JP4380302B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、前述の問題に鑑みてなされたものであり、車線逸脱防止の制御を最適に行うことができる車線逸脱防止装置の提供を目的とする。
この実施の形態は、本発明の車線逸脱防止装置を搭載した後輪駆動車両である。この後輪駆動車両は、自動変速機とコンベンショナルディファレンシャルギヤとを搭載し、前後輪とも左右輪の制動力を独立制御可能な制動装置を搭載している。
図1は、第1の実施の形態の車線逸脱防止装置を備えた車両を示す概略構成図である。
また、この車両には、画像処理機能付きの撮像部13が設けられている。撮像部13は、自車両の車線逸脱傾向検出用に走行車線内の自車両の位置を検出するためのものである。例えば、撮像部13は、CCD(Charge Coupled Device)カメラからなる単眼カメラで撮像するように構成されている。この撮像部13は車両前部に設置されている。
次に、制駆動力コントロールユニット8で行う演算処理手順について、図2を用いて説明する。この演算処理は、例えば10msec.毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、この図2に示す処理内には通信処理を設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読出される。
前輪駆動の場合
V=(Vwrl+Vwrr)/2
後輪駆動の場合
V=(Vwfl+Vwfr)/2
・・・(1)
ここで、Vwfl,Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度であり、Vwrl,Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。すなわち、この(1)式では、従動輪の車輪速の平均値として車速Vを算出している。なお、本実施の形態では、後輪駆動の車両であるので、後者の式、すなわち前輪の車輪速度により車速Vを算出する。
続いてステップS3において、走行環境を判定する。具体的には、自車両が走行している道路の種類、自車両の走行車線を検出する。そして、その検出結果から、安全度に基づいた方向の判定をする。判定は、道路情報、すなわち車線数や一般道路か高速道路かを示す道路種別情報や撮像部13が得た画像情報に基づいて行う。図3はその走行環境判定の具体的な処理手順を示す。
続いてステップS23において、撮像部13が得た撮像画像から白線部分(車線区分線部分)を抽出する。ここで、図4に示すように自車両が片側3車線の道路を走行している場合を例に挙げて説明する。この図4に示すように、道路は、左側から第1乃至第4白線LI1,LI2,LI3,LI4により区分されることで、片側3車線の道路として構成されている。このような道路を自車両が走行する場合、車線毎で得られる撮像画像は異なる。さらにその画像中から白線を抽出して構成される画像も、走行車線に応じて異なるものになる。
また、右側車線を自車両100Cが走行している場合、左方向、すなわち隣車線に逸脱するときよりも、右方向、すなわち対向車線に逸脱したときの方が安全度が低くなる。よって、この場合、右側車線を自車両100Cが走行している場合、障害物等存在方向Soutが右方向であると判定する(Sout=right)。
また、車線数で比較した場合、左方向が路肩になり、右方向が対向車線になる片側1車線のときがより安全度が低くなる。この場合には、左右両方向が障害物等存在方向Soutであると判定する(Sout=both)。
続いてステップS4において、車線逸脱傾向の判定を行う。この判定の処理の処理手順は具体的には図6に示すようになる。
先ずステップS41において、逸脱予測時間Toutを算出する。具体的には、dxを前記横変位Xの変化量(単位時間当たりの変化量)とし、Lを車線幅とし、横変位Xを用いて、下記(2)式により逸脱予測時間Toutを算出する(X,dx,Lの値については図7を参照)。
この(2)式によれば、車線中央(X=0)からXだけ横変位している車両100が、その位置から距離L/2だけ離れた外側位置領域(例えば路肩)に至るまでの逸脱予測時間Toutを求めることができる。
なお、車線幅Lについては、撮像部13が撮像画像を処理することで得ている。また、ナビゲーション装置15から車両の位置を得たり、ナビゲーション装置15の地図データから車線幅Lを得てもよい。
