JP5104160B2 - 包接水和物生成用の水溶液、蓄熱剤、包接水和物又はそのスラリーの製造方法、蓄放熱方法並びに潜熱蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製方法 - Google Patents
包接水和物生成用の水溶液、蓄熱剤、包接水和物又はそのスラリーの製造方法、蓄放熱方法並びに潜熱蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製方法 Download PDFInfo
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Description
(1)複数の分子が適当な条件下で組み合わさって結晶ができるとき、一方の分子(ホスト分子)が籠状、トンネル形、層状または網状構造をつくり、その隙間に他の分子(ゲスト分子)が入りこんだ構造の化合物(包接化合物)のうち、ホスト分子が水分子であるものを「包接水和物」という。
ホスト分子である水分子が構成する籠状、トンネル形、層状または網状構造が不完全であっても、その隙間に他の分子(ゲスト分子)が入りこんだ構造の化合物であれば「包接水和物」に含まれる。簡便のため、「包接水和物」を「水和物」と略称する場合がある。
(4)「調和融点」とは原料溶液を冷却することにより水和物を生成させる際、水溶液(液相)から水和物(固相)に変相する前後の組成が変わらない場合(例えばもとの水溶液中のゲスト分子濃度と同じゲスト分子濃度の水和物が冷却されて生成するとき)の温度をいう。水溶液のゲスト分子の濃度により包接水和物が生成する温度(融点)が変動するが、縦軸を融点温度、横軸を濃度とした状態図では極大点が調和融点となる。
(5)「調和濃度」とは、調和融点を与える原料溶液の濃度をいう。
(6)「調和水溶液」とは、調和融点を与える濃度の原料溶液をいう。
包接水和物は、潜熱に相当する熱エネルギーを蓄積する効果又は性質を有し、蓄熱用途に使用されるので、「蓄熱剤」、特に「潜熱蓄熱剤」となり得る。
包接水和物又はそのスラリーが蓄熱剤又はその「主成分」として使用される場合、その包接水和物のゲスト分子は当該蓄熱剤の「主成分」となり得る。
包接水和物のゲスト分子の調和水溶液は、それを原料溶液として冷却すると、液相から固相に変相する前後で組成が変わらず、調和水溶液それ自体が包接水和物に変相してゆく様相を呈する。この点に着目すると、包接水和物が蓄熱剤又はその「主成分」として使用される場合、そのゲスト分子の調和水溶液はそれ自体で蓄熱剤の「主成分」であるといえ、他面において、特に冷却されて固化した後においては蓄熱剤そのものといえる。
蓄熱剤の「主成分」を「蓄熱剤主成分」という場合がある。
テトラアルキルアンモニウム化合物の包接水和物は、その生成の際の潜熱が大きいため、比較的蓄熱量が大きく、パラフィンのように可燃性ではないため取り扱いも容易であり、非常に有用な蓄熱剤である。また、テトラアルキルアンモニウム化合物の包接水和物は、調和融点が氷の融点の0℃よりも高いため、蓄熱剤を冷却して水和物を生成する際の冷媒の温度が高くてよく、冷凍機の成績係数(COP)が高くなり省エネルギーが図れるという利点もある(特許文献3)。
この脱酸型腐食抑制剤を添加する方法は蓄熱剤を使用する環境が空気や酸素の遮断された環境である場合には有効であるが、弗化テトラnブチルアンモニウムを添加した蓄熱剤を使用する環境に空気や酸素が断続的または連続的に侵入する場合、あるいは該蓄熱剤を大気開放下で使用する場合には、存在する酸素の量に応じた量の脱酸型腐食抑制剤が存在するように濃度を維持して添加しなければならない。空気、または酸素の侵入が長期間にわたって継続する場合、これに対応して脱酸型腐食抑制剤を添加すると脱酸型腐食抑制剤と酸素との反応生成物が蓄積され、蓄熱剤の組成バランスが崩れ、融点の変化、使用温度範囲における潜熱量の減少、過冷却防止効果の低下を招く恐れがある。
16.9%以下であることを特徴とするものである。
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が1%以上10%未満ではTiPAB添加率が5.7%以上16.9%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が10%以上20%未満ではTiPAB添加率が4.3%以上14.2%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が20%以上30%未満ではTiPAB添加率が2.8%以上12.4%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が30%以上40%未満ではTiPAB添加率が2.1%以上10.9%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が40%以上50%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上10.0%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が50%以上60%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上9.0%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が60%以上70%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上8.2%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が70%以上80%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上7.5%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が80%以上90%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上6.5%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が90%以上99%未満ではTiPAB添加率が0.9%以上6.0%以下であることを特徴とするものである。
