以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施の形態では、電子部品パッケージとして圧電振動デバイスである水晶振動子のパッケージに本発明を適用し、さらに電子部品素子として圧電振動片である音叉型水晶振動片に本発明を適用した場合を示す。
本実施の形態に係る水晶振動子1には、図1に示すように、音叉型水晶片からなる水晶振動片2(本発明でいう電子部品素子)と、この水晶振動片2を保持し、水晶振動片2を気密封止するためのベース4(本発明でいう第1封止部材)と、ベース4と対向するように配置され、ベース4に保持した水晶振動片2の励振電極31,32(本発明でいう電子部品素子の電極)を気密封止するための蓋7(本発明でいう第2封止部材)とが設けられている。
この水晶振動子1では、ベース4と蓋7とがAuとSnの合金からなる接合材12により接合されることにより、気密封止された内部空間11を備える本体筐体が構成される。この内部空間11では、ベース4に、水晶振動片2が、金バンプ等の導電性バンプ13を用いたFCB法(Flip Chip Bonding)により電気機械的に超音波接合されている。なお、本実施の形態において、導電性バンプ13には、金バンプ等の非流動性部材のメッキバンプが用いられている。
次に、この水晶振動子1の各構成について説明する。
ベース4は、ホウケイ酸ガラス等のガラス材料からなり、図1〜3に示すように、底部41と、ベース4の一主面42の外周に沿って底部41から上方に延出した壁部44とから構成された箱状体に成形されている。このようなベース4は、直方体の一枚板の基材をウエットエッチングして箱状体に成形される。
ベース4の壁部44の内側面は、テーパー状に成形されている。また、壁部44の天面は、蓋7との接合面であり、この接合面には、蓋7と接合するための第1接合層48が設けられている。第1接合層48は、複数の層の積層構造からなり、ベース4の壁部44の天面にスパッタリング法によりスパッタリング形成されたスパッタ膜(図1の符号931及び932参照)と、スパッタ膜の上にメッキ形成されたメッキ膜(図1の符号95参照)とからなる。スパッタ膜は、ベース4の壁部44の天面にスパッタリング法によりスパッタリング形成されたTi膜(図1の符号931参照)と、このTi膜の上にスパッタリング法によりスパッタリング形成されたAu膜(図1の符号932参照)とからなる。また、メッキ膜は、スパッタ膜の上にメッキ形成されたAuメッキ膜(図1の符号95参照)からなる。
ベース4の内部空間11に面する一主面42には、底部41と壁部44とによって囲まれた平面視長方形のキャビティ45が成形されている。キャビティ45の底面451には、その長手方向の一端部452の全体に沿って台座部46がエッチング成形されている。この台座部46に、水晶振動片2が搭載される。なお、このキャビティ45の壁面453は、壁部44の内側面であり、上記のようにテーパー状に成形されている。
また、ベース4には、水晶振動片2の励振電極31,32それぞれと電気機械的に接合する一対の電極パッド51,52と、外部部品や外部機器と電気的に接続する外部端子電極53,54と、電極パッド51と外部端子電極54、及び電極パッド52と外部端子電極53を電気的に接続させる配線パターン55とが形成されている。これら電極パッド51,52と外部端子電極53,54と配線パターン55とによりべース4の電極が構成される。電極パッド51,52は、台座部46の表面に形成されている。また、2つの外部端子電極53,54は、ベース4の他主面43において、長手方向の両端部に形成され、長手方向に沿って離間して並設されている。
電極パッド51,52は、ベース4の基板上に形成された第1コンタクトメタル膜(図1の符号921参照)と、この第1コンタクトメタル膜の上に形成された第1シード膜(図1の符号922参照)と、この第1シード膜の上に形成された第2コンタクトメタル膜(図1の符号931参照)と、この第2コンタクトメタル膜の上に形成された第2シード膜(図1の符号932参照)と、この第2シード膜の上に形成されたメッキ膜(図1の符号95参照)とにより構成されている。なお、第1コンタクトメタル膜は、ベース4の一主面42にスパッタリング法によりスパッタリング形成されたTi膜(図1の符号921参照)からなり、第1シード膜は、コンタクトメタル膜の上にスパッタリング法によりスパッタリング形成されたCu膜(図1の符号922参照)からなる。また、第2コンタクトメタル膜は、第1シード膜の上にスパッタリング法によりスパッタリング形成されたTi膜(図1の符号931参照)からなり、第2シード膜は、コンタクトメタル膜の上にスパッタリング法によりスパッタリング形成されたAu膜(図1の符号932参照)からなる。そして、メッキ膜は、第2シード膜にメッキ形成されたAuメッキ膜(図1の符号95参照)からなる。なお、第1コンタクトメタル膜を構成するTiは、ベース4の基材にCu膜を構成するCuを接合させるためのコンタクトメタルとして機能し、第2コンタクトメタル膜を構成するTiは、第2シード膜(Cu膜)に、Au膜を構成するAuを接合させるためのコンタクトメタルとして機能する。
配線パターン55は、電極パッド51,52と外部端子電極53,54とを電気的に接続させるように、ベース4の一主面42から貫通孔49(下記参照)の内側面491を介してベース4の他主面43に形成されている。
