JP5359516B2 - 車両運転支援装置及び車両運転支援方法 - Google Patents
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Description
また、車速が設定車速以下の場合には、制御に移行することはなく、かつ操舵の抑制制御が作動中には、その抑制制御を解除する。これによって、走行路がカーブ路と推定する場合には、操舵の抑制を防止して、車両が走行路から逸脱等するのを回避する。
本発明は、前記のような点に着目してなされたもので、車線区分線の認識度が低くても、運転者の運転を支援する支援制御を適切に行うことが可能な車両運転支援を提供することを課題とする。
次に、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、後輪駆動車両に対し、側方障害物支援制御装置を搭載する場合で例示する。対象とする車両は、前輪駆動であっても四輪駆動であっても良い。
図1は、本実施形態に係る装置の概要構成図である。
この車両は、自動変速機とディファレンシャルギヤとを搭載する。そして、前後輪ともに、左右輪の制動力を独立制御可能な制動装置を搭載している。
ブレーキペダル1は、ブースタ2を介してマスタシリンダ3に連結する。なお、符号4はリザーバを示す。マスタシリンダ3は、流体圧回路30を介して各輪の各ホイールシリンダ6FL〜6RRに連結する。これによって、制動制御が作動しない状態では、運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で制動流体圧を昇圧する。その昇圧した制動流体圧を、流体圧回路30を通じて、各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給する。
ここで、制動流体圧制御部7及び流体圧回路30は、例えばアンチスキッド制御(ABS)、トラクション制御(TCS)又はビークルダイナミクスコントロール装置(VDC)で使用する制動流体圧制御部を利用すれば良い。制動流体圧制御部7は、単独で各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御する構成とすることも可能である。そして、後述する制駆動力コントロールユニット8から制動流体圧指令値を入力した場合には、その制動流体圧指令値に応じて各制動流体圧を制御する。
駆動トルクコントロールユニット12は、駆動輪である後輪5RL、5RRへの駆動トルクを制御する。この制御は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比及びスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することで実現する。すなわち、駆動トルクコントロールユニット12は、燃料噴射量や点火時期を制御する。また同時に、スロットル開度を制御する。これによって、エンジン9の運転状態を制御する。
なお、この駆動トルクコントロールユニット12は、単独で後輪5RL、5RRの駆動トルクを制御することも可能である。ただし、制駆動力コントロールユニット8から駆動トルク指令値を入力したときには、その駆動トルク指令値に応じて駆動輪トルクを制御する。
そして、撮像部13は、自車両前方を撮像する。そして、撮像部13は、撮像した自車両前方の撮像画像について画像処理を行い、白線(レーンマーカ)等の車線区分線を検出し、その検出した車線区分線に基づいて、走行車線を検出する。
このとき、撮像部13は、車線区分線を検出出来なかった場合には、検出出来なかった旨の信号を制駆動力コントロールユニット8に出力する。また、撮像した画像の精度に応じ、検出の認識度の情報についても制駆動力コントロールユニット8に出力する。
ここで、撮像部13は、走行車線をなす車線区分線を検出して、その検出した車線区分線に基づいて、ヨーφfrontを算出している。このため、ヨー角φfrontは、撮像部13の車線区分線の検出精度に大きく影響する。
マスタシリンダ圧センサ17は、マスタシリンダ3の出力圧、すなわちマスタシリンダ液圧Pmを検出する。アクセル開度センサ18は、アクセルペダルの踏込み量、すなわちアクセル開度θtを検出する。操舵角センサ19は、ステアリングホイール21の操舵角(ステアリング舵角)δを検出する。方向指示スイッチ20は、方向指示器による方向指示操作を検出する。車輪速度センサ22FL〜22RRは、各車輪5FL〜5RRの回転速度、所謂車輪速度Vwi(i=fl、fr、rl、rr)を検出する。そして、これらセンサ等は、検出した検出信号を、制駆動力コントロールユニット8に出力する。
将来位置予測手段8Aは、運転者の操舵入力に基づいて、予め設定してある所定時間である前方注視時間Tt後の自車両MMの将来位置を予測する。前方注視時間Ttには、基準となる初期値として第1所定時間Tt0を設定する。
開始判定抑制手段8Baは、車線区分線を検出できない若しくは認識度が低くなったと判定すると、車線区分線を検出しているときと比較して、前方注視時間Ttを、初期値として予め設定した前方注視時間Tt0よりも短くする。すなわち、前方注視時間Ttを短くする事によって制御が介入し難く、つまり制御開始の判定を抑制する。
制駆動力コントロールユニット8の処理は、例えば10msec毎の所定サンプリング時間(制御サイクル)ΔT毎にタイマ割込によって実行する。なお、この図3に示す処理内には通信処理を設けていないが、演算処理によって取得した情報は、随時、記憶装置に更新して記憶すると共に、必要な情報を随時、記憶装置から読み出す。
先ずステップS10において、前記各センサやコントローラ、コントロールユニットから各種データを読み込む。具体的には、各センサが検出した、各車輪速度Vwi、操舵角δ、マスタシリンダ液圧Pm及び方向スイッチ信号を取得する。
V=(Vwrl+Vwrr)/2 (:前輪駆動の場合)
