JP2007019293A - リニアソレノイドの駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電源投入時における突入電流や、遮断時における回生電流が与える影響を抑制すると共に、小規模な構成によるリニアソレノイドの駆動装置を提供する。
【解決手段】車両のバッテリ30から電源を供給する第一開閉器50及び第二開閉器5と、第一開閉器50を介して供給される電源により動作する制御装置4と、第二開閉器5を介して供給される電源により動作するブリッジ回路10と、ブリッジ回路10と並列接続されたコンデンサC1と、コンデンサC1を充電するプリチャージ回路6と、を備え、ブリッジ回路10に備えられたスイッチング手段1,3を制御装置4によりスイッチング制御することにより、リニアソレノイド20を駆動する駆動装置において、制御装置4は、制御装置4が動作を開始した後、所定時間経過後に第二開閉器5を閉制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リニアソレノイドの駆動装置に関し、特に自動車エンジンの防振装置のアクチュエータとして使用されるリニアソレノイドの駆動装置に関する。
自動車用のパワー制御、即ちモータやソレノイドなどのアクチュエータを駆動するパワー系の回路は、通常、下記のように行われる。イグニッションスイッチがオンされると、まず始めに制御系のマイクロプロセッサやその周辺回路などの電子回路にバッテリから電源が供給される。制御系の電子回路は、アクチュエータの駆動電源を供給するための電気式開閉装置の開閉制御を行う。アクチュエータの駆動電源は、バッテリから電気式開閉装置を介してアクチュエータ駆動回路に供給される。ここで、電気式開閉装置には従来、メカニカルリレーが使われている。
また、アクチュエータ駆動回路には、しばしばブリッジ回路が用いられる。アクチュエータがモータである場合には、回転方向の切り替えが必要な場合があり、ブリッジ回路は回転方向の切り替えを制御し易い。また、モータ、ソレノイドの何れも誘導性負荷であり、誘導性負荷は電流の供給が途絶えた後にも誘導起電力により電流を流そうとする性質がある。この誘導電流の回生が容易であるという点もブリッジ回路の利点である。
ブリッジ回路の近傍には、電源安定化用の電解コンデンサが配置される。この電解コンデンサは、数百μ〜千μ[F]程度の大容量のものが使用される。大容量化することにより、電源インピーダンスを低く保ち、例えば、ブリッジ回路にパルス幅変調された制御信号を与えて精密制御する場合、制御信号の波形のデューティー比に正確に応答できるようにしている。
上述したアクチュエータ駆動回路は、ブリッジ回路と大容量コンデンサとを示すものである。
ところで、上述したように、アクチュエータの駆動電源は、メカニカルリレーなどの電気式開閉装置によって、開閉制御されて供給される。この閉制御の瞬間は、電気的には過度状態である。電源安定用の大容量コンデンサのインピーダンスは、静電容量の逆数となるので、過度状態における電源−グラウンド間のインピーダンスは非常に小さくなる。このため、電源−グラウンド間には大きな過度電流、いわゆる突入電流が流れる。この突入電流により、メカニカルリレーの接点が溶着するなどの問題が発生する場合がある。
下記に示す特許文献1には、このような問題に鑑みて、接点を閉じた際の突入電流を少なくする電動機駆動装置が開示されている。この電動機駆動装置は、メカニカルリレーの接点を閉じる前に、電源安定化用コンデンサに電荷をチャージするプリチャージ回路を備える。そして、電源安定化用コンデンサの両端子電圧を分圧した分圧電圧を検出する。電源安定化用コンデンサの両端電圧は、対数関数的にバッテリ電圧に向かって上昇する。つまり、単位時間当たりの分圧電圧の変化量は、時間と共に小さくなる。従って、分圧電圧の変化量が設定値以下となったときに充電状態を判断する。そして、充分に充電されたと判断された場合に、メカニカルリレーの接点が閉じられる。電源安定化用コンデンサは、ほぼ満充電に近い状態であるので、メカニカルリレーの接点を閉じたことによる突入電流の発生は、極めて少ない。
特許文献1には、電源安定化用コンデンサの両端電圧の分圧電圧を検出することなく、充電状態を判断する他の方法も示されている。電源安定化用コンデンサの静電容量と、バッテリ電圧とは既知であるから、完全に放電状態にある状態から満充電されるまでの時間を計算することができる。これをプリチャージ時間として予め設定しておく。そして、イグニッションスイッチがオン状態であることを検出した時点から、プリチャージ時間が経過すると、メカニカルリレーの接点を閉じるというものである。
