第1の発明は、湯を貯える貯湯槽と、前記貯湯槽の下部から入水管路を介して送られた水を加熱する加熱手段と、前記入水管路に配設され、前記貯湯槽の下部の水を前記加熱手段に搬送する循環ポンプと、前記加熱手段で加熱された湯を前記貯湯槽の上部へと導入する出湯管路と、前記加熱手段に搬送される水に、スケール抑制剤を添加するスケール抑制手段と、制御装置とを備え、前記制御装置は、前記循環ポンプの運転時間に基づいて、前記スケール抑制剤の交換の必要性を報知する報知手段を有することを特徴とする給湯装置である。
これにより、同一の運転時間の給湯装置においても、循環ポンプの運転時間が多い方が、早くスケール抑制剤の交換の必要性を報知するようにしたことで、加熱手段の給湯熱交換器内のスケール生成による熱交換効率の低下やスケール詰まりによる給湯装置の運転の不具合が生じる前に、適切な時期に使用者にスケール抑制剤の交換の必要性を報知できるため、使用性の高い給湯装置を提供できる。
第2の発明は、特に第1の発明において、加熱温度が異なる複数の運転モードを有し、
前記加熱温度が高い運転モードで運転した場合と、前記加熱温度が低い運転モードで運転した場合とを比較した場合、前記加熱温度が高い運転モードで運転した場合の方が、短い前記循環ポンプの運転時間で、前記スケール抑制剤の交換の必要性を報知することを特徴とするものである。
これにより、運転モードの内容により、スケール抑制剤の消費量の多少を考慮し、循環ポンプの積算時間を算出するようにしているため、加熱手段の給湯熱交換器内のスケール生成による熱交換効率の低下やスケール詰まりによる機器の運転の不具合が生じる前に、適切な時期に使用者にスケール抑制剤の交換の必要性を報知できるため、使用性の高い給湯装置を提供できる。
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、前記入水管路上に配設された前記入水管路の一部を迂回させるバイパス回路と、前記入水管路を流れる流量と前記バイパス回路を流れる流量との流量比率を調整する流量調節手段とを備え、前記スケール抑制手段は、前記バイパス回路に前記スケール抑制剤を添加するとともに、前記バイパス回路側の流量比率が大きい値で運転した場合の方が、短い前記循環ポンプの運転時間で、前記スケール抑制剤の交換の必要性を報知することを特徴とするものである。
これにより、スケール抑制剤の消費量の多少を考慮し、循環ポンプの積算時間を算出するようにしているため、加熱手段の給湯熱交換器内のスケール生成による熱交換効率の低下やスケール詰まりによる機器の運転の不具合が生じる前に、適切な時期に使用者にスケール抑制剤の交換の必要性を報知できるため、使用性の高い給湯装置を提供できる。
第4の発明は、特に第1〜第3のいずれかの発明において、前記スケール抑制剤はポリリン酸塩を主成分とすることを特徴とするものである。
これにより、スケールの主成分である炭酸カルシウムに対して水に溶解したポリリン酸塩が作用して炭酸カルシウムの結晶改質を行い、通常の大きな菱面体ではなく、小さな球形結晶とすることができる。球形結晶は、菱面体結晶とは異なり結晶の凝集力が弱く、積層が困難なため、点凝集となり結晶の成長を阻害させることができるので、炭酸カルシウムのスケール化を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における給湯装置の構成図である。
図1に示す通り、給湯装置50の熱源である加熱手段55は、圧縮機51、給湯熱交換器52、減圧装置53および大気熱を吸熱する蒸発器54からなるヒートポンプサイクルを構成したヒートポンプユニットである。そして、高圧側の冷媒圧力が臨界圧力以上となる二酸化炭素を冷媒とする。
貯湯ユニット56に収納された貯湯槽57への給水は貯湯槽57下部に接続された給水管58を通ってなされ、貯湯槽57上部の高温の湯は給湯管路59を通り、給湯混合弁60で給水と混合することによって所定の温度の湯にしてから、給湯配管61を通って給湯端末(蛇口62)から給湯される。
また、貯湯槽57の下部から循環ポンプ63、入水管路64、給湯熱交換器52、出湯管路65および貯湯槽57の上部を順次接続することによって沸き上げ回路を構成し、貯
湯槽57から循環ポンプ63で送られてきた水は、給湯熱交換器52で高温冷媒と熱交換して加熱され、出湯管路65を介して貯湯槽57の上から貯留される。なお、給湯熱交換器52で加熱された湯水の温度は、出湯管路65に配設された温度検出手段66によって検出する。
さらに、入水管路64には、スケール抑制剤67を充填したスケール抑制手段68が設けられている。
そして、給湯装置50の運転を制御する制御装置70と給湯装置50の運転操作や設定を行い、設定状態や各種報知などを行うリモコン72が設けられている。
以上のように構成された給湯装置50について、以下にその動作、作用を説明する。
図1において、貯湯槽57を沸き上げる給湯加熱運転について説明する。いま、制御装置70より貯湯槽57を沸き上げる要求が発せられると、加熱手段55で大気熱を利用した給湯加熱運転を行う。
この場合、圧縮機51から吐出された臨界圧力以上の高温高圧の冷媒が給湯熱交換器52に流入し、ここで貯湯槽57の下部から送られてきた水と熱交換して放熱した後、減圧装置53で減圧し、さらに、蒸発器54で大気から熱を吸熱し、ガス化して圧縮機51に戻る。
