JP5104160B2 - 包接水和物生成用の水溶液、蓄熱剤、包接水和物又はそのスラリーの製造方法、蓄放熱方法並びに潜熱蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製方法 - Google Patents

包接水和物生成用の水溶液、蓄熱剤、包接水和物又はそのスラリーの製造方法、蓄放熱方法並びに潜熱蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製方法 Download PDF

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Description

本発明は、冷暖房などの空調設備や、食品等の冷却装置に用いられる蓄熱剤、その蓄熱剤の主成分として含まれる包接水和物の製造方法、その包接水和物を生成するための水溶液などに関する。
なお、次に掲げる用語の定義又は解釈は、以下のとおりとする。この用語の意味又は解釈は、本発明の技術的範囲が均等の範囲にまで及ぶことを妨げるものではない。
(1)複数の分子が適当な条件下で組み合わさって結晶ができるとき、一方の分子(ホスト分子)が籠状、トンネル形、層状または網状構造をつくり、その隙間に他の分子(ゲスト分子)が入りこんだ構造の化合物(包接化合物)のうち、ホスト分子が水分子であるものを「包接水和物」という。
ホスト分子である水分子が構成する籠状、トンネル形、層状または網状構造が不完全であっても、その隙間に他の分子(ゲスト分子)が入りこんだ構造の化合物であれば「包接水和物」に含まれる。簡便のため、「包接水和物」を「水和物」と略称する場合がある。
(2)「水和物生成温度」とは、包接水和物のゲスト分子を溶質とする水溶液を冷却したとき、包接水和物が生成する平衡温度をいう。当該水溶液のゲスト分子の濃度などにより包接水和物が生成する温度が変動する場合であっても、これを「水和物生成温度」という。ゲスト分子が異なる複数種の包接水和物が含まれている場合には、「水和物生成温度」には温度幅がある場合が多いので、横軸を温度、縦軸を比熱としたグラフにおいて比熱のピーク値をもって「水和物生成温度」と定義する。簡便のため、「水和物生成温度」を水和物の「融点」又は「凝固点」という場合がある。
(3)包接水和物のゲスト分子を溶質とする水溶液を水和物生成温度以下に冷却すると当該包接水和物が生成するという意味で、当該水溶液を「原料溶液」という場合がある。
(4)「調和融点」とは原料溶液を冷却することにより水和物を生成させる際、水溶液(液相)から水和物(固相)に変相する前後の組成が変わらない場合(例えばもとの水溶液中のゲスト分子濃度と同じゲスト分子濃度の水和物が冷却されて生成するとき)の温度をいう。水溶液のゲスト分子の濃度により包接水和物が生成する温度(融点)が変動するが、縦軸を融点温度、横軸を濃度とした状態図では極大点が調和融点となる。
(5)「調和濃度」とは、調和融点を与える原料溶液の濃度をいう。
(6)「調和水溶液」とは、調和融点を与える濃度の原料溶液をいう。
(7)「スラリー」とは、液体中に固体粒子が分散又は懸濁した状態又はその状態にある物質をいう。沈降しがちな固体粒子を浮遊状態とするために界面活性剤を添加したり、機械的に攪拌することもあるが、液体中に固体粒子が分散又は懸濁している限り、「スラリー」という。液体中に固体粒子が分散又は懸濁している限り、その分散又は懸濁が不均一なものであっても、「スラリー」という。
(8)「蓄熱剤」とは、熱エネルギーを蓄積する効果又は性質を有し、蓄熱用途に使用される物質をいう。熱エネルギーを蓄積する効果又は性質を有し、蓄熱用途に使用される物質である限り、複数種類の物質からなるか否か、添加物を含んでいるか否か、液体状態、固体状態或いはスラリー状態で使用されるか否か、容器やカプセルに収容されているか否か等は問わず、「蓄熱剤」とされる。「蓄熱剤」のうち、主に潜熱に相当する熱エネルギーを蓄積するものであるものを「潜熱蓄熱剤」、主に顕熱の熱エネルギーを蓄積するものであるものを「顕熱蓄熱剤」という場合がある。
包接水和物は、潜熱に相当する熱エネルギーを蓄積する効果又は性質を有し、蓄熱用途に使用されるので、「蓄熱剤」、特に「潜熱蓄熱剤」となり得る。
(9)蓄熱剤の「主成分」とは、蓄熱剤が有する熱エネルギーを蓄積する効果又は性質の発現に寄与する又はその発現の原因となる当該蓄熱剤の構成成分であって、その構成成分として存在するが故にその蓄熱剤が蓄熱用途に使用されるものをいう。そのような構成成分である限り、複数種類の物質からなるか否か、添加物を含んでいるか否か、液体状態、固体状態或いはスラリー状態で使用されるか否か、量が多いか少ないか、容器やカプセルに収容されているか否か等は問わず、当該蓄熱剤の「主成分」とされる。
包接水和物又はそのスラリーが蓄熱剤又はその「主成分」として使用される場合、その包接水和物のゲスト分子は当該蓄熱剤の「主成分」となり得る。
包接水和物のゲスト分子の調和水溶液は、それを原料溶液として冷却すると、液相から固相に変相する前後で組成が変わらず、調和水溶液それ自体が包接水和物に変相してゆく様相を呈する。この点に着目すると、包接水和物が蓄熱剤又はその「主成分」として使用される場合、そのゲスト分子の調和水溶液はそれ自体で蓄熱剤の「主成分」であるといえ、他面において、特に冷却されて固化した後においては蓄熱剤そのものといえる。
蓄熱剤の「主成分」を「蓄熱剤主成分」という場合がある。
潜熱蓄熱剤は、顕熱蓄熱剤に比べて蓄熱密度が高く、相変化温度が一定であり、熱の取り出し温度が安定である等の利点があるため、種々の用途に実用化されている。例えば、空調システムにおいては設備費や運転費の削減のため、熱媒体を輸送するポンプ動力の低減が求められており、熱輸送密度を増大させるために蓄熱密度の高い潜熱蓄熱剤を用いることが検討されている。
このような潜熱蓄熱剤として、テトラアルキルアンモニウム化合物の包接水和物が知られている(特許文献1、特許文献2)。
テトラアルキルアンモニウム化合物の包接水和物は、その生成の際の潜熱が大きいため、比較的蓄熱量が大きく、パラフィンのように可燃性ではないため取り扱いも容易であり、非常に有用な蓄熱剤である。また、テトラアルキルアンモニウム化合物の包接水和物は、調和融点が氷の融点の0℃よりも高いため、蓄熱剤を冷却して水和物を生成する際の冷媒の温度が高くてよく、冷凍機の成績係数(COP)が高くなり省エネルギーが図れるという利点もある(特許文献3)。
原料溶液を冷却して、水和物生成温度(融点又は凝固点)に達してさらに低温になっても水和物が生成されず水溶液の状態を保っている状態又は現象を過冷却状態若しくは過冷却現象(以下、単に「過冷却」という場合がある)というが、水和物を蓄熱剤に用いる場合にはこの過冷却の程度、即ち過冷却度が大きいと、原料溶液の冷却温度(冷媒により冷却している場合には冷媒温度)を低くしなければならず、また水和物の生成が遅延するなど問題となる。したがって、過冷却度をできるだけ小さくし、過冷却を防止又は抑制すること(以下、単に「過冷却防止」という場合がある)が重要である(特許文献4参照)。
従来、例えば微粒子を原料溶液に混入して、これを水和物の核生成材として機能させることにより(特許文献5)、或いは、過冷却防止の効果又は性質を有する薬剤、即ち過冷却防止剤を原料溶液に添加することにより過冷却を防止又は抑制する試みがなされてきた。
特公昭57−35224号公報 特許第3641362号公報 特開2007−40641号公報 特開2001−343139号公報 特許第3407659号公報
しかし、原料溶液に微粒子を混入させるという特許文献5の手法には、その原料溶液に微粒子が均一に分散されていないと過冷却防止の効果が原料溶液に広く行き渡らず、顕在化するのに時間がかかるという問題や、水和物の生成又は凝固と融解とを繰り返すと微粒子が原料溶液から分離されて過冷却防止の効果がなくなるという問題がある。
他方、原料溶液に過冷却防止剤を添加するという後者の手法にも問題がある。例えば、過冷却が生じた場合又は過冷却が生じることを見込んで、原料溶液中に過冷却防止剤を供給する場合には、微粒子を添加する場合と類似の問題が生じる。即ち、適時に過冷却防止剤を原料溶液に供給したとしても過冷却防止剤は直ちに水溶液全体に行き渡るわけではないので、過冷却防止効果が水溶液全体に及ぶまでには時間がかかり、全体として過冷却を十分又は短時間に防止又は抑制することができない。この問題は、蓄熱のたびに包接水和物の生成時間が変動しないように(換言すれば包接水和物の生成が安定的であるように)する必要がある場合や蓄熱を短時間で行う必要から包接水和物の生成を急速に行う必要がある場合には、解決すべき大きな課題となる。それ故、はじめに原料溶液に添加しておけば過冷却防止の効果が生じる過冷却防止剤があれば、それに越したことはない。
尤も、はじめに原料溶液に過冷却防止剤を添加しておけば過冷却防止の効果が生じる場合であっても、原料溶液への過冷却防止剤の添加量が不適切であると、当初準備した原料溶液の水和物生成温度が過度に変化したり、予定していた蓄熱量を確保できなくなる場合がある。また、過冷却防止の効果が時間の経過に伴い劣化しないとも限らない。例えば蓄熱剤の実際の使用環境では、蓄熱と放熱(以下、まとめて「蓄放熱」という場合がある)、即ち包接水和物の生成又は凝固と融解とが頻繁に繰り返される。このような蓄熱と放熱の繰返しにより、過冷却防止効果の経時的な劣化が起こることがある。
これに対し発明者らは臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液を主成分とする蓄熱剤に弗化テトラnブチルアンモニウム(TBAF)、またはその水溶液を過冷却解除剤として添加することにより短時間で過冷却が解除されること、すなわち、蓄熱を短時間で行えること、さらに蓄熱・放熱を頻繁に繰り返しても過冷却防止効果に経時的な劣化が起こらないことを見出した。(特願2006−073939)
一方、弗化テトラnブチルアンモニウムはフッ素を含有しているため、水溶液中ではフッ素イオンとなりアルミニウムや炭素鋼などの金属を腐食しやすいという性質がある。この腐食問題についても発明者らは亜硫酸塩またはチオ硫酸塩のナトリウム塩、リチウム塩などの脱酸型腐食抑制剤が腐食抑制に効果的であることを見出した。
この脱酸型腐食抑制剤を添加する方法は蓄熱剤を使用する環境が空気や酸素の遮断された環境である場合には有効であるが、弗化テトラnブチルアンモニウムを添加した蓄熱剤を使用する環境に空気や酸素が断続的または連続的に侵入する場合、あるいは該蓄熱剤を大気開放下で使用する場合には、存在する酸素の量に応じた量の脱酸型腐食抑制剤が存在するように濃度を維持して添加しなければならない。空気、または酸素の侵入が長期間にわたって継続する場合、これに対応して脱酸型腐食抑制剤を添加すると脱酸型腐食抑制剤と酸素との反応生成物が蓄積され、蓄熱剤の組成バランスが崩れ、融点の変化、使用温度範囲における潜熱量の減少、過冷却防止効果の低下を招く恐れがある。
また、他の腐食抑制剤として、ポリリン酸塩、トリポリリン酸塩、テトラポリリン酸塩、燐酸水素二塩、ピロ燐酸塩またはメタ珪酸塩のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、リチウム塩などの被膜形成型腐食抑制剤があるが、蓄熱剤を使用する環境に空気や酸素が断続的または連続的に侵入する場合、あるいは該蓄熱剤を大気開放下で使用する場合には、十分な腐食抑制性能が発揮されないことがある。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、原料溶液を冷却して包接水和物を生成する際、原料溶液の過冷却度を低減又は過冷却を防止又は抑制することができる技術、原料溶液中における水和物の生成又は凝固と融解とを頻繁に繰返しても過冷却防止効果の低下を起こりにくくすることができる技術並びにこれらに関連する技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の形態に係る包接水和物生成用の水溶液は、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを溶質として含み、臭化テトラisoペンチルアンモニウムが過冷却防止剤として添加されていることを特徴とするものである。
