JP4967912B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、車線逸脱防止制御を的確に抑制することで、車両の車線逸脱を的確に防止できるようにすることである。
(構成)
実施形態は、本発明に係る車線逸脱防止装置を搭載した後輪駆動車両である。この車両は、自動変速機とコンベンショナルディファレンシャルギヤとを搭載し、前後輪とも左右輪の制動力を独立制御可能な制動装置を搭載している。
図中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧を各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給する。また、マスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御部7が介装されており、制動流体圧制御部7によって、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
例えば、制動流体圧制御部7は、液圧供給系にアクチュエータを含んで構成されている。アクチュエータとしては、各ホイールシリンダ液圧を任意の制動液圧に制御可能な比例ソレノイド弁が挙げられる。
また、この車両には、画像処理機能付きの撮像部13が設けられている。撮像部13は、自車両の車線逸脱傾向検出用として、走行車線内の自車両の位置を検出するために備えられている。例えば、撮像部13は、CCD(ChargeCoupled Device)カメラからなる単眼カメラで撮像するように構成されている。撮像部13は車両前部に設置されている。
また、走行車線曲率βを後述のステアリングホイール21の操舵角δに基づいて算出しても良い。
なお、専用のセンサにより各値を検出するようにしても良い。すなわち、加速度センサにより前後加速度Yg及び横加速度Xgを検出し、ヨーレイトセンサによりヨーレイトφ´を検出するようにしても良い。
図2は、制駆動力コントロールユニット8で行う演算処理手順を示す。この演算処理は、例えば10msec.毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、図2に示す処理内には通信処理を設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読出される。
続いてステップS2において、分岐判定(分岐点での進路判定)を行う。図3は、この判定処理の処理手順を示す。なお、この判定処理は、ナビゲーション装置14又は制駆動力コントロールユニット8で行う。
ステップS32では、ナビゲーション装置14による経路誘導中であるか否かを判定する。ここで、経路誘導中の場合、ステップS33に進み、経路誘導中でない場合、ステップS37に進む。
ステップS37では、走行履歴に基づいて分岐判定を行い、該図3に示す処理を終了する。走行履歴に基づく分岐判定については、後で詳述する。
ステップS33では、経路誘導する分岐点において、ナビゲーション装置14が直進を指示(誘導)しているか否かを判定する。ここで、直進を指示している場合、ステップS36に進み、直進を指示していない場合、すなわち、分岐路に進むことを指示(分岐路に誘導)している場合、ステップS34に進む。
ステップS35では、左分岐判定フラグGlをONに設定するとともに、右分岐判定フラグGrをOFFに設定し(Gl=ON、Gr=OFF)、該図3に示す処理を終了する。
ステップS38では、左分岐判定フラグGlをOFFに設定するとともに、右分岐判定フラグGrをONに設定し(Gl=OFF、Gr=ON)、該図3に示す処理を終了する。
ナビゲーション装置14では、走行記録機能により走行経路を記録しており、図4に示すように、先ず、ステップS51において、その走行記録機能から走行履歴を読み出す。
続いてステップS52において、推定経路情報及び走行履歴情報に基づき、分岐路の各走路について、自車両が進む確度(確率)を算出する。例えば、走路X、走路Yからなる分岐路(例えばY字路)において確度を算出するには、先ず、過去にその分岐路を通過した回数K(走路Xの通過回数と走路Yの通過回数との総和)に基づいて、重み係数αを算出する。
図5に示すように、過去走行回数Kが多くなるほど、重み係数αは大きくなる。このような関係からなるマップに基づいて、過去走行回数Kに対応する重み係数αを得る。
