JP5226073B2 - 圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計 - Google Patents

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Description

本発明は、接合された2枚の基板の間に形成されたキャビティ内に圧電振動片が封止された表面実装型(SMD)の圧電振動子、該圧電振動子の製造方法、該圧電振動子を有する発振器、電子機器および電波時計に関するものである。
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として、水晶等の圧電材料からなる圧電振動片を利用した圧電振動子が用いられている。圧電振動片として、一対の振動腕部を備えた音叉型の圧電振動片が採用されている。
この種の圧電振動子として、表面実装型(SMD、Surface Mount Device)の圧電振動子が知られている。
図16は従来技術に係る表面実装型の圧電振動子のリッド基板を取り外した状態の平面図であり、図17は図16のC−C線における断面図である。図17に示すように、表面実装型の圧電振動子200として、ベース基板201とリッド基板202とでパッケージ209を形成し、パッケージ209の内部に形成されたキャビティCに圧電振動片203を収納したものが提案されている。ベース基板201とリッド基板202とは、両者間に接合膜207を配置して陽極接合により接合されている。
一般に圧電振動子は、等価抵抗値(実効抵抗値、Re)を低く抑えることが望まれている。等価抵抗値が低い圧電振動子は、低電力で圧電振動片を振動させることが可能であるため、エネルギー効率のよい圧電振動子になる。
等価抵抗値を抑えるための一般的な方法の一つとして、図16に示すように圧電振動片203の封止されているキャビティC内を真空に近づけて、等価抵抗値と比例関係にある直列共振抵抗値(R1)を低下させる方法が知られている。キャビティC内を真空に近づける方法として、キャビティC内にアルミニウム等からなるゲッター材220を封止し、外部よりレーザを照射して該ゲッター材220を活性化させる方法(ゲッタリング)が知られている(下記特許文献1参照)。この方法によれば、活性化状態になったゲッター材220によって、陽極接合の際に発生する酸素を吸収することができるので、キャビティC内を真空に近づけることができる。
特開2003−142976号公報
ゲッター材220は、圧電振動片203の幅方向における一対の振動腕部210の両外側に、振動腕部210の長さ方向に沿って形成されている。このゲッター材220をゲッタリングすると、生成物が振動腕部210に付着して、圧電振動片203の周波数が変動するという問題がある。
なおゲッタリング工程の後に、振動腕部210の先端に設けられた金属重り材料211にレーザを照射し、金属重り材料211をトリミングして圧電振動片203の周波数の微調整(微調工程)を行うのが一般的である。しかしながら、ゲッタリング工程において周波数が大幅に変動した場合には、微調工程において圧電振動片203の周波数を公称周波数の範囲内に収めるのが困難または不可能になる。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、ゲッタリングに伴う周波数の変動を抑制することが可能な、圧電振動子およびその製造方法を提供することを目的とする。
本願の発明者は、実験により以下の技術を見出した。圧電振動片の振動腕部の先端部に隣接する領域でゲッタリングを行った場合には、ゲッタリングに伴う生成物が主に振動腕部の先端部に付着する。この場合、先端部の重量(バネ−マス系のマスに相当)が増加するため圧電振動片の周波数が低下する。一方、振動腕部の基端部に隣接する領域でゲッタリングを行った場合には、生成物が主に振動腕部の基端部に付着する。この場合、基端部の剛性(バネ−マス系のバネ定数に相当)の増加が支配的となり、圧電振動片の周波数が増加する。これに対して、圧電振動片の振動腕部の中心部に隣接する領域でゲッタリングを行った場合には、生成物が主に振動腕部の中心部に付着する。この場合、上記両者の中間的な状態となり、圧電振動片の周波数は変動しないのである。
そこで本発明に係る圧電振動子は、以下の手段を採用した。
すなわち、一対の振動腕部を備えた音叉型の圧電振動片と、前記圧電振動片を収容するパッケージと、前記パッケージの内部において、前記振動腕部の長さ方向に沿って形成されたゲッター材と、を備え、前記振動腕部の長さ方向の中心部に隣接する前記ゲッター材の中間部の断面積が、前記ゲッター材の端部の断面積より大きくなっていることを特徴とする。
この構成によれば、中間部をゲッタリングするだけで、多量のゲッター材を活性化することが可能になり、パッケージ内の真空度を確保することができる。しかも、中間部をゲッタリングすることで、ゲッタリングに伴う生成物は主に振動腕部の中心部に付着する。したがって、ゲッタリングに伴う周波数の変動を抑制することができる。
また前記ゲッター材の前記中間部の幅が、前記ゲッター材の前記端部の幅より大きくなっていることが望ましい。
また前記ゲッター材の前記中間部の厚さが、前記ゲッター材の前記端部の厚さより大きくなっていることが望ましい。
これらの構成によれば、ゲッター材の中間部の断面積を、ゲッター材の端部の断面積より大きくすることができる。
また前記ゲッター材は、前記圧電振動片の幅方向における前記一対の振動腕部の外側に配置され、前記振動腕部から前記ゲッター材の前記端部までの距離が、前記振動腕部から前記ゲッター材の前記中間部までの距離より大きくなっていることが望ましい。
この構成によれば、振動腕部から離れた位置でゲッター材の端部をゲッタリングすることが可能になり、生成物が振動腕部の先端部または基端部に付着するのを抑制することができる。したがって、ゲッタリングに伴う周波数の変動を抑制することができる。
