JP5128671B2 - 圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計、並びに圧電振動子の製造方法 - Google Patents

圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計、並びに圧電振動子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、接合された2枚の基板の間に形成されたキャビティ内に圧電振動片が収容された表面実装型(SMD)の圧電振動子と、この圧電振動子を有する発振器、電子機器及び電波時計と、この圧電振動子を製造する圧電振動子の製造方法とに関する。
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として水晶等を利用した圧電振動子が用いられている。この種の圧電振動子は、様々なものが提供されているが、その1つとして、表面実装型の圧電振動子が知られている。この種の圧電振動子としては、一般的に圧電振動片が形成された圧電基板を、ベース基板とリッド基板とで上下から挟み込むように接合した3層構造タイプのものが知られている。この場合、圧電振動片は、ベース基板とリッド基板との間に形成されたキャビティ(密閉室)内に収容されている。
また、近年では、上述した3層構造タイプのものではなく、2層構造タイプのものも開発されている。このタイプの圧電振動子は、ベース基板とリッド基板とが直接接合されることで2層構造になっており、両基板の間に形成されたキャビティ内に圧電振動片が収容されている。この2層構造タイプの圧電振動子は、3層構造のものに比べて薄型化を図ることができる等の点において優れており、好適に使用されている。
ところで、一般に圧電振動子は、等価抵抗値(実効抵抗値、Re)がより低く抑えられたものが望まれている。等価抵抗値が低い圧電振動子は、低電力で圧電振動片を振動させることが可能であるため、エネルギー効率の良い圧電振動子になる。
等価抵抗値を抑えるための一般的な方法の一つとしては、キャビティ内を真空に近づける方法が知られている。そして、キャビティ内を真空に近づける方法として、キャビティ内に金属膜であるゲッター材を収容し、外部よりレーザ等を照射してこのゲッター材を加熱し、活性化させる方法(ゲッタリング)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この方法によれば、活性化状態になったゲッター材によって、主に酸素からなるキャビティ内のガスを化学反応により吸収することができるので、キャビティ内を真空に近づけることができる。なお、このゲッター材は、アルミニウム、チタン、ジルコニウムまたはこれらの合金で構成されているが、加熱されたときにキャビティ内のガスをより吸収し、真空度を効率良く向上させることができる点(ゲッタリング効果が高い点)で、特にアルミニウムが好適に使用されている。
特開2003−142976号公報
しかしながら、ゲッター材としてアルミニウムを用いた場合には、圧電振動子の品質低下及び特性変化を招く恐れがあった。つまり、アルミニウムは、水分等の媒質によって化学的に侵食され易い特性を有している。そのため、圧電振動子が高湿度の環境下に置かれている場合には、湿気によりゲッター材が腐食してしまう可能性があった。腐食が生じてしまうと、ゲッター材の表面が著しくエッチングされたり、表面に腐食生成物が現れたりしてしまう。そのため、品質低下を招くだけでなく、圧電振動片の振動動作に影響を与え、特性変化を招いてしまう恐れがあった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、依然として高いゲッタリング効果を発揮することができる上、湿度の影響によって品質低下や特性変化を招きにくい圧電振動子を提供することである。また、この圧電振動子を製造する圧電振動子の製造方法、この圧電振動子を有する発振器、電子機器及び電波時計を提供することである。
本発明は、前記課題を解決して係る目的を達成するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係る圧電振動子の製造方法は、互いに接合され、間にキャビティが形成されたベース基板及びリッド基板と、前記ベース基板の下面に形成された外部電極と、前記キャビティ内に収容されるように前記ベース基板の上面に形成された内部電極と、前記ベース基板を貫通するように形成され、前記外部電極と前記内部電極とを電気的に接続する貫通電極と、前記内部電極に電気的に接続された状態で前記キャビティ内に収容された圧電振動片と、前記キャビティ内に形成されたゲッター材と、を備える圧電振動子を製造する方法であって、前記ゲッター材を、クロム若しくはクロムを主成分とする金属材料で形成する。
上記圧電振動子の製造方法によれば、ゲッター材がクロム若しくはクロムを主成分とする金属材料で形成されているので、高い耐食性を発揮させることができる。つまり、クロムはアルミニウムと比べて耐食性により優れているので、アルミニウムで形成していた従来の場合に比べて、ゲッター材の耐食性をより向上することができる。このため、この圧電振動子を仮に高湿度の環境下で使用したとしても、ゲッター材が腐食し難い。よって、腐食に起因する品質低下や特性変化を招きにくい。