また、配線パターン55は、ベース4の基板上に形成された第1コンタクトメタル膜(図1の符号921参照)と、この第1コンタクトメタル膜の上に形成された第1シード膜(図1の符号922参照)とで構成されている。また、ベース4の一主面42に位置する部分の第1シード膜(図1の符号922参照)上には、第2コンタクトメタル膜(図1の符号931参照)が形成され、この第2コンタクトメタル膜の上には第2シード膜(図1の符号932参照)が形成されている。そして、この第2シード膜の上には、メッキ膜(図1の符号95参照)が形成されている。なお、第1コンタクトメタル膜は、ベース4の基板上にスパッタリング法によりスパッタリング形成されたTi膜(図1の符号921参照)からなる。また、配線パターン55を構成する第1シード膜は、コンタクトメタル膜の上にスパッタリング法によりスパッタリング形成されたCu膜(図1の符号922参照)からなる。また、ベース4の一主面42に位置する部分の第1シード膜の上に形成された第2コンタクトメタル膜は、第1シード膜の上にスパッタリング法によりスパッタリング形成されたTi膜(図1の符号931参照)からなり、第2シード膜は、コンタクトメタル膜の上にスパッタリング法によりスパッタリング形成されたAu膜(図1の符号932参照)からなる。そして、メッキ膜は、ベース4の一主面42に位置する部分の第2シード膜にメッキ形成されたAuメッキ膜(図1の符号95参照)からなる。
また、外部端子電極53,54は、樹脂パターン61(下記参照)上、及びベース4の他主面43に形成された配線パターン55の第1シード膜(図1の符号922参照)上に形成されたコンタクトメタル膜(図1の符号931参照)と、このコンタクトメタル膜上に形成されたシード膜(図1の符号932参照)と、このシード膜(図1の符号932参照)上に形成された第1メッキ膜(図1の符号94参照)と、この第1メッキ膜上に形成された第2メッキ膜(図1の符号95参照)とにより構成されている。なお、外部端子電極53,54を構成するコンタクトメタル膜は、樹脂パターン61上、及びベース4の他主面43に形成された配線パターン55の第1シード膜(図1の符号922参照)上にスパッタリング法によりスパッタリング形成されたTi膜(図1の符号931参照)からなる。外部端子電極53,54を構成するシード膜は、Au膜(図1の符号932参照)からなり、このAu膜は、樹脂パターン61上、及びベース4の他主面43の配線パターン55の第1シード膜(図1の符号922参照)上にスパッタリング形成されたTi膜(図1の符号931参照)の上に、スパッタリング法によりスパッタリング形成されている。また、第1メッキ膜は、シード膜にメッキ形成されたNiメッキ膜からなり、第2メッキ膜は、第1メッキ膜にメッキ形成されたAuメッキ膜からなる。
本発明においては、上記したベース4の電極のうち、ベース4の一主面42の側の電極、即ち、電極パッド51,52、及びベース4の一主面42の側にある配線パターン55を内部電極という。
また、ベース4の主面42、具体的には、台座部46を含むキャビティ45の底面451及び壁面453には、ゲッター材からなるゲッター膜56が形成されている。ゲッター膜56は、ベース4の基材上にスパッタリング法によりスパッタリング形成されたTi膜からなる(図1の符号931参照)。つまり、ゲッター膜56を構成するゲッター材には、内部電極(電極パッド51,52、及びベース4の一主面42の側にある配線パターン55)を構成する第1及び第2コンタクトメタル膜と同一の材料が用いられている。また、このゲッター膜56は、内部電極(電極パッド51,52及び配線パターン55の一部)と間隙65を空けて設けられており、これにより、内部電極(電極パッド51,52及び配線パターン55の一部)とゲッター膜56とのショートが防止されている。
貫通孔49は、ベース4をフォトリソグラフィ法によりエッチングして成形する際、キャビティ45の成形と同時に形成され、図1〜図3に示すように、ベース4に2つの貫通孔49が両主面42,43間を貫通して形成されている。この貫通孔49の内側面491は、ベース4の一主面42及び他主面43に対して傾斜を有し、テーパー状に形成されている。貫通孔49は、図1に示すように、ベース4の他主面43の側にある貫通孔49の他端部の径で最大となり、ベース4の一主面42の側にある貫通孔49の一端部の径で最小となる。このように、本実施の形態では、貫通孔49の内側面491は、ベース4の一主面42及び他主面43に対して傾斜しており、ベース4の一主面42と貫通孔49の内側面491とがなす角度(図1の符号θ参照)は、約45度とされているが、これに限定されない。例えば、ベース4の一主面42と貫通孔49の内側面491とがなす角度(図1の符号θ参照)は、45度より大きく、具体例としては、70〜90度であってもよい。ベース4の一主面42と貫通孔49の内側面491とがなす角度(図1の符号θ参照)を90度に近づけると、ベース4において、貫通孔49の占める面積が小さくなり、配線パターン55の形成箇所の自由度を向上させることができる。
このような貫通孔49の内側面491には、配線パターン55の一部であるCuからなる第1シード膜(図1の符号922参照)が、Tiからなる第1コンタクトメタル膜(図1の符号921参照)を介して形成されている。さらに、貫通孔49の内部には、Cuから構成される充填材が第1シード膜(図1の符号922参照)上に充填されて充填層98が形成されており、この充填層98により、貫通孔49が塞がれている。この充填層98は、第1シード膜の表面に電解メッキ形成されたCuメッキ層により構成されている。なお、充填層98において、ベース4の一主面42の側の端面は、図1に示すように、ベース4の一主面42と面一となるように形成されている。また、貫通孔49のベース4の他主面43の側の開口端部(他端開口面493の側の開口端部)は、樹脂材で構成された樹脂パターン61により塞がれている。