また、本発明に係る他の圧電振動子は、基部から延びる一対の振動腕部を備えた音叉型の圧電振動片と、前記圧電振動片を収容するパッケージと、前記パッケージの内部において、前記基部の周囲に形成されたゲッター材と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、ゲッタリングに伴う生成物を圧電振動片の基部に付着させることが可能になり、振動腕部の先端部または基端部に付着するのを抑制することができる。したがって、ゲッタリングに伴う周波数の変動を抑制することができる。
一方、本発明に係る圧電振動子の製造方法は、一対の振動腕部を備えた音叉型の圧電振動片と、前記圧電振動片を収容するパッケージと、前記パッケージの内部において、前記振動腕部の長さ方向に沿って形成されたゲッター材と、を備えた圧電振動子の製造方法であって、前記振動腕部の長さ方向の中心部に隣接する前記ゲッター材の中間部を活性化する第1ゲッタリング工程と、前記ゲッター材の端部を活性化する第2ゲッタリング工程と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、中間部を活性化する第1ゲッタリング工程を先に行うので、ゲッタリングに伴う生成物をできるだけ振動腕部の中心部付近に付着させることが可能になる。したがって、ゲッタリングに伴う周波数の変動を抑制することができる。
また前記第2ゲッタリング工程では、前記振動腕部の長さ方向の中心線に対して線対称となるように、前記ゲッター材の両端部を活性化することが望ましい。
この構成によれば、ゲッタリングに伴う生成物を、振動腕部の先端部および基端部に対して均等に付着させることができる。これにより、ゲッタリングに伴う周波数の減少および増加を相殺することが可能になり、周波数の変動を抑制することができる。
一方、本発明に係る発振器は、上述した圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電子機器は、上述した圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電波時計は、上述した圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする。
上述した圧電振動子は、ゲッタリングに伴う周波数の変動を抑制することができるので、圧電振動子の周波数を公称周波数の範囲内に収めることが可能であり、歩留まりを向上させることができる。したがって、発振器、電子機器および電波時計のコストを低減することができる。
本発明に係る圧電振動子によれば、中間部をゲッタリングするだけで、多量のゲッター材を活性化することが可能になり、パッケージ内の真空度を確保することが可能である。しかも、中間部をゲッタリングすることで、ゲッタリングに伴う生成物は主に振動腕部の中心部に付着する。したがって、ゲッタリングに伴う周波数の変動を抑制することができる。
また本発明に係る圧電振動子の製造方法によれば、中間部を活性化する第1ゲッタリング工程を先に行うので、ゲッタリングに伴う生成物をできるだけ振動腕部の中心部付近に付着させることが可能になる。したがって、ゲッタリングに伴う周波数の変動を抑制することができる。
第1実施形態に係る圧電振動子の外観斜視図である。 図1に示す圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図である。 図2のA−A線に沿った圧電振動子の断面図である。 図1に示す圧電振動子の分解斜視図である。 図1に示す圧電振動子を構成する圧電振動片の平面図である。 図5に示す圧電振動片の底面図である。 図5のB−B線における断面図である。 第1実施形態のゲッター材の説明図である。 第1実施形態のゲッター材の説明図である。 第1実施形態のゲッター材の説明図である。 第1実施形態のゲッター材の説明図である。 第1実施形態の第1変形例のゲッター材の説明図である。 第1実施形態の第2変形例のゲッター材の説明図である。 圧電振動子の製造方法のフローチャートである。 圧電振動片をキャビティ内に収容した状態でベース基板用ウエハとリッド基板用ウエハとが陽極接合されたウエハ体の分解斜視図である。 第2実施形態のゲッター材の説明図である。 発振器の概略構成図である。 電子機器のブロック図である。 電波時計のブロック図である。 従来の圧電振動子のリッド基板を取り外した状態の平面図である。 図16のC−C線における断面図である。
符号の説明
CNT…中心部
c1,e1…幅
c2,e2…距離
c4,e4…厚さ
Ly…中心線
Sc,Se…断面積
S74…第1ゲッタリング工程
S76…第2ゲッタリング工程
1…圧電振動子
4…圧電振動片
9…パッケージ
10,11…振動腕部
12…基部
70…ゲッター材
70c…中間部
70e…端部
100…発振器
101…発振器の集積回路
110…携帯情報機器(電子機器)
113…電子機器の計時部
130…電波時計
131…電波時計のフィルタ部
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る圧電振動子の外観斜視図である。図2は、図1に示す圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図である。図3は、図2のA−A線に沿った圧電振動子の断面図である。図4は、圧電振動子の分解斜視図である。なお図4においては、図面を見易くするために、圧電振動片の励振電極15、引き出し電極19,20、マウント電極16,17及び重り金属膜21の図示を省略している。
図1〜図4に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、ベース基板2とリッド基板3とを2層に積層したパッケージ9を備えており、パッケージ9の内部のキャビティC内に圧電振動片4が収納された表面実装型の圧電振動子1である。
(圧電振動片)
図5は圧電振動片の平面図であり、図6は圧電振動片の底面図である。図7は、図5のB−B線における断面図である。
