JP5129039B2 - 塩基性炭酸銅の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば銅メッキ用の銅原料として用いられる塩基性炭酸銅の製造方法関する。
例えば硫酸(HSO)などの酸溶液中に銅(Cu)を溶解させたメッキ液を用いて銅メッキを行うにあたって、例えばメッキ処理中に銅の原料を酸溶液に溶解させて、メッキ液中の銅イオン濃度を調整しながらメッキ処理を行うようにしている。そのため、この銅の原料としては、酸溶液に対して易溶解性である必要があり、またメッキ液への不純物の蓄積を抑えるために、例えば塩化物イオン(Cl)や硫酸イオン(SO 2−)などの含有量が極めて少ないことが求められている。そこで、一般的にこの銅原料としては、例えば以下の製造方法により得られる塩基性炭酸銅(CuCO・Cu(OH))や、あるいはこの塩基性炭酸銅に対して例えば熱処理を行い、この熱処理により生成する酸化銅(CuO)などを用いるようにしている。
この塩基性炭酸銅の製造方法としては、炭酸塩例えば炭酸ナトリウム(NaCO)などの水溶液と、銅塩例えば硫酸銅(CuSO)や塩化銅(CuCl)などの水溶液と、を反応させる方法などが知られている。例えば上記の炭酸ナトリウムと塩化銅との反応は、以下の反応式(1)により進行する。
2NaCO+2CuCl+HO→CuCO・Cu(OH)+4NaCl + CO↑・・・・(1)
この時、塩基性炭酸銅の原料となる炭酸イオン(CO 2−)に着目すると、この反応式(1)の左辺における炭酸ナトリウム中の炭酸イオンのうち、半分が塩基性炭酸銅に取り込まれ、残りの半分が二酸化炭素(CO)として大気に放出されていることが分かる。即ち、この反応では1モルの塩基性炭酸銅を得るために、塩基性炭酸銅の生成に直接使用されない(塩基性炭酸銅に取り込まれない)炭酸イオン源つまり炭酸ナトリウムを過剰に(1モル多く)供給していることになり、従ってこの反応に用いられる炭酸ナトリウムのうち、半分が無駄に消費されていると言える。
そこで、上記の反応機構により塩基性炭酸銅を製造するにあたって、この塩基性炭酸銅の製造コストを抑えるために、炭酸ナトリウムの使用量を少なくする必要がある。そのためには、例えば大気に放出される二酸化炭素を回収して、上記の反応に再利用するといった方法が考えられる。このように二酸化炭素を再利用できるのであれば、炭酸ナトリウムの使用量を抑えながら塩基性炭酸銅の製造量を増やすことができると考えられる。また、大気への二酸化炭素の放出により地球温暖化に悪影響を与えることから、二酸化炭素の回収は必要である。
上記のように二酸化炭素から炭酸ナトリウムを得る方法として、例えば以下の反応式(2)に示すように、二酸化炭素を水酸化アルカリ水溶液例えば水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に吸収させるといった反応が知られている。
2NaOH+CO→NaCO+HO・・・・・(2)
このように、反応式(1)により生成した二酸化炭素を回収して、塩基性炭酸銅の原料として再利用することによって、原料の炭酸ナトリウムの使用量を抑えながら塩基性炭酸銅の生成量を増やすことができると考えられる。また、二酸化炭素を回収することにより、地球温暖化への悪影響を抑えることができる。
しかし、このように二酸化炭素を再利用するためには、塩基性炭酸銅を製造する設備とは別に、反応式(2)を行うための吸収塔などの設備が必要となってしまうので、塩基性炭酸銅のコストアップに繋がってしまう。
特許文献1には、塩基性炭酸銅から水酸化第二銅(Cu(OH))を製造する技術が記載されているが、塩基性炭酸銅の製造方法については記載されていない。また、特許文献2、3には、銅塩水溶液、苛性(水酸化)アルカリ及び炭酸イオン(炭酸アルカリ)を反応させることにより酸化銅を得る技術について記載されているが、反応中間体である塩基性炭酸銅については何ら検討されていない。更に、特許文献4には、アルミニウム(Al)、銅などの金属の水溶性の塩の水溶液、炭酸ナトリウム水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液を反応させることによって塩基性炭酸塩構造を有する抗菌剤を得る方法が記載されているが、この抗菌剤は含水性の化合物であり、上記の塩基性炭酸銅については検討されていない。
特開2004−175615(段落0007〜0008) 特開平8−12327(段落0010〜0019) 特開平8−2915(段落0005、0009) 特開平5−25052(段落0006〜0009)
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、炭酸塩を原料として例えば銅メッキ材料として用いられる塩基性炭酸銅を製造するにあたり、原料の炭酸塩の使用量を抑えながら塩基性炭酸銅の生成量を増やすことのできる塩基性炭酸銅の製造方法提供することにある。
本発明の塩基性炭酸銅の製造方法は、
炭酸塩の水溶液と、銅塩水溶液と、水酸化アルカリ水溶液と、を反応槽内にて混合して、炭酸塩と銅塩とを反応させて塩基性炭酸銅及び炭酸を生成させると共に、この炭酸と水酸化アルカリとの反応によって生成する炭酸塩を、銅塩と反応させて塩基性炭酸銅を生成させることと、
銅副生成物が生成しないように、前記反応槽内に供給される前記炭酸塩に対する前記水酸化アルカリのモル比xを0<x<1.2に調整して前記各水溶液を反応させることと、を備えたことを特徴とする。
炭酸塩は炭酸ナトリウムであり、水酸化アルカリは水酸化ナトリウムであっても良い。
前記モル比xは0<x≦1.0であり、好ましくは0.1≦x≦1.0であり、更に好ましくは0.5≦x≦1.0である。
希釈液が収容されている反応槽内に、炭酸塩の水溶液と銅塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とを同時に供給しながら反応槽内を攪拌することが好ましい。