16.9%以下とすることを特徴とするものである。
これらの被膜形成型腐食抑制剤と前述した脱酸型腐食抑制剤の亜硫酸塩またはチオ硫酸塩を併用することにより、さらに腐食を抑制することができる。
さらに、密閉された環境に適用可能な他の腐食抑制剤として亜硝酸塩、ベンゾトリアゾール、ヒドラジン、エリソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、糖類が挙げられる。
蓄熱剤に前述した亜鉛、マグネシウム又はカルシウムの臭化物や硫酸塩を添加し、さらに、ナトリウムやカリウム、リチウムなどのリン酸塩の中から選ばれた少なくとも1種のリン酸塩を添加して、リン酸イオンと亜鉛イオン、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンとを結合させてリン酸塩を生成し、このリン酸塩を金属材表面に沈着させて被膜を形成して腐食を抑制することができる。ナトリウムやカリウム、リチウムなどのリン酸塩は溶解度が大きいため、リン酸イオンを供給して効率よくリン酸塩被膜を形成して腐食を抑制することができる。沈殿被膜を形成させるリン酸イオンには、更に有効な効果がある。リン酸塩はpH調整剤としての作用もあるため、大気からの炭酸ガスの溶解や腐食生成物の加水分解によりpHが低くなることを防止することができる。
即ち、潜熱蓄熱剤を用いた空調においては、冷熱源からの冷熱を潜熱として貯めている蓄熱剤と空調負荷の空気とを直接又は媒体を介して熱交換を行い、熱交換後の空気を空調対象の空間に送り出すことにより、その空間の温度や湿度を調整している。多くの場合、冷房空調において室内機から吹き出す冷空気の温度は一般に16℃程度であり、高くとも18℃程度である。それ以上に高い温度であると、空調対象の空間に向けて送り出すべき空気量を増やさない限り、同レベルの空調効果を得ることが困難になり、それどころか却って空調効率が低下する。そのため、冷空気に冷熱を供給する潜熱蓄熱剤は、空気との熱交換に必要な温度差(約2℃)を考慮して、16℃以下の潜熱を蓄熱できるものであることが要求される。また、空調向けの潜熱蓄熱剤の典型例である氷の場合、0℃より低い温度で冷却する必要があるため、冷凍機のCOPが低くなり、蓄冷に必要なエネルギーが大きくなり省エネルギー化ができないという問題がある。COPを高いまま維持し、省エネルギー化を実現するためには、空調向けの潜熱蓄熱剤は、5℃以上、低くとも3℃以上で蓄熱できるものであることが要求される。それ故、3〜16℃の温度範囲で蓄熱できる潜熱蓄熱剤が空調用途に向いているとされる。
例えば、トリメチロールエタン、水及び尿素を含有する水和物系の蓄熱剤主成分に、ポリグリセリンを添加した蓄熱剤(融点は10〜25℃)がある。この蓄熱剤については特開2000−256659号公報に詳しいが、その記載による限り、凝固・融解の繰返しを確認した回数は高々100回程度に留まっている。この程度の繰返し使用回数では、使用目的は限られるし、水溶液中における成分物質の分離や濃度の偏り又は冷却により生成した水和物と母相との相分離が生じると過冷却防止の効果も低下してしまうので、広く実際の使用(特に民需の使用)に耐え得るものとは言い難い。
臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムは、水溶液の状態であれば3〜16℃の温度範囲で潜熱に相当する熱エネルギーを蓄積する。その水和物生成温度は、臭化テトラisoペンチルアンモニウムが少量添加されていても大きくは変らない。そして、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加剤として含む原料溶液から包接水和物を生成させる際には、原料溶液の過冷却度が低減又は過冷却が防止若しくは抑制される。しかも、当該原料溶液中において水和物の生成又は凝固と融解とを1000回以上繰り返しても過冷却防止の効果は低下しない。
なお、便宜的に、臭化テトラnブチルアンモニウムを「TBAB」と、と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを「TBPAB」と、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを「TiPAB」とそれぞれ略記する場合がある。
まず、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの混合水溶液について説明する。
したがって、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと水の配合組成を調整することにより、混合物融点を6〜12℃の間の所望値に調整することができる。このため、蓄熱剤により冷却されるべき対象あるいは蓄熱の目的に応じて求められる蓄熱剤の蓄熱温度に適合する融点を有する蓄熱剤を提供できる。
なお、混合水和物の総潜熱量は、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムそれぞれ単独の潜熱量に配合組成比率を乗じた総和とほぼ等しいことを確認している。
