JP2006182128A - 車線逸脱防止方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車線逸脱防止装置は、リスク重みΔDwを設定するとともに(ステップS8)、ブレーキ操作重みΔPsを設定し(ステップS9)、それら重みΔDw,ΔPsに基づいて制御補正用重みΔCgを設定し(ステップS10)、その設定した制御補正用重みΔCgにより目標ヨーモーメントMsを補正する(ステップS11)。これにより、自車両が走行車線から逸脱する可能性が高い場合や運転者が強くブレーキ操作をした場合、車線逸脱回避制御のための制動液圧の減少傾向が小さくなり、自車両が走行車線から逸脱する可能性が低い場合や運転者が弱くブレーキ操作をした場合、車線逸脱回避制御のための制動液圧の減少傾向が大きくなる。
【選択図】図2
Description
本発明は、
例えば、ON/OFF弁を用いた圧力制御ユニットにより制動力を制御するような構成を採用している場合において、車線逸脱回避制御の作動中に運転者がブレーキ操作を行っても当該車線逸脱回避制御を継続するようにすれば、ヨーモーメントにより車線逸脱回避効果を得ることはできる。しかし、このとき、左右輪の制動力差を発生させるために制動液圧を保持しつつ、運転者のブレーキ操作に応じてさらに制動液圧が増圧されていくため、ON/OFF弁の切り替えによるペダルフィールが悪化してしまう。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、車線逸脱回避制御中に運転者がブレーキ操作をした場合に、運転者に最適なペダルフィールを与えることを実現しつつ、車線逸脱傾向があるときには確実にその防止をすることができる車線逸脱防止方法及びその装置の提供を目的とする。
第1の施形態は、本発明に係る車線逸脱防止装置を搭載した後輪駆動車両である。この後輪駆動車両は、自動変速機とコンベンショナルディファレンシャルギヤとを搭載し、前後輪とも左右輪の制動力を独立制御可能な制動装置を搭載している。
図中の符号1はストロークセンサを取り付けたブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧を各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給する。また、マスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御部7が介装されており、この制動流体圧制御部7によって、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
制動流体圧制御部7は、例えばアンチスキッド制御やトラクション制御に用いられる制動流体圧制御部を利用したものである。制動流体圧制御部7は、単独で各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御することも可能であるが、後述する制駆動力コントロールユニット8から制動流体圧指令値が入力されたときには、その制動流体圧指令値に応じて制動流体圧を制御するようにもなっている。
また、この車両には、駆動トルクコントロールユニット12が設けられている。駆動トルクコントロールユニット12は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比及びスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪5RL,5RRへの駆動トルクを制御する。駆動トルクコントロールユニット12は、燃料噴射量や点火時期を制御したり、同時にスロットル開度を制御することで、エンジン9の運転状態を制御する。この駆動トルクコントロールユニット12は、制御に使用した駆動トルクTwの値を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
また、この車両には、画像処理機能付きの撮像部13が設けられている。撮像部13は、自車両の車線逸脱傾向検出用として、走行車線内の自車両の位置を検出するために備えられている。例えば、撮像部13は、CCD(ChargeCoupled Device)カメラからなる単眼カメラで撮像するように構成されている。この撮像部13は車両前部に設置されている。
なお、専用のセンサにより各値を検出するようにしても良い。すなわち、加速度センサにより前後加速度Yg及び横加速度Xgを検出し、ヨーレイトセンサによりヨーレイトφ´を検出するようにしても良い。
次に、制駆動力コントロールユニット8で行う演算処理手順について、図2を用いて説明する。この演算処理は、例えば10msec.毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、この図2に示す処理内には通信処理を設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読出される。