樹脂パターン61は、ベース4の貫通孔49の内部から他主面43にかけて形成されている。ベース4の他主面43において、樹脂パターン61が形成される樹脂パターン形成領域47は、図3に示すように、他主面43の長手方向に沿う長辺471と、他主面43の短手方向に沿う短辺472とからなる略長方形状を呈し、且つ、当該樹脂パターン形成領域47内に貫通孔49の他端開口面493を含むように設けられている。このような樹脂パターン形成領域47に形成された樹脂パターン61により、貫通孔49の他端開口面493が塞がれているとともに、貫通孔49の他端開口面493の周縁部551に設けられた配線パターン55が被覆されている。このように、内部に充填層98が形成された貫通孔49の他端開口面493を樹脂パターン61により塞ぐことにより、貫通孔49の封孔強度の向上が図られている。また、ベース4の他主面43の側の配線パターン55の一部は、樹脂パターン61に被覆されないように、樹脂パターン形成領域47の長辺471の両端部473,474と、短辺472とに沿って、平面視で樹脂パターン形成領域47の外側の領域552に形成されている。そして、樹脂パターン形成領域47の平面視外側の領域552に形成された配線パターン55上から、樹脂パターン61の側面を介して、樹脂パターン61の上に外部端子電極53,54が形成されている。このように、樹脂パターン61の両端部を間に挟むようにして配線パターン55と外部端子電極53,54とが形成されることにより、樹脂パターン61のベース4への接着強度及び樹脂パターン61の強度の向上が図られている。
また、本実施の形態において、樹脂パターン61を構成する樹脂材には、ポリベンズオキサゾール(PBO)が使用されている。なお、樹脂パターン61を構成する樹脂材は、ポリベンズオキサゾール(PBO)に限定されず、ベース4を構成する材料(例えば、ガラス材料)との密着性が良好な樹脂材をいずれも使用することができる。よって、樹脂パターン61を構成する樹脂材には、例えば、ベンゾシクロブテン(BCB)、エポキシ、ポリイミド、又はフッ素系樹脂からなる樹脂材等を使用してもよい。また、本実施の形態で使用した樹脂パターン61を構成する樹脂材、即ち、ポリベンズオキサゾール(PBO)は、感光性を有する樹脂材であり、フォトリソグラフィ法によるパターン形成が可能な樹脂材である。ここで、本発明でいう感光性を有する樹脂材とは、感光性を有する樹脂からなる樹脂材の他、感光剤と樹脂とを含む感光性樹脂組成物を含む広い概念とする。
蓋7は、ホウケイ酸ガラス等のガラス材料からなり、図1及び図4に示すように、頂部71と、蓋7の一主面72の外周に沿って頂部71から下方に延出した壁部73とから構成されている。このような蓋7は、直方体の一枚板の基材をウエットエッチングして成形される。
蓋7の壁部73の両側面(内側面731及び外側面732)は、テーパー状に成形されている。また、壁部73には、ベース4と接合するための第2接合層74が形成されている。
蓋7の第2接合層74は、図1に示すように、蓋7の壁部73の天面733から外側面732にかけて形成されている。この第2接合層74は、TiからなるTi膜(図1の符号77参照)が形成され、Ti膜の上にAuからなるAu膜(図1の符号78参照)が形成された複数の積層構造からなり、これらTi膜及びAu膜は、スパッタリング法によりスパッタリング形成されている。
また、蓋7の内部空間11に面する一主面72、具体的には、頂部71の内部空間11に面する部分全体と壁部73の内側面732全体とに、ゲッター膜76が形成されている。このゲッター膜76は、ベース4の基材上にスパッタリング法によりスパッタ形成されたTi膜(図1の符号77参照)からなる。
さらに、蓋7の基材の他主面79の全面には、スパッタリング法によりスパッタリング形成されたTi膜(図1の符号77参照)が形成されており、さらに、他主面79に形成されたTi膜の上には、スパッタリング法によりスパッタリング形成されたAu膜(図1の符号78参照)が形成されている。このTi膜(図1の符号77参照)及びAu膜(図1の符号78参照)は、他主面79に製造元やスペック等をレーザーで刻印(印字)するための基礎膜として使用することが可能である。
上記したベース4と蓋7とを接合させるための接合材12は、蓋7の第2接合層74に積層されている。この接合材12は、蓋7の第2接合層74の上にAuとSnとの合金からなるAu/Sn膜(図示省略)がメッキ形成され、このAu/Sn膜の上にAu膜(図示省略)がメッキ形成された複数の積層構造からなる。なお、Au膜は、Auストライクメッキ膜がメッキ形成され、Auストライクメッキ膜の上にAuメッキ膜がメッキ形成された複数の層の積層構造からなる。このような接合材12では、Au/Sn膜が、加熱により溶融して、AuSn合金膜となる。なお、接合材12は、蓋7の第2接合層74の上にAuSn合金膜をメッキ形成することにより構成されたものであってもよい。また、本実施の形態において、接合材12は、蓋7の第2接合層74に積層されているが、ベース4の第1接合層48に積層されていてもよい。
水晶振動片2は、異方性材料の水晶片である水晶素板(図示省略)から、ウエットエッチング形成された水晶Z板である。
