JP3177106B2 - 感染防止用施設 - Google Patents

感染防止用施設

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JP3177106B2
JP3177106B2 JP24549194A JP24549194A JP3177106B2 JP 3177106 B2 JP3177106 B2 JP 3177106B2 JP 24549194 A JP24549194 A JP 24549194A JP 24549194 A JP24549194 A JP 24549194A JP 3177106 B2 JP3177106 B2 JP 3177106B2
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恭義 土田
重光 新木
大 北山
皓士 大田
哲夫 相原
伴治 小穴
正見 杉島
晴男 大野
哲夫 松倉
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不特定多数人が出入り
する施設、或いは病人乃至病気に感染しやすい人の多い
施設、例えば医療施設、高齢者施設等の施設内での感染
防止を主目的とした感染防止用施設に関する。
【0002】
【従来の技術】抗生物質の開発につれて細菌の抗生物質
に対する免疫力が高まり、近時では注射や口腔投与等に
より体内投与し得るすべての抗生物質に耐性を有するメ
チシリン耐性黄色ブドウ状球菌(MRSA)の存在が確
認され、細菌に抗生物質に対する学習力のみならず細菌
間に免疫性伝達力があるのではないかとの学説が提示さ
れる状況にまで至っている。しかもMRSAの接触乃至
空気感染による院内感染は、直ちに生死に係わることか
ら深刻な問題となっている。例えば、院内感染が発生し
たことのある病院は9割を超えていると言われており、
院内感染者の死亡数は万の単位を超えるかなりの数に達
しているとも言われている。
【0003】一方、体内投与の副作用や毒性等の限界が
あるため、このような細菌に対してバンコマイシン等の
如き抗生物質の効き目を上記限界以上に強めることはで
きないことから、抗生物質の薬効の限界も問題となって
いる。
【0004】このような現状に対して、抗生物質使用の
制限を図る動きや、消毒液や消毒機器の使用を推奨し、
衣服やシーツ等の一層の清潔化促進を図ろうとする思考
の外に、抗菌性建材を提供しようとする開発動向が活発
化してきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、MRSA等
の接触乃至空気感染する細菌類は、塵埃をキャリアとし
てこれに付着して浮遊し、室内のあらゆる箇所に付着す
るものである。このため、消毒液による消毒は、例えば
床や壁等をすべて拭き清めなければならず、定期的な作
業が大変負担の掛かるものであり、また使用される消毒
液、例えば芽胞菌等には無効であるがMRSA等には有
効なアルコール類やフェノール類等、芽胞菌等には一部
有効でありMRSA等には有効なハロゲン化合物等、或
いはMRSAを含むいずれの菌にも有効なアルデヒド類
等は、通常使用されている壁紙に浸透し、壁紙や塗床等
の合成樹脂素材を溶解させる等して被消毒面を損傷させ
てしまうので、継続的使用ができ難い問題がある。
【0006】また、消毒機器及び燻蒸法等による消毒滅
菌は、燻蒸等による汚れを防ぐために付属物を一時撤去
させる等の事前準備に負担が掛かると共に、燻蒸ガス例
えばエチレンオキサイド、ホルマリンガス等が例えば壁
紙を透過し、或いは継ぎ目から浸透する等してこれらの
接着力を弱め、縁部から剥離を生じさせやすい等の問題
がある。さらに、いずれの消毒方法によっても、消毒時
とその間とに消毒効果の波ができ、消毒効果を一定状態
で永続させ難い欠点があるのである。
【0007】さらに、抗菌性建材を提供する場合であっ
ても、抗菌性が永続的に発現しなければならず、また、
一部建材の抗菌化では感染防止を根本的に行うことはで
きないから、結果的には感染防止の目的が達し得ないこ
とになる。
【0008】そこで本発明者は、上記の如き現状と問題
点に着眼し、消毒等の単発的な対処手段による短期的対
処ではなく、永続性があり、消毒作業等の作業負担が軽
減され、かつ施設自体に損傷を与えるおそれのない対策
を立てるべく思考してなし、そのために、感染防止対策
を採る必要のある施設全般に適用でき、例えば病室、手
術室、ICU、CCU、検査室等の医療施設、或いは特
別養護老人ホームや老人保険施設等の高齢者施設等に特
に好適となるように、施設自体を建築的見地から感染防
止構成となすようにして本発明に至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、三次元空間全体を抗菌処理することによっ
て施設自体に初めて感染防止機能を持たせるようにした
ものであり、床、壁及び天井の全面に亘って感染防止性
能を持たせた施設の内面乃至室内面を構成したことを特
徴とする。
【0010】この場合、各面は永続的な抗菌作用を奏す
る面として形成されることが必要であると共に、床は最
も人との接触の多い面であり、かつまた床上の人や物の
移動或いは空気の流れが細菌類を拡散、浮遊させる最も
大きな原因となるものであり、次いで壁面特に中間から
下部にかけての壁面が人との接触の多い面となることか
ら、人に対して毒性の問題が生じないような構成とする
ことも重要かつ必須である。
【0011】このために、床、壁、天井の全面に、人体