V=(Vwfl+Vwfr)/2 (:後輪駆動の場合)
・・・(1)
ここで、Vwfl、Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度である。Vwrl、Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。すなわち、前記(1)式では、車速Vを、従動輪の車輪速の平均値として算出している。なお、本実施形態では、後輪駆動の車両であるので、後者の式、すなわち前輪の車輪速度により車速Vを算出する。
また、ABS(Anti−lock Brake System)制御などの別の自動制動制御装置が作動している場合には、その別の制動制御装置で推定している推定車体速度を取得して、前記車速Vとして用いる。
すなわち、撮像部13からの認識情報に基づき、左右の車線区分線の検出の有無を判定し、車線区分線フラグCAMLOSTright及びCAMLOSTleftを設定する。車線区分線フラグCAMLOSTright及びCAMLOSTleftは、それぞれ右側及び左側の車線区分線についての情報である。車線区分線フラグCAMLOSTright及びCAMLOSTleftは、それぞれ車線区分線を正常に検出した場合には、「0」を設定し、車線区分線を検出できなかった場合には「1」を設定する。また、認識度が通常よりも低い場合には「2」を設定する。認識度が通常よりも低い場合とは、車線区分線は検出可能であるが、検出精度が低い場合を指す。
次に、ステップS40では、撮像部13から、現在走行している走行路における自車両MMの横変位(横位置)Xfront、及び走行車線の曲率βfrontを読み込む。
また、現在走行している走行路に対する自車両MMのヨー角φfrontを算出する。このヨー角φfrontは、レーン内の走行状況を検出するために使用する。
ただし、車線区分線フラグCAMLOSTright及びCAMLOSTleftに基づき、操舵側の車線区分線が検出出来ていない場合には、今まで検出していた車線区分線に基づいてヨー角φfrontを算出する。例えば、撮像部13が撮像した近傍の車線区分線に基づいて、ヨー角φfrontを算出する。この場合には、例えば、自車両MMの横変位Xfrontを用いて、下記(2)式によりヨー角φfrontを算出する。なお、車線区分線を検出している場合も、同様にして算出しても良い。
φfront=tan-1(dX′/V(=dX/dY)) ・・・(2)
ここで、
dX :横変位Xfrontの単位時間当たりの変化量
dY :単位時間当たりの進行方向の変化量
dX′:前記変化量dXの微分値
である。
車線区分線フラグCAMLOSTright及びCAMLOSTleftに基づき、操舵側の車線区分線を検出出来ている場合には、下記(3)式によって、中立ヨーレートφ’pathを算出する。
φ’path=βfront×V ・・・(3)
この中立ヨーレートφ’pathは、自車両MMが走行路に沿った走行を維持するために必要なヨーレートである。中立ヨーレートφ’pathは、直進路を走行中はゼロとなる。しかし、カーブ路ではその曲率βfrontによって、中立ヨーレートφ’pathが変化する。従って、この中立ヨーレートφ’pathを算出する際に、前記走行車線の曲率βfrontを用いる。
一方、車線区分線フラグCAMLOSTright及びCAMLOSTleftに基づき、操舵側の車線区分線を検出していない場合には、中立ヨーレートφ’pathに「0」を設定する。
これは、車線区分線を検出していないので、中立ヨーレートφ’pathの推定精度が良くないためである。中立ヨーレートφ’path=「0」とは、直線路と推定したことになる。
すなわち、下記式のように、予め設定してある前方注視時間Tt0を、前方注視時間Ttとして設定する。
Tt ← Tt0
前方注視時間Tt0は、運転者の将来の障害物SMとの接近状況を予測するための閾値を決定づけるための予め定められた所定の時間である。例えば、前方注視時間Tt0を1秒に設定しておく。
目標ヨーレートΨdriverは、下記式のように、操舵角δと車速度Vから算出する。この目標ヨーレートΨdriverは、操舵に応じて発生させる目標のヨーレートである。Kvはゲインである。
Ψdriver = Kv・δ・V
Ψdriverhosei= Ψdriver − φ’path ・・・(4)
前方注視時間Ttの調整処理を、車線区分線フラグCAMLOSTright、CAMLOSTleftに応じて区分する。
「車線区分線フラグCAMLOSTright、CAMLOSTleft=0の場合」
車線区分線フラグCAMLOSTright及びCAMLOSTleftに基づき、車線区分線が正常に検出出来ている場合には、そのままステップS70に移行する。
一方、車線区分線フラグCAMLOSTright及びCAMLOSTleftに基づき、車線区分線を検出していない場合には、まず、第1ロストゲインKt1を、図5のようなマップに基づき設定する。すなわち第1ロストゲインKt1を、ロスト時間(ロストしてから、ロスト状態が継続している時間)に応じて小さく設定する。図5のマップでは、ロストゲインKt1は、ロスト時間が所定時間経過前は「1」であり、ロスト時間が所定時間経過後は、ロスト時間が長いほど小さな値となる。
そして、下記式によって、前方注視時間Ttを調整する。そして、ステップS70に移行する。
Tt ← Tt×Kt1×Kt2
また、車線区分線フラグCAMLOSTright及びCAMLOSTleftに基づき、車線区分線を検出しているが、認識度が低い場合には、認識度KDに応じて、図7のように、第3ロストゲインKt3を設定する。すなわち、認識度が低い程、第3ロストゲインKt3に小さな値を設定する。
そして、下記式によって、前方注視時間Ttを調整する。そして、ステップS70に移行する。
Tt ← Tt×Kt3
ここで、前方注視時間Ttは、左右の車線区分線毎に個別に調整しておく。そして、左右の障害物に応じて、隣接する車線区分線に対応する前方注視時間Ttを使用する。