さらに、イグニッションスイッチがオフ状態に操作されたことを検出し、電動機に供給する電流を徐々に低減させるフェードアウト処理を行うようにしている。これは、イグニッションスイッチがオフ状態に操作され、メカニカルリレーの接点がそれに続いて開いた場合に、突然電動機へ供給される電流が遮断されることを防ぐためである。特許文献1に記載の電動機駆動装置は、自動車の電動パワーステアリング装置に適用されるものである。従って、特に電動機から供給される補助トルクが急激にゼロとなり、操舵感が急激に変化することを解消するようにしたものである。
特許第3595155号公報(第7〜15段落、第20〜21段落、第30〜36段落、第47〜50段落、第2〜3図)
特許文献1に記載の電動機駆動装置は、電源安定化用コンデンサの充電状態を正確に検出するための検出回路が必要であり、駆動装置の規模が大きくなる。プリチャージ時間を予め設定しておく方法では、このような規模の増大を招くことはない。しかし、イグニッションスイッチの操作状態を検出する検出回路を要し、マイクロプロセッサには、この検出結果が入力される入力ポートが必要である。マイクロプロセッサの入力ポートは、種々の信号の入力に使用されるので、限られた入力ポートをイグニッションスイッチの操作状態の検出のために用いるのは好ましくない。また、入力ポートの数を確保するために端子数の多いマイクロプロセッサを用いると、コストの上昇や、装置面積を増大を招く場合がある。
また、特許文献1に記載の電動機駆動装置は、電動パワーステアリング装置に適用するために、フェードアウト処理機能を有している。そのため、イグニッションスイッチがオフ状態となった後にフェードアウト処理を行い、さらにその後マイクロプロセッサ自身の終了処理を行う必要が生じる。マイクロプロセッサの処理が複雑になり、ウォッチドッグタイマなどの周辺回路も必要であり、電動機駆動装置の規模が大きくなる。
本願発明に係るリニアソレノイドの駆動装置は、特に自動車エンジンの機械的振動を抑制するために振動方向とは反対に自動車エンジンを動かす防振装置に適用されるものである。従って、運転者が直接操作するステアリングなどとは異なり、必ずしも、急激な変化を嫌ってフェードアウト処理を有する必要はない。ただし、フェードアウト処理を実施しない場合には、ブリッジ回路で生じた回生電流がメカニカルリレーで遮断されるため、ブリッジ回路が高電圧で破壊される可能性がある。これを防止するためにメカニカルリレーにフライホイールダイオードを付加すると、部品点数が増化する。また、メカニカルリレーでは接点開閉時に機械音が発生するために、特にラグジュアリカーでは、静音化対策が必要となり、コスト上昇の要因となる。
本願発明は上記課題に鑑みてなされたもので、電源投入時における突入電流や、遮断時における回生電流が与える影響を抑制すると共に、小規模な構成によるリニアソレノイドの駆動装置を提供することを目的とする。また、併せて静音化対策が不要なリニアソレノイドの駆動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る、車両のバッテリから電源を供給する第一開閉器と、閉成された前記第一開閉器を介して供給される電源により動作する制御装置と、この制御装置により開閉制御されて前記バッテリから電源を供給する第二開閉器と、閉成された前記第二開閉器を介して供給される電源により動作するブリッジ回路と、このブリッジ回路と並列接続された電源安定化のためのコンデンサと、前記第一開閉器を介して供給される電源により前記コンデンサを充電するプリチャージ回路と、を備え、前記ブリッジ回路に備えられたスイッチング手段を前記制御装置によりスイッチング制御することにより、前記ブリッジ回路に接続されたリニアソレノイドを駆動するリニアソレノイドの駆動装置は、下記の特徴を備える。
即ち、前記制御装置は、前記制御装置が動作を開始した後、所定時間経過後に前記第二開閉器を閉制御する点を特徴とする。
上述した特許文献1に記載のプリチャージ方法では、第一開閉器に相当するイグニッションスイッチがオンされたことを検出し、その後所定時間経過後に第二開閉器に相当するリレーの接点を閉じている。あるいは、充電状態を検出し、第二開閉器に相当するリレーの接点を閉じている。本発明では、第一開閉器がオンされたことや充電状態を検出しないので、駆動装置の構成を小規模にすることができる。