この水晶振動片2は、図5に示すように、振動部である2本の脚部21,22と、基部23と、ベース4の電極パッド51,52に接合される接合部24とから構成されており、基部23の一端面231に2本の脚部21,22が突出して設けられ、基部23の他端面232に接合部24が突出して設けられた圧電振動素板20からなる。
基部23は、図5に示すように、平面視左右対称形状とされている。また、基部23の側面233は、一端面231の側の部位が一端面231と同一幅で、他端面232の側の部位が他端面232の側にかけて漸次幅狭になるように形成されている。
2本の脚部21,22は、図5に示すように、基部23の一端面231から、同一方向に突出して設けられている。これら2本の脚部21,22の先端部211,221は、脚部21,22の他の部位と比べて幅広(突出方向に対して直交する方向に幅広)に形成され、さらに、それぞれの先端隅部は曲面形成されている。また、2本の脚部21,22の両主面には、CI値を改善させるために、溝部25が形成されている。
接合部24は、図5に示すように、基部23の他端面232の幅方向の中央部から突出して設けられている。この接合部24は、基部23の他端面232に対して平面視垂直方向に突出した短辺部241と、短辺部241の先端部と連なり短辺部241の先端部において平面視直角に折曲されて基部23の幅方向に延出する長辺部242とから構成され、接合部24の先端部243は基部23の幅方向に向いている。すなわち、接合部24は、平面視L字状に成形されている。また、接合部24には、ベース4の電極パッド51,52と導電性バンプ13を介して接合される接合箇所27が設けられている。
上記した構成からなる水晶振動片2には、異電位で構成された第1及び第2の励振電極31,32と、これら第1及び第2の励振電極31,32をベース4の電極パッド51,52に電気的に接合させるために第1及び第2励振電極31,32から引き出された引出電極33,34とが形成されている。
また、第1及び第2の励振電極31,32の一部は、脚部21,22の溝部25の内部に形成されている。このため、水晶振動片2を小型化しても脚部21,22の振動損失が抑制され、CI値を低く抑えることができる。
第1の励振電極31は、一方の脚部21の両主面と、他方の脚部22の両側面及び先端部221の両主面とに形成されている。同様に、第2の励振電極32は、他方の脚部22の両主面と、一方の脚部21の両側面及び先端部211の両主面に形成されている。
また、引出電極33,34は、基部23及び接合部24に形成されており、基部23に形成された引出電極33により、一方の脚部21の両主面に形成された第1の励振電極31が、他方の脚部22の両側面及び先端部221の両主面に形成された第1の励振電極31に繋げられ、基部23に形成された引出電極34により、他方の脚部22の両主面に形成された第2の励振電極32が、一方の脚部21の両側面及び先端部211の両主面に形成された第2の励振電極32に繋げられている。
なお、基部23には、圧電振動素板20の両主面を貫通する2つの貫通孔26が形成されており、これら貫通孔26内には、導電性材料が充填されている。これらの貫通孔26を介して、引出電極33,34が基部23の両主面間に引回されている。
上記した構成からなる水晶振動子1では、図1に示すように、ベース4の一主面42に形成された台座部46に水晶振動片2の接合部24が導電性バンプ13を介してFCB法により電気機械的に超音波接合される。この接合により、水晶振動片2の励振電極31,32が、引出電極33,34と、導電性バンプ13とを介してベース4の電極パッド51,52に電気機械的に接合され、ベース4に水晶振動片2が搭載される。また、蓋7の一主面72には、Arガスを用いたプラズマエッチング処理が施され、これにより、蓋7に形成されたゲッター膜が活性化される。そして、水晶振動片2が搭載されたベース4に、蓋7がFCB法により仮接合され、その後、真空雰囲気下で加熱されることにより、接合材12と第1接合層48と第2接合層74とが溶融し、これにより、ベース4の第1接合層48に蓋7の第2接合層74が接合材12を介して接合されて、水晶振動片2を気密封止した水晶振動子1が製造される。なお、導電性バンプ13には、非流動性部材のメッキバンプが用いられている。
以下に、この水晶振動子1の製造方法について、図6〜図30を用いて説明する。なお、図6〜図30においては、図面の見易さを考慮し、第1Tiスパッタ層921、Cuスパッタ層922、第2Tiスパッタ層931、Auスパッタ層932、第1メッキ層94、第2メッキ層95、樹脂層96、及び充填層98のハッチングを省略している。
ガラス材料からなるウエハ8の両主面81,82を、図6に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いたウェットエッチング法により、エッチングして、ベース4を多数個成形する(ベース成形工程)。図6は、ウエハ8の両主面81,82をエッチングして成形されたベース4の1つを示しており、ベース4には、キャビティ45,台座部46,貫通孔49が形成されている。なお、各ベース4の台座部46、キャビティ45、貫通孔49等はドライエッチング法、サンドブラスト法等の機械的加工法を用いて形成してもよい。
ベース成形工程後、ウエハ8(両主面81,82や貫通孔49の内側面491など)に、Tiからなる第1Tiスパッタ層921をスパッタリング法によりスパッタリング形成する(Tiスパッタ層形成工程)。ここで形成した第1Tiスパッタ層921が、ベース4の電極パッド51,52及び配線パターン55の第1コンタクトメタル膜となる。