本発明の第2の形態に係る包接水和物生成用の水溶液は、第1の形態に係る水溶液であって、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率が、0.9%以上
16.9%以下であることを特徴とするものである。
本発明の第3の形態に係る包接水和物生成用の水溶液は、第1の形態に係る水溶液であって、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率であるTiPAB添加率が、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラnブチルアンモニウムの重量比率であるTBAB/(TBAB+TBPAB)比率に対応して、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が1%以上10%未満ではTiPAB添加率が5.7%以上16.9%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が10%以上20%未満ではTiPAB添加率が4.3%以上14.2%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が20%以上30%未満ではTiPAB添加率が2.8%以上12.4%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が30%以上40%未満ではTiPAB添加率が2.1%以上10.9%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が40%以上50%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上10.0%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が50%以上60%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上9.0%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が60%以上70%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上8.2%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が70%以上80%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上7.5%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が80%以上90%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上6.5%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が90%以上99%未満ではTiPAB添加率が0.9%以上6.0%以下であることを特徴とするものである。
本発明の第4の形態に係る包接水和物生成用の水溶液は、第1乃至第3のいずれかの形態に係る水溶液であって、腐食抑制剤が添加されていることを特徴とするものである。
本発明の第5の形態に係る蓄熱剤は、第1乃至第4のいずれかの形態に係る包接水和物生成用の水溶液が水和物生成温度以下に冷却されることにより生成される包接水和物を含むことを特徴とするものである。
本発明の第6の形態に係る蓄熱剤は、第1乃至第4のいずれかの形態に係る包接水和物生成用の水溶液が水和物生成温度以下に冷却されることにより生成される包接水和物がその水溶液又は水溶媒に分散又は懸濁してなるスラリーを含むことを特徴とするものである。
本発明の第7の形態に係る蓄熱剤は、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと、過冷却防止剤としての臭化テトラisoペンチルアンモニウムと、水を含んでなることを特徴とするものである。
本発明の第8の形態に係る蓄熱剤は、第5乃至第7のいずれかの形態に係る蓄熱剤であって、腐食抑制剤が添加されていることを特徴とするものである。
本発明の第9の形態に係る包接水和物又はそのスラリーの製造方法は、第1乃至第4のいずれかの形態に係る包接水和物生成用の水溶液を準備する工程と、前記水溶液を冷却して包接水和物を生成させる工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の第10の形態に係る蓄放熱方法は、第1乃至第4のいずれかの形態に係る包接水和物生成用の水溶液をを冷却し、包接水和物を生成させることにより熱エネルギーを蓄積し、生成した包接水和物を融解させることにより熱エネルギーを放出することを特徴とするものである。
本発明の第11の形態に係る潜熱蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製方法は、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の第12の形態に係る潜熱蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製方法は、第11の形態に係る調製方法であって、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率を、0.9%以上
16.9%以下とすることを特徴とするものである。
本発明の第13の形態に係る潜熱蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液は、冷却されて包接水和物を生成させる水溶液であって、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを溶質として含み、臭化テトラisoペンチルアンモニウムが添加されおり、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率が、0.9%以上16.9%以下であることを特徴とするものである。
本発明の第14の形態に係る潜熱蓄熱剤又はその主成分となる包接水和物又はそのスラリーの製造方法は、第13の形態に係る水溶液を準備する工程と、その水溶液を冷却して包接水和物を生成させる工程とを有することを特徴とするものである。
(1) 本発明によれば、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを溶質として含む水溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムが添加されているので、蓄熱剤又はその主成分となる水和物を、当該水溶液の冷却により生成させる際、過冷却を防止又は抑制することができる。臭化テトラisoペンチルアンモニウムは、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを溶質として含む水溶液に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率が所定の範囲内になるように添加されるので、過冷却防止性が優れ、かつ、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下を実用上の変動許容範囲内にすることができる。また、原料溶液中における水和物の生成又は凝固と融解とを頻繁に繰返しても過冷却防止効果の低下を起こりにくくすることができる。
それ故、本発明によれば、過冷却度が低減された又は過冷却が起こりにくい包接水和物生成用の又は蓄熱剤若しくはその主成分を生成するための水溶液或いは、水和物の生成又は凝固と融解とを頻繁に繰返しても過冷却防止効果の低下が起こりにくい包接水和物生成用の又は蓄熱剤若しくはその主成分を生成するための水溶液(第1乃至第4及び第13の各形態)、過冷却が防止又は抑制されつつ原料溶液から生成され得る包接水和物を含む又はその包接水和物のスラリーを含む蓄熱剤(第5及び第6の各形態)、過冷却が防止又は抑制されつつ生成し得る蓄熱剤(第7及び第8の各形態)、過冷却度を低減又は過冷却を防止若しくは抑制しつつ包接水和物又はそのスラリーを製造する方法(第9の形態)、原料溶液中における水和物の生成又は凝固と融解とを頻繁に繰返しても過冷却防止効果の低下が起こりにくい蓄放熱方法(第10の形態)、過冷却が防止又は抑制されつつ原料溶液から生成され得る潜熱蓄熱剤又はその主成分となる包接水和物又はそのスラリーの製造方法(第14の形態)、などを実現することができる。また、蓄熱剤の単位重量当たりの潜熱量がより大きくなるように調整することが容易になる潜熱蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製方法(第11及び第12の形態)を実現することができる。
本発明の作用効果の詳細及び実施形態又は実施形態に固有の作用効果については、別途後述する。
(2) 臭化テトラnブチルアンモニウム、臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム及び臭化テトラisoペンチルアンモニウムは、臭素イオンを有するために、腐食性を有する。それ故、本発明の第6及び第11の形態によれば、原料溶液に腐食抑制剤も添加されているので、腐食が抑制された包接水和物生成用の水溶液及び蓄熱剤をそれぞれ実現することができる。
また、本発明によれば、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを溶質として含む水溶液に過冷却防止剤として臭化テトラisoペンチルアンモニウムが添加されているので、過冷却防止剤として弗化テトラnブチルアンモニウムを添加する場合には、腐食性の高い弗素イオンを有するため腐食抑制剤を多く添加する必要があることに比べて、腐食抑制剤の添加量を少なくすることができる。本発明によれば、腐食抑制剤の添加量を少なくできるため、過冷却防止剤として弗化テトラnブチルアンモニウムを添加する時に生じる問題、すなわち、蓄熱剤を使用する環境に空気や酸素が断続的または連続的に侵入することに対応して腐食抑制剤の濃度を維持するように添加しなければならないことや、腐食抑制剤の反応物が蓄積され蓄熱剤の組成バランスが崩れ、融点の変動、使用温度範囲における潜熱量の減少、過冷却防止機能の低下を招くという問題が生じることを防ぐことができる。
本発明において採用可能な腐食抑制剤としては、蓄熱剤が密閉された環境すなわち溶存酸素が侵入しない環境で用いられる場合には、溶存する酸素を消費して腐食を抑制する脱酸型腐食抑制剤が好ましく、具体的には亜硫酸塩またはチオ硫酸塩のナトリウム塩、リチウム塩が挙げられ、この中から選ばれた少なくとも1種の腐食抑制剤を蓄熱剤に添加して腐食を抑制することができる。
また、密閉された環境に適用可能な他の腐食抑制剤としては、金属表面に腐食を防止する被膜を形成して腐食を抑制する被膜形成型腐食抑制剤があり、具体的にはポリリン酸塩、トリポリリン酸塩、テトラポリリン酸塩、燐酸水素二塩、ピロ燐酸塩またはメタ珪酸塩のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、リチウム塩が挙げられ、この中から選ばれた少なくとも1種の腐食防止剤を蓄熱剤に添加して腐食を抑制することができる。
