JP2004003709A - 水和物スラリ空調システムおよび既設空調システムの水和物スラリ空調システムへの改造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】空調負荷熱量に十分対応し、空調負荷へ水和物スラリを輸送するポンプ動力を最小化し、液みちの形成やキャビテーションの発生を抑制する水和物スラリ空調システムを提供する。
【解決手段】空調負荷3へ輸送する水和物スラリの固相分率を計測する固相分率計測手段40と固相分率を調節する固相分率調整手段を設け、固相分率調整手段を、スラリポンプ6の吸入側の往路配管29と復路配管21aを接続するバイパス管35と、復路配管21a内の水和物スラリが融解した水溶液をバイパス管35を通じて往路配管29内に注入する注入量を調整する調整弁36a,36bとから構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】空調負荷3へ輸送する水和物スラリの固相分率を計測する固相分率計測手段40と固相分率を調節する固相分率調整手段を設け、固相分率調整手段を、スラリポンプ6の吸入側の往路配管29と復路配管21aを接続するバイパス管35と、復路配管21a内の水和物スラリが融解した水溶液をバイパス管35を通じて往路配管29内に注入する注入量を調整する調整弁36a,36bとから構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水和物スラリを空調負荷側への冷熱搬送媒体あるいは冷熱搬送蓄熱媒体として使用する水和物スラリ空調システムおよび既設空調システムの水和物スラリ空調システムへの改造方法に関する。なお、本明細書において「水和物スラリ」というのは、例えば、臭化テトラn−ブチルアンモニウム(TBAB)のごとき水和剤を水に溶解させた水溶液を冷却することによって得られる液体から固体粒子への固液相変化時の潜熱量(熱密度)が大きい液系包接水和物と水溶液の固液混相流体をいう。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば空調設備に使用される各種の蓄熱システム、例えば水蓄熱式空調システムや氷蓄熱式空調システムが開発されている。一例として図8に水蓄熱式空調システムを示す。図8において、1は空調負荷側への冷熱搬送媒体として水を貯蔵する水蓄熱槽、2は水蓄熱槽1内の水を冷却するための冷凍機、3は空調機、4は冷却塔、5は一次ポンプ、6は二次ポンプ、7a、7bは一次ポンプ5の入側ヘッダーおよび出側ヘッダー、8bは二次ポンプ6の出側ヘッダー、9は一次冷却水の流量制御のための三方弁、10は冷却塔冷却水を冷凍機2へ送るポンプ、11は各空調機3に設けられる流量制御弁である。
【0003】
この水蓄熱式空調システムにおける基本的な動作は、主に夜間電力を利用して水蓄熱槽1内の水を循環させながら冷凍機2により冷却し水蓄熱槽1に冷熱を蓄熱する。昼間は、夜間蓄熱された例えば5℃の冷水を各空調機3に送り熱交換により室内を冷房する。冷房に供された冷水は、例えば12℃の温度に昇温されて水蓄熱槽1に戻ってきて、該水蓄熱槽1にて再び冷却される。
【0004】
氷蓄熱式空調システムの場合も、主に夜間電力を利用して氷蓄熱槽内の水を氷製造用冷凍機により冷却し、氷蓄熱槽内で氷を製造し蓄熱する。昼間は、夜間製造された氷を融解しながら例えば5℃の冷水を各空調機に送り熱交換により室内を冷房する。冷房に供された冷水は、例えば12℃の温度に昇温されて氷蓄熱槽に戻ってきて、該氷蓄熱槽内の氷にて再び冷却される。
【0005】
このような蓄熱式空調システムを使用することにより、例えば深夜電力、または工場の廃熱等の供給が不連続なエネルギを利用して冷熱を蓄熱しておき、蓄熱した冷熱を空調設備に利用することで、エネルギをより有効に利用することができる。
【0006】
ところで、前記の蓄熱式空調システムを導入しているビルや地域冷暖房システム等においては、システム導入時に比べて冷房負荷の需要が増加しているため、負荷側への供給熱量増大化のために熱源機の更新などが実施されている。このとき、蓄熱式空調システムにあっては蓄熱量の増大化も要求されることがあるが、蓄熱槽の追加増設はスペース等の制約もあって困難である場合が多い。また、昼間の冷房電力負荷を低減する対策が要求されている。
【0007】
そこで、近年、熱密度が大きい水和物スラリを空調負荷側への冷熱搬送媒体あるいは冷熱搬送蓄熱媒体として使用することで、蓄熱槽の大きさや追加増設等の変更を要することなく、空調負荷側への供給熱量を増大させ得るようにした水和物スラリ空調システムが提案されている。
【0008】
すなわち、ゲスト化合物(テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラiso−ブチルホスホニウムム塩、トリiso−アミルスルホニウム塩などの各種塩類)を含む水溶液を冷却すると、水和物(液系包接水和物)が生成される。この水和物は0℃以上の温度で生成でき、しかも潜熱が大きく冷水に比較して数倍の熱量の冷熱を貯蔵することができる。また、この水和物は微細な粒子となって水溶液中に浮遊して比較的流動性の高い水和物スラリを形成する。このため、このような水和物スラリは、空調設備などの蓄冷材または冷熱の搬送媒体として好ましい特性を有している。
【0009】
前記のような水和物スラリの冷熱を利用する冷熱利用システム、例えば空調システムでは以下のようにして運転が行われる。水和物スラリ貯槽に例えばテトラn−ブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)を含む水溶液を入れてスラリ製造運転を開始する。水和物スラリ貯槽内の水溶液は水溶液ポンプによりスラリ製造用の熱交換器へ送られて冷却され、水和物スラリが製造される。この水和物スラリは水和物スラリ貯槽に貯蔵される。そして、負荷運転時に、水和物スラリ貯槽内の水和物スラリはスラリポンプにより負荷側の空調機に送られてその冷熱が利用されて水溶液となり、水溶液は水和物スラリ貯槽へ戻される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、水和物スラリは粘度が大きく、配管内での圧力損失が大きくなると水和物スラリ貯槽からの水和物スラリの取り出しが困難になることがあった。以下、この点についてより詳細に説明する。
【0011】