続いてステップS43において、横変位Xに基づいて逸脱方向Doutを判定する。具体的には、車線中央から左方向に横変位している場合、その方向を逸脱方向Doutにし(Dout=left)、車線中央から右方向に横変位している場合、その方向を逸脱方向Doutにする(Dout=right)。
続いてステップS5において、運転者の車線変更の意図を判定する。具体的には、前記ステップS1で得た方向スイッチ信号及び操舵角δに基づいて、次のように運転者の車線変更の意図を判定する。
方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、前記ステップS4で得た逸脱方向Doutが示す方向とが同じである場合、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。すなわち、逸脱しないとの判定結果に変更する。
また、方向指示スイッチ20が操作されていない場合には、操舵角δに基づいて運転者の車線変更の意図を判定する。すなわち、運転者が逸脱方向に操舵している場合において、その操舵角δ及びその操舵角の変化量(単位時間当たりの変化量)Δδが設定値以上のときには、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。
ここでは、前記ステップS3で得た障害物等存在方向Sout、ステップS4で得た逸脱方向Dout及びステップS5で得た逸脱判断フラグFoutに基づいて、逸脱回避のための制御内容を決定する。
例えば、逸脱判断フラグFoutがONになっている場合(Tout<Ts)、逸脱の警報を実施する。例えば、音や表示等により警報を行う。そして、逸脱判断フラグFoutがONになっている場合(Tout<Ts)、さらに障害物等存在方向Sout及び逸脱方向Doutに基づいて、逸脱回避の制動制御方法を決定する。これについては、後で詳述する。
具体的には、前記ステップS1で得た横変位Xと前記変化量dxとに基づいて、下記(3)式により目標ヨーモーメントMsを算出する。
Ms=K1・X+K2・dx ・・・(3)
ここで、K1,K2は車速Vに応じて変動するゲインである。例えば、図8はその例を示す。この図8に示すように、例えばゲインK1,K2は、低速域で小さい値になり、車速Vがある値になると、車速Vの増加に対応して大きくなり、その後ある車速Vに達すると一定値になる。
Pg=Kgv・V+Kgx・dx ・・・(4)
そして、下記(5)式に示すように、この目標制動液圧Pgに減速度ゲインKggを乗じて前輪用の目標制動液圧Pgfを算出する。
Pgf=Pg・Kgg ・・・(5)
ここで、Kgv,Kgxはそれぞれ、車速V及び横変化量dxに基づいて設定する、制動力を制動液圧に換算するための換算係数である。例えば、図9はその例を示す。この図9に示すように、例えば換算係数Kgv,Kgxは、低速域で大きい値になり、車速Vがある値になると、車速Vの増加に対応して小さくなり、その後ある車速Vに達すると一定値になる。
このようにステップS8において、逸脱回避用の減速度(具体的には目標制動液圧Pgf,Pgr)を得る。
続いてステップS9において、自車両が坂路を走行しているか否かを判定する。
ここで、自車両が下り坂又は上り坂のいずれかを走行しているのであれば、自車両が坂路を走行していると判定する。その判定は、ナビゲーション装置15からの道路情報や各センサからの車両情報(例えば加速度)等に基づいて、自車両が平坦路を走行しているか否かを判定することにより行う。この判定の結果、自車両が坂路を走行している場合、ステップS10に進み、自車両が坂路を走行していない場合(平坦路を走行している場合)、ステップS11に進む。
先ずステップS51において坂路を判定する。具体的には、下り坂又は上り坂を判定する。
続いてステップS52において、前記ステップS51の判定結果である下り坂又は上り坂の道路勾配値を検出する。例えば、ナビゲーション装置15からの情報に基づいて道路勾配値を得る。
続いてステップS53及びステップS54において、前記ステップS52で得た道路勾配値に基づいて減速度ゲインKggを得る。
