JP2014081115A - 給湯装置 - Google Patents

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昌宏 尾浜
Munetaka Yamada
宗登 山田
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吉継 西山
Mitsuhiro Sano
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Abstract

【課題】運転条件に応じて、効率的にスケールの生成を抑制することが可能な給湯装置を提供すること。
【解決手段】貯湯槽57の下部から入水管路64を介して送られた水を加熱する加熱手段55と、入水管路64に配設され、貯湯槽57の下部の水を圧送する循環ポンプ63と、加熱手段55で加熱された水を貯湯槽57の上部へと導入する出湯管路65と、入水管路64上に配設され、加熱手段55に圧送される水にスケール抑制剤67を添加するスケール抑制手段68と、を備え、外気温度が高いときよりもが低いときの方が、加熱手段55に流入する水に含まれるスケール抑制剤67の濃度を大きくすることを特徴とするもので、給湯装置の運転条件によってスケール抑制剤67の水への溶解度を調整することができるので、スケール抑制剤67を浪費することなく、スケールの生成を効率的に抑制することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、スケール抑制手段を備えた給湯装置に関するものである。
従来、この種の給湯装置として、貯湯槽に溜めた高温の湯を用いて給湯を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
図10は、特許文献1の図1に記載された従来の給湯装置を示すものである。図10に示すように、この給湯装置は、ガスクーラ(給湯熱交換器)1を有するヒートポンプユニット2と、ガスクーラ1にて沸き上げられた湯水が貯留される貯湯タンク3を有する貯湯ユニット4とから構成されている。
また、ヒートポンプユニット2の冷媒循環路は、圧縮機5、ガスクーラ1、膨張弁(減圧装置)6、蒸発器7などから構成され、貯湯ユニット4の水回路は、循環ポンプ8、ガスクーラ1、貯湯槽3などから構成されている。
そして、圧縮機5によって圧縮された高温高圧のガス冷媒をガスクーラ1において貯湯槽3に貯湯された水と熱交換させて水を加熱して沸き上げる。また、貯湯槽3からガスクーラ1に至るまでの水循環路に、スケールの生成を抑制する抑制剤を供給する添加器(スケール抑制手段)9を備えた構成としている。この構成によって、通水に伴い沸き上げ前の低温水に添加剤が添加されるため貯湯ユニット4の水回路におけるスケールの生成が抑制され、水回路における閉塞が防止される。
また、特許文献1には、添加器9を迂回するバイパス回路(図示せず)を備えるとともに、このバイパス回路の分岐箇所に三方弁(図示せず)を設けて、添加器9とバイパス回路とを切り換えて水を流通させる構成が記載されている。
特開2011−69572号公報
しかしながら、前記従来の構成では、給湯装置の運転条件の変化に応じて、スケール抑制剤の添加量を調整することができず、スケールの生成を効果的に防止することができないという課題を有していた。また、スケール抑制剤が必要量以上に消費され、これにより、添加器9の寿命が短くなり、交換やメンテンナンスのコストが増大してしまうという課題を有していた。
本発明は上記課題を解決するもので、給湯装置の運転条件の変化に応じてスケール抑制剤の添加量を適切に調整することで、スケール抑制剤を浪費することなく、スケールの析出を抑制することが可能な給湯装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明は、湯を貯える貯湯槽と、前記貯湯槽の下部から入水管路を介して送られた水を加熱する加熱手段と、前記入水管路上に配設され、前記貯湯槽の下部の水を前記加熱手段に圧送する循環ポンプと、前記加熱手段で加熱された
水を前記貯湯槽の上部へと導入する出湯管路と、前記入水管路上に配設され、前記加熱手段に圧送される水に、スケールの生成を抑制するスケール抑制剤を添加するスケール抑制手段と、を備え、外気温度が高いときよりもが低いときの方が、前記加熱手段に流入する水に含まれるスケール抑制剤の濃度を大きくすることを特徴とする給湯装置である。
これにより、スケールが生成し易い運転条件に応じて、加熱手段へと流入する水のスケール抑制剤の濃度を調整することができるので、スケール抑制剤の浪費を防止して、その交換や補充などのメンテナンスや維持コストを低減させながら、効果的にスケールの析出を抑制することが可能な信頼性の高い給湯装置を提供することができる。