水和物スラリ貯槽からスラリポンプにより水和物スラリを払い出す際に、水和物スラリの粘度が大きいため、水和物スラリ貯槽とスラリポンプとの間の吸い込み配管内での圧力損失が大きくなり、水和物スラリ貯槽の払い出し口で水和物スラリを吸い込むのに十分な吸引力を維持できないことがある。このような場合には、水和物スラリ中に水溶液の流路(以下、液みちという)が形成され、水和物スラリ貯槽から粘度の大きい水和物スラリを取り出せず、粘度の小さい水溶液だけを選択的に取り出すようになる問題が生じる。水和物スラリ貯槽の払い出し口での水和物スラリの流速が速い場合に液みちが形成されやすい。
【0012】
また、吸い込み配管内の圧力損失が大きくなると水和物スラリ貯槽から水和物スラリを吸い込むことが困難となるため、スラリポンプの吸い込み口における圧力を大気圧以下に設定する必要がある。このようにスラリポンプの圧力を大気圧以下にすると、水和物スラリ中の溶存空気がスラリポンプ内部あるいは接続する配管内部で気泡となるキャビテーション現象が発生する。スラリポンプのロータなどの下流では圧力は大気圧以上となり気泡は消滅するが、その際、気泡の周囲の水がぶつかり合って局所的に著しい高圧を生じ、その機械的衝撃によってスラリポンプ内面や配管内面が侵食される問題が生じる。
【0013】
このように、水和物スラリの粘度が大きいため、水和物スラリ貯槽から水和物スラリを取り出す際に、液みちが形成されたり、キャビテーションが発生するなどの問題があった。また、水和物スラリ貯槽を設けないで水和物スラリを製造してただちに負荷側空調機へ送るような空調システムでも同様の問題があった。
【0014】
水和物スラリの粘度は、水和物スラリの固相分率と相関している。固相分率は水和物スラリ中の水和物固体粒子の水和物スラリ中の重量比率をいう。固相分率が大きいほど水和物粒子の比率が高く、粘度が大きくなり、輸送配管内の圧力損失が大きくなり、輸送のための動力が大きくなったり、液みちの形成やキャビテーションの発生が起こりやすい傾向となる。一方、固相分率が高いほど水和物の比率が高いので、蓄熱量や輸送熱量が大きくなる。
【0015】
これらのことから、水和物スラリ空調システムにおいて、空調負荷熱量に十分対応し、かつ輸送動力を最小化し、液みちの形成やキャビテーションの発生を抑制するように水和物スラリの固相分率を最適範囲に調整して運転することが必要となっている。
【0016】
また、負荷空調機の運転状況により、所要負荷熱量は変動するが、それに対応して水和物スラリの固相分率を調整することが必要である。
【0017】
しかし、水和物スラリ空調システムにおいて、水和物スラリの固相分率を最適範囲に調整する有効な方法は見出されていない。
【0018】
本発明は以上の点に鑑み、空調負荷熱量に十分対応し、空調負荷へ水和物スラリを輸送するポンプ動力を最小化し、液みちの形成やキャビテーションの発生を抑制する水和物スラリ空調システムおよび既設空調システムの水和物スラリ空調システムへの改造方法を提供することを目的する。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る水和物スラリ空調システムは、下記の構成からなるものである。すなわち、水和物スラリ製造装置と、水和物スラリの冷熱を利用する空調負荷と、水和物スラリを空調負荷へ輸送するスラリポンプと、空調負荷への往路配管と復路配管とからなる配管系を具備した水和物スラリ空調システムにおいて、スラリポンプの吐出側の往路配管に設けた固相分率計測手段と、空調負荷へ輸送する水和物スラリの固相分率が所定範囲となるように固相分率の計測値に基づき水和物スラリの固相分率を調整する手段とを備え、該固相分率調整手段が、スラリポンプの吸入側の往路配管と復路配管を接続するバイパス管と、復路配管内の水和物スラリが融解した水溶液をバイパス管を通じて往路配管内に注入する注入量を調整する調整弁とを備えたものである。
【0020】
本発明において利用される水和物スラリは、水和物が生成する際に大きい潜熱を有する液系包接水和物の固体粒子と水和物を生成する水和剤の水溶液の固液混相流体である。このような水和物(包接水和物)を生成する水和剤としては、テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラn−フォスフォニウム塩、トリiso−アミルサルフォニウム塩などであり、テトラn−ブチルアンモニウム塩の例として、フッ化テトラn−ブチルアンモニウム((n−C4H9)4NF)、塩化テトラn−ブチルアンモニウム((n−C4H9)4NCl)、臭化テトラn−ブチルアンモニウム((n−C4H9)4NBr)などがある。
また、これらF,Cl,Brの代わりに酢酸(CH3CO2)、クロム酸(CrO4)、タングステン酸(WO4)、シュウ酸(C2O4)、リン酸(HPO4)でもよい。その他前記塩も同様に利用できる。特に、臭化テトラn−ブチルアンモニウムの場合は、冷房に利用される5〜12℃の温度域において、熱密度が利用温度差7℃の場合、同じ温度差で水に比べて約4倍も大きい。
【0021】
また、請求項2に係る水和物スラリ空調システムは、水和物スラリ貯槽を設け、水和物スラリ貯槽から水和物スラリを空調負荷へ輸送するものである。
【0022】
本発明の請求項3に係る既設空調システムの水和物スラリ空調システムへの改造方法は、下記の構成からなるものである。すなわち、既設の水蓄熱式空調システムまたは氷蓄熱式空調システムを空調負荷に水和物スラリを供給する水和物スラリ空調システムに改造する方法であって、水和物スラリ製造装置を設け、水和物スラリを空調負荷へ輸送するスラリポンプを設け、スラリポンプの吐出側の往路配管に固相分率計測手段を設け、空調負荷へ輸送する水和物スラリの固相分率が所定範囲となるように固相分率の計測値に基づき水和物スラリの固相分率を調整する手段を設け、該固相分率調整手段を、スラリポンプの吸入側の往路配管と空調負荷から戻る復路配管を接続するバイパス管と、復路配管内の水和物スラリが融解した水溶液をバイパス管を通じて往路配管内に注入する注入量を調整する調整弁とから構成することを特徴としている。
【0023】
また、請求項4に係る既設空調システムの水和物スラリ空調システムへの改造方法は、水和物スラリ貯槽を設け、水和物スラリ貯槽から水和物スラリを空調負荷へ輸送することを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図示実施形態に基づき本発明を説明する。
【0025】
実施形態1.