反応槽内の希釈液を塩基性炭酸銅が生成する温度範囲に予め加熱しておく工程を含むことが好ましい。
炭酸塩の水溶液及び水酸化アルカリ水溶液の少なくとも一方の供給量を調整することにより反応槽内の水溶液を、塩基性炭酸銅が生成するpHの範囲に維持することが好ましい。あるいは、銅塩水溶液の供給量を調整することにより反応槽内の水溶液を、塩基性炭酸銅が生成するpHの範囲に維持することが好ましい
前記前記塩基性炭酸銅の反応温度は、50℃以上90℃以下であることが好ましい。
前記塩基性炭酸銅が生成するpHの範囲は、7以上9以下であることが好ましい。
塩基性炭酸銅を製造した後、
水溶液から塩基性炭酸銅を回収し、次いで塩基性炭酸銅を乾燥する工程を行う工程を含み、
前記塩基性炭酸銅の乾燥温度は、80℃以上であることが好ましい
本発明によれば、炭酸塩水溶液、銅塩水溶液及び水酸化アルカリ水溶液を反応させて塩基性炭酸銅を製造するようにしている。そのために、炭酸塩水溶液と銅塩水溶液との反応によって塩基性炭酸銅と共に生成した二酸化炭素が水酸化アルカリ水溶液に吸収されて炭酸塩となり、この炭酸塩が塩基性炭酸銅の製造に再利用されることになる。従って、原料の炭酸塩水溶液の使用量を抑えながら塩基性炭酸銅の製造量を増やすことができる。更に、塩基性炭酸銅と共に生成する二酸化炭素を回収することにより、地球温暖化への悪影響を抑えることができる。また、銅副生成物が生成しないように、前記炭酸塩に対する水酸化アルカリのモル比xを調整することによって、粒子径が小さく固液分離が困難な銅副生成物の分離工程が不要になり、また高純度の塩基性炭酸銅を容易に製造することができる。
本発明の塩基性炭酸銅(CuCO・Cu(OH))の製造方法の実施の形態の一例について、図1を参照して説明する。図1は塩基性炭酸銅の製造方法のフローチャートを示しており、この塩基性炭酸銅を製造するための原料としては、銅塩の水溶液、炭酸塩の水溶液及び水酸化アルカリ水溶液を用いており、この実施の形態では夫々塩化銅(CuCl)水溶液、炭酸ナトリウム(NaCO)水溶液及び水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を用いている。以下の塩基性炭酸銅の生成反応やフローチャートについては、これらの具体的な化合物を例に取って説明する。
この例では、炭酸ナトリウム水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液としては、これらを混合した混合水溶液を用いており、混合水溶液中の炭酸ナトリウムに対する水酸化ナトリウムのモル(物質量)比(水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウム)をxとすると、0<x≦1.0となるように夫々の水溶液の量や濃度を調整している。このようにモル比xの範囲を設定した理由については、後述の実施例にて詳述するが、原料の炭酸ナトリウムの使用量を抑えながら塩基性炭酸銅の製造量を増やすと共に、銅副生成物の生成を抑えるためである。
これらの水溶液の濃度については特に制限はないが、例えば塩化銅水溶液として塩化銅エッチング廃液を用いる場合には、例えば銅イオン濃度10重量%、遊離塩酸濃度8重量%程度の水溶液を用いることが好ましい。また、炭酸ナトリウム水溶液の濃度は、例えば2重量%〜30重量%程度であることが好ましく、水酸化ナトリウム水溶液の濃度は例えば5重量%〜48重量%程度であることが好ましい。
次に、図1のフローチャートに従って本発明の塩基性炭酸銅の製造方法について具体的に説明する。先ず、例えば塩基性炭酸銅の生成反応を行うための反応槽内に敷き水(希釈液)となる純水を供給し、この純水を撹拌しながら加温して塩基性炭酸銅の反応温度例えば75±3℃に調整する(ステップS11)。この純水は、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液及び塩化銅水溶液からなる反応水溶液を希釈することによって、反応によるpHや温度の急激な変化を抑えるための緩衝剤としての役目を果たす。そして、純水の温度を上記の温度範囲に保ちながら、炭酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液との混合水溶液及び塩化銅水溶液を反応槽内に供給していく。この時、反応水溶液のpHが塩基性炭酸銅の生成pH範囲例えば7.0±0.2程度の範囲内に保たれるように、例えば混合水溶液の供給速度を一定に保ちつつ、塩化銅水溶液の供給速度(供給量)を調整する。つまり、反応水溶液のpHが上記の範囲の上限に近づいた場合には塩化銅水溶液の供給量を減らし、一方反応水溶液のpHが上記の範囲の下限に近づいた場合には塩化銅水溶液の供給量を増やすようにする。そして、反応水溶液の温度及びpHをこのように一定範囲内に保ちながら撹拌を続けて、反応水溶液が所定の量となるまで各水溶液を供給する。この反応水溶液は、以下の(3)式に従って塩基性炭酸銅を生成する(ステップS12)。
NaCO+2NaOH+2CuCl→CuCO・Cu(OH)+4NaCl・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
ここで、この(3)式に従って塩基性炭酸銅が生成する理由について詳述する。この(3)式は、従来から塩基性炭酸銅を製造する方法として知られていた以下の(4)式
2NaCO+2CuCl+HO→CuCO・Cu(OH)+4NaCl + CO↑・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
と、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に二酸化炭素(CO)を通じて炭酸ナトリウム(NaCO)を生成させる反応式
2NaOH+CO→NaCO+HO・・・・(5)