この時、入水管路64を介して給湯熱交換器52に流入する水の流量は、給湯熱交換器52の出口温度(加熱温度)が所望の温度となるように、循環ポンプ63の回転数を制御することによって調節される。これにより、所定の温度の湯が貯湯槽57の上部から流入し貯留される。
このとき、入水管路64にスケール抑制剤67を充填したスケール抑制手段68が配設されているので、循環ポンプ63によって貯湯槽57の下部から送られてきた水は、スケール抑制手段68を備えた回路に流れる。スケール抑制手段68に流入し、スケール抑制剤67が溶解した水は、給湯熱交換器52に流入し、前述のように所定の温度になるように加熱される。
ここで、スケール抑制剤67としてポリリン酸塩を主成分とする粒子をスケール抑制手段68に充填しており、水に溶解したスケール抑制剤67は、給湯熱交換器52中で生成する炭酸カルシウムの結晶の成長を抑制し、スケールの発生を防止する。
ポリリン酸塩としてはトリポリリン酸ナトリウムやヘキサメタリン酸ナトリウムが代表的であるが、その他のポリリン酸塩を用いても良い。
また、本実施の形態ではスケール抑制剤67としてはポリリン酸塩を主成分とする粒子としているが、ホスホン酸やカルボン酸系高分子電解質等の低分子ポリマーを主成分とするものでも構わず、スケール抑制作用を有するものであれば良い。
次に、スケールの析出と水の温度の関係について説明する。図2は、横軸に水の温度をとり、縦軸にスケール成分の溶解度をとって、水に対するスケール成分の溶解度を説明する説明図である。図2に示すように、水の温度が高くなればなるほど、スケール成分(例えば、炭酸カルシウムなど)の溶解度は小さくなり、結晶化して水に析出する。
貯湯式の給湯装置の場合、主として、一日の給湯負荷に見合う分の湯を電気代の安い深
夜電力を利用して、貯湯槽57に貯留する。ここで、給湯負荷は、湯を使用する頻度と使用量が多く、外気温度の低い冬に大きく、逆に、外気温度の高い夏には小さい。
季節ごとに異なる給湯負荷に対しては、貯湯槽57に貯留する湯の加熱温度を変更(例えば、65℃から90℃)して対応する。すなわち、給湯負荷の大きい冬には、例えば85℃(〜90℃)程度で沸き上げて貯留し、給湯負荷の小さい夏は、冬よりも低い、例えば65℃〜70℃程度の加熱温度にて湯を貯留する。この加熱温度は、中間期には、その中間の温度となる。
よって、特に給湯熱交換器52内の水通路表面などに付着、堆積するスケールは、冬における沸き上げ運転のように、加熱温度が高い状況下で多く生じることとなる。
よって、スケールの析出が生じやすい運転条件、すなわち、加熱温度が高い条件において、水に溶解させるスケール抑制剤67の濃度を大きくすれば、スケールの析出を効果的に抑制することができる。
ここで、貯湯式の給湯装置の場合、一般に、加熱能力は外気温度が変化してもほぼ一定である。また、給湯装置への給水として使用される水道水の温度は、一般に外気温度が低いほど低くなる。図3は、横軸に加熱温度をとり、縦軸に加熱流量、すなわち、加熱手段55へと流入して加熱される水の流量をとって、加熱温度と加熱流量の関係を示した説明図である。
加熱手段55による加熱能力がほぼ一定であるとすると、図3に示すように、水道から給水される水の加熱温度は、加熱手段55に流入する水の流量(加熱流量)を調節して対応することができる。
例えば、加熱流量を小さくすることで、加熱手段55に水が滞留する時間が長くなるので、加熱流量が多い場合と比較して、単位流量あたりの水が高温の冷媒から得る熱量が多くなる。よって、加熱温度を高くすることができる。
したがって、図3に示すように、湯を生成する際の加熱温度が低いときよりも高いときの方が、加熱手段55へと流入する水の流量が小さくなるように、温度検出手段66の信号を受けた制御装置70による命令によって循環ポンプ63の回転数を制御する。これにより、様々な加熱温度に対応することができる。
また、加熱流量を小さくする、すなわち、加熱手段55に流入する水の流量を小さくすると、加熱流量が多い場合と比較して、入水管路64を流れる水がスケール抑制手段68内に滞留する時間が長くなる。
よって、水とスケール抑制剤67が接触する時間が長くなり、スケール抑制剤67の水への溶解量を多くすることができるので、加熱手段55へ流入する水に含まれるスケール抑制剤67の濃度を増大させることができる。
以上のように、スケールが析出しやすい状況、すなわち、加熱温度が高い運転条件において、加熱手段55に流入する水の流量が小さくなるように循環ポンプ63の回転数を制御すると、加熱温度を高くすることができるとともに、スケール抑制手段68において、スケール抑制剤67の単位流量あたりの水への溶解量を多くすることができる。
よって、給湯装置の運転条件に応じて、水に溶解するスケール抑制剤の濃度を調整することができるので、スケール抑制剤を浪費することなく、信頼性の高い給湯装置を提供す
ることができる。
なお、加熱温度と、加熱手段55への流入する水のスケール抑制剤濃度との関係は、図4の特性図に示すように、加熱温度が高くなるほどスケール抑制剤の濃度を高くするようにしてもよく、また、図5に示すように、段階的にスケール抑制剤の濃度が高くなるようにしてもよい。また、加熱温度が低いときよりも高いときに、加熱手段55に流入する水のスケール抑制剤67の濃度を大きくすることができるならば、図4、図5の特性図の形態に限定されることはない。
以上のように、スケールが発生しやすい条件である高い加熱温度のときに、加熱手段55に流入する水に含まれるスケール抑制剤67の濃度を大きくするので、スケール発生を抑えることができ、加熱温度によらず安定してスケール発生を抑制できる。よって給湯熱交換器52などの水回路の閉塞などを防止して安定的に運転可能な給湯装置50とすることができる。