即ち、臭化テトラisoペンチルアンモニウムは水和物の調和融点が28℃であり、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを溶質として含む原料溶液から生成される水和物の融点或いは臭化テトラnブチルアンモニウム水和物及び臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物の融点より十分に高い。このため上記の原料溶液を冷却すると、臭化テトラisoペンチルアンモニウム水和物が臭化テトラnブチルアンモニウム水和物及び臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物より先に形成される。すると、臭化テトラisoペンチルアンモニウム水和物が臭化テトラnブチルアンモニウム水和物及び臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物の形成の契機又は誘発原因となる核(生成核)になり、蓄熱剤主成分となる水和物を短時間で生成させる結果、過冷却が防止又は抑制される。また、臭化テトラisoペンチルアンモニウム水和物は臭化テトラnブチルアンモニウム水和物及び臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物の類縁物質であり、相溶性があり、結晶構造なども類似しているため、効果的に過冷却が防止又は抑制される。
このような臭化テトラisoペンチルアンモニウムは弗化テトラnブチルアンモニウムに比べて水和物を形成しやすい傾向にあることは、過冷却防止剤としてより効果的であることを意味し、また、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に過冷却防止剤として臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する量を、過冷却防止剤として弗化テトラnブチルアンモニウムを添加する場合に比べて少なくすることができ、過冷却防止剤の添加に起因する、水和物又はこれを主成分として含む蓄熱剤の熱的性質への悪影響を極力小さく抑えることできる。
それ故、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加を適量(又は適量の範囲)にすることにより、過冷却防止剤の添加による蓄熱剤主成分の熱的性質への悪影響を極力低減しつつ、過冷却防止の効果をより確実に又は効果的なものにすることができる。
(ア)臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム(TBPAB)と水とを所定の重量比率で配合した混合水溶液に、臭化テトラisoペンチルアンモニウム(TiPAB)を、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加重量比率(TiPAB添加率という)を数水準とって添加することにより、水和物生成用の水溶液(原料溶液)を準備する(因みに、この水溶液を冷却することにより生成する水和物は、それ自体で又は水溶液に分散又は懸濁してなるスラリーとして蓄熱剤(特に潜熱蓄熱剤)又はその主成分として使用され得るものである)。また、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加しない原料溶液も準備する。
具体的には、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムとの配合重量比率を数水準とった基準原料溶液ごとに、TiPAB添加率を数水準とって臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液と、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加しない原料溶液を準備した。
上記の要領により調製した原料溶液を冷媒を流した金属管に接触させて3℃に冷却し、水和物の結晶が生成し過冷却が解除されるまでの時間を計測し、5分以内に水和物結晶が生成すれば過冷却防止性又は過冷却防止の効果が認められると評価する。さらに、この原料溶液を3℃に冷却して水和物を生成させ、その後40℃に加熱して生成した水和物を融解させるという水和物の生成又は凝固と融解とを1000回繰返して、過冷却防止性の低下がないと認められたときに過冷却防止効果の耐久性があると評価する。
上記の要領により調製した原料溶液の差動走査型熱量計(DSC)測定を実施し潜熱量と融点を測定する。上記の要領により調製した原料溶液を冷却することにより生成される固相物の融解時の熱量を3〜16℃の温度範囲で計測することにより潜熱量を求める。ここでいう潜熱量とは、3〜16℃の温度範囲における、潜熱に相当する熱エネルギーをいう。
臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加していない臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液から生成した水和物と、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液から生成した水和物の融解させたときの融点を計測する。横軸に温度、縦軸に比熱をとったグラフのピークを示す温度を融点とする。
(イ)臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムとの配合重量比率(TBAB:TBPAB配合重量比率)を数水準とった基準原料溶液ごとに、TiPAB添加率を数水準とって臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した複数の原料溶液を準備し、かくして準備された各原料溶液に対して、上記(1)及び(2)に記載の計測と評価を行った。
その結果を表1〜5に示す。過冷却防止の効果又は過冷却防止性があり、1000回の凝固融解繰返し後もその低下が認められなかった場合には○を、過冷却が解除されず水和物の結晶が生成しなかった場合、すなわち過冷却の効果又は過冷却防止性がない或いはその低下が認められた場合には×を記載している。
