JP4802592B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自車両が走行車線から逸脱しそうになったときに、その逸脱を防止する車線逸脱防止装置に関する。
従来の車線逸脱防止装置として、自車両が走行車線を逸脱する可能性がある場合に、左右車輪に制動力差を付与し、自車両にヨーモーメントを付与することで、自車両が走行車線から逸脱することを防止する装置がある(例えば特許文献1参照)。
特開2003−112540号公報
車両始動直後のブレーキ冷間時には、ブレーキ制動力が低下するために、十分なヨーモーメントを得られず、これにより、所望の車線逸脱防止制御を実現できない場合がある。これは、主にブレーキシュー(又はブレーキパッド)の温度が影響しており、ブレーキシューが未だ低温状態になっていることで所望の制動特性が得られないからである。
また、車線逸脱防止装置における制御量演算は、カメラで検出したレーンマーカ等(走行車線)と自車両状態(横位置や逸脱角度等)との関係に基づいて行っている。そして、その関係に基づいて、必要なヨーモーメント(目標ヨーモーメント)を算出し、その算出値に基づくヨーモーメント指令値に基づいたブレーキ液圧をブレーキアクチュエータで各輪のブレーキに与えることで、自車両に車線逸脱回避方向へのヨーモーメントを発生させている。
よって、逸脱状況が同じであれば、算出されるヨーモーメント指令値(目標ヨーモーメント)は同じような値として算出され、さらにブレーキ液圧も同じような値になる。しかし、車両冷間時(ブレーキ冷間時)には、ブレーキ液圧が同じである限り、前述したようにブレーキ制動力の低下により、結果として、自車両に付与されるヨーモーメントが変わってしまう(低下してしまう)。
ここで、そのような問題を防ぐための措置として、車線逸脱防止制御により自車両に発生しているヨーモーメントを検出し、当該検出ヨーモーメント(実ヨーモーメント)とヨーモーメント指令値との差異をフィードバックして車線逸脱防止制御を行うことが考えられる。しかし、車線逸脱防止制御は、自車両が走行車線から逸脱する可能がある場合、即座にその防止を図る必要性から、車線逸脱防止を完了させるまでの制御継続時間が短く、そのようなフィードバックをしたとしてもそのフィードバック効果を充分に得ることは困難である。
本発明は、前述の問題に鑑みてなされたものであり、ブレーキ冷間時のブレーキ制動力低下の影響を抑制して、車線逸脱防止制御として所望のヨーモーメントを自車両に付与することができる車線逸脱防止装置の提供を目的とする。
請求項1記載の車線逸脱防止装置は、走行車線に対して自車両が逸脱傾向にあるとき、制動力発生手段により車輪に制動力を発生させて走行車線から自車両が逸脱するのを防止する車線逸脱防止制御を行う車線逸脱防止装置である。
この車線逸脱防止装置は、前記温度検出手段が検出した温度が低温の場合、前記車線逸脱防止制御の制御量を変更する制御量変更手段を備え、
前記温度検出手段は、前記制動力発生手段の温度を評価する温度評価値を有し、その温度評価値を、ブレーキ液圧値の履歴に応じて変化させていくとともに、前記温度評価値を、車両状態及び自車両の周囲環境の状態のうちの少なくとも自車両の周囲環境の状態に応じて補正することで、自車両の周囲環境の状態に応じた蓄熱エネルギーの大きさを示す値として求め、
前記制御量変更手段は、前記温度評価値に基づいて、前記車線逸脱防止制御の制御量を変更する。
前記車線逸脱防止制御は、前記制動力発生手段により左右輪に制動力差を発生させて自車両にヨーモーメントを付与して走行車線から自車両が逸脱するのを防止するものであり、前記制御量変更手段は、前記車線逸脱防止制御の制御量を変更することとして、前記左右輪の制動力差を大きくする。
請求項1記載の車線逸脱防止装置によれば、前記制動力発生手段の温度が当該制動力発生手段が正常動作できる温度よりも低い場合、車線逸脱防止制御の制御量を変更することで、制動力発生手段の温度依存を補償して、所望の車線逸脱防止制御を実現できる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
実施形態は、本発明に係る車線逸脱防止装置を搭載した後輪駆動車両である。この後輪駆動車両は、自動変速機とコンベンショナルディファレンシャルギヤとを搭載し、前後輪とも左右輪の制動力を独立制御可能な制動装置を搭載している。
図1は、第1の実施形態を示す概略構成図である。
図中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧を各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給する。また、マスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御部7が介装されており、この制動流体圧制御部7によって、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
制動流体圧制御部7は、例えばアンチスキッド制御やトラクション制御に用いられる制動流体圧制御部を利用したものである。制動流体圧制御部7は、単独で各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御することも可能であるが、後述する制駆動力コントロールユニット8から制動流体圧指令値が入力されたときには、その制動流体圧指令値に応じて制動流体圧を制御するようにもなっている。
例えば、制動流体圧制御部7は、液圧供給系にアクチュエータを含んで構成されている。アクチュエータとしては、各ホイールシリンダ液圧を任意の制動液圧に制御可能な比例ソレノイド弁が挙げられる。
また、この車両には、駆動トルクコントロールユニット12が設けられている。駆動トルクコントロールユニット12は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比及びスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪5RL,5RRへの駆動トルクを制御する。駆動トルクコントロールユニット12は、燃料噴射量や点火時期を制御したり、同時にスロットル開度を制御したりすることで、エンジン9の運転状態を制御する。この駆動トルクコントロールユニット12は、制御に使用した駆動トルクTwの値を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
なお、この駆動トルクコントロールユニット12は、単独で後輪5RL,5RRの駆動トルクを制御することも可能であるが、制駆動力コントロールユニット8から駆動トルク指令値が入力されたときには、その駆動トルク指令値に応じて駆動輪トルクを制御するようにもなっている。
また、この車両には、画像処理機能付きの撮像部13が設けられている。撮像部13は、自車両の車線逸脱傾向検出用として、走行車線内の自車両の位置を検出するために備えられている。例えば、撮像部13は、CCD(Charge Coupled Device)カメラからなる単眼カメラで撮像するように構成されている。この撮像部13は車両前部に設置されている。
撮像部13は、自車両前方の撮像画像から例えば白線等のレーンマーカを検出し、その検出したレーンマーカに基づいて走行車線を検出している。さらに、撮像部13は、その検出した走行車線に基づいて、自車両の走行車線と自車両の前後方向軸とのなす角(ヨー角)φ、走行車線中央からの横変位X及び走行車線曲率β等を算出する。この撮像部13は、算出したこれらヨー角φ、横変位X及び走行車線曲率β等を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
なお、本発明においては画像処理以外の検出手段でレーンマーカを検出するものであっても良い。例えば、車両前方に取り付けられた複数の赤外線センサによりレーンマーカを検出し、その検出結果に基づいて走行車線を検出しても良い。