また、加熱温度に応じて適切にスケール抑制剤67の濃度を調節するので、スケール抑制剤67を過不足なく有効に消費していくことができ、スケール抑制剤67の交換のメンテナンスを減少でき、その維持コストも低減することができる。
次にスケール抑制剤67の交換報知に関して説明する。
スケール抑制剤67は標準的な湯の使用で約1年分を充填しており、無くなると交換が必要である。しかしながら、使用者によって湯の使用量は大きく異なり、1年もたない場合もあれば数年もつ場合もある。
スケール抑制剤67が無くなったことに気づかず使い続けると、給湯熱交換器52がスケール詰まりを起こして故障に至る。逆にスケール抑制剤67が多く残った状態で交換を行ってしまうと、交換のメンテナンスや維持コストが無駄に多く掛かってしまう。
そのため、スケール抑制剤67の消費量を制御装置70にて自動で推定し、残量が少なくなったと判断されると、リモコン72に交換報知を行うようにしている。リモコン72での交換報知の例を図6に示す。
スケール抑制剤67の消費量の推定方法は以下のようにしている。
スケール抑制手段68に水が流れるとスケール抑制剤67は消費されるが、スケール抑制手段68に水を流すためには必ず循環ポンプ63を運転することになる。そのため、スケール抑制剤67の消費量の予測には循環ポンプ63の運転時間を用いる。
制御装置70は、循環ポンプ63が運転されると運転時間を積算していく。この値が予め決められた判定時間を越えると、スケール抑制剤67の残量が少なくなったと判断し、リモコン72に交換報知を行う。
スケール抑制剤67がメンテナンスにて交換された場合には、リモコン72にて、循環ポンプ運転時間の積算値のリセットを行うとともに、リモコン72の交換報知を消す。また、循環ポンプ63の運転時間の積算開始や中止もリモコン72にて行える。
これにより、同一の運転時間の給湯装置においても、循環ポンプ63の運転時間が多い方が、早くスケール抑制剤の交換の必要性を報知するようにしたことで、スケール抑制剤67の消費量が的確に推定され、スケール抑制剤67の交換を判断し報知を行うので、給
湯熱交換器52内のスケール生成による熱交換効率の低下や、スケール詰まりによる給湯装置の故障が発生するより前で、かつ、スケール抑制剤67を未使用で多く余らせることのない適切なタイミングで、スケール抑制剤67の交換報知を行うことができ、交換のメンテナンスや維持コストを低減させることができる。
また、スケール抑制剤67はポリリン酸塩を主成分とする粒子で構成されるものであり、これにより、スケールの主成分である炭酸カルシウムに対して水に溶解したポリリン酸塩が作用して炭酸カルシウムの結晶改質を行い、通常の大きな菱面体ではなく小さな球形結晶とするため、結晶の凝集力が弱くなることで結晶の成長を阻害させ、炭酸カルシウムのスケール化を抑制することができる。
また、加熱手段55は圧縮機51、給湯熱交換器52、減圧装置53、蒸発器54とからなるヒートポンプサイクルで構成され、水の沸き上げは給湯熱交換器52において圧縮された高温冷媒と水とが熱交換することで行われる。このヒートポンプサイクル中を冷媒が循環して放熱と吸熱を繰り返すことで効率的な水の沸き上げが実現でき、給湯装置50の省エネルギー化を図ることができる。
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における給湯装置の構成図、図8は同実施の形態における加熱温度に対する特性図である。
本実施の形態において、実施の形態1と同一の部分については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図7に示すとおり、給湯装置50の入水管路64には循環ポンプ63が配置されており、貯湯槽57から給湯熱交換器52に流れる水量を調整している。
また、出湯管路65には流路を切り換える三方弁81が接続され、三方弁81の一方の出口側接続口は貯湯槽57の上部に接続される管路65aに接続され、もう一方の出口側接続口は貯湯槽57の下部に接続される管路65bに接続されている。
さらに、加熱手段55を形成するヒートポンプユニットには、外気温度を測定する外気温度測定手段80が設けられている。
なお、外気温度測定手段80は、蒸発器54に流入する空気の温度を検知することができるように、ヒートポンプユニットを構成する蒸発器54に配設され、かつ、蒸発器54に流入する気流に対して最も風上に配設されている。
以上のように構成された給湯装置について、以下にその動作、作用を説明する。
循環ポンプ63の動作は、温度検出手段66の信号を受けた制御装置70による命令によって適宜調整される。
ここで、図8に示すように加熱温度に応じて流量を変更する。流量を変更することでスケール抑制手段68における水の滞留時間が変化するので、水へのスケール抑制剤67の溶解量が変わる。つまり、循環ポンプ63によって、加熱手段55に流入する水に含まれるスケール抑制剤67の濃度を調節することが可能となる。
本実施の形態では、図8のように加熱温度が低いときよりも高いときに循環ポンプ63により加熱流量を小さくして、スケール抑制剤67の濃度を大きくしている。
ここで、一般的に給湯装置50が設置されるときの外気温度により、給水管58を介して供給される水の市水(入水)温度は変化する。
