JP5118915B2 - 褥瘡改善剤 - Google Patents

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Description

本発明は、褥瘡改善剤に関する。
日本は世界に類を見ない早さで高齢者社会を迎えているが、老化による身体的・精神的変化ばかりでなく、様々な疾患によって寝たきり状態となる高齢者が増え続けている。そのような高齢者の7〜10人に1人の割合で、「褥瘡(床ずれ)」が発症するであろうと予測する報告もあり、褥瘡の予防や治療は高齢化社会において重要な問題となっている。
褥瘡は、持続的圧迫により皮膚、皮下脂肪組織、筋肉への血流が途絶え、これらの組織が死んでしまった状態をいう。このような褥瘡の予防・治療においては、まず、局所の血流を確保するために体圧分散を目的とした看護・予防、栄養管理、そしてスキンケアを含めた局所治療が実施されてきている。特に、褥瘡の局所治療では、褥瘡の状態を正しく判断し、その状態に適した処置、外用薬と創傷被覆材の選択使用が求められる。さらに、最近では、褥瘡の予防・治療において、栄養管理の重要性も認識されてきている。
もし、褥瘡の患者にとって、飲食を通じた栄養摂取とともに、褥瘡の改善が期待されるのであれば、専門的な知識を必要とせず、経口投与によって誰にでも簡便に褥瘡治療を行えることになるのである。
一方、従来の技術では、以下のようなものが開示されている。
特許文献1では、腱断裂、靭帯損傷、屈腱炎を改善し治癒促進効果も有する、トリペプチドを使用した機能性食品ならびに医薬品が開示されている。
特許文献2では、創傷等の障害に対して皮膚の再生を促すため、コラーゲン又はゼラチンをプロテアーゼ又はコラゲナーゼによって分解したポリペプチドと、アスコルビン酸からなる経口または皮膚用外用剤である創傷治癒剤が開示されている。
特許文献3では、スルホデヒドロアビエチン酸、またはその塩を有効成分として含有する褥瘡及び/又は創傷治療剤が開示されている。
特開2005−281186号公報 特開2002−173445号公報 特開平10−338632号公報
しかしながら、特許文献1、2に示される薬剤は、褥瘡に対する効果は示されていない。また、特許文献3に示される褥瘡改善剤は、主に傷に直接塗布する外用剤として例示されているので、経口投与することが出来ない。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、誰でも簡便かつ安全に経口で摂取することが可能な褥瘡改善剤、及び褥瘡改善効果を有する栄養食品組成物を提供することを目的としている。
本発明の褥瘡改善剤は、カゼイン、乳清タンパク質消化物、コラーゲン・トリペプチド、鉄及び亜鉛を有効成分とする褥瘡改善剤であって、カゼイン、乳清タンパク質消化物、およびコラーゲン・トリペプチドの3成分の含有量の総和を100としたとき、質量比でカゼインが30〜50、乳清タンパク質消化物が25〜40、コラーゲン・トリペプチドが10〜40であり、
成人一人あたり、カゼイン、乳清タンパク質消化物、およびコラーゲン・トリペプチドの3成分の合計摂取量が8〜16g/日、鉄の摂取量が1.0〜4.5mg/日、かつ亜鉛の摂取量が3.0〜7.5mg/日となる投与量で、少なくとも3か月継続投与されることを特徴とする。
また、本発明の褥瘡改善剤は、カゼイン、乳清タンパク質消化物、およびコラーゲン・トリペプチドの3成分の含有量の総和を100としたとき、質量比でカゼインが40〜45、乳清タンパク質消化物が30〜40、コラーゲン・トリペプチドが20〜30であることが好ましい。
また、本発明の褥瘡改善剤は、カゼイン、乳清タンパク質消化物、及びコラーゲン・トリペプチドを、カゼイン:乳清タンパク質消化物:コラーゲン・トリペプチド=45:35:20、で表される質量比で含有することが好ましく、更に、カゼイン、乳清タンパク質消化物、及びコラーゲン・トリペプチドの3成分を合計で80質量%以上含有することが好ましい。
また、本発明の褥瘡改善剤は、鉄を24mg/100g、亜鉛を40mg/100g含有することが好ましい。
また、本発明の褥瘡改善剤は、経口用であることが好ましい。また、本発明の栄養食品組成物は、前記褥瘡改善剤を含有することを特徴とする。
