JP4894436B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents

車線逸脱防止装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4894436B2
JP4894436B2 JP2006262495A JP2006262495A JP4894436B2 JP 4894436 B2 JP4894436 B2 JP 4894436B2 JP 2006262495 A JP2006262495 A JP 2006262495A JP 2006262495 A JP2006262495 A JP 2006262495A JP 4894436 B2 JP4894436 B2 JP 4894436B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
yaw moment
yaw rate
lane
yaw
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006262495A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008080936A (ja
Inventor
洋司 浜口
行 佐藤
泰久 早川
武志 岩坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2006262495A priority Critical patent/JP4894436B2/ja
Publication of JP2008080936A publication Critical patent/JP2008080936A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4894436B2 publication Critical patent/JP4894436B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、車両が走行車線から逸脱しそうになったときに、その逸脱を防止する車線逸脱防止装置に関する。
特許文献1に開示されているように、従来の車線逸脱防止制御として、車両が走行車線を逸脱する可能性がある場合に、左右車輪に制動力差を付与し、車両にヨーモーメントを付与することで、車両が走行車線から逸脱することを防止するものがある。そして、特許文献1にも開示されているように、ヨーレイトセンサで車両のヨーレイトを検出し、検出したヨーレイトに応じたヨーモーメントを車両に付与している。
特開2003−112540号公報
しかしながら、車線逸脱している車両のヨーレイトが、ヨーレイトセンサで検出可能な精度限界値よりも小さいような場合には、ヨーレイトセンサの検出精度が低くなるため、車両に付与するヨーモーメントの最適値を算出することができない。
また、気温が低い状態でブレーキパットの温度が低くなる等、車両状態が変化したり、路面カント等の走行環境が変化したりすると、制御目標値(目標ヨーモーメント)が同じであっても、車線逸脱回避の際の車両挙動が異なるものになる。このようなことから、ヨーレイトを基にヨーモーメント(目標ヨーモーメント)を算出することで、該算出されたヨーモーメントは、ブレーキバットの温度等の車両状態や路面カント等の走行環境が補償された値になるが、そもそもヨーレイトを検出するヨーレイトセンサの検出精度が低くては、最適値のヨーモーメントを算出するのが困難となる。
本発明の課題は、ヨーレイトセンサの検出精度の影響を受けず、最適値のヨーモーメントを算出することである。
前記課題を解決するために、本発明に係る車線逸脱防止装置は、車両のヨーレイトが、該ヨーレイトに対応して設定した所定のしきい値未満であると推定される間、減速度検出手段が検出した車両の減速度を変数に含む一方、ヨーレイトを用いずに車線逸脱防止制御として車両に付与する目標ヨーモーメントを算出し、車両のヨーレイトが前記所定のしきい値以上であると推定した場合、ヨーレイト検出手段が検出した車両のヨーレイトを変数に含んで車線逸脱防止制御として車両に付与する目標ヨーモーメントを算出する。
本発明によれば、ヨーレイトセンサの検出精度が低い状況で該ヨーレイトセンサが検出した車両のヨーレイトを用いずに目標ヨーモーメントを算出できるので、ヨーレイトセンサの検出精度の影響を受けず、最適値の目標ヨーレイトを算出することができる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
(構成)
実施形態は、本発明に係る車線逸脱防止装置を搭載した後輪駆動車両である。この車両は、自動変速機とコンベンショナルディファレンシャルギヤとを搭載し、前後輪とも左右輪の制動力を独立制御可能な制動装置を搭載している。
図1は、本実施形態を示す概略構成図である。
図中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧を各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給する。また、マスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御部7が介装されており、制動流体圧制御部7によって、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
制動流体圧制御部7は、例えばアンチスキッド制御やトラクション制御に用いられる制動流体圧制御部を利用したものである。制動流体圧制御部7は、単独で各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御することも可能であるが、後述する制駆動力コントロールユニット8から制動流体圧指令値が入力されたときには、その制動流体圧指令値に応じて制動流体圧を制御するようにもなっている。
例えば、制動流体圧制御部7は、液圧供給系にアクチュエータを含んで構成されている。アクチュエータとしては、各ホイールシリンダ液圧を任意の制動液圧に制御可能な比例ソレノイド弁が挙げられる。
また、この車両には、駆動トルクコントロールユニット12が設けられている。駆動トルクコントロールユニット12は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比及びスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪5RL,5RRへの駆動トルクを制御する。駆動トルクコントロールユニット12は、燃料噴射量や点火時期を制御したり、同時にスロットル開度を制御したりすることで、エンジン9の運転状態を制御する。駆動トルクコントロールユニット12は、制御に使用した駆動トルクTwの値を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