そして、そのようにして得た重み係数αを用いて、下記(1)式及び(2)式により、走路X,Yに進む確度をそれぞれ算出する。
走路Xに進む確度(%)={0.5×(1−α)+a×α}×100 ・・・(1)
走路Yに進む確度(%)={0.5×(1−α)+b×α}×100 ・・・(2)
ここで、aは過去に走路Xに進んだ回数/Kであり、bは過去に走路Yに進んだ回数/Kである。この(1)式及び(2)式により、重み係数αが大きくなるほど、走行履歴(走行回数)が、走路X,Yに進む確度に反映されるようになる。
続いてステップS53において、直進する確度が最大になるかを判定する。直進の確度が最大になる場合、ステップS60に進み、そうでない場合、すなわち、右分岐路及び左分岐路のうちの少なくとも一方に進む確度が最大になる場合、ステップS54に進む。
ステップS54では、最大確度(右分岐路及び左分岐路のうちの少なくとも一方に進む確度)が80%以上か否かを判定する。ここで、最大確度が80%以上の場合(最大確度≧80%)、ステップS55に進み、そうでない場合(最大確度<80%)、すなわち、右分岐及び左分岐を行う確度が80%未満の場合、前記ステップS60に進む。
ステップS59では、左分岐判定フラグGlをOFFに設定するとともに、右分岐判定フラグGrをONに設定して(Gl=OFF、Gr=ON)、該図4に示す処理(前記ステップS37の処理)を終了する。
ステップS57では、左分岐判定フラグGl及び右分岐判定フラグGrをONに設定し(Gl=ON、Gr=ON)、該図4に示す処理(前記ステップS37の処理)を終了する。
前輪駆動の場合
V=(Vwrl+Vwrr)/2
後輪駆動の場合
V=(Vwfl+Vwfr)/2
・・・(3)
ここで、Vwfl,Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度であり、Vwrl,Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。すなわち、この(3)式では、従動輪の車輪速の平均値として車速Vを算出している。なお、本実施形態では、後輪駆動の車両であるので、後者の式、すなわち前輪の車輪速度により車速Vを算出する。
続いてステップS4において、逸脱可能性判定を行う。具体的には、図6は、その判定処理の処理手順を示す。
Xs=Tt・V・(φ+Tt・V・β)+X0 ・・・(4)
ここで、Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、この車頭時間Ttに自車速Vを乗じると前方注視点距離になる。すなわち、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位Xsとなる。
続いてステップS72において、逸脱方向を判定する。具体的には、横変位Xを基に、車線中央から左方向に横変位している場合、その方向を逸脱方向Doutに設定し(Dout=left)、車線中央から右方向に横変位している場合、その方向を逸脱方向Doutに設定する(Dout=right)。なお、前記推定横変位Xsを基に、逸脱方向Doutを判定しても良い。
図8に示すように、先ずステップS91において、前記ステップS72で設定した逸脱方向Doutがleft(左方向)か否かを判定する。ここで、逸脱方向Doutがleftの場合(Dout=left)、左方向に車線逸脱しているとして、ステップS92に進み、そうでない場合、すなわち逸脱方向Doutがright(右方向)の場合(Dout=right)、右方向に車線逸脱しているとして、ステップS96に進む。
ステップS93では、前記ステップS2の判定で得た左分岐判定フラグGlがONか否かを判定する。左分岐判定フラグGlがONの場合(Gl=ON)、ステップS94に進み、そうでない場合(Gl=OFF)、ステップS95に進む。
ステップS95では、制御抑制フラグGoffをOFFに設定し、該図8に示す処理(ステップS73の処理)を終了する。
前記ステップS91で逸脱方向Doutがrightであると判定した場合に進むステップS96では、前記ステップS1で読み込んだ右側車線フラグLineRがDotか否かを判定する。右側車線フラグLineRがDotの場合(LineR=Dot)、ステップS97に進み、そうでない場合、すなわち右側車線フラグLineRが実線の場合、前記ステップS95に進む。