本発明によれば、給湯装置の運転条件に応じてスケール抑制剤の濃度を調整し、スケール抑制剤の浪費を防止しながらスケールの生成を抑制することが可能な給湯装置を提供することができる。
本発明の実施の形態1における給湯装置の構成図 水の温度とスケール成分の溶解度との関係を説明する説明図 本発明の実施の形態1における給湯装置の水の加熱温度と加熱流量との関係を説明する説明図 同給湯装置における外気温度に対する一日の給湯負荷、加熱温度および加熱流量との関係を説明する説明図 本発明の実施の形態2における給湯装置の構成図 (a)同給湯装置において外気温度が低いときの流量とスケール抑制剤の濃度との関係を説明する説明図(b)同給湯装置において外気温度が高いときの流量とスケール抑制剤の濃度との関係を説明する説明図 (a)同給湯装置の分流比率を設定する流量調節手段の一例を示す構成図(b)同給湯装置の分流比率を設定する流量調節手段の他の一例を示す構成図 本発明の実施の形態3における給湯装置の構成図 本発明の実施の形態4における給湯装置の構成図 従来の給湯装置の構成図
第1の発明は、湯を貯える貯湯槽と、前記貯湯槽の下部から入水管路を介して送られた水を加熱する加熱手段と、前記入水管路上に配設され、前記貯湯槽の下部の水を前記加熱手段に圧送する循環ポンプと、前記加熱手段で加熱された水を前記貯湯槽の上部へと導入する出湯管路と、前記入水管路上に配設され、前記加熱手段に圧送される水に、スケールの生成を抑制するスケール抑制剤を添加するスケール抑制手段と、を備え、外気温度が高いときよりもが低いときの方が、前記加熱手段に流入する水に含まれるスケール抑制剤の濃度を大きくすることを特徴とする給湯装置である。
これにより、加熱手段においてスケールの析出が生じやすい外気温度の低い運転条件では、加熱手段へ流入する水に含まれるスケール抑制剤の濃度を大きくすることができ、逆に、外気温度の高い運転条件では、加熱手段へ流入する水に含まれるスケール抑制剤の濃度を小さくすることができるので、給湯装置の運転条件に応じて、効果的にスケールの生成を抑制することができ、また、スケール抑制剤の寿命を長くして、その交換や補充などのメンテンナンスや維持ことを低減することができる。
第2の発明は、特に第1の発明において、外気温度が高いときよりも低いときのほうが、前記加熱手段に流入する水の流量を小さくすることを特徴とする。
これにより、高温の湯が必要とされる低外気温度の運転条件において、水の流量を少なくすることで、加熱手段での水の滞留時間を長くすることができる。よって、加熱手段において単位流量あたりの水が得る熱量が多くなり、加熱手段の出口側の加熱温度を上昇させて、高温の湯を生成することができる。
また、水の流量を少なくすることでスケール抑制手段での水の滞留時間が長くなり、単位流量あたりの水へのスケール抑制剤の溶解量が増大するので、加熱手段にて高温の湯が生成され、スケールが析出しやすい少流量の運転条件において、効果的にスケールの生成を抑制することができる。すなわち、外気温度に応じて流量を調節することで、加熱温度と、スケール抑制剤の濃度とを同時に調整することができる。
第3の発明は、特に第1の発明において、前記入水管路上に、前記入水管路の一部を迂回させるバイパス回路を設け、前記スケール抑制手段は、前記バイパス回路に配設されるとともに、前記入水管路に流れる流量と前記バイパス回路に流れる流量との流量比率を調整する流量調節手段と、外気温度を測定する外気温度測定手段と、を備え、前記外気温度測定手段の検出値に基づいて、前記流量比率を調整することを特徴とするものである。
これにより、スケール抑制手段は、入水管路と並列に設けたバイパス回路に配設された構成としているため、流量の一部を分岐してスケール抑制剤を溶解させて、その他はそのまま加熱手段に流入するので、加熱手段へと流入する水のスケール抑制剤の濃度を運転条件に応じてより適切に調節することができる。
よって、スケール抑制剤の浪費を防止することができるため、スケール抑制剤の寿命が長くなり、その交換や補充などのメンテナンスや維持コストを低減させることができる。また、スケールが生成され易い条件である外気温度が低い場合にはスケール抑制剤の濃度を大きくすることができるので、スケール付着による給湯熱交換器の詰まりも防ぐことができ信頼性の向上を図ることができる。
さらに、外気温度の変化などで貯棟槽下部から流れる水の流量が変更された場合に、バイパス回路の流路抵抗と、バイパス回路によって迂回される入水管路の流路抵抗との比率を調節して、流量に応じた適切なスケール抑制剤の濃度を実現することが可能となり、スケール抑制剤を効率的に使用することができる。
