JP2006336018A - 水和物スラリーの水和物粒子径の分布を正規分布に近くする方法、潜熱輸送方法、媒体、水和物スラリーの輸送方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の冷水による冷熱の輸送の場合と同等またはより少ない動力、およびより小径の配管等により同等の冷熱を輸送することを可能とし、既存の配管や既存の資材、機器を転用でき、また輸送に必要な動力の増加を招くことがなく、エネルギ節減の効果を減殺することがない水和物スラリーの輸送方法および装置を提供する。
【解決手段】0℃より高い温度で水和物を形成するゲスト化合物の水溶液を冷却して形成された水和物の粒子を含む水和物スラリーを輸送する方法であって、前記水和物スラリーの固相率が、4%より大きく15%未満の範囲であることを特徴とする水和物スラリーの輸送方法。
【選択図】 図6
【解決手段】0℃より高い温度で水和物を形成するゲスト化合物の水溶液を冷却して形成された水和物の粒子を含む水和物スラリーを輸送する方法であって、前記水和物スラリーの固相率が、4%より大きく15%未満の範囲であることを特徴とする水和物スラリーの輸送方法。
【選択図】 図6
Description
本発明は、水和物スラリーにより冷熱を効率的に輸送する方法と装置に関する。さらに特定すれば、本発明は水を媒体として冷熱を輸送する場合より小さい動力または小径の配管により、水を媒体とする場合と同等の熱量の冷熱を輸送することができる水和物スラリーの輸送方法および装置に関する。
従来から、ゲスト化合物を含む水溶液を冷却することにより、0°C以上の温度で水和物を生成し、その潜熱により多量の冷熱を貯蔵する蓄熱装置が開発されている。このような蓄熱装置は、水和物の潜熱により、冷水による蓄熱の場合の数倍の熱量の冷熱を貯蔵することができ、また0°C以上の温度で水和物を生成することができるので、たとえば廃熱を利用した吸収式冷凍機により水和物を生成することができる等の利点を有する。
また、上記の水溶液を冷却して水和物を生成する際の条件、たとえば水溶液中の二酸化炭素の溶存量等を制御することにより、配管の内壁への付着や粒子同志の凝集のない安定した微細な粒子状の水和物を生成し、流動性および安定性の高い水和物スラリーを製造する技術も開発されている。また、このような水和物スラリーの特性を利用し、この水和物スラリーを冷媒として負荷側の機器に直接供給し、設備をより簡略化し、また効率を高めることができる技術も開発されている。このような技術については、本願と同一の出願人による特許文献1および特許文献2等に開示されている。
ところで、上記のように生成された水和物スラリーは、ポンプ等により配管系を介して蓄熱槽や負荷側機器、たとえば空調設備の室内ユニット等に送られる。このため、この水和物スラリーは長くかつ複雑な配管系を介して輸送されることになる。特に、深夜電力や廃熱等を利用してこの水和物スラリーを製造、貯蔵しておき、この冷熱をビル等の空調等に使用する蓄熱装置では、この水和物スラリーはビル内の複雑で長い配管内を流通させねばならず、その輸送効率に考慮を払う必要がある。
また将来には、深夜電力、ゴミ焼却施設や工場等からの廃熱を利用して多量の水和物スラリーを製造貯蔵する地域冷熱供給センターを建設し、ここから地域内のビルや工場、家庭等に水和物スラリーを送り、冷熱源として利用することも計画されている。このような場合にはさらに長大で複雑な配管系を介して水和物スラリーを輸送する必要があり、その輸送効率に一層の考慮を払う必要がある。
上記のような水和物スラリーの輸送効率を検討する上で、まず考慮しなければならない問題は、既存の配管その他の機器を転用可能であること、および水和物スラリーを輸送するに必要な設備のコストおよび輸送に必要な動力を低減することである。
すなわち、既存のビル等の空調設備に上述したような蓄熱装置を設置する場合に、このビル内の空調設備の配管等を交換するとその工事に要する費用が極めて大きくなり、実用的ではない。このため、既存の冷媒配管等をそのまま利用して水和物スラリーを輸送する必要がある。また、新規のビルの空調設備を施工する場合であっても、その配管や弁等の機器は従来の規格のものを使用せざるを得ないので、この場合でも既存の資材の使用を考慮する必要がある。なお、上記のような地域空調システムを建設する場合でも、上記と同様であるとともに、規模が大きいのでより慎重な考慮が必要である。