Tiスパッタ層形成工程後、第1Tiスパッタ層921上に、CuからなるCuスパッタ層922をスパッタリング法によりスパッタリング形成する(図7に示すCuスパッタ層形成工程)。ここで形成したCuスパッタ層922が、ベース4の電極パッド51,52及び配線パターン55を構成するCu膜からなる第1シード膜となる。
Cuスパッタ層形成工程後、Cuスパッタ層922上にレジストをディップコート法により塗布して、新たなポジレジスト層97を形成し(レジスト層形成工程)、その後、ウエハ8の一主面81側の貫通孔49の開口端部に形成したポジレジスト層97に対してフォトリソグラフィ法により露光及び現像を行い、図8に示すように、貫通孔49の内側面のパターン形成を行う(パターン形成工程)。
パターン形成工程後、図9に示すように、貫通孔49の内側面491の露出したCuスパッタ層922(第1シード膜)に対してCu電解メッキを行うことにより、Cuからなる充填層98をメッキ形成する(充填工程)。
充填工程後、図10に示すように、ポジレジスト層97を剥離除去する(レジスト剥離工程)。
レジスト剥離工程後、Cuスパッタ層922及び充填層98上にレジストをディップコート法により塗布して、新たなポジレジスト層97を形成し(第2レジスト層形成工程)、その後、電極パッド51,52、及び配線パターン55を形成する位置以外のポジレジスト層に対して露光および現像を行い、ベース4の電極パッド51,52及び配線パターン55、並びにベース4の外形のパターン形成を行う(図11に示す第2パターン形成工程)。
第2パターン形成工程後、露出したCuスパッタ層922及びこのCuスパッタ層922の下のTiスパッタ層921をメタルエッチングして除去する(図12に示すメタルエッチング工程)。
メタルエッチング工程後、図13に示すように、ポジレジスト層97を剥離除去する(第2レジスト剥離工程)。
第2レジスト剥離工程後、Cuスパッタ層922、充填層98及び露出したウエハ8の両主面81,82上に感光性を有する樹脂材をディップコート法により塗布して、樹脂層96を形成する(図14の樹脂層形成工程)。
樹脂層形成工程後、貫通孔49の他端開口面493の側の開口端部を塞ぐ樹脂パターン61を形成する位置以外の樹脂層96に対してフォトリソグラフィ法により露光及び現像を行い、図15に示すように、樹脂パターン61を形成する(樹脂パターン形成工程)。
樹脂パターン形成工程後、露出したCuスパッタ層922、樹脂層96、及び露出したウエハ8の両主面81,82の上に、Tiからなる第2Tiスパッタ層931をスパッタリング法によりスパッタリング形成する(第2Tiスパッタ層形成工程)。ここで形成した第2Tiスパッタ層931が、電極パッド51,52及びベース4の一主面42側の配線パターン55の第2コンタクトメタル膜、外部端子電極53,54のコンタクトメタル膜、第1接合層48のTi膜、並びに、ゲッター膜56となる。
第2Tiスパッタ層形成工程後、第2Tiスパッタ層931上に、Auスパッタ層932をスパッタリング法によりスパッタリング形成する(図16に示すAuスパッタ層形成工程)。ここで形成したAuスパッタ層932が、第1接合層48のスパッタ膜を構成するAu膜、並びに、電極パッド51,52、外部端子電極53,54、及び配線パターン55を構成するAu膜からなるシード膜となる。
Auスパッタ層形成工程後、Auスパッタ層932上にレジストをディップコート法により塗布して、新たなポジレジスト層97を形成し(第3レジスト層形成工程)、その後、ベース4の外部端子電極53,54を形成する位置上のポジレジスト層97に対してフォトリソグラフィ法により露光および現像を行い、ベース4の外部端子電極53,54のパターン形成を行う(図17に示す第3パターン形成工程)。
第3パターン形成工程後、露出したAuスパッタ層932上に、図18に示すように、Niからなる第1メッキ層94をメッキ形成する(第1メッキ形成工程)。ここで、形成した第1メッキ層94がベース4の外部端子電極53,54のNi膜の第1メッキ膜となる。
第1メッキ形成工程後、ポジレジスト層97を剥離除去する(図19に示す第3レジスト剥離工程)
第3レジスト剥離工程後、露出したAuスパッタ層932及び第1メッキ層94上にレジストをディップコート法により塗布して、新たなポジレジスト層97を形成し(図20に示す第4レジスト層形成工程)、その後、ベース4の第1接合層48、電極パッド51,52、外部端子電極53,54、及び配線パターン55を形成する位置上のポジレジスト層97に対してフォトリソグラフィ法により露光及び現像を行い、ベース4の第1接合層、電極パッド51,52、外部端子電極53,54、及び配線パターン55のパターン形成を行う(図21に示す第4パターン形成工程)。
第4パターン形成工程後、露出したAuスパッタ層932及び第1メッキ層94上に、図22に示すように、Auからなる第2メッキ層95をメッキ形成する(第2メッキ形成工程)。ここで形成した第2メッキ層95が、ベース4の第1接合層48、電極パッド51,52、外部端子電極53,54、及び配線パターン55を構成するAu膜からなるメッキ膜となる。
第2メッキ形成工程後、図23に示すように、ポジレジスト層97を剥離する(第4レジスト剥離工程)。