また、本発明は走行車線を白線に基づいて決定する構成に限定されるものではない。すなわち、走行車線を認識させるための白線(レーンマーカ)が走路上にない場合、画像処理や各種センサによって得られる道路形状や周囲環境等の情報から、自車両が走行に適した走路範囲や、運転者が自車両を走行させるべき走路範囲を推測し、走行車線として決定しても良い。例えば、走路上に白線がなく、道路の両側ががけになっている場合には、走路のアスファルト部分を走行車線として決定する。また、ガードレールや縁石等がある場合は、その情報を考慮して走行車線を決定すれば良い。
また、走行車線曲率βを後述のステアリングホイール21の操舵角δに基づいて算出しても良い。
また、この車両には、ナビゲーション装置14が設けられている。ナビゲーション装置14は、自車両に発生する前後加速度Yg或いは横加速度Xg、又は自車両に発生するヨーレイトφ´を検出する。このナビゲーション装置14は、検出した前後加速度Yg、横加速度Xg及びヨーレイトφ´を、道路情報とともに、制駆動力コントロールユニット8に出力する。ここで、道路情報としては、車線数や一般道路か高速道路かを示す道路種別情報がある。
なお、専用のセンサにより各値を検出するようにしても良い。すなわち、加速度センサにより前後加速度Yg及び横加速度Xgを検出し、ヨーレイトセンサによりヨーレイトφ´を検出するようにしても良い。
また、この車両には、先行車両を追従対象車両と認識して、当該追従対象車両に追従するように自車両を車速制御するACC(adaptive cruise control)が搭載されている。車両には、このACC用として、レーザ光を前方に掃射して先行障害物からの反射光を受光することで、自車両と前方障害物との間の距離等を計測するためのレーダ16が設けられている。
さらに、車線逸脱防止制御の開始位置を運転者が好みで変更できるように図示しなしスイッチが設けられている。例えば、スイッチにより、逸脱判定用しきい値を変更可能とすることで、車線逸脱防止制御の開始位置を運転者が好みで変更できるようにしている。そして、スイッチの切換え信号は、制駆動力コントロールユニット8に出力される。
また、この車両には、マスタシリンダ3の出力圧、すなわちマスタシリンダ液圧Pmf,Pmrを検出するマスタシリンダ圧センサ17、アクセルペダルの踏込み量、すなわちアクセル開度θtを検出するアクセル開度センサ18、ステアリングホイール21の操舵角(ステアリング舵角)δを検出する操舵角センサ19、方向指示器による方向指示操作を検出する方向指示スイッチ20、及び各車輪5FL〜5RRの回転速度、所謂車輪速度Vwi(i=fl,fr,rl,rr)を検出する車輪速度センサ22FL〜22RRが設けられている。そして、これらセンサ等が検出した検出信号は制駆動力コントロールユニット8に出力される。
なお、検出された車両の走行状態データに左右の方向性がある場合には、いずれも右方向を正方向とする。すなわち、ヨーレイトφ´、横加速度Xg及びヨー角φは、右旋回時に正値となり、横変位Xは、走行車線中央から右方にずれているときに正値となる。また、前後加速度Ygは、加速時に正値となり、減速時に負値となる。
次に、制駆動力コントロールユニット8で行う演算処理手順について、図2を用いて説明する。この演算処理は、例えば10msec.毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、この図2に示す処理内には通信処理を設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読出される。
先ずステップS1において、前記各センサやコントローラ、コントロールユニットから各種データを読み込む。具体的には、ナビゲーション装置14が得た前後加速度Yg、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び道路情報、各センサが検出した、各車輪速度Vwi、操舵角δ、アクセル開度θt、マスタシリンダ液圧Pm及び方向スイッチ信号、並びに駆動トルクコントロールユニット12からの駆動トルクTw、撮像部13からヨー角φ、横変位X及び走行車線曲率βを読み込む。
続いてステップS2において、車速Vを算出する。具体的には、前記ステップS1で読み込んだ車輪速度Vwiに基づいて、下記(1)式により車速Vを算出する。
前輪駆動の場合
V=(Vwrl+Vwrr)/2
後輪駆動の場合
V=(Vwfl+Vwfr)/2
・・・(1)
ここで、Vwfl,Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度であり、Vwrl,Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。すなわち、この(1)式では、従動輪の車輪速の平均値として車速Vを算出している。なお、本実施形態では、後輪駆動の車両であるので、後者の式、すなわち前輪の車輪速度により車速Vを算出する。
また、このように算出した車速Vは好ましくは通常走行時に用いる。例えば、ABS(Anti-lock Brake System)制御等が作動している場合には、そのABS制御内で推定している推定車体速度を前記車速Vとして用いるようにする。また、ナビゲーション装置14でナビゲーション情報に利用している値を前記車速Vとして用いても良い。
続いてステップS3において、逸脱推定値として将来の推定横変位(逸脱推定値)Xsを算出する。図3に、その算出に用いる値の定義を図示する。
具体的には、前記ステップS1で得たヨー角φ、走行車線曲率β及び現在の車両の横変位X0、及び前記ステップS2で得た車速Vを用いて、下記(2)式により推定横変位Xsを算出する。
Xs=Tt・V・(φ+Tt・V・β)+X0 ・・・(2)
ここで、Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、この車頭時間Ttに自車速Vを乗じると前方注視点距離になる。すなわち、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位Xsとなる。
後述するように、この推定横変位Xsが所定のしいき値(逸脱傾向判定用しきい値)以上になるときに、自車両は走行車線を逸脱する可能性にある、又は自車両は走行車線を逸脱すると判定する。
続いてステップS4において、自車両の旋回状態を判定する。具体的には、前記ステップS1で読み込んだ横加速度Xgの絶対値が旋回判断用しきい値(正値)Xg0以上か否かを判定する。ここで、横加速度Xgの絶対値が旋回判断用しきい値(正値)Xg0以上の場合(|Xg|≧Xg0)、自車両が急旋回状態にあるとして、車両安定判断フラグFcsをセットして(Fcs=ON)、横加速度Xgの絶対値が旋回判断用しきい値(正値)Xg0未満の場合(|Xg|<Xg0)、自車両が急旋回状態にないとして、車両安定判断フラグFcsをリセットする(Fcs=OFF)。
なお、自車両の旋回状態は、前述したように横加速度Xgに基づいて判定することに限定されるものではない。例えば、自車両のヨーレイトφ´に基づいて判定しても良い。この場合、前記ステップS1で読み込んだヨーレイトφ´と現在の自車両状態から推定される目標ヨーレイトとを比較することにより行う。ここで、図4に示すように、目標ヨーレイトφ´を自車速V及び操舵角δに基づいて得る。この図4では、操舵角δが大きくなるほど、又は自車速Vが大きくなるほど、目標ヨーレイトφ´が大きくなる。
そして、そのように求まる目標ヨーレイトとヨーレイトφ´とを比較して、自車両のステア状態、いわゆるオーバステアかアンダステアかの判定を行い、それらの判定結果に基づいて車両安定判断フラグFcsを設定する。例えば、オーバステアやアンダステアである場合には、車両安定判断フラグFcsをセットする(Fcs=ON)。
また、このようなヨーレイトφ´による判定結果に基づいて単独で車両安定判断フラグFcsの設定をしても良く、また、前述したような横加速度Xgによる判定結果をも総合的に評価して、最終的に車両安定判断フラグFcsを設定しても良い。