これらの被膜形成型腐食抑制剤と前述した脱酸型腐食抑制剤の亜硫酸塩またはチオ硫酸塩を併用することにより、さらに腐食を抑制することができる。
さらに、密閉された環境に適用可能な他の腐食抑制剤として亜硝酸塩、ベンゾトリアゾール、ヒドラジン、エリソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、糖類が挙げられる。
蓄熱剤が大気開放環境で用いられる場合には、亜鉛、マグネシウム又はカルシウムの臭化物や硫酸塩を大気開放環境下の腐食抑制剤として用いることができる。これらの中から選ばれた少なくとも1種の腐食抑制剤を添加することにより、蓄熱剤の溶液中に含まれる水酸化物イオンや炭酸イオンと、腐食抑制剤の亜鉛イオン、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンが結びついて炭酸塩や水酸化物が生成され、これらが金属材表面に沈着して被膜を形成して腐食を抑制することができ、これらの腐食抑制剤は被膜形成型腐食抑制剤として作用している。
蓄熱剤に前述した亜鉛、マグネシウム又はカルシウムの臭化物や硫酸塩を添加し、さらに、ナトリウムやカリウム、リチウムなどのリン酸塩の中から選ばれた少なくとも1種のリン酸塩を添加して、リン酸イオンと亜鉛イオン、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンとを結合させてリン酸塩を生成し、このリン酸塩を金属材表面に沈着させて被膜を形成して腐食を抑制することができる。ナトリウムやカリウム、リチウムなどのリン酸塩は溶解度が大きいため、リン酸イオンを供給して効率よくリン酸塩被膜を形成して腐食を抑制することができる。沈殿被膜を形成させるリン酸イオンには、更に有効な効果がある。リン酸塩はpH調整剤としての作用もあるため、大気からの炭酸ガスの溶解や腐食生成物の加水分解によりpHが低くなることを防止することができる。
上記の腐食抑制剤を蓄熱剤に添加することにより、融点や蓄熱量を大きく変えずに腐食性の少ない蓄熱剤を提供することができる。
(3) 本発明に係る蓄熱剤、特に潜熱蓄熱剤は、過冷却防止効果が高く、また水和物の生成又は凝固と融解とを頻繁に繰返しても過冷却防止効果を維持できることのみならず、3〜16℃の温度範囲で多くの冷熱を蓄積できる。このため、本発明に係る蓄熱剤は、空調向けの蓄熱剤として特に有望である。
3〜16℃の温度範囲で蓄熱できる潜熱蓄熱剤が空調用途に向いているとされる理由は次のとおりである。
即ち、潜熱蓄熱剤を用いた空調においては、冷熱源からの冷熱を潜熱として貯めている蓄熱剤と空調負荷の空気とを直接又は媒体を介して熱交換を行い、熱交換後の空気を空調対象の空間に送り出すことにより、その空間の温度や湿度を調整している。多くの場合、冷房空調において室内機から吹き出す冷空気の温度は一般に16℃程度であり、高くとも18℃程度である。それ以上に高い温度であると、空調対象の空間に向けて送り出すべき空気量を増やさない限り、同レベルの空調効果を得ることが困難になり、それどころか却って空調効率が低下する。そのため、冷空気に冷熱を供給する潜熱蓄熱剤は、空気との熱交換に必要な温度差(約2℃)を考慮して、16℃以下の潜熱を蓄熱できるものであることが要求される。また、空調向けの潜熱蓄熱剤の典型例である氷の場合、0℃より低い温度で冷却する必要があるため、冷凍機のCOPが低くなり、蓄冷に必要なエネルギーが大きくなり省エネルギー化ができないという問題がある。COPを高いまま維持し、省エネルギー化を実現するためには、空調向けの潜熱蓄熱剤は、5℃以上、低くとも3℃以上で蓄熱できるものであることが要求される。それ故、3〜16℃の温度範囲で蓄熱できる潜熱蓄熱剤が空調用途に向いているとされる。
しかし、空調用途に使用されると否とに拘らず、3〜16℃の温度範囲の熱エネルギーを蓄積できる蓄熱剤は、現実の使用に耐え得るものでなければならない。
例えば、トリメチロールエタン、水及び尿素を含有する水和物系の蓄熱剤主成分に、ポリグリセリンを添加した蓄熱剤(融点は10〜25℃)がある。この蓄熱剤については特開2000−256659号公報に詳しいが、その記載による限り、凝固・融解の繰返しを確認した回数は高々100回程度に留まっている。この程度の繰返し使用回数では、使用目的は限られるし、水溶液中における成分物質の分離や濃度の偏り又は冷却により生成した水和物と母相との相分離が生じると過冷却防止の効果も低下してしまうので、広く実際の使用(特に民需の使用)に耐え得るものとは言い難い。
これに対し、本発明に係る蓄熱剤は、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと臭化テトラisoペンチルアンモニウムと水とを含有している。また、本発明に係る水和物生成用の水溶液は臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと臭化テトラisoペンチルアンモニウムとを含有している。
臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムは、水溶液の状態であれば3〜16℃の温度範囲で潜熱に相当する熱エネルギーを蓄積する。その水和物生成温度は、臭化テトラisoペンチルアンモニウムが少量添加されていても大きくは変らない。そして、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加剤として含む原料溶液から包接水和物を生成させる際には、原料溶液の過冷却度が低減又は過冷却が防止若しくは抑制される。しかも、当該原料溶液中において水和物の生成又は凝固と融解とを1000回以上繰り返しても過冷却防止の効果は低下しない。
従って、本発明によれば、3〜16℃の温度範囲の熱エネルギーを蓄積でき、現実的使用に耐え得る蓄熱剤を実現することができる、という特に有益な効果を奏する。
なお、本発明によれば3〜16℃の温度範囲で蓄熱できる(潜熱)蓄熱剤、3〜16℃の範囲に水和物生成温度を有する水溶液等を実現することができるからといって、本発明が空調用途に限定されるということではない。本発明は、空調用途に使用されると否とに拘らず、3〜16℃の温度範囲の熱エネルギーを蓄積できる蓄熱剤、3〜16℃の範囲に水和物生成温度を有する水溶液等を実現することができる技術的思想である。この点、念のため申し添えておく。
以下、実施形態により本発明を詳細に説明する。
なお、便宜的に、臭化テトラnブチルアンモニウムを「TBAB」と、と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを「TBPAB」と、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを「TiPAB」とそれぞれ略記する場合がある。
1.本発明に関連する新たな知見について説明する。本発明の幾つかの形態は当該新たな知見を基礎としている。
まず、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの混合水溶液について説明する。
(ア)臭化テトラnブチルアンモニウムは包接水和物を形成し、その調和融点はおよそ12℃であり、この調和融点における潜熱量は178J/gである。また、臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムは包接水和物を形成し、その調和融点はおよそ6℃であり、この調和融点における潜熱量は193J/gである。
臭化テトラnブチルアンモニウムの調和水溶液と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの調和水溶液との配合比率を変えた混合水溶液を冷却した際に水和物が生成する温度(混合水和物融点)を調べた。混合水溶液重量に対する臭化テトラnブチルアンモニウム調和水溶液の重量比率と混合物融点との関係を図1に示す。
図1に示すように臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと水を混合して混合水和物を生成することにより、混合水和物の融点を臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムそれぞれ単独の融点の間、すなわち6〜12℃の間に調整することができる。
したがって、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと水の配合組成を調整することにより、混合物融点を6〜12℃の間の所望値に調整することができる。このため、蓄熱剤により冷却されるべき対象あるいは蓄熱の目的に応じて求められる蓄熱剤の蓄熱温度に適合する融点を有する蓄熱剤を提供できる。
なお、混合水和物の総潜熱量は、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムそれぞれ単独の潜熱量に配合組成比率を乗じた総和とほぼ等しいことを確認している。
臭化テトラnブチルアンモニウムをゲスト分子とする包接水和物と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムをゲスト分子とする包接水和物を含む蓄熱剤(特に当該包接水和物を主成分として含む蓄熱剤)に関して、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを溶質として含む原料溶液を冷却する際に生じる過冷却を防止又は抑制する効果を発揮する又は維持することができる物質及びその配合組成を検討し、当該物質として臭化テトラisoペンチルアンモニウム又はその水溶液を添加することが有効であることを見出した。
臭化テトラisoペンチルアンモニウムを、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを溶質として含む原料溶液に添加することにより過冷却防止効果を奏する理由を推定すると、それは次のとおりである。
即ち、臭化テトラisoペンチルアンモニウムは水和物の調和融点が28℃であり、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを溶質として含む原料溶液から生成される水和物の融点或いは臭化テトラnブチルアンモニウム水和物及び臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物の融点より十分に高い。このため上記の原料溶液を冷却すると、臭化テトラisoペンチルアンモニウム水和物が臭化テトラnブチルアンモニウム水和物及び臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物より先に形成される。すると、臭化テトラisoペンチルアンモニウム水和物が臭化テトラnブチルアンモニウム水和物及び臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物の形成の契機又は誘発原因となる核(生成核)になり、蓄熱剤主成分となる水和物を短時間で生成させる結果、過冷却が防止又は抑制される。また、臭化テトラisoペンチルアンモニウム水和物は臭化テトラnブチルアンモニウム水和物及び臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物の類縁物質であり、相溶性があり、結晶構造なども類似しているため、効果的に過冷却が防止又は抑制される。
