[実施の形態1]
図1は、この発明に従う磁気メモリ装置におけるメモリセルMCの電気的等価回路を示す図である。図1において、磁気メモリセルMCは、一端がビット線BLに接続され、その抵抗値が記憶データに応じて変化する磁気抵抗素子VRと、ワード線WL上の信号電位に従って磁気抵抗素子VRの他端をソース線SLに接続するアクセストランジスタATを含む。この磁気抵抗素子VRに対応して、またワード線WLと平行にデジット線DLが配置される。この磁気抵抗素子VRは、一例として、トンネル磁気抵抗(TMR)効果を有する素子で構成される。メモリセルMCは、メモリセルアレイにおいて行列状に配置される。以下の説明においては、ビット線BLが延在する方向を列方向と称し、ワード線WLおよびデジット線DLが延在する方向を行方向と称す。
図2は、磁気抵抗素子VRの構造を概略的に示す図である。図2において、磁気抵抗素子VRは、固定された一定の磁化方向を有する固定磁化層(固定層)FXと、外部からの印加磁場に応じた方向に磁化される自由磁化層(自由層)FRと、これらの固定磁化層FXおよび自由磁化層FRの間に配置されるトンネル絶縁膜TBを含む。この自由層(自由磁化層)FRは、ビット線BLに、図示しない上部電極コンタクトを介して接続される。通常、固定層FX下部に、デジット線DLが配置される。
固定層FXおよび自由層FRは、ともに、強磁性体層で形成される。自由層FRの磁化方向は、書込データの論理レベルに従って固定層FXの磁化方向と同一または反対方向に設定される。固定層FX、トンネル絶縁膜TBおよび自由層FRにより磁気トンネル接合が形成される。
図3は、磁気抵抗素子VRの平面レイアウトを概略的に示す図である。図3に示すように、磁気抵抗素子VRは、ビット線BL方向に沿った短辺と、デジット線DLに沿った長辺とを有する矩形形状に形成される。磁気抵抗素子VRの固定層および自由層は、ビット線BLの延在方向に磁化困難軸HXを有し、デジット線DLの延在方向に沿って磁化容易軸EXを有する。この磁気抵抗素子VRを、長辺と短辺とを有する矩形形状に形成することにより、磁化困難軸を短辺方向に一致させ、また磁化容易軸を長辺方向に一致させる。ビット線BLを流れる電流により、磁気抵抗素子VRに対して磁化容易軸方向の磁場が誘起される。デジット線DLを流れる電流により、磁気抵抗素子VRに対して磁化困難軸HX方向の磁場が誘起される。これらの合成磁場により、磁気抵抗素子VRの自由層FRの磁化方向が決定される。
図4は、データ書込時における磁気抵抗素子の磁化状態を説明するための図である。図4において、横軸H(EA)は、磁気抵抗素子VRの自由層FRにおける磁化容易軸方向に印加される磁場を示し、ビット線BLを流れる電流により誘起される磁場である。縦軸H(HA)は、自由層FRにおいて磁化困難軸HX方向に作用する磁場を示し、この磁場H(HA)は、デジット線DLを流れる電流により誘起される。
メモリセルに対する合成磁場、すなわち磁気抵抗素子VRへ印加される合成磁場の動作点は、図4において黒丸印で示す。デジット線DLに印加される書込電流の方向は、書込データの論理レベルにかかわらず一定である。したがって、メモリセルの磁気抵抗素子VRに印加される合成磁場の動作点は、図4の縦軸H(HA)に関して対称な、磁場容易軸EX方向の磁場H(EA)の上側または下側の2点となる。
アステロイド特性線が、自由層の磁化反転のしきい値を示す。すなわち、データ書込時においては、磁場H(EA)およびH(HA)の合成磁場が、図4に示すアステロイド特性線の外側の領域に達する場合に、自由層FRの磁化方向を設定することができる。磁場H(EA)およびH(HA)の合成磁場、すなわちビット線書込磁場H(BL)およびデジット線磁場H(DL)の合成磁場が、アステロイド特性線の内側の領域に相当する強度の場合には、自由層FRの磁化方向は変化しない。自由層FRに対して磁化困難軸HX方向の磁場を印加することにより、磁化容易軸EXに沿った磁化方向を変化させるのに必要な磁化しきい値を低減することができ、応じて、ビット線BLに流れる書込電流値を低減する。
図4に示すようなアステロイド特性線および動作点を設定した場合には、データ書込対象のメモリセルにおいて磁化容易軸EX方向のデータ書込磁場強度が、HWRとなるようにビット線BLおよびデジット線DLを流れる書込電流の値が設定される。一般に、データ書込時に生成されるデータ書込磁場の強度HWRは、自由層FRの磁化方向の切換に必要なスイッチング磁場HSWと、マージンΔHとの和で示される。
図3に示すように、磁気抵抗素子VRが矩形形状に形成される場合、磁気抵抗素子VRにおいては、ビット線BLが誘起する磁場が、自由層FRの磁化容易軸EX方向に設定され、主として、ビット線BLを流れる書込電流により、磁気抵抗素子VRの自由層FRの磁化方向が設定される。デジット線DLを流れる電流は、この磁気抵抗素子VRにおける磁化方向切換のしきい値を低減するためのアシスト磁場として利用される。したがって、以下で、特に断らない限り、データ書込時においてはビット線を流れる書込電流に注目して説明する。
