JP5117425B2 - 高周波回路 - Google Patents

高周波回路 Download PDF

Info

Publication number
JP5117425B2
JP5117425B2 JP2009039061A JP2009039061A JP5117425B2 JP 5117425 B2 JP5117425 B2 JP 5117425B2 JP 2009039061 A JP2009039061 A JP 2009039061A JP 2009039061 A JP2009039061 A JP 2009039061A JP 5117425 B2 JP5117425 B2 JP 5117425B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency
land
frequency circuit
hole
resonance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009039061A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010199118A (ja
Inventor
祥之 石田
禎央 松嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD.
Furukawa Automotive Systems Inc
Original Assignee
THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD.
Furukawa Automotive Systems Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD., Furukawa Automotive Systems Inc filed Critical THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD.
Priority to JP2009039061A priority Critical patent/JP5117425B2/ja
Publication of JP2010199118A publication Critical patent/JP2010199118A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5117425B2 publication Critical patent/JP5117425B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Structure Of Printed Boards (AREA)

Description

本発明は、マイクロストリップライン等の平面回路を用いた高周波回路に関するもので、特に表面実装部品を回路基板に実装するためのランドを好適に形成した高周波回路の技術分野に関するものである。
高周波回路では、基板の一方の面に表面実装部品などが搭載されるが、表面実装部品の搭載位置には配線(マイクロストリップライン)を接続するための入出力端子及び接地用のランドが形成されている。このランドには、表面実装部品を接地するために、基板の他方の面に形成されたグランドに接続されたスルーホールが所定数設けられている。高周波回路では、使用周波数が高く波長が短いため、ランドの寸法やスルーホールの配置等によって、入出力端子間のアイソレーション等の高周波特性が大きな影響を受けることがある。
高周波回路では、表面実装部品毎に好適なランドの寸法等がメーカから推奨されている。しかしながら、メーカ推奨のランド寸法やスルーホールの配置等は、表面実装部品を基板上に好適に実装できるように規定されたものであり、実際の基板上には該表面実装部品の周囲にインピーダンス整合の取れた信号ラインなど、別のパターン等が配置される。従って、周囲にある別のパターン等による影響も考慮して、ランドの寸法やスルーホールの配置等を見直す必要がある。高周波特性が劣化するのを防止するように構成された高周波回路について、これまでにもいくつか提案されている(特許文献1、2)。
表面実装部品を接地するためにランドとグランドとの間にスルーホールを設けた場合、スルーホール周辺のランドの寸法、もしくはスルーホール同士の間隔によっては、使用周波数の近くで共振してアイソレーションなどの高周波特性を劣化させてしまうおそれがある。そこで、このような高周波特性の劣化を防止するために、従来より、ランドに接続するスルーホールを狭い間隔で多数配置することが行われている。このように、スルーホールを多数配置してランド端部からスルーホールまでの距離、スルーホールの間隔を狭くすることで、共振周波数(ノイズ成分)を使用周波数帯から離れた高周波側に移動させるようにしている。ノイズ成分を高周波側に持っていくことで、高周波特性の劣化を防止する効果が得られる。
ランドとグランドとを接続するスルーホールを、狭い間隔で多数設けた従来の高周波回路の一例を図12に示す。図12(a)は、従来の高周波回路900の平面図を示し、(b)は(a)に示すBB面における断面図を示している。図12に示す高周波回路900では、基板901の一方の面上に表面実装部品を搭載するためのランド903が形成されている。また、基板901の他方の面にはグランド904が形成されており、ランド903とグランド904とを接続するスルーホール905が複数形成されている。従来の高周波回路900では、使用周波数付近での共振による高周波特性の劣化を低減させるためにスルーホールの数、配置等を見直している。
