以下、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態1)
[椅子型マッサージ機の全体構成]
図1は、椅子型マッサージ機の全体の構成を示す斜視図である。図1に示す如く、本実施の形態1に係る椅子型マッサージ機1は、被施療者が着座する座部2と、その被施療者の上半身を支持する背凭れ部3と、脚を支持するフットレスト4と、腕部を支持するアームレスト(肘掛け部)5とから主として構成されている。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、座部2に着座した被施療者から見たときの方向の概念と一致するものとし、その他の場合は適宜説明するものとする。
座部2は、接地される基台2a上に図示しないフレーム構造が設けられ、更に、上面が座面2bとして用いられるように略平坦に形成された座面部2cが前記フレーム構造の上部に配設された構成となっている。また、座面2bは、後部に比べて前部が上方に位置するように傾斜面を形成しており、着座した被施療者の臀部及び大腿部が下方から支持される。
座部2の前方には、被施療者の足裏、足首、及び脹脛(ふくらはぎ)を施療するためのフットレスト4が配設されている。フットレスト4は、被施療者の脚部のうち下腿(即ち、膝から足首までの部位)を支持すべく、下腿の背面に位置する背面部4aと、該背面部4aの左右の側部に接続されて左右の下腿の外側方に位置する外側面部4bとを有し、更に、左右の下腿を仕切る仕切部4cが左右の外側面部4b,4b間に設けられている。また、背面部4a、外側面部4b、及び仕切部4cの下部には平板状の足裏支持部4dが接続されており、被施療者の足裏を支持するようになっている。このようなフットレスト4により、被施療者の左右の下腿は、後方及び左右の側方から支持されると共に、足裏も下方から支持される。また、フットレスト4は、上側フットレスト4eと足裏支持部4dを含む下側フットレスト4fとに上下分割可能になっており、上側フットレスト4eと下側フットレスト4fとを相対的に近接及び離反できるようになっている。
座部2の両側方には、座部2の基台2aに固定支持されたアームレスト5が設けられている。このアームレスト5は、座部2の両側方において、座部2の後端より後方位置から座部2の前端位置付近まで延設されている。また、アームレスト5の上面は、後半部分が後方へ向かうに従って下降する後傾面5aを成し、前半部分が前方へ向かうに従って下降する前傾面5bを成しており、被施療者はこれらの後傾面5a又は前傾面5bに前腕を載置して肘置きとして用いることができるようになっている。このような左右のアームレスト5の内側面5c(即ち、互いに対向する面)は、平面視したときに何れも前後方向に沿うようにして互いに略平行になっており、座面2bの幅と略同一の寸法D1だけ離隔して対向している。更に、アームレスト5の外側面には手施療機6が設けられている。該手施療機6は略筒状を成しており、着座した被施療者が後部から手を挿入できるようになっており、後述するように内部に設けられた空気袋9(図2参照)によって手及び手首に対して押圧施療できるようになっている。
座部2の後方には、被施療者の上半身を支持する背凭れ部3が設けられている。この背凭れ部3は、一般的な体格の成人男性が椅子型マッサージ機1に着座した際に、該成人男性の身体の一部がその外部にはみ出ない程度の大きさとされており、正面視で略長方形を成している。より具体的には、背凭れ部3の幅寸法D2は、上記アームレスト5の内側面5c,5cの離隔寸法D1と略同一か、これより若干小さく設定されている。背凭れ部3の左右の側部には、被施療者の上腕及び肩付近を施療する施療ユニット7Aが設けられている。該施療ユニット7Aは、背凭れ部3の長手方向(図1での上下方向)の中央位置より若干高めの位置に着脱自在に接続されており、上半身の背面に当接する背凭れ部3の前面3aよりも前方へ向かって突出している。なお、この施療ユニット7Aについては、後に更に詳説する。
図2は、上述したような椅子型マッサージ機1の機能ブロック図である。図2に示すように、椅子型マッサージ機1は、座部2の下部に搭載された制御部10を備えており、該制御部10には、駆動部11を介してポンプ及び電磁弁から成る給排気装置15が接続され、該給排気装置15には複数の空気袋9がエアチューブを介して接続されている。何れの空気袋9も、制御部10からの指示で駆動部11が給排気装置15を駆動することにより、膨張及び収縮するようになっている。
これらの空気袋9は、椅子型マッサージ機1の各所に設けられている。より具体的に説明すると、座部2においては、座面部2cの前側左右部分と後側左右部分とに計4つの空気袋9が設けられ、膨張及び収縮することにより、着座した被施療者の臀部の左右及び各大腿部に対して押圧刺激を付与できるようになっている。
また、フットレスト4においては、背面部4a、外側面部4b、仕切部4c、及び足裏指示部4dの各所に空気袋9が配設されている。そして、上側フットレスト4eに設けられた空気袋9によっては、左右の下腿に対して夫々側方から挟み込むように押圧施療又は支持でき、脹脛に対して背面側から押圧刺激を付与することができる。また、下側フットレスト4fによっては、足首を側方から挟み込むように押圧施療又は支持でき、足首に対して後方から押圧刺激を付与することができ、足裏に対して下方から押圧刺激を付与することができる。
アームレスト5の側方に設けられた手施療機6には2つの空気袋9が設けられており、膨張及び収縮することにより、手施療機6に挿入された被施療者の手首付近を、手のひらに続く部分と手の甲に続く部分とを挟み込むようにして押圧できるようになっている。
背凭れ部3においては、下側の左右部分と上腕及び肩付近を施療する施療ユニット7Aの取り付け箇所近傍とに空気袋9が配設されている(図3も参照)。下側左右に設けられた空気袋9は、膨張及び収縮することによって被施療者の腰部の左右部分に対して背面側から押圧刺激を付与することができる。また、施療ユニット7Aの取り付け箇所近傍に設けられた空気袋9は、膨張及び収縮することによって、被施療者の肩甲骨付近に対して押圧刺激を付与することができる。
更に、左右の施療ユニット7Aにも空気袋9が配設されている。これらの空気袋9については後述するが、これらの空気袋9は膨張及び収縮することにより、上腕及び肩付近を側方及び略前方から押圧又は支持することができる。
また、図2に示すように制御部10には、駆動部12を介して直動式アクチュエータ16,17が接続されている。これらの直動式アクチュエータ16,17は座部2内に格納されており、一方の直動式アクチュエータ16は、制御部10からの指示に基づいて駆動部12によって伸縮動作し、背凭れ部3を傾倒させることができる。より具体的には、背凭れ部3はその下部が座部2の後部付近で枢支されており、直動式アクチュエータ16が伸縮動することにより、この枢支箇所を中心にして前後方向へ揺動でき、図1に示す起立状態から、背凭れ部3の前面3aが椅子型マッサージ機1の接地面と略平行になるまで後傾でき、また、左右のアームレスト5,5間に嵌り込んで背凭れ部3の前面3aが座部2の座面2aに接触するか肉薄する程度にまで前傾できるようになっている。なお、背凭れ部3を左右のアームレスト5,5間にまで前倒しする場合には、上記のように直動式アクチュエータ16によって行うのに代えて、背凭れ部3と直動式アクチュエータ16との連結を解除することにより、手動にて背凭れ部3を前倒しするようにしてもよい。
他方の直動式アクチュエータ17も制御部10からの指示に基づいて駆動部12によって伸縮動作し、フットレスト4を揺動させることができる。より具体的には、フットレスト4はその上部が座部2の前部付近で枢支されており、直動式アクチュエータ17が伸縮動することにより、この枢支箇所を中心にして、図1に示す垂下状態からフットレスト4の背面部4aが接地面と略平行になる上昇状態までの範囲で前後方向へ揺動できるようになっている。なお、上述した直動式アクチュエータ16,17による背凭れ部3の傾倒動作及びフットレスト4の揺動動作については、既に公知の技術が多数開示されており、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1においても、これらの公知技術を採用することができる。
また、制御部10には、駆動部13を介してフットレスト4に内蔵された伸縮機構18が接続されている。この伸縮機構18は、図示しないモータ、ラック及びピニオン、あるいは、モータ及びパンタグラフ機構などで構成されている。そして、制御部10からの指示に基づいて駆動部13により伸縮動作し、上側フットレスト4eと下側フットレスト4fとの相対位置を、図1に示す近接状態から両フットレスト4e,4fが所定距離だけ離反する離反状態までの範囲で変更できるようになっている。このような伸縮機構18の構成及び動作についても、既に公知の技術が開示されており、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1においても、これらの公知技術を採用することができる。