前輪駆動の場合
V=(Vwrl+Vwrr)/2
後輪駆動の場合
V=(Vwfl+Vwfr)/2
・・・(1)
ここで、Vwfl,Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度であり、Vwrl,Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。すなわち、この(1)式では、従動輪の車輪速の平均値として車速Vを算出している。なお、本実施形態では、後輪駆動の車両であるので、後者の式、すなわち前輪の車輪速度により車速Vを算出する。
続いてステップS3において、車線逸脱傾向の判定を行う。この判定処理の処理手順は具体的には図3に示すようになる。また、図4には、この処理で用いる値の定義を図示している。
Xs=Tt・V・(φ+Tt・V・β)+X0 ・・・(2)
ここで、Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、この車頭時間Ttに自車速Vを乗じると前方注視点距離になる。すなわち、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位Xsとなる。
この(2)式によれば、推定横変位Xsは、例えばヨー角φに着目した場合、ヨー角φが大きくなるほど、大きくなる。
ここで、逸脱傾向判定用しきい値XLは、一般的に車両が車線逸脱傾向にあると把握できる値であり、実験等で得る。例えば、逸脱傾向判定用しきい値XLは、走行路の境界線の位置を示す値であり、下記(3)式により算出する。
XL=(L−H)/2 ・・・(3)
このステップS22において、推定横変位Xsが所定の逸脱傾向判定用しきい値XL以上の場合(|Xs|≧XL)、車線逸脱傾向ありと判定し、推定横変位Xsが所定の逸脱傾向判定用しきい値XL未満の場合(|Xs|<XL)、車線逸脱傾向なしと判定する。
以上のようにステップS3において車線逸脱傾向を判定する。
続いてステップS5において、車線逸脱回避制御として車両に付与する目標ヨーモーメントMsを算出する。
具体的には、前記ステップS3で得た推定横変位Xsと横変位限界距離XLとに基づいて下記(4)式により目標ヨーモーメントMsを算出する。
Ms=−Kv・Ks ・・・(4)
また、目標ヨーモーメントMsは、逸脱判断フラグFoutがONの場合に算出され、目標ヨーモーメントMsは、逸脱判断フラグFoutがOFFの場合に0に設定される。
続いてステップS6において、各車輪の目標制動力を算出する。すなわち、逸脱回避の制動制御の有無に基づいて目標制動力を算出する。具体的には次のように算出する。
Psfl=Psfr=Pmf ・・・(5)
Psrl=Psrr=Pmr ・・・(6)
ここで、Pmfは前輪用の制動液圧である。また、Pmrは後輪用の制動液圧であり、前後配分を考慮して前輪用の制動液圧Pmfに基づいて算出した値になる。
また、このとき、前輪目標制動液圧差ΔPsf及び後輪目標制動液圧差ΔPsrはいずれも0に設定する。
|Ms|<Ms1の場合
ΔPsf=0 ・・・(7)
ΔPsr=2・Kbr・|Ms|/T ・・・(8)
|Ms|≧Ms1の場合
ΔPsf=2・Kbf・(|Ms|−Ms1)/T ・・・(9)
ΔPsr=2・Kbr・Ms1/T ・・・(10)
ここで、Ms1は設定用しきい値を示す。また、Tはトレッドを示す。なお、このトレッドTは、簡単のため前後で同じ値にする。また、Kbf,Kbrは、制動力を制動液圧に換算する場合の前輪及び後輪についての換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。
具体的には、逸脱判断フラグFoutがONの場合(Fout=ON)、すなわち車線逸脱傾向があるとの判定結果を得ている場合で、車線逸脱方向が右方向の場合(Dout=right、Ms>0)、下記(11)式により各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
Psfl=Pmf
Psfr=Pmf+ΔPsf
Psrl=Pmr
Psrr=Pmr+ΔPsr
・・・(11)
Psfl=Pmf+ΔPsf
Psfr=Pmf
Psrl=Pmr+ΔPsr
Psrr=Pmr
・・・(12)
この(11)式及び(12)式が示すように、運転者によるブレーキ操作、すなわち制動液圧Pmf,Pmrを考慮して各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出している。
