JP2008164240A - ヒートポンプシステム - Google Patents

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義仁 坂本
Masahiro Hayashi
正宏 林
Toshio Shinohara
敏雄 篠原
Satoru Kimizuka
哲 君塚
Shinji Takasugi
真司 高杉
Masayuki Tateno
正之 舘野
Yutaka Takahashi
豊 高橋
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Abstract

【課題】熱交換性が高い水熱源熱交換器を有し、熱交換器内で熱源水が凍結する危険性が小さく、熱源水の送水ポンプの使用電力量を節約できる、冷暖房・給湯用のヒートポンプシステムを提供する。
【解決手段】建築物の冷房、暖房あるいは給湯に用いるヒートポンプにおいて、熱源水と冷媒との熱交換を行う水熱源熱交換器5を、熱源水を貯留するタンク21と、タンク21の中に配置した二重管23とで構成し、二重管23は、熱源水が通流する内管27と、冷媒が通流する外管25と、を備えて構成した。
【選択図】 図3

Description

本発明は、建築物の冷暖房・給湯に用いるヒートポンプシステムに関し、さらに詳しく言えば、水を熱源とするヒートポンプシステムに関するものである。
電気を使用して建築物の冷暖房や給湯を行うシステムの多くは、大気(空気)を熱源とするヒートポンプシステム(以下、「空気熱源ヒートポンプシステム」という。)を採用している。このような空気熱源ヒートポンプシステムにおいては、冬季には大気から熱を吸熱して建築物内の空気を加温し、夏季には建築物内の空気から吸熱して大気中に排熱する。
しかしながら、冬季に冷たい大気から吸熱することも、夏季に暖かい大気に排熱することも、エネルギー利用面で効率が悪く、その分システムの運転に多くの電気エネルギーを消費するという問題がある。
空気熱源ヒートポンプシステムが持つ前記の問題点を解決するシステムとして、地下水や河川水・湖沼水、あるいは地中の地盤の温度で温度調整された循環水(この循環水を熱源とする方法を以下「地中熱利用方法」という。)などの水を熱源とするヒートポンプシステム(以下、「水熱源ヒートポンプシステム」という。)がある。
地下水などの熱源水は、大気に比べて冬季は暖かく夏季は冷たいため、空気を熱源とするよりもエネルギー効率が高いという特徴がある。すなわち、水熱源ヒートポンプシステムの運転においては、少ない電気エネルギーで冷暖房に必要な熱を得ることができる。このため、二酸化炭素排出量削減技術のひとつとして最近注目されている技術であり、欧米では既に広く普及している。
なお、電気による入力エネルギーに対する冷暖房の出力エネルギーの割合を以下「エネルギー効率」という。
水熱源熱ヒートポンプシステムの熱交換器としては、例えば図8の模式図に示すように、二重管式(図8(a))(特許文献1参照)、多管式(図8(b))、プレート式(図8(c))に分類できる。そして、図8に示したいずれの熱交換器も銅など熱伝導性に優れた金属材料で製作される。
特開2001-201275号公報
しかしながら、上述した従来の熱交換器には以下に述べるような構造上の課題がある。
二重管式の場合、内管あるいは外管のいずれか一方に冷媒を、他方に熱源水を通して冷媒と熱源水の間で熱交換させる。実際には長尺の二重管を螺旋状に加工して用いることが多い。この方式は製作費が安いというメリットがあるが、熱交換面積が小さいため熱交換性能が低いという問題がある。
多管式は、熱源水が入った容器の中に冷媒が通る数多くの直線状管を配置したものである。この方式は二重管式と同様に熱交換性能が低い。管の延長を大きくすれば熱交換能力は高まるが、その分製造コストが増える。