しかも、クロムは耐食性が優れている上に、酸素と結合し易いので、ゲッタリングの際、ゲッター材が加熱されて蒸発したときに主に酸素からなるキャビティ内のガスを吸収し易く、ゲッタリング効果が高い。つまり、アルミニウムで形成していた従来のゲッター材と同等或いはそれ以上のゲッタリング効果を期待することができる。このため、キャビティ内の真空度を依然として短時間で向上させることができるので、圧電振動子を効率良く製造することができる。
(2)また、前記ゲッター材を、前記ベース基板の上面に形成してもよい。
この場合、ゲッター材は、圧電振動片ではなく、ベース基板又はリッド基板のいずれか一方の基板に形成されている。従って、ゲッタリングの際、ゲッター材をレーザ等で加熱しても、圧電振動片に対して加熱の影響を何ら与えることがない。よって、圧電振動片に対して加熱による負荷を与えることがない。このため、圧電振動子の品質や特性に何ら影響を与えることがないので、圧電振動子の高品質化を図ることができる。
(3)また、前記内部電極を、前記ゲッター材と同じ材料で、前記ゲッター材と同時に形成してもよい。
この場合、内部電極をゲッター材と同時に形成するので、圧電振動子をより効率良く製造することができる。
(4)また、本発明に係る圧電振動子は、互いに接合され、間にキャビティが形成されたベース基板及びリッド基板と前記ベース基板の下面に形成された外部電極と前記キャビティ内に収容されるように前記ベース基板の上面に形成された内部電極と前記ベース基板を貫通するように形成され、前記外部電極と前記内部電極とを電気的に接続する貫通電極と前記内部電極に電気的に接続された状態で前記キャビティ内に収容された圧電振動片とクロム若しくはクロムを主成分とする金属材料で前記キャビティ内に形成されたゲッター材とを備える。
この場合、上記(1)に記載の圧電振動子の製造方法と同様の作用効果を奏することができる。
(5)また、前記ゲッター材は、前記ベース基板の上面に形成されていてもよい。
この場合、上記(2)に記載の圧電振動子の製造方法と同様の作用効果を奏することができる。
(6)前記内部電極は、前記ゲッター材と同じ材料で、前記ゲッター材と同時に形成されたものであってもよい。
この場合、上記(3)に記載の圧電振動子の製造方法と同様の作用効果を奏することができる。
(7)また、本発明に係る発振器は、上記(4)〜(6)の何れか1項に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されている。
(8)また、本発明に係る電子機器は、上記(4)〜(6)の何れか1項に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されている。
(9)また、本発明に係る電波時計は、上記(4)〜(6)の何れか1項に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されている。
上記発振器、電子機器及び電波時計によれば、湿度が高い状況で使用されたとしても、品質低下や特性変化を招きにくい高品質で信頼性の高い圧電振動子を備えているので、同様に動作の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。
本発明に係る圧電振動子によれば、依然として高いゲッタリング効果を発揮することができる上、湿度の影響によって品質低下や特性変化を招きにくいものとすることができる。よって、動作の信頼性を向上させることができる。
また、本発明に係る圧電振動子の製造方法によれば、前述した圧電振動子を確実に製造することができる。
また、本発明に係る発振器、電子機器及び電波時計によれば、上述した圧電振動子を備えているので、同様に動作の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。
図1は、本発明の圧電振動子の一実施形態を示す外観斜視図である。 図2は、図1に示す圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図である。 図3は、図2に示すA−A線に沿った圧電振動子の断面図である。 図4は、図2に示すB−B線に沿った圧電振動子の断面図である。 図5は、図1に示す圧電振動子の分解斜視図である。 図6は、図1に示す圧電振動子を構成する圧電振動片の上面図である。 図7は、図6に示す圧電振動片の下面図である。 図8は、図6に示す断面矢視C−C図である。 図9は、図1に示す圧電振動子を製造する際の流れを示すフローチャートである。 図10は、図9に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、リッド基板の元となるリッド基板用ウエハに複数の凹部を形成した状態を示す図である。 図11は、図9に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、ベース基板の元となるベース基板用ウエハの上面にゲッター材、接合膜及び引き回し電極をパターニングした状態を示す図である。 図12は、図11に示す状態のベース基板用ウエハの全体図である。 図13は、図9に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、圧電振動片をキャビティ内に収容した状態でベース基板用ウエハとリッド基板用ウエハとが陽極接合されたウエハ体の分解斜視図である。 図14は、本発明に係る発振器の一実施形態を示す構成図である。 図15は、本発明に係る電子機器の一実施形態を示す構成図である。 図16は、本発明に係る電波時計の一実施形態を示す構成図である。 図17は、本発明に係る圧電振動子を用いた実施例の結果を示す表である。