また、制御装置に電源が供給され、制御装置が動作を開始する際には、プリチャージ回路を介して既にコンデンサへの充電が開始されている。従って、特許文献1のように、制御装置が自己の初期設定などを完了した後に、コンデンサを満充電するのに充分な時間を取ると、プリチャージ完了までの時間が長くなってしまう。本発明によれば、速やかにプリチャージを完了して、第二開閉器を閉制御することができる。
ここで、前記所定時間は、前記コンデンサと前記プリチャージ回路との過渡応答時の時定数に基づいて定められると好適である。
所定時間は、コンデンサをプリチャージする上で充分な時間であることが望ましい。余裕をもって考えれば、コンデンサが完全に放電状態にある状態から満充電されるまでの時間に基づいて定められるとよい。しかし、コンデンサの端子電圧と経過時間との関数は対数関数的である。従って、コンデンサが定常値まで充電される時間は、理論的には無限大である。このため、充電時間は、コンデンサとプリチャージ回路との過渡応答時の時定数τ(タウ)に基づいて考えればよい。理論的に、充電開始τ秒後には、コンデンサが満充電された場合の端子電圧の定常値の63.2%に達する。また、充電開始後5τ秒後には、定常値の99.3%に達する。これらは、過渡現象の理論計算より導かれる数値であるから、時定数τに基づいて適切な充電時間を所定時間として設定すればよい。このようにすれば、確実且つ無駄なくコンデンサのプリチャージを行うことができる。その結果、電源投入時における突入電流が与える影響を抑制することができる。
また、前記所定時間が、前記制御装置への電源投入後、前記制御装置が初期設定を行う時間であると好適である。
周辺回路の診断等を含む制御装置の初期設定にはある程度の時間を要する。上述した時定数τに基づき計算された所定時間(例えば5τ)が制御装置の初期設定時間よりも短かければ、初期設定を終了した時点で、コンデンサの充電が完了していると考えてよい。また、所定時間が制御装置の初期設定時間よりも長い場合であっても、初期設定が完了する時点である程度充電はできている。例えば、2τの時間を経過していれば、理論的には定常値の87%には達している。従って、ここで第二開閉器が閉制御されたとしても、突入電流は充電開始前と比較して著しく少ない。従って、電源投入時における突入電流が与える影響を抑制することができる。所定時間が、制御装置への電源投入後、制御装置が初期設定を行う時間であれば、制御装置は、初期設定を終えた後、直ちに第二開閉器のオン制御を実行できる。つまり、特別に時間測定や電圧の判定処理などの演算を伴うことなく、第二開閉器をオンさせることができる。その結果、制御装置の演算付加を軽くすることができる。
尚、「初期設定後、直ちに」とは、初期設定と第二開閉器のオン制御との間にいかなる制御(プログラム・ステップ)も含まれないというものではない。他の処理(プログラム・ステップ)が、この間に含まれても、時間測定や電圧の判定などを伴わずに第二開閉器がオン制御されれば本発明の技術範囲に属するものである。
また、前記第二開閉器が、フライホイールダイオードを内蔵した電界効果トランジスタにより構成されると好適である。
本発明は、特許文献1に記載の駆動装置と異なり、フェードアウト機能を備えていない。従って、第一開閉器が開状態となり、制御装置への電源供給が途絶えると、第二開閉器への制御信号も初期状態となり、第二開閉器も開状態となる。このとき、リニアソレノイドが駆動中であると、電流の供給が突然途絶えることとなる。リニアソレノイドは誘導電流を発生し、ブリッジ回路はこれを回生するが、第二開閉器が開いてしまっているため、誘導電流の最終的な行き場がない。その結果、ブリッジ回路などに高電圧が印加され、これを破壊してしまう場合がある。しかし、本発明では第二開閉器をフライホイールダイオードを内蔵した電界効果トランジスタにより構成するので、誘導電流を良好に回生することができる。その結果、フェードアウト機能を備えなくとも、電源遮断時において回生電流が与える影響を抑制することができる。つまり、小規模な構成で回生電流が与える影響を抑制することができる。また、メカニカルリレーではなく、電界効果トランジスタを第二開閉器として用いているので、機械的な接点音が発生しない。従って、特別な静音対策を講じる必要もない。
また、前記ブリッジ回路が、少なくとも過電流の発生を検出して自己診断を行う診断部と、前記制御装置が出力する第一制御信号と前記診断部の診断結果とに基づいて開閉制御されるスイッチ部と、前記診断部の診断結果を出力する診断結果出力部とを有する第一スイッチング手段をハイサイドスイッチとし、前記制御装置が出力するパルス幅変調された第二制御信号に基づいて開閉制御される第二スイッチング手段をローサイドスイッチとする非対称ハーフブリッジとして構成されると好適である。