また、制御部10には、駆動部14を介して機械式の背用施療機19が接続されている。この背用施療機19は、背凭れ部3の左右方向の中央部分に格納されており、背凭れ部3の前面側へ向かって伸びる左右のアームの先端に施療子が取り付けられた構成となっている。そして、制御部10からの指示に基づいて駆動部14により駆動され、左右の施療子を三次元的に動作させて、被施療者の背部に対して揉みマッサージ、叩きマッサージ、及び指圧マッサージを施すことができる。更に、背凭れ部3に格納された図示しないアクチュエータによって、背凭れ部3に沿って昇降動可能になっており、上述した各種のマッサージ位置を腰部から肩までの範囲で調整できる他、施療子を前方へ突出させた状態で昇降動することにより、被施療者の背部に対してローリングマッサージを施すこともできる。なお、このような背用施療機19の構成及び動作についても、既に公知の技術が開示されており、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1においても、これらの公知技術を採用することができる。
更に、制御部10には、被施療者が操作する操作器20が接続されている。この操作器20には、椅子型マッサージ機1を起動するための電源スイッチの他、上述した各種の動作を選択及び決定するための複数のスイッチが設けられており、被施療者がこれらのスイッチを操作することにより、選択された動作を椅子型マッサージ機1に実行させることができる。
[施療ユニットの構成]
次に、背凭れ部3に接続された上腕及び肩付近を施療対象とする施療ユニット7Aについて説明する。図3は、施療ユニット7Aの構成を示すための斜視図であり、背凭れ部3と左右の施療ユニット7Aとを分離した状態を示している。この図3に示すように、背凭れ部3は略矩形枠状を成す樹脂成型品である背フレーム3を有しており、図1に示した背凭れ部3は、この背フレーム3bの前面に長方形状の背クッション3cが配設された構成となっている(図1に示す二点鎖線を参照)。なお、背フレーム3bが有する中央部分の開口3d内に、上述した背用施療機19が配設される。
背フレーム3bにおける左右部分の前面には、後方へ窪んだ凹部3eが形成されており、施療ユニット7Aは、この凹部3eに取り付けられるベースブロック(ユニット接続部)101を介して、背フレーム3bに対して着脱可能に装着されるようになっている。図3では、右側のベースブロック101を背フレーム3bから分離した状態で示し、左側のベースブロック101は背フレーム3bに取り付けられた状態で示している。
図4は、左側の施療ユニット7Aを斜め前方から見たときの構成を示す斜視図であり、図5は、左側の施療ユニット7Aを斜め後方から見たときの構成を示す斜視図である。また、これら図4及び図5では、施療ユニット7Aがベースブロック101から分離されている状態を上側に、両者が接続されている状態を下側に、それぞれ示している。
この図4及び図5に示すように、施療ユニット7Aは、台形状の底板の周縁部に沿って周回するように側壁が立設された外側カバー103と、該外側カバー103の開口を閉鎖する内側カバー104とから成る本体ケーシング(ベース部)102を有し、該本体ケーシング102は、外側カバー103に対して内側カバー104が左右方向の中心側に位置するように構成されている。また、本体ケーシング102は、後方の基部から前方の先端部へ向かうに従って上下方向の寸法が小さくなっていて、側面視で台形状を成しており、基部には、ベースブロック101に対して着脱可能に接続されるジョイントベース105が取り付けられている。
ジョイントベース105は、前後方向の肉厚寸法が小さい縦長の直方体形状を成しており、その上下方向寸法は本体ケーシング102の基部の上下方向寸法より若干小さく構成されている。また、ベースブロック101もその外観的な寸法がジョイントベース105と同様になっており、縦長であり前後方向の肉厚寸法が小さい直方体形状を成している。そして、ベースブロック101及びジョイントベース105の互いの対向面である接続面101a,105aは共に略平坦面になっており、ベースブロック101にジョイントベース105が接続されると、両接続面101a,105aが密着するようになっている。
ところで、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1には、施療ユニット7Aを背凭れ部3に対して着脱自在に接続するためのロック機構110が設けられている(図5の下図参照)。このロック機構110は、施療ユニット7Aが有するジョイントベース105に設けられたガイドピン(支持突起)111及び解除レバー(操作部)112と、ベースブロック101に設けられたロックアーム(係止部)113とから主に構成されている。次に、ロック機構110の詳細を示す斜視図である図6も参照しつつ、このロック機構110について詳述する。
[ロック機構]
図4及び図5に示すように、ジョイントベース105の接続面105aからは、丸棒状のガイドピン111が、ベースブロック101へ向けて(即ち、左右方向の内方へ向けて)突設されている。図6にも示すように、このガイドピン111は、長手方向の中央付近から先端へ向かうに従って断面の径が若干だけ小さくなるように先細りの形状になっており、先端近傍には周回する溝状の凹部111aが形成されている。また、ジョイントベース105内であってガイドピン111の後方には解除レバー112が収容されている。
図6に示すように、この解除レバー112は、左右方向に沿うように延びる棒状体から成り、その先端部は、ロックアーム113に接続されるレバー側接続部112aを成している。このレバー側接続部112aの先端は平面視して円弧状に形成されている。また、解除レバー112の先端部近傍には後方へ突設された台形状の操作突起112bが設けられている。このような解除レバー112は、ジョイントベース105内に収容された状態で、接続面105aに形成された開口105bからレバー側接続部112aが露出し(図4参照)、且つ、ジョイントベース105の後面略中央に形成された操作窓105cから操作突起112bが露出するようになっている(図5参照)。なお、より厳密に言うと、解除レバー112のレバー側接続部112aは、接続面105aの開口105bから若干だけ突出した状態になっている。
また、ジョイントベース105内に収容された解除レバー112は、その基部112cがジョイントベース105に枢支されるようになっており、更に、操作突起112bに対応する位置にて解除レバー112の前方に配設された付勢手段たる圧縮バネ114により、後方へ付勢されている。従って、操作窓105cを通じて指先で操作突起112bを前方へ押圧することにより、先端のレバー側接続部112aを前方へ揺動させることができ、操作突起112bから指先を外すと、圧縮バネ114によってレバー側接続部112aは後方へ戻されるようになっている。
一方、図5に示すように、ベースブロック101の後部には、前方へ窪んで左右方向へ延びる収容溝101bが形成されており、この収容溝101bにロックアーム113が収容されている。図6に示すように、ロックアーム113は、左右方向に沿うように延びる棒状体から成り、その基端部には、上記レバー側接続部112aに係合するアーム側接続部113aが設けられている。このアーム側接続部113aは、前後に分岐する二股形状を成しており、これらの間に形成される窪みにレバー側接続部112aが内嵌可能になっている。また、ロックアーム113の先端部には、前方へ屈曲して鍵爪状を成す係止爪113bが形成されており、該係止爪113bは、ガイドピン111の先端近傍に形成された凹部111aに係合可能になっている。
このようなロックアーム113は、アーム側接続部113aがベースブロック101の接続面101aに形成された開口101cから露出するようにして収容溝101bに収容される。ここで、本実施の形態においては、ロックアーム113のアーム側接続部113aは、ベースブロック101の接続面101aよりも開口101cの内方に位置しており、接続面101aから外方へは突出しないようになっている。ロックアーム113は、収容溝101bに収容された状態で長手方向の略中央部分が枢支され、アーム側接続部113a及び係止爪113bは、互いに逆向きに前後方向へ揺動可能になっている。
また、ベースブロック101には、その接続面101aにて上記開口101cの前方で開口する挿通孔101dが形成されている。この挿通孔101dは収容溝101bと平行に形成されており、施療ユニット7Aとの接続時には、ガイドピン111がこの挿通孔101dに挿通されるようになっている。更に、上記収容溝101bにおける左右方向の内方部分には、挿通孔101dの奥部に連通する連通孔(図示せず)が形成されており、ロックアーム113の係止爪113bは、この連通孔を通じて挿通孔101dの奥部に対し進退可能になっている。