符号の説明
C キャビティ
1 圧電振動子
2 ベース基板
3 リッド基板
4 圧電振動片
34 ゲッター材
32、33 貫通電極
36、37 引き回し電極(内部電極)
38、39 外部電極
40 ベース基板用ウエハ(ベース基板)
50 リッド基板用ウエハ(リッド基板)
100 発振器
101 発振器の集積回路
110 携帯情報機器(電子機器)
113 電子機器の計時部
130 電波時計
131 電波時計のフィルタ部
以下、本発明に係る圧電振動子の実施形態を、図1から図13を参照して説明する。
本実施形態の圧電振動子1は、図1から図5に示すように、ベース基板2とリッド基板3とで2層に積層された箱状に形成されており、内部のキャビティC内に圧電振動片4が収容された表面実装型の圧電振動子である。
なお、図5においては、図面を見易くするために後述する励振電極15、引き出し電極19、20、マウント電極16、17及び重り金属膜21の図示を省略している。
圧電振動片4は、図6から図8に示すように、水晶、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。
この圧電振動片4は、平行に配置された一対の振動腕部10、11と、この一対の振動腕部10、11の基端側を一体的に固定する基部12と、一対の振動腕部10、11の外表面上に形成されて一対の振動腕部10、11を振動させる第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15と、第1の励振電極13及び第2の励振電極14に電気的に接続されたマウント電極16、17とを有している。
また、本実施形態の圧電振動片4は、一対の振動腕部10、11の両主面上に、この振動腕部10、11の長手方向に沿ってそれぞれ形成された溝部18を備えている。この溝部18は、振動腕部10、11の基端側から略中間付近まで形成されている。
第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15は、一対の振動腕部10、11を互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、一対の振動腕部10、11の外表面に、それぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされて形成されている。具体的には、図8に示すように、第1の励振電極13が、一方の振動腕部10の溝部18上と他方の振動腕部11の両側面上とに主に形成され、第2の励振電極14が、一方の振動腕部10の両側面上と他方の振動腕部11の溝部18上とに主に形成されている。
また、第1の励振電極13及び第2の励振電極14は、図6及び図7に示すように、基部12の両主面上において、それぞれ引き出し電極19、20を介してマウント電極16、17に電気的に接続されている。そして圧電振動片4は、このマウント電極16、17を介して電圧が印加されるようになっている。
なお、上述した励振電極15、マウント電極16、17及び引き出し電極19、20は、例えば、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の導電性膜の被膜により形成されたものである。
また、一対の振動腕部10、11の先端には、自身の振動状態を所定の周波数の範囲内で振動するように調整(周波数調整)を行うための重り金属膜21が被膜されている。なお、この重り金属膜21は、周波数を粗く調整する際に使用される粗調膜21aと、微小に調整する際に使用される微調膜21bとに分かれている。これら粗調膜21a及び微調膜21bを利用して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部10、11の周波数をデバイスの公称周波数の範囲内に収めることができる。
このように構成された圧電振動片4は、図3及び図5に示すように、金等のバンプBを利用して、ベース基板2の上面にバンプ接合されている。詳しく説明すると、ベース基板2の上面にパターニングされた後述する引き回し電極(内部電極)36、37上にそれぞれ形成されたバンプB上に、一対のマウント電極16、17がそれぞれ接触した状態でバンプ接合されている。これにより、圧電振動片4は、ベース基板2の上面から浮いた状態で支持されると共に、マウント電極16、17と引き回し電極36、37とがそれぞれ電気的に接続された状態となっている。
上記リッド基板3は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板であり、図1、図3及び図5に示すように、板状に形成されている。そして、ベース基板2が接合される接合面側には、圧電振動片4が収まる矩形状の凹部3aが形成されている。この凹部3aは、両基板2、3が重ね合わされたときに、圧電振動片4を収容するキャビティCとなるキャビティ用の凹部である。そして、リッド基板3は、この凹部3aをベース基板2側に対向させた状態でベース基板2に対して陽極接合されている。