図1は本発明の第1の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図、図2はその固相分率計測手段の詳細を示す構成図、図3は水和物スラリの固相分率とポンプ動力比(水との比較)の関係を示すグラフ、図4は水和物スラリの温度と熱密度と固相分率の関係を示すグラフであり、図1中、前述の従来例(図8)のものと同一部分には同一符号を付してある。
【0026】
図1において、20は空調負荷側の冷熱媒体として水和物スラリを貯蔵する水和物スラリ蓄熱槽であり、空調負荷側すなわち空調機3側の回路21に接続している。そして、この水和物スラリを製造するために、冷凍機2と水和物スラリ蓄熱槽20との間に水和物スラリを製造する水和物スラリ製造熱交換器22を設置し、循環ポンプ31を有する水和剤の水溶液の循環回路32を設けて、水和剤の水溶液を循環させ冷却して水和物スラリを製造する。また、水和物スラリ製造熱交換器22と冷凍機2間には、ポンプ23を設けた冷却媒体(水)の循環回路24の配管が設けられており、水和剤の水溶液を冷却する。
【0027】
水和物スラリ蓄熱槽20とスラリポンプ6間の配管29と復路配管21aの間にバイパス管35が設けられているとともに、バイパス管35と復路配管21aに、それぞれ二方弁からなる調整弁36a,36bが設置され、空調機3側から戻る水溶液の一部を、バイパス管35および調整弁36aを介して配管29内に注入できるようになっている。
【0028】
また、スラリポンプ6の下流側に混合装置37が配置され、水和物スラリと水溶液との混合を行う。さらに混合装置37の下流側に、水和物スラリの固相分率を計測する固相分率計測手段40が設置されている。
【0029】
水和物スラリは粘度が大きく、特に水和物スラリ蓄熱槽20から空調機3側へスラリポンプ6により水和物スラリを払い出す際に、水和物スラリ蓄熱槽20とスラリポンプ6との間の吸い込み配管内での圧力損失が大きくなり、水和物スラリ蓄熱槽20の払い出し口で水和物スラリを吸い込むのに十分な吸引圧力を維持できないことがある。このような場合には、水和物スラリ中に水溶液の流路(以下、液みちという)が形成され、水和物スラリ蓄熱槽20から粘度の大きい水和物スラリを取り出せず、粘度の小さい水溶液だけを選択的に取り出すようになる問題が生じる。このように、吸い込み配管内の圧力損失が大きくなると水和物スラリ蓄熱槽20から水和物スラリを吸い込むことが困難となるため、スラリポンプ6の吸い込み口における圧力を大気圧以下に設定する必要がある。しかし、スラリポンプ6の圧力を大気圧以下にすると、水和物スラリ中の溶存空気がスラリポンプ6内部あるいは接続する配管内部で気泡となるキャビテーション現象が発生する。スラリポンプ6のロータなどの下流では圧力は大気圧以上となり気泡は消滅するが、その際、気泡の周囲の水がぶつかり合って局所的に著しい高圧を生じ、その機械的衝撃によってスラリポンプ6内面や配管内面が侵食される問題が生じる。そして、液みちは水和物スラリの流速が速い場合に形成されやすい。
【0030】
固相分率計測手段40は、図2のように水和物スラリ循環系内の空調負荷側へ向かう往路配管21bに両端が接続されて水和物スラリの一部を導入循環可能な小径配管からなる固相分率計測用循環系41と、固相分率計測用循環系41内に水和物スラリを導入するための定量ポンプ42と、固相分率計測用循環系41内に設置されたヒータ43と、ヒータ43の前後にそれぞれ配置された上流温度センサ44a及び下流温度センサ44bと、ヒータ43の下流側に設置されて固相分率計測用循環系41内の流量(水溶液流量)を検出する流量計45と、ヒータ43への供給電力を検出する電力計46と、固相分率演算手段47とから構成される。固相分率演算手段47では、各温度センサ44a,44bの検出温度と、電力計46で計測されたヒータ43により水和物スラリを加熱して完全融解するまでに使用した電力から算定された水和物スラリの熱量と、流量計45で計測された水溶液流量と、に基づいて水和物スラリの熱密度が算出される。さらに、予め温度と熱密度、ならびに温度と固相分率の関係が求められていて固相分率演算手段47にデータテーブルとして記憶されており、熱密度と固相分率の関係から水和物スラリ固相分率が算出される。
【0031】
また、臭化テトラn−ブチルアンモニウム(TBAB)の水和物には、潜熱量の相違する第一水和物(水和数26程度)と第二水和物(水和数36程度)が存在する。図4に示すように第一水和物スラリ、第二水和物スラリそれぞれについて、温度と熱密度、ならびに温度と固相分率の関係が予め求められていて、固相分率計測手段40の固相分率演算手段47にデータテーブルとして記憶されている。なお、第二水和物は第一水和物に比べて熱密度が大きいので、第二水和物を製造するような条件で製造することが好ましい。
【0032】
したがって、固相分率計測手段40により、水和物スラリの熱密度と温度を計測することで、第一水和物スラリ、第二水和物スラリが判別でき、それぞれの水和物スラリに対して予め求められた熱密度と固相分率の関係から水和物スラリの固相分率が算出される。
【0033】
また、固相分率計測手段40と監視室51とが電気的に接続され、固相分率演算手段47にて算出された固相分率が監視室51のモニタ51aに表示されるようになっていて、運転状況が安定していれば手動で水溶液と水和物スラリの混合比を設定することができるようになっている。
【0034】
また、固相分率計測手段40の固相分率演算手段47にて算出された固相分率はバルブコントローラ52にも送られるようになっている。バルブコントローラ52は、固相分率計測手段40から送られてきた固相分率に基づき、スラリポンプ6による水和物スラリの輸送動力が最小となるように、調整弁36a,36bの開度を調節して、注入する水溶液の量を調整し、水溶液と固相分率の高い水和物スラリの混合比を制御するように設定されている。
【0035】
前述の構成を有する本実施形態の水和物スラリ空調システムにおいて、深夜電力でポンプ23、冷凍機2、ポンプ10、及び冷却塔4を運転して冷水を製造し、水和物スラリ製造熱交換器22に冷水を循環させる。また、ポンプ31を運転して、水和物スラリ蓄熱槽20にある水溶液を水和物スラリ製造熱交換器22に流通させて冷却し、水和物スラリを製造して蓄熱槽1に貯える。このとき、冷凍機2から水和物スラリ製造熱交換器22へは3℃の冷却水が送られる。そして水和物スラリ製造熱交換器22を介して熱交換された冷却水は10℃の温度に昇温されて冷凍機2に戻ってきて、冷凍機2にて再び冷却される。
【0036】
翌日昼間、スラリポンプ6を運転して水和物スラリ蓄熱槽20から水和物スラリを取出し空調機3に水和物スラリを送って空調を実施する。このとき、固相分率計測手段40により算出した水和物スラリの固相分率が所定の範囲になるように、バルブコントローラ52は調整弁36a,36bの開度を調節し、スラリポンプ6にて水和物スラリ蓄熱槽20から輸送される水和物スラリと空調機3から戻ってきた水溶液を適当量、バイパス管35を通じて混合させる。空調機3へは5℃の水和物スラリが供給され冷房に供される。そして冷房に供された水和物スラリは、融解されて12℃の水溶液となり、水和物スラリ蓄熱槽20に戻る。
【0037】