なお、以下では臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの配合重量比率をTBAB:TBPAB配合重量比率といい、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラnブチルアンモニウムの重量比率をTBAB/(TBAB+TBPAB)比率といい、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加重量比率をTiPAB添加率という。
この場合TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は91.45%、基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液重量に対する水の重量比率は60.14〜67.87%になる。
TBAB:TBPAB配合重量比率が36.45:3.41の基準原料溶液にTiPAB添加率(重量比率)を数水準変えて添加し、評価した結果を表1に示す。
〔a〕 TiPAB添加率が0.89重量%を下回ると、過冷却防止の効果がない。
〔b〕 TiPAB添加率が6.25重量%を超えると、潜熱量比は大きく減少し、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容幅(10%)を超える。
DSC測定結果を、横軸に温度、縦軸に潜熱量をとってグラフ化したものを図2に示す。図2において点線で示すAがTBAB:TBPAB配合重量比率が36.45:3.41の臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムとの基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加しない場合、実線で示すBがTBAB:TBPAB配合重量比率が36.45:3.41の臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムとの基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加重量比率(TiPAB添加率)を8.04%で添加した場合である。臭化テトラisoペンチルアンモニウムを8.04%添加した場合には、潜熱を持つ範囲が臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加しない場合よりも高温側に移動していることが認められる。そのため、空調用蓄熱剤として要望される3〜16℃の温度範囲の潜熱量が減少しており、これが3〜16℃の温度範囲の潜熱量が減少する理由であると推察される。なお、潜熱をもつ範囲が高温側に移動するのに伴い融点も高温側に移動する傾向がある。
この場合TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は82.61%、基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液重量に対する水の重量比率は60.78〜68.51%になる。
TBAB:TBPAB配合重量比率が32.40:6.82の基準原料溶液にTiPAB添加率(重量比率)を数水準変えて添加し、評価した結果を表2に示す。
〔c〕 TiPAB添加率が1.82重量%を下回ると、過冷却防止の効果がない。
〔d〕 TiPAB添加率が7.26重量%を超えると、潜熱量比は大きく減少し、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容幅(10%)を超える。
合
この場合TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は54.29%、基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液重量に対する水の重量比率は62.70〜70.43%になる。
TBAB:TBPAB配合重量比率が20.25:17.05の基準原料溶液にTiPAB添加率(重量比率)を数水準変えて添加し、評価した結果を表3に示す。
〔e〕 TiPAB添加率が1.91重量%を下回ると、過冷却防止の効果がない。
〔f〕 TiPAB添加率が9.54重量%を超えると、潜熱量比は大きく減少し、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容幅(10%)を超える。
合
この場合TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は33.73%、基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液重量に対する水の重量比率は63.98〜74.28%になる。
TBAB:TBPAB配合重量比率が12.15:23.87の基準原料溶液にTiPAB添加率(重量比率)を数水準変えて添加し、評価した結果を表4に示す。
〔g〕 TiPAB添加率が1.98重量%を下回ると、過冷却防止の効果がない。
〔h〕 TiPAB添加率が11.86重量%を超えると、潜熱量比は大きく減少し、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容幅(10%)を超える。
この場合TBAB/(TBAB+TBPAB)比率は11.66%、基準原料溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した原料溶液重量に対する水の重量比率は65.26〜78.14%になる。
TBAB:TBPAB配合重量比率が4.05:30.69の基準原料溶液にTiPAB添加率(重量比率)を数水準変えて添加し、評価した結果を表5に示す。
〔i〕 TiPAB添加率が4.10重量%を下回ると、過冷却防止の効果がない。
〔j〕 TiPAB添加率が16.40重量%を超えると、潜熱量比は大きく減少し、水和物が蓄熱剤又はその主成分として使用されるときの実用上の変動許容幅(10%)を超える。
