JP4900082B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents

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本発明は、車両が走行車線から逸脱しそうになったときに、その逸脱を防止する車線逸脱防止装置に関する。
従来の車線逸脱防止制御として、車両が走行車線を逸脱する可能性がある場合に、左右車輪に制動力差を付与し、車両にヨーモーメントを付与することで、自車両が走行車線から逸脱することを防止するものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2005−145243号公報
ところで、走行車線に対する車両の横変位に応じて車両にヨーモーメントを付与するような場合、前記横変位が大きくなるほど、車両に付与されるヨーモーメントは大きくなる。この場合、ヨーモーメントが過大となる可能性があるので、ある時点で車線逸脱防止制御(ヨーモーメントの付与)を終了(解除)する方が良いが、その終了の際には、運転者に違和感を与えないようにするのが好ましい。
本発明の課題は、車線逸脱防止制御(ヨーモーメントの付与)の終了(解除)が運転者に違和感を与えないようにすることである。
前記課題を解決するために、本発明に係る車線逸脱防止装置は、走行車線に対して車両の逸脱傾向が高くなったと判定した場合、車両にヨーモーメントを付与することで走行車線に対して車両が逸脱するのを防止する車線逸脱防止制御を制御手段が開始し、前記車線逸脱防止制御中の車両の横方向の走行状態又は旋回方向の走行状態が所定の車両状態になった場合に、前記車両に付与するヨーモーメントを零に戻すことで、該車線逸脱防止制御を制御解除手段が解除するものであり、車両の横方向の走行状態及び旋回方向の走行状態のうちの少なくとも一の走行状態を走行状態検出手段により検出し、減少割合設定手段が、前記制御解除手段がヨーモーメントを零に戻す際の、該ヨーモーメントの減少割合を、前記走行状態検出手段が検出した走行状態に応じたものにする。
本発明によれば、車線逸脱防止制御の解除のために、ヨーモーメントを零に戻す際の、該ヨーモーメントの減少割合を走行状態に応じたものにすることで、車線逸脱防止制御の解除が運転者に違和感を与えないようにすることができる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
(構成)
本発明の実施形態は、本発明に係る車線逸脱防止装置を搭載した後輪駆動車両である。この後輪駆動車両は、自動変速機とコンベンショナルディファレンシャルギヤとを搭載し、前後輪とも左右輪の制動力を独立制御可能な制動装置を搭載している。
図1は、実施形態を示す概略構成図である。
図中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧を各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給する。また、マスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御部7が介装されており、制動流体圧制御部7によって、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能になっている。
制動流体圧制御部7は、例えばアンチスキッド制御(ABS)、トラクション制御(TCS)又はビークルダイナミックスコントロール装置(VDC)に用いられる制動流体圧制御部を利用したものである。制動流体圧制御部7は、単独で各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御することも可能であるが、後述する制駆動力コントロールユニット8から制動流体圧指令値が入力されたときには、その制動流体圧指令値に応じて制動流体圧を制御するようにもなっている。
例えば、制動流体圧制御部7は、液圧供給系にアクチュエータを含んで構成されている。アクチュエータとしては、各ホイールシリンダ液圧を任意の制動液圧に制御可能な比例ソレノイド弁が挙げられる。
また、この車両には、駆動トルクコントロールユニット12が設けられている。駆動トルクコントロールユニット12は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比及びスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪5RL,5RRへの駆動トルクを制御する。駆動トルクコントロールユニット12は、燃料噴射量や点火時期を制御したり、同時にスロットル開度を制御したりすることで、エンジン9の運転状態を制御する。駆動トルクコントロールユニット12は、制御に使用した駆動トルクTwの値を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
なお、この駆動トルクコントロールユニット12は、単独で後輪5RL,5RRの駆動トルクを制御することも可能であるが、制駆動力コントロールユニット8から駆動トルク指令値が入力されたときには、その駆動トルク指令値に応じて駆動輪トルクを制御するようにもなっている。
また、この車両には、画像処理機能付きの撮像部13が設けられている。撮像部13は、車両の車線逸脱傾向検出用として、走行車線内の車両の位置を検出するために備えられている。撮像部13は、車両前方を撮像するように設置されたCCD(Charge Coupled Device)カメラからなる単眼カメラで撮像するように構成されている。撮像部(フロントカメラ)13は車両前部に設置されている。
撮像部13は、車両前方の撮像画像から例えば白線(レーンマーカ)等の車線区分線を検出し、その検出した白線に基づいて走行車線を検出している。さらに、撮像部13は、その検出した走行車線に基づいて、走行車線と車両の前後方向軸とのなす角(ヨー角)φfront、走行車線に対する横変位Xfront及び走行車線曲率β等を算出する。