本発明の褥瘡改善剤及び栄養食品組成物によれば、誰でも簡便かつ安全に経口摂取することが可能で、褥瘡を改善することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
本発明の褥瘡改善剤は、カゼイン、乳清タンパク質消化物、及びコラーゲン・トリペプチド、鉄及び亜鉛を有効成分とすることを特徴とする。
〔カゼイン〕
本発明の褥瘡改善剤の有効成分として使用されるカゼインは、牛乳由来の蛋白質であるカゼインであれば、如何なるものでも使用することができる。具体的には、市販の各種カゼイン、カゼイネート、例えば、乳酸カゼイン、硫酸カゼイン、塩酸カゼイン、ナトリウムカゼイネート、カリウムカゼイネート、カルシウムカゼイネート、マグネシウムカゼイネート又はこれらの任意の混合物等が望ましい。
また、牛乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳等のカゼインを含有する原料から常法により精製して得られるカゼインも本発明の褥瘡改善剤の有効成分として使用できる。
精製法としては、例えば、まず、前記カゼインを含有する原料を水又は温湯に分散し、溶解する。得られる溶液の濃度は、格別の制限はないが、通常、蛋白質換算で5〜15%前後の濃度範囲にするのが望ましい。溶解時の濃度が5%未満の場合はカゼイン含有溶液の分離効率が悪く、15%を超える場合はカゼイン含有溶液の粘度が上昇するため、製造が困難となるのでいずれも望ましくない。その後、該カゼインを含有する溶液を、雑菌汚染による変敗防止のため、70〜90℃で15秒間〜10分間程度加熱殺菌することが望ましい。次いで、殺菌後のカゼインを含有する溶液を、適宜、精製、濃縮、乾燥する。以上のようにして調製したものが、本発明に用いられるカゼインである。本発明におけるカゼインそのものの純度は、100%であることが最も好ましいが、カゼイン精製工程の製造効率や褥瘡改善剤の原料としての使用を考慮して、少なくとも70%以上であることが好ましく、88%以上であれば更に好ましい。
本発明におけるカゼイン(上記のように調製したもの全体。他の箇所においても同じ。)の含有量は、有効成分のうち、カゼイン、乳清タンパク質消化物、コラーゲン・トリペプチドの3成分の含有量の総和を100としたとき、30〜50の質量比であることが好ましく、40〜45の質量比であることが特に好ましい。なお、前記の質量比でカゼインが配合されていることにより、本発明の褥瘡改善剤において、好ましい効果が発揮される。
〔乳清タンパク質消化物〕
本発明の褥瘡改善剤の有効成分として使用される乳清タンパク質消化物は、乳清タンパク質を酵素で消化(加水分解)して得たものである。
乳清タンパク質消化物の出発原料としては、乳清タンパク質を主成分とするものであれば、如何なるものでも使用することができるが、市販の各種乳清タンパク質、例えば、乳清タンパク質濃縮物(WPC)、乳清タンパク質分離物(WPI)等を使用することが望ましい。また、牛乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳から乳清タンパク質を常法により精製することもできる。
乳清タンパク質消化物を得るためには、上記した出発原料である乳清タンパク質を、まず、水又は温湯に分散し、溶解する。得られる溶液の濃度は、格別の制限はないが、通常、タンパク質換算で5〜15%前後の濃度範囲にするのが、酵素による加水分解の効率性、及び乳清タンパク質溶解液の加水分解工程での安定性の点から望ましい。その後、乳清タンパク質を含有する溶液を、70〜90℃で15秒間〜10分間程度加熱殺菌して使用することが、雑菌汚染による変敗防止の点から望ましい。
次いで、殺菌後の前記乳清タンパク質を含有する溶液に、pH調整剤を添加する。pHは加水分解に使用する酵素の至適pH又はその付近に調整する。
