JP5125316B2 - 包接水和物生成用原料並びに、包接水和物又はそのスラリを製造する方法及び、包接水和物生成用水溶液を冷却する際に生じる圧力損失を低減する方法 - Google Patents

包接水和物生成用原料並びに、包接水和物又はそのスラリを製造する方法及び、包接水和物生成用水溶液を冷却する際に生じる圧力損失を低減する方法 Download PDF

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Description

本発明は、包接水和物のゲスト化合物を含み、冷却により当該包接水和物を生成させる性質を有する原料(以下「包接水和物生成用原料」という場合がある)であって、包接水和物又はそのスラリを製造する際に生じる圧力損失の増加を抑制又は防止する技術、より詳しくは、包接水和物が含まれる包接水和物生成用原料に予めテトラisoペンチルアンモニウム塩を添加しておき、その水溶液を冷却することにより包接水和物又はそのスラリを製造する際に生じる圧力損失の増加を抑制又は防止することができる技術に関する。
なお、本発明において、次に掲げる用語は、別段の説明がなされる場合を除き、以下のとおり解釈されるものとする。
(1) 「包接水和物」には、準包接水和物が含まれる。
(2) 「包接水和物」は「水和物」と略称される場合がある。
(3) 「ゲスト化合物」は「ゲスト」と略称される場合がある。
(4) 「スラリ」とは、液体中に固体粒子が分散又は懸濁した状態又はその状態にある物質をいう。沈降しがちな固体粒子を浮遊状態とするために界面活性剤を添加したり、機械的に攪拌したりすることもあるが、液体中に固体粒子が分散又は懸濁している限り、「スラリ」という。液体中に固体粒子が分散又は懸濁している限り、その分散又は懸濁が不均一なものであっても、「スラリ」という。
(5) 「包接水和物生成用原料」とは、包接水和物を生成する性質を有する水溶液若しくはスラリを「包接水和物生成用原料」という。「包接水和物生成用原料」を略して「原料」という場合がある。包接水和物のゲスト化合物とは別の微量物質が添加されていても、また、包接水和物が分散又は懸濁していても、包接水和物を生成する性質を有する水溶液若しくはスラリである限り、「包接水和物生成用原料」又は「原料」に該当する。
(6) 「水和物生成温度」とは、包接水和物が生成するべき平衡温度をいう。原料中のゲスト化合物の濃度などにより包接化合物が生成する温度が変動する場合であっても、これを「水和物生成温度」という。なお、簡便のため、「水和物生成温度」を「融点」という場合がある。
包接水和物のゲスト化合物を主たる溶質とする水溶液を水和物生成温度以下に冷却すると、その水溶液から当該包接水和物が生成することがよく知られており、ゲスト化合物が第4級アンモニウム塩である場合もその例外ではない(特許文献1)。
また、かくして生成した包接水和物が当該水溶液に分散又は懸濁してスラリになることや、包接水和物が生成する過程で潜熱相当の熱エネルギーを蓄積することから、生成した包接水和物のみにならずそのスラリも潜熱蓄熱剤の組成物として用いられることも知られている(特許文献1〜3)。
包接水和物が生成する性質を有する水溶液を冷却して包接水和物又はそのスラリを製造する場合には、その水溶液を水和物生成温度以下に冷却しても水和物が生成せず水溶液状態を維持している過冷却状態になることを解除する必要がある。過冷却を解除して包接水和物又はそのスラリを製造する技術は種々検討されているが(例えば特許文献4及び5参照)、その一例として、包接水和物が生成する性質を有する水溶液を、その流通の過程で、過冷却状態になるまで冷却し、その後過冷却解除手段により当該過冷却状態を解除し、引き続き冷却することにより包接水和物又はそのスラリを製造する技術が知られている(特許文献6)。
特公昭57−35224号公報 特許3641362号公報 特許3555481号公報 特開2003−126676号公報 特開2000−233101号公報 特開2004−3718号公報
ここで、包接水和物が生成する性質を有する水溶液を冷却することで包接水和物又はそのスラリを製造する際には、過冷却を解除することだけが重要という訳ではない。現実問題として、過冷却が解除された後の包接水和物生成用原料を冷却してより多くの包接水和物又はそのスラリを製造することも重要になってくる。
