JP5431064B2 - エレベータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エレベータ制御装置に係り、特に、異常トルクを検出して運転を停止する機能を備えたエレベータ制御装置に関する。
地震発生時には、エレベータの昇降路内に配置したケーブル、コードなどの長尺物が揺れて昇降路内の構造物に絡まることがある。
エレベータにおいては、一般に、規定値以上の震度の地震が発生した場合、運転を一旦停止し、通常状態に復帰してよいか否かの判定を行った後、判定が可である場合にのみ通常運転に復帰する。
通常状態に復帰してよいか否かの判定に際しては、昇降路内長尺物の引掛りの有無を判定する必要がある。
例えば、特許文献1には、地震後に診断運転を実施する際、巻上機のトルクを検出しながら制御ケーブルの昇降路機器等への引っ掛りの有無を診断し、異常なトルクを検出した場合は、診断運転を停止させることが示されている。
特開2007−197117号公報
前記従来技術においては、地震発生後の復旧運転に際して、引掛りがあるか否かの判定を、走行中のトルク指令値と予め設定した閾値とを比較することにより行っている。
しかし、上述の判定方式では、前記閾値の設定が困難である。すなわち、引掛りであると判定する閾値は個々のエレベータ毎に設定するのが好ましいが、前記閾値は個々のエレベータ毎に経年変化し、また季節に応じて変化し、その値にはばらつきが生じる。このため、頻繁に前記閾値を設定しなおす必要がある。
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、検出精度が高く、保全性に優れた引掛り検出装置を備えたエレベータ制御装置を提供するものである。
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
乗りかごが昇降する昇降路内に、乗りかご、該乗りかごを昇降させるためのロープ、前記乗りかごと釣り合う釣り合いおもり、調速用ロープ、および乗りかごと外部を接続する通信ケーブルを収容し、前記ロープを昇降用モータにより駆動して乗りかごを昇降するエレベータ制御装置において、前記昇降用モータを制御するモータ制御部および昇降路内の長尺物の引掛かりを検出する引掛かり検出部を備え、該引掛かり検出部は、エレベータが定常走行に移行したとき、前記昇降用モータに供給するトルク指令値を順次記録し、順次記録した前記トルク指令値のうちの直近の複数個と現在のトルク指令値との差分をそれぞれ演算し、得られた差分の何れかが予め設定した閾値を超えたとき昇降路内の長尺物に引掛りが生じたと判定する。
本発明は、以上の構成を備えるため、検出精度が高く、保全性にも優れた引掛り検出装置を備えたエレベータ制御装置を提供することができる。
本実施形態にかかるエレベータ制御装置を説明する図である。 引掛り検出部において検出するトルク指令値の時間変化を説明する図である。 引掛り検出検出部の処理を説明する図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態にかかるエレベータ制御装置を説明する図である。図1において、1はエレベータの乗りかご、2はエレベータを駆動するモータである。3は釣り合い錘であり、乗りかご1にロープ5を介して対向して配置されている。4はロープ5を掛けるプーリである。
また、乗りかごが収納される昇降路内には調速機6が設置されており、調速機用ロープ7をエレベータ乗りかご1と連動して駆動することにより、エレベータの速度異常を検出する。8は制御装置であり、制御装置8は入出力バッファ(I/O)10、モータ2を駆動制御するマイクロコンピュータ11および引掛り検出部13を備える。また、テールコード9を介して乗りかご1と通信することができる。
モータ2の回転数は入出力バッファ10を介して、マイクロコンピュータMPU11に送信され、モータ制御部12はトルク指令値を算出する。また、マイクロコンピュータ11内の引掛り検出部13は走行中のトルク指令値の変動を監視する。
図2は、引掛り検出部において検出するトルク指令値の時間変化を説明する図である。図において、実線L1は、引掛りが発生していないときのトルク指令値の時間変化を示し、破線L2は、引掛りが発生しているときのトルク指令値の時間変化を示している。
図2に示すように、トルク指令は起動時に増大する。しかし、起動時におけるトルク指令値の増大と引掛り発生時のトルク指令値の増大とを切り分けることは困難である。このため、起動時においては引掛り判定は実施しないことが望ましい。