上記のように構成された従来の高周波回路900では、スルーホール905周辺のランドによる共振の周波数、すなわちスルーホール905を介してランド903の端部とグランド904との間で生じる共振の周波数を、使用周波数帯から大きく離れた高周波側に移動させることができる。高周波回路900における使用周波数を例えば30GHz帯とした場合、ランド端部からスルーホールまでの距離、スルーホール905間の間隔を狭く設けることにより、共振周波数を例えば50GHz以上の高周波側に移動させることができ、その結果使用周波数の30GHz帯では高いアイソレーションが得られる。
特開2003−243420号公報 特開2007−201262号公報
しかしながら、ランド上に多数のスルーホールを形成した従来の高周波回路では、スルーホールを形成するための加工時間が長くなり、加工費も高くなる等の加工性が悪いため、大量生産には不向きであった。
また、高周波回路を多層基板で構成する場合には、内層・裏面層のレイアウトの関係から、スルーホール数が限定されることがある。例えば、裏面にアンテナ等を搭載する場合には、アンテナ等の配置によってスルーホールの配置や数が限定されてしまう。このようにスルーホール数が限定され、十分な数のスルーホールが形成できない場合、使用周波数帯の近傍に共振が発生し、使用周波数帯でのアイソレーションの劣化など、好適な高周波特性が得られないおそれがある。
このため、好適な高周波特性を確保するためには、スルーホール数が限定されていない所定の基板エリアとは異なる場所に配置せねばならず、結果的により大きな基板エリアを使用せざるを得なくなる。
そこで、本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、低コスト且つ小型化可能で好適な高周波特性が得られる高周波回路を提供することを目的とする。
本発明の高周波回路の第1の態様は、表面実装部品を実装するために基板の一方の面に形成されたランドと、前記基板の他方の面に設けられたグランドと、前記ランドと前記グランドとを電気的に接続するスルーホールと、を備え、前記スルーホールを介して前記ランドと前記グランドとの間で生じる共振の周波数(共振周波数)が前記表面実装部品の使用周波数と異なるように、前記ランドの寸法が調整されていることを特徴とする。この態様によれば、ランドの寸法を調整することで好適な高周波特性が得られる。
本発明の高周波回路の他の態様は、前記使用周波数をf0とし、前記ランドの所定の端部から前記スルーホールを経由して前記グランドまでの電気長をLとし、光速をcとするとき、次式
Figure 0005117425
から算出される共振周波数faが前記使用周波数f0と異なるように、前記ランドの寸法を調整して前記電気長Lが決定されていることを特徴とする。上式を用いて共振周波数を事前に求めることができることから、ランドの寸法の調整が容易となる。
本発明の高周波回路の他の態様は、前記電気長Lは、前記ランドの所定の端部から、前記端部に最も近い位置にある前記スルーホールを経由して前記グランドまでの距離に相当することを特徴とする。この態様によれば、ランドの所定の端部からそれに最も近い位置にあるスルーホールを経由してグランドまでの距離を調整することによって、共振周波数を変更して高周波特性の劣化を防止することが可能となる。
本発明の高周波回路の他の態様は、前記共振周波faが
fa<f0×N
但し、N≦0.8 (N:実数)
を満たすように前記電気長Lが決定されていることを特徴とする。共振周波数を使用周波数より低くすることで、使用周波数帯での高周波特性の劣化を防止することができる。
本発明の高周波回路の他の態様は、前記ランドは、前記スルーホールを配置し、部品を実装するための略矩形形状をしたベース部と、前記ベース部に接続されている拡張部と、を有し、前記拡張部の寸法を変えることで前記ランドの寸法が調整されていることを特徴とする。この態様によれば、ランドの拡張部の寸法を調整することにより、共振周波数を変更することが可能となる。
本発明の高周波回路の他の態様は、前記ランドは、さらに配線接続用に前記ベース部から凸状に引き出された引出し部を備え、前記拡張部は、前記引出し部の引き出し長さ以上に前記ベース部から突出されていることを特徴とする。この態様によれば、引出し部とグランドとの間で生じる共振を低減し、主に拡張部とグランドとの間で共振が発生するようにすることができる。
以上説明したように本発明によれば、使用周波数帯での良好なアイソレーション特性などの高周波特性を確保した上でランドとグランドとを接続するスルーホール数を減らすことが可能となり、加工性を改善して低コストな高周波回路を提供することができる。
また、高周波回路の基板に多層基板を用いる場合、内層・裏面層のレイアウトの関係からスルーホール数が限定されても、好適な高周波特性を確保しつつ、所定のエリア内に配置することで、小型化可能な高周波回路を提供することができる。