このように、撮像部13は、走行車線をなす白線を検出して、その検出した白線に基づいて、ヨー角φfrontを算出している。撮像部13は、算出したこれらヨー角φfront、横変位Xfront及び走行車線曲率β等を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
なお、本発明においては画像処理以外の検出手段でレーンマーカを検出するものであっても良い。例えば、車両前方に取り付けられた複数の赤外線センサによりレーンマーカを検出し、その検出結果に基づいて走行車線を検出しても良い。
また、本発明は走行車線を白線に基づいて決定する構成に限定されるものではない。すなわち、走行車線を認識させるための白線(レーンマーカ)が走路上にない場合、画像処理や各種センサによって得られる道路形状や周囲環境等の情報から、車両が走行に適した走路範囲や、運転者が車両を走行させるべき走路範囲を推測し、走行車線として決定しても良い。例えば、走路上に白線がなく、道路の両側ががけになっている場合には、走路のアスファルト部分を走行車線として決定する。また、ガードレールや縁石等がある場合は、その情報を考慮して走行車線を決定すれば良い。
また、走行車線曲率βを後述のステアリングホイール21の操舵角δに基づいて算出しても良い。
また、この車両には、ナビゲーション装置14が設けられている。ナビゲーション装置14は、車両に発生する前後加速度Yg或いは横加速度Xg、又は車両に発生するヨーレイトφ´を検出する。ナビゲーション装置14は、検出した前後加速度Yg、横加速度Xg及びヨーレイトφ´を、道路情報とともに、制駆動力コントロールユニット8に出力する。
なお、専用のセンサにより各値を検出しても良い。すなわち、加速度センサにより前後加速度Yg及び横加速度Xgを検出し、ヨーレイトセンサによりヨーレイトφ´を検出しても良い。
また、この車両には、マスタシリンダ3の出力圧、すなわちマスタシリンダ液圧Pmを検出するマスタシリンダ圧センサ17、アクセルペダルの踏込み量、すなわちアクセル開度θを検出するアクセル開度センサ18、ステアリングホイール21の操舵角(ステアリング舵角)δを検出する操舵角センサ19、方向指示器による方向指示操作を検出する方向指示スイッチ20、及び各車輪5FL〜5RRの回転速度、所謂車輪速度Vwi(i=fl,fr,rl,rr)を検出する車輪速度センサ22FL〜22RRが設けられている。そして、これらセンサ等が検出した検出信号は制駆動力コントロールユニット8に出力される。
次に、制駆動力コントロールユニット8で行う演算処理(処理ルーチン)について説明する。図2は、その演算処理の手順を示すフローチャートである。この演算処理は、例えば10msec.毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、図2に示す処理内には通信処理を設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読出される。
図2に示すように、処理開始すると、先ずステップS1において、前記各センサやコントローラ、コントロールユニットから各種データを読み込む。具体的には、ナビゲーション装置14が得た前後加速度Yg、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び道路情報、各センサが検出した、各車輪速度Vwi、操舵角δ、アクセル開度θ、マスタシリンダ液圧Pm及び方向スイッチ信号、並びに駆動トルクコントロールユニット12からの駆動トルクTw、撮像部13から横変位Xfront及び走行車線曲率βを読み込む。
続いてステップS2において、車速Vを算出する。具体的には、前記ステップS1で読み込んだ車輪速度Vwiに基づいて、下記(1)式により車速Vを算出する。
前輪駆動の場合
V=(Vwrl+Vwrr)/2
後輪駆動の場合
V=(Vwfl+Vwfr)/2
・・・(1)
ここで、Vwfl,Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度であり、Vwrl,Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。すなわち、この(1)式では、従動輪の車輪速の平均値として車速Vを算出している。なお、本実施形態では、後輪駆動の車両であるので、後者の式、すなわち前輪の車輪速度により車速Vを算出する。
また、このように算出した車速Vは好ましくは通常走行時に用いる。例えば、ABS(Anti-lock Brake System)制御等が作動している場合には、そのABS制御内で推定している推定車体速度を前記車速Vとして用いるようにする。
続いてステップS3において、ヨー角φfrontを算出する。具体的には、撮像部13が検出した遠方に延びる白線に対する車両のヨー角φfrontを算出する。
なお、このように算出したヨー角φfrontは、撮像部13による実測値になるが、実測値を用いる代わりに、撮像部13が撮像した車両近傍の白線に基づいて、ヨー角φfrontを算出することもできる。すなわち例えば、前記ステップS1で読み込んだ横変位Xfrontを用いて、下記(2)式によりヨー角φfrontを算出する。
φfront=tan-1(V/dX´(=dY/dX)) ・・・(2)
ここで、dXは、横変位Xの単位時間当たりの変化量であり、dYは、単位時間当たりの進行方向の変化量であり、dX´は、前記変化量dXの微分値である。
また、車両近傍の白線に基づいてヨー角φfrontを算出する場合、前記(2)式のように、横変位Xを用いてヨー角φfrontを算出することに限定されるものではない。例えば、車両近傍で検出した白線を遠方に延長し、その延長した白線に基づいて、ヨー角φfrontを算出することもできる。また、Vは前記ステップS2で算出した車速である。
続いてステップS4において、推定横変位を算出する。具体的には、前記ステップS1で得た走行車線曲率β及び現在の車両の横変位Xfront、前記ステップS2で得た車速V、並びに前記ステップS3で得たヨー角φfrontを用いて、下記(3)式により推定横変位Xsを算出する。