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が91.45%では、好適なTiPAB添加率は0.89%以上6.25%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が82.61%では、好適なTiPAB添加率は1.82%以上7.26%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が54.29%では、好適なTiPAB添加率は1.91%以上9.54%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が33.73%では、好適なTiPAB添加率は1.98%以上11.86%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が11.66%では、好適なTiPAB添加率は4.10%以上16.40%以下である。
この原料溶液を冷却することにより生成する水和物は、それ自体で又は水溶液に分散又は懸濁してなるスラリーとして蓄熱剤(特に潜熱蓄熱剤)又はその主成分として使用され、過冷却防止性が優れ、かつ、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が実用上の変動許容範囲内(潜熱量比の変化が10%以下)となるものである。
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が1%以上10%未満ではTiPAB添加率は5.7%以上16.9%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.98倍以上2.23倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が10%以上20%未満ではTiPAB添加率は4.3%以上14.2%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.92倍以上2.14倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が20%以上30%未満ではTiPAB添加率は2.8%以上12.4%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.84倍以上2.06倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が30%以上40%未満ではTiPAB添加率は2.1%以上10.9%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.79倍以上1.99倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が40%以上50%未満ではTiPAB添加率は2.0%以上10.0%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.74倍以上1.93倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が50%以上60%未満ではTiPAB添加率は2.0%以上9.0%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.69倍以上1.86倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が60%以上70%未満ではTiPAB添加率は2.0%以上8.2%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.64倍以上1.80倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が70%以上80%未満ではTiPAB添加率は2.0%以上7.5%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.60倍以上1.74倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が80%以上90%未満ではTiPAB添加率は2.0%以上6.5%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.55倍以上1.68倍以下、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が90%以上99%未満ではTiPAB添加率は0.9%以上6.0%以下であって、水の重量がTBABとTBPABの合計重量の1.49倍以上1.63倍以下である。
臭化テトラnブチルアンモニウムを含む水溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加することにより、第二水和物の生成が誘発されることが確認されており、第二水和物が多く生成されると、その結果、融解潜熱量が大きくなる。
臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムとの水溶液についても、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加することにより、過冷却を防止するだけでなく、第二水和物の生成を誘発して蓄熱する潜熱量を増大させる効果がある。
(ア)以下においては、本発明の実施例を示し、その過冷却防止性能を評価し、潜熱量の変化を調査した。
臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム(TBPAB)を重量比36.45:3.41で配合した混合水溶液(TBAB/(TBAB+TBPAB)比率91.45%)に、臭化テトラisoペンチルアンモニウム(TiPAB)を臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対して2.68重量%添加して原料溶液を調製した。