(a)は、本発明の第1の実施形態に係る高周波回路の平面図、(b)は断面図である。 (a)は、低ノイズ増幅器を基板に搭載するためのランドが形成された高周波回路の一例を示す平面図、(b)は断面図である。 第1の実施形態の高周波回路のアイソレーションを測定した結果の一例を示すグラフである。 従来の高周波回路のアイソレーションを測定した結果の一例を示すグラフである。 図2の高周波回路のアイソレーションを測定した結果の一例を示すグラフである。 図2に示した高周波回路で共振する主な経路の距離と共振周波数を示す表である。 (a)は、本発明の第1の実施形態の別の実施例に係る高周波回路の平面図、(b)は断面図である。 別の実施例の高周波回路のアイソレーションを測定した結果の一例を示すグラフである。 比較例の高周波回路の平面図である。 比較例の高周波回路のアイソレーションを測定した結果の一例を示すグラフである。 比較例の高周波回路で共振する主な経路の距離と共振周波数を示す表である。 (a)は従来の高周波回路の平面図、(b)は断面図である。 拡張部を円形状とした高周波回路の平面図である。
本発明の好ましい実施の形態における高周波回路について、図面を参照して詳細に説明する。同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。本発明は、マイクロストリップライン等の平面回路を用いた高周波回路に関し、特に表面実装部品などを実装するためのランドを好適に形成することで、使用周波数帯において好適なアイソレーション特性が得られる高周波回路を提供する。
基板の一方の面に形成されたランドと他方の面に形成されたグランドとを、スルーホールを設けて電気的に接続すると、スルーホール周辺のランドの寸法に応じて所定の周波数で共振が発生する。この共振が使用周波数帯の近くで発生すると、使用周波数帯におけるアイソレーションが劣化してしまう。このようなアイソレーションの劣化を防止するために、従来は、ランドに接続するスルーホールを狭い間隔で多数形成しており、これにより共振周波数を使用周波数帯から離れた高周波側に移動させるようにしていた。
これに対し、本発明の高周波回路では、ランドの寸法等を調整することにより、スルーホールの個数を従来よりも削減することが可能となっている。そして、スルーホール数を削減しても、使用周波数帯において従来の高周波回路900と同程度の好適なアイソレーション特性が得られるようにしている。
高周波回路では、表面実装部品を基板に搭載するのに最小限必要となるランドの大きさ及びグランドに接地するためのスルーホールの個数が、表面実装部品毎にあらかじめメーカから推奨されている。表面実装部品の一例として、低ノイズ増幅器(LNA)を基板に搭載する場合について、図2を用いて説明する。図2(a)は、低ノイズ増幅器を基板11の一方の面に搭載するためのランド12が形成された高周波回路10の一例を示す平面図であり、図2(b)はBB面で見た断面図である。ランド12は、低ノイズ増幅器を基板11に搭載するのに最小限必要な寸法のランド(以下では最小ランド12という)であり、ベース部12aと引出し部(配線接続部)12bとからなる。ランド12の周囲には、高周波信号の入出力端子21が配置されている。
また、図2(a)は、最小ランド12と基板11の他方の面に設けられたグランド13とを電気的に接続するスルーホール14が、実装上必要最小限としてあらかじめ決められた位置に5個設けられることを示している。ここでは、ベース部12aの中心位置にあるスルーホールを14aで示し、周辺にある4つのスルーホールを14bで示している。以下では、上記で説明した低ノイズ増幅器を備えた高周波回路を例に、本発明の高周波回路の実施形態について説明する。
図2に示すような形状の最小ランド12にスルーホール14が設けられると、スルーホール14周辺のランドの寸法に対応した所定の周波数で共振が発生する。すなわち、スルーホール14を介してその周辺の最小ランド12の端部(開放端)とグランド13との間で、最小ランド12の端部からグランド13までの距離に対応した周波数で共振が発生する可能性がある。例えば、図2(b)に示す経路15または16のように、最小ランド12の引出し部12bの端部からスルーホール14bを経由してグランド13に至るまでの距離に対応する周波数で共振が発生する可能性がある。この共振周波数が高周波回路10の使用周波数帯に近い場合には、高周波回路10の入出力端子21間の高周波特性(アイソレーション特性)が劣化してしまう。本発明の高周波回路は、上記の共振周波数が使用周波数帯から十分離れるようにランドを形成しており、これにより高周波回路の高周波特性が劣化するのを防止している。
(第1実施形態)
本発明の第1の実施の形態に係る高周波回路を図1を用いて以下に説明する。図1(a)は、本実施形態の高周波回路100の平面図であり、図1(b)は図1(a)に示すAA面で見た断面図である。いずれも、高周波回路100のランド110が形成されている周辺のみを示している。ランド110の周囲には図2に示したような別のパターンも形成されているが、以下ではランド110以外のパターンは省略している。
本実施形態の高周波回路100では、スルーホール14として、あらかじめ決められた位置に実装上必要最少限の5本のみが備えられている。本実施形態では、スルーホール14の個数を増やす従来の方法に代えて、ランド110を所定の寸法だけ大きくしており、これにより共振が高周波回路100の使用周波数帯より低い周波数帯で生じるようにしている。すなわち、各スルーホール14とその周辺のランドにおいて、共振が発生する経路の距離が長くなるようにランド110の寸法を大きくしており、これにより共振周波数が高周波回路100の使用周波数帯より低くなるようにしている。
高周波回路100の使用周波数をf0とし、共振周波数の一つをfaとしたとき、従来は共振周波数faが使用周波数f0に比べて十分高くなるようにするために、スルーホールの個数を増やして共振が発生する経路を短くしていた。これに対し本実施形態では、
fa<f0×N (1)