プレート式は、多数の金属板を狭い間隔で平行に配置し、その隙間に冷媒と熱源水を交互に通すものである。この方式は、熱交換面積が大きいため熱交換性能は高いが、隙間が狭いためにゴミや析出物が詰まって目詰まりしやすいとともに、冷媒が低温の時粘性が高くなり、流動抵抗が上昇して圧力損失を生じやすいという問題がある。また、精密な加工を要するため高価になるという問題がある。
また、上記の各熱交換器における共通の問題点として、以下のものがある。
ヒートポンプシステムの暖房運転時においては、水熱源熱交換器内で熱源水から冷媒に熱が移動するため、熱源水は冷却される。暖房負荷が大きい厳冬時や元の熱源水の温度が低い場合、熱源水の量が少ないと熱源水は冷やされすぎて凍結し、運転不能に陥る恐れがある。熱源水として不凍液を使用できる地中熱利用方法の場合は問題ないが、地下水や河川・湖沼水を使用する場合は大きな問題となる。これは、暖房負荷に比べて熱源水の熱容量が小さすぎることに基本的な原因がある。
さらに、現状の水熱源ヒートポンプシステムにはもうひとつ大きな問題がある。それは、熱源水を熱交換器に送るためのポンプ(以下「送水ポンプ」という。)の使用電力が大きいということである。空気熱源ヒートポンプシステムにおいては、冷媒管に空気を吹き当てて熱交換するためにファンを使用するが、空気は非常に軽いため非常に少ない電気エネルギーでファンを運転することができる。
一方、水熱源熱ヒートポンプシステムにおいては、熱源水を冷媒管に当てるため、空気に比べて非常に重い水を移動させる送水ポンプの運転に大きな電力が必要になる。先に述べたように水熱源方式は空気熱源方式に比べて熱源温度の面で有利であるため原理的にエネルギー効率が高い。しかし、送水ポンプを駆動するための電力が大きいために、水熱源採用によるエネルギー効率の増加分を半減させてしまう。
本発明は前述した従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、以下の課題を解決する冷暖房・給湯用のヒートポンプシステムを提供することを目的とする。
(1)熱交換性が高い水熱源熱交換器を提供すること。
(2)熱交換器内で熱源水が凍結する危険性が小さいこと。
(3)熱源水の送水ポンプの使用電力量を減らすこと。
(1)本発明に係るヒートポンプシステムは、建築物の冷房、暖房あるいは給湯に用いるヒートポンプにおいて、熱源水と冷媒との熱交換を行う水熱源熱交換器を、熱源水を貯留するタンクと、該タンクの中に配置した二重管とで構成し、該二重管は、熱源水が通流する内管と、冷媒が通流する外管と、を備えて構成したことを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、タンク内の熱源水の温度を検知する温度検知器および/または圧縮機の運転状況を検知する運転状況検知器を設け、該温度検知器および/または運転状況検知器の検知信号に基づいて熱源水を水熱源熱交換器に送るポンプの稼動と停止を制御する制御装置を備えたことを特徴とするものである。
圧縮機の運転状況の検知方法としては、例えば圧縮機を駆動するモータの電流値を検知する。
(3)また、上記(1)に記載のものにおいて、熱源水を水熱源熱交換器に送るポンプの回転数を制御するインバータと、タンク内の熱源水の温度を検知する温度検知器とを備え、該温度検知器の検知信号に基づいて前記ポンプの流量を前記インバータによって制御するようにしたことを特徴とするものである。
本発明においては、水熱源熱交換器を、熱源水を貯留するタンクと、該タンクの中に配置した二重管とで構成し、該二重管は、熱源水が通流する内管と、冷媒が通流する外管と、を備えて構成することにより、冷媒と熱源水との熱交換性能が高まりエネルギー効率が高まるとともに、熱源水の熱容量が大きいため凍結の危険性が低下して、安定性の高い水熱源熱交換器を得ることができる。