起動時における前記トルクの増大する期間はエレベータの機種によらずほぼ一定であるため、上述のように起動後の所定の時間は引掛り判定を行わないこととすることにより誤検出を防止することができる。
その後、エレベータが定常走行に移行すると、引掛り検出を開始する。定常走行に移行した後は曲線L1に示すようにトルク指令値が緩やかに変化する。この変化は、主としてエレベータの移動により生じるロープのアンバランスによるものである。したがって、前記トルク指令の時間変化は、引掛り検出運転時の走行速度を低速とすることにより、引掛り検出運転に影響を与えない程度に抑えることができる。
引掛り検出運転に際しては、定常運転時におけるトルク指令値を、例えば所定時間毎に順次記憶しておく。図2においては、現在のトルク指令値をT0、1秒前のトルク指令値をT1、2秒前のトルク指令値をT2、というように、1秒前からx秒前までのx種を記憶している。
引掛り検出判定は、トルク指令値の差分T0−T1,T0−T2,T0−T3,T0−T4,T0−T5を引掛り検出部13により演算し、それぞれの値が、昇降路内長尺物が破断しないように予め設定した閾値(トルク指令値差分の絶対値)を超えていないかを判定する。
ここで、時間t1において引掛りが発生すると、破線L2に示すように、トルク指令値T1’T0’が急増する。T0’−T1’>閾値となると、引掛り検出部13は引掛りを検出し、エレベータを停止させる。
図3は、引掛り検出検出部の処理を説明する図である。地震が発生した後、かご内に乗客がいる場合を想定して一定時間ドアを開にした後、ステップS1において、引掛り検出運転を開始する。なお、かご内に乗客が残っている場合においても引掛り検出運転の検出性能に影響を与えることはない。
ステップS2において、エレベータが定常走行状態であるかを判定する。定常走行状態にあることを確認した後、ステップS3において引掛り判定運転を開始する。ステップS4において、トルク指令値の差分T0−T1が引掛り判定閾値以下であるかを判定する。ステップS5において、トルク指令値の差分T0−T2が引掛り判定閾値以下であるかを判定する。ステップS6において、トルク指令値の差分T0−T3が引掛り判定閾値以下であるかを判定する。
ステップS4ないしS6において、閾値以下であると判定した場合(引掛りを検出しない場合)、ステップS7に進み、引掛り検出運転終了し、ステップS9において、仮復旧を許可して処理を終了する。ステップS4ないしS6において閾値を超えると判断した場合(引掛りを検出した場合)は、ステップSに進み、引掛り検出フラグをONに設定し、ステップS10においてエレベータを非常停止して引掛り判定運転を終了する。なお、ステップS4ないしS6の処理は、乗りかごが端階に到着し、引掛り判定運転を終了するまで継続して実行する。
以上説明したように、本実施形態によれば、地震発生後の引掛り検出運転において、昇降路内構造物の引掛りの有無を、昇降用モータに供給するトルク指令の変動量(相対値)をもとに判定するため、引掛りが発生していると判断するに要する閾値となるトルク値(トルクの絶対値)を設定する必要はない。このため、引掛りの誤検出、検出漏れを防止してエレベータの安全性を高めることができる。
1 乗りかご
2 モータ
3 釣り合い錘
4 プーリ
5 ロープ
6 調速機
7 調速機用ロープ
8 制御装置
9 テールコード
10 入出力バッファ(I/O)
11 マイクロコンピュータ
12 モータ制御部
13 引掛り検出部

Claims (1)

  1. 乗りかごが昇降する昇降路内に、乗りかご、該乗りかごを昇降させるためのロープ、前記乗りかごと釣り合う釣り合いおもり、調速用ロープ、および乗りかごと外部を接続する通信ケーブルを収容し、前記ロープを昇降用モータにより駆動して乗りかごを昇降するエレベータ制御装置において、
    前記昇降用モータを制御するモータ制御部および昇降路内の長尺物の引掛かりを検出する引掛かり検出部を備え、
    引掛かり検出部は、エレベータが定常走行に移行したとき、前記昇降用モータに供給するトルク指令値を順次記録し、順次記録した前記トルク指令値のうちの直近の複数個と現在のトルク指令値との差分をそれぞれ演算し、得られた差分の何れかが予め設定した閾値を超えたとき昇降路内の長尺物に引掛りが生じたと判定する
    ことを特徴とするエレベータ制御装置。
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