Xs=Tt・V・(φfront+Tt・V・β)+Xfront ・・・(3)
ここで、Ttは前方注視距離算出用の車頭時間である。この車頭時間Ttに自車速Vを乗じると前方注視点距離になる。すなわち、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位Xsになる。この(3)式によれば、ヨー角φfrontが大きくなるほど、推定横変位Xsが大きくなる。
続いてステップS5において、車線逸脱防止制御として車両に付与するヨーモーメント(以下、基準ヨーモーメントという。)を算出する。車線逸脱防止制御では、走行車線に対して車両が逸脱傾向にある場合、車両に所定のヨーモーメント(所定の車線逸脱防止制御量)を付与して、車両が走行車線から逸脱するのを回避しており、このステップS5では、実際の走行状態に基づいて、該ヨーモーメント(基準ヨーモーメントMs0)を算出する。図3には、この処理で用いる値の定義を示す。
具体的には、前記ステップS4で得た推定横変位Xsと横変位限界距離XLとに基づいて下記(4)式により基準ヨーモーメントMs0を算出する。
Ms0=K1・K2・(|Xs|−XL) ・・・(4)
ここで、K1は車両諸元から決まる比例ゲインであり、K2は車速Vに応じて変動するゲインである。図4はゲインK2の例を示す。図4に示すように、低速域でゲインK2は小さい値になり、車速Vがある値になると、車速Vの増加とともにゲインK2も増加し、その後ある車速Vに達するとゲインK2は大きい値で一定値となる。
また、横変位限界距離XLは、一般的に車両が車線逸脱傾向にあると把握できる値であり、経験値、実験値等として得る。例えば、横変位限界距離XLは、走行車線の境界線の位置を示す値であり、下記(5)式により算出される。
L=(L−H)/2 ・・・(5)
ここで、Lは走行車線の車線幅(走行車線をなす白線間の幅)であり、Hは車両の幅である。車線幅Lについては、撮像部13が撮像画像を処理して得ている。
以上より、(4)式によれば、推定横変位Xsと横変位限界距離XLとの差分が大きくなるほど、基準ヨーモーメントMs0は大きくなり、また、推定横変位Xsとヨー角φfrontの関係から(前記(3)式参照)、ヨー角φfrontが大きくなるほど、基準ヨーモーメントMs0は大きくなる。
また、後述のステップS6で設定する逸脱判断フラグFoutがONの場合に基準ヨーモーメントMs0を前記(4)式により算出するものとし、逸脱判断フラグFoutがOFFの場合、基準ヨーモーメントMs0を0に設定する。
続いてステップS6において、走行車線に対する車両の逸脱傾向を判定する。具体的には、前記ステップS5で基準ヨーモーメントMs0の算出に用いた横変位限界距離XLを逸脱傾向判定用しきい値とし、この逸脱傾向判定用しきい値XLと、前記ステップS4で得た推定横変位Xsとを比較して、逸脱傾向を判定する。
ここで、推定横変位(絶対値)Xsが逸脱傾向判定用しきい値XL以上の場合(|Xs|≧XL)、車線逸脱傾向ありと判定して、逸脱判断フラグFoutをONに設定し、推定横変位Xsが逸脱傾向判定用しきい値XL未満の場合(|Xs|<XL)、車線逸脱傾向なしと判定して、逸脱判断フラグFoutをOFFに設定する。
なお、車線逸脱傾向の判定を、推定横位置Xsの代わりに実際の横変位Xfront(Tt=0の場合の推定横位置Xs)を用いて行うこともできる。この場合、実際の横変位(絶対値)Xfrontが逸脱傾向判定用しきい値XL以上の場合(|Xfront|≧XL)、車線逸脱傾向ありと判定して、逸脱判断フラグFoutをONに設定する。
また、逸脱判断フラグFoutをONに設定可能とする条件としては、逸脱判断フラグFoutをOFFに設定した後に車両が逸脱状態でない状態((|Xs|<XL)又は(|Xfront|<XL))となった場合とする。また、逸脱判断フラグFoutをONに設定可能とする条件として、逸脱判断フラグFoutをOFFに設定した後、所定時間経過した後とするなどの、時間的な条件を加えることもできる。
また、図3において、逸脱傾向判定用しきい値(横変位限界距離)XLは、車両の走行車線内に設定されているが、本発明はこれに限らず、走行車線の外側に設定されていても良い。また、車両が走行車線から逸脱する前に逸脱傾向判定されるものに限らず、例えば車輪の少なくとも1つが車線から逸脱した後に逸脱傾向判定されるように、逸脱傾向判定用しきい値XLが設定されても良い。
以上のように逸脱判断フラグFoutを設定した後、横変位Xに基づいて逸脱方向Doutを判定する。具体的には、車線中央から左方向に横変位している場合、その方向を逸脱方向Doutにし(Dout=LEFT)、車線中央から右方向に横変位している場合、その方向を逸脱方向Doutにする(Dout=RIGHT)。
なお、アンチスキッド制御(ABS)、トラクション制御(TCS)又はビークルダイナミックスコントロール(VDC)が作動している場合には、車線逸脱防止制御を作動させないようにするために、逸脱判断フラグFoutをOFFに設定しても良い。
また、運転者の車線変更の意思を考慮して、最終的に逸脱判断フラグFoutを設定しても良い。例えば、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、前記逸脱方向Doutが示す方向とが同じである場合、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する。すなわち、車線逸脱傾向なしとの判定結果に変更する。また、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、前記逸脱方向Doutが示す方向とが異なる場合、逸脱判断フラグFoutを維持し、逸脱判断フラグFoutをONのままにする。すなわち、車線逸脱傾向ありとの判定結果を維持する。