に対して有害でなくかつ抗菌作用に永続性(持続性)の
ある無機系抗菌剤特に好ましくは銀系抗菌剤を表面に露
出状態として形成してなる素材を適用し、同時に、少な
くとも床面に或いは床面と壁面に、エタノールその他の
消毒剤の拭き取りや燻蒸その他の滅菌消毒等に耐え得る
ような耐薬品性を付与し、また血液や薬品等が付着して
も染み付くことなく清浄が可能な耐汚染性を付与し、か
つ人の居住に耐え得るために低臭性を有した感染防止用
施設を構成するものである。
【0012】上記無機系抗菌剤は金属イオンを、銀系抗
菌剤は銀イオンを、ゼオライトやリン酸ジルコニウム塩
等に担持させたものである。なお、床、壁及び天井にそ
れぞれ必要な諸性能(例えば床であれば、ノンスリップ
性、衝撃吸収性、耐摩耗性、意匠性等の所望な性能)を
実現するために必要な構成は、当然ながら適宜考慮する
ことができる。
【0013】上記において、床は、塗床とすることが望
ましく、エポキシ樹脂系或いは無機・有機ハイブリッド
型樹脂等の耐薬品性と耐汚染性を有した高重合素材に無
数の無機系抗菌剤特に好ましくは銀系抗菌剤を配合した
主材を塗布し、その表面に上記抗菌剤が露出した状態の
塗床とするのが好ましい。なお、ビス(ピリジン−2−
チオール−1−オキシド)亜鉛塩、さらには有機窒素硫
黄ハロゲン化合物等の有機系抗菌剤を配合することも可
能である。
【0014】床は、また、長尺材或いはタイル等の置床
或いは貼床等とすることも可能であるが、この場合には
その表面及び目地部も含めて、透明樹脂に無機系抗菌剤
特に好ましくは銀系抗菌剤を配合してなる抗菌性透明樹
脂層を表層として塗布するのがよい。
【0015】上記壁面と天井面は壁紙等の壁装材或いは
塗料による塗装面として形成する。壁装材は、無機系抗
菌剤特に好ましくは銀系抗菌剤を配合し、耐薬品性と耐
汚染性を有し、かつ防火性とガスバリア性を有するよう
に形成したものとする。例えば、意匠表面層を形成した
裏打ち紙を有する塩化ビニル壁紙の表面にポリエチレン
テレフタレート樹脂(PET)層を積層し、その表面に
二液硬化型半透明ウレタン系樹脂に無機系抗菌剤特に好
ましくは銀系抗菌剤を配合した抗菌性半透明樹脂層を塗
布して積層し、耐薬品性と耐汚染性、防火性とガスバリ
ア性を付与した壁装材が好適に適用できる。
【0016】上記二液硬化型半透明ウレタン系樹脂は、
二液硬化型透明ウレタン系樹脂にマット剤を配合するな
どして艶消し面を得ることができるようにしたものであ
り、抗菌性半透明樹脂層は透明層の表面が艶消し面とし
て形成される。
【0017】壁装材は、その継ぎ目(目地)にも抗菌性
を持たせると共に、ガスバリア性等を持たせることが望
ましく、この場合、継ぎ目を目立たせないようにするこ
とが好ましい。例えば、PETフィルム乃至シートの表
面に上記抗菌性半透明樹脂層を積層し、裏面に透明粘着
剤を積層してなる構成を有する適宜巾の透明性テープを
用い、これを継ぎ目に接着するようにするのがよい。
【0018】塗料は、無機系抗菌剤特に好ましくは銀系
抗菌剤を配合し、耐薬品性と耐汚染性を有しかつ低臭性
とし、架橋型エマルジョンを成膜成分とする水性塗料の
塗膜面として形成するものとするのが好ましい。例え
ば、樹脂成分は任意樹脂が使用可能であり、ビス(ピリ
ジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛塩を配合して
無機系抗菌剤特に好ましくは銀系抗菌剤の均一的分散を
図ると共に変色を防止し、さらにはベンゾトリアゾール
構造を有する化合物を配合して耐久性を高めたものが好
適に適用できる。なお、顔料、酸化防止剤その他の塗料
添加剤は必要に応じて適宜考慮されればよい。
【0019】上記において、床面を壁面下部に連続的に
立ち上げて壁面に対して入り巾木状に納め、かつ、床縁
の入隅部は適度な曲面として納めることにより、塵埃が
積もりやすい個所のない構成とするのが好ましい。壁と
天井の入隅部にもコーナー材を装着して隙間をなくし、
その表面に上記塗料を塗布することにより抗菌処理をす
るのが好ましい。
【0020】また、内部空調設備の吹出口と吸引口を施
設内乃至室内の異なる個所に配設し、施設内乃至室内空
気に対流を与えて空気と共に塵埃が床面、壁面乃至は天
井面に接触しやすいように構成すれば、施設乃至室内の
感染防止機能が一層高いものとなる。
【0021】また、上記の抗菌性透明樹脂、又はビス
(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛塩と上
記抗菌剤とを配合した塗料、又はこの塗料にさらにベン
ゾトリアゾール構造を有する化合物を配合した塗料等
を、上記各面とは別に、扉、把手、巾木、手すり等の施
設内諸設備、或いは家具等の施設内諸什器のそれぞれの
露出面に塗布して、これらにも抗菌性を付与させるよう
にすることができる。
【0022】
【作用】上記構成により、施設内の床、壁、天井の全
面、及び必要に応じて設備や什器類の表面も含めた全体
を抗菌性能を有する三次元構成とすることができ、浮遊
し付着する細菌類に対する抗菌性が施設内において施設
自体の作用として効果的に発揮されることになり、有効
な感染防止用施設が提供され得る。この場合、各面には
それぞれの機能上の物性が具備されると共に、全面に永
続性のある抗菌作用が付与され、しかも少なくとも人と
の接触が激しい床或いは床と壁、必要に応じて設備、什
器類には耐薬品性、耐汚染性、及び低臭性を付与するこ