第4の発明は、特に第1〜3のいずれかの発明において、前記スケール抑制剤はポリリン酸塩を主成分とすることを特徴とするものである。
これにより、炭酸カルシウムがスケール化する場合、炭酸カルシウムの結晶の成長を防止することができるため、ガスクーラなど熱交換器内部にスケールの付着、堆積することを防止する効果が大きく、給湯装置の耐久性を向上させるとともに、ガスクーラなどの熱交換器の寿命が長くなり、その交換や補充などのメンテナンスや維持コストを低減させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における給湯装置の構成図である。図1において、給湯装置の熱源である加熱手段55は、圧縮機51、給湯熱交換器52、減圧装置53および大気熱を吸熱する蒸発器54からなるヒートポンプサイクルを構成したヒートポンプユニ
ットである。そして、高圧側の冷媒圧力が臨界圧力以上となる二酸化炭素を冷媒とする。
貯湯ユニット56に収納された貯湯槽57への給水は、貯湯槽57下部に接続された給水管58を通ってなされ、貯湯槽57上部の高温の湯は給湯管路59を通り給湯混合弁60で給水と混合することによって所定の温度の湯にしてから給湯配管61を通って蛇口62などの給湯端末から給湯される。
また、貯湯槽57の下部から入水管路64、給湯熱交換器52、出湯管路65および貯湯槽57の上部を順次接続することによって沸き上げ回路を構成し、入水管路64に配設された循環ポンプ63によって、貯湯槽57から圧送された水は、給湯熱交換器52において高温の冷媒により加熱されて貯湯槽57の上から貯留される。
また、給湯熱交換器52の水側出口に接続された出湯管路65には、加熱手段によって沸き上げ加熱された湯温、すなわち加熱温度を検出する温度検出手段66が設けられ、加熱手段55を形成するヒートポンプユニットには、外気温度を測定する外気温度測定手段80が設けられている。なお、外気温度測定手段80は、蒸発器54に流入する空気の温度を検知することができるように、ヒートポンプユニットを構成する蒸発器54に配設され、かつ、蒸発器54に流入する気流に対して最も風上に配設されている。
さらに、貯湯槽57と加熱手段55とを接続する入水管路64上には、スケール抑制剤67を充填したスケール抑制手段68が設けられている。
以上のように構成された給湯装置について、以下にその動作、作用を説明する。
図1の給湯装置において、湯を生成する沸き上げ運転の要求があると、加熱手段55であるヒートポンプユニットで大気熱を利用した給湯加熱運転を行う。
この場合、圧縮機51から吐出された臨界圧力以上の高温高圧の冷媒が給湯熱交換器52に流入し、ここで貯湯槽57の下部から送られてきた水と熱交換して放熱した後、減圧装置53で減圧し、さらに、蒸発器54で大気から熱を吸熱し、ガス化して圧縮機51に戻る。
この時、温度検出手段66で検出される給湯熱交換器52の出口温度(加熱温度)が所定温度となるように循環ポンプ63の回転数を制御することで、給湯熱交換器52にて、貯湯槽57の下部から入水管路64を通って送られてきた水が加熱され、所定の温度の湯となり、貯湯槽57の上部から流入し貯留される。
ここで、スケール抑制剤67を充填したスケール抑制手段68が入水管路64上に配設されているので、循環ポンプ63によって貯湯槽57の下部から送られてきた水は、スケール抑制手段68を流れる。
スケール抑制手段68にて、スケール抑制剤67が水に溶解し、スケール抑制剤67が溶解した水が給湯熱交換器52に流入して、所定の温度になるように加熱される。このとき、水に含まれるスケール抑制剤67は、特に給湯熱交換器52にて多く析出する炭酸カルシウムなどの結晶の成長を抑制し、スケールの発生を防止する。
スケール抑制剤67としては、ポリリン酸塩を主成分とする粒子をスケール抑制手段68に充填した構成とする。ポリリン酸塩としてはトリポリリン酸ナトリウムやヘキサメタリン酸ナトリウムが代表的であるが、その他のポリリン酸塩を用いても良い。また、ホスホン酸やカルボン酸系高分子電解質等の低分子ポリマーを主成分とするものを用いてもよ
い。
次に、スケールの析出と水の温度の関係について説明する。図2は、横軸に水の温度をとり、縦軸にスケール成分の溶解度をとって、水に対するスケール成分の溶解度を説明する説明図である。図2に示すように、水の温度が高くなればなるほど、スケール成分(例えば、炭酸カルシウムなど)の溶解度は小さくなり、結晶化して水に析出する。
貯湯式の給湯装置の場合、主として、一日の給湯負荷に見合う分の湯を電気代の安い深夜電力を利用して、貯湯槽57に貯留する。ここで、給湯負荷は、湯を使用する頻度と使用量が多く、外気温度の低い冬に大きく、逆に、外気温度の高い夏には小さい。