図11はそのゲインマップの例を示す。このゲインマップに示すように、道路勾配値は、上り坂の場合を正値とし、下り坂の場合を負値としている。このゲインマップは、道路勾配値が0で減速度ゲインKggが1をとり、道路勾配値が0から増加すると(上り勾配になると)、その増加に応じて減速度ゲインKggが1から減少して、そして、ある道路勾配値に達するとそれ以降では(上り勾配がきつくなると)、減速度ゲインKggが一定の値をとるようになる。一方、道路勾配値が0から減少すると(下り勾配になると)、その減少に応じて減速度ゲインKggが1から増加して、そして、ある道路勾配値に達するとそれ以降では(下り勾配がきつくなると)、減速度ゲインKggが一定の値をとるようになる。
続いてステップS55において、変更後の減速度を算出する。具体的には、前記(5)式により、前記ステップS54で得た減速度ゲインKggを用いて前輪用の目標制動液圧Pgfを算出する。そして、この前輪用の目標制動液圧Pgfに基づいて、前後配分を考慮した後輪用の目標制動液圧Pgrを算出する。これにより、前後輪の目標制動液圧Pgf,Pgrが道路勾配値に応じて変更され、この結果、減速度が道路勾配値に応じて変更される。
このようにステップS10で減速度を変更する。そして、ステップS11に進む。
ステップS11の処理は、前記ステップS9で平坦路を走行する場合に進む処理でもある。このステップS11では、各車輪の目標制動液圧を算出する。すなわち、逸脱回避の制動制御の有無に基づいて最終的な制動液圧を算出する。具体的には次のように算出する。
Psfl=Psfr=Pmf ・・・(6)
Psrl=Psrr=Pmr ・・・(7)
ここで、Pmfは前輪用のマスタシリンダ液圧である。また、Pmrは後輪用のマスタシリンダ液圧であり、前後配分を考慮して前輪用のマスタシリンダ液圧Pmfに基づいて算出した値になる。
Ms<Ms1の場合
ΔPsf=0 ・・・(8)
ΔPsr=2・Kbr・Ms/T ・・・(9)
Ms≧Ms1の場合
ΔPsf=2・Kbf・(Ms−Ms1)/T ・・・(10)
ΔPsr=2・Kbr・Ms1/T ・・・(11)
ここで、Ms1は設定用しきい値を示す。また、Tはトレッドを示す。なお、このトレッドTは、簡単のため前後で同じ値にする。また、Kbf,Kbrは、制動力を制動液圧に換算する場合の前輪及び後輪についての換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。
ここで、前記ステップS6で決定する制動制御方法を説明する。
前記ステップS6では、前記障害物等存在方向Sout及び前記逸脱方向Doutに基づいて制動制御方法を決定しており、これについて、障害物等存在方向Sout及び逸脱方向Doutの状態で場合分け(第1のケース〜第3のケース)して制動制御方法を説明する。
ここで、逸脱を回避するために車両に付与するヨーモーメントの大きさが前記目標ヨーモーメントMsになる。そして、車両へのヨーモーメントの付与は、左右の車輪に与える制動力に差をつけることで行う。具体的には、前述したように、目標ヨーモーメントMsが設定用しきい値Ms1未満のときには、左右後輪で制動力差を発生させて、車両に当該目標ヨーモーメントMsを付与し、また、目標ヨーモーメントMsが設定用しきい値Ms1以上のときには、前後左右輪で制動力差を発生させて、車両に当該目標ヨーモーメントMsを付与する。
また、逸脱判断フラグFoutがONからOFFになる場合とは、逸脱傾向がある場合に、逸脱回避のための制動制御が実施されたり、或いは運転者自身が回避操作をしたようなときである。
さらに、前記第1逸脱判断しきい値Ts未満の第2逸脱判断しきい値Tr(Ts>Tr>0)を定義して、この第2逸脱判断しきい値Trよりも逸脱予測時間Toutが小さくなったときに(Tout<Tr)、逸脱回避用ヨー制御に加えて、車両を減速させるための制動制御(以下、逸脱回避用減速制御という。)を行う。この逸脱回避用減速制御は、左右両車輪に同程度の制動力を与えて行う。
さらに、この場合、逸脱予測時間Toutが0になったときに、逸脱回避用ヨー制御に加えて、逸脱回避用減速制御を行う。
なお、この第3のケースの場合において、前記第2のケースと同様に、第2逸脱判断しきい値Trよりも逸脱予測時間Toutが小さくなったときにも、逸脱回避用減速制御を行ってもよい。この場合、例えば、逸脱予測時間Toutが0になったときに、逸脱回避用減速制御による自車両の減速度をさらに大きくする。これにより、第2逸脱判断しきい値Trよりも逸脱予測時間Toutが小さくなったとき、さらには逸脱予測時間Toutが0になったときに、逸脱回避用減速制御が作動するようになる。そして、この場合、逸脱予測時間Toutが0になったときに、より自車両の減速度が大きくなる。