ステップS97では、前記ステップS2の判定で得た右分岐判定フラグGrがONか否かを判定する。右分岐判定フラグGrがONの場合(Gr=ON)、前記ステップS94に進み、そうでない場合(Gr=OFF)、前記ステップS95に進む。
続いてステップS74において、車線逸脱傾向を判定する。ここでは、先ず、所定の逸脱傾向判定用しきい値XLを設定する。逸脱傾向判定用しきい値XLは、一般的に車両が車線逸脱傾向にあると把握できる値であり、実験等で得る。例えば、逸脱傾向判定用しきい値XLは、走行路の境界線の位置を示す値であり(図7参照)、下記(5)式により算出する。
XL=Kv・(L−H)/2 ・・・(5)
さらに、制御抑制係数Kvについては、前記ステップS73で設定した制御抑制フラグGoffの状態に基づいて、その設定がなされる。すなわち、制御抑制フラグGoffがONに設定されている場合、現在位置から分岐点までの距離(分岐点間距離)に応じて制御抑制係数Kvを設定する。
図9に示すように、分岐点間距離Xpが小さくなるほど、制御抑制係数Kvは大きくなっている。詳しくは、分岐点間距離Xpが大きい領域では、制御抑制係数Kvは1になっており、分岐点間距離Xpが小さくなっていくときに、ある値で、分岐点間距離Xpが減少するのに対して制御抑制係数Kvは増加するようになり、その後、分岐点間距離Xpがさらに小さくなり、ある値になると、分岐点間距離Xpにかかわらず、制御抑制係数Kvは1よりも大きい値で一定値になる。このような特性図(テーブル)を基に、分岐点間距離Xpに応じて制御抑制係数Kvを設定する。
なお、図7において、逸脱傾向判定用しきい値XLは、自車両の走行車線内に設定されているが、本発明はこれに限らず、走行車線の外側に設定されていても良い。また、自車両が走行車線から逸脱する前に逸脱傾向判定されるものに限らず、例えば車輪の少なくとも1つが車線から逸脱した後に逸脱傾向判定されるように、逸脱傾向判定用しきい値XLが設定されても良い。
前述のように、逸脱傾向判定用しきい値XLは、制御抑制フラグGoffがONに設定されている場合には、分岐点間距離Xpが小さくなるほど、大きくなる。このようなことから、制御抑制フラグGoffがONに設定されている場合には、分岐点間距離Xpが小さくなるほど(分岐点に近いほど)、逸脱傾向判定用しきい値XLが大きくなり、逸脱判断フラグFoutがONに設定され難くなる、すなわち、車線逸脱傾向ありとの判定がなされ難くなる。
続いてステップS5において、運転者の車線変更の意思を判定する。具体的には、前記ステップS1で得た方向スイッチ信号及び操舵角δに基づいて、次のように運転者の車線変更の意思を判定する。
また、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、前記ステップS4(前記ステップS72)で得た逸脱方向Doutが示す方向とが異なる場合、逸脱判断フラグFoutを維持し、逸脱判断フラグFoutをONのままにする(Fout=ON)。すなわち、車線逸脱傾向ありとの判定結果を維持する。
このように、逸脱判断フラグFoutがONである場合において運転者が意識的に車線変更していないときには、逸脱判断フラグFoutをONに維持している。
続いてステップS6において、前記逸脱判断フラグFoutがONの場合、車線逸脱回避のための警報として、音出力又は表示出力をする。
続いてステップS7において、車線逸脱防止制御として自車両を減速させる減速制御を行うか否かを判定する。
ここで、減速制御判定用しきい値Xβは、走行車線曲率βに応じて設定される値であり、その関係は、例えば図10に示すようになる。
図10に示すように、走行車線曲率βが小さいときには、減速制御判定用しきい値Xβはある一定の大きい値となり、走行車線曲率βがある値より大きくなると、走行車線曲率βが増加するのに対して減速制御判定用しきい値Xβは減少するようになり、走行車線曲率βがさらに大きくなると、減速制御判定用しきい値Xβはある一定の小さい値となる。さらに、減速制御判定用しきい値Xβは、車速Vが大きいほど、小さい値になるようにしても良い。
具体的には、前記ステップS71で得た推定横変位Xsと横変位限界距離XLとに基づいて下記(6)式により目標ヨーモーメントMsを算出する。
Ms=K1・K2・(|Xs|−XL) ・・・(6)
