JP5120811B2 - エレベータの制御装置 - Google Patents

エレベータの制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5120811B2
JP5120811B2 JP2008070162A JP2008070162A JP5120811B2 JP 5120811 B2 JP5120811 B2 JP 5120811B2 JP 2008070162 A JP2008070162 A JP 2008070162A JP 2008070162 A JP2008070162 A JP 2008070162A JP 5120811 B2 JP5120811 B2 JP 5120811B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
torque
car
torque command
abnormality
value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008070162A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009221009A (ja
Inventor
潤 小泉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Elevator and Building Systems Corp
Original Assignee
Toshiba Elevator Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Elevator Co Ltd filed Critical Toshiba Elevator Co Ltd
Priority to JP2008070162A priority Critical patent/JP5120811B2/ja
Publication of JP2009221009A publication Critical patent/JP2009221009A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5120811B2 publication Critical patent/JP5120811B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、運転時に巻上機のモータのトルク異常を検出するエレベータの制御装置に関する。
近年、建物の高層化などに伴い、エレベータは縦の交通手段として不可欠なものとなっている。また、その一方で、地震が発生した場合でのエレベータの安全性の問題が指摘されている。
通常、エレベータでは、地震が発生すると、管制運転により乗りかごを速やかに最寄階に停止させ、そこで乗客を降車させている。ところが、地震によってエレベータの運転が一旦停止すると、その後、特に運転に支障のない状況であっても、保守員が安全を確認するまで復旧されない。
そこで、地震の発生によりエレベータの運転が停止した場合に、エレベータの安全性を自動的に確認し、復旧させるニーズが高まっている。
従来、地震時の自動復旧のオペレーションとしては、例えば特許文献1に開示されているものがある。この特許文献1では、エレベータを低速運転で最上階から最下階までを一往復させることにより、その運転中に昇降路内の機器類の異常音や異常振動を検出し、異常なしであれば、通常運転に復帰させることが開示されている。
また、巻上機のトルクに基づいて異常の有無を検出する方法として、例えば特許文献2に開示されているものがある。この特許文献2では、予め異常判定の基準となるトルクパターンを設定しておき、その判定基準パターンと運転中の巻上機のトルクパターンとを比較して異常の有無を検出する。
特開平6−227770号公報 特開2007−168937号公報
しかしながら、上記特許文献1のように機器類の異常音や異常振動を検出する方法では、何らかの原因でモータのトルクに異常が生じていた場合にそれを検出できず、そのまま運転を継続して、所謂二次災害を引き起こしてしまうなどの問題がある。
そこで、巻上機のトルクの状態から異常の有無を検出する方法が考えられる。しかしながら、上記特許文献2のような方法では、予め各物件毎に判定基準用のトルクパターンを設定しておく必要があり、事前処理に手間がかかり、また、判定基準パターンを記憶しておくためのメモリを必要とするなどの問題もある。
