2つの毛細管・レンズアッセンブリをレンズ同士が光機能部品を介して対向するように収容部材の内部に固定した構成の光デバイスでは、各毛細管・レンズアッセンブリにおいて、入出射する光の光軸がスリーブの中心軸と一致しないことが多い。そのため、光機能部品を予め固定した収容部材の内部に各毛細管・レンズアッセンブリを挿入した状態で、最適な光学調芯状態となるように各毛細管・レンズアッセンブリの位置を調整する必要がある。そして、その位置調整を可能にするために、各毛細管・レンズアッセンブリのスリーブの外周と収容部材の内周との間に比較的大きな隙間(直径差)を確保しなければならない。その結果、各毛細管・レンズアッセンブリのスリーブの外周を収容部材の内周に接着剤で固定する際、上記隙間に比較的多量の接着剤が入ることになり、該接着剤の硬化収縮や経年劣化に起因して、完成品である光デバイスの光学特性や耐候性等の性能面において、高い信頼性が得られない場合があった。
特に、近年、光通信の分野では、マルチメディア情報社会の進展に伴い、高速度光通信や、波長多重通信(WDM)、高密度波長多重通信(DWDM)などの必要性が高まっており、これら通信システムに用いられる光デバイスに対して、より高エネルギーの光が入出力される条件下での信頼性向上が要求されるようになってきた。この種の光デバイスにおける比較的多量の接着剤の使用は、高エネルギーの入出力光に起因する光デバイスの温度上昇に伴い、接着剤の熱劣化の懸念を増大させることになる。また、接着剤が入出力光の光路中にある場合、条件によっては、接着剤が入出力光の高エネルギーに耐えられず、焼損等の破損を起こす可能性があることも予想される。
また、レンズとスリーブ、スリーブと収容部材とがそれぞれ相互に固定されているため、各部材の熱膨張量又は収縮量の差に起因する応力がレンズに集中した場合、屈折率が部分的に変化して光学特性に狂いが生じる。
また、特許文献5の光デバイスは、2つのレンズと、光機能部品(フィルタ)とが、それぞれ個別にアッセンブリされており、左右のベース部材(7a、7b)と左右の毛細管アッセンブリを含めると、合計6つのエレメントを積層して相互に固定した構造になっている。しかも、毛細管アッセンブリのスリーブの端面をレンズアッセンブリの円筒状ブッシュの端面に接合した状態で、光ファイバの先端面がレンズの入出射面とPC接触するようになっており、また、光ファイバの先端面とフィルタ(17)との間の軸方向距離がレンズ及び円筒状ブッシュとベース部材(7a、7b)の軸方向寸法によって決まる構造になっている。そのため、調芯作業が面倒であるばかりでなく、各エレメントの位置を調整する自由度が少なく、最適な光学調芯状態を得るために各エレメントの構成部品を高精度に加工する必要がある。その結果、製造コストが高くなる。
更に、特許文献6の光デバイスでは、バンドパスフィルタ、光アイソレータといった各種光学部品を含む複数のエレメントの各円筒状スリーブを同じ外径寸法に形成し、各円筒状スリーブの外径寸法でのマーカーによる位置合わせで、各種光学部品の光学調芯状態が得られるようにしている。そのため、各円筒状スリーブの外周と内周との同軸度や軸方向寸法、各円筒状スリーブに対する各光学部品の固定位置を高精度に管理する必要があり、製造コストが高くなる。
尚、特許文献1の光デバイスでは、レンズ同士が光機能部品を介して対向するように収容部材(保護チューブ)の内部に固定したレンズアッセンブリを備えている関係上、良好な光学特性を確保するために、レンズアッセンブリと、レンズアッセンブリに固定される毛細管とを、最適な光学調芯状態となるようにそれぞれの位置を調整する必要がある。特にレンズアッセンブリにおいては、光ファイバとの関係から最適な光学調芯状態を実現する上で、2つのレンズを収容スリーブ(収容部材)に対して正確に位置調整して固定することが必要となる。そのため、このレンズの位置調整を可能にするために、収容スリーブの内周面と、各レンズの外周面との間に比較的大きな隙間(直径差)を確保して対応するのが通例である。その結果、各レンズの外周を収容スリーブの内周面に接着剤で固定する際、上記隙間に比較的多量の接着剤が入ることになり、該接着剤の硬化収縮や経年劣化に起因して位置調整されたレンズの固定位置に変位が生じ、完成品である光デバイスの光学特性や耐候性等の性能面において、高い信頼性が得られない場合があった。
一方、特許文献1〜6の光デバイスに、球レンズの一部が平面部とされた所謂半球状レンズを使用した場合には、その半球状レンズを通過する主光線の光路が厳格に正確でないために球面収差の問題が生じてコリメート光が不適正となることによる光伝送損失と、その半球状レンズの平面部で光が反射して逆行することによる反射損失とを可及的に低減させることが、的確な光学特性を得る上で好ましい。しかしながら、この種の光デバイスでは、既述の問題に加えて、半球状レンズによる光伝送損失と反射損失の問題に対しては、適切な対策が講じられていないのが実情である。
本発明の課題は、光学特性や耐候性等の性能面において、高い信頼性が得られる光デバイスを提供することである。
本発明の他の課題は、製造コストを低減できる光デバイスを提供することである。
上記課題を解決するための本発明の説明に先立って、本発明の基本概念を示す基本的構成について、以下に説明をしておく。すなわち、基本的構成は、光ファイバがそれぞれ挿入固定された各毛細管を各保持部材がそれぞれ保持してなる第1毛細管アッセンブリ及び第2毛細管アッセンブリと、前記第1毛細管アッセンブリ及び第2毛細管アッセンブリの各光ファイバの先端と各空隙を介してそれぞれ対向する第1レンズ及び第2レンズと、前記第1レンズと第2レンズとの間に介装された光機能部品と、これら部品を収容する収容部材とを有するレンズアッセンブリとを備え、前記収容部材の一端面及び他端面に、前記第1毛細管アッセンブリ及び第2毛細管アッセンブリの各保持部材がそれぞれ固定されると共に、前記第1レンズ及び第2レンズのうち少なくとも一方のレンズは、球レンズがその球面部の曲率中心を内部に有して一部が平面部とされ、該平面部は、前記光ファイバの先端と対向した状態で該光ファイバの光軸と傾斜するように配置され、前記球面部の曲率中心は、前記光軸と直交する直線であって前記平面部との傾斜角が最大になる直線に沿う方向において、該光ファイバの先端に対して入出射する光の主光線の通過エリア側に、前記光軸からオフセットしていることに特徴づけられる。
基本的構成である光デバイスは、第1レンズ、第2レンズ、及び光機能部品を収容したレンズアッセンブリの収容部材の両端面に、第1毛細管アッセンブリと第2毛細管アッセンブリをそれぞれ固定する構造であるので、レンズアッセンブリに対する第1毛細管アッセンブリ及び第2毛細管アッセンブリの位置を最適な光学調芯状態となるように調整する際、毛細管アッセンブリの調整位置への移動が収容部材の内周によって制限されることがない。従って、従来の光デバイスに比べて、収容部材の内周側に調芯のための大きな隙間を確保する必要がなく、レンズや光機能部品を固定するために必要な接着剤の量を少なくすることができる。これにより、接着剤の硬化収縮や経年劣化に起因する光デバイスの光学特性や耐候性等の低下を抑制して、信頼性の高い光デバイスを構築することができる。また、レンズアッセンブリに対する第1毛細管アッセンブリ及び第2毛細管アッセンブリの位置調整の自由度が比較的大きいので、各構成部品を必要以上に高精度に加工することなく、最適な光学調芯状態を得ることができ、しかも、その調芯作業も比較的容易に行うことができる。これにより、製造コストを低減することができる。
ここで、光機能部品は、光学フィルタ(バンドパスフィルタ、長波長透過/反射フィルタ、短波長透過/反射フィルタ、補正用利得等価フィルタ等)や光アイソレータコア等である。