また、臭化テトラisoペンチルアンモニウムはその分子を構成するアルキルがisoペンチルであることから、アルキルがnブチルである弗化テトラnブチルアンモニウムに比べて水に対する親和性が低く、水溶液として溶解している状態から容易に包接水和物を形成しやすい傾向がある。このような傾向から、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液を冷却すると、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に弗化テトラnブチルアンモニウムを添加した原料溶液を冷却して弗化テトラnブチルアンモニウム水和物を生成する場合に比べて、迅速に臭化テトラisoペンチルアンモニウム水和物が生成され、臭化テトラisoペンチルアンモニウム水和物が臭化テトラnブチルアンモニウム水和物及び臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物の形成の契機又は誘発原因となる核(生成核)になり、効果的に過冷却が防止又は抑制される。
このような臭化テトラisoペンチルアンモニウムは弗化テトラnブチルアンモニウムに比べて水和物を形成しやすい傾向にあることは、過冷却防止剤としてより効果的であることを意味し、また、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に過冷却防止剤として臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する量を、過冷却防止剤として弗化テトラnブチルアンモニウムを添加する場合に比べて少なくすることができ、過冷却防止剤の添加に起因する、水和物又はこれを主成分として含む蓄熱剤の熱的性質への悪影響を極力小さく抑えることできる。
(イ) 過冷却防止剤としての臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加量に関しては、例えば、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する重量比率(百分率)が所定の範囲内になるように添加することが好ましい。当該所定の範囲の下限値未満であると、臭化テトラisoペンチルアンモニウム水和物の量が減り、臭化テトラnブチルアンモニウム水和物及び臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物の生成核となりにくくなり、過冷却を防止する効果が不足する。他方、当該所定の範囲の上限値超であると、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと臭化テトラisoペンチルアンモニウムを含む水溶液から生成される水和物又は臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと臭化テトラisoペンチルアンモニウムを含む水和物、延いては当該水和物を主成分とする蓄熱剤の潜熱量が影響を受け、3〜16℃の温度範囲で蓄熱できる潜熱量が著しく減少してしまう。
それ故、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加を適量(又は適量の範囲)にすることにより、過冷却防止剤の添加による蓄熱剤主成分の熱的性質への悪影響を極力低減しつつ、過冷却防止の効果をより確実に又は効果的なものにすることができる。
2.次に、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に対する過冷却防止剤としての臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加とその効果についてより具体的に説明する。
<測定・評価方法>
(ア)臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム(TBPAB)と水とを所定の重量比率で配合した混合水溶液に、臭化テトラisoペンチルアンモニウム(TiPAB)を、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加重量比率(TiPAB添加率という)を数水準とって添加することにより、水和物生成用の水溶液(原料溶液)を準備する(因みに、この水溶液を冷却することにより生成する水和物は、それ自体で又は水溶液に分散又は懸濁してなるスラリーとして蓄熱剤(特に潜熱蓄熱剤)又はその主成分として使用され得るものである)。また、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加しない原料溶液も準備する。
具体的には、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムとの配合重量比率を数水準とった基準原料溶液ごとに、TiPAB添加率を数水準とって臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液と、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加しない原料溶液を準備した。
上記のように準備された各原料溶液を冷却することにより生成する水和物について、以下に示す過冷却防止性、潜熱量、潜熱量比および融点の計測及び評価を行う。この計測と評価を通じて、過冷却防止の効果が高く、かつ、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が少ない臭化テトラisoペンチルアンモニウムの好ましい添加率(臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加重量比率(TiPAB添加率))の範囲を求める。
(1)過冷却防止性
上記の要領により調製した原料溶液を冷媒を流した金属管に接触させて3℃に冷却し、水和物の結晶が生成し過冷却が解除されるまでの時間を計測し、5分以内に水和物結晶が生成すれば過冷却防止性又は過冷却防止の効果が認められると評価する。さらに、この原料溶液を3℃に冷却して水和物を生成させ、その後40℃に加熱して生成した水和物を融解させるという水和物の生成又は凝固と融解とを1000回繰返して、過冷却防止性の低下がないと認められたときに過冷却防止効果の耐久性があると評価する。
(2)潜熱量、潜熱量比及び融点
上記の要領により調製した原料溶液の差動走査型熱量計(DSC)測定を実施し潜熱量と融点を測定する。上記の要領により調製した原料溶液を冷却することにより生成される固相物の融解時の熱量を3〜16℃の温度範囲で計測することにより潜熱量を求める。ここでいう潜熱量とは、3〜16℃の温度範囲における、潜熱に相当する熱エネルギーをいう。
臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加していない臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液から生成した水和物と、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液から生成した水和物の融解潜熱量をDSCを用いて計測し、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加していない臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液から生成した水和物の潜熱量(これを1とする)に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液から生成した水和物の潜熱量の比をもって潜熱量比とし、潜熱量比により臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加率の変化による潜熱量の変化を評価する。
臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加していない臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液から生成した水和物と、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液から生成した水和物の融解させたときの融点を計測する。横軸に温度、縦軸に比熱をとったグラフのピークを示す温度を融点とする。
<計測と評価の結果>
(イ)臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムとの配合重量比率(TBAB:TBPAB配合重量比率)を数水準とった基準原料溶液ごとに、TiPAB添加率を数水準とって臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した複数の原料溶液を準備し、かくして準備された各原料溶液に対して、上記(1)及び(2)に記載の計測と評価を行った。
その結果を表1〜5に示す。過冷却防止の効果又は過冷却防止性があり、1000回の凝固融解繰返し後もその低下が認められなかった場合には○を、過冷却が解除されず水和物の結晶が生成しなかった場合、すなわち過冷却の効果又は過冷却防止性がない或いはその低下が認められた場合には×を記載している。
なお、以下では臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの配合重量比率をTBAB:TBPAB配合重量比率といい、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラnブチルアンモニウムの重量比率をTBAB/(TBAB+TBPAB)比率といい、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加重量比率をTiPAB添加率という。
(1)TBAB:TBPAB配合重量比率が36.45:3.41の基準原料溶液の場合
この場合TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は91.45%、基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液重量に対する水の重量比率は60.14〜67.87%になる。
TBAB:TBPAB配合重量比率が36.45:3.41の基準原料溶液にTiPAB添加率(重量比率)を数水準変えて添加し、評価した結果を表1に示す。
Figure 0005104160
表1から、次のことが分かる。
〔a〕 TiPAB添加率が0.89重量%を下回ると、過冷却防止の効果がない。
〔b〕 TiPAB添加率が6.25重量%を超えると、潜熱量比は大きく減少し、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容幅(10%)を超える。
上記〔b〕の結果、即ち3〜16℃の温度範囲の潜熱量がTiPAB添加率に依存するという結果は、従来の知見からは予測不能なものである。そこで、潜熱量が減少する理由について検討した。
DSC測定結果を、横軸に温度、縦軸に潜熱量をとってグラフ化したものを図2に示す。図2において点線で示すAがTBAB:TBPAB配合重量比率が36.45:3.41の臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムとの基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加しない場合、実線で示すBがTBAB:TBPAB配合重量比率が36.45:3.41の臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムとの基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加重量比率(TiPAB添加率)を8.04%で添加した場合である。臭化テトラisoペンチルアンモニウムを8.04%添加した場合には、潜熱を持つ範囲が臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加しない場合よりも高温側に移動していることが認められる。そのため、空調用蓄熱剤として要望される3〜16℃の温度範囲の潜熱量が減少しており、これが3〜16℃の温度範囲の潜熱量が減少する理由であると推察される。なお、潜熱をもつ範囲が高温側に移動するのに伴い融点も高温側に移動する傾向がある。