次に、施療ユニット7Aとベースブロック101との着脱について説明する。施療ユニット7Aをベースブロック101に対して接近させていくと、ガイドピン111がベースブロック101の挿通孔101dに挿通され、ジョイントベース105の接続面105aとベースブロック101の接続面101aとが当接する。このとき、接続面105aから若干突出する解除レバー112のレバー側接続部112aが、ロックアーム113のアーム側接続部113aに内嵌するようにして係合する。ここで、解除レバー112は圧縮バネ114(図6参照)によって付勢され、外力が付与されない状態ではレバー側接続部112aは後方に位置しているため、これに係合するアーム側接続部113aも相対的に後方に位置し、係止爪113bは前方へ位置する。そのため、係止爪113bは収容溝101bから挿通孔101dの奥部へ進入し、ここに位置するガイドピン111に形成された凹部111aに係合する。その結果、ガイドピン111は係止爪113bによって係止され、施療ユニット7Aはベースブロック101に接続された状態で固定(ロック)される。
一方、施療ユニット7Aがベースブロック101に固定された状態で、操作窓105cを通じて解除レバー112の操作突起112bを前方へ押圧すると、圧縮バネ114の付勢力に抗って解除レバー112は前方へ揺動される。これにより、レバー側接続部112aと共にアーム側接続部113aが前方へ移動し、これに伴って係止爪113bは後退して凹部111aから外れる。その結果、ガイドピン111の固定状態(係止状態)は解除されるため、施療ユニット7Aを左右方向の外方へ向けて取り外すことが可能になる。
このように、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1では、施療ユニット7Aをベースブロック101へ押し付ける作業だけで、該ベースブロック101を介して背凭れ部3に簡単に接続及び固定することができ、取り外す際にも、操作突起112bを押圧するだけで固定を解除することができるため、施療ユニット7Aの着脱作業が格段に容易に行える。また、施療ユニット7Aは左右別体に構成されているため、このような着脱作業を左右の施療ユニット7Aに対して個別に行えて作業の容易化が図れると共に、各施療ユニット7Aも小寸法化するため搬送容易になる。
更に、施療ユニット7Aが取り外された状態では、ベースブロック101の接続面101aが平坦を成し、該接続面101aに外方への突出物が形成されないようになっている。従って、施療ユニット7Aが取り外されたときの背凭れ部3の幅方向寸法D2(図1参照)を小さくすることができるため、背凭れ部3を左右のアームレスト5,5間に嵌り込むまで前傾させることができ、椅子型マッサージ機1をコンパクト化した状態で搬送することができる。なお、ここで補足しておくと、背凭れ部3の幅方向寸法D2(図1参照)とは、より正確には、背フレーム3bに左右のベースブロック101が取り付けられた状態で、これら左右のベースブロック101の接続面101a間の距離を意味している。
[施療部]
図3に示すように、上述した施療ユニット7Aには、給排気によって膨縮し、被施療者の上腕及び肩付近の部位を押圧施療することのできる施療部120が設けられている。この施療部120は、施療ユニット7Aが背凭れ部3に固定された状態で、左右方向及び上下方向に可動になっている。以下、この施療部120について説明する。
図7は、左側の施療ユニット7Aの斜視図であって施療部120を左右方向へ可動とする機構について説明するための図面である。施療部120は、平板状を成す可動プレート121と、該可動プレート121を内側カバー104に支持する回転ベース122とを有している。
回転ベース122は、内側カバー104の基部近傍においてジョイントベース105の前方位置に配設されており、詳細は後述するが、内側カバー104に対して左右方向の軸回りに所定角度範囲内で回動可能なように取り付けられている。回転ベース122は、左右方向の内方への開口123aを具備する縦長のボックス形状を成すプレート支持部123を有している。該プレート支持部123の前壁部の上部及び下部には、左右方向へ延びて一端にて開口123aに通じるスリット123bが形成されており、上下のスリット123b間の前壁部には、開口123aに通じる切欠部123cが形成されている。
一方、可動プレート121は、本体ケーシング102と同様に、後側の基部から前側の先端部へ向かうに従って上下方向寸法が小さくなる略台形状を成しており、その基部には、プレート支持部123に接続される接続基部125が形成されている。該接続基部125は、可動プレート121の基部から更に後方へ延設された縦長の長方形状を成す延設板125aと、該延設板125aの上端及び下端に立設された端板125bと、延設板125aの後端から折り返して形成された折返し板125cとを有している。このうち、上下の端板125bは、プレート支持部123が有する上下のスリット123bの離隔寸法と略同一距離だけ離隔して対向配置されており、延設板125aの上端及び下端の夫々から、左右方向の内方及び後方へと延設されている。
このような可動プレート121は、上下の端板125bの後部を上下のスリット123bに挿入させるようにしてプレート支持部123に接続される。また、プレート支持部123内には、上下方向へ延びる丸棒状の支持ピン126がネジ止めされており、上下の端板125bの後部はこの支持ピン126の上端及び下端にて枢支されている。更に、支持ピン126にはトーションバネ(ねじりばね)127が巻回されている。該トーションバネ127は、その一方のフック127aがプレート支持部123の後壁部に支持され、他方のフック127bは、切欠部123cを通じて、可動プレート121が有する延設板125aと折返し板125cとの間にて支持されており、可動プレート121を左右方向の外方へ向けて付勢している。従って、可動プレート121は、支持ピン126を中心にして先端部(前端部)が左右へ揺動可能になっており、且つ、内側カバー104に接近する外側へ向かって付勢されている。
図8は、本体ケーシング102を取り外した状態の施療ユニット7Aの斜視図であり、施療部120を上下方向へ可動とする位置調整機構について説明するための図面である。また、図9は、図8に示す施療ユニット7Aの分解図である。図9に示すように、回転ベース122における左右方向の外側部分には、軸芯を略左右方向へ向けた円柱状を成すベース支持円柱130が設けられている。即ち、回転ベース122は、上述したボックス形状を成して相対的に内方に位置するプレート支持部123と、相対的に外方に位置するベース支持円柱130とが接続されて構成されている。このベース支持円柱130の外側面には、軸芯が一致するようにして回転シャフト131が突設されており、更に、この回転シャフト131を挟んで2つのガイド突起132が突設されている。
内側カバー104の基部近傍には、上記回転シャフト131が挿通されるシャフト孔104aと、ガイド突起132が挿通される2つのガイド孔104bとが形成され、該ガイド孔104bは、シャフト孔104aを中心とする円弧状の長孔になっている。従って、シャフト孔104a及びガイド孔104bの夫々に、回転シャフト131及びガイド突起132を挿通させ、回転ベース122を内側カバー104に内方から取り付けると、回転ベース122は、ガイド突起132がガイド孔104a内で移動可能な範囲で回転シャフト131を中心として回動可能となる。また、回転ベース122を内側カバー104に取り付けると、回転シャフト131及びガイド突起132は、共に内側カバー104の外面から突出するようになっている。
内側カバー104の外面から突出した2つのガイド突起132には、突起キャップ133が被せられる。この突起キャップ133は、内方へ向けられた一端が開口する2つの筒状収容部133aと、これら筒状収容部133aの一端同士を接続する接続板133bとから構成されている。このうち筒状収容部133aは、前記開口を通じてガイド突起132が挿入されるようになっており、接続板133bの中央部には貫通孔133cが形成されている。そして、この突起キャップ133の2つの筒状収容部133aに、内側カバー104から突出した2つのガイド突起132を被せると、中央部の貫通孔133cに回転シャフト131が挿通される。
また、突起キャップ133には、2つの筒状収容部133aの夫々に外嵌する圧縮コイルバネ135を介し、長方形状のバネ押さえプレート136が組み付けられるようになっている。このバネ押さえプレート136には、筒状収容部133aを挿通可能な貫通孔136aが両端部に形成されており、更に、中央部にも小径の貫通孔136bが形成されている。
このような位置調整機構の組み立て手順について説明すると、図9に示すように、回転ベース122のベース支持円柱130に対して内側カバー104を外方から組み付ける。この際、回転シャフト131及びガイド突起132が、内側カバー104のシャフト孔104a及びガイド孔104bから外方へ突出する。次に、突出した2つのガイド孔104bに対し、筒状収容部133aを被せるようにして突起キャップ133を外方から組み付けることにより、回転ベース122と突起キャップ133とによって内側カバー104を左右から挟み込んだ状態とする。そして、圧縮コイルバネ135を各筒状収容部133aに外嵌させた状態とし、更に、筒状収容部133aを貫通孔136aに挿通させるようにして、外方からバネ押さえプレート136を組み付ける。このとき、バネ押さえプレート136の中央部の貫通孔136bには回転シャフト131が挿通され、その先端部がバネ押さえプレート136の外方へ突出する。該先端部の外周にはネジ山が形成されており、最後にここに座金を介してナット137を螺着させることにより、位置調整機構の組み立てが完了する(図8参照)。なお、図9に示すように、内側カバー104の基部には別の貫通孔138が形成されており、ジョイントベース105の外側端面に突設されたボルト139aを挿通してナット139bを螺着することにより、内側カバー104とジョイントベース105とは接続される。