また、方向指示スイッチ20が操作されていない場合には、操舵角δに基づいて最終的に逸脱判断フラグFoutを設定する。すなわち、運転者が車線逸脱方向に操舵している場合において、その操舵角δとその操舵角の変化量(単位時間当たりの変化量)Δδとの両方が設定値以上のときには、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する。
続いてステップS7において、前記ステップS1で読み込んだ横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δに基づいて、後述のステップS8で使用する制御終了判定用横変位Xend及びステップS9で使用する減少側変化量リミッタLdownを設定する。
具体的には、横加速度Xgが、該横加速度Xgに対応して設定した所定のしきい値(以下、横加速度判定用値という。)Xgth以上の場合(Xg≧Xgth)、又はヨーレイトφ´が、該ヨーレイトφ´に対応して設定した所定のしきい値(以下、ヨーレイト判定用値という。)φ´th以上の場合(φ´≧φ´th)、又は操舵角δが、該操舵角δに対応して設定した所定のしきい値(以下、操舵角判定用値という。)δthの場合(δ≧δth)、制御終了判定用横変位Xendを小さい値に変更し、及び減少側変化量リミッタLdownを小さい値に変更する。
また、ここで、制御終了判定用横変位Xendは、後述するように、車線逸脱防止制御の終了タイミングを判定するための値であり、さらに、減少側変化量リミッタLdownは、後述するように、車線逸脱防止制御を終了させる際のヨーモーメント(基準ヨーモーメントMs0)の制限に用いる値であるので、これら制御終了判定用横変位Xend及び減少側変化量リミッタLdownを設定するための横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δの値は、車線逸脱防止制御を終了する処理を実施する以前に得ている必要がある。このようなことから、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δの値は、車線逸脱防止制御の終了処理直前の値である。或いは、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δの値は、車線逸脱防止制御の開始時又は車線逸脱防止制御の制御中(随時更新する)の値でも良い。
図5〜図7は、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δのそれぞれの値と制御終了判定用横変位Xendとの関係を示す特性図(一例)であり、図8〜図10は、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δのそれぞれの値と減少側変化量リミッタLdownとの関係を示す特性図(一例)である。図5〜図10ではいずれも、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δが大きくなるほど、制御終了判定用横変位Xend及び減少側変化量リミッタLdownが小さくなる。
このような特性図を用いて、制御終了判定用横変位Xend及び減少側変化量リミッタLdownを設定する。すなわち、横加速度Xgが横加速度判定用値Xgth以上の場合(Xg≧Xgth)、図5及び図8に示す特性図により、該横加速度Xgに応じた制御終了判定用横変位Xend及び減少側変化量リミッタLdownに設定する。また、ヨーレイトφ´がヨーレイト判定用値φ´th以上の場合(φ´≧φ´th)、図6及び図9に示す特性図により、該ヨーレイトφ´に応じた制御終了判定用横変位Xend及び減少側変化量リミッタLdownに設定する。また、操舵角δが操舵角判定用値δth以上の場合(δ≧δth)、図7及び図10に示す特性図により、該操舵角δに応じた制御終了判定用横変位Xend及び減少側変化量リミッタLdownに設定する。
また、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δについての条件が同時に満たされるような場合、すなわち、横加速度Xgが横加速度判定用値Xgth以上となる条件(Xg≧Xgth)、ヨーレイトφ´がヨーレイト判定用値φ´th以上となる条件(φ´≧φ´th)及び操舵角δが操舵角判定用値δth以上となる条件(δ≧δth)のうち少なくとも2つ以上の条件が満たされるような場合、該条件が満たされた値に応じて得られる制御終了判定用横変位Xend及び減少側変化量リミッタLdownのうち、最小のもので設定をする(セレクトローによる設定をする)。例えば、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δそれぞれの値に応じて得られる制御終了判定用横変位Xend及び減少側変化量リミッタLdownのうち、横加速度Xgに応じて得られる制御終了判定用横変位Xend及び減少側変化量リミッタLdownが最小となる場合には、該横加速度Xgに応じた制御終了判定用横変位Xend及び減少側変化量リミッタLdownにより設定を行う。
続いてステップS8において、車線逸脱防止制御における車両へのヨーモーメントの出力(付与)の終了(解除)タイミングを判定する。
前記ステップS6による逸脱傾向の判定に基づけば、車両が走行車線に戻ったり、車両が運転者の意思で車線変更したりすることで、車線逸脱傾向が解消するとされており(Fout=OFF)、これにより、車線逸脱防止制御を終了、すなわち車両へのヨーモーメントの出力(付与)が終了するようになっている。
このステップS8では、このような逸脱傾向の判定とは別に、実際の横変位Xfront(Tt=0の場合の推定横位置Xs)の絶対値が所定のしきい値である制御終了判定用横変位Xend(前記ステップS7において設定される値)以上になった場合(|Xfront|≧Xend)、車線逸脱防止制御の終了タイミングになったと判定する。そして、車線逸脱防止制御の終了タイミングになったと判定した場合、逸脱判断フラグFoutをOFFに設定する。
図11は、横変位Xfrontと制御終了判定用横変位Xendとの関係を示す。