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、巻上機のトルクの異常を簡単かつ正確に検出して異常時にエレベータの運転を安全に停止制御することのできるエレベータの制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係るエレベータの制御装置は、乗りかごを駆動するためのモータと、上記乗りかごの運転時に上記モータに与えられるトルク指令値を検出するトルク指令検出手段と、このトルク指令検出手段によって検出されたトルク指令値の変化量を検出するトルク指令変化量検出手段と、このトルク指令変化量検出手段によって検出されたトルク指令値の変化量に対する異常検出の閾値を設定する閾値設定手段と、上記トルク指令値の変化量が上記閾値設定手段によって設定された閾値を超えた時間をカウントする異常時間測定手段と、この異常時間測定手段によってカウントされた時間に基づいてトルク異常の有無を判定し、そのカウント時間が予め設定された判定時間を超えた場合にトルク異常と判定して上記乗りかごの運転を停止させるトルク異常判定手段とを具備したことを特徴とする。
本発明によれば、巻上機のトルクの異常を簡単かつ正確に検出して異常時にエレベータの運転を安全に停止制御することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータの制御装置の構成例を示すブロック図である。
このエレベータは、巻上機のモータ5、シーブ7、ロープ7a、乗りかご8、カウンタウエイト9などから構成される。なお、詳しい機構については本発明とは直接関係しないため、その説明を省略するものとする。
乗りかご8は、利用者を乗せて建物の各階床間を移動するものであり、ロープ7aの一端が連結されている。ロープ7aはシーブ7に巻き掛けられ、その他端にカウンタウェイト9が連結されている。これにより、モータ5の駆動に伴い、乗りかご8はロープ7aを介してカウンタウエイト9とは反対の方向につるべ式に移動する。
また、このエレベータには、上記乗りかご8の移動速度を制御する構成要素として、速度指令部1、速度制御部2、電流制御部3、電流検出器4、速度検出部6、かご位置検出部10、ロープ自重補償トルク設定部11が備えられている。
速度指令部1は、所定の走行パターンに従った速度指令値を出力する。速度検出部6は、モータ5の回転速度を検出する。速度制御部2は、速度指令部1からの速度指令値と速度検出部6が検出した速度値との偏差を求め、この偏差がなくなるようにモータ5のトルク指令値を出力する。
電流制御部3は、速度制御部2から出力されたトルク指令値に基づいて、モータ5に供給する電流値を決定する。電流検出器4は、モータ5への供給電流値を検出して電流制御部3にフィードバックする。電流制御部3では、この電流検出器4によって検出された電流値が目標値となるようにモータ5へ供給する電流をコントロールする。
モータ5は、例えば三相交流モータからなり、電流制御部3から供給される3相の電流によって駆動される。このモータ5の駆動により、シーブ7およびロープ7aを介して乗りかご8が昇降路内を昇降動作する。
また、かご位置検出部10は、乗りかご8の位置を検出する。その検出方法としては、例えばモータ5の駆動に伴い、乗りかご8の走行に同期してパルス信号を出力する図示せぬエンコーダを用いるなどの方法がある。
ロープ自重補償トルク設定部11は、かご位置検出部10によって得られるかご位置情報に基づいてロープ自重トルクの変動率分を計算し、これを補償トルクとして速度制御系にフィードバックする。これにより、速度制御部2から出力されたトルク指令値にロープ自重の補償トルクを加味した値が最終的なトルク指令として電流制御部3に与えられることになる。
このような速度制御系の構成において、本実施形態では、さらに、トルク指令検出部12、トルク指令変化量検出部13、異常検出閾値設定部14、異常時間測定部15、トルク異常判定部15aが備えられている。
トルク指令検出部12は、モータ5に与えられるトルク指令を検出する。トルク指令変化量検出部13は、トルク指令検出部12によって検出されたトルク指令の単位時間当たりの変化量を検出する。異常検出閾値設定部14は、トルク指令の変化量に対するトルク異常の閾値を設定する。
異常時間測定部15は、トルク指令変化量検出部13によって検出されたトルク指令の変化量が異常検出閾値設定部14によって設定された閾値を越えた時間をカウントする。トルク異常判定部15aは、異常時間測定部15によってカウントされた時間に基づいてトルク異常の有無を判定する。
このような構成において、通常は、ロープ自重分を考慮した適正なトルク指令が電流制御部3に与えられ、その電流制御部3から出力される電流によってモータ5が駆動制御される。このモータ5の駆動に伴い、乗りかご8がシーブ7に巻回されたロープ7aを介して所定の速度で走行動作する。