なお、駆動トルクコントロールユニット12は、単独で後輪5RL,5RRの駆動トルクを制御することも可能であるが、制駆動力コントロールユニット8から駆動トルク指令値が入力されたときには、その駆動トルク指令値に応じて駆動輪トルクを制御するようにもなっている。
また、この車両には、画像処理機能付きの撮像部13が設けられている。撮像部13は、車両の車線逸脱傾向検出用として、走行車線内の車両の位置を検出するために備えられている。例えば、撮像部13は、CCD(ChargeCoupled Device)カメラからなる単眼カメラで撮像するように構成されている。撮像部13は車両前部に設置されている。
撮像部13は、車両前方の撮像画像から例えば白線等のレーンマーカを検出し、その検出したレーンマーカに基づいて走行車線を検出している。さらに、撮像部13は、その検出した走行車線に基づいて、車両の走行車線と車両の前後方向軸とのなす角(ヨー角)φ、走行車線中央からの横変位X及び走行車線曲率β等を算出する。撮像部13は、算出したこれらヨー角φ、横変位X及び走行車線曲率β等を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
なお、本発明においては画像処理以外の検出手段でレーンマーカを検出するものであっても良い。例えば、車両前方に取り付けられた複数の赤外線センサによりレーンマーカを検出し、その検出結果に基づいて走行車線を検出しても良い。
また、本発明は走行車線を白線に基づいて決定する構成に限定されるものではない。すなわち、走行車線を認識させるための白線(レーンマーカ)が走路上にない場合、画像処理や各種センサによって得られる道路形状や周囲環境等の情報から、車両が走行に適した走路範囲や、運転者が車両を走行させるべき走路範囲を推測し、走行車線として決定しても良い。例えば、走路上に白線がなく、道路の両側ががけになっている場合には、走路のアスファルト部分を走行車線として決定する。また、ガードレールや縁石等がある場合は、その情報を考慮して走行車線を決定すれば良い。
また、走行車線曲率βを後述のステアリングホイール21の操舵角δに基づいて算出しても良い。
また、この車両には、ナビゲーション装置14が設けられている。ナビゲーション装置14は、車両に発生する前後加速度Yg及び横加速度Xgを検出する。ナビゲーション装置14は、検出した前後加速度Yg及び横加速度Xgを、道路情報とともに、制駆動力コントロールユニット8に出力する。ここで、道路情報としては、車線数、一般道路又は高速道路等の道路種別を示す道路種別情報がある。
なお、専用のセンサにより各値を検出するようにしても良い。すなわち、加速度センサにより前後加速度Yg及び横加速度Xgを検出するようにしても良い。
また、この車両には、車両に発生するヨーレイトφ´(=dφ/dt)を検出するヨーレイトセンサ15が設けられている。ヨーレイトセンサ15は、検出したヨーレイトφ´を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
また、この車両には、レーザ光を前方に掃射して先行障害物からの反射光を受光することで、車両と前方障害物との間の距離等を計測するためのレーダ16が設けられている。
そして、レーダ16は、前方障害物の位置の情報を制駆動力コントロールユニット8に出力する。レーダ16による検出結果は、追従走行制御(クルーズコントロール)や追突速度低減ブレーキ装置等における処理のために使用される。
また、この車両には、マスタシリンダ3の出力圧、すなわちマスタシリンダ液圧Pmf,Pmrを検出するマスタシリンダ圧センサ17、アクセルペダルの踏込み量、すなわちアクセル開度θtを検出するアクセル開度センサ18、ステアリングホイール21の操舵角(ステアリング舵角)δを検出する操舵角センサ19、方向指示器による方向指示操作を検出する方向指示スイッチ20、及び各車輪5FL〜5RRの回転速度、所謂車輪速度Vwi(i=fl,fr,rl,rr)を検出する車輪速度センサ22FL〜22RRが設けられている。そして、これらセンサ等が検出した検出信号は制駆動力コントロールユニット8に出力される。
なお、検出された車両の走行状態データに左右の方向性がある場合には、いずれも右方向を正方向とする。すなわち、ヨーレイトφ´、横加速度Xg及びヨー角φは、右旋回時に正値となり、横変位Xは、走行車線中央から右方にずれているときに正値となる。また、前後加速度Ygは、加速時に正値となり、減速時に負値となる。
次に、制駆動力コントロールユニット8で行う演算処理を説明する。
図2は、制駆動力コントロールユニット8で行う演算処理手順を示す。この演算処理は、例えば10msec.毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、図2に示す処理内には通信処理を設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読出される。
図2に示すように、処理を開始すると、先ずステップS1において、前記各センサやコントローラ、コントロールユニットから各種データを読み込む。具体的には、路面μ検出装置23が得た路面μ、ナビゲーション装置14が得た前後加速度Yg、横加速度Xg及び道路情報、ヨーレイトセンサ15が得たヨーレイトφ´、各センサが検出した、各車輪速度Vwi、操舵角δ、アクセル開度θt、マスタシリンダ液圧Pmf,Pmr及び方向スイッチ信号、並びに駆動トルクコントロールユニット12からの駆動トルクTw、撮像部13からヨー角φ、横変位X及び走行車線曲率βを読み込む。
続いてステップS2において、車速Vを算出する。具体的には、前記ステップS1で読み込んだ車輪速度Vwiに基づいて、下記(1)式により車速Vを算出する。
前輪駆動の場合
V=(Vwrl+Vwrr)/2
後輪駆動の場合
V=(Vwfl+Vwfr)/2
・・・(1)
ここで、Vwfl,Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度であり、Vwrl,Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。すなわち、この(1)式では、従動輪の車輪速の平均値として車速Vを算出している。なお、本実施形態では、後輪駆動の車両であるので、後者の式、すなわち前輪の車輪速度により車速Vを算出する。
また、このように算出した車速Vは好ましくは通常走行時に用いる。例えば、ABS(Anti-lock Brake System)制御等が作動している場合には、そのABS制御内で推定している推定車体速度を前記車速Vとして用いるようにする。また、ナビゲーション装置14でナビゲーション情報に利用している値を車速Vとして用いても良い。
続いてステップS3において、車線逸脱傾向の判定を行う。
図3は、この判定処理の処理手順を示す。また、図4には、この処理で用いる値の定義を図示している。
図3に示すように、処理を開始すると、先ずステップS21において、所定時間T後の車両重心横位置の推定横変位Xsを算出する。具体的には、前記ステップS1で得たヨー角φ、走行車線曲率β及び現在の車両の横変位X0、及び前記ステップS2で得た車速Vを用いて、下記(2)式により推定横変位Xsを算出する。