但し、N≦0.8 (N:実数)
を満たすようにランドの寸法を決めている。
本実施形態の高周波回路100では、共振周波数faが式(1)を満たすようにするために、図2に示した最小ランド12に拡張部111〜114を追加してランド110を形成している。本実施形態では、拡張部111〜114を矩形形状としているが、これに限定されず例えば円形状等としてもよい。一例を図13に示す。同図に示す高周波回路100sは、最外部の角を円形状にした拡張部111s〜114sを有している。このように形成されたランド110で発生する共振を、図1を用いて説明する。スルーホール14bを取り囲むランドのうち、ランド110の最外周部に相当して角部となっている端部111a〜114aが、それぞれに近接するスルーホール14bを介してグランド13との間で最も共振しやすい個所となっている。すなわち、端部111a〜114aを開放端(OPEN)とし、各スルーホール14bのグランド13側端部を短絡端(SHORT)として共振が発生する。図1(b)には、一例として、端部111aとそれに最も近いスルーホール14bを介してグランド13との間で生じる共振の経路115、116を示している。
端部111a〜114aから各スルーホール14bのグランド13側端部までの電気長Lとしたとき、共振周波数faは次式で与えられる。
Figure 0005117425
ここで、cは光速を表している。本実施形態の高周波回路100では、上式で与えられる共振周波数faが式(1)を満たすように電気長Lを決定し、これにより拡張部111〜114の寸法を決定してランド110を形成している。
また、電気長Lはランド端からスルーホール上端までの長さA1、スルーホールの上下端の長さA2と、A1部での実効誘電率εeff1、A2部での実効誘電率εeff2より、およそ
L=A1/√(εeff1)+A2/√(εeff2)
と表せる。
以下では、本実施形態の高周波回路100について、ランド110の具体的な寸法の一例を示し、そのときのアイソレーション特性について説明する。なお、高周波回路100の使用周波数を、以下では30GHz帯とする。図1において、最小ランド12の部分の寸法は、中央部のベース部の縦方向の長さL1及び横方向の長さL2がそれぞれ.613mm、1.640mmであり、引出し部(配線接続部)の長さL3が0.888mmである。また、拡張部111〜114だけの寸法は、約1.1mm×約1.1mmとしている。さらに、拡張部111〜114を含めたランド110全体の寸法は、縦方向の長さL4及び横方向の長さL5がそれぞれ3.408mm、3.378mmであり、対角線の長さL6は4.732mmとなる。
上記のランド110に配置されたスルーホール14a,14bは、その直径Dが0.2mmに形成されている。また、端部111a〜114aとそれぞれに最も近接するスルーホール14bとの距離L7を、1.578mmとしている。さらに、基板11の厚さL8を0.254mmとしている。基板11の厚さは、スルーホール14a,14bの長さに相当し、ランド110からグランド13までの距離に等しい。
スルーホール14b周辺のランドで生じる共振は、図1(b)に一例を示すように、端部111aからスルーホール14bの端部111aに最も近い側面を経由してグランド13に至る経路115と、端部111aからスルーホール14bの端部111aに最も遠い側面を経由してグランド13に至る経路116の2つで発生するものと考えられる。上記の各寸法から、経路115、116の距離(それぞれをL115、L116とする)は、それぞれ次式で与えられる。
L115=L7+L8=1.832[mm]
L116=L7+D+L8=2.032[mm]
式(2)のLに上記のL115、L116の値と、基板の誘電特性から換算された電気長を代入すると、共振周波数faはそれぞれ21.4GHz、19.3GHzとなる。ここで、高周波回路100のアイソレーションを測定した結果の一例を図3に示す。アイソレーションの測定結果からは、周波数が20.4GHzと18.9GHzの位置でアイソレーションの劣化が見られる。これらの周波数は、上記で算出した共振周波数faに近い値を示していることから、周波数20.4GHzと18.9GHzで見られるアイソレーションの劣化は、端部111a〜114aとそれぞれに近接するスルーホール14bを介してグランド13との間で発生する共振によるものと考えられる。
図3に示したアイソレーションの測定結果では、周波数が16〜24GHz辺りにアイソレーションの劣化が見られる。アイソレーションの劣化が見られる上記の周波数帯は、使用周波数f0の0.8倍以下で式(1)を満たしており、使用周波数30GHzからは十分離れている。その結果、使用周波数30GHz帯では、アイソレーションの劣化はほとんど見られない。本実施形態の高周波回路100では、最小ランド12に拡張部111〜114を追加してランド110を形成することにより、スルーホール14aまたは14bを介して発生する共振の開放端の位置をそれらから離すようにしており、これにより共振周波数が式(1)を満たして使用周波数帯でのイソレーションが劣化しないようにすることが可能となっている。
つぎに、スルーホールを多数設けた従来の高周波回路900(図12)、及びスルーホールの個数及びランドの寸法を実装上必要最小限とした高周波回路10(図2)について、それぞれのアイソレーション特性の測定結果の一例を示し、図3に示した本実施形態の高周波回路100の測定結果と比較する。高周波回路900及び10のアイソレーション特性の測定結果を、それぞれ図4、5に示す。
