JP2004302292A - 光ファイバ端末とその作製方法並びに光結合器及び光部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】通常の光部品で要求される反射損失及び結合効率の仕様を十分に満たすことのできる実用的な光ファイバ端末を提供する。
【解決手段】中心部のコア101a及びその外周部のクラッド101bを有する光ファイバ101の端面に、前記コアと略同一で均一な屈折率を有する材料よりなるコアレスファイバ102、103の一端面を接合してなる光ファイバ端末において、光ファイバのコアを伝送してきた光がコアレスファイバ内で拡がりコアレスファイバの他端面から外部へ出射するときのビーム径がコアレスファイバの外径以内となるようにコアレスファイバの光路長を1mm未満に設定し、コアレスファイバ102、103の他端面を、光ファイバ101の光軸上に曲率中心を持つ凹面形状に形成した。また、光ファイバ101の外径とコアレスファイバ103の外径を異ならせた。
【選択図】 図1
【解決手段】中心部のコア101a及びその外周部のクラッド101bを有する光ファイバ101の端面に、前記コアと略同一で均一な屈折率を有する材料よりなるコアレスファイバ102、103の一端面を接合してなる光ファイバ端末において、光ファイバのコアを伝送してきた光がコアレスファイバ内で拡がりコアレスファイバの他端面から外部へ出射するときのビーム径がコアレスファイバの外径以内となるようにコアレスファイバの光路長を1mm未満に設定し、コアレスファイバ102、103の他端面を、光ファイバ101の光軸上に曲率中心を持つ凹面形状に形成した。また、光ファイバ101の外径とコアレスファイバ103の外径を異ならせた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等に用いられる光ファイバ端末とその作製方法、並びに、その光ファイバ端末を用いた光結合器及び光部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信の発達に伴って、利用する光デバイスや光学部品の小型化が望まれている。光ファイバ間で光結合を行う方法のうち、損失が少なく且つその間に様々な光学素子を設置することができるような光結合方法として、ファイバの光束出射端近傍にレンズを設置して、ファイバから出射される光束を平行光束とし、受光側も同様の光学系を組んで、再びファイバに光を結合させるという方法が一般的に利用されている。ファイバから出射された光束を平行光束とする機能を有する素子は一般にファイバコリメータと称せられており、前述したファイバとレンズの組み合わせはファイバコリメータの一つの形式である。
【0003】
この形式のファイバコリメータの性能を表す指標として、一般的に光結合損失と反射損失が用いられる。光結合損失は、平行光束の光束品質を反映するものであり、使用するファイバの開口数(以下、NAと略記する)、出射端面形状、出射端面における収差、レンズ性能、等に影響される。
【0004】
一方、反射損失を指標として表される反射光は、ファイバ出射端における出射エネルギの損失、あるいは、光源の安定動作を損なうという影響をもたらす。これら反射光の影響のうち、特に、光源の安定動作に及ぼす影響が、光通信分野においては重大問題の一つになっている。
【0005】
近年、光通信分野では、光源として、分布帰還型レーザが一般的に用いられている。この種のレーザ光源は、ファイバ内を逆行し光源まで到達する所謂戻り光により、レーザ発振が不安定になり易く、結果として、出力パワーの変動が生じ易いという特徴がある。即ち、反射光の増大、言い換えると、反射損失が小さい場合は、戻り光が大きいことを意味し、出力パワーの変動を増大させることになる。
【0006】
一般的に、ファイバコリメータにおいて、前述したレーザ光源の出力変動を無視できる程度の大きさに抑制するためには、次の(1)式に示す端面反射損失として、50dB以上が要求されている。加えて、近年の高速・高密度光通信システムでは、スペクトル線は極めて狭幅化しており、斯かる状況においては、より高い反射損失、例えば60dB以上が求められつつある。
端面反射損失=−10×log(IR /IO ) … (1)
但し、IR は反射光量、IO は入射光量を示す。
【0007】
現状で反射損失を得るための方法として、ファイバ端面を光軸に対し斜めにする方法が用いられている。このタイプの光ファイバ端末は、ファイバをガラスキャピラリに挿入して、キャピラリごと端面に4°〜8°程度の角度を付けて平面研磨することで得られる。これにより、端面における反射光はクラッドモード(clad mode )となって減衰するため、反射損失を大きくとることができ、更に表面のAR(反射防止)コーティングと合わせて、反射損失60dB以上を得ることができる。この方法は極めて簡便な方法であるため、これまで使用される主流の方式であった。
【0008】
ところで、このような斜端面を持つ光ファイバ端末を用いたコリメータを光部品内で利用する場合には、特に留意しなければならない点がある。この点について図17を参照しながら説明する。
【0009】
ファイバコリメータのコリメートレンズとしてよく用いられる屈折率分布レンズ(GRIN Lens)は、結像状態がレンズ長(Pitch)に依存するので、0.25Pitchの場合は、(a)のように屈折率分布レンズ(GRINLens)1101の端面に光源1105を置くと、もう一方の端面からコリメート光が出射する。実際には(b)のように屈折率分布レンズ(GRIN Lens)1102のレンズ長を0.23 Pitch程度としており、光源の位置調整に自由度をもたせる配置になっている。
【0010】
この構成によるコリメート光を結合させた場合の光路を(c)に示す。前述した斜端面の影響で、光ファイバ端末1103からの出射光は、約3.8°傾いてレンズ1104に入射するので、光ファイバ端末1103の光軸からδ1だけずれる。また、屈折率分布レンズ(GRIN Lens)1104の端面は光ファイバ端末1103の端面と同様に傾いているので、屈折率分布レンズ(GRINLens)1104に対して角度をもって入射することから、出射ビームは光ファイバ端末1103からの出射光の光軸に対してある角度(θ)を持つことになる。従って、このコリメータの組み合わせでは、光軸を一致させるためには、元の光軸に対して、δ2だけずらさなければ光結合は行えない。従来のコリメータで光結合を行う場合に位置調整が困難であったのは、この理由による。
【0011】
上記のような光路ずれをなくすためには、光ファイバ端末及びレンズ端面を全て光軸に対して垂直にすればよい。しかしこの場合、端面反射は全て戻り光として反映されてしまうことになる。ガラス端面と空気の屈折率差で生じる反射損失は14.7dBであり、これに良好なARコーティング(R<0.2%:27dB)を施したとしても、端面での反射損失は約42dB程度であり、50dB以上という上記の要求仕様は達成できないことになる。
【0012】
このような問題を解決する手段として、従来、ファイバ端面にコアレスファイバを融着し、コアレスファイバ内での光束の拡散作用により、必要な反射減衰量を得る構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。この構造は、出射光束径を広げることで、反射光とファイバ端におけるモードフィールド径(約10μm)との重なり積分を減少させることによって、反射損失を増大させるという原理を利用している。この構造によれば、ファイバ端面を0°〜6°として、コアレスファイバ部分の長さを1〜4mmとした場合、ARコートと合わせて60dB以上の反射損失を得ることができると言われている。
【0013】
【特許文献1】
特開平7−281054号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者らが、外径125μmの標準ファイバを用いてコアレスファイバ付き光ファイバ端末を作製し、評価した結果、反射損失は60dB以上を示したが、ファイバの前にレンズを置いて、一対のコリメータの結合効率を調べた結果、結合効率はコアレスファイバ長に大きく依存し、コアレスファイバ長が1mm以上では、結合効率が劇的に悪化することを見い出した。
【0015】
また、1mm未満で所望の長さをもつコアレスファイバが接続された光ファイバ端末を作製する場合、コアレスファイバの長さを正確に制御することは、非常に困難が伴うことがわかった。
【0016】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、通常の光部品で要求される反射損失及び結合効率の仕様を十分に満たすことのできる、実用的な光ファイバ端末並びにそれを用いた光部品及び光結合器を提供すること、また、前記光ファイバ端末を容易に作製することのできる作製方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の光ファイバ端末は、中心部のコア及びその外周部のクラッドを有する光ファイバの端面に、前記コアと略同一で均一な屈折率を有する材料よりなるコアレスファイバの一端面を接合してなる光ファイバ端末において、前記光ファイバのコアを伝送してきた光が前記コアレスファイバ内で拡がりコアレスファイバの他端面から外部へ出射するときのビーム径が、コアレスファイバの外径以内となるように、コアレスファイバの光路長を設定すると共に、前記コアレスファイバの他端面を凹面形状に形成したことを特徴としている。
【0018】
このようにコアレスファイバの端面を凹面形状に形成した場合、端面を平面形状に形成した場合に比べて、反射光のビーム径を拡大させることができて、反射損失量を更に大きく向上させることができる。その点について解説する。
【0019】
例えば、コアレスファイバの他端面が平面形状に形成されている場合、光ファイバからの出射光はコアレスファイバ中を拡散し、端面(コアレスファイバの他端面)においてビーム径が拡大するので、光ファイバのコアに対して再結合する反射光成分が大幅に減少する。従って、反射損失量を増大させることができる。この場合、反射損失量は、図5の端面の曲率半径R=infinity(無限大=平面)の場合で示すように、コアレスファイバ長に依存し、コアレスファイバ長が長いほど反射損失量は増大することが知られている。ここで、光ファイバ同士の結合損失を最小限に抑えるためには、ビームがけられないように、ビーム径が出射ファイバの外径以内に収まるようにする必要がある。従って、反射損失量と結合効率を両立させるためには、図6に示すように、例えば、外径125μmの標準ファイバを使用する場合には、コアレスファイバ長を1mm未満に制限する必要がある。一例として、コアレスファイバー長を900μmとした場合、図5に示したように反射損失は36dBとなり、先端面(コアレスファイバの他端面)にARコーティングを施すことにより、反射損失を50dB〜58dB程度にすることができる。
【0020】
しかし、端面が平面であると、前述した近年の高速・高密度光通信システムにおける反射損失の要求仕様値である60dB以上を得ることは難しい。
【0021】
この点、本発明のように、コアレスファイバの端面の形状を凹面形状に加工した場合、反射光のビーム径を更に拡大させることができ、端面が平面形状の場合に比べて、反射損失量を更に大きく向上させることができる。従って、ARコーティングと合わせて、60dB以上を容易に確保することができるようになる。なお、図5に示されるように、凹面形状の曲率半径Rを小さくすることにより、ARコーティング無しでも60dB以上を確保できる場合もある。いずれにしろコアレスファイバの出射端面が平面であるよりも、同端面を凹面とすることにより、格段に反射損失量を増加させることができる。
【0022】
請求項2の発明の光ファイバ端末は、請求項1において、前記コアレスファイバの光路長が1mm未満であることを特徴としている。この範囲内にコアレスファイバの長さを制限した場合でも、端面形状を凹面にし、かつ端面にARコーティングを施すことによって反射損失50dB以上を容易に確保することができる。従って、実用上は問題はない。また、軸ずれが無く組み立て調整が容易などの特徴は、コアレスファイバの長さを1mm未満に制限することによって何ら影響を受けるものではない。
【0023】
請求項3の発明の光ファイバ端末は、請求項1または2において、前記光ファイバの外径と前記コアレスファイバの外径が異なることを特徴としている。融着に支障がない範囲であれば、コアレスファイバの径が光ファイバの径と異なっても、請求項1、2の発明と全く同様の性能が得られる。また、この光ファイバ端末では、光ファイバとコアレスファイバの径差があることにより、融着点の位置認識が容易にでき、コアレスファイバの長さ調整を容易にする利点もある。
【0024】
請求項4の発明の光ファイバ端末は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記コアレスファイバの他端面の凹面形状の曲率中心が、前記光ファイバの光軸上に位置することを特徴としている。こうすることで、光ファイバ端末からの出射光は光軸と常に一致し、これにより、これまで斜端面による光束の位置ずれで不可能であった1直線の溝上での光結合が可能となる。
【0025】
請求項5の発明の光ファイバ端末は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記凹面形状に形成されたコアレスファイバの他端面に反射防止膜が設けられていることを特徴としている。このようにコアレスファイバの他端面(光ファイバとの接合側と反対側の端面)に、使用目的波長に応じた反射防止膜(ARコーティング)を施すことにより、直接戻り光の低減、他光素子との光干渉や、ゴーストなどを防ぎ、良好な光結合特性を得ることができるようになる。
【0026】
請求項6の発明の光ファイバ端末は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記凹面形状に形成されたコアレスファイバの他端面に光機能性薄膜が設けられていることを特徴としている。
【0027】
前述したように光ファイバ端末の凹面の曲率半径Rを小さくすると、ARコーティング無しでも大きな反射損失を確保できることから、ARコーティングの代わりに、端面に直接光機能薄膜を付けることができ、そうすることにより、透過光成分の利用が可能となる。従って、これまで光ファイバとは別部品であったフィルタを不要にすることができ、位置調整や接着などの工程も省略することができるようになる。