図11に示すように、制御終了判定用横変位Xendから逸脱傾向判定用しきい値XLを減算した値ls_w_LMT(=Xend−XL)が、逸脱傾向判定用しきい値XLから走行車線外側の車線逸脱防止制御の制御範囲になる。ここで、制御終了判定用横変位Xendは、実験値又は経験値等である。
また、前記ステップS7で制御終了判定用横変位Xendの設定に用いる横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δとの関係では、これらの値が大きくなるほど、車線逸脱防止制御の終了タイミングが早くなる。
続いてステップS9において、最終的に制御指令値として用いる目標ヨーモーメントを設定する。
本実施形態の車線逸脱防止制御では、車線逸脱回避完了までに車線逸脱防止制御の処理ルーチン(該図2の処理ルーチン)を複数回実行することを前提としており、すなわち、ヨーモーメント(具体的には、目標ヨーモーメントMs)を車両に連続的に逐次付与することで、車両の車線逸脱を回避することを前提としており、このようなことから、制御開始から制御終了までに実施する一連の処理ルーチンにより、ヨーモーメント(制御量)は、徐々に増加し、その後、徐々に減少するようになっている。
このステップS9では、このようなヨーモーメントの出力形態にすることを前提として、前記ステップS5で算出した基準ヨーモーメントMs0に対するリミッタ処理をして目標ヨーモーメントMsを算出している。このようなことから、先ず、リミッタ処理するためのリミッタを既定値として設定する。
図12は、基準ヨーモーメントMs0についての経時変化を示す。
図12に示すように、基準ヨーモーメントMs0の増加側(制御始期又は制御前半の値)の増加割合を制限するリミッタとして増加側変化量リミッタLupを設定し、基準ヨーモーメントMs0の最大値(制御中盤の値)を制限するリミッタとして最大値リミッタLmaxを設定し、基準ヨーモーメントMs0の減少側(制御終期又は制御後半の値)の減少割合を制限するリミッタとして減少側変化量リミッタLdownを設定する。
ここで、増加側変化量リミッタLup及び減少側変化量リミッタLdownは、該車線逸脱防止制御の1回の処理ルーチン時間内の変化量相当になる。また、増加側変化量リミッタLup、最大値リミッタLmax、減少側変化量リミッタLdownは、経験値や実験値等に基づいて、車両が走行車線から逸脱回避するのに最低限必要なヨーモーメントをスムーズに変化させるものとして決定される。ここで、減少側変化量リミッタLdownは、前記ステップS7で設定される値である。
以上のような増加側変化量リミッタLup、最大値リミッタLmax、減少側変化量リミッタLdownを既定値として設定し、その設定した増加側変化量リミッタLup、最大値リミッタLmax、減少側変化量リミッタLdownにより制限した基準ヨーモーメントMs0を目標ヨーモーメントMsとして算出する。
図13は、これらリミッタLup、Lmax、Ldownで基準ヨーモーメントMs0を制限して得た結果、すなわち目標ヨーモーメントMsを示す。
なお、増加側変化量リミッタLupが小さくなると、目標ヨーモーメントMsの増加側の傾き(増加割合)は小さくなり、減少側変化量リミッタLdownが小さくなると、目標ヨーモーメントMsの減少側の傾き(減少割合)は小さくなる。
また、前記ステップS7で減少側変化量リミッタLdownの設定に用いる横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δとの関係では、これらの値が大きくなるほど、減少側変化量リミッタLdownが小さくなり、目標ヨーモーメントMsの減少側の傾き(減少割合)が小さくなる。
続いてステップS10において、前記逸脱判断フラグFoutがONの場合、車線逸脱回避のための警報として、音出力又は表示出力をする。
なお、逸脱判断フラグFoutがONの場合、すなわち、目標ヨーモーメントMsの絶対値|Ms|が0よりも大きい場合、車線逸脱防止制御として車両へのヨーモーメント(目標ヨーモーメントMs)の付与を開始するから、このヨーモーメントの付与と同時に該警報出力がされる。しかし、警報の出力タイミングは、これに限定されるものではなく、例えば、前記ヨーモーメント付与の開始タイミングよりも早くても良い。
続いてステップS11において、各車輪の目標制動液圧を算出する。具体的には次のように算出する。
逸脱判断フラグFoutがOFFの場合、すなわち、目標ヨーモーメントMsが0の場合(車線逸脱防止制御を実施しない場合)、下記(6)式及び(7)式に示すように、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動液圧Pmf,Pmrにする。
Psfl=Psfr=Pmf ・・・(6)
Psrl=Psrr=Pmr ・・・(7)
ここで、Pmfは前輪用の制動液圧である。また、Pmrは後輪用の制動液圧であり、前後配分を考慮して前輪用の制動液圧Pmfに基づいて算出した値になる。例えば、運転者がブレーキ操作をしていれば、制動液圧Pmf,Pmrはそのブレーキ操作の操作量(マスタシリンダ液圧Pm)に応じた値になる。
一方、逸脱判断フラグFoutがONの場合、すなわち、目標ヨーモーメントMsの絶対値|Ms|が0よりも大きい場合(車線逸脱傾向があるとの判定結果を得た場合)、前記ステップS8で設定した目標ヨーモーメントMsに基づいて、前輪目標制動液圧差ΔPsf及び後輪目標制動液圧差ΔPsrを算出する。具体的には、下記(8)式〜(11)式により目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを算出する。
|Ms|<Ms1の場合
ΔPsf=0 ・・・(8)
ΔPsr=Kbr・|Ms|/T ・・・(9)
|Ms|≧Ms1の場合
ΔPsf=Kbf・(|Ms|−Ms1)/T ・・・(10)
ΔPsr=Kbr・Ms1/T ・・・(11)
ここで、Ms1は設定用しきい値を示す。また、Tはトレッドを示す。なお、トレッドTは、便宜上前後で同じ値にする。また、Kbf,Kbrは、制動力を制動液圧に換算する場合の前輪及び後輪についての換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。