まず、従来の高周波回路900では、使用周波数帯を含む40GHz以下で十分高いアイソレーションが得られていることが図4から分かる。高周波回路900では、スルーホール905を多数設けることで、スルーホール905と共振の開放端となるランド903の引出し部との距離を短くしており、これにより共振周波数を40GHzよりさらに高い周波数帯に移動させている。これにより、図4に示した40GHz以下では共振周波数によるアイソレーションの劣化が見られない。
これに対し、スルーホール14の個数及びランド12の寸法を実装上必要最小限とした高周波回路10では、使用周波数の30GHz帯でアイソレーションが大幅に劣化していることが図5に示されている。高周波回路10では、最小ランド12の最外周部が引出し部12bの端部となっており、主にこの端部と近接するスルーホール14bを介してグランド13との間で共振が発生する。図2(b)には、一例としてスルーホール14bとこれに近接する引出し部12bの端部との間で共振が発生する経路を符号15、16で示している。高周波回路10では、最小ランド12の寸法が小さいため開放端となる端部とスルーホール14bとが比較的近くなり、スルーホール14bを介した共振周波数が高い周波数帯に移動したと考えられる。
そこで、図2に示した高周波回路10において、スルーホール14bを介して発生する可能性のある共振周波数を以下で検討する。ここでは、図1に示した最小ランド12の各寸法に加えて、ベース部12aの四隅にあるスルーホール14bとベース部12aの端辺までの距離をL10とする(図2)。距離L10は0.183mmとする。スルーホール14bに対して、共振が発生する経路は2つある(図2(b)に示すように、スルーホール14bの端部(開放端)に最も近い側面と最も遠い側面を通る2つの経路)。共振する主な経路の距離と式(2)から求めた共振周波数を図6に示す。図6では、共振が発生する経路のうち、スルーホール14bの端部に最も近い側面を通る経路を近距離と記載し、最も遠い側面を通る経路を遠距離と記載している。
ベース部12aの四隅にあるスルーホール14bでは、引出し部12bの端部を開放端とする共振とベース部12aの端辺を開放端とする共振が発生していると考えられるが、ベース部12aの端辺を開放端とする共振は、その共振周波数が40GHzより高周波側となるため、図5、6には示していない。図6より、高周波回路10では30GHz前後に共振周波数が形成しており、これらの共振の影響でアイソレーションが使用周波数の30GHz辺りで大きく劣化することがわかる。
これに対し本実施形態の高周波回路100では、最小ランド12に所定の大きさの拡張部111〜114を追加することにより、図3に示したように、共振周波数を使用周波数より低周波側に移動させることができ、これにより使用周波数帯でのアイソレーションの劣化を防止することが可能となっている。本実施形態の高周波回路100では、スルーホール14を実装上必要最小限の個数から増やす必要がないため、従来に比べて加工性を大幅に改善することが可能となる。
(第2の実施例)
本発明の第1の実施の形態に係る高周波回路の別の実施例を、図7を用いて以下に説明する。図7(a)は、本実施例の高周波回路120の平面図であり、図7(b)は図7(a)に示すAA面で見た断面図である。いずれも、高周波回路120のランド130が形成されている周辺のみを示している。また、ここでもランド130以外のパターンについては表示を省略している。
本実施例の高周波回路120では、ランド130の拡張部131〜134の寸法を第1の実施例の拡張部111〜114の寸法よりさらに大きくしている。第1の実施例では拡張部の寸法を約1.1mm×1.1mmとしたが、本実施例では拡張部131〜134の寸法を約1.5×1.5mmとしている。なお、最小ランド12に係る寸法は、第1の実施例の高周波回路100と同じとしている。拡張部131〜134の寸法を大きくしたことにより、寸法L4〜L7が高周波回路100と異なっている。ランド130の縦方向の長さL4及び横方向の長さL5はそれぞれ4.129mm、4.132mmであり、対角線の長さL6は5.764mmである。さらに、スルーホール14bと端部131a〜134aとの距離L7を、2.094mmとしている。
本実施例の高周波回路120においても、ランド130の最外周部に相当して角部となっている端部131a〜134aが、それぞれに近接するスルーホール14bを介してグランド13との間で最も共振しやすい個所となっている。すなわち、端部131a〜134aを開放端(OPEN)とし、各スルーホール14bのグランド13側端部を短絡端(SHORT)として共振が発生する。
スルーホール14b周辺のランドで生じる共振は、図7(b)に示すように、例えば端部131aからスルーホール14bの端部131aに最も近い側面を経由してグランド13に至る経路135と、端部131aからスルーホール14bの端部131aに最も遠い側面を経由してグランド13に至る経路136の2つで発生するものと考えられる。上記の各寸法から、経路135、136の距離(それぞれをL135,L136とする)は、それぞれ次式で与えられる。
L135=L7+L8=2.348[mm]
L136=L7+D+L8=2.548[mm]