と、において、反応式(4)、(5)の右辺同士及び左辺同士を夫々足し合わせて組み合わせたものである。つまり(3)式の反応では、図2のイメージ図に示すように、(4)式の反応と(5)式の反応とが並行して進行しており、(4)式において塩基性炭酸銅と共に生成した二酸化炭素が水酸化ナトリウム水溶液に溶け込み、この二酸化炭素と水酸化ナトリウムとが(5)式に従って反応して炭酸ナトリウムが生成し、この炭酸ナトリウムが再度(4)式により反応している。そのため、(3)式では、見かけ上二酸化炭素あるいは炭酸イオンが系外に放出されないことになる。
ところで、このように塩化銅などの銅塩の水溶液と水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液とを混合して反応させると、例えば10℃程度の低温においては、以下の(6)式に従って水酸化銅(Cu(OH))が生成することが知られている。
2NaOH+CuCl → Cu(OH)+2NaCl・・・(6)
また、例えば60℃〜80℃程度の高温つまり上記の(3)式や(4)式において塩基性炭酸銅が生成する温度範囲においては、以下の(7)式により銅塩の水溶液とアルカリ水溶液とが反応して酸化銅(CuO)が生成することが知られている。
2NaOH+CuCl → CuO+2NaCl+HO・・・(7)
従って、(3)式の反応では、(6)式や(7)式の反応が阻害されるように反応条件などを調整しない場合には、塩基性炭酸銅と共にこれらの銅副生成物(水酸化銅あるいは酸化銅など)が生成してしまうことになる。このような銅副生成物は、後述の実施例に示すように、(3)式や(4)式により生成する塩基性炭酸銅よりも粒子径が小さい場合には、液体からの分離(固液の分離)が困難となってしまう。そのため、水洗による塩化物イオン(Cl)などの不純物の除去が困難になる。また、このような粒径の小さな酸化銅には、水溶液中に含まれる不純物例えば塩化物イオンなどが例えば塩基性塩化銅(Cu(OH)・3CuCl)などといった化合物として取り込まれてしまう場合があり、そのような場合には大量の水により洗浄したとしてもこれらの不純物を取り除くことはできない。以上のことから、塩基性炭酸銅を銅メッキ用の原料(銅メッキ材料)として用いる場合には、この銅メッキ材料の製造に適さない銅副生成物(塩基性炭酸銅の単一相が生成した場合よりも塩化物などの不純物の濃度が高く、または(且つ)塩基性炭酸銅よりも粒径が小さい銅化合物)の生成をできるだけ抑えることが望ましい。ここで、「不純物の濃度が高い」とは、後述の実施例において示すように、塩基性炭酸銅の不純物濃度よりも一桁以上高いことであり、「粒径が小さい」とは、50%径が塩基性炭酸銅よりも10μm以上小さいことである。従って、特許請求の範囲における「銅副生成物」とは、このような銅メッキ材料の製造に適さない銅副生成物を指す。
このため、本発明では、上記の酸化銅や水酸化銅などの銅副生成物の生成が抑えられた状態で(4)式及び(5)式の反応が並行して進行していくように水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムのモル比xを調整することが好ましく、このモル比xの範囲としては後述の実施例にて説明するように0<x≦1.0の範囲を挙げることができる。銅副生成物の生成が抑えられた状態とは、例えば目視で見て銅副生成物の粒子が観察できない状態を意味する。こうして本発明では、既述のように、(4)式の反応により生成した二酸化炭素が(5)式により反応して炭酸ナトリウムが生成し、この炭酸ナトリウムが(4)式により反応するので、(4)式のみの反応により塩基性炭酸銅が生成した場合よりも、塩基性炭酸銅の生成量が増えると共に大気への二酸化炭素の放出量が抑えられることとなる。また、この(3)式の反応により生成した塩基性炭酸銅は、後述の実施例に示すように、(4)式のみの反応により生成した塩基性炭酸銅と同様の性状となり、具体的には不純物濃度が極めて低く、また粒径が例えば数十μm程度に大きくなる。
そして、この反応が十分に進行するまで反応水溶液の温度及びpHを上記のように保つことにより、上記の銅副生成物を含まない(単一相の)塩基性炭酸銅が固形物として生じて反応水溶液がスラリー状となる。次いで、例えば遠心分離などにより固液分離を行って固相側を回収し(ステップS13)、続いて例えば純水などにより水洗(ステップS14)した後、例えば80℃以上にて乾燥する(ステップS15)ことによって、粉粒体である(粉末状の)塩基性炭酸銅が得られる。
続いて、上記の塩基性炭酸銅の製造方法を実施するための塩基性炭酸銅製造装置の一例について、図3を参照して説明する。この塩基性炭酸銅製造装置は、内部に反応水溶液を貯留して塩基性炭酸銅の生成反応を行うための反応槽1を備えている。この反応槽1の上部側には、銅塩の水溶液例えば塩化銅水溶液を反応槽1内に供給するための銅塩水溶液供給管11の一端側が接続されており、この銅塩水溶液供給管11の他端側には、銅塩水溶液の供給量の調整及び給断をするための例えばダイヤフラムポンプなどの銅塩水溶液供給手段12を介して、銅塩の水溶液例えば塩化銅水溶液が貯留された銅塩水溶液貯槽13が接続されている。
また、反応槽1の上部側には、炭酸塩水溶液例えば炭酸ナトリウムの水溶液と水酸化アルカリ水溶液例えば水酸化ナトリウム水溶液との混合水溶液を当該反応槽1内に供給するための混合水溶液供給管14の一端側が接続されており、この混合水溶液供給管14の他端側には、上記の炭酸塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とを混合するためのラインミキサーなどの水溶液混合手段15が介設されている。
この水溶液混合手段15の上流側における混合水溶液供給管14は、炭酸塩水溶液供給管16及び水酸化アルカリ水溶液供給管17の2本に分岐している。炭酸塩水溶液供給管16の上流側には、水溶液の供給量の調整及び給断をするための例えばダイヤフラムポンプなどからなる炭酸塩水溶液供給手段18を介して炭酸塩例えば炭酸ナトリウムの水溶液が貯留された炭酸塩水溶液貯槽19が接続されている。水酸化アルカリ水溶液供給管17の上流側には、同様に水溶液の供給量の調整及び給断をするための水酸化アルカリ水溶液供給手段20を介して、水酸化アルカリ水溶液例えば水酸化ナトリウム水溶液が貯留された水酸化アルカリ水溶液貯槽21が接続されている。
