JP5129582B2 - 負荷駆動診断装置およびその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接続された負荷に電流を供給して駆動する負荷駆動診断装置の保護、及びその診断方式に関する。
車両には多くの負荷が搭載されており、これら負荷を通電制御するために、半導体によるスイッチが多用されている。半導体スイッチは、価格や重量の低減に寄与するため、一般的なものとなっている。近年さらなる価格低減のため、半導体スイッチとそれを駆動するドライブ回路を一体化した制御装置を集積回路として用いる場合が多い。これを図15を用いて説明する。
図15において、1は負荷のON/OFFタイミングを制御するCPU制御手段、2は負荷駆動コマンド、3は集積回路31の入力コマンド端子、4は入力バッファ、5は内部コマンド信号、6はドライバの駆動/遮断を行うドライバ駆動遮断手段、7は駆動/遮断制御信号、8は半導体スイッチを駆動するドライバ手段であり、8aはハイサイドドライバ、8bはロウサイドドライバ、10はハイサイドドライバ8aによるゲート駆動シンク電流、11はロウサイドドライバ8bによるゲート駆動ソース電流である。12は半導体スイッチを直接制御するゲート信号、13は半導体スイッチ回路であり、13aは半導体スイッチのゲート入力寄生容量である。29は半導体スイッチ回路13のスイッチ回路出力電圧で、出力端子30を介して外部に出力される。
16は半導体スイッチを流れるスイッチ回路入力電流、17は電流検出用のシャント抵抗であり、このシャント抵抗の両端電圧19,20の電位差21に応じて、過電流検出手段22により、過電流状態の検出が行われる。23は過電流検出信号、24は過電流状態になった場合に過電流検出信号23が出力されたタイミングから所定時間だけ遮断状態の保持を行う遮断状態保持手段、25は遮断状態保持信号であり、ドライバ駆動遮断手段6に入力されて、その出力信号により半導体スイッチ回路13の遮断を行う。26は診断情報をCPU制御手段に出力する診断出力手段で、前記過電流検出信号23が入力されて、CPU読出し制御信号32に応じて、診断出力信号28を出力する。27は診断出力端子、33は読出し制御信号入力端子である。50bは電圧保持手段であり、スイッチ出力電圧29の電圧が所定電圧に達した場合、半導体スイッチ回路13をONさせて所定電圧を保持する。100はGND,101は電源である。また、31は上記制御装置が1チップ上に集積された半導体集積回路である。
また、本半導体集積回路の診断出力手段26の構成は、図16のようになっている。図16において、26aはCPU読出し制御信号32に応じて、診断情報を出力する出力回路、26bは過電流検出出力信号23に応じて過電流検出診断の状態遷移をする過電流検出状態遷移手段、70は過電流診断状態であることを示す過電流診断状態出力信号である。
本半導体集積回路31は、一般に図17のような構成で外部負荷と接続されて使用される。図17において、43はサージ等のノイズ保護のために付加される端子コンデンサ、40はスイッチ出力端子30に接続されるワイヤーハーネスであり、これに負荷42が接続される。41はワイヤーハーネスの寄生インダクタンスである。また、45は逆起電力により、半導体集積回路31から電源側に流れる逆電流である。このような構成において、アクシデントにより負荷の電源101への短絡44が発生した場合、電源101から直接スイッチ出力端子30に電流が流れ込み、スイッチ回路13の保護の為に遮断が行われる。
上記の構成において、図18のタイミングチャート、及び図19の状態遷移図を用いて、各回路の動作を説明する。図18において、60は負荷42が電源101に短絡している期間を示す。また61は過電流検出状態遷移手段26bの遷移状態を示している。それ以外は図15と同じである。
CPUから負荷駆動コマンド2が入力され、タイミングAでスイッチ回路13がONしてスイッチ回路に入力電流16が流れ込み、同時に出力端子電圧29がロウとなった後、タイミングBで電源ショート60が発生すると、負荷42による電流制限がなくなるので、入力電流16が上昇する。そして、タイミングCで電流値が所定のしきい値(16a)に達すると、電流検出用のシャント抵抗17の両端電圧21が増大して所定のしきい値を越えて、過電流検出信号23が出力される。前記過電流検出信号23は、遮断状態保持手段24に入力され、過電流遮断保持信号25が出力され、ドライバ駆動/遮断手段6に入力され、タイミングDで駆動遮断制御信号7はハイとなる。これによって、ドライバ手段8にシンク電流11が流れ、ゲート信号12はロウとなってスイッチ回路13がOFF(遮断)する。