式(2)のLに上記のL135,L136と、基板の誘電特性から換算された電気長を代入すると、共振周波数faはそれぞれ16.70GHz、15.39GHzとなる。本実施例の高周波回路120のアイソレーションを測定した結果の一例を図8に示す。測定したアイソレーションでは、周波数が16.6GHzと14.8GHzの位置でアイソレーションの劣化が見られる。これらの周波数は、上記で算出した共振周波数faに近い値を示していることから、周波数16.6GHzと14.8GHzで見られるアイソレーションの劣化は、端部131a〜134aとそれぞれに近接するスルーホール14bを介してグランド13との間で発生する共振によるものと考えられる。
図8に示したアイソレーションの測定結果では、周波数が14〜18GHz辺りにアイソレーションの劣化が見られる。アイソレーションの劣化が見られる上記の周波数帯は、使用周波数f0の0.8倍より十分小さく、高周波回路120の特性に与える影響を低減している。本実施例の高周波回路120では、最小ランド12に拡張部131〜134を追加してランド130を形成することにより、スルーホール14を介して発生する共振の開放端(端部131a〜134a)の位置をスルーホール14からさらに遠方にしており、これにより共振周波数が式(1)を十分に満たして使用周波数帯でのアイソレーションが劣化しないようにすることが可能となっている。
(比較例)
上記の第2の実施例の高周波回路120では、ランド130の拡張部131〜134を第1の実施例の高周波回路100のものより大きくしたが、これとは逆に拡張部を小さくした比較例を図9に示す。図9に示す比較例の高周波回路140では、ランド150の4隅に追加した拡張部151〜154の寸法をぞれぞれ約0.5mm×0.5mmとしている。この場合、やはり寸法L4〜L7が高周波回路100と異なってくる。ランド150の引出し部12bを除く縦方向の長さL4及び横方向の長さL5はそれぞれ2.188mm、2.170mmであり、対角線の長さL6は2.998mmとなっている。また、スルーホール14bと端部151a〜154aとの距離L7は、0.711mmとなっている。さらに、スルーホール14bから拡張部151〜154の端辺までの長さ(図9に示すL10)、及び拡張部151〜154の端辺から引出し部12bの端部までの長さ(図9に示すL11)は、それぞれ0.448mm、0.599mmである。
比較例の高周波回路140では、ベース部12aの四隅にあるスルーホール14bを介して各々に最も近い位置にある引出し部12bの端部がグランド13との間で共振しやすい個所となっている。また、スルーホール14bを介して、各々に最も近い位置にある拡張部151〜154のそれぞれの端部151a〜154aが、スルーホール14bを介してグランド13との間で共振しやすい個所となっている。高周波回路140のアイソレーション特性を測定した結果の一例を図10に示す。また、共振する主な経路の距離と式(2)から求めた共振周波数、及び測定結果から求めた共振周波数を図11に示す。
図10に示す高周波回路140のアイソレーション特性では、使用周波数の30GHz帯でアイソレーションが大幅に劣化している。拡張部151〜154を有していない高周波回路10のアイソレーション特性(図5)と比較しても、30GHz帯でのアイソレーションの劣化はほとんど改善されておらず、アイソレーションの劣化が見られる周波数帯は、使用周波数f0の0.8倍以下という式(1)を満たしていない。
このような結果から、比較例の高周波回路140では、拡張部151〜154の寸法が小さすぎるため、共振周波数帯を使用周波数帯からほとんど移動させることができないことがわかる。
図11に示したように、スルーホール14bを介して、引出し部12bの端部とグランド13との間で生じる共振、及び端部151a〜154aとグランド13との間で生じる共振の周波数を式(2)から算出した値と、図10の測定結果から求めた値とが非常に近い値を示している。このことから、使用周波数帯でのアイソレーションの劣化は、スルーホール14bを介して発生する上記の共振によるものと考えられる。
上記の結果より、比較例の高周波回路140では、拡張部151〜154の寸法が小さすぎるため、スルーホール14bを介して端部151a〜154aとグランド13との間で共振が生じるだけでなく、スルーホール14bを介して引出し部12bの端部とグランド13との間でも共振が生じている。また、これらの経路の距離が短かすぎるため、共振周波数を使用周波数帯から移動させることができていない。その結果、使用周波数帯におけるアイソレーションが劣化する結果となっている。
上記説明のように、本発明の高周波回路によれば、表面実装部品を搭載するためのランドを接地するスルーホールの個数を従来より大幅に削減することができ、加工性を改善して大量生産にも好適な高周波回路を提供することが可能となる。また、スルーホール数を削減することが可能なため、多層基板を使用する場合でも、内層や裏面層に配置するパターン等のレイアウト上の制約を大幅に低減することが可能となり、基板の所定エリア内に配置することで、小型化可能な高周波回路を提供できる。
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る高周波回路の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における高周波回路の細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
10、100、120、140、900 高周波回路
11、901 基板
12、110、130、150、903 ランド
12a ベース部
12b 引出し部
13、904 グランド
14、905 スルーホール
21 高周波信号の入出力端子
111〜114、131〜134、151〜154 拡張部