非対称ハーフブリッジは、フルブリッジと比べて規模の小さい回路である。また、第一スイッチング手段は診断部と第一制御信号とに基づいて開閉制御するので、突入電流以外の理由による過電流などからもブリッジ回路やソレノイドを保護することができる。その結果、電源投入時における突入電流や、遮断時における回生電流が与える影響を抑制すると共に、信頼性が高く、小規模な構成によるリニアソレノイドの駆動装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を自動車のエンジンの防振装置におけるリニアソレノイドの駆動装置を例に、図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るリニアソレノイドの駆動装置の構成を模式的に示すブロック図である。
本発明に係るリニアソレノイドの駆動装置は、他の回路と共にECU(Electronic Control Unit)100に備えられている。ECU100には、制御装置としてのMPU(マイクロプロセッサ:Micro Processing Unit)4が備えられており、リニアソレノイド20を駆動する制御信号CS1及びCS2を出力する。詳細は後述するが、本実施形態では、第二制御信号CS2がパルス幅変調(PWM:pulse width modulation)された制御信号であり、この信号によりリニアソレノイド20が精密に制御される。
ブリッジ回路は、少なくとも過電流の発生を検出する診断機能を有するIPD(インテリジェント・パワー・デバイス:Intelligent Power Device)1と、パワーMOSFET2とを備えて構成されている。IPD1は、本発明の第一スイッチング手段に相当する。パワーMOSFET2は、本発明の第二スイッチング手段に相当し、Nチャネル型である。
図に示すように、ブリッジ回路はIPD1とパワーMOSFET2とで非対称ハーフブリッジ10として構成されている。非対称ハーフブリッジであるから、IPD1とパワーMOSFET2とが備えられていない辺には、それぞれ逆方向接続されたダイオードが備えられる。つまり、IPD1は、グラウンド側からIPD1へ向かう方向を順方向とするフライホイールダイオード3aと直列に接続されている。パワーMOSFET2は、パワーMOSFET2から電源電圧VDD側へ向かう方向を順方向とするフライホイールダイオード3bと直列に接続されている。
リニアソレノイド20は誘導性負荷であり、誘導性負荷は電流の供給が途絶えた後にも誘導起電力により電流を流そうとする性質がある。この誘導電流の回生が容易であるという点もブリッジ回路の利点である。つまり、リニアソレノイド20で発生する誘導電流は、フライホイールダイオード3を介して電源及びグラウンドへ回生される。
また、非対称ハーフブリッジ10の近傍には、電源安定化用の電解コンデンサC1(本発明のコンデンサに相当する。)が配置される。この電解コンデンサは、数百μ〜千μ[F]程度の大容量のものが使用される。大容量化することにより、電源インピーダンスを低く保ち、ブリッジ回路に与えられるPWM制御の信号波形のデューティー比に正確に応答できるようにしている。
ECU100への電源供給は、電圧VBを出力するバッテリ30からヒューズ40を介して、及びイグニッションスイッチ(IGSW:ignition switch)50を介して行われる。ヒューズ40を介して供給される電圧VBは、ECU100内のNチャネルMOSFET5によってスイッチングされて、リニアソレノイドの駆動装置を構成する各回路へ伝達される。IGSW50は本発明の第一開閉器に相当し、NチャネルMOSFET5は本発明の第二開閉器に相当する。詳細は、後述するがFET5は、フライホイールダイオード5bを内蔵しており、このフライホイールダイオード5bとトランジスタ部5aとで、FET5を構成している。
FET5のトランジスタ部5aがスイッチングによりオン状態に遷移する瞬間は、電気的には過度状態である。電源安定用の電解コンデンサC1のインピーダンスは、静電容量の逆数となる。電解コンデンサC1の静電容量は非常に大きいので、過度状態における電源−グラウンド間のインピーダンスは非常に小さくなる。このため、電源−グラウンド間には大きな過度電流、いわゆる突入電流が流れる。この突入電流を抑制するために、プリチャージ回路6が備えられている。