この時、スイッチ回路13の遮断によって、ワイヤーハーネス40の浮遊インダクタンス41に逆起電力が発生し、スイッチ回路出力電圧29に電圧跳ね上がり29aが発生する。スイッチ回路出力には、電圧保持手段50bが付加されているため、電圧跳ね上がり29aは電圧レベル29bで保持される。スイッチ出力端子30には外部に端子コンデンサ43が付加されているため、この容量に保持電圧レベル29bの電圧がチャージされる。
電圧レベル29bは通常に負荷をON/OFFする場合、速やかに負荷電流を遮断するために、通常は電源電圧レベルより高い電圧に設定されている。従って上記のように過電流状態で遮断が発生した場合も同様に電源電圧101より高い値になるので、電圧レベル29bにチャージされた端子コンデンサ43から電源101に向かって逆電流45が流れる。この電流は、寄生インダクタンス41中に流れるが、端子コンデンサ43の電荷を抜いた後も流れ続けようとして、スイッチ回路出力端子30からも電流を引き続け、16bに示すようにスイッチ回路入力電流がマイナスとなり、端子から電流が引っ張られることとなる。同時に、スイッチ回路出力電圧29もマイナス電圧に低下する。
すなわちタイミングDにて遮断が発生した瞬間に、端子コンデンサ43と寄生インダクタンス41との間にLC発振が生じて、スイッチ回路出力端子30にマイナス電流が流れ、スイッチ回路出力電圧29がマイナスに低下してしまう現象が発生する。
従来技術では特開平04−172962号公報に示すように、過電流を検出した後の遮断時に半導体スイッチドライバ手段8のシンク電流11をコントロールして、本現象の影響を軽減している。前記従来例で示されているIGBT等の半導体スイッチ素子では半導体スイッチ回路が単体で存在しており回路に大電流を流すことが可能なため、シンク電流11をコントロールしてスイッチ遮断速度を除々に低減させれば、遮断速度が低くなる為に逆起電力の問題は発生しない。
特開平04−172962号公報
しかしながら、半導体スイッチ回路13の遮断時に16bに示すようなマイナス電流が流れると、半導体集積回路31を有する構成ではこれに重大な影響を及ぼす場合がある。半導体スイッチ回路13は、通常NチャンネルのMOSで構成されており、半導体スイッチ回路13に寄生ダイオード13aが構成されているのが一般的である。前記マイナス電流はこの寄生ダイオード13aを介して流れるが、これにより半導体集積回路上のN層がマイナス電圧に低下し、これを起点として別の寄生素子等が発生して、回路の誤動作を招く場合がある。また温度条件や半導体集積回路のレイアウト条件により、寄生トランジスタの導通による大電流流入現象であるラッチアップが発生して半導体集積回路が熱破壊する等、重大な問題を引き起こす場合がある。
端子コンデンサ43を削除するか、容量値を小さくすれば本現象を防止することは可能であるが、この場合は外部から印加されるサージに対する耐性が弱くなりサージ破壊等が発生することがある。またLC発振しないように最適な端子コンデンサの値を選択するとしても、外部ハーネス40の長さ等により寄生インダクタンス41の条件が異なるため、すべての条件に適合するような端子コンデンサの値を設定するのは非常に困難である。
半導体集積回路上に半導体スイッチ回路を有する構成では多くの回路が同一シリコン基板上に集積されており、また半導体スイッチ回路13自身も面積低減のために最小限の面積となっているために、大電流を長時間流し続けると発熱により破壊に至るという問題がある。すなわち電圧の跳ね上り29aが起こらず、また同時に発熱による破壊にも至らない、最適な遮断電流スロープを選択し回路的に実現することは非常に困難であった。
また、このような過電流発生時の遮断時の動作に関して次のような制御上の問題点もある。図18に示すように、過電流状態が過電流検出手段22によって検出され、出力された過電流検出信号23は、同時に診断出力手段26内の過電流診断状態遷移手段26bに入力される。過電流診断状態遷移手段26b内では、図19に示すような状態遷移が発生する。図19において、61aは通常状態、61bは過電流検知状態である。通常状態では、過電流診断出力70aは0であるが、過電流状態が発生して過電流検出信号23が出力されると、状態は過電流検知状態61bに移行し、過電流診断出力70aは1となる。その後、CPU制御手段1からのCPU読出し制御信号32が入力されて本過電流診断出力が読み出されると、通常状態に遷移して、過電流診断出力70aは0に戻り、同時にCPUに過電流診断状態の情報が読み出される。この状態遷移により、CPU制御手段は負荷駆動診断装置に発生した過電流状態を検知して半導体スイッチ回路の制御を行うことが可能となる。
