JPH0889887A - 抗菌性塗膜の形成方法及びそれによる感染防止方法 - Google Patents

抗菌性塗膜の形成方法及びそれによる感染防止方法

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JPH0889887A
JPH0889887A JP25758194A JP25758194A JPH0889887A JP H0889887 A JPH0889887 A JP H0889887A JP 25758194 A JP25758194 A JP 25758194A JP 25758194 A JP25758194 A JP 25758194A JP H0889887 A JPH0889887 A JP H0889887A
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antibacterial
coating film
water
coating
paint
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JP25758194A
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Masami Sugishima
正見 杉島
Yutaka Inoue
裕 井上
Kenya Suzuki
研哉 鈴木
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Kansai Paint Co Ltd
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Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 基材に抗菌剤を含有する抗菌性塗料を塗布し
て抗菌性塗膜を形成する方法であって、該塗膜が乾燥塗
膜における水との接触角が85°以下である抗菌性塗膜
の形成方法及び基材に形成された該抗菌性塗膜の美観低
下もしくは抗菌性低下時に、該塗膜上に又は該塗膜を剥
離した面に、上記抗菌性塗料を塗布して乾燥塗膜におけ
る水との接触角が85°以下である抗菌性塗膜を形成す
ることによる感染防止方法。 【効果】 優れた抗菌性を長期に持続しうる抗菌性塗膜
を形成でき、病院や医療機関、老人ホーム等での院内感
染等を効果的に防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性塗膜の形成方法に
関し、詳しくは病院や医療機関、老人ホーム等の福祉施
設、食料品店舗、レストラン等の壁、床、天井、てす
り、ドア、家具、ロッカー等に抗菌性を付与するための
抗菌性塗膜の形成方法及びそれによる感染防止方法に関
する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来より、建造物内外の塗
装面における細菌・カビの発生による汚染が問題になっ
ており、建造物素材面や塗装面に防汚、抗菌機能を付与
する検討が種々行なわれている。近年、特に病院や医療
機関、老人ホーム等においてMRSA(メチシリン耐性
黄色ブドウ球菌)等による院内感染が問題になってお
り、このような優れた抗菌性が常時要求される場所に提
供される床壁材等に適した内装材や塗装材、そのメンテ
ナンス方法の開発が急務となっている。
【0003】従来公知の抗菌性内装材として、実開昭6
0−170410号、特開平3−241132号公報
に、特定の抗菌剤を含有せしめた樹脂表面層を有する床
材等の内装材が開示され、さらに該内装材上に抗菌剤を
含有せしめたワックスを塗布してなるメンテナンス方法
が開示されている。しかしながらこれらの内装材では、
水ふきなどの清掃時に抗菌剤が溶出してしまい抗菌効果
が持続されず、また病院等で使用される消毒液等によっ
て損傷してしまい美観が低下する。さらに抗菌剤含有ワ
ックスを塗布してなるメンテナンス方法では、比較的短
期間でワックスが磨耗し抗菌性が消失したり美観が低下
したりしてしまうので、該ワックスの塗布頻度を多くし
なければならなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するために鋭意検討した結果、抗菌性を付与する