このようにして組み立てられた位置調整機構では、圧縮コイルバネ135の伸長しようとする力が、バネ押さえプレート136及び回転シャフト131を介して回転ベース122に伝達され、該回転ベース122を外方へ、即ち、内側カバー104に接近する方向へ付勢する。この付勢力により、回転ベース122のベース支持円柱130と内側カバー104との接触面に静止摩擦力が生じ、内側カバー104に対する回転ベース122の相対姿勢は維持される。一方、人手で外力を付与するなどし、この静止摩擦力に抗って回転ベース122を回転シャフト131を中心に回動させると、ガイド突起132の可動範囲内で回動可能になっており、外力を除去すると、再び静止摩擦力によって回動後の姿勢を維持できるようになっている。
[エア配管]
ところで、位置調整機構によって回動可能な回転ベース122には、既に説明したように左右へ揺動可能なように可動プレート121が支持されている。そして図7に示すように、この可動プレート121と内側カバー104との間、及び可動プレート121の表面(即ち、左右方向の内方に向けられた面)には、空気袋9が設けられており、該空気袋9には、椅子型マッサージ機1の座部2の下部に設けられた給排気装置15(図2参照)からの配管によってエアが供給されるようになっている。
この配管について具体的に説明すると、まず、図3に示すように、背フレーム3bの凹部3eに前後方向へ貫通する配管孔201が形成されており、この配管孔201を通じて可撓性のエアチューブが引き出されるようになっている。なお、以下の配管についての説明で参照する各図面では、エアチューブを通じて供給されるエアの流路を模式的に破線200によって示している。
次に、図5に示すように、背凭れ部3に取り付けられるベースブロック101の後壁面には管状の接続パイプ202が突設され、配管孔201から引き出されたエアチューブはこの接続パイプ202に接続される。ベースブロック101の接続面101aにおける挿通孔101dの上方位置には、左右方向の内方へ窪んだ凹部101eが形成されており、該凹部101eの底面にソケット孔203が形成されている。そして、ベースブロック101内には、接続パイプ202に一端が連通する配管(図示せず)が敷設されており、その他端はソケット孔203に連通している。また、上記凹部101eには、図示しないオーリングが押さえ板140と共に嵌め込まれるようになっており、押さえ板140に形成された貫通孔140a及びオーリングの孔がソケット孔203に連通している。
図4に示すように、施療ユニット7Aが有するジョイントベース105の接続面105aには、ソケット孔203に対応する位置に、管状のプラグ204が突設されている。従って、ジョイントベース105をベースブロック101に接続することによって、プラグ204がソケット孔203に差し込まれ、互いに連通するようになっている。また、上述したオーリングの内径はプラグ204の外径より若干小さいものが採用されており、ソケット孔203とプラグ204との間は気密的に接続される。
次に、図9に示すように、ジョイントベース105の外側端面には管状のプラグ205が突設されており、接続面105aに設けられたプラグ204とこのプラグ205とを連通するように、ジョイントベース105内には図示しない配管が敷設されている。ジョイントベース105の外側端面に接続される内側カバー104には、プラグ205に対応する位置に貫通孔104dが形成されており、ジョイントベース105及び内側カバー104が接続されると、貫通孔104dを通じてプラグ205が本体ケーシング102(図4参照)内へ突出するようになっている。そして、このプラグ205にはエアホースの一端が接続される。
内側カバー104の先端部近傍と中央部分とには貫通孔104e,104fが形成されており、プラグ205に一端が接続されたエアホースは、本体ケーシング102内で分岐され、一方は先端側の貫通孔104eを通じて、他方は中央部分の貫通孔104fを通じて、それぞれ内側カバー104の表面側へ延設される。そして、貫通孔104eから延設されたエアホースは、内側カバー104と可動プレート121との間に配設された空気袋9(図7参照)に接続され、貫通孔104fから延設されたエアホースは、可動プレート121の先端部近傍に形成された貫通孔121aを通じて引き出され、可動プレート121の表面側に配設された空気袋9(図7参照)に接続される。
なお、図9に示すように、可動プレート121の裏面側(即ち、可動プレート121と内側カバー104との間に配設された空気袋9と可動プレート121との間)にはウレタン等から成るスペーサ141が配設されている(図7も参照)。このスペーサ141は可動プレート121と略同一の台形状を成して所定の厚み寸法を有し、前後方向へ延びる配管用スリット141aが中央部分に形成されている。そして、内側カバー104の貫通孔104fから可動プレート121の貫通孔121aへ延設されるエアホースは、この配管用スリット141a内に埋設されている。
このような構成により、背凭れ部3に施療ユニット7Aを装着した状態で、給排気装置15からエアを供給すると、ベースブロック101及びジョイントベース105内の配管を経て、本体ケーシング102内から延びるエアホースを通じ、内側カバー104及び可動プレート121間の空気袋9と、可動プレート121の表面側に配設された空気袋9とへ送られる。そして、内側カバー104及び可動プレート121間の空気袋9が膨張・収縮することにより、可動プレート121は支持ピン126(図7参照)を中心にして左右方向へ揺動し、可動プレート121の表面側に配設された空気袋9が膨張・収縮することにより、被施療者の上腕及び肩付近の部位への押圧力が変更される。また、可動プレート121を、回転シャフト131を中心にして回動させることにより、施療部120の上下方向位置を調整でき、被施療者への押圧位置を変更することができる。
(実施の形態2)
次に、椅子型マッサージ機1の実施の形態2に係る構成について説明する。
[椅子型マッサージ機の全体構成]
図10は、椅子型マッサージ機の実施の形態2に係る全体の構成を示す斜視図であり、図11は、図10とは異なる方向から見た椅子型マッサージ機の全体構成を示す斜視図である。図10及び図11に示す如く、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1は、被施療者が着座する座部2と、その被施療者の上半身を支持する背凭れ部3と、脚を支持するフットレスト4と、腕部を支持するアームレスト(肘掛け部)5とから主として構成されている。
なお、本実施の形態2に係る椅子型マッサージ機1の全体的な構成は、施療ユニット7Bを除いて、既に説明した実施の形態1に係る椅子型マッサージ機1の構成と同様になっている。従って、実施の形態2に係る椅子型マッサージ機1において、実施の形態1に係る椅子型マッサージ機1に対応する部分であって同様の構成になっている部分には、同一符号を付すこととし、ここではその詳細な説明は省略する。また、本実施の形態2に係る椅子型マッサージ機1も、図2のブロック図に示すような構成・機能を備えており、空気袋9についても、実施の形態1に係る椅子型マッサージ機1と同様の箇所に設けられている。
[施療ユニットの構成]
次に、背凭れ部3に接続された上腕及び肩付近を施療対象とする施療ユニット7Bについて説明する。図12は、施療ユニット7Bの構成を示すための斜視図であり、背凭れ部3と左側の施療ユニット7Bとを分離した状態を示している。なお、右側の施療ユニット7Bは省略しているが、両施療ユニット7Bは左右対称の構成となっており、以下では左側の施療ユニット7Bについて説明する。また、図13は、施療ユニット7Bの外観構成を示す斜視図である。
図12に示すように、背凭れ部3は略矩形枠状の背フレーム3bを有しており、図10に示した背凭れ部3は、この背フレーム3bの前面に長方形状の背クッション3cが配設された構成となっている。なお、背フレーム3bが有する中央部分の開口3d内に、上述した背用施療機19が配設される。
施療ユニット7Bは、空気袋9を有するユニット本体30と、該ユニット本体30を背フレーム3bに対して着脱自在に接続して固定するロック機構31とを備え、更に該ロック機構31は、ユニット本体30に設けられる可動ユニット32と、背フレーム3bに設けられる固定ユニット33とから構成されている。
[ユニット本体]
