JP5118891B2 - ヘッドレスト - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車等のシートの背もたれの上部に装着されるヘッドレストに関する。
スピーカを備えた自動車用シートとして、特許文献1に開示されたものが提案されている。このシートの上部にはヘッドレストが設けられ、該ヘッドレストを構成する後部パッドに芯体となるヘッドレストブラケットが埋設されている。前記後部パッドには凹部が成形され、該凹部にスピーカが収容され、該スピーカは前記ブラケットに対しボルトとナットにより取り付けられている。さらに、前記凹部の開口部は前部パッドにより遮蔽され、該前部パッドの表面が表皮により被覆されている。
又、車載シート用ピロースピーカ装置として、特許文献2に開示されたものが提案されている。このピロースピーカ装置は、弾性体の内部に枠体を収容し、弾性体の前面に開口部を設け、この開口部の前面を硬質の樹脂カバーで覆い、該カバーの裏面に取り付けられたスピーカユニットを前記開口部に収容し、前記カバーをボルトにより前記枠体に取り付け、前記カバーの前面を保護用弾性体で被覆するようにしている。
実開平2−92749号公報 特開平5−262184号公報
ところが、特許文献1に開示されたスピーカを備えた自動車用シートは、後部パッドに芯体となるヘッドレストブラケットが埋設され、後部パッドに形成された凹部にスピーカが収容され、該スピーカは前記ブラケットに対しボルトとナットにより取り付けられている。このため、特許文献1に記載されたヘッドレストと同様に、スピーカの取付部品の点数が多くなるとともに、重量及び体積が増大するので、剛性のある取付座が必要となり、製造及び組付けが面倒であるという問題があった。
又、特許文献2に開示された車載シート用ピロースピーカ装置は、前記カバーにスピーカを取り付けるとともに、前記枠体にカバーを取り付ける必要があるので、特許文献1に記載されたヘッドレストと同様に、スピーカの取付部品の点数が多くなるとともに、重量及び体積が増大するので、剛性のある取付座が必要となり、製造及び組付けが面倒であるという問題があった。
特許文献1又は2に記載されたスピーカは、磁気回路等を設けた立体的な動電形のものであるため、ヘッドレストを構成するクッションパッドの内部にスピーカをインサートしようとすると、ブラケット等の芯材にスピーカを支持する部品が必要になるばかりでなく、スピーカの振動板にクッションパッドが接触しないようにするための工夫が必要となる。従って、クッションパッドの成形時にスピーカをインサートすることが非常に難しいという問題があった。
本発明は、スピーカの取付部品の点数を低減して製造を容易に行うことができるとともに、クッションパッドの発泡成形時にスピーカを容易にインサートすることができるヘッドレストを提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、成形型のキャビティ内に一対の脚部を有するステー部材の上部を収容するとともに、前記成形型のキャビティに発泡樹脂原料を供給して、前記ステー部材の上部を埋設して発泡成形されたクッションパッドの表面に袋状の表皮を被覆したヘッドレストにおいて、前記クッションパッドの前面を成形する前記成形型の成形面に立設した高さの相違する複数の支持ピンに、フィルムスピーカに形成された複数の係止孔を挿入することによりフィルムスピーカを湾曲するように支持し、前記成形型のキャビティに発泡樹脂原料を供給して発泡成形されたクッションパッドの内部には、前記フィルムスピーカが湾曲状に埋設されていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ステー部材の上部とフィルムスピーカの後面との間及びフィルムスピーカの前面と表皮との間に前記クッションパッドを介在したことを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2において、前記フィルムスピーカに接続されたリード線は、前記ステー部材を構成するパイプに形成された導入孔から内部に導入され脚部の下端開口から導出されていることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記フィルムスピーカの湾曲状態は、ヘッドレストの左右方向又は上下方向に関して、中央部ほど後方に変位する円弧状になっていることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項において、前記クッションパッドの内部には、前記ステー部材の上部に設けられたヘッドレストコアが埋設され、該コアの前面とフィルムスピーカとの間には前記クッションパッドが介在されていることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項において、前記フィルムスピーカの前面と対応するクッションパッドには、前後方向に指向する複数の孔が形成されていることを要旨とする。