ΔXb =(K1φ+K2φm+K3φm’) ・・・(5)
ここで、
φ :ヨー角
φm :目標ヨー角速度
φm’:目標ヨー角加速度
である。
φm =Ψdriverhosei×Tt
目標ヨー角加速度φm’は、下記式となる。
φm’= φm×Tt2
ここで、自車両予測位置ΔXbを、ヨー角の次元とするために、前方注視距離Lを用いると、下式で表すことができる。
ΔXb=L・(k1φ+k2φm×T+k3φm’×Tt2)
ここで、前方注視距離Lと前方注視時間Ttとは、下記式の関係にある。
前方注視距離L=前方注視時間Tt×車速V
なお、自車両MMの予測位置を、下記式のように、操舵角成分と操舵速度成分を個別に求めてセレクトハイによって算出しても良い。
ΔXb= max(K2φm、K3∫φm’)
次に、ステップS80では、制御開始のための、予め定められた所定の車線幅方向位置としての判定閾値を設定する。この判定閾値は、側方障害物SMに対する回避制御を開始するかどうかの判定閾値となる。
なおここで、障害物SMを検出する範囲として設定する障害物検出範囲は、自車両MMの側方における、所定の縦・横位置範囲となるように設定する。また縦位置については、障害物SMが自車両MMに対して接近する相対速度が大きければ大きいほど、障害物検出範囲が広くなるように設定しても良い。
まず、障害物SMの存在Lobst・Robstの有無を判定する。障害物が左右共に存在しない場合には、障害物回避制御判断フラグFout_obstをOFFに設定する。そして、ステップS100に移行する。
一方、左右の少なくとも一方に障害物SMが存在する場合には、障害物が存在する車線区分線側について、下記式を満足する場合に、制御開始と判定する。
X2=ΔXb−XO ≧ X2obst
XOは、自車両と車線区分線との間の横距離である。なお、車線区分線が検出出来ていない場合には、例えば、検出出来なくなる直前の横距離を使用する。
またここで対象とする障害物SMは、自車両MMの後側方向の車両に対して設定するだけでなく、隣接車線前方の対向車両に対しても制御対象としても良い。
但し、障害物距離X2obstとして、車線区分線と障害物との横位置(ΔO−X0)を使用する場合には、次のように判定しても良い。
ΔXb−X0 ≧ ΔO −X0
この式は、下記式と同義であるので、実際には、下記式で判定する。
ΔXb ≧ ΔO
また、Fout_obstをONに設定可能なのは、Fout_obstがOFFとなっている場合とする。また、Fout_obstをONに設定可能とする条件として、Fout_obstをOFFと設定した後所定時間経過した後とするなど、時間的な条件を加えても良い。また、Fout_obstをONと判定してから所定時間Tcontrolが経過したら、Fout_obst=OFFとし制御を終了しても良い。
ここで、アンチスキッド制御(ABS)、トラクション制御(TCS)又はビークルダイナミックスコントロール装置(VDC)が作動している場合には、障害物回避制御判断フラグFout_obstをOFFに設定する。これは、自動制動制御が作動中は、障害物回避制御を作動させないようにするためである。
ここでは、ステップS90にて制御開始の位置(判定閾値)に到達したと判定と判定した場合には、警報を発生する。
なお警報は、上述の前方注視時間に基づく前方注視点が制御開始の位置に到達する前に発生するようにしても良い。例えば、ステップS70での検出に用いている前方注視時間Ttよりも長くなるように、所定のゲインKbuzz(>1)を掛ける。そして、(Tt×Kbuzz)を使用して(5)式に基づき算出した前方注視点が、ステップS90での制御開始の位置に到達したと判断した時に警報を発生する。またステップS90において障害物回避システムの作動を開始すると判定して警報を発生し、それから所定の時間経過の後に、制御を開始するようにしても良い。
また、障害物回避制御判断フラグFout_obstがONの場合には、下記のように目標ヨーモーメントMsを前記の式により算出する。障害物回避制御判断フラグFout_obstがOFFの場合には、目標ヨーモーメントMsを0に設定して、次のステップS120に移行する。
すなわち、障害物回避制御判断フラグFout_obstがONの場合に、目標ヨーモーメントMsを、下記式によって求める。
Ms=K1recv×K2recv×ΔXs ・・・(6)
ΔXs =(K1mom・φ+K2mom・φm)
あるいは、目標ヨーモーメントMsを、下記(7)式から算出しても良い。この(7)式は、(6)式に対して、ゲインK3(=1/Tt2)を掛けることと同義である。このゲインK3は、前方注視時間Ttが大きくなるほど減少するゲインとなる。
Ms= K1recv×ΔXb/(L×Tt2) ・・・(7)
なお、前記Fout_obstの判定は、操舵情報に基づいて将来の進路変更を予測するものである。
ここで、本実施形態では、障害物回避のためのヨーレートMsを発生するための手段として、制駆動力を用いてヨーモーメントを発生する場合の例を、以下に説明する。
なお、ヨーレートを発生させる手段としてステアリング反力制御装置を用いる場合には、ステアリング反力FrstrはFrstr=K×Msとして反力を発生すれば良い。
またヨーレートを発生させる手段としてはステアリング制御装置を用い、その操舵力(操舵トルク)をSTRtrg=K×Msとして求めて発生しても良い。
Psfl=Psfr=Pmf ・・・(8)
Psrl=Psrr=Pmr ・・・(9)
ここで、Pmfは前輪用の制動液圧である。また、Pmrは後輪用の制動液圧であり、前後配分を考慮して前輪用の制動液圧Pmfに基づいて算出した値になる。例えば、運転者がブレーキ操作をしていれば、制動液圧Pmf、Pmrはそのブレーキ操作の操作量(マスタシリンダ液圧Pm)に応じた値になる。