Xs=Tt・V・(φ+Tt・V・β)+X0 ・・・(2)
ここで、Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、この車頭時間Ttに自車速Vを乗じると前方注視点距離になる。すなわち、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位Xsとなる。この(2)式によれば、推定横変位Xsは、例えばヨー角φに着目した場合、ヨー角φが大きくなるほど、大きくなる。
続いてステップS22において、逸脱判定をする。具体的には、推定横変位Xsと所定の逸脱傾向判定用しきい値Xとを比較する。
ここで、逸脱傾向判定用しきい値Xは、一般的に車両が車線逸脱傾向にあると把握できる値であり、実験等で得る。例えば、逸脱傾向判定用しきい値Xは、走行路の境界線の位置を示す値であり、下記(3)式により算出する。
=(L−H)/2 ・・・(3)
ここで、Lは車線幅であり、Hは車両の幅である。車線幅Lについては、撮像部13が撮像画像を処理することで得ている。また、ナビゲーション装置14から車両の位置を得たり、ナビゲーション装置14の地図データから車線幅Lを得たりしても良い。
なお、図4において、逸脱傾向判定用しきい値Xは、車両の走行車線内に設定されているが、本発明はこれに限らず、走行車線の外側に設定されていても良い。また、車両が走行車線から逸脱する前に逸脱傾向判定されるものに限らず、例えば車輪の少なくとも1つが車線から逸脱した後に逸脱傾向判定されるように、逸脱傾向判定用しきい値Xが設定されても良い。
このステップS22において、推定横変位Xsが逸脱傾向判定用しきい値X以上の場合(|Xs|≧X)、車線逸脱傾向ありと判定し、推定横変位Xsが逸脱傾向判定用しきい値X未満の場合(|Xs|<X)、車線逸脱傾向なしと判定する。
続いてステップS23において、逸脱判断フラグFoutを設定する。すなわち、前記ステップS22において、車線逸脱傾向ありと判定した場合(|Xs|≧X)、逸脱判断フラグFoutをONにする(Fout=ON)。また、前記ステップS22において、車線逸脱傾向なしと判定した場合(|Xs|<X)、逸脱判断フラグFoutをOFFにする(Fout=OFF)。
このステップS22及びステップS23の処理により、例えば車両が車線中央から離れていき、推定横変位Xsが逸脱傾向判定用しきい値X以上になったとき(|Xs|≧X)、逸脱判断フラグFoutがONになる(Fout=ON)。また、車両(Fout=ONの状態の車両)が車線中央側に復帰していき、推定横変位Xsが逸脱傾向判定用しきい値X未満になったとき(|Xs|<X)、逸脱判断フラグFoutがOFFになる(Fout=OFF)。例えば、車線逸脱傾向がある場合に、後述する逸脱回避のための制動制御が実施されたり、或いは運転者自身が回避操作したりすれば、逸脱判断フラグFoutがONからOFFになる。
続いてステップS24において、横変位Xに基づいて逸脱方向Doutを判定する。具体的には、車線中央から左方向に横変位している場合、その方向を逸脱方向Doutにし(Dout=left)、車線中央から右方向に横変位している場合、その方向を逸脱方向Doutにする(Dout=right)。
以上のようにステップS3において車線逸脱傾向を判定する。
続いてステップS4において、運転者の車線変更の意思を判定する。具体的には、前記ステップS1で得た方向スイッチ信号及び操舵角δに基づいて、次のように運転者の車線変更の意思を判定する。
方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、前記ステップS3で得た逸脱方向Doutが示す方向とが同じである場合、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。すなわち、車線逸脱傾向なしとの判定結果に変更する。
また、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、前記ステップS3で得た逸脱方向Doutが示す方向とが異なる場合、逸脱判断フラグFoutを維持し、逸脱判断フラグFoutをONのままにする(Fout=ON)。すなわち、車線逸脱傾向ありとの判定結果を維持する。
また、方向指示スイッチ20が操作されていない場合には、操舵角δに基づいて運転者の車線変更の意思を判定する。すなわち、運転者が逸脱方向に操舵している場合において、その操舵角δとその操舵角の変化量(単位時間当たりの変化量)Δδとの両方が設定値以上のときには、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。
なお、操舵トルクに基づいて運転者の意思を判定しても良い。
このように、逸脱判断フラグFoutがONである場合において運転者が意識的に車線変更していないときには、逸脱判断フラグFoutをONに維持している。
続いてステップS5において、前記逸脱判断フラグFoutがONの場合、車線逸脱回避のための警報として、音出力又は表示出力をする。
なお、後述するように、逸脱判断フラグFoutがONの場合、車線逸脱防止制御として車両へのヨーモーメント付与を開始するから、この車両へのヨーモーメント付与と同時に当該警報出力がされる。しかし、警報の出力タイミングは、これに限定されるものではなく、例えば、前記ヨーモーメント付与の開始タイミングよりも早くしても良い。
続いてステップS6において、車線逸脱防止制御として車両を減速させる減速制御(以下、車線逸脱防止用減速制御という。)を行うか否かを判定する。具体的には、前記ステップS3で算出した推定横変位Xsから横変位限界距離Xを減じて得た減算値(|Xs|−X)が減速制御判定用しきい値Xβ以上か否かを判定する。
ここで、減速制御判定用しきい値Xβは、走行車線曲率βに応じて設定される値であり、その関係は、例えば図5に示すようになる。図5に示すように、走行車線曲率βが小さいときには、減速制御判定用しきい値Xβはある一定の大きい値となり、走行車線曲率βがある値より大きくなると、走行車線曲率βの増加に対して、減速制御判定用しきい値Xβが減少し、走行車線曲率βがさらに大きくなると、減速制御判定用しきい値Xβはある一定の小さい値となる。
そして、前記減算値(|Xs|−X)が減速制御判定用しきい値Xβ以上の場合(|Xs|−X≧Xβ)、減速制御を行うと決定するとともに、減速制御作動判断フラグFgsをONにして、前記減算値(|Xs|−X)が減速制御判定用しきい値Xβ未満の場合(|Xs|−X<Xβ)、減速制御を行わない決定をするとともに、減速制御作動判断フラグFgsをOFFにする。