すなわち、外気温度が高いときは市水(入水)温度も高くなり、外気温度が低い時は市水(入水)温度が低くなる。また、外気温度が高い時よりも低い時のほうが、使用される湯量が多く、また、使用される湯の温度が高いため、加熱温度を高くして、貯湯槽57に高温の湯を多く貯湯する必要がある。
このように、外気温度の高低によって、加熱温度の目標値は変化する。例えば、外気温度が低いとき(外気温度A)は、外気温度が高いとき(外気温度B)よりも、加熱温度を高くする。このとき、加熱手段55にて、高温の冷媒から単位流量あたりの水へと放熱される熱量を大きくするため、図8の外気温度Aの条件に示すように、外気温度Bの条件と比較して流量が小さくなるように循環ポンプ63の回転数を制御する。
また、外気温度測定手段80で測定される外気温度が高い時は、加熱温度を低くして、加熱手段55による加熱量を小さくすることができる。よって、図8に示すように、給湯熱交換器52における水の滞留時間を短くするため、循環ポンプ63の回転数を大きくして、加熱手段55へと搬送される水の流量を大きくする。
以上のように、外気温度に応じて、循環ポンプ63によって加熱流量を調整することで、加熱温度の高低を調整することができる。
また、外気温度に応じて加熱流量を調整することで、図8に示すように、加熱手段55に流入する水に含まれるスケール抑制剤67の濃度を調整することができる。
すなわち、外気温度が高い(外気温度B)条件においては、外気温度が低い(外気温度A)条件と比較して、循環ポンプ63の回転数を多くすることで水の流量を増大させるので、スケール抑制手段68において水の滞留時間が短くなり、スケール抑制剤67の濃度を低くすることができる。
一方、外気温度が低い(外気温度A)条件においては、外気温度が高い(外気温度B)条件と比較して、循環ポンプ63の回転数を小さくすることで水の流量を減少させるので、スケール抑制手段68において水の滞留時間が長くなり、スケール抑制剤67の濃度を高くすることができる。
なお、加熱手段55に流入する水に含まれるスケール抑制剤67の濃度の決定は、例えば井戸水などの高硬度水を給水に利用する場合、給水管58に配設され、給水の硬度を検出する硬度検出手段71の検出値に基づいて行ってもよい。
給水の硬度が高ければ、それに応じて、スケール生成を抑制できる濃度とするために、制御装置70が循環ポンプ63の回転数を調整する。なお、給水硬度は利用者が直接、制御装置70を備えた給湯装置50のリモコン72に入力する構成としてもよい。
また、給湯熱交換器52内にスケールが付着および生成する主な要因は、給水硬度と貯湯槽57に貯留する貯湯温度(加熱温度)であり、給水硬度が高いとき、また、加熱温度が高いときにスケールが発生しやすい。
そこで、給水硬度及び加熱温度とスケール生成を抑制できるスケール抑制剤67の濃度との関係をリモコン72に記憶させておいても良い。
次に、入水管路64、出湯管路65、加熱手段55の凍結防止運転と、その時のスケール抑制剤67の交換報知に用いる循環ポンプ63の運転時間の積算方法について説明する。
外気温度が0℃以下になり給湯加熱運転も行われていない状態が続くと、そのままでは入水管路64、出湯管路65、加熱手段55の内部の水が凍結してしまい、給湯加熱運転ができなくなってしまう。
さらには、配管や接続部の破損に至ってしまうこともある。そのため、外気温度測定手段80が0℃以下などの低い温度を検出した場合で、給湯加熱運転を行っていない場合には凍結予防運転を行うようにしている。
凍結予防運転時には三方弁81を出湯管路65の先が管路65bに接続されるように切り換え、貯湯槽57の下部に水を戻せるようにする。そして、加熱手段55は停止したまま循環ポンプ63を運転し、入水管路64、出湯管路65、加熱手段55に水を循環することで凍結を防止する。
この場合、循環流量は凍結が予防できればよいだけなので少なくてよく、循環ポンプ63の回転数は非常に小さなものでよい。凍結予防運転時には加熱は行わないためスケールの発生はなく、本来はスケール抑制剤67の添加は不要であるが、循環ポンプ63を運転すると、水はスケール抑制手段68を通過するため、スケール抑制剤67を消費してしまう。
しかしながら、給湯加熱運転時と比べ、加熱温度が低く、同じ運転時間でもスケール抑制剤67の消費量は少なくなる。そのため、スケール抑制剤67の交換報知に用いる循環ポンプ63の運転時間を、凍結予防運転時には少なくなるよう補正係数(例えば0.5)を掛けた上で算入するようにしている。
以上、本実施の形態における給湯装置50は、入水管路64上に循環ポンプ63を設け、外気温度の高低に応じて循環ポンプ63で流量を調節し、加熱手段55に流入する水に含まれるスケール抑制剤67の濃度を変更するものである。
これにより、加熱流量を大きくすることでスケール抑制手段68における水の滞留時間が短くなるのでスケール抑制剤67の濃度を小さくでき、一方、加熱流量を小さくすることでスケール抑制剤67の濃度を大きくすることが可能となる。
また、加熱流量を大きくすることで給湯熱交換器52における水の滞留時間が短くなるので、加熱温度を低くすることができ、一方、加熱流量を小さくすることで加熱温度を高くすることが可能となる。
つまり、加熱流量を大きくするとスケール抑制剤67の濃度が小さく、かつ、加熱温度を低くすることができ、加熱流量を小さくするとスケール抑制剤67の濃度が大きく、かつ、加熱温度を高くすることができるので、加熱流量を循環ポンプ63の回転数を調節することで外気温度に応じたスケール抑制剤67の濃度を適宜調整することができる。