塗膜を形成し該塗膜の乾燥塗膜における水との接触角を
コントロールすることにより、効果的に抗菌性を発現さ
せられることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0005】かくして、本発明に従えば、 「1.基材に抗菌剤を含有する抗菌性塗料を塗布して抗
菌性塗膜を形成する方法であって、該塗膜が乾燥塗膜に
おける水との接触角が85°以下であることを特徴とす
る抗菌性塗膜の形成方法。 2.上記基材が、抗菌剤が配合されてなる内装材である
1項記載の方法。 3.上記基材が、床面を形成する床材である1及び2項
記載の方法。 4.上記抗菌性塗料が、抗菌剤として銀イオン担持無機
系抗菌剤及び/又はビス(ピリジン−2−チオール−1
−オキシド)亜鉛塩を含有してなる塗料である1ないし
3項記載の方法。 5.上記抗菌性塗料が、抗菌剤として銀イオン担持無機
系抗菌剤及び/又はビス(ピリジン−2−チオール−1
−オキシド)亜鉛塩を含有し、さらにベンゾトリアゾー
ル構造を有する化合物を配合してなる塗料である1ない
し4項記載の方法。 6.上記抗菌性塗料が、塗膜隠蔽率0.5以下のクリヤ
ー塗料である1ないし5項記載の方法。 7.上記抗菌性塗料が、水溶性及び/又は水分散性樹脂
を主成分とする水性塗料である1ないし6項記載の方
法。 8.抗菌性塗膜の水との接触角が、40〜75°である
1ないし7項記載の方法。 9.基材に形成された抗菌性塗膜の美観低下もしくは抗
菌性低下時に、該塗膜上にさらに上記抗菌性塗料を塗布
して乾燥塗膜における水との接触角が85°以下である
抗菌性塗膜を形成してなる感染防止方法。 10.基材に形成された抗菌性塗膜の美観低下もしくは
抗菌性低下時に、該塗膜を剥離し、該剥離面に上記抗菌
性塗料を塗布して乾燥塗膜における水との接触角が85
°以下である抗菌性塗膜を形成してなる感染防止方
法。」 に関する。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明において、抗菌性塗膜が形成される
基材は、プラスチック、セメントコンクリート、モルタ
ル、セメント二次製品、陶磁器タイル等のセラミックス
類、木材、金属などの素材、さらにこれら素材からなる
抗菌性を必要とする種々の部位、例えば建物の床、壁、
天井等の内装材、手すり、ドア、ロッカー、又は建物の
外壁、車両の内外装、家具などが挙げられる。本発明方
法は内装材、特に床面を形成する床材に好適である。床
面は人や物の移動、消毒液の飛散等で損傷しやすく、ま
た最も人の接触の多い面であるから、本発明による抗菌
性塗膜の形成が望ましい。床面を形成する床材として
は、例えば長尺床材、ビニタイル、塗床材などのプラス
チック床材などが挙げられる。また該内装材が、後述の
如き抗菌剤を主に表面層に含むものであることが抗菌性
の点からは望ましい。
【0008】本発明において使用される抗菌性塗料は、
抗菌剤を含有するものであり、該抗菌剤としては、特に
制限なく従来公知の有機系、無機系の抗菌剤を使用でき
るが、有機系はハロー効果(拡散浸透性)に、無機系は
抗菌性の持続性に優れるのでこれらを併用することが望
ましく、特に銀イオン担持無機系抗菌剤及び/又はビス
(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛塩を使
用することが抗菌力、その持続性から好適である。
【0009】該銀イオンを担持させた無機系抗菌剤とし
ては、銀イオンを担持させた無機化合物であれば特に制
限なく従来公知のものが使用できる。銀イオンを担持さ
せる無機化合物としては、活性炭、活性アルミナ、シリ
カゲル等の無機系吸着剤、ゼオライト、ヒドロキシアパ
タイト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、チタン酸
カリウム、含水酸化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、
ハイドロタルサイト等の無機イオン交換体などが挙げら
れる。これらの無機化合物に銀イオンを担持させる方法
には、特に制限なく従来知られた担持方法がいずれも採
用できる。上記無機化合物の中で、無機イオン交換体は