上記ベース基板2は、リッド基板3と同様にガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板であり、図1から図3及び図5に示すように、リッド基板3に対して重ね合わせ可能な大きさで板状に形成されている。
ベース基板2には、このベース基板2を上下方向に貫通するように形成された一対の貫通電極32、33が、それぞれの一端がキャビティC内に収まるように形成されている。
この貫通電極32、33は、ベース基板2との間に隙間なく形成されて、キャビティC内の気密を維持していると共に、後述する外部電極38、39と引き回し電極36、37とを導通させる。
ベース基板2の上面側(リッド基板3が接合される接合面側)には、図1から図5に示すように、キャビティC内に形成され、加熱されることでキャビティC内の真空度を向上させる金属材料からなるゲッター材34と、陽極接合用の接合膜35と、一対の引き回し電極36、37とがパターニングされている。このうち接合膜35は、例えばアルミニウム等の導電性材料からなり、リッド基板3に形成された凹部3aの周囲を囲むようにベース基板2の周縁に沿って形成されている。
ゲッター材34は、クロム若しくはクロムを主成分とする金属材料で形成されている。本実施形態では、図4に示すように、ゲッター材34は、ベース基板2上に成膜されたクロムからなる下地層34aと、下地層34aに積層された金からなる仕上層34bとを備えている。また、図2に示すように、平面視において圧電振動片4を挟んで両側に対向配置されるように2つ形成されている。また、各々のゲッター材34は、振動腕部10、11に対して、平面視において隣接すると共に平行に延在するように形成されている。
一対の引き回し電極36、37は、ゲッター材34と同じ材料で、ゲッター材34と同時に形成されたものである。本実施形態では、図4に示すように、各々の引き回し電極36、37は、ベース基板2上に成膜されたクロムからなる下地層37aと、下地層37aに積層された金からなる仕上層37bとを備えている。また、一対の引き回し電極36、37は、一方の引き回し電極36が、一方の貫通電極32と圧電振動片4の一方のマウント電極16とを電気的に接続すると共に、他方の引き回し電極37が、他方の貫通電極33と圧電振動片4の他方のマウント電極17とを電気的に接続するようにパターニングされている。
また、ベース基板2の下面には、図1、図3及び図5に示すように、一対の貫通電極32、33に対してそれぞれ電気的に接続される外部電極38、39が形成されている。つまり、一方の外部電極38は、一方の貫通電極32及び一方の引き回し電極36を介して圧電振動片4の第1の励振電極13に電気的に接続されている。また、他方の外部電極39は、他方の貫通電極33及び他方の引き回し電極37を介して、圧電振動片4の第2の励振電極14に電気的に接続されている。この結果、一対の励振電極15が、それぞれキャビティCの外部と電気的に接続可能な状態となっている。
このように構成された圧電振動子1を動作させる場合には、ベース基板2に形成された外部電極38、39に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片4の第1の励振電極13及び第2の励振電極14からなる励振電極15に電流を流すことができ、一対の振動腕部10、11を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部10、11の振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として利用することができる。
次に、上述した圧電振動子1を、図9に示すフローチャートを参照しながら、ベース基板用ウエハ(ベース基板)40とリッド基板用ウエハ(リッド基板)50とを利用して一度に複数製造する製造方法について以下に説明する。なお、本実施形態では、ウエハ状の基板を利用して圧電振動子1を一度に複数製造するが、これに限られたものではなく、予めベース基板2及びリッド基板3の外形に寸法を合わせたものを加工して、一度に一つのみ製造する等しても構わない。
始めに、圧電振動片作製工程として、図6から図8に示す圧電振動片4を作製する(S10)。具体的には、まず水晶のランバート原石を所定の角度でスライスして一定の厚みのウエハとする。次に、このウエハをラッピングして粗加工した後、加工変質層をエッチングで取り除き、その後ポリッシュ等の鏡面研磨加工を行って、所定の厚みのウエハとする。次に、ウエハに洗浄等の適切な処理を施した後、このウエハをフォトリソグラフィ技術によって圧電振動片4の外形形状でパターニングすると共に、金属膜の成膜及びパターニングを行って、励振電極15、引き出し電極19、20、マウント電極16、17、重り金属膜21を形成する。これにより、複数の圧電振動片4を作製することができる。
また、圧電振動片4を作製した後、共振周波数の粗調を行っておく。これは、重り金属膜21の粗調膜21aにレーザ光を照射して一部を蒸発させ、重量を変化させることで行う。なお、共振周波数をより高精度に調整する微調に関しては、マウント後に行う。これについては、後に説明する。