また、凍結予防運転のようにスケール抑制剤67の消費量が少ない運転の場合には、循環ポンプ63の運転時間に補正係数を掛けた上で積算時間に算入するようにしている。
すなわち、加熱温度が高い給湯加熱運転で運転した場合と、加熱温度が低い凍結予防運
転で運転した場合とを比較した場合、加熱温度が高い加熱温度が高い給湯加熱運転で運転した場合の方が、短い循環ポンプ63の運転時間で、スケール抑制剤67の交換の必要性を報知するようにしている。
なお、給湯加熱運転時にも入水温度や加熱温度によって循環ポンプ63の回転数は異なり、同じ運転時間でもスケール抑制剤67の消費量は異なるため、入水温度や加熱温度によって補正係数を掛けた上で積算時間への算入を行ってもよく、交換報知の精度の向上を図ることができる。
よって、給湯装置の運転条件に応じてスケール生成を抑制することができ、かつ、スケール抑制剤67の浪費を防止した、信頼性に優れた給湯装置を提供することができるとともに、スケール抑制剤67の消費量をより精度よく推定することができるため、給湯熱交換器52内のスケール生成による熱交換効率の低下やスケール詰まりによる機器故障が発生するより前で、かつ、スケール抑制剤67を未使用で多く余らせることのない適切なタイミングで、スケール抑制剤67の交換報知を行うことができ交換のメンテナンスや維持コストを低減させることができる。
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3における給湯装置の構成図である。本実施の形態において、他の実施の形態と同一の部分については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図9において、給湯装置の熱源である加熱手段55は、圧縮機51、給湯熱交換器52、減圧装置53および大気熱を吸熱する蒸発器54からなるヒートポンプサイクルを構成したヒートポンプユニットである。そして、高圧側の冷媒圧力が臨界圧力以上となる二酸化炭素を冷媒とする。
貯湯ユニット56に収納された貯湯槽57への給水は、貯湯槽57の下部に接続された給水管58を通ってなされ、貯湯槽57上部の高温の湯は給湯管路59を通り給湯混合弁60で給水と混合することによって所定の温度の湯にしてから、給湯配管61を通って蛇口62などの給湯端末から給湯される。
また、貯湯槽57の下部から循環ポンプ63、入水管路64、給湯熱交換器52、出湯管路65、三方弁81、管路65aおよび貯湯槽57の上部を順次接続することによって沸き上げ回路を構成し、入水管路64に配設された循環ポンプ63によって、貯湯槽57から搬送された水は、給湯熱交換器52において高温の冷媒により加熱されて貯湯槽57の上から貯留される。
また、給湯熱交換器52の水側出口に接続された出湯管路65には、加熱手段によって加熱された湯の温度、すなわち加熱温度を検出する温度検出手段66が設けられている。
さらに、入水管路64において、入水管路64の一部を迂回させる別の入水管路であるバイパス回路74を並列に設け、このバイパス回路74上に、スケール抑制剤67を充填したスケール抑制手段68が設けられている。
これにより、スケール抑制手段68が設けられていない入水管路64が主回路となり、スケール抑制手段68が配置されたバイパス回路74は、入水管路64の副回路を形成することとなる。
以上のように構成された給湯装置について、以下にその動作、作用を説明する。
図9において、貯湯槽57を沸き上げる給湯加熱運転について説明する。貯湯槽57に蓄えられた水を沸き上げる要求があると、加熱手段55であるヒートポンプユニットで大気熱を利用した給湯加熱運転を行う。
この場合、圧縮機51から吐出された臨界圧力以上の高温高圧の冷媒は、給湯熱交換器52へと流入し、ここで貯湯槽57の下部から送られてきた水と熱交換し放熱した後、減圧装置53で減圧され、さらに、蒸発器54で大気から熱を吸熱し、ガス化して圧縮機51に戻る。
このとき、温度検出手段66にて検出される給湯熱交換器52の出口温度(加熱温度)が所定温度となるように循環ポンプ63の回転数を制御することで、給湯熱交換器52にて、貯湯槽57の下部から入水管路64を通って送られてきた水が加熱され、所定の温度の湯となり、貯湯槽57の上部から流入し貯留される。
ここで、スケール抑制剤67を充填したスケール抑制手段68を備えたバイパス回路74が入水管路64に並列に接続されているので、循環ポンプ63によって貯湯槽57の下部から送られてきた水の一部は、接続部Aでスケール抑制手段68を備えたバイパス回路74側に流れ、残りは入水管路64側に流れる。
そして、バイパス回路74側に流れた水は、スケール抑制手段68に流入し、スケール抑制剤67が溶解され、その後、接続部Bで、入水管路64に流れた水と混合する。接続部Bで入水管路64を流れた水と混合され、スケール抑制剤67が溶解した水は、給湯熱交換器52に流入して、所定の温度になるように加熱される。
このとき、水に含まれるスケール抑制剤67は、特に給湯熱交換器52中で生成する炭酸カルシウムなどの結晶の成長を抑制し、スケールの発生を防止する。
図2は、横軸に水の温度をとり、縦軸にスケール成分の溶解度をとって、水に対するスケール成分の溶解度を説明する説明図である。図2に示すように、水の温度が高くなればなるほど、スケール成分(例えば、炭酸カルシウムなど)の溶解度は小さくなり、結晶化して水に析出する。