以上の結果から、TBAB:TBPAB配合重量比率が36.45:3.41の基準原料溶液(TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は91.45%)に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する場合、TiPAB添加率が0.89〜6.25%の範囲にあれば、過冷却防止性が優れ、かつ、3〜16℃の温度範囲の潜熱量が、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容範囲内(潜熱量比の変化が10%以下)となる、といえる。
(2)TBAB:TBPAB配合重量比率が32.40:6.82の基準原料溶液の場合
この場合TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は82.61%、基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液重量に対する水の重量比率は60.78〜68.51%になる。
TBAB:TBPAB配合重量比率が32.40:6.82の基準原料溶液にTiPAB添加率(重量比率)を数水準変えて添加し、評価した結果を表2に示す。
Figure 0005104160
表2から、次のことが分かる。
〔c〕 TiPAB添加率が1.82重量%を下回ると、過冷却防止の効果がない。
〔d〕 TiPAB添加率が7.26重量%を超えると、潜熱量比は大きく減少し、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容幅(10%)を超える。
以上の結果から、TBAB:TBPAB配合重量比率が32.40:6.82の基準原料溶液(TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は82.61%)に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する場合、TiPAB添加率が1.82〜7.26%の範囲にあれば、過冷却防止性が優れ、かつ、3〜16℃の温度範囲の潜熱量が、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容範囲内(潜熱量比の変化が10%以下)となる、といえる。
(3)TBAB:TBPAB配合重量比率が20.25:17.05の基準原料溶液の場

この場合TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は54.29%、基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液重量に対する水の重量比率は62.70〜70.43%になる。
TBAB:TBPAB配合重量比率が20.25:17.05の基準原料溶液にTiPAB添加率(重量比率)を数水準変えて添加し、評価した結果を表3に示す。
Figure 0005104160
表3から、次のことが分かる。
〔e〕 TiPAB添加率が1.91重量%を下回ると、過冷却防止の効果がない。
〔f〕 TiPAB添加率が9.54重量%を超えると、潜熱量比は大きく減少し、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容幅(10%)を超える。
以上の結果から、TBAB:TBPAB配合重量比率が20.25:17.05の基準原料溶液(TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は54.29%)に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する場合、TiPAB添加率が1.91〜9.54%の範囲にあれば、過冷却防止性が優れ、かつ、3〜16℃の温度範囲の潜熱量が、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容範囲内(潜熱量比の変化が10%以下)となる、といえる。
(4)TBAB:TBPAB配合重量比率が12.15:23.87の基準原料溶液の場

この場合TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は33.73%、基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液重量に対する水の重量比率は63.98〜74.28%になる。
TBAB:TBPAB配合重量比率が12.15:23.87の基準原料溶液にTiPAB添加率(重量比率)を数水準変えて添加し、評価した結果を表4に示す。
Figure 0005104160
表4から、次のことが分かる。
〔g〕 TiPAB添加率が1.98重量%を下回ると、過冷却防止の効果がない。
〔h〕 TiPAB添加率が11.86重量%を超えると、潜熱量比は大きく減少し、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容幅(10%)を超える。
以上の結果から、TBAB:TBPAB配合重量比率が12.15:23.87の基準原料溶液(TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は33.73%)に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する場合、TiPAB添加率が1.98〜11.86%%の範囲にあれば、過冷却防止性が優れ、かつ、3〜16℃の温度範囲の潜熱量が、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容範囲内(潜熱量比の変化が10%以下)となる、といえる。
(5)TBAB:TBPAB配合重量比率が4.05:30.69の基準原料溶液の場合
この場合TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は11.66%、基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液重量に対する水の重量比率は65.26〜78.14%になる。
TBAB:TBPAB配合重量比率が4.05:30.69の基準原料溶液にTiPAB添加率(重量比率)を数水準変えて添加し、評価した結果を表5に示す。
Figure 0005104160
表5から、次のことが分かる。
〔i〕 TiPAB添加率が4.10重量%を下回ると、過冷却防止の効果がない。
〔j〕 TiPAB添加率が16.40重量%を超えると、潜熱量比は大きく減少し、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容幅(10%)を超える。
以上の結果から、TBAB:TBPAB配合重量比率が4.05:30.69の基準原料溶液(TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は11.66%)に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する場合、TiPAB添加率が4.10〜16.40%%の範囲にあれば、過冷却防止性が優れ、かつ、3〜16℃の温度範囲の潜熱量が、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容範囲内(潜熱量比の変化が10%以下)となる、といえる。
上記〔b〕〔d〕〔f〕〔h〕〔j〕の結果、即ち3〜16℃の温度範囲の潜熱量がTiPAB添加率に依存するという結果は、従来の知見からは予測不能なものである。
以上の結果を見やすくするために、TBAB/(TBAB+TBPAB)比率毎の臭化テトラisoペンチルアンモニウムの臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する好適な添加率をまとめて、表6に示す。表6には併せてそれぞれに対応する臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する水の重量比率(水/(TBAB+TBPAB))と融点を示した。
Figure 0005104160
表6に示すように、TBABとTBPABの合計重量に対するTiPABの重量比率であるTiPAB添加率(TiPAB/(TBAB+TBPAB)%)は、TBABとTBPABの合計重量に対するTBABの重量比率(TBAB/(TBAB+TBPAB)比率)に対応して、下記の範囲が好適である。
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が91.45%では、好適なTiPAB添加率は0.89%以上6.25%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が82.61%では、好適なTiPAB添加率は1.82%以上7.26%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が54.29%では、好適なTiPAB添加率は1.91%以上9.54%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が33.73%では、好適なTiPAB添加率は1.98%以上11.86%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が11.66%では、好適なTiPAB添加率は4.10%以上16.40%以下である。
臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと水を配合した混合水溶液(原料溶液)に対して、TiPAB添加率を上記の範囲として臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加して原料溶液を調製すれば、この原料溶液は過冷却防止性が優れ、かつ、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が実用上の変動許容範囲内(潜熱量比の変化が10%以下)となる、といえる。
この原料溶液を冷却することにより生成する水和物は、それ自体で又は水溶液に分散又は懸濁してなるスラリーとして蓄熱剤(特に潜熱蓄熱剤)又はその主成分として使用され、過冷却防止性が優れ、かつ、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が実用上の変動許容範囲内(潜熱量比の変化が10%以下)となるものである。
(ウ)さらに、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム(TBPAB)の配合重量比率をより細かく変えて基準原料溶液を調製し、上記と同様の評価を行い、過冷却防止性に優れ、かつ、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が10%より少ない臭化テトラisoペンチルアンモニウムの臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する好適な添加率(TiPAB添加率)を求めた。
図3は横軸にTBABとTBPABの合計重量に対するTBABの重量比率としてTBAB/(TBAB+TBPAB)比率(%)をとり、縦軸にTBABとTBPABの合計重量に対するTiPABの重量比率としてTiPAB添加率(%)をとって、TBAB/(TBAB+TBPAB)比率)(%)に対するTiPAB添加率(%)について過冷却防止性能の優れたTiPAB添加率(%)の下限値を示す曲線Cと、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が10%より少なくなるような上限値を示す曲線Dを示した。