プリチャージ回路6は、抵抗器6aとダイオード6bとにより構成されている。IGSW50がオンされた瞬間にも、突入電流が流れる。抵抗器6aはこの過渡電流に対するインピーダンスとなり、突入電流を小さくするための突入電流防止用抵抗器である。ダイオード6bは、電解コンデンサC1が充電されるまで、バッテリBから電荷を供給する。通常、ダイオードには順方向電圧の電圧降下が発生するため、電解コンデンサC1は理論的にはバッテリ電圧VBよりも0.6〜0.7V低い電圧まで充電される。電解コンデンサC1が定常値まで充電される時間は、理論的には無限大である。そこで、充電時間は、抵抗器6aの抵抗値と、ダイオード6bのインピーダンスと、電解コンデンサC1とから算出できる時定数τに基づいて考えればよい。例えば、充電開始後τ秒後には、電解コンデンサC1が満充電された場合の端子電圧の定常値の63.2%に達する。そして、充電開始後5τ秒後には、定常値の99.3%に達する。これらは、過渡現象の理論計算より導かれる数値であるから、時定数τに基づいて充電時間を設定すればよい。つまり、充電完了と考える所定時間は、電解コンデンサC1とプリチャージ回路6との過渡応答時の時定数に基づいて定められるとよい。
尚、本実施形態に係るリニアソレノイドの駆動装置は、特許文献1に記載の駆動装置と異なり、フェードアウト機能を備えていない。つまり、リニアソレノイド20の動作中に、IGSW50が開(オフ)状態となり、MPU4への電源供給が途絶えると、FET5への制御信号も初期状態となってFET5もオフ状態となる。動作中のリニアソレノイド20にとっては、電流の供給を突然停止されることとなる。リニアソレノイド20は誘導電流を発生し、ブリッジ回路はこの誘導電流を回生する。しかし、FET5のトランジスタ部5aがオフされてしまっているため、誘導電流の最終的な行き場がない。その結果、ブリッジ回路などに高電圧が印加され、これを破壊してしまう場合がある。しかし、図1に示すように本実施形態では、第二開閉器としてのFET5をフライホイールダイオード5bを内蔵した電界効果トランジスタにより構成している。このため、FET5のトランジスタ部5aがオフされていても、内蔵されたフライホイールダイオード5bを介して、誘導電流が良好に回生される。
レギュレータ7は、通常12V程度のバッテリ電圧VBをMPU4などの電子回路の動作電圧である5Vや3.3Vの電圧VCCに降圧する半導体集積回路である。IGSW50がオンされると、上述したように電解コンデンサC1が充電(プリチャージ)されると共に、レギュレータ7によってMPU4の電源電圧VCCが生成される。
MPU4は、電源電圧VCCを与えられるとプログラムに従って動作を開始する。尚、電源電圧VCCで動作するリセット回路(不図示)を有し、電源電圧VCCがリセット回路及びMPU4に与えられた後、一定時間リセットを掛けるように構成してもよい。電源電圧VCCが与えられ、又はリセットが解除されると、MPU4は自己の初期設定(イニシャライズ:initialize)を行う。MPU4が動作を開始する起点は、電源電圧VCCがMPU4の電気的特性を満足する一定電圧を超えてMPU4に与えられた時点、あるいはリセットが解除された時点である。初期設定を終えると、電源制御信号CS0をH(ハイ)レベルで出力する。電源制御信号CS0によって、NチャネルMOSFETであるトランジスタ部5aがオンされると、バッテリ30、ヒューズ40と、FET5とを介して、電圧VBが非対称ハーフブリッジ10及び電解コンデンサC1に供給される。
ここで、上述した時定数τに基づき計算された所定の充電時間がMPU4の初期設定時間よりも短ければ、初期設定を終了した時点で電解コンデンサC1の充電が完了していると考えてよい。また、例えば2τの時間を経過していれば、定常状態の約87%には達しているため、充分に充電できていると考えてもよい。少なくとも、プリチャージにより電解コンデンサC1の未充電の静電容量は減少しており、電解コンデンサC1のインピーダンスは充電開始前よりも確実に大きくなっている。従って、MPU4が初期設定完了後、直ちに電源制御信号CS0を出力してFET5をオンさせても、突入電流を確実に減少させることができている。もちろん、MPU4に電源が投入された後、例えば5τに相当する所定時間経過後に、電源制御信号CS0を出力してFET5をオンさせてもよい。
FET5がオンされると、電解コンデンサC1は、ほぼ電圧VBに近い電源電圧VDDまで充電される。ヒューズ40の抵抗値と、FET5のドレイン−ソース間のオン抵抗とは非常に小さいため、大きな電圧降下は発生しない。FET5がオンされる時、電解コンデンサC1は、プリチャージ回路6を介してすでに電圧VBよりも0.6〜0.7V低い程度の電圧値まで充電されている。従って、電解コンデンサC1は、新たに大きな突入電流を伴うことなく、ほぼ電圧VDDまで充電される。