負荷駆動診断装置では、過電流状態が発生して図18中のタイミングDで遮断が発生した後、所定の休止期間25a後に自動的に復帰動作を行わせる場合がある。これは一般的に行われている制御方法で、例えば瞬間的な接触による過電流遮断の場合に、システム的な影響を最小限とするために自動的に正常状態に復帰させる。このとき例えば32aのタイミングでCPU制御手段が状態遷移の読出しを行った場合は、少なくとも1回は過電流診断状態を認識出来るが、これに続けて、遮断状態が継続している32bのタイミングで読出しを行った場合、回路状態は通常状態61aに戻っているので正常であると認識する。その為、CPU制御手段は、半導体スイッチ回路が遮断状態にあることを認識出来ず、正常動作としての制御を行ってしまうため、システム的な誤動作が発生したり、過電流による遮断状態を認識出来ないまま遮断状態が継続する、といった制御上の不都合が生じる場合がある。
本発明の目的は、端子コンデンサの値や、ハーネスの長さによる寄生インダクタンスの値にも影響されず、かつ遮断時にマイナス電流による悪影響の無いような負荷駆動診断装置を実現することにある。
また、過電流による遮断が継続している場合でも、その遮断継続状態を正確に認識可能な負荷駆動診断装置を実現することにある。
上記課題を解決するために、本発明はスイッチ回路出力電圧を所定電圧に保持するための電圧保持手段において、さらに別の所定電圧を持つ複数の電圧保持手段を設け、過電流状態の検出に応じてこれら所定の保持電圧を切替える切替えスイッチを持つ電圧保持手段を備える。
また、過電流状態が発生して上記保持電圧の切替えを行った後に、確実に半導体スイッチ回路の遮断を行うため所定の遅延時間を発生させる遅延発生手段を備える。
また、過電流状態において、半導体スイッチ回路の遮断が実行された後、遮断状態保持手段24から出力される過電流遮断保持信号が診断出力手段に入力される構成であり、過電流遮断保持信号に応じて状態遷移を行う状態遷移手段を備えることによって実現される。
また、過電流状態において、半導体スイッチ回路の遮断が実行された後、半導体スイッチ回路を直接制御するゲート信号に応じて状態遷移を行う状態遷移手段を備えることによって実現される。
また、過電流状態において、半導体スイッチ回路の遮断が実行された後、半導体スイッチ回路を直接制御するゲート信号、及びCPU制御手段からの診断読出し信号に応じて状態遷移を行う状態遷移手段を備えることによって実現される。
また上記の負荷駆動診断装置を内部に備えた負荷駆動用の半導体回路素子として構成することによって実現される。
本発明により、過電流状態において遮断が発生した場合でも、端子コンデンサや外部ハーネスの寄生インダクタンスの状態に関わらず、正常に遮断が実行出来る負荷駆動診断装置を実現出来る。
また、過電流による遮断が継続している場合でも、その状態を正確に把握し、最適な診断が行える負荷駆動診断装置を実現出来る。
以下、本発明の実施例を図1〜14により説明する。
図1は、本発明の第1の実施例を説明する、負荷駆動診断装置の一例を示すブロック図である。図1において、1は負荷のON/OFFタイミングを制御するCPU制御手段、2は負荷駆動コマンド、3は集積回路31の入力コマンド端子、4は入力バッファ、5は内部コマンド信号、6はドライバの駆動/遮断を行うドライバ駆動遮断手段、7は駆動/遮断制御信号、8は半導体スイッチを駆動するドライバ手段であり、8aはハイサイドドライバ、8bはロウサイドドライバ、10はハイサイドドライバ8aによるゲート駆動シンク電流、11はロウサイドドライバ8bによるゲート駆動ソース電流である。12は半導体スイッチを直接制御するゲート信号、13は半導体スイッチ回路であり、13aは半導体スイッチ回路の寄生ダイオードを示し、13bは半導体スイッチのゲート入力寄生容量である。
