手段と、を備え、
    上記ヨーモーメント算出手段が算出したヨーモーメントが所定閾値以下と判定すると、上記目標ヨーモーメントを、上記所定閾値未満の値から上記所定閾値を越える値となるまで、時間の経過と共に増大させる制御モーメント補正手段を備えることを特徴とする車線逸脱防止装置。
  2. 制御モーメント補正手段は、
    初期値が上記所定閾値未満の値であって且つ上記所定閾値を越える値まで、時間の経過と共に増加する最小制御ヨーモーメントを設定し、
    上記ヨーモーメント算出手段が算出したヨーモーメントが所定閾値以下の場合には、上記最小制御ヨーモーメントを上記目標ヨーモーメントとすることを特徴とする請求項1に記載した車線逸脱防止装置。
  3. 上記ヨーモーメント算出手段が算出したヨーモーメントが上記所定閾値を越えた場合には、
    上記ヨーモーメント算出手段が算出したヨーモーメントと、上記最小制御ヨーモーメントとのうちの大きい値を、上記目標ヨーモーメントとすることを特徴とする請求項2に記載した車線逸脱防止装置。
  4. 上記最小制御ヨーモーメントが上記所定閾値を越えた場合には、
    上記ヨーモーメント算出手段が算出したヨーモーメントと、上記最小制御ヨーモーメントとのうちの大きい値を、上記目標ヨーモーメントとすることを特徴とする請求項2に記載した車線逸脱防止装置。
  5. 上記最小制御ヨーモーメントの初期値は、その値を目標ヨーモーメントとしたときに実際に車両に発生するヨーモーメントが上記所定の閾値以下となるように定めた値であることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載した車線逸脱防止装置。
  6. 上記最小制御ヨーモーメントを、路面の凹凸度合いが大きくなる程大きな値に補正することを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載した車線逸脱防止装置。
  7. 上記最小制御ヨーモーメントは、時間の経過と共に増大の割合を大きくすることを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載した車線逸脱防止装置。
  8. 上記最小制御ヨーモーメントの最大値を、上記所定閾値より大きい所定の値以下に制限することを特徴とする請求項2〜請求項7のいずれか1項に記載した車線逸脱防止装置。
  9. 走行車線に対する車両の逸脱傾向に基づき算出したヨーモーメントに応じた目標ヨーモーメントを目標値としてヨーモーメントを車両に付与することで、走行車線に対する車両の逸脱傾向を抑制する際に、上記逸脱傾向に基づき算出したヨーモーメントが所定閾値以下と判定すると、上記目標ヨーモーメントを、上記所定閾値未満の値から上記所定閾値を越える値となるまで、時間の経過と共に増大させることを特徴とする車線逸脱防止方法。
  10. 初期値が上記所定閾値未満の値であって且つ上記所定閾値を越える値まで、時間の経過と共に増加する最小制御ヨーモーメントを設定し、
    上記逸脱傾向に基づき算出したヨーモーメントが所定閾値以下の場合には、上記最小制御ヨーモーメントを上記目標ヨーモーメントとし、
    上記逸脱傾向に基づき算出したヨーモーメントが所定閾値を越えた場合には、上記逸脱傾向に基づき算出したヨーモーメントと上記最小制御ヨーモーメントとのうちの大きい値を、上記目標ヨーモーメントとすることを特徴とする請求項9に記載した車線逸脱防止方法。
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