第4レジスト剥離工程後、露出したAuスパッタ層932及び第2メッキ層95上にレジストをディップコート法により塗布し、新たなポジレジスト層97を形成し(図24に示す第5レジスト層形成工程)、その後、図25に示すように、ベース4の第1接合層48、電極パッド51,52、外部端子電極53,54及び配線パターン55を形成する位置上以外のポジレジスト層97に対してフォトリソグラフィ法により露光及び現像を行い、ベース4の第1接合層48、電極パッド51,52、外部端子電極53,54及び配線パターン55、並びにベース4の外形のパターン形成を行う(第5パターン形成工程)。
第5パターン形成工程後、図26に示すように、露出したAuスパッタ層932をメタルエッチングにより除去する(第2メタルエッチング工程)。
第2メタルエッチング工程後、図27に示すように、ポジレジスト層97を剥離する(第5レジスト剥離工程)。
第5レジスト剥離工程後、露出した第2Tiスパッタ層931及び第2メッキ層95上にレジストをディップコート法により塗布し、新たなポジレジスト層97を形成し(第6レジスト層形成工程)、その後、図28に示すように、ベース4の第1接合層48、電極パッド51,52、外部端子電極53,54、配線パターン55、及びゲッター膜56を形成する位置上以外のポジレジスト層97に対してフォトリソグラフィ法により露光及び現像を行い、ベース4の第1接合層48、電極パッド51,52、外部端子電極53,54、配線パターン55、及びゲッター膜56のパターン形成を行う(第6パターン形成工程)。
第6パターン形成工程後、図29に示すように、露出した第2Tiスパッタ層931をメタルエッチングにより除去する(第3メタルエッチング工程)。
第3メタルエッチング工程後、ポジレジスト層97を剥離除去して、図30に示すように、ベース4をウエハ8に多数個形成する(第6レジスト剥離工程)。
第6レジスト剥離工程後、多数個のべース4を個別分割して多数個のベース4を個片化し(ベース個片化工程)、多数個の図30に示すベース4を製造する。
なお、上記したベース4の製造工程の成形工程が、本発明でいう成形工程で第1封止部材を成形する工程に相当する。また、図16〜図29に示す工程を経て、ベース4の主面42にゲッター膜56を形成する工程、即ち、ベース4の主面42にゲッター材を配する工程が、本発明でいう第1ゲッター材配置工程に相当する。また、図7〜図29に示す工程を経て、ベース4の一主面42に、電極(電極パッド51,52及び一主面42の側の配線パターン55)を形成する工程が本発明でいう電極形成工程に相当する。
そして、上記した製造方法により製造された図30に示すベース4に、図5に示す水晶振動片2を配し、導電性バンプ13を介してベース4に水晶振動片2をFCB法により電気機械的に超音波接合して、ベース4に水晶振動片2を搭載保持する(本発明でいう搭載工程)。また、別工程で、図4に示す蓋7を成形する(本発明でいう成形工程で第2封止部材を成形する工程)。そして、成形した蓋7の基材の一主面72に対して、第2接合層74の形成と、ゲッター膜76の形成(本発明でいう蓋7の主面72にゲッター材を配する第2ゲッター材配置工程)を行う一方、蓋7の基材の他主面79に対して、Ti膜及びAu膜の形成を行う。そして、蓋7の一主面72にArガスを用いたプラズマエッチング処理を施し(本発明でいうプラズマエッチング工程)、その後、蓋7の第2接合層74上に接合材12を積層する(本発明でいうろう材配置工程)。次いで、水晶振動片2を搭載保持したベース4に蓋7を配し、ベース4の第1接合層48と蓋7の第2接合層74とを接合材12を介してFCB法により電気機械的に超音波接合(仮接合)する。次いで、仮接合したベース4及び蓋7を、接合材12(ろう材)の融点未満の温度、具体的には、270〜290℃の温度で30分間、加熱処理し(本発明でいう接合前加熱工程)、その後、接合材12の融点以上の温度で加熱処理、具体的には、320〜350℃の温度で1分間加熱処理して、接合材12を加熱溶融させて、ベース4と蓋7との接合を行う(本発明でいう接合工程)。
上記したような本実施の形態に係る水晶振動子1において、接合材12(ろう材)の加熱により発生し、内部空間11に入り込むガスは、内部空間内における主面(即ち、ベース4の内部空間11に面する主面42及び蓋7の内部空間に面する主面72)に形成されたゲッター膜56、76に吸着される。つまり、本実施の形態に係る水晶振動子1によれば、内部空間11のガス量を抑制することができる。
また、ベース4のゲッター膜56は、電極パッド51,52及び配線パターン55を構成する第2コンタクトメタル膜(図1の符号931)、並びに第1接合層48のTi膜と同一の材料からなる。このため、上記した通り、ベース4の製造工程において、電極パッド51,52及び配線パターン55を形成するための第2コンタクトメタル膜(図2の符号931参照)の形成及び第1接合層48のTi膜(図2の符号931参照)の形成と同時に、ゲッター膜56を形成することができる。なお、上記したベース4の製造工程においては、電極パッド51,52及び配線パターン55を形成するための第2コンタクトメタル膜(図1の符号931参照)形成と同時に、ゲッター膜56を形成しているが、第1コンタクトメタル膜(図1の符号921参照)形成と同時に、ゲッター膜56を形成してもよい。
また、蓋7のゲッター膜76は、第2接合層74を構成するTi膜(図1の符号77参照)と同一の材料からなる。このため、蓋7の製造工程の第2接合層74の形成においては、第2接合層74のTi膜を形成するのと同時に、ゲッター膜76を形成することができる。