また、前述のように、貯湯式の給湯装置においては、給湯負荷は、湯を使用する頻度と使用量が多く、外気温度の低い冬に大きく、逆に、外気温度の高い夏には小さい。
季節ごとに異なる給湯負荷に対しては、貯湯槽57に貯留する湯の加熱温度を変更して対応する。すなわち、給湯負荷の大きい冬には、給湯負荷の小さい夏よりも高い、例えば85℃(〜90℃)程度の加熱温度にて湯を貯留する。
以上から、特に給湯熱交換器52内の水通路表面などに付着、堆積するスケールは、外気温度が低い冬の沸き上げ運転のように、加熱温度が高い運転条件で多く生じることとなる。
よって、スケールの析出が生じやすい運転条件、すなわち、加熱温度が高い条件において、水に溶解させるスケール抑制剤67の濃度を大きくすれば、スケールの析出を効果的に抑制することができる。
ここで、貯湯式の給湯装置の場合、一般に、加熱能力は外気温度が変化してもほぼ一定である。また、給湯装置への給水として使用される水道水の温度は、一般に外気温度が低
いほど低くなる。図3は、横軸に加熱温度をとり、縦軸に加熱流量、つまり、加熱手段55にて加熱される水の流量をとって、加熱手段55による加熱能力が一定の場合の加熱温度と加熱流量の関係を示した説明図である。
加熱手段55による加熱能力が一定であるとすると、図3に示すように、水道から給水される水の加熱温度は、加熱手段55に流入する水の流量(加熱流量)を調節して対応することができる。例えば、加熱流量を小さくすることで、加熱流量が大きい場合と比較して、加熱手段55に水が滞留する時間が長くなるので、単位流量あたりの水が高温の冷媒から得る熱量が多くなる。よって、加熱温度を高くすることができる。
したがって、湯を生成する際の加熱温度の目標値が低いときよりも高いときの方が、加熱手段55へと流入する水の流量が小さくなるように、温度検出手段66の信号を受けた制御装置70による命令によって循環ポンプ63の回転数を制御する。これにより、様々な加熱温度を実現することができる。
以上のように、加熱温度が高い方が、スケールが生成しやすく、給湯熱交換器52の水側流路表面に付着しやすいことになる。よって、スケールの生成と、特に給湯熱交換器52の水側流路表面への付着とを防止するためには、加熱温度が高いときに給湯熱交換器52内へと流入する水に含まれるスケール抑制剤の濃度、すなわち、水の単位質量あたりに含まれるスケール抑制剤の質量を大きくすればよい。
図10は、バイパス回路74と入水管路64を流れる流量とそのときのスケール抑制剤67の濃度を説明する説明図である。図10(a)は加熱流量が小さく、加熱温度が高い場合であり、図10(b)は加熱流量が大きく、加熱温度が低い場合である。
バイパス回路74は、入水管路64の途中にある接続部Aと接続部Bとに接続(接続部AがBよりも上流側)されている。そして、バイパス回路74はスケール抑制剤67を収納したスケール抑制手段68を備えている。
接続部Aで分流した入水管路64側に流れる流量とバイパス回路側に流れる流量を、図10(a)の場合はそれぞれJ1、K1とし、図10(b)の場合はそれぞれJ2、K2とする。また、スケール抑制手段68の出口部Cを出たあとのスケール抑制剤67の濃度を、図10(a)の場合はN1(C)とし、図10(b)の場合はN2(C)とする。
ここで、図10(a)の場合は、図10(b)の場合に比べ流量が小さいので、加熱流量が小さくなるためにスケール抑制手段68内の流速が小さくなる。したがって、スケール抑制手段68内に流入した水とスケール抑制剤67とが接触する時間が長くなり、その結果、スケール抑制手段68を出た後の濃度は図10(a)の方が大きくなる。すなわち、以下の関係となる。
また、接続部Bの下流側のスケール抑制剤67の濃度を、図10(a)の場合はN1(B)とし、図10(b)の場合はN2(B)とすると、以下の関係式が得られる。
さらに、入水管路64側とバイパス回路74側に流れる流量の分流比率を、
とすると、接続部Bの下流側のスケール抑制剤67の濃度とスケール抑制手段68の出口部Cを出たあとのスケール抑制剤67の濃度との関係は次のようになる。
以上の(式1)、(式5)より、給湯熱交換器52に流入する接続部Bの下流側でのスケール抑制剤67の濃度の関係は、以下のようになる。
(式6)からわかるように、流量が小さい方が、給湯熱交換器52に流入するスケール抑制剤67の濃度が大きくなる。流量が小さい方が、加熱温度が高く、スケールが生成され易い条件であるが、スケール抑制剤67の濃度を大きくすることができ、給湯熱交換器52などへのスケール付着を抑制することができる。
よって、図9および図10に示すような、分流比率を設定することが可能なバイパス回路74によって、貯湯槽57下部から入水管路64を流れる水を分流することにより、スケール抑制手段68に流入する水の流量を適宜調整することが可能となり、これにより、スケール抑制剤67の水への溶解量を調整することができる。
図11は、バイパス回路74側と入水管路64側とへ流れる水の流量の分流比率を設定する方法を説明する説明図である。
図11(a)は、入水管路64の接続部Aと接続部B間の流路抵抗を、例えば管路断面積をバイパス回路74とは異なるように構成することで変化させ、これにより点AB間の圧力損失を設定して、その差圧に応じて分岐流量の分流比率を決定することができるようにしたものである。
なお、スケール抑制手段68の流路抵抗が大きい場合には、図11(b)に示すように、スケール抑制手段68を備えたバイパス回路74側に流体の動圧がかかる構成とし、点AB間の入水管路64の形状を変更することで、点AB間の圧力損失を設定し、その差圧