次に、圧電振動片作製工程と同時或いは前後のタイミングで、第1のウエハ作製工程として、後にリッド基板3となるリッド基板用ウエハ50を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する(S20)。まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚みまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のリッド基板用ウエハ50を形成する(S21)。次いで、凹部形成工程として、図10に示すように、リッド基板用ウエハ50の接合面に、エッチング等により行列方向にキャビティ用の凹部3aを複数形成する(S22)。この時点で、第1のウエハ作製工程が終了する。
次に、第1のウエハ作製工程と同時或いは前後のタイミングで、第2のウエハ作製工程として、後にベース基板2となるベース基板用ウエハ40を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する(S30)。まず、リッド基板用ウエハ50と同様に、ソーダ石灰ガラスを所定の厚みまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のソーダ石灰ガラスからベース基板用ウエハ40を形成する(S31)。
次に、貫通電極形成工程として、ベース基板用ウエハ40に一対の貫通電極32、33を複数形成する(S32)。この際、例えば、ベース基板用ウエハ40を上下方向に貫通する一対のスルーホールをサンドブラスト法やプレス加工等の方法で複数形成した後、これら複数のスルーホール内に一対の貫通電極32、33を形成する。この一対の貫通電極32、33により、ベース基板用ウエハ40の上面側と下面側との導電性が確保される。
次に、ゲッター材形成工程として、ゲッター材34を形成する(S33)のと同時に、引き回し電極形成工程として、引き回し電極36、37を形成する(S34)。この際、例えば、まずクロムからなる下地層34a、37aをパターニングした後、この下地層34a、37aの上に金からなる仕上層34b、37bとを積層するようにパターニングすることで行う。また、下地層34aをパターニングする際、後に圧電振動片4がベース基板用ウエハ40にマウントされたときに、平面視において圧電振動片4を挟んで両側に対向配置するように2つ形成すると共に、各々のゲッター材34を、振動腕部10、11に対して、平面視において隣接すると共に平行に延在するように形成する。
特に、引き回し電極36、37をゲッター材34と同時に形成するので、圧電振動子1をより効率良く製造することができる。しかも、引き回し電極36、37の仕上層37bとして金を用いているので、引き回し電極36、37の導電性を安定に確保することができ、圧電振動子1の高品質化を図ることができる。
次に、接合膜形成工程として、ベース基板用ウエハ40の上面に導電性材料をパターニングして、図11及び図12に示すように、接合膜35を形成する(S35)。なお、図11及び図12に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。また、図12では、図面の見易さのため、接合膜35の図示を省略している。
この時点で第2のウエハ作製工程が終了する。
次に、マウント工程として、作製した複数の圧電振動片4を、それぞれ引き回し電極36、37を介してベース基板用ウエハ40の上面に接合する(S40)。この際、まず一対の引き回し電極36、37上にそれぞれ金等のバンプBを形成する。そして、圧電振動片4の基部12をバンプB上に載置した後、バンプBを所定温度(例えば300℃)に加熱しながら圧電振動片4をバンプBに押し付ける。これにより、圧電振動片4は、バンプBに機械的に支持されると共に、マウント電極16、17と引き回し電極36、37とが電気的に接続された状態となる。よって、この時点で圧電振動片4の一対の励振電極15は、一対の貫通電極32、33に対してそれぞれ導通した状態となる。
圧電振動片4のマウントが終了した後、重ね合わせ工程として、ベース基板用ウエハ40に対してリッド基板用ウエハ50を重ね合わせる(S50)。具体的には、図示しない基準マーク等を指標としながら、両ウエハ40、50を正しい位置にアライメントする。これにより、圧電振動片4、ゲッター材34及び引き回し電極36、37が、ベース基板用ウエハ40に形成された凹部3aと両ウエハ40、50とで囲まれるキャビティC内に収容された状態となる。
重ね合わせ工程後、接合工程として、重ね合わせた2枚のウエハ40、50を図示しない陽極接合装置に入れ、所定の温度雰囲気で所定の電圧を印加して陽極接合する(S60)。具体的には、接合膜35とリッド基板用ウエハ50との間に所定の電圧を印加する。すると、接合膜35とリッド基板用ウエハ50との界面に電気化学的な反応が生じ、両者がそれぞれ強固に密着して陽極接合される。これにより、圧電振動片4をキャビティC内に封止することができ、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とが接合した図13に示すウエハ体60を得ることができる。なお、図13においては、図面を見易くするために、ウエハ体60を分解した状態を図示しており、ベース基板用ウエハ40から接合膜35の図示を省略している。なお、図13に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。
