JP2004126095A - 2芯ファイバコリメータおよび光結合モジュール - Google Patents

2芯ファイバコリメータおよび光結合モジュール Download PDF

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Yuzuru Hakoda
箱田 譲
Nobuyuki Kadoma
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Abstract

【課題】小型で量産性に優れ低価格であり、かつ、高い信頼性を有する2芯ファイバコリメータおよび光結合モジュールを提供する。
【解決手段】反射材料がコリメートレンズの中心軸に対して垂直ではない一定の角度を有し、かつ、反射材料が前記コリメートレンズから出射されるビームのビームウェイスト位置に配置され、かつ、2芯ピグテイルファイバを構成する1つの光ファイバの軸線がコリメートレンズの中心軸と略同軸上に配置されることにより、コリメートレンズから出射されるビームの光軸がコリメートレンズの中心軸と略同軸となる保持構造を有する2芯ファイバコリメータとする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムや光計測機器において用いられる2芯ファイバコリメータに関するものである。また、複数本の光ファイバから出射される異なる波長の光信号を合波して1本の光ファイバに結合し、あるいは1本の光ファイバから出射される複数の波長の光信号を、波長ごとにそれぞれの光ファイバに分離する機能を有する光結合モジュール、または同一波長の光信号を複数の光ファイバに分岐する機能を有する、光結合モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光通信システムや光計測機器の小型化、低価格化を目的とした2芯ファイバコリメータ、及びそれを用いた光結合モジュールが種々知られている。2芯ファイバコリメータとは、2本の光ファイバがキャピラリ内の同一の孔、あるいは独立した別々の孔に挿圧入され、レンズ等の光学部品により伝達された光信号を光ファイバへ導くために、光ファイバの片側の端部に空間的に調芯され、YAG溶接等の固定手段により位置決め固定される機能を有する構造を取り付けた2芯ピグテイルファイバと、コリメートレンズと、反射材料と、から構成されるものである(例えば、特許文献1参照)。また、光結合モジュールとは、前記2芯ファイバコリメータと他の光学部品とを組み合わせて光結合するように配置したものである(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−147341号公報(第3−5頁、第6図)
【0004】
【特許文献2】
特開2001−194551号公報(第2−4頁、第10図)
【0005】
ここで、図11に、従来の2芯ファイバコリメータの一例を示す。図11aは、従来の2芯ファイバコリメータの部分断面図であり、また図11bは、前記図11aの断面方向と垂直な方向に切り取った時の部分断面図である。図11に示す例では、キャピラリ3内に、ルースチューブ7を介して2本の光ファイバ1,2を同一の貫通孔に挿圧入したスリーブ4と、光を平行・集束化するためのレンズ鏡筒9に内包されるコリメートレンズ8、及び反射材料10が配置された構成の2芯ファイバコリメータが示されている。
【0006】
そして反射材料10は、平行平板型構造をもつものであって、前記コリメートレンズ8の中心線上の2つの出射光の光路の交点が反射材料10上に形成され、かつ、前記コリメートレンズ8の中心線に垂直になるように配置され、光が平行ビームとなっている範囲に分波膜を有する光波長分波フィルタである。また、レンズホルダ12は、コリメートレンズ8と前記光波長分波フィルタである反射材料10の両方を内包しており、フェルールホルダ13を介して2芯ピグテイルファイバ側と固定されている。なお、反射材料10の片面には分波膜30(図示せず)が施され、反射材料10とレンズホルダ12とは、接着剤11により接着固定されている。
【0007】
そして、光ファイバ1,2の端面は、その端面部での反射戻り光を所定の値以下に抑え込むために、キャピラリ3とともにスリーブ4の軸線方向と垂直な方向に対して、所定の角度を持つように斜め研磨加工が施されている(図11b参照)。
【0008】
また、ここでいう光波長分波フィルタとは、異なった波長を有する光を波長に応じて選択的に出力する(分波する)ことが可能な光学部品をいうが、それだけに限らずに、多種類のそれぞれに異なった波長を有する光を、包括・合成して出力する(合波する)ことが可能な光学部品を含んでいるものとする。以下、これから説明する各図に示す符号21、22、23、24は、順に、2芯ピグテイルファイバの中心軸21、反射材料10の反射面の法線軸22、コリメートレンズ8から出射されるビームの軸23、2芯ファイバコリメータにおけるスリーブ4の軸24、をそれぞれ示すものとする。
【0009】
図11aおよび図11bに示すように、コリメートレンズ8の中心軸と2芯ピグテイルファイバの1本の光ファイバの軸線とが略同軸上となっており、反射材料10の反射面の法線軸がコリメートレンズ8の中心軸と同軸となっている。
【0010】
図11aおよび図11bに示す例では、内部に、一次被覆を除去した光ファイバの外径よりも僅かに大きい内径の細孔、テーパ穴部、太孔が形成されているキャピラリ3を、スリーブ4の軸心孔の一方の端部に圧入固定させてフェルールとしたものである。また、このフェルールは、キャピラリ3の細孔と、スリーブ4の外周との同心度を高精度にさせるために、フェルールに外周成形加工をおこなっている。
【0011】
また、光ファイバの種類には、マルチモードファイバ、シングルモードファイバ等があるが、いずれの種類の光ファイバも、傷等による強度低下を防止するために、エポキシ、シリコン等の合成樹脂で被覆(一次被覆)が施されている。これらの光ファイバの外径は約φ0.25mm又はφ0.4mmである。
【0012】
またルースチューブ7は、ルースチューブ7自身の曲げ強度により、光ファイバの曲げ強度を補強することを目的として、片端部の一次被覆の一部を除去した光ファイバ1,2とスリーブ4の間に配置され、このルースチューブ7と、片端部の一次被覆の一部を除去した光ファイバ1,2とを、ルースチューブ7内に接着剤5が入らないようにあらかじめ別な接着剤6にて目止めをおこない、その後、片端部の一次被覆の一部を除去した光ファイバ1,2を、キャピラリ3の細孔およびテーパ穴部に挿入して、挿入部分を接着剤5で充填して固定された構造となっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、図11aおよび図11bで示すような従来の2芯ファイバコリメータにおいては、光ファイバから出射したビームは、コリメートレンズ8を透過した後に、コリメートレンズ8の中心軸に対してある一定の角度δを有することになる。ここで波動光学法により、その角度δを定性的に導き出すことにより説明する。
【0014】
図12aおよび図12bは、それぞれ既に図11aおよび図11bで示した従来の2芯ファイバコリメータの光線経路の模式図(以下光線模式図とする)である。そして、コリメートレンズ8を非球面レンズとし、計算を簡略化するため、その非球面レンズの光ファイバ側の端面の近軸半径(レンズの中心軸近傍における半径)をR1とし、非球面レンズの反射材料側の端面の近軸半径をR2とし、空気の屈折率をn1とし、非球面レンズの屈折率をn2とし、レンズ長をLとすると、光線行列は以下の式で表される。(ただし、R1>0、R2>0とする)
【0015】
【数式1】
Figure 2004126095
【0016】
ここで、図13は、光ファイバ1’ がコリメートレンズ8の中心軸に対して位置ずれしているときの光線模式図である。図13に示すように、光ファイバ1’ がコリメートレンズ8の中心軸に垂直な方向に対してx0分だけズレて配置され、かつ、その光ファイバ1’ の軸線がコリメートレンズ8の中心軸に平行である場合には、コリメートレンズ8から出射したビームのビームウェイスト位置Zbwにおける、コリメートレンズ8の中心軸を基準とした場合の軸間方向(X軸方向)のズレ量をS0とし、また、コリメートレンズ8の中心軸を基準とした場合の傾きをδとすると、S0およびδは、それぞれ以下の式で表される。
【0017】
【数式2】
Figure 2004126095
【0018】
したがって、コリメートレンズ8から出射したビームについて、コリメートレンズ中心軸を基準とした場合の傾きδは、
δ=−(Ch)(x0)   ・・・(1)
ただし、Ch=(n1−n2)[n2(R1+R2)+L(n1−n2)]/[n1n2R1R2] ・・・(2)
となる関係式で表される。
【0019】
ここで例えば具体的に、(1)式および(2)式において、各値を、n1=1、n2=1.87058、R1=999999(μm)、R2=1570(μm)、L=1280(μm)、x0=125(μm)とすると、その値はδ=3.975(deg)となる。このことから、この具体例の場合、言い換えれば、2つの光ファイバ同士間の距離が250(μm)である場合には、1本の光ファイバから出射したビームは、コリメートレンズの中心軸に対して、約4度の傾きをもってコリメートレンズから出射される。
【0020】
一方、他の光ファイバから出射するビームについては、他の光ファイバがコリメートレンズの中心軸に対して対称であることから、x0=−125(μm)となり、コリメートレンズの中心軸に対して、約−4度の傾きをもってコリメートレンズから出射される。
【0021】
次に、別な具体例として、前記(1)式および(2)式において、n1=1、n2=1.87058、R1=999999(μm)、R2=1570(μm)、L=1280(μm)、x0=62.5(μm)とすると、その値はδ=1.988(deg)となる。このことから、この具体例の場合、言い換えれば、光ファイバ同士間の距離が125(μm)である場合には、1本の光ファイバから出射したビームは、コリメートレンズの中心軸に対して、約2度の傾きをもってコリメートレンズから出射される。
【0022】
また、さらに別な具体例として、(1)式および(2)式において、n1=1、n2=1.87058、R1=999999(μm)、R2=1570(μm)、L=1280(μm)、x0=250(μm)とすると、その値はδ=7.951(deg)となる。このことから、同様に、この具体例の場合、コリメートレンズの中心軸に対して、約8度の傾きをもったビームがコリメートレンズから出射されることとなる。
【0023】
以上、定性的あるいは定量的に示したように、このような従来の2芯ファイバコリメータにおいては、コリメートレンズの中心軸に対して、一定のある傾きδをもってビームがコリメートレンズから出射される。そのため、従来の2芯ファイバコリメータの反射材料の後段に、他の光部品を配置させて当該他の光部品と光結合させる場合や、入力側あるいは出力側のポートのうち少なくとも1つのポートに、2芯ファイバコリメータを用いて光結合モジュールとした場合などにおいて、前記他の光部品の位置を、ビームの傾きδに応じて偏芯させたり、あるいは、前記他の光部品の形状を変更したり、アパーチャ等を拡大させる、などの処置が別途必要となるという欠点を有していた。またその結果、場合によってはハウジングを大きくせざるを得ないという欠点を有していた。
【0024】
このような問題は、コリメートレンズから出射されるビームが、コリメートレンズの中心軸に対して一定の角度を有していることに起因している。これを回避するもっとも簡易な1つの方法としては、例えば光ファイバ同士を最小限に近接させて配置させることである。つまり言い換えれば、2つの光ファイバについて、コリメートレンズの中心軸に対して最小限の位置ズレで配置させることである。このような場合、コリメートレンズから出射したビームの傾きは最小限となるため、従来の2芯ファイバコリメータの反射材料の後段に、他の光部品を配置させて光結合モジュールとした場合において、前記他の光部品の位置を偏芯させる程度を低減でき、また、他の光部品の形状を変更したり、アパーチャ等を拡大させるなどの処置を最小限にとどめることができる。
【0025】
また、上記の方法とは別に、例えば比較的小さなビーム径を有することが可能なコリメートレンズを用いることによっても、前記問題を回避することが可能となる。このような比較的小さなビーム径を有することが可能なコリメートレンズを用いた場合には、コリメートレンズの中心軸に対して、一定の傾きをもってビームがコリメートレンズから出射されたとしても、従来の2芯ファイバコリメータの反射材料の後段に、他の光部品を配置させて光結合モジュールとした場合において、前記他の光部品の位置を偏芯させる程度を低減でき、また、他の光部品の形状を変更したり、アパーチャ等を拡大させるなどの処置を最小限にとどめることができる。
【0026】
しかしながら、上記の光ファイバ同士を最小限に近接させて配置させる方法を用いた場合においても、コリメートレンズの中心軸に対する光ファイバの位置ズレは、光ファイバ同士を一部で融着等の手段により重複させない限り、光ファイバの外径の半分未満にすることはできないため、おのずと限界が生じてしまっていた。そのため、場合によっては、依然として、他の光部品の位置をビームの傾きδに応じて偏芯させたり、あるいは、前記他の光部品の形状を変更したり、アパーチャ等を拡大させる、などの処置が別途必要となるという欠点を有していた。
【0027】
さらに加えて、上記の比較的小さなビーム径を有することが可能なコリメートレンズを用いる方法を用いた場合においても、小さなビーム径を有するレンズは焦点距離が短く、コリメートレンズから反射材料までの距離に関しては、反射材料を配置させるための部品寸法を考慮した場合、その距離にはおのずと限界が生じてしまっている。また、2芯ファイバコリメータに、その他の光学部品を反射材料の後段に配置させることにおいても、小さなビーム径はコリメート領域も小さいため、ビーム径の小さいコリメートレンズを選択するには、おのずと限界が生じてしまっている。そのため、場合によっては、依然として、他の光部品の位置をビームの傾きδに応じて偏芯させたり、あるいは、前記他の光部品の形状を変更したり、アパーチャ等を拡大させる、などの処置が別途必要となるという欠点を有していた。
