JP3743621B2 - 光ファイバ用毛細管及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光ファイバ用毛細管及びその製造方法に関し、特に複数本の光ファイバがそれぞれ挿入固定される複数の挿入孔を備えた光ファイバ用毛細管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年における光通信の分野では、情報伝送容量の膨大化に伴って、複数の波長の光を1本の光ファイバに多重させて伝送するWDM(Wevelength Division Mutiplexing:波長分割多重)と称される光波長多重伝送方式が採用されるに至っている。尚、WDMは、DWDM(DenseWevelength Division Mutiplexing:高密度波長分割多重)を含む(以下同様)。この種の伝送方式においては、光ファイバ伝送路の途中に波長弁別器や光増幅器等のWDM部品が設置されるのが通例であり、また近年、伝送容量向上のために、これらのWDM部品を偏波保持型のもので構成することが開発され、利用されつつある。
【0003】
このようなWDM用の波長弁別器としては、例えば図6に示すように、二本の光ファイバ6,8が挿入固定された第一の毛細管(ガラスキャピラリ)1の一側方に、コリメート用の円柱状GRIN(graded index:屈折率分布型)レンズ2と、波長弁別用のフィルタ素子(WDMフィルタ)3と、集光用の円柱状GRINレンズ4と、1本の光ファイバ7が挿入固定された第二の毛細管5とを、順々に配列した構造のものが存在する。尚、偏波保持型の波長弁別器も構造上は同様である。
【0004】
この構成によれば、第一の毛細管1のポートAから一方の光ファイバ6及び円柱状GRINレンズ2を通過してフィルタ素子3に入射した光は、必要な波長の光信号が円柱状GRINレンズ4及び第二の毛細管5の光ファイバ7を通過してポートCに至るのに対して、不要な波長の光信号はフィルタ素子3で反射した後に円柱状GRINレンズ2及び第一の毛細管1の他方の光ファイバ8を通過してポートBから出射され、異なる波長に対応するフィルタ素子を備えた同様のWDM部品に導かれる。尚、同図に示す各構成要素の形状、大きさ、相互間離隔寸法等は、便宜上、模式的なものであると共に、光の光路についても、屈折等を考慮しない模式的なものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記第一の毛細管1には、二本の光ファイバ6、8を挿入固定するための二つの挿入孔が形成されるが、この二つの挿入孔の内径は、二本の光ファイバを精度良く位置決めすべく、光ファイバの直径との寸法差が必要最小限に小さくなるように設定される。
【0006】
このため、各挿入孔に光ファイバを挿入する際、特に挿入開始時においては、光ファイバの挿入端と挿入孔の開口縁とが当接するなどして、円滑な挿入作業が阻害される。そこで、図7に示すように、各挿入孔1a、1bの一端開口部にそれぞれ、光ファイバ6,8の挿入端を案内誘導するためのフレア部1c,1dを形成することが試みられている。
【0007】
しかしながら、この種のフレア部1c、1dは、各挿入孔1a、1bにそれぞれ独立した状態で形成されるのが通例であるため、例えば二つの挿入孔1a,1bの中心間距離が短い場合には、フレア部1c,1dの開口面積を挿入孔1a,1bの通路面積よりも僅かに大きくできるに留まり、しかも各フレア部1c,1dが近接配置された状態となる。
【0008】
このため、各挿入孔1a,1bへの光ファイバ6,8の挿入時には、フレア部1c,1dの開口縁と光ファイバ6,8の挿入端との当接を確実に回避できず、挿入作業の困難化を余儀なくされるばかりでなく、光ファイバ6,8の破損等を招く惧れが生じる。また、二つのフレア部1c,1dが近接配置されていると、各挿入孔に挿入すべき光ファイバ6,8の種類が異なる場合には、光ファイバ6,8の挿入ミスが発生するという事態を招く。
【0009】