図13に示すように、ユニット本体30は、長方形状の底板の周縁部に沿って周回するように側壁が立設され、背フレーム3bに接続されたときに左右方向の中心へ向かって開口する外側カバー36と、該外側カバー36の開口を閉鎖する内側カバー37とから成る中空の本体ケーシング35を有している。該本体ケーシング35は、前記側壁の高さ寸法に相当する厚み寸法を有し、空気袋9が取り付けられる前側部分については、下端の厚み寸法D1に比べて上端の厚み寸法D2の方が大きくなっている。従って、内側カバー37において空気袋9が取り付けられる空気袋取付面37aは、下端から上端へ向かうに従って左右方向の中心に近接するように傾斜面を形成している。
空気袋取付面37aには、3つの空気袋9が重畳されたものが取り付けられている。各空気袋9は、収縮時には平坦な長方形状を成す中空の膨張部9aと、該膨張部9aの一方の長辺部の両側部から延設されたプレート状の基部9bとを有し、両基部9b,9b間には膨張部9aの内部空間に連通するパイプ状のソケット9cが取り付けられている。そして、これらの空気袋9はスペーサ38を介して空気袋取付面37aに取り付けられている。
スペーサ38は直方体形状を成し、左右の面の間を貫通する貫通孔38aが形成され、また、この貫通孔38aに直交して、上面、下面、及び前面に開口を有するように、3つのスリット38bが等間隔を空けて平行に形成されている。重畳された3つの空気袋9は、そのプレート状の基部9bが各スリット38bに挿入されることにより、各基部9b間のスペースが一定に維持されつつ、スペーサ38の貫通孔38aと各基部9bに形成された貫通孔9dとを通された1本のボルト(図示せず)によって空気袋取付面37aに締結される。なお、図13では一方の基部9bを固定するスペーサ38のみを図示しているが、他方の基部9bを固定するのにも同じスペーサ38が用いられている。
[可動ユニット]
図14は、可動ユニット32の構成を示す外観斜視図であり、図15は、図14に示す可動ユニット32の分解斜視図である。図14に示すように、可動ユニット32は丸棒状のレバーピン40に枢支されたレバー部(操作部)41を有している。該レバー部41は、矩形板状の把持部42と、該把持部42の両端から裏面側へ向けて立設された矩形板状の立板部43と、把持部42の裏面に突設されて先端に貫通孔44aが形成されたロッド支持部44とから構成されている。また、上下の立板部43の前部には軸芯が一致するようにして上下方向に貫通して形成されたピン孔43aが形成され、立板部43の後部には、立板部43の面方向に沿って左右方向の中心側へ突出する半円形状のストッパ43bが形成されている。
図16は、施療ユニット7Bの外観斜視図であり、ユニット本体30から外側カバー36を取り外して本体ケーシング35内を示している。この図16に示すように、本体ケーシング35の内側カバー37の後部には、本体ケーシング35内に向かって上下2つのフランジ37bが立設されており、このフランジ37bによってレバーピン40の両端が支持されている。そして、上述したレバー部41は、この状態のレバーピン40にピン孔43aが挿通されることにより、レバーピン40を中心にして把持部42が揺動操作可能になっている。また、レバーピン40には、レバー部41の引き操作(外側へ揺動させる操作)に対して抗う方向へ付勢する図示しない付勢手段が設けられており、被施療者が手を離すと、レバー部41はストッパ43bが内側カバー37の裏面に当接する位置に戻されるようになっている。
図14及び図15に示すように、可動ユニット32は、レバー部41に操作ロッド45を介して接続される係合爪46と、操作ロッド45及び係合爪46を収容する長寸筒状のガイドケース47とを更に備えている。図15に示すように、ガイドケース47は前後割りに構成されており、前側のガイドケース本体48に後側のカバー49が組み付けられることによって、長手方向に直交する断面が円弧状を成す内部空間を形成する中空筒状のガイドケース47が構成される。また、ガイドケース本体48の先端近傍には、ガイドケース47の内外を貫通する長方形状のスリット孔48aが形成され、基端部には長円形状のフランジ48bが設けられている。ガイドケース47は、このフランジ48bに設けられたボルト孔48cを通じて、ユニット本体30の内側カバー37の後部表面に立設するように取り付けられる(図13参照)。
また図15に示すように、フランジ48bにはガイドケース47の内部空間に連通する貫通孔48dが形成されており、この貫通孔48dを介してガイドケース47の内外に亘るように操作ロッド45が配設されている。この操作ロッド45は針金状の金属部材から成り、両端部45a,45bが屈曲された構成となっている。そして、操作ロッド45においてガイドケース47の外側に位置する方の端部45aは、内側カバー37に形成された貫通孔37cを介してユニット本体30内に突出しており(図16参照)、更に、レバー部41が有するロッド支持部44の貫通孔44aに係止され、ガイドケース47内に位置する方の端部45bには係合爪46が取り付けられている。
係合爪46は、左右方向に延びる本体部46aの基端部(左右方向の外側端部)に、操作ロッド45の端部45bが引っ掛けられる支持部46bが形成され、該支持部46bの近傍には上下方向へ延びるシャフト部46cが設けられている。また、本体部46aの先端部には前方へ突出した略台形状の係合突起46dが設けられ、更に、本体部46aの先端部には後方へ延びる板バネ状の付勢部46eが設けられている。そして、これら本体部46a、支持部46b、シャフト部46c、係合突起46d、及び付勢部46eから成る係合爪46は、合成樹脂素材によって一体的に成形されている。
このような係合爪46は、ガイドケース47内に収容された状態で、ガイドケース47のカバー49の内面に突設された軸受部49aによってシャフト部46cが支持され、該シャフト部46cを中心にして前後方向へ揺動可能なっている。また、ガイドケース47内の係合爪46は、板バネ状の付勢部46eがガイドケース47のカバー49の内面に押し付けられる反力で前方へ付勢されており、これによって係合突起46dがガイドケース本体48のスリット孔48aから外方(前方)へ突出するようになっている(図14参照)。
上述した可動ユニット32は、図15に示すようにレバー部41の把持部42が引き操作されると、その作用力は、操作ロッド45を介して係合爪46の支持部46bに伝達され、係合爪46はシャフト部46cの軸芯を中心にして先端の係合突起46dが後方へ揺動する。その結果、係合突起46dはスリット孔48aから外方に突出した状態からスリット孔48a内に後退する。他方、レバー部41から手を離して引き操作を解除すると、付勢部46eの付勢力により、係合爪46はシャフト部46cの軸芯を中心にして先端の係合突起46dが前方へ揺動する。その結果、係合突起46dはスリット孔48aから再び外方へと突出する。
また、図14及び図15に示すように、可動ユニット32は、ガイドケース47の長手方向に沿って左右方向に延びるエアパイプ50を備えている。このエアパイプ50は断面円形を成してガイドケース47よりも若干短寸のパイプ部50aと、該パイプ部50aの基端部に設けられたフランジ50bと、該フランジ50bからパイプ部50aとは反対方向へ突設されてパイプ部50aと同軸状に設けられた管状のソケット部50cとから構成されている。また、パイプ部50a及びソケット部50cに共通する軸芯50eに沿って、パイプ部50aの先端からソケット部50cの基端までを貫通する通気路50dが形成されている。エアパイプ50は、フランジ50bが、本体ケーシング35の内側カバー37の後部に対しボルト(図示せず)等により締結されることによって固定され、固定された状態でソケット部50cは内側カバー37からユニット本体30内に突出している(図16参照)。なお、上述したガイドケース47のガイドケース本体48の表面48c(係合突起46dが突出する側の面)は、パイプ部50aを中心とする略円弧面となっている。
図16に示すように、このエアパイプ50のソケット部50cには可撓性のゴムチューブ51の一端が接続されている。ゴムチューブ51は、ソケット部50cからユニット本体30内を延設され、内側カバー37の前側に位置する空気袋取付面37aを貫通する貫通孔37d(図13も参照)を通り、ユニット本体30の外部に至るまで配設されている。更に、ゴムチューブ51の他端には、図示しない分配継手が接続され、該分配継手から延びる3本のチューブが各空気袋9のソケット9c(図13参照)に接続されている。従って、エアパイプ50内の通気路50dと空気袋9cとは互いに連通している。
[固定ユニット]
次に、背フレーム3bに取り付けられる固定ユニット33について説明する。図17は、固定ユニット33の構成を示す外観斜視図であり、(a)はある方向から見たときの外観を示し、(b)は別の方向から見たときの外観を示している。また、図18は、図17に示す固定ユニット33の分解斜視図である。
図17に示すように、固定ユニット33は矩形平板状のフランジ55と、該フランジ55の前側(即ち、表面55a側)に設けられた有底円筒状のチャンバ部56と、該チャンバ部56の更に前側に設けられた有底筒状のジョイントベース57とを備えている。これらフランジ部55、チャンバ部56、及びジョイントベース57は、合成樹脂製素材によって一体的に成形されている。