しかし、そのような冷却が、過冷却が解除された包接水和物生成用原料を流通させる熱交換器の伝熱面により行われる場合には、熱交換器の伝熱面に包接水和物が付着して流路を狭めることなどの理由で、該熱交換器内での圧力損失が増加する事態を招来し易くなる。このような圧力損失の増加は、包接水和物生成用原料を流通させるポンプの負荷を増大させたり、所望の流量で流通させることができなくなったりするなどの問題が生じ、熱交換器内の伝熱面に付着して圧力損失の原因となっている包接水和物を融解する運転が必要になるなど、包接水和物又はそのスラリを長時間に亘って安定製造することの妨げとなる。
それ故、過冷却が解除された包接水和物生成用原料を冷却してより多くの包接水和物又はそのスラリを製造しようとする場合には、上記の圧力損失の増加を抑制又は防止する工夫が必要になる。
本発明は以上の背景からなされたものであり、過冷却が解除された包接水和物生成用原料を冷却する際、その熱交換器内での圧力損失の増加を抑制又は防止することができる技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明の第1の形態に係る包接水和物生成用原料は、テトラnブチルアンモニウム塩を含む水溶液を、その流通の過程で熱交換器の伝熱面により冷却することによりテトラnブチルアンモニウム塩の包接水和物を生成させる包接水和物生成用原料であって、前記水溶液にテトラisoペンチルアンモニウム塩が添加されていることにより、前記熱交換器内で生じる圧力損失の増加が抑制又は防止されていることを特徴とするものである。
本発明の第2の形態に係る包接水和物又はそのスラリを製造する方法は、第1の形態に係る包接水和物生成用原料を流通させる工程と、その流通の過程で当該包接水和物生成用原料を冷却する工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の第3の形態に係る包接水和物又はそのスラリを製造する方法であって、テトラnブチルアンモニウム塩を含む水溶液にテトラisoペンチルアンモニウム塩が添加されており、冷却により前記テトラnブチルアンモニウム塩の包接水和物を生成させるとともに、前記水溶液にテトラisoペンチルアンモニウム塩が添加されていることにより、熱交換器により冷却する際、前記熱交換器内で生じる圧力損失の増加が抑制又は防止されている包接水和物生成用原料を用意する工程と、前記包接水和物生成用原料を流通させる工程と、その流通の過程で前記包接水和物生成用原料を冷却する工程と、前記包接水和物生成用原料を冷却することでテトラnブチルアンモニウム塩の包接水和物を生成させる工程を有することを特徴とするものである。
本発明の第4の形態に係る圧力損失の増加を抑制又は防止する方法は、テトラnブチルアンモニウム塩を含む包接水和物生成用原料を流通させながら熱交換器により冷却する際、前記熱交換器内で生じる圧力損失の増加を抑制又は防止する方法であって、前記包接水和物生成用原料に予めテトラisoペンチルアンモニウム塩を添加しておく工程を有することを特徴とするものである。
後述のとおり、包接水和物のゲスト化合物となるテトラisoペンチルアンモニウム塩以外の第4級アンモニウム塩を含み、冷却により前記包接水和物を生成させる性質を有し、過冷却が解除されている包接水和物生成用原料に予めテトラisoペンチルアンモニウム塩を添加しておくと、その水溶液を冷却して包接水和物又はそのスラリを製造する際、生成する包接水和物が熱交換器の伝熱面に付着したり、流路の狭い箇所に堆積したりすることが生じ難いので、熱交換器内で生じる圧力損失の増加が抑制又は防止される。
それ故、本発明によれば、過冷却が解除された包接水和物生成用原料を冷却することにより包接水和物又はそのスラリを製造する際、熱交換器内の伝熱面に付着して圧力損失の原因となっている包接水和物を融解する運転が不要にまたは頻度が少なくなり、包接水和物又はそのスラリの製造を長時間に亘り安定的に行うことが可能になる。
本発明の各形態が奏する作用効果は、以下のとおりである。
本発明の第1の形態によれば、包接水和物又はそのスラリの製造に供されたとき、冷却されても圧力損失の増加が抑制又は防止される包接水和物生成用原料を実現することができる。それ故、この原料を冷却することにより包接水和物又はそのスラリを製造すれば、その製造を長時間に亘り安定的に行うことが可能になる。