そして、ステップS11では、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)をこのような各種制動制御方法に対応して算出する。
Psfl=Pmf
Psfr=Pmf+ΔPsf
Psrl=Pmr
Psrr=Pmr+ΔPsr
・・・(12)
Psfl=Pmf+Pgf/2
Psfr=Pmf+ΔPsf+Pgf/2
Psrl=Pmr+Pgr/2
Psrr=Pmr+ΔPsr+Pgr/2
・・・(13)
また、この(12)式及び(13)式が示すように、運転者による減速操作、すなわちマスタシリンダ液圧Pmf,Pmrを考慮して各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出している。
以上が、制駆動力コントロールユニット8による演算処理である。そして、制駆動力コントロールユニット8は、前記ステップS11で算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧指令値として、制動流体圧制御部7に出力する。
先ず、各センサやコントローラ、コントロールユニットから各種データを読み込む(前記ステップS1)。続いて車速Vを算出する(前記ステップS2)。
続いて、走行環境を判定して、安全度が低い方向(障害物等存在方向Sout)を決定する(前記ステップS3、図3)。例えば、前記図4において左側車線を自車両100Aが走行している場合、障害物等存在方向Soutを左方向にする、といったようにである。
また、そのようにして得た逸脱方向Doutと方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)とに基づいて運転者の車線変更の意図を判定する(前記ステップS5)。
例えば、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と逸脱方向Doutが示す方向とが同じである場合、運転者が意識的に車線変更していると判定する。この場合、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する。
さらに、横変位Xと前記変化量dxとに基づいて目標ヨーモーメントMsを算出し(前記ステップS7)、また、逸脱回避用の減速度を算出する(前記ステップS8)。
そして、前記逸脱判断フラグFout、障害物等存在方向Sout及び逸脱方向Doutに基づいて決定した制動制御方法を実現するための各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する(前記ステップS11)。
第2のケースとは、前述したように、障害物等存在方向Soutと逸脱方向Doutとが一致し、かつ道路種別Rが一般道路の場合である。すなわち、図12に示すように、左側が路肩Aになり、右側が対向車線(中央車線LI5側)になるような片側1車線を自車両100が走行している場合において、当該自車両100(図12中最上位置の自車両100)が左方向或いは当該自車両(図12中中間位置の自車両100)が右方向に逸脱する傾向にある場合である。
なお、図12及び図13中、黒塗りしている車輪は、液圧を発生させて制動力が与えられている車輪を示す。すなわち、左右車輪のうちのいずれか一方が黒塗りの車輪の場合、左右車輪で液圧或いは制動力に差がある。この場合、車両にヨーモーメントが付与されることを示す。また、左右車輪が黒塗りの車輪の場合でも、その液圧値に差があるときもあり、この場合には、車両にヨーモーメントが付与されつつ、同時に当該車両が減速制御されていることを示す。
一方、自車両が坂路を走行している場合において制動制御を行った場合の車両挙動は次のようになる。図14中(A)は、自車両100が上り坂を走行している場合を示しており、図14中(B)は、自車両100が下り坂を走行している場合を示している。このように、自車両が坂路を走行している場合において、逸脱傾向がある場合に、図15に示すように、逸脱回避用減速制御を行う場合がある。この場合、図14中(A)に示すように自車両100が上り坂を走行しているのであれば、その逸脱回避用減速制御による減速度は平坦路のときよりも小さい値とされる。一方、図14中(B)に示すように自車両100が下り坂を走行しているのであれば、その逸脱回避用減速制御による減速度は平坦路のときよりも大きい値とされる。