乳清タンパク質を含有する溶液をアルカリ性にする場合、アルカリ剤としては、食品に許容されるものであれば如何なるアルカリ剤であってもよいが、好適には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等を使用することができる。また、乳清タンパク質を含有する溶液を酸性にする場合、酸剤としては、食品又は医薬品に許容されるものであれば如何なる酸剤であってもよく、具体的には、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、乳酸、リン酸、塩酸等を使用することができる。
次いで、pH調整後の溶液に、酵素を添加する。ここで、アルカリ性域に至適pHを有する酵素としては、ブロメライン、パパイン、アルカラーゼ、トリプシン等を使用することができる。また、酸性域に至適pHを有する酵素としては、エンド型のタンパク質分解酵素であれば如何なる酸性プロテアーゼであってもよく、具体的には、アスペルギルス属、ムコール属、ペニシリウム属、サッカロミセス属等に属する微生物に由来する酸性プロテアーゼ、カテプシン、ペプシン等の動物に由来する酸性プロテアーゼ、ハス種子、キュウリ種子等の植物に由来する酸性プロテアーゼ、又はこれらの任意の割合の混合物を使用することができる。
酵素による加水分解は、酵素の種類や反応条件(反応温度、反応時間、酵素添加量など)によって、乳清タンパク質の加水分解率を適宜設定でき、適宜、所定の加水分解率に達するまで加水分解が可能である。
なお、本発明における加水分解率(%)とはケルダール法「食品分析法(日本食品工業学会編、株式会社光琳、昭和59年、第102頁)」により試料の全窒素量を測定し、ホルモール滴定法「食品工学実験書、上巻(満田他編、養賢堂、1970年、第547頁)」により試料のホルモール態窒素量を測定し、これらの測定値から次式により算出したものと定義する。
加水分解率(%)=(ホルモール態窒素量/全窒素量)×100
酵素反応の停止は、加水分解液中の酵素の失活により行われ、常法による加熱失活処理により実施することができる。加熱失活処理の加熱温度と保持時間は、使用した酵素の熱安定性を考慮し、十分に失活できる条件を適宜設定することができる。例えば、酵素を添加した乳清タンパク質を含有する溶液を80〜130℃の温度範囲で加熱し、30分間〜2秒間保持することで酵素の失活を行うことができる。
以上の操作により、乳清タンパク質消化物が得られる。該乳清タンパク質消化物を含有する液を、公知の方法である減圧濃縮法、または限外濾過法により濃縮し、濃縮液とすることもでき、更にこの濃縮液を公知の方法である噴霧乾燥法、または凍結乾燥法により乾燥し、粉末とすることもできる。以上のように調製したものが、本発明に用いられる乳清タンパク質消化物である。なお、本発明における乳清タンパク質消化物は加水分解率が、5%以上10%以下のものであることが好ましく、7.5%以上8.5%以下のものであることが更に好ましい。
本発明における乳清タンパク質消化物(上記のように調製したもの全体。他の箇所においても同じ。)の含有量は、有効成分のうちカゼイン、乳清タンパク質消化物、コラーゲン・トリペプチドの3成分の含有量の総和を100としたとき、25〜40の質量比であることが好ましく、30〜35の質量比であることが特に好ましい。なお、前記の質量比で乳清タンパク質消化物が配合されていることにより、本発明の褥瘡改善剤において、好ましい効果が発揮される。
〔コラーゲン・トリペプチド〕
本発明の褥瘡改善剤の有効成分として使用されるコラーゲン・トリペプチドは、コラーゲン成分またはゼラチン成分を、コラゲナーゼ酵素を用いて特異的に分解することで得られるコラーゲンペプチドから成る。
コラーゲン・トリペプチドの調製方法としては、特開平7−82299号公報、特開平9−176196号公報、特開平11−12196号公報に詳述されている方法等を適用することができる。これらの調製方法により調製したものが、本発明に用いられるコラーゲン・トリペプチドである。本発明におけるコラーゲン・トリペプチドは、アミノ酸配列がGly−X−Yのトリペプチドを10%以上含んで構成されていることが好ましい。該アミノ酸配列においてX及びYは任意のアミノ酸残基を示す。
コラーゲン・トリペプチドの出発原料である、コラーゲン成分またはゼラチン成分は、牛、豚、鳥、鯨その他の鳥獣類の骨、軟骨、皮、腱、または鮭、鮫その他の魚類の魚皮を原料として調製されたものを用いることができ、本発明においては、原料のタイプは問わない。