図5は、データ書込時のビット線書込電流と自由層の磁化方向の関係の一例を示す図である。固定層FXは、磁化容易軸EX方向に沿って予め固定的に磁化される。図5においては、固定層FXは、図の左から右向き方向に磁化容易軸EXに沿って磁化される。ビット線BLに、ビット線書込電流Ibpを紙面の裏面から表面に突き抜けるように電流を流す場合、このビット線書込電流Ibpにより反時計方向の磁場H(BL)が誘起される。このビット線書込磁場H(BL)は、図3に示すように磁化容易軸方向の磁場として自由層FRに印加され、自由層FRは、磁化容易軸EXに沿って左から右向き方向に磁化される。自由層FRと固定層FXの磁化方向が平行(同一の磁化方向)のとき、磁気抵抗素子VRの抵抗値が最も小さくなる。この状態を、データ“0”を記憶する状態に対応づける。
一方、図6に示すように、ビット線BLにビット線書込電流Ibpとして、紙面表面から裏面に突き抜ける電流を流した場合、時計回りのビット線書込磁場H(BL)が誘起され、自由層FRは、磁化容易軸EXに沿って右から左方向に磁化される。この状態においては、自由層FRの磁化方向と固定層FXの磁化方向は反平行(逆方向の磁化状態)であり、磁気抵抗素子VRの抵抗値が最も大きくなり、データ“1”を記憶する状態に対応づける。
図5および図6に示すように、自由層FRの磁化方向を記憶データに応じて設定することにより、この磁気抵抗素子VRの抵抗値を変更することができ、2値データをメモリセルに格納することができる。
データ読出時においては、図1に示すメモリセルMCの構成において、ワード線WLを選択状態へ駆動する。アクセストランジスタATが導通状態となり、磁気抵抗素子VRがソース線SLに接続される。この状態で、ビット線BLからソース線SLに流れる電流量を検出し、検出電流量に従って内部読出データを生成する。
図7は、磁気メモリ装置の要部の構成を概略的に示す図である。図7において、磁気メモリ装置は、行列状に配置される複数のメモリセルMCと、メモリセルMCの各列に対応して配置されるビット線BLと、メモリセルMCの各行に対応して配置されるデジット線DL、ワード線WLおよびソース線SLを含む。
メモリセルMCは、図7においては、デジット線DL、ワード線WLおよびソース線SLが、それぞれ、メモリセルの各行に対応して配置されることを示すために、ビット線BLの延在方向に沿って長辺が配置される矩形形状を有するように示される。メモリセルMCに含まれる磁気抵抗素子は、その磁化困難軸HXがビット線BLの延在方向であり、磁化容易軸EXが、ビット線BLと直交する方向に配置される。すなわち、ビット線BLは、メモリセルMCに含まれる磁気抵抗素子の自由層および固定層の磁化困難軸HX方向に沿って配置され、デジット線DL、ワード線WLおよびソース線SLは、磁化容易軸EX方向に沿って配置される。
デジット線DLの一方側にデジット線ドライブ回路1が配置され、デジット線DLの他方側にデジット線制御回路2が配置される。デジット線ドライブ回路1は、データ書込時、ロウデコーダ3から与えられる行選択信号に従って、選択行に対応して配置されるデジット線DLに電流を供給する。デジット線制御回路2は、各デジット線DL、または選択デジット線を接地ノードに結合する。したがって、データ書込時、デジット線DLにおいては、書込データの論理レベルにかかわらず、デジット線ドライブ回路1からデジット線制御回路2へ向かう方向にデジット線書込電流が流れる。
ワード線WLに対しては、データ読出時、ロウデコーダ3からの行選択信号に従って選択行に対応して配置されるワード線WLを選択状態へ駆動するワード線ドライブ回路4が配置される。ロウデコーダ3からワード線ドライブ回路4へ伝達される行選択信号の経路は、図面を簡略化するため、図7においては示していない。ロウデコーダ3は、インタフェース回路5を介して与えられるXアドレス信号XAをデコードし、選択行を指定する行選択信号を生成する。
ビット線BLの両側に対向してビット線書込電流制御回路6Aおよび6Bが配置される。これらのビット線書込電流制御回路6Aおよび6Bには、書込データバッファ7からの互いに相補な書込データが伝達され、データ書込時、選択列に対応するビット線に、書込データに応じた方向にビット線書込電流を供給する。ビット線書込電流制御回路6Aおよび6Bに対しては、コラムデコーダ8からの列選択信号が、アレイ上を配置される列選択信号線を介して伝達される。しかしながら、図7においては、図面を簡略化するため、このビット線書込電流制御回路6Bに伝達される列選択信号の経路は示していない。また、コラムデコーダ8に対しても、インタフェース回路5からの列アドレス信号YAが供給されるが、この経路は示していない。
ビット線BLの両側にビット線書込電流制御回路6Aおよび6Bを配置し、書込データバッファ7から、互いに相補な書込データを伝達することにより、選択列に対応するビット線において書込データに応じた方向に電流を流すことができる。
ビット線BLに対しては、さらに、コラムデコーダ9からの列選択信号に従ってビット線を選択するビット線選択回路10が設けられる。このビット線選択回路10は、データ読出時、選択列に対応するビット線BLを選択してリードアンプ11に結合する。コラムデコーダ9へは、インタフェース回路5からの列アドレス信号YAが供給される。
リードアンプ11は、ビット線電流を検出し、検出電流に従って内部読出データRDを生成し、インタフェース回路5を介して外部へ読出データを出力する。
図7に示す磁気メモリ装置において、外部からの動作モードを示すコマンドおよび動作サイクルを規定するクロック信号に従って必要な内部制御信号を生成する制御回路が配置される。しかしながら、図7において、この制御回路は示していない。インタフェース回路(I/F)5は、外部装置との信号の仕様の整合性をとるために設けられており、入出力バッファを含む。