29は半導体スイッチ回路13のスイッチ回路出力電圧で、出力端子30を介して外部に出力される。16は半導体スイッチを流れるスイッチ回路入力電流、17は電流検出用のシャント抵抗であり、このシャント抵抗の両端電圧19,20の電位差21に応じて、過電流検出手段22により、過電流状態の検出が行われる。23は過電流検出信号、24は過電流状態になった場合に過電流検出信号23が出力されたタイミングから所定時間だけ状態の保持を行う遮断状態保持手段、25は遮断状態保持信号であり、ドライバ駆動遮断手段6に入力されて、この信号により半導体スイッチ回路13の遮断を行う。26は診断情報をCPU制御手段に出力する診断出力手段で、前記過電流検出信号23が入力されて、CPU読出し制御信号32に応じて、診断出力信号28を出力する。27は診断出力端子、33は読出し制御信号入力端子である。50は電圧保持手段であり、50aは遮断状態保持信号25によって切替え制御される切替えスイッチ、50bは所定値Aの電圧に保持する出力電圧保持手段,50cは所定値Aとは異なる所定値Bの電圧に保持する出力電圧保持手段である。電圧スイッチ出力電圧29の電圧が所定電圧に達した場合、半導体スイッチ回路13をONさせて、スイッチ出力電圧が所定値以上とならないように、所定値A、もしくは所定値Bの電圧への保持を行う。100はGND,101は電源である。また、31は上記制御装置が1チップ上に集積された半導体集積回路である。
また、本半導体集積回路は、図2のような構成で使用されるのが一般的である。図2において、43はサージ等のノイズ保護のために付加される端子コンデンサ、40はスイッチ出力端子30に接続される外部ワイヤーハーネスであり、これに負荷42が接続される。41はワイヤーハーネスの寄生インダクタンスであり、ワイヤーハーネス40の長さに応じて値が変動する場合がある。また、45は逆起電力により、半導体集積回路31側から電源側に流れる逆電流である。44は、ワイヤーハーネス40が直接電源101にショートした場合の短絡配線を示す。このような構成において、負荷の電源101への短絡44が発生した場合、電源101から短絡配線44を介して直接スイッチ出力端子30に電流が流れ込み、半導体スイッチ回路13の保護の為に遮断が行われることとなる。
図3は電圧保持手段50の内部構成を示す説明図で、50aは切替えスイッチ、50bは所定値Aの電圧に保持する出力電圧保持手段,50cは所定値Aとは異なる所定値Bの電圧に保持する出力電圧保持手段である。出力電圧保持手段50aと出力電圧電圧保持手段50bは、遮断状態保持信号25によって切替え制御される。通常は所定保持電圧A側に切替えられており、半導体スイッチ回路出力電圧29は所定電圧値Aで保持されるが、ショートが発生して過電流による遮断が行われた場合、切替えスイッチ50aは所定保持電圧Aとは異なる電圧である所定保持電圧B側に切替えられ、スイッチ回路出力電圧29は所定電圧値Bで保持される。図4は第1の実施例のタイミングチャートである。
次に第1の実施例の動作を、図1〜図4を用いて説明する。
図4において、60はワイヤーハーネス40が電源101に短絡している期間を示す。それ以外の番号は、図1の各信号波形を示す。CPU制御手段1から負荷駆動コマンド2が入力され、タイミングAでハイとなると、入力バッファ4を介して内部コマンド5がドライバ駆動遮断手段6に入力され、駆動/遮断制御信号7がロウとなり、これがドライバ手段8に入力されて、ハイサイドドライバ8aよりゲート駆動ソース電流10が半導体スイッチ回路13のゲートに供給され、ゲート駆動信号12がハイとなり、半導体スイッチ回路13がONして半導体スイッチ回路に入力電流16が流れ込み、同時に出力端子電圧29がロウとなる。
その後、タイミングBで負荷駆動コマンド2がロウとなると、今度は逆に駆動/遮断信号7はハイとなり、これがドライバ手段8に入力されて、ロウサイドドライバ8bよりゲート駆動シンク電流11が半導体スイッチ回路13のゲートより流れて、ゲート駆動信号12がロウとなり、半導体スイッチ回路13がOFFして、スイッチ回路出力電圧29はハイとなる。この際、負荷42には電流が流れている状態なので、半導体スイッチ回路13がOFFする時に逆起電力が発生し、スイッチ回路出力電圧29は電源電圧以上に跳ね上がる。この時、電圧保持手段50において切替えスイッチは50b側に切替えられているので、跳ね上がったスイッチ回路出力電圧29は所定電圧値A(図4中の29b)にて保持されるようになっている。
次に、タイミングCで、タイミングAと同様に制御駆動コマンド2が入力され、半導体スイッチ回路13がONした後、タイミングDでショートが発生すると、負荷42による電流制限がなくなるので、入力電流16が上昇する。この場合、電流検出用のシャント抵抗17の両端電圧21が増大していく。そして、タイミングEで電流値が所定のしきい値(16a)に達すると、両端電圧21が所定のしきい値を越えて、過電流検出手段22により過電流検出信号23が出力される。前記過電流検出信号23は、遮断状態保持手段24に入力され、過電流遮断保持信号25が出力され、ドライバ駆動遮断手段6に入力され、タイミングFで駆動遮断制御信号7はハイとなる。これによって、ドライバ手段8にシンク電流11が流れ、ゲート信号12はロウとなって、半導体スイッチ回路13がOFF(遮断)する。またこの時、過電流遮断保持信号25よりハイが出力されているので、電圧保持手段50において、切替えスイッチは出力電圧保持手段Bの50c側に切替えられており、保持電圧は所定量Bとなっている。この実施例の場合、本所定量Bは電源電圧101より若干高めに設定されている。所定量Bは回路が安全に作動するためには必ず電源電圧より高い必要がある。また検出したバッテリ電圧に応じて、所定量Bを複数の異なる最適値に設定することもできる。
