JP5117819B2 - 内視鏡可撓管の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内視鏡の挿入部を構成する可撓管を製造するための内視鏡可撓管の製造方法に関する。
患者の体腔内を観察するための医療用の内視鏡が知られている。この内視鏡は,患者の体腔内に挿入される挿入部と,挿入部の基端に設けられた操作部を備えている。挿入部の内部には,処置具挿通チューブ,照明光を伝達するライトガイド,信号ケーブル,挿入部を湾曲させる湾曲ワイヤ等が,先端側から基端側まで通して設けられている。
内視鏡の挿入部を構成する主な部品である可撓管は、金属帯片を螺旋状に巻回することにより形成される螺旋管と、この螺旋管を覆う筒状網体と、筒状網体の表面に積層されたウレタン樹脂などの外皮層とからなることが一般的である。このような可撓管の外皮層を成形する工程を効率良く行うため、筒状網体で覆われた複数の螺旋管を一本に連結した状態として搬送しながら、連続して外皮層の成形を行うことが多い。
上述したような外皮層の成形工程で、複数の可撓管を一本に連結するには、例えば、特許文献1に記載されているように、螺旋管を覆う筒状網体の両端部をねじり込んで連結用リングを形成し、この連結用リングにC字状クリップを掛けて接続する。
特開2001−70450号公報
しかしながら、上記特許文献のような製造方法では、C字状クリップなどの連結用治具を用いたり、製品状態では必要のない連結用リングを形成して可撓管同士を連結させているため、連結リングを形成したり、治具を取り付ける手間が面倒であるとともに、内視鏡を連結させる分だけ冶具を用意しなければならず、製造コスト増加の原因となっていた。また、連結に使用するC字状クリップは、長手方向に引っ張り力を加えた状態としなければ、連結用リングから外れやすくなるという問題がある。
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、治具を使用せずに、且つ結合状態を保持したまま外皮層の成形を行うことを可能とする内視鏡可撓管の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、可撓性を有する筒状構造体の外周面を筒状網体で覆い、且つ前記筒状構造体を複数連結した状態で搬送しながら、その表面に外皮層を均一な外径とするように連続して成形する内視鏡可撓管の製造方法において、前記筒状構造体は、一方の端部に第1の結合部が、他方の端部に第2の結合部がそれぞれ予め設けられており、前記第1の結合部と、別の筒状構造体に設けられた前記第2の結合部とを結合して前記筒状構造体同士が連結されることを特徴とする。
なお、前記第1の結合部は、雌ネジ部であり、前記第2の結合部は、前記雌ネジ部と螺合する雄ネジ部であることが好ましい。前記第1の結合部は、端面側から軸方向に沿って切り欠かれた縦スリットと、この縦スリットに連続して周方向に切り欠かれた横スリットとが形成された第1の円筒部で、前記第2の結合部は、その外周面が前記第1の円筒部の内周面に嵌合する第2の円筒部と、前記第2の円筒部の外周面から突出する凸部とからなり、前記縦スリットに前記凸部を挿入させながら前記第1の円筒部に前記第2の円筒部を嵌合させて、前記縦スリットの奥に前記凸部が突き当たるまで押し込んだ後、前記第2の結合部を前記第1の結合部に対して相対回転させると、前記横スリットに前記凸部が係合して前記第1の結合部と前記第2の結合部とが結合することが好ましい。
本発明の内視鏡可撓管の製造方法において、筒状構造体は、一方の端部に第1の結合部が、他方の端部に第2の結合部がそれぞれ予め設けられており、前記第1の結合部と、別の筒状構造体に設けられた前記第2の結合部とを結合して前記筒状構造体同士が連結されるので、C字クリップなどの連結部材を使用せずに複数の可撓管を一度に成形し、ローコストに製造することが可能となる。
図1は、本発明に係る可撓管が組み込まれた電子内視鏡である。図1に示すように、医療用として広く用いられる電子内視鏡2は、体腔内に挿入される挿入部3と、挿入部3の基端部分に連設された本体操作部5と、プロセッサ装置や光源装置に接続されるユニバーサルコード6とを備えている。挿入部3は、本体操作部5への連設部から大半の長さをしめる可撓管部3aと、可撓管部3aに連設されるアングル部3bと、その先端に連設され、体腔内撮影用の撮像装置(図示せず)が内蔵された先端部3cとから構成される。電子内視鏡2の挿入部3の大半の長さをしめる可撓管部3aは、そのほぼ全長にわたって可撓性を有し、特に体腔等の内部に挿入される部位はより可撓性に富む構造となっている。