すなわち、目標ヨーモーメントMsに基づいて、前輪目標制動液圧差ΔPsf及び後輪目標制動液圧差ΔPsrを算出する。具体的には、下記(10)式及び(11)式により目標制動液圧差ΔPsf、ΔPsrを算出する。
ΔPsf=2・Kbf・(Ms×FRratio)/T ・・・(10)
ΔPsr=2・Kbr・(Ms×(1−FRratio))/T ・・・(11)
ここで、
FRratio:設定用しきい値
T:トレッド
Kbf、Kbr:制動力を制動液圧に換算する場合の前輪及び後輪についての換算係数
である。
このように、目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて車輪で発生させる制動力を配分する。つまり、各目標制動液圧差ΔPsf、ΔPsrに所定値を与え、前後それぞれの左右輪で制動力差を発生させる。そして、算出した目標制動液圧差ΔPsf、ΔPsrを用いて、最終的な各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl、fr、rl、rr)を算出する。
Psfl=Pmf
Psfr=Pmf+ΔPsf
Psrl=Pmr
Psrr=Pmr+ΔPsr
・・・(12)
Psfl=Pmf+ΔPsf
Psfr=Pmf
Psrl=Pmr+ΔPsr
Psrr=Pmr
・・・(13)
また、ここでは、(12)式及び(13)式が示すように、運転者によるブレーキ操作、すなわち制動液圧Pmf、Pmrを考慮して各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl、fr、rl、rr)を算出している。
そして、制駆動力コントロールユニット8は、このようにして算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl、fr、rl、rr)を制動流体圧指令値として、制動流体圧制御部7に出力する。
自車両の走行状態であるヨー角φ、ヨー角速度φm等に基づき、前方注視時間Tt後の自車両の将来の横位置として自車両予測位置ΔXbを求める。
そして、障害物SMを検出した側の自車両予測位置ΔXbが、車線区分線を基準として、車線区分線よりも外側の障害物距離X2obst以上となると、障害物回避のための支援制御を開始する(図4参照)。支援制御開始と判定すると、自車両予測位置ΔXbに基づき、制御量として目標ヨーモーメントMsを算出し、その目標ヨーモーメントMsを発生するように制駆動力を制御する。これによって、障害物への接近を防止する方向に自車両を制御することとなる。なお、障害物への接近を防止する方向に自車両を制御するために、自車線中央側に向かうヨーモーメントが発生するように制御する。
このとき、本実施形態では、図10のように、前方注視時間Ttを短くする方向に調整する。つまり、前方注視点が現在の位置に近づいて、制御が開始し難くなる。
これによって、車線区分線を検出出来ない場合でも、必要以上に制御の開始・終了の発生を防止する。すなわち、制御介入頻度が低下することで、側方障害物回避の制御による車両挙動の変動を抑制して、運転者への違和感を低減できる。
すなわち、違和感のある制御開始を抑制しつつ、運転者が障害物SM方向への意図的に操舵した際の制御開始が可能となる。
ここで、レーダ装置24L/Rは障害物検出手段を構成する。撮像部13が車線検出手段を構成する。操舵角センサ19が操舵入力検出手段を構成する。
ステップS70が将来位置予測手段8Aを構成する。ステップS35,S65が開始判定抑制手段8Baを構成する。ステップS80、S90が、制御開始判定手段8Bを構成する。
(1)車線検出手段は、走行中の車線の車線区分線を検出する。将来位置予測手段は、予め設定した所定時間後の自車両の将来の横位置を予測する。制御開始判定手段は、将来位置予測手段が予測した自車両の将来の横位置が、所定の車線幅方向位置よりも自車線中央側からみて外側に位置すると判定すると、制御開始と判定する。そして、車両制御手段は、制御開始判定手段が制御開始を判定すると、自車線中央側に向かうヨーモーメントを車両に付与するように自車両を制御する。
本実施形態によれば、走行中に車線区分線の認識度が低くなった場合には制御開始を抑制する。この結果、必要以上に制御の開始・終了の発生を防止すると共に、必要な支援制御を行う。すなわち、違和感のある制御開始を抑制しつつ、運転者が意図的に操舵した際の制御開始を可能となる。
以上によって、車線区分線の認識度が低くても、支援制御を適切に行うことを可能とする。
すなわち、車線区分線の認識度が低くなると、制御開始の判定を抑制する。
これによって、必要な側方障害物に対する支援制御を可能としつつ、必要以上に制御の開始・終了の発生を防止する。すなわち、運転者への違和感のある制御開始を抑制しつつ、運転者が障害物SM方向への意図的に操舵した際の制御開始を可能となる。
ここで、車線区分線を検出している状態では、走行路の車線区分線を検出して障害物に対する自車両の将来位置を判定している。これによって車線区分線を基準とすることで、カーブ路を走行中の操舵であっても適切に障害物側に向かっているか否かを判定可能となる。これによって、カーブ路であっても、側方障害物を回避するための支援制御を適切に行うことが可能となる。
これによって、簡易に制御開始の判定を抑制することが出来る。
(4)前記車線検出手段で車線区分線を検出できないと判定すると、車線区分線を認識できたときの情報に基づき車線区分線の位置を推定する。そして、前記制御開始判定手段は、前記車線検出手段で車線区分線を検出できない場合、前記推定した車線区分線に基づき制御開始を判定する。また、前記開始判定抑制手段は、前記制御開始判定手段が基準とした車線区分線が前記推定した車線区分線の場合、当該車線区分線の認識度が正常な場合に比較して制御開始の判定を抑制する。
以上によって、車線区分線が検出出来なくなった場合でも、支援制御を適切に行うことを可能とする。