尚、以上の問題は、上記のように二本の光ファイバ6,8をそれぞれ挿入固定するための二つの挿入孔1c,1dを有する毛細管に限らず、3本以上の光ファイバをそれぞれ挿入固定するための3つ以上の挿入孔を有する毛細管についても同様にして生じ得る。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複数本の光ファイバをそれぞれ挿着するための複数の挿入孔を有する毛細管に、適切な挿入孔のフレア部を形成して、光ファイバの挿入作業を可及的速やかに行えるようにすると共に、光ファイバの破損や挿入ミスを防止することを技術的課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を達成するため、本発明は、内部に光ファイバがそれぞれ挿着される複数の挿入孔を有するガラス材料からなる柱状体の光ファイバ用毛細管において、上記柱状体の端部に、上記光ファイバが挿着される柱状体端面の一つの開孔口から漸次縮径しつつ分岐して上記複数の挿入孔に到るフレア部を有し、該フレア部は、上記複数の挿入孔に対して上記光ファイバを別々に案内誘導すべく、隣り合う挿入孔の配列方向中央部に光ファイバが一方から他方の挿入孔側に移動することを阻止するくびれを有する誘導部を経て夫々の挿入孔に到っていることに特徴づけられる。
【0012】
このような構成によれば、フレア部が一つの開孔口から漸次縮径して分岐することにより複数の挿入孔に到っているので、このフレア部の柱状体端面における上記開孔口の開口面積は、挿入孔の通路面積に比して充分に大きくなる。これにより、光ファイバの挿入孔への挿入開始時において、光ファイバの挿入端とフレア部の開孔口縁とが当接するという事態が回避され、挿入作業が容易化されると共に、上記両者の当接に起因する光ファイバの破損や損傷等が生じなくなる。しかも、上記フレア部は、複数の挿入孔に対して光ファイバを別々に案内誘導する誘導部を備えているので、このフレア部に一の光ファイバを挿入した際には、この一の光ファイバが誘導部により案内誘導され、複数の挿入孔の中の所望の一の挿入孔に到達することになる。これにより、光ファイバの挿入作業の容易性をより一層的確に維持しつつ、光ファイバの各挿入孔への挿入ミスを効果的に防止することが可能となる。尚、上記誘導部による光ファイバの案内誘導は、フレア部への光ファイバの挿入開始直後から行われることが好ましいが、フレア部への挿入後の途中から行われるものであってもよい。
【0013】
この場合、上記ガラス材料からなる柱状体が円柱体であり、二つの挿入孔が上記円柱体の中心Oの両側に対称的に配置されると共に、これらの挿入孔にそれぞれ挿着される光ファイバの中心O1,O2間の距離Sが0.25mm未満になるように構成され、且つ、上記円柱体の外径Dが0.9mm〜2.5mmの円柱状GRINレンズの直径と略等しくなるように設定されていることが好ましい。
【0014】
このように構成すれば、二つの挿入孔が円柱体の中心Oの両側に対称的に配置されることにより、この毛細管の機械的強度に偏りが生じなくなって耐久性が高められると共に、円柱状GRINレンズと組み合わせる際の光軸の心出し作業が容易になる。また、二つの挿入孔に挿着される光ファイバの中心間距離Sが0.25mm未満に設定されることにより、円柱状GRINレンズの小型化や小径化に対応させることが可能になると共に、二本の光ファイバが円柱体の軸心部に近づくため、導波路の光学的特性が向上し、例えば既述のフィルタ素子での光の反射角度を小さくしてその出力光の損失を低減させることが可能となる。そして、上記のように中心間距離を0.25mm未満に設定した場合には、両挿入孔が極めて近接するため、挿入ミスの問題が顕著となるが、上記のようなフレア部を形成しておけば、このような挿入ミスの発生を効果的に防止できる。更に、円柱体の外径Dが円柱状GRINレンズの直径と略等しくなるように設定されることにより、この両者を組み合わせて例えばWDM部品を製作する際のアライメント及びアッセンブリが容易化され、組み立て作業の能率が向上する。尚、円柱体の外径Dを0.9mm〜2.5mmに設定すれば、既存の大半の円柱状GRINレンズに対応可能となる。
【0015】
また、上記ガラス材料からなる柱状体は、厚さ1mmについて波長が365nm〜400nmの光を60%以上透過させるものであることが好ましい。
【0016】
このようにすれば、柱状体の挿入孔に光ファイバを固定するに際して、光硬化性接着剤(紫外線硬化性接着剤)が使用可能となるため、組立作業の能率向上及び製造コストの低廉化が図られる。