図18に示すように、チャンバ部56は、左右方向の外側に向けられた開口56aを有し、周壁部にはフランジ55の裏面55bまで貫通する通気孔56bが形成されている。図17に示すように、フランジ55の後面55bには管状のソケット55cが突設されており、上記通気孔56bはこのソケット55cに連通している。該ソケット55cには可撓性のエアチューブ(図示せず)が接続され、給排気装置15(図2参照)からのエアをチャンバ部56内に給排気可能になっている。
また、図18に示すように、チャンバ部56の開口56aには、可撓性を有する合成樹脂製であって円環状を成す2つのシール部材60が、間に円筒状のスペーサ61を挟んだ状態で内嵌され、更に、シール部材60と同心状の貫通孔62aを有するキャップ62が開口56aの周縁部にネジ63で締結されることにより、シール部材60は開口56a内に収容される。また、シール部材60は、開口56aの内周面に接触する外縁部60aと、後述するようにエアパイプ50の外周面に接触する内縁部60bと、両者の間にあって厚み寸法が外縁部60a及び内縁部60bよりも小さい薄肉部60cとから構成されている。従って、薄肉部分60cが撓むことによって、内縁部60bは軸芯方向に沿って若干距離だけ変位可能になっている。
図18に示すように、ジョイントベース57は、可動ユニット32のガイドケース47(図14参照)と同様に、長手方向に直交する断面が円弧状を成す内部空間57aを形成する中空筒状に構成され、チャンバ部56の開口56aの開口方向と一致する開口57bを有している。また、この内部空間57aは、より詳しくはチャンバ部56の軸芯56cを中心とする円弧状を成しており、軸芯56cの周方向に余剰スペースを残しつつ、ガイドケース47を収容できる形状になっている。更に、ジョイントベース57の前側壁部には、複数の被係合孔57cが貫通形成されている。この被係合孔57cは矩形状を成しており、上記軸芯56cに沿う方向及び軸芯56cを周回する方向の夫々に沿ってマトリックス状に設けられている。なお、本実施の形態では、軸芯56cに沿う方向に5列と、軸芯56cを周回する方向に3列とで、合計15の被係合孔57cが設けられている。
[施療ユニットの挿脱及び位置調整]
図19は、上述した固定ユニット33に対して可動ユニット32を挿脱する工程を示す図面である。図19に示すように、施療ユニット7Bに取り付けられた可動ユニット32は、固定ユニット33へ向けて左右方向の外方から接近させてこれに接続させる(図19の上図参照)。そして、可動ユニット32のガイドケース47が、固定ユニット33のジョイントベース57の内部空間57aへ挿通されるようにして、また、エアパイプ50のパイプ部50aが、キャップ62の貫通孔62aを介して固定ユニット33のチャンバ部56内へ挿通されるようにして、固定ユニット33に装着される。
この際、ガイドケース47のスリット孔48aから突出した係合突起46dは、ジョイントベース57の内壁面に押圧されて後退し、係合突起46dが被係合孔57cに対向する位置にきたときに再び突出して互いに係合する。その結果、可動ユニット32は固定ユニット33に固定的に接続され(図19の下図参照)、施療ユニット7Bの背凭れ部3への装着が完了する。
一方、施療ユニット7Bを背凭れ部3から分離させる場合は、レバー部41を左右方向の外方へ引き操作する。これにより、既に説明したように係合突起46dが後退して被係合孔57cとの係合状態が解除されるため、施療ユニット7Bを左右方向の外方へ引き出して背凭れ部3から分離させることができる。また、上記説明から分かるように、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1では、レバー部41の引き操作方向と、施療ユニット7Bを背凭れ部3から引き離す方向とが一致しているため、施療ユニット7Bを分離させる作業が容易に行える。
また、施療ユニット7Bの左右方向の位置を調整する場合も、レバー部41を左右方向の外方へ引き操作する。これにより係合突起46dと被係合孔57cとの係合状態が解除されるため、施療ユニット7Bのユニット本体30を左右方向へ移動させることができる。そして、係合突起46dと何れかの被係合孔57cとが対向する適宜位置でレバー部41の引き操作を止めることにより、係合突起46dが被係合孔57cに再び係合し、この位置で可動ユニット32は固定ユニット33に接続され、左右方向に調整された位置で施療ユニット7は背凭れ部3に固定される。
図20は、施療ユニット7Bの上下方向の位置調整動作を示す図面であり、(a)はユニット本体30の空気袋取付面37a(図13参照)が相対的に下方に位置する状態を示し、(b)は上方に位置する状態を示している。図20に示すように、施療ユニット7Bの向きを変更する場合も、レバー部41を左右方向の外方へ引き操作することによって行う。これにより、係合突起46dと被係合孔57cとの係合状態が解除され、ユニット本体30は、エアパイプ50の軸芯50e(図15参照)を中心として所定範囲内で上下方向へ回動させることができる。そして、係合突起46dと何れかの被係合孔57cとが対向する適宜位置でレバー部41の引き操作を止めることにより、係合突起46dが被係合孔57cに再び係合し、この位置で可動ユニット32は固定ユニット33に接続され、上下方向に調整された位置で施療ユニット7Bは背凭れ部3に固定される。
以上に説明したように、本実施の形態2に係る椅子型マッサージ機1の場合、背凭れ部3に対する施療ユニット7Bの装着、取り外し、左右方向の位置調整、及び上下方向の位置調整が、何れもレバー部41の引き操作という単一の操作によって行うことができる。従って、これらの作業を行うにあたって複数の操作方法を覚える必要がなく、被施療者にとっての利便性の向上が図られている。また、施療ユニット7Bについて左右方向の位置調整及び上下方向の位置調整の何れもが可能であるため、被施療者の体格や好みの施療位置に応じて施療ユニット7Bの配置を柔軟に微調整することができる。
なお、上述のようにしてユニット本体30が背凭れ部3に接続されると、可動ユニット32のエアパイプ50と固定ユニット33のチャンバ部56とが連通する。その結果、給排気装置15(図21参照)から、チャンバ部56及びエアパイプ50を経て、施療ユニット7Bの空気袋9へエアを供給可能になり、給排気装置15の駆動により該空気袋9を膨張及び収縮できるようになる。また、この空気袋9は、エアの供給によって後部に比べて前部が大きく膨張するようになっている。
更に、施療ユニット7Bは背凭れ部3に接続された状態で、上述のように左右方向及び上下方向へ位置調整のために変位可能であり、この際、エアパイプ50は軸芯50e(図15参照)に沿ってスライドし、又は軸芯50eの周りに回動する。ここで、既に説明したように、エアパイプ50が挿通されたチャンバ部56は、2つのシール部材60によって気密的に封止されている。そして、図18を用いて説明したようにシール部材60の薄肉部60cが撓むことにより、スライド又は回動するエアパイプ50に追従するようにして内縁部60bが変位し、内縁部60bとエアパイプ50の外周面との間の気密性は維持されるようになっている。
[マッサージ動作]
図21は、施療ユニット7Bを用いた施療動作を説明すべく、椅子型マッサージ機1に着座した被施療者を上方から見下ろした状態を示す模式図であり、(a)は挟み揉みマッサージを行っている様子、(b)は捻りマッサージを行っている様子を夫々示している。図21(a)に示す挟み揉みマッサージでは、施療ユニット7Bが有する空気袋9(以下、空気袋9A)と、背凭れ部3において施療ユニット7Bの取付箇所近傍に設けられた空気袋9(以下、空気袋9B)とに対して給排気装置15からエアを供給し、空気袋9A,9Bが同時に膨張している状態とされる。
これにより、被施療者の上腕及び肩付近の部位が前後方向から挟み込まれるように押圧され、この部位の正面側に存在する肩内陵(ケンナイリョウ)と称されるツボと、この部位の背面側に存在する天宗(テンソウ)と称されるツボとを刺激することができる。なお、肩内陵を刺激することにより、前腕から親指にかけての痺れを改善できるという効果を期待することができ、天宗を刺激することにより、肩から上腕にかけての痺れを改善できるという効果を期待することができる。
また、図21(b)に示す捻りマッサージでは、左側の空気袋9Aと右側の空気袋9Bとが同時に膨張している状態とされ、右側の空気袋9Aと左側の空気袋9Bとは収縮した状態とされている。これにより、被施療者の左半身は空気袋9Aと背凭れ部3とによって保持される一方、右半身は空気袋9Bによって前方へ押し出されるため、被施療者は上半身を左側へ捻らせるようにマッサージされる。なお、上記とは逆に、右側の空気袋9A及び左側の空気袋9Bを同時に膨張状態とし、左側の空気袋9A及び右側の空気袋9Bを収縮した状態とすることにより、上半身を右側へ捻らせるようにマッサージすることができる。