また、タンク内の熱源水の温度を検知する温度検知器および/または圧縮機の運転状況を検知する運転状況検知器を設け、該温度検知器および/または運転状況検知器の検知信号に基づいて熱源水を水熱源熱交換器に送るポンプの稼動と停止を制御する制御装置を備えたことにより、冷暖房負荷が小さいときに、圧縮機の電力やタンク内水温に応じて熱源水の送水ポンプを一時停止して運転できるシステムを構築することができ、送水ポンプの電力を大幅に節約できる。
また、熱源水を水熱源熱交換器に送るポンプの回転数を制御するインバータと、タンク内の熱源水の温度を検知する温度検知器とを備え、該温度検知器の検知信号に基づいて前記ポンプの流量を前記インバータによって制御するようにしたことにより、送水ポンプの流量の最適化が実現でき、これによって送水ポンプの電力を節約できる。
[実施の形態1]
図1は本発明の一実施の形態に係る冷暖房システムの基本構成を模式的に示した図であり、地下水や河川水・湖沼水を熱源とする水熱源ヒートポンプシステムの全体構成を示している。
本実施の形態に係る冷暖房システムは、室内に設置される二次側熱交換器1と、冷媒を圧縮する圧縮機3と、一次側熱交換器となる水熱源熱交換器5と、水熱源熱交換器5に対して地下水や河川水・湖沼水を送水する送水ポンプ7と、膨張弁およびその周囲にある冷媒通流方向切り替えバルブを含んでなる膨張器9と、これらの各機器を連結して冷媒を通流させる冷媒配管13と、を備えている。
図2は、地中熱を利用した冷暖房システムの構成の一部を示した図であり、図2以外の構成は図1に示したものと同様である。地中熱利用方法においては、図2に示すように、水熱源交換器5から地中まで熱源水を入れた地中配管15を設け、送水ポンプ7を用いて水熱源熱交換器5と地盤の間を循環させ、地盤温度で熱源水の温度を調整して水熱源熱交換器5に戻す。なお、熱源水としては、普通の水を用いてもよいが、凍結防止のために不凍液を用いるのが好ましい。
水熱源熱交換器5(一次側熱交換器)は、圧縮機−凝縮器−膨張器−蒸発器からなる冷凍サイクルにおいて、冷房時は凝縮器として、暖房時は蒸発器として作用する。すなわち、冷媒は、冷房時には熱源水へ熱を排熱して凝縮し、暖房時には熱源水から熱を受け取り蒸発する。
なお、暖房と給湯は冷凍サイクル内で同じ原理で行うとともに、二次側熱交換器の問題であるため、以下給湯時の説明は省略する。
図3は、図1、図2に示した冷暖房システムにおける水熱源熱交換器5の概念図である。水熱源熱交換器5は、熱源水を貯留するタンク21と、タンク21内に配置された二重管23とからなり、二重管23は、冷媒が通る外管25と熱源水が通る内管27から構成されている。
タンク21の中には熱源水が二重管23の上端付近まで入っている。
タンク21の上下対角位置には熱原水の出入口が設けられ、熱源水配管29が接続されている。熱源水の出入口を上記のように、上下対角位置にすることにより、タンク中央部に配置した二重管23を挟んで出入口が配置されるようになるので、熱源水が二重管23を横切ってタンク21内を通流することになり、二重管23の冷却効果が高くなる。また、タンク21内で熱源水が通流することで熱源水の攪拌効果もあり、タンク21内の熱源水の温度分布を均一にする効果もある。
このように、タンク21における熱源水の出入口は、タンク21内の熱源水に攪拌や対流を生じやすいような位置や形状を工夫するのが好ましい。
二重管23を構成する内管27は、二重管23の両端部付近から外方に引き出され、タンク21内を通過してタンク21外において熱源水配管29に接続されている。また、外管25の両端もタンク21外において冷媒配管13に接続されている。
なお、図3は模式図であるため二重管23を直線状管で表示しているが、実際には螺旋状などに曲げ加工して二重管部の長さを長くし、冷媒と熱源水の熱交換面積を大きくする。
図4に二重管23の具体例を示す。図4(a)は螺旋状に加工した二重管である。立体的なので、その分熱交換面積を大きくとることができる。図4(b)はスネーク状に屈曲加工した二重管である。この場合は、平面的なので、タンク21の幅が狭い場合などに好適である。