銀イオンを強固に担持できることから好ましく、特にゼ
オライトやリン酸ジルコニウム塩などが好適に使用でき
る。該化合物の具体例としては、例えば「ノバロンAG
−300」(東亜合成化学社製、銀イオン担持リン酸ジ
ルコニウム)、「ゼオミックAW−10D」(シナネン
ニューセラミック社製、銀イオン担持ゼオライト)など
の市販品も利用できる。
【0010】該銀イオンを担持させた無機系抗菌剤の粒
径は、塗装後の仕上り性、抗菌剤の有効面積などから平
均粒径10μm 以下、好ましくは0.01〜5μm であ
ることが望ましい。
【0011】銀イオンを担持させた無機系抗菌剤の配合
割合は、塗料固形分100重量部に対して好ましくは
0.05〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜10
重量部が抗菌効果及び経済性から好適である。
【0012】上記ビス(ピリジン−2−チオール−1−
オキシド)亜鉛塩は、いわゆるジンクピリチオンであ
り、下記式(I)で示されるものである。該ビス(ピリ
ジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛塩を上記銀イ
オンを担持させた無機系抗菌剤と併用すると、抗菌性に
おいてもハロー効果や抗菌性の持続により著しい効果を
発現するだけでなく、銀イオン担持無機系抗菌剤からの
溶出銀イオンによる変色が顕著に抑制されるので有利で
ある。また両者を併用する場合には、銀イオン担持無機
系抗菌剤を配合する前にビス(ピリジン−2−チオール
−1−オキシド)亜鉛塩を予め塗料成分に分散混合せし
めておくことが、有効な変色防止の点から好ましい。
【0013】
【化1】
【0014】ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキ
シド)亜鉛塩の配合割合は、塗料固形分100重量部に
対して好ましくは0.001〜20重量部、さらに好ま
しくは0.05〜5重量部が抗菌効果及び経済性から好
適である。該ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキ
シド)亜鉛塩を、特に水性塗料に使用する際には、分散
性の点からエチレングリコール類などで分散してから配
合することが望ましい。
【0015】上記抗菌性塗料に銀イオン担持無機系抗菌
剤を使用した場合に、該銀イオンに起因する変色防止効
果は上記ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシ
ド)亜鉛塩の使用で十分得られるものであるが、病院等
の消毒用エタノール等の薬品が揮散しやすい部位、ある
いは日光照射の厳しい部位等に塗装される塗料に対して
は、さらに下記一般式(II)で示されるベンゾトリアゾ
ール構造を有する化合物を必要に応じて配合することが
望ましい。
【0016】
【化2】
【0017】(式中、R1 は水素又は炭素数1〜6の低
級アルキル基、R2 は水素、アルカリ金属又は下記式(I
II) で示されるフェノール基を示す。
【0018】
【化3】
【0019】但し、R3 は水素又はアルキル基、R4
水素、アルキル基又はアルキルエステル基を示す。)
【0020】上記一般式(II)で示される化合物の好ま
しい具体例としては、例えばメチルベンゾトリアゾー
ル、メチルベンゾトリアゾールのカリウム塩、3−ベン
ゾトリアゾール−5−t−ブチル−4−ヒドロキシプロ
ピオン酸メチル、2,4−ジ−t−ブチル−6−ベンゾ
トリアゾールフェノールなどが挙げられる。
【0021】該ベンゾトリアゾール構造を有する化合物
の配合割合は、塗料固形分100重量部に対して好まし
くは0.001〜20重量部、さらに好ましくは0.0
1〜5重量部が適当である。該配合割合が0.001重
量部より少ないと、耐候性や変色防止が期待しにくく、
一方20重量部を越えて配合されると、良好な塗膜の形
成を阻害することになるので好ましくない。
【0022】さらに上記化合物以外の従来公知の紫外線
吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤なども、本発明の効果
を損なわない範囲で配合してもよい。
【0023】本発明においては、形成される抗菌性塗膜