また、従来は空調設備の冷熱の輸送は、冷水またはブライン等の顕熱により行われていた。水和物スラリーは、潜熱により多量の冷熱を保持できるが、流動抵抗が大きいので、配管内を輸送する場合に必要なポンプの動力が増大することが考えられ、ポンプを交換したり、また必要動力の増大によりエネルギの節減効果を低下させてしまうことがある。
特願平10−163518号
特願平10−163519号
本発明は、以上の事情に基づいてなされたもので、水和物スラリーにより冷熱を輸送する場合に、従来の冷水による冷熱の輸送の場合と同等またはより少ない動力、およびより小径の配管等により同等の冷熱を輸送することを可能とし、既存の配管や既存の資材、機器を転用でき、また輸送に必要な動力の増加を招くことがなく、エネルギ節減の効果を減殺することがない水和物スラリーの輸送方法および装置を提供するものである。
(1)本発明の水和物スラリーの水和物の粒子径分布を正規分布に近くする方法は、前記水和物を0℃より高い温度で水和物を形成するゲスト化合物の水溶液を冷却して形成された水和物とし、前記水和物スラリーの固相率を、4%より大きく47%以下の範囲とすることを特徴とするものである。
(2)本発明の水和物スラリーの水和物の粒子径分布を正規分布に近くする方法は、前記水和物を0℃より高い温度で水和物を形成するゲスト化合物の水溶液を冷却して形成された水和物とし、前記水和物スラリーの固相率を、15%以上47%以下の範囲にすることを特徴とするものである。
(3)本発明の方法は、(1)又は(2)において、前記ゲスト化合物が、テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラn−ブチルフォスフォニウム塩、及びトリiso−アミルサルフォニウム塩の群から選択される1種又は2種以上の化合物を含むものであることを特徴とするものである。
(4)本発明の潜熱輸送方法は、(1)乃至(3)のいずれかに記載の方法を用いて水和物の粒子径分布を正規分布に近くした水和物スラリーにより、当該水和物スラリーに保持された潜熱を輸送することを特徴とするものである。
(5)本発明の潜熱輸送方法は、テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラn−ブチルフォスフォニウム塩、及びトリiso−アミルサルフォニウム塩の群から選択される1種又は2種以上の化合物を含むゲスト化合物の水溶液を冷却して形成された水和物の粒子を含む水和物スラリーにより、当該水和物スラリーに保持された潜熱を輸送する方法であって、前記水和物スラリーの固相率が、4%より大きく15%未満の範囲であることを特徴とするものである。
(6)本発明の冷熱を保持する媒体は、テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラn−ブチルフォスフォニウム塩、及びトリiso−アミルサルフォニウム塩の群から選択される1種又は2種以上の化合物を含むゲスト化合物の水溶液を冷却して形成された水和物の粒子を含む水和物スラリーから成り、その水和物スラリーの固相率が、4%より大きく15%未満の範囲であることを特徴とするものである。
(7)本発明の水和物スラリーの輸送方法は、既存の空調設備の配管、弁、配管系の機器及び配管系の資材のうち少なくとも一つを利用して、(6)に記載の媒体を通流させることを特徴とするものである。
(8)本発明の水和物スラリーの輸送方法は、0℃より高い温度で水和物を形成するゲスト化合物の水溶液を冷却して形成された水和物の粒子を含む水和物スラリーを輸送する方法であって、前記水和物スラリーの固相率が、4%より大きく15%未満の範囲であることを特徴とするものである。
(9)水和物スラリーの輸送方法は、(8)のゲスト化合物が、テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラn−ブチルフォスフォニウム塩、及びトリiso−アミルサルフォニウム塩の群から選択される1種又は2種以上の化合物を含むものであることを特徴とするものである。
(10)本発明の地域冷暖房システムは、(8)又は(9)に記載の方法を用いて、所定の範囲の地域内で冷熱を輸送する地域冷暖房システムであって、前記所定の範囲の地域は、0℃より高い温度で水和物を形成するゲスト化合物の水溶液を冷却する冷熱を生成する冷凍装置、冷凍装置によって生成した冷熱により前記水溶液から水和物スラリーを製造する水和物スラリー製造装置、水和物スラリー製造装置により製造された水和物スラリーを貯蔵する水和物スラリー貯蔵装置、及び水和物スラリーを流通する配管系を備えることを特徴とするものである。