ワイヤーハーネス40には浮遊のインダクタンス成分41が含まれているため、半導体スイッチ回路13の遮断によって、浮遊インダクタンス41に逆起電力が発生し、スイッチ回路出力電圧29に電圧跳ね上がりが発生する。しかし、スイッチ回路出力には、電圧保持手段50が付加されており、保持電圧は所定量Bに切替えられているため、跳ね上がったスイッチ回路出力電圧29が所定量B(図中29c)を越えると、電流が半導体スイッチ回路13のゲートに供給されて、半導体スイッチ回路13がハーフON状態となり、スイッチ回路出力電圧29は所定量Bに保持される。よって、端子コンデンサ43に電源電圧101を大きく越えた電圧がチャージされず、従来例で発生していた逆電流45、及びこれに伴うLC発振が発生しない。よって、スイッチ回路出力端子30にマイナス電流が流れ、スイッチ回路出力電圧29がマイナスに低下してしまうことによる誤動作等の影響もなく、正常な遮断を行うことが出来る。
しかも、本保持電圧の切替えは過電流状態を検出した場合にのみ行われるため、半導体スイッチ回路13の通常のON→OFF(タイミングB)動作では保持電圧はより高い電圧(図中29b)に設定しておくことが出来るので、通常のON→OFF時にはコイルのエネルギーは短時間に吸収され、OFF後に負荷に電流が流れつづける不都合が無いというメリットがある。
また、第1の実施例では、ドライバ駆動遮断手段6の手前に遅延手段34が設けられ、過電流状態が発生して遮断保持手段24の出力である過電流遮断保持信号25は、所定時間(35a)だけ遅延されて、ドライバ駆動遮断手段6に入力される。この為、前記電圧保持手段50における保持電圧A、Bの切替えに対して、半導体スイッチ回路13の遮断は、遅延時間35aだけ遅れて遮断され、半導体スイッチ回路13が遮断される前に確実に電圧保持手段の保持電圧の切替えを行うことが出来る。したがって保持電圧の切替え途中に同時に遮断が発生してスイッチ回路出力電圧29の跳ね上がりが発生するといった不安定な動作がなく、良好な負荷駆動診断装置を実現出来る。
次に、本発明の第2の実施例を図5を用いて説明する。図5は負荷駆動診断装置の一例を示すブロック図である。図5において、電圧保持手段50における出力電圧保持手段A,Bの各電圧保持手段50d、50eはGNDに接続されており、スイッチ回路出力電圧29の跳ね上がりが発生して、所定電圧への保持が発生すると、それぞれの電圧保持動作時に電圧A保持電流50f、電圧B保持電流50gが流れる。それ以外の構成は第1の実施例と同様である。
図5の実施例の動作を図6のタイミングチャートで説明する。図6において、第1の実施例の場合と同様にタイミングBにおいて、半導体スイッチ回路13をOFFする制御駆動コマンド2が入力された場合、電圧保持手段50の切替えスイッチ50aは保持電圧A側に切替えられているので、OFF時のスイッチ回路出力電圧29の跳ね上がりは29bとなり、負荷の電流は急激に減衰する。一方、タイミングDにおいて電源ショート60が発生すると、過電流が流れてタイミングEで過電流状態を検出して過電流検出信号23が出力され、過電流遮断保持信号25が遅延手段を介してドライバ駆動遮断手段6に入力されて、半導体スイッチ回路13の遮断が発生する。この時、電圧保持手段50の切替えスイッチ50aは、第1の実施例と同様に保持電圧B側に切替えられているので、スイッチ回路出力電圧29は29cのようになり、電流の流れる時間は増大するものの、逆電流45や、これに伴うLC発振が発生しないので、過電流が発生した場合でも、端子コンデンサやハーネスの長さに影響されることなく、正常な遮断を行うことが出来る。
なお、本実施例において、電圧保持手段50は半導体集積回路31内に配置される構成となっているが、電圧保持手段50が半導体集積回路31の外部に配置され、同様に外部に出力された過電流遮断保持信号25によって切替え制御されるような構成でも、同様な効果があることは明らかである。