の乾燥塗膜における水との接触角が85°以下、好まし
くは40〜75°であることが必須である。ここで接触
角とは、乾燥直後の塗膜を例えば2.5重量%硫酸水2
0℃、24時間処理(浸漬)し、次いで付着した硫酸水
を水洗し、水を取り除いた後、塗膜表面に0.03cc脱
イオン水の水滴を滴下し、20℃にて3分後の水滴の接
触角を協和化学(株)製コンタクタングルメーターDC
AA型にて測定した数値である。該接触角が85°より
大きくなると、抗菌剤成分の抗菌作用が有効に作用しに
くくなり、十分な抗菌効果が得られにくくなるので好ま
しくない。該抗菌性塗膜は親水性である程(接触角が低
い程)、抗菌効果は得られやすくなるが、あまりに親水
性すぎるとその分抗菌効果が持続しにくくなる傾向がみ
られ、また親水性維持に要す経済的デメリットからも形
成される基材によってその程度を選択することが望まし
い。
【0024】本発明で使用される抗菌性塗料は、上記抗
菌剤を含有し、得られる塗膜の乾燥塗膜における水との
接触角が85°以下であれば特に制限はなく従来公知の
塗料が使用でき、水溶液形、水分散形、有機溶剤形、非
水分散形、無溶剤形、粉体形などいずれであってもよい
が、好適には水溶性及び/又は水分散性樹脂を主成分と
する水性塗料が適当であり、さらに基材が内装材である
場合には、塗膜隠蔽率0.5以下のクリヤー塗料である
ことが内装材の意匠の面から望ましい。該塗膜隠蔽率が
0.5以下であればつや有り、つや消し、着色クリヤー
いずれであってもよい。
【0025】上記水溶性及び/又は水分散性樹脂として
は、特に制限なく従来公知のものが使用でき、例えばア
ルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキ
シ樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、
アミノ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル
樹脂、酢酸ビニル樹脂及びこれらの変性樹脂などが挙げ
られ、これらは単独あるいは2種以上組み合わせて用い
ることができる。特に水分散性樹脂としてカルボニル基
とヒドラジド基の反応による架橋型アクリルエマルジョ
ン(例えば、特開平4−249587号等)や、該エマ
ルジョンと水性ポリウレタン樹脂との併用(例えば、特
開平5−339542号等)等が、乾燥性、耐薬品(消
毒液)性等の点から好適である。
【0026】上記抗菌性塗料の塗料成分として、さらに
水、必要に応じて有機溶剤が使用でき、該有機溶剤とし
ては例えばアルコール系、エーテル系、ケトン系、エス
テル系、炭化水素系などが挙げられる。また塗料成分と
して、顔料類、充填剤、骨材、分散剤、硬化触媒、湿潤
剤、増粘剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、防腐剤、防カ
ビ剤、pH調整剤、防錆剤などの通常塗料分野で使用され
ている塗料用添加剤などを、必要に応じて適宜使用する
ことができる。
【0027】本発明方法においては、前記内装材等の基
材に抗菌性塗料を塗布して抗菌性塗膜を形成する。塗布
量は、特に制限されないが、通常約30〜300g/m2
好ましくは60〜150g/m2の範囲が適当である。塗料
の施工は、通常行われるすべての手法が適用でき、例え
ばローラー法、スプレー法、ハケ塗り等で行われる。
【0028】本発明においては、得られる塗膜の乾燥塗
膜における水との接触角が85°以下になるようコント
ロールすることが必須であり、使用する塗料の面からは
前述のとおり水溶性及び/又は水分散性樹脂を主成分と
する水性塗料を用いることによりなし得るが、有機溶剤
型塗料等を使用した場合、あるいは施工後の汚れ等の付
着により水との接触角が85°を越えた場合には、界面
活性剤等を含む水溶液などで表面を洗浄することにより
表面を親水性にし、水との接触角が85°以下になるよ
うコントロールすることが可能である。界面活性剤とし
てはアニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれでも
さしつかえないが、持続性の点からノニオン系界面活性
剤は好ましくない。