続いてステップS5において、運転者の車線変更の意思を判定する。具体的には、前記ステップS3で得た推定横変位Xsの符号(右方向を正、左方向を負)と方向スイッチ信号及び操舵角δに基づいて、次のように運転者の車線変更の意思を判定する。
方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と前記推定横変位Xsが示す方向(符号)とが同じである場合、運転者に車線変更の意思があるとして、車線変更意思判断フラグFLCをセットし(FLC=ON)、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と前記推定横変位Xsが示す方向(符号)とが異なる場合、運転者に車線変更の意思がないとして、車線変更意思判断フラグFLCをリセットする(FLC=OFF)。
また、方向指示スイッチ20が操作されていない場合には、操舵角δに基づいて運転者の車線変更の意思を判定する。例えば、操舵角δによる自車両の旋回方向と前記推定横変位Xsが示す方向(符号)とが同じである場合、また、操舵角δとその操舵角の変化量(単位時間当たりの変化量)Δδとの両方が設定値以上の場合、運転者に車線変更する意思があるとして、車線変更意思判断フラグFLCをセットする(FLC=ON)。
続いてステップS6において、自車両が走行車線に対して逸脱傾向にあることを警報するか否かを判定する。具体的には、前記ステップS3で算出した推定横変位Xsの絶対値|Xs|と所定の逸脱傾向判定用しきい値Xとを比較して、その判定を行う。
ここで、逸脱傾向判定用しきい値Xは、一般的に車両が車線逸脱傾向にあると把握できる値であり、実験等で得る。例えば、前記図3に示すように、逸脱傾向判定用しきい値Xは、走行路の境界線の位置を示す値であり、例えば下記(3)式により算出する。
=(L−H)/2 ・・・(3)
ここで、Lは車線幅であり、Hは車両の幅である。車線幅Lについては、撮像部13が撮像画像を処理することで得ている。
また、ナビゲーション装置14から自車両の位置を得たり、ナビゲーション装置14の地図データから車線幅Lを得たりしても良い。また、逸脱傾向判定用しきい値Xは、固定値でも良く、例えば0.8mである。
このステップS6では、推定横変位Xsの絶対値|Xs|が逸脱傾向判定用しきい値X以上の場合(|Xs|≧X)、警報出力し、推定横変位Xsの絶対値|Xs|が逸脱傾向判定用しきい値X未満の場合(|Xs|L<X)、警報出力しない。
続いてステップS7において、運転者のブレーキ操作状態を判定する。
ここでは、先ず、前記ステップS1で読み込んだマスタシリンダ液圧Pmに基づいて、当該マスタシリンダ液圧Pmの上昇率ΔPmを下記(4)式により算出する。
ΔPm=(Pm−PmZ−1)/Ct ・・・(4)
ここで、Pmは、現在のマスタシリンダ圧であり、PmZ−1は、前回の制御サイクル時のマスタシリンダ液圧である。また、Ctは、制御(処理)サイクル時間であり、例えば10msec.である。
続いて、前記(4)式により算出したマスタシリンダ圧の上昇率ΔPmがブレーキ操作判断しきい値ΔPmth以上か否加を判定する。ここで、マスタシリンダ圧の上昇率ΔPmがブレーキ操作判断しきい値ΔPmth以上の場合(ΔPm≧ΔPmth)、運転者のブレーキ操作が緊急性があるものとして、緊急ブレーキ判断フラグFcmをセットし(Fcm=ON)、マスタシリンダ圧の上昇率ΔPmがブレーキ操作判断しきい値ΔPmth未満の場合(ΔPm<ΔPmth)、運転者のブレーキ操作に緊急性がないとして、緊急ブレーキ判断フラグFemをリセットする(Fem=OFF)。また、運転者のブレーキ操作に緊急性がないとした場合(Fem=OFF)、単なる運転者による介入操作があったとして、当該図2に示す車線逸脱防止制御のための処理を終了する。
続いてステップS8において、自車両が走行車線に対して逸脱傾向にあるか否かを判定する。具体的には、前記ステップS6の処理と同様に、前記ステップS3で算出した推定横変位Xsの絶対値|Xs|と所定の逸脱傾向判定用しきい値Xとを比較して、その判定を行う。ここで、推定横変位Xsの絶対値|Xs|が逸脱傾向判定用しきい値X以上の場合(|Xs|≧X)、自車両が走行車線に対して逸脱傾向にあるとして、逸脱判断フラグFoutをセットし(Fout=ON)、推定横変位Xsの絶対値|Xs|が逸脱傾向判定用しきい値X未満の場合(|Xs|<X)、自車両が走行車線に対して逸脱傾向にないとして、逸脱判断フラグFoutをリセットする(Fout=OFF)。
また、前記ステップS4において車両安定判断フラグFcsをセットしている場合(Fcs=ON)、又は前記ステップS5において車線変更意思判断フラグFLCをセットしている場合(FLC=ON)、車線逸脱防止制御を行わないとして、推定横変位Xsの絶対値|Xs|が逸脱傾向判定用しきい値X以上の場合でも、逸脱判断フラグFoutをリセットする(Fout=OFF)。
続いてステップS9において、車線逸脱防止制御として自車両を減速させる減速制御(以下、車線逸脱防止用減速制御という。)を行う否かを判定する。具体的には、前記ステップS3で算出した推定横変位Xsから逸脱傾向判定用しきい値Xを減じて得た減算値(|Xs|−X)が減速制御判定用しきい値Xβ以上か否かを判定する。
ここで、減速制御判定用しきい値Xβは、前記ステップS1で読み込んだ走行車線曲率βに応じて設定される値であり、その関係は、例えば図5に示すようになる。この図5に示すように、走行車線曲率βが小さいときには、減速制御判定用しきい値Xβはある一定の大きい値となり、走行車線曲率βがある値より大きくなると、走行車線曲率βが増加するのに対して減速制御判定用しきい値Xβは減少し、走行車線曲率βがさらに大きくなると、減速制御判定用しきい値Xβはある一定の小さい値となる。さらに、減速制御判定用しきい値Xβは、車速Vが大きくなるほど、小さい値になるようにしても良い。
このステップS9では、前記減算値(|Xs|−X)がこの減速制御判定用しきい値Xβ以上の場合(|Xs|−X≧Xβ)、減速制御を行うと決定するとともに、減速制御作動判断フラグFgsをセットして(Fgs=ON)、前記減算値(|Xs|−X)が減速制御判定用しきい値Xβ未満の場合(|Xs|−X<Xβ)、減速制御を行わない決定をするとともに、減速制御作動判断フラグFgsをリセットする(Fgs=OFF)。
また、図5によれば、自車両前方に急なカーブが現れるように走行シーンでは、走行車線曲率βが大きくなることで減速制御判定用しきい値Xβが小さくなるので、前記減算値(|Xs|−X)が減速制御判定用しきい値Xβ以上になり易くなる、すなわち減速制御作動判断フラグFgsがセットされ易くなる。
続いてステップS10において、車線逸脱防止制御の演算に用いる各種ゲインを設定する。具体的には、車両諸元により決まるゲインK1と、自車速Vにより決まるゲインK2,Kvとを設定する。
図6はゲインK2の例を示し、図7はゲインKvの例を示す。図6に示すように、自車速Vが小さいときには、ゲインK2はある一定の大きい値となり、自車速Vがある値より大きくなると、自車速Vが増加するのに対してゲインK2は減少し、自車速Vがさらに大きくなると、ゲインK2はある一定の小さい値となる。また、図7に示すように、自車速Vが小さいときには、ゲインKvはある一定の小さい値となり、自車速Vがある値より大きくなると、自車速Vが増加するとゲインKvも増加し、自車速Vがさらに大きくなると、ゲインKvはある一定の大きい値となる。
続いてステップS11において、車線逸脱防止制御として自車両にヨーモーメントを付与する制御(以下、車線逸脱防止用ヨー制御という。)に用いる目標ヨーモーメントMsを算出する。
具体的には、前記ステップS3で得た推定横変位Xs、前記ステップS6やステップS8で処理に用いた横変位限界距離X、前記ステップS9で得たゲインK1,K2に基づいて下記(5)式により目標ヨーモーメントMsを算出する。
Ms=−K1・K2・(Xs−X) ・・・(5)