図8に示すように、たとえばプロセッサで構成されるロジック回路20を、ロジック回路20が利用するデータを格納するMRAMマクロRMCAおよびRMCBを同一半導体チップ上に集積化することにより、システム・オン・チップを実現し、小型、軽量、低消費電力のシステムを実現する。
この図7に示す磁気メモリ装置において、インタフェース回路5およびそれ以外の部分で構成されるメモリ回路MMが1つのマクロとしてライブラリに登録される。また、これに代えて、インタフェース回路5を除くメモリ回路部分MMが、ライブラリとして登録されてもよい。
図8は、この発明の実施の形態1に従う半導体集積回路装置の構成を概略的に示す図である。図8に示す半導体集積回路装置の構成においては、ロジック回路20の両側に対向してMRAMマクロRMCAおよびRMCBが配置される。メモリマクロRMCAは、インタフェース回路5Aと、メモリ回路MMAを有し、MRAMマクロRMCBは、インタフェース回路5Bと、内部回路MMBを有する。インタフェース回路5Aおよび5Bは、ビット線BLの延在方向、すなわち磁化困難軸HX方向に沿って、メモリマクロRMCAおよびRMCBの一端、すなわちロジック回路20に近い端部に配置される。MRAMマクロRMCAおよびRMCBそれぞれにおいて、デジット線DLが、インタフェース回路5Aおよび5Bの配置方向と直交する方向に配置される。磁気抵抗素子VRは、その磁化容易軸EX方向に沿って長辺を有し、磁化困難軸方向に沿って短辺を有する。
MRAMマクロRMCAおよびRMCBは、図8において文字“F”で示すように、ロジック回路20に関して、すなわち磁化困難軸HXに平行な軸に関して鏡映対称(ミラー反転)に配置されるレイアウトを有する。したがって、インタフェース回路5Aおよび5Bも、MRAMマクロにおいては、鏡映対称なレイアウトを有する。
図9は、鏡映対称なレイアウトを形成する場合のミラー反転操作を示す図である。図9においては、最下層のレイアウト層Iから最上層のレイアウト層IVの4層のレイアウト層を代表的に示す。これらのレイアウト層I−IVは、トランジスタを形成する拡散領域を含む活性領域レイヤ、配線間または素子間の電気的接続をとるためのコンタクトホールが配置されるコンタクトホールレイヤ、および信号配線、電源線、および接地線などの電圧伝達線などの配線が配置される配線レイヤを含む。
この図9に示すように、ミラー反転操作は、レイアウト層IからIV各層において、対称軸に関してたとえば左側のレイアウトを折り返して右側に示すレイアウト層IからIVのレイアウトを得る操作である。このミラー反転操作においては、レイアウト層の順序は維持され、各レイアウト層は、対称軸に関して線対称な図形(パターン)を有する。
図10は、固定層磁化方向設定工程を概略的に示す図である。図10において、半導体ウェハWF上に、半導体チップCHが整列して配置される。半導体チップCHは、MRAMマクロRCAおよびRMCBと、これらのMRAMマクロRMCAおよびRMCBの間に配置されるロジック回路(ロジックマクロ)20を含む。この半導体チップCHにより、MRAM搭載システムLSI(SOC)が実現される。
固定層を磁化するために、このウェハWFに対し外部磁場を、磁化容易軸EX方向に沿って印加する。これにより、半導体ウェハWF上の半導体チップCH共通に、MRAMマクロRMCAおよびRMCBの磁気抵抗素子の固定層の磁化方向を、磁化容易軸EXに沿って左向き方向に設定することができる。
図11は、図8に示す半導体集積回路装置において、データ“0”を書込むときのビット線電流と自由層の磁化方向の関係を示す図である。固定層FXは、矢印で示すように、左向き方向に磁化されている。データ“0”の書込時においては、ビット線BLに沿って図の下から上向き方向にビット線書込電流Ibpを供給する。この場合、図8に示す点Yから点YY方向に向かって書込電流が流れる。したがって、MRAMマクロRMCAおよびRMCB両者において、同一方向にビット線書込電流Ibpが流れ、MRAMマクロRMCAおよびRMCBにおいて、矢印で示すように、固定層FXと同様に、自由層FRが、左向き方向に磁化容易軸EXに沿って磁化される。
なお、このとき、デジット線を流れる電流は、MRAMマクロRMCAおよびRMCBにおいては逆方向となる。したがって、この場合、デジット線電流により誘起される磁場の方向は、MRAMマクロRMCAおよびRMCBにおいて反対方向となる。しかしながら、図4のアステロイド特性線に示すように、デジット線が誘起する磁場は、ビット線書込電流量を低減するためのアシスト磁場として利用されるだけであり、ビット線書込電流Ibpにより、自由層FRの磁化方向が決定される。したがって、メモリマクロRMCAおよびRMCB両者において、固定層FXの磁化方向と平行な方向に自由層FRが磁化される。
この状態においては、MRAMマクロRMCAおよびRMCBにおいて、メモリセルはデータ“0”を格納しており、データ読出時、ビット線を介して大きな電流が流れ、正確にデータ“0”を読出すことができる。
図12は、メモリセルへのデータ“1”書込時のビット線電流と自由層の磁化方向の関係を示す図である。固定層FXは、図の左向き方向に磁化されている。データ“1”を書込む場合には、図8に示すMRAMマクロRMCAおよびRMCB両者において、点YYから点Yの方向に向かってビット線書込電流Ibpが流れる。この場合、自由層FRにおいては、MRAMマクロRMCAおよびRMCB両者において、磁化容易軸EX方向に沿って右向きに磁化が生じ、自由層FRと固定層FXの磁化方向が反平行となるり、磁気抵抗素子は高抵抗状態となる。データ読出時においては、これらのMRAMマクロRMCAおよびRMCB両者において、書込データと同様のデータ“1”が読出される。