とができ、施設内の感染防止を実効性を以て実現するこ
とができる。これによれば、必要に応じて消毒液による
拭き取りや、燻蒸等による消毒滅菌も可能であり、しか
もこれらによる施設の損傷は確実に防止されることにな
る。
【0023】
【実施例】本発明の一実施例を以下に説明する。感染防
止用施設は、床、壁及び天井の施設内空間全体を三次元
的に抗菌面として構成することにより初めて目的を達成
することができる。さらには設備類及び什器類等の露出
面も抗菌面とすることが感染防止をさらに確実なものと
する。
【0024】無機系抗菌剤は、無機化合物に金属イオン
を担持させたものである。金属イオンは銀イオンが最適
であるが、銅イオン、亜鉛イオン等、或いはそれらの組
合せ等も考えられる。銀系抗菌剤は、無機化合物に銀イ
オンを担持させたものである。無機化合物は任意なもの
が使用できる。例えば、活性炭、活性アルミナ、シリカ
ゲル等の無機系吸着剤、ゼオライト、ヒドロキシアパタ
イト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、チタン酸カ
リウム、含水酸化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、ハ
イドロタルサイト等の無機イオン交換体などが挙げられ
る。
【0025】これらの無機化合物に銀イオンを担持させ
る方法には、適宜な担持方法が採用できる。例えば物理
吸着又は化学吸着により担持させる方法、イオン交換反
応により担持させる方法、結合剤により担持させる方
法、銀化合物を無機化合物に打ち込むことにより担持さ
せる方法、蒸着、溶解析出反応、スパッタ等の薄膜形成
法により無機化合物の表面に銀化合物の薄層を形成させ
ることにより担持させる方法等が挙げられる。
【0026】上記無機化合物の中で、無機イオン交換体
は銀イオンを強固に担持できることから好ましく、特に
ゼオライトやリン酸ジルコニウム塩などが好適に使用で
きる。該化合物の具体例としては、例えば「ノバロンA
G−300」(東亜合成化学社製、銀イオン担持リン酸
ジルコニウム)、「ゼオミックAW−10D」(シナネ
ンニューセラミック社製、銀イオン担持ゼオライト)な
どの市販品も利用できる。
【0027】上記の一例として抗菌性ゼオライトは特開
昭60−202162号にも示されており、天然ゼオラ
イト乃至合成ゼオライトなどのゼオライト中のイオン交
換可能なイオンの一部又は全部を、硝酸銀、硫酸銀など
を用いて約0.1〜15%の銀イオンで置換したもの、
その他、上記イオンに加えて0.1〜8%の銅イオン、
0.1〜8%の亜鉛イオンで置換した抗菌性ゼオライト
の如きものが一例として示される。
【0028】本発明における銀イオンを担持させた銀系
抗菌剤の粒径は、仕上り性、抗菌剤の有効面積などから
平均粒径10μm以下、好ましくは0.01〜5μm程
度の微粒子状であることが望ましい。以下の説明におい
ては銀系抗菌剤を用いた実施例について説明する。
【0029】塗床は、床材としての物性を備えた主材
に、銀系抗菌剤を配合し、両抗菌剤の一部が塗膜表面に
露出するようにしたものが適用可能である。塗床には骨
材を配合するのが望ましい。有機系抗菌剤を併せて配合
するのは任意である。
【0030】また、塗床は、通常塗厚がmm単位に近く
或いは1mm以上の厚みを有したものであるが、主材を
エポキシ樹脂等の高重合素材とした場合、塗装面にミク
ロン単位の銀系抗菌剤を混入して塗布しても、比重の大
きい銀系抗菌剤は塗膜中に沈澱し主材に覆われて表面に
表れなくなってしまうおそれがあり、この場合、細菌が
接触することがなくなって抗菌作用を発揮できなくな
る。このため、混入した無数の銀系抗菌剤が均一的に散
在すると共に、少なくとも部分的に塗膜表面に露出した
構成とすることが望まれる。
【0031】このような構成の塗床材の一例として、塗
床材の主材部を、バインダーと、バインダーよりも低比
重の軽量骨材と銀系抗菌剤とを少なくとも配合した構成
とし、この主材部と硬化剤を混合して塗布するようにす
れば、軽量骨材が塗床層の表面付近に浮上し、軽量骨材
の比較的密な層を形成すると共に、その表面に銀系抗菌
剤を浮上させ、軽量骨材の一部と共に、銀系抗菌剤の一
部が塗膜表面に露出した抗菌性床面とすることができ
る。
【0032】主材部は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、
メチルメタアクリレート樹脂、有機・無機ハイブリット
型プレポリマーなどの塗床材として適用可能なバインダ
ーに対し、軽量骨材と銀系抗菌剤を配合し、かつ炭酸カ
ルシウム、タルクなどの体質顔料、トーナーなどの着色
顔料、その他の塗床材として所望な適宜材料を配合した
ものが好適に用いられる。
【0033】なお、上記無機・有機ハイブリット型プレ
ポリマーとは、PCT/US90/00370に開示さ
れているものであり、シリカなどの加水分解可能な酸素
を有する無機酸化物と、レゾルシノールのジグリシジル
エーテルなどの芳香族系部分並びに脂肪族系部分を有す
るオキシランオリゴマーとを、アミン系触媒の下で反応
させて得られる生成物であって、該無機酸化物のまわり
に少なくとも5つのオキシランオリゴマーが化学的乃至
物理的(接着)に結合した無機・有機ハイブリッド構造
を有するプレポリマーである。この無機・有機ハイブリ
ッド型プレポリマーは、無機酸化物のまわりにオキシラ
ンオリゴマーを少なくとも5つ結合させた環状構造を有
していることから高架橋密度を実現することができる。