(11)本発明の水和物スラリーの輸送装置は、0℃より高い温度で水和物を形成するゲスト化合物の水溶液を冷却して水和物の粒子を含む水和物スラリーを生成する冷凍装置と、この生成された水和物スラリーを貯蔵する蓄熱槽と、前記冷凍装置及び蓄熱槽、並びに冷熱の負荷側機器とを連通する配管系とを備え、その配管系内を通流する水和物スラリーの固相率が、4%より大きく15%未満の範囲であることを特徴とするものである。
(12)本発明の水和物スラリーの輸送装置は、(11)のゲスト化合物が、テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラn−ブチルフォスフォニウム塩、及びトリiso−アミルサルフォニウム塩の群から選択される1種又は2種以上の化合物を含むものであることを特徴とするものである。
(13)本発明の冷熱を保持する媒体は、0℃より高い温度で水和物を形成するゲスト化合物の水溶液を冷却して形成された水和物の粒子を含む水和物スラリーから成り、その水和物スラリーの固相率が、4%より大きく15%未満の範囲であることを特徴とするものである。
(14)本発明の冷熱を保持する媒体は、(13)のゲスト化合物が、テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラn−ブチルフォスフォニウム塩、及びトリiso−アミルサルフォニウム塩の群から選択される1種又は2種以上の化合物を含むものであることを特徴とするものである。
(15)本発明の水和物スラリーの輸送方法は、既存の空調設備の配管、弁、配管系の機器及び配管系の資材のうち少なくとも一つを利用して、(13)又は(14)に記載の媒体を通流させることを特徴とするものである。
本発明の方法は、輸送される冷熱の熱量を同じとした場合に、冷水の場合より輸送に必要な動力を低減させ、または輸送に必要な配管の径をより小径にすることが可能となる。よって、既存の配管設備、または既存の配管等の資材をそのまま転用することが可能となり、また輸送に必要な動力を低減し、エネルギ節減の効果が低下するのを防止することができる等、その効果は大である。
また、本発明の装置は、配管系が長く複雑な場合でも、既存の配管系をそのまま利用することもでき、また新規に施工する場合でも配管径をより小さくすることができ、かつ輸送に必要な動力も低減可能であり、この装置の製造および運転のコストを低減することができる等、その効果は大である。
以下、図を参照して本発明の方法をこれを利用した装置とともに説明する。図1ないし図6は、本発明の第1の実施形態を示すもので、図1に示すものは、本発明の方法を利用したビル等の建物の蓄熱式の空調設備の概略構成図である。この図1に示すものは、既存の空調設備を改造する場合、または新規に施工する場合の両方に採用することができる。
図中の1は冷凍装置で、深夜電力を利用した圧縮形の冷凍機、または廃熱等を利用した吸収式冷凍機でもよい。また、2は冷却塔であり、ポンプ3により冷媒が循環され、冷凍装置1からの熱を排出する。
この冷凍装置1で生成された低温の冷媒は、ポンプ5により熱交換器4との間で循環される。この熱交換器4には、ゲスト化合物の水溶液が流通され、上記の冷媒と熱交換されて冷却され、水和物の粒子が形成され、水和物スラリーが生成される。そして、この水和物スラリーは蓄熱槽6に送られ、貯蔵される。
上記のゲスト化合物は、この実施形態の場合、臭化テトラn−ブチルアンモニウム塩(以下TBABと称する)が使用される。なお、このゲスト化合物としては、この他にテトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラiso−ブチルフォスフォニウム塩、トリiso−アミルサルフォニウム塩のうちの少なくとも一つの化合物を含むものが使用される。
また、図中の20は、空調設備が設置されるビルであり、内部には複数の熱負荷側機器、たとえば室内空調ユニット21が設置されている。そして、上記の各機器、およびこれら室内空調ユニット21は一連の配管系10により接続されている。