次に、外部電極形成工程として、ベース基板用ウエハ40の下面に導電性材料をパターニングして、一対の貫通電極32、33にそれぞれ電気的に接続された一対の外部電極38、39を複数形成する(S70)。この工程により、外部電極38、39を利用してキャビティC内に収容された圧電振動片4を動作させることができる。
次に、ゲッタリング工程として、ウエハ体60の各キャビティC内に収容されたゲッター材34を加熱してキャビティC内の真空度を調整する(S80)。具体的には、ウエハ体60を、図示しないゲッタリング調整機にセットして、ゲッタリング調整機内で外部電極38、39に所定の電圧を印加して圧電振動片4を振動させ、等価抵抗値と比例関係にある直列振動抵抗値を測定する。この直列振動抵抗値に基づいて、例えばベース基板用ウエハ40側からレーザを照射することでゲッター材34を加熱して、ゲッタリングを適正回数行う。
なお、ゲッタリングの適正回数の判断方法としては、例えば、圧電振動子の種類ごとに直列振動抵抗値の閾値を予め設定しておき、この閾値を下回った際に適正と判断する方法としてもよい。また、ゲッタリング直前の直列振動抵抗値を記憶してからゲッタリングを行い、ゲッタリング直後の直列振動抵抗値との変化の割合を算出し、この変化の割合を予め設定した値と比較することで判断してもよい。
次に、ウエハ体60の状態で、微調工程として、キャビティC内に収容された個々の圧電振動片4の周波数を微調整して所定の範囲内に収める(S90)。具体的に説明すると、ベース基板用ウエハ40の下面に形成された一対の外部電極38、39に電圧を印加して圧電振動片4を振動させる。そして、周波数を計測しながらベース基板用ウエハ40を通して外部からレーザ光を照射し、重り金属膜21の微調膜21bを蒸発させる。これにより、一対の振動腕部10、11の先端側の重量が変化するので、圧電振動片4の周波数を、公称周波数の所定範囲内に収まるように微調整することができる。
周波数の微調が終了した後、切断工程として、接合されたウエハ体60を図13に示す切断線Mに沿って切断して小片化する(S100)。その結果、互いに接合されたベース基板2とリッド基板3との間に形成されたキャビティC内に圧電振動片4が収容された、図1に示す2層構造式表面実装型の圧電振動子1を一度に複数製造することができる。
なお、切断工程(S100)を行って個々の圧電振動子1に小片化した後に、微調工程(S90)を行う工程順序でも構わない。但し、上述したように、微調工程(S90)を先に行うことで、ウエハ体60の状態で微調を行うことができるので、複数の圧電振動子1をより効率良く微調することができる。よって、スループットの向上化を図ることができるので好ましい。
その後、内部の電気特性検査を行う(S110)。即ち、圧電振動片4の共振周波数、共振抵抗値、ドライブレベル特性(共振周波数及び共振抵抗値の励振電力依存性)等を測定してチェックする。また、絶縁抵抗特性等を併せてチェックする。そして、最後に圧電振動子1の外観検査を行って、寸法や品質等を最終的にチェックする。これをもって圧電振動子1の製造が終了する。
特に、ゲッター材34がクロムからなる下地層34aを備えているので、高い耐食性を発揮させることができる。つまり、クロムはアルミニウムと比べて耐食性により優れているので、アルミニウムで形成していた従来の場合に比べて、ゲッター材34の耐食性をより向上することができる。このため、この圧電振動子1を仮に高湿度の環境下で使用したとしても、ゲッター材34が腐食し難い。よって、腐食に起因する品質低下や特性変化を招きにくい。よって、動作の信頼性を向上させることができる。
しかも、クロムは耐食性が優れている上に、酸素と結合し易いので、ゲッタリング工程の際、ゲッター材34が加熱されて蒸発したときに主に酸素からなるキャビティC内のガスを吸収し易く、ゲッタリング効果が高い。つまり、アルミニウムで形成していた従来のゲッター材と同等或いはそれ以上のゲッタリング効果を期待することができる。このため、キャビティC内の真空度を依然として短時間で向上させることができるので、圧電振動子1を効率良く製造することができる。
また、ゲッター材34は、圧電振動片4ではなく、ベース基板用ウエハ40(ベース基板2)に形成されている。従って、ゲッタリング工程の際、ゲッター材34をレーザ等で加熱しても、圧電振動片4に対して加熱の影響を何ら与えることがない。よって、圧電振動片4に対して加熱による負荷を与えることがない。このため、圧電振動子1の品質や特性に何ら影響を与えることがないので、圧電振動子1の高品質化を図ることができる。
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図14を参照しながら説明する。
本実施形態の発振器100は、図14に示すように、圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。基板103には、発振器用の上記集積回路101が実装されており、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、この圧電振動子1内の圧電振動片4が振動する。この振動は、圧電振動片4が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
上述したように、本実施形態の発振器100によれば、動作の信頼性が向上された上に高品質な圧電振動子1を備えているので、発振器100自体も同様に動作の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定した高精度な周波数信号を得ることができる。