また、無機物と有機物とを化学的乃至物理的に結合させ
た構造からなっていることから、無機成分の有する硬
さ、耐磨耗性、耐薬品性と、有機成分の持つ優れた施工
性とを合わせ持ち、耐薬品性、耐熱性、高付着性、硬
度、耐磨耗性、施工性、さらには、引張り強度、曲げ強
度、曲げ弾性率、伸び率、吸水性のすべてについて高い
物性を有するスーパー塗料といえるものである。商品名
セラプロテックス或いはSiloxiraneとして知られてい
る。
【0034】銀系抗菌剤は、主材部100に対して約
0.5重量%以上がよい。この抗菌剤の抗菌作用は約1
重量%で充分な作用を発揮でき、約3重量%乃至これよ
り多くしてもよいが、必要以上に多くしても抗菌作用は
ほぼ変化しない。
【0035】なお、上記にさらに有機系抗菌剤を配合す
ることは任意である。有機系抗菌剤は、ビス(ピリジン
−2−チオール−1−オキシド)亜鉛塩いわゆるジンク
ビリチオン、有機窒素硫黄ハロゲン化合物等の有機系抗
菌剤が好適に使用できる。
【0036】軽量骨材は、上記バインダーよりも低比重
であって、バインダーを吸油せず、かつ塗床材として適
度な荷重強度を有する骨材が使用でき、中空バルーン、
樹脂軽量骨材等がよい。中空バルーンは、シリカバルー
ン、ガラスバルーン、プラスチックバルーンなどの粒径
5〜300μ程度のものがよく、樹脂軽量骨材は、ポリ
プロピレンフィラー、ポリエチレンフィラーなどの粒径
1〜100μ程度のものがよい。これらは単独で使用し
てもよく2以上を併用することもできる。
【0037】上記主材部に対する軽量骨材の配合割合
は、主材部100に対して、骨材が中空バルーンであれ
ば約0.5〜80重量%、バインダー樹脂より低比重の
樹脂軽量骨材であれば約1〜40重量%が好ましい。同
一種類に属する骨材であっても種々異なる比重の骨材が
あり、それぞれにより厳格には配合割合が異なるが、上
記範囲内で選択するのが好ましい。少なすぎると抗菌剤
が浮上しにくくなるため、表面に上記抗菌剤が露出でき
るようにするためには、物量的に多量の抗菌剤を使用し
なければならなくなるので実用価値が無くなる。配合割
合の上限は塗床材としての物性や作業性が損なわれない
範囲で適宜設定すればよい。
【0038】銀系抗菌剤の配合は、軽量骨材の表面に銀
系抗菌剤を付着させて銀系抗菌性軽量骨材を形成し、こ
の銀系抗菌性軽量骨材を塗床主材中に配合させることに
より行うことも可能である。上記付着用の軽量骨材とし
ては中空バルーンが最も好ましい。軽量骨材に銀系抗菌
剤を付着させるには、接着剤と共に銀系抗菌剤を混合し
て均一状に攪拌し、軽量骨材の表面に銀系抗菌剤を散在
状に付着させながら熱風乾燥し、自然冷却させる等の方
法がある。上記のような軽量骨材等に抗菌剤を付着させ
れば、軽量骨材の浮上による塗膜表面への露出によって
そのまま抗菌剤も塗膜表面に露出し、抗菌作用を発揮す
ることになる。
【0039】上記いずれの例のものも、主材部には適量
の硬化剤が配合された状態で、床面或いは建造物の基板
面に例えば約0.5〜5kg/m2 量で塗布される。
尚、透明バインダーと着色された骨材等を使用すれば、
多彩色の抗菌性塗床面とすることができるなど、塗床材
としての素材の構成、選択は任意に考慮することができ
る。
【0040】壁装シートは、難燃性好ましくは不燃性を
有した構成とする。一例を挙げれば、壁装原紙として無
機系シート例えば水酸化アルミニウムシートを用い、そ
の表面に塩化ビニル層を積層すると共に、塩化ビニル層
の表面にグラビア印刷により着色乃至模様を形成したも
のが使用できる。上記塩化ビニル層の表面に積層形成す
るPET層は実用的に12〜16μm程度の厚みで十分
であるが、それよりも薄くても厚くてもよい。
【0041】抗菌性半透明樹脂層は、二液硬化型半透明
ウレタン系樹脂に銀系抗菌剤を均一状に配合して形成す
るものである。銀系抗菌剤は上記二液硬化型透明ウレタ
ン系樹脂に対して1〜10重量%好ましくは3〜6重量
%配合し、例えば2〜10μm程度の厚みに形成するの
が好ましい。上記抗菌性半透明樹脂層によれば、均一状
に配合された銀系抗菌剤はその一部が層表面に露出する
ことになる。
【0042】上記構成によれば、銀系抗菌剤による抗菌
効果の永続と共に、PET層さらには抗菌性半透明樹脂
層によって耐薬品性と耐汚染性、防火性とガスバリア性
等が十分に具備されることになる。なお、上記抗菌性半
透明樹脂層には有機系抗菌剤例えばビス(ピリジン−2
−チオール−1−オキシド)亜鉛塩等を配合することも
可能である。
【0043】また、壁装材の継ぎ目には、PETフィル
ム乃至シートの表面に上記同様の抗菌性半透明樹脂層を
塗布積層してなる目地テープを接着することにより、目
地部の抗菌性と気密性を確実にし、目地部から薬液類や
燻蒸ガス等が浸透して壁装材の接着性を弱めて目地部か
らの壁装材の剥離が生じるおそれなどを防止することが
できる。
【0044】次に塗料は、塗料成分中に、上記銀系抗菌
剤と、ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)
亜鉛塩を配合したものが好適に使用される。ビス(ピリ
ジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛塩は有機系抗
菌剤であるが、上記銀系抗菌剤を配合した塗料に併用す
ると、溶出銀イオンによる変色が顕著に抑制されるだけ
でなく、抗菌性においてもハロー効果(塗膜形成後の抗
菌有効成分の塗膜内への拡散浸透性)により著しい効果