このように、目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて車輪で発生させる制動力の配分を決定している。すなわち、目標ヨーモーメントMsが設定用しきい値Ms1未満のときには、前輪目標制動液圧差ΔPsfを0として、後輪目標制動液圧差ΔPsrに所定値を与えて、左右後輪で制動力差を発生させるようにし、また、目標ヨーモーメントMsが設定用しきい値Ms1以上のときには、各目標制動液圧差ΔPsr,ΔPsrに所定値を与え、前後左右輪で制動力差を発生させるようにしている。
そして、算出した目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを用いて、最終的な各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。具体的には、逸脱判断フラグFoutがONで、かつ逸脱方向DoutがLEFTの場合、すなわち左側の白線に対して車線逸脱傾向がある場合、下記(12)式により各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
Psfl=Pmf
Psfr=Pmf+ΔPsf
Psrl=Pmr
Psrr=Pmr+ΔPsr
・・・(12)
また、逸脱判断フラグFoutがONで、かつ逸脱方向DoutがRIGHTの場合、すなわち右側の白線に対して車線逸脱傾向がある場合、下記(13)式により各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
Psfl=Pmf+ΔPsf
Psfr=Pmf
Psrl=Pmr+ΔPsr
Psrr=Pmr
・・・(13)
この(12)式及び(13)式によれば、車線逸脱回避側の車輪の制動力が大きくなるように、左右輪の制動力差が発生する。
また、ここでは、(12)式及び(13)式が示すように、運転者によるブレーキ操作、すなわち制動液圧Pmf,Pmrを考慮して各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出している。そして、制駆動力コントロールユニット8は、このようにして算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧指令値として、制動流体圧制御部7に出力する。
(動作)
動作は次のようになる。
車両走行中、各種データを読み込むとともに(前記ステップS1)、車速V及びヨー角φfrontを算出する(前記ステップS2、ステップS3)。続いて、推定横変位(逸脱推定値)Xsを算出し(前記ステップS4)、その算出した推定横変位Xsに基づいて車線逸脱傾向の判定(逸脱判断フラグFoutの設定)を行うとともに、その車線逸脱傾向の判定結果(逸脱判断フラグFout)を、運転者の車線変更の意思に基づいて修正する(前記ステップS6)。
そして、車線逸脱傾向の判定結果に基づいて、警報出力を行う(前記ステップS10)。さらに、基準ヨーモーメントMs0を算出して(前記ステップS5)、その算出した基準ヨーモーメントMs0をリミッタ処理することで、目標ヨーモーメントMsを算出し(前記ステップS9)、その算出した目標ヨーモーメントMsに基づいて各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出し、その算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧制御部7に出力する(前記ステップS11)。これにより、車両の車線逸脱傾向に応じて車両にヨーモーメントが付与される。
一方、横加速度Xg(≧Xgth)、ヨーレイトφ´(≧φ´th)及び操舵角δ(≧δth)に基づいて、制御終了判定用横変位Xend及び減少側変化量リミッタLdownを設定する(前記ステップS7)。そして、その設定した制御終了判定用横変位Xendを基に、車線逸脱防止制御の終了タイミングになったと判定した場合、逸脱判断フラグFoutをOFFに設定し、車線逸脱防止制御を終了(解除)する(前記ステップS8)。さらに、この車線逸脱防止制御を終了させる際のヨーモーメントの減少割合を、先に設定した減少側変化量リミッタLdownにより制限する(前記ステップS9)。
図14を用いて、車線逸脱防止制御の終了タイミング及びその終了の際のヨーモーメント変化を説明する。
横加速度Xgが横加速度判定用値Xgth以上の場合(Xg≧Xgth)、ヨーレイトφ´がヨーレイト判定用値φ´th以上の場合(φ´≧φ´th)、又は操舵角δが操舵角判定用値δthの場合(δ≧δth)、制御終了判定用横変位Xendを小さい値に変更することで、車線逸脱防止制御の終了タイミングが早くなる。すなわち、横変位Xfrontがまだ小さい時期に、車線逸脱防止制御が終了する(同図(b))。
そして、横加速度Xgが横加速度判定用値Xgth以上の場合(Xg≧Xgth)、ヨーレイトφ´がヨーレイト判定用値φ´th以上の場合(φ´≧φ´th)、又は操舵角δが操舵角判定用値δthの場合(δ≧δth)、減少側変化量リミッタLdownを小さい値に変更しているので、その車線逸脱防止制御を終了させる際のヨーモーメントの減少割合が少なくなる(同図(a)の一点鎖線)。
すなわち、車線逸脱防止制御を終了する処理において、ヨーモーメントの減少を開始させるタイミング(同図(a)の一点鎖線の減少開始位置)が、通常処理のもの(同図(a)の点線の減少開始位置)よりも早くなり、ヨーモーメントの減少割合(同図(a)の一点鎖線)が、通常制御のものよりも(同図(a)の点線)少なくなる(傾きが小さくなる)。
(作用及び効果)
作用及び効果は次のようになる。