ここで、何らかの異常によりモータ5に余計な負荷が加わると、その負荷分に応じてトルク指令の値が上がってしまう。第1の実施形態では、そのときのトルク指令の変化量を監視し、閾値を超える状態が所定時間以上続く場合にトルク異常であると判定する。
以下に、このトルク異常の検出方法について詳しく説明する。
図2および図3は第1の実施形態における乗りかごの走行パターンとトルク指令、そのトルク指令の変化量と異常時間との関係を説明するための図であり、図2は正常時の状態、図3は異常時の状態を表している。また、図2および図3において、(a)はかご速度の走行パターン、(b)はトルク指令、(c)はトルク指令の変化量、(d)はトルク指令の変化量の異常時間を表している。
トルク異常の検出は、乗りかご8が定常走行しているときに出力されるトルク指令と閾値とを比較することで行う(図2(a),(c)参照)。「定常走行」とは、乗りかご8が加速後に一定の速度で走行している状態を言う。この定常走行中には、基本的にはトルクが変化しないため、そのときの変化量と閾値と比較することで、トルク異常を正確に検出することができる。なお、定常走行以外の期間(加速中や減速中)では、トルクが大きく変動しているため、トルク異常を正確に検出することは難しい。
ここで、異常検出閾値設定部14によって設定される閾値を「dTmLMT0」とする。異常時間測定部15では、トルク指令変化量検出部13によって検出されたトルク指令の変化量が閾値「dTmLMT0」を超えた時間をカウントする。この場合、図2(c),(d)に示すように、トルク指令の変化量が所定の時間(TIM0)内に閾値「dTmLMT0」以下となれば、カウント値は0にクリアされる。
一方、図3(c),(d)に示すように、トルク指令の変化量が閾値「dTmLMT0」を超えた状態が続き、カウント値が所定の時間(TIM0)に達すると、トルク異常判定部15aはトルク異常であると判定し、直ちにエレベータを減速または停止させるための走行指令を速度指令部1に出力する。
このように第1の実施形態によれば、トルク指令の変化量を監視し、閾値を超える状態が所定時間以上続く場合にトルク異常と判定し、エレベータの運転を安全に停止することができる。これにより、ロープ引っ掛かり等による余計な負荷が加わった状態で運転を継続してしまうことを回避でき、機器損傷等の被害を最小限に抑えることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
上記第1の実施形態では、通常運転中にトルク異常を検出する場合について説明したが、第2の実施形態では、地震発生による診断運転中にトルク異常を検出する場合を想定する。地震が発生すると、ロープ引っ掛かり等の可能性が非常に高くなるため、できるだけ早期にトルク異常を検出してエレベータの運転を停止する必要がある。
図4は本発明の第2の実施形態に係るエレベータの制御装置の構成例を示すブロック図である。なお、図4において、上記第1の実施形態における図1の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
第2の実施形態では、図1の構成に加え、地震感知器16と走行パターン選択部17を備える。地震感知器16は、機械室あるいは昇降路などに設置され、所定レベル以上の地震の揺れを検出し、その検出信号を走行パターン選択部17に出力する。また、この地震感知器16の検出信号は異常検出閾値設定部14およびトルク異常判定部15aにも与えられる。異常検出閾値設定部14では、地震感知器16の検出信号に基づいて診断運転用の閾値を設定する。トルク異常判定部15aでは、異常検出の判定時間を通常運転時よりも短くしてトルク異常の判定を行う。
走行パターン選択部17は、通常運転時の走行パターンと診断運転時の走行パターンを有する。この走行パターン選択部17は、地震感知器16によって地震が検出された場合に、診断運転用の走行パターンを選択して速度指令部1に与える。
なお、「診断運転」とは、例えば乗りかご8を所定の速度で一往復させて、その間に機器類の異常などを点検するための特殊な運転である。本実施形態では、この診断運転中にモータ5のトルクの変化を監視し、その異常を検出することを含んでいる。
以下に、第2の実施形態におけるトルク異常の検出方法について詳しく説明する。
図5および図6は第2の実施形態における乗りかごの走行パターンとトルク指令、そのトルク指令の変化量と異常時間との関係を説明するための図であり、図5は正常時の状態、図6は異常時の状態を表している。また、図5および図6において、(a)はかご速度の走行パターン、(b)はトルク指令、(c)はトルク指令の変化量、(d)はトルク指令の変化量の異常時間を表している。