を発現するものである。
【0045】ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキ
シド)亜鉛塩の配合割合は、塗料固形分100に対して
好ましくは0.001〜20重量%、さらに好ましくは
0.05〜5重量%が抗菌効果、変色防止能及び経済性
から好適である。配合割合が0.001重量%より少な
いと、抗菌性、変色防止が不十分であり、一方20重量
%を越えて配合しても変色防止効果の向上は殆ど認めら
れず、安全衛生上からも好ましくない。
【0046】さらに、消毒液乃至消毒剤が付着しやすい
部位、或いは日光照射の厳しい部位などに塗装される塗
料に対しては、次の一般式で示されるベンゾトリアゾー
ル構造を有する化合物を配合するようにする。
【0047】
【化1】
【0048】式中、R1 は水素又は炭素数1〜6の低級
アルキル基、R2 は水素、アルカリ金属又は次の式で示
されるフェノール基を示す。また、次の式のR3 は水素
又はアルキル基、R4 は水素、アルキル基又はアルキル
エステル基を示す。
【0049】
【化2】
【0050】上記一般式で示される化合物の好ましい例
としては、例えばメチルベンゾトリアゾール、メチルベ
ンゾトリアゾールのカリウム塩、3−ベンゾトリアゾー
ル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシプロピオン酸メチ
ル、2,4−ジ−t−ブチル−6−ベンゾトリアゾール
フェノール等が挙げられる。
【0051】上記ベンゾトリアゾール構造を有する化合
物の配合割合は、塗料固形分100に対して好ましくは
0.001〜20重量%、さらに好ましくは0.01〜
5重量%が適当である。配合割合が0.001重量%よ
り少ないと、耐候性や変色防止が期待しにくく、一方2
0重量%を越えて配合されると、良好な塗膜の形成を阻
害することになるので好ましくない。
【0052】上記塗料は、上記銀系抗菌剤とビス(ピリ
ジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛塩、さらには
ベンゾトリアゾール構造を有する化合物を通常の塗料成
分に配合してなるものである。この場合、銀系抗菌剤を
配合する前に予めビス(ピリジン−2−チオール−1−
オキシド)亜鉛塩を分散配合させておくのが、変色防止
上好ましい。
【0053】使用される塗料の形態としては、低臭性の
点から水溶性乃至水分散性樹脂を成膜成分とする水性塗
料が適当であり、該水溶性乃至水分散性樹脂成分として
は特に制限はないが、例えばアルキド樹脂、ポリエステ
ル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シ
リコン樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹
脂、ウレタン樹脂及び変性樹脂等が挙げられ、これらの
単独或いは2種以上の組合せで用いることができる。特
に水分散性樹脂として、カルボニル基とヒドラジド基の
反応による架橋型アクリルエマルジョン(例えば特開平
4−249587号等に記載)や、該エマルジョンと水
性ポリウレタン樹脂との併用(例えば特開平5−339
542号等に記載)等の架橋型エマルジョンを用いるこ
とが、耐薬品性、耐汚染性の点から好適である。
【0054】塗料成分としてさらに水が使用され、必要
に応じて有機溶媒も使用でき、有機溶媒としては例えば
炭化水素系、アルコール系、エーテル系、ケトン系、エ
ステル系等が挙げられる。
【0055】さらに塗料成分として、顔料類(例えばチ
タン白、ベンガラ、カーボンブラック、フタロシアニン
ブルー、フタロシアニングリーン、アゾ系レッド等の着
色顔料、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、バ
リカ、マイカ等の体質顔料等)、充填剤、骨材、分散
剤、強化触媒、湿潤剤、増粘剤、消泡剤、可塑剤、造膜
助剤、防腐剤、防カビ剤、pH調整剤、防錆剤等の通常
塗料分野で使用されている塗料用添加剤等を必要に応じ
て適宜使用することができる。
【0056】上記各材料により施設内を構成するに当た
って、床面と壁面との突き当たり部分には上記のいずれ
かの方法で抗菌性を付与せしめた巾木を配設することも
可能であるが、塵埃が積もり難くしかも掃除して確実に
塵埃を除去しやすいように構成しつつ抗菌性を付与せし
めることが望ましく、このために、上記抗菌性床面を壁
面下部に少なくとも15〜20cm程度は連続的に立ち
上げ、この立ち上がり部分を壁面に対して入り巾木状に
納め、かつ、この立ち上がり入隅部は適度な曲面となる
ように、裏側に曲面を有したコーナー材を当てて納める
のが好ましい。上記立ち上げ部分の床面は、塗り床の場
合であれば塗床材に揺変剤を配合したものを塗布するの
が好ましく、またシートを立ち上げる場合は任意であ
る。
【0057】壁と天井の交叉部の間隙は、コーキング材
で密封してその上に上記塗料を塗布し或いは壁装材を貼
着すればよいが、コーナー材を固着し、その表面に上記
塗料を塗布し或いは壁装材を貼着することもできる。
【0058】また、施設内における塵埃は浮遊しつつ、
その多くが経時的に床に沈下し、或る程度は壁に付着
し、幾分かは天井に付着するが、かなり長時間空気中を
浮遊していることもあり得る。そのために、施設内の空
気に若干の対流を与え、空気が比較的早期に床、壁或い
は天井のいずれかの面に接触しやすいように構成するこ