横軸で示されるTBAB/(TBAB+TBPAB)比率(%)の混合比率の場合に、図3に示される曲線C、Dで囲まれる範囲のTiPAB添加率(%)を選択すれば、凝固融解を1000回繰返しても過冷却防止性能の低下がなく、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が10%より少ない水和物生成用の原料溶液がえられ、その原料溶液を冷却して生成する水和物を主成分とする蓄熱剤が得られる。
このような好適なTiPAB添加率(%)の範囲を定量的に示すために、図4に示すように、横軸のTBAB/(TBAB+TBPAB)比率を10%ごとに区切り、その区間における凝固融解を1000回繰返しても過冷却防止性能の低下のないTiPAB添加率(%)の下限値を示す曲線Cの最大値と、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が10%より少なくなるようなTiPAB添加率(%)の上限値を示す曲線Dの最小値を求め、点線で示す。この最大値と最小値の間のTiPAB添加率を選択すれば、凝固融解を1000回繰返しても過冷却防止性能の低下がなく、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が10%より少ない水和物生成用の原料溶液がえられ、その原料溶液を冷却して生成する水和物を主成分とする蓄熱剤が得られる。このTBAB/(TBAB+TBPAB)比率の各範囲ごとの好ましいTiPAB添加率の範囲を表7に示す。
Figure 0005104160
表7に示すように、TBABとTBPABの合計重量に対するTiPABの重量比率であるTiPAB添加率(TiPAB/(TBAB+TBPAB)%)は、TBABとTBPABの合計重量に対するTBABの重量比率(TBAB/(TBAB+TBPAB)比率)に対応して、下記の範囲が好適である。また、TBABとTBPABの合計重量に対する水の重量比率を下記に示す。
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が1%以上10%未満ではTiPAB添加率は5.7%以上16.9%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.98倍以上2.23倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が10%以上20%未満ではTiPAB添加率は4.3%以上14.2%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.92倍以上2.14倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が20%以上30%未満ではTiPAB添加率は2.8%以上12.4%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.84倍以上2.06倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が30%以上40%未満ではTiPAB添加率は2.1%以上10.9%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.79倍以上1.99倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が40%以上50%未満ではTiPAB添加率は2.0%以上10.0%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.74倍以上1.93倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が50%以上60%未満ではTiPAB添加率は2.0%以上9.0%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.69倍以上1.86倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が60%以上70%未満ではTiPAB添加率は2.0%以上8.2%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.64倍以上1.80倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が70%以上80%未満ではTiPAB添加率は2.0%以上7.5%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.60倍以上1.74倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が80%以上90%未満ではTiPAB添加率は2.0%以上6.5%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.55倍以上1.68倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が90%以上99%未満ではTiPAB添加率は0.9%以上6.0%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.49倍以上1.63倍以下である。
上記の範囲のTiPAB添加率(%)を選択すれば、凝固融解を1000回繰返しても過冷却防止性能の低下がなく、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が10%より少ない水和物生成用の原料溶液がえられ、その原料溶液を冷却して生成する水和物を主成分とする蓄熱剤が得られる
次に、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと水を配合した混合水溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液の融点を横軸に、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する添加率(重量比率、TiPAB添加率)を縦軸にとった座標に、表1〜表5に示したTBAB/(TBAB+TBPAB)比率が91.45%、82.61%、54.29%、33.73%及び11.66%の原料溶液の融点とTiPABの添加率の関係をプロットしたものを図5に示す。図5には、表6に示した臭化テトラisoペンチルアンモニウムの好適なTiPAB添加率の範囲の上限と下限を実線で示してある。
図5に示した横軸で示される融点が6〜12℃の範囲内において、TBAB/(TBAB+TBPAB)比率に対応して、実線で示す上限と下限に囲まれた範囲の臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加率を選択すれば、凝固融解を1000回繰返しても過冷却防止効果の低下がなく、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が10%より少ない水和物生成用の原料溶液がえられ、その原料溶液を冷却して生成する水和物を主成分とする蓄熱剤が得られる。
臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液を冷却すると、まず第一水和物が生成され、さらに低温に冷却されると第二水和物が生成されることが知られている。第一水和物から第二水和物に変化する現象も生じる。第二水和物は第一水和物よりゲスト分子を包接する水分子の数が多く(水和数が多く)、蓄熱する潜熱量が大きいという特性をもつ。
臭化テトラnブチルアンモニウムを含む水溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加することにより、第二水和物の生成が誘発されることが確認されており、第二水和物が多く生成されると、その結果、融解潜熱量が大きくなる。
臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムとの水溶液についても、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加することにより、過冷却を防止するだけでなく、第二水和物の生成を誘発して蓄熱する潜熱量を増大させる効果がある。
3.本発明の実施例
(ア)以下においては、本発明の実施例を示し、その過冷却防止性能を評価し、潜熱量の変化を調査した。
臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム(TBPAB)を重量比36.45:3.41で配合した混合水溶液(TBAB/(TBAB+TBPAB)比率91.45%)に、臭化テトラisoペンチルアンモニウム(TiPAB)を臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対して2.68重量%添加して原料溶液を調製した。
調製した原料溶液を3℃に冷却し、水和物の結晶が生成し過冷却が解除されるまでの時間を計測したところ、5分程度以内に水和物結晶が生成し過冷却が防止された。この水和物結晶は1箇所だけでなく数箇所から生成し、それぞれの水和物結晶が10mm程度にまで成長するのに要した時間は、約5分間であり、短時間に水和物結晶が生成し成長することが確認できた。
さらに、原料溶液を3℃に冷却し水和物を生成させ、40℃に加熱し生成した水和物を融解させる凝固融解を1000回繰返して、過冷却防止性能の変化を調べたところ、過冷却防止性能の低下がないと認められた。
また、この原料溶液の3〜16℃の温度範囲の潜熱量は176J/gであり、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加しない水溶液の潜熱量180J/gに比べて低下が2%であり、潜熱量の低下がほとんどないと認められた。
このように臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと水を配合した混合水溶液に対して、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加することにより、水和物結晶を短時間で生成でき、凝固融解を1000回繰返しても過冷却防止性能の低下がなく、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が少ない水和物生成用の原料溶液がえられ、その原料溶液を冷却して生成する水和物を主成分とする蓄熱剤が得られる。
(イ)上記実施例の効果を確認するために、以下に示す比較実験を行った。
(1)比較例1
臭化テトラisoペンチルアンモニウム(TiPAB)添加の効果を確認するために、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム(TBPAB)を重量比36.45:3.41で配合した混合水溶液(TBAB/(TBAB+TBPAB)比率91.45%)を調製した。調製した混合水溶液を3℃に冷却したところ、24時間経過しても水和物の結晶が生成せず過冷却状態が続いた。
これに対して、臭化テトラisoペンチルアンモニウム(TiPAB)を添加した上述の実施例では5分程度以内に水和物結晶が生成し過冷却が防止されていることから、臭化テトラisoペンチルアンモニウム(TiPAB)が過冷却防止性能を発揮していることが分かる。
(2)比較例2
次に上記実施例においては臭化テトラisoペンチルアンモニウムを臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対して2.68重量%添加したが、この添加量と添加方法の効果を確認するために以下の比較実験を行った。
臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム(TBPAB)を重量比36.45:3.41で配合した混合水溶液(TBAB/(TBAB+TBPAB)比率91.45%)を調製した。一方、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの調和水溶液を多孔質体である活性炭粒子に含浸させた。前記臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと水の混合水溶液(原料溶液)に、前記の臭化テトラisoペンチルアンモニウムを含浸した活性炭粒子を数粒添加して3℃に冷却した。この場合臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加量は約0.035重量%に相当する。
上記の活性炭粒子を添加した原料溶液の冷却開始から数分後に活性炭粒子の周辺から水和物結晶が生成し過冷却が解除された。また、水和物結晶が10mm程度にまで成長するのに要した時間は、約10分程度であった。さらに、活性炭粒子を添加した原料溶液を3℃に冷却し水和物を生成させ、40℃に加熱し生成した水和物を融解させる凝固融解を繰返して、過冷却防止性能の変化を調べたところ、凝固融解の繰返し5回目で水和物結晶が生成しなくなった。
この比較例から、過冷却解除効果は認められるものの、水和物結晶が10mm程度にまで成長するのに要した時間は実施例の場合の2倍を要している。また、凝固融解の繰返し5回目で水和物結晶が生成しなくなったことから、臭化テトラisoペンチルアンモニウム(TIPAB)を多孔質体である活性炭粒子に含浸させる方法では、凝固融解の繰返しによる過冷却防止性能の低下が著しく問題がある。
(3)比較例3
比較例2の多孔質体の活性炭粒子をアルミナ多孔質体に代えて、同様に過冷却防止性能の評価した。この場合臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加量は約0.07重量%に相当する。水和物結晶が10mm程度にまで成長するのに要した時間は、約10分程度と比較例2と同程度であり、凝固融解の繰返し20回目で水和物結晶が生成しなくなった。この場合も凝固融解の繰返しによる過冷却防止性能の低下が著しく問題がある。
4.腐食抑制剤について
臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを溶質として含み臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した水溶液には、臭素イオンが存在し炭素鋼やアルミニウムの腐食の原因となるので、腐食抑制剤を添加することが好ましい。
腐食抑制剤としては、蓄熱剤が密閉された環境すなわち溶存酸素が侵入しない環境で用いられる場合には、溶存する酸素を消費して腐食を抑制する脱酸型腐食抑制剤が好ましく、具体的には亜硫酸塩またはチオ硫酸塩のナトリウム塩、リチウム塩が挙げられ、また金属表面に腐食を防止する被膜を形成して腐食を抑制する被膜形成型腐食抑制剤を用いてもよく、具体的にはポリリン酸塩、トリポリリン酸塩、テトラポリリン酸塩、燐酸水素二塩、ピロ燐酸塩またはメタ珪酸塩のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、リチウム塩が挙げられ、これらの被膜形成型腐食抑制剤と前述した脱酸型腐食抑制剤の亜硫酸塩またはチオ硫酸塩を併用することにより、さらに腐食抑制効果を高めることができる。
さらに、密閉された環境に適用可能な他の腐食抑制剤として亜硝酸塩、ベンゾトリアゾール、ヒドラジン、エリソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、糖類が挙げられる。
蓄熱剤が大気開放環境で用いられる場合には、亜鉛、マグネシウム又はカルシウムの臭化物や硫酸塩を大気開放環境下の腐食抑制剤として用いることができる。これらの中から選ばれた少なくとも1種の腐食抑制剤を添加することにより、蓄熱剤の溶液中に含まれる水酸化物イオンや炭酸イオンと、腐食抑制剤の亜鉛イオン、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンが結びついて炭酸塩や水酸化物が生成され、これらが金属材表面に沈着して被膜を形成して腐食を抑制することができ、これらの腐食抑制剤は被膜形成型腐食抑制剤として作用している。
蓄熱剤に前述した亜鉛、マグネシウム又はカルシウムの臭化物や硫酸塩を添加し、さらに、ナトリウムやカリウム、リチウムなどのリン酸塩の中から選ばれた少なくとも1種のリン酸塩を添加して、リン酸イオンと亜鉛イオン、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンとを結合させてリン酸塩を生成し、このリン酸塩を金属材表面に沈着させて被膜を形成して腐食を抑制することができる。ナトリウムやカリウム、リチウムなどのリン酸塩は溶解度が大きいため、効率よく被膜を形成して腐食を抑制することができる。
上記の腐食抑制剤を蓄熱剤に添加することにより、融点や蓄熱量を大きく変えずに腐食性の少ない蓄熱剤を提供することができる。
<腐食抑制剤による腐食抑制効果の評価>
臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを重量比で2:1に配合した混合水溶液に、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対して2重量%添加した基準原料溶液に腐食抑制剤を添加して密閉環境下と大気開放環境下における腐食抑制効果について評価した。
(ア) 密閉環境下腐食試験
基準原料溶液に表8に示す各腐食抑制剤を添加して、被検原料溶液(1〜4)を調製し、密閉容器中で炭素鋼板とアルミニウム板を浸漬し90℃にて1週間保持したのち、重量減少量を測定して腐食速度を求めた。その結果を表8に併せて示す。
Figure 0005104160
亜硫酸ナトリウムを添加した場合(被検原料溶液1)には、腐食抑制剤を添加しない場合(被検原料溶液4)に比して、炭素鋼では腐食速度が0.18mm/年から0.06mm/年になり、アルミニウムでは腐食速度が0.003mm/年から0.001mm/年になった。いずれの場合にも腐食速度を3分の1以下に抑制でき、腐食抑制効果が認められた。
ポリリン酸ナトリウムを添加した場合(被検原料溶液2)にも、腐食抑制剤を添加しない場合(被検原料溶液4)に比して、炭素鋼では腐食速度が0.18mm/年から0.07mm/年になり、アルミニウムでは腐食速度が0.003mm/年から0.002mm/年になった。いずれの場合にも亜硫酸ナトリウムを添加した場合と同様に腐食速度を2分の1程度に抑制でき、腐食抑制効果が認められた。
亜硫酸ナトリウムとポリリン酸ナトリウムを併用した場合(被検原料溶液3)には、腐食抑制剤を添加しない場合(被検原料溶液4)に比して、炭素鋼では腐食速度が0.18mm/年から0.04mm/年になり、アルミニウムでは腐食速度が0.003mm/年から0.001mm/年になった。炭素鋼では各腐食抑制剤を単独で用いたときよりも高い腐食抑制効果が認められた。
いずれの場合でも炭素鋼もアルミニウムも全面腐食の形態を呈しており、局部腐食の発生はなかった。なお、上述した他の腐食抑制剤でも同様に腐食を十分に抑制できる効果があることを確認した。
(イ) 大気開放環境下腐食試験
基準原料溶液に表9に示す各腐食抑制剤を添加して、被検原料溶液(5〜8)を調製し、リービッヒ冷却管を付けて、蒸発を防止しながら被検原料溶液が大気と接するようにした容器中で炭素鋼板とアルミニウム板を浸漬し90℃にて1週間保持したのち、重量減少量を測定して腐食速度を求めた。その結果を表9に併せて示す。
Figure 0005104160
炭素鋼では硫酸亜鉛を添加した場合(被検原料溶液5)には、腐食抑制剤を添加しない場合(被検原料溶液8)に比して、腐食速度が0.32mm/年から0.13mm/年になり、腐食速度を2分の1以下に抑制でき、腐食抑制効果が認められた。アルミニウムでは腐食抑制剤を添加しない場合(被検原料溶液8)では腐食速度が0.006mm/年であり、孔食が発生したが、硫酸亜鉛を添加した場合(被検原料溶液5)には、腐食速度が0.002mm/年であり、孔食は認められず、腐食速度を数分の1以下に抑制でき、孔食を防止して腐食抑制効果が認められた。
ポリリン酸ナトリウムを添加した場合(被検原料溶液6)にも、腐食抑制剤を添加しない場合(被検原料溶液8)に比して、炭素鋼では腐食速度が0.32mm/年から0.17mm/年になり、アルミニウムでは腐食速度が0.006mm/年から0.004mm/年になり、孔食を防止した。いずれの場合にも硫酸亜鉛を添加した場合と同様に腐食速度を2分の1程度に抑制でき、腐食抑制効果が認められた。
硫酸亜鉛とポリリン酸ナトリウムを併用した場合(被検原料溶液7)には、腐食抑制剤を添加しない場合(被検原料溶液8)に比して、炭素鋼では腐食速度が0.32mm/年から0.05mm/年になり、アルミニウムでは腐食速度が0.006mm/年から0.002mm/年になり、孔食を防止した。炭素鋼では各腐食抑制剤を単独で用いたときよりも高い腐食抑制効果が認められた。
いずれの腐食抑制剤を添加した場合でも炭素鋼もアルミニウムも全面腐食の形態を呈しており、孔食など局部腐食の発生はなかった。特に孔食は配管や容器内部の蓄熱材の漏洩に繋がるため、腐食抑制剤を添加することで、孔食を抑制できることは効果が大きい。なお、上述した他の腐食抑制剤でも同様に腐食を十分に抑制できる効果があることを確認した。
5.蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製方法について
(ア) 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの調和濃度、調和濃度より小さい濃度または調和濃度より大きい濃度の水溶液を混合して所望の融点とした水溶液に、臭化テトラisoペンチルアンモニウム又は臭化テトラisoペンチルアンモニウムの水溶液を添加して水和物生成用或いは蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液を準備する。このとき、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加量は0.9重量%以上16.9重量%以下とする。このように調製することにより、過冷却防止性が優れて、かつ、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が少ない水和物であって、蓄熱剤若しくはその主成分となるものを得ることができる。
(イ)過冷却防止剤として臭化テトラisoペンチルアンモニウムを臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの混合水溶液に添加する場合、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの粉末を添加してもよいし、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの水溶液として添加してもよい。蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製するためには、 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液の水溶液と臭化テトラisoペンチルアンモニウムの水溶液を混合してもよいし、臭化テトラnブチルアンモニウムの粉末と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの粉末と臭化テトラisoペンチルアンモニウムの粉末に水を投入して混合してもよく、水にこれらの粉末を投入して混合してもよく、いずれにおいても同じ結果になることは言うまでもない。