【0017】
更に、上記柱状体のガラス材料は、アルカリイオンを含有しており、イオン交換により表面に圧縮応力層を生じさせて機械強度を強化したものであることが好ましい。
【0018】
このようにすれば、搬送時や取り扱い時の破損或いは損傷等が抑制されると共に、光ファイバ挿入固定後の製品の信頼性を向上させることが可能となる。
【0019】
一方、以上の構成を備えた光ファイバ用毛細管の製造方法は、内部に光ファイバがそれぞれ挿着される複数の挿入孔を有するガラスからなる柱状体の外面を保護し、該柱状体の端部を浸蝕液に浸漬することにより、上記柱状体の端部に、上記光ファイバが挿着される柱状体端面の一つの開孔口から漸次縮径しつつ分岐して複数の挿入孔に到ると共に、複数の挿入孔に対して上記光ファイバを別々に案内誘導すべく、隣り合う挿入孔の配列方向中央部に光ファイバが一方から他方の挿入孔側に移動することを阻止するくびれを有する誘導部を経て夫々の挿入孔に到るフレア部を形成することに特徴づけられる。
【0020】
このような方法によれば、光ファイバの挿入端を円滑に且つ挿入ミスを生じることなく案内誘導し得る内周面を有する好適なフレア部の形成が可能になるばかりでなく、研削或いは研磨加工等によりフレア部を形成する場合と比較して、加工の容易化及び量産化を図ることが可能になり、更には製造コストの低廉化にも寄与できることになる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1はこの実施形態に係る光ファイバ用毛細管が使用されるWDM部品を模式的に示す概略構成図、図2はその光ファイバ用毛細管の一端面及び縦断面を示す概略図である。尚、図1に示すWDM部品は、例えば波長弁別器であって、これに装備される毛細管1は、フィルタ素子3に対する入射光と反射光とをそれぞれ別々に通過させる二本の光ファイバ6,8が挿入固定されるものである。また、偏波保持型のWDM部品の構造も同様である。これらの構成及び作用については、図6に基づいて既に述べた通りであるので、ここでは共通の構成要件に同一符号を付してその説明を省略する。
【0022】
図2(a)、(b)に示すように、光ファイバ用毛細管(既述の図1に基づく説明では第一の毛細管)1Aは、円柱体や角柱体でなる柱状体、この実施形態では円柱体10に二本の光ファイバ(例えば二本の偏波保持型光ファイバ)6,8を相互に平行に挿入固定するための二つの挿入孔11を備える。円柱体10の外径寸法Dは、0.9mm〜2.5mmであって、円柱状GRINレンズ2の外径寸法と略等しく設定され、その軸方向寸法Lは、2.0mm〜300mmに設定される。二つの挿入孔11は、同図(a)に示すように、円柱体10の軸直角断面における第一中心線Yに対して両側に対称もしくは略対称に配列され、この二つの挿入孔11の内接円の中心間距離S、詳細には各挿入孔11に挿着される光ファイバ6,8の中心O1,O2間の距離Sは、0.25mm未満または0.24mm未満に設定される。そして、この実施形態では、各挿入孔11の直径つまり各挿入孔11の内接円の直径dが、0.125mm〜0.13mm好ましくは0.127mmであることを勘案して、上記中心間距離Sの下限値は、0.13mmまたは0.14mmに設定される。
【0023】
図2(b)に示すように、上記円柱体10の一端部には、該円柱体10の一端面10zの一つの開孔口12dから漸次縮径して分岐し、二つの挿入孔11に到るフレア部12が形成されている。このフレア部12は、ケミカルエッチング法等により加工して形成されたものであって、段差や凹凸、急激な角度変化等がなく滑らかに連続しており、且つ、二つの挿入孔11に対してそれぞれ別々に光ファイバ6,8を円滑に案内誘導する誘導部を備えている。
【0024】
詳述すると、上記フレア部12は、図3(b)、(c)に示すように、上記開孔口12d側から二つの挿入孔11ごとにそれぞれ独立した状態で漸次縮径する上記誘導部としての縮径部12aを有し、両縮径部12aのオーバーラップする部位12bでこの両者が連通している。従って、このフレア部12の軸直角断面形状は、次に示すような形状とされている。即ち、フレア部12における円柱体10の一端面10z近傍は、図3(a)に示すように、二つの挿入孔11の配列方向に長尺な長円形を呈している。また、フレア部12の軸方向中間部は、同図(b)に示すように、二つの挿入孔11の配列方向中央部で狭くなってくびれた長円形を呈している。更に、フレア部12における二つの挿入孔11との連通部近傍は、同図(c)に示すように、各挿入孔11ごとに分離独立した円形(挿入孔11と略同形状の円形)を呈している。