なお、前記ステップS4で設定する逸脱判断フラグFoutとの関係では、前記ステップS5において推定横変位Xsが逸脱傾向判定用しきい値X以上の場合(|Xs|≧X)、逸脱判断フラグFoutをONに設定することと、前記減算値(|Xs|−X)が減速制御判定用しきい値Xβ以上の場合、減速制御作動判断フラグFgsをONに設定することとの関係上、逸脱判断フラグFoutがONに設定されるとしても、その設定は、減速制御作動判断フラグFgsがONに設定された後になる。すなわち、後述する逸脱判断フラグFoutがONになった場合に実施する車両へのヨーモーメント付与との関係では、車両の減速制御を実施した後、ヨーモーメントを付与するようになる。
続いてステップS7において、車線逸脱防止制御として車両に付与するヨーモーメントの基準となる基準ヨーモーメントMs0を算出する。
具体的には、前記ステップS3で得た推定横変位Xsと横変位限界距離Xとに基づいて下記(4)式により基準ヨーモーメントMs0を算出する。
Ms0=K1・K2・(|Xs|−X) ・・・(4)
ここで、K1は車両諸元から決まる比例ゲインであり、K2は車速Vに応じて変動するゲインである。図6はそのゲインK2の例を示す。図6に示すように、低速域では、ゲインK2は、ある一定の大きい値となり、車速Vがある値よりも大きくなると、車速Vの増加に対してゲインK2は減少し、その後ある車速Vに達するとゲインK2はある一定の小さい値となる。
この(4)式によれば、推定横変位Xsと横変位限界距離Xとの差分が大きくなるほど、基準ヨーモーメントMs0は大きくなる。
また、基準ヨーモーメントMs0は、逸脱判断フラグFoutがONの場合に算出され、基準ヨーモーメントMs0は、逸脱判断フラグFoutがOFFの場合に0に設定される。
続いてステップS8において、前記ステップS7で算出した基準ヨーモーメントを基に制御目標となる目標ヨーモーメントMsを算出する。
具体的には、基準ヨーモーメントMs0と後述のステップS11で算出される補正ヨーモーメントMhとに基づいて、下記(5)式により目標ヨーモーメントMsを算出する。
Ms=Ms0+Mh ・・・(5)
本実施形態において、車線逸脱防止制御では、走行車線に対して車両が逸脱傾向にある場合、車両に所定のヨーモーメント(所定の車線逸脱防止制御量)を付与して、車両が走行車線から逸脱するのを回避している。
そして、該車線逸脱防止制御では、車線逸脱回避完了までに車線逸脱防止制御の処理ルーチン(該図2の処理ルーチン)を複数回実行することを前提としており、すなわち、ヨーモーメント(具体的には、目標ヨーモーメントMs)を車両に連続的に逐次付与することで、車両の車線逸脱を回避することを前提としている。
このように車線逸脱防止制御を行うことを前提として、前記ステップS7で算出する基準ヨーモーメントMs0は、現時点における車両と走行車線との位置関係から導き出した車線逸脱を回避するために必要な値となり、補正ヨーモーメントMhは、前回処理で車両にヨーモーメントを付与した結果を、車線逸脱防止制御におけるフィードバック制御処理として、基準ヨーモーメントMs0を基準とする目標ヨーモーメントMsに反映させるための値となる。
続いてステップS9において、車線逸脱防止用減速制御における減速度を算出する。すなわち、車両を減速させる目的として左右両輪に与える制動力を算出する。ここでは、そのような制動力を左右両輪に与える目標制動液圧Pgf,Pgrとして算出する。前輪用の目標制動液圧Pgfについては、前記ステップS3で算出した推定横変位Xs及び横変位限界距離X、並びに前記ステップS7で得た減速制御判定用しきい値Xβを用いて、下記(6)式により算出する。
Pgf=Kgv・Kgx・(|Xs|−X−Xβ) ・・・(6)
ここで、Kgv,Kgxはそれぞれ、車速V及び横変化量dxに基づいて設定する、制動力を制動液圧に換算するための換算係数である。図7はその換算係数Kgv,Kgxの例を示す。この図7に示すように、例えば換算係数Kgv,Kgxは、低速域で大きい値になり、車速Vがある値になると、車速Vの増加に対応して小さくなり、その後ある車速Vに達すると一定値になる。
そして、前輪用の目標制動液圧Pgfに基づいて、前後配分を考慮した後輪用の目標制動液圧Pgrを算出する。
このようにステップS9において、逸脱回避用の減速度(具体的には目標制動液圧Pgf,Pgr)を得る。
続いてステップS10において、各車輪の目標制動液圧を算出する。すなわち、車線逸脱防止の制動制御の有無に基づいて最終的な制動液圧を算出する。具体的には次のように算出する。
逸脱判断フラグFoutがOFFの場合、すなわち車線逸脱傾向がないとの判定結果を得た場合、下記(7)式及び(8)式に示すように、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動液圧Pmf,Pmrにする。
Psfl=Psfr=Pmf ・・・(7)
Psrl=Psrr=Pmr ・・・(8)
ここで、Pmfは前輪用の制動液圧である。また、Pmrは後輪用の制動液圧であり、前後配分を考慮して前輪用の制動液圧Pmfに基づいて算出した値になる。例えば、運転者がブレーキ操作をしていれば、制動液圧Pmf,Pmrはそのブレーキ操作の操作量に応じた値になる。
一方、逸脱判断フラグFoutがONの場合、すなわち車線逸脱傾向があるとの判定結果を得た場合、先ず目標ヨーモーメントMsに基づいて、前輪目標制動液圧差ΔPsf及び後輪目標制動液圧差ΔPsrを算出する。具体的には、下記(9)式〜(12)式により目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを算出する。
|Ms|<Ms1の場合
ΔPsf=0 ・・・(9)
ΔPsr=Kbr・Ms/T ・・・(10)
|Ms|≧Ms1の場合
ΔPsf=Kbf・(Ms/|Ms|)・(|Ms|−Ms1)/T ・・・(11)
ΔPsr=Kbr・(Ms/|Ms|)・Ms1/T ・・・(12)
ここで、Ms1は設定用しきい値を示す。また、Tはトレッドを示す。なお、トレッドTは、便宜上前後で同じ値にする。また、Kbf,Kbrは、制動力を制動液圧に換算する場合の前輪及び後輪についての換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。
このように、目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて車輪に発生させる制動力を配分している。そして、目標ヨーモーメントMsが設定用しきい値Ms1未満のときには、前輪目標制動液圧差ΔPsfを0として、後輪目標制動液圧差ΔPsrに所定値を与えて、左右後輪で制動力差を発生させ、また、目標ヨーモーメントMsが設定用しきい値Ms1以上のときには、各目標制動液圧差ΔPsr,ΔPsrに所定値を与え、前後左右輪で制動力差を発生させる。
そして、以上のように算出した目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsr及び減速用の目標制動液圧Pgf,Pgrを用いて最終的な各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。具体的には、前記ステップS7で得ている減速制御作動判断フラグFgsをも参照して、最終的な各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