【0028】
請求項7の発明の光ファイバ端末は、請求項6において、前記光機能性薄膜が、(a)利得等価フィルタ、(b)シャープカットフィルタ、(c)バンドパスフィルタ、のいずれかであることを特徴としている。このような光機能性薄膜をコアレスファイバの端面に設けることにより、膜の透過光成分のみの利用が可能となる。
【0029】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかの光ファイバ端末を含む光結合器において、前記光ファイバの光軸上で前記コアレスファイバの他端面側に、少なくとも1個の球面レンズ、非球面レンズもしくは屈折率分布型レンズを配置したことを特徴としている。この場合、例えば、上記の光ファイバ端末とコリメータレンズとの組み合わせにより、コリメータ光を用いた光結合が可能になる。また、光ファイバ端末と有限系のレンズとの組み合わせも可能である。このように光ファイバ端末とレンズを組み合わせることで、通常の光ファイバ端末を用いて作製したコリメータと同等、ないしはそれ以下の低結合損失を有する光結合が可能となる。
【0030】
請求項9の発明の光部品は、請求項1〜7のいずれかに記載の光ファイバ端末と光の合分波機能を有する光学素子とを組み合わせたことを特徴としている。例えば、上記光ファイバ端末を用いてコリメート光による光結合を実現し、その間に特定の波長のみを反射しそれ以外の波長を透過する特性を持つ誘電体多層膜フィルタを挿入することで、光の合分波機能を持たせることができる。この場合、上記の光ファイバ端末を用いることにより、基板上に作製された共通のV溝上にて一対のコリメータ同士で光結合が可能となるため、部品点数の削減、工程の大幅な簡易化が可能となる。
【0031】
請求項10の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の光ファイバ端末の作製方法であって、前記光ファイバとコアレスファイバとを結合する第1の工程と、コアレスファイバの他端面を研磨しコアレスファイバの長さを所望の値に調整する第2の工程とを備え、前記第2の工程では、光ファイバとコアレスファイバの接合体の反射損失量を測定しつつ、コアレスファイバの長さを所望の値に調整することを特徴としている。
【0032】
即ち、本発明では、光ファイバに接合するコアレスファイバの長さを規定する第2の工程において、融着後のファイバ端末の反射損失をモニタしながら、コアレスファイバを研削及び研磨することにより、光ファイバ及びコアレスファイバを直接観察することなく、所望の長さにコアレスファイバを調整することができる。この場合、コアレスファイバ長と反射損失の間には1対1の関係が成り立っているので、作製中のコアレスファイバ付光ファイバ端末の仕上げ研磨面における反射損失を測定することにより、1μmの精度でコアレスファイバ長を規定することが可能となる。
【0033】
請求項11の発明は、請求項3記載の光ファイバ端末の作製方法であって、径の異なる前記光ファイバとコアレスファイバとを接合する第1の工程と、前記光ファイバとコアレスファイバとの接合点を検知する第2の工程と、前記接合点を基準にして設定した指定位置にてコアレスファイバを切断する第3の工程とを備え、前記第2の工程では、光学顕微鏡を用い且つデフォーカスされた顕微鏡像により前記接合点を検知することを特徴としている。
【0034】
光ファイバ端末におけるコアレスファイバの長さは正確に形成しなければならない。このため、請求項11の発明は、接合する光ファイバとコアレスファイバとの径を異ならせて、この光ファイバとコアレスファイバとの接合点を検知可能にし、この接合点を基準にして設定した指定位置にてコアレスファイバを切断するようにした。この場合、接合点の検知を、一般的な顕微鏡を用いてデフォーカス状態で接合点を観察することにより行うようにした。デフォーカス状態で接合点を観察することにより、光ファイバとコアレスファイバとの外径差を数μmオーダーという非常に小さくしても接合点を判別できることが、本願発明者によってはじめて見いだされたからである。
【0035】
即ち、本発明者の研究によれば、光ファイバとコアレスファイバとの接合点を顕微鏡で観察(フォーカス状態で)して判別する場合、外径差が大きい場合には判別できるが、外径差が小さくなるにしたがって次第に困難になり、外径差が数μm程度になると、全く判別が不可能であることがわかった。ところが、この研究の過程で、外径差が数μmの接合点を、本発明者が偶然にデフォーカス状態で観察したところ、この接合点を判別可能であることを発見した。
【0036】
このように、デフォーカスされた顕微鏡像を利用することにより、融着後の融着点を非常に簡便に識別することができる。これにより、光ファイバの外径とほとんど同じ外径を有するとともに所望のコアレスファイバ長を持ったファイバ端末を容易に作製することが可能になる。この方法を用いることにより、正確に融着点を認識することができるので、これを原点としてコアレスファイバの切断箇所を決めることができ、その箇所で切断することにより、10μmの精度でコアレスファイバの長さを調整することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は第1実施形態の光ファイバ端末の構成図、(b)は第2実施形態の光ファイバ端末の作製途中の状態を示す構成図、(c)は第2実施形態の光ファイバ端末の構成図である。
【0038】
図1(a)に示す第1実施形態の光ファイバ端末は、中心部のコア101a及びその外周部のクラッド101bを有する125μmの標準外径の任意長さのシングルモード光ファイバ(SMF)101の端面に、前記コア101aと略同一の均一な屈折率を有する材料よりなる125μmの外径のコアレスファイバ(CLF)102の一端面102aを融着接合し、そのコアレスファイバ102の長さLを1mm未満に設定した上で、コアレスファイバ102の他端面(出射端面)102bを、光ファイバ101の光軸上に曲率中心を有する凹面形状に研削・研磨加工したものである。
【0039】
図1(c)の第2実施形態の光ファイバ端末は、中心部のコア101a及びその外周部のクラッド101bを有する125μmの標準外径の任意長さのシングルモード光ファイバ(SMF)101の端面に、前記コア101aと略同一の均一な屈折率を有する材料よりなる122μmの外径のコアレスファイバ(CLF)103の一端面103aを融着接合し、そのコアレスファイバ103の長さLを1mm未満に設定した上で、コアレスファイバ103の他端面(出射端面)103bを、光ファイバ101の光軸上に曲率中心を有する凹球面として研削・研磨加工したものである。
【0040】
第1実施形態の光ファイバ端末と第2実施形態の光ファイバ端末との違いは、第1実施形態では光ファイバ101とコアレスファイバ102の外径を等しく設定しているのに対し、第2実施形態では光ファイバ101とコアレスファイバ103の外径を異ならせている点である。つまり、第2実施形態では、光ファイバ102の外径よりも僅かに小さい外径を有するコアレスファイバ103を光ファイバ101に接合している点である。
【0041】
なお、前記コアレスファイバ102、103の他端面102b、103bの凹面形状としては、基本的には凹球面を採用するのが好ましいが、必ずしも球面でなくてもよく、楕円球面等の非球面を採用してもよい。
【0042】
ここで、コアレスファイバ102、103の長さを1mm未満に設定することは、光結合を行うことを目的とした光ファイバ端末としての必須条件である。このようにコアレスファイバ102、103の長さを規定することにより、光ファイバ101のコア101aを伝送してきた光が、コアレスファイバ102、103内で拡がり、コアレスファイバ102、103の他端面102b、103bから外部へ出射するときのビーム径が、コアレスファイバ102、103の外径以内となる。
【0043】
この光ファイバ端末では、コア101aから出射した光がコアレスファイバ102、103中を拡散しながら伝搬するので、コアレスファイバ102、103の他端面102b、103からの出射ビーム径が拡大する。よって、コアレスファイバ102、103の長さに応じて反射損失を大きくとることができるようになる。従って、コアレスファイバ102、103の長さLを適切な値に設定することにより、出射ビーム径をコアレスファイバ102の外径以内に収めることができ、通常の光ファイバと全く同等の光結合を行うことができる。また、従来の斜面を持つ光ファイバ端末に比べて、出射ビームの直進性に優れ、且つ、実用上要求されるレベルの反射損失及び結合損失を得ることができる。また、この光ファイバ端末を使用することにより、コリメータ同士の光結合を直線上で行うことが可能となり、位置調整が容易となる。
【0044】
このような構造の光ファイバ端末を得るには、まず、光ファイバ101とコアレスファイバ102、103を用意し、両者の皮膜を融着が十分可能な長さに除去しておく。続いて、コアレスファイバ102、103の皮膜除去位置から20mmの位置で、ファイバクリーバを用いてコアレスファイバ102、103を切断し、融着端面を作る。光ファイバ101側も同様に融着端面を作る。そして、両者を標準的な単芯ファイバ接続用融着器に設置して、適切な条件下で融着作業を行う。通常、融着接続された両者の端面は一体化するので、外観や顕微鏡などの観察では、融着点を認めることはできない。
【0045】
例えば、Direct Core Monitoring法(DCM法)を用いれば、ファイバコアを直接見ることができ、融着点を正確に決めることができる。しかし、コアレスファイバの長さをおおよそミリ単位程度で決めれば良い場合には、コアレスファイバの皮膜除去位置をガイドとして用いて、コアレスファイバ101の長さを決めればよい。
【0046】
次にコアレスファイバ101の長さを1mm未満にすることの意義について説明する。ここでは、比較検討するために、コアレスファイバ102の皮膜除去位置からそれぞれ19mm、18mm、17mm、16mmの位置でコアレスファイバ102を切断することにより、コアレスファイバ102の長さが1mm、2mm、3mm、4mmとなったコアレスファイバ付き光ファイバ端末のサンプルを作製した。なお、長さ限定の意義を調べるための比較サンプルであるから、コアレスファイバの端面の形状は全サンプルとも、光軸に垂直な平面としてある。これら4本のサンプルの光学特性を評価したところ、以下の結果が得られた。
【0047】
まず、反射損失については、図14に示すように、ARコーティング無しでの反射損失が37dB以上になることが確認された。但し、長さ0mm(コアレスファイバ無しの場合)の反射損失値は14.7dBとしてある。従って、ARコーティングを施した場合、全てのサンプルで、50dB以上の反射損失が得られることが分かる。
【0048】
次に、図11に示すように、コリメートレンズを用いて一対のコアレスファイバ付き光ファイバ端末の結合損失量を測定した。図11において、801はLED光源、802はパッチコード、803は光ファイバ端末、804は光学ステージ、805はコリメートレンズ、806は検出器、807はコネクタである。LED光源801から発せられた光は、一方の光ファイバ端末803からコリメートレンズ805、805を介して他方の光ファイバ端末803に入射し、検出器806にて受光される。
【0049】
このような構成にて結合損失量を測定した結果、図15に示すように、全てのサンプルA〜Dで、結合損失値が1dB以上となった。ファイバ端面にARコーティングを施していないことを考えても、この結合損失は光ファイバ端末部品としては非常に大きな値であり、このままでは現在要求されているコリメータを作製することができないことが分かった。
【0050】
この原因を以下のように考察した。即ち、図13に示すように、光ファイバ1001のコア1001aから光が出射すると、ビーム1003は回折により拡がるため、伝搬距離に依存してビーム径rは拡大する。コアレスファイバ付き光ファイバ端末では、出射端面のビーム径rはコアレスファイバ1002の長さに依存することになる。そのため、コアレスファイバ1002の長さがある長さを超えてしまうと、ビーム径rがファイバ径Rを超えてしまうようになり、そのために、光の漏洩やファイバの縁による回折等が発生し、出射光の均一性が失われて結合損失が増大するのではないかと考えた。
【0051】
そこで、コアレスファイバ長と出射ビーム径の関係を調べた。その結果得られたものが図6に示すデータである。この図6に示す関係から、コアレスファイバの長さを決めれば、同時に、理想的には損失のない光結合を可能にする最大のファイバ外径が決まる。いま、ビーム(Beam)径を、光の強度が分布中心に対して1/e2となる長さとして定義する(以下、ビーム径はこの定義に従うものとする)と、コアレスファイバ長1mmの時、既に出射ビーム径は標準ファイバ外径である125μmを超えてしまっている。これが、前述のように作製したコアレスファイバ付き光ファイバ端末で、結合損失が大きくなった原因であると考えられる。
【0052】
従って、図1(a)の構造を持つ光ファイバ端末において、ファイバ外径をある値に固定する仮定の下では、反射損失と結合損失を両立させるには、コアレスファイバの長さを制限する必要があることが分かる。以上のことから、図1(a)の構造をもち、且つ、反射損失と結合損失を両立させる性能をもつ光ファイバ端末を作製するためには、標準外径(125μm)の光ファイバ101を用いるとすると、コアレスファイバ102の長さが1mm未満でなければならないことを発見するに至った。
【0053】
ところが、実際にこの光ファイバ端末を作製する場合、このような短い長さのコアレスファイバ102を付加した構造を作る必要があるため、作製作業がかなり難しくなることが判明した。
【0054】
そこで、本発明者らは鋭意研究の結果、上記のような光ファイバ端末を作製する上で発生した全ての課題に対する解決方法を見い出すに至った。以下にその内容について説明する。
【0055】