地震感知器16によって所定レベル以上の地震が検出されると、乗りかご8を最寄階へ停止させた後、一定時間(例えば5分)後に診断運転を行う。なお、一定時間待ってから診断運転を行うのは、ロープや建物の揺れによるトルク変化量の誤検出を防ぐためである。
ここで、図5に示すように、地震感知器16から地震検知信号が出力されると、走行パターン選択部17によって通常運転から診断運転の走行パターンに切り替えられ、乗りかご8が定格速度以下の低速で運転される。
また、低速走行時のトルク変化量は通常運転時より小さいため、地震検知信号が出力されると、異常検出閾値設定部14では、トルク異常の判定基準となる閾値を通常運転時よりも低く設定する。
今、診断運転時の閾値を「dTmLMT1」とすると、トルク指令変化量検出部13によって検出されたトルク指令の変化量が閾値「dTmLMT1」を越えた時間を異常時間測定部15にてカウントする。この場合、図5(c),(d)に示すように、トルク指令の変化量が所定の時間(TIM1)内に閾値「dTmLMT1」以下となれば、カウント値は0にクリアされる。
一方、図6(c),(d)に示すように、トルク指令の変化量が閾値「dTmLMT1」を超えた状態が続き、カウント値が所定の時間(TIM1)に達すると、トルク異常判定部15aはトルク異常であると判定し、直ちにエレベータを減速または停止させるための走行指令を速度指令部1に出力する。なお、「TIM1」は通常運転時の判断基準である「TIM0」よりも短く設定されている。
このように第2の実施形態によれば、診断運転時に異常検出の閾値を通常運転時よりも低く設定し、さらに、判定時間についても通常運転時より短く設定する。これにより、例えば地震によってガイドレールが変形するなどして走行に異常を来している場合や、ロープが引っ掛かっているような場合に、その異常を走行中のトルクの変化から早期に検出して診断運転を中止でき、結果として二次被害の発生を防ぐことができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態では、ロープ自重分の補償トルクの変化量を異常検出の閾値設定に反映させるようにしたものである。
図7は本発明の第3の実施形態に係るエレベータの制御装置の構成例を示すブロック図である。なお、図5において、上記第2の実施形態における図4の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
ロープ自重補償トルク設定部11は、かご位置検出部10によって得られるかご位置情報に基づいてロープ自重トルクの変動率分を計算し、これを補償トルクとして速度制御系にフィードバックする。さらに、第3の実施形態では、このロープ自重補償トルク設定部11によって設定されたロープ自重の補償トルクを異常検出閾値設定部14に出力するように構成されている。
以下に、第3の実施形態におけるトルク異常の検出方法について詳しく説明する。
図8は第3の実施形態における乗りかごの走行パターンとトルク指令、そのトルク指令の変化量と異常時間との関係を説明するための図である。図8において、(a)はかご速度の走行パターン、(b)はトルク指令、(c)はトルク指令の変化量、(d)はトルク指令の変化量の異常時間を表している。
コンペンレスエレベータでは、乗りかご8の走行中にある一定の傾きを持ちながらトルクが変動することが分かっている。コンペンレスエレベータとは、乗りかご8にコンペンロープ(コンペンセーティング・ロープの略)が取り付けられていないエレベータのことである。コンペンロープは、乗りかご8を吊り下げているロープ7aの重さのアンバランスを解消するためのロープである。
すなわち、乗りかご8が最上階にあるときと、最下階にあるときとでは、吊り下げ用のロープ7aの長さが乗りかご8側とカウンタウエイト9側で違ってくる。このときのアンバランスを解消するために、乗りかご8の下部とカウンタウエイト9の下部にコンペンロープをぶら下げて繋ぐようにしている。したがって、このようなコンペンロープを持たないエレベータでは、乗りかご8の位置によってロープ7aの荷重が変わるので、モータ5の駆動に必要なトルクも変動することになる。
この場合、上記第1の実施形態や上記第2の実施形態の構成では、走行中に、エレベータ機器の干渉、接触によってトルク変動が起きなくても、トルク指令値が異常検出閾値設定部14によって設定された異常検出の閾値に引っ掛る可能性が考えられる。
そこで、第3の実施形態では、走行中のトルク変動の傾きを求め、異常検出の閾値「dTmLMT1」の値を補正することによって、正常時のトルク変動に対する誤検出を防ぐようにしている。