コラゲナーゼ酵素としては、Clostridium histolyticum, Bacillusなどの細菌、Streptomyces parvulus などの放線菌、乳酸菌、酵母または真菌などの由来であって、コラーゲン特有のアミノ酸配列:(Gly−X−Y ) におけるグリシンのアミノ基側を特異的に切断する酵素を用いる。また、コラゲナーゼ酵素は、これらの酵素遺伝子を遺伝子工学的に特定のベクターに組み込んで、乳酸菌や酵母などの他の菌体または動物に産生させて得られた遺伝子組み替えによる酵素であって、コラゲナーゼ酵素と類似の基質特異性を有するコラゲナーゼ様酵素であってもよい。
本発明におけるコラーゲン・トリペプチド(上記のように調製したもの全体。他の箇所においても同じ。)の含有量は、有効成分のうち、カゼイン、乳清タンパク質消化物、コラーゲン・トリペプチドの3成分の含有量の総和を100としたとき、10〜40の質量比であることが好ましく、20〜30の質量比であることが特に好ましい。なお、前記の質量比でコラーゲン・トリペプチドが配合されていることにより、本発明の褥瘡改善剤において、好ましい効果が発揮される。
本発明の褥瘡改善剤は、有効成分であるカゼイン、乳清タンパク質消化物、及びコラーゲン・トリペプチドの3成分を上記の質量比範囲内で含有することが好ましく、その質量比が、カゼイン:乳清タンパク質消化物:コラーゲン・トリペプチド=45:35:20であることが特に好ましい。
また、本発明の褥瘡改善剤において、カゼイン、乳清タンパク質消化物、及びコラーゲン・トリペプチドの3成分の合計質量は、該褥瘡改善剤の全量に対して、80%以上であると特に好ましく、上限値としては100%以下であると好ましく、特に95%以下であることが好ましい。
ここで、カゼイン、乳清タンパク質消化物、及びコラーゲン・トリペプチドの総量が、80%以上であると、前記褥瘡改善効果に加えて、熱安定性、及び分散性に優れた褥瘡改善剤を提供することが可能である。
〔鉄および亜鉛〕
本発明の褥瘡改善剤の有効成分として使用される鉄および亜鉛は、有機酸塩として本発明の褥瘡改善剤に添加されることが好ましい。
鉄成分としてはピロリン酸鉄、クエン酸鉄、コハク酸鉄、グルコン酸鉄等があり、中でも高い吸収性を持つピロリン酸鉄が好ましい。なお、前記有機酸塩以外に、塩化鉄、硫酸鉄等の無機塩類を使用することも可能である。
亜鉛成分としてはピロリン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、コハク酸亜鉛、グルコン酸亜鉛等があり、中でも高い吸収性を持つグルコン酸亜鉛が好ましい。なお、前記有機酸塩以外に、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等の無機塩類を使用することも可能である。
本発明の褥瘡改善剤に添加される鉄成分は鉄換算で、10〜30mg/100gであると好ましい。鉄成分が前記範囲内にある場合は、褥瘡改善効果とともに貧血に対する予防・改善効果を得ることも可能である。
同様に亜鉛成分は亜鉛換算で、30〜50mg/100gであると好ましい。亜鉛成分が前記範囲内にある場合は、褥瘡改善効果とともに生体のタンパク質合成を促進する効果を得ることも可能である。
〔その他の成分〕
また、本発明の褥瘡改善剤には、前記有効成分の他に、乾燥酵母、デキストリン、レシチン、ビタミン類、カルシウム塩等を適宜添加することができる。
なかでも、ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、葉酸等を添加することが可能であって、「厚生労働省策定 日本人の食事摂取基準(2005年版)、第一出版」の推奨量を参考にして添加量を設定することができる。なお、添加する際は、これらビタミン類の配合比が予め設定された調整品(例えば、ビタミンミックス)を使用することが好ましい。
〔投与〕