代表的な光ファイバ端末の作製方法のフローを図7に示す。左の図(A)はフローチャート、右の図(B)はフローチャートの中の各工程(a)〜(d)の内容を模式的に示す図である。このフローでは、まず、(a)光ファイバ(SMF)402とコアレスファイバ(CLF)403との融着接続工程を実施する。ファイバ同士の接続は必ずしも融着に限らないが、市販の融着器で容易に融着作業が可能であり、また接続性能及び信頼性に最も優れた手段であることから、ここでは融着接続を用いている。接続に当たっては、後で行う測定作業を簡便に行うために、一方の端にコネクタがついた外径125μmの標準的な光ファイバ402を任意長さだけ用意し、他端を融着可能な範囲で皮膜除去し(ファイバ皮膜401)、ファイバクリーバを用いて切断して、接続端面を作製する。次に、外径122μmのコアレスファイバ403を任意長さだけ用意し、同様に皮膜除去と端面切除を行う。
【0056】
コアレスファイバ403の外径を標準径から細くする方法としては、化学エッチングが利用できる。あるいは、コアレスファイバ403の作製時に、この外径で作製してもよい。これら光ファイバ402とコアレスファイバ403を標準的な単芯用光ファイバ融着器に設置し、外径基準調芯により、適当な条件で融着作業を行う。
【0057】
図1(b)はこの両者(光ファイバとコアレスファイバ)を接続した状態を示したものである。図では両者の外径差を誇張して描いているが、実は3μm程度の外径差では、その差を見ることは難しい。接合点は、通常の同径ファイバ同士の融着と同等の強度を保っている。
【0058】
このように融着したら、次に所定位置でコアレスファイバ403を切断する工程を実施する。この工程は、(a)融着点を正確に判定する工程と、(b)その融着点から正確な長さの位置でコアレスファイバ403を切断する工程とに分けられる。ほぼ同じ屈折率の材料同士を融着接続すると、両者に区別がつかなくなるので、その融着点の認識を光学的に行うことは非常に難しい。おおよその長さでの切断が許されるならば、先の例に記載したように皮膜除去点などを基準に測長することが可能だが、1mm未満の短い長さで10μm程度の正確な測長が必要な場合にはこの方法は不十分である。
【0059】
前述したDCM法の光学系を組んでファイバコアを直接観測できれば、コアの有無により融着点を判定することは原理的に可能である。しかしこの方法は、精度の高いステージやCCDカメラおよびレーザ光源などを必要とし、非常に高価なシステムとなってしまう。また、このような光学系とファイバカッタとを組み合わせることも困難を伴い、更に、拡大倍率が大きいと、コアレスファイバ長が長い場合に切断点が視野外となってしまう不具合も生じる可能性がある。
【0060】
これらの問題点を避ける上で、前記のように光ファイバとコアレスファイバの外径に差を設けたことが役立つ。つまり、外径差を設けたことで、次述の方法によれば、融着点の判定が簡単にできるようになり、任意の長さで10μmの精度でコアレスファイバ長を決めて切断することが可能となるのである。以下にその内容を述べる。
【0061】
融着点を判定する工程、及び、指定長さで切断する工程は、それぞれ以下のように行う。図9に示すように、ファイバカッター刃604を有する市販の超音波式ファイバクリーバ、コアレスファイバ付きSMF(光ファイバ端末)601をチャックすることができるマイクロメータ付き一軸ステージ606を用意し、切断点観察のため、ファイバクリーバを実体顕微鏡603下に設置する。観察倍率は10倍から20倍程度で十分である。
【0062】
前出の光ファイバとコアレスファイバを融着した光ファイバ端末(コアレスファイバ付きSMF)601を、ファイバクリーバの刃604の近辺に融着点が来るようにV溝605上に半固定し、光ファイバ端末601の一端を一軸ステージ606にファイバチャック602を用いてチャッキングする。マイクロメータでステージ606を送ると、チャックされている光ファイバ端末601は、目盛りで示された移動量だけ、ファイバクリーバのV溝605の上を移動することになる。
【0063】
ところで、上述したように光ファイバ(SMF)とコアレスファイバとはごくわずか径に差を付けてあるが、本実施形態で使用している程度の径の差分では、普通に像焦点を合わせ(On Focus)て拡大像の観察を行っても、図8(a)に示すように、融着点(矢印の位置=Splicing Point)を認識することができない。図8(a)に示す光ファイバ端末501において、矢印で示す融着点(Splicing Point)の左側が光ファイバ(SMF)、右側がコアレスファイバ(CLF)であり、接合点が確認できない。
【0064】
しかし、像焦点が合っている状態から、わずかに焦点をずらしていくと、図8(b)に示すように、デフォーカス(Defocus)された顕微鏡像の中に、歪んで見える箇所(Splicing Point)が観測される。この歪み箇所は、コアレスファイバと光ファイバとの融着点と一致する。両者の径が一致している場合は、この歪みは観測されず、2μm程度(径に対して1.6%程度)以上径差を付けた場合にのみ、像焦点位置からわずかにずれた像位置(デフォーカス=Defocus位置)で明瞭に観測されることが確認された。ずらす方向は近接側、遠方側どちらでもよい。なお、図8の中の502は参考のためにカッタの切断刃を示している。
【0065】
図9に戻る。この方法で見つけた融着点を、一軸ステージ606を移動させ、ファイバクリーバの切断刃604の先端地点に置く。これを原点として、再び必要なコアレスファイバの長さ分だけステージ606を送り、送り終わった点で固定しコアレスファイバを切断する。このようにして、光ファイバ(SMF)の先端に所望の長さのコアレスファイバが融着された光ファイバ端末601ができあがる。この方法によれば、コアレスファイバ部分は10μmの精度で長さを制御することができる。
【0066】
なお、本実施例では、以降の工程で、先端を研削/研磨するので、あらかじめ研削量を見込んで、コアレスファイバの長さが1000μmの光ファイバ端末を作製した。
【0067】
次に、図7に戻って(d)のガラスキャピラリの接着工程を説明する。光ファイバとしての機能は、上記作業終了時点で十分だが、光学評価を行う場合、あるいは光学部品に搭載する場合、光ファイバ端末をガラスキャピラリ406に固定して使用することが多く行われる。
【0068】
本例では、この光ファイバ端末(コアレスファイバ付きSMF)407を、外径φ1.8mm/内径126μm/長さ6mmのガラスキャピラリ406に挿入し、挿入時にUV接着剤を塗布させた後、硬化させて、光ファイバ端末407とキャピラリ406を固定した。固定の際、キャピラリ406と光ファイバ端末407との両端面が一致するように固定することが望ましい。コアレスファイバ403の径は122μmであるので、キャピラリ406との内径差は4μm生じるが、この程度の径差では、光ファイバ端末407、キャピラリ406間の偏心や接着剤層の増大分はほとんど無視できるので、実用上何ら不具合は生じない。接着剤は熱硬化型接着剤を用いてもよい。
【0069】
次に(e)のファイバ端面の光学研磨工程を以下のように行う。光学研磨は、良好で安定した光学性能を得るために行う。研磨は、キャピラリ406を研磨治具に固定し、粗削り/1次研磨/2次研磨/仕上げ研磨の順に行う。
【0070】
その場合、端面を凹面形状に研削・研磨加工する必要があるので、目的の凹面形状に対応した凸球面を持つ砥石を準備し、キャピラリを研磨治具に固定する。本例では、曲率半径R=500μmの砥石を使用した。砥石の曲率中心と、キャピラリの中心とを一致させて砥石を回転させることにより、コアレスファイバの切断面を研磨する。粗擦りから仕上げ研磨まで、同様の方法で研磨することで、キャピラリの中心にザグリを入れたような形状で、凹面を完成させる。
【0071】
当然この研磨により、端面は研削され、キャピラリ406、即ち光ファイバ端末407の先端のコアレスファイバの長さは短くなる。研磨面にかかる負荷圧力の違いや研磨シートの状態の違い等により、研磨時間を固定しても、実際の研削量は一定しないことが多く、研磨時間のみで、研削量を規定することは難しい。また、接着剤がファイバ周囲に付着していると、前述のデフォーカス顕微鏡像による観察でも、微妙な歪みを認めることができなくなり、融着点を正確に認識することができなくなる場合がある。
【0072】
そこで、そのような場合には次の方法を採用する。この方法では予め図5に示すように、凹面の曲率半径が同一である場合にはコアレスファイバの長さと反射損失は一対一で対応している。そこで、研磨工程における仕上げ研磨が終了した段階で、図10のように、コネクタ704を反射損失測定器701のパッチコード702に接続し、測定サンプル703(ここでは光ファイバ端末)の出射端面の反射損失をモニタすることで、コアレスファイバ長を正確に知ることができる。
【0073】
従って、コアレスファイバの長さを直接観察しなくても、反射損失をモニタすることで、容易にその長さを正確に知ることができる。研削量はモニタ数値をガイドにして微調整が可能であるから、長さを1μmという高い精度で制御されたコアレスファイバ付きファイバ端末を作製することができる。本実施例では、1回の研磨作業で、約600μm程度研削されるというデータが別途得られていたので、1000μmのコアレスファイバ長を有した光ファイバ端末は、上記の先端研磨作業により、約400μmのコアレスファイバ長を有する光ファイバ端末として得られる。このように、反射損失を測定しながらキャピラリの先端を研磨し、反射損失測定値が目標値に達したら研磨を終了する〔図7のフローの(f)〕。
【0074】
そして、最後に以上の工程で作製した光ファイバ端末のコアレスファイバの端面に反射防止膜を形成することにより、端面反射や、干渉、あるいはゴーストなどを抑えた光ファイバ端末を得ることができる〔図7のフローの(g)〕。
【0075】
また、コアレスファイバの端面の凹面形状の曲率半径Rを小さくすれば、図5に示すように反射防止膜無しでも、反射損失として、通常の光部品で要求されるレベルである50dB以上を得ることができる。従って、透過光のみを使用するような光機能性薄膜であれば、これを直接先端凹面に成膜することにより、目的の光透過機能を持つ光ファイバ端末を作製することができる。
【0076】
以上の作業により、高い反射損失と低い結合損失を両立し、且つ光軸ずれが発生せず、光部品に搭載可能な性能を有する、図1(c)の第2実施形態の光ファイバ端末ができあがる。
【0077】
なお、当然であるが、上記の作製方法は一例であって、手順や方法などは、これに限るものではない。
【0078】
上述した作製方法にて、下表のような光ファイバ端末サンプルを3本作製し、サンプル名をそれぞれSampleA〜Cとする。この表に記したコアレスファイバ長は、ARコーティング前の反射損失から求めた長さである。反射損失は、ARコーティング後に、反射損失測定器で測定することで得られた実測値である。比較のため、同様の方法で端面を平面研磨によって作製した「端面0°」のサンプルを用意し、これをSampleDとした。
【0079】
【表1】
【0080】
SampleAを出射ファイバとして、その他のサンプルを受光ファイバとし、図11に示したように、両者の間に非球面コリメートレンズ(F=3、NA=0.22)をおくことにより、結合損失を測定した。光源として、λ=1.55μmのLD光源、及び、同波長域に十分な感度を持つ光検出器を用いて、コリメートレンズ間距離を100mmとし、光結合損失量の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
上の表に示した通り、コアレスファイバ付き光ファイバ端末同士の組合わせにより、約0.2dBの結合損失を得ることが可能であることが実証できた。これは、端面0°のコアレスファイバ付き光ファイバ端末(SampleD)と同様の結合損失で且つ反射損失量は10dB程度向上させることができた。反射損失量については、凹面の曲率半径Rを小さくすることで、更に大きい値が期待できる。
【0083】
次に、ファイバ端面に、直接光機能膜を付加した実施例を以下に示す。前述した作製方法により、R=75μmの砥石を使用して、コアレスファイバ長が500μmで、先端がR=75μmの凹面を持つコアレスファイバを作製した。
【0084】
この凹面上に、利得等価機能を持たせる目的で、イオンビームスパッタ方式により、高屈折率材料ターゲットとして、Ta2O5(H)を、低屈折率材料ターゲットとしてSiO2(L)を用いて、以下に示すような多層膜を成膜した。設計に用いた光の波長はλ=1550nmである。下記数値の単位はμmであり、HおよびLはそれぞれ高屈折率材料と低屈折率材料を意味する。また、第1層とはコアレスファイバの凹面側端面の直上に成膜された層を意味し、第2層は第1層の上に形成された層を意味する。以下、第3層から第19層まで同様の関係を有し、第19層は最上面に形成された層となる。
【0085】
第1層 0.6998 (L)
第2層 0.7622 (H)
第3層 1.5163 (L)
第4層 1.5616 (H)
第5層 1.4120 (L)
第6層 1.5983 (H)
第7層 2.7440 (L)
第8層 28.0189 (H)
第9層 5.6922 (L)
第10層 1.5869 (H)
第11層 0.7759 (L)
第12層 1.0268 (H)
第13層 12.4611 (L)
第14層 7.1946 (H)
第15層 7.7260 (L)
第16層 14.7289 (H)
第18層 4.2224 (L)
第19層 11.0806 (H)
【0086】
このようにして得られた、利得等価機能膜付きファイバ端末の透過スペクトルを図16に示す。このスペクトル形状は、EDFAタイプの光アンプの光学特性に対して、1550nmを中心に透過率を平坦にさせることができる。このように、光ファイバ端末の端面に、光機能膜を付加することにより、これまで別部品であった光機能フィルタを、ファイバ端末と一体化できるので、部品点数の削減や位置調整などの作業を省略することができる。なお、膜の材料及び膜構成を設計することにより、ある波長以上または以下の波長領域を遮断するシャープカットフィルタや、特定の波長領域のみを透過するバンドパスフィルタなどについても、同様に作製することができる。
【0087】
以上のように、上記の作製方法によれば、目標仕様を満たし、実用可能なレベルの光ファイバ端末を容易に作製することができることが実証できた。また、コリメートビームの直線性は、結合損失測定の際に、サンプルを入れ替えても、光学ステージをほとんど動かすことなく、光結合を行うことができることからも、実証できた。