前述のように、車線逸脱防止制御の終了(解除)のために、ヨーモーメントを零に戻す際の、該ヨーモーメントの減少割合を、車両の横方向及び旋回方向の走行状態を示す横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δに応じたものにしている。具体的には、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δが大きくなるほど、ヨーモーメントの減少割合を少なくしている。これにより、車線逸脱防止制御の解除が運転者に違和感を与えないようにすることができる。
図15は、車両101が旋回走行(カーブ路を走行)しているときに、車線逸脱防止制御の終了(解除)のために、ヨーモーメントを零に戻したときの該車両101の挙動を示す。同図(a)は、従来の車線逸脱防止制御におけるもの(ヨーモーメントを急激に零にしている)で、同図(b)は、本発明を適用した車線逸脱防止制御におけるものである。
従来の車線逸脱防止制御では、その終了処理として、車両101に付与しているヨーモーメントを急激に零に戻しているので、同図(a)に示すように、制御終了直後の車両101は、作用している力(遠心力等)が急激に変化するため、運転者に違和感を与えるような姿勢になってしまう場合がある。また、そのように車両に作用している力(遠心力等)の急激な変化が、車両を旋回させるための運転者の操舵操作に影響し、車線逸脱防止制御の終了が運転者に違和感を与えてしまう場合がある。
これに対して、本発明を適用することで、車線逸脱防止制御の終了時には、車両101に付与しているヨーモーメントが徐々に減少するようになるので、すなわち車両101がゆっくりと走行路に戻るようになるので、同図(b)に示すように、制御終了直後の車両101では、作用している力(遠心力等)が急激に変化することもないので、運転者に違和感を与えないような姿勢になる。また、そのように車両に作用している力(遠心力等)が急激に変化することもないので、車線逸脱防止制御の終了が車両を旋回させるための運転者の操舵操作に影響するのを抑制できる。
また、前述のように、車線逸脱防止制御の終了(解除)のタイミング、すなわち、ヨーモーメントを零に戻すタイミングを、車両の横方向及び旋回方向の走行状態を示す横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δに応じたものにしている。具体的には、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δが大きくなるほど、車線逸脱防止制御の終了のタイミングを早くしている。この結果、車線逸脱防止制御の終了時には、ヨーモーメントの減少割合に対応した終了タイミングになる。すなわち、ヨーモーメントの減少割合が少なくなるほど、終了タイミングが早くなる。
車線逸脱防止制御の終了時のヨーモーメントの減少割合を少なくした場合、ヨーモーメントが零に戻るまでに車両に付与されるヨーモーメントの総量(積分値)は、減少割合を変更しない場合よりも多くなる。しかし、終了タイミングが通常のものである場合よりも早くヨーモーメントが零に達すようになるので、ヨーモーメントの減少割合を少なくして、ヨーモーメントを徐々に減少させる場合でも、例えば、車両が走行路に対して戻り過ぎてしまうようなことを抑制できる。
また、前述のように、制御終了判定用横変位Xend及び減少側変化量リミッタLdownを設定するための横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δの値に、車線逸脱防止制御の終了処理直前の値を用いている。これにより、車線逸脱防止制御の終了処理直前の走行状態を反映させて、制御終了判定用横変位Xend及び減少側変化量リミッタLdownを設定でき、すなわち、車線逸脱防止制御終了の際の車両挙動(ヨーモーメントの減少開始タイミング及びヨーモーメントの減少割合)が車線逸脱防止制御の終了直前の走行状態が反映されたものとなり、この結果、車線逸脱防止制御が運転者に違和感を与えてしまうのを確実に抑制することができる。
なお、前記実施形態を次のような構成により実現することもできる。
すなわち、前記実施形態では、車両の横方向及び旋回方向の走行状態を示す値として、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δを用いている。しかし、これに限定されるものではない。すなわち、車両の横方向及び旋回方向の走行状態を示す値であれば、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δ以外の値を用いることもできる。
また、前記実施形態では、車両状態を示す値である横変位Xfrontを基に車線逸脱防止制御の終了(解除)を判定している。しかし、これに限定されるものではない。すなわち、他の車両状態を示す値、例えば、横加速度Xg、ヨーレイトφ´及び操舵角δを基に車線逸脱防止制御の終了を判定することもできる。
図16を用いて、操舵角δを基に行う車線逸脱防止制御の終了の判定処理を説明する。同図(b)は、車線逸脱防止制御の終了判定に用いる操舵角δの変化を示し、同図(a)は、その制御終了の際のヨーモーメント変化を示す。
同図(b)に示すように、操舵角δが所定のしきい値である制御終了判定用操舵角δe以上の場合(δ≧δe)、車線逸脱防止制御の終了タイミングになったと判定する。ここで、前述のように制御終了判定用横変位Xendに対して行った場合と同様な設定を制御終了判定用操舵角δeに対しても行う(前記ステップS7)。すなわち、横加速度Xgが横加速度判定用値Xgth以上の場合(Xg≧Xgth)、ヨーレイトφ´がヨーレイト判定用値φ´th以上の場合(φ´≧φ´th)、又は操舵角δが操舵角判定用値δthの場合(δ≧δth)、制御終了判定用操舵角δeを小さい値に変更する。これにより、横加速度Xgが横加速度判定用値Xgth以上の場合(Xg≧Xgth)、ヨーレイトφ´がヨーレイト判定用値φ´th以上の場合(φ´≧φ´th)、又は操舵角δが操舵角判定用値δthの場合(δ≧δth)、車線逸脱防止制御の終了タイミングが早くなる。例えば、操舵角判定用値δthとの比較に用いる操舵角δを、車線逸脱防止制御開始時の操舵角δsにする。