すなわち、図8に示すように、ロジック回路20の両側に配されるメモリマクロRMCAおよびRMCBは、磁化困難軸HXに平行な軸に関して鏡映対称なレイアウトを有しており、MRAMマクロRMCAおよびRMCBにおける点Yから点YYの方向についての位置関係は維持される。これにより、MRAMマクロRMCAおよびRMCBにおいて、同一論理レベルのデータに対するビット線書込電流を、同一方向に設定することができる。
MRAMマクロRMCAおよびRMCBにおいて固定層FXの磁化方向が同一方向に設定される構成において、同一の論理レベルのデータについてビット線書込電流が流れる方向を、MRAMマクロRMCAおよびRMCBにおいて同一方向に設定することができる。これにより、MRAMマクロRMCAおよびRMCB両者において論理データ(外部書込データ)と物理データ(メモリセルの記憶データ)の一貫性を維持することができ、MRAMマクロの配置位置に応じて、書込データまたは読出データの論理レベルの反転を行なう操作が不要となる。
この結果、ウェハプロセスにおける固定層の磁化方向に応じてメモリ制御回路の構成を変更する必要がなくなり、システム・オン・チップ上のレイアウト配置の自由度の低下を抑制でき、また設計効率の低下を抑制することができる。
なお、上述の説明において、MRAMマクロ(RMCA,RMCB)は、図7に示すインタフェース回路5および内部メモリ回路MM両者を含んでいる。しかしながら、このMRAMマクロの鏡映対称に配置されるレイアウトとしては、内部のメモリ回路MMのみのレイアウトが、ライブラリとして登録されたものが用いられてもよい。
また、登録ライブラリを利用してマクロベースでチップ設計を行う場合、元のレイアウトおよびミラー反転されたレイアウトがライブラリとして登録され、これらを利用する。
[実施の形態2]
図13は、この発明の実施の形態2に従う半導体集積回路装置の構成を概略的に示す図である。図13において、半導体集積回路装置は、半導体チップCHA上に分離して配置される第1のロジック回路LGAおよび第2のロジック回路LGBを含む。第1のロジック回路LGAに対向してMRAMマクロRMCCが配置され、また第2のロジック回路LGBに対向してMRAMマクロRMCDが配置される。MRAMマクロRMCCは、内部メモリ回路MMCと、インタフェース回路(I/F)5Cを有し、インタフェース回路5Cが、第1のロジック回路LGAに近い端部に配置される。MRAMマクロRMCDは、同様、メモリ回路MMDと、インタフェース回路5Dとを含み、インタフェース回路5Dが、第2のロジック回路LGBに近い位置に配置される。
第1のロジック回路LGAは、このMRAMマクロRMCCの格納データを利用して、必要な処理を実行し、また第2のロジック回路LGBは、MRAMマクロRMCDの格納データを利用して必要な処理を実行する。MRAMマクロRMCCおよびRMCDは、それぞれ、磁気抵抗素子VRを記憶素子として含む。この磁気抵抗素子VRの磁化困難軸方向に沿って延在するようにビット線BLが配置され、磁化容易軸EX方向に沿って延在するようにデジット線DLが配置される。この場合、図の文字“F”で示すように、磁化困難軸HXと平行な軸に関してMRAMマクロRMCCおよびRMCDが鏡映対称に配置されるレイアウトを有する。
図13に示す半導体集積回路装置は、2つのロジック回路LGAおよびLGBを含む、オンチップのマルチプロセッサシステムを実現する。
この図13に示す半導体集積回路装置の配置においても、MRAMマクロRMCCおよびRMCDは、磁化困難軸HXに平行な軸に関して鏡映対称なレイアウトを有する。固定層の磁化方向は磁化容易軸EXのいずれの方向を向いていても、これらのMRAMマクロRMCCおよびRMCDにおいては同一である。したがって、実施の形態1の場合と同様、MRAMマクロRMCCおよびRMCD両者において書込データの論理レベルと自由層の磁化方向との対応関係は同一となり、論理データと物理データ(記憶データ)との一貫性を維持することができる。
ウェハプロセスにおける外部磁場の印加方向の制限を受けず、半導体チップCHA上に効率的にMRAMマクロおよびロジック回路を配置することができる。また、各MRAMマクロごとに、論理データと物理データとの論理の一貫性を維持するためのデータ極性変換回路を配置する必要がなく、データ書込/読出の制御が容易化される。
[実施の形態3]
ロジックとメモリとが同一チップ上に集積化される混載システムに用いられるメモリマクロは、適用されるシステムおよび接続されるロジック回路に応じて、さまざまな記憶容量およびデータビット幅のバリエーションが要求される。このようなバリエーションを容易に実現するために、通常、性能が保証された1つのメモリマクロ(ライブラリ)をベースとして、記憶容量の拡張または縮小およびビット幅の切換などが行なわれる。