【0088】
なお、コアレスファイバの長さ及び凹面の曲率は、請求項1に記載した条件を満たす範囲で、反射損失の要求仕様に合わせて適当に調整すればよい。光線の直線性をもたせるためには、請求項3に示すように、光ファイバの光軸と凹面の曲率中心が一致させることで実現できるが、研磨工程の公差範囲で若干のずれが生じても、実用上大きな問題はない。
【0089】
コアレスファイバの長さについての計算上の好ましい範囲は、長い方では略900μmである。これは、ビーム径を光の強度が分布中心に対して1/e2となる長さとして定義した場合に、出射端におけるビーム径がほぼ120μmとなって、標準ファイバの外径とほぼ等しくなる長さである。しかし、コアレスファイバが長いほど、ガラス媒質中を透過する際に損失が大きくなる可能性があり、また、ファイバ端面の欠けが生じた場合、ビームの散乱要因となるので、長い方での好ましい範囲は900μm以下で、より好ましくは5600μm以下と判断される。
【0090】
また、光ファイバに対してコアレスファイバの外径を異ならせる場合の好ましい範囲は次の通りである。外径を変える場合、標準ファイバより太くする方法と細くする方法とがある。通常、光ファイバ端末は、市販のガラスキャピラリに挿入し、固定して使用することが一般的である。従って、市販規格品の範囲内で使用する場合、接続するコアレスファイバは細くした方が有利である。径を変える主目的は、融着後の融着点を容易に観察するためであり、前述した融着点における歪みの観察を容易にするためには、少なくとも径にして2μm以上細くする必要がある。
【0091】
歪み点は径差が大きいほど明瞭となるが、径差が大きすぎると、キャピラリに固定する際に、キャピラリ内径に対して偏心が生じやすくなること、キャピラリとの固定で使用する接着剤の量が必然的に多くなること等から、耐候性が劣化する可能性がある。従って、接合するコアレスファイバの径差として好ましい範囲は、光ファイバ(SMF)に対して2〜10μm程度細いことが適当である。
【0092】
次に前記のようにコアレスファイバの出射側の端面を凹面形状に形成したことによる優位性について説明する。
【0093】
例えば、図2(a)に示すように、コアレスファイバ102の端面(他端面)102bが平面である場合、光ファイバ101からの出射光は、コアレスファイバ102中を拡散し、端面においてビーム径が拡大するので、コア101aに再結合する反射光成分を大幅に減少させることができ、反射損失量を増大させることができる。しかし、その場合、先端面にたとえARコーティングを付けても、反射損失はせいぜい50dB〜58dB程度までにしか上げられず、60dB以上を得ることはなかなか難しい。
【0094】
この点、図2(b)に示すように、端面の形状を凹面に加工した場合、反射光のビーム径を更に拡大させることができるので、端面が平面の場合に比べて、反射損失量を大きく向上させることができる。
【0095】
このような効果は、先端面を凸面形状にした場合でも同様に得られる効果であると言うこともできるが、凸面形状に比較して凹面形状にした場合は、次のような点で優れていると言うことができる。その点について、図3、図4を参照しながら説明する。ここで比較する凸面側のサンプル(a)と凹面側のサンプル(b)は、コアレスファイバ102の長さ(光ファイバ101との融着接合面から凸面及び凹面の曲率中心までの距離)が同一で、コアレスファイバ102の先端の凸面と凹面の曲率が等しく設定されたものである。
【0096】
(1)反射損失の比較
図3に示すように、凸面の場合、一度コアレスファイバ102内でビームがフォーカスするため、最初から拡散する凹面に比べて、出射端面における反射光のビーム径は小さくなる。反射損失量は、(反射光のビーム径)/(出射ビーム径)に相関があり、図より明らかであるように、
(W1/W0)<(W2/W0)
であるから、上記のような同一条件下では、凹面のほうが、反射損失量を大きくとることができ、その点で優れていると言うことができる。
【0097】
(2)集光系と発散系の比較
同様に図4を用いて両者の出射ビームの振る舞いについて比較してみると、凸面の場合、集光系であるため、ビームは凸面の焦点においてフォーカスする。しかし、面が球面であれば、球面収差が発生し、ここで生じた収差は、その後の光学系に残存し、コリメータの場合、結合効率を悪化させる要因となる。一方、凹面であれば、発散系であるので、受光レンズのNAが十分であれば、光ファイバ端末からの収差は発生しないので、光学的性能の観点から凹面形状の方が優れていると言うことができる。
【0098】
(3)先端の直接レンズ化における問題点
先端を凸面形状にした場合、先端を直接レンズ化することで、ファイバからの出射光が直接コリメート光となる。一方、端面が平面や凹面となっている場合、コリメート光を得るためには、出射端以後にコリメートレンズ(非球面レンズなど)を使用する必要があり、一見凸面に対して優位性がないように思われる。しかし、実際には、
・凸面形状は本質的に球面であり、非球面よりもビーム品質が劣る;
・凸面の場合、出射光のビーム曲がりを抑えるためには、ファイバ出射光の光軸と、凸面の曲率中心とをμm単位で合わせ込む必要がある。実際の製品で は、これが非常に困難である;
・凸面の場合で得られるビーム径はせいぜい200μm程度であり、コリメータの対向距離(Working Distance)は20〜30mm程度で、長距離の結合は本質的に不可能である;
等の問題があり、これに対し、凹面の場合は、光ファイバ端末とレンズを独立することになるため、設計の自由度が極めて広くなり、上記に示した欠点を無理なく全て解消することができる。
【0099】
以上のように、コアレスファイバの先端形状を凹面にすることは、従来より行われている凸面形状をただ単に置き換えて同じ効果を得るという恣意的なものではなく、凸面以上の効果を得ることができる点で大いに優位性がある。
【0100】
因みに、凹面形状とした場合は、出射ビームは発散系であって、凸面形状と違って収差は発生しない。ただし凹面の加工を行う場合に、曲率が大きくなるほど面の研磨が困難になる。また、出射NAも同様に大きくなり、コリメータレンズのNAを大きくとる必要が生じる。例えば、凹面の曲率半径R=500μmである場合、表面が平面である場合に比較して、反射損失が15dB程度向上するものの、NAは大きく変わらない。従って、好ましい曲率の範囲としては、300μm<R<500μm程度であると考えられる。
【0101】
次に、上述した光ファイバ端末を使用した光部品の実施形態について以下に述べる。ここでは、図12のような1枚の波長選択フィルタを用いて、4つの入出力用ポートを持つ光合分波器を作製した。
【0102】
図12(a)は上から見た光合分波モジュールの概略図である。モジュール中の光路は図中に細線で示してある。このモジュールは、ガラス基板901上に、波長選択フィルタ904、補正用ガラス基板905、反射ミラー906を配置し、ガラス基板901に設けたV溝903にコリメータ902を配置している。
【0103】
入力ポート(In Port)から入射された波長多重光は、波長選択フィルタ904により、透過光と反射光に分波され、それぞれ分岐ポート(Drop Port)と出力ポート(Out Port)に出力される。また、外部挿入光は挿入ポート(Add Port)から入射し、フィルタ904を通過して、出力ポート(Out Port)へと合波される仕組みである。ここで用いたコリメータ902は、前述した光ファイバ端末と非球面レンズ(屈折率分布型レンズでも可)とを同一のガラス管内に接着して作製したものである。
【0104】
機能としては、通常のADMと変わらないが、各々のコリメータ902は基板901上のV溝903上に固定されており、特に入力ポート(In Port)のコリメータ902と分岐ポート(Drop Port)のコリメータ902は一直線上のV溝903上にある。従来方式のコリメータでは、光軸ずれが発生するため、V溝903を光軸のガイド溝として使用することが不可能であったが、本実施の形態の光ファイバ端末を用いたコリメータ902は、全く軸ずれが起きないため、コリメータ902間にフィルタ904などの光学素子が入らない状態では、ほとんど位置調整無しで、光結合が可能となる。
【0105】
コリメート光の間にガラス基板(波長選択フィルタ904)が斜めに入ると、光はガラス基板の厚みに依存して、元の光軸と平行に位置ずれが発生する。このずれは、図に示したように、同様のガラス基板(補正用のガラス基板905)を用いて補正することで、元の光軸は維持されるので、大きな問題とはならない。従って、この構成では、フィルタ904の両脇にある反射ミラー906の角度を調整するだけで、全ての光路を調整することができることになる。このように、本発明の光ファイバ端末を使用することで、V溝903がコリメータ光のガイド溝となるので、これまで実現不可能だった同一基板上でのコリメータの集積が技術的に可能となる。更に、組み立てが簡単にできることになり、調整時間も短縮できる。
【0106】
なお、本発明の光ファイバ端末を用いて作製し得る光部品のバリエーションとしては、その他にコリメータアレイ、2Port moddule(例:利得等価器)、アイソレータ、光スイッチ、光測距計、波長計、干渉計などがある。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、通常の光部品で要求される反射損失及び結合効率の仕様を十分に満たすことのできる実用的な光ファイバ端末を提供することができる。また、それを用いた光部品及び光結合器を提供することができる。特にコアレスファイバの先端面の凹面化により、反射損失量を容易に増大させることができる。また、請求項3によれば、光ファイバの外径とコアレスファイバの外径を異なせたので、請求項11の発明のように、光ファイバとコアレスファイバとの融着点を、光学顕微鏡をデフォーカスすることで容易に検知することができ、コアレスファイバの長さ調整を容易にする利点が得られる。また、請求項10の発明によれば、コアレスファイバの長さを調整する場合に、光ファイバとコアレスファイバの接合体の反射損失量の測定値を参照しながら行うので、光学顕微鏡で観察しにくい場合にも、光ファイバとコアレスファイバの融着点を確実に検知することができ、コアレスファイバの長さ調整の正確を期することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の光ファイバ端末の概略断面図であり、(a)は第1実施形態の光ファイバ端末の構成図、(b)は第2実施形態の光ファイバ端末の作製途中の状態を示す構成図、(c)は第2実施形態の第1実施形態の光ファイバ端末の構成図である。
【図2】本発明の実施形態の光ファイバ端末の作用説明図で、(a)はその比較として示すコアレスファイバ先端が平面形状に形成された光ファイバ端末の反射ビームの進路を示す図、(b)はコアレスファイバ先端が凹面形状に形成された本発明の実施形態の光ファイバ端末の反射ビームの進路を示す図である。
【図3】本発明の実施形態の光ファイバ端末の作用説明図で、(a)はその比較として示すコアレスファイバ先端が凸面形状に形成された光ファイバ端末の反射ビームの広がりを示す図、(b)はコアレスファイバ先端が凹面形状に形成された本発明の実施形態の光ファイバ端末の反射ビームの広がりを示す図である。
【図4】本発明の実施形態の光ファイバ端末の作用説明図で、(a)はその比較として示すコアレスファイバ先端が凸面形状に形成された光ファイバ端末(集光系)の出射ビームの集束を示す図、(b)はコアレスファイバ先端が凹面形状に形成された本発明の実施形態の光ファイバ端末(発散系)の出射ビームの広がりを示す図である。
【図5】コアレスファイバ長と反射損失の関係を、コアレスファイバの先端の凹面の曲率半径毎に示す特性図である。
【図6】コアレスファイバ長と出射ビーム径の関係を示す特性図である。
【図7】光ファイバ端末の作製手順を示す工程図である。
【図8】光学顕微鏡により光ファイバとコアレスファイバの融着点を観察した際の観察像を示し、(a)はピントが合った状態での観察像、(b)はピントを敢えて外した状態(デフォーカスされた状態)での観察像をそれぞれ示す図である。
【図9】本発明の光ファイバ端末の作製方法の説明図である。
【図10】本発明の光ファイバ端末の反射損失を測定する場合の説明図である。
【図11】本発明の光ファイバ端末の結合損失を測定する場合の説明図である。
【図12】本発明の光ファイバ端末を適用した光合分波器の構成図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図13】光ファイバの端面にコアレスファイバを接合した光ファイバ端末における問題点の説明図である。
【図14】コアレスファイバ長と反射損失の関係を示す特性図である。
【図15】コアレスファイバ長と結合損失の関係を示す特性図である。
【図16】コアレスファイバの先端面に利得等価機能膜を付けた場合の透過スペクトルを示す図である。
【図17】従来の光結合における問題点の説明図である。
【符号の説明】
101 光ファイバ
101a コア
101b クラッド
102 コアレスファイバ
102a 一端面
102b 他端面
103 コアレスファイバ
103a 一端面
103b 他端面
402 光ファイバ
403 コアレスファイバ
407,601,703,803 光ファイバ端末
805 コリメートレンズ
902 コリメータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等に用いられる光ファイバ端末とその作製方法、並びに、その光ファイバ端末を用いた光結合器及び光部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信の発達に伴って、利用する光デバイスや光学部品の小型化が望まれている。光ファイバ間で光結合を行う方法のうち、損失が少なく且つその間に様々な光学素子を設置することができるような光結合方法として、ファイバの光束出射端近傍にレンズを設置して、ファイバから出射される光束を平行光束とし、受光側も同様の光学系を組んで、再びファイバに光を結合させるという方法が一般的に利用されている。ファイバから出射された光束を平行光束とする機能を有する素子は一般にファイバコリメータと称せられており、前述したファイバとレンズの組み合わせはファイバコリメータの一つの形式である。