そして、横加速度Xgが横加速度判定用値Xgth以上の場合(Xg≧Xgth)、ヨーレイトφ´がヨーレイト判定用値φ´th以上の場合(φ´≧φ´th)、又は操舵角δが操舵角判定用値δthの場合(δ≧δth)、減少側変化量リミッタLdownを小さい値に変更しているので、その車線逸脱防止制御を終了させる際のヨーモーメントの減少割合が少なくなる(同図(a)の一点鎖線)。
すなわち、車線逸脱防止制御を終了する処理において、ヨーモーメントの減少を開始させるタイミング(同図(a)の一点鎖線の減少開始位置)が、通常処理のもの(同図(a)の点線の減少開始位置)よりも早くなり、ヨーモーメントの減少割合(同図(a)の一点鎖線)が、通常制御のものよりも(同図(a)の点線)少なくなる(傾きが小さくなる)。
同様にして、横加速度Xgやヨーレイトφ´を基に車線逸脱防止制御の終了の判定処理を行うこともできる。
なお、前記実施形態の説明では、制駆動力コントロールユニット8のステップS6及びステップS11の処理は、走行車線に対して車両の逸脱傾向が高くなったと判定した場合、車両にヨーモーメントを付与することで走行車線に対して車両が逸脱するのを防止する車線逸脱防止制御を開始する制御手段を実現しており、制駆動力コントロールユニット8のステップS8の処理は、前記車線逸脱防止制御中の車両状態が所定の車両状態になった場合に、前記車両に付与するヨーモーメントを零に戻すことで、該車線逸脱防止制御を解除する制御解除手段を実現しており、制駆動力コントロールユニット8のステップS1の処理は、車両の横方向の走行状態及び旋回方向の走行状態のうちの少なくとも一の走行状態を検出する走行状態検出手段を実現しており、制駆動力コントロールユニット8のステップS7及びステップS9の処理は、前記制御解除手段がヨーモーメントを零に戻す際の、該ヨーモーメントの減少割合を、前記走行状態検出手段が検出した走行状態に応じたものにする減少割合設定手段を実現している。
また、制駆動力コントロールユニット8のステップS7及びステップS8の処理は、走行状態検出手段が検出した車両の横加速度、操舵角及びヨーレイトのうちの少なくとも一の値が大きくなるほど、車両に付与するヨーモーメントを零に戻すタイミングを早くする制御解除手段を実現している。
本発明の実施形態の車両を示す概略構成図である。 車両の車線逸脱防止装置のコントロールユニットの処理内容を示すフローチャートである。 推定横変位Xsや逸脱傾向判定用しきい値XLの説明に使用した図である。 車速VとゲインK2との関係を示す特性図である。 横加速度Xgと制御終了判定用横変位Xendとの関係を示す特性図である。 ヨーレイトφ´と制御終了判定用横変位Xendとの関係を示す特性図である。 操舵角δと制御終了判定用横変位Xendとの関係を示す特性図である。 横加速度Xgと減少側変化量リミッタLdownとの関係を示す特性図である。 ヨーレイトφ´と減少側変化量リミッタLdownとの関係を示す特性図である。 操舵角δと減少側変化量リミッタLdownとの関係を示す特性図である。 横変位Xfrontと制御終了判定用横変位Xendとの関係を示す図である。 基準ヨーモーメントMs0の経時変化を示す特性図である。 リミッタ処理により得た目標ヨーモーメントMsの経時変化を示す特性図である。 車線逸脱防止制御の終了判定に用いる横変位Xfrontの変化及びその終了の際のヨーモーメント変化を示す特性図である。 本発明の作用及び効果の説明に使用した図である。 車線逸脱防止制御の終了判定に用いる操舵角δの変化及びその終了の際のヨーモーメント変化を示す特性図である。
符号の説明
6FL〜6RR ホイールシリンダ、7 制動流体圧制御部、8 制駆動力コントロールユニット、9 エンジン、12 駆動トルクコントロールユニット、13 撮像部、17 マスタシリンダ圧センサ、18 アクセル開度センサ、19 操舵角センサ、22FL〜22RR 車輪速度センサ

Claims (4)

  1. 走行車線に対して車両の逸脱傾向が高くなったと判定した場合、車両にヨーモーメントを付与することで走行車線に対して車両が逸脱するのを防止する車線逸脱防止制御を開始する制御手段と、
    前記車線逸脱防止制御中の車両の横方向の走行状態又は旋回方向の走行状態が所定の車両状態になった場合に、前記車両に付与するヨーモーメントを零に戻すことで、該車線逸脱防止制御を解除する制御解除手段と、
    車両の横方向の走行状態及び旋回方向の走行状態のうちの少なくとも一の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
    前記制御解除手段がヨーモーメントを零に戻す際の、該ヨーモーメントの減少割合を、前記走行状態検出手段が検出した走行状態に応じたものにする減少割合設定手段と、
    を備えることを特徴とする車線逸脱防止装置。
  2. 前記走行状態検出手段は、車両の横加速度、操舵角及びヨーレイトのうちの少なくとも一の値を検出しており、前記減少割合設定手段は、前記走行状態検出手段が検出した前記値が大きくなるほど、前記ヨーモーメントの減少割合を少なくすることを特徴とする請求項1に記載の車線逸脱防止装置。
  3. 前記走行状態検出手段は、車両の横加速度、操舵角及びヨーレイトのうちの少なくとも一の値を検出しており、前記制御解除手段は、前記走行状態検出手段が検出した前記値が大きくなるほど、前記車両に付与するヨーモーメントを零に戻すタイミングを早くし、前記減少割合設定手段は、前記走行状態検出手段が検出した前記値が大きくなるほど、前記ヨーモーメントの減少割合を少なくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の車線逸脱防止装置。
  4. 前記車両の横方向の走行状態及び旋回方向の走行状態は、前記車線逸脱防止制御を解除する直前のものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
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