図14は、このベースとして用いられる基本構成のメモリマクロ(基本マクロ)BAMの構成の一例を示す図である。図14においては、基本マクロBAMは、インタフェース回路(I/F)30と、内部のメモリ回路32とを含む。メモリ回路32は、先の実施の形態1および2におけるメモリ回路MMと同様の構成である(容量が異なる)。メモリ回路32においては、磁気抵抗素子VRが行列状に配列されるメモリセルアレイが配置される。図14においては、1つの磁気抵抗素子VRを代表的に示す。この磁気抵抗素子VRの磁化容易軸EXの方向に延在するようにデジット線DLが配置され、従って、インタフェース回路30と交差する方向に配置される。磁化困難軸HX方向に延在するようにビット線BLが、配置される。
この図14に示す基本マクロBAMは、16ビットの外部データの入出力を行なう。ビット線BLにおいては、データ“0”を書込むときには、図の下から上に流れるビット線書込電流Ibp0が供給され、データ“1”を書込むときには、図の上から下方向にビット線書込電流Ibpが流れる。
図15は、記憶容量の異なるメモリマクロのバリエーションの構成の一例を示す図である。図15において第1のバリエーションのメモリマクロVAM1は、インタフェース回路30と2つの内部回路32aおよび32bを有する。これらの内部回路32aおよび32bは、基本マクロBAMのメモリ回路32と同様の構成を有し、内部回路32aおよび32bは、互いに平行移動されたレイアウトを有する。内部回路32aおよび32bは、図14に示すメモリ回路32と同一構成を有していてもよく、また、これらの内部回路32aおよび32bにおいて重複する回路部分が、共有化されるなどの処理が行なわれてもよい。
この図15に示すメモリマクロVAM1においては、内部回路32aおよび32bは、互いに平行移動されたレイアウトを有しており、基本マクロBAMのメモリ回路32におけるビット線書込電流Ibp0およびIbp1と同一方向にビット線書込電流Ibp0およびIbp1が供給される。この図15に示すメモリマクロVAM1は、記憶容量が、基本構成のメモリマクロBAMの記憶容量の2倍の記憶容量を有しており、データの入出力は16ビット単位で実行される。
図16は、メモリマクロのバリエーションの他の構成例を概略的に示す図である。図16に示すメモリマクロVAM2は、2つの並列に配置される基本マクロBAM1およびBAM2を有する。これらの基本マクロBAM1およびBAM2は、それぞれ、図14に示す基本マクロBAMと同一構成を有し、並列に動作し、32ビットデータの入出力を行なう。この基本マクロBAM1およびBAM2は、単に互いに平行移動されたレイアウトを維持しており、ビット線BLを流れるビット線書込電流Ibp0およびIbp1各々は、同一方向である。
図16に示すバリエーションの場合、メモリマクロVAM2は、記憶容量が基本マクロBAMの2倍であるものの、記憶ワード数が、図14に示す基本マクロBAMの記憶ワード数と同じであり、32ビットデータを入出力する。
図17は、メモリマクロのさらに他のバリエーションの構成を示す図である。図17において、メモリマクロVAM3は、図15に示すメモリマクロVAM1を2つ利用して構成され、サブメモリマクロVAM1aおよびVAM1bを含む。これらのサブメモリマクロVAM1aおよびVAM1bは、互いに平行移動されたレイアウトを有し、並行に動作する。32ビットデータの入出力が、このメモリマクロVAM3において行なわれる。この図17に示すメモリマクロVAM3においては、記憶容量は、基本マクロBAMの4倍となり、データの入出力ビット幅が2倍に設定される。
これらの図15から図17に示すさまざまなバリエーションのメモリマクロVAM1からVAM3が、それぞれ適用されるシステムまたは接続されるロジック回路の構成に応じて適宜利用される。今、このさまざまなバリエーションのメモリマクロを1つの半導体チップ上に集積化して、システム・オン・チップを実現する場合を考える。
図18は、この発明の実施の形態3に従う半導体集積回路装置の全体の構成を概略的に示す図である。図18において、半導体チップCHB上に、ロジック回路LGCおよびLGDが配置される。ロジック回路LGCは、16ビットバスを介してMRAMマクロRMCDに結合され、また他方側に配置される32ビットバスを介してMRAMマクロRMCCに結合される。ロジック回路LGDは、その一方側に配置される16ビットバスを介してMRAMマクロMCEに結合される。
MRAMマクロRMCCは、図14に示す基本マクロBAMを1つ並列に配置して構成される。磁気抵抗素子VRは、ビット線BLと直交する方向の磁場容易軸を有し、固定層が、磁化容易軸に沿って図の矢印で示す方向に磁化される。このMRAMマクロRMCCにおいて、書込データおよび読出データの論理レベルの一貫性が維持されている状態を考える。この場合、MRAMマクロRMCDは、図14に示す基本マクロBAMのレイアウトを、磁化困難軸HXの軸方向に関してミラー反転したレイアウトを有する。ロジック回路LGDに対して設けられるMRAMマクロRMCEも、図14に示す基本マクロBAMを磁化困難軸と平行な軸方向に関して鏡映対称に配置されたレイアウトを有するブロックをベースに形成される。したがって、MRAMマクロRMCEは、図15に示すメモリマクロVAM1と、磁化困難軸HXと平行な軸に関して鏡映対称なレイアウトを有する。これらのミラー反転操作により、インタフェース回路(I/F)の位置が基本マクロのインタフェース回路の位置と反対の位置の場合においても、MRAMマクロRMCDおよびRMCEにおいて、ビット線書込電流Ibp1およびIbp0を、MRAMマクロRMCCにおけるビット線書込電流Ibp0およびIbp1と同一方向に流すことができ、書込データと読出データの論理レベルの一貫性を維持することができ、論理データと物理データ(記憶データ)の一貫性を、このシステムLSI(システム・オン・チップ)において維持することができる。