に応じて分岐流量の分流比率を必要に応じて決定することができる。
以上のように、貯湯槽57下部からの湯水の一部を分岐して、これにスケール抑制剤67を溶解させ、その他の湯水はそのまま給湯熱交換器52に流入するので、スケール抑制剤の浪費を防止することができる。よって、スケール抑制剤の寿命が長くなり、その交換や補充などのメンテナンスや維持コストを低減させるという効果がある。
すなわち、本実施の形態における給湯装置においても、給湯加熱運転時と比べ、加熱温度が低いため、同じ運転時間でもスケール抑制剤67の消費量は少なくなる凍結予防運転の場合には、循環ポンプ63の運転時間に補正係数を掛けた上で積算時間に算入するようにしている。
すなわち、加熱温度が高い給湯加熱運転で運転した場合と、加熱温度が低い凍結予防運転で運転した場合とを比較した場合、加熱温度が高い加熱温度が高い給湯加熱運転で運転した場合の方が、短い循環ポンプ63の運転時間で、スケール抑制剤67の交換の必要性を報知するようにしている。
また、給湯加熱運転時にも入水温度や加熱温度によって循環ポンプ63の回転数は異なり、同じ運転時間でもスケール抑制剤67の消費量は異なるため、入水温度や加熱温度によって補正係数を掛けた上で積算時間への算入を行ってもよく、交換報知の精度の向上を図ることができる。
(実施の形態4)
図12は、本発明の実施の形態4における給湯装置の構成図である。
本実施の形態において、他の実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施の形態における給湯装置は、図12に示すように、入水管路64の接続部Aと接続部Bの間に流量調節手段69を備え、また、流量調節手段69の動作を制御する制御装置70を備えている。
流量調節手段69としては、例えば、給湯装置で一般に使用されている流量制御弁を用いることができ、ステッピングモータを駆動させることによって、流体が通過する流路断面積を変えることによって流量を調節することができる。
以上のように構成された給湯装置について、以下にその動作、作用を説明する。
図12において、接続部Bの下流におけるスケール抑制剤67の濃度を所定の濃度に変更する場合、流量調節手段69の流路抵抗を変更(例えば、流路断面積を変更)し、接続部Aと接続部Bの間の圧力損失を変更することによって、スケール抑制手段68側に分岐して流れる流量(分岐流量)の比率を変更する。
すなわち、流量調節手段69の流路抵抗を大きく(例えば、弁開度を小さくすることで流路断面積を小さく)すると、接続部Aと接続部Bの間の圧力損失が大きくなるので、分岐流量の比率が大きくなり、逆に、流量調節手段69の流路抵抗を小さく(例えば、流路断面積を大きく)することで、分岐流量比率を小さくすることができ、これによって、流量を調整することができる。
給湯熱交換器52内にスケールが付着、成長する要因としては、貯湯槽57に貯留する
温度(加熱温度)がある。加熱温度が高い方がスケールの生成と成長が大きい。
そこで、温度検出手段66によって加熱温度を検出し、加熱手段55への流入する湯水に含まれるスケール抑制剤67の濃度が、加熱温度に対するスケールの生成と成長が抑制されるような濃度となるように、加熱温度に基づいて分岐流量の比率を設定すればよい。
このとき、スケールの生成と成長がない湯水のスケール抑制剤67の濃度と、加熱温度との関係を事前に求めておき、この関係をリモコン72に記憶させるようにしても良い。
なお、分岐流量の比率は流量調節手段69を調節することで行うが、必要な流量は循環ポンプ63の回転数を調整することで得ることができる。
このように、加熱温度に応じて、流量調節手段69を一つ使用するだけで、スケールの生成を抑制することが可能なスケール抑制剤67の濃度を設定できるので、給湯装置の運転条件に応じて、加熱手段55へ流入する水のスケール抑制剤67の濃度を適切に調整することができる。
よって、スケールの析出および付着を長期にわたって防止する信頼性に優れた給湯装置を提供することができ、スケール抑制剤67の寿命が長くなり、その交換や補充などのメンテナンスや維持コストを低減することができるという効果がある。
なお、貯湯槽57に貯留される温度(加熱温度)は、一般的に、65〜90℃程度である。そして、加熱温度が高い方が、スケールの生成と成長が大きいが、加熱温度が65℃前後であれば、スケールの生成は小さく、成長もほとんど無い。
よって、このような加熱温度条件に相当する加熱流量のとき、スケール抑制剤67の濃度を最小にするように、制御装置70が、流量調節手段69を調整する構成とすればよい。
すなわち、流量調節手段69の流路抵抗を最小(流量調節手段69の流体が通過する流路断面積を最大)になるように制御する。
次に、スケール抑制手段68側に分岐して流れる流量(分岐流量)の比率を変更した場合のスケール抑制剤67の交換報知に用いる循環ポンプ63の運転時間の積算方法について説明する。
前述の通り、本構成では、スケールの生成がほとんどないとされる加熱温度65℃前後の場合には、流量調節手段69を調整することでスケール抑制手段68側に流れる流量を抑え、スケール抑制剤67の消費を抑えることができる。
また、スケールの生成が全くない凍結予防運転時には、スケール抑制手段68側に流れる流量を最小にするとともに、循環ポンプ63の回転数も低くすることでスケール抑制剤67の消費をほとんどなくすことができる。