ここで、K1は車両諸元から決まる比例ゲインであり、K2は車速Vに応じて変動するゲインである。図11はそのゲインK2の例を示す。図11に示すように、低速域では、ゲインK2は、ある一定の大きい値となり、車速Vがある値よりも大きくなると、車速Vが増加するのに対してゲインK2は減少し、その後ある車速Vに達するとゲインK2はある一定の小さい値となる。
この(6)式によれば、推定横変位Xsと横変位限界距離XLとの差分が大きくなるほど、目標ヨーモーメントMsは大きくなる。また、目標ヨーモーメントMsは、逸脱判断フラグFoutがONの場合に算出され、目標ヨーモーメントMsは、逸脱判断フラグFoutがOFFの場合に0に設定される。
Pgf=Kgv・Kgx・(|Xs|−XL−Xβ) ・・・(7)
ここで、Kgv,Kgxはそれぞれ、車速V及び横変化量dxに基づいて設定する、制動力を制動液圧に換算するための換算係数である。図12はその換算係数Kgv,Kgxの例を示す。この図12に示すように、例えば換算係数Kgv,Kgxは、低速域で大きい値になり、車速Vがある値になると、車速Vとともに増加し、その後ある車速Vに達すると一定値になる。
このようにステップS9において、逸脱回避用の減速度(具体的には目標制動液圧Pgf,Pgr)を得る。
続いてステップS10において、各車輪の目標制動液圧を算出する。すなわち、車線逸脱防止の制動制御の有無に基づいて最終的な制動液圧を算出する。具体的には次のように算出する。
逸脱判断フラグFoutがOFFの場合、すなわち車線逸脱傾向がないとの判定結果を得た場合、下記(8)式及び(9)式に示すように、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動液圧Pmf,Pmrにする。
Psfl=Psfr=Pmf ・・・(8)
Psrl=Psrr=Pmr ・・・(9)
ここで、Pmfは前輪用の制動液圧である。また、Pmrは後輪用の制動液圧であり、前後配分を考慮して前輪用の制動液圧Pmfに基づいて算出した値になる。例えば、運転者がブレーキ操作をしていれば、制動液圧Pmf,Pmrはそのブレーキ操作の操作量に応じた値になる。
|Ms|<Ms1の場合
ΔPsf=0 ・・・(10)
ΔPsr=Kbr・Ms/T ・・・(11)
|Ms|≧Ms1の場合
ΔPsf=Kbf・(Ms/|Ms|)・(|Ms|−Ms1)/T ・・・(12)
ΔPsr=Kbr・(Ms/|Ms|)・Ms1/T ・・・(13)
ここで、Ms1は設定用しきい値を示す。また、Tはトレッドを示す。なお、トレッドTは、便宜上、前後で同じ値である。また、Kbf,Kbrは、制動力を制動液圧に換算する場合の前輪及び後輪についての換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。
Psfl=Pmf
Psfr=Pmf+ΔPsf
Psrl=Pmr
Psrr=Pmr+ΔPsr
・・・(14)
Psfl=Pmf+Pgf/2
Psfr=Pmf+ΔPsf+Pgf/2
Psrl=Pmr+Pgr/2
Psrr=Pmr+ΔPsr+Pgr/2
・・・(15)
Psfl=Pmf+ΔPsf
Psfr=Pmf
Psrl=Pmr+ΔPsr
Psrr=Pmr
・・・(16)
動作は次のようになる。
車両走行中、各種データを読み込み(前記ステップS1)、分岐判定により左分岐判定フラグGl及び右分岐判定フラグGrを設定するとともに、車速Vを算出する(前記ステップS2、ステップS3)。続いて、逸脱可能性判定を行う(前記ステップS4)。すなわち、推定横変位Xsを算出するとともに、逸脱方向Doutを判定し(前記ステップS71、ステップS72)、先に読み込んだ左側車線フラグLineL及び右側車線フラグLineR、判定で得た左分岐判定フラグGl及び右分岐判定フラグGr並びに逸脱方向Doutを基に、制御抑制判定をして、制御抑制フラグGoffを設定する(前記ステップS73)。そして、その設定した制御抑制フラグGoffの状態に応じて逸脱傾向判定用しきい値XLを設定するとともに、設定した逸脱傾向判定用しきい値XLと推定横変位Xsとを比較して、車線逸脱傾向を判定し、その車線逸脱傾向の判定結果を基に、逸脱判断フラグFoutを設定する(前記ステップS74、ステップS75)。さらに、その車線逸脱傾向の判定結果(逸脱判断フラグFout)を、運転者の車線変更の意思に基づいて修正する(前記ステップS5)。そして、車線逸脱傾向の判定結果に基づいて、警報出力を行う(前記ステップS6)。
