JP5127923B2 - 回転角度検出装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に開示されている回転角度検出装置では、ティースを有する鉄心で構成され且つティースに1相以上の励磁巻線および2相以上の出力巻線が巻き回される固定子と、突極を有する回転子とを具備し、軸倍角が増えるに従い、ティースの数も比例して増える。
また、特許文献3、4のように巻数を正弦波で変化させる場合、僅かの巻数しか巻線を施さないティースが存在し、機械による巻線を考えた場合、ほんの僅かしか巻線をほどこさないティースに自動巻きの巻線機のノズルが移動しなければならず、ノズルの位置決めに時間を要するため巻線作業の効率が良くないという問題がある。
また、軸倍角が大きくなっても従来の回転角度検出装置と比べて少ないティースで回転角度検出装置が構成されるので、巻線作業性が優れており量産に向いている構造となるということである。
図1は、この発明の実施の形態1に係る回転角度検出装置の構成を示した構成図である。
この発明の実施の形態1に係る回転角度検出装置は、ティース3およびティース3に巻き回された巻線4を具備した固定子1、突極を有する回転子2から構成されている。但し、図1は簡略化のために、主要な部分だけを示し、巻線4とティース3の間の絶縁部材や巻線4の渡り線や結線など詳細は省略している。図1は、ティース3の数が10、軸倍角4(回転子2の突極の数が4)の回転角度検出装置である。また、ティース3に示した数字は便宜的に与えた各ティース3のティース番号である。
巻線4は、励磁巻線と出力巻線から構成されている。図1に示した巻線4は、ティース3に3層構造に巻き回されている。例えば、ティース3に一番近い内周側が励磁巻線とし、その外周側に2相の出力巻線が巻き回されている。但し、巻線4の巻き回し方はこれに限ったものではなく、内側に出力巻線を巻き回してもよいし、径方向に各巻線が並ぶように巻き回してもよい。
励磁巻線に交流電圧を印加し、励磁巻線に励磁電流を通電する。交流電圧の周波数は例えば、10kHz程度の高周波とする。励磁巻線に流れる電流により、回転角度検出装置の固定子1と回転子2の間の空隙には、磁束が発生し、固定子に巻き回されている出力巻線にも磁束が鎖交する。結果として、出力巻線に電圧が発生する。
ところで、回転子2の形状は図1のように、凹凸のある形状となっている。この例では4つ突極を有する構造である。これにより、固定子1と回転子2の間のパーミアンスが変化するため、空隙部分にできる磁束もこのパーミアンスの変化の影響を受ける。
したがって、回転子2の回転角度に応じて磁束が変化し、結果として、出力巻線に発生する電圧も変化する。2相の出力巻線の電圧は回転角度に対して、正弦波、余弦波の関係となるように巻数を選定しているので、2相の出力巻線の電圧を測定すれば、回転角度を検出することができる。
図2は、この発明の実施の形態1に係る回転角度検出装置における具体的な巻線4の例である。なお、図2において、正負符号は巻き方向を表し、負符号は正符号とは逆方向に巻き回されていることを示し、数字は巻数を表す。
励磁巻線は励磁電流が流れ磁束を発生する役割を担っている。図2の例では、励磁巻線は全てのティース3に巻き回され、極数が10、すなわち極対数が5となるような構成である。具体的には図2の例では50ターンずつ、隣り合うティース3で極性が異なるように巻き回されている。
一方、回転子2の突極の数Mは4である、すなわち、パーミアンスの変化の空間次数は4次となる。ただし、機械角360°を1周期とする成分を1次とした。
このときに、出力巻線をどのように巻き回せばよいかについて考察する。
回転角度検出装置として機能するためには、空隙に発生する磁束のうち、励磁巻線の極対数Nに軸倍角Mを加算した値の絶対値または励磁の極対数Nから軸倍角Mを減算した値の絶対値(以下、数式で表すときには{|(励磁の極対数)±(軸倍角)|、|N±N|}とする。但し、||は絶対値を表す記号である。)に等しい空間次数の磁束を拾う必要がある。