【0029】上記のとおり基材に形成された抗菌性塗膜
は、1〜10年程度は十分必要とされる抗菌性が持続す
るが、該塗膜の美観低下もしくは抗菌性低下時には、該
塗膜上にさらに前記抗菌性塗料を塗布して、乾燥塗膜に
おける水との接触角が85°以下である抗菌性塗膜を形
成してメンテナンスを行ない感染を防止続けることがで
きる。該抗菌性塗料としてクリヤー塗料を使用した場合
には、下地感を損なわずに塗り重ねを行うことができ
る。
【0030】上記メンテナンスを繰り返すうちに、数回
塗り重ねて塗膜が厚くなり美観低下時には、剥離剤等を
使用して該塗膜を剥離し、再度前記抗菌性塗料を塗布し
て、乾燥塗膜における水との接触角が85°以下である
抗菌性塗膜を形成することが望ましい。
【0031】また基材に形成された抗菌性塗膜の美観低
下もしくは抗菌性低下時に、上記のように塗り重ねずに
該塗膜を剥離し、該剥離面に前記抗菌性塗料を塗布し
て、乾燥塗膜における水との接触角が85°以下である
抗菌性塗膜を形成して感染を防止続けることもできる。
【0032】美観もしくは抗菌性の低下した塗膜を剥離
する場合には、該塗膜がストリッパブル塗料によるもの
であれば、簡便に剥離できるので、適用される基材によ
っては適宜抗菌性塗料としてストリッパブル塗料を選択
して使用してもよい。
【0033】
【発明の効果】本発明方法によれば、優れた抗菌性を長
期に持続しうる抗菌性塗膜を形成でき、よって病院や医
療機関、老人ホーム等での院内感染等を効果的に防止す
ることができる。特に該施設の内装材上に抗菌剤として
特定の抗菌剤を含有するクリヤー塗料を塗布した場合に
は、たとえ内装材に抗菌剤が配合されていなくても該ク
リヤー塗膜のみで抗菌性が長期に持続し、しかも変色す
ることなくハロー効果によって優れた抗菌性を付与する
ことができる。また従来のワックス塗布に比べて、美観
が低下することなく抗菌性が長期に持続するので、メン
テナンス頻度が少なくて済み産業上極めて有効である。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
尚、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。
【0035】抗菌性塗料の製造 製造例1 容量2リットルのステンレス容器に下記組成を順に撹拌
しながら配合し、全量配合後さらに約20分間全体が均
一になるよう撹拌して塗料Aを得た。該塗料による塗膜
隠蔽率は0.05であった。尚、隠蔽率はJIS K5
400に従って白/黒隠蔽試験紙上に150μm のアプ
リケーターで塗料を塗装し24時間後JIS K540
0記載の方法により求めた。
【0036】 脱イオン水 250部 エチレングリコール 30部 40%ジンクピリチオン分散液(注1) 10部 ゼオミックAW−10D(注2) 20部 52%アクリルエマルジョン(注3) 600部 テキサノール 30部 アデカノールUH−420(注4) 3部 (注1)該40%ジンクピリチオン分散液は下記のよう
に作成した。 2リットルのステンレス円筒容器にエチレングリコール
600部を仕込み撹拌しながら、ディスパーbyk−1
01〔ビック・ケミー社製分散剤、52%)5部及びバ
イオカットZP(大日本インキ化学工業社製、ビス(ピ
リジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛塩〕400
部を仕込み、さらに約20分間全体が均一になるよう撹
拌した。次いで2リットル卓上サンドミルにて分散粒径
20μm以下になるまで分散を行ない、40%分散液を
得た。
【0037】(注2)シナネンニューセラミック社製、
銀・亜鉛イオン担持合成ゼオライト (注3)該52%アクリルエマルジョンは下記のように
作成した。 2リットルの4つ口フラスコに脱イオン水242部、Ne
wcol 707SF(日本乳化剤社製、固形分30%)2.4部
を加え、窒素置換後、80℃に保ち、次記組成のプレエ
マルジョン(脱イオン水352部、ダイアセトンアクリ
ルアミド33部、アクリル酸3.3部、スチレン134
部、メチルメタクリレート255部、2−エチルヘキシ
ルアクリレート147部、n−ブチルアクリレート98
部、Newcol 707SF64.5部、過硫酸アンモニウム1.