作用及び効果は次のようになる。
前述のように、Dot(破線)の車線区分線の方向に逸脱傾向があり、その方向が、分岐点付近において、経路誘導により又は高い確度で進むと推定できる走路(左分岐路又は右分岐路)の方向と一致する場合、制御抑制フラグGoffをONに設定し、Dot(破線)の車線区分線の方向に逸脱傾向があっても、その方向が、経路誘導により又は高い確度で進むと推定できる走路(左分岐路又は右分岐路)の方向と一致しない場合等、制御抑制フラグGoffをOFFに設定している。そして、制御抑制フラグGoffがONに設定されている場合には、逸脱判断フラグFoutがONに設定され難くなる。すなわち、車線逸脱傾向ありとの判定がなされ難くなり、車線逸脱防止制御の開始タミングが遅くなる。また、制御抑制フラグGoffがOFFに設定されている場合、通常の車線逸脱傾向の判定がなされ、車線逸脱傾向がある場合には、車線逸脱防止制御が通常のタミングで開始されるようになる。
また、前述のように、走行履歴を用いることで、ナビゲーション情報が使えない状況や一度も走行したことがない道路でも、車両が車線変更する可能性を得ることができる。これにより、車線逸脱防止制御と運転者の意思(車線変更しようとする意思)とが干渉してしまうのを的確に防止できる。
ここで、従来の車線逸脱防止装置では、分岐路手前では車線逸脱防止制御の作動を禁止している。すなわち、図14に示すように、従来の車線逸脱防止装置を搭載した車両100では、分岐点手前でナビゲーション装置により分岐路(同図の左側の車線)に進むように指示されている場合には、現走行路の両側の区分線201,202、すなわち、分岐路と現走行路とを区分する区分線201、及び本線において現走行路と隣接車線(同図の右側の車線)とを区分する区分線202に対して、車線逸脱防止制御を抑制、詳しくは禁止している(制御なしとしている)。
すなわち、前記実施形態では、制御抑制フラグGoffがONに設定されている場合には、逸脱傾向判定用しきい値XLを変更することで、車線逸脱防止制御を実施しつつも、その制御を抑制している。しかし、これに限定されるものではない。すなわち、制御抑制フラグGoffがONに設定されている場合、車線逸脱防止制御の実施を許可することなく、その制御を禁止する。例えば、制御抑制フラグGoffがONに設定されている場合、逸脱判断フラグFoutをOFFに設定することで、車線逸脱防止制御を禁止する。
δth=KPL・δ0 ・・・(17)
ここで、KPLは制御抑制係数であり、δ0は一定値(初期値)である。
図15に示すように、分岐点間距離Xpが小さくなるほど、制御抑制係数KPLは、小さくなっている。詳しくは、分岐点間距離Xpが大きい領域では、制御抑制係数KPLは1になっており、分岐点間距離Xpが小さくなっていくときに、分岐点間距離Xpのある値で、該分岐点間距離Xpの減少とともに制御抑制係数KPLも減少するようになり、その後、分岐点間距離Xpがさらに小さくなり、ある値になると、分岐点間距離Xpにかかわらず、制御抑制係数KPLは零になる。このような特性図(テーブル)を基に、分岐点間距離Xpに応じて制御抑制係数KPLを設定する。
また、前記実施形態では、車両が車線変更する可能性が高い走行区間として、分岐点付近の走行区間を挙げているが、これに限定されるものではない。すなわち、それ以外の走行区間、例えば、分岐点はないが、右折や左折する可能性が高い走行区間等が挙げられる。
また、前記実施形態では、ナビゲーション情報を基に車両が車線変更する可能性が高い走行区間を設定している。しかし、これに限定されるものではない。すなわち、他の情報を基に、車両が車線変更する可能性が高い走行区間を設定することもできる。
Claims (10)
- 走行車線に対する車両の逸脱傾向を判定する車線逸脱傾向判定手段と、
前記車線逸脱傾向判定手段が逸脱傾向が高いと判定した場合、走行車線に対する車両の逸脱を防止する車線逸脱防止制御を行う制御手段と、
車両が車線変更する可能性が高い走行区間を設定する設定手段と、
車線変更の可能性が高い方向を判定する車線変更方向判定手段と、
前記設定手段が設定した前記走行区間で、前記車線逸脱傾向判定手段が逸脱傾向が高いと判定した方向に、前記車線変更方向判定手段が車線変更する可能性が高いと判定した場合、該方向に対しての前記車線逸脱防止制御を抑制する制御抑制手段と、