ここで問題となっているトルクの変動は、主にかご位置によって変動するロープ自重を補償しようとするロープ自重補償トルクである。このロープ自重補償トルクをTmCMP、比例定数をGc、かご位置検出部19にて検出されるかご位置をPOS[m]、昇降路の中間位置をMID_POS[m]と表すと、下記の(1)式に示すような一次関数式で表せる。
TmCMP=Gc×(POS−MID_POS)…(1)
また、トルク変化量のサンプリング周期をTs、速度検出部6にて検出された乗りかご8の定常走行時の速度をVeとすると、1処理周期におけるロープ自重の補償トルク「TmCMP0」は、下記の(2)式に示すような一次関数で表せる。
TmCMP0=Gc×Ve×Ts …(2)
つまり、第3の実施形態では、上記(2)式に示したように、定常走行時の速度を所定時間単位でサンプリングすることで、各サンプリング点における補償トルクの変動を求めるようにしている。
このような計算処理をロープ自重補償トルク設定部11にて行い、異常検出閾値設定部14に補償トルク「TmCMP0」を与える。これにより、図8(c)に示すように、異常検出閾値設定部14では、DN走行時はTmCMP0、UP走行時は−TmCMP0を基準として、異常検出の閾値「dTmLMT1」を設定する。
以後の動きについては、上記第1および第2の実施形態で説明した通りであるため、ここではその説明を省略する。
以上のように第3の実施形態によれば、かご位置に応じたロープ自重補償トルクを加味して、異常検出の閾値を設定することで、トルクの異常をより正確に検出してエレベータの運転を安全に停止することができる。
なお、この第3の実施形態の構成を上記第1の実施形態の構成に適用することも可能であり、その場合にも同様の効果が得られる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態では、トルク指令の値を制限内にリミットするためのトルクリミッタを備え、診断運転時にリミット値を切り替えるようにしたものである。
図9は本発明の第4の実施形態に係るエレベータの制御装置の構成例を示すブロック図である。なお、図9において、上記第3の実施形態における図7の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
第4の実施形態では、図7の構成に加え、トルクリミッタ18、トルクリミッタ切替部19を備える。トルクリミッタ18は、電流制御部3の前端に設けられ、電流制御部3に与えられトルク指令値がリミット値を超える場合にリミット値の制限内に抑える機能を有している。本実施形態では、このトルクリミッタ18のリミット値を通常運転用と診断運転用とで切り換え可能な構成としている。通常運転用のリミット値は、診断運転用のリミット値に比べて余裕のある値に設定されている。トルクリミッタ切替部19には、これらのリミット値が予め記憶されている。
以下に、第4の実施形態におけるトルク異常の検出方法について詳しく説明する。
図10および図11は第4の実施形態における乗りかごの走行パターンとトルク指令、そのトルク指令の変化量と異常時間との関係を説明するための図であり、図10は正常時の状態、図11は異常時の状態を表している。また、図10および図11において、(a)はかご速度の走行パターン、(b)はトルク指令、(c)はトルク指令の変化量、(d)はトルク指令の変化量の異常時間を表している。
今、地震感知器16によって所定レベル以上の地震が検出され、エレベータ停止後に診断運転を行う場合を想定する。診断運転中に、例えば乗りかご8の昇降路機器との衝突やロープ7aの絡まりなどが発生すると、モータ5の負荷が増えるため、速度制御によりトルクの出力値が急激に上がり、さらに機器の損傷などを招く可能性がある。そこで、診断運転時には、トルクリミッタ18の値を通常運転時よりも下げておくことで、トルク指令がそのリミット値を超えないように制限する。なお、図中の一点鎖線が通常運転時のリミット値(TMLMT0)である。
ここで、指令検出部12によって検出された速度が決められた条件を満たした場合、例えば診断運転時の速度が一定期間続いたら、トルクリミッタ切替部19により通常運転用のリミット値(TMLMT0)から診断運転用のリミット値(TMLMT1)に切替える。このリミット値(TMLMT1)は、トルク指令検出部12よって検出されるトルク指令の中で、走行ロスの影響が少ない極低速時、例えば3m/minで走行中のトルクを基準値として、以下の(3)式によって設定される。
TMLMT1=TmBASE+TmCMP±TmBAND1 …(3)