図5〜図7に示すように、圧電振動片4は、水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。この圧電振動片4は、平行に配置された一対の振動腕部10、11と、該一対の振動腕部10、11の基端側を一体的に固定する基部12と、一対の振動腕部10、11の外表面上に形成されて一対の振動腕部10、11を振動させる第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15と、第1の励振電極13及び第2の励振電極14に電気的に接続されたマウント電極16,17とを有している。また圧電振動片4は、一対の振動腕部10、11の両主面上に、該振動腕部10、11の長手方向に沿ってそれぞれ形成された溝部18を備えている。この溝部18は、振動腕部10、11の基端側から略中間付近まで形成されている。
第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15は、一対の振動腕部10、11を互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、一対の振動腕部10、11の外表面に、それぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされている。具体的には、第1の励振電極13が、一方の振動腕部10の溝部18上と他方の振動腕部11の両側面上とに主に形成され、第2の励振電極14が、一方の振動腕部10の両側面上と他方の振動腕部11の溝部18上とに主に形成されている。
また、第1の励振電極13及び第2の励振電極14は、基部12の両主面上において、それぞれ引き出し電極19,20を介してマウント電極16,17に電気的に接続されている。そして圧電振動片4は、このマウント電極16,17を介して電圧が印加されるようになっている。なお、上述した励振電極15、マウント電極16,17及び引き出し電極19,20は、例えば、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の導電性膜の被膜により形成されたものである。
また、一対の振動腕部10、11の先端には、自身の振動状態を所定の周波数の範囲内で振動するように質量調整(周波数調整)を行うための重り金属膜21が被膜されている。なお、この重り金属膜21は、周波数を粗く調整する際に使用される粗調膜21aと、微小に調整する際に使用される微調膜21bとに分かれている。これら粗調膜21a及び微調膜21bを利用して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部10、11の周波数をデバイスの公称(目標)周波数の範囲内に収めることができる。
このように構成された圧電振動片4は、図3、図4に示すように、金等のバンプBを利用して、ベース基板2の上面にバンプ接合されている。より具体的には、ベース基板2の上面にパターニングされた後述する引き回し電極36,37上に形成された2つのバンプB上に、一対のマウント電極16,17がそれぞれ接触した状態でバンプ接合されている。これにより、圧電振動片4は、ベース基板2の上面から浮いた状態で支持されると共に、マウント電極16,17と引き回し電極36,37とがそれぞれ電気的に接続された状態となっている。
(圧電振動子)
図1〜図4に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、ベース基板2とリッド基板3とを2層に積層したパッケージ9を備えている。
図1、図3及び図4に示すように、リッド基板3は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板であり、板状に形成されている。そして、ベース基板2が接合される接合面側には、圧電振動片4が収まる矩形状の凹部3aが形成されている。この凹部3aは、両基板2、3が重ね合わされたときに、圧電振動片4を収容するキャビティCとなるキャビティ用の凹部である。そして、リッド基板3は、この凹部3aをベース基板2側に対向させた状態で該ベース基板2に対して陽極接合されている。
ベース基板2は、リッド基板3と同様にガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板であり、図1〜図4に示すように、リッド基板3に対して重ね合わせ可能な大きさで板状に形成されている。
図2および図3に示すように、このベース基板2には、該ベース基板2を貫通する一対のスルーホール(貫通孔)30,31が形成されている。一対のスルーホール30,31は、キャビティCの対角線の両端部に形成されている。そして、これら一対のスルーホール30,31には、該スルーホール30,31を埋めるように形成された一対の貫通電極32,33が形成されている。これら貫通電極32,33は、Agペースト等の導電材料によって構成されている。ベース基板2の下面には、一対の貫通電極32,33に対してそれぞれ電気的に接続される一対の外部電極38,39が形成されている。
図2および図4に示すように、ベース基板2の上面側(リッド基板3が接合される接合面側)には、導電性材料(例えば、アルミニウム)により、陽極接合用の接合膜35と、一対の引き回し電極36,37とがパターニングされている。このうち接合膜35は、リッド基板3に形成された凹部3aの周囲を囲むようにベース基板2の周縁に沿って形成されている。また、一対の引き回し電極36,37は、一対の貫通電極32,33のうち、一方の貫通電極32と圧電振動片4の一方のマウント電極16とを電気的に接続すると共に、他方の貫通電極33と圧電振動片4の他方のマウント電極17とを電気的に接続するようにパターニングされている。
このように構成された圧電振動子1を作動させるには、ベース基板2に形成された外部電極38,39に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片4の第1の励振電極13及び第2の励振電極14からなる励振電極15に電圧を印加することができ、一対の振動腕部10、11を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部10、11の振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として利用することができる。