季節ごとに異なる給湯負荷に対しては、貯湯槽57に貯留する湯の加熱温度を変更(例えば、65℃から90℃)して対応する。すなわち、給湯負荷の大きい冬には、例えば85℃(〜90℃)程度で沸き上げて貯留し、給湯負荷の小さい夏は、冬よりも低い、例えば65℃〜70℃程度の加熱温度にて湯を貯留する。この加熱温度は、夏と冬の中間期には、その間の温度となる。
よって、特に給湯熱交換器52内の水通路表面などに付着、堆積するスケールは、冬における沸き上げ運転のように、加熱温度が高い状況、すなわち、外気温度が低い状況で多く生じることとなる。
よって、スケールの析出が生じやすい運転条件、すなわち外気温度が低い条件において、水に溶解させるスケール抑制剤67の濃度を大きくすれば、スケールの析出を効果的に抑制することができる。
ここで、貯湯式の給湯装置の場合、一般に、加熱能力は外気温度が変化してもほぼ一定である。また、給湯装置への給水として使用される水道水の温度は、一般に外気温度が低いほど低くなる。図3は、横軸に加熱温度をとり、縦軸に加熱流量、つまり、加熱手段55にて加熱される水の流量をとって、加熱温度と加熱流量の関係を示した説明図である。
加熱手段55による加熱能力がほぼ一定であるとすると、図3に示すように、加熱温度は、加熱手段55に流入する水の流量(加熱流量)を調節して対応することができる。例えば、加熱流量を小さくすることで、加熱流量が大きい場合と比較して、加熱手段55に水が滞留する時間が長くなるので、単位流量あたりの水が高温の冷媒から得る熱量が多くなる。よって、加熱温度を高くすることができる。したがって、図3に示すように、湯を生成する際の加熱温度の目標値が低いときよりも高いときの方が、加熱手段55へと流入する水の流量が小さくなるように、循環ポンプ63の回転数を制御する。これにより、様々な加熱温度を実現することができる。
上述した内容について、図4を用いて説明する。図4は、横軸に外気温度をとり、縦軸に一日の給湯負荷、加熱温度(貯湯温度)、および、加熱流量をとって、外気温度の変化に対する一日の給湯負荷、加熱温度(貯湯温度)、および、加熱流量の変化を示したものである。
図4に示すように、外気温度が低い場合は、外気温度が高い場合よりも、一日の給湯負荷が大きくなる。よって、加熱温度(貯湯温度)を高くする。このとき、単位流量あたりの水が、加熱手段55にて高温冷媒から得る熱量を大きくするため、図4に示すように、加熱流量が小さくなるように循環ポンプ63の回転数を制御する。
また、加熱流量を小さくする、すなわち、加熱手段55に流入する水の流量を小さくす
ると、加熱流量が大きい場合と比較して、入水管路64を流れる水がスケール抑制手段68内に滞留する時間が長くなる。よって、水とスケール抑制剤67が接触する時間が長くなり、スケール抑制剤67の水への溶解量を多くすることができるので、加熱手段55へ流入する水におけるスケール抑制剤67の濃度を増大させることができる。
以上のように、スケールが析出しやすい状況、すなわち、外気温度が低い運転条件において、加熱手段55に流入する水の流量が小さくなるように循環ポンプ63の回転数を制御すると、加熱温度を高くすることができるとともに、スケール抑制手段68において、スケール抑制剤67が単位流量あたりの水へと溶解する溶解量、すなわち、水に含まれるスケール抑制剤の濃度を大きくすることができ、スケールの析出を抑制することができる。
よって、給湯装置の運転条件に応じて、水に溶解するスケール抑制剤の濃度を調整することができるので、スケール抑制剤を浪費することなく、信頼性の高い給湯装置を提供することができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における給湯装置の構成図である。本実施の形態において、実施の形態1と同一の部分については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図5において、給湯装置の熱源である加熱手段55は、圧縮機51、給湯熱交換器52、減圧装置53および大気熱を吸熱する蒸発器54からなるヒートポンプサイクルを構成したヒートポンプユニットである。そして、高圧側の冷媒圧力が臨界圧力以上となる二酸化炭素を冷媒とする。
貯湯ユニット56に収納された貯湯槽57への給水は、貯湯槽57の下部に接続された給水管58を通ってなされ、貯湯槽57上部の高温の湯は給湯管路59を通り給湯混合弁60で給水と混合することによって所定の温度の湯にしてから、給湯配管61を通って蛇口62などの給湯端末から給湯される。
また、貯湯槽57の下部から循環ポンプ63、入水管路64、給湯熱交換器52、出湯管路65および貯湯槽57の上部を順次接続することによって沸き上げ回路を構成し、入水管路64に配設された循環ポンプ63によって、貯湯槽57から圧送された水は、給湯熱交換器52において高温の冷媒により加熱されて貯湯槽57の上から貯留される。