を備え、
前記設定手段は、車両が車線変更する可能性が高い車線変更地点を基準として、該車線変更地点の手前の所定の区間を前記車両が車線変更する可能性が高い走行区間として設定しており、前記制御抑制手段は、車両が前記車線変更地点に近づくほど、前記車線逸脱防止制御の抑制度合いを大きくすることを特徴とする車線逸脱防止装置。 - 前記車線変更地点は、車両が車線変更により分岐路に進む可能性が高い分岐点であることを特徴とする請求項1に記載の車線逸脱防止装置。
- 走行車線に対する車両の逸脱傾向を判定する車線逸脱傾向判定手段と、
前記車線逸脱傾向判定手段が逸脱傾向が高いと判定した場合、走行車線に対する車両の逸脱を防止する車線逸脱防止制御を行う制御手段と、
車両が車線変更する可能性が高い走行区間を設定する設定手段と、
車線変更の可能性が高い方向を判定する車線変更方向判定手段と、
前記設定手段が設定した前記走行区間で、前記車線逸脱傾向判定手段が逸脱傾向が高いと判定した方向に、前記車線変更方向判定手段が車線変更する可能性が高いと判定した場合、該方向に対しての前記車線逸脱防止制御を抑制する制御抑制手段と、
走行路の車線区分線が車線変更を許可するものか否かを判定する線種判定手段と、
を備え、
前記制御抑制手段は、前記線種判定手段が走行路の車線区分線が車線変更を許可するものであると判定した場合、前記車線逸脱防止制御を抑制することを特徴とする車線逸脱防止装置。 - 前記設定手段は、ナビゲーション情報に基づいて、車両が車線変更する可能性が高い走行区間を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記車線変更方向判定手段は、ナビゲーション情報に基づいた車両への車線変更の指示を検出した場合、該指示方向を車線変更の可能性が高い方向と判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記車線変更方向判定手段は、走行履歴に基づいて、車線変更の可能性が高い方向を判定することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記車線逸脱傾向判定手段は、走行車線に対する車両の横位置と、該横位置に対応して設定した所定のしきい値とを比較し、前記逸脱傾向を判定しており、前記制御抑制手段は、前記横位置に対応して設定した所定のしきい値を変更することで、前記車線逸脱防止制御を抑制することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記車線逸脱傾向判定手段は、舵角と、該舵角に対応して設定した所定のしきい値とを比較し、前記逸脱傾向を判定しており、前記制御抑制手段は、前記舵角に対応して設定した所定のしきい値を変更することで、前記車線逸脱防止制御を抑制することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記制御抑制手段は、前記車線逸脱防止制御を抑制することとして、前記車線逸脱防止制御が作動することを禁止することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 走行車線に対する車両の逸脱傾向を判定する車線逸脱傾向判定ステップと、
前記車線逸脱傾向判定ステップにおいて前記逸脱傾向が高いと判定された場合、走行車線に対する車両の逸脱を防止する車線逸脱防止制御を行う車線逸脱防止ステップと、
車両が車線変更する可能性が高い走行区間を設定する設定ステップと、
車線変更の可能性が高い方向を判定する車線変更方向判定ステップと、
前記設定ステップにおいて設定した前記走行区間で、前記車線逸脱傾向判定ステップが逸脱傾向が高いと判定した方向に、前記車線変更方向判定ステップが車線変更する可能性が高いと判定した場合、該方向に対しての前記車線逸脱防止制御を抑制する制御抑制ステップと、
を備え、
前記設定ステップは、車両が車線変更する可能性が高い車線変更地点を基準として、該車線変更地点の手前の所定の区間を前記車両が車線変更する可能性が高い走行区間として設定しており、前記制御抑制ステップは、車両が前記車線変更地点に近づくほど、前記車線逸脱防止制御の抑制度合いを大きくすることを特徴とする車線逸脱防止方法。
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