なお、前記(5)式による目標ヨーモーメントMsの算出は、逸脱判断フラグFoutがONの場合に行い、逸脱判断フラグFoutがOFFの場合、目標ヨーモーメントMsを0に設定する。
続いてステップS12において、ブレーキ冷間時補正処理を行う。図8はその処理手順の一例を示す。
先ずステップS31において、エンジン水温を読み込む。続いてステップS32において、エンジン水温の判定を行う。ここで、エンジン水温Tewと所定のしきい値(実験値、経験値等)Tewthとを比較し、エンジン水温Tewが所定のしきい値Tewth未満の場合(Tew<Tewth)、ステップS33に進み、エンジン水温Tewが所定のしきい値Tewth以上の場合(Tew≧Tewth)、ステップS34に進む。
ステップS33では、エンジン始動直後を示すエンジン始動直後フラグFengstをセットする(Fengst=ON)。そして、ステップS34に進む。なお、エンジン始動直後以外の場合、ステップS33を経ないので、エンジン始動直後フラグFengstはリセットされたままである(Fengst=OFF)。
ステップS34では、ブレーキ作動状態か、非作動状態かを判定する。ここで、ブレーキ液圧が所定値以上の場合、ブレーキが作動状態にあると判定する。なお、ブレーキストロークセンサやブレーキペダルスイッチ等を用いてブレーキ作動状態を判定しても良い。
このステップS34で、ブレーキ作動状態と判定した場合、ステップS35に進み、ブレーキ非作動状態と判定した場合、ステップS37に進む。
ステップS35では、ブレーキ圧検出値(ブレーキ液圧値)を読み込む。続いてステップS36において、前記ステップS35で読み込んだブレーキ圧検出値(実測値)を用いて、後述のステップS41におけるブレーキエネルギ評価指標値Ecbrの算出に用いるブレーキ圧力値(ブレーキ評価値)Pcmcを算出する。
具体的には、その算出を前記ステップS33で設定したエンジン始動直後フラグFengstのセット状態に基づいて行っており、すなわち、エンジン始動直後フラグFengstがセットされている場合(Fengst=ON)、ブレーキ圧力値Pcmcを下記(6)式により設定し、エンジン始動直後フラグFengstがリセット状態の場合(Fengst=OFF)、ブレーキ圧力値Pcmcを下記(7)式により設定する。
Pcmc=Psmc×Kengst (Fengst=ON) ・・・(6)
Pcmc=Psmc (Fengst=OFF) ・・・(7)
ここで、Psmcはブレーキ圧力検出値(ブレーキ液圧値)であり、Kengstはゲインであり、0から1の間の値をとる(0<Kengst<1)。図9は、ブレーキ圧力検出値Psmcとブレーキ圧力値Pcmcとの関係を示す。この図9に示すように、ブレーキ圧力値Pcmcは、ブレーキ圧力検出値Psmcと比例関係にある。また、エンジン始動直後(Fengst=ON)とエンジン始動直後以外(Fengst=OFF)との比較では、エンジン始動直後の方が、ブレーキ圧力値Pcmcは小さい値になる。
このようにステップS36でブレーキ圧力値Pcmcを算出した後、算出したブレーキ圧力値Pcmcを記憶して、ステップS41に進む。
一方、前記ステップS34でブレーキ非作動状態と判定した場合に進むステップS37では、ワイパーが作動中か否かを判定する。ここで、ワイパーが作動中の場合、ステップS38に進み、ワイパーが非作動中の場合、ステップS39に進む。
ステップS38では、ワイパー作動フラグFwpをセットする(Fwp=ON)。そして、ステップS39に進む。なお、ワイパーが非作動中の場合、ステップS38を経ないので、ワイパー作動フラグFwpはリセットされたままである(Fwp=OFF)。
ステップS39では、自車速を読み込む。続いてステップS40において、後述のステップS41におけるブレーキエネルギ評価指標値Ecbrの算出に用いる減算量PGcmcを算出する。
その算出を前記ステップS37で設定したワイパー作動フラグFwpのセット状態に基づいて行っており、すなわち、ワイパー作動フラグFwpがセットされている場合(Fwp=ON)、減算量PGcmcを下記(8)式により設定し、ワイパー作動フラグFwpがリセット状態の場合(Fwp=OFF)、減算量PGcmcを下記(9)式により設定する。
PGcmc=PGsmc×Kwp (Fwp=ON) ・・・(8)
PGcmc=PGsmc (Fwp=OFF) ・・・(9)
ここで、PGsmcは、前記ステップS39で読み込んだ自車速に応じて決まる減算値(減算値の初期値)である。また、Kwpはゲインであって、1よりも大きい値である(Kwp>1)。例えば、減算値PGsmcは、図10に示すように、自車速Vと比例関係になっており、極低速域及び高速域で、それぞれ限界値(一定値)になる。また、ワイパー作動状態(Fwp=ON)とワイパー非作動状態(Fwp=OFF)との比較では、ゲインKwpが1よりも大きいので、ワイパー作動状態の方が、減算量PGsmcは大きい値になる。
そして、このステップS40では、算出した減算量PGcmcを記憶する。
なお、このステップS40で設定する減算量PGcmcを外気温を考慮して設定しても良い。この場合、図示しない温度センサ等、図示しない外気温検出手段を備えて、このステップS37で、その外気温検出手段が検出した外気温が低いほど、減算量PGcmcを大きい値に設定する。
ステップS41では、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrを算出する。すなわち、ブレーキ作動状態であれば、前記ステップS36で算出したブレーキ圧力値Pcmcを用いて、下記(10)式によりブレーキエネルギ評価指標値Ecbrを算出し、ブレーキ非作動状態であれば、前記ステップS39で算出した減算量PGcmcを用いて、下記(11)式によりブレーキエネルギ評価指標値Ecbrを算出する。
Ecbr=Ecbr+Pcmc ・・・(10)
Ecbr=Ecbr−PGcmc ・・・(11)
これにより、ブレーキ作動状態であれば、前記(10)式により、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrは、ブレーキ圧力値Pcmcだけ大きくなる。また、前記ステップS36で説明したように、ブレーキ圧力値Pcmcは、エンジン始動直後以外であれば大きい値になり、ブレーキ圧力検出値Psmcが大きくなるほど大きい値になることから、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrも、エンジン始動直後以外であれば大きくなり、ブレーキ圧力検出値Psmcが大きくなるほど大きくなる。一方、ブレーキ圧力値Pcmcは、エンジン始動直後であればエンジン始動直後以外のものよりも小さくなるから、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrは、エンジン始動直後では、その増加割合の程度が小さくなる。
また、ブレーキ非作動状態であれば、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrは、前記(11)式により、減算量PGcmcだけ小さくなる。また、前記ステップS40で説明したように、減算量PGcmcは、ワイパー作動状態であれば大きい値になり、自車速Vが大きくなるほど大きい値になるから、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrは、ワイパー作動状態であれば小さくなり、自車速Vが大きくなるほど小さくなる。
また、当該図2に示す処理は、所定サンプリング時間で実施されることから、ブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrは、ブレーキ作動状態の期間中、エンジン始動直後か否か、又はブレーキ圧力検出値Psmcに応じて、時間経過とともに増加していき、一方、ブレーキ非作動状態の期間中、ワイパー作動状態、又は自車速に応じて、ブレーキ作動状態のときとは反対方向に変化する、すなわち時間経過とともに減少していく。