3部)を滴下する直前に0.7部の過硫酸アンモニウム
を加え、プレエマルジョンを3時間にわたって滴下し
た。滴下終了後30分より、30分間0.7部の過硫酸
アンモニウムを7部の脱イオン水に溶かした溶液を滴下
し、さらに2時間80℃に保ってアクリルエマルジョン
を得た。これにアジピン酸ジヒドラジドをアンモニア水
でpH8〜9に調整後、カルボニル基1当量に対してヒド
ラジド基0.3当量となる量で配合し、52%アクリル
エマルジョン溶液を得た。 (注4)旭電化工業社製、増粘剤
【0038】製造例2 製造例1において、40%ジンクピリチオン分散液を除
く以外は製造例1と同様に行なって、塗料Bを得た。
【0039】製造例3 製造例1において、メチルベンゾトリアゾールを5部加
える以外は製造例1と同様に行なって、塗料Cを得た。
【0040】製造例4 製造例1において、40%ジンクピリチオン分散液及び
ゼオミックAW−10Dを除く以外は製造例1と同様に
行なって、塗料Dを得た。
【0041】製造例5 容量2リットルのステンレス容器に下記組成を順に撹拌
しながら配合し、全量配合後さらに約20分間全体が均
一になるよう撹拌して塗料Eを得た。該塗料による塗膜
隠蔽率は0.1であった。
【0042】 アクリディックCL−952(注5) 650部 ターレン2000(注6) 10部 40%ジンクピリチオン分散液(注1) 10部 ノバロンAG−300(注7) 20部 ミネラルスピリット 170部
【0043】(注5)大日本インキ化学工業社製、非水
分散形アクリル樹脂液(固形分50%) (注6)楠本化成社製、タレ止剤 (注7)東亜合成化学工業社製、銀イオン担持リン酸ジ
ルコニウム
【0044】製造例6 製造例5において、40%ジンクピリチオン分散液及び
ノバロンAG−300を除く以外は製造例5と同様に行
なって、塗料Fを得た。
【0045】実施例1〜4及び比較例1〜4 150×150×4mmのスレート板に、塩化ビニル製の
フロアシート(富双合成社製、厚さ2mm)を両面テープ
で貼り付け、このシート上に上記で製造した各抗菌性塗
料を刷毛で塗布量約100g/m2となるように塗装し、常
温で1週間放置乾燥させて実施例1〜4及び比較例1〜
4の各塗板を得た。尚、実施例4及び比較例4について
は、上記のとおり得られた抗菌性塗膜上に、さらにエレ
ミノールES−70(三洋化成社製、アニオン性界面活
性剤)の2%水溶液を毛で塗布して親水化処理をし、さ
らに常温で1週間放置した。
【0046】実施例5〜7 150×150×4mmのスレート板に、塗床材「セラプ
ロテックス」(エービーシー商会製、無機・有機ハイブ
リッド型プレポリマー使用)にゼオミックAW−10D
及びバイオカットZPを混入し、これを膜厚2mmとなる
ように塗布した上に、上記で製造した各抗菌性塗料を刷
毛で塗布量約100g/m2となるように塗装し、常温で1
週間放置乾燥させて実施例5〜7の各塗板を得た。
【0047】比較例5、6 実施例1及び5の各基材上に、上記抗菌性塗料を塗布す
るかわりに水性ワックス「リンレイワックスグリーン」
〔(株)リンレイ製〕100部にゼオミックAW−10
D 1部及び40%ジンクピリチオン分散液(注1)
0.5部を混合してなるものを塗布し比較例5、6の塗
板を得た。
【0048】得られた各塗板を下記性能試験に供した。
その結果を表1に示す。
【0049】(*1)水に対する接触角:得られた直後
の塗膜を2.5重量%硫酸水20℃、24時間浸漬し、
次いで付着した硫酸水を水洗し室温で乾燥して水分を取
り除いた後、塗膜表面に0.03cc脱イオン水の水滴を
滴下し、20℃にて3分後の水滴の接触角を協和化学
(株)製コンタクタングルメーターDCAA型にて測定
した。
【0050】(*2)抗菌性試験:各試験塗板上に、上
水で濡らしたガーゼを2枚重ねて置き、その上からスポ
イトでとった2mlの病棟処置室の排水口溜り水を塗板中
央に滴下した。これを室温で24時間放置後、ガーゼを
取り除き、さらに室温で3日間放置した。この塗板中央
に生菌数用標準寒天フードスタンプ(日水製薬社製、ス
タンプ面積10cm2 )をあてて軽く押し雑菌を接種した
後、該フードスタンプを離して、これを37℃の恒温室
に24時間置いてスタンプ寒天面の菌を発育させ、寒天
面10cm2 中に発生したコロニー面積(cm2 )を測定し
た。
【0051】この抗菌性試験を、初期塗板と、該塗面を
JIS K5663の洗浄試験に従って洗浄試験機にて
500回ブラシを往復させた後、室温で3日間放置後の
塗板との両方について行った。
【0052】(*3)耐薬品性:各試験塗板上に、ろ紙