したがって、このシステムLSIにおいて、論理データと物理データの論理レベルの対応関係を、半導体チップCHB上のメモリマクロすべてにおいて一致させることができ、メモリマクロごとに、論理レベルの対応関係が異なる状態が混在するのを防止することができる。
仮に、この基本マクロBAMにおいて、論理データと物理データの論理レベルが不一致の場合、この半導体チップCHBにおいてすべてのメモリマクロにおいて論理データと物理データの論理レベルの対応関係が不一致となる。したがって、テスト段階においてこの状態が検出された場合、プロセスにおける外部磁場の印加方向を変更する、または、ロジック回路LGCおよびLGDにおいて入力データまたは出力データの一方の論理レベルを反転するまたはメモリマクロMCC、MCDおよびMCEにおいてインタフェース回路(I/F)において書込データまたは読出データの論理レベルを変換する処理を行なうことにより、この半導体集積回路装置において、正確に、論理データと物理データの論理関係を一致させることができる。この半導体チップCHBに配置されるメモリマクロの磁化容易軸および磁化困難軸の方向を一致させるという条件を満たす限り、メモリマクロのレイアウト位置の制約が低減され、効率的に、半導体チップCHB上にメモリマクロを配置してシステムLSI(システム・オン・チップ)を設計することができる。
[変更例]
図19は、この発明の実施の形態3の変更例の半導体集積回路装置の構成を示す図である。図19に示す半導体集積回路装置は、半導体チップCHC上に配置されるロジック回路LGEおよびLGFを含む。ロジック回路LGEの両側に、MRAMマクロRMCGおよびRMCFが対向して配置され、ロジック回路LGFの一方側に、MRAMマクロRMCHが配置される。このMRAMマクロRMCFは、MRAMマクロRMCGと互いに平行移動したレイアウトを有する。MRAMマクロRMCGは、対応のロジック回路LGEと相対する辺と直行する辺の領域(辺縁領域)において、内部のメモリアクセス動作を制御する周辺制御回路が配置される制御ブロックと、この制御ブロックの両側に配置されるロジックとのインターフェイスをとるためのインタフェース回路が配置されるインターフェイス回路(I/F)領域が配置される。このMRAMマクロRMCGにおいては、ロジック回路LGEに近いほうのインターフェイス回路を利用してデータおよび信号の転送が実行される。メモリ回路のレイアウトは、図18に示すMRAMマクロRMCDとMRAMマクロRMCGとは同じである。磁化困難軸HXに沿って書込電流を転送するビット線BLが配置される。
MRAMマクロRMCFは、2つのメモリ回路を含み、インタフェース回路(I/F)の位置が、MRAMマクロRMCGと同じである。このMRAMマクロRMCFにおいても、対応のロジック回路LGEと相対する辺と直行する辺に沿った辺縁領域に、メモリアクセスの制御等を行う周辺回路が配置される制御ブロックと、その両側に配置されるインターフェイス回路(I/F)領域が配置される。このMRAMマクロRMCFにおいても、対応のロジック回路LGEに近いほうのインターフェイス回路を利用して信号およびデータの転送が行われる。
また、MRAMマクロRMCHが、そのインタフェース回路(I/F)の位置が、MRAMマクロRMCGと同じである。すなわち、対応のロジック回路LGFに相対する辺と直行する辺に沿った辺縁領域において、制御ブロックが配置され、また、この制御ブロックの両側にインターフェイス回路(I/F)領域が配置される。このMRAMマクロRMCHにおいても、対応のロジック回路LGFに近いほうのインターフェイス回路を利用してデータおよび信号の転送を行う。
したがって、MRAMマクロRMCG、RMCF、およびRMCHは、そのメモリ回路のレイアウトが、互いに平行移動されたレイアウトを有する。これらのMRAMマクロRMCG、RMCFおよびRMCHにおいて、書込データの論理レベルに対する磁気抵抗素子における固定層と自由層の磁化方向の関係は、全て同一とすることができる。
図19に示すように、インタフェース回路(I/F)および制御ブロックの位置が、対応のロジック回路と相対する辺に沿った辺縁領域となるマクロを、基本マクロとして利用することにより、内部のメモリ回路を、ロジック回路についての配置位置に応じて鏡映対称のレイアウトに配置する必要がなくなる。また、インターフェイス回路(I/F)領域を制御ブロックの両側に配置することにより、単なるレイアウトの平行移動でも、対応のロジック回路との配置関係に応じて、辺縁領域のインターフェイス回路(I/F)の一方のインターフェイス回路領域を利用することにより、書込データと読出データの一貫性を維持し、また、対応のロジック回路からのデータアクセス時間を同一とすることができる。
インタフェース回路(I/F)の位置が、対応のMRAMマクロの下方端に配置される場合においても、インターフェイス回路領域を、制御ブロックの両側に配置することにより、内部のメモリ回路のレイアウトの鏡映対称操作が不要となり、基本マクロとして、インターフェイス回路の位置が異なるマクロを基本マクロとして準備する必要がなく、設計効率が改善される。