空調機3へ輸送される水和物スラリの固相分率が所定範囲となるように復路配管21a内の水和物スラリが融解した水溶液の一部をバイパス管35を通じてスラリポンプ吸込側の往路配管29内に注入し混合するので、配管内の圧力損失を小さくでき、空調機3へ水和物スラリを輸送するときのスラリポンプ6の輸送動力を低減できる。以下、水和物スラリ固相分率の適正な所定範囲の設定方法について一例を挙げて説明する。
【0038】
図3にスラリポンプ6からの吐出し配管内に存在する水和物スラリの固相分率とスラリポンプ6の輸送動力との関係を示す。この図は、水和物スラリによる冷熱輸送量と同等の冷熱を冷水により輸送する場合の輸送動力を基準とした水和物スラリによる輸送動力をスラリポンプ動力比として表し、水和物スラリの固相分率との関係を実験により求めた結果を示している。配管50A、輸送熱量150kWの条件での結果を曲線1に示している。この図から明らかなように、水和物スラリの固相分率が9〜40%の範囲ではスラリポンプ動力比が1以下となり、冷水を用いる場合に比べて輸送動力が低減できる効果があることがわかる。
【0039】
固相分率が9%以下の範囲では、水和物スラリの熱密度が小さくなるため必要な輸送流量が大きくなるので、冷水搬送に対するスラリポンプ6の消費電力の低減メリットがなくなる。また、固相分率が40%以上の範囲では、水和物スラリの熱密度は大きくなって流量は減少するが、水和物スラリの粘性が大きくなるために、冷水搬送に対するスラリポンプ6の消費電力の低減メリットがなくなる。このように水和物スラリの固相分率が9〜40%になるようにバルブコントローラ52にて調整弁36a,36bの開度を調節することにより、水和物スラリに注入する水溶液量を調整することにより、水和物スラリを輸送するスラリポンプの輸送動力を低減でき、設備費、運転費を低減できる。
【0040】
特に、固相分率計測手段40の出力値が19〜30%になるようにバルブコントローラ52にて調整弁36a,36bの開度を調節することで、輸送動力を水に対して1/5程度にすることができ、ランニングコストを大幅に低減することができる。
【0041】
また、水和物スラリ空調システムにおいて、空調機3へ輸送する水和物スラリの輸送熱量が設定されて温度域と熱密度の領域が設定されると、それに最適な水溶液濃度が決定される。この水溶液濃度は、本システムが稼働している途中で変更することはできない。夏・冬の季節による負荷変動の転換時期に所望輸送熱量に合わせて水溶液濃度を調整する。その際、輸送動力比と水和物スラリ固相分率の関係は例えば図3の曲線2のように変化する。それに合わせてバルブコントローラ52にて調節する固相分率の所定範囲を決定する。これにより、季節に応じた輸送動力の最小化が可能となり、一年を通して省エネルギで冷水に対し有利な水和物スラリ空調システムが構築できる。
【0042】
なお、ここでは新規に水和物スラリ空調システムを構築する場合について説明したが、例えば既設の水蓄熱式空調システムを、空調負荷側への冷熱搬送蓄熱媒体として水和物スラリを使用できるようにリニューアルすることでも構築することができる。その場合、水和物スラリ製造熱交換器の設置や搬送ポンプ吸い込み側の配管を口径の大きい配管(搬送ポンプ出口配管口径の1.5倍以上の配管)に取り替え、水和物スラリの固相分率を所定範囲に調整する機構を前述の第1実施形態と同様に設けることにより、輸送動力を最小化することができる。また、水和物スラリは熱密度が大きいので、蓄熱槽の大きさや台数を減らすことが可能となり、この面でもコストの節減、スペースの有効利用を図ることができるなど、波及効果も大きい。このリニューアルに関しては以下の他の実施形態においても同様である。
【0043】
実施形態2.
図5は本発明の第2の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図であり、図中、前述の第1実施形態(図1)のものと同一部分には同一符号を付してある。
【0044】
本実施形態の水和物スラリ空調システムは、空調機3側から戻る水溶液の一部を、バイパス管35からスラリポンプ6の吸込み側の配管29内に注入させるための調整弁を、バイパス管35と復路配管21aとの接続部に設置した単一の三方弁からなる調整弁36cから構成した点に特徴を有し、それ以外の構成は全て前述の第1実施形態のものと同一で、第1実施形態の持つ機能を全て備えている。
【0045】
本実施形態の水和物スラリ空調システムにおいては、調整弁36cが単一構成からなるため、その分、配管構成がシンプルとなって、コスト低減に寄与するだけでなく、複数の調整弁を使用するときのような同期をとる必要がなくなって、バルブコントローラ52Aによる開度調節制御が容易となる。
【0046】
実施形態3.
図6は本発明の第3の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図であり、図中、前述の第1実施形態(図1)のものと同一部分には同一符号を付してある。
【0047】
本実施形態の水和物スラリ空調システムは、水和物スラリ蓄熱槽を使用せず、水和物スラリ循環系すなわち空調機3側の回路21内に直接水和物スラリを製造する水和物スラリ製造熱交換器22を接続した点に特徴を有し、それ以外の構成は基本的に第1実施形態のものと同一である。
【0048】
実施形態4.
図7は本発明の第4の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図であり、図中、前述の第2実施形態(図5)及び第3実施形態(図6)のものと同一部分には同一符号を付してある。
【0049】
本実施形態の水和物スラリ空調システムは、水和物スラリ蓄熱槽を使用せず、水和物スラリ循環系すなわち空調機3側の回路21内に直接水和物スラリを製造するヒートポンプの蒸発器からなる水和物スラリ製造熱交換器61を設置している点に特徴を有している。なお、62はヒートポンプの圧縮機、63は凝縮器、64は膨張弁である。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、空調負荷へ輸送する水和物スラリの固相分率を計測する固相分率計測手段と固相分率を調節する固相分率調整手段を設け、固相分率調整手段を、スラリポンプの吸入側の往路配管と復路配管を接続するバイパス管と、復路配管内の水和物スラリが融解した水溶液をバイパス管を通じて往路配管内に注入する注入量を調整する調整弁とから構成して、水和物スラリの固相分率を所定範囲内となるように調整するようにしたので、水和物スラリの粘度が最適になり、水和物スラリ吸引時にスラリポンプの吸込み口までの圧力損失で輸送配管の圧力損失が大きくなることがなくなって、スラリポンプの消費動力を最小化することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る水和物スラリ空調システムの固相分率計測手段の詳細を示す構成図である。
【図3】水和物スラリの固相分率とポンプ動力比(水との比較)の関係を示すグラフである。
【図4】水和物スラリの温度と熱密度と固相分率の関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図である。
【図8】従来の水蓄熱式空調システムの構成図である。
【符号の説明】
3 空調機(空調負荷)
6 スラリポンプ
21 回路
21a 復路配管
29 往路配管
35 バイパス管
36a,36b,36c 調整弁