【0028】
次に、図14に、従来の2芯ファイバコリメータの別の一例を示す。図14aは、従来の2芯ファイバコリメータの部分断面図であり、また図14bは、図14aの断面方向とほぼ垂直な方向に切り取った場合の部分断面図である。図14aおよび図14bに示す例では、2本の光ファイバ1,2を同一の貫通孔に圧入した石英のガラスキャピラリ3’と、光ファイバの先端部の斜め研磨角度と同じ斜め研磨角度を有するGRINレンズ8’とがUV系接着剤16で固定され、石英のスリーブ4’と、ステンレススチールのハウジング18とがエポキシ系接着剤15により固定されていて、光が平行ビームとなっている範囲に分波膜を有する光波長分波フィルタである反射材料10が配置された構成をもつ2芯ファイバコリメータが示されている。
【0029】
このとき、GRINレンズ8’は、1/4ピッチあるいは0.23ピッチを有していて、光波長分波フィルタは、GRINレンズ8’の中心軸に対して垂直となるように配置され、その上、2芯ピグテイルファイバにおける石英のスリーブ4’の外径に対する中心軸とが略同軸となっている。
【0030】
ここで、図14aおよび図14bの構成においては、このとき、光ファイバのアパーチャおよびGRINレンズ8’のアパーチャに接着剤16が入りこまないようになっている。そして、それらの光ファイバとGRINレンズ8’との距離は、数ミクロンから数十ミクロンのオーダーである。しかしながら、このような接着工程において、その微小な間隙を確保しながら、2芯ピグテイルファイバあるいはGRINレンズ8’を調芯するのは非常に困難であった。また、調芯後の接着工程において、接着剤の一部が光ファイバのアパーチャおよびGRINレンズ8’のアパーチャに入りこんでしまい、製造歩留の低下が問題となっていた。
【0031】
さらに、GRINレンズ8’と反射材料10とは接着剤11’で接着固定されているが、GRINレンズ8’のアパーチャを含む片面の全表面に接着剤11’が入りこむ構成となっている。そのため、長時間にわたって比較的高い出力を有するビームが、接着剤を透過した場合に、接着剤中の炭素や不純物が光エネルギーを吸収して発熱し、接着剤の劣化が進む恐れがあり、信頼性の観点からこのような構成は懸念されていた。
【0032】
以上示したとおり、従来の2芯ファイバコリメータの例においては、コリメートレンズの中心軸に対して、一定の角度をもったビームがコリメートレンズから出射されることに起因して、他の光部品の位置を、ビームの傾きδに応じて偏芯させたり、あるいは、前記他の光部品の形状を変更したり、アパーチャ等を拡大させる、などの処置が別途必要となるという問題が生じたり、また一方、従来の2芯ファイバコリメータの別の例においては、光ファイバとGRINレンズ間の距離が微小であることに起因して、接着剤の一部が光ファイバのアパーチャおよびGRINレンズのアパーチャに入りこんで、製造歩留が低下するという欠点を有しており、また、さらに、GRINレンズと反射材料間に介在する接着剤が、長時間にわたって比較的高い出力を有するビームにより劣化する懸念が生じるなどの信頼性の観点での問題も生じていた。
【0033】
よってこれら前記問題に対し、本発明は、2芯ファイバコリメータおよび光結合モジュールに関して、小型で量産性に優れ、低価格で、かつ、信頼性の高い品質の2芯ファイバコリメータおよび光結合モジュールを提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明では、2芯ピグテイルファイバおよびコリメートレンズならびに反射材料を備えてなる2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料が前記コリメートレンズの中心軸に対して垂直ではない一定の角度を有し、かつ、前記反射材料が前記コリメートレンズから出射されるビームのビームウェイスト位置に配置され、かつ、前記2芯ピグテイルファイバを構成する1つの光ファイバの軸線が前記コリメートレンズの中心軸と略同軸上に配置されることにより、前記1つの光ファイバから出射されるビームが前記コリメートレンズを介した際に、前記コリメートレンズから出射されるビームの光軸が前記コリメートレンズの中心軸と略同軸となる保持構造を有することを特徴とする2芯ファイバコリメータとしている。
【0035】
この請求項1の構成では、2芯ピグテイルファイバを構成する1つの光ファイバの軸線が、コリメートレンズの中心軸と略同軸上に配置されることから、前記1つの光ファイバから出射されるビームがレンズを介した際に、レンズから出射されるビームの光軸が、前記レンズの中心軸と略同軸となる2芯ファイバコリメータを提供することができる。
【0036】
また請求項2に記載の発明では、前記請求項1に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記コリメートレンズが非球面レンズであって、前記レンズの中心軸近傍における光ファイバ側の半径をR1とし、同レンズの中心軸近傍における反射材料側の半径をR2とし、レンズ長をLとし、同レンズのガラス素材の屈折率をn2とし、空気の屈折率をn1として、前記2芯ピグテイルファイバの2本の光ファイバのうちの1本の光ファイバが、当該レンズの中心軸と略同軸となるように配置されており、かつ、他方の光ファイバが前記レンズの中心軸に対して垂直方向にx0だけ位置ズレがあり、かつ、光ファイバの軸線が前記レンズの中心軸に対して平行であり、かつ、反射材料が2本の光ファイバの整列方向に対して傾きを有しており、前記レンズの中心軸を基準とした反射材料の傾きをmとしたときに、
m≒−(Ch)(x0)/2
ただし、Ch=(n1−n2)[n2(R1+R2)+L(n1−n2)]/[n1n2R1R2]
からなる関係式により表されることを特徴とする2芯ファイバコリメータとしている。
【0037】
この請求項2の構成では、前記2芯ピグテイルファイバを構成する1つの光ファイバの軸線が、前記コリメートレンズの中心軸と略同軸上に配置されていることから、同レンズから出射されるビームは、レンズの略同軸となることが可能となり、さらに2芯ファイバコリメータの結合効率を向上させることが可能となる。
【0038】
さらに請求項3に記載の発明では、前記請求項1または請求項2に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、2つの光ファイバの整列方向と略直交する方向に対し、前記各光ファイバの先端部を斜めに研磨したことを特徴とする2芯ファイバコリメータとしている。
【0039】
この請求項3の構成により、光ファイバの先端部での反射戻り光を抑制することが可能となるとともに、光ファイバから出射し、コリメートレンズから出射されたビームのビーム径が、両ファイバに関して全く同じとなることから、結合効率を一層向上させることが可能となる。また、一方の光ファイバの端面から反射材料までの光路長が、他方の光ファイバ端面から反射材料までの光路長と等しくなることから、光路長差に基づく挿入損失を低減することが可能となる。
【0040】
また請求項4記載の発明では、前記請求項1〜請求項3に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、長波長透過フィルタまたは短波長透過フィルタあるいはバンドパスフィルタのいずれかの光波長分波フィルタであることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするものである。
【0041】
この請求項4の構成により、2芯ファイバコリメータにおいて、一方の光ファイバによりコリメートレンズから出射したビームは、波長に応じて光信号の一部あるいは大部分につき、前記反射材料にて反射させ、あるいは反射材料を透過させることが可能となる。
【0042】
また請求項5記載の発明では、前記請求項1〜請求項4に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、ガラス基板、あるいは光学的に透明な素材の基板を使用し、反射材料の両面あるいは前記コリメートレンズ側のガラス基板の面に、TaとSiOの誘電体多層膜あるいはTiOとSiOの誘電体多層膜を形成した光波長分波フィルタであることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするものである。
【0043】
この請求項5の構成により、光波長分波フィルタの波長特性に応じて特定の波長の一部あるいは大部分につき、前記反射材料にて反射させ、あるいは反射材料を透過させることが可能となるとともに、前記反射材料のガラス基板として、例えばBK−7ガラスや白板ガラスを使用する場合には反射材料を低価格とすることが可能となり、また一般に、Ta、TiOおよびSiOは膜材として良く知られており、使用実績が十分にあることから、信頼性を向上をさせることが可能となる。さらに特に、TaとSiOの誘電体多層膜は、TiOとSiOの誘電体多層膜に比べて一般に膜吸収が少ない傾向がみられることから、光ファイバに長時間にわたって比較的高いパワーが伝達されて多層膜上に照射された場合であっても、多層膜における膜損傷を抑制することが可能となり、信頼性の点で向上させることができる。
【0044】
また請求項6記載の発明では、前記請求項1〜請求項3に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、光分岐フィルタであることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするのものである。
【0045】
この請求項6の構成により、2芯ファイバコリメータにおいて、一方の光ファイバによりコリメートレンズから出射したビームは、光分岐フィルタの分岐比に応じて光信号の一部あるいは大部分につき、前記反射材料にて反射させ、あるいは反射材料を透過させることが可能となる。
【0046】
また請求項7記載の発明では、前記請求項1〜請求項3または請求項6に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、ガラス基板、あるいは光学的に透明な素材の基板を使用し、反射材料の両面あるいはコリメートレンズ側の基板の面に、TaとSiOの誘電体多層膜、あるいはTiOとSiOの誘電体多層膜を形成した光分岐フィルタであることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするものである。
【0047】
この請求項7の構成により、光分岐フィルタの分岐比に応じて光信号の一部あるいは大部分につき、前記反射材料にて反射させ、あるいは反射材料を透過させることが可能となるとともに、前記反射材料のガラス基板として、例えばBK−7ガラスや白板ガラスを使用する場合には反射材料を低価格とすることが可能となり、また一般に、Ta、TiOおよびSiOは、膜材として良く知られており使用実績が十分にあることから、信頼性を向上をさせることが可能となる。さらに特に、TaとSiOの誘電体多層膜は、TiOとSiOの誘電体多層膜に比べて一般に膜吸収が少ない傾向がみられることから、光ファイバに長時間にわたって比較的高いパワーが伝達されて多層膜上に照射された場合であっても、多層膜における膜損傷を抑制することが可能となり信頼性の点で向上させることができる。
【0048】
さらに請求項8記載の発明では、前記請求項1〜請求項3または請求項6に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、ガラス基板、あるいは光学的に透明な素材の基板を使用し、反射材料の反射面であるコリメートレンズ側の片面に誘電体多層膜を一切含まない、光分岐フィルタであることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするのものである。
【0049】
この請求項8の構成により、反射材料の片面は、ガラス基板の素面、あるいは光学的に透明な素材の基板の素面となり、素面を形成する物質自体の屈折率に応じた表面反射率にてコリメートレンズから出射されるビームは反射されるため、当該反射材料の片面上に特に分岐膜を形成せずに、基板の素材を任意に選択することによってのみ、反射率を選択することが可能となり、よって低価格な反射材料とすることができる。このような素面を形成する物質自体の屈折率に応じた表面反射率を利用する場合には、一般には入射角が大きい場合には偏光依存性の点で問題になることがあるが、本発明の2芯ファイバコリメータにあっては、入射角が比較的小さいため、偏光依存性が問題とならずに使用することができる。
【0050】
また、このように物質の素面のみを利用しているため、長時間にわたって比較的大きいパワーを有する光が入射しても前記反射面には分岐膜を形成していないことから膜吸収自体が存在しえないために、この面における光損傷を著しく抑制することが可能となる。
【0051】
さらに請求項9記載の発明では、前記請求項1〜請求項8に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、平行平板型構造であることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするのものである。
【0052】
この請求項9の構成により、コリメートレンズから出射したビームは、厳密には、反射材料がコリメートレンズの中心軸に対して一定の角度を有しているため、反射材料の屈折率および形状に応じたウォークオフ(コリメートレンズの中心軸に垂直な方向のビームの位置ズレ)が生じるのであるが、反射材料が平行平板型構造であることから、コリメートレンズの中心軸と略同軸となるように配置された光ファイバから出射し、コリメートレンズを介して反射材料を透過したビームは、コリメートレンズの中心軸に対してほぼ角度を有することなく、略同軸とすることが可能となる。
【0053】
さらに請求項10記載の発明では、前記請求項1〜請求項8に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、片面が傾斜面である楔型構造であることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするのものである。