リスク度Dwは、車線逸脱回避制御をしない場合(車線逸脱回避制御をしないと仮定した場合)のリスク度を示し、車線逸脱回避制御をしない場合にリスク度が大きい場合には、高い値になり、車線逸脱回避制御をしない場合でもリスク度が小さい場合には、低い値になる。具体的には、リスク度Dwは、自車両が走行車線から逸脱する可能性や自車両が走行車線から逸脱した場合に自車両の周囲への影響を基準とした値になる。これにより、自車両が走行車線から逸脱する可能性が高い場合や自車両が走行車線から逸脱した場合に自車両の周囲への影響が大きい場合、リスク度Dwは高くなり、自車両が走行車線から逸脱する可能性が低い場合や自車両が走行車線から逸脱した場合に自車両の周囲への影響が小さい場合、リスク度Dwは低くなる。
ここで、自車両の走行状態としては、自車両の走行位置、運転者による操舵操作量及び自車両のシステムの作動状態、自車両の周囲環境状態等が挙げられ、その周囲環境状態としては、自車両の周囲の障害物及び自車両が走行している道路状態等が挙げられる。
なお、自車両の走行状態の検出は、撮像部13の検出値や自己診断結果に基づいて行っている。
(1)走行レーンに基づくリスク度Dwの設定
例えば、自車両の走行レーンの左右の区分線を検出し、その検出した区分線に基づいてリスク度Dwを設定する。例えば、自車両の逸脱方向の区分線が黄線であれば、リスク度Dwを一番高く設定し、自車両の逸脱方向の区分線が白線の実線であれば、リスク度Dwを次に高く設定し、自車両の逸脱方向の区分線が点線であれば、リスク度Dwを一番低く設定する。
例えば、自車両の走行レーンで自車両の前方を走行する先行車両との車間距離と相対速度とオフセット量を検出し、その検出した車間距離、相対速度及びオフセット量に基づいてリスク度Dwを設定する。例えば、車間距離が長く、相対速度が小さく、かつオフセット量が小さい場合、リスク度Dwは低く設定し、逆に車間距離が短く、かつ相対速度が大きい場合、リスク度Dwを高く設定する。
また、後続車両の接近度合いに基づいて、リスク度Dwを設定する。例えば、後続車両が自車両に接近している場合、その接近度合いに応じてリスク度Dwを高く設定し、後続車両がいない場合、リスク度Dwを低く設定する。
例えば、前方道路の路面状態を検出し、その検出した路面状態に基づいてリスク度Dwを設定する。例えば、路面μが低い場合、リスク度Dwを高く設定し、路面μが高い場合、リスク度Dwを低く設定する。
また、前方道路形状に基づいてリスク度Dwを設定する。例えば、前方道路形状が直線の場合、リスク度Dwを低く設定し、前方道路形状の曲率が大きい場合、リスク度Dwを高く設定する。
例えば、基本的に晴れている場合や白線がはっきり検出できている場合、視認性が良いと判断し、天気が悪い場合や街灯の少ない道路では、視認性が悪いと判断する。
例えば、運転者の操舵操作を検出し、その検出した操舵操作に基づいてリスク度Dwを設定する。例えば、運転者の操舵操作量が多い場合、リスク度Dwを高く設定し、運転者の操舵操作量が少ない場合、リスク度Dwを低く設定する。また、操舵速度が速い場合、リスク度Dwを高く設定し、操舵速度が遅い場合、リスク度Dwを低く設定する。また、逸脱方向に操舵操作を行った場合、リスク度Dwを低く設定し、逸脱回避方向に操舵操作を行った場合、リスク度Dwを高く設定する。
例えば、システム作動状態に基づいてリスク度Dwを設定する。例えば、カメラ(撮像部13)がロストした場合や自車速が低下した場合、リスク度Dwを低く設定し、運転者操作により、ABS、TCS(TractionControl System)、VDC(Vehicle Dynamics Control)等が作動した場合、リスク度Dwを高く設定する。
続いてステップS8において、前記ステップS7で得たリスク度Dwに対する重み(以下、リスク重みという。)ΔDwを設定する。具体的には下記(13)式により重みΔDwを設定する。
ΔDw=f(Dw) ・・・(13)
続いてステップS9において、運転者のブレーキ操作に対する重み(以下、ブレーキ操作重みという。)ΔPsを設定する。具体的には、運転者のブレーキ操作量として、ブレーキのペダルストローク量Px、ペダルストローク速度Pv及びブレーキ操作時間Ptを検出し、その検出した運転者のブレーキ操作量に基づいてブレーキ操作重みΔPsを設定する。より具体的には次のようにブレーキ操作重みΔPsを設定する。
そのブレーキ操作重みΔPsの設定では、ブレーキペダルストローク量Px、ペダルストローク速度Pv及びブレーキ操作時間Ptに基づいて行う。具体的にはマップを用いて行い、そのマップの一例を図6乃至図8に示す。
続いて、このように設定した各重みΔPsx,ΔPsv,ΔPstを用いて下記(14)式によりブレーキ操作重みΔPsを算出する。
ΔPs=ΔPsx・ΔPsv・ΔPst ・・・(14)
ここで、各重みΔPsx,ΔPsv,ΔPstは、前述したように0〜1の値である。よって、ブレーキ操作重みΔPsも常に0〜1の間で変化する。