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図15を参照して説明する。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器110を例にして説明する。始めに本実施形態の携帯情報機器110は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
次に、本実施形態の携帯情報機器110の構成について説明する。この携帯情報機器110は、図15に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。電源部111は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、このROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、このCPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片4が振動し、この振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。
無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。
なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
即ち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えることで、通信部114の機能をより確実に停止することができる。
上述したように、本実施形態の携帯情報機器110によれば、動作の信頼性が向上された上に高品質な圧電振動子1を備えているので、携帯情報機器自体も同様に動作の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定した高精度な時計情報を表示することができる。
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図16を参照して説明する。
本実施形態の電波時計130は、図16に示すように、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
以下、電波時計130の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、上記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部138、139をそれぞれ備えている。
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路134により検波復調される。次に、波形整形回路135を介してタイムコードが取り出され、CPU136でカウントされる。CPU136では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC137に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部138、139は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計130を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
上述したように、本実施形態の電波時計130によれば、動作の信頼性が向上された上に高品質な圧電振動子1を備えているので、電波時計自体も同様に動作の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定して高精度に時刻をカウントすることができる。
なお、本発明の技術的範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、ゲッター材34が、ベース基板2(ベース基板用ウエハ40)上に形成されているものとしたが、キャビティC内に形成されていれば、例えばリッド基板3(リッド基板用ウエハ50)上に形成されていても構わないし、圧電振動片4の表面に形成されていても構わない。
また、上記実施形態では、ゲッター材34が、平面視において圧電振動片4を挟んで両側に対向配置されるように2つ形成されているとしたが、例えば平面視において圧電振動片4の外側一方にのみ隣接して形成されていても構わない。
また、上記実施形態では、ゲッター材34が、下地層34aと仕上層34bとを備えるものとしたが、例えば、クロムの下地層34aでのみ形成されていても良い。また、ゲッター材34として、クロムを主成分とする合金を用いても構わない。
また、上記実施形態では、ゲッター材形成工程と引き回し電極形成工程とを同時に行うものとしたが、別々のタイミングに行っても構わない。