【0054】
この請求項10の構成により、反射材料が平行平板型構造である場合に生じることのある多重反射による干渉に関して、反射材料を片面が傾斜面である楔型構造とするので、上記干渉を回避することが可能となる。また、反射材料を透過したビームについて、反射材料の屈折率および楔角度等に応じてコリメートレンズの中心軸に対して任意に所定の角度を有することが可能となる。
【0055】
さらに請求項11記載の発明では、前記請求項1〜請求項10に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、反射面である前記コリメートレンズ側の反射材料の片面の位置が、コリメートレンズから出射されたビームのビームウェイスト位置に一致するように配置されていることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするのものである。
【0056】
この請求項11の構成により、反射面である前記コリメートレンズ側の反射材料の片面の位置が、コリメートレンズから出射されたビームのビームウェイスト位置に一致するように配置されているために、2芯ファイバコリメータの結合効率を最良のものにすることが可能である。
【0057】
さらに請求項12記載の発明では、前記請求項1〜請求項10に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、反射面である前記コリメートレンズ側の反射材料の片面の位置が、コリメートレンズから出射されたビームのビームウェイスト位置からわずかに短い位置に、あるいはわずかに長い位置に配置されていることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするのものである。
【0058】
この請求項12の構成により、反射面である前記コリメートレンズ側の反射材料の片面の位置が、コリメートレンズから出射されたビームのビームウェイスト位置からわずかに短い位置に、あるいはわずかに長い位置に配置されているために、その位置がコリメートレンズから出射されるビームのコリメート領域内とみなせる場合には、その位置でのビームのスポットサイズはビームウェイスト位置でのビームのスポットサイズとほぼ同じであることから、高い結合効率を実現することが可能となる。
【0059】
さらに請求項13記載の発明では、前記請求項1〜請求項12に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、スリーブの一部に、光ファイバの斜め研磨方向を判別するためのマーキングを備えていることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするのものである。
【0060】
この請求項13の構成により、光ファイバの斜め研磨方向を判別することが可能となるために、2芯ファイバコリメータを製作する際に光ファイバの斜め研磨方向についてキャピラリの斜め研磨方向を観察することをせずに、肉眼あるいは顕微鏡もしくはCCDカメラにより判別でき、2芯ピグテイル光ファイバおよびコリメートレンズならびに反射材料の配置を間違えることなく組立することが可能となる。
【0061】
さらに請求項14記載の発明では、前記請求項1〜請求項13に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、コリメートレンズから出射したビームがコリメートレンズの中心軸に対して略同軸となるような光ファイバ、もしくは、当該光ファイバと異なる光ファイバのどちらかの一方の一部に、判別用のマーキングを備えていることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするのものである。
【0062】
この請求項14の構成により、コリメートレンズから出射する2つのビームのうち、前記コリメートレンズの中心軸に対して略同軸となるようなビームを出射する光ファイバを判別することができ、例えばこの2芯ファイバコリメータを入力側のポートと出力側のポートの少なくとも一方に用いる光結合モジュールを製作する際において、2芯ファイバコリメータの固定のために結合効率を計測しながらおこなう調芯時の間違いを防ぐことが可能となる。
【0063】
さらに請求項15記載の発明では、前記請求項1〜請求項14に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、2つの細孔を有するキャピラリの1つの細孔の中心軸がキャピラリの外径に対して同軸となることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするのものである。
【0064】
この請求項15の構成により、キャピラリにおける2つの細孔のうち、キャピラリの外径に対して同軸となる細孔に、コリメートレンズの中心軸に対して略同軸となるようなビームを出射する光ファイバが挿入されている場合には、当該光ファイバは環境の温度変動によりキャピラリ及びスリーブ等が熱膨張で位置変動する場合であっても、キャピラリの外径に対して同軸となっていることから、環境の温度変動による位置変動を構造的に低減させることが可能である。
【0065】
さらに請求項16記載の発明では、前記請求項1〜請求項15に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、当該2芯ファイバコリメータを構成する2芯ピグテイルファイバについて、キャピラリの外径に対する中心軸が、スリーブの孔の軸線に対して一定の角度αをもち、当該キャピラリに内包された光ファイバの軸線がスリーブの孔の軸線に対して前記αの角度をもつとき、光ファイバのコア部の屈折率をnfとしたときに、光ファイバの先端部がフェルールの孔の軸線に対してα+sin−1{nf(sinα)}なる角度で研磨されていること特徴とする2芯ファイバコリメータとするのものである。
【0066】
この請求項16の構成により、光ファイバから出射されるビームはスリーブの外径の軸線に対して完全に平行となるため、コリメートレンズの中心軸と略同軸となる光ファイバから出射される光については、コリメートレンズを介して出射されるビームを、前記コリメートレンズの中心軸と同軸にすることが可能となる。
【0067】
さらに請求項17記載の発明では、前記請求項1〜請求項16に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、光ファイバのいずれかの一方が、プラセオジウム(Pr)添加光ファイバ、あるいはエルビウム(Er)添加光ファイバであることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするのものである。
【0068】
この請求項17の構成により、2芯ファイバコリメータの光ファイバのいずれかの一方をプラセオジウム添加光ファイバとすることにより、この光ファイバに別のプラセオジウム添加光ファイバを接続する場合において、融着接続が容易に可能となる。また、同様に、2芯ファイバコリメータの光ファイバのいずれか一方をエルビウム添加光ファイバとすることにより、この光ファイバに別のエルビウム添加光ファイバを接続する場合において、融着接続が容易に可能となる。
【0069】
さらに請求項18記載の発明では、前記請求項1〜請求項17に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、両光ファイバの先端部が光ファイバの端部近傍のコア径が熱拡大されたコアを有する光ファイバ(TECファイバ=Thermally Expanded Core Fiber)であることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするのものである。
【0070】
この請求項18の構成により、光ファイバのモードフィールド径が、通常の光ファイバのモードフィールド径に比して大きくなることから、結合効率のトレランスが緩和され、そのため光学部品や金属部品の寸法トレランスを緩和することが可能となり、または、外部環境の温度変動などによるコリメートレンズや反射材料といった部品の変動に伴う結合効率の変動を低減させることが可能となる。
【0071】
さらに請求項19記載の発明では、前記請求項1〜請求項18に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料と前記コリメートレンズとの間に、機能材料を備えており、当該機能材料から出射されるビームの軸が、該コリメートレンズの中心軸と略同軸となることを特徴とする2芯ファイバコリメータとするのものである。
【0072】
この請求項19の構成により、例えば反射材料を全反射ミラーとし、機能材料をある波長λ1を透過することが可能なバンドパスフィルタとした場合、2芯ファイバコリメータの一方の光ファイバに波長λ1を含む多数の波長を有する光信号が入射されると、波長λ1のみを選択的に他方の光ファイバへ伝達することが可能となる。さらに全反射ミラーの反射により光信号は前記バンドパスフィルタを2回通過することから、矩形波に近い光信号を得ることができる。
【0073】
さらに請求項20記載の発明では、前記請求項1〜請求項19のいずれかに記載の2芯ファイバコリメータを、入力側のポートと出力側のポートの少なくとも一方に用いることを特徴とした光結合モジュールとするのものである。
【0074】
この請求項20の構成により、2芯ファイバコリメータにおいて、コリメートレンズから出射される2つのビームのうちの1つのビームは、コリメートレンズの中心軸に略同軸となることから、入力側のポートと出力側のポートの少なくとも一方に当該2芯ファイバコリメータを用いると、2芯ファイバコリメータを含む他の光学部品を配置させて光結合モジュールとする場合に、当該光学部品をコリメートレンズの中心軸にほぼ同軸となるように配置させることが可能となる。
【0075】
さらに請求項21記載の発明では、前記請求項20に記載の光結合モジュールにおいて、入力側あるいは出力側のポートとする2芯ファイバコリメータと、出力側あるいは入力側のポートとする光ファイバを備えており、2芯ファイバコリメータを構成するコリメートレンズの中心軸と略同軸となるように配置されている2芯ファイバコリメータの光ファイバから出射され前記レンズを介して出射したビームが、2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバと光結合することを特徴とする光結合モジュールとするのものである。
【0076】
この請求項21の構成により、2芯ファイバコリメータのコリメートレンズの中心軸に対して略同軸に出射されるビームを、2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバへ伝達することが可能となるとともに、2芯ファイバコリメータおよび2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバは、ほぼ一直線上に配置されるため、小型化することが可能となる。
【0077】
さらに請求項22記載の発明では、前記請求項20に記載の光結合モジュールにおいて、入力側あるいは出力側のポートとする2芯ファイバコリメータと、出力側あるいは入力側のポートとするためのコリメートレンズと光ファイバを備えており、当該2芯ファイバコリメータを構成するコリメートレンズの中心軸と略同軸となるように配置されている2芯ファイバコリメータの光ファイバから出射され当該レンズを介して出射したビームが、当該2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバと光結合することを特徴とする光結合モジュールとするのものである。
【0078】
この請求項22の構成により、2芯ファイバコリメータのコリメートレンズの中心軸に対して略同軸に出射されるビームを、2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバへ伝達することが可能となるとともに、2芯ファイバコリメータおよび2芯ファイバコリメータ以外のコリメートレンズおよび光ファイバは、ほぼ一直線上に配置されるため小型化することが可能となる。
【0079】
さらに請求項23記載の発明では、前記請求項20に記載の光結合モジュールにおいて、入力側あるいは出力側のポートとする2芯ファイバコリメータと、出力側あるいは入力側である受光素子あるいは発光素子である光半導体を備えており、当該2芯ファイバコリメータを構成するコリメートレンズの中心軸と略同軸となるように配置されている2芯ファイバコリメータの光ファイバから出射され当該レンズを介して出射したビームが、当該光半導体と光結合することを特徴とする光結合モジュールとするのものである。
【0080】
この請求項23の構成により、2芯ファイバコリメータのコリメートレンズの中心軸に対して略同軸に出射されるビームを光半導体へ伝達することが可能となるとともに、2芯ファイバコリメータおよび光半導体は、ほぼ一直線上に配置されるため小型化することが可能となる。
【0081】
さらに請求項24記載の発明では、前記請求項20に記載の光結合モジュールにおいて、入力側あるいは出力側のポートとする2芯ファイバコリメータと、偏波無依存型光アイソレータと、出力側あるいは入力側のポートとするためのコリメートレンズと光ファイバを備えており、当該2芯ファイバコリメータと当該2芯ファイバコリメータ以外の光ファイバとの光路中に当該偏波無依存型光アイソレータが配置されており、当該2芯ファイバコリメータを構成するコリメートレンズの中心軸と略同軸となるように配置されている2芯ファイバコリメータの光ファイバから出射され当該レンズを介して出射したビームが、当該2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバと光結合することを特徴とする光結合モジュールとするのものである。
【0082】