MPU4には、リニアソレノイド20によって機械的に制御される対象物、例えば自動車のエンジンなどに備えられたセンサ60からの検出信号が入力されている。センサ60は、例えば振動センサであり、機械的な振動の大きさや方向、周波数などの情報をMPU4に提供する。
MPU4は、与えられた機械的な振動情報をプログラムに基づいて情報処理し、この機械的な振動を吸収するようにリニアソレノイド20を駆動するための制御信号を出力する。
リニアソレノイドを駆動するブリッジ回路は、IPD(第一スイッチング手段)1をハイサイドスイッチとし、Nチャネル・パワーMOSFET(第二スイッチング手段)2をローサイドスイッチとする、非対称ハーフブリッジで構成されている。MPU4は、IPD1をスイッチング制御する第一制御信号CS1と、FET2を制御する第二制御信号CS2とを出力する。上述したように、MPU4は、例えば5V程度の電源電圧VCCで動作しており、出力する第一制御信号CS1、第二制御信号CS2も、電圧VCCの範囲内の出力である。リニアソレノイド20には、電圧VDDを用いて動作電流を与える必要があるので、非対称ハーフブリッジ10の動作電圧は、電圧VDDである。従って、FET2をオン・オフ制御するためには、第二制御信号CS2の信号レベルを上げておく必要がある。このため、プリドライバ8が備えられている。MPU4が出力する電圧VCCの信号レベルの第二制御信号CS2aがプリドライバ8に入力され、電圧VDDの信号レベルの第二制御信号CS2bが出力されて、FET2のゲートに入力される。
尚、同様のことはIPD1に関しても言えることであり、IPD1の構成によっては第一制御信号CS1もプリドライバによってレベル変換が必要である。本実施形態においては、IPD1が、電圧VCCの信号レベルの制御信号CS1によって直接制御が可能な構成を採っているため、プリドライバを備えていない。
ここで、図2に基づいてIPD1の構成について説明する。IPD1は、MPUなどの論理回路から直接駆動可能なハイサイドスイッチであって、少なくとも過電流の発生を検出する診断機能を有した半導体集積回路である。IPS(インテリジェント・パワー・スイッチ(Intelligent Power Switch)も同義である。図2に示すように、IPD1は、自己診断を行う診断部11と、入力される第一制御信号CS1と診断部11の診断結果とに基づいて開閉制御されるスイッチ部(パワーMOSFET)12と、診断部11の診断結果を出力する診断結果出力部13とを有している。
診断部11は、過電流検出部11aと、過熱検出部11bと、オープン検出部11cとから構成されている。過電流検出部11aは、スイッチ部12を流れる電流を検出することにより、非対称ハーフブリッジ10を流れる電流を監視する。リニアソレノイド20やブリッジ回路に短絡などが生じた場合の過電流を検出する。過熱検出部11bは、過電流や長時間使用によるIPD1の過熱を検出する。過電流や過熱が検出された場合には、入力I/F部17を介して入力された第一制御信号CS1が、保護部18によって制御される。その結果、スイッチ部12のオン時間が削減され、スイッチ部12を介して供給される電流が削減される。ここで、オン時間の削減とは、例えば、オン時間中にさらに細かくオン・オフ制御するスイッチング制御も含むものである。このように、過電流及び過熱が検出された場合には、何れの場合にも、IPD1は、出力する電流を削減又は停止するように制御する。
オープン検出部11cは、主にスイッチ部12がオフ状態の時に、IPD1の出力端子の電圧を検出することによって、IPD1に接続される負荷のオープンを検出する。正常時には、電源電圧VDDから、オープン検出部11c、IPD1の出力端子、ブリッジ回路やリニアソレノイド20を介してグラウンドへと続く回路が形成される。ブリッジ回路やリニアソレノイド20のインピーダンスは低いので、オープン検出部11cのインピーダンスは、ブリッジ回路やリニアソレノイド20のインピーダンスよりも充分高い値に設定可能である。この場合、等価回路としては、電電圧VDD−オープン検出部11c−出力端子−グラウンド、となる。従って、IPD1の出力端子はLレベルとなる。しかし、ブリッジ回路やリニアソレノイド20に断線や劣化があると、インピーダンスが非常に大きくなる。この場合、等価回路は、電圧VDD−オープン検出部11c−出力端子−高インピーダンス−(グラウンド)、となる。その結果、IPD1の出力端子の電圧は、Hレベルとなるか、少なくともLレベルとは言えない値の電圧となる。従って、オープン検出部11cにより、IPD1の出力端子の電圧を検出することで、ブリッジ回路やリニアソレノイド20に生じている断線や劣化を検出する。