Claims (6)

  1. 表面実装部品を実装するために基板の一方の面に形成されたランドと、
    前記基板の他方の面に設けられたグランドと、
    前記ランドと前記グランドとを電気的に接続するスルーホールと、を備え、
    前記スルーホールを介して前記ランドと前記グランドとの間で生じる共振の周波数(共振周波数)が前記表面実装部品の使用周波数と異なるように、前記ランドの寸法が調整されている
    ことを特徴とする高周波回路。
  2. 前記使用周波数をf0とし、前記ランドの所定の端部から前記スルーホールを経由して前記グランドまでの電気長をLとし、光速をcとするとき、次式
    Figure 0005117425
    から算出される共振周波数faが前記使用周波数f0と異なるように、前記ランドの寸法を調整して前記電気長Lが決定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の高周波回路。
  3. 前記電気長Lは、前記ランドの所定の端部から、前記端部に最も近い位置にある前記スルーホールを経由して前記グランドまでの電気長である
    ことを特徴とする請求項2に記載の高周波回路。
  4. 前記共振周波faが
    fa<f0×N
    但し、N≦0.8 (N:実数)
    を満たすように前記電気長Lが決定されている
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の高周波回路。
  5. 前記ランドは、前記スルーホールを配置し、部品を実装するための略矩形形状をしたベース部と、前記ベース部に接続されている拡張部と、を有し、
    前記拡張部の寸法を変えることで前記ランドの寸法が調整されている
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高周波回路。
  6. 前記ランドは、さらに配線接続用に前記ベース部から凸状に引き出された引出し部を備え、
    前記拡張部は、前記引出し部の引き出し長さ以上に前記ベース部から突出されている
    ことを特徴とする請求項5に記載の高周波回路。
JP2009039061A 2009-02-23 2009-02-23 高周波回路 Active JP5117425B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009039061A JP5117425B2 (ja) 2009-02-23 2009-02-23 高周波回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009039061A JP5117425B2 (ja) 2009-02-23 2009-02-23 高周波回路