この請求項24の構成により、前記2芯ファイバコリメータのコリメートレンズの中心軸に対して略同軸に出射されるビームを、前記2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバへ伝達することが可能となるとともに、前記2芯ファイバコリメータおよび偏波無依存型光アイソレータ、ならびに前記2芯ファイバコリメータ以外のコリメートレンズおよび光ファイバは、ほぼ一直線上に配置されるため、小型化することが可能となる。
【0083】
さらに請求項25記載の発明では、前記請求項24に記載の光結合モジュールにおいて、前記偏波無依存型光アイソレータは、楔型の複屈折板を構成要素とするものであって、かつ、当該楔型の複屈折板のうち反射材料に最も近い複屈折板における楔角度が、2芯ファイバコリメータにおける両光ファイバの中心軸を結ぶ1つの直線と所定の角度を有して交差するように配置されていることを特徴とする光結合モジュールとするのものである。
【0084】
この請求項25の構成により、2芯ファイバコリメータは、概してコリメートレンズから出射されるビームのコリメート領域を長くしようとすると、比較的大きなビーム径を有する必要があり、そのような比較的大きなビーム径をもつビームのアイソレーションを確保するには、楔型の複屈折板を構成要素とする偏波無依存型光アイソレータの使用が有効であって、また、当該楔型の複屈折板のうち反射材料に最も近い複屈折板における楔角度が、2芯ファイバコリメータにおける両光ファイバの中心軸を結ぶ1つの直線と所定の角度を有して交差するように配置されていることから、実用上、十分なアイソレーションを確保することが可能となる。
【0085】
さらに請求項26記載の発明では、前記請求項20〜請求項25のいずれかに記載の光結合モジュールにおいて、当該光結合モジュールの光路中にさらに機能材料を備えていることを特徴とする光結合モジュールとするのものである。
【0086】
この請求項26の構成により、例えば機能材料をある波長λ1を透過することが可能なバンドパスフィルタとした場合、2芯ファイバコリメータの一方の光ファイバに波長λ1を含む多数の波長を有する光信号が入射される場合に、波長λ1のみを選択的に当該2芯ファイバコリメータ以外の光ファイバへ伝達することが可能であるとともに、当該光結合モジュールの構成部品および当該機能材料は、ほぼ一直線上に配置されるため、小型化することが可能となる。
【0087】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態に係る2芯ファイバコリメータについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図1aは、本発明の2芯ファイバコリメータの一例を示す部分断面図であり、図1bは、図1aの断面方向と垂直な方向の部分断面図である。
【0088】
図1aおよび図1bにおいて、20、21、22、23は、それぞれ順に、コリメートレンズの中心軸20、2芯ピグテイルファイバの中心軸(2芯ピグテイルファイバうちの1本の光ファイバの軸線)21、反射材料の反射面の法線軸22、コリメートレンズから出射したビームの軸23、を示している。
【0089】
そして、コリメートレンズ8の中心軸20と2芯ピグテイルファイバのうちの1本の光ファイバの軸線21とが略同軸上となっており、反射材料の反射面の法線軸22は、コリメートレンズ8の中心軸20および2芯ピグテイルファイバのうちの1本の光ファイバの軸線21と一定の角度を成しており、コリメートレンズ8から出射したビームの軸23は、コリメートレンズ8の中心軸20と略同軸となっている。
【0090】
なお、本発明で用いるコリメートレンズ8は、例えばGRINレンズのような非均質媒質レンズではなく、あくまでレンズ端面の形状のみによって集光機能を有する均質媒質レンズであって、具体的には、非球面レンズ、球面レンズ、球レンズ等を指している。
【0091】
そして、コリメートレンズが非球面レンズであって、該レンズの中心軸近傍における光ファイバ側の半径をR1とし、該レンズの中心軸近傍における反射材料側の半径をR2とし、レンズ長をLとし、空気の屈折率をn1とし、該レンズのガラス材の屈折率をn2とし、他方の光ファイバがコリメートレンズの中心軸に対して垂直方向にx0だけ位置ズレがあり、光ファイバの軸線とコリメートレンズの中心軸とが平行である場合に、反射材料の傾きをmとすると、前記(1)式および(2)式を用いて、
m≒−(Ch)(x0)/2
で表されるものである。但し、Chは、
Ch=(n1−n2)[n2(R1+R2)+L(n1−n2)]/[n1n2R1R2]
なる関係式により表される。
【0092】
ここで、2芯ファイバコリメータの結合効率(挿入損失)について、波動光学法を用いて以下、定性的に示すことにする。まず、コリメートレンズとして非球面レンズを用いた場合について述べる。ここで、空気の屈折率をn1とし、コリメートレンズのガラス材の屈折率をn2とし、コリメートレンズの光ファイバ側の近軸半径R1とし、コリメートレンズの反射材料側の近軸半径をR2とし、レンズ長をLとする。そして、コリメートレンズの光ファイバ側の端面から光ファイバの端面までの距離をZ1とし、コリメートレンズの反射材料側の端面から反射材料の端面までの距離をZ2とすると、光線行列は、以下のようになっている。
【0093】
【数式3】
Figure 2004126095
【0094】
そして、光信号の波長をλ1とし、光ファイバのモードフィールド径をw1として、コリメートレンズから出射したビームのビーム径をw2とすると、上記の光線行列について、以下の公式が成り立っている。
【0095】
【数式4】
Figure 2004126095
【0096】
ここで、上記公式を用いて、Z1について解くと、以下の式で表される。
【0097】
【数式5】
Figure 2004126095
【0098】
ただし、
【0099】
【数式6】
Figure 2004126095
【0100】
【数式7】
Figure 2004126095
【0101】
【数式8】
Figure 2004126095
【0102】
である。さらに、上記の光線行列について、以下の公式が成り立っている。
【0103】
【数式9】
Figure 2004126095
【0104】
ここで、この公式によって、Z2について解くと、以下の式で表される。
【0105】
【数式10】
Figure 2004126095
【0106】
ただし、
【0107】
【数式11】
Figure 2004126095
【0108】
【数式12】
Figure 2004126095
【0109】
【数式13】
Figure 2004126095
【0110】
である。そして、w2は、以下の式で表すことができる。
【0111】
【数式14】
Figure 2004126095
【0112】
さらに、光線行列は、以下のようになっている。
【0113】
【数式15】
Figure 2004126095
【0114】
ここで、図13を用いて既に示したように、光ファイバ1’ がコリメートレンズ8の中心軸に垂直な方向に対してx0分だけずれて配置され、かつ、その光ファイバの軸線がコリメートレンズの中心軸に平行である場合には、コリメートレンズから出射したビームについて、コリメートレンズから出射したビームのビームウェイスト位置Zbwにおける、コリメートレンズの中心軸を基準とした場合の軸間方向(X軸方向)のズレ量をS0とし、また、コリメートレンズの中心軸を基準とした場合の傾きをδとすると、S0およびδは、それぞれ以下の式で表される。
【0115】
【数式16】
Figure 2004126095
【0116】
これを解くと、以下のとおりとなる。
【0117】
【数式17】
Figure 2004126095
【0118】
【数式18】
Figure 2004126095
【0119】
図2に、2芯ファイバコリメータにおいて、コリメートレンズから出射されるビームに関して、反射材料近傍における前記ビームの光線模式図を示す。図2において、ψ1(X,Z)は、光ファイバがコリメートレンズの中心軸に垂直な方向に対してx0分だけずれて配置され、かつ、その光ファイバの軸線がコリメートレンズの中心軸に平行である場合におけるコリメートレンズから出射した0次のガウシアンビーム(以下、ガウシアンビームとする)を示している。またψ1m(X,Z)は、前記ψ1(X,Z)がコリメートレンズの中心軸に対して傾きmを有する反射材料により反射したときのガウシアンビームを示している。そして、ψ2(X,Z)は、光ファイバがコリメートレンズの中心軸に垂直な方向に対してずれがなく、かつ、その光ファイバの軸線がコリメートレンズの中心軸に平行である場合におけるコリメートレンズから出射したガウシアンビームを示している。
【0120】
ここで、前記の3つビームとも紙面に垂直な方向に対しては傾きを有していないものとする。なお、反射材料の反射面の中心は原点Oにあるものとしている。そして、反射材料のZ軸方向の位置ずれ量に関して、ビームψ1(X,Z)におけるビームウェイスト位置からのZ軸方向のズレ量をΔZ1とし、コリメートレンズから出射したビームのX軸方向の最終的なズレ量をS3とすると、S3は以下のとおりとなる。
【0121】
【数式19】
Figure 2004126095
【0122】
ここで、コリメートレンズの中心軸に対してX軸方向にS3分だけずれていて、かつ、コリメートレンズの中心軸に対してδだけ傾きが生じているコリメートレンズから出射されたビームが、反射材料により反射する場合を以下に示す。まず、反射材料の傾きをmとすると、反射材料にて反射したビームの傾きは、コリメートレンズの中心軸を基準とした場合δ−2mで表される。次に、反射材料にて反射したビームについて、最終的に生じるコリメートレンズの中心軸に対するX軸方向のズレ量を、Δx3とすると、以下のとおりとなる。
【0123】
【数式20】
Figure 2004126095
【0124】
さらに、反射材料のZ軸方向の位置に関して、ビームウェイスト位置からのZ軸方向のズレ量をΔZ1とすると、反射材料にて反射したビームについて、最終的に生じるコリメートレンズの中心軸に対するZ軸方向のズレ量ΔZ2は、以下のとおりとなる。
【0125】
【数式21】
Figure 2004126095
【0126】
以上より、2芯ファイバコリメータの結合効率ηは、近軸光線近似領域において反射材料の反射率をRとするとWatt単位で以下の式で表され、また、挿入損失LOSSはdB単位で以下の式で表される。
【0127】
【数式22】
Figure 2004126095
【0128】
【数式23】
Figure 2004126095
【0129】
ただし、数式22中のκ、ω12、ω22は、以下の数式でそれぞれ表される。
【0130】
【数式24】
Figure 2004126095
【0131】
【数式25】
Figure 2004126095
【0132】
【数式26】
Figure 2004126095
【0133】
である。したがって、2芯ファイバコリメータの結合効率ηを向上させるためには、(言い換えれば、挿入損失LOSSを低減させるためには)δ≒2mという条件が特に必要であることが、上記の式から明らかとなっている。
【0134】
ここで、以下に具体的な数値を代入することにより、2芯ファイバコリメータの特性を一部示すことにする。まず、n1=1、n2=1.87058、R1=999999(μm)、R2=1570(μm)、L=1280(μm)、λ1=1.48(μm)、w1=5.9(μm)、w2=143.855(μm)とすると、その値はZ1=1118(μm)、Z2=1962(μm)となる。
【0135】
そして、光ファイバのコリメートレンズの中心軸からのズレ量x0=250(μm)とすると、コリメートレンズの中心軸に対してδ=7.951(deg)の傾きを有したビームがコリメートレンズから出射される。したがって、反射材料は、コリメートレンズの中心軸に対してm=7.951/2=3.975(deg)の傾きを有していれば、特に2芯ファイバコリメータの結合効率ηは、向上する。
【0136】
ここで、例えば、mが上記の理想的な値3.975(deg)ではなく、僅かにずれてm=3.960(deg)となっている場合であって、反射材料の反射率がR=0.99となっている場合には、ΔZ1=−100(μm)とすると、その値はη=0.955、LOSS=0.200(dB)となる。このように、特に、反射材料の傾きmが、
m≒−(Ch)(x0)/2
ただし、Ch=(n1−n2)[n2(R1+R2)+L(n1−n2)]/[n1n2R1R2]
なる関係式により表される場合には、挿入損失が良好であることがわかる。
【0137】
そして、1本の光ファイバは、コリメートレンズの中心軸と同軸となっているため、コリメートレンズから出射されるビームは、コリメートレンズの中心軸と完全に同軸となる。なお、上記計算においては、計算を簡易にするために、光ファイバの端面は、斜め研磨加工していないクリーブカットのものとした。ただし、実用上は、光ファイバの先端部での反射戻り光を抑制することが必要であって、光ファイバの端面の斜め研磨加工は必須となるために、厳密にはコリメートレンズの中心軸とは完全には同軸とはならずに略同軸となる。
【0138】
図3は、光ファイバの斜め研磨方向を説明する2芯ピグテイルファイバの立体斜視図である。図3において、光ファイバ1,2は、それらの整列方向と略直交する方向に各光ファイバの先端部を斜めに研磨加工されているものである。そして、図1aおよび図1bに示すような配置で、当該2芯ピグテイルファイバを2芯ファイバコリメータに用いると、光ファイバから出射し、コリメートレンズから出射されたビームのビーム径が、両ファイバに関し全く同じとなることから、結合効率を一層向上させることが可能となり、また、一方の光ファイバの端面から反射材料までの光路長が、他方の光ファイバ端面から反射材料までの光路長と等しくなることから、光路長差に基づく挿入損失を低減することが可能となる。
【0139】
前記の数値計算において、反射材料の反射率がR=0.99として計算したが、ここで、反射材料が光波長分波フィルタである場合には、その反射帯および透過帯の波長の組み合わせは、例えば980/1550nm、1310/1550nm、1480/1550nm、1510/1550nm、1550/1590nm、1016/1310nmなどである。一方、反射材料が光分岐フィルタである場合には、分岐比は、例えば50:50、90:10、95:5、99:1などである。