さらに、原料溶液を3℃に冷却し水和物を生成させ、40℃に加熱し生成した水和物を融解させる凝固融解を1000回繰返して、過冷却防止性能の変化を調べたところ、過冷却防止性能の低下がないと認められた。
また、この原料溶液の3〜16℃の温度範囲の潜熱量は176J/gであり、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加しない水溶液の潜熱量180J/gに比べて低下が2%であり、潜熱量の低下がほとんどないと認められた。
(1)比較例1
臭化テトラisoペンチルアンモニウム(TiPAB)添加の効果を確認するために、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム(TBPAB)を重量比36.45:3.41で配合した混合水溶液(TBAB/(TBAB+TBPAB)比率91.45%)を調製した。調製した混合水溶液を3℃に冷却したところ、24時間経過しても水和物の結晶が生成せず過冷却状態が続いた。
これに対して、臭化テトラisoペンチルアンモニウム(TiPAB)を添加した上述の実施例では5分程度以内に水和物結晶が生成し過冷却が防止されていることから、臭化テトラisoペンチルアンモニウム(TiPAB)が過冷却防止性能を発揮していることが分かる。
次に上記実施例においては臭化テトラisoペンチルアンモニウムを臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対して2.68重量%添加したが、この添加量と添加方法の効果を確認するために以下の比較実験を行った。
臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)と臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム(TBPAB)を重量比36.45:3.41で配合した混合水溶液(TBAB/(TBAB+TBPAB)比率91.45%)を調製した。一方、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの調和水溶液を多孔質体である活性炭粒子に含浸させた。前記臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと水の混合水溶液(原料溶液)に、前記の臭化テトラisoペンチルアンモニウムを含浸した活性炭粒子を数粒添加して3℃に冷却した。この場合臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加量は約0.035重量%に相当する。
この比較例から、過冷却解除効果は認められるものの、水和物結晶が10mm程度にまで成長するのに要した時間は実施例の場合の2倍を要している。また、凝固融解の繰返し5回目で水和物結晶が生成しなくなったことから、臭化テトラisoペンチルアンモニウム(TIPAB)を多孔質体である活性炭粒子に含浸させる方法では、凝固融解の繰返しによる過冷却防止性能の低下が著しく問題がある。
比較例2の多孔質体の活性炭粒子をアルミナ多孔質体に代えて、同様に過冷却防止性能の評価した。この場合臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加量は約0.07重量%に相当する。水和物結晶が10mm程度にまで成長するのに要した時間は、約10分程度と比較例2と同程度であり、凝固融解の繰返し20回目で水和物結晶が生成しなくなった。この場合も凝固融解の繰返しによる過冷却防止性能の低下が著しく問題がある。
臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを溶質として含み臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加した水溶液には、臭素イオンが存在し炭素鋼やアルミニウムの腐食の原因となるので、腐食抑制剤を添加することが好ましい。
さらに、密閉された環境に適用可能な他の腐食抑制剤として亜硝酸塩、ベンゾトリアゾール、ヒドラジン、エリソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、糖類が挙げられる。
蓄熱剤に前述した亜鉛、マグネシウム又はカルシウムの臭化物や硫酸塩を添加し、さらに、ナトリウムやカリウム、リチウムなどのリン酸塩の中から選ばれた少なくとも1種のリン酸塩を添加して、リン酸イオンと亜鉛イオン、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンとを結合させてリン酸塩を生成し、このリン酸塩を金属材表面に沈着させて被膜を形成して腐食を抑制することができる。ナトリウムやカリウム、リチウムなどのリン酸塩は溶解度が大きいため、効率よく被膜を形成して腐食を抑制することができる。
臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを重量比で2:1に配合した混合水溶液に、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対して2重量%添加した基準原料溶液に腐食抑制剤を添加して密閉環境下と大気開放環境下における腐食抑制効果について評価した。
基準原料溶液に表8に示す各腐食抑制剤を添加して、被検原料溶液(1〜4)を調製し、密閉容器中で炭素鋼板とアルミニウム板を浸漬し90℃にて1週間保持したのち、重量減少量を測定して腐食速度を求めた。その結果を表8に併せて示す。
ポリリン酸ナトリウムを添加した場合(被検原料溶液2)にも、腐食抑制剤を添加しない場合(被検原料溶液4)に比して、炭素鋼では腐食速度が0.18mm/年から0.07mm/年になり、アルミニウムでは腐食速度が0.003mm/年から0.002mm/年になった。いずれの場合にも亜硫酸ナトリウムを添加した場合と同様に腐食速度を2分の1程度に抑制でき、腐食抑制効果が認められた。