ここで、TmCMPはロープ自重の補償トルク、TmBAND1はトルク変動のバンド幅(巻上機によって異なる値)である。また、TmBASEはトルク変動のバンド幅を加減算するためのトルクの基準値である。このTmBASEは零速度時のトルクが理想ではあるが、零速度ではトルクが安定しないため、極低速時のトルクを基準にした値に設定されている。
このように、診断運転時におけるリミット値を通常運転時よりも下げておけば、モータ5のトルク変動量が小さい場合であっても、以下の理由によりトルク異常を確実に検出できるようになる。
すなわち、例えばロープ引っ掛かり等による異常な負荷がモータ5に掛かっている場合には、そのときの負荷を解消するために、速度制御部2から出力されるトルク指令が上昇する。しかし、トルクリミッタ18により、そのときのトルク指令の値は、上記TMLMT1でリミットされることになる(図11(c)参照)。
一方、トルク指令の値がリミットされたことで、速度制御部2では、さらにトルク指令を上げていく。したがって、トルク指令変化量検出部13にて検出されるトルク指令の変化量が直ぐに閾値を超えることになり(図11(d)参照)、その変化量からトルク異常を検出できる。
以上のように第4の実施形態によれば、診断運転時のトルクリミッタの値を下げておくことで、トルクの異常をより正確に検出して、エレベータの運転を停止して安全を確保することができる。
なお、上記第2乃至第4実施形態では、地震によってエレベータが停止した場合での診断運転を想定して説明したが、地震に限らず、例えば強風など、乗りかご8の運転を止めてしまうような異常が発生した場合でも同様に適用可能である。
また、保守管理のために定期的に実行される診断運転に対しても適用可能であり、その運転中にトルクの異常を検出した場合には、運転を中止することで事故を未然に防ぐことができる。
要するに、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータの制御装置の構成例を示すブロック図である。 図2は同実施形態における乗りかごの走行パターンとトルク指令、そのトルク指令の変化量と異常時間との関係を説明するための図であり、正常時の状態を示す図である。 図3は同実施形態における乗りかごの走行パターンとトルク指令、そのトルク指令の変化量と異常時間との関係を説明するための図であり、異常時の状態を示す図である。 図4は本発明の第2の実施形態に係るエレベータの制御装置の構成例を示すブロック図である。 図5は同実施形態における乗りかごの走行パターンとトルク指令、そのトルク指令の変化量と異常時間との関係を説明するための図であり、正常時の状態を示す図である。 図6は同実施形態における乗りかごの走行パターンとトルク指令、そのトルク指令の変化量と異常時間との関係を説明するための図であり、異常時の状態を示す図である。 図7は本発明の第3の実施形態に係るエレベータの制御装置の構成例を示すブロック図である。 図8は同実施形態における乗りかごの走行パターンとトルク指令、そのトルク指令の変化量と異常時間との関係を説明するための図である。 図9は本発明の第4の実施形態に係るエレベータの制御装置の構成例を示すブロック図である。 図10は同実施形態における乗りかごの走行パターンとトルク指令、そのトルク指令の変化量と異常時間との関係を説明するための図であり、正常時の状態を示す図である。 図11は同実施形態における乗りかごの走行パターンとトルク指令、そのトルク指令の変化量と異常時間との関係を説明するための図であり、異常時の状態を示す図である。
符号の説明
1…速度指令部、2…速度制御部、3…電流制御部、4…電流検出器、5…モータ、6…速度検出部、7…シーブ、7a…ロープ、8…乗りかご、9…カウンタウエイト、10…かご位置検出部、11…ロープ自重補償トルク設定部、12…トルク指令検出部、13…トルク指令変化量検出部、14…異常検出閾値設定部、15…異常時間測定部、15a…トルク異常判定部、16…地震感知器、17…走行パターン選択部、18…トルクリミッタ、19…トルクリミッタ切替部。

Claims (6)

  1. 乗りかごを駆動するためのモータと、
    上記乗りかごの運転時に上記モータに与えられるトルク指令値を検出するトルク指令検出手段と、
    このトルク指令検出手段によって検出されたトルク指令値の変化量を検出するトルク指令変化量検出手段と、
    このトルク指令変化量検出手段によって検出されたトルク指令値の変化量に対する異常検出の閾値を設定する閾値設定手段と、
    上記トルク指令値の変化量が上記閾値設定手段によって設定された閾値を超えた時間をカウントする異常時間測定手段と、