(ゲッター材)
図2および図4に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、キャビティの内部にゲッター材(第2質量調整膜)70を備えている。ゲッター材70は、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着するものであり、例えばアルミニウム(Al)やチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)等の金属、またはそれらの合金等で形成することが可能である。本実施形態のゲッター材70は、接合膜35および引き回し電極36,37と同じ金属アルミニウムにより、接合膜35および引き回し電極36,37と同時にベース基板2の上面に形成されている。なおゲッター材70は、リッド基板3のキャビティ用凹部3aの底面に形成されていてもよい。
ゲッター材70は、圧電振動子1の外部からレーザ照射しうる位置に配置されている。なおリッド基板3における凹部3aの底面は非研磨面(擦りガラス状)であるから、リッド基板3の外側から(圧電振動子1の上面側から)レーザ照射することができない。そのため、ベース基板2の外側から(圧電振動子1の下面側から)レーザ照射することになる。そこで、圧電振動子1の下面側から見て外部電極38,39と重ならない位置にゲッター材70が配置されている。また、ゲッター材70が重り金属膜21へのレーザ照射を妨げないように、圧電振動子1の下面側から見て重り金属膜21と重ならない位置にゲッター材70が配置されている。本実施形態では、圧電振動子1の下面側から見て、圧電振動片の幅方向における一対の振動腕部10,11の両外側に、それぞれゲッター材70,70が配置されている。
図8Aは、本実施形態におけるゲッター材の説明図であり、図2に相当する平面図である。なお図8Aでは、図面を見易くするため、圧電振動片4に形成される各電極や、ベース基板2上に形成される引き回し電極等の記載を省略している。また図8Aでは、圧電振動片4の振動腕部10,11の長さ方向をX方向、圧電振動片4の幅方向をY方向、圧電振動片4の厚さ方向をZ方向としている。
図8Aに示すように、ゲッター材70はX方向に沿って延設されている。ゲッター材70のY方向外側の縁辺は、X軸と平行の直線状に形成され、ゲッター材70のY方向内側の縁辺は、X方向中央部が振動腕部に向けて突出する円弧状に形成されている。ゲッター材70は、振動腕部10,11の長さ方向の中心線Lyに対して線対称形状に形成されている。またゲッター材70は、振動腕部10,11の長さ方向の中心部CNTに隣接する中間部70cと、その±X方向に配置された端部70e,70eとで構成されている。なお中間部70cのX方向の長さc3と、端部70e,70eのX方向の長さe3とは、例えば同等に形成されている。
図8Bは図8AのP−P線における断面図であり、図8Cは図8AのQ−Q線における断面図であり、図8Dは図8AのR−R線における断面図である。図8Cに示すゲッター材70の中間部70cの断面積Scは、図8Bおよび図8Dに示す端部70eの断面積Seより大きくなっている。具体的には、図8Cに示す中間部70cの幅c1が、図8Bおよび図8Dに示す端部70eの幅e1より大きくなっている。また図8Cに示す中間部70cの厚さc4が、図8Bおよび図8Dに示す端部70eの厚さe4より大きくなっていることが望ましい。
図8Aに戻り、ゲッター材70は、振動腕部10,11からY方向に距離を置いて配置されている。振動腕部10からゲッター材70の端部70eまでの距離e2は、振動腕部10からゲッター材70の中間部70cまでの距離c2より大きくなっている。
ゲッター材70にレーザを照射すると、ゲッター材70が蒸発して除去され、ゲッター材70の表面にレーザ照射痕71が形成される。例えば、ゲッター材70の一点にレーザを照射(点照射)すると、レーザ照射痕71は椀状に形成される。またレーザを走査しながら点照射を短距離間隔で繰り返すと、レーザ照射痕71は溝状に形成される。本実施形態では、圧電振動片4の両側のゲッター材70,70におけるレーザ照射痕71が、圧電振動片4の中心線Lxに対して線対称となるように形成されている。また各ゲッター材70におけるレーザ照射痕71が、振動腕部10,11の長さ方向の中心線Lyに対して線対称となるように形成されている。さらに、ゲッター材70の端部70eにおけるレーザ照射痕71は、中間部70cの幅方向の中心より外側(すなわち、振動腕部10,11から遠方側)に形成されている。
(第1変形例)
図9Aは、第1実施形態の第1変形例におけるゲッター材の説明図であり、図2に相当する平面図である。図8Aないし図8Dに示す第1実施形態では、ゲッター材70のY方向内側の縁辺が円弧状に形成されていたが、図9Aに示す第1変形例では階段状に形成されている点で異なっている。
第1変形例では、ゲッター材70のY方向内側の縁辺が、振動腕部10,11と平行の直線状に形成されている。そして第1実施形態と同様に、振動腕部10,11からゲッター材70の端部70e,70eまでの距離が、振動腕部10,11からゲッター材70の中間部70cまでの距離より大きくなっている。これにより、ゲッター材70のY方向内側の縁辺が階段状に形成されている。
(第2変形例)
図9Bは、第1実施形態の第2変形例におけるゲッター材の説明図であり、図2に相当する平面図である。図9Aに示す第2変形例では、ゲッター材70のY方向内側の縁辺が山状に形成されている点で、第1実施形態と異なっている。
第2変形例では、ゲッター材70のY方向内側の縁辺は、X方向の中央部と両端部とを結ぶ直線状に形成されている。そして第1実施形態と同様に、振動腕部10,11からゲッター材の端部70e,70eまでの距離が、振動腕部10,11からゲッター材の中間部70cまでの距離より大きくなっている。これにより、ゲッター材70のY方向内側の縁辺が山状に形成されている。