第1レンズと第2レンズは、それぞれ、光ファイバから出射された光を平行光にし、また、平行光を集光して光ファイバに入射させる機能を有するものとすることができる。また、第1レンズと第2レンズは、上述したGRINレンズ、ドラムレンズ、Cレンズ、又は非球面レンズであっても良いが、その一方又は双方は、球レンズがその球面部の曲率中心を内部に有して一部が平面部とされたレンズ、つまり球面部と平面部とからなり且つ内部に球面部の曲率中心を有するレンズ(以下、このような構成のレンズを単に「半球状レンズ」ともいう)である。この半球状レンズは、球レンズの一部を平面部に加工して製作されたレンズであることが好ましく、このようにした場合には、上記の平面部と、球レンズの球面の一部がそのまま残された球面部(部分球面)とを有することになる。また、この半球状レンズは、内部に球面部の曲率中心を有しているため、球面部の球面頂点から曲率中心を通って平面部に至る線分の長さ(L)は、球面部の曲率半径(R:球レンズの半径)よりも大きいことになる。このようにすれば、球面部と平面部との境界に鋭角部が形成されなくなるので、半球状レンズに欠け等の損傷が生じにくくなり、また、ピンセット等の把持治具を用いて容易に取り扱うことができる。尚、平面部は上記の線分と直交する面となる。
上記の半球状レンズは、GRINレンズ等に比べ、球面部の曲率半径(R:球レンズの半径)や上記線分の長さ(L)等のレンズ形状や素材(材料の種類や組成)を変えるだけで、その光学特性を容易に変更できるという利点がある。また、素材となる球レンズが高精度で作製できるので、この球レンズを加工して得られた半球状レンズは精度が高く、しかも比較的安価に作製することができる。
基本的構成では、上記の半球状レンズは、その平面部が、これに先端が対向している光ファイバの光軸に対して傾斜するように配置されているため、光ファイバからの光は、半球状レンズの平面部に傾斜して照射されることになる。そのため、半球状レンズの平面部での反射光が、光ファイバに逆行する戻り光とはならず、これにより光伝送の反射損失が可及的に低減する。なお、上記の半球状レンズの平面部は、光ファイバの光軸と直角な面に対し、半球状レンズの屈折率や光ファイバの先端面の傾斜角に応じて、2〜7°の角度で傾斜している。しかも、上記の半球状レンズは、その球面部の曲率中心が、光ファイバの光軸と直交する直線であって平面部との傾斜角が最大となる直線に沿う方向において、光ファイバの光軸からオフセット(偏倚)し、且つ光ファイバの先端に入出射する光の主光線の通過エリア側、換言すればその光ファイバの先端から出射する光が該先端で屈折する側にオフセットしている。したがって、この半球状レンズを通過する光の主光線を、その曲率中心に可能な限り近づけることにより、球面収差の問題を回避し得ることになるため、適正なコリメート光が得られて、光伝送損失が可及的に低減する。なお、ここで述べた「光ファイバの光軸」とは、単一の毛細管に1本の光ファイバが挿入固定されている場合には、その1本の光ファイバの光軸を意味し、単一の毛細管に2本以上の光ファイバが挿入固定されている場合には、その二本以上の光ファイバの光軸が配列されている領域の中心軸を意味する。
この場合、前記球レンズの傾斜した平面部と対向した先端を有する光ファイバ及びそれが挿入固定された毛細管の先端を、前記球レンズの平面部の傾斜に倣って傾斜させることが好ましい。ここで、「倣って傾斜させる」とは、傾斜の方向が同一または略同一であればよく、傾斜角度については厳格な同一性が要求されるものではない。このようにすれば、光ファイバの先端面での反射光を光軸外に逃がすことができるため、ノイズが少なくなり、結果として長距離伝送が可能となる。
また、単一の毛細管に挿入固定される光ファイバは、1本の場合と複数本の場合とがある。そこで、第1毛細管アッセンブリ及び第2毛細管アッセンブリのうち少なくとも一方の毛細管に挿入固定された光ファイバが1本である場合には、該光ファイバの先端と空隙を介して対向する前記平面部が傾斜した球レンズからなるレンズは、該光ファイバに対して入出射する光の主光線が該レンズの球面部の曲率中心を通過するように構成することができる。一方、第1毛細管アッセンブリ及び第2毛細管アッセンブリのうち少なくとも一方の毛細管に挿入固定された光ファイバが複数本である場合には、それらの光ファイバの先端と空隙を介して対向する前記平面部が傾斜した球レンズからなるレンズは、それらの光ファイバに対して入出射する光の複数本の主光線が該レンズの球面部の曲率中心を基準としてその周囲を等角度間隔で近接して通過するように構成することができる。この場合、上述の光ファイバが2本である場合には、2本の主光線が曲率中心の両側(傾斜する平面部の傾斜角度が零となる方向の両側)における対称位置を近接して通過することになる。
したがって、いずれの場合であっても、球面収差の増加及びこれに起因する挿入損失を可及的に低減させることができる。
また、上記の半球状レンズは、レンズアッセンブリの収容部材に直接固定するようにしても良いが、貫通孔を有するレンズホルダに固定するようにするのが好ましい。具体的には、半球状レンズの球面部をレンズホルダの貫通孔の一端側縁部に当接させた状態で、半球状レンズを接着剤等でレンズホルダに固定する。半球状レンズの球面部をレンズホルダの貫通孔の一端側縁部に当接させることにより、半球状レンズの球面部の曲率中心とレンズホルダの貫通孔の中心とを容易に一致させることができる。尚、レンズホルダの貫通孔の大きさ及び形状は、このような調芯作用が得られる範囲で適宜決定すれば良い。例えば、貫通孔の形状として、円形、正多角形(正三角形、正方形、正六角形等)を採用することができる。
また、レンズホルダの外周と貫通孔の中心との同軸度や、端面と外周との直角度を管理し、この管理されたレンズホルダを収容部材に接着剤等で固定することにより、このレンズホルダに固定された半球状レンズの曲率中心を収容部材の内周の中心軸と一致又は略一致させることができる。これにより、その後の毛細管アッセンブリの調芯作業がより容易になる。また、この場合、半球状レンズは、レンズホルダの一端側に固定され、かつ、収容部材に対しては直接固定されないので、半球状レンズ、レンズホルダ、及び収容部材の相互間に熱膨張量又は収縮量の差が生じたとしても、光学特性に狂いを生じさせるような応力は半球状レンズに作用しない。
更に、光機能部品は、上記のレンズホルダの他端側に固定するようにしても良い。例えば、レンズホルダの一端側に半球状レンズを固定し、他端側に光機能部品を固定した組付体を予め製作しておき、この組付体を収容部材に収容し、位置調整した後、レンズホルダを収容部材に固定するという組立方法を採用することにより、組立作業の簡素化を図ることができる。また、レンズホルダの貫通孔が光路になるので、光機能部品をレンズホルダに接着剤で固定する場合でも、この接着剤は光路中に入らない。さらに、半球状レンズと光機能部品との間の距離は、レンズホルダの光軸方向の厚さを管理することによって、簡易に精度良く設定することができる。
一方、前記2つの保持部材のうち少なくとも一方の中心軸は、前記収容部材の内周の中心軸に対し、前記レンズの曲率中心のオフセットに対応して偏心していることが好ましい。このようにすれば、収容部材に半球状レンズを曲率中心をオフセットさせることなく収容した状態で、その収容部材に軸方向両端の保持部材を偏心した状態となるように固定することのみをもって、半球状レンズの曲率中心を光ファイバの光軸に対してオフセットさせることができ、半球状レンズを曲率中心がオフセットした状態に組み付ける作業が容易化される。
また、基本的構成は、球レンズがその球面部の曲率中心を内部に有して一部が平面部とされたレンズと、貫通孔を有するレンズホルダと、これら部品を収容する収容部材とを備えたレンズアッセンブリであって、前記レンズは、その平面部が前記収容部材の内周の中心軸に対して傾斜すると共に、その球面部が前記レンズホルダの貫通孔の一端側縁部に当接した状態で該レンズホルダに固定されている構成を提供する。このような構成によれば、光学特性や耐候性等の性能面において高い信頼性が得られ且つ製造コストを低減できる等の利点に加えて、既述の場合と同様の理由により反射損失を低減できる。
この場合、レンズホルダの他端側に隣接して、光機能部品が収容部材に収容されている構成としても良い。この場合、光機能部品をレンズホルダの他端側に固定しても良い。さらに、レンズホルダを収容部材に固定するようにしても良い。