【0003】
この形式のファイバコリメータの性能を表す指標として、一般的に光結合損失と反射損失が用いられる。光結合損失は、平行光束の光束品質を反映するものであり、使用するファイバの開口数(以下、NAと略記する)、出射端面形状、出射端面における収差、レンズ性能、等に影響される。
【0004】
一方、反射損失を指標として表される反射光は、ファイバ出射端における出射エネルギの損失、あるいは、光源の安定動作を損なうという影響をもたらす。これら反射光の影響のうち、特に、光源の安定動作に及ぼす影響が、光通信分野においては重大問題の一つになっている。
【0005】
近年、光通信分野では、光源として、分布帰還型レーザが一般的に用いられている。この種のレーザ光源は、ファイバ内を逆行し光源まで到達する所謂戻り光により、レーザ発振が不安定になり易く、結果として、出力パワーの変動が生じ易いという特徴がある。即ち、反射光の増大、言い換えると、反射損失が小さい場合は、戻り光が大きいことを意味し、出力パワーの変動を増大させることになる。
【0006】
一般的に、ファイバコリメータにおいて、前述したレーザ光源の出力変動を無視できる程度の大きさに抑制するためには、次の(1)式に示す端面反射損失として、50dB以上が要求されている。加えて、近年の高速・高密度光通信システムでは、スペクトル線は極めて狭幅化しており、斯かる状況においては、より高い反射損失、例えば60dB以上が求められつつある。
端面反射損失=−10×log(IR /IO ) … (1)
但し、IR は反射光量、IO は入射光量を示す。
【0007】
現状で反射損失を得るための方法として、ファイバ端面を光軸に対し斜めにする方法が用いられている。このタイプの光ファイバ端末は、ファイバをガラスキャピラリに挿入して、キャピラリごと端面に4°〜8°程度の角度を付けて平面研磨することで得られる。これにより、端面における反射光はクラッドモード(clad mode )となって減衰するため、反射損失を大きくとることができ、更に表面のAR(反射防止)コーティングと合わせて、反射損失60dB以上を得ることができる。この方法は極めて簡便な方法であるため、これまで使用される主流の方式であった。
【0008】
ところで、このような斜端面を持つ光ファイバ端末を用いたコリメータを光部品内で利用する場合には、特に留意しなければならない点がある。この点について図17を参照しながら説明する。
【0009】
ファイバコリメータのコリメートレンズとしてよく用いられる屈折率分布レンズ(GRIN Lens)は、結像状態がレンズ長(Pitch)に依存するので、0.25Pitchの場合は、(a)のように屈折率分布レンズ(GRINLens)1101の端面に光源1105を置くと、もう一方の端面からコリメート光が出射する。実際には(b)のように屈折率分布レンズ(GRIN Lens)1102のレンズ長を0.23 Pitch程度としており、光源の位置調整に自由度をもたせる配置になっている。
【0010】
この構成によるコリメート光を結合させた場合の光路を(c)に示す。前述した斜端面の影響で、光ファイバ端末1103からの出射光は、約3.8°傾いてレンズ1104に入射するので、光ファイバ端末1103の光軸からδ1だけずれる。また、屈折率分布レンズ(GRIN Lens)1104の端面は光ファイバ端末1103の端面と同様に傾いているので、屈折率分布レンズ(GRINLens)1104に対して角度をもって入射することから、出射ビームは光ファイバ端末1103からの出射光の光軸に対してある角度(θ)を持つことになる。従って、このコリメータの組み合わせでは、光軸を一致させるためには、元の光軸に対して、δ2だけずらさなければ光結合は行えない。従来のコリメータで光結合を行う場合に位置調整が困難であったのは、この理由による。
【0011】
上記のような光路ずれをなくすためには、光ファイバ端末及びレンズ端面を全て光軸に対して垂直にすればよい。しかしこの場合、端面反射は全て戻り光として反映されてしまうことになる。ガラス端面と空気の屈折率差で生じる反射損失は14.7dBであり、これに良好なARコーティング(R<0.2%:27dB)を施したとしても、端面での反射損失は約42dB程度であり、50dB以上という上記の要求仕様は達成できないことになる。
【0012】
このような問題を解決する手段として、従来、ファイバ端面にコアレスファイバを融着し、コアレスファイバ内での光束の拡散作用により、必要な反射減衰量を得る構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。この構造は、出射光束径を広げることで、反射光とファイバ端におけるモードフィールド径(約10μm)との重なり積分を減少させることによって、反射損失を増大させるという原理を利用している。この構造によれば、ファイバ端面を0°〜6°として、コアレスファイバ部分の長さを1〜4mmとした場合、ARコートと合わせて60dB以上の反射損失を得ることができると言われている。
【0013】
【特許文献1】
特開平7−281054号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者らが、外径125μmの標準ファイバを用いてコアレスファイバ付き光ファイバ端末を作製し、評価した結果、反射損失は60dB以上を示したが、ファイバの前にレンズを置いて、一対のコリメータの結合効率を調べた結果、結合効率はコアレスファイバ長に大きく依存し、コアレスファイバ長が1mm以上では、結合効率が劇的に悪化することを見い出した。
【0015】
また、1mm未満で所望の長さをもつコアレスファイバが接続された光ファイバ端末を作製する場合、コアレスファイバの長さを正確に制御することは、非常に困難が伴うことがわかった。
【0016】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、通常の光部品で要求される反射損失及び結合効率の仕様を十分に満たすことのできる、実用的な光ファイバ端末並びにそれを用いた光部品及び光結合器を提供すること、また、前記光ファイバ端末を容易に作製することのできる作製方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の光ファイバ端末は、中心部のコア及びその外周部のクラッドを有する光ファイバの端面に、前記コアと略同一で均一な屈折率を有する材料よりなるコアレスファイバの一端面を接合してなる光ファイバ端末において、前記光ファイバのコアを伝送してきた光が前記コアレスファイバ内で拡がりコアレスファイバの他端面から外部へ出射するときのビーム径が、コアレスファイバの外径以内となるように、コアレスファイバの光路長を設定すると共に、前記コアレスファイバの他端面を凹面形状に形成したことを特徴としている。
【0018】
このようにコアレスファイバの端面を凹面形状に形成した場合、端面を平面形状に形成した場合に比べて、反射光のビーム径を拡大させることができて、反射損失量を更に大きく向上させることができる。その点について解説する。
【0019】
例えば、コアレスファイバの他端面が平面形状に形成されている場合、光ファイバからの出射光はコアレスファイバ中を拡散し、端面(コアレスファイバの他端面)においてビーム径が拡大するので、光ファイバのコアに対して再結合する反射光成分が大幅に減少する。従って、反射損失量を増大させることができる。この場合、反射損失量は、図5の端面の曲率半径R=infinity(無限大=平面)の場合で示すように、コアレスファイバ長に依存し、コアレスファイバ長が長いほど反射損失量は増大することが知られている。ここで、光ファイバ同士の結合損失を最小限に抑えるためには、ビームがけられないように、ビーム径が出射ファイバの外径以内に収まるようにする必要がある。従って、反射損失量と結合効率を両立させるためには、図6に示すように、例えば、外径125μmの標準ファイバを使用する場合には、コアレスファイバ長を1mm未満に制限する必要がある。一例として、コアレスファイバー長を900μmとした場合、図5に示したように反射損失は36dBとなり、先端面(コアレスファイバの他端面)にARコーティングを施すことにより、反射損失を50dB〜58dB程度にすることができる。
【0020】
しかし、端面が平面であると、前述した近年の高速・高密度光通信システムにおける反射損失の要求仕様値である60dB以上を得ることは難しい。
【0021】
この点、本発明のように、コアレスファイバの端面の形状を凹面形状に加工した場合、反射光のビーム径を更に拡大させることができ、端面が平面形状の場合に比べて、反射損失量を更に大きく向上させることができる。従って、ARコーティングと合わせて、60dB以上を容易に確保することができるようになる。なお、図5に示されるように、凹面形状の曲率半径Rを小さくすることにより、ARコーティング無しでも60dB以上を確保できる場合もある。いずれにしろコアレスファイバの出射端面が平面であるよりも、同端面を凹面とすることにより、格段に反射損失量を増加させることができる。
【0022】
請求項2の発明の光ファイバ端末は、請求項1において、前記コアレスファイバの光路長が1mm未満であることを特徴としている。この範囲内にコアレスファイバの長さを制限した場合でも、端面形状を凹面にし、かつ端面にARコーティングを施すことによって反射損失50dB以上を容易に確保することができる。従って、実用上は問題はない。また、軸ずれが無く組み立て調整が容易などの特徴は、コアレスファイバの長さを1mm未満に制限することによって何ら影響を受けるものではない。
【0023】
請求項3の発明の光ファイバ端末は、請求項1または2において、前記光ファイバの外径と前記コアレスファイバの外径が異なることを特徴としている。融着に支障がない範囲であれば、コアレスファイバの径が光ファイバの径と異なっても、請求項1、2の発明と全く同様の性能が得られる。また、この光ファイバ端末では、光ファイバとコアレスファイバの径差があることにより、融着点の位置認識が容易にでき、コアレスファイバの長さ調整を容易にする利点もある。
【0024】
請求項4の発明の光ファイバ端末は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記コアレスファイバの他端面の凹面形状の曲率中心が、前記光ファイバの光軸上に位置することを特徴としている。こうすることで、光ファイバ端末からの出射光は光軸と常に一致し、これにより、これまで斜端面による光束の位置ずれで不可能であった1直線の溝上での光結合が可能となる。
【0025】
請求項5の発明の光ファイバ端末は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記凹面形状に形成されたコアレスファイバの他端面に反射防止膜が設けられていることを特徴としている。このようにコアレスファイバの他端面(光ファイバとの接合側と反対側の端面)に、使用目的波長に応じた反射防止膜(ARコーティング)を施すことにより、直接戻り光の低減、他光素子との光干渉や、ゴーストなどを防ぎ、良好な光結合特性を得ることができるようになる。
【0026】
請求項6の発明の光ファイバ端末は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記凹面形状に形成されたコアレスファイバの他端面に光機能性薄膜が設けられていることを特徴としている。
【0027】
前述したように光ファイバ端末の凹面の曲率半径Rを小さくすると、ARコーティング無しでも大きな反射損失を確保できることから、ARコーティングの代わりに、端面に直接光機能薄膜を付けることができ、そうすることにより、透過光成分の利用が可能となる。従って、これまで光ファイバとは別部品であったフィルタを不要にすることができ、位置調整や接着などの工程も省略することができるようになる。
【0028】
請求項7の発明の光ファイバ端末は、請求項6において、前記光機能性薄膜が、(a)利得等価フィルタ、(b)シャープカットフィルタ、(c)バンドパスフィルタ、のいずれかであることを特徴としている。このような光機能性薄膜をコアレスファイバの端面に設けることにより、膜の透過光成分のみの利用が可能となる。
【0029】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかの光ファイバ端末を含む光結合器において、前記光ファイバの光軸上で前記コアレスファイバの他端面側に、少なくとも1個の球面レンズ、非球面レンズもしくは屈折率分布型レンズを配置したことを特徴としている。この場合、例えば、上記の光ファイバ端末とコリメータレンズとの組み合わせにより、コリメータ光を用いた光結合が可能になる。また、光ファイバ端末と有限系のレンズとの組み合わせも可能である。このように光ファイバ端末とレンズを組み合わせることで、通常の光ファイバ端末を用いて作製したコリメータと同等、ないしはそれ以下の低結合損失を有する光結合が可能となる。
【0030】
請求項9の発明の光部品は、請求項1〜7のいずれかに記載の光ファイバ端末と光の合分波機能を有する光学素子とを組み合わせたことを特徴としている。例えば、上記光ファイバ端末を用いてコリメート光による光結合を実現し、その間に特定の波長のみを反射しそれ以外の波長を透過する特性を持つ誘電体多層膜フィルタを挿入することで、光の合分波機能を持たせることができる。この場合、上記の光ファイバ端末を用いることにより、基板上に作製された共通のV溝上にて一対のコリメータ同士で光結合が可能となるため、部品点数の削減、工程の大幅な簡易化が可能となる。
【0031】
請求項10の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の光ファイバ端末の作製方法であって、前記光ファイバとコアレスファイバとを結合する第1の工程と、コアレスファイバの他端面を研磨しコアレスファイバの長さを所望の値に調整する第2の工程とを備え、前記第2の工程では、光ファイバとコアレスファイバの接合体の反射損失量を測定しつつ、コアレスファイバの長さを所望の値に調整することを特徴としている。
【0032】