更に、この反応槽1の上部側には、反応槽1内に水蒸気を供給して反応水溶液を加熱するための水蒸気供給管30が加熱手段として接続されている。この水蒸気供給管30の上流側には、バルブ31を介して例えば130℃程度に加熱された水蒸気が貯留された水蒸気貯槽32が接続されている。
この反応槽1には、当該反応槽1内の反応水溶液を撹拌するための例えばミキサーなどの攪拌機2と、反応槽1内の反応水溶液のpH及び温度を測定するためのpH測定部3及び温度測定部4と、が設けられている。このpH測定部3にはpH制御計5が接続されており、このpH制御計5は、反応槽1内の反応水溶液のpHを一定範囲例えば7.0±0.2程度に保つために、pH測定部3の測定値に基づいて、既述の銅塩水溶液供給手段12に対して銅塩水溶液の流量を調整するように構成されている。また、温度測定部4には温度制御計6が接続されており、この温度制御計6は、反応槽1内の反応水溶液の温度を一定範囲例えば75±3℃に保つために、温度測定部4の測定値に基づいて、バルブ31を介して反応槽1内に供給する水蒸気の流量を調整するように構成されている。
反応槽1の底面には、反応水溶液の反応により生成した塩基性炭酸銅を含むスラリーを反応槽1内から取り出すための塩基性炭酸銅取り出し管40の一端側が接続されており、この塩基性炭酸銅取り出し管40の他端側には、バルブ41及びスラリーポンプなどからなる吸引ポンプ42を介して、固液を分離して固相側の塩基性炭酸銅を回収するための例えば遠心分離器などの塩基性炭酸銅回収部43が接続されている。この塩基性炭酸銅回収部43には、スラリーから分離された排液を排出するための排出管44と、スラリーから回収された固形分である塩基性炭酸銅を塩基性炭酸銅回収部43の外部へ搬送するための例えばベルトコンベアなどからなる搬送路45の一端側が接続されており、この搬送路45の他端側には、塩基性炭酸銅回収部43にて回収された塩基性炭酸銅を乾燥するための乾燥機46が接続されている。この乾燥機46には、同様にベルトコンベアなどからなる粉末取り出し路47が接続されており、この乾燥機46にて水分が除去された塩基性炭酸銅の粉末(粉粒体)が取り出されるように構成されている。
次に、この塩基性炭酸銅製造装置の作用について簡単に説明する。先ず、図示しない純水供給源から反応槽1内に純水を所定量供給し、攪拌機2によりこの純水を撹拌すると共に、水蒸気貯槽32から水蒸気を反応槽1内に供給して純水が所定の温度例えば75±3℃となるように調整する。そして、炭酸塩に対する水酸化アルカリのモル(物質量)比(水酸化アルカリ/炭酸塩)をxとすると、0<x≦1.0となるように、炭酸塩水溶液供給手段18及び水酸化アルカリ水溶液供給手段20における夫々の水溶液の流量を調整して、水溶液混合手段15を介して混合水溶液供給管14から反応槽1内にこれらの水溶液の混合水溶液を一定流量で供給する。また、銅塩水溶液供給管11から反応槽1内に所定の流量で銅塩水溶液を供給する。この時、pH測定部3により反応槽1内の反応水溶液のpHを測定し、この反応水溶液のpHが7.0±0.2に保たれるように、pH制御計5により銅塩水溶液供給手段12を介して銅塩水溶液の供給量を調整すると共に、温度制御計6によりバルブ31を介して反応槽1内の反応水溶液の温度が上記の範囲内となるように水蒸気の供給量を調整する。
そして、反応槽1内の反応水溶液が所定の量となるまで夫々の水溶液を供給した後、各水溶液供給手段12、18、20により水溶液の供給を停止して、既述の塩基性炭酸銅の生成反応が十分に進行するまで撹拌を続ける。この反応により反応槽1内には固形分である塩基性炭酸銅を含むスラリーが生成するので、水蒸気の供給と攪拌機2の撹拌を停止して、塩基性炭酸銅取り出し管40から塩基性炭酸銅回収部43に向けてスラリーを排出する。その後、この塩基性炭酸銅回収部43において固液分離を行い、固相側の塩基性炭酸銅を乾燥機46に搬送し、次いで乾燥機46にて塩基性炭酸銅の水分を除去する。そして、粉末取り出し路47から粉末状の塩基性炭酸銅を取り出す。
上述の実施の形態によれば、反応槽1内において炭酸ナトリウム水溶液と塩化銅水溶液とを含む反応水溶液を反応させて塩基性炭酸銅を製造するにあたって、反応槽1内の反応水溶液の温度及びpHを塩基性炭酸銅の生成範囲内となるように調整しながら、炭酸ナトリウム水溶液及び塩化銅水溶液と共に水酸化ナトリウム水溶液を供給するようにしている。そのために、炭酸ナトリウム水溶液と塩化銅水溶液との反応によって塩基性炭酸銅と共に生成した二酸化炭素が水酸化ナトリウム水溶液に吸収されて炭酸ナトリウムとなり、この炭酸ナトリウムが塩基性炭酸銅の製造に再利用されることになる。従って、原料の炭酸ナトリウム水溶液の使用量を抑えながら塩基性炭酸銅の製造量を増やすことができる。この時、後述の実施例に示すように、水酸化ナトリウム水溶液を加えない例と比較して、塩基性炭酸銅の製造量をモル比xが0.5では1.2倍、モル比xが1.0では1.6倍まで増やすことができ、また僅かな量であっても水酸化ナトリウム水溶液を加えることにより、つまりモル比xを0<xとすることにより、塩基性炭酸銅の製造量を増やすことができる。
また、モル比xが1.0以下となるように反応水溶液を調整することによって、銅副生成物の生成を抑えて塩基性炭酸銅を製造することができる。従って、例えば生成した塩基性炭酸銅をメッキ用の原料として用いるにあたって、銅副生成物を分離する工程を省くことができる。銅副生成物である水酸化銅や酸化銅は粒子径が小さく、分離が困難であることから、こうした銅副生成物の生成を抑えてプロセスを行う手法は有効である。
更に、塩基性炭酸銅と共に生成する二酸化炭素を回収することにより、地球温暖化への悪影響を抑えることができる。