更に、光機能部品に順次隣接して、貫通孔を有する第2レンズホルダと、球レンズをその球面部の曲率中心を内部に有して一部を平面部とした第2レンズとが、収容部材に収容されており、第2レンズはその球面部が第2レンズホルダの貫通孔の他端側縁部に当接した状態で該第2レンズホルダに固定されている構成としても良い。この場合、第2レンズホルダを収容部材に固定するようにしても良い。また、第2レンズは、その平面部が前記第1レンズの平面部と相対称となるように傾斜していることが好ましい。
また、基本的構成は、上記課題を解決するため、第1のレンズアッセンブリとして、球レンズがその球面部の曲率中心を内部に有して一部が平面部とされた第1レンズ及び第2レンズと、光機能部品と、該光機能部品を収容する収容部材とを備えたレンズアッセンブリであって、前記第1レンズは、その平面部が収容部材の内周の中心軸に対して傾斜すると共に、その球面部が前記収容部材の一端側開口縁部に当接した状態で該収容部材に固定され、且つ、前記第2レンズは、その平面部が前記第1レンズの平面部と相対称となるように傾斜すると共に、その球面部が前記収容部材の他端側開口縁部に当接した状態で該収容部材に固定されている構成を提供する。なお、ここでいう光機能部品も、光学フィルタ(バンドパスフィルタ、長波長透過/反射フィルタ、短波長透過/反射フィルタ、補正用利得等価フィルタ等)や光アイソレータコア等を意味する(以下、同様)。
このような構成によれば、第1レンズ及び第2レンズを構成するそれぞれの半球状レンズにおける球面部の曲率中心を、収容部材の内周の中心軸に容易に一致させることができる。すなわち、各半球状レンズの平面部を収容部材の内周の中心軸に対して傾斜させるにも拘わらず、各半球状レンズの球面部を収容部材の開口縁部に当接させるだけで、その球面部の曲率中心を収容部材の内周の中心軸上に精度よく調芯することができる。また、収容部材の内周面とレンズの外周面との間に大きな隙間を確保して調芯する場合に比して、レンズを固定するために必要な接着剤の量を大幅に少なくすることができる。したがって、かかるレンズアッセンブリを光デバイスに組み込めば、接着剤の硬化収縮や経年劣化に起因する光デバイスの光学特性や耐候性等の低下を抑制しつつ最適な光学調芯状態を確保できるので、信頼性の高い光デバイスを構築することができる。すなわち、かかるレンズアッセンブリを、光合分波器、光アイソレータ、光サーキュレータ、光スイッチ、光利得等価器等の光デバイスに組み込んだ場合には、光学特性や耐候性等の性能面において、高い信頼性を得ることができる。
また、各レンズは、それぞれの球面部を収容部材の開口縁部に当接するだけで、最適な位置に調芯されるので、レンズの調芯作業に面倒且つ煩雑な作業を強いられることはない。したがって、かかるレンズアッセンブリを光デバイスに組み込めば、上述の性能面における高い信頼性に加え、製造コストの低減をも同時に図ることができる。加えて、各レンズの平面部は、相対称となるように収容部材の内周の中心軸に対して傾斜しているため、反射損失の低減を的確に図ることもできる。
なお、この場合には、第1レンズと第2レンズとが、共通の収容部材の両端開口縁部に固定されることになることになるので、この収容部材の軸方向寸法を管理することにより、第1レンズ及び第2レンズの相互間隔を簡易に精度よく設定することができる。
上記の構成において、前記収容部材の内周に内スリーブが嵌合されており、該内スリーブは、その一端側開口縁部が前記第1レンズ又は前記第2レンズのいずれか一方の球面部に当接した状態で、該球面部又は前記収容部材の内周面のうち少なくとも一方に固定され、且つ、前記光機能部品は、前記内スリーブの他端面に固定されていることが好ましい。
このようにすれば、収容部材、内スリーブ及び光機能部品のそれぞれの寸法(収容部材の軸方向における寸法)をそれぞれ管理するだけで、第1レンズ、第2レンズ、および光機能部品のそれぞれの相互間距離を簡易に精度よく設定することができる。なお、内スリーブの内部空間が光の光路となるので、内スリーブの端面に光機能部品を接着剤により固定する場合でも、この接着剤が光路中に入ることを可及的に抑制することができる。
更に、基本的構成は、第2のレンズアッセンブリとして、球レンズがその球面部の曲率中心を内部に有して一部が平面部とされた第1レンズ及び第2レンズと、第1内スリーブと、第2内スリーブと、光機能部品と、これら部品のうち少なくとも前記第1内スリーブ、第2内スリーブ及び光機能部品を収容する収容部材とを備えたレンズアッセンブリであって、前記第1内スリーブ及び前記第2内スリーブは、相互に対向するそれぞれの片端面の間に前記光機能部品が介装された状態で、前記収容部材の内周に同軸状にそれぞれ嵌合固定されており、前記第1レンズは、その平面部が収容部材の内周の中心軸に対して傾斜すると共に、その球面部が前記第1内スリーブの一端側開口縁部に当接した状態で前記第1内スリーブに固定され、前記第2レンズは、その平面部が前記第1レンズの平面部と相対称となるように傾斜すると共に、その球面部が前記第2内スリーブの他端側開口縁部に当接した状態で前記第2内スリーブに固定されている構成を提供する。
このような構成によれば、第1レンズの球面部の曲率中心を第1内スリーブの内周の中心軸に容易に一致させることができると共に、第2レンズの球面部の曲率中心を第2内スリーブの内周の中心軸に容易に一致させることができる。そして、これら第1内スリーブと第2内スリーブとは、共通の収容部材の内周に同軸状にそれぞれ嵌合固定されていることから、第1レンズ及び第2レンズの各球面部の曲率中心は、収容部材の内周の中心軸に一致することになる。すなわち、各レンズの球面部を対応する内スリーブの開口縁部に当接させるだけで、その球面部の曲率中心を収容部材の内周の中心軸上に精度よく調芯することができる。また、収容部材の内周面とレンズの外周面との間に大きな隙間を確保して調芯する場合に比して、レンズを固定するために必要な接着剤の量を大幅に少なくすることができる。したがって、かかるレンズアッセンブリを光デバイスに組み込めば、接着剤の硬化収縮や経年劣化に起因する光デバイスの光学特性や耐候性等の低下を抑制しつつ最適な光学調芯状態を確保できるので、信頼性の高い光デバイスを構築することができる。すなわち、かかるレンズアッセンブリを、光合分波器、光アイソレータ、光サーキュレータ、光スイッチ、光利得等価器等の光デバイスに組み込んだ場合には、光学特性や耐候性等の性能面において、高い信頼性を得ることができる。なお、各内スリーブは、収容部材の内周面に嵌合固定されていることから、各内スリーブの内周面と収容部材との間に大きな隙間を形成する必要もなく、これら部材を相互に固定する際にも、接着剤の量を少なくすることができる。
また、各レンズは、それぞれの平面部が傾斜しているにも拘わらず、それぞれの球面部を各内スリーブの開口縁部に当接するだけで、最適な位置に調芯されるので、レンズの調芯作業に面倒且つ煩雑な作業を強いられることはない。したがって、かかるレンズアッセンブリを光デバイスに組み込めば、上述の性能面における高い信頼性に加え、製造コストの低減をも同時に図ることができる。しかも、反射損失の低減をも図り得ることになる。
以上の構成において、前記第1レンズ及び前記第2レンズは、球レンズの一部を平面部に加工して製作されたものであることが好ましい。
このようにすれば、第1レンズの球面部及び第2レンズの球面部を、比較的容易に精度よく加工することができ、各レンズの最適な光学調芯状態をより確実に得ることができる。
また、基本的構成は、光デバイスとして、上記の第1のレンズアッセンブリを備え、該レンズアッセンブリにおける前記収容部材の一端面及び他端面に、光ファイバが挿入固定された毛細管を保持した保持部材がそれぞれ固定され、前記第1レンズ及び前記第2レンズの球面部の曲率中心は、前記各光ファイバの光軸とそれぞれ直交する直線であって前記各平面部との傾斜角が最大になる直線に沿う方向において、それらの光ファイバの先端に対して入出射する光の主光線の通過エリア側に、前記各光軸からそれぞれオフセットしている構成を提供する。