また、本実施の形態に係る水晶振動子1では、ベース4の台座部46を含むキャビティ45の底面451及び壁面453のほぼ全体が、電極パッド51,52及び配線パターン55(即ち、ベース4の主面42の側に形成された内部電極)、又はゲッター膜56で被覆されている。さらに、蓋7の頂部71の内部空間11に面する面と壁部の内側面732の全体がゲッター膜76で被覆されている。このため、内部空間11への光の入射が、内部電極とゲッター膜56,76により遮断され、これにより、内部空間11内の水晶振動片2の電極の劣化が抑制されている。なお、本実施の形態では、上記した通り、ベース4の台座部46を含むキャビティ45の底面451及び壁面453、並びに、蓋7の頂部71の内部空間11に面する面と壁部の内側面732のほぼ全体が、電極パッド51,52及び配線パターン55(即ち、ベース4の主面42の側に形成された内部電極)、又はゲッター膜56で被覆されているが、少なくとも、ベース4の主面42及び蓋7の主面72の水晶振動片2と対向する部分(間隙65を除く)が、内部電極又はゲッター膜56,76で被覆されていれば、水晶振動片2への光の入射を遮断し、水晶振動片2の電極の光による劣化を抑制する効果が得られる。例えば、ベース4のキャビティ451の壁面453及び蓋7の壁部73の内側面731にゲッター膜56,76が形成されていない構成であってもよく、この構成によっても、水晶振動片2の電極の光による劣化を抑制する効果が得られる。
また、本実施の形態に係る水晶振動子1において、ベース4の基材には、台座部46を含むキャビティ45の底面451及び壁面453のほぼ全体を被覆する電極パッド51,52及び配線パターン55(即ち、ベース4の主面42の側に形成された内部電極)並びにゲッター膜56により、十分な機械的強度が備えられている。同様に、蓋7の基材には、頂部71の内部空間11に面する面と壁部の内側面732の全体を被覆するゲッター膜76により、十分な機械的強度が備えられている。具体的には、本実施の形態において、ベース4の電極(電極パッド51,52、外部端子電極53,54、及び配線パターン55)を構成するコンタクトメタル膜(図1の符号921及び931参照)と、ゲッター膜56,76は、上記したとおり、Ti膜からなる。Tiは、高い硬度を有する材料であり、本実施の形態では、Ti膜を厚肉(具体例としては、3000Åの厚み)に形成することで、ベース4及び蓋7の機械的強度の向上が図られている。
また、上記した水晶振動子1の製造工程では、上記した通り、ベース4と蓋7とを接合する前に、蓋7の一主面72にArガスを用いたプラズマエッチング処理を施しており、このプラズマエッチング処理により蓋7のゲッター膜76の表面に付着したAu等の不純物を除去してゲッター膜76の表面を活性化させている。これにより、接合材12(ろう材)の加熱により発生し内部空間11に入り込むガスを効率よくゲッター膜76に吸着させることができる。なお、上記した本実施の形態にかかる水晶振動子1の製造工程では、蓋7の一主面72のみにプラズマエッチング処理を施しているが、ベース4の一主面42のみに、或いは蓋7の一主面72及びベース4の一主面42の両方にプラズマエッチング処理を施してもゲッター膜56,76の活性化によるガス吸着効率の向上効果を得ることができる。ただし、水晶振動片2が搭載されたベース4にArガスを用いたプラズマエッチング処理を施す場合には、水晶振動片2の電極(励振電極31,32、及び引出電極33,34)にArガスがあたらないように、水晶振動片2の電極をマスクした状態で、プラズマエッチング処理を施すことが好ましい。また、ベース4の一主面42にプラズマエッチング処理を施した場合には、上記したベース4の製造工程においてゲッター膜56の表面に付着したポジレジスト層及びAuスパッタ層の残渣をプラズマエッチング処理により除去することができ、これにより、ゲッター膜56の表面を活性化させることができる。
さらに、上記した水晶振動子1の製造工程では、接合材12を加熱溶融させてベース4と蓋7とを本接合する(本発明でいう接合工程)前に、ベース4の第1接合層48と蓋7の第2接合層74とを接合材12を介して仮接合し、仮接合したベース4及び蓋7を加熱処理すること(本発明でいう接合前加熱工程)によって、ゲッター膜56,76を活性化させて、ゲッター膜56,76によるガス吸着効率を高めているが、接合材12を加熱溶融させてベース4と蓋7とを本接合した(本接合工程)後、本接合工程での加熱温度よりも高い温度、例えば、330〜550℃で10〜50分、より好ましくは400℃で50分間、ベース4及び蓋7を加熱処理すること(本発明でいう接合後加熱工程)によっても、ゲッター膜56,76によるガス吸着効率をさらに高めることができる。つまり、ゲッター膜56,76を活性化させるための加熱処理は、接合工程の前に行ってもよいし、接合工程の後に行ってもよい。あるいは、ゲッター膜56,76を活性化させるための加熱処理は、接合工程の前後で行ってもよい。
また、上記した水晶振動子1の製造工程は、単なる例示にすぎず、本実施の形態に係る水晶振動子1は、他の製造工程によっても製造可能である。
なお、本実施の形態に係る水晶振動子1では、ベース4に形成されたゲッター膜56及び蓋7に形成されたゲッター膜76は、共に、Tiで構成されているが、ゲッター膜56,76を構成するゲッター材は、ガスを吸着する効果を有するものであれば、特に、限定されず、具体例としては、Tiの他に、Crを挙げることができる。