そのため、スケール抑制剤67の交換報知に用いる循環ポンプ63の運転時間を運転内容と流量調節手段69によるスケール抑制手段68側への流量比率によって少なくなるよう補正係数を掛けた上で算入するようにしている(例えば加熱温度が65℃の時には0.4、凍結予防運転時には0.2など)。
すなわち、スケール抑制手段68側に水が多く流れた場合の方が、短い循環ポンプ63
の運転時間で、スケール抑制剤67の交換の必要性を報知するようにしている。
このように、スケールの生成が小さく、成長もほとんど無いような給湯加熱運転の場合や凍結予防運転の場合には、スケール抑制剤67の濃度を最小に設定できるので、添加剤の寿命を長くすることができるとともに、スケール抑制剤67を未使用で多く余らせることのない適切なタイミングで、スケール抑制剤67の交換報知を行うことができるため、その交換や補充などのメンテナンスや維持コストを小さくできるという効果がある。
(実施の形態5)
図13は、本発明の実施の形態5における給湯装置の構成図である。本実施の形態において、他の実施の形態と同一部分については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図13に示すように、2つの出口側流路の断面積を変えることによって、2つの出口側流路に流れる流量を調節できる流量調節手段69(三方弁)を接続部Aに設ける。すなわち、入口側は貯湯槽57側の入水管路64に接続し、2つの出口側の一方は加熱手段55側の入水管路64側に、他方はバイパス回路74側に接続する。
制御装置70は、それぞれの出口側の流量が必要な分流比率となるように、流量調節手段69の動作を制御する。
流量調節手段69としては、例えば、給湯装置で一般に使用されている混合弁を用いることができ、ステッピングモータを駆動させることによって、流体が通過する出口側の流路断面積を変えることによって流量を変更するものである。
以上のように構成された給湯装置について、以下にその動作、作用を説明する。
図13に示す給湯装置において、接続部Bの下流における水のスケール抑制剤67の濃度を所定の濃度に変更する場合、流量調節手段69の流路抵抗を変更(例えば、流路断面積を変更)する。
これにより、バイパス回路74側(スケール抑制手段68側)に分岐して流れる流量(分岐流量)と入水管路64を流れる流量(分岐流量)の比率を変更することができる。すなわち、流量調節手段69によって、入水管路64を流れる流量とバイパス回路74を流れる流量の双方を適宜調整する。
給湯熱交換器52内にスケールが付着、成長する要因としては、貯湯槽57に貯留する温度(加熱温度)がある。加熱温度が高い方がスケールの生成と成長が大きい。
そこで、温度検出手段66によって加熱温度を検出し、加熱手段55への流入する湯水に含まれるスケール抑制剤67の濃度が、スケールの生成と成長が抑制される濃度となるように、流量調節手段69によって、加熱温度に基づいて分岐流量の比率を設定すればよい。
このとき、スケールの生成と成長が抑制することが可能な水のスケール抑制剤67の濃度と、加熱温度との関係を事前に求めておき、この関係をリモコン72に記憶させるようにしても良い。
また、スケールの生成が全くない凍結予防運転時には、バイパス回路74側(スケール抑制手段68側)に分岐して流れる流量(分岐流量)が全閉となるように、流量調節手段
69を動作させ、スケール抑制手段68側に流れる流量を0にすることでスケール抑制剤67の消費をなくすこともできる。
なお、分岐流量の比率は、流量調節手段69を調節することで行うが、必要な流量は循環ポンプ63の回転数を調整することで得ることができる。
次に、スケール抑制手段68側に分岐して流れる流量(分岐流量)の比率を変更した場合のスケール抑制剤67の交換報知に用いる循環ポンプ63の運転時間の積算方法について説明する。
前述の通り、本構成では、スケールの生成がほとんどないとされる加熱温度65℃前後の場合には流量調節手段69を調整することで、スケール抑制手段68側に流れる流量を抑え、スケール抑制剤67の消費を抑えることができる。
さらに、スケールの生成が全くない凍結予防運転時にはスケール抑制手段68側に流れる流量を0にすることで、スケール抑制剤67の消費をなくすことができる。
そのため、スケール抑制剤67の交換報知に用いる循環ポンプ63の運転時間を運転内容と流量調節手段69によるスケール抑制手段68側への流量比率によって少なくする、もしくは0とするよう補正係数を掛けた上で算入するようにしている(例えば加熱温度が65℃の時には0.4、凍結予防運転時には0など)。
すなわち、スケール抑制手段68側に水が多く流れた場合の方が、短い循環ポンプ63の運転時間で、スケール抑制剤67の交換の必要性を報知するようにしている。
このように、加熱温度に応じて、スケールの生成が起こらないスケール抑制剤67の濃度を設定できるので、給湯装置の運転条件に応じて、加熱手段55へ流入する湯水のスケール抑制剤67の濃度を適切に調整することができ、また、凍結予防運転時にはスケール抑制剤の消費を0にすることもできるので、スケールの析出および付着を長期にわたって防止する信頼性に優れた給湯装置を提供することができる。
また、スケール抑制剤67の寿命を長くすることができるとともに、スケール抑制剤67を未使用で多く余らせることのない適切なタイミングでスケール抑制剤67の交換報知を行うことができるため、その交換や補充などのメンテナンスや維持コストを低減することができるという効果がある。