とは有効である。この好ましい実施例として、施設内の
空調設備の少なくとも一部の吹出口乃至吸引口に、施設
内空気に対流を与えるような方向性を持たせることが好
ましい。
【0059】この一例として、内部空調設備の吹出口と
吸引口の一方を壁面の上端部乃至下端部に配設して空気
流が壁面に沿うように開口させ、他方を中間天井部に配
設して下方向きに開口させるようにし、或いは天井に適
宜間隔をおいて吹出口と吸引口を交互に配設し下方向き
に開口させるようにし、或いはまた、吹出口と吸引口が
異方向に開口した空気流発生装置を施設内乃至室内に設
置させるようにすることができる。いずれにおいても、
施設内乃至室内において空気が対流し、この対流空気と
共に塵埃が流れ、床面や壁面乃至天井面に接触しやすく
なって、抗菌作用が効果的なものとなり、感染防止機能
が一層高いものとなる。
【0060】=実施例= 本発明に係る抗菌材料で構成したモデル室としての抗菌
室と、従来式材料(抗菌剤不使用材料)で構成した対比
室としての既存室とを構成し、両室の抗菌効果を対比し
た。抗菌室と既存室は共に同一設計の室内とし、抗菌室
は下記する塗床材、壁装材、塗料によって室内面を構成
した。室内は壁芯で2.55m×4.8mの広さとし、
床の縁は、壁面に沿って15cm立ち上げて入り巾木状
態に納めた。出入り口を引き戸で1か所設け、室内には
壁に沿ってベッド一式を設置し、通常の病室に設置され
ている家具、什器類を設置し、室内奥横の壁上端部にエ
アコンデショナーを設置した。
【0061】(1) 抗菌室の塗床材は、次のように製
造したものを施工した。 (軽量抗菌剤の製造例)シリカバルーン(真比重0.6
8〜0.70g/cm3 、平均粒度80μm)100重
量部に対し、エポキン樹脂系バインダー(樹脂固形分2
0重量%)50重量部、銀系抗菌剤50重量部を均一状
に混合したものを加え、攪拌しながら熱風乾燥し、乾燥
状態になったことを確認の後、自然放冷し、シリカバル
ーンの表面にエポキシ樹脂によって銀系抗菌剤が多数付
着してなる軽量抗菌剤を得た。なお、銀系抗菌剤は、
銀,亜鉛イオン担持合成ゼオライト(シナネンニューセ
ラミック社製・ゼオミックAW−10D)を用いた。
【0062】(塗床材の製造例)次の組成の主材100
重量部と硬化剤25重量部とを混合して塗床材とした。
以下の部はすべて重量部を示す。 ・主材として 液状エポキシ樹脂50部、反応性希釈材12部、充填材
28部、着色顔料5部、軽量抗菌剤5部を均一状に混合
した。 ・硬化剤として 変成脂肪族ポリアミンを用いた。 (施工例)床下地面にプライマーを塗布の上、金鏝で上
記塗床材を1.5kg/m2 塗布して塗床を形成した。
【0063】(2) 抗菌室の壁装材は、次のように製
造したものを施工した。 (印刷紙の製造例)無機質裏打ち紙として厚さ130μ
mの水酸化アルミニウム紙を用い、その上にPVCゾル
を70μmの厚みにコートし、加熱溶融させフィルム化
した。次いで、塩酸ビニル酢酸ビニル系樹脂に有機顔料
を分散させたインキで、グラビア印刷により上記PVC
ゾルコート層の上に印刷絵柄層を形成し、印刷紙とし
た。
【0064】(抗菌性PETフィルムの製造例)一方、
厚さ12μmのPETフィルムの表面に抗菌コート層を
積層し、裏面には接着剤となるアクリル樹脂コート層を
設け、抗菌性PETフィルムとした。上記抗菌コート層
は、ウレタン樹脂をバインダーとし、マット剤を配合す
ると共に、固形分に対し5重量部の銀系抗菌剤を分散さ
せた溶剤系塗料を3g/m2塗布(厚み2〜3μm)
し、乾燥させて形成した。また、上記銀系抗菌剤は、
銀,亜鉛イオン担持合成ゼオライト(シナネンニューセ
ラミック社製・ゼオミックAW−10D)を用いた。 (壁装材の製造例)その上で、前記印刷紙の印刷絵柄層
上に上記抗菌性PETフィルムのアクリル樹脂コート層
側を重ねて両者を積層し、加熱ラミネートして壁装材を
得た。 (施工例)上記壁装材は、自動接着剤塗布機を用い、エ
マルジョン系接着剤(酢ビ、アクリル系エマルジョン
等)を裏面に塗布して壁面に接着し、壁面を構成した。
【0065】(3) 抗菌室の塗料は、次のように製造
した塗料を施工した。なお、以下に記載の%は重量%
を、部は重量部を示す。 (水性エマルジョンの製造例)2リットルの4つ口フラ
スコに脱イオン水232部、Newcol707SF
(日本乳化剤製、固形分30%)2.3部を加え、窒素
置換後、80℃に保つ。下記組成のプレエマルジョンを
滴下する直前に0.7部の過硫酸アンモニウムを加え、
プレエマルジョンを3時間にわたって滴下した。 脱イオン水 338部 ダイアセトンアクリルアミド 32部 アクリル酸 3.2部 スチレン 97部 メチルメタクリレート 260部 2−エチルヘキシルアクリレート 100部 n−ブチルアクリレート 150部 Newcol 707SF 62部 過硫酸アンモニウム 1.2部 滴下終了後30分より、30分間0.7部の過硫酸アン
モニウムを7部の脱イオン水に溶かした溶液を滴下し、
さらに2時間80℃に保持し、その後約40〜60℃に
降温した後、25部の脱イオン水に4.9部のアジピン
酸ジヒドラジドを溶かした溶液を加え、アンモニア水で
pHを8〜9に調整し、エマルジョンを得た。
【0066】(塗料製造例)4リットルのステンレス容
器に下記配合の原料を入れ、ディスパーで20〜40分