この可撓管部3aを構成する可撓管10は、詳しくは、図2に示すように、最内側に金属帯片11aを螺旋状に巻回することにより形成される螺旋管11に、金属線を編組してなる筒状網体12を被覆して両端に口金13a,13bを嵌合した可撓管組立体14とし、さらに、その外周面にウレタン樹脂等からなる外皮層15が積層された構成となっている。また外皮層15の外面に、耐薬品性のある例えばフッ素等を含有したコート膜16をコーティングしている。なお、以下では、可撓管組立体14の先端側に取り付けられた口金を符号13a,基端側に取り付けられた口金を符号13bとして説明するが、先端側は、上述したアングル部3bが接続される側の端部であり、基端側は、本体操作部5が接続される側の端部である。
口金13a,13bは、結合部20a,20bをそれぞれ一体に設けており、これら結合部20a,20bを用いて可撓管組立体14同士を接続する。第1の結合部20aは、口金13aに連続する略円筒状で、その内周面に雌ネジ部21aが形成されている。第2の結合部20bは、口金13bよりも外径が一回り小さい略円筒状で、その外周面に、雌ネジ21aと螺合する雄ネジ部21aが形成されている。そして、可撓管組立体14の雌ネジ部21aに、別の可撓管組立体14の雄ネジ部21bを螺合させることにより接続して複数の可撓管組立体14を一本に連結した状態の連結可撓管組立体25とする。この連結可撓管組立体25となった状態で、後述する連続成形設備30による外皮層15の成形が行われる
なお、上記構成の可撓管10を内視鏡の可撓管部3aに適用する場合、先端側の口金13aにアングル部3bをハンダ付けで接続するとき、例えば、雌ネジ部21aの内周面にアングル部3bの端部を当接させるとともに、雌ネジ部21aの溝の部分にハンダを流し込み滞留させることによって、容易にハンダ付けを行うことができる。また、基端側の口金13bに本体操作部5を接続させるときも同様にして、雄ネジ部21bの溝の部分にハンダを滞留させてハンダ付けを行うようにしてもよいし、本体操作部5に雌ネジ部を設け、雄ネジ部21bを螺合させて接続するようにしてもよい。
図4には、本実施形態を適用した連続成形設備の構成を示す。連続成形設備30は、ホッパ、スクリューなどからなる周知の押し出し部31と、連結可撓管組立体25の外周面に外皮層15を樹脂成形するためのヘッド部33と、冷却部34と、連結可撓管組立体25をヘッド部33へ搬送する搬送部36と、これらを制御する制御部37とからなる。
搬送部36は、供給ドラム40と、巻取ドラム42とからなり、上述した連結可撓管組立体25は、供給ドラム40に巻き付けられた後、順次引き出されて、外皮層15が成形されるヘッド部33と、成形後の外皮層15が冷却される冷却部34とを通して巻取ドラム42に巻き取られる。これら供給ドラム40及び巻取ドラム42は、制御部37によって回転が制御され、連結可撓管組立体25を搬送する搬送速度が切り替えられる。
押し出し部31は、吐出口31aがヘッド部33のゲート46にそれぞれ結合されており、溶融状態の樹脂51をヘッド部33内へそれぞれ押し出して供給する。これら押し出し部31は、制御部37によって樹脂の押し出し量が制御されている。押し出し部31の押し出し量が制御されることによって、樹脂層19の成形厚みを調整することができる。
ヘッド部33は、前述した押し出し部31から押し出される溶融状態の樹脂51を連結可撓管組立体25へ供給するための通路となるゲート46と、連結可撓管組立体25の外周に成形される外皮層15の外周形状を決定する円形孔48とが形成されており、円形孔48には、ゲート46,の供給口46aが連続している。また、ヘッド部33には、円形孔48に連続し、連結可撓管組立体25の挿入をガイドするための円錐状凹部49が設けられている。
さらにヘッド部33における円形孔48の出口48aは、その内径が、可撓管組立体14の外周に形成される外皮層15の外径に合わせて形成されている。ゲート46から樹脂51を積層された直後の連結可撓管組立体25が出口48aを通過することにより、外皮層15の外径が均一となるように成形される。外皮層15が成形された連結可撓管組立体25は、ヘッド部33を通過した後、冷却部34を通過する。冷却部34は水などの冷却液が貯留されており、この冷却液の中を通過することにより外皮層15を冷却して硬化させる。なおこれに限らず、冷却液や空気などを外皮層15に吹き付けて冷却してもよい。
上述したように、複数の可撓管組立体14を連結するときには、可撓管組立体14の雌ネジ21aと、別の可撓管組立体の雌ネジ21bを螺合させるだけで容易に且つ確実に接続することが可能であり、従来の製造方法のように治具を使用することなく複数の可撓管組立体14を連結して連結可撓管組立体25の状態にすることができる。さらに、この連結可撓管組立体25に連続成形設備30で外皮層15を成形するとき、雄ネジ21a,雌ネジ21bの螺合によって確実に結合されているので、可撓管組立体14の連結が外れることが無くスムーズに成形工程を行うことができる。