すなわち、逸脱判断フラグFoutがONの場合、すなわち車線逸脱傾向があるとの判定結果を得ているが、減速制御作動判断フラグFgsがOFFの場合、すなわち車両へのヨーモーメント付与だけを行う場合、下記(13)式により各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
Psfl=Pmf
Psfr=Pmf+ΔPsf
Psrl=Pmr
Psrr=Pmr+ΔPsr
・・・(13)
また、逸脱判断フラグFoutがONであり、かつ減速制御作動判断フラグFgsがONの場合、すなわち車両にヨーモーメントを付与しつつも、車両を減速させる場合、下記(14)式により各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
Psfl=Pmf+Pgf/2
Psfr=Pmf+ΔPsf+Pgf/2
Psrl=Pmr+Pgr/2
Psrr=Pmr+ΔPsr+Pgr/2
・・・(14)
また、この(13)式及び(14)式が示すように、運転者によるブレーキ操作、すなわち制動液圧Pmf,Pmrを考慮して各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出している。そして、制駆動力コントロールユニット8は、このようにして算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧指令値として、制動流体圧制御部7に出力する。
なお、前記(13)式及び(14)式に示した各車輪の目標制動液圧は、逸脱方向Doutがleftの場合(Dout=left)、すなわち左側車線に対して車線逸脱傾向がある場合のものであるが、逸脱方向Doutがrightの場合(Dout=right)、すなわち右側車線に対して車線逸脱傾向がある場合の前記(13)式及び(14)式に対応する式の説明については省略する。なお、逸脱方向Doutがrightの場合の、前記(13)式に対応する各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)は、下記(15)式により算出される。
Psfl=Pmf+ΔPsf
Psfr=Pmf
Psrl=Pmr+ΔPsr
Psrr=Pmr
・・・(15)
続いてステップS11において、補正ヨーモーメントを算出(設定)する。
図8は、補正ヨーモーメントの算出処理の処理手順を示す。
図8に示すように、処理を開始すると、先ずステップS31において、ヨーモーメントが増加中か否かを判定する。ここで判定に用いるヨーモーメントは、前記ステップS8で算出した目標ヨーモーメントMs(実際に車両に付与するヨーモーメント)である。このヨーモーメントが増加中の場合、例えば、前回処理で算出したヨーモーメントと比べて、今回処理で算出したヨーモーメントが大きい場合、ステップS32に進み、ヨーモーメントが増加中でない場合(ヨーモーメントが一定又は減少中の場合)、ステップS35に進む。
ステップS32では、減速度ΔVが所定のしきい値ΔVth未満か否かを判定する。例えば、下記(16)式により減速度ΔVを算出する。
ΔV=V−V−1/dt ・・・(16)
ここで、Vは、今回処理で算出した車速Vであり、V−1は、前回処理で算出した車速Vである。また、dtは、処理間隔(サンプリング時間)である。また、減速度ΔVに前記ステップS1で読込んだ前後加速度Ygを設定することもできる。一方、所定のしきい値ΔVthは、実験値又は経験値である。
このステップS32で、減速度ΔVが所定のしきい値ΔVth未満の場合(ΔV<ΔVth)、ステップS33に進み、減速度ΔVが所定のしきい値ΔVth以上の場合(ΔV≧ΔVth)、ステップS34に進む。
ステップS33では、補正フラグFmを0に設定し(Fm=0)、一方、ステップS34では、補正フラグFmを1に設定する(Fm=1)。そして、ステップS38に進む。
一方、前記ステップS31でヨーモーメントが減少中(一定の場合も含む)と判定した場合に進むステップS35では、ヨーレイトφ´が所定のしきい値φ´th未満か否かを判定する。ここで、ヨーレイトφ´が所定のしきい値φ´th未満の場合(φ´<φ´th)、ステップS36に進み、ヨーレイトφ´が所定のしきい値φ´th以上の場合(φ´≧φ´th)、ステップS37に進む。
ステップS36では、補正フラグFmを0に設定し(Fm=0)、一方、ステップS37では、補正フラグFmを1に設定する(Fm=1)。そして、ステップS38に進む。
ステップS38では、前記ステップS32で判定に使用した減速度ΔVを用いて、下記(17)式により第1補正用候補ヨーモーメントMgを算出する。
Mg=f1(ΔV,V) ・・・(17)
ここで、f1は、減速度ΔV及び車速Vを変数として、第1補正用候補ヨーモーメントMgを算出するための関数であり、減速度ΔVが大きくなると、第1補正用候補ヨーモーメントMgが小さくなり、車速Vが大きくなると、第1補正用候補ヨーモーメントMgが大きくなる。また、車速Vは、今回処理で算出した車速Vである。
続いてステップS39において、ヨーレイトφ´を用いて、下記(18)式により第2補正用候補ヨーモーメントMgを算出する。
My=f2(φ´,V) ・・・(18)
ここで、f2は、ヨーレイトφ´及び車速Vを変数として、第2補正用候補ヨーモーメントMyを算出するための関数であり、ヨーモーメントφ´が大きくなると、第2補正用候補ヨーモーメントMgが小さくなり、車速Vが大きくなると、第2補正用候補ヨーモーメントMgが大きくなる。また、車速Vは、今回処理で算出した車速Vである。
続いてステップS40において、補正フラグFmが0か否かを判定する。ここで、補正フラグFmが0の場合、すなわち、ヨーモーメントが増加中で、かつ減速度ΔVが所定のしきい値ΔVth未満の場合、又は、ヨーモーメントが減少中で、かつヨーレイトφ´が所定のしきい値φ´th未満の場合、ステップS41に進み、補正フラグFmが1の場合、すなわち、ヨーモーメントが増加中で、かつ減速度ΔVが所定のしきい値ΔVth以上の場合、又は、ヨーモーメントが減少中で、かつヨーレイトφ´が所定のしきい値φ´th以上の場合、ステップS42に進む。
ステップS41では、補正ヨーモーメントMhに第1補正用候補ヨーモーメントMgを設定し(Mh=Mg)、一方、ステップS42では、補正ヨーモーメントMhに第2補正用候補ヨーモーメントMyを設定する(Mh=My)。そして、当該図8(ステップS11)に示す処理を終了する。なお、補正ヨーモーメントMhの初期値は0である。
このように設定した補正ヨーモーメントMhを用いて、前記ステップS8において、目標ヨーモーメントMsを算出している((5)式参照)。
(動作)
動作は次のようになる。
車両走行中、各種データを読み込むとともに(前記ステップS1)、車速Vを算出する(前記ステップS2)。続いて、将来の推定横変位(逸脱推定値)Xsに基づいて車線逸脱傾向の判定(逸脱判断フラグFoutの設定)を行うとともに(前記ステップS3)、その車線逸脱傾向の判定結果(逸脱判断フラグFout)を、運転者の車線変更の意思に基づいて修正する(前記ステップS4)。そして、車線逸脱傾向の判定結果に基づいて、警報出力を行う(前記ステップS5)。