攪拌し、顔料分散ペーストを得た。 上水 1043部 エチレングリコール 48部 顔料分散剤 16部(サンノプコK.製・ノプコスパース44C) 消泡剤 21部(同製・SNデフォーマー364) 増粘剤 13部(フジケミカルK.製・フジケミHECKF-100) 白着色顔料 869部(テイカK.製・チタン白JR-800) 体質顔料 348部(竹原化学工業K.製・タンカル85) 体質顔料 695部(フジライトK.製・クレー特号W) ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛塩 5部(大日本インキ化学工業製・バイオカットZP) 銀,亜鉛イオン担持合成ゼオライト 80部(シナネンニューセラミック製・ゼオミックAW-10D) 上記顔料分散ペースト中に、さらに、エマルジョン10
43部、テキサノール104部、アンモニア水0.9部
を入れ、10〜20分ディスパーで攪拌し、固形分61
%、PVC54%の水性塗料を得た。
【0067】(施工例)上記水性塗料に、ユニラント#
88(横浜化成社製・カラーペースト)にて所定色を調
色後、上水で希釈して70KU粘度に調整し、この塗料
を中毛ローラーにて120〜150g/m2 の塗布量で
天井に塗装し、室温で2時間乾燥後、その上にさらに1
回目と同様の要領で同塗料で2回目を塗装し、室温で7
日間乾燥させて天井面を仕上げた。また、上記水性塗料
と同じ抗菌剤を配合し、着色顔料及び体質顔料を配合し
ていない水性クリヤー塗料をドア、把手、ストレッチャ
ガード等に塗布した。
【0068】(4) 抗菌効果の実験方法 抗菌効果の実験は、常時介護を必要とする高齢者を入室
(一定回数、一定時間の入浴、散歩又は日光浴での出入
以外は室内に居住。但し排尿排便時は出入)させ、1日
における医師、看護婦、介護人を一定人数、一定時間、
一定回数だけ出入させ、それ以外は、ドアを閉めた状態
にしておいて、実験開始の入室直前、当初入室から3日
後、7日後の計3回、後述する所定検査を行った。な
お、実験は既存室、次いで抗菌室と日にちをずらせて行
い、入室者その他の出入者は同一人とし、各設定条件は
すべて同一にプログラムして行った。実験期間中はエア
コンディショナーを一定温度に設定し、一定時間運転を
行った。
【0069】(5) 抗菌効果の測定方法 抗菌効果の測定は、空中浮遊菌の生菌数、ベッド脇の壁
面、入口付近の床面、エアコンディショナーのフィルタ
ーの所定位置4か所において行った。空中浮遊菌の測定
は、室中央の床上120cm地点の空気を、ハートイン
フィジョン寒天培地に60リットル採取し、これを2回
行い、それぞれ採取後、37℃、48時間培養し、その
生菌数を計測し、平均値で結果を得た。測定は被験者の
不在時に行った(以下も同じ)。なお、採取はエアサン
プラー(日本ゼネラルK.製・SASセパレート)によっ
て行った。
【0070】壁面、床面の生菌測定は、各面所定位置の
各部位2か所それぞれ25cm2 を滅菌綿棒により拭き
取って菌を採取し、これをハートインフィジョン寒天培
地にて37℃、48時間培養し、その生菌数を計測し、
各平均値で結果を得た。
【0071】エアコンフィルターの生菌測定は、所定部
位2か所それぞれ25cm2 を滅菌綿棒により拭き取っ
て菌を採取し、これをハートインフィジョン寒天培地に
て37℃、48時間培養し、その生菌数を計測し、各平
均値で結果を得た。
【0072】(6) 測定結果 上記測定結果は次の表1,表2のとおりであった。な
お、経過日数の0は保菌者入出直前を示す。
【0073】表の結果によると、保菌者の入室直前の室
内の空気空気中に浮遊している生菌数は同じであった
が、3日、7日と経過するにつれて室内の抗菌効果が発
揮され、既存室では生菌数が増加したが、抗菌室では増
加しなかった。また、壁面では接触する生菌が、既存室
では増加傾向を示したが、抗菌室では0となった。床面
は、出入者の接触も多く、浮遊物もその多くが最終的に
沈積するため、既存室では床面に付着している生菌数が
著しく多かったが、抗菌室では著しく低く、かつ増加数
も少ないことが判明した。
【0074】このように、本発明による室内によれば、
常時抗菌効果が発揮されていることが明らかである。ま
た、銀系抗菌剤がMRSAに対して抗菌効果を有するこ
とが判明していることから、本発明による室内も、上記
同様に常時抗菌効果が発揮されることが明らかである。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】以上のように、施設内の床、壁及び天井
の全面、さらには必要に応じて設備機器、什器類を含
め、これらの露出面を抗菌面として形成し、さらには各
入隅部も塵埃が付着しにくい構成とし、施設自体が感染
防止用施設となる。浮遊し付着する細菌類に対する抗菌
性が施設内において施設自体の作用として効果的に発揮
され、加えて、消毒液による拭き取りや燻蒸等による消
毒滅菌等が行われても、対応する面に耐薬品性、耐汚染
性が付与されているので、対応する面を損傷させること
がなく、しかも適宜に消毒滅菌作業を行う等の感染防止
に対する維持管理が容易となり、耐汚染性を有している
ことにより、血液が付着する等してもこれを簡便確実に
除去して綺麗に保つことができ、低臭性により人体への
違和感も生じさせない。この場合、各面にはそれぞれの
機能上の物性が具備されると共に、全面に永続性のある