【0140】
ここで、図1aおよび図1bにおいて、スリーブ4は、光ファイバを空間的にx、y、z方向に調芯した後、YAG溶接固定または接着固定により、他の金具に溶接または他の部品と接着できるようにするためのもので、例えば、ステンレススチール、銅、コバール等の金属やその他、セラミック、ガラス、プラスチック等などでできていて、所定の形状に研削加工され、あるいは、あらかじめ所定の形状となるように成形されていて、外観上円筒構造をもつものであり、あるいは、光ファイバ挿入孔近傍のみが円筒構造であって、その他は角筒構造という複合された構造をもつものである。
【0141】
このとき、スリーブ4には、光ファイバの位置をスリーブ4の中心に、光ファイバ1,2を内包するためのキャピラリ3が圧入されている。ここで、キャピラリ3が2つの細孔を有していてそれぞれの細孔に光ファイバ1,2を内包している場合を図示しているが、もちろんキャピラリが1つの楕円形状の細孔のみを有していてその細孔に両光ファイバを内包させるようにしてもよい。
【0142】
ここで、キャピラリ3は、例えば材料としては、ジルコニア、アルミナ等の酸化物セラミック素材、その他炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム等の非酸化物セラミック素材、または、ほう珪酸ガラス、結晶化ガラス等のガラス素材、ならびにプラスチックス素材、その他金属などである。
【0143】
そして、特にジルコニアは、熱膨張係数が光ファイバのコア(石英ガラス)の熱膨張係数にほぼ等しく、また微細孔を高精度に加工することができ、且つ熱的環境変化に強く、さらにエポキシ系接着剤を介して光ファイバに接着するとその接着力が強いことから、スリーブに圧入固定されるキャピラリの材質として好ましい。
【0144】
また、接着剤5としては、従来から光ファイバ接着用に用いることができるものであれば何でもよく、例えばエポキシ系接着剤やUV系接着剤等を用いることができる。ここで、スリーブの光ファイバ挿入孔への充填性、接着強度、耐熱的環境特性、硬化特性等を考慮すると、特にエポキシ系接着剤が好ましい。また、上記接着剤にフィラー(充填剤)が混入されたものを用いてもかまわない。
【0145】
ここで、コリメートレンズのレンズ鏡筒9とレンズホルダ12とは、YAG溶接14により固定されている。同様に、レンズホルダ12とフェルールホルダ13とは、YAG溶接14’により固定され、フェルールホルダ13と2芯ピグテイルファイバにおけるスリーブ4とは、YAG溶接14’’により固定されている。
【0146】
図1aおよび図1bにおいて、コリメートレンズから出射されるビームがコリメートレンズの中心軸に対して傾きを有する光ファイバ2の一部にマーキング19が施されている。このマーキング19は、コリメートレンズから出射されるビームがコリメートレンズの中心軸に対して傾きをほぼ有しない光ファイバ1との判別をすることが可能であればよく、例えば油性の黒インク等により形成したものであってかまわない。
【0147】
実際には、望ましくは2芯ピグテイルファイバの製作終了時点で、顕微鏡観察やCCDを用いたモニタ観察にて、1本の光ファイバに白色光やHe−Neレーザ光を通光させて確認しながらおこなう。なお、2芯ピグテイルファイバの製作終了時点においてマーキングを施さない場合には、2芯ファイバコリメータの製作終了時点においてマーキングをおこなってもよい。なお、上記とは逆に、光ファイバ1にマーキングを施し、光ファイバ2にマーキングを施さない方法によって区別をおこなっても当然に良い。
【0148】
また、図1aおよび図1bにおいて、ルースチューブ7上の一部にマーキング17が施されている。このマーキング17は、光ファイバの端面の斜め研磨方向を明示するために施されている。この例では、斜め研磨方向に対して垂直な方向における片側にマーキングが施されている。このマーキングは、望ましくは光ファイバの斜め研磨作業後に、顕微鏡観察やCCDを用いたモニタ観察にて、斜め研磨方向を確認しながら、例えば油性の黒インク等により形成するとよい。
【0149】
さらに、図1aにおいて、レンズホルダ上の一部にもマーキング17’ が施されている。このマーキング17’ は、反射材料が傾きを有する側の片側に、反射材料の傾き方向を明示するために施されている。このマーキングは、望ましくはレンズホルダと反射材料とを、接着剤等により固定した後に、顕微鏡観察やCCDを用いたモニタ観察にて、レンズホルダの斜め研磨方向を確認しながら、あるいは、反射材料の斜め研磨の配置を確認しながら、例えば油性の黒インク等により形成する。また、あらかじめ、レンズホルダの製作時点において、レンズホルダの外周の一部に、レンズホルダの斜め研磨方向を明示するための切り欠き(Dカット)等を設けていてもよい。
【0150】
上記のマーキング17およびマーキング17’ は、2芯コリメータの組立作業において、2芯ピグテイルファイバと反射材料の位置を明確にして、取付位置の間違いを防ぐために設けているものであり、図1aおよび図1bに示す例では、マーキング17とマーキング17’ は、一直線上に配置されている。なお、前記マーキング17、17’ は、2芯コリメータの組立作業において、取付位置の間違いを防ぐために設けているため、2芯ピグテイルファイバと反射材料の位置を明確にすることが可能でありさえすれば、必ずしも図1aおよび図1bに示す位置でなくてもよい。さらに、マーキング17はルースチューブ上だけに限らずにスリーブ上の一部に達しても良く、あるいはスリーブ上に一部のみに施してもよい。
【0151】
既に示した(1)式および(2)式により、同一のコリメートレンズを用いた場合、x0が大きくなるのに比例して、|δ|も大きくなり、コリメートレンズの中心軸からの傾きが大きいビームがコリメートレンズから出射される。このときの光線模式図を図4aおよび図4bに示す。ここで、2本の光ファイバ間距離をPとすると、従来の2芯ファイバコリメータにおいてはx0=P/2であり(図4a)、本発明の2芯ファイバコリメータにおいてはx0=Pである(図4b)から、本発明の2芯ファイバコリメータにおけるコリメートレンズから出射されるビームで、コリメートレンズの中心軸に対して略同軸上とならない方のビームは、従来の2芯ファイバコリメータにおけるビームと比べて、ビームの傾きが必然的に大きくなる。
【0152】
したがって、2芯ファイバコリメータのコリメートレンズの中心軸に対して、ほぼ傾きを有せずに反射材料側から当該コリメートレンズに達するビームが存在している場合において、2芯ファイバコリメータのコリメートレンズの中心軸に対して傾きを有する方の光ファイバに光信号が伝達されるときには、本発明の2芯ファイバコリメータは、従来の2芯ファイバコリメータに比して、ビームの傾きが大きいことから、直接的な点で良好である。
【0153】
上記のとおり、反射材料の片面への入射角は、コリメートレンズの形状および屈折率ならびにレンズ長によって定まるのであるが、概略5度以内である。一般に、ある結晶へ入射角が約5度以内で入射した際に発生する偏光依存性(PDL)は、無視できるほど小さいことが知られている。このために、本発明に係る2芯ファイバコリメータにおいても、反射材料の片面上の分波膜あるいは分岐膜の偏光依存性(PDL)は非常に小さく、良好な特性を持つことが明らかである。
【0154】
コリメートレンズの中心軸と略同軸となる光ファイバについて、例えば、反射材料が光波長分波フィルタであって、波長λ1を透過する場合、波長λ1の光が光ファイバに入射されたときに、光ファイバから出射されるビームは、コリメートレンズの中心軸と略同軸となっていることから、コリメートレンズの球面収差の影響がほとんど無い、というメリットを有する。また、コリメートレンズに非球面レンズを用いた場合は、より一層収差の影響を低減することができる。一方、前記光ファイバ以外の光ファイバから出射された光は、コリメートレンズの中心軸近傍を通らないため、収差の影響を受けやすくなるが、この影響はごく僅かで微小であることから、実用上この収差は問題にはなることはない。
【0155】
コリメートレンズの中心軸と略同軸となる光ファイバについて、例えば、反射材料が光波長分波フィルタであって、波長λ1を透過する場合、波長λ1の光が光ファイバに入射されたときに、光ファイバから出射されるビームはコリメートレンズの中心軸と略同軸となっていることから、コリメートレンズから出射されるビームがコリメートレンズの中心軸と略同軸となり、反射材料の後段に他の光部品を配置させて当該光部品と光結合させる場合や、2芯ファイバコリメータを用いて光結合モジュールとした場合などにおいて、特に、前記他の光部品の位置を偏芯させたり、あるいは、前記他の光部品の形状を変更したり、アパーチャ等を拡大させる、などの処置を必要とすることがない。そして、その結果ハウジングを小型にすることが可能となり、製品寸法を小型にすることが可能となる。
【0156】
ここで、反射材料は、接着剤により反射材料のアパーチャに接着剤が入り込まないようにレンズホルダと接着固定されている。そのため、長時間にわたって比較的高い出力を有する光が光ファイバに入ってきた場合であっても、光路中には接着剤自体を透過する領域が存在しないため、当然に接着剤の劣化が進む恐れがない。
【0157】
なお、反射材料とレンズホルダとの固定は、接着剤による接着固定方法以外に、接着剤を用いずに、例えば、反射材料の片面の一部およびレンズホルダの一部にメタライズ処理をおこなった後に、半田固定をおこなうことにより実現させてもよい。具体的には、メタライズ処理の方法は、反射材料の片面の一部に真空蒸着プロセスによりクロム(Cr)の薄膜層を形成した後、白金(Pt)の薄膜層を形成し、さらにその後に金(Au)の薄膜層を形成する。一方、レンズホルダの片面の一部にも、同様に真空蒸着プロセスにより前記クロム、白金、金の薄膜層を形成する。そして、これらの反射材料及びレンズホルダの上に、一定の厚みを有する金(Au)80%、錫(Sn)20%を含む半田泊を載せ、治具等により仮押さえした状態で、アルゴンガス90%、水素10%の混合ガスの雰囲気中において約300℃に加熱し、反射材料をレンズホルダに接合固定する。この場合は有機系接着剤を全く用いていないため、当然に接着剤の劣化を懸念する余地がなく信頼性が確保されている。
【0158】
光ファイバの端面は、光ファイバ端面側での反射戻り光を低減させる目的で斜め研磨されているが、このとき光ファイバの軸線に対する斜め研磨角度をαとすると、光ファイバから出射されるビームは、光ファイバのコア部の屈折率をnfとすると、スネルの法則により、光ファイバの軸線に対してsin−1{nf(sinα)}となる角度を有する。そのため、このときコリメートレンズの中心軸に光ファイバから出射するビームの中心を配置させようとすると、おのずと光ファイバの軸線とコリメートレンズの中心軸とは、厳密には完全に同軸になることはない。
【0159】
そして、そのコリメートレンズの中心軸と垂直な方向の位置ズレ量は、光ファイバの端面とコリメートレンズの光ファイバ側の端面との距離をZZとすると、(ZZ)tan[sin−1{nf(sinα)}]と表わされる。以上示したとおり、コリメートレンズの中心軸に光ファイバから出射するビームの中心を配置させようとするときには、実際上、光ファイバの軸線とコリメートレンズの中心軸とは完全な同軸ではなく、略同軸であることが必要とされる。
【0160】
さらに2芯ファイバコリメータにおいて、当該2芯ファイバコリメータを構成する2芯ピグテイルファイバについて、キャピラリの外径に対する中心軸がフェルールの孔の軸線に対して一定の角度αを有し、当該キャピラリに内包された光ファイバの軸線がフェルールの孔の軸線に対して当該αの傾きを有するとき、光ファイバのコア部の屈折率をnfとしたときに、光ファイバの端面がフェルールの孔の軸線に対してα+sin−1{nf(sinα)}なる角度で研磨されている場合には、同様にスネルの法則により、光ファイバの端面から出射されるビームは、スリーブの外径に関する中心軸に対して完全に同軸となる。
【0161】
この様子を図5aおよび図5bに示す。図5aは2芯ピグテイルファイバの部分断面図であり、図5bは、断面方向が図5aの断面方向とほぼ直交している部分断面図である。このような場合には、光ファイバの端面から出射されるビームの中心をコリメートレンズの中心に配置させようとすると、フェルールの軸とコリメートレンズの中心軸とを完全に同軸にすることが可能となる。そして、コリメートレンズの中心軸に対して全く軸ズレがなく、またコリメートレンズの中心軸に対して傾きを有しない方の光ファイバから出射したビームは、計算するまでもなく、コリメートレンズの中心軸と同軸上にコリメートレンズからビームが出射されることは当然ながら明らかである。
【0162】
この時、光ファイバの種類は、シングルモードファイバ、マルチモードファイバ等があるが、2芯ピグテイルファイバを構成する光ファイバは、ともにシングルモードファイバである場合に限らずに、ともにマルチモードファイバであっても、または、一方の光ファイバがシングルモードファイバであって、他方がマルチモードファイバであるという組み合わせでもよい。さらには、一方の光ファイバまたは両光ファイバが偏波保持ファイバであってもよい。
【0163】
また、光ファイバのいずれか一方は、一般的に使用されている石英をホストガラスとするものに限らずに、例えば、フッ化物をホストガラスとするプラセオジウム(Pr)添加光ファイバのような希土類添加光ファイバであってもよく、あるいはエルビウム(Er)添加光ファイバであってもよい。その光ファイバのいずれか一方がプラセオジウム添加光ファイバである場合には、この光ファイバに別のプラセオジウム添加光ファイバを接続する場合において、融着接続が容易に可能となり、さらに、その融着接続部分における挿入損失を低減することが可能となる。また、同様に、2芯ファイバコリメータの光ファイバのいずれか一方がエルビウム添加光ファイバである場合には、この光ファイバに別のエルビウム添加光ファイバを接続する場合において、融着接続が容易に可能となり、その融着接続部分における挿入損失を低減することが可能となる。
【0164】