本発明の第2及び第3の各形態によれば、包接水和物を含む包接水和物生成用原料がその流通の過程で、熱交換器で冷却されてもその熱交換器部分の圧力損失が増加し難くなる包接水和物又はそのスラリの製造方法を実現することができる。それ故、この製造方法によれば、包接水和物又はそのスラリを長時間に亘り安定的に製造することが可能になる。
本発明の第4の形態によれば、包接水和物を含む包接水和物生成用原料がその流通の過程で冷却されても圧力損失の増加を招来し難くなることから、包接水和物又はそのスラリを長時間に亘り安定的に製造することが可能になる。
テトラisoペンチルアンモニウム塩は、その包接水和物の調和融点が30℃程度であり、テトラisoペンチルアンモニウム塩以外の多くの第4級アンモニウム塩の包接水和物の調和融点に比べて高い。このため、テトラisoペンチルアンモニウム塩以外の第4級アンモニウム塩を含む水溶液を冷却して、当該第4級アンモニウム塩の包接水和物を生成させる際に、テトラisoペンチルアンモニウム塩を添加しておくことにより、冷却過程でテトラisoペンチルアンモニウム塩の包接水和物が先に生成され、当該第4級アンモニウム塩の包接水和物の生成を促進して、その大きさや形態などに影響を及ぼし、包接水和物が熱交換器の伝熱面に付着したり、流路の狭い箇所に堆積したりすることを抑制して、熱交換器内で生じる圧力損失の増加が抑制又は防止される効果を生むと考えられる。
また、テトラisoペンチルアンモニウム塩を非常に低い濃度で添加(例えば1wt%以下)した場合でも、圧力損失の増加が抑制又は防止する効果があることを見出した。
このようなテトラisoペンチルアンモニウム塩としては、臭化テトラisoペンチルアンモニウム、フッ化テトラisoペンチルアンモニウム、塩化テトラisoペンチルアンモニウムが挙げられる。また、アニオン部がリン酸、硝酸、硫酸などのテトラisoペンチルアンモニウム塩が挙げられる。
また、本発明において、テトラisoペンチルアンモニウム塩以外の第4級アンモニウム塩の典型例は、テトラnブチルアンモニウム塩である。
テトラisoペンチルアンモニウム塩以外の第4級アンモニウム塩の典型例としての臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)の水溶液に、テトラisoペンチルアンモニウム塩の典型例としての臭化テトラisoペンチルアンモニウム(以下TiPABという)を添加した包接水和物生成用原料を用いて、包接水和物スラリを製造する実験を行なった。
[熱交換器による実験]
プレート式熱交換器(高さ1.6m、幅0.6m、奥行き0.9m、片側の保有水量0.2m、対向流方式)を用いて、包接水和物生成用原料を冷却して包接水和物スラリを製造する実験を行なった。
熱交換器に冷水を流入し、対向して過冷却が解除された包接水和物生成用原料を流入して熱交換させてさらに冷却し、包接水和物スラリを製造する。包接水和物生成用原料の流通速度は一定として、熱交換器の上流側と下流側の圧力を計測し、熱交換器内での圧力損失を計測した。
包接水和物生成用原料として、14.5wt%濃度のTBAB水溶液のみの場合と、TBAB水溶液にTiPABの添加濃度を変えて添加した場合とを比較した。変えたTiPABの添加濃度は薄い方から順に、0.01、0.025、0.05wt%である。熱交換器での冷却を開始してからの圧力損失増加分の時間変化を図1に示す。図1のグラフは、横軸が経過時間(分)、縦軸が圧力損失増加分(kPa)である。
TiPABを添加しない場合には、約9分で例えば90kPaまで圧力損失増加分が増加した。これに対して、TiPABの添加濃度を変えて添加した場合には、同じ圧力損失増加分に到達するまでの時間は、TiPABの添加濃度が0.01wt%では14分、0.025wt%では24分、0.05wt%では29分と長くなり、TiPABを添加することにより圧力損失の増加を抑制する効果が認められ、添加濃度が増加するに従い、圧力損失の増加が緩やかになる傾向にある。
また、熱交換量、つまり熱交換器を通過する間に単位重量の包接水和物生成用原料が得た冷熱量は、TiPABを添加した場合には、TiPABを添加しない場合に比べて減少することは無かった。むしろ、熱交換量が若干増加する結果であった。