40 固相分率計測手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、水和物スラリを空調負荷側への冷熱搬送媒体あるいは冷熱搬送蓄熱媒体として使用する水和物スラリ空調システムおよび既設空調システムの水和物スラリ空調システムへの改造方法に関する。なお、本明細書において「水和物スラリ」というのは、例えば、臭化テトラn−ブチルアンモニウム(TBAB)のごとき水和剤を水に溶解させた水溶液を冷却することによって得られる液体から固体粒子への固液相変化時の潜熱量(熱密度)が大きい液系包接水和物と水溶液の固液混相流体をいう。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば空調設備に使用される各種の蓄熱システム、例えば水蓄熱式空調システムや氷蓄熱式空調システムが開発されている。一例として図8に水蓄熱式空調システムを示す。図8において、1は空調負荷側への冷熱搬送媒体として水を貯蔵する水蓄熱槽、2は水蓄熱槽1内の水を冷却するための冷凍機、3は空調機、4は冷却塔、5は一次ポンプ、6は二次ポンプ、7a、7bは一次ポンプ5の入側ヘッダーおよび出側ヘッダー、8bは二次ポンプ6の出側ヘッダー、9は一次冷却水の流量制御のための三方弁、10は冷却塔冷却水を冷凍機2へ送るポンプ、11は各空調機3に設けられる流量制御弁である。
【0003】
この水蓄熱式空調システムにおける基本的な動作は、主に夜間電力を利用して水蓄熱槽1内の水を循環させながら冷凍機2により冷却し水蓄熱槽1に冷熱を蓄熱する。昼間は、夜間蓄熱された例えば5℃の冷水を各空調機3に送り熱交換により室内を冷房する。冷房に供された冷水は、例えば12℃の温度に昇温されて水蓄熱槽1に戻ってきて、該水蓄熱槽1にて再び冷却される。
【0004】
氷蓄熱式空調システムの場合も、主に夜間電力を利用して氷蓄熱槽内の水を氷製造用冷凍機により冷却し、氷蓄熱槽内で氷を製造し蓄熱する。昼間は、夜間製造された氷を融解しながら例えば5℃の冷水を各空調機に送り熱交換により室内を冷房する。冷房に供された冷水は、例えば12℃の温度に昇温されて氷蓄熱槽に戻ってきて、該氷蓄熱槽内の氷にて再び冷却される。
【0005】
このような蓄熱式空調システムを使用することにより、例えば深夜電力、または工場の廃熱等の供給が不連続なエネルギを利用して冷熱を蓄熱しておき、蓄熱した冷熱を空調設備に利用することで、エネルギをより有効に利用することができる。
【0006】
ところで、前記の蓄熱式空調システムを導入しているビルや地域冷暖房システム等においては、システム導入時に比べて冷房負荷の需要が増加しているため、負荷側への供給熱量増大化のために熱源機の更新などが実施されている。このとき、蓄熱式空調システムにあっては蓄熱量の増大化も要求されることがあるが、蓄熱槽の追加増設はスペース等の制約もあって困難である場合が多い。また、昼間の冷房電力負荷を低減する対策が要求されている。
【0007】
そこで、近年、熱密度が大きい水和物スラリを空調負荷側への冷熱搬送媒体あるいは冷熱搬送蓄熱媒体として使用することで、蓄熱槽の大きさや追加増設等の変更を要することなく、空調負荷側への供給熱量を増大させ得るようにした水和物スラリ空調システムが提案されている。
【0008】
すなわち、ゲスト化合物(テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラiso−ブチルホスホニウムム塩、トリiso−アミルスルホニウム塩などの各種塩類)を含む水溶液を冷却すると、水和物(液系包接水和物)が生成される。この水和物は0℃以上の温度で生成でき、しかも潜熱が大きく冷水に比較して数倍の熱量の冷熱を貯蔵することができる。また、この水和物は微細な粒子となって水溶液中に浮遊して比較的流動性の高い水和物スラリを形成する。このため、このような水和物スラリは、空調設備などの蓄冷材または冷熱の搬送媒体として好ましい特性を有している。
【0009】
前記のような水和物スラリの冷熱を利用する冷熱利用システム、例えば空調システムでは以下のようにして運転が行われる。水和物スラリ貯槽に例えばテトラn−ブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)を含む水溶液を入れてスラリ製造運転を開始する。水和物スラリ貯槽内の水溶液は水溶液ポンプによりスラリ製造用の熱交換器へ送られて冷却され、水和物スラリが製造される。この水和物スラリは水和物スラリ貯槽に貯蔵される。そして、負荷運転時に、水和物スラリ貯槽内の水和物スラリはスラリポンプにより負荷側の空調機に送られてその冷熱が利用されて水溶液となり、水溶液は水和物スラリ貯槽へ戻される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、水和物スラリは粘度が大きく、配管内での圧力損失が大きくなると水和物スラリ貯槽からの水和物スラリの取り出しが困難になることがあった。以下、この点についてより詳細に説明する。
【0011】
水和物スラリ貯槽からスラリポンプにより水和物スラリを払い出す際に、水和物スラリの粘度が大きいため、水和物スラリ貯槽とスラリポンプとの間の吸い込み配管内での圧力損失が大きくなり、水和物スラリ貯槽の払い出し口で水和物スラリを吸い込むのに十分な吸引力を維持できないことがある。このような場合には、水和物スラリ中に水溶液の流路(以下、液みちという)が形成され、水和物スラリ貯槽から粘度の大きい水和物スラリを取り出せず、粘度の小さい水溶液だけを選択的に取り出すようになる問題が生じる。水和物スラリ貯槽の払い出し口での水和物スラリの流速が速い場合に液みちが形成されやすい。
【0012】
また、吸い込み配管内の圧力損失が大きくなると水和物スラリ貯槽から水和物スラリを吸い込むことが困難となるため、スラリポンプの吸い込み口における圧力を大気圧以下に設定する必要がある。このようにスラリポンプの圧力を大気圧以下にすると、水和物スラリ中の溶存空気がスラリポンプ内部あるいは接続する配管内部で気泡となるキャビテーション現象が発生する。スラリポンプのロータなどの下流では圧力は大気圧以上となり気泡は消滅するが、その際、気泡の周囲の水がぶつかり合って局所的に著しい高圧を生じ、その機械的衝撃によってスラリポンプ内面や配管内面が侵食される問題が生じる。
【0013】
このように、水和物スラリの粘度が大きいため、水和物スラリ貯槽から水和物スラリを取り出す際に、液みちが形成されたり、キャビテーションが発生するなどの問題があった。また、水和物スラリ貯槽を設けないで水和物スラリを製造してただちに負荷側空調機へ送るような空調システムでも同様の問題があった。
【0014】
水和物スラリの粘度は、水和物スラリの固相分率と相関している。固相分率は水和物スラリ中の水和物固体粒子の水和物スラリ中の重量比率をいう。固相分率が大きいほど水和物粒子の比率が高く、粘度が大きくなり、輸送配管内の圧力損失が大きくなり、輸送のための動力が大きくなったり、液みちの形成やキャビテーションの発生が起こりやすい傾向となる。一方、固相分率が高いほど水和物の比率が高いので、蓄熱量や輸送熱量が大きくなる。
【0015】
これらのことから、水和物スラリ空調システムにおいて、空調負荷熱量に十分対応し、かつ輸送動力を最小化し、液みちの形成やキャビテーションの発生を抑制するように水和物スラリの固相分率を最適範囲に調整して運転することが必要となっている。
【0016】
また、負荷空調機の運転状況により、所要負荷熱量は変動するが、それに対応して水和物スラリの固相分率を調整することが必要である。