診断部11で検出された診断結果は、診断結果出力部13に入力され、診断結果出力部13は診断結果DS1をIPD1から出力する。診断結果DS1は、MPU4にそのまま入力可能なように、電圧VCCの範囲の信号レベルとして出力される。本例のIPD1は、診断結果DS1を出力する出力端子を1つだけ有している。診断結果出力部13には、入力I/F部17を介して第一制御信号CS1の論理値も入力される。診断結果DS1は、診断部11による診断結果と第一制御信号CS1とに基づいて、下記のような信号レベルで出力される。
診断部11が、過電流、過熱、オープンの何れも検出していない場合、診断結果DS1は、第一制御信号CS1と同じ論理レベルで出力される。つまり、第一制御信号CS1がHレベルのときはHレベル、LレベルのときはLレベルの出力となる。
診断部11が、過電流、過熱の何れかを検出している場合、診断結果DS1は第一制御信号CS1の論理レベルに拘らず、論理レベルLで出力される。即ち、スイッチ部12をオン状態にすべき、第一制御信号CS1のHレベルの時に、制限が掛かってスイッチ部12をオン状態にすることができないことを示している。
診断部11が、オープンを検出している場合、診断結果DS1は第一制御信号CS1の論理レベルに拘らず、論理レベルHで出力される。即ち、スイッチ部12がオフ状態にすることで、IPD1の出力端子がLレベルとなるはずの、第一制御信号CS1がLレベルの時に、IPD1の出力端子がHレベルであることを示している
MPU4は、第一制御信号CS1の論理レベルを把握しているので、第一制御信号と、IPD1より出力される診断結果DS1とに基づいて論理的に非対称ハーフブリッジ回路10及びリニアソレノイド20の動作状態を判定する。
上述したようなIPD1の内部での信号情報処理は、MPU4と同様にCMOSやTTLレベルの信号レベルである電圧VCCの範囲内で行われ、診断結果DS1も同様の信号レベルで出力される。このため、IPD1は、入力される電圧VDDを降圧するレギュレータ16を備えて、電源電圧VCCに相当する電圧VCを生成している。
本例のIPD1は、MPU4からの第一制御信号CS1をそのまま入力しているため、電圧VDDをスイッチングするスイッチ部12を駆動するためのドライバ14を有している。ドライバ14は、電圧VDDの電圧レベルまで第一制御信号CS1を昇圧するだけでは、不十分である。つまり、スイッチ部12は電気的特性上有利なNチャネル・パワーMOSFETを用いて構成される。前述のように、ハイサイドスイッチとして使用するNチャネルMOSFETに対して充分なゲート−ソース間電圧を得るためには、電圧VDDよりも高い電圧が必要である。このため、IPD1は昇圧手段として、チャージポンプ15を有している。
チャージポンプ15は、コンデンサの充放電を用いた昇圧回路である。コンデンサを充電する時間を要するため、IPD1の有するスイッチ部12は、概ね1〜5kHz程度のスイッチング特性に留まる。従って、防振装置のように物体の振動を検出してその振動を打ち消すようにリニアソレノイドを15kHz程度以上の周波数でスイッチング制御するような場合には、応答性に課題がある。
そこで、本実施形態では、IPD1をハイサイドスイッチとし、NチャネルMPSFET2をローサイドスイッチとして、非対称ハーフブリッジ10を構成し、EFT2をパルス幅変調された第二制御信号CS2に基づいて開閉制御されるようにしている。
また、非対称ハーフブリッジ10においてそれぞれのスイッチ手段と対称な辺には、逆方向接続されたダイオード3(3a、3b)がフライホイールダイオードとして備えられている。
ここで、ハイサイドスイッチとしてのIPD1に対する第一制御信号CS1をHレベルに固定し、ローサイドスイッチとしてのFET2に対する第二制御信号CS2をパルス幅変調すると、リニアソレノイド20への電流供給を精密に制御することができる。第二制御信号CS2がL状態の場合、FET2はオフされるが、このとき、IPD1がオープン検出してしまう場合がある。もちろん、MPU4は、第二制御信号CS2をL状態として出力していることを把握しているため、IPD1のオープン検出を無視するようにしてもよい。本実施形態においては、MPU4による排他処理も省略できるように、非対称ブリッジ10のローサイド側に、FET2と並列に抵抗器Rが備えられる構成としている。
