JP5121193B2 - 塗料組成物 - Google Patents
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しかしながら、これらの手法を用いても、塗料中で抗菌性金属が溶出して変色が生じたり、あるいは光に対する安定性が不十分であるために変色が生じる等の問題があり、長期安定性の点においては未だ課題が残されている状況である。
1.結合材(a)の固形分100重量部に対し、抗菌性金属を含む抗菌剤(b)を0.01〜5重量部含有する塗料組成物において、さらに、ビステトラゾール化合物(c)を、前記抗菌剤(b)中の抗菌性金属に対し1:0.1〜1:10のモル比で含有することを特徴とする塗料組成物。
2.前記抗菌剤(b)が銀を含むものであることを特徴とする1.記載の塗料組成物。
(b)成分としては、金属イオン状態のものと金属状態のものが広く知られている。一般に、前者は、細菌の細胞膜または、菌体内のタンパク質と反応することにより抗菌性を示し、後者は、光によって銀が励起されて生成する活性酸素種が抗菌性を示すとされている。このうち本発明では、前者の金属イオンを有する抗菌剤を用いた場合に、特に顕著な効果が得られる。
これらの無機化合物に金属イオンを担持させる方法は、公知の方法を用いればよく、例えば物理吸着または化学吸着により担持させる方法、イオン交換反応により担持させる方法、結合剤により担持させる方法、金属化合物を無機化合物に打ち込むことにより担持させる方法、蒸着、溶解析出反応、スパッタ等の薄膜形成法により無機化合物の表面に金属化合物の薄層を形成させることにより担持させる方法等が挙げられる。
含窒素環状化合物のビス体としては、ビステトラゾール化合物が好ましく、例えば、5,5′‐ビ(1H‐テトラゾール)、5,5′‐メチレンビス(2H‐テトラゾール)、5,5′‐アゾビス(1H‐テトラゾール)、5,5′‐ジアゾアミノビス(1H‐テトラゾール)、5,5′‐(2‐ブテン‐1,4‐ジイル)ビス(1H‐テトラゾール)、5,5′‐(1,4‐フェニレン)ビス(2H‐テトラゾール)、5,5′‐(1,3‐フェニレン)ビス(2H‐テトラゾール)、5,5′‐テトラメチレンビス(2H‐テトラゾール)、1,2‐ビス(1H‐テトラゾール‐5‐イル)ヒドラジン、5,5′‐(オキシビスエチレン)ビス(1H‐テトラゾール)、4,5‐ビス(1H‐テトラゾール‐5‐イル)‐2H‐イミダゾール、ビス(1H‐テトラゾール‐5‐イル)アミン、及びこれらの誘導体(ナトリウム塩、アンモニウム塩等の塩等)が挙げられる。
蒸留水に硝酸銀を混合して0.1Mの硝酸銀水溶液を調製した。この硝酸銀水溶液に、A型ゼオライト粉末(平均粒子径75μm)を混合・分散して3時間攪拌し、次いでこの分散液をろ過し、水で洗浄した後、120℃雰囲気下で6時間乾燥させ、粉砕することにより抗菌剤A(銀イオン担持量2重量%)を得た。
次に、アクリル樹脂エマルション200重量部に対し、白色顔料(二酸化チタン)130重量部、体質顔料(重質炭酸カルシウム)100重量部、分散剤5重量部、増粘剤5重量部、消泡剤2重量部、ビステトラゾールジアンモニウム0.2重量部、及び上記抗菌剤A5重量部を常法により均一に混合して水性塗料を作製した。この水性塗料において、抗菌剤A中の銀イオンとビステトラゾールジアンモニウムのモル比は1:1.2である。以上の方法で得られた水性塗料につき、以下の各試験を行った。
作製直後の水性塗料を、すきま150μmのフィルムアプリケータで白紙上に塗付し、遮光条件下、標準状態(温度23℃・相対湿度50%)で48時間乾燥して塗紙を得、塗紙の色を分光光度計により測定してL*1、a*1、b*1を算出した。
次に、水性塗料を容器に密封・遮光し、所定の温度(5℃、23℃、50℃)で50日間貯蔵した後、同様の方法で塗紙を作成して分光光度計による測定を行い、L*2、a*2、b*2を算出した。
以上の方法で得られた値より、貯蔵前後の色差(△E)を次式に従って算出した。評価基準は、◎:色差0.5未満、○:色差0.5以上1.0未満、△:色差1.0以上2.0未満、×:色差2.0以上、とした。
△E={(L*2−L*1)2+(a*2−a*1)2+(b*2−b*1)2}0.5