すなわち、11は、水和物スラリー送り配管であり、この配管11を介して上記の熱交換器4で生成された水和物スラリーが蓄熱槽6に送られる。この蓄熱槽6内に貯蔵された水和物スラリーは、切換弁14を介してポンプ16に送られ、このポンプ16により各室内空調ユニット21に送られる。この切換弁14は前記の水和物スラリー送り配管11に連通し、上記の蓄熱槽6内に貯蔵されている水和物スラリーの他に、熱交換器4で生成された水和物スラリーを直接ポンプ16に供給可能となっている。
また、上記のポンプ16で送られた水和物スラリーは、往き配管12および戻り配管13を介して循環され、各室内空調ユニット21で熱交換され、前記の熱交換器4に戻される。なお、17,18は開閉弁である。
また、上記の配管系10を循環する水和物スラリーの固相率SPF、すなわち含まれる水和物粒子と溶液との比率は、固相分率検出器15により検出、監視され、後述するような固相率に調整される。この固相分率検出器15は、超音波またはレーザ光等を水和物スラリーに照射し、その反射波から固相率をオンラインで測定できるものである。
そして、この固相分率検出器15により検出された固相率は、たとえば制御装置19に送られて処理された後、この固相率を水和物スラリーの流速等に対応して後述するような最適の範囲となるように調整する。この固相率の調整は、たとえばこの制御装置により上記の熱交換器4や冷凍装置1の運転条件を制御し、生成される水和物スラリーの固相率を所望の範囲に制御する。なお、この実施形態では、この固相率の調整は自動的におこなわれる例を示したが、場合によってはこの固相分率検出器15により検出された固相率の値に対応して、運転員が上記の熱交換器4や冷凍装置1の運転条件を操作するようにしても良い。
次に、上記の装置の作動および上記の配管系10内を流通される水和物の固相率等によりその輸送特性等を制御する方法について説明する。図2には、上記のゲスト化合物であるTBABの水溶液の濃度と温度に関連した水和物生成特性を示す。この図2の領域Bの濃度および温度の範囲では、水和物は生成されず、水溶液のみ存在する。また、領域Aでは水和物が生成され、水和物と水溶液とが共存する。なお、この水和物は前述のように安定した粒子として生成され、これらが混合した水和物スラリーとなっている。
なお、この領域Aにおいて、水溶液濃度と温度とにより、生成される水和物粒子の量と水溶液の量との比率、すなわち固相率SPFが決定され、濃度が高く、かつ冷却温度が低い程、固相率は高くなり、逆に濃度が低く、温度が高い程固相率は低くなる。したがって、この実施形態の装置では、水溶液の濃度、および熱交換器4での冷却温度を適宜設定することにより、所望の固相率の水和物スラリーを生成することができる。
なお、前述したように、この水和物スラリーの生成の際の条件を制御することにより、水和物粒子が容器等の壁に付着したり、水和物粒子が互いに凝集したりせず、安定した流動性の高い水和物スラリーが得られる。また蓄熱槽6内に貯蔵されている水和物スラリーは、上記の熱交換器4で生成された水和物スラリーの固相率を維持している。
また、図3には生成された水和物の粒子の径の分布特性を示す。この図3は、本発明者等の実験の結果を示したもので、生成される水和物粒子の径の分布を、その粒子全体に対する体積比として示してある。この図3から明らかなように、たとえば固相率SPFが15%から47%の範囲では、粒子径の分布が正規分布に近い形となっており、かつこのSPFの値が相違しても、この分布の特性はあまり変化しない。なお、このSPFの値が小さく、たとえば4%となると、粒子径の分布が正規分布からずれる。
上記のような正規分布に近い特性は、この水和物スラリーに高い流動性を与えるとともに、固相率が変化してもその流動特性等があまり変化せず、安定して輸送等の取扱いができる。よって、この生成すべき水和物スラリーの固相率は15%ないし47%程度の範囲内に維持することが好ましい。
次に、図4には、上記のような水和物スラリーをある径の配管により輸送し、その輸送に要するポンプ動力等の動力、輸送される冷熱等との関係を、冷水を媒体として冷熱を輸送した場合と比較した実験の結果を示す。なお、この図4では、理解を容易にするためにデータを整理し、両者でその輸送する冷熱の熱量と輸送するに必要な動力を等しくした場合に、水和物スラリーを流通させた場合に必要となる配管の径Dsと、冷水を流通させた場合に必要となる配管の径Dwとの比率で示してある。したがってこのDs/Dwの値が1.0の場合には、両者ともに同じ径の配管が必要となる場合を示す。