(作用)
この発明はフィルムスピーカの前後面がクッションパッドにより保持されているので、フィルムスピーカを例えばステー部材や該ステー部材に取り付けられたクッションコア等の芯材に取り付ける必要がなくなり、スピーカを芯材に取り付けるための取付部品が不要となる。
本発明によれば、芯材へのフィルムスピーカの取付部品が不要となるので、部品点数を低減して製造を容易に行うことができる。又、フィルムスピーカはクッションパッドの内部に埋設されるので、成形型の成形面に取り付けられた支持ピンによりフィルムスピーカを支持することにより、クッションパッドの発泡成形時にフィルムスピーカをクッションパッド内に容易にインサートすることができる。
以下、本発明のヘッドレストを自動車のシートの上部に設けたヘッドレストに具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
最初に、図4〜図6に基づいて、ヘッドレストの構成について説明すると、このヘッドレストは、図4及び図5に示すように一対の脚部11aを有するステー部材11の上部に合成樹脂製のヘッドレストコア12を設け、該ヘッドレストコア12を埋設して成形された発泡ウレタンよりなるクッションパッド13の表面に天然皮革、合成皮革又はファブリック等よりなる袋状の表皮14を被覆して構成されている。前記クッションパッド13の内部には前記ヘッドレストコア12の前面と表皮14との間に位置するように圧電形のフィルムスピーカ17が埋設されている。このフィルムスピーカ17は、電圧の変動にともなって振動する圧電素子のフィルムにより構成されている。図5に示すようにフィルムスピーカ17はクッションパッド13内に左右方向の中央部ほど後方に変位する円弧状に埋設されている。前記クッションパッド13には、前記フィルムスピーカ17の前面と表皮14との間に位置するように、かつフィルムスピーカ17の後述する支持ピン29によってクッションパッド13の発泡成形時に成形される複数の孔13aが設けられている。前記フィルムスピーカ17に接続されたリード線19の先端は図6に示すように前記脚部11aのうち1本の脚部11aに形成された導入孔11bから脚部11aの内部に導入された後、脚部11aの下端開口から外部に導出され、車室内等に設けられた図示しないアンプに接続されるようにしている。前記導入孔11bの直径はリード線19との間の隙間が小さくなるように設定され、後述するクッションパッド13の発泡成形時に樹脂がステー部材11内に侵入しないようにしている。
次に、前記のように構成されたヘッドレストの製造方法に用いられる成形型21の構成について説明すると、この成形型21は図1に示すように、第1型22と第2型23をヒンジ機構24により開閉可能に連結するとともに、前記第1型22に対しヒンジ機構25を介して、第3型26を開閉可能に連結し、さらに前記第2型23の上部に対しヒンジ機構27を介して第4型28を開閉可能に連結して構成されている。前記第2型23の内面には、複数本(この実施形態では図2に示すように5本)の支持ピン29が片持ち支持されている。この支持ピン29は前記第2型23の成形面に形成された図3に示すネジ孔23aに螺合される雄ネジ部29aと、前記フィルムスピーカ17に形成された係止孔17aに係止される小径部29bとを備えている。そして、中央の支持ピン29を高くして図2に示すように、前記複数本の支持ピン29に対しフィルムスピーカ17を左右方向の中央部ほど第2型23の成形面から遠くなるように緩やかな円弧状に湾曲するように支持されるようにしている。
次に、前記のように構成された成形型21を用いてヘッドレストを製造する方法について説明する。
最初に、図6に二点鎖線で示すように、ステー部材11にヘッドレストコア12を装着し、フィルムスピーカ17に接続されたリード線19を脚部11aの導入孔11bから脚部11a内に挿通した後、脚部11aの先端開口から導出する。