このようなことから、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrは、ブレーキによる蓄熱エネルギの大きさを示すものであり、この値が大きければ、その時点で蓄熱エネルギが大きい、すなわち、ブレーキが温たまった状態にあり、この値が小さければ、その時点で蓄熱エネルギが小さい、すなわち、ブレーキが冷たい状態にあることを示す。
なお、この処理は、温度評価値であるブレーキエネルギ評価指標値Ecbrをブレーキ液圧値(ブレーキ圧力検出値Psmc)の履歴に応じて変化させていくとともに、そのように変化するブレーキエネルギ評価指標値Ecbrを車両状態や自車両の周囲環境の状態に応じて補正していくことと等価である。
また、前述したように、減算量PGcmcの決定のために、すなわちブレーキエネルギ評価指標値Ecbrの決定のために、ワイパー作動状態を見ているのは、天候状態を予測するためである。すなわち、ワイパーが作動していれば、雨、雪等が降っている場合であり、この場合には、ブレーキが冷やされることから、ワイパー作動フラグFwpがセットされている場合(Fwp=ON)、減算量PGsmcを大きい値に設定している(前記(8)式参照)。
続いてステップS42において、前記ステップS41で算出したブレーキエネルギ評価指標値Ecbrに基づいてブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrを算出する。図11は、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrとブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrとの関係を示す。この図11に示すように、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrが小さい領域では、ある一定の値をとり、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrがある値になると、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrが増加するのに対してブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrが減少し、そして、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrがある値より大きい領域では、ブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrは1の一定値になる。
すなわち、蓄熱エネルギが大きく、ブレーキが温たまった状態にあれば、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrが小さい値になることから、ブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrは小さい値になり、蓄熱エネルギが小さく、ブレーキが冷たい状態にあれば、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrが大きい値になることから、ブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrは大きい値になる。
続いてステップS43において、前記ステップS42で算出したブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrを前記ステップS11で算出した目標ヨーモーメントMsに乗算して、新たな目標ヨーモーメントMsを算出する(Ms=Ms×Kcbr)。すなわち、ブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrに基づいて目標ヨーモーメントMsを補正する。これにより、蓄熱エネルギが大きく、ブレーキが温たまった状態にある場合、ブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrは、1又はそれに近い値に設定されているから、目標ヨーモーメントMsは、補正されることなく、又は補正されても小さい補正量で補正され、蓄熱エネルギが小さく、ブレーキが冷たい状態にある場合、ブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrは、大きい値に設定されているから、目標ヨーモーメントMsは、大きい値になるように補正される。
以上のようにステップS12においてブレーキ冷間時補正処理を行う。
続いてステップS13において、目標ヨーモーメントの上限値Ms2を設定する。具体的には、通常ブレーキ時に対して緊急ブレーキ時の方が大きい上限値Ms2に設定される。図12は上限値Ms2の特性の一例を示す。この図12に示すように、上限値Ms2は、通常ブレーキ時と緊急ブレーキ時とで異なっており、前記ステップS7で設定したブレーキ判断フラグFemに基づいて設定される。すなわち、ブレーキ判断フラグFemをセットした場合(Fem=1(Fem=ON))、緊急ブレーキ値の値として、上限値Ms2に大きい値を設定し、ブレーキ判断フラグFemをリセットした場合(Fem=0(Fem=OFF))、上限値Ms2に通常ブレーキ値として、小さい値を設定する。
続いてステップS14において、前後輪について左右輪の目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを算出する。
(1)具体的には、逸脱判断フラグFoutがリセットされている場合(Fout=OFF)、前後輪について左右輪の目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを0にする。
(2)一方、逸脱判断フラグFoutがセットされている場合(Fout=ON)、目標ヨーモーメントMsに基づいて、目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを算出する。具体的には、下記(12)式〜(15)式により目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを算出する。
|Ms|<Ms1の場合
ΔPsf=0 ・・・(12)
ΔPsr=2・Kbr・Ms/T ・・・(13)
|Ms|≧Ms1の場合
ΔPsf=2・Kbf・(|Ms|−Ms1)/T ・・・(14)
ΔPsr=2・Kbr・|Ms1|/T ・・・(15)
ここで、Ms1は設定用しきい値を示す。また、Tはトレッドを示す。なお、このトレッドTは、説明を簡単にするため前後で同じ値にする。また、Kbf,Kbrは、制動力を制動液圧に換算する場合の前輪及び後輪についての換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。
このように、目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて車輪に発生させる制動力を配分している。すなわち、目標ヨーモーメントMsが設定用しきい値Ms1未満のときには、前輪目標制動液圧差ΔPsfを0として、後輪目標制動液圧差ΔPsrに所定値を与えて、左右後輪で制動力差を発生させ、また、目標ヨーモーメントMsが設定用しきい値Ms1以上のときには、各目標制動液圧差ΔPsr,ΔPsrに所定値を与え、前後左右輪で制動力差を発生させる。
(3)また、目標ヨーモーメントMsの絶対値|Ms|が前記ステップS13で設定した上限値Ms2(>Ms1)以上の場合(|Ms|≧Ms2)、下記(16)式及び(17)式により目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを算出する。
ΔPsf=2・Kbf・(Ms2−Ms1)/T ・・・(16)