また、(4)式の反応と(5)式の反応とを同じ反応槽1内において並行して進行させることができるので、この(5)式を行うための吸収塔などを別途設けずに上記の効果を得ることができる。更に、炭酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを予め混合して反応槽1内に供給することにより、生成物の品質が安定するといったメリットがある。
更にまた、従来から上記の塩基性炭酸銅の製造装置と(5)式の反応を行うための吸収塔などの設備とを持ち、この吸収塔において得られた炭酸ナトリウムを原料として(4)式により塩基性炭酸銅を製造している場合には、(4)式に代えて(3)式を採用することにより、塩基性炭酸銅の原料として水酸化ナトリウム水溶液を用いることができるので、炭酸ナトリウムの製造量を減らすことができるといったメリットがある。
上記の例においては、銅塩水溶液の供給量により反応槽1内の反応水溶液のpHを一定範囲に保つようにしたが、この銅塩水溶液の供給量を一定にして、炭酸塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液との混合水溶液の供給量によりpHを調整するようにしても良い。
また、上記の例では炭酸塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とを混合して反応槽1内に供給したが、夫々別々に供給するようにしても良い。この例について、塩基性炭酸銅の製造方法のフローチャートの一例を図4に、製造装置の一例を図5に夫々示す。この場合には、炭酸塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とが別々に供給される以外には、既述の例と同じフローチャート及び装置構成となっており、塩基性炭酸銅製造装置においては、炭酸塩水溶液供給管16及び水酸化アルカリ水溶液供給管17が水溶液混合手段15を介さずに夫々直接反応槽1の上部側に接続されている。
この場合においても、炭酸塩に対する水酸化アルカリのモル比(水酸化アルカリ/炭酸塩)xが上記と同じ範囲となるように水溶液供給手段18、20により各水溶液の流量が調整され、反応槽1内において均一に混合されることとなる。そして、上記の例と同様に銅塩水溶液の供給量により反応槽1内の反応水溶液のpHを調整すると共に、水蒸気の供給量により反応水溶液の温度を調整して、塩基性炭酸銅の生成反応を行う。
このように炭酸塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とを別々に供給した場合においても、既述の例と同様に(3)式に従って、不純物濃度が低く、また粒径の大きな塩基性炭酸銅が生成することとなる。
この場合においても、銅塩水溶液を一定の供給量で供給すると共に、炭酸塩水溶液及び水酸化アルカリ水溶液の供給量を調整することによって反応水溶液のpHを調整するようにしても良いし、あるいは銅塩水溶液を一定の供給量で供給して炭酸塩水溶液及び水酸化アルカリ水溶液のいずれかにより反応水溶液のpHを調整するようにしても良い。
上記の各例においては、銅塩、炭酸塩及び水酸化アルカリとして、夫々塩化銅、炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを用いることが好ましいが、これら以外の化合物を用いるようにしても良い。具体的には、例えば銅塩としては硫酸銅(CuSO)や硝酸銅(Cu(NO)を用いても良いし、また炭酸塩としては、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸カリウム(KCO)あるいは炭酸水素カリウム(KHCO)を用いても良いし、このような炭酸塩(炭酸ナトリウムを含む)の2種類以上を混合して用いても良い。水酸化アルカリとしては、水酸化カリウム(KOH)を用いても良いし、この水酸化カリウムと共に水酸化ナトリウムを混合して用いても良い。この場合においても、塩基性炭酸銅は既述の(3)式と同様の反応機構に従って進み、銅副生成物が生成しない。この時、炭酸塩に対する水酸化アルカリのモル比(水酸化アルカリ/炭酸塩)xは、上記の例と極めて近い範囲になる。
また、反応水溶液のpHとしては、塩基性炭酸銅のみが生成するpH7.0以上9.0以下であることが好ましい。また、反応水溶液の温度は、塩基性炭酸銅の生成量を多くするために、50℃〜90℃であることが好ましい。
更に、上記の塩基性炭酸銅製造装置としては、バッチ式の装置として説明したが、連続式の装置に本発明の塩基性炭酸銅の製造方法を適用するようにしても良い。
また、反応水溶液の加熱方法としては、水蒸気以外にも、例えばヒーターを反応槽1の周囲に設けて、このヒーターにより反応水溶液を加熱するようにしても良い。更に、固液分離後の塩基性炭酸銅を乾燥するにあたっては、粉末内の水分をできるだけ除去するために、80℃以上で乾燥することが好ましい。
また、本発明の塩基性炭酸銅は、銅メッキ用の原料以外にも、例えば農薬や木材用の防腐剤の原料として用いても良い。
次に、本発明の塩基性炭酸銅の製造方法の主要な反応式である(3)式が、実際に既述の反応機構に従って進行するか確認するために行った実験について説明する。以下の実験においては、既述の塩基性炭酸銅製造装置を簡略化するために、3リットルのビーカーを用いて、このビーカー内に敷き水として純水1リットルを加えて撹拌し、この純水の温度を75±3℃に保ちながら行った。そして、水酸化アルカリ/炭酸塩のモル比xを所定の値に調整した混合水溶液を調整し、この混合水溶液を約1000g/1.5hの一定流量にてビーカー内に供給すると共に、ビーカー内の反応水溶液のpHが7.0±0.2の範囲内に保たれるように、銅塩水溶液の供給量を調整しながらビーカー内にこの銅塩水溶液を供給した。このように混合水溶液と銅塩水溶液とからなる反応水溶液をビーカー内に1.5時間供給した後、30分間撹拌を続けた。そして、ビーカー内に生成したスラリーを吸引濾過により固液分離して、固相側の化合物を純水で洗浄した後乾燥機で乾燥し、得られた粉末に対して各々の実験例において種々の測定を行った。