続いて、推定横変位Xsから逸脱傾向判定用しきい値Xを減じて得た減算値(|Xs|−X)と減速制御判定用しきい値Xβとの比較結果に基づいて、減速制御作動判断フラグFgsを設定するとともに(前記ステップS6)、車線逸脱防止制御として車両に付与する目標ヨーモーメントMsと、車線逸脱防止制御として車両に減速させるための減速度(目標制動液圧Pgf)とを算出する(前記ステップS7〜ステップS9)。そして、逸脱判断フラグFout及び減速制御作動判断フラグFgsの状態に基づいて、目標ヨーモーメントMs及び減速度(目標制動液圧Pgf)に基づく各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)の算出を行い、算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧制御部7に出力する(前記ステップS10)。これにより、車両の車線逸脱傾向に応じて車両にヨーモーメントが付与され、場合により、車両は減速される。
そして、このときのヨーモーメント、減速度及びヨーレイトに基づいて、補正ヨーモーメントMhを算出し(前記ステップS11)、算出した補正ヨーモーメントMhに基づいて目標ヨーモーメントMsを算出(補正ヨーモーメントMhで目標ヨーモーメントMsを補正)することで(ステップS8)、車線逸脱防止制御のフィードバック制御を実現している。
ここで、目標ヨーモーメントMsの算出(補正)については、具体的には、ヨーモーメントが増加中で、かつ減速度ΔVが所定のしきい値ΔVth未満の場合(Fm=0)、又はヨーモーメントが減少中でも、ヨーレイトφ´が所定のしきい値φ´th未満の場合(Fm=0)、第1補正用候補ヨーモーメントMg(減速度ΔVを変数とするヨーモーメント)に設定された補正ヨーモーメントMhに基づいて、目標ヨーモーメントMsを算出している。一方、ヨーモーメントが増加中で、かつ減速度ΔVが所定のしきい値ΔVth以上の場合(Fm=1)、又はヨーモーメントが減少中でも、ヨーレイトφ´が所定のしきい値φ´th以上の場合(Fm=1)、第2補正用候補ヨーモーメントMy(ヨーレイトφ´を変数とするヨーモーメント)に設定された補正ヨーモーメントMhに基づいて、目標ヨーモーメントMsを算出している。
(作用及び効果)
作用及び効果は次のようになる。
(1)前述のように、ヨーモーメントが増加中で、かつ減速度ΔVが所定のしきい値ΔVth未満の場合、第1補正用候補ヨーモーメントMgに設定された補正ヨーモーメントMhに基づいて、目標ヨーモーメントMsを算出している(ステップS31→ステップS32→ステップS33、Fm=0)。ここで、第1補正用候補ヨーモーメントMgは、前記(16)式により算出した減速度ΔV、若しくはナビゲーション装置14又は専用のセンサから読込んだ前後加速度Ygを変数とする値である。
ここで、図9に、通常みられる車線逸脱防止制御中の目標ヨーモーメントMsの経時変化を示す。図9に示すように、車線逸脱防止制御において、目標ヨーモーメントMsは、その制御開始直後に増加傾向を示し、ある程度の時間が経過すると一定値になり、その後、制御終了直前で減少傾向を示す。
このようなことから、ヨーモーメントが増加中であれば、車線逸脱防止制御の開始直後であるとして、車両のヨーレイトがそれほど大きくなっていないと推定し(車両のヨーレイトがある所定のしきい値未満であると推定し)、第1補正用候補ヨーモーメントMgに設定された補正ヨーモーメントMhに基づいて、目標ヨーモーメントMsを算出している。すなわち、減速度を変数として目標ヨーモーメントMsを算出している。
これにより、車両のヨーレイトがそれほど大きくなっていない場合に、第2補正用候補ヨーモーメントMyに設定された補正ヨーモーメントMhを用いることなく、目標ヨーモーメントMsを算出することができる。すなわち、ヨーレイトセンサ15の検出精度が低い状況で、該ヨーレイトセンサ15で検出したヨーレイトφ´を変数として用いることなく、目標ヨーモーメントMsを算出することができる。これにより、ヨーレイトセンサ15の検出精度の影響を受けず、最適値の目標ヨーモーメントMsを算出することができる。
(2)また、ヨーモーメントが減少中(一定の場合も含む)でも、ヨーレイトφ´が所定のしきい値φ´th以上の場合、第2補正用候補ヨーモーメントMyに設定された補正ヨーモーメントMhに基づいて、目標ヨーモーメントMsを算出している(ステップS31→ステップS35→ステップS37、Fm=1)。
前記図9に示すように、目標ヨーモーメントMsは、車線逸脱防止制御の開始時点からある程度時間が経過すると一定値になり、その後、制御終了直前で減少傾向を示すので、ヨーモーメントが減少中(一定の場合も含む)であれば、車両のヨーレイトがある程度大きくなっていると推定し(車両のヨーレイトがある所定のしきい値以上であると推定し)、さらに、ヨーレイトセンサ15の検出値(ヨーレイトφ´)も所定のしきい値φ´th以上となっていることを条件として、第2補正用候補ヨーモーメントMyに設定された補正ヨーモーメントMhに基づいて、目標ヨーモーメントMsを算出している。すなわち、ヨーレイトセンサ15で検出したヨーレイトφ´を変数として目標ヨーモーメントMsを算出している。このようにすることで、車両のヨーレイトが大きい場合には、ヨーレイトセンサ15の検出精度は問題とならないので、最適値の目標ヨーモーメントMsを算出することができる。
(3)これに対して、ヨーモーメントが減少中(一定の場合も含む)のときに、ヨーレイトφ´が所定のしきい値φ´th未満となる場合、第1補正用候補ヨーモーメントMgに設定された補正ヨーモーメントMhに基づいて、目標ヨーモーメントMsを算出している(ステップS31→ステップS35→ステップS36、Fm=0)。
前述のように、ヨーモーメントが減少中であれば、車両のヨーレイトがある程度大きくなっている可能性は高くなっていると言えるが、そもそもヨーレイトセンサ15が検出しているヨーレイトφ´が小さければ、該ヨーレイトセンサ15の検出精度も低くなるので、ヨーレイトセンサ15の検出値(ヨーレイトφ´)が所定のしきい値φ´th未満であれば、第2補正用候補ヨーモーメントMyに設定された補正ヨーモーメントMhを用いることなく、目標ヨーモーメントMsを算出する。すなわち、ヨーレイトセンサ15の検出精度が低い状況で、該ヨーレイトセンサ15で検出したヨーレイトφ´を変数として用いることなく、目標ヨーモーメントMsを算出する。これにより、ヨーレイトセンサ15の検出精度の影響を受けず、最適値の目標ヨーモーメントMsを算出することができる。
なお、以上のような理由から、所定のしきい値φ´thは、ヨーレイトセンサ15の検出精度限界値付近、又は検出精度限界値よりも多少大きい値に設定されていることが望ましい。