また、給湯熱交換器52の水側出口に接続された出湯管路65には、加熱手段によって加熱された湯の温度を検出する温度検出手段66が設けられ、加熱手段55を形成するヒートポンプユニットには、外気温度を測定する外気温度測定手段80が設けられている。
さらに、入水管路64において、入水管路64の一部を迂回させる別の入水管路であるバイパス回路74を並列に設け、このバイパス回路74上にスケール抑制剤67を充填したスケール抑制手段68が設けられている。これにより、スケール抑制手段68が設けられていない入水管路64が主回路となり、スケール抑制手段68が配置されたバイパス回路74は、入水管路64の副回路を形成することとなる。
以上のように構成された給湯装置について、以下にその動作、作用を説明する。
図5において、貯湯槽57の水を沸き上げる沸き上げ運転について説明する。貯湯槽57に蓄えられた水を沸き上げる要求があると、加熱手段55であるヒートポンプユニットで大気熱を利用した給湯加熱運転を行う。この場合、圧縮機51から吐出された臨界圧力
以上の高温高圧の冷媒は、給湯熱交換器52へと流入し、ここで貯湯槽57の下部から送られてきた水と熱交換し放熱した後、減圧装置53で減圧され、さらに、蒸発器54で大気から熱を吸熱し、ガス化して圧縮機51に戻る。
この時、給湯熱交換器52の出口温度(加熱温度)、すなわち、温度検出手段66にて検出される温度が所定温度となるように循環ポンプ63の回転数を制御することで、給湯熱交換器52にて、貯湯槽57の下部から入水管路64を通って送られてきた水が加熱され、所定の温度の湯となり、貯湯槽57の上部から流入し貯留される。
ここで、スケール抑制剤67を充填したスケール抑制手段68を備えたバイパス回路74が入水管路64に並列に接続されているので、循環ポンプ63によって貯湯槽57の下部から送られてきた水の一部は、接続部Aでスケール抑制手段68を備えたバイパス回路74側に流れ、残りは入水管路64側に流れる。
そして、バイパス回路74側に流れた水には、スケール抑制手段68に流入してスケール抑制剤67が溶解し、その後、接続部Bで、入水管路64に流れた水と混合する。接続部Bで入水管路64を流れた水と混合され、スケール抑制剤67が溶解した水は、給湯熱交換器52に流入して、所定の温度になるように加熱される。このとき、水に含まれるスケール抑制剤67は、特に給湯熱交換器52中で生成する炭酸カルシウムなどの結晶の成長を抑制し、スケールの発生を防止する。
図2は、横軸に水の温度をとり、縦軸にスケール成分の溶解度をとって、水に対するスケール成分の溶解度を説明する説明図である。図2に示すように、水の温度が高くなるほど、スケール成分(例えば、炭酸カルシウムなど)の溶解度は小さくなり、結晶化して水に析出する。
また、前述のように、貯湯式の給湯装置においては、給湯負荷は、湯を使用する頻度と使用量が多く、外気温度の低い冬に大きく、逆に、外気温度の高い夏には小さい。
季節ごとに異なる給湯負荷に対しては、貯湯槽57に貯留する湯の加熱温度を変更して対応する。すなわち、給湯負荷の大きい冬には、給湯負荷の小さい夏よりも高い、例えば85℃(〜90℃)程度の加熱温度にて湯を貯留する。
以上から、特に給湯熱交換器52内の水通路表面などに付着、堆積するスケールは、冬における沸き上げ運転のように、加熱温度が高い状況下、すなわち、外気温度が低い状況下で多く生じることとなる。
よって、スケールの析出が生じやすい運転条件、すなわち、外気温度が低い条件において、水に溶解させるスケール抑制剤67の濃度を大きくすれば、スケールの析出を効果的に抑制することができる。
ここで、貯湯式の給湯装置の場合、一般に、加熱能力は外気温度が変化してもほぼ一定である。また、給湯装置への給水として使用される水道水の温度は、一般に外気温度が低いほど低くなる。図3は、横軸に加熱温度をとり、縦軸に加熱流量、つまり、加熱手段55にて加熱される水の流量をとって、加熱手段55による加熱能力が一定の場合の加熱温度と加熱流量の関係を示した説明図である。
加熱手段55による加熱能力が一定であるとすると、図3に示すように、水道から給水される水の加熱温度は、加熱手段55に流入する水の流量(加熱流量)を調節して対応することができる。例えば、加熱流量を小さくすることで、加熱流量が大きい場合と比較し
て、加熱手段55に水が滞留する時間が長くなるので、単位流量あたりの水が高温の冷媒から得る熱量が多くなる。よって、加熱温度を高くすることができる。したがって、図3に示すように、湯を生成する際の加熱温度の目標値が低いときよりも高いときの方が、加熱手段55へと流入する水の流量が小さくなるように、循環ポンプ63の回転数を制御する。これにより、様々な加熱温度を実現することができる。