この図4には、上記の図3に示すように、配管系での輸送に適した固相率の範囲内における、幾つかの固相率SPFの場合について、配管内での水和物スラリー(水)の流速との関係で示した。この図4には、固相率SPFが20%から35%の範囲の水和物スラリーの場合において、いずれも流速が高い方がDs/Dwの値が小さく、つまり必要な配管の径が小さくなることが示されている。このような特性は、この水和物スラリーが非ニュートン流体であり、流れの剪断速度が高くなる程粘性が低下する特性に起因するものと思われる。
特に、流速が2.0m/s以上の場合には、固相率SPFの値がいずれの場合でも、Ds/Dwの値が1.0以下、つまり水和物スラリーにより冷熱を輸送する方がより小径の配管で足りることを示している。したがって、流速を2.0m/s以上とすることにより、冷水で冷熱を輸送する既存の配管を用いて同じ動力で同じ熱量の冷熱を輸送することができる。また新規の配管系を施工する場合には、より小径の配管を用いることが可能であることを示しており、たとえばDs/Dwの値が0.5となる範囲の流速で水和物スラリーを流通させれば、冷水の場合の1/2の径の配管で良く、設備のコストを大幅に低減できる。
また、図5には、上記と同様の実験の結果を、固相率SPFとの関係で示す。この図5には、固相率SPFが17%から34%の範囲の水和物スラリーの場合には、Ds/Dwの値が1.0以下であり、既存の配管系を利用できるか、または新設の場合には従来より小径の配管を採用できることが示されている。また、このDs/Dwの値は、同じ流速でも、固相率SPFによって変化することが示されている。
また、この図5において注目すべきは、いずれの固相率SPFの場合でも、Ds/Dwの値が最小となる条件が存在することである。つまり、この範囲で水和物スラリーを輸送すれば、最も小径の配管で済むことになり、また輸送に必要な動力を最小にすることができる。
また図6は、同じ熱量の冷熱を水和物スラリーにより輸送する場合に必要な動力Psと、冷水により輸送する場合に必要な動力Pwとの値Ps/Pwと、流速および固相率SPFとの関係で示したものである。
この図6中の曲線aは、前記の図4に示すような特性から、Ps/Pw=1となる場合の任意の流速に対する固相率SPFの上限値を示したもので、また曲線bは、Ps/Pw=1となる場合の任意の流速に対する固相率SPFの下限値を示したものである。したがって、流速に対応して、その水和物スラリーの固相率SPFをこの曲線aと曲線bの間の領域に維持することにより、輸送に必要な動力を、冷水により冷熱を輸送する場合より低減させることができる。
なお、実際の配管系では、配管内の流体の流通速度は3m/s程度以下に設計されるので、実際の配管系を対象とすると、Ps/Pwを1以下にするには、固相率SPFを38%以下に維持すればよい。
また、前記の図5の説明で示したように、同じ熱量を輸送する場合に必要な動力ないし必要な配管径が最小となる条件が存在するが、この図6の曲線cは、必要な動力比、Ps/Pwが最小となる流速と固相率SPFの関係を示したものである。この図6から明らかなように、任意の流速において、固相率SPFを20%ないし30%の範囲にすることにより、最小の動力で輸送できることを示している。
以上に説明した水和物スラリーの冷熱の輸送量と、スラリーの輸送に必要な動力、配管径、および固相率および流速等の特性を考慮すると、一般的な条件として、水和物スラリーの固相率が38%を越えると、冷水の場合と同じ輸送動力、配管径で水和物スラリーを輸送することは困難となる。したがって、既存の配管系を利用する場合、または新規に施工する場合でも配管設備のコストや運転コストを従来の冷水により冷熱輸送の場合より低くするには、この水和物スラリーの固相率SPFは、38%以下とすることが必要である。
また、輸送する熱量に対して、水和物スラリーの輸送に必要な動力や配管径が最小となる条件が存在しており、よってこの条件を満足するように水和物スラリーを輸送すれば、必要な動力や配管設備のコストを最小にすることができる。
なお、本発明は上記の第1の実施形態には限定されない。たとえば、本発明の輸送方法を利用した図7に示すような地域冷暖房システムを構築することが可能である。
この実施形態のものは、所定の範囲の地域内をカバーする地域冷熱供給センター30a,30bを備えている。そして、この地域冷熱供給センターには、それぞれ吸収式冷凍装置等の冷凍装置31、水和物スラリー製造装置32、水和物スラリー貯蔵装置33が備えられている。