このような構成によれば、既に述べた第1のレンズアッセンブリが有する作用効果を同様に享受することができることに加えて、各光ファイバに入出射すべく各半球レンズを通過する光の主光線がその球面部の曲率中心から大幅にずれることによる球面収差の増加、及びこれに起因する挿入損失が適切に低減する。
なお、上記の第1のレンズアッセンブリにおける前記第1レンズ及び前記第2レンズのそれぞれの平面部に光ファイバが挿入固定された毛細管を保持した保持部材を固定して光デバイスを構成してもよい。
以下、既述の各基本的構成を適宜参照しつつ、本発明について説明をする。すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、特徴的な光デバイスとして、上記の第2のレンズアッセンブリを備え、該レンズアッセンブリにおける前記第1内スリーブの前記第1レンズが固定されている側の端面、及び前記第2内スリーブの前記第2レンズが固定されている側の端面に、光ファイバが挿入固定された毛細管を保持した保持部材がそれぞれ固定され、前記第1レンズ及び前記第2レンズの球面部の曲率中心は、前記各光ファイバの光軸とそれぞれ直交する直線であって前記各平面部との傾斜角が最大になる直線に沿う方向において、それらの光ファイバの先端に対して入出射する光の主光線の通過エリア側に、前記各光軸からそれぞれオフセットしている構成を提供する。
このような構成によれば、既に述べた第2のレンズアッセンブリが有する作用効果を同様に享受することができることに加えて、上述の半球状レンズの曲率中心から大幅にずれることによる球面収差の増加及びこれに起因する挿入損失を低減できる。
上記の特徴的な光デバイスにおいて、前記第1内スリーブ、前記第2内スリーブ及び前記光機能部品が、前記収容部材内で連接しているレンズアッセンブリを備えていることが好ましい。
このようにすれば、第1内スリーブ、第2内スリーブ、および光機能部品のそれぞれの寸法(収容部材の軸方向における寸法)を管理することにより、第1レンズ、第2レンズ、および光機能部品のそれぞれの相互間距離を簡易に精度よく設定することができる。なお、内スリーブの内部空間が光の光路となるので、内スリーブの端面に光機能部品を接着剤で固定する場合でも、この接着剤が光路中に入ることを可及的に抑制することができる。
上記の特徴的な光デバイスにおいて、半球状レンズからなる前記第1レンズ及び第2レンズのそれぞれ傾斜した平面部と対向した先端を有する光ファイバ及びそれが挿入固定された毛細管の先端を、前記第1レンズ及び第2レンズのそれぞれの平面部の傾斜に倣って傾斜させることが好ましい。
このようにすれば、既述の場合と同様に、光ファイバの先端面での反射光を光軸外に逃がすことができるため、ノイズが少なくなり、結果として長距離伝送が可能となる。
また、上記の特徴的な光デバイスにおいて、単一の毛細管には、1本の光ファイバが挿入固定される場合と、複数本の光ファイバが挿入固定される場合とがある。そこで、前記2つの毛細管のうち少なくとも一方の毛細管に挿入固定された光ファイバが1本である場合には、該光ファイバの先端と対向する平面部を有する第1レンズ及び第2レンズのうち少なくとも一方のレンズは、該光ファイバに対して入出射する光の主光線が該レンズの球面部の曲率中心を通過するように構成される。一方、前記2つの毛細管のうち少なくとも一方の毛細管に挿入固定された光ファイバが複数本である場合には、それらの光ファイバの先端と空隙を介して対向する平面部を有する第1レンズ及び第2レンズのうち少なくとも一方のレンズは、それらの光ファイバに対して入出射する光の複数本の主光線が該レンズの球面部の曲率中心を基準としてその周囲を等角度間隔で近接して通過するように構成される。
更に、上記の特徴的な光デバイスにおいて、前記2つの保持部材のうち少なくとも一方の中心軸が前記収容部材の中心軸に対して、前記第1レンズ及び第2レンズの曲率中心のオフセットに対応して偏心していることが好ましい。このようにすれば、既述の場合と同様に、半球状レンズからなる前記第1レンズ及び第2レンズをその曲率中心がオフセットした状態となるように光デバイスに組み込むための作業の容易化が図られる。
そして、上記の特徴的な光デバイスにおいても、記述の場合と同様の理由により、前記第1レンズ及び前記第2レンズが、球レンズの一部を平面部に加工して製作されたものであることが好ましい。
本発明によれば、光学特性や耐候性等の性能面において、高い信頼性が得られる光デバイスを提供することができる。また、本発明によれば、製造コストを低減して、より安価な光デバイスを提供することができる。更に、本発明によれば、半球状レンズの平面部に起因する反射損失或いは曲率中心に起因する光伝送損失を可及的に低減することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る光デバイス1の概略構成を示している。詳しくは、図1(a)は、横断平面図であり、図1(b)は、縦断側面図であって、この両図は、光デバイス1を中心軸を含む直交する2面でそれぞれ切断した図である。この光デバイス1は、単芯のコリメータと2芯のコリメータとを組み合わせたもので、波長多重通信(WDM)等に用いることができる。
光デバイス1は、第1毛細管アッセンブリ2と、第2毛細管アッセンブリ3と、レンズアッセンブリ4とを主要な要素として構成される。
第1毛細管アッセンブリ2は、単芯の内孔に1本の光ファイバ5が接着剤で固定されたガラス製の毛細管6と、毛細管6の外周に同軸状に外挿され、接着剤等で固定されたガラス製の保持スリーブ7とを備えている。光ファイバ5の先端面5a及び毛細管6の先端面6aは、図1(a)に示す縦断側面において、光ファイバ5の光軸に対して傾斜する傾斜面に研磨加工され、これにより光ファイバ5の先端での反射戻り光が抑制されるようになっている。また、光ファイバ5の先端面5aには、反射防止膜が形成されている。保持スリーブ7の一方の端面7aは、光ファイバ5の光軸と直交する面に形成され、その直角度は、例えば、光ファイバ5の光軸を法線とする幾何学的な理想平面に対して±0.5度以下、好ましくは±0.1度以下の精度で管理される。
第2毛細管アッセンブリ3は、2芯の内孔に2本の光ファイバ8、9がそれぞれ接着剤で固定されたガラス製の毛細管10と、毛細管10の外周に同軸状に外挿され、接着剤等で固定されたガラス製の保持スリーブ11とを備えている。光ファイバ8、9の先端面8a、9a及び毛細管10の先端面10aは、上述の光ファイバ5の先端面5a及び毛細管6の先端面6aと相対称となるように、光ファイバ8、9の光軸に対して傾斜する傾斜面に研磨加工され、これにより光ファイバ8、9の先端での反射戻り光が抑制されるようになっている。また、光ファイバ8、9の先端面8a、9aには、反射防止膜が形成されている。保持スリーブ11の一方の端面11aは、光ファイバ8、9の光軸と直交する平面に形成され、その直角度は、例えば、光ファイバ8、9の光軸を法線とする幾何学的な理想平面に対して±0.5度以下、好ましくは±0.1度以下の精度で管理される。
レンズアッセンブリ4は、第1毛細管アッセンブリ2の光ファイバ5の先端面5aと空隙を介して対向する第1レンズ12と、第2毛細管アッセンブリ3の光ファイバ8、9の先端面8a、9aと空隙を介して対向する第2レンズ13と、第1レンズ12と第2レンズ13との間に介装された光機能部品、例えばフィルタ、特にバンドパスフィルタ14と、これら部品を収容するガラス製の収容スリーブ(収容部材)15とを主要な要素として構成される。
詳述すると、この実施形態において、第1レンズ12は、球レンズの一部を平面部に加工して製作された半球状レンズであり、球レンズの一部を研磨加工等により切除して形成された平面部12aと、球レンズの残余の部分である球面部12bとを有している。そして、この第1レンズ12は、球面部12bの曲率中心を内部に有していることから、球面部12bから曲率中心を通って平面部12aに直交して至る線分の長さが、球面部12bの曲率半径よりも大きくされている。尚、第1レンズ12における上記線分の長さは、その曲率半径の1倍よりも大きく1.5倍よりも小さく、この実施形態では1.2倍とされている。また、第2レンズ13も、球レンズの一部を平面部に加工して製作された半球状レンズであり、球レンズの一部を研磨加工等により切除して形成された平面部13aと、球レンズの残余の部分である球面部13bとを有し、上記線分の長さに相当する長さ及び曲率半径との関係は、第1レンズ12と同一とされている。