上述した内容について、図4を用いて説明する。図4は、横軸に外気温度をとり、縦軸に一日の給湯負荷、加熱温度(貯湯温度)、および、加熱流量をとって、外気温度の変化に対する一日の給湯負荷、加熱温度(貯湯温度)、および、加熱流量の変化を示したものである。
図4に示すように、外気温度が低い場合は、外気温度が高い場合よりも、一日の給湯負荷が多くなる。よって、加熱温度(貯湯温度)を高くする。このとき、加熱手段55から、単位流量あたりの水へと与えられる熱量を大きくするため、図4に示すように、加熱流量が小さくなるように循環ポンプ63の回転数を制御する。
以上のように、外気温度が低い方が、スケールが生成しやすく、給湯熱交換器52の水側流路表面に付着しやすいことになる。よって、スケールの生成と、特に給湯熱交換器52の水側流路表面に付着とを防止するためには、外気温度が低くなるほど給湯熱交換器52内へと流入する水に含まれるスケール抑制剤の濃度、すなわち、水の単位質量あたりに含まれるスケール抑制剤の質量を大きくすればよい。
図6は、バイパス回路74と入水管路64とを流れる流量と、そのときのスケール抑制剤67の濃度を説明する説明図である。図6(a)は外気温度が低い場合であり、図6(b)は外気温度が高い場合である。
バイパス回路74は、入水管路64の途中にある接続部Aと接続部Bとに接続(接続部AがBよりも上流側)されている。そして、バイパス回路74はスケール抑制剤67を収納したスケール抑制手段68を備えている。
接続部Aで分流した入水管路64側に流れる流量とバイパス回路側に流れる流量を、図6(a)の場合はそれぞれJ1、K1とし、図6(b)の場合はそれぞれJ2、K2とする。また、スケール抑制手段68の出口部Cを出たあとのスケール抑制剤67の濃度を、図6(a)の場合はN1(C)とし、図6(b)の場合はN2(C)とする。
ここで、図6(a)の場合は、図6(b)の場合に比べ外気温度が低く、高温の湯を生成するために加熱流量が小さくなるので、スケール抑制手段68内の流速が小さくなる。したがって、スケール抑制手段68内に流入した水とスケール抑制剤67とが接触する時間が長くなり、その結果、スケール抑制手段68を出た後の濃度は図6(a)の方が大きくなる。すなわち、以下の関係となる。
Figure 2014081115
また、接続部Bの下流側のスケール抑制剤67の濃度を、図6(a)の場合はN1(B)とし、図6(b)の場合はN2(B)とすると、以下の関係式が得られる。
Figure 2014081115
Figure 2014081115
さらに、入水管路64側とバイパス回路74側に流れる流量の分流比率を、
Figure 2014081115
とすると、接続部Bの下流側のスケール抑制剤67の濃度とスケール抑制手段68の出口部Cを出たあとのスケール抑制剤67の濃度との関係は次のようになる。
Figure 2014081115
以上の(式1)、(式5)より、給湯熱交換器52に流入する接続部Bの下流側のスケール抑制剤67の濃度の関係は、以下のようになる。
Figure 2014081115
(式6)からわかるように、外気温度が低い方が、給湯熱交換器52に流入するスケール抑制剤67の濃度が大きくなる。外気温度が低い方が、加熱温度が高く、スケールが生成され易い条件であるが、スケール抑制剤67の濃度を大きくすることができ、給湯熱交換器52などへのスケール付着を防止、または、少なくすることができる。
よって、図5および図6に示すような、分流比率を設定することが可能なバイパス回路74によって、加熱手段55へと流入する水を分流することにより、スケール抑制手段68に流入する水の流量を適宜調整することが可能となり、これにより、スケール抑制剤67の水への溶解量を調整することができる。
図7は、バイパス回路74側と入水管路64側とへ流れる流量の分流比率を設定する方法を説明する説明図である。
図7(a)は、入水管路64の接続部Aと接続部B間の流路抵抗を、例えば管路断面積をバイパス回路74とは異なるように構成することで変化させ、これにより点AB間の圧力損失を設定して、その差圧に応じて分岐流量の分流比率を決定することができるようにしたものである。
なお、スケール抑制手段68の流路抵抗が大きい場合には、図7(b)に示すように、スケール抑制手段68を備えたバイパス回路74側に流体の動圧がかかる構成とし、点AB間の入水管路64の形状を変更することで、点AB間の圧力損失を設定し、その差圧に応じて分岐流量の分流比率を必要に応じて決定することができる。