次に、本発明の第3の実施例を図7について説明する。図7は負荷駆動診断装置の一例を示すブロック図である。図7において、26は診断結果を例えばCPU制御手段1を含めた外部へと出力する診断出力手段であり、過電流検出手段22からの過電流検出信号23、遮断状態保持手段24からの過電流遮断保持信号25、及びゲート信号12が入力されるような構成となっている。このような構成において、CPU制御手段1からのCPU読出し制御信号32に基づいて、CPU読出し診断信号28を出力する。
図8は上記診断出力手段の内部構成を説明する説明図である。図8において、26aはCPU読出し制御信号32に基づいて、CPU読出し診断信号28を出力する出力回路、26bは過電流検出信号23、過電流遮断保持信号25、ゲート信号12、CPU読出し制御信号32により、状態遷移を行う状態遷移手段である。これ以外の構成は他の実施例と同様である。
この実施例の動作を図9、及び図10を用いて説明する。図9は状態遷移手段26bにおける状態遷移を表す状態遷移図である。図10は第3の実施例の動作を説明するタイミングチャートである。図9、図10において、タイミングAで半導体スイッチ回路13をONするための制御駆動コマンドが入力され、半導体スイッチ回路13がONする時、状態遷移61は通常状態(61a)となっている。その後、タイミングBでショート状態60が発生し、タイミングCで過電流検出しきい値16aを越えて過電流検出信号23が出力され、半導体スイッチ回路が遮断すると、状態遷移手段26bの状態は61bに遷移して過電流検知状態となり、過電流診断出力:1となる。なお、半導体スイッチ回路が遮断した後、状態は61cに遷移し、過電流診断出力:1、遮継続出力:1となる。
次にCPU制御手段1より、診断の状態を読み出す為に、CPU読出信号32が状態遷移手段26bに入力される。すると状態遷移手段26bは過電流検知状態61cから過電流遮断継続状態61dへと遷移して、過電流診断出力:0、遮断継続出力:1となる。この状態は所定時間保持されるようになっており、次に半導体スイッチ回路13がONするタイミングGまで継続される。また、この間に複数のCPU読出信号32が入力されても、過電流遮断継続状態61dは変化しない。そして、タイミングGで再度半導体スイッチ回路がONすると、状態遷移手段26bは過電流遮断継続状態61dから通常状態61aに遷移する。
これにより、CPU制御手段1は、過電流遮断が発生した場合、過電流状態が発生しそれを検知したという情報だけではなく、制御駆動コマンド2がハイであるにも関わらず、半導体スイッチ回路13の遮断が実行され電流が流れなくなった後で遮断が継続して半導体スイッチ回路13がOFFしている状態についても、情報として把握することが可能となり種々の対策を講じることができる。
次に、第3の実施例の第2の効果について説明する。図11はこれを説明する状態遷移図、図12はそのタイミングチャートである。第3の実施例においては、ゲート駆動信号12が診断出力手段26に直接入力されている。この時、ゲート駆動信号12の極性に応じて、図11に示す状態遷移図のように、ゲート駆動信号がハイとなるとオフ状態61aからオン状態61bに遷移し、ゲート駆動信号がロウとなるとオン状態61bからオフ状態61aに遷移する。これをCPU読出し信号32で読み出すことにより、CPU制御手段1から供給される駆動制御信号2に関わらず、確実に半導体スイッチ回路13の状態を得ることが可能となる。よって、このような状態遷移手段26bを持つ負荷駆動手段によって、例えば過電流遮断が発生した場合、駆動制御コマンドがハイであるにも関わらず、半導体スイッチ回路13がオフしている状態を検知することが出来る。
さらに、第3の実施例の第3の効果について説明する。図13はこれを説明する状態遷移図、図14はそのタイミングチャートである。第3の実施例においては、ゲート駆動信号12が診断出力手段26に直接入力されており、またCPU読み出し信号も同時に診断出力手段26に入力されている。この時、ゲート駆動信号12の極性の切り替わりエッジ(図中のタイミングA、B、C)によって、図13に示す状態遷移図のように、変化無し状態61aから変化有り状態61bに状態が遷移する。また、CPU読出し信号32で読み出すことにより、今度は変化有り状態61bから変化無し状態61aに遷移する。これにより、図14中のタイミングAで変化無し状態(61a)→変化有り状態(61b)に遷移し、その後CPU読み出し信号32aにより、変化有り状態(61b)→変化無し状態(61a)に遷移する。CPU読み出し信号32bでは、ゲート駆動信号12に変化は無いので、変化無し状態(61a)のままとなる。CPU読み出し信号32cでは、ゲート駆動信号12がタイミングBで変化しているので、変化無し状態(61a)→変化有り状態(61b)に遷移する。CPU読み出し信号32dでも同様である。