本発明の褥瘡改善剤は、カゼイン、乳清タンパク質消化物、コラーゲン・トリペプチド、鉄及び亜鉛を有効成分として含む混合物であり、天然物由来の成分で調製することが可能であって、摂取した場合の安全性が高く、含有する成分のほとんどが日常的に摂取されているものであるので、毒性を示さず、長期間連続的に摂取しても副作用が起きにくいと考えられる。従って、本発明の褥瘡改善剤は、経口投与の他、経腸投与等の非経口投与により適宜使用することが可能である。
〔投与量〕
実際に褥瘡改善剤を投与する際、例えば、褥瘡改善剤の投与形態を液状とした場合の、カゼイン、乳清タンパク質消化物、コラーゲン・トリペプチドの3成分の合計含有量は低くなりやすい。一方、固形状とした場合の該3成分の合計含有量はある程度高くすることが可能である。いずれの剤型をとるとしても、褥瘡改善剤における該3成分の合計含有量は10〜95%であることが望ましく、10〜80%であることが更に望ましい。
上記3成分(各々、上記のように調製したもの全体)の合計摂取量は、症状、年齢、体重等条件により異なるが、本発明の褥瘡改善剤が褥瘡改善の効果を効率よく発揮するためには、成人一人あたり、8〜16g/日を目安とすることが好ましい。
例えば、褥瘡改善剤における該3成分の合計含有量が10%である場合は、褥瘡改善剤の投与量を80〜160g/日とし、95%である場合は、褥瘡改善剤の投与量を8.4〜16.8g/日とし、該3成分の総量が80%である場合には、褥瘡改善剤の投与量を10〜20g/日とすれば、該3成分の合計摂取量を8〜16g/日とすることができる。
鉄および亜鉛の摂取量は、鉄換算で1.0〜4.5mg/日、亜鉛換算で3.0〜7.5mg/日となることが好ましい。
〔医薬組成物〕
医薬組成物としての本発明の褥瘡改善剤には、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、シロップ剤、顆粒剤、散剤等の製剤化における剤型が例示される。このように製剤化する場合には、カゼイン、乳清タンパク質消化物、コラーゲン・トリペプチド、鉄及び亜鉛の有効成分を含む混合物の他に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、注射剤用溶剤等を添加剤として使用できる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マグロゴール等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ビーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸類塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
注射剤用溶剤としては、例えば、水、エタノール、グリセリン等が挙げられる。
〔栄養食品組成物〕
本発明の褥瘡改善剤は、有効成分であるカゼイン、乳清タンパク質消化物、コラーゲン・トリペプチド、鉄及び亜鉛を食品中に含有させ、栄養食品組成物とすることができる。
当該栄養食品組成物は、上記有効成分を含有し、褥瘡の改善・治癒効果、あるいは一般的な創傷の治癒効果を有する機能性食品、栄養補助食品、一般食品等を意味するものである。当該栄養食品組成物は日常的に摂取可能であり、以下のように例示することができる。
例えば、カゼイン、乳清タンパク質消化物、コラーゲン・トリペプチド、鉄及び亜鉛の有効成分を含む混合物に、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類;大豆レシチン、卵黄レシチン等の乳化剤;乾燥酵母等の酵母類;ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、葉酸等のビタミン類;ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等のミネラル類等を配合することにより製造できる。
飲食品の組成物の形態としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、餃子の皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物、パン;経腸栄養食;栄養補助食品、機能性食品、健康食品、特定保健用食品等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)試料の調製