(ウ) 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液の過冷却を防止するためには、リン酸水素二ナトリウムを過冷却防止剤として添加してもよい。
臭化テトラisoペンチルアンモニウムとリン酸水素二ナトリウムを過冷却防止剤として併用して添加して、より効果的に過冷却を防止することができる。例えば、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する際、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に対してリン酸水素二ナトリウムを添加し、臭化テトラisoペンチルアンモニウムと併用すれば、臭化テトラisoペンチルアンモニウムだけを添加した場合に比して、過冷却防止の効果が高まる。それ故、この併用によれば、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加率を低減させても同水準の過冷却防止の効果を得ることができるとともに、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加に起因する、水和物又はこれを主成分として含む蓄熱剤の潜熱量の変化を小さく抑えることできる。
臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に添加される臭化テトラisoペンチルアンモニウムが、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率が0.9%以上16.9%以下となる範囲内である場合には、リン酸水素二ナトリウムの添加量は、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に対して0.1〜2.0重量%とするのが好適である。
(エ) 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液の過冷却を防止するためには、脂肪族カルボン酸の金属塩、例えばステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウムを過冷却防止剤として添加してもよい。
臭化テトラisoペンチルアンモニウムと脂肪族カルボン酸の金属塩を過冷却防止剤として併用して添加して、より効果的に過冷却を防止することができる。例えば、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する際、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に対して脂肪族カルボン酸の金属塩を添加し、臭化テトラisoペンチルアンモニウムと併用すれば、臭化テトラisoペンチルアンモニウムだけを添加した場合に比して、過冷却防止の効果が高まる。それ故、この併用によれば、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加率を低減させても同水準の過冷却防止の効果を得ることができるとともに、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加に起因する、水和物又はこれを主成分として含む蓄熱剤の潜熱量の変化を小さく抑えることできる。
臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に添加される臭化テトラisoペンチルアンモニウムが、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率が0.9%以上16.9%以下となる範囲内である場合には、脂肪族カルボン酸の金属塩の添加量は、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に対して0.1〜2.0重量%とするのが好適である。
最後に、本発明の技術的範囲は、以上の実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。例えば、以上において明記のない物質を添加するという実施形態は、本発明の奏効性を阻害しない限り、本発明の技術的範囲に属するものである。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲まで及ぶものである。
臭化テトラnブチルアンモニウム調和水溶液と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム調和水溶液との混合水溶液に対する臭化テトラnブチルアンモニウム調和水溶液の比率と混合物融点との関係を示すグラフである。 本発明に係る蓄熱剤のDSC測定結果を、横軸に温度、縦軸に潜熱量をとってグラフ化した図である。 横軸にTBAB/(TBAB+TBPAB)(%)をとり、縦軸にTiPAB添加率(%)をとって、TBAB/(TBAB+TBPAB)(%)に対するTiPAB添加率(%)について過冷却防止性能の低下のないTiPAB添加率(%)の最小値を示す曲線Cと、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が10%より少なくなるような最大値を示す曲線Dを示した図である。 図3に示した曲線C,Dで囲まれる部分のうちの好適な範囲を定量的に説明する説明図である。 臭化テトラnブチルアンモニウム調和水溶液と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム調和水溶液を配合した混合水溶液に臭化isoペンチルアンモニウム調和水溶液を添加した蓄熱剤の融点を横軸に、臭化isoペンチルアンモニウム調和水溶液の添加率を縦軸にとった座標に、表1〜表5に示した融点とTiPABの添加率の関係をプロットした図である。

Claims (11)

  1. 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを溶質として含み、臭化テトラisoペンチルアンモニウムが過冷却防止剤として添加されていることを特徴とする包接水和物生成用の水溶液。
  2. 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率が、0.9%以上16.9%以下であることを特徴とする請求項1に記載の包接水和物生成用の水溶液。
  3. 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率であるTiPAB添加率が、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラnブチルアンモニウムの重量比率であるTBAB/(TBAB+TBPAB)比率に対応して、
    TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が1%以上10%未満ではTiPAB添加率が5.7%以上16.9%以下であって、
    TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が10%以上20%未満ではTiPAB添加率が4.3%以上14.2%以下であって、
    TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が20%以上30%未満ではTiPAB添加率が2.8%以上12.4%以下であって、
    TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が30%以上40%未満ではTiPAB添加率が2.1%以上10.9%以下であって、
    TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が40%以上50%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上10.0%以下であって、
    TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が50%以上60%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上9.0%以下であって、
    TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が60%以上70%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上8.2%以下であって、
    TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が70%以上80%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上7.5%以下であって、
    TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が80%以上90%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上6.5%以下であって、
    TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が90%以上99%未満ではTiPAB添加率が0.9%以上6.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の包接水和物生成用の水溶液。
  4. 腐食抑制剤が添加されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の包接水和物生成用の水溶液。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の包接水和物生成用の水溶液が水和物生成温度以下に冷却されることにより生成される包接水和物を含むことを特徴とする蓄熱剤。
  6. 請求項1乃至4のいずれに記載の包接水和物生成用の水溶液が水和物生成温度以下に冷却されることにより生成される包接水和物がその水溶液又は水溶媒に分散又は懸濁してなるスラリーを含むことを特徴とする蓄熱剤。
  7. 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと、過冷却防止剤としての臭化テトラisoペンチルアンモニウムと、水を含んでなることを特徴とする蓄熱剤。
  8. 請求項1乃至4のいずれかに記載の包接水和物生成用の水溶液を準備する工程と、前記水溶液を冷却して包接水和物を生成させる工程とを有することを特徴とする包接水和物又はそのスラリーの製造方法。
  9. 請求項1乃至4のいずれに記載の包接水和物生成用の水溶液を冷却し、包接水和物を生成させることにより熱エネルギーを蓄積し、生成した包接水和物を融解させることにより熱エネルギーを放出することを特徴とする蓄放熱方法。
  10. 潜熱蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製方法であって、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する工程とを有することを特徴とする水溶液の調製方法。
  11. 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率を、0.9%以上
    16.9%以下とすることを特徴とする請求項10に記載の水溶液の調製方法。
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