上記実施形態においては、雌ネジ21a,雄ネジ21bの螺合によって可撓管組立体を結合させる構成を例示しているが、本発明はこれに限るものではなく、図6に示すような構造で可撓管組立体を結合させるようにしてもよい。図6に示す可撓管組立体50では、口金13a,13に、結合部51a,51bがそれぞれ一体に設けられている。これら結合部を用いて可撓管組立体14同士を接続する。第1の結合部51aは、口金13aに連続する円筒部54で、この円筒部56の端面側から軸方向に沿って縦スリット54aと、この縦スリット54aに連続して周方向に切り欠かれた横スリット54bとが形成されている。第2の結合部51bは、口金13bよりも外径が一回り小さく、その外周面に、円筒部54の内周面が嵌合する円筒部55と、この円筒部55の円周面から突出する凸部56とからなる。なお、縦スリット54a及び横スリット54bは、凸部56とほぼ同じ幅に形成されている。
そして、可撓管組立体14の結合部51aと、別の可撓管組立体14の結合部51bを結合させるときには、縦スリット54aに凸部56を挿入させながら円筒部54の内周面に、円筒部55の外周面を嵌合させて、縦スリット54aの奥に凸部56が突き当たるまで押し込んだ後(図6(A)に示す状態)、第2の結合部51bを第1の結合部51aに対して時計方向に沿って相対回転させると、横スリット56bに凸部54が係合して第2の結合部51bから第1の結合部が離脱しないように結合させることができる(図6(B)に示す状態)。このようにして第1及び第2の結合部51a,51bを結合して複数の可撓管組立体50を一本に連結した状態の連結可撓管組立体60とする。このような構成とすることで簡単且つ確実に可撓管組立体50同士を連結することができるとともに、成形工程で結合が外れることがないため、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上記実施形態においては、撮像装置を用いて被検体の状態を撮像した画像を観察する電子内視鏡を例に上げて説明しているが、本発明はこれに限るものではなく、光学的イメージガイドを採用して被検体の状態を観察する内視鏡にも適用することができる。また、上記実施形態では、挿入部3を構成する可撓管について例示しているが、これに限らず、挿入部3を構成する可撓管と同等の構成要素からなるユニバーサルコードにも適用することが可能であり、この場合、プロセッサ装置などに接続される側、及び本体操作部5に連設される側のうち、一方側は硬質樹脂の厚みが大きく、他方側は軟質樹脂の厚みが大きくするように成形することができる。
内視鏡の構成を示す概略図である。 内視鏡可撓管の構成を示す拡大部分断面図である。 可撓管組立体を連結する結合部の構成を示す平面図である。 連続成形設備の概略的構成を示すブロック図である。 図3に示す結合部とは別の構成の結合部を示す斜視図である。 図5に示す結合部を連結させるときの状態を示す説明図である。
符号の説明
2 電子内視鏡(内視鏡)
3 挿入部
10 可撓管
13a,13b 口金
20a,20b 結合部
21a 雌ネジ部
21b 雄ネジ部
25 連結可撓管組立体
30 連続成形設備
31 押し出し部
33 ヘッド部
36 搬送部
37 制御部
51 樹脂

Claims (3)

  1. 可撓性を有する筒状構造体の外周面を筒状網体で覆い、且つ前記筒状構造体を複数連結した状態で搬送しながら、その表面に外皮層を均一な外径とするように連続して成形する内視鏡可撓管の製造方法において、
    前記筒状構造体は、一方の端部に第1の結合部が、他方の端部に第2の結合部がそれぞれ予め設けられており、前記第1の結合部と、別の筒状構造体に設けられた前記第2の結合部とを結合して前記筒状構造体同士が連結されることを特徴とする内視鏡可撓管の製造方法。
  2. 前記第1の結合部は、雌ネジ部であり、前記第2の結合部は、前記雌ネジ部と螺合する雄ネジ部であることを特徴とする請求項1記載の内視鏡可撓管の製造方法。
  3. 前記第1の結合部は、端面側から軸方向に沿って切り欠かれた縦スリットと、この縦スリットに連続して周方向に切り欠かれた横スリットとが形成された第1の円筒部で、前記第2の結合部は、その外周面が前記第1の円筒部の内周面に嵌合する第2の円筒部と、前記第2の円筒部の外周面から突出する凸部とからなり、前記縦スリットに前記凸部を挿入させながら前記第1の円筒部に前記第2の円筒部を嵌合させて、前記縦スリットの奥に前記凸部が突き当たるまで押し込んだ後、前記第2の結合部を前記第1の結合部に対して相対回転させると、前記横スリットに前記凸部が係合して前記第1の結合部と前記第2の結合部とが結合することを特徴とする請求項1記載の内視鏡可撓管の製造方法。
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