抗菌作用が付与される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土田 恭義 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目6番15号 株式会社フジタ内 (72)発明者 新木 重光 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目6番15号 株式会社フジタ内 (72)発明者 北山 大 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目6番15号 株式会社フジタ内 (72)発明者 大田 皓士 東京都千代田区永田町二丁目12番14号 株式会社エービーシー商会内 (72)発明者 相原 哲夫 東京都千代田区永田町二丁目12番14号 株式会社エービーシー商会内 (72)発明者 小穴 伴治 東京都千代田区永田町二丁目12番14号 株式会社エービーシー商会内 (72)発明者 杉島 正見 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (72)発明者 大野 晴男 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 松倉 哲夫 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−292288(JP,A) 特開 平6−126244(JP,A) 特開 平4−249587(JP,A) 特開 平5−339542(JP,A) 特開 平5−310963(JP,A) 特開 平6−256689(JP,A) 特開 平4−139242(JP,A) 特開 昭63−110258(JP,A) 実開 昭55−31991(JP,U) 実開 昭60−10037(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61G 10/00 A61L 2/16 F24F 3/16 C09D 5/14 C08L 23/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 施設内乃至室内の床、壁及び天井の全面
    を無機系抗菌剤特に好ましくは銀系抗菌剤が露出状態
    なる仕上げ面として、三次元空間全体に感染防止性能を
    持たせると共に、 特に床面は、エポキシ樹脂系或いは無機・有機ハイブリ
    ッド型樹脂等の耐薬品性と耐汚染性を有した高重合素材
    に、バインダーと、バインダーよりも低比重の軽量骨材
    と無機系抗菌剤とを配合した組成を有する塗床とし、塗
    床の表面に抗菌剤の一部が露出状態となるように形成し
    てなる構成を有する感染防止用施設。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の床面上に、前記抗菌剤の
    一部が露出状態となるように配合してなる組成を有する
    抗菌性樹脂層を表層として塗布してなる長尺材或いはタ
    イル等の置床乃至貼床を敷設してなる構成を有する感染
    防止用施設。
  3. 【請求項3】 壁面乃至天井面のいずれか一方又は両方
    を壁装材、即ち、裏打ち紙の上にポリ塩化ビニルゾルを
    コートし、その表面に意匠表面層を形成し、表面に透明
    ポリエチレンテレフタレート樹脂層を積層し、さらにそ
    の表面に二液硬化型半透明ウレタン樹脂に銀系抗菌剤を
    配合した抗菌性半透明樹脂層を積層して形成し、耐薬品
    性及び耐汚染性と共に防火性とガスバリア性を有する壁
    装材としてなる請求項1又は2に記載の感染防止用施
    設。
  4. 【請求項4】 壁面乃至天井面のいずれか一方又は両方
    を、無機系抗菌剤特に好ましくは銀系抗菌剤を配合し、
    カルボニル基とヒドラジド基の反応による架橋型アクリ
    ルエマルションを含む水性塗料の塗布面としてなる請求
    項1又は2に記載の感染防止用施設。
  5. 【請求項5】 壁面乃至天井面のいずれか一方又は両方
    を、任意塗料成分に銀系抗菌剤及びビス(ピリジン−2
    −チオール−1−オキシド)亜鉛塩を配合した塗料の塗
    布面としてなる請求項1乃至4のいずれかに記載の感染
    防止用施設。
  6. 【請求項6】 壁面乃至天井面のいずれか一方又は両方
    を、任意塗料成分に銀系抗菌剤及びビス(ピリジン−2
    −チオール−1−オキシド)亜鉛塩を配合し、さらにベ
    ンゾトリアゾール構造を有する化合物を配合した塗料の
    塗布面としてなる請求項1乃至5のいずれかに記載の感
    染防止用施設。
  7. 【請求項7】 床面を壁面下部に連続的に立ち上げて壁
    面に対して入り巾木状に納め、かつ、床縁の入隅部は適
    度な曲面として納めてなる構成としてなる請求項1乃至
    6のいずれかに記載の感染防止用施設。
  8. 【請求項8】 内部空調設備の吹出口と吸引口を施設内
    乃至室内の異なる個所に配設し、施設内乃至室内空気に
    対流を与えて空気と共に塵埃が床面、壁面乃至は天井面
    に接触しやすいように形成してなる請求項1乃至7のい
    ずれかに記載の感染防止用施設。
  9. 【請求項9】 扉、把手、巾木、手すり等の施設内設備
    や家具等の施設内什器の露出面に、上記抗菌性透明樹脂
    層を形成するか、或いは上記請求項4乃至6のいずれか
    に記載の塗料を塗布してなる請求項1乃至8のいずれか
    に記載の感染防止用施設。
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