メモリ回路においては単なるレイアウトの平行移動であり、ビット線BLを流れるビット線書込電流Ibp0およびIbp1は、すべてのMRAMマクロRMCF、RMCGおよびRMCHにおいて同一であり、また、固定層の磁化方向も、磁化容易軸EX方向に沿って同一方向に設定される。これにより、書込データと読出データの論理レベルを全てのメモリマクロにおいて一致させることができる。また、半導体チップCHC上のメモリマクロの配置位置においてインタフェース回路のレイアウトの制約が低減され、効率的に、システムLSIをMRAMマクロを用いて設計することができる。
[実施の形態4]
図20は、この発明の実施の形態4に従う磁気メモリ装置の全体の構成を概略的に示す図である。図20において、磁気メモリ装置は、ロウデコーダ35の両側に配置されるサブアレイユニットSULおよびSURと、外部からのコマンドおよびアドレスおよびデータに従って内部書込データおよび内部動作制御信号および内部アドレス信号を生成する制御回路39を含む。
サブアレイユニットSULは、メモリセルが行列状に配列されるメモリセルアレイ36lと、ビット線BLへ書込電流を供給するビット線(BL)電流ドライバ37lと、データ読出時ワード線(図示せず)を選択状態へ駆動するワードドライバ38lを含む。メモリセルアレイ36lにおいては、磁気抵抗素子VRを代表的に示す。この磁気抵抗素子VRは、磁化容易軸EXに沿った長辺と磁化困難軸HXに沿った短辺とを有する矩形形状を有し、ビット線BLが、この磁化困難軸HX方向に延在して配置される。デジット線DLが、磁気抵抗素子VRの長辺方向すなわち磁化容易軸方向に沿って延在するように配置される。
サブアレイユニットSURも、同様、メモリセルアレイ36r、ビット線(BL)電流ドライバ37r、およびワードドライバ38rを含む。
サブアレイユニットSULおよびSURは、磁化困難軸HXと平行な軸に関して鏡映対称な、ミラー反転されたレイアウトを有する。ロウデコーダ35は、このサブアレイユニットSULおよびSURにより共有され、この磁気メモリ装置のチップ面積を低減する。
これらのサブアレイユニットSULおよびSURには、デジット線を駆動するデジット線ドライブ回路、およびビット線書込電流を制御するビット線書込電流制御回路が配置されるものの、図20においては、図面を簡単化するため、この構成は示していない。
磁気抵抗素子VRは、サブアレイユニットSURおよびSUL両者において同一であり、図20においては、左向きに固定層が磁化された状態を示す。
この図20に示すように、共有回路部分(ロウデコーダ35)を磁化困難軸方向に沿って配置し、この共有回路部分(ロウデコーダ35)を対称軸として鏡映対称なレイアウトに、サブアレイユニットSULおよびSURを配置し、また、ビット線BLを磁化困難軸HX方向に延在して配置する。したがって、サブアレイユニットSULおよびSURにおいてビット線書込電流Ibp1およびIbp0は、それぞれ、データ“1”および“0”書込時において同一方向に流れ、書込データと読出データの論理レベルの対応関係を、固定層の磁化方向に係らずサブアレイユニットSULおよびSURにおいて一致させることができる。したがって、制御回路39において、選択サブアレイユニットに従って書込データまたは読出データの論理レベルを変換する操作が不要となる。
[変更例]
図21は、この発明の実施の形態4の変更例の構成を概略的に示す図である。この図21に示す磁気メモリ装置においては、サブアレイユニットSULおよびSURに共通に、ロウデコーダ/ワードドライバ回路40が配置される。サブアレイユニットSULおよびSURは、このロウデコーダ/ワードドライバ回路40に関してミラー反転された、鏡映対称なレイアウトを有する。図21に示す磁気メモリ装置の他の構成は、図20に示す磁気メモリ装置の構成と同じであり、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
この図21に示す磁気メモリ装置の構成においても、サブアレイユニットSULおよびSURは、磁気抵抗素子VRの磁化困難軸HXと平行な軸に関して鏡映対称なレイアウトを有する。すなわち、サブアレイユニットSULのレイアウトを、この磁化困難軸HX方向に配置されたロウデコーダ/ワードドライブ回路40に関してミラー反転することにより、サブアレイユニットSURのレイアウトが得られる。したがって、このサブアレイユニットSULおよびSURにおいても、先の図20に示す磁気メモリ装置と同様、ビット線書込電流Ibp1およびIbp0と書込データとの対応関係は同一となり、書込データと読出データの論理レベルの対応を一致させることができる。
また、ワードドライバも、サブアレイユニットSULおよびSURにより共有されており、アレイ面積を低減することができる。
なお、この図21に示す磁気メモリ装置においては、デジット線を駆動するデジット線ドライバは明確には示していない。しかしながら、このデジット線ドライバも、同様、サブアレイユニットSULおよびSURにより共有され、メモリセル行の選択に関連する回路部分が、このサブアレイユニットSULおよびSURにより共有されてもよい。ビット線BLに対しデータ書込時書込電流を供給する回路部分が、このサブアレイユニットSULおよびSURにおいて磁化困難軸HX軸方向に関して鏡映対称に配置されている条件が満たされればよい。
[実施の形態5]