次に、図1の成形型を開放した状態で、第2型23の各支持ピン29の小径部29bにフィルムスピーカ17に形成された係止孔17aを挿入するとともに、小径部29bの付け根部の段差面に係止して、フィルムスピーカ17が円弧状に湾曲した状態に保持されるように第2型23に装着する。その後、ヘッドレストコア12を成形型21のキャビティK内に収容するとともに、ステー部材11の一対の脚部11aを第3型26と第4型28との間の型合わせ面間に保持する。
次に、図1に示すように、前記第4型28に形成された樹脂注入孔28aから発泡ウレタン等の発泡樹脂原料を成形型21のキャビティKの内部に供給する。
前記キャビティK内において発泡樹脂原料が発泡硬化されて、クッションパッド13が発泡成形された後、前記成形型21の第1型22及び第2型23を型開きするとともに、第3型26及び第4型28を型開きしてキャビティ内部からクッションパッド13をステー部材11と共に取り出す。前記第2型23からクッションパッド13が分離されるときに、クッションパッド13内にフィルムスピーカ17が埋設されているので、支持ピン29の小径部29bが係止孔17aから引き離される。
図4に示す取り出し状態においては、クッションパッド13に対し、各支持ピン29によって複数箇所に孔13aが成形される。そして、クッションパッド13の外周面に前記表皮14を被覆することにより図4及び図5に示すヘッドレストの製造作業が終了する。
次に、前記のように構成されたヘッドレストの動作について説明する。
図4及び図5に示すヘッドレストのフィルムスピーカ17に図示しないアンプからリード線19を通して電圧が印加されると、フィルムスピーカ17を構成する圧電素子が振動され、この振動により音声が発生される。前記スピーカ17の前後面は、弾性変形可能なクッションパッド13により保持されているので、スピーカの振動が許容される。
上記実施形態のヘッドレスト及びその製造方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、前記クッションパッド13の内部にフィルムスピーカ17が埋設されている。このため、フィルムスピーカ17を例えばステー部材11や該ステー部材11に取り付けられたヘッドレストコア12等の芯材に取り付ける構成とは異なり、取付部品が不要となり、部品点数を低減して製造を容易に行うことができる。
(2)上記実施形態では、図4に示すように、前記ヘッドレストコア12の前方に弾性変形可能なクッションパッド13を介してフィルムスピーカ17が埋設され、フィルムスピーカ17の前面にもクッションパッド13が接触されているので、フィルムスピーカ17の音声発生時の振動が適正に許容される。又、フィルムスピーカ17から後方に伝播された音声は、ヘッドレストコア12の前面によって前方に反射されるので、前方への音量を向上することができる。
(3)上記実施形態では、図1及び図2に示すように、第2型23の成形面に支持ピン29を立設し、該支持ピン29の小径部29bをフィルムスピーカ17の係止孔17aに係止することにより該スピーカ17を支持するようにした。このため、クッションパッド13の発泡成形時にスピーカ17をクッションパッド13の内部に容易にインサートすることができる。
(4)上記実施形態では、クッションパッド13内にフィルムスピーカ17が埋設されるとともに、フィルムスピーカ17自体も容易に変形する性質を備えているので、人の後頭部がヘッドレストの前面に押圧されても、異物が埋設されているような感触はなく、ヘッドレストとしてのクッション機能を適正に維持することができる。
(5)上記実施形態では、前記第2型23の成形面に複数の支持ピン29を立設してフィルムスピーカ17を装着し、クッションパッド13の発泡成形終了後に、フィルムスピーカ17から支持ピン29を離隔し、クッションパッド13に孔13aを形成するようにした。このため、孔13aによってフィルムスピーカ17から発生される音声が孔13aを通して前方に伝達され易くなり音質を向上することができる。
(6)上記実施形態では、フィルムスピーカ17を用いたので、その振動面積を広くすることができ、ヘッドレストの広範囲で音声を発生させることができる。
(7)上記実施形態では、複数の支持ピン29の直径寸法を変更することにより、クッションパッド13の孔13aの開口率(直径寸法)を自由に調整することができ、スピーカの音響特性を向上することができる。
(8)上記実施形態では、フィルムスピーカ17を用いたので、その面積を広くすることができる。このため、前記支持ピン29により成形された各孔13aを分散することができ、各孔13aを集中して設ける必要がなく、クッションパッド13の剛性が低下することはない。