    この異常時間測定手段によってカウントされた時間に基づいてトルク異常の有無を判定し、そのカウント時間が予め設定された判定時間を超えた場合にトルク異常と判定して上記乗りかごの運転を停止させるトルク異常判定手段と
    を具備したことを特徴とするエレベータの制御装置。
  2. 異常発生に伴い、診断運転用の走行パターンを選択する走行パターン選択手段を備え、
    上記閾値設定手段は、上記走行パターン選択手段によって選択された診断運転用の走行パターンで上記乗りかごが走行中のときに、上記トルク指令値の変化量に対する閾値を通常運転時よりも低く設定することを特徴とする請求項1記載のエレベータの制御装置。
  3. 上記トルク異常判定手段は、上記診断運転用の走行パターンで上記乗りかごが走行中のときに、通常運転時よりも短く設定された判定時間でトルク異常の判定を行うことを特徴とする請求項2記載のエレベータの制御装置。
  4. 地震の揺れを検出する地震検出手段を備え、
    上記走行パターン選択手段は、上記地震検出手段によって地震の揺れが検出された場合に診断運転用の走行パターンを選択することを特徴とする請求項2記載のエレベータの制御装置。
  5. 上記乗りかごの位置を検出するかご位置検出手段と、
    このかご位置検出手段によって検出されたかご位置情報に基づいてロープ自重を補償するための補償トルクを設定する補償トルク設定手段とをさらに備え、
    上記閾値設定手段は、上記補償トルク設定手段によって設定された補償トルクを加味して異常検出の閾値を設定することを特徴とする請求項1または2記載のエレベータの制御装置。
  6. 上記乗りかごの運転時に上記モータに与えられるトルク指令値を制限内にリミットするためのリミット手段と、
    上記診断運転用の走行パターンで上記乗りかごが走行中のときに、上記リミット手段のリミット値を極低速時のトルク指令を基準にして設定された値に切り替えるトルクリミッタ切替手段と
    をさらに具備したことを特徴とする請求項2記載のエレベータの制御装置。
JP2008070162A 2008-03-18 2008-03-18 エレベータの制御装置 Active JP5120811B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008070162A JP5120811B2 (ja) 2008-03-18 2008-03-18 エレベータの制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008070162A JP5120811B2 (ja) 2008-03-18 2008-03-18 エレベータの制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009221009A JP2009221009A (ja) 2009-10-01
JP5120811B2 true JP5120811B2 (ja) 2013-01-16

Family

ID=41238216

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008070162A Active JP5120811B2 (ja) 2008-03-18 2008-03-18 エレベータの制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5120811B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5431064B2 (ja) * 2009-08-07 2014-03-05 株式会社日立製作所 エレベータ制御装置
JP5431281B2 (ja) * 2010-09-27 2014-03-05 三菱電機ビルテクノサービス株式会社 エレベータの懸架手段異常位置検出装置
CN104512808B (zh) * 2013-09-30 2016-09-14 上海共久电气有限公司 一种关于起重机升降机构上升失速的检测方法
EP2865629B1 (en) 2013-10-24 2016-11-30 Kone Corporation Stall condition detection
CN104555841B (zh) * 2015-01-06 2017-09-01 洛阳师范学院 一种电动更衣吊篮升降系统控制方法
WO2018172597A1 (en) 2017-03-24 2018-09-27 Kone Corporation A method and an elevator for automatic elevator condition checking