図1に図示した回転角度検出装置では、励磁巻線の極対数Nが5、軸倍角Mが4であるから、値|(励磁の極対数)±(軸倍角)|、すなわち値|5±4|に等しい空間次数9次または1次の磁束を拾う必要がある(但し、空間1次とは機械角360°を1周期とする成分のことを表す)。
図3は、図2の出力巻線に関し横軸をティース番号として、巻数(符号も含める)を縦軸にして示したグラフである。
従来の回転角度検出装置のように正弦波状に巻数が変わる巻線とは異なり、正弦波のピーク値付近、具体的にはCOS巻線におけるティース番号1番、5番、6番、10番のティース3、SIN巻線におけるティース番号3番、8番のティース3において巻数が低減されている。
従来の回転角度検出装置の巻数を表す式(1)、式(2)において、N1=100したときには、図6のような巻数の分布となる。そして、図3と図6に図示した巻数を対比すると、例えば、図6では最大値となる3番のティースで図3のように巻数が約20%低減されている。
また、位相は22.5°ずれている。22.5に軸倍角の4を乗じると90°となる。すなわちCOS巻線、SIN巻線の位相差は電気角90°となっている。これは軸倍角が4の回転角度検出装置として機能することを示している。
また、この発明の実施の形態1に係る回転角度検出装置における巻線仕様では、ティース番号3、8のティース3でのCOS巻線の巻数がゼロとなっている。このように巻数がゼロとなるティース3があると、巻線機でティース3に巻線を巻き回さなくてもすむので巻線作業の効率が向上するという効果があることはいうまでもない。
励磁の極対数をNおよび回転子の突極の数をMとしたとき、ギャップに発生する磁束のうち、励磁の極対数Nに軸倍角Mを加算して得る和の絶対値または励磁の極対数Nから軸倍角Mを減算して得る差の絶対値に等しくなる空間次数の成分を拾うために、励磁の極対数Nに軸倍角Mを加算して得る和の絶対値または励磁の極対数Nから軸倍角Mを減算して得る差の絶対値に等しい次数の正弦波と巻数の最大値を減らすようにL次の正弦波とを重ね合わせた波形で巻数が変化するように出力巻線をティース3に巻き回す。
また、励磁の極対数Nがティース数NSの1/2の値に一致するときは、巻数の分布において空間|N+M|次と空間|N−M|次は見かけ上同じとなるので、便宜上Lの絶対値が励磁の極対数Nから軸倍角Mを減算して得る差の絶対値と異なるような整数Lである。すなわち、|L|≠|N−M|を満たすLである。
なお、励磁の極対数Nがティース数NSの1/2の値に一致しないときは、LはLの絶対値が励磁の極対数Nから軸倍角Mを減算して得る差の絶対値と等しくなるような整数であっても良い。すなわち、|L|=|N−M|を満たすLとしてもよい。
2相の出力巻線のi番目のティース3に巻き回されている巻線の巻数を式(6)、(7)で表される。但し、Ncos(i)、Nsin(i)は出力巻線においてi番目のティース3に巻き回されている巻線の巻数を表す。Nは励磁巻線の極対数、Mは回転子の突極の数、NSはティースの数を表す。Lは整数であり、N1、N2、θ1、θ2、η1、η2は任意の実数であり、式(6)、(7)において復号は任意である。
また、励磁の極対数Nがティース数NSの1/2の値に一致するときは、巻数の分布において空間|N+M|次と空間|N−M|次は見かけ上同じとなるので、便宜上整数Lは、整数Lの絶対値が励磁巻線の極対数Nに回転子の突起の数Mを加算して得る和の絶対値と異なっていると見なす整数である。
また、励磁の極対数Nがティース数NSの1/2の値に一致しないときは、整数Lは、整数Lの絶対値が励磁巻線の極対数Nに回転子の突起の数Mを加算して得る和の絶対値と同じとしてもよい。
2相の出力巻線のi番目のティース3に巻き回されている巻線の巻数を式(8)、(9)で表される。但し、Ncos(i)、Nsin(i)は出力巻線においてi番目のティース3に巻き回されている巻線の巻数を表す。Nは励磁巻線の極対数、Mは回転子の突極の数、NSはティースの数を表す。Lは整数であり、N1、N2、θ1、θ2、η1、η2は任意の実数であり、式(8)、(9)において復号は任意である。
また、具体例は空間1次についてのみ述べたが、空間|N+M|次を用いると、この本実施の形態ではN+M=5+4=9次となるが、L=3や27とすることで同様巻線が得られ同じ効果が得られる。