そして、たとえばゴミ焼却施設40、工場41等から排出される廃熱、たとえば低温の蒸気等は配管系42を介して各地域冷熱センター30a,30bに送られ、冷凍装置31で冷熱を生成し、この冷熱により水和物スラリー製造装置32で水和物スラリーを製造し、水和物スラリー貯蔵装置33に貯蔵する。
また、この地域内にある工場43、ビル等の建物44,45,46、個人住宅47,48等の冷熱負荷に配管系35a,35bを介して水和物スラリーを供給し、冷熱源とする。なお、上記の各冷熱負荷に供給する水和物スラリーの流量や固相率等を計量器36で測定し、供給した冷熱量に対応して料金を徴収するシステムとすることもできる。
上記のような地域冷暖房システムでは、水和物スラリーを輸送する配管系35a,35bが長大となるので、前述のような方法により水和物スラリーを輸送することにより、その輸送に必要な動力を大幅に低減することができ、より高いエネルギ節減効果が得られる。また、前述したように、配管の径を従来より小径にすることができるので、建設コストを大幅に低減させることもできる。
なお、本発明は上記の実施形態にも限定されず、空調設備における水和物スラリーの輸送には限定されず、その他の冷熱輸送のための水和物スラリーの輸送にも適用可能であることはもちろんである。
1 冷凍装置
4 熱交換器
6 蓄熱槽
10 配管系
16 ポンプ
21 室内空調ユニット
30a,30b 地域冷熱供給センター
31 冷凍装置
33 水和物スラリー貯蔵装置
35a,35b 配管系
4 熱交換器
6 蓄熱槽
10 配管系
16 ポンプ
21 室内空調ユニット
30a,30b 地域冷熱供給センター
31 冷凍装置
33 水和物スラリー貯蔵装置
35a,35b 配管系
Claims (7)
- 水和物スラリーの水和物の粒子径分布を正規分布に近くする方法であって、前記水和物を0℃より高い温度で水和物を形成するゲスト化合物の水溶液を冷却して形成された水和物とし、前記水和物スラリーの固相率を、4%より大きく47%以下の範囲とすることを特徴とする方法。
- 水和物スラリーの水和物の粒子径分布を正規分布に近くする方法であって、前記水和物を0℃より高い温度で水和物を形成するゲスト化合物の水溶液を冷却して形成された水和物とし、前記水和物スラリーの固相率を、15%以上47%以下の範囲にすることを特徴とする方法。
- 前記ゲスト化合物は、テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラn−ブチルフォスフォニウム塩、及びトリiso−アミルサルフォニウム塩の群から選択される1種又は2種以上の化合物を含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の方法を用いて水和物の粒子径分布を正規分布に近くした水和物スラリーにより、当該水和物スラリーに保持された潜熱を輸送することを特徴とする潜熱輸送方法。
- テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラn−ブチルフォスフォニウム塩、及びトリiso−アミルサルフォニウム塩の群から選択される1種又は2種以上の化合物を含むゲスト化合物の水溶液を冷却して形成された水和物の粒子を含む水和物スラリーにより、当該水和物スラリーに保持された潜熱を輸送する方法であって、前記水和物スラリーの固相率が、4%より大きく15%未満の範囲であることを特徴とする潜熱輸送方法。
- テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラn−ブチルフォスフォニウム塩、及びトリiso−アミルサルフォニウム塩の群から選択される1種又は2種以上の化合物を含むゲスト化合物の水溶液を冷却して形成された水和物の粒子を含む水和物スラリーから成り、その水和物スラリーの固相率が、4%より大きく15%未満の範囲であることを特徴とする冷熱を保持する媒体。
- 既存の空調設備の配管、弁、配管系の機器及び配管系の資材のうち少なくとも一つを利用して、請求項6に記載の媒体を通流させることを特徴とする水和物スラリーの輸送方法。
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CN114354455A (zh) * | 2022-01-17 | 2022-04-15 | 北京石油化工学院 | 一种电池浆料粒度分布在线测量的方法 |
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