よって、このような動作をする状態遷移手段により、CPU制御手段は、前回の診断読み出しタイミングに対して、今回の診断読み出しの際に、CPU制御手段1から供給される駆動制御信号2に関わらず、半導体スイッチ回路13にON/OFFの動作があったかどうかの判定を行うことが出来る。
よって、この状態遷移手段26bを持つ負荷駆動手段によって、例えば過電流遮断が発生した場合、駆動制御コマンドがハイであるにも関わらず半導体スイッチ回路13がオフしている状態を検知することが出来る。また、例えば駆動制御コマンドがPWM制御であった場合等のCPU制御手段1自身でドライバのON/OFF状態を把握出来ないような場合でも、半導体スイッチ回路が正常にON/OFFを繰り返しているかどうかをチェックすることが出来る。したがって過電流状態等による遮断の有無を判断することが可能となるため、より信頼性の高い負荷駆動手段を提供することが出来る。
本発明の第1の実施例を説明する回路ブロック図である。 本発明の第1の実施例の使用例を説明するブロック図である。 図1の電圧保持手段50の内部構成を説明するブロック図である。 本発明の第1の実施例の動作を説明するタイミングチャートである。 本発明の第2の実施例の動作を説明するブロック図である。 本発明の第2の実施例の動作を説明するタイミングチャートである。 本発明の第3の実施例を説明する回路ブロック図である。 本発明の第3の実施例における診断出力手段26の内部構成を説明するブロック図である。 本発明の第3の実施例における診断出力手段26の状態遷移を説明する状態遷移図である。 図9の状態遷移の動作を説明するタイミングチャートである。 本発明の第3の実施例における診断出力手段26の、別の効果を得る状態遷移を説明する状態遷移図である。 図11における状態遷移の動作を説明するタイミングチャートである。 本発明の第3の実施例における診断出力手段26の、別の効果を得る状態遷移を説明する状態遷移図である。 図13における状態遷移の動作を説明するタイミングチャートである。 従来例を説明するブロック図である。 従来例の診断出力手段26の内部構成を説明するブロック図である。 従来例の使用例を説明するブロック図である。 従来例の動作を説明するタイミングチャートである。 従来例における診断出力手段26の状態遷移を説明する状態遷移図である。
符号の説明
1: CPU制御手段、6:ドライバ駆動遮断手段、8:ドライバ手段、13:半導体スイッチ回路、17:シャント抵抗、22:過電流検出手段、24:遮断状態保持手段、26:診断出力手段、26a:出力回路、26b:状態遷移手段、30:出力端子、31:半導体集積回路、50:電圧保持手段、50a:切替えスイッチ、50b:出力電圧保持手段,50c:出力電圧保持手段、34:遅延手段、101:電源

Claims (12)

  1. 接続された負荷に電流を供給するスイッチ回路と、該スイッチ回路の出力端子電圧を所定値に保持する電圧保持手段と、前記負荷に流れる電流を検出する電流検出手段とを有する負荷駆動診断装置において、
    前記電圧保持手段の保持電圧として複数の所定値を有し、前記電流検出手段の出力に応じて、前記電圧保持手段の前記複数の所定値を切替える切替え手段を備え
    接続された負荷に電流を供給するスイッチ回路と、前記負荷に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段が前記所定値と一致したことを検出する診断検出手段と、前記診断検出手段の出力信号を所定時間保持する保持手段とを有し、前記保持手段の出力に応じて、前記スイッチ回路のON/OFFを制御するとともに保持手段出力を外部へと出力する制御回路を備えたことを特徴とする負荷駆動診断装置。
  2. 請求項1記載の負荷駆動診断装置において、
    前記保持電圧の複数の所定値は、電源電圧より高くかつON/OFF時の負荷電流を速やかに遮断する第1の所定値と、前記第1の所定値より低くかつ電源電圧より若干高めに設定された第2の所定値を有することを特徴とする負荷駆動診断装置。
  3. 請求項1または2記載の負荷駆動診断装置において、
    前記電流検出手段の出力信号を所定時間遅延させる遅延手段と、前記電圧保持手段の所定値の切替えを前記スイッチ回路の遮断よりも早く行う制御回路を備えたことを特徴とする負荷駆動診断装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の負荷駆動診断装置において、