ΔPs=max(ΔPsx,ΔPsv,ΔPst) ・・・(15)
ここで、関数max(m1,m2,m3)は、3つの値m1,m2,m3のうちから一番大きい値を選択するための関数である。
このように、ステップS9にて、運転者によるブレーキ操作が行われた場合、ドライバブレーキONフラグflg_dr_brを1に設定するとともに(flg_dr_br=1)、その運転者によるブレーキ操作状態に基づいてブレーキ操作重みΔPsを設定する。
ΔCg=g(ΔDw,ΔPs) ・・・(16)
ここで、関数gは、リスク重みΔDwやブレーキ操作重みΔPsが大きくなるほど、制御補正用重みΔCgを大きくし、また、リスク重みΔDwやブレーキ操作重みΔPsが小さくなるほど、制御補正用重みΔCgを小さくするような関数である。
そして、このように設定した目標ヨーモーメントゲインΔMs及び前記ステップS5で算出した目標ヨーモーメントMsを用いて下記(17)式により新たな目標ヨーモーメントMsを算出する。
Ms=Ms・ΔMs ・・・(17)
Psi*=h(Psi) ・・・(18)
ここで、関数hは、目標制動液圧Psiをフィルタして最終的な目標制動液圧Psi*を得るための関数である。
そして、算出した目標制動液圧Psi*に対して、左右の制動力差を発生させるために制動流体圧制御部7内のON/OFF弁のDuty比を算出し、その算出したDuty比に基づいてON/OFF弁を制御することで、制動流体圧制御部7にて制動液圧を発生させる。
先ず、各種データを読み込むとともに、車速Vを算出する(前記ステップS1、ステップS2)。
続いて、車線逸脱傾向の判定を行う(前記ステップS3)。ここで、車線逸脱傾向ありと判定した場合(|Xs|≧XL)、逸脱判断フラグFoutをONにして、また、車線逸脱傾向なしと判定した場合(|Xs|<XL)、逸脱判断フラグFoutをOFFにする(図10(d)参照)。そして、横変位Xに基づいて逸脱方向Doutを判定する。そして、逸脱判断フラグFoutがONの場合、車線逸脱回避のための警報出力をする(前記ステップS4)。
具体的には、先ず各重みΔDw,ΔPsを用いて制御補正用重みΔCgを算出する(前記(16)式参照)。このとき、リスク重みΔDwやブレーキ操作重みΔPsが大きくなるほど、制御補正用重みΔCgを大きくし、また、リスク重みΔDwやブレーキ操作重みΔPsが小さくなるほど、制御補正用重みΔCgを小さくする。
このような一連の動作において、車線逸脱傾向がある場合(車線逸脱回避制御中の場合)には(Fout=1)、運転者によるブレーキ操作がない限り、通常の目標ヨーモーメントMs(前記ステップS11で補正されない目標ヨーモーメントMs)を自車両に付与する(図10(a)中に実線で示す目標ヨーモーメントの変化)。
これにより、運転者によるプレーキペダル操作があっても、自車両が走行車線から逸脱する可能性が高い場合等では、自車両へのヨーモーメントの付与ができるだけ維持されるようになる。
なお、従来の技術では、運転者がブレーキ操作をした場合、自車両への目標ヨーモーメントMsの付与を中止し(図10(a)中に一点鎖線で示す目標ヨーモーメントの変化)、車線逸脱回避制御としての制動制御を即座に解除していた。
前記第1の実施形態では、リスク重みΔDw及びブレーキ操作重みΔPsに基づいて目標ヨーモーメントMsを補正しており、これに対して、この第2の実施形態では、目標ヨーモーメントMsではなく、前記ステップS6で算出した目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を補正している。
これを実現するために、前記ステップS11では、補正処理として、前記ステップS10で算出した制御補正用重みΔCgにより前記ステップS6で算出した目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を補正する。具体的には、先ず制御補正用重みΔCgに基づいて目標制動液圧ゲインΔPs_wcを設定する。例えば、マップにより設定するようにし、図11は、そのマップの一例を示す。
Psi=Psi・ΔPs_wc ・・・(19)
このように目標制動液圧Psiと目標制動液圧ゲインΔPs_wcとは比例関係となる。また、制御補正用重みΔCgとの関係でも、目標制動液圧Psiは、概略として、制御補正用重みΔCg(0<ΔCg≦1)が大きくなれば、大きくなり(前記図11参照)、さらに、リスク度Dwやブレーキ操作重みΔPsとの関係でも、目標ヨーモーメントMsは、概略として、リスク度Dwやブレーキ操作重みΔPsが大きくなれば、大きくなる。
ここでは、目標制動液圧ゲインΔPs_wcを前後輪で同じ値にしているが、目標制動液圧ゲインΔPs_wcを前後輪でそれぞれ異なる値にしても良い。