(実験例1)
先ず、既述の(3)式と(4)式とにおいて、同じ化合物が生成するかどうか確認する実験を行った。実験には、原料である炭酸塩及び水酸化アルカリとして、夫々試薬の炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを用いて、以下の表1に示す2種類の水溶液を調整した。
(表1)
Figure 0005129039
この表に示すように、(3)式の反応が起こるように炭酸ナトリウム水溶液に水酸化ナトリウム水溶液に加えて水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムのモル比xを0.5とした混合水溶液と、(4)式の反応だけが起こるように水酸化ナトリウムを加えずにブランク(モル比x≒0)とした水溶液と、を調整した。また、銅塩としては、試薬の塩化第二銅二水塩(CuCl・2HO)を純水に溶解し、水溶液中の銅イオン濃度を8重量%に調整したものを用いた。
そして、上記のようにこれらの2種類の水溶液を用いて塩基性炭酸銅の生成反応を行い、得られた粉末に対して以下に説明する測定を行うことにより生成物の同定を行った。
(測定内容)
1.生成した固体中の銅濃度測定
滴定法を用いて、生成した固体中の銅濃度を測定した。つまり、以下の表2に示すように、塩基性炭酸銅と(6)式や(7)式にて生成する銅副生成物とでは式量が違うので、銅濃度が塩基性炭酸銅の濃度の理想値である57.5%よりも高くなるかどうかを測定することによって、(6)式の反応(あるいは(7)式の反応)が起こっているかどうかを確認した。固体中の銅濃度が57.5%と同程度であれば塩基性炭酸銅の生成量が多く、あるいは塩基性炭酸銅の単一相であり、一方銅濃度が57.5%よりも高くなるにつれて、(6)式の反応(あるいは(7)式の反応)による銅副生成物の生成量が多くなっていることが分かる。
(表2)
Figure 0005129039
2.粉末X線回折(XRD)
塩基性炭酸銅と銅副生成物とではXRDパターンにおけるピーク位置が異なることから、銅副生成物の有無によって(6)式や(7)式の反応が起こっているかを確認した。
3.粒子の50%径
(3)式や(4)式において生成する塩基性炭酸銅の50%径(メジアン径)は数10μmであるが、(6)式や(7)式で生成する銅副生成物は数μm程度であるため、粒子径によりどちらの反応が起こっているかを確認した。
4.塩化物イオン濃度
(3)式や(4)式において生成する塩基性炭酸銅に取り込まれる塩化物イオンや硫酸イオンといった不純物の濃度は例えば数10〜100ppm程度と極めて低いが、(6)式や(7)式で生成する銅副生成物ではこれらの不純物の濃度が1,000ppm以上と高くなるため、この不純物濃度によってどちらの反応が起こっているか確認した。
(実験結果)
上記の2種類の水溶液を用いて生成した粉末について測定した結果を表3に示す。
(表3)
Figure 0005129039
いずれの測定結果においても、混合水溶液から生成した生成物とブランク水溶液から生成した化合物とでは、同じ性状を示していた。従って、混合水溶液では確実に塩基性炭酸銅が生成しており、またこの塩基性炭酸銅の単一相となっていることが分かった。そのため、この混合水溶液では、(3)式あるいは(4)式の反応が起こっており、(6)式や(7)式の反応が起こっていないことが分かった。
ところで、混合水溶液から生成したスラリーを濾過した後の濾母液を分析したところ、水酸化ナトリウム(水酸化ナトリウムに由来する水酸化物イオン)は検出されなかった。つまり、既述のように、(3)式が(4)式及び(5)式の組み合わせであるため、例えばこの実験において(4)式だけが進行して(5)式が起こらなかったとすると、濾母液中には水酸化ナトリウムが残るはずである。しかし、反応後に水酸化ナトリウム(水酸化ナトリウムに由来する水酸化物イオン)が消費されていたことから、この水酸化物イオンが固体中に取り込まれているので、混合水溶液は(3)式に従って反応したものと考えられる。
(実験例2−1)
次に、水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムのモル比xを変えることにより、どのような生成物が生成するかを確認する実験を行った。実験には、上記の実験と同じ原料を用いて、以下の表4に示すように各混合水溶液を調整した。
(表4)
Figure 0005129039
また、上記の実験と同様にブランク水溶液も調整した。尚、銅塩水溶液としては、極めて安価に入手可能な塩化銅エッチング廃液(銅イオン濃度10重量%、遊離塩酸濃度8重量%)を用いた。また、pHの影響を確認するため、この塩化銅エッチング廃液の供給量により反応水溶液のpHを8.0±0.3に調整した。
そして、同様にこれらの水溶液を用いて塩基性炭酸銅の生成反応を行い、得られた粉末に対して生成物の同定を行った。その結果を表5及び図6に示す。
(実験結果)
(表5)
Figure 0005129039
この表5のX線回折の結果から、水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムのモル比xが1.0以下では塩基性炭酸銅の単一相となっているが、モル比xが1.5では、塩基性炭酸銅と共に銅副生成物である酸化銅が生成していることが分かる。また、酸化銅の生成により、固体中の銅濃度が増えると共に、粒子径が20μm以上も小さくなり、また塩化物イオンの濃度が著しく(二桁)増えていた。このことから、この酸化銅は、塩基性炭酸銅よりも粒子径が小さく、また不純物を多く含んでいることが分かった。