【0025】
この場合、光ファイバ6(8)を一方の挿入孔11に挿入する際には、フレア部12における他方の挿入孔11の配設側と反対側の内周面部分12cに光ファイバ6(8)の挿入端を接触させ、この接触を維持した状態で光ファイバ6(8)を押し込むことにより、光ファイバ6(8)は上記内周面部分12cに沿って案内誘導されて一方の挿入孔11に到達する。この過程において、光ファイバ6(8)の先端が、フレア部12の軸方向中間所定位置(図3(b)に示す位置と図3(c)に示す位置との間の位置)に達した後は、両拡径部12aのオーバーラップする部位12bの空間の幅が光ファイバ6(8)の直径よりも小さくなるため、光ファイバ6(8)が他方の挿入孔11に誤って挿入されるという事態が確実に防止される。
【0026】
尚、上記構成においては、二本の光ファイバ6,8をそれぞれ挿入固定するための二つの挿入孔11を有する毛細管1に本発明を適用したものであるが、これ以外に、3本以上の光ファイバをそれぞれ挿入固定するための3つ以上の挿入孔11を有する毛細管1についても同様にして本発明を適用することができる。
【0027】
上記二つの挿入孔11の各軸直角断面形状としては、略円形または長円形が採用可能である。長円形の場合、図2(a)に示すように、第一中心線Yと直交する第二中心線Xに対して両側に対称もしくは略対称な長円形を呈している。更に、これらの挿入孔11の各軸直角断面形状は、それぞれの内接円の中心O1,O2を通り且つ第一中心線Yと平行な直線Y1,Y2に対して非対称な長円形とされているが、これとは別に、直線Y1,Y2に対して両側に対称もしくは略対称であって、且つ直線Y1,Y2に沿う方向に長尺な長円形または第二中心線Xに沿う方向に長尺な長円形であってもよい。
【0028】
即ち、挿入孔11を形成するに際して、流動するガラスの挿入孔11となるべき孔にエアブロー処理を施しながら成形する製造方法を採用した場合には、図4に示すように、各挿入孔11の第一中心線Y側の部分における第二中心線Xを含む領域に、相対的に曲率の小さい円弧11a(内接円より曲率が小さい)が形成され、且つ、各挿入孔11の第一中心線Y側と反対側の部分における第二中心線Xを含む領域に、相対的に曲率の大きい円弧11b(内接円より曲率が小さい)が形成される。そして、全体的には、上記直線Y1,Y2に沿う方向に長尺な長円形をなしている。
【0029】
上記円柱体10は、アルカリイオンを含有するガラス材料で形成され、イオン交換により表面に圧縮応力層が生じて機械強度が強化されると共に、1mmの厚さに対して波長が365nm〜400nmの光を60%以上透過させる特性を備えている。
【0030】
以上のような構成を備えた光ファイバ用毛細管1Aによれば、フレア部12が単一の開孔口12dから漸次縮径して分岐することにより二つの挿入孔11に到っているため、上記開孔口12dの開口面積は、各挿入孔11の通路面積に比して充分に大きくなる。これにより、光ファイバ6(8)の挿入孔11への挿入開始時において、光ファイバ6(8)の挿入端とフレア部12の開孔口12d縁とが当接するという事態が回避され、この当接に起因する光ファイバ6(8)の破損や損傷等が生じなくなる。しかも、フレア部12の漸次縮径する内周面12cに沿わせて光ファイバ6(8)を挿入することにより、挿入孔11への光ファイバ6(8)の挿入作業が円滑に行われることになる。
【0031】
そして、フレア部12は、二つの挿入孔11のそれぞれに対して別々に光ファイバ6,8を案内誘導するように構成されているため、このフレア部12に光ファイバ6(8)を挿入した際には、その光ファイバ6(8)が挿入されるべき一方の挿入孔11に適正に案内誘導される。これにより、挿入作業の容易性を維持しつつ、光ファイバ6(8)の挿入ミスを防止することが可能となる。
【0032】