これにより、車線逸脱傾向がある場合(車線逸脱回避制御中の場合)には(Fout=1)、運転者によるブレーキ操作がない限り、補正してない通常の目標ヨーモーメントMsを算出し(図12(a)中に実線で示す目標ヨーモーメントの変化)、その目標ヨーモーメントを自車両に付与すべく目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を得る(図12(a)中に実線で示す目標制動液圧の変化)。
なお、従来は運手者がブレーキ操作をした場合、自車両への目標ヨーモーメントMsの付与を中止することから、目標制動液圧Psiもそれに応じて一気に小さくなっていた(図12(a)中の一点鎖線の目標制動液圧の変化)。
すなわち例えば、自車両が走行車線から逸脱する可能性が高い場合等において、運転者によるプレーキペダル操作がある一定以上の操作をした場合には、運転者のペダルフィールよりもヨーモーメント制御を重視して、車線逸脱回避制御のための制動液圧を徐々に小さくしている(制動液圧の減圧傾向を小さくしている)。これにより、運転者によるプレーキペダル操作があっても、自車両が走行車線から逸脱する可能性が高い場合等では、自車両へのヨーモーメントの付与ができるだけ維持されるようになる。
前記第2の実施形態では、前記ステップS6で算出した目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を補正しており、これに対してこの第3の実施形態では、前記ステップS12において目標制動液圧Psiから最終的な目標制動液圧Psi*を得るためのフィルタの変化量を補正している。具体的には、目標制動液圧Psiを用いて、下記(20)式により最終的な目標制動液圧Psi*を算出する。
Psi*=r(Psi,ΔPsg) ・・・(20)
この図13に示すように、制御補正用重みΔCgが小さいときには、変化量リミッタゲインΔPsgは大きい値となり、制御補正用重みΔCgがある値になると、当該制御補正用重みΔCgと反比例の関係になって変化量リミッタゲインΔPsgが減少し、そして、制御補正用重みΔCgがある大きい値以降では、変化量リミッタゲインΔPsは、ある小さい値で一定値となる。
このように第3の実施形態では、目標制動液圧Psi*を得るためのフィルタの変化量を補正することで、制動液圧の減圧傾向を調整している。これにより、車線逸脱回避制御中に運転者がブレーキ操作を行った際、前記第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
この第4の実施形態では、前記ステップS12で制動流体圧制御部7内のON/OFF弁の制御信号のDuty比を補正している。具体的には、Duty比Dcを下記(21)式により算出する。
Dc=Dc0・ΔDc ・・・(21)
ここで、Dc0はある固定値(標準値)であり、ΔDcは所定範囲で変化するゲイン(以下、Duty比ゲインという。)である。
そして、この第4の実施形態では、このようなDuty比ゲインΔDcを、前記ステップS10で算出した制御補正用重みΔCgに応じて設定している。例えば、図15は、その設定をするためのマップの一例を示す。
すなわち例えば、自車両が走行車線から逸脱する可能性が高い場合等において、運転者によるプレーキペダル操作がある一定以上の操作をした場合には、運転者のペダルフィールよりもヨーモーメント制御を重視して、車線逸脱回避制御のための制動液圧を徐々に小さくしている(制動液圧の減圧傾向を小さくしている)。これにより、運転者によるプレーキペダル操作があっても、自車両が走行車線から逸脱する可能性が高い場合等では、自車両へのヨーモーメントの付与ができるだけ維持されるようになる。
7 制動流体圧制御部
8 制駆動力コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 撮像部
14 ナビゲーション装置
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
22FL〜22RR 車輪速度センサ
Claims (12)
- 走行車線に対する自車両の車線逸脱傾向がある場合、車線逸脱防止制御として、左右輪に制動力差を発生させて、自車両にヨーモーメントを付与することで走行車線から自車両が逸脱するのを回避する車線逸脱防止方法において、
前記車線逸脱防止制御の作動中に運転者がブレーキ操作したとき、左右輪の制動液圧を減圧することで前記車線逸脱防止制御を解除するとともに、その車線逸脱防止制御を解除する際の前記左右輪の制動液圧の減圧傾向を、前記車線逸脱防止制御をしない場合の自車両の周囲への影響度合いを示すリスク度と運転者のブレーキ操作状態とに基づいて調整することを特徴とする車線逸脱防止方法。 - 前記リスク度を自車両の走行状態に基づいて決定していることを特徴とする請求項1記載の車線逸脱防止方法。