更に、第1レンズ12は、その平面部12aが、上述の光ファイバ5の先端面5a及び毛細管6の先端面6aの傾斜に倣って(同一の傾斜の方向性をもって)、光ファイバ5の光軸に対して傾斜すると共に、第2レンズ13も、その平面部13aが、上述の光ファイバ8、9の先端面8a、9a及び毛細管10の先端面10aの傾斜に倣って、光ファイバ8、9の光軸に対して傾斜している。したがって、両レンズ12、13の平面部12a、13aは、相対称となるように傾斜している。
詳述すると、図2に誇張して示すように、第1レンズ12は、その球面部12bの曲率中心Aが、光ファイバ(コア)5の光軸5xと直交し且つその平面部12aとの傾斜角αが最大となる直線Lに沿う方向において、光ファイバ5の光軸5xからオフセットし、且つ光ファイバ5の先端面5aに入出射する光の主光線B1の通過エリア側に所定寸法Δa
だけオフセットしている。換言すれば、光ファイバ5の先端面5aから出射する光の主光線B1がその先端面5aで屈折する方向に、光ファイバ5の光軸5xからオフセット量Δ
aだけ偏倚した位置に、曲率中心Aが存在している。この実施形態では、上記の主光線B1が、第1レンズ12の曲率中心Aを通過するように設定されている。これにより、第1レンズ12の球面収差の問題(球面収差の増加に起因する挿入損失の増大)が回避されることになるため、適正なコリメート光が得られて、光伝送損失が可及的に低減する。また、第1レンズ12の平面部12aが、光ファイバ5の光軸5xと直交する面に対して角度α(例えば、半球状レンズとして後述する日本電気硝子株式会社製MK−18、光ファイバとして一般的なシングルモードファイバ(先端面の傾斜角は8°)を1550nmで用いた場合、約4.7°)だけ傾斜しているため、光ファイバ5からの光は、その平面部12aに傾斜して照射されることになり、これにより平面部12aでの反射光が、光ファイバ5に逆行する戻り光とはならず、反射損失が可及的に低減する。尚、第2レンズ13についても、同様の構成であって、図2に示す状態とは相対称となるように配置されるが、第2レンズ13に2本の光ファイバ8、9から照射された光の2本の主光線は、第2レンズ13の曲率中心の両側(2本の光ファイバ8、9の配列方向の両側)における対称位置を相互に近接して通過することになる。
第1レンズ12と第2レンズ13は、例えば、均一屈折率の光学ガラスからなり、そのような光学ガラスとして、屈折率が1.7以上のMK−18(日本電気硝子株式会社製)、屈折率が1.9以上のRH−21(日本電気硝子株式会社製)等を挙げることができる。尚、例えば、第1レンズ12と第2レンズ13は、MK−18により形成され、同じ屈折率と同じ焦点距離を有するドラムレンズに比べて、光ファイバの先端との間の空隙量を約3.7倍程度大きくすることができるので、光ファイバへの反射戻り光を約1/10以下に低減できる。また、第1レンズ12と第2レンズ13の平面部12a、13aと球面部12b、13bにおける光が透過する部分には、反射防止膜が形成されている。
図1に示すように、第1レンズ12は、第1レンズホルダ16を介して収容スリーブ15に固定されている。第1レンズホルダ16は、ガラス、金属、又はセラミックス等により(この実施形態ではガラスにより)、円形リング状又は円筒状に形成され、その中心部に円形の貫通孔16aを有している。第1レンズ12は、その球面部12bを第1レンズホルダ16の貫通孔16aの一端側縁部に当接させた状態で、接着剤で第1レンズホルダ16の一端側に固定されている。第1レンズ12の球面部12bを第1レンズホルダ16の貫通孔16aの一端側縁部に当接させることにより、球面部12bの曲率中心Aと第1レンズホルダ16の貫通孔16aの中心とを容易に一致させることができる。第1レンズホルダ16は、その外周と貫通孔16aの中心との同軸度や、端面と外周との直角度が管理され、その外周を収容スリーブ15の内周に接着剤で固定される。このような管理された第1レンズホルダ16に第1レンズ12を固定することにより、第1レンズホルダ16を収容スリーブ15の内周に固定した状態で、第1レンズ12の球面部12bの曲率中心Aを収容スリーブ15の内周の中心軸と一致又は略一致させることができる。また、第1レンズ12は、第1レンズホルダ16の一端側に固定され、かつ、収容スリーブ15の内周には直接固定されないので、収容スリーブ15や第1レンズホルダ16との間の熱膨張量又は収縮量の差が生じたとしても、光学特性に狂いを生じさせるような応力は第1レンズ12に作用しない。
第2レンズ13は、第2レンズホルダ17を介して収容スリーブ15の内周に固定されている。第2レンズホルダ17は、ガラス、金属、又はセラミックス等により(この実施形態ではガラスにより)、円形リング状又は円筒状に形成され、その中心部に円形の貫通孔17aを有している。第2レンズ13は、その球面部13bを第2レンズホルダ17の貫通孔17aの他端側縁部に当接させた状態で、接着剤で第2レンズホルダ17の他端側に固定されている。第2レンズ13の球面部13bを第2レンズホルダ17の貫通孔17aの他端側縁部に当接させることにより、球面部13bの曲率中心と第2レンズホルダ17の貫通孔17aの中心とを容易に一致させることができる。第2レンズホルダ17は、その外周と貫通孔17aの中心との同軸度や、端面と外周との直角度が管理され、その外周を収容スリーブ15の内周に接着剤で固定される。このような管理された第2レンズホルダ17に第2レンズ13を固定することにより、第2レンズホルダ17を収容スリーブ15の内周に固定した状態で、第2レンズ13の球面部13bの曲率中心を収容スリーブ15の内周の中心軸と一致又は略一致させることができる。また、第2レンズ13は、第2レンズホルダ17の他端側に固定され、かつ、収容スリーブ15の内周には直接固定されないので、収容スリーブ15や第2レンズホルダ17との間の熱膨張量又は収縮量の差が生じたとしても、光学特性に狂いを生じさせるような応力は第2レンズ13に作用しない。
この実施形態において、光機能部品としてのバンドパスフィルタ14は、第2レンズホルダ17の一端側に接着剤で固定されている。バンドパスフィルタ14は、第2レンズホルダ17の貫通孔17aを介して第2レンズ13の球面部13bと対向すると共に、第1レンズホルダ16の貫通孔16aを介して第1レンズ12の球面部12bと対向する。尚、バンドパスフィルタ14の一端面は、第1レンズホルダ16の他端面に当接させても良いし、該他端面から離しても良い。あるいは、バンドパスフィルタ14を、第2レンズホルダ17と第1レンズホルダ16の双方に接着剤で固定するようにしても良い。
収容スリーブ15の一端面15aと他端面15bは、それぞれ、収容スリーブ15の内周の中心軸と直交する平面に形成され、その直角度は、例えば、内周の中心軸を法線とする幾何学的な理想平面に対して±0.5度以下、好ましくは±0.1度以下の精度で管理される。また、図1(b)に示すように縦断側面において、第1レンズ12の平面部12aは収容スリーブ15の一端面15aと平行であり、第2レンズ13の平面部13aは収容スリーブ15の他端面15bと平行である。
第1毛細管アッセンブリ2とレンズアッセンブリ4は、保持スリーブ7の端面7aと収容スリーブ15の一端面15aとを突き合わせ状にして接着剤で固定され、第2毛細管アッセンブリ3とレンズアッセンブリ4は、保持スリーブ11の端面11aと収容スリーブ15の他端面15bとを突き合わせ状にして接着剤で固定される。この場合、2つの保持スリーブ7、11は同軸上に配置されるが、図1(a)に示す横断平面において、保持スリーブ7、11の中心軸は、収容スリーブ15の中心軸に対して、第1レンズ12及び第2レンズ13の曲率中心Aのオフセット量Δaだけ偏心して配置される。その結果、保持スリーブ7と保持スリーブ11の中心軸は略一致するようになる。これにより、第1レンズ12の平面部12aは第1毛細管アッセンブリ2の光ファイバ5の先端面5aと空隙を介して適正に対向し、第2レンズ13の平面部13aは第2毛細管アッセンブリ3の光ファイバ8、9の先端面8a、9aと空隙を介して適正に対向する。