更に、図21(a)の挟み揉みと図21(b)の捻りマッサージとを組み合わせることも可能である。例えば、左側の空気袋9A,9Bと右側の空気袋9Bとを同時期に膨張状態とすることにより、被施療者の左半身の肩内陵及び天宗を挟むように刺激しつつ、右半身を前方へ押し出して捻りマッサージを施すこともできる。また、この逆に、右側の空気袋9A,9Bと左側の空気袋9Bとを同時期に膨張状態とすることにより、被施療者の右半身の肩内陵及び天宗を挟むように刺激しつつ、左半身を前方へ押し出して捻りマッサージを施すこともできる。
図22は、施療ユニット7Bを用いた施療動作を説明すべく、背凭れ部3を後方へ傾倒させてリクライニングさせた椅子型マッサージ機1を示す模式図であり、(a)は上半身及び下半身を同一方向へ捻って施療する場合の動作、(b)は上半身及び下半身を反対方向へ捻って施療する場合の動作を夫々示している。なお、図2の説明において既に言及したように、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1では、座部2の後部の左右と前部の左右とに空気袋9が配設されており、図22では、このうち後部の左右に配設した空気袋9を空気袋9C、前部の左右に配設した空気袋9を空気袋9Dと表示している。
まず図22(a)に示す動作の場合、図面左側に示すように右側の施療ユニット7Bが有する空気袋9Aと、背凭れ部3の左側に設けられた空気袋9Bと、座部2の左側に設けられた空気袋9C,9Dとが、給排気装置15(図2参照)からのエアの供給によって同時に膨張している状態とされる。これにより、被施療者の上半身の右側部分(右肩及び右胸付近)が、膨張した空気袋9Aによって背凭れ部3側へ押圧されて保持され、この状態で、上半身及び下半身の左側部分が空気袋9B,9C,9Dによって押し上げられるように捻られる。逆に、図22(a)の図面右側に示すように、左側の空気袋9Aと、右側の空気袋9B,9C,9Dとを同時に膨張している状態にすることによって、被施療者の上半身の左側部分を保持しつつ、上半身及び下半身の右側部分を押し上げるようにして捻ることができる。そして、図22(a)の図面左側の状態と右側の状態とを交互に実行することにより、被施療者の上半身と下半身とを同時に、右側及び左側へと交互に捻らせることが可能である。
次に図22(b)に示す動作の場合、図面左側に示すように右側の施療ユニット7Bが有する空気袋9Aと、背凭れ部3の左側に設けられた空気袋9Bと、座部2の右側に設けられた空気袋9C,9Dとが、給排気装置15からのエアの供給によって同時に膨張している状態とされる。これにより、被施療者の上半身の右側部分が、膨張した空気袋9Aと背凭れ部3との間で押圧保持され、この状態で、上半身は空気袋9Bによって左側部分が押し上げられ、下半身は空気袋9C,9Dによって右側部分が押し上げられるため、上半身と下半身とを互いに反対側へ向かうように捻らせることができる。逆に、図22(b)の図面右側に示すように、左側の空気袋9Aと、右側の空気袋9Bと、左側の空気袋9C,9Dとを同時に膨張している状態にすることによって、被施療者の上半身の左側部分を保持しつつ、上半身の右側部分と下半身の左側部分とを夫々押し上げるようにして捻ることができる。そして、図22(b)の図面左側の状態と右側の状態とを交互に実行することにより、被施療者の上半身と下半身とが互いに逆方向へ向けられる捻りマッサージを、繰り返し行うことが可能である。
なお、図22(a),(b)では、座部2に4つの空気袋9C,9C,9D,9Dを設けた場合において、左側の2つの空気袋9C,9D又は右側の2つの空気袋9C,9Dを夫々同時に膨張した状態にする場合を説明したが、これに換えて左側又は右側の空気袋9C,9Dのうち一方のみを膨張させるようにしてもよく、特に、被施療者の腰部に近接する左側又は右側の空気袋9Cのみを膨張させるようにしてもよい。即ち、図22(a)の図面左側の例で言えば、右側の空気袋9Aと、左側の空気袋9B,9Cとを膨張させ、空気袋9Dを膨張させないようにしてもよい。
また、このようなマッサージ動作は、実施の形態1,2の何れの椅子型マッサージ機1においても実現することが可能である。
(実施の形態3)
図23は、椅子型マッサージ機の実施の形態3に係る構成を示す模式的正面図であり、背フレーム3b及び施療ユニット70のみを示している。また、図24は、図23に示す椅子型マッサージ機の平面図である。これら図23及び図24に示す椅子型マッサージ機は、背フレーム3bに沿って施療ユニット70を上下方向へ昇降動させることができ、且つ、被施療者側から施療ユニット70に加えられた押圧力を適切に受け止めることができる構成になっている。以下、この構成について詳説する。
図24に示すように、背フレーム3bの側部背面には、正面側へ窪んで上下方向へ延びる背面側凹部71が形成され、該背面側凹部71にはこれに沿って上下方向へ延びるラック72a(図23も参照)が取り付けられている。このラック72aは、歯列を後方に向けて配設されている。また、背フレーム3bの側部正面には、背面側へ窪んで上下方向へ延びる正面側凹部73が形成され、該正面側凹部73にはこれに沿って上下方向へ延びるガイドレール74a(図23も参照)が取り付けられている。これらのラック72aとガイドレール74aとは、互いに平行に設けられている。
一方、図24に示すように、施療ユニット70は、平面視で略F字形状を成しており、前後方向に延びる側壁体75と、該側壁体75の後端部から左右方向の中央側へ延びる背面支持体76と、側壁体75の前後方向の途中から左右方向の中央側へ延びる正面支持体77と、側壁体75の前部内面に取り付けられた空気袋9とから構成されている。背面支持体76は、背面側凹部71に略整合する形状となっており、その正面部分には上記ラック72aに対して後方から噛合するピニオン72bが、左右方向の軸芯回りに回転可能に支持されている。このピニオン72bにはモータ78の回転軸が接続されており、モータ78が回転駆動することによってラック72aに沿って上下方向へ転動する。また、正面支持体77は、正面側凹部73に略整合する形状となっており、その背面部分には、上記ガイドレール74aに対して左右方向の中央側から当接し、且つ該ガイドレール74aに沿って上下方向へ転動可能なようにローラ74bが設けられている。なお、図23及び図24には示していないが、背フレーム3bの前側には、施療ユニット70が有する正面支持体77の前面を覆うようにして図10に示すような背クッション3cが設けられる。
このような施療ユニット70は、モータ78が回転駆動することにより、ピニオン72bがラック72a上を転動し、背フレーム3bに沿って上下方向へ昇降動させることができる。また、空気袋9を膨張して被施療者の上半身を側方から押圧した場合、その反力が施療ユニット70に作用し、施療ユニット70には左右方向の外方へ向かう外力が加えられる。本実施の形態では、この施療ユニット70に作用する反力を背フレーム3bにおいて適切に受け止めることができる。この点について次に説明する。
図25は、空気袋9を膨張させたときに施療ユニット70及び背フレーム3bに作用する力を示す模式的平面図である。図25に示すように、空気袋9の膨張によって施療ユニッ70の側壁体75の前部には、左右方向の外方へ向かう力F1が作用する。これにより、ローラ74bが同方向へ付勢されてガイドレール74aにも左右方向の外方へ向かう力F2が作用する。
ここで、側壁体75の空気袋9の取付箇所は力点に、ローラ74bは支点になっており、このときピニオン72bが作用点になる。従って、ピニオン72bはローラ74bを支点として回動する方向へ付勢され、このピニオン72bに押圧されてラック72aには略前方へ向かう力F3が作用する。その結果、このガイドレール74a及びラック72aに作用する力F2,F3により、背フレーム3bの側部には、側部の端部に対して左右方向の中央部分を前方へ向かわせるような偶力M1が作用することになる。しかしながら、背フレーム3bには、被施療者の上半身がもたれ掛かっていて後方へ向かう押圧力F4が作用しているため、この押圧力F4によって偶力M1を相殺することができる。
このように、空気袋9を膨張させた際に施療ユニット70に作用する力F1は、背フレーム3b及び被施療者によって受け止められる。また、偶力M1を生じさせる力F3と被施療者による押圧力F4とは、背フレーム3bを挟んで互いに対向する向きに作用するため、これらの力F3,F4を受け止めるために背フレーム3bの剛性を大きく向上させる必要はなく、結果的に空気袋9の膨張による反力F1を適切に受け止めることができる。また、ピニオン72bに作用する力F3は、ラック72aへ押し付けられる方向に向けられているため、施療ユニット70の昇降動に際してラック72aがピニオン72bから外れてギヤ飛びするのを防止することができる。
(実施の形態4)
図26は、椅子型マッサージ機の実施の形態4に係る構成を示す模式的正面図であり、背フレーム3b及び施療ユニット80のみを示している。また、図27は、図26に示す椅子型マッサージ機の平面図である。これら図26及び図27に示す椅子型マッサージ機は、背フレーム3bの側部に取り付けられた施療ユニット80を前後方向に移動させることができ、非使用時には後退させておくことができる構成になっている。以下、この構成について詳説する。