【0017】
しかし、水和物スラリ空調システムにおいて、水和物スラリの固相分率を最適範囲に調整する有効な方法は見出されていない。
【0018】
本発明は以上の点に鑑み、空調負荷熱量に十分対応し、空調負荷へ水和物スラリを輸送するポンプ動力を最小化し、液みちの形成やキャビテーションの発生を抑制する水和物スラリ空調システムおよび既設空調システムの水和物スラリ空調システムへの改造方法を提供することを目的する。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る水和物スラリ空調システムは、下記の構成からなるものである。すなわち、水和物スラリ製造装置と、水和物スラリの冷熱を利用する空調負荷と、水和物スラリを空調負荷へ輸送するスラリポンプと、空調負荷への往路配管と復路配管とからなる配管系を具備した水和物スラリ空調システムにおいて、スラリポンプの吐出側の往路配管に設けた固相分率計測手段と、空調負荷へ輸送する水和物スラリの固相分率が所定範囲となるように固相分率の計測値に基づき水和物スラリの固相分率を調整する手段とを備え、該固相分率調整手段が、スラリポンプの吸入側の往路配管と復路配管を接続するバイパス管と、復路配管内の水和物スラリが融解した水溶液をバイパス管を通じて往路配管内に注入する注入量を調整する調整弁とを備えたものである。
【0020】
本発明において利用される水和物スラリは、水和物が生成する際に大きい潜熱を有する液系包接水和物の固体粒子と水和物を生成する水和剤の水溶液の固液混相流体である。このような水和物(包接水和物)を生成する水和剤としては、テトラn−ブチルアンモニウム塩、テトラiso−アミルアンモニウム塩、テトラn−フォスフォニウム塩、トリiso−アミルサルフォニウム塩などであり、テトラn−ブチルアンモニウム塩の例として、フッ化テトラn−ブチルアンモニウム((n−C4H9)4NF)、塩化テトラn−ブチルアンモニウム((n−C4H9)4NCl)、臭化テトラn−ブチルアンモニウム((n−C4H9)4NBr)などがある。
また、これらF,Cl,Brの代わりに酢酸(CH3CO2)、クロム酸(CrO4)、タングステン酸(WO4)、シュウ酸(C2O4)、リン酸(HPO4)でもよい。その他前記塩も同様に利用できる。特に、臭化テトラn−ブチルアンモニウムの場合は、冷房に利用される5〜12℃の温度域において、熱密度が利用温度差7℃の場合、同じ温度差で水に比べて約4倍も大きい。
【0021】
また、請求項2に係る水和物スラリ空調システムは、水和物スラリ貯槽を設け、水和物スラリ貯槽から水和物スラリを空調負荷へ輸送するものである。
【0022】
本発明の請求項3に係る既設空調システムの水和物スラリ空調システムへの改造方法は、下記の構成からなるものである。すなわち、既設の水蓄熱式空調システムまたは氷蓄熱式空調システムを空調負荷に水和物スラリを供給する水和物スラリ空調システムに改造する方法であって、水和物スラリ製造装置を設け、水和物スラリを空調負荷へ輸送するスラリポンプを設け、スラリポンプの吐出側の往路配管に固相分率計測手段を設け、空調負荷へ輸送する水和物スラリの固相分率が所定範囲となるように固相分率の計測値に基づき水和物スラリの固相分率を調整する手段を設け、該固相分率調整手段を、スラリポンプの吸入側の往路配管と空調負荷から戻る復路配管を接続するバイパス管と、復路配管内の水和物スラリが融解した水溶液をバイパス管を通じて往路配管内に注入する注入量を調整する調整弁とから構成することを特徴としている。
【0023】
また、請求項4に係る既設空調システムの水和物スラリ空調システムへの改造方法は、水和物スラリ貯槽を設け、水和物スラリ貯槽から水和物スラリを空調負荷へ輸送することを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図示実施形態に基づき本発明を説明する。
【0025】
実施形態1.
図1は本発明の第1の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図、図2はその固相分率計測手段の詳細を示す構成図、図3は水和物スラリの固相分率とポンプ動力比(水との比較)の関係を示すグラフ、図4は水和物スラリの温度と熱密度と固相分率の関係を示すグラフであり、図1中、前述の従来例(図8)のものと同一部分には同一符号を付してある。
【0026】
図1において、20は空調負荷側の冷熱媒体として水和物スラリを貯蔵する水和物スラリ蓄熱槽であり、空調負荷側すなわち空調機3側の回路21に接続している。そして、この水和物スラリを製造するために、冷凍機2と水和物スラリ蓄熱槽20との間に水和物スラリを製造する水和物スラリ製造熱交換器22を設置し、循環ポンプ31を有する水和剤の水溶液の循環回路32を設けて、水和剤の水溶液を循環させ冷却して水和物スラリを製造する。また、水和物スラリ製造熱交換器22と冷凍機2間には、ポンプ23を設けた冷却媒体(水)の循環回路24の配管が設けられており、水和剤の水溶液を冷却する。
【0027】
水和物スラリ蓄熱槽20とスラリポンプ6間の配管29と復路配管21aの間にバイパス管35が設けられているとともに、バイパス管35と復路配管21aに、それぞれ二方弁からなる調整弁36a,36bが設置され、空調機3側から戻る水溶液の一部を、バイパス管35および調整弁36aを介して配管29内に注入できるようになっている。
【0028】
また、スラリポンプ6の下流側に混合装置37が配置され、水和物スラリと水溶液との混合を行う。さらに混合装置37の下流側に、水和物スラリの固相分率を計測する固相分率計測手段40が設置されている。
【0029】
水和物スラリは粘度が大きく、特に水和物スラリ蓄熱槽20から空調機3側へスラリポンプ6により水和物スラリを払い出す際に、水和物スラリ蓄熱槽20とスラリポンプ6との間の吸い込み配管内での圧力損失が大きくなり、水和物スラリ蓄熱槽20の払い出し口で水和物スラリを吸い込むのに十分な吸引圧力を維持できないことがある。このような場合には、水和物スラリ中に水溶液の流路(以下、液みちという)が形成され、水和物スラリ蓄熱槽20から粘度の大きい水和物スラリを取り出せず、粘度の小さい水溶液だけを選択的に取り出すようになる問題が生じる。このように、吸い込み配管内の圧力損失が大きくなると水和物スラリ蓄熱槽20から水和物スラリを吸い込むことが困難となるため、スラリポンプ6の吸い込み口における圧力を大気圧以下に設定する必要がある。しかし、スラリポンプ6の圧力を大気圧以下にすると、水和物スラリ中の溶存空気がスラリポンプ6内部あるいは接続する配管内部で気泡となるキャビテーション現象が発生する。スラリポンプ6のロータなどの下流では圧力は大気圧以上となり気泡は消滅するが、その際、気泡の周囲の水がぶつかり合って局所的に著しい高圧を生じ、その機械的衝撃によってスラリポンプ6内面や配管内面が侵食される問題が生じる。そして、液みちは水和物スラリの流速が速い場合に形成されやすい。
【0030】