この場合、フレア部12は、二つの挿入孔11ごとにそれぞれ独立した状態で上記開孔口12d側から漸次縮径する誘導部としての縮径部12aを有し、この両縮径部12aの相互にオーバーラップする部位12bで両者が連通しているため、フレア部12に光ファイバ6(8)を挿入した際には、その光ファイバ6(8)が挿入されるべき一方の挿入孔11に対応する縮径部12aによって光ファイバ6(8)が当該挿入孔11に確実に案内誘導されることになる。
【0033】
そして、この毛細管1AをWDM部品(波長弁別器)に適用する場合には、二本の異種の光ファイバ6,8をそれぞれ二つの挿入孔11に区別して挿入する必要があるが、各光ファイバ6、8は二つの挿入孔11に別々に案内誘導されるため、挿入ミスの発生率が著しく低下する。
【0034】
一方、二つの挿入孔11は、円柱体10の中心Oの両側、即ち第一中心線Yの両側に均等に振り分けられるため、毛細管として幾何学的に好ましい形態が得られると共に、剛性等の機械的特性に偏りが生じなくなって耐久性が高められる。そして、二つの挿入孔11が第一中心線Yに対して対称でない場合と比較して、円柱状GRINレンズ2、4やフィルタ素子3等の他の光学素子と組み合わせた際の光軸の心出し作業等が容易化される。
【0035】
また、二つの挿入孔11に挿着される光ファイバ6,8の中心O1.O2間の距離Sが0.25mm未満に設定されることにより、円柱状GRINレンズ2,4やフィルタ素子3の小型化或いは小径化に対応させることが可能になると共に、二本の光ファイバ6,8が円柱体10の軸心部に近づくため、導波路の光学的特性が向上し、例えばフィルタ素子3での光の反射角度を小さくしてその出力光の損失を低減させることが可能となる。特に、上記中心O1,O2間の距離が0.25mm未満に設定されていることにより、両挿入孔11が極めて近接して挿入ミスの問題が顕著となるが、上記のようなフレア部12を形成しておけば、このような挿入ミスの発生を効果的に防止できる。
【0036】
更に、円柱体10の外径Dが円柱状GRINレンズ2,4の直径と略等しくなるように設定されていることにより、この両者を組み合わせて例えばWDM部品を製作する際のアライメント及びアッセンブリが容易化され、組み立て作業の能率が向上する。この場合、円柱体10の外径Dを0.9mm〜2.5mmに設定することにより、既存の大半の円柱状GRINレンズに対応可能となる。
【0037】
尚、この実施形態で、二つの挿入孔11の軸直角断面が長円形の場合、これに光ファイバ6,8を挿入する際には、真円形である場合に比して、挿入孔11の内周面と光ファイバ6,8の外周面との接触面積が小さくなって、両者間の摺動抵抗が小さくなると共に、挿入孔11に多量の接着剤を充填させた場合であっても光ファイバ6,8の挿入に支障が生じなくなり、挿入作業が容易化されて作業時間の短縮及び作業能率の改善も図られる。
【0038】
また、挿入孔11が長円形の場合、この挿入作業時には、挿入孔11の内周面と光ファイバ6,8の外周面との間に形成される隙間に、広い部分と狭い部分とが存在することになるため、数μmのマーキングを部分的に塗った光ファイバ6(8)であっても、そのマーキングを広い部分の隙間に位置させれば、光ファイバ6(8)を挿入孔11に容易に挿入することが可能となる。これにより、二本の光ファイバ6,8の種類が異なる場合に、何れの光ファイバ6,8が何れの挿入孔11に挿入されているかを容易に知得できることになる。
【0039】
しかも、挿入孔11が長円形の場合、光ファイバ6,8は挿入孔11に部分的に内接するので、接着剤を充填するための充分な隙間が存在しているにも拘らず、挿入孔11に対する光ファイバ6,8の相対位置が略一義的に決まることになり、光ファイバ6,8を精度良く挿入孔11に保持できることになる。
【0040】
更に、挿入孔11が長円形の場合、光ファイバ6,8の挿入後の保持固定時には、挿入孔11の内周面と光ファイバ6,8の外周面との間に形成される接着剤層に厚い部分と薄い部分とが存在することになるため、接着剤層の厚い部分側に偏波保持型光ファイバの応力付加の方向を位置させれば、その硬化時の熱応力による光ファイバ6,8の圧縮及びこれに起因する偏波方向の変化等の不都合が緩和される。
【0041】