CN110785367B (zh) * 2017-06-27 2021-01-29 三菱电机大楼技术服务株式会社 异常检测装置
JP7097972B2 (ja) 2018-07-24 2022-07-08 三菱電機株式会社 健全性診断装置
JP7042184B2 (ja) * 2018-07-26 2022-03-25 株式会社日立ビルシステム エレベーター、エレベーター保守点検システムおよびエレベーター異常診断装置
JP6812506B2 (ja) * 2019-06-27 2021-01-13 東芝エレベータ株式会社 昇降機監視方法、及び昇降機監視装置
JP2022007346A (ja) * 2020-06-26 2022-01-13 株式会社日立製作所 巻上機モータ制御システム

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4230139B2 (ja) * 2001-10-23 2009-02-25 三菱電機株式会社 エレベータの制御装置
JP2005088861A (ja) * 2003-09-19 2005-04-07 Unisia Jkc Steering System Co Ltd パワーステアリング装置
JP4828215B2 (ja) * 2005-11-30 2011-11-30 三菱電機ビルテクノサービス株式会社 エレベータ制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009221009A (ja) 2009-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5120811B2 (ja) エレベータの制御装置
US10196234B2 (en) Method for controlling unintended vertical speed and acceleration of an elevator
JP5164995B2 (ja) エレベータ装置
KR101386279B1 (ko) 엘리베이터 장치
US9394139B2 (en) Multi-car elevator and controlling method therefor
CN102131725A (zh) 电梯装置
WO2015047221A1 (en) Rope sway mitigation through control of access to elevators
EP3337745B1 (en) Elevator control system and method of operating an elevator system
KR20080014732A (ko) 엘리베이터 장치
US11554933B2 (en) Elevator
JP4566587B2 (ja) エレベータの制御装置
WO2016132484A1 (ja) エレベータの診断装置
JP2008156078A (ja) エレベータの制御装置
JP6299926B2 (ja) エレベータの制御システム
JP2007176624A (ja) エレベータ
JP5137614B2 (ja) エレベータ装置
JP6480840B2 (ja) エレベータ及びエレベータの管制運転方法
JP2007223785A (ja) エレベータ装置
WO2018016061A1 (ja) エレベーター
WO2011104816A1 (ja) エレベータの制御装置
JP2020070128A (ja) エレベーターの制御システム
CN108349693B (zh) 电梯及电梯的运转方法
WO2019077645A1 (ja) エレベータの制御装置及び制御方法
JP6812506B2 (ja) 昇降機監視方法、及び昇降機監視装置
JP2013209210A (ja) エレベータの制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120918

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120925

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121015

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151102

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5120811

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350