(4)また、ヨーモーメントが増加中でも、減速度ΔVが所定のしきい値ΔVth以上の場合、第2補正用候補ヨーモーメントMyに設定された補正ヨーモーメントMhに基づいて、目標ヨーモーメントMsを算出している(ステップS31→ステップS32→ステップS34、Fm=1)。
ここで、減速度がある程度大きくなっていれば、車両のヨーレイトがある程度大きくなっていると推定できる。例えば、車線逸脱防止制御では、制動力差を発生させて車両にヨーモーメントを付与しているので、制動力差の発生により減速度がある程度大きくなっていれば、同時に、車両へのヨーモーメント付与によりヨーレイトもある程度大きくなっていると推定できる。
そして、このように推定できる場合に、第2補正用候補ヨーモーメントMyに設定された補正ヨーモーメントMhに基づいて、目標ヨーモーメントMsを算出している。このようにすることで、車両のヨーレイトが大きい場合には、ヨーレイトセンサ15の検出精度は問題とならないので、最適値の目標ヨーモーメントMsを算出することができる。
なお、以上のような理由から、所定のしきい値ΔVthは、ヨーレイトセンサ15の検出精度限界値よりも大きいヨーレイトが車両に発生しているような場合の減速度に設定されていることが望ましい。
なお、実施形態を次のような構成により実現することもできる。
すなわち、前記実施形態では、車線逸脱防止制御の開始からの経過時間に応じて変化する車両のヨーモーメントとの関係で、車両に発生しているヨーレイトを推定している。すなわち、直接的ではないが、車線逸脱防止制御の開始からの経過時間から、車両に発生しているヨーレイトを推定している。これに対して、車線逸脱防止制御の開始からの経過時間を直接みて、車両に発生しているヨーレイトを推定することもできる。
なお、前記実施形態の説明において、制駆動力コントロールユニット8のステップS3の処理は、走行車線に対する車両の逸脱傾向の度合いを判定する車線逸脱傾向判定手段を実現しており、制駆動力コントロールユニット8のステップS32における減速度の算出処理、若しくはナビゲーション装置14又は図示しない専用のセンサは、車両の減速度を検出する減速度検出手段を実現しており、ヨーレイトセンサ15は、車両のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段を実現しており、制駆動力コントロールユニット8のステップS7及びステップS8の処理は、前記車線逸脱防止制御として車両に付与する目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段を実現しており、制駆動力コントロールユニット8のステップS10の処理は、前記車線逸脱傾向判定手段が逸脱傾向の度合いが高いと判定した場合、前記目標ヨーモーメント算出手段が算出した目標ヨーモーメントが車両に付与されるように車両の走行制御をする制御手段を実現しており、制駆動力コントロールユニット8のステップS8及びステップS11(図8)の処理は、前記目標ヨーモーメント算出手段が、車両のヨーレイトが、該ヨーレイトに対応して設定した所定のしきい値未満であると推定される間、前記減速度検出手段が検出した減速度を変数に含んで前記目標ヨーモーメントを算出し、車両のヨーレイトが所定のしきい値以上であると推定した場合、前記ヨーレイト検出手段が検出したヨーレイトを変数に含んで前記目標ヨーモーメントを算出することを実現している。
本発明の車線逸脱防止装置を搭載した車両の実施形態を示す概略構成図である。 前記車線逸脱防止装置のコントロールユニットの処理内容を示すフローチャートである。 前記コントロールユニットによる車線逸脱傾向の判定の処理内容を示すフローチャートである。 推定横変位Xsや逸脱判定用しきい値Xの説明に使用した図である。 走行車線曲率βと減速制御判定用しきい値Xβとの関係を示す特性図である。 車速VとゲインK2との関係を示す特性図である。 車速VとゲインKgvとの関係を示す特性図である。 前記車線逸脱防止装置のコントロールユニットによる、補正ヨーモーメントを算出処理の処理内容を示すフローチャートである。 通常みられる車線逸脱防止制御中の目標ヨーモーメントMsの経時変化を示す特性図である。
符号の説明
6FL〜6RR ホイールシリンダ、7 制動流体圧制御部、8 制駆動力コントロールユニット、9 エンジン、12 駆動トルクコントロールユニット、13 撮像部、14 ナビゲーション装置、15 ヨーレイトセンサ、16 レーダ、17 マスタシリンダ圧センサ、18 アクセル開度センサ、19 操舵角センサ、22FL〜22RR 車輪速度センサ

Claims (3)

  1. 走行車線に対する車両の逸脱傾向に基づいて、車両にヨーモーメントを付与して走行車線に対して車両が逸脱するのを防止する車線逸脱防止制御を行う車線逸脱防止装置において、
    走行車線に対する車両の逸脱傾向の度合いを判定する車線逸脱傾向判定手段と、
    車両の減速度を検出する減速度検出手段と、
    車両のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、
    前記車線逸脱防止制御として車両に付与する目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、
    前記車線逸脱傾向判定手段が逸脱傾向の度合いが高いと判定した場合、前記目標ヨーモーメント算出手段が算出した目標ヨーモーメントが車両に付与されるように車両の走行制御をする制御手段と、を備え、
    前記目標ヨーモーメント算出手段は、車両のヨーレイトが、該ヨーレイトに対応して設定した所定のしきい値未満であると推定される間、前記減速度検出手段が検出した減速度を変数に含む一方、ヨーレイトを用いずに前記目標ヨーモーメントを算出し、車両のヨーレイトが前記所定のしきい値以上であると推定した場合、前記ヨーレイト検出手段が検出したヨーレイトを変数に含んで前記目標ヨーモーメントを算出することを特徴とする車線逸脱防止装置。
  2. 前記目標ヨーモーメント算出手段は、前記車線逸脱防止制御の開始時点から一定期間経過すれば車両のヨーレイトが所定のしきい値以上になっているものと推定して、前記ヨーレイト検出手段が検出したヨーレイトを変数に含んで前記目標ヨーモーメントを算出し、前記一定期間経過前の期間では、車両のヨーレイトが、該ヨーレイトに対応して設定した所定のしきい値未満であるものと推定して、前記減速度検出手段が検出した減速度を変数に含む一方、ヨーレイトを用いずに前記目標ヨーモーメントを算出することを特徴とする請求項1に記載の車線逸脱防止装置。
  3. 走行車線に対する車両の逸脱傾向に基づいて、車両にヨーモーメントを付与して走行車線に対して車両が逸脱するのを防止する車線逸脱防止制御を行う車線逸脱防止装置において、
    前記車線逸脱防止制御では、車両のヨーレイトが、該ヨーレイトに対応して設定した所定のしきい値未満であると推定される間は、減速度検出手段が検出した減速度を変数に含む一方、ヨーレイトを用いずに車両に付与する前記ヨーモーメントを算出し、車両のヨーレイトが前記所定のしきい値以上であると推定した場合は、ヨーレイト検出手段が検出したヨーレイトを変数に含んで車両に付与する前記ヨーモーメントを算出することを特徴とする車線逸脱防止装置。