ΔPsr=2・Kbr・Ms1/T ・・・(17)
これにより、目標ヨーモーメントMsが上限値Ms2以上にならないように制限している。これにより、目標ヨーモーメントMsが大きくなりすぎて、車線逸脱防止制御として、このような目標ヨーモーメントを車両に付与してしまい、運転者に違和感を与えてしまうのを防止している。
また、このように上限値Ms2により目標ヨーモーメントMsを制限することで、運転者に違和感を与えてしまうの防止しつつも、緊急ブレーキ時にはこの上限値Ms2を大きくすることで(前記ステップS13参照)、通常時よりも大きい目標ヨーモーメントMsにして、緊急時でも確実に車線逸脱を防止できるようにしている。
続いてステップS15において、車線逸脱防止用減速制御の目標減速量を算出する。具体的には、前記ステップS7で緊急ブレーキ判断フラグFemがセットされた場合(Fbem=ON)、車線逸脱防止用減速制御を行わないとして、目標減速量としての目標制動液圧Pgを0に設定する。
また、逸脱判断フラグFoutがセットされている場合には(Fout=ON)、目標制動液圧Pgを設定し、この場合、前記ステップS3で算出した推定横変位Xs、前記ステップS9で用いた逸脱傾向判定用しきい値X及び減速制御判定用しきい値Xβ並びに前記ステップS10で設定したゲインKvを用いて、下記(18)式により目標制動液圧Pgを算出する。
Pg=−Kv・Kv3・(Xs−X−Xβ) ・・・(18)
ここで、Kv3は所定のゲインである。
一方、逸脱判断フラグFoutがリセットされている場合には(Fout=OFF)、車線逸脱防止用減速制御を行わないとして、目標制動液圧Pgを0に設定する。
続いてステップS16において、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
(1)具体的には、逸脱判断フラグFoutがリセットされている場合(Fout=OFF)、前記ステップS1で読み込んだマスタシリンダ液圧Pmに基づいて、下記(19)式及び(20)式に示すように、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を設定する。
Psfl=Psfr=Pmf ・・・(19)
Psrl=Psrr=Pmr ・・・(20)
ここで、Pmfは前輪用の制動液圧(Pm)である。また、Pmrは後輪用の制動液圧であり、マスタシリンダ液圧Pmに対して、前後配分を考慮して前輪用の制動液圧Pmfに基づいて算出した値になる。
この(19)式及び(20)式に示すように、逸脱判断フラグFoutがリセットされている場合(Fout=OFF)、前左右輪の目標制動液圧Psfl,Psfrは共にマスタシリンダ液圧Pm(Pmf)となり、後左右輪の目標制動液圧Psrl,Psrrは共に後輪用の制動液圧Pmrとなる。
(2)一方、逸脱判断フラグFoutがセットされているが(Fout=ON)、減速制御作動判断フラグFgsがリセットされており(Fgs=OFF)、かつ前記ステップS11(又はステップS12)で算出した目標ヨーモーメントMsが負値の場合(自車両が左方向に車線逸脱しそうな場合)、下記(21)式により各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
Psfl=Pm
Psfr=Pm+ΔPsf
Psrl=Pmr
Psrr=Pmr+ΔPsr
・・・(21)
(3)また、逸脱判断フラグFoutがセットされているが(Fout=ON)、減速制御作動判断フラグFgsがリセットされており(Fgs=OFF)、かつ前記ステップS11(又はステップS12)で算出した目標ヨーモーメントMsが正値の場合(自車両が右方向に車線逸脱しそうな場合)、下記(22)式により各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
Psfl=Pm+ΔPsf
Psfr=Pm
Psrl=Pmr+ΔPsr
Psrr=Pmr
・・・(22)
(4)また、逸脱判断フラグFout及び減速制御作動判断フラグFgsがセットされており(Fout=ONかつFgs=ON)、かつ前記ステップS11(又はステップS12)で算出した目標ヨーモーメントMsが負値の場合(自車両が左方向に車線逸脱しそうな場合)、前記ステップS15で算出した目標制動液圧Pgを用いて、下記(23)式により各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
Psfl=Pm+Kg・Pg
Psfr=Pm+Kg・Pg+ΔPsf
Psrl=Pmr+Kg・Pg
Psrr=Pmr+Kg・Pg+ΔPsr
・・・(23)
(5)また、逸脱判断フラグFout及び減速制御作動判断フラグFgsがセットされており(Fout=ONかつFgs=ON)、かつ前記ステップS11(又はステップS12)で算出した目標ヨーモーメントMsが正値の場合(自車両が右方向に車線逸脱しそうな場合)、前記ステップS15で算出した目標制動液圧Pgを用いて、下記(24)式により各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
Psfl=Pm+Kg・Pg+ΔPsf
Psfr=Pm+Kg・Pg
Psrl=Pmr+Kg・Pg+ΔPsr
Psrr=Pmr+Kg・Pg
・・・(24)
続いてステップS17において、駆動輪の目標駆動力を算出する。具体的には、前記ステップS8において逸脱判断フラグFoutがセットされている場合(Fout=ON)、すなわち車線逸脱防止制御を行う場合には、運転者によるアクセル操作がなされていても、エンジン出力を絞るような目標駆動力にする。例えば、逸脱判断フラグFoutがセットされている場合、前記ステップS1で読み込んだアクセル開度θtに応じた目標駆動力から前記前後輪の目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrと全車輪の目標減速量Pgとの和に応じた値を減算して、補正後の目標駆動力とする。
ここで、アクセル開度θtに応じた目標駆動力は、当該アクセル開度θtに応じて自車両が加速する駆動トルクであり、前後輪の目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrと全車輪の目標減速量Pgとの和に応じた値は、当該前後輪の目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrと全車輪の目標減速量Pgとの和によって生じる制動トルク相当の値である。これにより、逸脱判断フラグFoutがセットされている場合には、この制動トルク相当分だけ、エンジントルクが低減されることになる。
なお、逸脱判断フラグFoutがリセットされている場合(Fout=OFF)、目標駆動力は、アクセル開度θtに応じて自車両が加速する駆動トルク分になる。
続いてステップS18において、制駆力信号を出力する。具体的には、前記ステップS16で算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧制御部7に出力し、前記ステップS17で算出した目標駆動力を駆動トルクコントロールユニット12に出力する。
以上の一連の処理の概略は次のようになる。
先ず、各種データを読み込むとともに(前記ステップS1)、車速Vを算出する(前記ステップS2)。続いて、将来の推定横変位(逸脱推定値)Xsを算出し(前記ステップS3)、また、自車両の旋回状態から、車両安定判断フラグFcsを設定し(前記ステップS4)、さらに、車線変更意思判断フラグFLCを設定する(前記ステップS5)。そして、推定横変位(逸脱推定値)Xsと逸脱傾向判定用しきい値Xとの比較結果に基づいて、警報出力を行う(前記ステップS6)。
続いて、運転者のブレーキ操作状態に基づいて、緊急ブレーキ判断フラグFemを設定する(前記ステップS7)。