この実施形態の光デバイス1は、例えば次のようにして組み立てることができる。
まず、第2レンズホルダ17に上述した態様で第2レンズ13とバンドパスフィルタ14を接着剤で固定して、これら3部品からなる組付体を作製する。その際、適宜、位置決め治具で押圧して、第2レンズ13の平面部13aと、第2レンズホルダ17の端面(中心軸に対する直角度が管理された端面)とが、図1(a)に示す横断平面において所定角度αだけ傾斜、また、図1(b)に示す縦断側面において平行又は略平行になるように固定する。そして、この組付体を収容スリーブ15の内周に挿入し、その位置を調整した後、第2レンズホルダ17の外周を収容スリーブ15の内周に接着剤で固定する。尚、組付体の第2レンズホルダ17を収容スリーブ15の内周にスムーズに挿入できるように、第2レンズホルダ17の外周径と収容スリーブ15の内周径とを略一致させてある(第2レンズホルダ17の外周と収容スリーブ15の内周との間のクリアランスが可及的に小さくなるようにしている)。このようにすれば、図1(b)に示す縦断側面において、第2レンズ13の平面部13aが収容スリーブ15の他端面15bと平行で、かつ、収容スリーブ15の内周の中心軸と直交した状態又はこれに近い状態、また図1(a)に示す横断平面において、第2レンズ13の平面部13aが収容スリーブ15の他端面15bと所定角度αだけ傾斜した状態またはこれに近い状態となるように、上記の組付体を収容スリーブ15に固定することができる。また、上述のように、第2レンズホルダ17の外周と貫通孔17aの中心との同軸度や、端面と外周との直角度を管理することにより、第2レンズ13の球面部13bの曲率中心を収容スリーブ15の内周の中心軸と一致又は略一致させることができる。
つぎに、第1レンズホルダ16に上述した態様で第1レンズ12を接着剤で固定して、これら2部品からなる組付体を作製する。その際、適宜、楔形の治具等を含む位置決め治具を使用して、図1(b)に示す縦断側面において、第1レンズ12の平面部12aと、第1レンズホルダ16の端面(中心軸に対する直角度が管理された端面)とが平行または略平行になり、かつ、同図(a)に示す横断平面において、第1レンズ12の平面部12aと第1レンズホルダ16の端面とが所定角度αだけ傾斜するように固定する。そして、この組付体を収容スリーブ15の内周に挿入し、その位置を調整した後、第1レンズホルダ16の外周を収容スリーブ15の内周に接着剤で固定する。尚、組付体の第1レンズホルダ16を収容スリーブ15の内周にスムーズに挿入できるように、第1レンズホルダ16の外周径と収容スリーブ15の内周径とを略一致させてある(第1レンズホルダ16の外周と収容スリーブ15の内周との間のクリアランスが可及的に小さくなるようにしている)。このようにすれば、図1(a)に示す横断平面において、第1レンズ12の平面部12aが収容スリーブ15の一端面15aと所定角度αだけ傾斜した状態又はこれに近い状態で、かつ、図1(b)に示す縦断側面において、第1レンズ12の平面部12aが収容スリーブ15の一端面15aと平行で収容スリーブ15の内周の中心軸と直交した状態又はこれに近い状態となるように、上記の組付体を収容スリーブ15に固定することができる。また、上述のように、第1レンズホルダ16の外周と貫通孔16aの中心との同軸度や、端面と外周との直角度を管理することにより、第1レンズ12の球面部12bの曲率中心Aを収容スリーブ15の内周の中心軸と一致又は略一致させることができる。
つぎに、上記の組付体を固定した収容スリーブ15の他端面15bに、第2毛細管アッセンブリ3の保持スリーブ11の端面11aを突き合わせ、両者の相対位置を、光ファイバ8、9の光軸方向(Z軸方向)と直交する方向(X軸、Y軸方向)に上述のオフセット量Δaを加味して調整すると共に、その突き合わせた第2毛細管アッセンブリ3の保持ス
リーブ11内で毛細管10を光軸方向(Z軸方向に)に移動させて、毛細管10に固定された光ファイバ8、9の先端面8a、9aの位置を調整し、例えば一方の光ファイバ8から出射された光がバンドパスフィルタ14で反射して、他方の光ファイバ9に戻るように、最適な光学調芯状態で接着固定する。
さらに、上記の組付体を固定した収容スリーブ15の一端面15aに、第1毛細管アッセンブリ2の保持スリーブ7の端面7aを突き合わせ、両者の相対位置を、光ファイバ5の光軸方向(Z軸方向)と直交する方向(X軸、Y軸方向)に上述のオフセット量Δaを
加味して調整すると共に、その突き合わせた第1毛細管アッセンブリ2の保持スリーブ7内で毛細管6を光軸方向(Z軸方向に)に移動させて、毛細管6に固定された光ファイバ5の先端面5aの位置を調整し、例えば第2毛細管アッセンブリ3の一方の光ファイバ8から出射された光がバンドパスフィルタ14を通過して、光ファイバ5に入射するように、最適な光学調芯状態で接着固定する。
上述の光デバイス1の組立方法において、光デバイス1を構成する部材が全て透明材料(例えば樹脂、ガラス等)で形成されていると、接着剤としてUV硬化型接着剤の使用が可能になるため、組立作業の作業性が向上する。また、保持スリーブ7(11)と毛細管6(10)との接着、及び/又は、毛細管アッセンブリ2(3)とレンズアッセンブリ4との接着において、UV硬化型接着剤で仮止めした後、信頼性の高い熱硬化接着剤で固定するようにしても良い。
つぎに、この実施形態の光デバイス1の一使用例(光分波器としての使用例)について説明する。
例えば、第2毛細管アッセンブリ3の一方の光ファイバ8から相異なる波長λ1、λ2の光が出射される。バンドパスフィルタ14は、波長λ1の光を反射し、波長λ2の光を通過させる光学的特性を有している。第2毛細管アッセンブリ3の光ファイバ8から出射された波長λ1の光は、第2レンズ13によって平行光にコリメートされ、バンドパスフィルタ14で反射される。バンドパスフィルタ14で反射された波長λ1光は、第2レンズ13によって集光されて、第2毛細管アッセンブリ3の他方の光ファイバ9に戻される。一方、第2毛細管アッセンブリ3の光ファイバ8から出射された波長λ2の光は、第2レンズ13によって平行光にコリメートされ、バンドパスフィルタ14に入る。そして、バンドパスフィルタ14を通過し、第1レンズ12によって集光されて、第1毛細管アッセンブリ2の光ファイバ5に入射する。
図3(a)は、本発明の第2実施形態に係る光デバイス21の概略構成を示す横断平面図であって、図3(b)は、その縦断側面図である。尚、上述の第1実施形態に係る光デバイス1と、実質的に同一の部品及び部分には同一の参照数字を附して、重複する説明を省略する。
この実施形態の光デバイス21が、前述した第1の実施形態の光デバイス1と実質的に異なる点は、単芯のコリメータ同士を組み合わせている点、光機能部品としてアイソレータコア14’を用いている点である。
第1毛細管アッセンブリ2では、毛細管6の単芯の内孔に1本の光ファイバ5が接着剤で固定され、第2毛細管アッセンブリ3では、毛細管10’の単芯の内孔に1本の光ファイバ8が接着剤で固定されている。また、光機能部品としてのアイソレータコア14’は、第2レンズホルダ17の一端側に接着剤で固定されている。その他の事項は、第1の実施形態の光デバイス1に準じるので、重複する説明を省略する。
図4(a)は、本発明の第3実施形態に係る光デバイス31の概略構成を示す横断面図であって、図4(b)は、その縦断側面図である。この光デバイス31も、第1毛細管アッセンブリ32と、第2毛細管アッセンブリ33と、レンズアッセンブリ34とを主要な要素として構成される。