上記のような構成とすることで、従来例と比べて巻数の最大値を小さくすることができ、巻線作業性が優れているという効果がある。
また、従来例では、ティースの数は軸倍角に比例し、例えば軸倍角4のときはティースの数は軸倍角1のときの4を4倍した数、すなわち4×4=16となっていたようにティース3の数が多くなって巻線作業性が低下していた。一方、本発明によれば、軸倍角が4であってもティース3の数が10で構成されているので軸倍角が大きくなっても従来例と比べて少ないティース3の数で回転角度検出装置が提供し得る。
従って、この発明の実施の形態1に係る回転角度検出装置は巻線作業性が優れており量産に向いている構造である。
この発明はティース3の数が10、軸倍角が4に限って成立するものではなく、様々な仕様において成立する。
図9は、この発明の実施の形態2に係る回転角度検出装置の構成を示した構成図である。
この発明の実施の形態2に係る回転角度検出装置は、ティース3およびティース3に巻き回された巻線4を具備した固定子1、突極を有する回転子2から構成されている。但し、図9は簡略化のために、主要な部分だけを示し、巻線4とティース3の間の絶縁部材や巻線4の渡り線や結線など詳細は省略している。
図9に示す回転角度検出装置ではティース3の数が8、軸倍角5(回転子2の突極の数が5)の例である。また、ティース3部分に示した数字は便宜的に与えた各ティース3のティース番号である。
ここでは、励磁の極対数Nは4、回転子の突極の数Mは5であるから、値|(励磁の極対数)±(軸倍角)|、すなわち値|N±M|は、1または9となるから、ギャップに発生する磁束のうち空間1次か空間9次の成分を出力巻線で拾うようにすればよい。さらに、従来の正弦波に巻数を変化させた場合と比べて、巻数の最大値を減らすような次数成分を加えればよい。ここでは、空間1次の成分を拾う場合を考える。加える成分の次数Lは3次とした。このとき、巻数は式(10)、(11)で表される。
図14は、この発明の実施の形態3に係る回転角度検出装置の構成を示した構成図である。
この発明の実施の形態3に係る回転角度検出装置は、ティース3とティース3に巻き回された巻線4を具備した固定子1および突極を有する回転子2から構成されている。但し、図14は簡略化のために、主要な部分だけを示し、巻線4とティース3の間の絶縁部材や巻線4の渡り線や結線など詳細は省略している。この発明の実施の形態3に係る回転角度検出装置は、ティースの数が12、軸倍角が5(回転子2の突極の数が5)の例である。また、ティース部分に示した数字は便宜的に与えた各ティース3のティース番号である。
図19は、この発明の実施の形態4に係る回転角度検出装置の構成を示した構成図である。
この発明の実施の形態4に係る回転角度検出装置は、ティース3とティース3に巻き回された巻線4を具備した固定子1および突極を有する回転子2とから構成されている。但し、図19は簡略化のために、主要な部分だけを示し、巻線4とティース3の間の絶縁部材や巻線4の渡り線や結線など詳細は省略している。
この発明の実施の形態4に係る回転角度検出装置は、ティース3の数が16、軸倍角が5(回転子2の突極の数が5)の例である。また、ティース部分に示した数字は便宜的に与えた各ティース3のティース番号である。
ここでは、励磁の極対数Nは4、回転子の突極の数Mは5であるから、値|(励磁の極対数)±(軸倍角)|、すなわち値|N±M|は1と9となるから、ギャップに発生する磁束のうち空間1次または空間9次の成分を出力巻線で拾う。そのとき、従来のように機械角に対して巻線の巻数が正弦波に変化させた場合と比べて、巻数の最大値を減らすような次数成分を加える。ここでは、空間1次の成分を拾う場合を考え、加える成分の次数Lは3とした。このとき、実施の形態2と同様、巻数は式(10)、式(11)で表される。
図24は、この発明の実施の形態5に係る回転角度検出装置の構成を示した構成図である。
この発明の実施の形態5に係る回転角度検出装置は、ティース3とティース3に巻き回された巻線4を具備した固定子1および突極を有する回転子2から構成されている。但し、図24は簡略化のために、主要な部分だけを示し、巻線4とティース3の間の絶縁部材や巻線4の渡り線や結線など詳細は省略している。