ここで、反応式(3)における係数からすると、このモル比xは理想的には2.0となるはずであるが、実際にこの反応を上記のように詳細に検証して見ると、モル比xが1.5以上の場合には、この温度範囲(75±3℃)では(4)式や(5)式の反応と共に(7)式の反応が起こることが分かった。このことから、塩基性炭酸銅の単一相を得るためには、このモル比xを1.5よりも低くする必要があることが分かった。
また、上記のように反応水溶液のpHを高くしても、反応に悪影響は見られなかった。
(実験例2−2)
上記の実験から、モル比xが0.5≦x≦1.0では単一相の塩基性炭酸銅が得られ、モル比x=1.5では塩基性炭酸銅と共に銅副生成物の生成することが分かったが、単一相の塩基性炭酸銅が生成する(銅副生成物の生成しない)モル比xの上限及び下限を更に明確化するための実験を行った。具体的には、原料や実験条件、実験方法などは上記の実験例2−1と同じとして、モル比xが0.1及び1.2となるように夫々調整した混合水溶液を用いた。
(実験結果)
この結果を表6及び図7に示す。
(表6)
Figure 0005129039
尚、図7には、既述の図6(実験例2−1)の結果も併せて示しておく。XRDの結果では、モル比xが0.1及び1.2のいずれにおいても塩基性炭酸銅の単一相となっていた。一方、モル比xが1.2では、固体中の銅濃度が僅かに増えており、また塩化物イオン濃度が一桁以上も上昇し、更に粒子径が10μm以上も小さくなっていたので、これらの結果からは銅副生成物が生成していると考えられる。そのため、XRDの結果と他の結果とは矛盾しているように考えられるが、XRDでは混合(混晶)割合がパーセントオーダー以上の場合にピークの存在が確認できることから、モル比xが1.2では、XRDでは検出できない程の極めて微量の銅副生成物が生成しているものと考えられる。このことから、塩基性炭酸銅の単一相が生成する時のモル比xの上限は、1.0あるいは1.0よりも僅かに大きな値(1.2未満)であることが分かった。
一方、モル比xが0.1の場合には、いずれの分析結果からも、塩基性炭酸銅の単一相となっていることが分かった。また、この時の濾母液中には、水酸化ナトリウムに由来する水酸化物イオンが含まれていなかった。従って、微量であっても水酸化ナトリウムを添加することにより、(3)式の反応が起こったと考えられる。モル比xが0.1未満の場合の実験データはないが、0.1未満であっても塩基性炭酸銅の製造量を増やすことができるという本発明の効果が得られる限り、本発明は成立する。従って本発明の効果が得られる限り、モル比xの下限側の範囲は、0<xということになる。
(実験例2−3)
以上の実験から、混合水溶液が(3)式に従って反応していることが分かった。そのため、この実験では、(3)式において(5)式により再利用されている二酸化炭素の量がどの程度なのか、つまり混合水溶液((3)式の反応)ではブランク((4)式の反応のみ)と比較してどの程度塩基性炭酸銅の生成量が増えているのか確認する実験(計算)を行った。
具体的には、上記の実験例2−1、2−2において、実際にビーカー内に供給した混合水溶液の量(A)から、ビーカー内に供給した炭酸ナトリウムの量(B)を計算した。また、生成した塩基性炭酸銅の量(C)を測定して、原料として投入した炭酸ナトリウムの量に対して生成した塩基性炭酸銅の量の比(D)を計算した。そして、この塩基性炭酸銅の量の比(D)がブランクに対してどの程度変化したかを求めるために、ブランクに対する比(E)を求めた。その結果を表7に示す。
(表7)
Figure 0005129039
この表7から、モル比xが0.5の混合水溶液ではブランクに対して塩基性炭酸銅の生成量が1.2倍に増えており、モル比xが1.0の混合水溶液ではブランクの1.6倍もの塩基性炭酸銅が得られていることが分かった。つまり、ブランクでは(4)式のみに従って反応が進んでいるとすると、モル比xが0.5の混合水溶液では投入した炭酸ナトリウム(生成した二酸化炭素)の物質量の0.2倍の二酸化炭素が再利用され、モル比xが1.0の混合水溶液では投入した炭酸ナトリウムの物質量の0.6倍の二酸化炭素が再利用されていることが分かった。従って、混合水溶液では、大気に放出される二酸化炭素の量がブランクよりも減少していると考えられる。
この時、モル比xが0.1の場合には、ブランクよりも塩基性炭酸銅の生成量が増えていたが、その増加量は僅かであった。これは、モル比xが0.5及び1.0の計算結果からすると、図8に示すように、モル比xが0.1ではブランクに対する塩基性炭酸銅の生成量の増加比(表7中のE)が小さいので、このようなビーカーレベルの小規模の実験では、原料の秤量の誤差などの影響が大きくなり、この図8から予想される結果が得られなかったものと考えられる。そのため、量産レベルの製造装置であれば誤差が小さくなり、この図8から予想される程度の塩基性炭酸銅の製造量となると考えられる。尚、この図8では、モル比xが0.1の結果のプロットを省略してある。
また、このように混合水溶液ではこのブランクよりも塩基性炭酸銅の生成量が増えているので、既述のように(3)式に従って反応が起こっていることが再確認できた。更に、塩基性炭酸銅の単一相が生成するモル比xの範囲は、0<x≦1.0であり、好ましくは0.5≦x≦1.0であることが確認できた。
(実験例2−4)
上記の実験例2−1におけるモル比x=1.0について、炭酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを混合せずに、既述の図4、図5のように別系統からビーカー内に供給して実験を行った。具体的には、10.0重量%の炭酸ナトリウム水溶液及び20.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液を作製し、モル比xが1.0となるように夫々の流量を調整してビーカー内に供給した。尚、供給方式以外は上記の実験例2−1と同じ条件とした。
そして、上記と同様に塩基性炭酸銅の生成反応を行い、同様に得られた粉末について測定を行った。その結果を表8に示す。
(実験結果)
(表8)
Figure 0005129039