そして、第1毛細管アッセンブリ32が、単芯の内孔に1本の光ファイバ35が挿入固定された毛細管36と、毛細管36の外周に固定された保持スリーブ37とを備え、光ファイバ35の先端面35a及び毛細管36の先端面36aが光ファイバ35の光軸に対して傾斜した同一傾斜面に研磨加工されている点や、第2毛細管アッセンブリ33が、2芯の内孔に2本の光ファイバ38、39がそれぞれ固定された毛細管40と、毛細管40の外周に固定された保持スリーブ(保持部材)41とを備え、光ファイバ38、39の先端面38a、39a及び毛細管40の先端面40aが光ファイバ38、39の光軸に対して傾斜した同一傾斜面に研磨加工されている点などは、上述の第1実施形態と同一である。
また、レンズアッセンブリ34が、第1毛細管アッセンブリ32の光ファイバ35の先端面35aと空隙を介して対向する第1レンズ42と、第2毛細管アッセンブリ33の光ファイバ38、39の先端面38a、39aと空隙を介して対向する第2レンズ43と、第1レンズ42と第2レンズ43との間に介装された光機能部品、例えば光学フィルタ、特にバンドパスフィルタ44と、これら部品を収容するガラス製の収容スリーブ45とを有している点も、上述の第1実施形態と同一である。
更に、第1レンズ42及び第2レンズ43が半球状レンズであって、それらの平面部42a、43aが所定方向に傾斜している点と、それらの球面部42b、43bの曲率中心が所定方向にオフセットしている点も、上述の第1実施形態と同一である。
そして、この第4実施形態では、第1レンズ42が、その球面部42bを収容スリーブ45の一端側開口縁部に当接させた状態で、収容スリーブ45の一端側に接着剤で固定され、第2レンズ43が、その球面部43bを収容スリーブ45の他端側開口縁部に当接させた状態で、収容スリーブ45の他端側に接着剤で固定されている。
光機能部品としてのバンドパスフィルタ44は、内スリーブ46を介して収容スリーブ45の内周面に固定されている。内スリーブ46は、ガラス、金属、又はセラミックス等により(この実施形態ではガラスにより)、円形リング状又は円筒状に形成されている。詳述すると、内スリーブ46は、収容スリーブ45の内周に嵌合され、その他端側開口縁部を第2レンズ43の球面部43bに当接させた状態で、収容スリーブ45の内周面に接着剤で固定されている。なお、この実施形態では、内スリーブ46の他端開口縁部に、第2レンズの球面部43bが接着剤で固定されているが、この部位の接着剤による固定は、廃止してもよい。そして、バンドパスフィルタ44は、この内スリーブ46の一端面46aに接着剤で固定されている。この状態で、バンドパスフィルタ44は、内スリーブ46の内部空間を介して第2レンズ43の球面部43bと対向すると共に、収容スリーブ45の内部空間を介して第1レンズ42の球面部42bに対向するようになっている。すなわち、第1レンズ42、第2レンズ43、及びバンドパスフィルタ44のそれぞれの相互間距離を、収容スリーブ45及び内スリーブ46のそれぞれの軸方向寸法を管理することにより、簡易に精度よく設定することができる。なお、内スリーブ46の一端側開口部を、第1レンズ42の球面部42bに当接させた状態で収容スリーブ45の内周面に接着剤で固定して、該内スリーブ46の他端面46bにバンドパスフィルタ44を接着剤で固定するようにしてもよい。
第1毛細管アッセンブリ32とレンズアッセンブリ34は、保持スリーブ37の一方の端面37aと収容スリーブ45の一端面45aとを突き合わせ状にして接着剤で固定され、第2毛細管アッセンブリ33とレンズアッセンブリ34は、保持スリーブ41の一方の端面41aと収容スリーブ45の他端面45bとを突き合わせ状にして接着剤で固定される。なお、第1毛細管アッセンブリ32の保持スリーブ37の内周面には、レンズアッセンブリ34側から順に、大径部と、この大径部よりも相対的に小径となる小径部とが設けられている。そして、小径部に毛細管36が挿入固定されており、大径部内に隙間を介して第1レンズ42が収容されている。同様に、第2毛細管アッセンブリ33の保持スリーブ41の内周面にも大径部と小径部とが設けられており、小径部に毛細管40が挿入固定され、大径部内に隙間を介して第2レンズ43が収容されている。
この実施形態の光デバイス31は、例えば次のようにして組み立てることができる。
まず、収容スリーブ45の他端側に上述した態様で第2レンズ43を接着剤で固定する。その後、バンドパスフィルタ44が接着固定された内スリーブ46を、収容スリーブ45の他端側からその内周に挿入して、内スリーブ46の他端側開口縁部を第2レンズ43の球面部43bに当接させて接着剤で固定すると共に、内スリーブ46の外周面を収容スリーブ45の内周面に接着剤で固定する。なお、内スリーブ46は、第2レンズ43の球面部43bにのみ接着剤で固定しても良い。また、内スリーブ46を収容スリーブ45の内周にスムーズに挿入できるように、内スリーブ46の外径と収容スリーブ45の内径とを略一致させてある。具体的には、収容スリーブ45の内周面と、内スリーブ46の外周面との間のクリアランスは、例えば0.030mm以下、好ましくは0.015mm以下に設定される。
そして、このように第2レンズ43、内スリーブ46、及びバンドパスフィルタ44が固定された収容スリーブ45の一端側に上述した態様で第1レンズ42を接着剤で固定することで、レンズアッセンブリ34を作製することができる。
つぎに、上述のようにして製作されたレンズアッセンブリ34の収容スリーブ45の他端面45bに、第2毛細管アッセンブリ33の保持スリーブ41の一方の端面41aを突き合わせ、両者の相対位置を、光ファイバ38、39の光軸方向(Z軸方向)と直交する方向(X軸、Y軸方向)に上述の第2レンズ43の曲率中心のオフセット量を加味して調整すると共に、その突き合わせた第2毛細管アッセンブリ33の保持スリーブ41内で毛細管40を光軸方向(Z軸方向)に移動させて、毛細管40に固定された光ファイバ38、39の先端面38a、39aの位置を調整し、例えば一方の光ファイバ38から出射された光がバンドパスフィルタ44で反射して、他方の光ファイバ39に戻るように、最適な光学調芯状態で接着固定する。
さらに、上記のレンズアッセンブリ34の収容スリーブ45の一端面45aに、第1毛細管アッセンブリ32の保持スリーブ37の一方の端面37aを突き合わせ、両者の相対位置を、光ファイバ35の光軸方向(Z軸方向)と直交する方向(X軸、Y軸方向)に上述の第1レンズ42の曲率中心のオフセット量を加味して調整すると共に、その突き合わせた第1毛細管アッセンブリ32の保持スリーブ37内で毛細管36を光軸方向(Z軸方向)に移動させて、毛細管36に固定された光ファイバ35の先端面35aの位置を調整すると共に、毛細管36を回転させて、毛細管36に固定された光ファイバ35の光軸に対して傾斜した先端面35aの傾斜方向を調整し、例えば第2毛細管アッセンブリ33の一方の光ファイバ38から出射された光がバンドパスフィルタ44を透過して、光ファイバ35に入射するように、最適な光学調芯状態で接着固定する。
図5(a)は第4実施形態に係る光デバイス51の概略構成を示す横断面図であって、図5(b)はその縦断面図である。なお、第3実施形態に係る光デバイス31と、実質的に同一の部品及び部分には同一の参照数字を附して、重複する説明を省略する。
この実施形態の光デバイス51が、前述した第3実施形態の光デバイス31と実質的に異なる点は、単芯のコリメータ同士を組み合わせている点と、光機能部品としてアイソレータコア44´を用いている点とである。
第1毛細管アッセンブリ32では、毛細管36の単芯の内孔に1本の光ファイバ35が接着剤で固定され、第2毛細管アッセンブリ33では、毛細管40’の単芯の内孔に1本の光ファイバ38が接着剤で固定されている。その他の事項は、第3実施形態の光デバイス31に準じるので、重複する説明を省略する。
図6(a)は第5実施形態に係る光デバイス61の概略構成を示す横断平面図であって、図6(b)はその縦断側面図である。なお、第3実施形態に係る光デバイス31と、実質的に同一の部品及び部分には同一の参照数字を附して、重複する説明を省略する。