亜硫酸ナトリウムとポリリン酸ナトリウムを併用した場合(被検原料溶液3)には、腐食抑制剤を添加しない場合(被検原料溶液4)に比して、炭素鋼では腐食速度が0.18mm/年から0.04mm/年になり、アルミニウムでは腐食速度が0.003mm/年から0.001mm/年になった。炭素鋼では各腐食抑制剤を単独で用いたときよりも高い腐食抑制効果が認められた。
いずれの場合でも炭素鋼もアルミニウムも全面腐食の形態を呈しており、局部腐食の発生はなかった。なお、上述した他の腐食抑制剤でも同様に腐食を十分に抑制できる効果があることを確認した。
基準原料溶液に表9に示す各腐食抑制剤を添加して、被検原料溶液(5〜8)を調製し、リービッヒ冷却管を付けて、蒸発を防止しながら被検原料溶液が大気と接するようにした容器中で炭素鋼板とアルミニウム板を浸漬し90℃にて1週間保持したのち、重量減少量を測定して腐食速度を求めた。その結果を表9に併せて示す。
ポリリン酸ナトリウムを添加した場合(被検原料溶液6)にも、腐食抑制剤を添加しない場合(被検原料溶液8)に比して、炭素鋼では腐食速度が0.32mm/年から0.17mm/年になり、アルミニウムでは腐食速度が0.006mm/年から0.004mm/年になり、孔食を防止した。いずれの場合にも硫酸亜鉛を添加した場合と同様に腐食速度を2分の1程度に抑制でき、腐食抑制効果が認められた。
硫酸亜鉛とポリリン酸ナトリウムを併用した場合(被検原料溶液7)には、腐食抑制剤を添加しない場合(被検原料溶液8)に比して、炭素鋼では腐食速度が0.32mm/年から0.05mm/年になり、アルミニウムでは腐食速度が0.006mm/年から0.002mm/年になり、孔食を防止した。炭素鋼では各腐食抑制剤を単独で用いたときよりも高い腐食抑制効果が認められた。
いずれの腐食抑制剤を添加した場合でも炭素鋼もアルミニウムも全面腐食の形態を呈しており、孔食など局部腐食の発生はなかった。特に孔食は配管や容器内部の蓄熱材の漏洩に繋がるため、腐食抑制剤を添加することで、孔食を抑制できることは効果が大きい。なお、上述した他の腐食抑制剤でも同様に腐食を十分に抑制できる効果があることを確認した。
(ア) 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの調和濃度、調和濃度より小さい濃度または調和濃度より大きい濃度の水溶液を混合して所望の融点とした水溶液に、臭化テトラisoペンチルアンモニウム又は臭化テトラisoペンチルアンモニウムの水溶液を添加して水和物生成用或いは蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液を準備する。このとき、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加量は0.9重量%以上16.9重量%以下とする。このように調製することにより、過冷却防止性が優れて、かつ、3〜16℃の温度範囲の潜熱量の低下が少ない水和物であって、蓄熱剤若しくはその主成分となるものを得ることができる。
臭化テトラisoペンチルアンモニウムとリン酸水素二ナトリウムを過冷却防止剤として併用して添加して、より効果的に過冷却を防止することができる。例えば、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する際、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に対してリン酸水素二ナトリウムを添加し、臭化テトラisoペンチルアンモニウムと併用すれば、臭化テトラisoペンチルアンモニウムだけを添加した場合に比して、過冷却防止の効果が高まる。それ故、この併用によれば、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加率を低減させても同水準の過冷却防止の効果を得ることができるとともに、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加に起因する、水和物又はこれを主成分として含む蓄熱剤の潜熱量の変化を小さく抑えることできる。
臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に添加される臭化テトラisoペンチルアンモニウムが、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率が0.9%以上16.9%以下となる範囲内である場合には、リン酸水素二ナトリウムの添加量は、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に対して0.1〜2.0重量%とするのが好適である。
臭化テトラisoペンチルアンモニウムと脂肪族カルボン酸の金属塩を過冷却防止剤として併用して添加して、より効果的に過冷却を防止することができる。例えば、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する際、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に対して脂肪族カルボン酸の金属塩を添加し、臭化テトラisoペンチルアンモニウムと併用すれば、臭化テトラisoペンチルアンモニウムだけを添加した場合に比して、過冷却防止の効果が高まる。それ故、この併用によれば、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加率を低減させても同水準の過冷却防止の効果を得ることができるとともに、臭化テトラisoペンチルアンモニウムの添加に起因する、水和物又はこれを主成分として含む蓄熱剤の潜熱量の変化を小さく抑えることできる。
臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に添加される臭化テトラisoペンチルアンモニウムが、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率が0.9%以上16.9%以下となる範囲内である場合には、脂肪族カルボン酸の金属塩の添加量は、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に対して0.1〜2.0重量%とするのが好適である。
Claims (11)
- 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムを溶質として含み、臭化テトラisoペンチルアンモニウムが過冷却防止剤として添加されていることを特徴とする包接水和物生成用の水溶液。
- 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率が、0.9%以上16.9%以下であることを特徴とする請求項1に記載の包接水和物生成用の水溶液。
- 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率であるTiPAB添加率が、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラnブチルアンモニウムの重量比率であるTBAB/(TBAB+TBPAB)比率に対応して、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が1%以上10%未満ではTiPAB添加率が5.7%以上16.9%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が10%以上20%未満ではTiPAB添加率が4.3%以上14.2%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が20%以上30%未満ではTiPAB添加率が2.8%以上12.4%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が30%以上40%未満ではTiPAB添加率が2.1%以上10.9%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が40%以上50%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上10.0%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が50%以上60%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上9.0%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が60%以上70%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上8.2%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が70%以上80%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上7.5%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が80%以上90%未満ではTiPAB添加率が2.0%以上6.5%以下であって、
TBAB/(TBAB+TBPAB)比率が90%以上99%未満ではTiPAB添加率が0.9%以上6.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の包接水和物生成用の水溶液。 - 腐食抑制剤が添加されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の包接水和物生成用の水溶液。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の包接水和物生成用の水溶液が水和物生成温度以下に冷却されることにより生成される包接水和物を含むことを特徴とする蓄熱剤。
- 請求項1乃至4のいずれに記載の包接水和物生成用の水溶液が水和物生成温度以下に冷却されることにより生成される包接水和物がその水溶液又は水溶媒に分散又は懸濁してなるスラリーを含むことを特徴とする蓄熱剤。
- 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと、過冷却防止剤としての臭化テトラisoペンチルアンモニウムと、水を含んでなることを特徴とする蓄熱剤。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の包接水和物生成用の水溶液を準備する工程と、前記水溶液を冷却して包接水和物を生成させる工程とを有することを特徴とする包接水和物又はそのスラリーの製造方法。
- 請求項1乃至4のいずれに記載の包接水和物生成用の水溶液を冷却し、包接水和物を生成させることにより熱エネルギーを蓄積し、生成した包接水和物を融解させることにより熱エネルギーを放出することを特徴とする蓄放熱方法。
- 潜熱蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製方法であって、臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの水溶液に、臭化テトラisoペンチルアンモニウムを添加する工程とを有することを特徴とする水溶液の調製方法。
- 臭化テトラnブチルアンモニウムと臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの合計重量に対する臭化テトラisoペンチルアンモニウムの重量比率を、0.9%以上
16.9%以下とすることを特徴とする請求項10に記載の水溶液の調製方法。
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