この発明の実施の形態5に係る回転角度検出装置は、ティース3の数が10、軸倍角が7(回転子2の突極の数が7)の例である。また、ティース部分に示した数字は便宜的に与えた各ティース3のティース番号である。
ここでは、励磁の極対数Nは5、回転子2の突極の数Mは7であるから、値|(励磁の極対数)±(軸倍角)|、すなわち値|N±M|は、2または12となり、ギャップに発生する磁束のうち空間2次か空間12次の成分を出力巻線で拾うようにすればよい。さらに、従来の正弦波に巻数を変化させた場合と比べて、巻数の最大値を減らすような次数成分を加えればよい。ここでは、空間2次の成分を拾う場合を考える。加える成分の次数Lはこれまでとは異なり6とした。このとき、巻数は式(12)、(13)で表される。
この実施の形態5の巻線仕様のときの出力巻線の電圧をプロットしたのが、図28である。横軸は回転角度を機械角で示し、縦軸は電圧のピーク値を示す。電圧の正負は位相の違いである。COS巻線とSIN巻線はどちらも機械角360°/7≒51.4°を1周期とした正弦波である。また、位相は360°/28=12.6°ずれている。すなわちCOS巻線、SIN巻線の位相差は電気角90°となっている。これは軸倍角が7の回転角度検出装置として機能することを示している。図28の波形が高調波のほとんど含まない正弦波状の波形となっていることから、本発明により高精度な回転角度検出装置が得られる効果があることもわかる。軸倍角が7の同じ構成の従来例であれば、ティース3の数が28となるが、この発明の実施の形態5に係る回転角度検出装置ではティース3の数が28より大幅に少ない10で成立している。すなわち、軸倍角が大きくなっても従来例と比べて少ないティース3の数で回転角度検出装置が成立するので、巻線作業性が優れており量産に向いている構造であるという効果が得られる。
図29は、この発明の実施の形態6に係る回転角度検出装置の構成を示した構成図である。
この発明の実施の形態6に係る回転角度検出装置は、ティース3とティース3に巻き回された巻線4を具備した固定子1および突極を有する回転子2から構成されている。但し、図29は簡略化のために、主要な部分だけを示し、巻線4とティース3の間の絶縁部材や巻線4の渡り線や結線など詳細は省略している。
この発明の実施の形態6に係る回転角度検出装置では、ティース3の数が12、軸倍角が7(回転子2の突極の数が7)の例である。また、ティース部分に示した数字は便宜的に与えた各ティース3のティース番号である。
ここでは、励磁の極対数Nは6、回転子の突極の数Mは7であるから、値|(励磁の極対数)±(軸倍角)|、すなわち値|N±M|は、1または13となるから、ギャップに発生する磁束のうち空間1次か空間13次の成分を出力巻線で拾うようにすればよい。
さらに、従来の正弦波に巻数を変化させた場合と比べて、巻数の最大値を減らすような次数成分を加えればよい。ここでは、空間1次の成分を拾う場合を考え、加える成分の次数Lを3とした。
従来例では巻数の最大値はN1に一致して100となるが、この発明の実施の形態6に係る回転角度検出装置では出力巻線の巻数の最大値が84となり、16%低減できていることが分かる。
この実施の形態6の巻線仕様のときの出力巻線の電圧をプロットしたのが、図33である。横軸は回転角度を機械角で示す。縦軸は電圧のピーク値を示す。実施の形態5と同様、これは軸倍角7の回転角度検出装置として機能することを示している。また、図33の波形が高調波のほとんど含まない正弦波状の波形となっていることから、本発明により高精度な回転角度検出装置が得られる効果があることもわかる。
同じ構成で軸倍角が7の従来例では、ティース3の数が28となるが、この発明の実施の形態6に係る回転角度検出装置では、ティース3の数が28より大幅に少ない12で成立している。すなわち、軸倍角が大きくなっても従来例と比べて少ないティース3の数で回転角度検出装置が成立するので、巻線作業性が優れており量産に向いている構造であるという効果が得られる。
図34は、この発明の実施の形態7に係る回転角度検出装置の構成を示した構成図である。