第二制御信号CS2がL状態の場合、FET2はオフされるが、抵抗器Rを介してグラウンドとの接続が維持される。抵抗器Rの定数は、電源電圧VDD、IPD1のオープン検出回路11cの抵抗定数及びオープン検出電圧などの電気的特性、などより適宜定める。つまり、抵抗器Rのインピーダンスが高すぎて、IPD1がオープン検出することがないような値を設定すればよい。
また、MPU4がA/Dコンバータ(analogue to digital converter)を備えているような場合には、抵抗器Rのハイサイド側の端子電圧を第二診断結果DS2として、MPU4に入力してもよい。もちろん、MUP4とは別に、A/Dコンバータや比較器が備えられ、その結果がMPU4に出力されるものであってもよい。
本実施形態においては、抵抗器Rは複数の抵抗器(抵抗部品)R1とR2とで構成されている。そして、これら抵抗器R1とR2とにより分圧された電圧値が第二診断結果DS2としてMPU4へ出力される。これは、電源電圧VDDで動作するブリッジ回路と、電源電圧VSSで動作するMPU4との間の電圧変換機能と捉えてもよい。
MPU4は、第一制御信号CS1及び第二制御信号CS2が出力され、IPD1より出力される診断結果DS1及び第二診断結果DS2が入力される制御装置である。従って、MPU4は、第一制御信号CS1及び第二制御信号CS2と、診断結果DS1とに基づいて論理的に非対称ハーフブリッジ10及びリニアソレノイド20の動作状態を判定することができる。また、第二診断結果DS2に基づいて非対称ハーフブリッジ10及びリニアソレノイド20の動作状態を判定することができる。
以上、説明したように本発明によって、電源投入時における突入電流や、遮断時における回生電流が与える影響を抑制すると共に、小規模な構成によるリニアソレノイドの駆動装置を提供することができる。
本発明に係るリニアソレノイドの駆動装置の構成を模式的に示す回路図 図1のIPDの構成を模式的に示すブロック図
符号の説明
1 IPD(第一スイッチング手段)
2 パワーMOSFET(第二スイッチング手段)
3 フライホイールダイオード
4 MPU(制御装置)
5 パワーMOSFET(第二開閉器)
5a トランジスタ部(第二開閉器)
5b フライホイールダイオード(第二開閉器)
6 プリチャージ回路
10 非対称ハーフブリッジ(ブリッジ回路)
11 診断部
11a 過電流検出部
12 スイッチ部
13 診断結果出力部
20 リニアソレノイド
30 バッテリ
50 イグニッションスイッチ(第一開閉器)
C1 コンデンサ
CS1 第一制御信号
CS2 第二制御信号
DS1 診断信号(診断結果)

Claims (5)

  1. 車両のバッテリから電源を供給する第一開閉器と、閉成された前記第一開閉器を介して供給される電源により動作する制御装置と、この制御装置により開閉制御されて前記バッテリから電源を供給する第二開閉器と、閉成された前記第二開閉器を介して供給される電源により動作するブリッジ回路と、このブリッジ回路と並列接続された電源安定化のためのコンデンサと、前記第一開閉器を介して供給される電源により前記コンデンサを充電するプリチャージ回路と、を備え、前記ブリッジ回路に備えられたスイッチング手段を前記制御装置によりスイッチング制御することにより、前記ブリッジ回路に接続されたリニアソレノイドを駆動するリニアソレノイドの駆動装置において、
    前記制御装置は、前記制御装置が動作を開始した後、所定時間経過後に前記第二開閉器を閉制御するリニアソレノイドの駆動装置。
  2. 前記所定時間は、前記コンデンサと前記プリチャージ回路との過渡応答時の時定数に基づいて定められる請求項1に記載のリニアソレノイドの駆動装置。
  3. 前記所定時間は、前記制御装置への電源投入後、前記制御装置が初期設定を行う時間である請求項1に記載のリニアソレノイドの駆動装置。
  4. 前記第二開閉器は、フライホイールダイオードを内蔵した電界効果トランジスタにより構成される請求項1に記載のリニアソレノイドの駆動装置。
  5. 前記ブリッジ回路は、少なくとも過電流の発生を検出して自己診断を行う診断部と、前記制御装置が出力する第一制御信号と前記診断部の診断結果とに基づいて開閉制御されるスイッチ部と、前記診断部の診断結果を出力する診断結果出力部とを有する第一スイッチング手段をハイサイドスイッチとし、前記制御装置が出力するパルス幅変調された第二制御信号に基づいて開閉制御される第二スイッチング手段をローサイドスイッチとする非対称ハーフブリッジとして構成される請求項1〜4の何れか一項に記載のリニアソレノイドの駆動装置。
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