即ち、本発明では、光ファイバに接合するコアレスファイバの長さを規定する第2の工程において、融着後のファイバ端末の反射損失をモニタしながら、コアレスファイバを研削及び研磨することにより、光ファイバ及びコアレスファイバを直接観察することなく、所望の長さにコアレスファイバを調整することができる。この場合、コアレスファイバ長と反射損失の間には1対1の関係が成り立っているので、作製中のコアレスファイバ付光ファイバ端末の仕上げ研磨面における反射損失を測定することにより、1μmの精度でコアレスファイバ長を規定することが可能となる。
【0033】
請求項11の発明は、請求項3記載の光ファイバ端末の作製方法であって、径の異なる前記光ファイバとコアレスファイバとを接合する第1の工程と、前記光ファイバとコアレスファイバとの接合点を検知する第2の工程と、前記接合点を基準にして設定した指定位置にてコアレスファイバを切断する第3の工程とを備え、前記第2の工程では、光学顕微鏡を用い且つデフォーカスされた顕微鏡像により前記接合点を検知することを特徴としている。
【0034】
光ファイバ端末におけるコアレスファイバの長さは正確に形成しなければならない。このため、請求項11の発明は、接合する光ファイバとコアレスファイバとの径を異ならせて、この光ファイバとコアレスファイバとの接合点を検知可能にし、この接合点を基準にして設定した指定位置にてコアレスファイバを切断するようにした。この場合、接合点の検知を、一般的な顕微鏡を用いてデフォーカス状態で接合点を観察することにより行うようにした。デフォーカス状態で接合点を観察することにより、光ファイバとコアレスファイバとの外径差を数μmオーダーという非常に小さくしても接合点を判別できることが、本願発明者によってはじめて見いだされたからである。
【0035】
即ち、本発明者の研究によれば、光ファイバとコアレスファイバとの接合点を顕微鏡で観察(フォーカス状態で)して判別する場合、外径差が大きい場合には判別できるが、外径差が小さくなるにしたがって次第に困難になり、外径差が数μm程度になると、全く判別が不可能であることがわかった。ところが、この研究の過程で、外径差が数μmの接合点を、本発明者が偶然にデフォーカス状態で観察したところ、この接合点を判別可能であることを発見した。
【0036】
このように、デフォーカスされた顕微鏡像を利用することにより、融着後の融着点を非常に簡便に識別することができる。これにより、光ファイバの外径とほとんど同じ外径を有するとともに所望のコアレスファイバ長を持ったファイバ端末を容易に作製することが可能になる。この方法を用いることにより、正確に融着点を認識することができるので、これを原点としてコアレスファイバの切断箇所を決めることができ、その箇所で切断することにより、10μmの精度でコアレスファイバの長さを調整することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は第1実施形態の光ファイバ端末の構成図、(b)は第2実施形態の光ファイバ端末の作製途中の状態を示す構成図、(c)は第2実施形態の光ファイバ端末の構成図である。
【0038】
図1(a)に示す第1実施形態の光ファイバ端末は、中心部のコア101a及びその外周部のクラッド101bを有する125μmの標準外径の任意長さのシングルモード光ファイバ(SMF)101の端面に、前記コア101aと略同一の均一な屈折率を有する材料よりなる125μmの外径のコアレスファイバ(CLF)102の一端面102aを融着接合し、そのコアレスファイバ102の長さLを1mm未満に設定した上で、コアレスファイバ102の他端面(出射端面)102bを、光ファイバ101の光軸上に曲率中心を有する凹面形状に研削・研磨加工したものである。
【0039】
図1(c)の第2実施形態の光ファイバ端末は、中心部のコア101a及びその外周部のクラッド101bを有する125μmの標準外径の任意長さのシングルモード光ファイバ(SMF)101の端面に、前記コア101aと略同一の均一な屈折率を有する材料よりなる122μmの外径のコアレスファイバ(CLF)103の一端面103aを融着接合し、そのコアレスファイバ103の長さLを1mm未満に設定した上で、コアレスファイバ103の他端面(出射端面)103bを、光ファイバ101の光軸上に曲率中心を有する凹球面として研削・研磨加工したものである。
【0040】
第1実施形態の光ファイバ端末と第2実施形態の光ファイバ端末との違いは、第1実施形態では光ファイバ101とコアレスファイバ102の外径を等しく設定しているのに対し、第2実施形態では光ファイバ101とコアレスファイバ103の外径を異ならせている点である。つまり、第2実施形態では、光ファイバ102の外径よりも僅かに小さい外径を有するコアレスファイバ103を光ファイバ101に接合している点である。
【0041】
なお、前記コアレスファイバ102、103の他端面102b、103bの凹面形状としては、基本的には凹球面を採用するのが好ましいが、必ずしも球面でなくてもよく、楕円球面等の非球面を採用してもよい。
【0042】
ここで、コアレスファイバ102、103の長さを1mm未満に設定することは、光結合を行うことを目的とした光ファイバ端末としての必須条件である。このようにコアレスファイバ102、103の長さを規定することにより、光ファイバ101のコア101aを伝送してきた光が、コアレスファイバ102、103内で拡がり、コアレスファイバ102、103の他端面102b、103bから外部へ出射するときのビーム径が、コアレスファイバ102、103の外径以内となる。
【0043】
この光ファイバ端末では、コア101aから出射した光がコアレスファイバ102、103中を拡散しながら伝搬するので、コアレスファイバ102、103の他端面102b、103からの出射ビーム径が拡大する。よって、コアレスファイバ102、103の長さに応じて反射損失を大きくとることができるようになる。従って、コアレスファイバ102、103の長さLを適切な値に設定することにより、出射ビーム径をコアレスファイバ102の外径以内に収めることができ、通常の光ファイバと全く同等の光結合を行うことができる。また、従来の斜面を持つ光ファイバ端末に比べて、出射ビームの直進性に優れ、且つ、実用上要求されるレベルの反射損失及び結合損失を得ることができる。また、この光ファイバ端末を使用することにより、コリメータ同士の光結合を直線上で行うことが可能となり、位置調整が容易となる。
【0044】
このような構造の光ファイバ端末を得るには、まず、光ファイバ101とコアレスファイバ102、103を用意し、両者の皮膜を融着が十分可能な長さに除去しておく。続いて、コアレスファイバ102、103の皮膜除去位置から20mmの位置で、ファイバクリーバを用いてコアレスファイバ102、103を切断し、融着端面を作る。光ファイバ101側も同様に融着端面を作る。そして、両者を標準的な単芯ファイバ接続用融着器に設置して、適切な条件下で融着作業を行う。通常、融着接続された両者の端面は一体化するので、外観や顕微鏡などの観察では、融着点を認めることはできない。
【0045】
例えば、Direct Core Monitoring法(DCM法)を用いれば、ファイバコアを直接見ることができ、融着点を正確に決めることができる。しかし、コアレスファイバの長さをおおよそミリ単位程度で決めれば良い場合には、コアレスファイバの皮膜除去位置をガイドとして用いて、コアレスファイバ101の長さを決めればよい。
【0046】
次にコアレスファイバ101の長さを1mm未満にすることの意義について説明する。ここでは、比較検討するために、コアレスファイバ102の皮膜除去位置からそれぞれ19mm、18mm、17mm、16mmの位置でコアレスファイバ102を切断することにより、コアレスファイバ102の長さが1mm、2mm、3mm、4mmとなったコアレスファイバ付き光ファイバ端末のサンプルを作製した。なお、長さ限定の意義を調べるための比較サンプルであるから、コアレスファイバの端面の形状は全サンプルとも、光軸に垂直な平面としてある。これら4本のサンプルの光学特性を評価したところ、以下の結果が得られた。
【0047】
まず、反射損失については、図14に示すように、ARコーティング無しでの反射損失が37dB以上になることが確認された。但し、長さ0mm(コアレスファイバ無しの場合)の反射損失値は14.7dBとしてある。従って、ARコーティングを施した場合、全てのサンプルで、50dB以上の反射損失が得られることが分かる。
【0048】
次に、図11に示すように、コリメートレンズを用いて一対のコアレスファイバ付き光ファイバ端末の結合損失量を測定した。図11において、801はLED光源、802はパッチコード、803は光ファイバ端末、804は光学ステージ、805はコリメートレンズ、806は検出器、807はコネクタである。LED光源801から発せられた光は、一方の光ファイバ端末803からコリメートレンズ805、805を介して他方の光ファイバ端末803に入射し、検出器806にて受光される。
【0049】
このような構成にて結合損失量を測定した結果、図15に示すように、全てのサンプルA〜Dで、結合損失値が1dB以上となった。ファイバ端面にARコーティングを施していないことを考えても、この結合損失は光ファイバ端末部品としては非常に大きな値であり、このままでは現在要求されているコリメータを作製することができないことが分かった。
【0050】
この原因を以下のように考察した。即ち、図13に示すように、光ファイバ1001のコア1001aから光が出射すると、ビーム1003は回折により拡がるため、伝搬距離に依存してビーム径rは拡大する。コアレスファイバ付き光ファイバ端末では、出射端面のビーム径rはコアレスファイバ1002の長さに依存することになる。そのため、コアレスファイバ1002の長さがある長さを超えてしまうと、ビーム径rがファイバ径Rを超えてしまうようになり、そのために、光の漏洩やファイバの縁による回折等が発生し、出射光の均一性が失われて結合損失が増大するのではないかと考えた。
【0051】
そこで、コアレスファイバ長と出射ビーム径の関係を調べた。その結果得られたものが図6に示すデータである。この図6に示す関係から、コアレスファイバの長さを決めれば、同時に、理想的には損失のない光結合を可能にする最大のファイバ外径が決まる。いま、ビーム(Beam)径を、光の強度が分布中心に対して1/e2となる長さとして定義する(以下、ビーム径はこの定義に従うものとする)と、コアレスファイバ長1mmの時、既に出射ビーム径は標準ファイバ外径である125μmを超えてしまっている。これが、前述のように作製したコアレスファイバ付き光ファイバ端末で、結合損失が大きくなった原因であると考えられる。
【0052】
従って、図1(a)の構造を持つ光ファイバ端末において、ファイバ外径をある値に固定する仮定の下では、反射損失と結合損失を両立させるには、コアレスファイバの長さを制限する必要があることが分かる。以上のことから、図1(a)の構造をもち、且つ、反射損失と結合損失を両立させる性能をもつ光ファイバ端末を作製するためには、標準外径(125μm)の光ファイバ101を用いるとすると、コアレスファイバ102の長さが1mm未満でなければならないことを発見するに至った。
【0053】
ところが、実際にこの光ファイバ端末を作製する場合、このような短い長さのコアレスファイバ102を付加した構造を作る必要があるため、作製作業がかなり難しくなることが判明した。
【0054】
そこで、本発明者らは鋭意研究の結果、上記のような光ファイバ端末を作製する上で発生した全ての課題に対する解決方法を見い出すに至った。以下にその内容について説明する。
【0055】
代表的な光ファイバ端末の作製方法のフローを図7に示す。左の図(A)はフローチャート、右の図(B)はフローチャートの中の各工程(a)〜(d)の内容を模式的に示す図である。このフローでは、まず、(a)光ファイバ(SMF)402とコアレスファイバ(CLF)403との融着接続工程を実施する。ファイバ同士の接続は必ずしも融着に限らないが、市販の融着器で容易に融着作業が可能であり、また接続性能及び信頼性に最も優れた手段であることから、ここでは融着接続を用いている。接続に当たっては、後で行う測定作業を簡便に行うために、一方の端にコネクタがついた外径125μmの標準的な光ファイバ402を任意長さだけ用意し、他端を融着可能な範囲で皮膜除去し(ファイバ皮膜401)、ファイバクリーバを用いて切断して、接続端面を作製する。次に、外径122μmのコアレスファイバ403を任意長さだけ用意し、同様に皮膜除去と端面切除を行う。
【0056】
コアレスファイバ403の外径を標準径から細くする方法としては、化学エッチングが利用できる。あるいは、コアレスファイバ403の作製時に、この外径で作製してもよい。これら光ファイバ402とコアレスファイバ403を標準的な単芯用光ファイバ融着器に設置し、外径基準調芯により、適当な条件で融着作業を行う。
【0057】
図1(b)はこの両者(光ファイバとコアレスファイバ)を接続した状態を示したものである。図では両者の外径差を誇張して描いているが、実は3μm程度の外径差では、その差を見ることは難しい。接合点は、通常の同径ファイバ同士の融着と同等の強度を保っている。
【0058】
このように融着したら、次に所定位置でコアレスファイバ403を切断する工程を実施する。この工程は、(a)融着点を正確に判定する工程と、(b)その融着点から正確な長さの位置でコアレスファイバ403を切断する工程とに分けられる。ほぼ同じ屈折率の材料同士を融着接続すると、両者に区別がつかなくなるので、その融着点の認識を光学的に行うことは非常に難しい。おおよその長さでの切断が許されるならば、先の例に記載したように皮膜除去点などを基準に測長することが可能だが、1mm未満の短い長さで10μm程度の正確な測長が必要な場合にはこの方法は不十分である。
【0059】
前述したDCM法の光学系を組んでファイバコアを直接観測できれば、コアの有無により融着点を判定することは原理的に可能である。しかしこの方法は、精度の高いステージやCCDカメラおよびレーザ光源などを必要とし、非常に高価なシステムとなってしまう。また、このような光学系とファイバカッタとを組み合わせることも困難を伴い、更に、拡大倍率が大きいと、コアレスファイバ長が長い場合に切断点が視野外となってしまう不具合も生じる可能性がある。
【0060】