また、2芯ファイバコリメータに用いる光ファイバは、コリメートレンズ側での光ファイバの端部近傍のコア径が熱拡大されたコアを有する光ファイバ(TECファイバ=Thermally Expanded Core Fiber)であってもよい。このような光ファイバを用いた場合には、光ファイバの端部近傍のコア径が拡大されているために結合効率のトレランスが緩和されることから、部品の寸法トレランスを緩和することが可能となり、または、環境の温度変動などによるコリメートレンズや反射材料といった部品の変動に伴う結合効率の変動を低減させることが可能となる。
【0165】
次に、本発明の光結合モジュールに関して以下説明する。図6aおよび図6bは、本発明の2芯ファイバコリメータを使用し、光半導体31を接続するようにした光結合モジュールの光線模式図である。この2芯ファイバコリメータにおけるコリメートレンズの中心軸と略同軸となるようなビームと、光半導体31とが光結合するように配置されており、結果として、2芯ファイバコリメータのコリメートレンズ8の中心軸と光半導体31の中心軸とが略同軸となり、ほぼ一直線上に配置されているため、ハウジングを小型化することが可能である。このとき、光半導体31は、受光素子あるいは発光素子であり、反射材料10は平行平板型構造の光波長分波フィルタあるいは光分岐フィルタである。
【0166】
また、図7aおよび図7bも、本発明の2芯ファイバコリメータを使用し、光半導体31’を接続するようにした光結合モジュールの光線模式図であるが、反射材料10は平行平板型構造ではなく、片面が傾斜面である楔型構造であることを特徴とするのものである。このような場合、反射材料が平行平板型構造である場合に生じることのある多重反射による干渉に関して、反射材料を片面が傾斜面である楔型構造としていることから、上記干渉を回避することが可能となる。
【0167】
そして、実例として、前記の光半導体を接続するようにした光結合モジュールの具体的な部分断面図を図8に示す。図8において、接着剤(図示せず)により固定されている光半導体31を有する光半導体ホルダ27と、2芯ファイバコリメータのレンズホルダ12とがYAG溶接されており、さらに光半導体ホルダ27が外装パイプ26とYAG溶接され、加えて外装パイプ26とパイプキャップ25とがYAG溶接により固定されている。なお、ここで、用いている反射材料10は平行平板型構造を有するものである。図8からもわかるとおり、本発明の光結合モジュールは2芯ファイバコリメータと光半導体とがほぼ一直線上に配置され小型化されている。
【0168】
さらに、本発明の別の光結合モジュールに関して以下に説明する。図9aは、本発明の2芯ファイバコリメータを使用し、コリメートレンズおよび光ファイバを配置して光結合させる光結合モジュールの光線模式図である。図9bは、図9aの図示方向と垂直な方向から図示した光結合モジュールの光線模式図である。この2芯ファイバコリメータにおいて、コリメートレンズ8の中心軸と略同軸となっている光ファイバから出射されたビームは、コリメートレンズ8の中心軸と略同軸となるようにコリメートレンズ8から出射される。そのビームは、別なコリメートレンズ8’’ の中心軸に対して略同軸となるように別なコリメートレンズ8’’ へ入射し、光ファイバ1’ へ伝達される。
【0169】
なお、図9aおよび図9bに示している別なコリメートレンズ8’’ は、光ファイバ1’ と光結合することができさえすればよいため、必ずしも2芯ファイバコリメータで用いられるコリメートレンズと同型である必要はない。また、図9aおよび図9bに示している別なコリメートレンズ8’’ は、2芯ファイバコリメータから出射されるビームと光ファイバ1’ とが十分に光結合される場合にはあえて必要としない。
【0170】
図10は、本発明の2芯ファイバコリメータを使用し、当該2芯ファイバコリメータの後段に、偏波無依存型光アイソレータ、コリメートレンズおよび光ファイバを順に配置させて光結合させる構成の一例を示す、本発明に係る光結合モジュールの部分断面図である。図10からもわかるように前記2芯ファイバコリメータ、偏波無依存型光アイソレータ、別のコリメートレンズ、別の光ファイバは、すべてほぼ一直線上に配置されており、一体形状で小型化されている。
【0171】
また図10において、偏波無依存型光アイソレータ28は前記2芯ファイバコリメータと前記別のコリメートレンズ8’’ との間に配置されるように図示されているが、これに限らずに、2芯ファイバコリメータと光ファイバ1’ との間の光路上にありさえすればよい。また、偏波無依存型光アイソレータ28の順方向は特に図示していないが、光結合モジュールの使用用途に応じて、2芯ファイバコリメータへ向かう方向を順方向としてもよく、または2芯ファイバコリメータから離れる方向を順方向とするように配置させてもよい。
【0172】
なお、図10で図示されている偏波無依存型光アイソレータ28は、楔型構造を有する複屈折板29を構成要素の1つとする偏波無依存型光アイソレータ構造であるが、アイソレーションが十分に確保されるのであれば平行平板型構造を有する複屈折板を構成要素の1つとする偏波無依存型光アイソレータを使用してもかまわない。なお、図示している偏波無依存型光アイソレータは2枚のファラデー回転子を有する「2段型」であるが、当然ながら1枚のファラデー回転子を有する「1段型」であってもよい。
【0173】
【実施例】
上記の内容に従い、図1に示すところの本発明による2芯ファイバコリメータを十台製作した。そして、比較のため同時に、図11に示す従来の2芯ファイバコリメータも同数製作し比較した。まず、外径φ2.55mm、長さ8.5mmの円筒状のスリーブ4にキャピラリ3を圧入してフェルールとし、その後にキャピラリ3の細孔とスリーブ4の外径の同心度を高精度にするために、フェルールの外径をφ2.5mmとする外径加工を施した。ここで、スリーブ4の光ファイバ挿入孔側の挿入孔の内径はφ1mmである。このとき、スリーブ4の材質はステンレススチール(SUS304L)であり、キャピラリ3の材質はジルコニアである。なお、キャピラリ3は2つの独立した細孔を有し、その細孔の外径がφ0.126mmであり、細孔間のピッチが250(μm)であるものを使用した。
【0174】
次に、外径φ0.9mm、内径φ0.5mm、長さ16mmのルースチューブ7と、外径φ0.25mmのシングルモードファイバである片端部の一次被覆の一部を除去した光ファイバ(片端部の一次被覆の一部を除去した部分の光ファイバの外径はφ0.125mmである)1,2とを、ルースチューブ7内にUV系接着剤6を塗布し接着固定して目止めをおこない、その後、キャピラリ3の細孔およびテーパ穴部に挿入し、挿入部分をエポキシ系接着剤5で充填して接着固定し、2芯ピグテイルファイバを作成した。前記エポキシ系接着剤の硬化条件は、いずれも100℃、3時間とした。
【0175】
なお、ルースチューブ7は、ルースチューブ7自身が高温高湿試験によってなるべく伸縮しないように、接着工程前にあらかじめ単体で−40℃〜85℃のヒートサイクル試験(50サイクル)によって、スクリーニングが実施されているものを用いた。
【0176】
コリメートレンズ8は、n2=1.87058、R1=999999(μm)、R2=1570(μm)、L=1280(μm)である非球面レンズを使用した。ここで、x0=250(μm)、λ1=1.48(μm)とすると、δ=7.951(deg)となることから、コリメートレンズ8の中心軸に対する反射材料の傾きmが、δ/2=3.975(deg)となるように、レンズホルダの反射材料取付部に同数値の傾きを施したものを使用した。また、反射材料がビームウェイスト位置からコリメートレンズ側に100(μm)分短い位置に配置する(ΔZ=−100(μm))ことができるような形状を有するレンズホルダ12を使用した。
【0177】
そして、接着剤の硬化が完了した後、キャピラリ3の前方部における、片端部の一次被覆の一部を除去した光ファイバの端面をキャピラリ3とともに、スリーブの軸線方向と垂直な方向に対して、8度の角度になるように斜め研磨加工し、その後、光ファイバ1,2の端面に無反射コートを施した。光ファイバ1,2はいずれもコーニング社製のSMF−28である。そして、反射材料は、イオンプレーティング法によりBK−7ガラス基板の反射面上にTaおよびSiOを膜材として略100層の分波膜を施し、他方の面上にはTaおよびSiOを膜材とした無反射コートを施して、波長1480nm帯の光信号を反射して波長1550nm帯の光信号を透過する1480/1550nmの長波長透過フィルタとし、平行平板型構造の厚さ1mmのものを使用した。
【0178】
そして、材質がSUS304Lであるレンズホルダ12と、材質がSF101であるコリメートレンズのレンズ鏡筒9とをYAG溶接によって固定し、その後前記レンズホルダ12と前記反射材料10とをエポキシ系接着剤353NDにて接着固定した。そして、反射材料10とコリメートレンズ8とを内包するレンズホルダ12と、2芯ピグテイルファイバとフェルールホルダ13について挿入損失を計測しながら調芯してYAG溶接により組み立てた。なお、両2芯ファイバコリメータの組立波長はともに1480nmである。
【0179】
このようにして製作した図1に示す本発明による2芯ファイバコリメータ、および図11に示す従来の2芯ファイバコリメータについて、組立製作した後に、全数につき、評価波長1480nmにおいて挿入損失を室温にて実測評価した。
【0180】
この時の結果を表1に示す。
【0181】
【表1】
Figure 2004126095
【0182】
前記表1からわかるように、本発明の2芯ファイバコリメータの挿入損失値は平均値で0.2760(dB)であり、一方、従来の2芯ファイバコリメータの挿入損失値は平均値で0.3044(dB)であり、両者に大きな差は見られず、同等あるいは僅かに本発明の2芯ファイバコリメータが良好な特性を有していることが判明した。
【0183】
その後、それぞれの2芯ファイバコリメータについて、ビームプロファイラーを用いて、本発明の2芯ファイバコリメータにおいては、コリメートレンズの中心軸とほぼ同軸となるようなビームにおいて反射材料を透過した実際のビームの傾きを、また、従来の2芯ファイバコリメータにおいては、コリメートレンズから出射される一方のビームの反射材料を透過した実際のビームの傾きを評価した。ここで、ビームの傾きの基準はいずれもコリメートレンズの中心軸とした。その評価の際の波長はいずれも1550nmとした。
【0184】
この時の結果を表2に示す。
【0185】
【表2】
Figure 2004126095
【0186】
前記表2からわかるように、本発明の2芯ファイバコリメータのコリメートレンズの中心軸に対するビームの傾きは平均値で−0.001(deg)であり、一方、従来の2芯ファイバコリメータのコリメートレンズの中心軸に対するビームの傾きは平均値で3.891(deg)であり、両者ともほぼ設計値と同様な値を有することが判明した。したがって、本発明の2芯ファイバコリメータは、従来の2芯ファイバコリメータとは異なり、コリメートレンズの中心軸と略同軸となるようなビームを有することが実証された。
【0187】
次に、上記の本発明の2芯ファイバコリメータと、偏波無依存型光アイソレータと、コリメートレンズと、1本の光ファイバを構成部品とする図10に示す光結合モジュールを十台製作した。そして、同時に比較のため、従来の2芯ファイバコリメータと、偏波無依存型光アイソレータと、コリメートレンズと、1本の光ファイバを構成部品とする光結合モジュールを同数製作した。なお、両光結合モジュールとも前記偏波無依存型光アイソレータは、楔型の複屈折板を有する偏波無依存型光アイソレータ(ただし2段型)であり、ともに光結合モジュールの内部のコリメートレンズは同じ型式のものを使用し、また光ファイバについても同じ型式のものを使用した。そして光結合モジュールとも組立波長は1550nmとした。そして、組立終了後に波長1550nmにおける挿入損失を室温にて実測評価した。
【0188】
この時の結果を表3に示す。
【0189】
【表3】
Figure 2004126095
【0190】
前記表3からわかるように、本発明の2芯ファイバコリメータを用いた光結合モジュールの挿入損失は平均値で0.5693(dB)であり、一方、従来の2芯ファイバコリメータを用いた光結合モジュールの挿入損失は平均値で0.5883(dB)であり、両者に大きな差は見られずに、同等あるいは僅かに本発明の2芯ファイバコリメータが良好な特性を有していることが判明した。
【0191】
【発明の効果】
以上、詳しく述べたように、本発明では、2芯ファイバコリメータおよび光結合モジュールにおいて、小型で量産性に優れ、低価格で、かつ、高い信頼性を有する2芯ファイバコリメータおよび光結合モジュールを実現することができる。
【0192】
特に請求項1の構成では、2芯ピグテイルファイバを構成する1つの光ファイバの軸線が、コリメートレンズの中心軸と略同軸上に配置されることから、前記1つの光ファイバから出射されるビームがレンズを介した際に、レンズから出射されるビームの光軸が、前記レンズの中心軸と略同軸となる2芯ファイバコリメータを提供することができる。
【0193】
また請求項2の構成では、前記2芯ピグテイルファイバを構成する1つの光ファイバの軸線が、前記コリメートレンズの中心軸と略同軸上に配置されていることから、レンズから出射されるビームは、レンズの略同軸となることが可能となり、さらに2芯ファイバコリメータの結合効率を向上させることが可能となる。そして、光ファイバから出射し、前記コリメートレンズから出射されたビームのビーム径が、両ファイバに関して全く同じとなることから、結合効率を一層向上させることが可能となる。また、一方の光ファイバの端面から反射材料までの光路長が、他方の光ファイバ端面から反射材料までの光路長と等しくなることから、光路長差に基づく挿入損失を低減することが可能となる。
【0194】
また請求項3の構成では、光ファイバの先端部での反射戻り光を抑制することが可能となるとともに、光ファイバから出射し、コリメートレンズから出射されたビームのビーム径が、両ファイバに関して全く同じとなることから、結合効率を一層向上させることが可能となる。また、一方の光ファイバの端面から反射材料までの光路長が、他方の光ファイバ端面から反射材料までの光路長と等しくなることから、光路長差に基づく挿入損失を低減することが可能となる。