前述したように、走行路が上り坂の場合、逸脱回避用減速制御の減速度を小さい値に変更している。これにより、自車両100は、上り坂を走行している場合には、逸脱回避用減速制御が行われても過剰に減速することもない。
また、前述したように、走行路が下り坂の場合、逸脱回避用減速制御の減速度を大きい値に変更している。これにより、自車両100は、下り坂を走行している場合には、逸脱回避用減速制御により自車両が十分に減速されるので、確実に逸脱を回避できるようになる。
この第2の実施の形態では、下り坂で逸脱回避用減速制御を行い、逸脱を回避した後でも、さらに下り坂が続いているような場合、減速制御を行うようにしている。これを実現すべく、第2の実施の形態では、前述の第1の実施の形態と、制駆動力コントロールユニット8の処理内容を異ならせている。
なお、第2の実施の形態の車両の他の構成については、特に言及しない限りは、前述の第1の実施の形態の構成と同じである。
制駆動力コントロールユニット8で行う演算処理手順は図16に示すようになる。演算処理手順は、前述の第1の実施の形態の演算処理手順とほぼ同じであり、特に異なる部分について説明する。
そして、ステップS9において自車両が坂路を走行しているか否かを判定し、坂路であれば、ステップS10に進み、平坦路であれば、ステップS11に進む。
ここで、前述の第1の実施の形態と同様に、自車両が平坦路を走行している場合、前記ステップS8で算出した減速度になるように、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。また、自車両が上り坂を走行している場合、前記ステップS8で算出した減速度を小さい値に変更する。この場合、道路勾配値が大きくなるほど、減速度を小さくする。そして、その変更後の減速度になるように、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。また、自車両が下り坂を走行している場合、前記ステップS8で算出した逸脱回避用の減速度を大きい値に変更する。この場合、道路勾配値が大きくなるほど(負値で大きくなるほど)、減速度を大きくする。そして、その変更後の減速度になるように、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
そして、新たに設けたステップS12において、逸脱回避が終了し、かつ下り坂が継続しているか否かを判定する。ここで、逸脱回避が終了し、かつ下り坂が継続している場合、ステップS13に進み、そうでない場合、当該図16の処理を終了する。
なお、逸脱回避の終了の判定は、逸脱回避用減速制御を行われたことを前提として行う。すなわち、逸脱回避用ヨー制御だけで逸脱回避が終了した場合には、下り坂が継続していても当該図16の処理を終了する。
なお、このように逸脱回避のための逸脱回避用減速制御を終了した地点から実際に下り坂が続く場合でも、その逸脱回避用減速制御を終了した地点から平坦路を確認できるような場合には、下り坂でなくなったとみなして、前記減速制御を行わないようにしてもよい。例えば、このような処理は、前記所定区間の距離が短い場合に有効である。
前述したように、下り坂で自車両を減速させて逸脱を回避した先方の走行路が下り坂の場合に、所定時間又は所定距離の間、自車両を減速させている。
通常、逸脱回避用減速制御を介入させて逸脱を回避した後は、当該逸脱回避用減速制御を停止或いは解除することになる。しかし、下り坂で逸脱回避用減速制御を介入させて逸脱を回避した後に当該逸脱回避用減速制御を停止或いは解除してしまうと、下り坂を走行しているので自車が加速してしまう場合がある。この場合、運転者は実際以上の加速を感じ、違和感を感じる。このような事態になることを防止するため、下り坂で自車両を減速させて逸脱を回避した先方の走行路が下り坂の場合に、所定時間又は所定距離の間、自車両を減速させるようにしている。