固相分率計測手段40は、図2のように水和物スラリ循環系内の空調負荷側へ向かう往路配管21bに両端が接続されて水和物スラリの一部を導入循環可能な小径配管からなる固相分率計測用循環系41と、固相分率計測用循環系41内に水和物スラリを導入するための定量ポンプ42と、固相分率計測用循環系41内に設置されたヒータ43と、ヒータ43の前後にそれぞれ配置された上流温度センサ44a及び下流温度センサ44bと、ヒータ43の下流側に設置されて固相分率計測用循環系41内の流量(水溶液流量)を検出する流量計45と、ヒータ43への供給電力を検出する電力計46と、固相分率演算手段47とから構成される。固相分率演算手段47では、各温度センサ44a,44bの検出温度と、電力計46で計測されたヒータ43により水和物スラリを加熱して完全融解するまでに使用した電力から算定された水和物スラリの熱量と、流量計45で計測された水溶液流量と、に基づいて水和物スラリの熱密度が算出される。さらに、予め温度と熱密度、ならびに温度と固相分率の関係が求められていて固相分率演算手段47にデータテーブルとして記憶されており、熱密度と固相分率の関係から水和物スラリ固相分率が算出される。
【0031】
また、臭化テトラn−ブチルアンモニウム(TBAB)の水和物には、潜熱量の相違する第一水和物(水和数26程度)と第二水和物(水和数36程度)が存在する。図4に示すように第一水和物スラリ、第二水和物スラリそれぞれについて、温度と熱密度、ならびに温度と固相分率の関係が予め求められていて、固相分率計測手段40の固相分率演算手段47にデータテーブルとして記憶されている。なお、第二水和物は第一水和物に比べて熱密度が大きいので、第二水和物を製造するような条件で製造することが好ましい。
【0032】
したがって、固相分率計測手段40により、水和物スラリの熱密度と温度を計測することで、第一水和物スラリ、第二水和物スラリが判別でき、それぞれの水和物スラリに対して予め求められた熱密度と固相分率の関係から水和物スラリの固相分率が算出される。
【0033】
また、固相分率計測手段40と監視室51とが電気的に接続され、固相分率演算手段47にて算出された固相分率が監視室51のモニタ51aに表示されるようになっていて、運転状況が安定していれば手動で水溶液と水和物スラリの混合比を設定することができるようになっている。
【0034】
また、固相分率計測手段40の固相分率演算手段47にて算出された固相分率はバルブコントローラ52にも送られるようになっている。バルブコントローラ52は、固相分率計測手段40から送られてきた固相分率に基づき、スラリポンプ6による水和物スラリの輸送動力が最小となるように、調整弁36a,36bの開度を調節して、注入する水溶液の量を調整し、水溶液と固相分率の高い水和物スラリの混合比を制御するように設定されている。
【0035】
前述の構成を有する本実施形態の水和物スラリ空調システムにおいて、深夜電力でポンプ23、冷凍機2、ポンプ10、及び冷却塔4を運転して冷水を製造し、水和物スラリ製造熱交換器22に冷水を循環させる。また、ポンプ31を運転して、水和物スラリ蓄熱槽20にある水溶液を水和物スラリ製造熱交換器22に流通させて冷却し、水和物スラリを製造して蓄熱槽1に貯える。このとき、冷凍機2から水和物スラリ製造熱交換器22へは3℃の冷却水が送られる。そして水和物スラリ製造熱交換器22を介して熱交換された冷却水は10℃の温度に昇温されて冷凍機2に戻ってきて、冷凍機2にて再び冷却される。
【0036】
翌日昼間、スラリポンプ6を運転して水和物スラリ蓄熱槽20から水和物スラリを取出し空調機3に水和物スラリを送って空調を実施する。このとき、固相分率計測手段40により算出した水和物スラリの固相分率が所定の範囲になるように、バルブコントローラ52は調整弁36a,36bの開度を調節し、スラリポンプ6にて水和物スラリ蓄熱槽20から輸送される水和物スラリと空調機3から戻ってきた水溶液を適当量、バイパス管35を通じて混合させる。空調機3へは5℃の水和物スラリが供給され冷房に供される。そして冷房に供された水和物スラリは、融解されて12℃の水溶液となり、水和物スラリ蓄熱槽20に戻る。
【0037】
空調機3へ輸送される水和物スラリの固相分率が所定範囲となるように復路配管21a内の水和物スラリが融解した水溶液の一部をバイパス管35を通じてスラリポンプ吸込側の往路配管29内に注入し混合するので、配管内の圧力損失を小さくでき、空調機3へ水和物スラリを輸送するときのスラリポンプ6の輸送動力を低減できる。以下、水和物スラリ固相分率の適正な所定範囲の設定方法について一例を挙げて説明する。
【0038】
図3にスラリポンプ6からの吐出し配管内に存在する水和物スラリの固相分率とスラリポンプ6の輸送動力との関係を示す。この図は、水和物スラリによる冷熱輸送量と同等の冷熱を冷水により輸送する場合の輸送動力を基準とした水和物スラリによる輸送動力をスラリポンプ動力比として表し、水和物スラリの固相分率との関係を実験により求めた結果を示している。配管50A、輸送熱量150kWの条件での結果を曲線1に示している。この図から明らかなように、水和物スラリの固相分率が9〜40%の範囲ではスラリポンプ動力比が1以下となり、冷水を用いる場合に比べて輸送動力が低減できる効果があることがわかる。
【0039】
固相分率が9%以下の範囲では、水和物スラリの熱密度が小さくなるため必要な輸送流量が大きくなるので、冷水搬送に対するスラリポンプ6の消費電力の低減メリットがなくなる。また、固相分率が40%以上の範囲では、水和物スラリの熱密度は大きくなって流量は減少するが、水和物スラリの粘性が大きくなるために、冷水搬送に対するスラリポンプ6の消費電力の低減メリットがなくなる。このように水和物スラリの固相分率が9〜40%になるようにバルブコントローラ52にて調整弁36a,36bの開度を調節することにより、水和物スラリに注入する水溶液量を調整することにより、水和物スラリを輸送するスラリポンプの輸送動力を低減でき、設備費、運転費を低減できる。
【0040】
特に、固相分率計測手段40の出力値が19〜30%になるようにバルブコントローラ52にて調整弁36a,36bの開度を調節することで、輸送動力を水に対して1/5程度にすることができ、ランニングコストを大幅に低減することができる。
【0041】
また、水和物スラリ空調システムにおいて、空調機3へ輸送する水和物スラリの輸送熱量が設定されて温度域と熱密度の領域が設定されると、それに最適な水溶液濃度が決定される。この水溶液濃度は、本システムが稼働している途中で変更することはできない。夏・冬の季節による負荷変動の転換時期に所望輸送熱量に合わせて水溶液濃度を調整する。その際、輸送動力比と水和物スラリ固相分率の関係は例えば図3の曲線2のように変化する。それに合わせてバルブコントローラ52にて調節する固相分率の所定範囲を決定する。これにより、季節に応じた輸送動力の最小化が可能となり、一年を通して省エネルギで冷水に対し有利な水和物スラリ空調システムが構築できる。
【0042】
なお、ここでは新規に水和物スラリ空調システムを構築する場合について説明したが、例えば既設の水蓄熱式空調システムを、空調負荷側への冷熱搬送蓄熱媒体として水和物スラリを使用できるようにリニューアルすることでも構築することができる。その場合、水和物スラリ製造熱交換器の設置や搬送ポンプ吸い込み側の配管を口径の大きい配管(搬送ポンプ出口配管口径の1.5倍以上の配管)に取り替え、水和物スラリの固相分率を所定範囲に調整する機構を前述の第1実施形態と同様に設けることにより、輸送動力を最小化することができる。また、水和物スラリは熱密度が大きいので、蓄熱槽の大きさや台数を減らすことが可能となり、この面でもコストの節減、スペースの有効利用を図ることができるなど、波及効果も大きい。このリニューアルに関しては以下の他の実施形態においても同様である。
【0043】
実施形態2.