図4(a)、(b)のいずれも、径の大きな管の中に小さな径の管を挿入した後、所定の形状に曲げ加工したものである。管の素材は銅やアルミニウムなど軟らかい金属が使用されるため、曲げ加工が容易で安いコストで製作できる。
水熱源熱交換器5をこのように構成することにより、二重管23の外管25を通る冷媒はその内側、外側両方の熱源水と熱交換できるため、熱交換面積が大きくなり熱交換性能が高まって、結果的にエネルギー効率が高くなる。
また、タンク21内の水量は冷媒量に比べて相当多いため、熱源水の熱容量は冷媒に比べて非常に大きい。このため、冷媒との熱交換による熱源水の急激な温度変化を抑えることができる。その結果、地下水などを用いた熱源水でも厳冬時に凍結することなく、安定性の高い熱源が得られる。
なお、図3においては、冷媒の流れの向きは、冷房時のものを示しているが、暖房時にはこの逆で図中下から上に流すようにする。熱源水は二重管内もタンク21内も下から上へ流動する図になっているが、実際には熱源水の動きは、これと逆でもよいし、冷房と暖房で向きを変えてもよい。
[実施の形態2]
実施の形態2の具体的構成を説明する前に、まず、実施の形態2によって解決しようとする課題を説明する。
冷暖房ヒートポンプに加わる負荷は外気温と室内設定温度の温度差に応じて変化する。例えば冬季の暖房時においては、外気温の低い早朝には負荷が大きくなり、日中陽がさして比較的暖かくなれば負荷は減少する。その負荷量に応じて圧縮器の運転に要する電力も、熱源水と冷媒の熱交換量も変動する。負荷が小さければ熱源水との熱交換量も小さくなるので、原理的にはこれに要する熱源水量も少なくてもよい。
しかし、一般に、送水ポンプでは熱源水を一定の流量で熱交換器に送っている。そして、送水量は、厳寒時や酷暑時に生じる最大負荷に対応できるように設定されているため、大きな流量が必要となる。このため送水ポンプの運転には常に大きな電力が消費され、エネルギー効率を落とす要因になっている。
そこで、本発明の実施の形態2においては、冷暖房負荷が小さいときは送水ポンプの運転を停止し、冷媒との熱交換はタンク21内に滞留した熱源水とのみ行わせるようにしたものである。本実施の形態の装置構成を図5に示す。なお、実施の形態1を示した図1と同一部分には同一の符号を付している。
本実施の形態に係るヒートポンプシステムは、図5に示すように、タンク21内の熱源水の温度を検知する温度検知器31および圧縮機3の運転状況を検知する運転状況検知器33を設け、該温度検知器31および運転状況検知器33の検知信号に基づいて熱源水を水熱源熱交換器5に送る送水ポンプ7の稼動と停止を制御する制御装置35を備えたものである。運転状況検知器33は、具体的には圧縮機を駆動するモータの電流値を検知するものである。
上記のように構成された本実施の形態においては、冷房運転時において、タンク21内の水温が低下した場合には、制御装置35によって送水ポンプ7の運転を停止する。また、冷房運転時において、圧縮機3の電流値が小さくなったときには、制御装置35によって送水ポンプ7の運転を停止する。このようなタンク21内温度と圧縮機3の電流値による制御は、温度が予め定めた所定値より下がった場合で、かつ圧縮機3の電流値が予め定めた所定値より下がった場合に行うようにしてもよいし、あるいは、温度が予め定めた所定値より下がった場合または圧縮機の電流値が予め定めた所定値より下がった場合のいずれか一方の場合に行うようにしてもよい。
送水ポンプ7が停止しているときは、二重管23の内管27には熱源水は通流しないため内管27内の熱源水と冷媒とほとんど熱交換できない。一方、タンク21内に滞留した熱源水は、その量が非常に多いために、タンク21内を通流していなくとも熱交換することができる。冷暖房負荷が小さいときは、必要な熱交換量が少ないため、限られた時間内ならばタンク21内に滞留した熱源水とのみ熱交換すれば十分である。