また、挿入孔11の各軸直角断面形状は、その内接円の中心O1、O2を通り且つ第一中心線Yと平行な直線Y1,Y2に対して非対称であるため、孔加工の複雑化を招くことなく挿入孔11の形状を長円形にすることができる。
【0042】
尚、円柱体10は、厚さ1mmにつき波長が365nm〜400nmの光を60%以上透過させる特性を備えているので、円柱体10の挿入孔11に光ファイバ6,8を固定するに際して、光硬化性接着剤(紫外線硬化性接着剤)が使用可能となり、組立作業の能率向上及び製造コストの低廉化が図られる。また、円柱体10は、アルカリイオンを含有するガラス材料で形成され、イオン交換により表面に圧縮応力層が生じて機械強度が強化されているので、搬送時や取り扱い時の破損或いは損傷等が抑制されると共に、光ファイバ6,8の挿入固定後の製品の信頼性を向上させることが可能となる。
【0043】
次に、上記構成からなる毛細間の製造方法、特に円柱体10にフレア部12を形成する方法について説明する。この製造方法においては、先ず、図5(a)に示すように、延伸成型を終え且つ所定長さに切断した状態の円柱体10x、即ち挿入孔11のみが形成された円柱体10xの端面を除く外表面に、アクリル系、塩ビ系、エポキシ系等の耐浸蝕性を有する樹脂材料でなる保護被膜20を形成する
。
【0044】
そして、この円柱体10xの一端部分を、槽21に貯留されている弗化水素酸溶液等の浸蝕性溶液22中に所定時間浸漬させておくことにより、図5(b)に示すように、挿入孔11の一端部周辺が浸蝕されたフレア部12を有する円柱体10を得る。これにより、上述と同様の構成を備えたフレア部12が円柱体10に形成される。この場合、複数本(多数本)の円柱体10xを同時に浸蝕性溶液22中に浸漬させて上記と同様の処理を施すことが好ましい。
【0045】
このような製造方法によれば、研削或いは研磨加工等によりフレア部を形成する場合と比較して、割れやクラック等が存在せずガラス本来の強度を維持し、且つ、滑らかな内周面12cを有するフレア部12が形成されると共に、加工の簡易化、量産化、低コスト化に寄与できることになる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る光ファイバ用毛細管によれば、ガラス材料からなる柱状体の端部に、光ファイバが挿着される柱状体端面の一つの開孔口から漸次縮径しつつ分岐し、複数の挿入孔に対して光ファイバを別々に案内誘導する誘導部を経て夫々の挿入孔に到るフレア部を形成したから、上記開孔口の開口面積が、各挿入孔の通路面積に比して充分に大きくなり、これにより光ファイバの挿入孔への挿入を円滑且つ容易に行うことが可能になると共に、光ファイバの破損や損傷等の発生を防止できる。しかも、フレア部の誘導部に沿わせて光ファイバを挿入することにより、その光ファイバが所望の挿入孔に案内誘導されることになり、これにより光ファイバの挿入ミスを防止することが可能となる。
【0047】
また、二つの挿入孔をガラス材料からなる円柱体の中心の両側に対称的に配置することにより、この毛細管の機械的強度に偏りが生じなくなって耐久性が高められると共に、円柱状GRINレンズと組み合わせる際の光軸の心出し作業が容易になる。更に、二つの挿入孔に挿着される光ファイバの中心間距離を0.25mm未満に設定することにより、円柱状GRINレンズの小型化や小径化に対応させることが可能になると共に、光ファイバの挿入ミスの防止効果が顕著に得られる。更に、円柱体の外径が0.9mm〜2.5mmの円柱状GRINレンズの直径と略等しくなるように設定されることにより、この両者を組み合わせて例えばWDM部品を製作する際のアライメント及びアッセンブリが容易化され、組み立て作業の能率が向上する。
【0048】
また、上記ガラス材料からなる柱状体を、厚さ1mmにつき波長が365nm〜400nmの光を60%以上透過させるガラス材料で形成することにより、柱状体の挿入孔に光ファイバを固定するに際して、光硬化性接着剤(紫外線硬化性接着剤)が使用可能となるため、組立作業の能率向上及び製造コストの低廉化が図られる。
【0049】
更に、上記柱状体のガラス材料が、アルカリイオンを含有しており、イオン交換により表面に圧縮応力層を生じさせて機械強度を強化されていることにより、搬送時や取り扱い時の破損或いは損傷等が抑制されると共に、光ファイバ挿入固定後の製品の信頼性が向上する。
【0050】