また、本実施の形態に係る水晶振動子1では、内部空間11の気密性を高めるために貫通孔49の内部にCuメッキ層(充填層98)が形成されるとともに、貫通孔49の他端開口面493が樹脂パターン61で覆われているが、貫通孔49の内部の構成はこれに限定されるものではない。例えば、貫通孔49の内部にCuメッキ層が形成されずに樹脂材が充填された構成、又は貫通孔49の内部に導電性ペーストを充填した構成であっても、本実施の形態と同様のゲッター膜56,76による内部空間11のガス量の低減効果を得ることができる。また、ベース4において、樹脂パターン61が省略された構成であっても、本実施の形態と同様のゲッター膜56,76による内部空間11のガス量の低減効果を得ることができる。
また、本実施の形態に係る水晶振動子1では、電極パッド51,52及び配線パターン55は、ベース4の基板上に形成されたTi膜からなる第1コンタクトメタル膜(図1の符号921参照)と、この第1コンタクトメタル膜の上に形成されたCu膜からなる第1シード膜(図1の符号922参照)と、この第1シード膜の上に形成されたTi膜からなる第2コンタクトメタル膜(図1の符号931参照)と、この第2コンタクトメタル膜の上に形成されたAu膜からなる第2シード膜(図1の符号932参照)と、この第2シード膜の上にメッキ形成されたAu膜からなるメッキ膜(図1の符号95参照)とで構成されているが、電極パッド51,52及び配線パターン55の電極構成は、これに限定されず、ベース4の基板上に形成されたTi膜からなるコンタクトトメタル膜と、このコンタクトメタル膜の上に形成されたAu膜からなるシード膜とからなる構成であってもよい。つまり、貫通孔49の内側面491の配線パターン55のシード膜が、Au膜からなる構成であってもよい。このように、貫通孔49の内側面491における配線パターン55のシード膜をAu膜で構成する場合には、貫通孔49の内側面491の配線パターン55のシード膜上にメッキ形成する充填層98をAuSnメッキ層とすると、内側面491の配線パターン55のシード膜と充填層98との接着強度を向上させることができる。
また、本実施の形成に係る水晶振動子1のベース4において、第1接合層48は、上記した通り、ベース4の基材上にスパッタリング形成されたTi膜(図1の符号931参照)と、このTi膜の上にスパッタリング形成されたAu膜(図1の符号932参照)と、このAu膜の上にメッキ形成されたAuメッキ膜(図1の符号95参照)とから構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、第1接合層48は、ベース4の基材上にスパッタリング形成されたTi膜と、このTi膜の上にスパッタリング形成されたAu膜と、このAu膜の上にメッキ形成されたNiメッキ膜と、Niメッキ膜の上にメッキ形成されたAuメッキ膜とから構成されたものであってもよい。このように、Au膜とAuメッキ膜との間にNiメッキ膜を介在させると、接合材12(ろう材)によるAu膜の侵食を防止することができ、ベース4と蓋7との接合の強度を向上させることができる。
また、本実施の形成に係る水晶振動子1のベース4において、外部端子電極53,54は、上記した通り、ベース4の他主面43の配線パターン55のシード膜(図1の符号922参照)上及び樹脂パターン61上に形成されたTiからなるコンタクトメタル膜(図1の符号931参照)と、このコンタクトメタル膜の上にスパッタ形成されたAuからなるシード膜(図1の符号932参照)と、このシード膜の上にメッキ形成されたNiからなる第1メッキ膜(図1の符号94参照)と、この第1メッキ膜の上にメッキ形成されたAuからなる第2メッキ膜(図1の符号95参照)とから構成されているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、Auからなるシード膜(図1の符号932参照)の上に直接(Niからなる第1メッキ膜を介さず)Auからなる第2メッキ膜が形成されたものであってもよい。
また、本実施の形態に係る水晶振動子1のベース4において、電極(電極パッド51,52、外部端子電極53,54、及び配線パターン55)を構成するコンタクトメタル膜(第1及び第2コンタクトメタル膜)はTiからなるが、コンタクトメタル膜の構成は、これに限定されるものではなく、例えば、Cr、Mo、W、又はRuでコンタクトメタル膜を構成してもよい。これらの中でも、Crは、Tiと同様に、ゲッター材としても使用
可能である。
また、本実施の形態に係る水晶振動子1では、ベース4及び蓋7の材料としてガラスを用いているが、ベース4及び蓋7は、いずれも、ガラスを用いて構成されたものに限定されるものではなく、例えば、水晶を用いて構成されたものであってもよい。
また、本実施の形態では、接合材12として、主にAuSnを用いているが、接合材12は、ベース4と蓋7とを接合させることができるものであれば特に限定されず、例えば、CuSn等のSn合金ろう材を用いて構成されたものであってもよい。
なお、上記した実施の形態に係る水晶振動子1では、水晶振動片として、図5に示す音叉型水晶振動片2を使用したが、図31に示すATカット水晶振動片2を使用してもよい。ATカット水晶振動片2を使用した水晶振動子1では、ATカット水晶振動片2に合わせてベース4に電極が形成されているが、本発明に係る構成については、本実施の形態と同一であり、本実施の形態と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態に係るベース4に、水晶振動片2に加えて、ICチップを搭載し、発振器を構成してもよい。ベース4にICチップを搭載する場合には、ICチップの電極構成に合わせた電極がベース4に形成される。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。