これらの問題点を避ける上で、前記のように光ファイバとコアレスファイバの外径に差を設けたことが役立つ。つまり、外径差を設けたことで、次述の方法によれば、融着点の判定が簡単にできるようになり、任意の長さで10μmの精度でコアレスファイバ長を決めて切断することが可能となるのである。以下にその内容を述べる。
【0061】
融着点を判定する工程、及び、指定長さで切断する工程は、それぞれ以下のように行う。図9に示すように、ファイバカッター刃604を有する市販の超音波式ファイバクリーバ、コアレスファイバ付きSMF(光ファイバ端末)601をチャックすることができるマイクロメータ付き一軸ステージ606を用意し、切断点観察のため、ファイバクリーバを実体顕微鏡603下に設置する。観察倍率は10倍から20倍程度で十分である。
【0062】
前出の光ファイバとコアレスファイバを融着した光ファイバ端末(コアレスファイバ付きSMF)601を、ファイバクリーバの刃604の近辺に融着点が来るようにV溝605上に半固定し、光ファイバ端末601の一端を一軸ステージ606にファイバチャック602を用いてチャッキングする。マイクロメータでステージ606を送ると、チャックされている光ファイバ端末601は、目盛りで示された移動量だけ、ファイバクリーバのV溝605の上を移動することになる。
【0063】
ところで、上述したように光ファイバ(SMF)とコアレスファイバとはごくわずか径に差を付けてあるが、本実施形態で使用している程度の径の差分では、普通に像焦点を合わせ(On Focus)て拡大像の観察を行っても、図8(a)に示すように、融着点(矢印の位置=Splicing Point)を認識することができない。図8(a)に示す光ファイバ端末501において、矢印で示す融着点(Splicing Point)の左側が光ファイバ(SMF)、右側がコアレスファイバ(CLF)であり、接合点が確認できない。
【0064】
しかし、像焦点が合っている状態から、わずかに焦点をずらしていくと、図8(b)に示すように、デフォーカス(Defocus)された顕微鏡像の中に、歪んで見える箇所(Splicing Point)が観測される。この歪み箇所は、コアレスファイバと光ファイバとの融着点と一致する。両者の径が一致している場合は、この歪みは観測されず、2μm程度(径に対して1.6%程度)以上径差を付けた場合にのみ、像焦点位置からわずかにずれた像位置(デフォーカス=Defocus位置)で明瞭に観測されることが確認された。ずらす方向は近接側、遠方側どちらでもよい。なお、図8の中の502は参考のためにカッタの切断刃を示している。
【0065】
図9に戻る。この方法で見つけた融着点を、一軸ステージ606を移動させ、ファイバクリーバの切断刃604の先端地点に置く。これを原点として、再び必要なコアレスファイバの長さ分だけステージ606を送り、送り終わった点で固定しコアレスファイバを切断する。このようにして、光ファイバ(SMF)の先端に所望の長さのコアレスファイバが融着された光ファイバ端末601ができあがる。この方法によれば、コアレスファイバ部分は10μmの精度で長さを制御することができる。
【0066】
なお、本実施例では、以降の工程で、先端を研削/研磨するので、あらかじめ研削量を見込んで、コアレスファイバの長さが1000μmの光ファイバ端末を作製した。
【0067】
次に、図7に戻って(d)のガラスキャピラリの接着工程を説明する。光ファイバとしての機能は、上記作業終了時点で十分だが、光学評価を行う場合、あるいは光学部品に搭載する場合、光ファイバ端末をガラスキャピラリ406に固定して使用することが多く行われる。
【0068】
本例では、この光ファイバ端末(コアレスファイバ付きSMF)407を、外径φ1.8mm/内径126μm/長さ6mmのガラスキャピラリ406に挿入し、挿入時にUV接着剤を塗布させた後、硬化させて、光ファイバ端末407とキャピラリ406を固定した。固定の際、キャピラリ406と光ファイバ端末407との両端面が一致するように固定することが望ましい。コアレスファイバ403の径は122μmであるので、キャピラリ406との内径差は4μm生じるが、この程度の径差では、光ファイバ端末407、キャピラリ406間の偏心や接着剤層の増大分はほとんど無視できるので、実用上何ら不具合は生じない。接着剤は熱硬化型接着剤を用いてもよい。
【0069】
次に(e)のファイバ端面の光学研磨工程を以下のように行う。光学研磨は、良好で安定した光学性能を得るために行う。研磨は、キャピラリ406を研磨治具に固定し、粗削り/1次研磨/2次研磨/仕上げ研磨の順に行う。
【0070】
その場合、端面を凹面形状に研削・研磨加工する必要があるので、目的の凹面形状に対応した凸球面を持つ砥石を準備し、キャピラリを研磨治具に固定する。本例では、曲率半径R=500μmの砥石を使用した。砥石の曲率中心と、キャピラリの中心とを一致させて砥石を回転させることにより、コアレスファイバの切断面を研磨する。粗擦りから仕上げ研磨まで、同様の方法で研磨することで、キャピラリの中心にザグリを入れたような形状で、凹面を完成させる。
【0071】
当然この研磨により、端面は研削され、キャピラリ406、即ち光ファイバ端末407の先端のコアレスファイバの長さは短くなる。研磨面にかかる負荷圧力の違いや研磨シートの状態の違い等により、研磨時間を固定しても、実際の研削量は一定しないことが多く、研磨時間のみで、研削量を規定することは難しい。また、接着剤がファイバ周囲に付着していると、前述のデフォーカス顕微鏡像による観察でも、微妙な歪みを認めることができなくなり、融着点を正確に認識することができなくなる場合がある。
【0072】
そこで、そのような場合には次の方法を採用する。この方法では予め図5に示すように、凹面の曲率半径が同一である場合にはコアレスファイバの長さと反射損失は一対一で対応している。そこで、研磨工程における仕上げ研磨が終了した段階で、図10のように、コネクタ704を反射損失測定器701のパッチコード702に接続し、測定サンプル703(ここでは光ファイバ端末)の出射端面の反射損失をモニタすることで、コアレスファイバ長を正確に知ることができる。
【0073】
従って、コアレスファイバの長さを直接観察しなくても、反射損失をモニタすることで、容易にその長さを正確に知ることができる。研削量はモニタ数値をガイドにして微調整が可能であるから、長さを1μmという高い精度で制御されたコアレスファイバ付きファイバ端末を作製することができる。本実施例では、1回の研磨作業で、約600μm程度研削されるというデータが別途得られていたので、1000μmのコアレスファイバ長を有した光ファイバ端末は、上記の先端研磨作業により、約400μmのコアレスファイバ長を有する光ファイバ端末として得られる。このように、反射損失を測定しながらキャピラリの先端を研磨し、反射損失測定値が目標値に達したら研磨を終了する〔図7のフローの(f)〕。
【0074】
そして、最後に以上の工程で作製した光ファイバ端末のコアレスファイバの端面に反射防止膜を形成することにより、端面反射や、干渉、あるいはゴーストなどを抑えた光ファイバ端末を得ることができる〔図7のフローの(g)〕。
【0075】
また、コアレスファイバの端面の凹面形状の曲率半径Rを小さくすれば、図5に示すように反射防止膜無しでも、反射損失として、通常の光部品で要求されるレベルである50dB以上を得ることができる。従って、透過光のみを使用するような光機能性薄膜であれば、これを直接先端凹面に成膜することにより、目的の光透過機能を持つ光ファイバ端末を作製することができる。
【0076】
以上の作業により、高い反射損失と低い結合損失を両立し、且つ光軸ずれが発生せず、光部品に搭載可能な性能を有する、図1(c)の第2実施形態の光ファイバ端末ができあがる。
【0077】
なお、当然であるが、上記の作製方法は一例であって、手順や方法などは、これに限るものではない。
【0078】
上述した作製方法にて、下表のような光ファイバ端末サンプルを3本作製し、サンプル名をそれぞれSampleA〜Cとする。この表に記したコアレスファイバ長は、ARコーティング前の反射損失から求めた長さである。反射損失は、ARコーティング後に、反射損失測定器で測定することで得られた実測値である。比較のため、同様の方法で端面を平面研磨によって作製した「端面0°」のサンプルを用意し、これをSampleDとした。
【0079】
【表1】
【0080】
SampleAを出射ファイバとして、その他のサンプルを受光ファイバとし、図11に示したように、両者の間に非球面コリメートレンズ(F=3、NA=0.22)をおくことにより、結合損失を測定した。光源として、λ=1.55μmのLD光源、及び、同波長域に十分な感度を持つ光検出器を用いて、コリメートレンズ間距離を100mmとし、光結合損失量の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
上の表に示した通り、コアレスファイバ付き光ファイバ端末同士の組合わせにより、約0.2dBの結合損失を得ることが可能であることが実証できた。これは、端面0°のコアレスファイバ付き光ファイバ端末(SampleD)と同様の結合損失で且つ反射損失量は10dB程度向上させることができた。反射損失量については、凹面の曲率半径Rを小さくすることで、更に大きい値が期待できる。
【0083】
次に、ファイバ端面に、直接光機能膜を付加した実施例を以下に示す。前述した作製方法により、R=75μmの砥石を使用して、コアレスファイバ長が500μmで、先端がR=75μmの凹面を持つコアレスファイバを作製した。
【0084】
この凹面上に、利得等価機能を持たせる目的で、イオンビームスパッタ方式により、高屈折率材料ターゲットとして、Ta2O5(H)を、低屈折率材料ターゲットとしてSiO2(L)を用いて、以下に示すような多層膜を成膜した。設計に用いた光の波長はλ=1550nmである。下記数値の単位はμmであり、HおよびLはそれぞれ高屈折率材料と低屈折率材料を意味する。また、第1層とはコアレスファイバの凹面側端面の直上に成膜された層を意味し、第2層は第1層の上に形成された層を意味する。以下、第3層から第19層まで同様の関係を有し、第19層は最上面に形成された層となる。
【0085】
第1層 0.6998 (L)
第2層 0.7622 (H)
第3層 1.5163 (L)
第4層 1.5616 (H)
第5層 1.4120 (L)
第6層 1.5983 (H)
第7層 2.7440 (L)
第8層 28.0189 (H)
第9層 5.6922 (L)
第10層 1.5869 (H)
第11層 0.7759 (L)
第12層 1.0268 (H)
第13層 12.4611 (L)
第14層 7.1946 (H)
第15層 7.7260 (L)
第16層 14.7289 (H)
第18層 4.2224 (L)
第19層 11.0806 (H)
【0086】
このようにして得られた、利得等価機能膜付きファイバ端末の透過スペクトルを図16に示す。このスペクトル形状は、EDFAタイプの光アンプの光学特性に対して、1550nmを中心に透過率を平坦にさせることができる。このように、光ファイバ端末の端面に、光機能膜を付加することにより、これまで別部品であった光機能フィルタを、ファイバ端末と一体化できるので、部品点数の削減や位置調整などの作業を省略することができる。なお、膜の材料及び膜構成を設計することにより、ある波長以上または以下の波長領域を遮断するシャープカットフィルタや、特定の波長領域のみを透過するバンドパスフィルタなどについても、同様に作製することができる。
【0087】
以上のように、上記の作製方法によれば、目標仕様を満たし、実用可能なレベルの光ファイバ端末を容易に作製することができることが実証できた。また、コリメートビームの直線性は、結合損失測定の際に、サンプルを入れ替えても、光学ステージをほとんど動かすことなく、光結合を行うことができることからも、実証できた。
【0088】
なお、コアレスファイバの長さ及び凹面の曲率は、請求項1に記載した条件を満たす範囲で、反射損失の要求仕様に合わせて適当に調整すればよい。光線の直線性をもたせるためには、請求項3に示すように、光ファイバの光軸と凹面の曲率中心が一致させることで実現できるが、研磨工程の公差範囲で若干のずれが生じても、実用上大きな問題はない。
【0089】
コアレスファイバの長さについての計算上の好ましい範囲は、長い方では略900μmである。これは、ビーム径を光の強度が分布中心に対して1/e2となる長さとして定義した場合に、出射端におけるビーム径がほぼ120μmとなって、標準ファイバの外径とほぼ等しくなる長さである。しかし、コアレスファイバが長いほど、ガラス媒質中を透過する際に損失が大きくなる可能性があり、また、ファイバ端面の欠けが生じた場合、ビームの散乱要因となるので、長い方での好ましい範囲は900μm以下で、より好ましくは5600μm以下と判断される。
【0090】
また、光ファイバに対してコアレスファイバの外径を異ならせる場合の好ましい範囲は次の通りである。外径を変える場合、標準ファイバより太くする方法と細くする方法とがある。通常、光ファイバ端末は、市販のガラスキャピラリに挿入し、固定して使用することが一般的である。従って、市販規格品の範囲内で使用する場合、接続するコアレスファイバは細くした方が有利である。径を変える主目的は、融着後の融着点を容易に観察するためであり、前述した融着点における歪みの観察を容易にするためには、少なくとも径にして2μm以上細くする必要がある。
【0091】
歪み点は径差が大きいほど明瞭となるが、径差が大きすぎると、キャピラリに固定する際に、キャピラリ内径に対して偏心が生じやすくなること、キャピラリとの固定で使用する接着剤の量が必然的に多くなること等から、耐候性が劣化する可能性がある。従って、接合するコアレスファイバの径差として好ましい範囲は、光ファイバ(SMF)に対して2〜10μm程度細いことが適当である。
【0092】
次に前記のようにコアレスファイバの出射側の端面を凹面形状に形成したことによる優位性について説明する。
【0093】
例えば、図2(a)に示すように、コアレスファイバ102の端面(他端面)102bが平面である場合、光ファイバ101からの出射光は、コアレスファイバ102中を拡散し、端面においてビーム径が拡大するので、コア101aに再結合する反射光成分を大幅に減少させることができ、反射損失量を増大させることができる。しかし、その場合、先端面にたとえARコーティングを付けても、反射損失はせいぜい50dB〜58dB程度までにしか上げられず、60dB以上を得ることはなかなか難しい。