以下に示す成分を粉体混合し、本発明の褥瘡改善剤100kgを製造し、試験試料として使用した。単位はすべて質量%で表す。
カゼイン(森永乳業社製) 38
乳清タンパク質消化物(森永乳業社製) 33
コラーゲン・トリペプチド(ゼライス社製) 18
ピロリン酸鉄(富田製薬社製) 0.32
グルコン酸亜鉛(富田製薬社製) 0.34
デキストリン(松谷化学社製) 8.5
乾燥酵母(オリエンタル酵母社製) 0.65
レシチン(不二製油社製) 0.55
炭酸カルシウム(和光純薬工業社製) 0.52
ビタミンミックス(森永乳業社製) 0.12/合計100
(2)試験方法
仙骨部に褥瘡を有する入院加療中の臥床患者3名(いずれも78〜86歳の男性)に対して、経腸栄養食(流動食)による通常の栄養管理に加え、水に溶解した試験試料を水分補給時に経口摂取させ、3ヶ月間摂取を継続した。
なお、本発明における褥瘡改善剤の患者一人あたりの投与量は、患者の症状、年齢、体重などの条件を考慮した。すなわち、本発明の褥瘡改善剤に含まれる、カゼイン、乳清タンパク質消化物、コラーゲン・トリペプチドの合計摂取量を、体重1kgあたり0.3g/日とした。よって、患者3人の平均体重が48kgであったことから、各患者への投与量は、前記各成分の合計摂取量として14g/日とした。
結果を表1及び図1に示す。
(3)試験結果
本試験の結果は、表1及び図1に示すとおりである。図1は、試験試料摂取前の患者の潰瘍面積を100とした場合の潰瘍面積の変化を3症例の平均値としてプロットした図である。その結果、本発明の褥瘡改善剤を摂取した患者の潰瘍面積は、摂取開始から3ヶ月経過後に、摂取前の潰瘍面積の50%以下にまで減少することが判明した。
Figure 0005118915
本発明の褥瘡改善剤は簡便に経口的に摂取することが可能であることから、医薬品だけでなく、臥床患者が日常的に経口摂取できる機能性食品、栄養補助食品、一般食品への応用が可能である。
臥床患者の潰瘍面積の変化を表す図である。

Claims (7)

  1. カゼイン、乳清タンパク質消化物、コラーゲン・トリペプチド、鉄及び亜鉛を有効成分とする褥瘡改善剤であって、
    カゼイン、乳清タンパク質消化物、およびコラーゲン・トリペプチドの3成分の含有量の総和を100としたとき、質量比でカゼインが30〜50、乳清タンパク質消化物が25〜40、コラーゲン・トリペプチドが10〜40であり、
    成人一人あたり、カゼイン、乳清タンパク質消化物、およびコラーゲン・トリペプチドの3成分の合計摂取量が8〜16g/日、鉄の摂取量が1.0〜4.5mg/日、かつ亜鉛の摂取量が3.0〜7.5mg/日となる投与量で、少なくとも3か月継続投与されることを特徴とする褥瘡改善剤。
  2. カゼイン、乳清タンパク質消化物、およびコラーゲン・トリペプチドの3成分の含有量の総和を100としたとき、質量比でカゼインが40〜45、乳清タンパク質消化物が30〜40、コラーゲン・トリペプチドが20〜30である請求項1に記載の褥瘡改善剤。
  3. カゼイン、乳清タンパク質消化物、及びコラーゲン・トリペプチドを、
    カゼイン:乳清タンパク質消化物:コラーゲン・トリペプチド=45:35:20
    で表される質量比で含有する請求項1又は2に記載の褥瘡改善剤。
  4. カゼイン、乳清タンパク質消化物、及びコラーゲン・トリペプチドの3成分を、合計で80質量%以上含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の褥瘡改善剤。
  5. 鉄を24mg/100g、亜鉛を40mg/100g含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の褥瘡改善剤。
  6. 経口用である請求項1〜のいずれか一項に記載の褥瘡改善剤。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の褥瘡改善剤を含有する栄養食品組成物。
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