予めシーラーが塗装されたスレート板に対し、水性塗料を塗付量0.3kg/m2でスプレー塗装した後、遮光条件下、標準状態で14日間乾燥させたものを試験体とした。この試験体の色を分光光度計により測定してL*1、a*1、b*1を算出した。
次に、試験体を23℃の水に6時間浸漬した後、再度分光光度計により測定を行い、L*2、a*2、b*2を算出した。
以上の方法で得られた値より、水浸漬前後の色差を算出し、上記(1)と同様の評価基準により評価を行った。
予めシーラーが塗装されたスレート板に対し、水性塗料を塗付量0.3kg/m2でスプレー塗装した後、遮光条件下、標準状態で14日間乾燥させたものを試験体とした。この試験体の色を分光光度計により測定してL*1、a*1、b*1を算出した。
次に、この試験体表面に、22W蛍光灯を距離15cmで50日間照射した後、再度分光光度計により測定を行い、L*2、a*2、b*2を算出した。
以上の方法で得られた値より、照射前後の色差を算出し、上記(1)と同様の評価基準により評価を行った。
50mm×50mm×1mmのアルミ板に塗料を塗付量0.3kg/m2でスプレー塗装し、標準状態にて7日間養生したものを試験片とした。得られた試験片につき、JIS Z2801(2000)に準拠して抗菌試験を実施し、抗菌活性を算出した。なお、この抗菌試験においては、抗菌剤を添加しないものをブランクとし、対象菌を黄色ブドウ球菌とした。評価基準は、◎:抗菌活性2.0以上、○:抗菌活性1.0以上2.0未満、△:抗菌活性0.5以上1.0未満、×:抗菌活性0.5未満、とした。
蒸留水に硫酸銅を混合して0.1Mの硫酸銅水溶液を調製した。この硫酸銅水溶液に、A型ゼオライト粉末(平均粒子径75μm)を混合・分散して3時間攪拌し、次いでこの分散液をろ過し、水で洗浄した後、120℃雰囲気下で6時間乾燥させ、粉砕することにより抗菌剤B(銅イオン担持量2重量%)を得た。
次に、アクリル樹脂エマルション200重量部に対し、白色顔料(二酸化チタン)130重量部、体質顔料(重質炭酸カルシウム)100重量部、分散剤5重量部、増粘剤5重量部、消泡剤2重量部、ビステトラゾールジアンモニウム0.6重量部、及び上記抗菌剤B5重量部を常法により均一に混合して水性塗料を作製した。この水性塗料において、抗菌剤B中の銅イオンとビステトラゾールジアンモニウムのモル比は1:2である。以上の方法で得られた水性塗料につき、実施例1と同様の方法で各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
アクリル樹脂エマルション200重量部に対し、白色顔料(二酸化チタン)130重量部、体質顔料(重質炭酸カルシウム)100重量部、分散剤5重量部、増粘剤5重量部、消泡剤2重量部、及び上記抗菌剤A5重量部を常法により均一に混合して水性塗料を作製した。以上の方法で得られた水性塗料につき、実施例1と同様の方法で各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
ビステトラゾールジアンモニウムに替えて1H−イミダゾールを使用した以外は、実施例1の方法に従って水性塗料を作製し、各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
ビステトラゾールジアンモニウムに替えて5−フェニル−1H−テトラゾールを使用した以外は、実施例1の方法に従って水性塗料を作製し、各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
ビステトラゾールジアンモニウムに替えて5−メチル−1H−テトラゾールを使用した以外は、実施例1の方法に従って水性塗料を作製し、各種試験を行った。試験結果を表1に示す。
Claims (2)
- 結合材(a)の固形分100重量部に対し、抗菌性金属を含む抗菌剤(b)を0.01〜5重量部含有する塗料組成物において、さらに、ビステトラゾール化合物(c)を、前記抗菌剤(b)中の抗菌性金属に対し1:0.1〜1:10のモル比で含有することを特徴とする塗料組成物。
- 前記抗菌剤(b)が銀を含むものであることを特徴とする請求項1記載の塗料組成物。
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