【0094】
この点、図2(b)に示すように、端面の形状を凹面に加工した場合、反射光のビーム径を更に拡大させることができるので、端面が平面の場合に比べて、反射損失量を大きく向上させることができる。
【0095】
このような効果は、先端面を凸面形状にした場合でも同様に得られる効果であると言うこともできるが、凸面形状に比較して凹面形状にした場合は、次のような点で優れていると言うことができる。その点について、図3、図4を参照しながら説明する。ここで比較する凸面側のサンプル(a)と凹面側のサンプル(b)は、コアレスファイバ102の長さ(光ファイバ101との融着接合面から凸面及び凹面の曲率中心までの距離)が同一で、コアレスファイバ102の先端の凸面と凹面の曲率が等しく設定されたものである。
【0096】
(1)反射損失の比較
図3に示すように、凸面の場合、一度コアレスファイバ102内でビームがフォーカスするため、最初から拡散する凹面に比べて、出射端面における反射光のビーム径は小さくなる。反射損失量は、(反射光のビーム径)/(出射ビーム径)に相関があり、図より明らかであるように、
(W1/W0)<(W2/W0)
であるから、上記のような同一条件下では、凹面のほうが、反射損失量を大きくとることができ、その点で優れていると言うことができる。
【0097】
(2)集光系と発散系の比較
同様に図4を用いて両者の出射ビームの振る舞いについて比較してみると、凸面の場合、集光系であるため、ビームは凸面の焦点においてフォーカスする。しかし、面が球面であれば、球面収差が発生し、ここで生じた収差は、その後の光学系に残存し、コリメータの場合、結合効率を悪化させる要因となる。一方、凹面であれば、発散系であるので、受光レンズのNAが十分であれば、光ファイバ端末からの収差は発生しないので、光学的性能の観点から凹面形状の方が優れていると言うことができる。
【0098】
(3)先端の直接レンズ化における問題点
先端を凸面形状にした場合、先端を直接レンズ化することで、ファイバからの出射光が直接コリメート光となる。一方、端面が平面や凹面となっている場合、コリメート光を得るためには、出射端以後にコリメートレンズ(非球面レンズなど)を使用する必要があり、一見凸面に対して優位性がないように思われる。しかし、実際には、
・凸面形状は本質的に球面であり、非球面よりもビーム品質が劣る;
・凸面の場合、出射光のビーム曲がりを抑えるためには、ファイバ出射光の光軸と、凸面の曲率中心とをμm単位で合わせ込む必要がある。実際の製品で は、これが非常に困難である;
・凸面の場合で得られるビーム径はせいぜい200μm程度であり、コリメータの対向距離(Working Distance)は20〜30mm程度で、長距離の結合は本質的に不可能である;
等の問題があり、これに対し、凹面の場合は、光ファイバ端末とレンズを独立することになるため、設計の自由度が極めて広くなり、上記に示した欠点を無理なく全て解消することができる。
【0099】
以上のように、コアレスファイバの先端形状を凹面にすることは、従来より行われている凸面形状をただ単に置き換えて同じ効果を得るという恣意的なものではなく、凸面以上の効果を得ることができる点で大いに優位性がある。
【0100】
因みに、凹面形状とした場合は、出射ビームは発散系であって、凸面形状と違って収差は発生しない。ただし凹面の加工を行う場合に、曲率が大きくなるほど面の研磨が困難になる。また、出射NAも同様に大きくなり、コリメータレンズのNAを大きくとる必要が生じる。例えば、凹面の曲率半径R=500μmである場合、表面が平面である場合に比較して、反射損失が15dB程度向上するものの、NAは大きく変わらない。従って、好ましい曲率の範囲としては、300μm<R<500μm程度であると考えられる。
【0101】
次に、上述した光ファイバ端末を使用した光部品の実施形態について以下に述べる。ここでは、図12のような1枚の波長選択フィルタを用いて、4つの入出力用ポートを持つ光合分波器を作製した。
【0102】
図12(a)は上から見た光合分波モジュールの概略図である。モジュール中の光路は図中に細線で示してある。このモジュールは、ガラス基板901上に、波長選択フィルタ904、補正用ガラス基板905、反射ミラー906を配置し、ガラス基板901に設けたV溝903にコリメータ902を配置している。
【0103】
入力ポート(In Port)から入射された波長多重光は、波長選択フィルタ904により、透過光と反射光に分波され、それぞれ分岐ポート(Drop Port)と出力ポート(Out Port)に出力される。また、外部挿入光は挿入ポート(Add Port)から入射し、フィルタ904を通過して、出力ポート(Out Port)へと合波される仕組みである。ここで用いたコリメータ902は、前述した光ファイバ端末と非球面レンズ(屈折率分布型レンズでも可)とを同一のガラス管内に接着して作製したものである。
【0104】
機能としては、通常のADMと変わらないが、各々のコリメータ902は基板901上のV溝903上に固定されており、特に入力ポート(In Port)のコリメータ902と分岐ポート(Drop Port)のコリメータ902は一直線上のV溝903上にある。従来方式のコリメータでは、光軸ずれが発生するため、V溝903を光軸のガイド溝として使用することが不可能であったが、本実施の形態の光ファイバ端末を用いたコリメータ902は、全く軸ずれが起きないため、コリメータ902間にフィルタ904などの光学素子が入らない状態では、ほとんど位置調整無しで、光結合が可能となる。
【0105】
コリメート光の間にガラス基板(波長選択フィルタ904)が斜めに入ると、光はガラス基板の厚みに依存して、元の光軸と平行に位置ずれが発生する。このずれは、図に示したように、同様のガラス基板(補正用のガラス基板905)を用いて補正することで、元の光軸は維持されるので、大きな問題とはならない。従って、この構成では、フィルタ904の両脇にある反射ミラー906の角度を調整するだけで、全ての光路を調整することができることになる。このように、本発明の光ファイバ端末を使用することで、V溝903がコリメータ光のガイド溝となるので、これまで実現不可能だった同一基板上でのコリメータの集積が技術的に可能となる。更に、組み立てが簡単にできることになり、調整時間も短縮できる。
【0106】
なお、本発明の光ファイバ端末を用いて作製し得る光部品のバリエーションとしては、その他にコリメータアレイ、2Port moddule(例:利得等価器)、アイソレータ、光スイッチ、光測距計、波長計、干渉計などがある。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、通常の光部品で要求される反射損失及び結合効率の仕様を十分に満たすことのできる実用的な光ファイバ端末を提供することができる。また、それを用いた光部品及び光結合器を提供することができる。特にコアレスファイバの先端面の凹面化により、反射損失量を容易に増大させることができる。また、請求項3によれば、光ファイバの外径とコアレスファイバの外径を異なせたので、請求項11の発明のように、光ファイバとコアレスファイバとの融着点を、光学顕微鏡をデフォーカスすることで容易に検知することができ、コアレスファイバの長さ調整を容易にする利点が得られる。また、請求項10の発明によれば、コアレスファイバの長さを調整する場合に、光ファイバとコアレスファイバの接合体の反射損失量の測定値を参照しながら行うので、光学顕微鏡で観察しにくい場合にも、光ファイバとコアレスファイバの融着点を確実に検知することができ、コアレスファイバの長さ調整の正確を期することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の光ファイバ端末の概略断面図であり、(a)は第1実施形態の光ファイバ端末の構成図、(b)は第2実施形態の光ファイバ端末の作製途中の状態を示す構成図、(c)は第2実施形態の第1実施形態の光ファイバ端末の構成図である。
【図2】本発明の実施形態の光ファイバ端末の作用説明図で、(a)はその比較として示すコアレスファイバ先端が平面形状に形成された光ファイバ端末の反射ビームの進路を示す図、(b)はコアレスファイバ先端が凹面形状に形成された本発明の実施形態の光ファイバ端末の反射ビームの進路を示す図である。
【図3】本発明の実施形態の光ファイバ端末の作用説明図で、(a)はその比較として示すコアレスファイバ先端が凸面形状に形成された光ファイバ端末の反射ビームの広がりを示す図、(b)はコアレスファイバ先端が凹面形状に形成された本発明の実施形態の光ファイバ端末の反射ビームの広がりを示す図である。
【図4】本発明の実施形態の光ファイバ端末の作用説明図で、(a)はその比較として示すコアレスファイバ先端が凸面形状に形成された光ファイバ端末(集光系)の出射ビームの集束を示す図、(b)はコアレスファイバ先端が凹面形状に形成された本発明の実施形態の光ファイバ端末(発散系)の出射ビームの広がりを示す図である。
【図5】コアレスファイバ長と反射損失の関係を、コアレスファイバの先端の凹面の曲率半径毎に示す特性図である。
【図6】コアレスファイバ長と出射ビーム径の関係を示す特性図である。
【図7】光ファイバ端末の作製手順を示す工程図である。
【図8】光学顕微鏡により光ファイバとコアレスファイバの融着点を観察した際の観察像を示し、(a)はピントが合った状態での観察像、(b)はピントを敢えて外した状態(デフォーカスされた状態)での観察像をそれぞれ示す図である。
【図9】本発明の光ファイバ端末の作製方法の説明図である。
【図10】本発明の光ファイバ端末の反射損失を測定する場合の説明図である。
【図11】本発明の光ファイバ端末の結合損失を測定する場合の説明図である。
【図12】本発明の光ファイバ端末を適用した光合分波器の構成図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図13】光ファイバの端面にコアレスファイバを接合した光ファイバ端末における問題点の説明図である。
【図14】コアレスファイバ長と反射損失の関係を示す特性図である。
【図15】コアレスファイバ長と結合損失の関係を示す特性図である。
【図16】コアレスファイバの先端面に利得等価機能膜を付けた場合の透過スペクトルを示す図である。
【図17】従来の光結合における問題点の説明図である。
【符号の説明】
101 光ファイバ
101a コア
101b クラッド
102 コアレスファイバ
102a 一端面
102b 他端面
103 コアレスファイバ
103a 一端面
103b 他端面
402 光ファイバ
403 コアレスファイバ
407,601,703,803 光ファイバ端末
805 コリメートレンズ
902 コリメータ
Claims (11)
- 中心部のコア及びその外周部のクラッドを有する光ファイバの端面に、前記コアと略同一で均一な屈折率を有する材料よりなるコアレスファイバの一端面を接合してなる光ファイバ端末において、
前記光ファイバのコアを伝送してきた光が前記コアレスファイバ内で拡がりコアレスファイバの他端面から外部へ出射するときのビーム径が、コアレスファイバの外径以内となるように、コアレスファイバの光路長を設定すると共に、
前記コアレスファイバの他端面を凹面形状に形成したことを特徴とする光ファイバ端末。 - 前記コアレスファイバの光路長が1mm未満であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ端末。
- 前記光ファイバの外径と前記コアレスファイバの外径が異なることを特徴とする請求項1または2記載の光ファイバ端末。
- 前記コアレスファイバの他端面の凹面形状の曲率中心が、前記光ファイバの光軸上に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバ端末。
- 前記凹面形状に形成されたコアレスファイバの他端面に反射防止膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光ファイバ端末。
- 前記凹面形状に形成されたコアレスファイバの他端面に光機能性薄膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光ファイバ端末。
- 前記光機能性薄膜が、
(a)利得等価フィルタ、
(b)シャープカットフィルタ、
(c)バンドパスフィルタ、
のいずれかであることを特徴とする請求項6記載の光ファイバ端末。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の光ファイバ端末を含む光結合器において、
前記光ファイバの光軸上で前記コアレスファイバの他端面側に、少なくとも1個の球面レンズ、非球面レンズもしくは屈折率分布型レンズを配置したことを特徴とする光結合器。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の光ファイバ端末と光の合分波機能を有する光学素子とを組み合わせたことを特徴とする光部品。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の光ファイバ端末の作製方法であって、
前記光ファイバとコアレスファイバとを結合する第1の工程と、
前記コアレスファイバの他端面を研磨しコアレスファイバの長さを所望の値に調整する第2の工程とを備え、
前記第2の工程では、
光ファイバとコアレスファイバの接合体の反射損失量を測定しつつ、コアレスファイバの長さを所望の値に調整することを特徴とする光ファイバ端末の作製方法。 - 請求項3記載の光ファイバ端末の作製方法であって、
径の異なる前記光ファイバとコアレスファイバとを接合する第1の工程と、
前記光ファイバとコアレスファイバとの接合点を検知する第2の工程と、
前記接合点を基準にして設定した指定位置にてコアレスファイバを切断する第3の工程とを備え、
前記第2の工程では、
光学顕微鏡を用い、且つ、デフォーカスされた顕微鏡像により前記接合点を検知することを特徴とする光ファイバ端末の作製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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