(9)上記実施形態では、図5に示すように、フィルムスピーカ17を左右方向の中央部ほど後方に変位する円弧状に収容したので、該フィルムスピーカ17から発生する音声をフィルムスピーカ17の前方中央部に指向させることができる。このため、可聴音量を高めることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図7に示すように、前記クッションパッド13の側面に前記リード線19に接続された雌型のコネクタ端子35をインサートしてもよい。前記第2型23には図示しないが前記コネクタ端子35を支持するための支持具が設けられている。前記コネクタ端子35には図示しないアンプに接続されたリード線に接続された雄型のコネクタ端子が接続されるようになっている。
・図8(a)に示すように、前記フィルムスピーカ17を、上下方向に関して中央部ほど後方になるように円弧状に湾曲したり、同図(b)に示すように左右方向に関して中央部ほど前方に変位する円弧状に湾曲したり、同図(c)に示すように平面状にしたりしてもよい。
・図9に示すように、フィルムスピーカ17を例えば左右方向に所定の間隔をおいて二箇所に埋設して、ステレオの音声を発生させるようにしてもよい。
・前記孔13aにクッションパッド13と同じ材料を充填するようにしてもよい。
・前記ヘッドレストコア12を省略したヘッドレストに具体化してもよい。
・自動車のシート以外のシートのヘッドレストに具体化してもよい。
この発明のヘッドレストの製造に用いられる成形型の縦断面図。 フィルムスピーカ及び支持ピンの斜視図。 第2型に対するフィルムスピーカの支持構造を示す部分断面図。 ヘッドレストの縦断面図。 ヘッドレストの平断面図。 ステー部材、ヘッドレストコア及びフィルムスピーカを示す斜視図。 この発明の別の実施形態を示すヘッドレストの斜視図。 (a)〜(c)は、フィルムスピーカの埋設形態の別例を示す斜視図。 この発明の別の実施形態を示すクッションパッドとフィルムスピーカとの関係を示す平面図。
符号の説明
K…キャビティ、11…ステー部材、11a…脚部、11b…導入孔、12…ヘッドレストコア、13…クッションパッド、13a…成形孔、14…表皮、17…フィルムスピーカ、19…リード線、21…成形型、29…支持ピン。

Claims (6)

  1. 成形型のキャビティ内に一対の脚部を有するステー部材の上部を収容するとともに、前記成形型のキャビティに発泡樹脂原料を供給して、前記ステー部材の上部を埋設して発泡成形されたクッションパッドの表面に袋状の表皮を被覆したヘッドレストにおいて、
    前記クッションパッドの前面を成形する前記成形型の成形面に立設した高さの相違する複数の支持ピンに、フィルムスピーカに形成された複数の係止孔を挿入することによりフィルムスピーカを湾曲するように支持し、前記成形型のキャビティに発泡樹脂原料を供給して発泡成形されたクッションパッドの内部には、前記フィルムスピーカが湾曲状に埋設されていることを特徴とするヘッドレスト。
  2. 前記ステー部材の上部とフィルムスピーカの後面との間及びフィルムスピーカの前面と表皮との間に前記クッションパッドを介在したことを特徴とする請求項1に記載のヘッドレスト。
  3. 前記フィルムスピーカに接続されたリード線は、前記ステー部材を構成するパイプに形成された導入孔から内部に導入され脚部の下端開口から導出されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドレスト。
  4. 前記フィルムスピーカの湾曲状態は、ヘッドレストの左右方向又は上下方向に関して、中央部ほど後方に変位する円弧状になっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘッドレスト。
  5. 前記クッションパッドの内部には、前記ステー部材の上部に設けられたヘッドレストコアが埋設され、該コアの前面とフィルムスピーカとの間には前記クッションパッドが介在されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のヘッドレスト。
  6. 前記フィルムスピーカの前面と対応するクッションパッドには、前後方向に指向する複数の孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のヘッドレスト。
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