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010199118A JP2010199118A (ja) 2010-09-09
JP5117425B2 true JP5117425B2 (ja) 2013-01-16

Family

ID=42823596

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009039061A Active JP5117425B2 (ja) 2009-02-23 2009-02-23 高周波回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5117425B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6666200B2 (ja) * 2016-05-25 2020-03-13 京セラ株式会社 配線基板および電子装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000164766A (ja) * 1998-11-26 2000-06-16 Kyocera Corp 高周波用配線基板
JP4162819B2 (ja) * 1999-11-26 2008-10-08 三菱電機株式会社 高周波回路装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010199118A (ja) 2010-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5931851B2 (ja) ノイズ抑制構造を有する回路基板
JP4736988B2 (ja) 多層プリント基板
US20120235764A1 (en) Structure of transmission line for data communication and method for designing the same
US8334730B2 (en) Connection method and substrate
US20080158840A1 (en) DC power plane structure
US20110298563A1 (en) Printed circuit board
JP6327254B2 (ja) プリント基板及びプリント基板への実装方法
JP2014165424A (ja) 電子回路および電子機器
JP5110807B2 (ja) 積層コンデンサ
JP5117425B2 (ja) 高周波回路
JP5353042B2 (ja) プリント配線基板
WO2014199591A1 (ja) マイクロ波回路
JP2020043172A (ja) 電子機器
JP6273182B2 (ja) 電子機器
JPWO2008010445A1 (ja) 多層プリント回路基板
JP2012038863A (ja) 多層回路基板、多層回路基板が搭載された回路モジュール及び電子装置
CN101854776B (zh) 布线结构及光盘装置
KR101338682B1 (ko) 통신회로 집적모듈
JP2016054465A (ja) 無線モジュール、電子モジュール及び測定方法
JP5616839B2 (ja) 高周波装置
JP2019186729A (ja) アンテナおよび測定用プローブ
JP5499879B2 (ja) 高周波フィルタ
JP4329702B2 (ja) 高周波デバイス装置
JP6250229B1 (ja) プリント基板
JP6787104B2 (ja) アンテナ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120612

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120618

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120803

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120928

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121017

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5117425

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151026

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350