ここで、車線区分線の認識状況の低化が続くにつれて、経路情報の確からしさが低下する。また、自車両の進行方向が変わる確率も高くなる。これに鑑み、車線区分線の認識状況の低化が続くにつれて、制御開始の判定がさらに行われにくくする。これによって、運転者にとって違和感のある制御介入を、より抑制することが可能となる。
車速が低いほど、車両の振れが大きくなって、つまりヨーレートが大きく成りがちとなって、不必要に制御の介入、終了を繰り返す可能性がある。これに対し、不必要な制御の介入を抑えることが可能となる。
すなわち、車速が低く、より小回りな動きが起こり得るような状況においても、運転者にとって違和感のある制御の介入が実施されることを軽減可能となる。
前方注視点を短くするなどして制御介入が遅れても、大きい制御量を発生できる。すなわち、障害物SMへの接近状況に応じて、接近が近ければ大きな制御を発生し、遠ければ小さな制御を発生することが出来る。この結果、運転者の感覚にあった制御量の発生が可能となる。
(1)前記実施形態では、前方注視時間Ttに対し、車線区分線を検出できない状態の継続時間であるロスト時間に応じたロストゲインを乗算することで、前方注視時間Ttを短く補正している。これによって、前方注視点を調整して、制御開始の判定を抑制している。また、前方注視点を調整することで、制御作動中における制御量(目標ヨーモーメントMs)も調整している。
これに代えて、ステップS70で算出する自車両予測位置ΔXbに前記ロストゲインを乗算しても良い。効果は同様である。なお、自車両予測位置ΔXbは、前方注視点の横位置に関する値である。
その関係の式を、下記に示す。
ΔXb = Kt・(K1φ+K2φm+K3φm’)
Ktはロストゲインである。
代わりに、下記式のように、前記ΔXbの各変数であるφ、φm、φm′に個別にKt相当のゲインを乗算しても良い。
ΔXb =(Kta・K1・φ+Ktb・K2・φm+Ktc・K3・φm’)
このように、各φ、φm、φm′に対し個別にゲインを調整するようにしても良い。
運転者の操舵のうち経路を走行しうる経路がカーブであったりする可能性がある。このため、操舵角に対して定常的な偏差が発生する可能性が高い操舵角成分についてのゲインを低下させる。これによって、ある操舵速度の入力があり車線変更しようとする操作の検出性を残しつつ、定常的な経路を走行することで不要な制御が繰り返し実施されることを緩和することが可能となる。
次に、第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、前記第1実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
本実施形態の基本構成は、前記第1実施形態と同様である。但し、制御開始の判定が異なる。
前記第1実施形態では、ステップS90にて、左右の少なくとも一方に障害物SMが存在する場合に、制御開始の判定を行う場合を例示した。
これに代えて、本実施形態では、ステップS90にて、障害物SMの存在の有無に関係なく、自車両の将来の横位置が所定の判定閾値(車線区分線を基準とした所定の車線幅方向位置)よりも車線幅方向外側である場合には、自車両が車線を逸脱する可能性が有ると判断して制御開始を判定する。すなわち、本実施例における車両制御は、車線逸脱を防止する車線逸脱防止制御として機能する。
この場合の図4に対応する図を、図11に示す。
この場合には、障害物との相対距離が無いのでΔOの設定を行わない。
そして、ステップS90にて、下記式を満足する場合に、制御開始と判定する。
ΔXb ≧ X0 +X2obst (≦ X0)
この実施形態では、自車両予測位置ΔXbが、車線区分線を基準として、車線区分線よりも内側に予め設定された所定の車線幅方向位置(障害物距離X2obst)、若しくは予め設定された所定の車線幅方向位置(障害物距離X2obst)よりも車線区分線外側に位置すると、車線区分線からの逸脱を抑制するための支援制御(車両制御)を開始する(図11参照)。支援制御開始と判定すると、自車両予測位置ΔXbに基づき、制御量として目標ヨーモーメントMsを算出し、その目標ヨーモーメントMsを発生するように制駆動力を制御する。これによって、自車線の中央側に向かうヨーモーメントを自車両MMに付与することで車線区分線からの逸脱を抑制する方向に自車両を制御することとなる。
その他の車線区分線の認識状況に応じた前方注視時間Ttの設定を含む動作及び作用は前記第1実施形態と同様である。
ここで、本実施形態に記載した車線逸脱防止制御に第1実施形態に記載したような障害物回避制御を組み合わせることも考えられる。この場合は、車線逸脱防止制御と障害物回避制御の、いずれか一方の制御が先に制御を開始した場合には、先に制御開始した制御を優先し、その制御が終了するまで他方の制御を実施しないようにしても良い。
(1)走行中に車線区分線の認識度が低くなった場合には、制御開始を抑制する。この結果、必要以上に車線逸脱抑制のための制御の開始・終了の発生を防止すると共に、必要な支援制御を行う。すなわち、違和感のある車線逸脱抑制のための制御開始を抑制しつつ、運転者が意図的に操舵した際の制御開始を可能となる。
以上によって、車線区分線の認識度が低くても、車線逸脱抑制のための支援制御を適切に行うことを可能とする。
次に、第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、前記各実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
本実施形態の基本構成は、前記各実施形態と同様である。但し、制御開始の判定を抑制する方式が異なる。
すなわち、前記第1実施形態では、前方注視時間Ttに対し、ロストゲインを乗算することで、前方注視時間Ttを短く補正している。これによって、前方注視点を調整して、制御開始の判定を抑制している。また、第1実施形態の変形例(1)では、これに代えて、ステップS70で算出する自車両予測位置ΔXbに前記ロストゲインを乗算して、制御開始の判定を抑制することを記載している。