以上のように、貯湯槽下部からの湯水の一部を分岐して、これにスケール抑制剤67を溶解させ、その他の湯水はスケール抑制手段68を通過することなく給湯熱交換器52に流入するので、スケール抑制剤の浪費を防止することができる。よって、スケール抑制剤の寿命が長くなり、その交換や補充などのメンテナンスや維持コストを低減させるという効果がある。
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3における給湯装置の構成図である。
本実施の形態において、他の実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施の形態における給湯装置は、図8に示すように、入水管路64の接続部Aと接続部Bの間に流量調節手段69を備え、また、流量調節手段69の動作を制御する制御手段70を備えている。
流量調節手段69としては、例えば、給湯装置で一般に使用されている流量制御弁を用いることができ、ステッピングモータを駆動させることによって、流体が通過する流路断面積を変えることによって流量を調節することができる。
以上のように構成された給湯装置について、以下にその動作、作用を説明する。
図8において、接続部Bの下流におけるスケール抑制剤67の濃度を所定の濃度に変更する場合、流量調節手段69の流路抵抗を変更(例えば、前述したように流路断面積を変更)し、接続部Aと接続部Bの間の圧力損失を変えることによって、スケール抑制手段68側に分岐して流れる流量(分岐流量)の比率を変更する。
すなわち、流量調節手段69の流路抵抗を大きく(例えば、弁開度を小さくすることで流路断面積を小さく)すると、接続部Aと接続部Bの間の圧力損失が大きくなるので、分岐流量の比率が大きくなり、逆に、濃度を小さくしたい場合は、流量調節手段69の流路抵抗を小さく(例えば、流路断面積を大きく)する。
給湯熱交換器52内にスケールが付着、成長する要因としては、貯湯槽57に貯留する貯湯温度(加熱温度)がある。加熱温度が高い方がスケールの生成と成長が大きい。また、加熱温度と外気温度とは図4に示すような関係がある。すなわち、外気温度が低い方が、加熱温度が高くなり、スケールの生成されやすく、また、スケールの成長も早い。
そこで、加熱手段55への流入する湯水に含まれるスケール抑制剤67の濃度が、外気温度に対して、スケールの生成と成長が抑制されるような濃度となるように、分岐流量の比率を設定すればよい。このとき、スケールの生成と成長がないスケール抑制剤67の濃度と、外気温度との関係を事前に求めておき、この関係をリモコン72に記憶させるようにしても良い。
なお、分岐流量の比率は流量調節手段69を調節することで行うが、必要な流量は循環
ポンプ63の回転数を調整することで得ることができる。
このように、外気温度に応じて、流量調節手段69を一つ使用するだけで、スケールの生成を抑制することが可能なスケール抑制剤67の濃度を設定できるので、給湯装置の運転条件に応じて、加熱手段55への流入する水のスケール抑制剤67の濃度を適切に調整することができる。よって、スケールの析出および付着を長期にわたって防止する信頼性に優れた給湯装置を提供することができるとともに、スケール抑制剤67の寿命が長くなり、その交換や補充などのメンテナンスや維持コストを低減することができるという効果がある。
なお、加熱手段55によって加熱され、貯湯槽57に貯留される湯の貯湯温度(加熱温度)は、一般的に、65〜90℃程度である。ここで、外気温度が低く給湯負荷が大きい場合は加熱温度(貯湯温度)が高いのでスケールの生成と成長が大きいが、加熱温度(貯湯温度)が65℃〜70℃前後であれば、スケールの生成が少なく、成長もほとんど無い。
よって、このようなこのような外気温度条件に相当する外気温度のとき、スケール抑制剤67の濃度を最小にするように、制御手段70が流量調節手段69を調整する構成とすればよい。すなわち、流量調節手段69の流路抵抗を最小(流量調節手段69の流体が通過する流路断面積を最大)になるように制御する。
このように、スケールの生成が少なく、成長もほとんど無いような外気温度の場合には、スケール抑制剤67の濃度を最小に設定できるので、安全目に高濃度に設定して使用する場合に比べ、スケール添加剤の寿命が長くなり、その交換や補充などのメンテナンスや維持コストが少なくなるという効果がある。
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4の給湯装置の構成図である。本実施の形態において、他の実施の形態と同一部分については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図9に示すように、2つの出口側流路の断面積を変えることによって、この2つの出口側流路に流れる流量を調節できる流量調節手段69(三方弁)を接続部A設ける。すなわち、入口側は貯湯槽57側の入水管路64に接続し、2つの出口側の一方は加熱手段55側の入水管路64側に、他方はバイパス回路74側に接続する。制御手段70は、それぞれの出口側の流量が必要な分流比率となるように、この流量調節手段69の動作を制御する。