を2枚並べて置き、それぞれの上にスポイトで各々78
%エタノール、2%ホルマリンを滴下し、ろ紙を湿らし
た。このスポイトによる滴下を1時間間隔で5回行な
い、その後2時間経過後、ろ紙を除いた塗膜表面を目視
で評価した。フクレやハガレなどの異常のないものを○
とした。
【0053】
【表1】
【0054】実施例8 実施例1で得られた塗板をJIS K5663の洗浄試
験で1000回ブラシで磨耗させた後、該塗板上に、抗
菌性塗料を刷毛で塗布量約100g/m2となるように塗装
し、常温で1週間放置乾燥させて実施例8の塗板を得
た。基材の意匠性を損なうことなく旧塗膜面との密着性
にも優れていた。
【0055】実施例9 実施例1で得られた塗板をJIS K5663の洗浄試
験で1000回ブラシで磨耗させた後、該塗膜を消毒用
エタノールで剥離し、該面上を簡単に消毒用アルコール
で拭き取り清浄して、該板上に抗菌性塗料を刷毛で塗布
量約100g/m2となるように塗装し、常温で1週間放置
乾燥させて実施例9の塗板を得た。基材の意匠性を損な
うことなく基材面との密着性にも優れていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/24 301 C 7415−4F E 7415−4F 303 B 7415−4F E 7415−4F C09D 5/14 PQM

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材に抗菌剤を含有する抗菌性塗料を塗
    布して抗菌性塗膜を形成する方法であって、該塗膜が乾
    燥塗膜における水との接触角が85°以下であることを
    特徴とする抗菌性塗膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 上記基材が、抗菌剤が配合されてなる内
    装材である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 上記基材が、床面を形成する床材である
    請求項1及び2記載の方法。
  4. 【請求項4】 上記抗菌性塗料が、抗菌剤として銀イオ
    ン担持無機系抗菌剤及び/又はビス(ピリジン−2−チ
    オール−1−オキシド)亜鉛塩を含有してなる塗料であ
    る請求項1ないし3記載の方法。
  5. 【請求項5】 上記抗菌性塗料が、抗菌剤として銀イオ
    ン担持無機系抗菌剤及び/又はビス(ピリジン−2−チ
    オール−1−オキシド)亜鉛塩を含有し、さらにベンゾ
    トリアゾール構造を有する化合物を配合してなる塗料で
    ある請求項1ないし4記載の方法。
  6. 【請求項6】 上記抗菌性塗料が、塗膜隠蔽率0.5以
    下のクリヤー塗料である請求項1ないし5記載の方法。
  7. 【請求項7】 上記抗菌性塗料が、水溶性及び/又は水
    分散性樹脂を主成分とする水性塗料である請求項1ない
    し6記載の方法。
  8. 【請求項8】 抗菌性塗膜の水との接触角が、40〜7
    5°である請求項1ないし7記載の方法。
  9. 【請求項9】 基材に形成された抗菌性塗膜の美観低下
    もしくは抗菌性低下時に、該塗膜上にさらに上記抗菌性
    塗料を塗布して、乾燥塗膜における水との接触角が85
    °以下である抗菌性塗膜を形成してなる感染防止方法。
  10. 【請求項10】 基材に形成された抗菌性塗膜の美観低
    下もしくは抗菌性低下時に、該塗膜を剥離し、該剥離面
    に上記抗菌性塗料を塗布して乾燥塗膜における水との接
    触角が85°以下である抗菌性塗膜を形成してなる感染
    防止方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5900258A (en) * 1996-02-01 1999-05-04 Zeolitics Inc. Anti-bacterial compositions
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CN108893007A (zh) * 2018-08-10 2018-11-27 张家港市五湖新材料技术开发有限公司 一种疏水型抗菌涂料的配方
JP2021070798A (ja) * 2019-11-01 2021-05-06 イビデン株式会社 抗ウィルス性部材及び抗ウィルス性部材の製造方法

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