図26に示すように、背フレーム3bの側部には、左右方向の中央側へ窪んだユニット収容凹部81が形成されている。また、図27に示すように、このユニット収容凹部81の後方には左右方向の外方へ延びてユニット収容凹部81の後面を形成するシリンダ支持壁82が設けられており、該シリンダ支持壁82に後端部が固定された伸縮自在のシリンダ83が前方へ延設されている。シリンダ83の前端部には施療ユニット80が取り付けられ、シリンダ83の伸縮動に伴って、前後方向に移動可能になっている。また、ユニット収容凹部81の側面(即ち、左右方向の外方へ向けられた面)の上部及び下部には、前後方向に長寸のガイドレール84aが取り付けられ、施療ユニット80の内側面(即ち、左右方向の中心側へ向けられた面)の上部及び下部には、前後方向に長寸のガイドロッド84bがガイドレール84aに対応して取り付けられている。
ガイドロッド84bはガイドレール84aに沿って前後方向に相対移動可能になっており、ガイドレール84a及びガイドロッド84bによって施療ユニット80の前後方向の移動を案内するガイド84が構成されている。なお、図26及び図27では、ガイドロッド84bが施療ユニット80の内側面から突出して設けられている構成を示しているが、突出しないように設けてもよい。また、ガイドロッド84bを施療ユニット80の外側面に配設してもよく、この場合、ガイドレール84aは、例えばシリンダ支持壁82の左右方向の外側端部から前方へ延びるようにして設ければよい。このようにすれば、ガイドロッド84bが被施療者に干渉するのを防止することができる。
このような構成により、シリンダ83が伸縮すると、施療ユニット80はガイド84によって案内されつつ前後方向へスライドする。そして、最前方に位置するときは、被施療者の上半身の側面に対向し、最後方に位置するときには背フレーム3bの側方に位置して、施療ユニット80の前端と背フレーム3bの前面とは略面一になるようになっている。なお、シリンダ83には図示しない駆動部を介して制御部が接続されており、該制御部からの指示に基づいて伸縮動作が制御される。
(実施の形態5)
図28は、椅子型マッサージ機の実施の形態5に係る構成を示す模式的正面図であり、背フレーム3b及び施療ユニット90のみを示している。また、図29は、図28に示す椅子型マッサージ機の平面図である。これら図28及び図29に示す椅子型マッサージ機は施療ユニット90を有し、これを移動させることにより、被施療者の上腕及び肩付近を、外側方から又は後方から、選択的に施療できるようになっている。以下、この構成について詳説する。
図28及び図29に示すように、背フレーム3bの側部正面には後方へ窪んだ正面視で矩形状のユニット収容凹部91が形成されており、該ユニット収容凹部91には、左右方向へ延びるようにしてネジ棒92とこれにボールジョイントされた駆動ナット93とから成るアクチュエータ94が収容されている。なお、ネジ棒92は、ユニット収容凹部91の左右方向寸法と略同じ長さを有しており、図示しないモータの駆動によって自身の軸芯回りに回転可能になっている。そして、駆動ナット93には施療ユニット90が接続されている。
図30は右側の施療ユニット90の構成を示す模式的斜視図であり、(a)は上腕及び肩付近を後方から施療する際の姿勢を、(b)は側方から施療する際の姿勢を夫々示している。なお、左側の施療ユニット90も同様の構成となっているため、ここではその構成について詳説しない。
この図30に示すように、施療ユニット90は正面視でユニット収容凹部91と略同一の矩形状を成しており、メインユニット95とサブユニット96とから構成されている。メインユニット95は略矩形ボックス状を成しており、被施療者との対向面95aに膨縮可能な空気袋等の施療具97が設けられている。また、メインユニット95には、基部95bから先端部95cに至るまで、左右方向へ貫通形成された貫通孔95dが形成されており、ネジ棒92が挿通可能になっている。
このメインユニット95の基部95bには、上述した駆動ナット93が接続されている。駆動ナット93は略直方体形状を成しており、メインユニット95の基部95bにおける上下方向の略中央位置に配設されている。また、駆動ナット93には、左右方向へ貫通してネジ棒92に螺合するネジ孔93aが形成され、図30(a)に示す状態では、ネジ孔93aと貫通孔95dにネジ棒92が通された状態で、メインユニット95と駆動ナット93とが左右に並設している。そして、駆動ナット93の左右方向の外側端部93bとメインユニット95の基部95bとの間にワイヤ98が懸架されて、両者は若干の遊びを有して接続されている(図30(b)参照)。
一方、サブユニット96は、略直方体形状を成す上側部材96aと下側部材96bとから構成され、駆動ナット93を上下から挟むようにして、メインユニット95の基部95bの上側と下側とに夫々が配設されている。また、上側部材96a及び下側部材96bは、何れもメインユニット95の基部95bに対して蝶番等によって上下方向へ延びる枢軸96cを介して接続されており、サブユニット96に対してメインユニット95は前後方向へ回動可能になっている。
次に、このような施療ユニット90の動作について説明する。図30(a)に示すように、駆動ナット93がネジ棒92の途中に位置する場合、貫通孔95dにネジ棒92が挿通されてメインユニット95は施療具97を正面(前方)へ向けた状態となっており、図28及び図29に示す右側の施療ユニット90のように、該施療ユニット90は背フレーム3bのユニット収容凹部91にその一部又は全部がわ収容された状態となっている(図28及び図29では、全部が収容された状態を示している)。このとき、施療具97は被施療者の上腕及び肩の背面に対向しており、施療具97を動作させることによってこの部位を施療することができる。
他方、ネジ棒92を回転させて駆動ナット93を左右へ移動させると、これに伴って施療ユニット90も移動し、ネジ棒92に沿って駆動ナット93が移動できる範囲内で、施療ユニット90の左右方向の位置調整を行うことができる。また、左右方向へ移動させながら施療具97を動作させることも可能である。
次に、駆動ナット93がネジ棒92の先端近傍に到達すると、メインユニット95の貫通孔95dからネジ棒92が抜け、メインユニット95はサブユニット96に対して枢軸96c回りに回動自在になる。更に駆動ナット93が外側方へ移動してネジ棒92の最先端に到達すると、駆動ナット93によってメインユニット95が押され、メインユニット95は枢軸96cを中心に前方へ回動する。そして、メインユニット95がサブユニット96に対して略直交するように屈曲して前方へ突出した状態で、メインユニット95の基部95bの端面(図30(b)の状態での後端面)に駆動ナット93の前面が当接し、図30(b)に示す状態となる(図28及び図29に示す左側の施療ユニット90も参照)。
このとき、施療ユニット90の施療具97は、被施療者の上腕及び肩の外側面に対向しており、施療具97を動作させることによってこの部位を施療することができる。また、施療具97として空気袋を用いた場合、その膨張時に被施療者を押圧する反力が施療ユニット90に作用するが、上述したようにメインユニット95の基部95bの端面に駆動ナット93の前面が当接しているため、この反力を駆動ナット93にて受けることができ、メインユニット95は図30(b)に示す姿勢を維持することができる。
また、図29に示すように、背フレーム3bの前側にはクッション性を有する背クッション3cが配設され、図29に示す左右の施療ユニット90のように、メインユニット95を枢支するサブユニット96は、メインユニット95が図30(a),(b)に示す何れの状態であっても、背クッション3cの後方にてユニット収容凹部91内に位置している。従って、被施療者が背凭れ部3に上半身を凭れ掛けた状態では、その上半身による圧力が背クッション3cを介してサブユニット96に作用するため、該サブユニット96及びメインユニット95の位置は安定的に位置することができ、特に、ネジ棒92の軸芯回りに回転する方向への位置ズレが規制される。
また、図30(b)の状態からネジ棒92を回転し、駆動ナット93を左右方向の中央側へ移動させると、駆動ナット93との間でワイヤ98を介して接続されたメインユニット95は、枢軸96cを中心に後方へ回動する。そして、メインユニット95に取り付けられた施療具97が正面向きとなって貫通孔95dが左右方向へ向けられた後に、該メインユニット95が更に左右方向の中央側へ移動させられると、貫通孔95dにネジ棒92が挿通され、図30(a)に示す状態に復帰する。
なお、サブユニット96とユニット収容凹部91の壁部との間にガイドを設け、サブユニット96の移動方向を左右方向だけに規制するようにしてもよい。これにより、背凭れ部3にもたれ掛かった被施療者によるサブユニット96への圧力にかかわらず、施療ユニット90の位置を安定的に維持することができる。また、サブユニット96にも空気袋等の施療具97を設けてもよい。