以上のように、TBAB水溶液にTiPABを添加した包接水和物生成用原料を冷却することにより、添加しない場合に比べて熱交換器内での圧力損失の増加を抑制することができることが判明した。
また、TiPABの添加濃度が高いほど圧力損失の増加を抑制する効果が高いことが分かった。
このことは、TiPABを添加することにより、熱交換器内の伝熱面に付着、堆積等した包接水和物を除去することが必要な程度にまで圧力損失が増加するまでの時間を長くすることができることを意味しており、包接水和物または包接水和物スラリを長時間安定して製造することができることを示している。
[二段熱交換器による実験]
水和物スラリにより蓄熱を行なうための水和物スラリ製造装置として、特開2004−3718号公報に記載されたものがある。同公報に記載された水和物スラリ製造装置は、水和物のゲスト化合物の水溶液を過冷却する水溶液過冷却熱交換器と、水和物スラリを冷却する水和物スラリ熱交換器を設けている。また、二つの熱交換器間の配管途中に、過冷却を解除する手段として、水和物結晶生成の核となる水和物スラリを過冷却水溶液に注入する手段を設けたものである。
本実験は、上記公報に記載されたものを基に、水溶液の過冷却を解除する手段として二つの熱交換器間にバッファタンクを設け、バッファタンクに流入する過冷却水溶液に水和物結晶生成の核として水和物スラリを注入して、バッファタンクを流通する間に過冷却解除を行なうようにした水和物スラリ製造装置を用いて行なった。
図2はこの実験装置の説明図であり、1は水溶液ライン、2は水和物スラリライン、3は水和物スラリを過冷却水溶液に注入するライン、4は原料溶液を冷水との熱交換により冷却して過冷却状態にまで冷却する水溶液冷却熱交換器、5は過冷却解除され包接水和物を含む水和物スラリを冷水との熱交換によりさらに冷却して包接水和物の濃度を高め蓄熱量を高める水和物スラリ冷却熱交換器、6は過冷却状態の原料溶液に包接水和物生成の核となる水和物粒子を添加し、滞留している間に過冷却解除させるバッファタンク、7は冷水ラインを示している。
この水和物スラリ製造装置では、水和物スラリ冷却熱交換器5内で包接水和物スラリをさらに冷却して包接水和物を生成して包接水和物の濃度を高めた水和物スラリを製造している。製造を続けていると生成した包接水和物が伝熱面に付着して次第に堆積したり、流路の狭隘箇所に堆積したりして熱交換器内の水和物スラリ流路を狭め、熱交換器内の圧力損失が大きくなる現象が生じる。
そのため、水和物スラリを流送するポンプの負荷が高くなったり、水和物スラリ流量が低下したりするという支障が生じ始める前に、すなわち、熱交換器の圧力損失がある程度大きくなった時点で、熱交換器内の付着、堆積した包接水和物を融解除去して、圧力損失を低下させる融解運転を行なう必要がある。
融解運転の際には水和物スラリ冷却熱交換器5に冷水に替えて温水を供給することなどを行なうが、そうすると水和物スラリを冷却できないため、熱交換器の冷却稼働時間が減少して時間当たりの水和物スラリ製造装置の製造能力が低下してしまう。
このことから、逆に、水和物スラリ冷却熱交換器5内の圧力損失の増加を抑制できれば、圧力損失が増加して融解運転が必要なレベルにまで達するまでの時間を長くでき、時間当たりの水和物スラリ製造能力の低下を抑制できると考えられる。
そこで、水和物スラリ冷却熱交換器5内の圧力損失の増加を抑制して、圧力損失が増加して融解運転が必要なレベルにまで達する時間を長くできることの具体的な効果を調べる実験を行なった。
実験は、水和物スラリ製造運転と、一定の圧力損失に到達したときに実施する融解運転とを繰返して実施した。水和物スラリ冷却熱交換器5での冷却を開始してから圧力損失が融解運転の必要なレベルに達するまでの時間(冷却運転時間という)を求めた。また、水和物スラリ製造運転と融解運転の繰返しを5時間にわたって実施した時の水和物スラリ冷却熱交換器5での冷熱の交換熱量、融解に用いた温熱の交換熱量(融解熱量という)及び冷熱の交換熱量から融解熱量を差し引いた有効交換熱量を求めた。