送水ポンプ7を停止したままヒートポンプシステムを運転すると、タンク21内の水温は冷房時には上昇、暖房時には低下する。送水ポンプ停止状態が長く続くと、タンク21内の水温はさらに上昇または低下し、結局エネルギー効率が低下してしまう。このため、実際の運用としては、停止時間を一定時間以内に設定するか、あるいはタンク21内水温が一定温度を超えたら送水ポンプ7の運転を再開するように設定するとよい。ここで設定する停止時間や再開温度は、タンク21内熱源水の熱容量などによって適宜設定すればよい。
以上のように、本実施の形態においては、送水ポンプ7の停止と再起動の運転条件を、圧縮機3の電流値あるいはタンク21内の水温に応じて設定するようにしたので、送水ポンプ7の使用電力量を節約することができ、結果的にヒートポンプシステムとしてのエネルギー効率を高めることができる。
[実施の形態3]
図6は本発明の実施の形態3に係るヒートポンプシステムの構成の説明図である。本実施の形態のヒートポンプシステムは、熱源水を水熱源熱交換器5に送る送水ポンプ7の回転数を制御するインバータ37と、タンク21内の熱源水の温度を検知する温度検知器31と、温度検知器31の検知信号に基づいてインバータ37を制御する制御装置38と、を備え、温度検知器31の検知信号に基づいて熱源水を水熱源熱交換器5に送る送水ポンプ7の流量をインバータ37によって制御するようにしたものである。
具体的には、例えば、送水ポンプ7の最大流量と最小流量、およびこれらに対応するタンク内水温Ta、Tbを決めておく。タンク内水温がTaとTbの間にあるときは、その温度に比例させて送水流量を変化させるというインバータ制御を、制御装置38、インバータ37によって行う。最大・最小流量や温度Ta、Tbは、圧縮機3の最大・最小出力や熱源水量、タンク容量、室内冷暖房温度などから設定する。あるいは、実際に試験運転を行ってその結果に基づいて設定するようにしてもよい。
本実施の形態においてはタンク内水温によるインバータ制御によりポンプ流量を調整するようにしたので、常に最適な条件に近い流量で送水ポンプ7を運転することができ、その結果、送水ポンプ7の電力を節約することができる。
また、本実施の形態のようにタンク21を有する水熱源熱交換器5においては、熱源水温度に基づいてポンプ流量を調整するようにしたので、例えば圧縮機3の使用電力を用いて熱源水を流量制御する場合よりも、熱源水としての余裕代を反映した制御が可能になるので、より好ましい。
本発明による熱源併用の冷暖房システムの実際の効果を確認するために行った実施例について説明する。図7はこの実施例の構成の説明図である。図7に示すように、建築物を模擬した仮設ハウス39を設け、仮設ハウス内の温度一定に保つように冷房及び暖房を行い、各種の計測を実施した。
本システムは、地中熱利用方法を用いた熱源、二重管を内蔵したタンク41、圧縮機や膨張器を内蔵した室外器45、及び二次熱交換器であるファン型室内器43を備えて構成される。タンク41の中には熱源水の温度をモニターするための温度計測器(図示なし)が設置されている。また、仮設ハウス内には、圧縮機の電流およびタンク内水温を感知して送水ポンプ(図示なし)の発進、停止、再開を制御する制御装置(図示なし)も設置している。
地中熱利用方法を用いた熱源として、直径191mm、長さ18mの鋼管47を地中に3本埋設し、中に水を充填した。この中にポリエチレン製の配管49を設置し、送水ポンプを用いて熱源水を地中とタンクの間を循環させた。このように構成することにより、熱源水を地中熱で冷房時には冷却し、暖房時には昇温して熱源水の温度調整を行う。
タンク41の中には螺旋状に加工した二重管が配置されている。長さ約3m、銅製の内管と外管を二重にした後、螺旋状に曲げ加工して直径約30cm高さ約30cmの寸法に形成してタンク内に収めた。