【0195】
また請求項4の構成では、2芯ファイバコリメータにおいて、一方の光ファイバによりコリメートレンズから出射したビームは、波長に応じて光信号の一部あるいは大部分につき、前記反射材料にて反射させ、あるいは反射材料を透過させることが可能となる。
【0196】
また請求項5の構成では、光波長分波フィルタの波長特性に応じて特定の波長を前記反射材料にて反射させ、あるいは反射材料を透過させることが可能となるとともに、前記反射材料のガラス基板として、例えばBK−7ガラスや白板ガラスを使用する場合には反射材料を低価格とすることが可能となり、また一般に、Ta、TiOおよびSiOは膜材として良く知られており、使用実績が十分にあることから、信頼性を向上をさせることが可能となる。さらに特に、TaとSiOの誘電体多層膜は、TiOとSiOの誘電体多層膜に比べて一般に膜吸収が少ない傾向がみられることから、光ファイバに比較的高いパワーが伝達されて多層膜上に照射された場合であっても、膜損傷を抑制することが可能となり信頼性の点で向上させることができる。
【0197】
また請求項6の構成では、2芯ファイバコリメータにおいて、一方の光ファイバによりコリメートレンズから出射したビームは、光分岐フィルタの分岐比に応じて光信号の一部あるいは大部分につき、前記反射材料にて反射させ、あるいは反射材料を透過させることが可能となる。
【0198】
また請求項7の構成では、光分岐フィルタの分岐比に応じて光を前記反射材料にて反射させ、あるいは反射材料を透過させることが可能となるとともに、前記反射材料のガラス基板として、例えばBK−7ガラスや白板ガラスを使用する場合には反射材料を低価格とすることが可能となり、また一般に、Ta、TiOおよびSiOは、膜材として良く知られており使用実績が十分にあることから、信頼性を向上をさせることが可能となる。さらに特に、TaとSiOの誘電体多層膜は、TiOとSiOの誘電体多層膜に比べて一般に膜吸収が少ない傾向がみられることから、光ファイバに比較的高いパワーが伝達されて多層膜上に照射された場合であっても、膜損傷を抑制することが可能となり信頼性の点で向上させることができる。
【0199】
また請求項8の構成では、反射材料の片面は、ガラス基板の素面、あるいは光学的に透明な素材の基板の素面となり、素面を形成する物質自体の屈折率に応じた表面反射率にてコリメートレンズから出射されるビームは反射されるため、当該反射材料の片面上に特に分岐膜を形成せずに、基板の素材を任意に選択することによってのみ、反射率を選択することが可能となり、低価格な反射材料とすることができる。このような素面を形成する物質自体の屈折率に応じた表面反射率を利用する場合には、一般には入射角が大きい場合には偏光依存性の点で問題になることがあるが、本発明の2芯ファイバコリメータにあっては、入射角が比較的小さいため偏光依存性が問題とならずに使用することができる。また、このように物質の素面のみを利用しているため、比較的大きいパワーを有する光が入射しても膜吸収自体が存在しえないために、この面における光損傷を著しく抑制することが可能となる。
【0200】
また請求項9の構成では、コリメートレンズから出射したビームは、厳密には、反射材料がコリメートレンズの中心軸に対して一定の角度を有しているため、反射材料の屈折率に応じたウォークオフ(コリメートレンズの中心軸に垂直な方向のビームの位置ズレ)が生じるのであるが、反射材料が平行平板型構造であることから、コリメートレンズの中心軸と略同軸となるように配置された光ファイバから出射し、コリメートレンズを介して反射材料を透過したビームは、コリメートレンズの中心軸に対してほぼ角度を有することなく、略同軸とすることが可能となる。
【0201】
また請求項10の構成では、反射材料が平行平板型構造である場合に生じることのある多重反射による干渉に関して、反射材料を片面が傾斜面である楔型構造とすることから、上記干渉を回避することが可能となる。また、反射材料を透過したビームについて、反射材料の屈折率、楔角度に応じてコリメートレンズの中心軸に対して任意に所定の角度を有することが可能となる。
【0202】
また請求項11の構成では、反射面である前記コリメートレンズ側の反射材料の片面の位置が、コリメートレンズから出射されたビームのビームウェイスト位置に一致するように配置されているために、2芯ファイバコリメータの結合効率を最良のものにすることが可能となる。
【0203】
また請求項12の構成では、反射面である前記コリメートレンズ側の反射材料の片面の位置が、コリメートレンズから出射されたビームのビームウェイスト位置からわずかに短い位置に、あるいはわずかに長い位置に配置されているために、その位置がコリメートレンズから出射されるビームのコリメート領域内とみなせる場合には、その位置でのビームのスポットサイズはビームウェイスト位置でのビームのスポットサイズとほぼ同じであることから、高い結合効率を実現することが可能となる。
【0204】
また請求項13の構成では、光ファイバの斜め研磨方向を判別することが可能となるために、2芯ファイバコリメータを製作する際に光ファイバの斜め研磨方向についてキャピラリの斜め研磨方向を観察することをせずに、肉眼あるいは顕微鏡もしくはCCDカメラにより判別でき、配置を間違えることなく組立てることが可能となる。
【0205】
また請求項14の構成では、コリメートレンズから出射する2つのビームのうち、コリメートレンズの中心軸に対して略同軸となるようなビームを出射する光ファイバを判別することができ、例えばこの2芯ファイバコリメータを用いる光結合モジュールや、2芯ファイバコリメータの反射材料のコリメートレンズ側でない位置に光半導体等を配置させるモジュールの製作の際において、2芯ファイバコリメータの固定のために結合効率を計測しながらおこなう調芯時の間違いを防ぐことが可能となる。
【0206】
また請求項15の構成では、キャピラリにおける2つの細孔のうちキャピラリの外径に対して同軸となる細孔に、コリメートレンズの中心軸に対して略同軸となるようなビームを出射する光ファイバが挿入されている場合には、当該光ファイバは環境の温度変動によりキャピラリ及びスリーブ等が熱膨張により位置変動する場合であっても、キャピラリの外径に対して同軸となっていることから、環境の温度変動による位置変動を構造的に低減させることが可能である。
【0207】
また請求項16の構成では、光ファイバから出射されるビームは、スリーブの外径の軸線に対して完全に平行となるため、コリメートレンズの中心軸と略同軸となる光ファイバから出射される光がコリメートレンズを介してコリメートレンズから出射されるビームは、コリメートレンズの中心軸に略同軸とすることが可能となる。
【0208】
また請求項17の構成では、2芯ファイバコリメータの光ファイバのいずれかの一方をプラセオジウム添加光ファイバとすることにより、この光ファイバに別のプラセオジウム添加光ファイバを接続する場合において、融着接続が容易に可能となる。また、同様に、2芯ファイバコリメータの光ファイバのいずれか一方をエルビウム添加光ファイバとすることにより、この光ファイバに別のエルビウム添加光ファイバを接続する場合において、融着接続が容易に可能となる。
【0209】
また請求項18の構成では、光ファイバのモードフィールド径が、通常の光ファイバのモードフィールド径に比して大きくなることから、結合効率のトレランスが緩和され、そのため光学部品や金属部品の寸法トレランスを緩和することが可能となり、または、外部環境の温度変動などによるコリメートレンズや反射材料といった部品の変動に伴う結合効率の変動を低減させることが可能となる。
【0210】
また請求項19の構成では、例えば反射材料を全反射ミラーとし、機能材料をある波長λ1を透過することが可能なバンドパスフィルタとした場合、2芯ファイバコリメータの一方の光ファイバに波長λ1を含む多数の波長を有する光信号が入射されると、波長λ1のみを選択的に他方の光ファイバへ伝達することが可能となり、さらに全反射ミラーの反射により光信号は当該バンドパスフィルタを2回通過することから、矩形波に近い光信号を得ることができる。
【0211】
また請求項20の構成では、2芯ファイバコリメータにおいて、コリメートレンズから出射される2つのビームのうちの1つのビームは、コリメートレンズの中心軸に略同軸となることから、入力側のポートと出力側のポートの少なくとも一方に当該2芯ファイバコリメータを用いると、2芯ファイバコリメータを含む他の光学部品を配置させて光結合モジュールとする場合に、当該光学部品をコリメートレンズの中心軸にほぼ同軸となるように配置させることが可能となる。
【0212】
また請求項21の構成では、2芯ファイバコリメータのコリメートレンズの中心軸に対して略同軸に出射されるビームを、2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバへ伝達することが可能となるとともに、2芯ファイバコリメータおよび2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバは、ほぼ一直線上に配置されるため、小型化することが可能となる。
【0213】
また請求項22の構成では、2芯ファイバコリメータのコリメートレンズの中心軸に対して略同軸に出射されるビームを、2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバへ伝達することが可能となるとともに、2芯ファイバコリメータおよび2芯ファイバコリメータ以外のコリメートレンズおよび光ファイバは、ほぼ一直線上に配置されるため、小型化することが可能となる。
【0214】
また請求項23の構成では、2芯ファイバコリメータのコリメートレンズの中心軸に対して略同軸に出射されるビームを光半導体へ伝達することが可能となるとともに、2芯ファイバコリメータおよび光半導体は、ほぼ一直線上に配置されるため、小型化することが可能となる。
【0215】
また請求項24の構成では、2芯ファイバコリメータのコリメートレンズの中心軸に対して略同軸に出射されるビームを、2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバへ伝達することが可能となるとともに、2芯ファイバコリメータおよび偏波無依存型光アイソレータ、ならびに2芯ファイバコリメータ以外のコリメートレンズおよび光ファイバは、ほぼ一直線上に配置されるため、小型化することが可能となる。
【0216】
また請求項25の構成では、2芯ファイバコリメータは、概してコリメートレンズから出射されるビームのコリメート領域を長くしようとすると、比較的大きなビーム径を有する必要があり、そのような比較的大きなビーム径をもつビームのアイソレーションを確保するには、楔型の複屈折板を構成要素とする偏波無依存型光アイソレータの使用が有効であって、また、当該楔型の複屈折板のうち反射材料に最も近い複屈折板における楔角度が、2芯ファイバコリメータにおける両光ファイバの中心軸を結ぶ1つの直線と所定の角度を有して交差するように配置されていることから、実用上、十分なアイソレーションを確保することが可能となる。
【0217】
また請求項26の構成では、例えば機能材料をある波長λ1を透過することが可能なバンドパスフィルタとした場合、2芯ファイバコリメータの一方の光ファイバに波長λ1を含む多数の波長を有する光信号が入射される場合に、波長λ1のみを選択的に当該2芯ファイバコリメータ以外の光ファイバへ伝達することが可能となるとともに、当該光結合モジュールの構成部品および当該機能材料は、ほぼ一直線上に配置されるため、小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の2芯ファイバコリメータの一例を示す部分断面図(a)、及び前記図(a)における図示方向と垂直な方向から図示した同部分断面図(b)である。
【図2】2芯ファイバコリメータにおいて、コリメートレンズから出射した際のビーム経路に関する光線模式図である。
【図3】光ファイバの端部斜め研磨方向を示す2芯ピグテイルファイバの立体斜視図である。
【図4】コリメートレンズの中心軸からの傾きが大きいビームが、コリメートレンズから出射される場合における光線の様子を説明するための光線模式図(a)、及び前記図(a)における図示方向と垂直な方向から図示した光線模式図(b)である。
【図5】光ファイバの端面から出射されるビームの中心を、コリメートレンズの中心に配置させようとすることを説明するための、2芯ファイバコリメータを構成する2芯ピグテイルファイバの部分断面図である。
【図6】本発明の2芯ファイバコリメータを使用し、光半導体を接続するようにした本発明に係る光結合モジュールの光線模式図(a)、及び前記図(a)における図示方向と垂直な方向から図示した光線模式図(b)である。
【図7】本発明の2芯ファイバコリメータを使用し、かつその2芯ファイバコリメータを構成する反射材料について片面が傾斜面である楔型構造であって、光半導体を接続するようにした本発明に係る光結合モジュールの光線模式図(a)、及び前記図(a)における図示方向と垂直な方向から図示した光線模式図(b)である。
【図8】本発明の2芯ファイバコリメータを使用し、当該2芯ファイバコリメータの後段に光半導体を配置させて光結合させる、本発明に係る光結合モジュールの実例を示す部分断面図である。
【図9】本発明の2芯ファイバコリメータを使用し、当該2芯ファイバコリメータの後段に、コリメートレンズおよび光ファイバを配置させて光結合させる、本発明に係る光結合モジュールの光線模式図(a)、及び前記図(a)における図示方向と垂直な方向から図示した光線模式図(b)である。
【図10】本発明の2芯ファイバコリメータを使用し、当該2芯ファイバコリメータの後段に、コリメートレンズおよび光ファイバを配置させて光結合させる、本発明に係る光結合モジュールの実例を示す部分断面図である。
【図11】従来の2芯ファイバコリメータの一例を示す部分拡大断面図(a)、及び断面方向を90度傾けた時の同部分断面図(b)である。
【図12】従来の2芯ファイバコリメータの一例を示す光線模式図(a)、及び前記図(a)における図示方向と垂直な方向から図示した光線模式図(b)である。
【図13】光ファイバがコリメートレンズの中心軸に対して位置ずれしているときの光線模式図である。