一方、以上の構成を備えた光ファイバ用毛細管の製造方法によれば、浸蝕液による浸蝕作用を利用して上述のフレア部を形成するものであるため、光ファイバの挿入端を円滑に且つ挿入ミスを生じることなく案内誘導し得る内周面を有する好適なフレア部が形成されると共に、割れやクラック等を生じることなくガラス本来の強度を維持しつつ、加工の容易化、量産化、製造コストの低廉化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光ファイバ用毛細管が使用されたWDM部品を示す概略構成図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施形態に係る光ファイバ用毛細管の正面図、図2(b)は、その縦断側面図である。
【図3】図3(a)は、図2(b)のa−a線断面図、図3(b)は、図2(b)のb−b線断面図、図3(c)は、図2(b)のc−c線断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光ファイバ用毛細管の拡大正面図である。
【図5】図5(a),(b)は、本発明の実施形態に係る光ファイバ用毛細管の製造方法を示す概略図である。
【図6】従来のWDM部品を示す概略構成図である。
【図7】従来例を示す光ファイバ用毛細管の縦断側面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバ用毛細管(第一の毛細管)
1A 光ファイバ用毛細管
2 円柱状GRINレンズ
3 フィルタ素子
6 光ファイバ
8 光ファイバ
10 円柱体
11 挿入孔
12 フレア部
12a 縮径部(誘導部)
22 浸蝕溶液(浸蝕液)
S 二つの挿入孔の中心間距離
O1 光ファイバの中心
O2 光ファイバの中心
Claims (5)
- 内部に光ファイバがそれぞれ挿着される複数の挿入孔を有するガラス材料からなる柱状体の光ファイバ用毛細管において、
上記柱状体の端部に、上記光ファイバが挿着される柱状体端面の一つの開孔口から漸次縮径しつつ分岐して上記複数の挿入孔に到るフレア部を有し、該フレア部は、上記複数の挿入孔に対して上記光ファイバを別々に案内誘導すべく、隣り合う挿入孔の配列方向中央部に光ファイバが一方から他方の挿入孔側に移動することを阻止するくびれを有する誘導部を経て夫々の挿入孔に到っていることを特徴とする光ファイバ用毛細管。 - 上記ガラス材料からなる柱状体が円柱体であり、二つの挿入孔が上記円柱体の中心(O)の両側に対称的に配置されると共に、これらの挿入孔にそれぞれ挿着される光ファイバの中心(O1)、(O2)間の距離(S)が0.25mm未満になるように構成され、且つ、上記円柱体の外径(D)が0.9mm〜2.5mmの円柱状GRINレンズの直径と略等しくなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ用毛細管。
- 上記ガラス材料からなる柱状体が、厚さ1mmについて波長が365nm〜500nmの光を60%以上透過させることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ用毛細管。
- 上記柱状体のガラス材料がアルカリイオンを含有しており、イオン交換により表面に圧縮応力を生じさせて機械強度を強化したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光ファイバ用毛細管。
- 請求項1〜4の何れかに記載の光ファイバ用毛細管の製造方法であって、
内部に光ファイバがそれぞれ挿着される複数の挿入孔を有するガラスからなる柱状体の外面を保護し、該柱状体の端部を浸蝕液に浸漬することにより、上記柱状体の端部に、上記光ファイバが挿着される柱状体端面の一つの開孔口から漸次縮径しつつ分岐して複数の挿入孔に到ると共に、複数の挿入孔に対して上記光ファイバを別々に案内誘導すべく、隣り合う挿入孔の配列方向中央部に光ファイバが一方から他方の挿入孔側に移動することを阻止するくびれを有する誘導部を経て夫々の挿入孔に到るフレア部を形成することを特徴とする光ファイバ用毛細管の製造方法。
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