冷房時にタンク41内で加温された熱源水は地中で冷やされてからタンク41に戻り、暖房時にはタンク41内で冷やされた熱源水は地中で暖められてタンク41に戻ることで、空気(外気)よりもエネルギー効率の高い熱源となる。
本実施例の試験では、圧縮機運転の開始・停止に連動して送水ポンプの駆動・停止を行うために、圧縮機が作動するとその電流を感知して送水ポンプを駆動させ、圧縮機の電流が切れると停止するように送水ポンプの制御装置を設定した。
また、冷暖房負荷が小さい場合には、送水ポンプを停止し、一定経過後に再開するための手段として、タンク内温度のモニタリングを用いた。冷房時を例にして具体的に説明すれば、冷房負荷が小さくなって、それに伴いタンク41内水温が25℃まで下がった時に送水ポンプを停止し、その後徐々に水温が上昇し、30℃に達したときにポンプの運転を再開するように制御装置を設定した。
上述のような条件での冷暖房試験により以下のような結果を得た。
(1)螺旋状の二重管は容易に、かつ安いコストで製作することができた。
(2)タンクの出口・入口における熱源水の温度計測結果から、二重管の内外で冷媒と熱源水は効率良く熱交換していることを確認できた。
(3)タンク内水温モニタリングによる送水ポンプの駆動・停止の制御は問題なく行われた。
(4)盛夏8月の冷房運転試験によると、送水ポンプの運転時間は、システム(圧縮機)の運転時間に比べて、最高気温が35℃を超えた酷暑日で約75%、曇天日で約50%となった。これより年間の送水ポンプ運転時間はシステム運転時間の約6割になると推定される。その結果、送水ポンプ運転に要する電力は約4割節約できることになる。また、システム全体の電力は、一定流量を流し続ける場合に比べて、約1割節約できると推定できた。
本発明の一実施の形態に係る冷暖房システムの基本構成を模式的に示した図である。 地中熱利用方法の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る水熱源熱交換器の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る水熱交換器に用いる二重管の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る冷暖房システムの説明図である。 本発明の実施の形態3に係る冷暖房システムの説明図である。 本発明の実施例の説明図である。 背景技術の説明図である。
符号の説明
1 二次側熱交換器
3 圧縮機
5 水熱源熱交換器
7 送水ポンプ
9 膨張器
13 冷媒配管
15 地中配管
21 タンク
23 二重管
25 外管
27 内管
29 熱源水配管
31 温度検知器
33 運転状況検知器
35 制御装置
37 インバータ
38 制御装置

Claims (3)

  1. 建築物の冷房、暖房あるいは給湯に用いるヒートポンプにおいて、熱源水と冷媒との熱交換を行う水熱源熱交換器を、熱源水を貯留するタンクと、該タンクの中に配置した二重管とで構成し、該二重管は、熱源水が通流する内管と、冷媒が通流する外管と、を備えて構成したことを特徴とするヒートポンプシステム。
  2. タンク内の熱源水の温度を検知する温度検知器および/または圧縮機の運転状況を検知する運転状況検知器を設け、該温度検知器および/または運転状況検知器の検知信号に基づいて熱源水を水熱源熱交換器に送るポンプの稼動と停止を制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプシステム。
  3. 熱源水を水熱源熱交換器に送るポンプの回転数を制御するインバータと、タンク内の熱源水の温度を検知する温度検知器とを備え、該温度検知器の検知信号に基づいて前記ポンプの流量を前記インバータによって制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプシステム。
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