また、上記実施形態では、圧電振動片4の一例として振動腕部10、11の両面に溝部18が形成された溝付きの圧電振動片4を例に挙げて説明したが、溝部18がないタイプの圧電振動片でも構わない。但し、溝部18を形成することで、一対の励振電極15に所定の電圧を印加させたときに、一対の励振電極15間における電界効率を上げることができるので、振動損失をより抑えて振動特性をさらに向上することができる。つまり、CI値(Crystal Impedance)をさらに低くすることができ、圧電振動片4の更なる高性能化を図ることができる。この点において、溝部18を形成する方が好ましい。
また、上記実施形態では、音叉型の圧電振動片4を例に挙げて説明したが、音叉型に限られるものではない。例えば、厚み滑り振動片としても構わない。
また、上記実施形態では、ベース基板2とリッド基板3とを接合膜35を介して陽極接合したが、陽極接合に限定されるものではない。但し、陽極接合することで、両基板2、3を強固に接合できるので好ましい。
また、上記実施形態では、圧電振動片4をバンプ接合したが、バンプ接合に限定されるものではない。例えば、導電性接着剤により圧電振動片4を接合しても構わない。但し、バンプ接合することで、圧電振動片4をベース基板2の上面から浮かすことができ、振動に必要な最低限の振動ギャップを自然と確保することができる。よって、バンプ接合することが好ましい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、上記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
次に、本発明に係る圧電振動子及び従来の圧電振動子にそれぞれ所定の電圧を印加して振動させ、等価抵抗値Reと比例関係にある直列共振抵抗値R1(以下、単にR1値と称する)を計測した結果を以下に示す。なお、前述のように等価抵抗値Reはキャビティ内の真空度と反比例関係にあるので、R1値もキャビティ内の真空度と反比例関係にあり、R1値が低いほどキャビティ内の真空度が高いことになる。
ここで、計測を行うにあたって、本発明に係る圧電振動子としては、ゲッター材がクロムのみで形成され、このゲッター材の厚みが600Åのものを用いた。また、従来の圧電振動子としては、ゲッター材がアルミニウムのみで形成され、このゲッター材の厚みが1100Åのものを用いた。つまり、本発明に係る圧電振動子のゲッター材には、従来の圧電振動子のゲッター材より厚みが薄いものを用いた。
そして、本発明に係る圧電振動子及び従来の圧電振動子について、このゲッター材の構成以外の点において条件を合わせて、それぞれの圧電振動子を同じ回数だけゲッタリングし、ゲッタリング前後のR1値を比較した。
比較の結果を図17の表に示す。図17の表は、従来の圧電振動子(Al(1100Å)及び本発明に係る圧電振動子(Cr(600Å))のそれぞれについて、ゲッタリング前後のR1値(ゲッタリング前(KΩ):A、ゲッタリング後(KΩ):B)、及びゲッタリング前後のR1値の減少量(減少量(KΩ):A−B)を示した表である。
この結果によれば、本発明に係る圧電振動子では、ゲッター材の厚みが従来の圧電振動子のゲッター材の厚みより薄いにも関わらず、従来のものよりゲッタリング前後のR1値の減少量が大きいことが確認できた。つまり、ゲッター材をクロムで形成することで、アルミニウムで形成する従来の場合以上のゲッタリング効果を得ることができるのを確認できた。

Claims (5)

  1. 互いに接合され、間にキャビティが形成されたベース基板及びリッド基板と、前記ベース基板の下面に形成された外部電極と、前記キャビティ内に収容されるように前記ベース基板の上面に形成された内部電極と、前記ベース基板を貫通するように形成され、前記外部電極と前記内部電極とを電気的に接続する貫通電極と、前記内部電極に電気的に接続された状態で前記キャビティ内に収容された圧電振動片と、前記キャビティ内の前記ベース基板の上面に形成されたゲッター材と、を備える圧電振動子を製造する方法であって、
    前記ゲッター材を、クロム若しくはクロムを主成分とする金属材料で形成すると共に、前記内部電極を、前記ゲッター材と同じ材料で、前記ゲッター材と同時に形成することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
  2. 互いに接合され、間にキャビティが形成されたベース基板及びリッド基板と
    前記ベース基板の下面に形成された外部電極と
    前記キャビティ内に収容されるように前記ベース基板の上面に形成された内部電極と
    前記ベース基板を貫通するように形成され、前記外部電極と前記内部電極とを電気的に接続する貫通電極と
    前記内部電極に電気的に接続された状態で前記キャビティ内に収容された圧電振動片と
    クロム若しくはクロムを主成分とする金属材料で前記キャビティ内の前記ベース基板の上面に形成されたゲッター材と
    を備え
    前記内部電極は、前記ゲッター材と同じ材料で、前記ゲッター材と同時に形成されたものであることを特徴とする圧電振動子。
  3. 請求項に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
  4. 請求項に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
  5. 請求項に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
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