(圧電振動子の製造方法)
図10は圧電振動子の製造方法のフローチャートであり、図11は圧電振動子の製造方法の説明図である。なお図11においては、図面を見易くするために、ベース基板用ウエハ40における接合膜35およびゲッター材70の図示を省略している。なお、図11に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。本実施形態では、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50との間に複数の圧電振動片4を配置して、一度に複数の圧電振動子を製造する。
初めに、圧電振動片作製工程を行って図5〜図7に示す圧電振動片4を作製する(S10)。また圧電振動片4を作製した後、共振周波数の粗調を行っておく。これは、重り金属膜21の粗調膜21aにレーザ光を照射して一部を蒸発させ、重量を変化させることで行う。なお、共振周波数をより高精度に調整する微調に関しては、マウント後に行う。これについては、後に説明する。
次に図11に示すように、後にリッド基板となるリッド基板用ウエハ50を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第1のウエハ作製工程を行う(S20)。まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のリッド基板用ウエハ50を形成する(S21)。次いで、リッド基板用ウエハ50の接合面に、エッチング等により行列方向にキャビティ用の凹部3aを複数形成する凹部形成工程を行う(S22)。この時点で、第1のウエハ作製工程が終了する。
次に、上記工程と同時或いは前後のタイミングで、後にベース基板となるベース基板用ウエハ40を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第2のウエハ作製工程を行う(S30)。まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のベース基板用ウエハ40を形成する(S31)。次いで、ベース基板用ウエハ40に一対の貫通電極32,33を複数形成する貫通電極形成工程を行う(S30A)。
次に図4に示すように、ベース基板用ウエハ40の上面に導電性材料をパターニングして、接合膜35を形成する接合膜形成工程(S36)と、引き回し電極36,37を形成する引き回し電極形成工程(S37)と、ゲッター材70を形成するゲッター材形成工程(S38)とを同時に行う。なお接合膜形成工程(S36)、引き回し電極形成工程(S37)およびゲッター材形成工程(S38)は、全部または一部を別工程として、任意の工程順序で行ってもよい。
次に、作製した複数の圧電振動片4を、それぞれ引き回し電極36,37を介してベース基板用ウエハ40の上面に接合するマウント工程を行う(S40)。まず、一対の引き回し電極36,37上にそれぞれ金等のバンプBを形成する。そして、圧電振動片4の基部12をバンプB上に載置した後、バンプBを所定温度に加熱しながら圧電振動片4をバンプBに押し付ける。これにより、圧電振動片4がバンプBに機械的に支持されてベース基板用ウエハ40の上面から浮いた状態となり、またマウント電極16,17と引き回し電極36,37とが電気的に接続された状態となる。
圧電振動片4のマウントが終了した後、図11に示すように、ベース基板用ウエハ40に対してリッド基板用ウエハ50を重ね合わせる重ね合わせ工程を行う(S50)。具体的には、図示しない基準マーク等を指標としながら、両ウエハ40、50を正しい位置にアライメントする。これにより、マウントされた圧電振動片4が、両ウエハ40、50の間に形成されるキャビティ内に収容された状態となる。
重ね合わせ工程後、重ね合わせた2枚のウエハ40、50を図示しない陽極接合装置に入れ、所定の温度雰囲気で所定の電圧を印加して陽極接合する接合工程を行う(S60)。具体的には、図4に示す接合膜35とリッド基板用ウエハ50との間に所定の電圧を印加する。すると、接合膜35とリッド基板用ウエハ50との界面に電気化学的な反応が生じ、両者がそれぞれ強固に密着して陽極接合される。これにより、圧電振動片4をキャビティC内に封止することができ、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とが接合したウエハ体60を得ることができる。
そして、上述した陽極接合が終了した後、ベース基板用ウエハ40の下面に導電性材料をパターニングして、一対の外部電極38,39を複数形成する外部電極形成工程を行う(S70)。この工程により、外部電極38,39から貫通電極32,33を介してキャビティC内に封止された圧電振動片4を作動させることができるようになる。
(ゲッタリング工程)
次に、図4に示すゲッター材70にレーザを照射してゲッター材70を活性化させるゲッタリング工程を行う(S72)。レーザとして、次述する微調工程と同じYAGレーザ等を採用することが可能である。上述したように、リッド基板用ウエハ50の外側からはレーザ照射できないので、ベース基板用ウエハ40の外側からレーザ照射を行う。レーザ照射によりゲッター材70(例えばAl)が蒸発すると、キャビティ内の酸素を吸収して金属酸化物(例えばAl23)が生成される。これにより、キャビティ内の酸素が消費されるので、真空度を一定レベル以上に向上させることができる。ここで、一定レベルとは、それ以上真空度を向上させても、直列共振抵抗値に大きな変動がない状態を意味する。これにより、適正な直列共振抵抗値を確保することができる。