- 前記リスク度が高い又は運転者が強くブレーキを踏み込んでいると判断した場合、前記左右輪の制動液圧の減圧傾向を小さくし、前記リスク度が低い又は運転者が弱くブレーキを踏み込んでいると判断した場合、前記左右輪の制動液圧の減圧傾向を大きくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の車線逸脱防止装置。
- 走行車線に対する自車両の逸脱傾向を判定する車線逸脱傾向判定手段と、前記車線逸脱傾向判定手段が車線逸脱傾向があると判定した場合、左右輪の制動力差により、走行車線から自車両が逸脱するのを回避するために当該自車両に付与する目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、前記目標ヨーモーメント算出手段が算出した目標ヨーモーメントに基づいて、車線逸脱防止制御として左右輪の制動液圧を制御する制動液圧制御手段と、を備えており、
運転者のブレーキ操作状態を検出するブレーキ操作状態検出手段と、
自車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
前記車線逸脱防止制御の作動中に運転者がブレーキ操作したとき、前記制動液圧制御手段が制御している左右輪の制動液圧を減圧することで前記車線逸脱防止制御を解除する制御解除手段と、
前記走行状態検出手段が検出した自車両の走行状態と前記ブレーキ操作検出手段が検出した運転者のブレーキ操作状態とに基づいて、前記制御解除手段における前記左右輪の制動液圧の減圧傾向を調整する制動液圧減圧傾向調整手段と、
を備えることを特徴とする車線逸脱防止装置。 - 前記制動液圧の圧力調整構造と運転者のブレーキペダルとが機械的に繋がっていることを特徴とする請求項4記載の車線逸脱防止装置。
- 前記制動液圧減圧傾向調整手段は、前記走行状態検出手段が検出した自車両の走行状態に基づいて、車線逸脱防止制御が必要であると判断した場合、前記制御解除手段における前記左右輪の制動液圧の減圧傾向を小さくし、前記走行状態検出手段が検出した自車両の走行状態に基づいて、車線逸脱防止制御が不要であると判断した場合、前記制御解除手段における前記左右輪の制動液圧の減圧傾向を大きくすることを特徴とする請求項4又は5に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記制動液圧減圧傾向調整手段は、前記ブレーキ操作検出手段が検出した運転者のブレーキ操作状態に基づいて、運転者が強くブレーキを踏み込んでいると判断した場合、前記制御解除手段における前記左右輪の制動液圧の減圧傾向を小さくし、前記ブレーキ操作検出手段が検出した運転者のブレーキ操作状態に基づいて、運転者がブレーキを弱く踏み込んでいると判断した場合、前記制御解除手段における前記左右輪の制動液圧の減圧傾向を大きくすることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記運転者のブレーキ操作状態が、ブレーキ操作量、ブレーキ操作速度及びブレーキ操作時間のうちの少なくとも1つの状態であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記走行状態検出手段は、前記自車両の走行状態として、自車両の車線逸脱の可能性、自車両の走行位置、自車両の周囲の障害物、自車両の周囲の道路環境状態、運転者の操舵操作量及び車両システムの作動状態のうちの少なくとも1つを検出することを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記制動液圧減圧傾向調整手段は、前記目標ヨーモーメント算出手段が算出した目標ヨーモーメントを補正することで、前記制御解除手段における前記左右輪の制動液圧の減圧傾向を調整することを特徴とする請求項4乃至9のいずれか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記制動液圧制御手段は、前記目標ヨーモーメント算出手段が算出した目標ヨーモーメントに基づいて得た目標制動液圧をフィルタ処理した値により左右輪の制動液圧を制御しており、
前記制動液圧減圧傾向調整手段は、前記フィルタ処理を補正することで、前記制御解除手段における前記左右輪の制動液圧の減圧傾向を調整することを特徴とする請求項4乃至9のいずれか1項に記載の車線逸脱防止装置。 - 前記制動液圧制御手段は、前記目標ヨーモーメント算出手段が算出した目標ヨーモーメントに基づいて得た制御信号により左右輪の制動液圧を制御しており、
前記制動液圧減圧傾向調整手段は、前記制御信号のDUTY比を補正することで、前記制御解除手段における前記左右輪の制動液圧の減圧傾向を調整することを特徴とする請求項4乃至9のいずれか1項に記載の車線逸脱防止装置。
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