図5は本発明の第2の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図であり、図中、前述の第1実施形態(図1)のものと同一部分には同一符号を付してある。
【0044】
本実施形態の水和物スラリ空調システムは、空調機3側から戻る水溶液の一部を、バイパス管35からスラリポンプ6の吸込み側の配管29内に注入させるための調整弁を、バイパス管35と復路配管21aとの接続部に設置した単一の三方弁からなる調整弁36cから構成した点に特徴を有し、それ以外の構成は全て前述の第1実施形態のものと同一で、第1実施形態の持つ機能を全て備えている。
【0045】
本実施形態の水和物スラリ空調システムにおいては、調整弁36cが単一構成からなるため、その分、配管構成がシンプルとなって、コスト低減に寄与するだけでなく、複数の調整弁を使用するときのような同期をとる必要がなくなって、バルブコントローラ52Aによる開度調節制御が容易となる。
【0046】
実施形態3.
図6は本発明の第3の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図であり、図中、前述の第1実施形態(図1)のものと同一部分には同一符号を付してある。
【0047】
本実施形態の水和物スラリ空調システムは、水和物スラリ蓄熱槽を使用せず、水和物スラリ循環系すなわち空調機3側の回路21内に直接水和物スラリを製造する水和物スラリ製造熱交換器22を接続した点に特徴を有し、それ以外の構成は基本的に第1実施形態のものと同一である。
【0048】
実施形態4.
図7は本発明の第4の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図であり、図中、前述の第2実施形態(図5)及び第3実施形態(図6)のものと同一部分には同一符号を付してある。
【0049】
本実施形態の水和物スラリ空調システムは、水和物スラリ蓄熱槽を使用せず、水和物スラリ循環系すなわち空調機3側の回路21内に直接水和物スラリを製造するヒートポンプの蒸発器からなる水和物スラリ製造熱交換器61を設置している点に特徴を有している。なお、62はヒートポンプの圧縮機、63は凝縮器、64は膨張弁である。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、空調負荷へ輸送する水和物スラリの固相分率を計測する固相分率計測手段と固相分率を調節する固相分率調整手段を設け、固相分率調整手段を、スラリポンプの吸入側の往路配管と復路配管を接続するバイパス管と、復路配管内の水和物スラリが融解した水溶液をバイパス管を通じて往路配管内に注入する注入量を調整する調整弁とから構成して、水和物スラリの固相分率を所定範囲内となるように調整するようにしたので、水和物スラリの粘度が最適になり、水和物スラリ吸引時にスラリポンプの吸込み口までの圧力損失で輸送配管の圧力損失が大きくなることがなくなって、スラリポンプの消費動力を最小化することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る水和物スラリ空調システムの固相分率計測手段の詳細を示す構成図である。
【図3】水和物スラリの固相分率とポンプ動力比(水との比較)の関係を示すグラフである。
【図4】水和物スラリの温度と熱密度と固相分率の関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る水和物スラリ空調システムを示す構成図である。
【図8】従来の水蓄熱式空調システムの構成図である。
【符号の説明】
3 空調機(空調負荷)
6 スラリポンプ
21 回路
21a 復路配管
29 往路配管
35 バイパス管
36a,36b,36c 調整弁
40 固相分率計測手段
Claims (4)
- 水和物スラリ製造装置と、水和物スラリの冷熱を利用する空調負荷と、水和物スラリを空調負荷へ輸送するスラリポンプと、空調負荷への往路配管と復路配管とからなる配管系を具備した水和物スラリ空調システムにおいて、
スラリポンプの吐出側の往路配管に設けた固相分率計測手段と、
空調負荷へ輸送する水和物スラリの固相分率が所定範囲となるように固相分率の計測値に基づき水和物スラリの固相分率を調整する手段とを備え、
該固相分率調整手段が、
スラリポンプの吸入側の往路配管と復路配管を接続するバイパス管と、
復路配管内の水和物スラリが融解した水溶液をバイパス管を通じて往路配管内に注入する注入量を調整する調整弁とを備えることを特徴とする水和物スラリ空調システム。 - 水和物スラリ貯槽を設け、水和物スラリ貯槽から水和物スラリを空調負荷へ輸送することを特徴とする請求項1記載の水和物スラリ空調システム。
- 既設の水蓄熱式空調システムまたは氷蓄熱式空調システムを空調負荷に水和物スラリを供給する水和物スラリ空調システムに改造する方法であって、
水和物スラリ製造装置を設け、
水和物スラリを空調負荷へ輸送するスラリポンプを設け、
スラリポンプの吐出側の往路配管に固相分率計測手段を設け、
空調負荷へ輸送する水和物スラリの固相分率が所定範囲となるように固相分率の計測値に基づき水和物スラリの固相分率を調整する手段を設け、
該固相分率調整手段を、
スラリポンプの吸入側の往路配管と空調負荷から戻る復路配管を接続するバイパス管と、
復路配管内の水和物スラリが融解した水溶液をバイパス管を通じて往路配管内に注入する注入量を調整する調整弁とから構成することを特徴とする既設空調システムの水和物スラリ空調システムへの改造方法。 - 水和物スラリ貯槽を設け、水和物スラリ貯槽から水和物スラリを空調負荷へ輸送することを特徴とする請求項3記載の既設空調システムの水和物スラリ空調システムへの改造方法。
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