【図14】従来の2芯ファイバコリメータの別の一例を示す部分拡大断面図(a)、及び前記図(a)における図示方向と垂直な方向から図示した同部分断面図(b)である。
【符号の説明】
1、1’、2  光ファイバ
3、3’  キャピラリ
4、4’  スリーブ
5、15  接着剤(エポキシ系接着剤)
6、16  接着剤(UV系接着剤)
7  ルースチューブ
8、8’’  コリメートレンズ
8’  GRINレンズ
9  レンズ鏡筒
10、10’  反射材料
11、11’  接着剤
12  レンズホルダ
13  フェルールホルダ
14、14’、14’’  YAG溶接箇所
17    光ファイバの端面の斜め研磨方向を明示するためのマーキング
17’  レンズホルダ上の反射材料の傾き方向を明示するためのマーキング
18  ハウジング
19  光ファイバの判別用のマーキング
20  コリメートレンズの中心軸
21  2芯ピグテイルファイバの中心軸
22  反射材料の反射面の法線軸
23、23’  コリメートレンズから出射したビームの軸
24  2芯ファイバコリメータにおけるスリーブの軸
25  パイプキャップ
26  外装パイプ
27  光半導体ホルダ
28  偏波無依存型光アイソレータ
29  楔型構造を有する複屈折板
30  分波膜(あるいは分岐膜)
31、31’   光半導体

Claims (26)

  1. 2芯ピグテイルファイバおよびコリメートレンズならびに反射材料を備えてなる2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料が前記コリメートレンズの中心軸に対して垂直ではない一定の角度を有し、かつ、前記反射材料が前記コリメートレンズから出射されるビームのビームウェイスト位置に配置され、かつ、前記2芯ピグテイルファイバを構成する1つの光ファイバの軸線が前記コリメートレンズの中心軸と略同軸上に配置されることにより、前記1つの光ファイバから出射されるビームが前記コリメートレンズを介した際に、前記コリメートレンズから出射されるビームの光軸が前記コリメートレンズの中心軸と略同軸となる保持構造を有することを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  2. 請求項1に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記コリメートレンズが非球面レンズであって、前記レンズの中心軸近傍における光ファイバ側の半径をR1とし、同レンズの中心軸近傍における反射材料側の半径をR2とし、レンズ長をLとし、同レンズのガラス素材の屈折率をn2とし、空気の屈折率をn1として、
    前記2芯ピグテイルファイバの2本の光ファイバのうちの1本の光ファイバが、当該レンズの中心軸と略同軸となるように配置されており、かつ、他方の光ファイバが前記レンズの中心軸に対して垂直方向にx0だけ位置ズレがあり、かつ、光ファイバの軸線が前記レンズの中心軸に対して平行であり、かつ、反射材料が2本の光ファイバの整列方向に対して傾きを有しており、前記レンズの中心軸を基準とした反射材料の傾きをmとしたときに、
    m≒−(Ch)(x0)/2
    ただし、Ch=(n1−n2)[n2(R1+R2)+L(n1−n2)]/[n1n2R1R2]
    からなる関係式により表されることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、2つの光ファイバの整列方向と略直交する方向に対し、前記各光ファイバの先端部を斜めに研磨したことを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  4. 請求項1〜請求項3に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、長波長透過フィルタまたは短波長透過フィルタあるいはバンドパスフィルタのいずれかの光波長分波フィルタであることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  5. 請求項1〜請求項4に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、ガラス基板、あるいは光学的に透明な素材の基板を使用し、反射材料の両面あるいは前記コリメートレンズ側のガラス基板の面に、TaとSiOの誘電体多層膜あるいはTiOとSiOの誘電体多層膜を形成した光波長分波フィルタであることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  6. 請求項1〜請求項3に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、光分岐フィルタであることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  7. 請求項1〜請求項3または請求項6に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、ガラス基板、あるいは光学的に透明な素材の基板を使用し、反射材料の両面あるいはコリメートレンズ側の基板の面に、TaとSiOの誘電体多層膜、あるいはTiOとSiOの誘電体多層膜を形成した光分岐フィルタであることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  8. 請求項1〜請求項3または請求項6に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、ガラス基板、あるいは光学的に透明な素材の基板を使用し、反射材料の反射面であるコリメートレンズ側の片面に誘電体多層膜を一切含まない、光分岐フィルタであることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  9. 請求項1〜請求項8に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、平行平板型構造であることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  10. 請求項1〜請求項8に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料は、片面が傾斜面である楔型構造であることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  11. 請求項1〜請求項10に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、反射面である前記コリメートレンズ側の反射材料の片面の位置が、コリメートレンズから出射されたビームのビームウェイスト位置に一致するように配置されていることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  12. 請求項1〜請求項10に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、反射面である前記コリメートレンズ側の反射材料の片面の位置が、コリメートレンズから出射されたビームのビームウェイスト位置からわずかに短い位置に、あるいはわずかに長い位置に配置されていることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  13. 請求項1〜請求項12に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、スリーブの一部に、光ファイバの斜め研磨方向を判別するためのマーキングを備えていることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  14. 請求項1〜請求項13に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、コリメートレンズから出射したビームが、コリメートレンズの中心軸に対して略同軸となるような光ファイバ、もしくは、前記光ファイバと異なる他方の光ファイバのどちらかの一方の一部に、判別用のマーキングを備えていることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  15. 請求項1〜請求項14に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、2つの細孔を有するキャピラリの1つの細孔の中心軸が、キャピラリの外径に対して同軸となることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  16. 請求項1〜請求項15に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、2芯ファイバコリメータを構成する2芯ピグテイルファイバについて、キャピラリの外径に対する中心軸がスリーブの孔の軸線に対して一定の角度αをもち、前記キャピラリに内包された光ファイバの軸線が、前記スリーブの孔の軸線に対して前記αの角度をもつとき、光ファイバのコア部の屈折率をnfとしたときに、光ファイバの先端部がフェルールの孔の軸線に対してα+sin−1{nf(sinα)}なる角度で研磨されていること特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  17. 請求項1〜請求項16に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、光ファイバのいずれかの一方が、プラセオジウム(Pr)添加光ファイバ、あるいはエルビウム(Er)添加光ファイバであることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  18. 請求項1〜請求項17に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、両光ファイバの先端部が光ファイバの端部近傍のコア径が熱拡大されたコアを有する光ファイバ(TECファイバ=Thermally Expanded Core Fiber)であることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  19. 請求項1〜請求項18に記載の2芯ファイバコリメータにおいて、前記反射材料と前記コリメートレンズとの間に機能材料を備えており、機能材料から出射されるビームの軸が、前記コリメートレンズの中心軸と略同軸となることを特徴とする2芯ファイバコリメータ。
  20. 請求項1〜請求項19のいずれかに記載の2芯ファイバコリメータを、入力側のポートと出力側のポートの少なくとも一方に用いることを特徴とした光結合モジュール。
  21. 請求項20に記載の光結合モジュールにおいて、入力側あるいは出力側のポートとする2芯ファイバコリメータと、出力側あるいは入力側のポートとする光ファイバを備えており、2芯ファイバコリメータを構成するコリメートレンズの中心軸と略同軸となるように配置されている2芯ファイバコリメータの光ファイバから出射され前記レンズを介して出射したビームが、前記2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバと光結合することを特徴とする光結合モジュール。
  22. 請求項20に記載の光結合モジュールにおいて、入力側あるいは出力側のポートとする2芯ファイバコリメータと、出力側あるいは入力側のポートとするためのコリメートレンズと光ファイバを備えており、前記2芯ファイバコリメータを構成するコリメートレンズの中心軸と略同軸となるように配置されている2芯ファイバコリメータの光ファイバから出射されレンズを介して出射したビームが、前記2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバと光結合することを特徴とする光結合モジュール。
  23. 請求項20に記載の光結合モジュールにおいて、入力側あるいは出力側のポートとする2芯ファイバコリメータと、出力側あるいは入力側に受光素子または発光素子である光半導体を備えており、
    当該2芯ファイバコリメータを構成するコリメートレンズの中心軸と略同軸となるように当該レンズを介して出射されるビームが、当該光半導体と光結合することを特徴とする光結合モジュール。
  24. 請求項20に記載の光結合モジュールにおいて、入力側あるいは出力側のポートとする2芯ファイバコリメータと、偏波無依存型光アイソレータと、出力側あるいは入力側のポートとするためのコリメートレンズと光ファイバを備えており、
    前記2芯ファイバコリメータと前記2芯ファイバコリメータ以外の光ファイバとの光路中に偏波無依存型光アイソレータが配置されており、前記2芯ファイバコリメータを構成するコリメートレンズの中心軸と略同軸となるように配置されている2芯ファイバコリメータの光ファイバから出射され前記レンズを介して出射したビームが、前記2芯ファイバコリメータの光ファイバ以外の光ファイバと光結合することを特徴とする光結合モジュール。
  25. 請求項24に記載の光結合モジュールにおいて、前記偏波無依存型光アイソレータは、楔型の複屈折板を構成要素とするものであって、かつ、前記楔型の複屈折板のうち反射材料に最も近い複屈折板における楔角度が、2芯ファイバコリメータにおける両光ファイバの中心軸を結ぶ1つの直線と所定の角度を有して交差するように配置されていることを特徴とする光結合モジュール。
  26. 請求項20〜請求項25のいずれかに記載の光結合モジュールにおいて、光結合モジュールの光路中にさらに機能材料を備えていることを特徴とする光結合モジュール。
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CN115113336B (zh) * 2022-06-30 2024-05-10 昂纳科技(深圳)集团股份有限公司 一种偏振耦合器及其制造方法

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