JP2006262495A 2006-09-27 2006-09-27 車線逸脱防止装置 Active JP4894436B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006262495A JP4894436B2 (ja) 2006-09-27 2006-09-27 車線逸脱防止装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006262495A JP4894436B2 (ja) 2006-09-27 2006-09-27 車線逸脱防止装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008080936A JP2008080936A (ja) 2008-04-10
JP4894436B2 true JP4894436B2 (ja) 2012-03-14

Family

ID=39352226

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006262495A Active JP4894436B2 (ja) 2006-09-27 2006-09-27 車線逸脱防止装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4894436B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018176313A1 (en) * 2017-03-30 2018-10-04 Baidu.Com Times Technology (Beijing) Co., Ltd. Deceleration curb-based direction checking and lane keeping system for autonomous driving vehicles

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2725427B2 (ja) * 1990-02-23 1998-03-11 日産自動車株式会社 車両の旋回挙動制御装置
JP3832304B2 (ja) * 2001-10-05 2006-10-11 日産自動車株式会社 車線逸脱防止装置
JP3870851B2 (ja) * 2002-06-21 2007-01-24 日産自動車株式会社 車線逸脱防止装置
JP4234084B2 (ja) * 2004-09-17 2009-03-04 本田技研工業株式会社 車両用走行軌跡推定装置
JP4581680B2 (ja) * 2004-12-27 2010-11-17 日産自動車株式会社 車線逸脱防止装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008080936A (ja) 2008-04-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4650362B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP4577013B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP4867313B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP4457891B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP4747935B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP4835309B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP2008006857A (ja) 車線逸脱防止装置
JP4779490B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP4899680B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP2006182129A (ja) 車線逸脱防止装置
JP2009035213A (ja) 車線逸脱防止装置
JP4802592B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP4475180B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP5181744B2 (ja) 車線逸脱防止装置及びその方法
JP4765435B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP2009006878A (ja) 車線逸脱防止装置
JP4581817B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP4894436B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP4396236B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP2007296918A (ja) 車線逸脱防止装置及び車両用前照灯制御装置
JP4581680B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP4983089B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JP2011178395A (ja) 車線逸脱防止装置
JP5131074B2 (ja) 車線逸脱防止装置及び車線逸脱防止方法
JP4862313B2 (ja) 車両の走行制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090327

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100917

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110802

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110907

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111129

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4894436

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106

Year of fee payment: 3