その結果、炭酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを混合して供給しても、別々に供給しても、同様の性状の塩基性炭酸銅が得られることが分かった。
(実験例3)
次に、銅塩として試薬の硫酸銅五水塩(CuSO・5HO)を用いて実験を行った。この硫酸銅五水塩を純水に溶解させて2重量%の水溶液として、以下の表9に示す混合水溶液と反応させた。その他の実験条件としては、実験例1と同じ条件とした。
(表9)
Figure 0005129039
(実験結果)
その結果、以下の表10に示すように、銅塩の原料が変わっても、また銅塩水溶液の濃度が上記のように低い場合でも、これまでの実験例と同様の性状の単一相の塩基性炭酸銅が得られた。
(表10)
Figure 0005129039
この場合においても、濾母液を分析したところ、水酸化ナトリウムは検出されなかった。従って、混合水溶液は(3)式に従って反応したものと考えられる。
(実験例4)
続いて、銅塩水溶液中の硫酸濃度の影響を確認するための実験を行った。銅塩としては、実験例3と同じ硫酸銅五水塩を用いて、この硫酸銅五水塩を純水に溶解させると共に、硫酸をこの純水と混合して、銅濃度2重量%、硫酸イオン濃度2.2重量%の水溶液とした。また、表11に示すモル比xの混合水溶液を作製し、実験例2と同様に反応水溶液のpHが8.0±0.3となるように銅塩水溶液の供給量を調整した。
(表11)
Figure 0005129039
(実験結果)
この実験により得られた結果を表12及び図9に示す。
(表12)
Figure 0005129039
その結果、銅塩の種類や銅塩水溶液中の硫酸濃度、pHが変わっても、同様にモル比xが1.0以下では塩基性炭酸銅の単一相が確認されたが、モル比xが1.5では塩基性炭酸銅と共に酸化銅が生成していた。この酸化銅には、硫酸イオン(SO 2−)が塩基性硫酸銅として取り込まれていると考えられる。
この実験から、(3)式の反応は原料の種類によらずに同じ反応機構に従って進み、またモル比xの範囲についても原料の種類が変わってもほぼ同じかあるいは極めて近い範囲となることが分かった。
また、このように銅塩水溶液中の硫酸イオン濃度を増やした場合であっても、塩基性炭酸銅中には、実験例3の結果と比較して塩基性炭酸銅中に残る硫酸イオン濃度はほとんど増加しないことが分かった。
尚、この場合においても、実験例2−3と同様に原料として投入した炭酸ナトリウムの量に対して生成した塩基性炭酸銅の量の比を計算したところ、モル比xが0.5ではブランクの1.2倍となり、モル比xが1.0ではブランクの1.6倍に増えていることが分かった。
本発明の塩基性炭酸銅の製造方法の一例を示すフロー図である。 本発明の塩基性炭酸銅の製造方法における塩基性炭酸銅の生成プロセスを示す概略図である。 上記の製造方法を実施するための塩基性炭酸銅製造装置の一例を示す概略図である。 上記の製造方法の他の例を示すフロー図である。 上記の他の例の製造方法を実施するための塩基性炭酸銅製造装置の一例を示す概略図である。 本発明の実施例において得られた実験結果を示す特性図である。 本発明の実施例において得られた実験結果を示す特性図である。 本発明の実施例において得られた実験結果を示す特性図である。 本発明の実施例において得られた実験結果を示す特性図である。
符号の説明
1 反応槽
5 pH制御計
6 温度制御計
12 銅塩水溶液供給手段
15 水溶液混合手段
18 炭酸塩水溶液供給手段
20 水酸化アルカリ水溶液供給手段
30 水蒸気供給管

Claims (8)

  1. 炭酸塩の水溶液と、銅塩水溶液と、水酸化アルカリ水溶液と、を反応槽内にて混合して、炭酸塩と銅塩とを反応させて塩基性炭酸銅及び炭酸を生成させると共に、この炭酸と水酸化アルカリとの反応によって生成する炭酸塩を、銅塩と反応させて塩基性炭酸銅を生成させることと、
    銅副生成物が生成しないように、前記反応槽内に供給される前記炭酸塩に対する前記水酸化アルカリのモル比xを0<x<1.2に調整して前記各水溶液を反応させることと、を備えたことを特徴とする塩基性炭酸銅の製造方法。
  2. 前記モル比xは、0<x≦1.0であることを特徴とする請求項1に記載の塩基性炭酸銅の製造方法。
  3. 前記モル比xは、0.1≦x≦1.0であることを特徴とする請求項1または2に記載の塩基性炭酸銅の製造方法。
  4. 前記モル比xは、0.5≦x≦1.0であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の塩基性炭酸銅の製造方法。
  5. 希釈液が収容されている反応槽内に、炭酸塩の水溶液と銅塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とを同時に供給しながら反応槽内を攪拌することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の塩基性炭酸銅の製造方法。
  6. 反応槽内の希釈液を塩基性炭酸銅が生成する温度範囲に予め加熱しておく工程を含むことを特徴とする請求項に記載の塩基性炭酸銅の製造方法。
  7. 炭酸塩の水溶液及び水酸化アルカリ水溶液の少なくとも一方の供給量あるいは銅塩水溶液の供給量を調整することにより反応槽内の水溶液を、塩基性炭酸銅が生成するpHの範囲に維持することを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の塩基性炭酸銅の製造方法。
  8. 塩基性炭酸銅を製造した後、
    水溶液から塩基性炭酸銅を回収し、次いで塩基性炭酸銅を乾燥する工程を行う工程を含み、
    前記塩基性炭酸銅の乾燥温度は、80℃以上であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の塩基性炭酸銅の製造方法。
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