すなわち、ステップS90にて制御開始の判定をする際に、下記式を満足する場合に制御開始と判定する。
X2 = ΔXb −XO ≧X2obst +ΔOh
若しくは
ΔXb ≧ ΔO +ΔOh
ここで、前記説明では、補正係数ΔOhを加えることで、車線区分線を基準とした車線幅方向位置を車線幅方向外側に移動させている。これに代えて、X2obst若しくはΔOに対して、1よりも大きなゲインを掛けることで、車線区分線を基準とした車線幅方向位置を車線幅方向外側に移動させても良い。
その他の構成は、前記各実施形態と同様である。
(1)開始判定抑制手段は、前記車線区分線を基準とした車線幅方向位置を車線区分線外側方向へ移動させることにより、制御開始の判定を抑制する。
これによって、簡易に制御開始の判定を抑制することが出来る。
次に、第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、前記各実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
本実施形態の基本構成は、前記各実施形態と同様である。但し、車線区分線の認識度が低いことの判定、及びそのときの車線区分線の認識度KDの演算が異なる。
前記第1実施形態では、車線区分線の認識度KDを、撮像部13が撮像した画像を画像処理して認識した車線区分線自体の画像の認識具合(例えばエッジの濃淡)や認識した車線区分線自体の確からしさ(例えばトラッキングのぶれ度合)によって認識度KDを判定する場合を例示した。
「認識度が低いとの判定について」
下記の横位置無効フラグDFLGa、曲率無効フラグDFLGb、車線変更フラグDFLGc、ブリッジ検出フラグDFLGd、非平行線判定フラグDFLGe、横加速度異常フラグDFLGfのいずれかがONとなった場合に、車線区分線の認識度が低いと判定する。なお、これらのフラグの一部だけを使用して、車線区分線の認識度が低いと判定するようにしても良い。
自車両MMの横変位Xfrontの今回値と、前回値若しくは直近の複数の横変位から予測する現在の位置との偏差が所定偏差以上大きい場合に、横位置無効フラグDFLGaをONとする。所定偏差は、横変位の変化としてあり得ないほど大きいと判定可能な値である。また、横変位Xfrontは、撮像部13が撮像した画像から抽出した車線区分線から演算する。
走行車線の曲率βfrontの今回値と、前回値若しくは直近の複数の曲率から予測する現在の曲率との偏差が所定偏差以上大きい場合に、曲率無効フラグDFLGbをONとする。所定偏差は、曲率の変化としてあり得ないほど大きいと判定可能な値である。また、走行車線の曲率βfrontは、撮像部13が撮像した画像から抽出した車線区分線から演算する。
自車両が車線変更中と判定すると、車線変更フラグDFLGcをONとする。
なお、車線変更中は、基準となる自車線が切り替わり、また、車線区分線を跨ぐように走行しているので、対象とする車線区分線の判定が困難な場合を想定出来るために、車線区分線の認識度が低いと判定する。
撮像部13が撮像した走行方向前方の画像に基づき、自車両前方に分岐路の存在を検出したらブリッジ検出フラグDFLGdをONとする。自車両前方とは、例えば所定時間後(例えば2秒後)に自車両MMが分岐路に到達する場合とする。分岐路によって、基準となる自車線が切り替わり、対象とする車線区分線の判定が困難な場合を想定出来るために、車線区分線の認識度が低いと判定する。
撮像部13が撮像した画像から抽出した、自車線の左右の車線区分線の位置について、相対的な関係が、通常予定されている関係に対し有り得ない場合に、非平行線判定フラグDFLGeをONとする。
有り得ない場合とは、例えば、左右の車線区分線間の間隔が狭まっていくと判定したり、左右の車線区分線間の間隔の時間的な変化が所定以上を指す。
現在走行している走行路に対する自車両MMのヨー角φfrontの今回値と、前回値若しくは直近の複数のヨー角から予測する現在のヨー角との偏差が所定偏差以上大きい場合に、横加速度異常フラグDFLGfをONとする。所定偏差は、ヨー角の変化としてあり得ないほど大きいと判定可能な値である。また、ヨー角φfrontは、撮像部13が算出する。
前記横位置無効フラグDFLGa、曲率無効フラグDFLGb、車線変更フラグDFLGc、ブリッジ検出フラグDFLGd、非平行線判定フラグDFLGe、横加速度異常フラグDFLGfに対応して、ゲインKa、Kb、Kc、Kd、Ke、及びKfを設ける。
ゲインKaは、横位置無効フラグDFLGaがOFFのときに「1」となり、図13のように、ONの継続時間によって変化する。すなわち、ゲインKaは、ONの継続時間が長いほど、ゼロに向けて小さくなる。
ゲインKcは、車線変更フラグDFLGcがOFFのときに「1」となり、図13のように、ONの継続時間によって変化する。すなわち、ゲインKcは、ONの継続時間が長いほど、ゼロに向けて小さくなる。
ゲインKdは、ブリッジ検出フラグDFLGdがOFFのときに「1」となり、図13のように、ONの継続時間によって変化する。すなわち、ゲインKdは、ONの継続時間が長いほど、ゼロに向けて小さくなる。
ゲインKfは、横加速度異常フラグDFLGfがOFFのときに「1」となり、図13のように、ONの継続時間によって変化する。すなわち、ゲインKfは、ONの継続時間が長いほど、ゼロに向けて小さくなる。
そして、認識度KDを下記式によって演算する。
KD =Ka×Kb×Kc×Kd×Ke×Kf
前記式による認識度KDは、全てのフラグがOFFであれば「1」となるが、ONとなるフラグが多いほど、また、ONの継続時間が長いほど、ゼロに近づく値となる。
その他の構成は、前記各実施形態と同様である。
(1)本実施形態では、車線区分線自体の画像の認識具合(例えばエッジの濃淡)や認識した車線区分線自体の確からしさ(例えばトラッキングのぶれ度合)以外によって、認識度KDを判定可能となる。