    前記電流検出手段の出力信号を所定時間遅延させる遅延手段と、前記電流検出手段の出力に応じてスイッチ回路を遮断するとともに遮断基準となる制御電流の複数所定値を有するドライバ手段と、ドライバ手段の制御電流の複数所定値の切換えを前記スイッチ回路の遮断よりも早く行う制御回路を備えたことを特徴とする負荷駆動診断装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の負荷駆動診断装置において、
    接続された負荷に電流を供給するスイッチ回路と、前記負荷に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段が前記所定値と一致したことを検出する診断検出手段と、前記診断検出手段の出力信号を所定時間保持する保持手段とを有し、前記保持手段の出力に応じて、前記スイッチ回路のON/OFFを制御するとともに保持手段出力を外部へと出力する制御回路を備え
    前記診断検出手段の出力及び前記保持手段の出力に応じて状態変化する状態遷移手段と、前記状態遷移手段の出力を外部に出力する診断出力手段を備えたことを特徴とする負荷駆動診断装置。
  6. 請求項1又は2記載の負荷駆動診断装置において、
    前記スイッチ回路のON/OFF制御を行うドライバ手段を有し、前記ドライバ手段の出力を外部に出力する出力手段を備えたことを特徴とする負荷駆動診断装置。
  7. 請求項記載の負荷駆動診断装置において、
    ドライバ手段の出力に応じて状態変化する状態遷移手段と、前記状態遷移手段の出力を外部に出力する診断出力手段を備えたことを特徴とする負荷駆動診断装置。
  8. 請求項1又は2記載の負荷駆動診断装置において、
    前記スイッチ回路のON/OFF制御を行うドライバ手段と、ドライバ手段を制御する制御手段を有し、前記制御手段からの状態読み出し信号およびドライバ手段の出力に応じて状態変化する状態遷移手段と、前記状態遷移手段の出力を外部に出力する診断出力手段を備えたことを特徴とする負荷駆動診断装置。
  9. 請求項記載の負荷駆動診断装置において、
    前記ドライバ手段の出力によって状態が変化し、前記制御手段からの読み出し信号によって初期状態に戻る状態遷移手段を備えたことを特徴とする負荷駆動診断装置。
  10. 接続された負荷に電流を供給するためのスイッチ回路と、前記スイッチ回路の出力端子電圧を所定値に保持する電圧保持手段と、負荷に流れる電流を検出する電流検出手段とを有し、前記電流検出手段が前記所定値と一致したことを検出する診断検出手段と、前記診断検出手段の出力信号を所定時間保持する保持手段とを有し、前記保持手段の出力に応じて、前記スイッチ回路のON/OFFを制御するとともに保持手段出力を外部へと出力する制御回路を備えた負荷駆動診断装置の制御方法において、
    前記電圧保持手段の所定値として、複数の所定値を有し、前記スイッチ回路がONして負荷に電流が流れた後、前記電流検出手段の出力に応じて、前記電圧保持手段の前記複数の所定値を切替え、前記スイッチ回路がOFFした後に、切換え前とは異なる電圧保持手段の所定値によって、スイッチ回路の出力端子電圧を保持するシーケンスで動作することを特徴とする負荷駆動診断装置の制御方法。
  11. 接続された負荷に電流を供給するスイッチ回路と、前記スイッチ回路のON/OFF制御を行うドライバ手段と、前記負荷に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段が所定値と一致したことを検出する診断検出手段と、前記診断検出手段の出力信号を所定時間保持する保持手段とを有し、前記電流検出手段が前記所定値と一致したことを検出する診断検出手段と、前記診断検出手段の出力信号を所定時間保持する保持手段とを有し、前記保持手段の出力に応じて、前記スイッチ回路のON/OFFを制御するとともに保持手段出力を外部へと出力する制御回路を備え、
    前記スイッチ回路がONして負荷に電流が流れた後、前記電流検出手段の出力の状態に応じて、前記スイッチ回路を遮断し、遮断後に前記保持手段の出力に応じてリスタートする負荷駆動診断装置の制御方法において、
    前記スイッチ回路の遮断中、前記保持手段の出力を外部に出力するシーケンスで動作することを特徴とする負荷駆動診断装置の制御方法。
  12. 請求項1ないしのいずれかに係る負荷駆動診断装置を内部に備えたことを特徴とする負荷駆動用半導体。
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