なお、水和物スラリ冷却熱交換器5での交換熱量は、熱交換器に流入する冷水温度と熱交換器から流出する冷水温度と、冷水流量を計測して求めた。また、水和物スラリ冷却熱交換器5での融解に用いた熱量は、熱交換器に流入する温水温度と熱交換器から流出する温水温度と、温水流量を計測して求めた。
また、実験においては、包接水和物生成用原料として、14.5wt%濃度のTBAB水溶液のみの場合と、TBAB水溶液にTiPABの添加濃度を0.01、0.025、0.05wt%と変えて添加した場合との比較を行った。実験結果を表1に示す。
Figure 0005125316
TBAB水溶液にTiPABを添加した包接水和物生成用原料を用いることにより、水和物スラリ冷却熱交換器5での圧力損失の増加を抑制することができ、融解運転を開始する必要がある圧力損失のレベルに達するまでの時間、すなわち冷却運転時間を長くすることができること、その結果、融解運転の頻度を低減でき、有効交換熱量を高くすることができることが判明した。
また、TiPABの添加濃度が高いほど、圧力損失の増加を抑制する効果が大きいことも分かった。
このようにTBAB水溶液にTiPABを添加した包接水和物生成用原料を用いることにより、水和物スラリ冷却熱交換器5での圧力損失の増加を抑制することができ、包接水和物または包接水和物スラリを長時間安定して製造することができる。
上記実施の形態では、包接水和物生成用原料のテトラisoペンチルアンモニウム塩以外の第4級アンモニウム塩の典型例として臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)を挙げ、テトラisoペンチルアンモニウム塩の典型例として臭化テトラisoペンチルアンモニウム(TiPAB)を挙げたが、第4級アンモニウム塩としてのリン酸テトラnブチルアンモニウムの水溶液に、テトラisoペンチルアンモニウム塩としてリン酸テトラisoペンチルアンモニウムを添加したものを包接水和物生成用原料とすることによっても、熱交換器での圧力損失の増加を抑制することができ、包接水和物または包接水和物スラリを長時間安定して製造することができる。
本発明の実施例1における実験結果を示すグラフである。 本発明の実施例2の実験装置を示すグラフである。
符号の説明
1 水溶液ライン
2 スラリライン
3 水和物スラリを過冷却水溶液に注入するライン
4 水溶液冷却熱交換器
5 水和物スラリ冷却熱交換器
6 バッファタンク
7 冷水ライン

Claims (4)

  1. テトラnブチルアンモニウム塩を含む水溶液を、その流通の過程で熱交換器の伝熱面により冷却することによりテトラnブチルアンモニウム塩の包接水和物を生成させる包接水和物生成用原料であって、前記水溶液にテトラisoペンチルアンモニウム塩が添加されていることにより、前記熱交換器内で生じる圧力損失の増加が抑制又は防止されていることを特徴とする包接水和物生成用原料。
  2. 請求項1に記載の包接水和物生成用原料を流通させる工程と、その流通の過程で当該包接水和物生成用原料を冷却する工程とを有することを特徴とする包接水和物又はそのスラリを製造する方法。
  3. 包接水和物又はそのスラリを製造する方法であって、テトラnブチルアンモニウム塩を含む水溶液にテトラisoペンチルアンモニウム塩が添加されており、冷却により前記テトラnブチルアンモニウム塩の包接水和物を生成させるとともに、前記水溶液にテトラisoペンチルアンモニウム塩が添加されていることにより、熱交換器により冷却する際、前記熱交換器内で生じる圧力損失の増加が抑制又は防止されている包接水和物生成用原料を用意する工程と、前記包接水和物生成用原料を流通させる工程と、その流通の過程で前記包接水和物生成用原料を冷却する工程と、前記包接水和物生成用原料を冷却することでテトラnブチルアンモニウム塩の包接水和物を生成させる工程を有することを特徴とする包接水和物又はそのスラリを製造する方法。
  4. テトラnブチルアンモニウム塩を含む包接水和物生成用原料を流通させながら熱交換器により冷却する際、前記熱交換器内で生じる圧力損失の増加を抑制又は防止する方法であって、前記包接水和物生成用原料に予めテトラisoペンチルアンモニウム塩を添加しておく工程を有することを特徴とする圧力損失の増加を抑制又は防止する方法。
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