この実施形態の光デバイス61が、上記の第3実施形態に係る光デバイス31と相違する点は、レンズアッセンブリ34の構成と、このレンズアッセンブリ34への第1毛細管アッセンブリ32及び第2毛細管アッセンブリ33の固定方法とにある。すなわち、このレンズアッセンブリ34は、収容スリーブ45の内周に、第1内スリーブ64と第2内スリーブ63とが同軸状に嵌合固定されており、この嵌合固定された第1内スリーブ64の他端面64bと第2内スリーブ63の一端面63aとの間に、それぞれの端面64b、63aに接触した状態でバンドパスフィルタ44が固定されている。この際、バンドパスフィルタ44は、第1内スリーブ64の他端面64b及び第2内スリーブ63の一端面63aの少なくとも一方に接着剤で固定される(この実施形態では第2内スリーブ63の一端面63aに接着剤で固定されている)。第1レンズ42は、第1内スリーブ64の一端側開口縁部に、その球面部42bを当接させた状態で第1内スリーブ64の一端側に接着剤で固定されていると共に、第2レンズ43は、第2内スリーブ63の他端側開口縁部に、その球面部43bを当接させた状態で第2内スリーブ63の他端側に接着剤で固定されている。なお、第1レンズ42及び第2レンズ43は、それらの平面部42a、43aが所定方向に傾斜し、それらの球面部42b、43bの曲率中心が所定方向にオフセットしている点については、上記第3実施形態と同一である。
また、第1内スリーブ64の一端面64aと第2内スリーブ63の他端面63bとは、収容スリーブ45の両端から僅かに外方に突出している。そして、第1毛細管アッセンブリ32における保持スリーブ37が、第1内スリーブ64の一端面64aに接着剤で固定されている。また、第2毛細管アッセンブリ33における保持スリーブ41が、第2内スリーブ63の他端面63bに接着剤で固定されている。なお、第1内スリーブ64の両端面64a、64b及び第2内スリーブ63の両端面63a、63bは、それぞれ第1内スリーブ64及び第2内スリーブ63の内周の中心軸と直交する平面に形成され、その直角度は、例えば、第1内スリーブ64及び第2内スリーブ63の内周の中心軸を法線とする幾何学的な理想平面に対して±0.5度以下、好ましくは±0.2度以下の精度で管理される。
このようにすれば、第1レンズ42の球面部42bの曲率中心を第1内スリーブ64の内周の中心軸に容易に一致させることができると共に、第2レンズ43の球面部43bの曲率中心を第2内スリーブ63の内周の中心軸に容易に一致させることができる。そして、これら両内スリーブ63、64は、共通の収容スリーブ45の内周に同軸状にそれぞれ嵌合固定されていることから、第1レンズ42及び第2レンズ43の各球面部42b、43bの曲率中心を、収納スリーブ45の内周の中心軸に容易に一致させることができる。また、第1レンズ42、第2レンズ43及びバンドパスフィルタ44は、第1内スリーブ64と第2内スリーブ63とを介して軸方向に連続していることから、第1内スリーブ64、第2内スリーブ63及びバンドパスフィルタ44の軸方向寸法を管理することにより、第1レンズ42、第2レンズ43及びバンドパスフィルタ44のそれぞれの相互間距離を簡易に精度よく設定することができる。
なお、この第5実施形態に係る光デバイス61についても、第2毛細管アッセンブリ33が、毛細管40の単芯の内孔に1本のみの光ファイバ38が接着剤で固定される構成であってもよい。
図7(a)は第6実施形態に係る光デバイス71の概略構成を示す横断平面図であって、図7(b)はその縦断側面図である。なお、第3、5の実施形態に係る光デバイス31、61と、実質的に同一の部品及び部分には同一の参照数字を附して、重複する説明を省略する。
この実施形態の光デバイス71が、上記の第5実施形態に係る光デバイス61と相違する点は、レンズアッセンブリ34の構成にある。詳述すると、第1の相違点は、収容スリーブ45を軸方向に伸長して、この収容スリーブ45の内周に、第1内スリーブ64と、第2内スリーブ63とを完全に収容した点である。第2の相違点は、第1毛細管アッセンブリ32の保持スリーブ37の先端部(一方の端面37a)を、収容スリーブ45の内周に挿入した状態で、第1内スリーブ64の一端面64aに接着剤で固定すると共に、第2毛細管アッセンブリ33の保持スリーブ41の先端部(一方の端面41a)を、収容スリーブ45の内周に挿入した状態で、第2内スリーブ63の他端面63bに接着剤で固定した点である。なお、各保持スリーブ37、41の外周面と、収容スリーブ45の内周面との間には、各毛細管アッセンブリ32、33とレンズアッセンブリ34との光学的調芯状態を調整可能な隙間(例えば、0.125mm〜0.25mm程度の隙間)が形成されている。また、この実施形態では、各保持スリーブ37、41は、固定力を補強、及び/又は、耐候性を更に向上するために、収容スリーブ45の内周の一部に接着剤で固定されている。
図8(a)は第7実施形態に係る光デバイス81の概略構成を示す横断平面図であって、図8(b)はその縦断側面図である。なお、第5,6実施形態に係る光デバイス61、71と、実質的に同一の部品及び部分には同一の参照数字を附して、重複する説明を省略する。
この実施形態に係る光デバイス81が、上記の第5、6の実施形態に係る光デバイス61、71と相違する点は、レンズアッセンブリ34の構成と、このレンズアッセンブリ34への第1毛細管アッセンブリ32及び第2毛細管アッセンブリ33の固定方法とにある。詳述すると、第1の相違点は、第1レンズ42の平面部42aと第2レンズ43の平面部43aとを、収容スリーブ45の両端から僅かに外方に突出させた点である。そして、第2の相違点は、第1毛細管アッセンブリ32の保持スリーブ37の一方の端面37aを傾斜端面として第1レンズ42の傾斜した平面部42aに接着剤で固定すると共に、第2毛細管アッセンブリ33の保持スリーブ41の一方の端面41aを傾斜端面として第2レンズ43の傾斜した平面部43aに接着剤で固定した点である。
図9(a)は第8実施形態に係る光デバイス91の概略構成を示す横断平面図であって、図9(b)はその縦断側面図である。なお、第6、7実施形態に係る光デバイス71、81と、実質的に同一の部品及び部分には同一の参照数字を附して、重複する説明を省略する。
この実施形態に係る光デバイス91が、第6、7実施形態に係る光デバイス71、81と相違する点は、レンズアッセンブリ34の構成と、このレンズアッセンブリ34への第1毛細管アッセンブリ32及び第2毛細管アッセンブリ33の固定方法とにある。詳述すると、第1の相違点は、収容スリーブ45の軸方向寸法を伸長して、第1レンズ42と、第2レンズ43とを収容スリーブ45の内周に完全に収容した点である。そして、第2の相違点は、第1毛細管アッセンブリ32の保持スリーブ37の先端部(一方の端面37a)を傾斜端面として、収容スリーブ45の内周に挿入した状態で、第1レンズ42の傾斜した平面部42aに接着剤で固定すると共に、第2毛細管アッセンブリ33の保持スリーブ41の先端部(一方の端面41a)を傾斜面として、収容スリーブ45の内周に挿入した状態で、第2レンズ43の傾斜した平面部43aに接着剤で固定した点にある。なお、各保持スリーブ37、41の外周面と、収容スリーブ45の内周面との間には、各毛細管アッセンブリ32、33とレンズアッセンブリ34との光学的調芯状態を調整可能な隙間(例えば、0.125mm〜0.25mm程度の隙間)が形成されている。また、この実施形態では、各保持スリーブ37、41は、固定力を補強、及び/又は、耐候性を更に向上するために、収容スリーブ45の内周の一部に接着剤で固定されている。
なお、上記第3及び5〜8実施形態に係る光デバイスは種々のバリエーションが可能であって、例えば、光機能部品として光アイソレータコアを使用した構成としてもよい。また、内周面に大径部と小径部とを有する保持スリーブを、内径が実質的に一定である保持スリーブに変更してもよく、これとは逆に、内径が実質的に一定である保持スリーブを、内周面に大径部と小径部とを有する保持スリーブに変更してもよい。