続いて、推定横変位(逸脱推定値)Xsと逸脱傾向判定用しきい値Xとの比較結果に基づいて、自車両が走行車線に対して逸脱傾向を判定し、その逸脱傾向の有無及び車線変更意思判断フラグFLCに応じて、逸脱判断フラグFoutを設定する(前記ステップS8)。このとき、車両安定判断フラグFcs及び車線変更意思判断フラグFLCを考慮して、逸脱判断フラグFoutを設定する。
続いて、推定横変位Xsから逸脱傾向判定用しきい値Xを減じて得た減算値(|Xs|−X)と減速制御判定用しきい値Xβとの比較結果に基づいて、減速制御作動判断フラグFgsを設定する(前記ステップS9)。
続いて、車線逸脱防止制御の演算に用いる各種ゲインを設定するとともに(前記ステップS10)、その設定したゲイン等を用いて、目標ヨーモーメントMsを算出する(前記ステップS11)。
続いて、ブレーキ冷間時補正処理として、ブレーキのいわゆる蓄熱エネルギを示すブレーキエネルギ評価指標値Ecbrを算出し、そのブレーキエネルギ評価指標値Ecbrに基づいてブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrを算出する。そして、そのブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrに基づいて、目標ヨーモーメントMsを補正する(前記ステップS12)。そして、緊急ブレーキ判断フラグFemに基づいて目標ヨーモーメントMsの上限値Ms2を設定する(前記ステップS13)。
続いて、逸脱判断フラグFoutの状態及び上限値Ms2に基づいて、前後左右輪の目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを算出するとともに(前記ステップS14)、緊急ブレーキ判断フラグFemの状態及び逸脱判断フラグFoutの状態に基づいて、車線逸脱防止用減速制御の目標制動液圧Pgを算出する(前記ステップS15)。そして、逸脱判断フラグFoutの状態及び減速制御作動判断フラグFgsの状態、並びに目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsr及び目標制動液圧Pgに基づいて、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する(前記ステップS16)。一方、逸脱判断フラグFoutの状態に基づいて、駆動輪の目標駆動力を算出する(前記ステップS17)。そして、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧制御部7に出力し、目標駆動力を駆動トルクコントロールユニット12に出力する(前記ステップS18)。
このような処理によれば、例えば、操舵入力が小さいときには、自車両にヨーモーメントが発生して、自車両の車線逸脱が防止されるとともに、そのときの制動力によって車両の走行速度が減速されるため、より安全に車線の逸脱を防止することができる。
また、車線逸脱防止制御が行われている間は、エンジンの出力トルクが低減されて自車両の走行速度が減速されるため、さらに安全に車線の逸脱を防止することができる。
また、逸脱判断フラグFoutがセットされると、逸脱推定値Xsから逸脱傾向判定用しきい値Xを減じて得た減算値(Xs−X)に基づいて、目標制動液圧Pgを算出するとともに(前記(18)式)、その減算値(|Xs|−X)が減速制御判定用しきい値Xβ以上になったときに、自車両の減速を行う必要があると判定されて減速制御作動判断フラグFgsがセットされて、車線逸脱防止用減速制御により目標制動液圧Pgが達成されるように全車輪の制動力が制御される。
これにより、図13(a)に示すように、自車両100の前方に急なカーブが現れて、逸脱推定値(将来の推定横変位)Xsが大きくなったときには、車線逸脱防止用減速制御により自車両100が減速され、この結果、逸脱推定値Xsが小さくなり、これにより、車線逸脱防止制御として自車両に付与されるヨーモーメントが小さくなるので、車線逸脱防止制御が乗員に違和感を与えないで済む。
なお、図13(b)に示すように、自車両の前方に急なカーブが現れて、逸脱推定値Xsが大きくなっているのにもかかわらず、自車両100が減速しない場合には、車線逸脱防止制御として自車両に付与されるヨーモーメントが大きくなるので、当該車線逸脱防止制御が乗員に違和感を与えてしまう。
また、ブレーキが冷たい状態にある場合、目標ヨーモーメントMsが大きくなるように補正して、車線逸脱防止制御として、大きいヨーモーメントを車両に付与している。これにより、ブレーキが冷たく、効きが悪い状態になっていても、すなわち、ブレーキが最適動作できる温度よりも低い温度になっていても、その影響を受けることがないので、自車両が車線逸脱してしまうのを確実に防止できる。
次に前記実施形態における効果を説明する。
前述したように、ブレーキが冷たい状態にある場合、目標ヨーモーメントMsが大きくなるように補正することで、ブレーキが冷たく、効きが悪い状態になっていても(効きが悪い状態になっていると予想される場合でも)、その影響を受けることなく、自車両が車線逸脱してしまうのを確実に防止できる。すなわち制動力発生手段の温度依存を補償して、自車両が車線逸脱してしまうのを確実に防止している。
また、前述したように、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrが小さくなるほど(レーキ冷間時間調整ゲインKcbrが大きくなるほど)、目標ヨーモーメントMsが大きくなる。これにより、予想されるブレーキの効きが悪くなっているほど目標ヨーモーメントMsが大きくなるので、自車両が車線逸脱してしまうのをより確実に防止できる。
また、ブレーキ圧力検出値に基づいてブレーキの温度を評価するエネルギ評価指標値Ecbrを得ており、ブレーキ圧力検出値は特別な構成により取得するものでもないから、安価な構成として、ブレーキの温度を評価することができる。
また、前述したように、エネルギ評価指標値Ecbrをエンジン始動状態や自車速といった車両状態、及び天候状態や自車両の外気温といった自車両の周囲環境の状態に基づいて得ていることから(補正していることから)、ブレーキの温度をより正確に評価することができる。
以上、本発明の実施形態を説明した。しかし、本発明は、前記実施形態として実現されることに限定されるものではない。
すなわち、前記実施形態では、前記ステップS12の処理として説明したように、ブレーキ冷間時間調整ゲインKcbr、すなわちブレーキエネルギ評価指標値Ecbrに基づいて、車線逸脱防止制御の制御量を変更することとして、目標ヨーモーメントMsを補正している。しかし、これに限定されるものではない。すなわち、車線逸脱防止制御の制御量を変更することとして、車線逸脱防止制御の開始タイミングを早くするようにしても良い。この場合、例えば、図14に示すように、前記(2)式で推定横変位Xsを算出するのに用いる前方注視距離算出用の車頭時間Ttを、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrが小さくなるほど、大きくする。これにより、車頭時間Ttが大きくなるほど、推定横変位Xsが大きくなるから、車線逸脱傾向ありと判定され易くなり、これにより、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrが小さくなるほど、車線逸脱傾向ありと判定され易くなる、すなわち、車線逸脱防止制御の開始タイミングが早くなる。また、図15に示すように、車線逸脱傾向の判定に用いる逸脱傾向判定用しきい値Xを、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrが小さくなるほど、小さくする。これにより、前記ステップS8の処理によれば、逸脱傾向判定用しきい値Xが小さくなるほど、車線逸脱傾向ありと判定され易くなるから、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrが小さくなるほど、車線逸脱傾向ありと判定され易くなる、すなわち、車線逸脱防止制御の開始タイミングが早くなる。