すなわち、前述の実施の形態では、逸脱を回避するためのヨーモーメントが車両に付与されるように制動制御(逸脱回避用ヨー制御)、逸脱を回避するために減速させるための制動制御(逸脱回避用減速制御)との組み合わせ方法、その作動順序、その制御量(ヨーモーメントの大きさ、減速度の大きさ)を具体的に説明した。しかし、これに限定されないことはいうまでもない。
また、前述の実施の形態では、運転者の車線変更の意図を操舵角δやその操舵角の変化量Δδに基づいて得ている(前記ステップS5参照)。しかし、運転者の車線変更の意図を他の手法により得るようにしてもよい。例えば、操舵トルクに基づいて運転者の車線変更の意図を得てもよい。
Ms=K3・φ+K4・X+K5・β ・・・(14)
ここで、K3,K4,K5は車速Vに応じて変動するゲインである。
Pg=Kgv・V+Kgφ・φ+Kgβ・β ・・・(15)
ここで、Kgφ,Kgβはそれぞれ、ヨー角φ及び走行車線曲率βに基づいて設定する、制動力を制動液圧に換算するための換算係数である。
△Psf=2・Kbf・Ms/T ・・・(16)
7 制動流体圧制御部
8 制駆動力コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 撮像部
15 ナビゲーション装置
16 ACC用レーダ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
22FL〜22RR 車輪速度センサ
Claims (7)
- 自車両が走行車線から逸脱する傾向の有無を判定する逸脱傾向判定手段と、
前記逸脱傾向判定手段が自車両が走行車線から逸脱する傾向が有ると判定した場合、制動制御によりヨーモーメントを自車両に付与するとともに、自車両を減速させて、走行車線からの自車両の逸脱を回避する逸脱回避制御手段と、を備え、
前記逸脱回避制御手段は、
前記走行路が下り坂の場合、前記自車両を減速させるための減速度を平坦の場合と比較して大きい値に設定する減速度設定手段と、
前記走行路が下り坂で前記逸脱回避制御手段の作動により逸脱を回避した後、その回避した先方の走行路が下り坂の場合に、前記ヨーモーメントを自車両に付与することを中止する一方で、前記自車両の減速を維持する減速維持手段と、
を有することを特徴とする車線逸脱防止装置。 - 前記逸脱回避制御手段は、基準の制動液圧に乗じるゲインを増加させることで前記自車両を減速させる減速度を増加させており、
前記減速度設定手段は、前記下り勾配の度合いが増加するほど前記ゲインを増加させることで、自車両の制動液圧を増加させて、前記自車両を減速させる減速度を増加させる設定をすることを特徴とする請求項1に記載の車線逸脱防止装置。 - 前記減速度設定手段は、前記下り勾配の度合いが所定値に達すると、前記ゲインを一定値に設定することを特徴とする請求項2に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記減速維持手段は、前記走行路が下り坂で前記逸脱回避制御手段の作動により逸脱を回避した後、その回避した先方の走行路が下り坂から平坦路になる区間の間、前記自車両の減速を維持することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記減速維持手段は、前記走行路が下り坂で前記逸脱回避制御手段の作動により逸脱を回避した後、その回避した先方の走行路が下り坂の場合に、所定時間又は所定距離の間、前記自車両の減速だけを維持することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記減速維持手段は、前記走行路が下り坂で前記逸脱回避制御手段の作動により逸脱を回避した後、その回避した先方の走行路が下り坂の場合に、所定時間又は所定距離の間、前記自車両の減速を維持しており、前記所定時間又は所定距離の間に該下り坂が平坦路に変化した場合には、該自車両の減速の維持を終了することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記減速度設定手段は、前記走行路が上り坂の場合、前記自車両を減速させるための減速度を平坦の場合と比較して小さい値に設定することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
Priority Applications (9)
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