この発明の実施の形態7に係る回転角度検出装置は、ティース3とティース3に巻き回された巻線4を具備した固定子1、突極を有する回転子2から構成されている。ただし、図34は簡略化のために、主要な部分だけを示し、巻線4とティース3の間の絶縁部材や巻線4の渡り線や結線など詳細は省略している。
この発明の実施の形態7に係る回転角度検出装置は、ティース3の数が16、軸倍角が7(回転子2の突極の数が7)の例である。また、ティース部分に示した数字は便宜的に与えた各ティース3のティース番号である。
ここでは、励磁の極対数Nは8、回転子2の突極の数Mは7であるから、値|(励磁の極対数)±(軸倍角)|、すなわち値|N±M|は、1または15となるから、ギャップに発生する磁束のうち空間1次か空間15次の成分を出力巻線で拾うようにすればよい。さらに、従来の正弦波状に巻数を変化させた場合と比べて、巻数の最大値を減らすような次数成分を加えればよい。ここでは、空間1次の成分を拾う場合を考え、加える成分の次数Lは3とした。
この発明の実施の形態7の巻線仕様のときの出力巻線の電圧をプロットしたのが、図38である。図38では横軸は回転角度を機械角で、縦軸は電圧のピーク値を示す。実施の形態6と同様、これは軸倍角が7の回転角度検出装置として機能することを示している。図38の波形が高調波のほとんど含まない正弦波状の波形となっていることから、本発明により高精度な回転角度検出装置が得られる効果があることもわかる。
また、同じ構成で軸倍角が7の従来例では、ティース3の数が28となるが、この発明の実施の形態7に係る回転角度検出装置では、ティース3の数が28より大幅に少ない16で成立している。すなわち、軸倍角が大きくなっても従来例と比べて少ないティース3の数で回転角度検出装置が成立するので、巻線作業性が優れており量産に向いている構造であるという効果が得られる。
また、N1、N2のパラメータも変圧比などに応じて適宜定めればよい。
また、軸倍角が4、5、7の回転角度検出装置についてのみ述べたが、これに限ることはなく、同じ考え方で、軸倍角が1、2、3、6または8以上の回転角度検出装置を構成することができる。
図39は、この発明に係る回転角度検出装置を搭載する車両用電動パワーステアリング装置の概念図である。
先ず、車両用の電動パワーステアリング装置について述べる。
ステアリングホイール30から操舵力を伝えるためのコラムシャフト31が設けられている。コラムシャフト31にはウォームギヤ32(図41では詳細は省略し、ギヤボックスのみ示している)が接続されており、コントローラ33によって駆動されるモータ34の出力(トルク、回転数)を回転方向を直角に変えながら伝達し、同時に減速し、アシストトルクを増加させる。ウォームギヤ32にはハンドルジョイント35が接続され、操舵力を伝えるとともに、方向も変える。ハンドルジョイント35にはステアリングギヤ(図41では詳細は省略し、ギヤボックスのみ示している)36が接続され、コラムシャフト31の回転を減速し、同時にラック37の直線運動に変換し、所要の変位を得る。このラック37の直線運動により車輪を動かし、車両の方向転換等を可能とする。
また、モータ34がブラシレスモータの場合には回転子の回転角度を検出する手段が必要である。
フレーム20に固定子鉄心21が圧入、焼き嵌めまたは接着などで固定されている。固定子鉄心21には電機子巻線22が巻き回されており、電機子巻線22に電流が通電されることでトルクを発生する。回転子は回転子鉄心23と永久磁石24を具備している。回転子鉄心23にはシャフト25が圧入されており、ベアリング26a、26bで回転自在に支持されている。なお、シャフト25は回転子鉄心23と別の部材で構成されていてもよいし、同一部材で構成されてもよい。フレーム20はハウジング27に固定されている。ハウジング27には回転角度検出装置の固定子200が固定され、固定子200には巻線201が巻き回されている。回転子202はシャフト25に圧入などの方法で固定されている。