流量調節手段69としては、例えば、給湯装置で一般に使用されている混合弁を用いることができ、ステッピングモータを駆動させることによって、流体が通過する出口側の流路断面積を変えることによって流量を変更するものである。
以上のように構成された給湯装置について、以下にその動作、作用を説明する。図9に示す給湯装置において、接続部Bの下流における水のスケール抑制剤67の濃度を所定の濃度に変更する場合、流量調節手段69の流路抵抗を変更(例えば、流路断面積を変更)する。これにより、バイパス回路74側(スケール抑制手段68側)に分岐して流れる流量(分岐流量)とスケール抑制手段68を備えていない入水管路64を流れる流量(分岐流量)の比率を変更することができる。すなわち、流量調節手段69によって、入水管路64を流れる流量とバイパス回路74を流れる流量の双方を適宜調整する。
給湯熱交換器52内にスケールが付着、成長する要因としては、貯湯槽57に貯留する
温度(加熱温度)がある。加熱温度が高い方がスケールの生成と成長が大きい。また、外気温度と加熱流量とは図4に示すような関係がある。よって、外気温度が低い方が、スケールが生成されやすく、また、スケールの成長も早い。
そこで、加熱手段55への流入する湯水に含まれるスケール抑制剤67の濃度が、外気温度の条件に対して、スケールの生成と成長が抑制される濃度となるように、流量調節手段69によって、分岐流量の比率を設定すればよい。このとき、スケールの生成と成長が抑制することが可能な水のスケール抑制剤67の濃度と、外気温度との関係を事前に求めておき、この関係をリモコン72に記憶させるようにしても良い。
なお、分岐流量の比率は流量調節手段69を調節することで行うが、必要な流量は循環ポンプ63の回転数を調整することで得ることができる。
このように、外気温度に応じて、スケールの生成が起こらないスケール抑制剤67の濃度を設定できるので、給湯装置の運転条件に応じて、加熱手段55への流入する湯水のスケール抑制剤67の濃度を適切に調整することができ、スケールの析出および付着を長期にわたって防止する信頼性に優れた給湯装置を提供することができるとともに、スケール抑制剤67の寿命が長くなり、その交換や補充などのメンテナンスや維持コストを低減することができるという効果がある。
以上のように、本発明にかかる給湯装置は、運転条件に応じてスケール抑制剤の溶解量を適切に調整し、給湯装置の信頼性を向上させるとともにスケール抑制手段の長寿命化を図ることができるので、家庭用や業務用などの給湯装置に適用することができる。
55 加熱手段
57 貯湯槽
63 循環ポンプ
64 入水管路
65 出湯管路
67 スケール抑制剤
68 スケール抑制手段
69 流量調節手段
74 バイパス回路
80 外気温度測定手段

Claims (4)

  1. 湯を貯える貯湯槽と、
    前記貯湯槽の下部から入水管路を介して送られた水を加熱する加熱手段と、
    前記入水管路上に配設され、前記貯湯槽の下部の水を前記加熱手段に圧送する循環ポンプと、
    前記加熱手段で加熱された水を前記貯湯槽の上部へと導入する出湯管路と、
    前記入水管路上に配設され、前記加熱手段に圧送される水に、スケールの生成を抑制するスケール抑制剤を添加するスケール抑制手段と、を備え、
    外気温度が高いときよりもが低いときの方が、前記加熱手段に流入する水に含まれるスケール抑制剤の濃度を大きくすることを特徴とする給湯装置。
  2. 外気温度が高いときよりも低いときのほうが、前記加熱手段に流入する水の流量を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
  3. 前記入水管路上に、前記入水管路の一部を迂回させるバイパス回路を設け、前記スケール抑制手段は、前記バイパス回路に配設されるとともに、前記入水管路に流れる流量と前記バイパス回路に流れる流量との流量比率を調整する流量調節手段と、外気温度を測定する外気温度測定手段と、を備え、前記外気温度測定手段の検出値に基づいて、前記流量比率を調整することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
  4. 前記スケール抑制剤はポリリン酸塩を主成分とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の給湯装置。
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