次に、第5実施形態について図面を参照して説明する。なお、前記各実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
本実施形態の基本構成は、前記各実施形態と同様である。但し、車線区分線を検出できなかった場合若しくは車線区分線の認識度が低い判定した後に、車線区分線を正常に検出したときの処理が異なる。
例えば、前記第1実施形態では、ステップS60において、前方注視時間Ttを、予め設定した初期値である前方注視時間Tt0に設定している。このため、車線区分線を検出できなかった場合若しくは車線区分線の認識度が低い判定した後に、車線区分線を正常に検出すると、直ぐに前方注視時間Ttを前方注視時間Tt0にしている。すなわち、前記第1実施形態では、車線区分線を正常に検出すると、制御開始の判定の抑制を解除して復帰する場合を例示している。
具体的には、前方注視時間Ttには、初期値として前方注視時間Tt0しておき、ステップS60にて、前方注視時間Ttに前方注視時間Tt0を設定する処理を省略する。
また、ステップS65における、「車線区分線フラグCAMLOSTright、CAMLOSTleft=0の場合」の処理において、次のように処理を行った後にステップS70に移行する。
「前回(制御の1サイクル前)の車線区分線フラグCAMLOSTright、CAMLOSTleftが「0」でない場合」
先ず、認識度KDを使用して図14に基づき、復帰時間Tfを演算する。なお、車線区分線を検出できなかった場合には、認識度KDは「0」である。
次に、復帰時間Tfに対応する制御サイクル数を演算し、前記差分時間ΔTtを制御サイクル数で除して、1制御サイクル当たりの前方注視時間の増分時間ΔTtxを演算する。
そして、下記式によって、前方注視時間Ttを増加した後に、ステップS70に移行する。
Tt ← Tt +ΔTtx
前方注視時間TtがTt0以上である場合には、前方注視時間TtにTt0を代入し他後に、ステップS70に移行する。なお、復帰時間Tfに対応する制御サイクル数をカウンタに設定し、カウンタがゼロとなるまで処理をするようにしても良い。
一方、前方注視時間TtがTt0未満である場合には、下記式によって、前方注視時間Ttを増加した後に、ステップS70に移行する。
Tt ← Tt +ΔTtx
その他の構成は、前記各実施形態と同様である。
(1)開始判定抑制手段は、前記車線検出手段による車線区分線検出の認識度が正常になったと判定すると、制御開始の判定の抑制を徐々に小さくして復帰する。その復帰に掛かる復帰時間を、車線区分線検出の認識度が正常になる前の車線区分線の認識度が低いほど長くする。
これによって、制御開始の閾値について急激な変化を防止できる。この結果、必要以上に制御の開始・終了の発生を防止すると共に、必要な支援制御を行う。
(1)前記実施形態の具体的処理では、第1実施形態のように前方注視時間Ttを調整することで、制御開始の判定を抑制する場合における、復帰処理について説明した。
第2実施形態のように、車線区分線を基準とした車線幅方向位置である、障害物距離X2obstが大きくなるように調整して、つまり自車線中央側に対し車線幅方向外側に移動させることで、制御開始の判定を抑制する場合には、例えば次のようにする。
すなわち、補正係数ΔOhを、認識度KDに応じて設定した復帰時間Tfだけ掛けて、ゼロとなるように徐々にゼロに設定する。処理は、前方注視時間の代わりに補正係数ΔOhを対象して、前記実施形態と同様に行えば良い。
次に、第6実施形態について図面を参照して説明する。なお、前記各実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
本実施形態の基本構成は、前記各実施形態と同様である。但し、制御開始の判定が異なる。
第1実施形態では、ステップS90にて、左右の少なくとも一方に障害物が存在する場合に制御開始か否かの判定を行っている。また、第2実施形態では、ステップS90にて、障害物の存在に関係無く、制御開始か否かの判定を行っている。
ΔXb −XO ≧ X2obst 、若しくはΔXb ≧ΔO
また、左右の両方に障害物が存在しない場合には、第2実施形態と同様に、下記式を満足した場合に制御開始と判定する。
ΔXb ≧ X0 +X2obst (≦ X0)
これによって、左右の両方に障害物が存在しない場合には、相対的に、制御開始の判断となる閾値が自車両に近づくと共に、基準となる前方注視時間Tt1が短くなって制御に入りに難くなる。
すなわち、本実施形態では、前方注視時間Ttの初期値として、前方注視時間Tt0、及び前方注視時間Tt0よりも小さな値である前方注視時間Tt1を予め有する事になる。
その他の構成は、前記各実施形態と同様である。
(1)予め設定した所定時間として、第1所定時間Tt0と、第1所定時間よりも短い第2所定時間Tt1とを有する。そして、障害物検出手段が障害物を検出している場合には、前記予め設定した所定時間として第1所定時間Tt0を設定し、障害物検出手段が障害物を検出していない場合には、予め設定した所定時間として第2所定時間Tt1を設定する。
これによって、側方に障害物を検出した場合には、優先的に当該障害物への接近を抑制するように運転者の運転を支援する。また、障害物を検出していない場合には、自車線からの逸脱を抑制するように運転者の運転を支援する。
また、支援制御に応じて予め設定した所定時間を設定変更する。この結果、目的とする支援制御に適切な制御開始の判定が可能となる。
8A 将来位置予測手段
8B 制御開始判定手段
8Ba 開始判定抑制手段
13 撮像部(車線検出手段)
19 操舵角センサ(操舵入力検出手段)
24L/R レーダー装置(障害物検出手段)
CAMLOSTright/left 車線区分線フラグ
Fout 障害物回避制御判断フラグ
Kt1 ロストゲイン
Kt2 ロストゲイン
Kt3 ロストゲイン
L 前方注視距離
MM 自車両