ところで、圧電振動片4の振動腕部10,11の近傍でゲッタリングを行うと、ゲッタリングに伴う生成物が振動腕部10,11に付着する。振動腕部10,11の先端部の近傍でゲッタリングを行った場合には、生成物が主に振動腕部10、11の先端部に付着する。この場合には、先端部の重量(バネ−マス系のマスに相当)が増加するため圧電振動片4の周波数は低下する。この現象は、次述する微調工程(振動腕部10,11の先端部の微調膜21bをレーザ照射によりトリミングし、先端部の重量を減少させて周波数を増加させる工程)とは逆の現象である。一方、振動腕部10,11の基端部の近傍でゲッタリングを行った場合には、生成物が主に振動腕部10、11の基端部に付着する。この場合には、振動腕部10,11の剛性(バネ−マス系のバネ定数に相当)の増加が支配的となり、圧電振動片4の周波数は増加することになる。
なお、ゲッタリング工程において圧電振動片4の周波数が変動しても、次述する微調工程において圧電振動子の周波数の微調整が可能である。しかしながら、ゲッタリング工程において圧電振動片4の周波数が大きく変動すると、微調工程において圧電振動子の周波数を公称周波数の範囲内に収めることが困難または不可能になる。
そこで本実施形態では、まず図8Aないし図8Dに示す振動腕部10,11の中心部に隣接するゲッター材70の中間部70cを活性化する第1ゲッタリング工程を行う(S74)。具体的には、ゲッター材70の中間部70cにレーザを照射する。
本実施形態では、ゲッター材70の中間部70cの断面積Scが、端部70eの断面積Seより大きくなっている。そのため、中間部70cにレーザ照射するだけで、多量のゲッター材70を蒸発させることが可能になり、パッケージ内の真空度を確保することができる。しかも、中間部70cにレーザ照射することで、生成物が主に振動腕部10、11の中心部に付着する。したがって、ゲッタリングに伴う圧電振動片の周波数の変動を抑制することができる。
ゲッター材70の中間部70cにおいては、まず中心線Lyに沿ってレーザ照射を行う。次に、中心線Lyを±X方向に距離dだけオフセットした直線に沿ってレーザ照射を行う。同様に、中心線Lyを±X方向に距離n・d(nは自然数)だけオフセットした直線に沿って順にレーザ照射を行い、キャビティ内が所定の真空度に達した時点でレーザ照射を停止する。このように、X方向の中心から外側に向けてレーザ照射範囲を広げることにより、できるだけ振動腕部10、11の中心部付近に生成物を付着させることが可能になる。したがって、ゲッタリングに伴う圧電振動片の周波数の変動を最小限に抑制することができる。
上述した第1ゲッタリング工程においてゲッター材70の中間部70cの全体をゲッタリングしても、キャビティ内が所定の真空度に達しない場合には、ゲッター材70の端部70eにレーザを照射して活性化する第2ゲッタリング工程を行う(S76)。第2ゲッタリング工程では、振動腕部10,11の先端部または基端部の近傍でゲッタリングを行うので、生成物が振動腕部10,11の先端部または基端部に付着し、圧電振動片の周波数が変動するおそれがある。しかしながら、中間部70cを第1ゲッタリングした後に端部70eを第2ゲッタリングするので、ゲッタリングに伴う圧電振動片の周波数の変動を最小限に抑制することができる。
第2ゲッタリング工程では、X方向の中央側から外側に向けてレーザ照射範囲を広げ、中心線Lyに対して線対称となるようにレーザ照射を行う。具体的には、まず中心線Lyを±X方向に距離c3/2だけオフセットした直線に沿ってレーザ照射を行う。次に、中心線Lyを±X方向に距離c3/2+dだけオフセットした直線に沿ってレーザ照射を行う。同様に、中心線Lyを±X方向に距離c3/2+n・d(nは自然数)だけオフセットした直線に沿って順にレーザ照射を行い、キャビティ内が所定の真空度に達した時点でレーザ照射を停止する。なお中心線Lyに対して線対称となるようにレーザ照射を行うので、中心線Lyに対して線対称となるようにレーザ照射痕71が形成される。
このように第2ゲッタリング工程では、X方向の中央側から外側に向けてレーザ照射範囲を広げることにより、できるだけ振動腕部10、11の中心部付近に生成物を付着させることが可能になる。しかも、中心線Lyに対して線対称となるようにゲッタリングを行うことにより、ゲッタリングに伴う生成物を振動腕部の先端部および基端部に対して均等に付着させることができる。これにより、周波数の増加および減少を相殺することが可能になる。したがって、ゲッタリングに伴う圧電振動片の周波数の変動を最小限に抑制することができる。
また本実施形態では、振動腕部10,11からゲッター材70の端部70eまでの距離が、振動腕部10,11からゲッター材70の中間部70cまでの距離より大きくなっているので、振動腕部10,11から離れた位置でゲッター材70の端部70eのゲッタリングを行うことが可能になる。これにより、生成物が振動腕部10,11の先端部または基端部に付着するのを抑制することが可能になり、ゲッタリングに伴う圧電振動片の周波数の変動を抑制することができる。
図10のフローチャートに戻り、ゲッタリング工程(S72)の後に、キャビティC内に封止された個々の圧電振動子1の周波数を微調整して所定の範囲内に収める微調工程を行う(S80)。具体的に説明すると、ベース基板用ウエハ40の下面に形成された一対の外部電極38,39に電圧を印加して圧電振動片4を振動させる。そして、周波数を計測しながらベース基板用ウエハ40の外部からレーザを照射し、重り金属膜21の微調膜21bを蒸発させてトリミングする。微調膜21bをトリミングすると、一対の振動腕部10、11の先端側の重量が減少するため、圧電振動片4の周波数が増加する。これにより、圧電振動子1の周波数が公称周波数の所定範囲内に収まるように微調整することができる。
周波数の微調工程が終了後、図11に示すウエハ体60を切断線Mに沿って切断して小片化する切断工程を行う(S90)。その結果、互いに陽極接合されたベース基板2とリッド基板3との間に形成されたキャビティC内に圧電振動片4が封止された、図1に示す2層構造式表面実装型の圧電振動子1を一度に複数製造することができる。
なお、切断工程(S90)を行って個々の圧電振動子1に小片化した後に、ゲッタリング工程(S72)および微調工程(S80)を行う工程順序でも構わない。但し、上述したように、ゲッタリング工程(S72)および微調工程(S80)を先に行うことで、ウエハ体60の状態でゲッタリングおよび微調を行うことができるため、複数の圧電振動子1をより効率良く製造することができる。よって、スループットの向上化を図ることができるため好ましい。