また、搭載性の観点から回転角度検出装置はモータに比べて小さい方が望ましく、例えば、外径は図40に示したようにモータの半分以下にすることが望ましい。外径が小さくなると、当然回転角度検出装置の固定子200の内径も小さくなる。回転角度検出装置のティース3の数が増えると、ティース3とティース3の間隔が狭くなり、巻線4を収めるスロットが狭くなる。巻線機のノズルが入り難くなり、巻線作業性が低下し、量産には向かない構造となってしまう。例えばモータの外径(直径)が80mmであれば、回転角度検出装置の外径(直径)は40mmとなる、固定子200の内径はさらに半分の20mm程度となるから、ティース3の数が20になれば、ティース3の間隔は僅か3mm程度となる。
また、ティース3の数が軸倍角に4を乗じた数よりも少なくすることが可能である。これにより、8極、10極、14極といった多極のモータを駆動することができるので、永久磁石型モータのトルク脈動が小さくでき、結果として電動パワーステアリング装置における操舵感覚を向上できるという効果がある。
また、この発明に係る回転角度検出装置は大量生産に適した構成である。
また、軸倍角の選定の幅が広がる、すなわちモータの極数の選定の幅が広がるという効果がある。
Claims (11)
- ティースを有する鉄心で構成されるとともに1相以上の励磁巻線と2相以上の出力巻線とが設けられる固定子および突極を有する回転子を備える回転角度検出装置において、
上記出力巻線の巻数は、励磁の極対数Nと上記突極の数Mとの和の絶対値を空間次数とする正弦波と上記励磁の極対数Nの絶対値と異なり且つ上記極対数Nから上記突極の数Mを減算して得る差の絶対値と異なる整数Lを次数とする正弦波との和または差を含む関数によって得られる値であり、
上記整数Lを次数とする正弦波は、上記励磁の極対数Nと上記突極の数Mとの和の絶対値を空間次数とする正弦波のピーク値を下げるように加えられ、
上記固定子のティースの出力巻線の巻数は、各ティースが配置されている角度位置に基づき上記関数から得られる
ことを特徴とする回転角度検出装置。 - ティースを有する鉄心で構成されるとともに1相以上の励磁巻線と2相以上の出力巻線とが設けられる固定子および突極を有する回転子を備える回転角度検出装置において、
上記出力巻線の巻数は、励磁の極対数Nから上記突極の数Mを減算して得る差の絶対値を次数とする正弦波と上記励磁の極対数Nの絶対値と異なり且つ上記極対数Nと上記突極の数Mとの和の絶対値と異なる整数Lを次数とする正弦波との和または差を含む関数によって得られる値であり、
上記整数Lを次数とする正弦波は、上記励磁の極対数Nから上記突極の数Mを減算して得る差の絶対値を空間次数とする正弦波のピーク値を下げるように加えられ、
上記固定子のティースの出力巻線の巻数は、各ティースが配置されている角度位置に基づき上記関数から得られる
ことを特徴とする回転角度検出装置。 - 上記整数Lの絶対値は、上記極対数Nと上記突極の数Mとの和の絶対値の3倍であることを特徴とする請求項1または3に記載の回転角度検出装置。
- 上記整数Lの絶対値は、上記極対数Nから上記突極の数Mを減算して得る差の絶対値の3倍であることを特徴とする請求項2または4に記載の回転角度検出装置。
- 上記2相の出力巻線が巻き回されていない上記ティースが少なくとも1個あることを特徴とする請求項1または2に記載の回転角度検出装置。
- 同じ巻数の上記2相の出力巻線が巻き回されている上記ティースが2個以上あることを特徴とする請求項1または2に記載の回転角度検出装置。
- 上記2相の出力巻線の巻数が整数であることを特徴とする請求項1または2に記載の回転角度検出装置。
- 車両用の電動パワーステアリング装置に搭載されている永久磁石型モータの回転角度を検出するとともに上記ティースの数が16以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の回転角度検出装置。
- 上記N 2 と上記N 1 との比N 2 /N 1 は、
N cos (j)=N cos (j+1)
を解いて求めた値であり、ここで、jは、1から上記ティースの数N S −1までの整数であることを特徴とする請求項3または4に記載の回転角度検出装置。
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