Ms 目標ヨーモーメント
Tt 前方注視時間
KD 認識度
Ka、Kb、Kc、Kd、Ke、Kf 認識度のゲイン
Tf 復帰時間
Tt0 前方注視時間(初期値)
Tt1 前方注視時間(初期値)
ΔOh 補正係数
ΔTt 差分時間
ΔTtx 増分時間
βfront 曲率
δ 操舵角
δ 操舵速度
ΔO 横方向相対距離
ΔX2obst 障害物距離(判定閾値、車線幅方向位置)
ΔXb 自車両予測位置
φ ヨー角
φm 目標ヨーレート
φm′ 目標ヨー角加速度
Ψdriver 目標ヨーレート
Ψdriverhosei 目標ヨーレート
φ′path 中立ヨーレート
Claims (11)
- 自車両の側方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
走行中の車線の車線区分線を検出する車線検出手段と、
予め設定した所定時間後の自車両の横位置を予測する将来位置予測手段と、
前記障害物検出手段が障害物を検出し、且つ前記将来位置予測手段が予測した自車両の将来の横位置が、前記障害物に近い側の車線区分線を基準として予め定められた所定の車線幅方向位置よりも自車線中央側からみて外側に位置すると判定すると、自車線中央側に向かうヨーモーメントを車両に付与するように自車両を制御する車両制御手段と、を備え、
前記車両制御手段は、前記障害物検出手段が障害物を検出し、且つ前記車線検出手段による前記障害物に近い側の車線区分線の認識度が所定の値より低い場合、前記車両制御手段におけるヨーモーメントの付与を抑制することを特徴とする車両運転支援装置。 - 前記車両制御手段は、
自車両の将来の横位置が、前記所定の車線幅方向位置よりも自車線中央側からみて外側に位置すると判定すると、前記制御の開始と判定する制御開始判定手段を更に備え、
前記制御開始判定手段は、
前記制御の開始と判定しづらくなるように制御開始を抑制することで、前記車両制御手段におけるヨーモーメントの付与を抑制する開始判定抑制手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両運転支援装置。 - 運転者の操舵入力を検出する操舵入力検出手段を備え、
前記将来位置予測手段は、前記操舵入力検出手段が検出する操舵量に基づき、前記所定時間後の自車両の将来の横位置を予測し、
前記制御開始判定手段は、前記障害物検出手段が障害物を検出している際に、前記将来位置予測手段が予測した自車両の将来の横位置が、前記障害物に近い側の車線区分線を基準として予め定められた所定の車線幅方向位置よりも前記障害物側に位置すると判定すると、前記制御開始と判定することを特徴とする請求項2に記載した車両運転支援装置。 - 前記開始判定抑制手段は、前記将来位置予測手段が将来の横位置を予測する際の前記所定時間を短くすることで、前記制御開始を抑制することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載した車両運転支援装置。
- 前記開始判定抑制手段は、前記予め定められた所定の車線幅方向位置を車線区分線外側方向へ移動させることにより、前記制御開始を抑制することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載した車両運転支援装置。
- 前記開始判定抑制手段は、前記制御開始判定手段が基準とした車線区分線の認識度が所定の値よりも低いと判定すると、車速が低いほど、前記制御開始を抑制することを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載した車両運転支援装置。
- 前記将来位置予測手段は、前記所定時間後の自車両の将来の横位置を予測する際の操舵量は、操舵角成分と操舵速度成分を含み、
前記開始判定抑制手段は、前記操舵量のうちの操舵角成分を操舵速度成分よりも多く補正することで前記制御開始を抑制することを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載した車両運転支援装置。 - 前記車両制御手段は、前記開始判定抑制手段によって前記制御開始が抑制されている場合、車線中央側に向かうヨーモーメントを車両に付与するように自車両を制御する制御量の制御ゲインを高く補正することを特徴とする請求項2〜請求項7のいずれか1項に記載した車両運転支援装置。
- 前記開始判定抑制手段は、前記車線検出手段による車線区分線検出の認識度が前記所定の値以上になったと判定すると、前記制御開始の抑制の抑制量を徐々に小さくして復帰し、
その復帰に掛かる復帰時間を、前記車線区分線検出の認識度が正常になる前の車線区分線の認識度が低いほど長くすることを特徴とする請求項2〜請求項8のいずれか1項に記載した車両運転支援装置。 - 前記予め設定した所定時間として、第1所定時間と、第1所定時間よりも短い第2所定時間とを有し、前記障害物検出手段が障害物を検出している場合には、前記予め設定した所定時間として前記第1所定時間を設定し、前記障害物検出手段が障害物を検出していない場合には、予め設定した所定時間として前記第2所定時間を設定することを特徴とする請求項2〜請求項9のいずれか1項に記載した車両運転支援装置。
- 自車両側方の障害物を検出し、且つ運転者の操舵入力に基づき予め設定した所定時間後の自車両の将来の横位置を予測しその予測した自車両の将来の横位置が前記障害物に近い側の車線区分線を基準として予め定められた所定の車線幅方向位置よりも障害物側と判定すると、自車線中央側に向かうヨーモーメントを自車両に付与する制御を開始し、
自車両側方の障害物を検出し、且つ障害物に近い側の車線区分線の認識度が所定の値よりも低い場合には、車線区分線を正常に検出しているときと比較して、前記制御の開始と判定しづらくなるように制御開始を抑制することを特徴とする車両運転支援方法。
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