その後、圧電振動片4の電気特性検査を行う(S100)。即ち、圧電振動片4の共振周波数、共振抵抗値、ドライブレベル特性(共振周波数及び共振抵抗値の励振電力依存性)等を測定してチェックする。また、絶縁抵抗特性等を併せてチェックする。そして、最後に圧電振動子1の外観検査を行って、寸法や品質等を最終的にチェックする。これをもって圧電振動子1の製造が終了する。
以上に詳述したように、図8Aないし図8Dに示す本実施形態に係る圧電振動子は、振動腕部10,11の長さ方向の中心部CNTに隣接するゲッター材70の中間部70cの断面積Scが、ゲッター材70の端部70e,70eの断面積Seより大きくなっている構成とした。
この構成によれば、中間部70cをゲッタリングするだけで、多量のゲッター材を活性化することが可能になり、パッケージ9内の真空度を確保することができる。しかも、中間部70cをゲッタリングすることで、ゲッタリングに伴う生成物が主に振動腕部10、11の中心部に付着する。したがって、ゲッタリングに伴う圧電振動片の周波数の変動を抑制することができる。
また本実施形態に係る圧電振動子の製造方法では、振動腕部10,11の長さ方向の中心部CNTに隣接するゲッター材70の中間部70cを活性化する第1ゲッタリング工程と、振動腕部10,11の長さ方向の先端部または基端部に隣接するゲッター材70の端部70e,70eを活性化する第2ゲッタリング工程と、を有する構成とした。
この構成によれば、中間部70cを活性化する第1ゲッタリング工程を先に行うので、ゲッタリングに伴う生成物をできるだけ振動腕部10、11の中心部に付着させることが可能になる。したがって、ゲッタリングに伴う圧電振動片の周波数の変動を抑制することができる。
このように、ゲッタリング工程において圧電振動片の周波数の変動を抑制することができるので、次の微調工程において圧電振動子の周波数を公称周波数の範囲内に収めることが可能になる。したがって、圧電振動子の歩留まりを向上させることができる。
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態に係る圧電振動子の説明図であり、図2に相当する平面図である。図8Aに示す第1実施形態では、ゲッター材70が圧電振動片4の振動腕部10,11の外側に形成されていたが、図12に示す第2実施形態では、ゲッター材70が圧電振動片4の基部12の周囲に形成されている点で異なっている。なお第1実施形態と同様の構成となる部分については、その詳細な説明を省略する。
第2実施形態では、圧電振動片4の基部12の周囲にゲッター材70が形成されている。このゲッター材70をゲッタリングすると、生成物は主に基部12に付着し、振動腕部10,11には付着しない。そのため、ゲッタリングに伴う圧電振動片4の周波数の変動を抑制することができる。これにより、次の微調工程において圧電振動子の周波数を公称周波数の範囲内に収めることが可能になる。したがって、圧電振動子の歩留まりを向上させることができる。
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図13を参照しながら説明する。
本実施形態の発振器100は、図13に示すように、圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。基板103には、発振器用の上記集積回路101が実装されており、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、該圧電振動子1内の圧電振動片4が振動する。この振動は、圧電振動片4が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
そして本実施形態では、歩留まりが向上した圧電振動子1を備えているので、発振器100のコストを低減することができる。
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図14を参照して説明する。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器110を例にして説明する。始めに本実施形態の携帯情報機器110は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
次に、本実施形態の携帯情報機器110の構成について説明する。この携帯情報機器110は、図14に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。電源部111は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片4が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。
無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。
なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
即ち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えることで、通信部114の機能をより確実に停止することができる。
そして本実施形態では、歩留まりが向上した圧電振動子1を備えているので、携帯情報機器110のコストを低減することができる。
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図15を参照して説明する。
本実施形態の電波時計130は、図15に示すように、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