これにより、ブレーキが冷たい状態にある場合には、車線逸脱防止制御の開始タイミングが早くなるから、ブレーキが冷たく、効きが悪い状態になっていても、その影響を受けることなく、自車両が車線逸脱してしまうのを確実に防止できる。
また、温度検出手段により、ブレーキシューの温度を直接測定して、その測定値に基づいてブレーキエネルギ評価指標値Ecbr又はブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrを設定しても良い。これにより、より正確な温度評価に基づいて、目標ヨーモーメントMsや車線逸脱防止制御の開始タイミングを補正できるようになる。
また、前記実施形態では、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrを、ブレーキ圧力検出値Psmc(ブレーキ液圧値)の履歴、車両状態及び天候状態や自車両の周囲環境の状態に基づいて設定している。しかし、これに限定されるものではない。すなわち、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrは、少なくともブレーキ圧力検出値Psmc(ブレーキ液圧値)の履歴だけに基づいて設定されるようにしても良い。
また、前記実施形態では、ブレーキ構造がブレーキシューとホイールシリンダとを含むドラムブレーキ構造により構成されている場合を説明した。しかし、これに限定されるものではない。すなわち、ブレーキ構造は、ブレーキパッドとキャリパーとを含むディスクブレーキ構造により構成されていても良い。この場合、ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrは、例えばブレーキパッドの温度を評価するものになる。
なお、前記実施形態の説明において、制駆動力コントロールユニット8のステップS8の処理は、走行車線内に対する自車両の逸脱傾向を判定する車線逸脱傾向判定手段を実現しており、ホイールシリンダ6FL〜6RRやブレーキパッドを含むブレーキ構造は、前記車線逸脱傾向判定手段が車線逸脱傾向にあると判定した場合、車輪に制動力を発生させる制動力発生手段を実現しており、制駆動力コントロールユニット8のステップS12におけるブレーキエネルギ評価指標値Ecbrの算出過程は、前記制動力発生手段の温度を検出する温度検出手段を実現しており、制駆動力コントロールユニット8のステップS12におけるブレーキエネルギ評価指標値Ecbr(温度評価値)を用いた目標ヨーモーメントMsの補正過程(ステップS43)は、前記温度検出手段が検出した温度が低温の場合、前記車線逸脱防止制御の制御量を変更する制御量変更手段を実現している。
本発明の車線逸脱防止装置を搭載した車両の実施形態を示す概略構成図である。 前記車線逸脱防止装置を構成するコントロールユニットの処理内容を示すフローチャートである。 推定横変位Xsや逸脱判定用しきい値Xの説明に使用した図である。 操舵角δ及び自車速Vと目標ヨーレイトφ´との関係を示す特性図である。 走行車線曲率βと減速制御判定用しきい値Xβとの関係を示す特性図である。 自車速VとゲインK2との関係を示す特性図である。 自車速VとゲインKvとの関係を示す特性図である。 コントロールユニットによるブレーキ冷間時補正処理を示すフローチャートである。 ブレーキ圧力検出値Psmcとブレーキ圧力値Pcmcとの関係を示す特性図である。 自車速Vと減算値PGsmcとの関係を示す特性図である。 ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrとブレーキ冷間時間調整ゲインKcbrとの関係を示す特性図である。 ブレーキ判断フラグFemの状態と上限値Ms2との関係を示す特性図である。 車線逸脱防止制御時の車両動作の説明に使用した図である。 ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrと前方注視距離算出用の車頭時間Ttとの関係を示す特性図である。 ブレーキエネルギ評価指標値Ecbrと逸脱傾向判定用しきい値Xとの関係を示す特性図である。
符号の説明
6FL〜6RR ホイールシリンダ
7 制動流体圧制御部
8 制駆動力コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 撮像部
14 ナビゲーション装置
16 レーダ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
22FL〜22RR 車輪速度センサ

Claims (5)

  1. 走行車線に対して自車両が逸脱傾向にあるとき、制動力発生手段により車輪に制動力を発生させて走行車線から自車両が逸脱するのを防止する車線逸脱防止制御を行う車線逸脱防止装置において、
    前記制動力発生手段の温度を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段が検出した温度が低温の場合、前記車線逸脱防止制御の制御量を変更する制御量変更手段と、
    を備え
    前記温度検出手段は、前記制動力発生手段の温度を評価する温度評価値を有し、その温度評価値を、ブレーキ液圧値の履歴に応じて変化させていくとともに、前記温度評価値を、車両状態及び自車両の周囲環境の状態のうちの少なくとも自車両の周囲環境の状態に応じて補正することで、自車両の周囲環境の状態に応じた蓄熱エネルギーの大きさを示す値として求め、
    前記制御量変更手段は、前記温度評価値に基づいて、前記車線逸脱防止制御の制御量を変更し、
    前記車線逸脱防止制御は、前記制動力発生手段により左右輪に制動力差を発生させて自車両にヨーモーメントを付与して走行車線から自車両が逸脱するのを防止するものであり、前記制御量変更手段は、前記車線逸脱防止制御の制御量を変更することとして、前記左右輪の制動力差を大きくすることを特徴とする車線逸脱防止装置。
  2. 走行車線に対して自車両が逸脱傾向にあるとき、制動力発生手段により車輪に制動力を発生させて走行車線から自車両が逸脱するのを防止する車線逸脱防止制御を行う車線逸脱防止装置において、
    前記制動力発生手段の温度を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段が検出した温度が低温の場合、前記車線逸脱防止制御の制御量を変更する制御量変更手段と、
    を備え
    前記温度検出手段は、前記制動力発生手段の温度を評価する温度評価値を有し、その温度評価値を、ブレーキ液圧値の履歴に応じて変化させていくとともに、前記温度評価値を、車両状態及び自車両の周囲環境の状態のうちの少なくとも自車両の周囲環境の状態に応じて補正することで、自車両の周囲環境の状態に応じた蓄熱エネルギーの大きさを示す値として求め、
    前記制御量変更手段は、前記温度評価値に基づいて、前記車線逸脱防止制御の制御量を変更し、
    前記制御量変更手段は、前記車線逸脱防止制御の制御量を変更することとして、前記車線逸脱傾向判定手段の逸脱傾向の判定タイミングを早くすることを特徴とする車線逸脱防止装置。
  3. 前記制御量変更手段は、前記温度評価値が低いほど、前記制御量の変更量を大きくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の車線逸脱防止装置。
  4. 前記車両状態は、エンジンの水温の状態及び車速の状態のうちの少なくとも一方の状態であり、自車両の周囲環境の状態は、天候状態及び自車両の外気温の状態のうちの少なくとも一方の状態であることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  5. 前記温度検出手段は、前記制動力発生手段の温度として、ブレーキパッドの温度を検出することを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
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