以下、電波時計130の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、上記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部138、139をそれぞれ備えている。
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路134により検波復調される。続いて、波形整形回路135を介してタイムコードが取り出され、CPU136でカウントされる。CPU136では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC137に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部138、139は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計130を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
そして本実施形態では、歩留まりが向上した圧電振動子1を備えているので、電波時計130のコストを低減することができる。
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態(図8Aないし図8D参照)ではゲッター材70の中間部70cの幅c1および厚さc4を、端部70eの幅e1および厚さe4より大きくしたが、幅および厚さのいずれか一方のみを大きくしてもよい。
また、上記実施形態では振動腕部10からゲッター材70の端部70eまでの距離e2を中間部70cまでの距離c2より大きくしたが、距離e2および距離c2を同等に形成した上で、振動腕部10から離れた位置で(Y方向の外側で)端部70eをゲッタリングしてもよい。ただし、距離e2を距離c2より大きくすれば、ゲッター材の材料を節約することができる。
また、上記実施形態ではゲッター材70を中心線Lyに対して線対称形状に形成したが、ゲッター材70を非線対称形状に形成した上で、線対称となるようにゲッタリングしてもよい。
また、上記実施形態(図4参照)ではゲッター材70をベース基板2の表面に形成したが、リッド基板3の表面に形成してもよい。ただし、上記実施形態のようにベース基板側に形成することで、引き回し電極36,37および接合膜35と同時にゲッター材を形成することが可能になり、製造工程を簡略化して製造コストを低減することができる。
また、上記実施形態では、圧電振動片4の一例として振動腕部10、11の両面に溝部18が形成された溝付きの圧電振動片4を例に挙げて説明したが、溝部18がないタイプの圧電振動片でも構わない。但し、溝部18を形成することで、一対の励振電極15に所定の電圧を印加させたときに、一対の励振電極15間における電界効率を上げることができるため、振動損失をより抑えて振動特性をさらに向上することができる。つまり、CI値(Crystal Impedance)をさらに低くすることができ、圧電振動片4のさらなる高性能化を図ることができる。この点において、溝部18を形成する方が好ましい。
また、上記実施形態では、ベース基板2とリッド基板3とを接合膜35を介して陽極接合したが、陽極接合に限定されるものではない。但し、陽極接合することで、両基板2、3を強固に接合できるため好ましい。
また、上記実施形態では、圧電振動片4をバンプ接合したが、バンプ接合に限定されるものではない。例えば、導電性接着剤により圧電振動片4を接合しても構わない。但し、バンプ接合することで、圧電振動片4をベース基板2の上面から浮かすことができ、振動に必要な最低限の振動ギャップを自然と確保することができる。よって、バンプ接合することが好ましい。
本発明に係る圧電振動子によれば、中間部をゲッタリングするだけで、多量のゲッター材を活性化することが可能になり、パッケージ内の真空度を確保することが可能である。しかも、中間部をゲッタリングすることで、ゲッタリングに伴う生成物は主に振動腕部の中心部に付着する。したがって、ゲッタリングに伴う周波数の変動を抑制することができる。
また本発明に係る圧電振動子の製造方法によれば、中間部を活性化する第1ゲッタリング工程を先に行うので、ゲッタリングに伴う生成物をできるだけ振動腕部の中心部付近に付着させることが可能になる。したがって、ゲッタリングに伴う周波数の変動を抑制することができる。

Claims (7)

  1. 一対の振動腕部を備えた音叉型の圧電振動片と、
    前記圧電振動片を収容するパッケージと、
    前記パッケージの内部において、前記振動腕部の長さ方向に沿って形成されたゲッター材と、を備え、
    前記振動腕部の長さ方向の中心部に隣接する前記ゲッター材の中間部の断面積が、前記ゲッター材の端部の断面積より大きくなっていることを特徴とする圧電振動子。
  2. 請求項1に記載の圧電振動子であって、
    前記ゲッター材の前記中間部の幅が、前記ゲッター材の前記端部の幅より大きくなっている。
  3. 請求項1または2に記載の圧電振動子であって、
    前記ゲッター材の前記中間部の厚さが、前記ゲッター材の前記端部の厚さより大きくなっている。
  4. 請求項1または2に記載の圧電振動子であって、
    前記ゲッター材は、前記圧電振動片の幅方向における前記一対の振動腕部の外側に配置され、
    前記振動腕部から前記ゲッター材の前記端部までの距離が、前記振動腕部から前記ゲッター材の前記中間部までの距離より大きくなっている。
  5. 請求項1またはに記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
  6. 請求項1またはに記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
  7. 請求項1またはに記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
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