図22は、この発明の実施の形態5に従う半導体集積回路装置の構成を概略的に示す図である。図22において、半導体集積回路装置は、ロジック回路LGGと、このロジック回路LGGの両側に配置されるMRAMマクロRMCJおよびRMCKを含む。これらのロジック回路LGG、MRAMマクロRMCJおよびRMCKは、同一半導体チップ上に集積化される。
MRAMマクロRMCJは、ロジック回路LGGに近い位置に配置されるインタフェース回路(I/F)42jと、内部メモリ回路44jと、この内部メモリ回路44jに含まれるメモリセルへの書込データまたは読出データの論理レベルをデータ反転制御信号PMSに従って選択的に反転するデータ反転回路46jを含む。MRAMマクロRMCKも、同様、インタフェース回路42k、内部メモリ回路44kおよびデータ反転回路46kを含む。このデータ反転回路46kへは、データ反転制御信号/PMSが与えられる。メモリマクロRMCJおよびRMCKにおいて、一方がデータ反転操作が行われるとき、他方においてはデータ反転操作は行われない。
MRAMマクロRMCJおよびRMCKは、文字“F”で示すように、ロジック回路LGGに関して互いに点対称なレイアウトを有する。すなわち、たとえば、MRAMマクロRMCJが、基本マクロの場合、このMRAMマクロRMCJのレイアウトを180°回転することにより、MRAMマクロRMCKのレイアウトが得られる。メモリセルアレイにおいては、ビット線BLがインタフェース回路42(42j,42k)と交差する方向に配置され、デジット線DLが、このビット線BLと直交する方向に配置される。磁気抵抗素子VRは、磁化容易軸EX方向に沿った長辺と、磁化困難軸HX方向に沿った短辺とを有する。ビット線BLは、磁化困難軸HX方向に延在して配置される。
この図22に示す半導体集積回路装置の構成の場合、MRAMマクロRMCJおよびRMCKにおいては、行方向および列方向に関して内部回路の配置位置が反対となる。したがって、ビット線電流ドライバも位置が交換された関係となる。MRAMマクロRMCJおよびRMCKそれぞれにおいては、内部回路の構成は同じである。この結果、ビット線BLにビット線書込電流を供給する場合、ある論理レベルの書込データについて、MRAMマクロRMCJにおいてインタフェース回路42jから遠ざかる方向にビット線書込電流Ibpを流す場合、同様、MRAMマクロRMCKにおいても、インタフェース回路42kから遠ざかる方向にビット線書込電流Ibpが流れる。磁気抵抗素子VRにおいて、固定層の磁化方向は、外部磁場印加により磁化容易軸EX方向に沿った方向に設定されており、MRAMマクロRMCJおよびRMCKにおいて固定層の磁化方向は同じである。したがって、このMRAMマクロMCJおよびMCKにおいて書込データと記憶データ、すなわち論理データと物理データの論理レベルの対応関係が異なる状態が生じる。
具体的に、図23に示すように、データ“0”を書込む状態を考える。今、MRAMマクロRMCJにおいては、ビット線書込電流Ibpaが、図の右方向に流れた状態を考える。この場合、自由層FRにおいては、図の上向き方向に磁場が印加され、固定層FXおよび自由層FRの磁化方向が平行となる。一方、MRAMマクロRMCKにおいては、インタフェース回路42k方向に向かってビット線書込電流Ibpaが流れる。この場合、MRAMマクロRMCKにおいては、磁気抵抗素子VRに下向きの磁場が印加され、固定層FXと自由層FRの磁化方向は、反平行となる。したがって、この場合、MRAMマクロRMCJにおいては、書込データおよび読出データの論理レベルがともに“0”であり、一方、MRAMマクロRMCKにおいては、磁気抵抗素子VRが高抵抗状態となり、“1”記憶状態であり、データ“1”が読出される。
また、図24に示すように、データ“1”を書込む場合、MRAMマクロRMCJにおいては、ビット線書込電流Ibpbは、インタフェース回路42jから遠ざかる方向(図24の左方向)に向かって流れ、自由層FRの磁化は下向き方向となり、固定層FXおよび自由層FRの磁化が反平行状態となり、データ“1”が記憶される。一方、MRAMマクロRMCKにおいては、ビット線書込電流Ibpbは、インタフェース回路42jから遠ざかる方向に流れるため、自由層FRには、上向きの磁場が印加され、固定層FXおよび自由層FRの磁化が平行状態となり、データ“0”が格納される。
したがって、MRAMマクロRMCJにおいては、書込データと読出データの論理レベルは常に一致しており、一方、MRAMマクロRMCKにおいては、書込データと読出データの論理レベルは常に反転した状態となる。このMRAMマクロRMCKにおける論理データと物理データの論理レベルの不一致を調整するために、データ反転回路46kに対し、データ反転制御信号/PMSに従って書込データまたは読出データの一方の論理レベルを反転する。これにより、外部においては、書込データと読出データの論理レベルが一致し、等価的に、論理データと物理データの論理レベルの一貫性が維持される。
逆に、固定層FXの磁化方向が下向き方向の場合には、MRAMマクロRMCJにおいて書込データと読出データの論理レベルの不一致が生じ、MRAMマクロRMCKにおいては、書込データと読出データの論理レベルが一致する。この場合、データ反転回路46jを用いて、データ反転制御信号PMSに従って書込データまたは読出データの一方の論理レベルを反転する。
したがって、この固定層FXの磁化方向を考慮することなく、MRAMマクロRMCJおよびRMCKを配置しても、常に正確にデータの書込/読出をロジック回路LGGは行なうことができ、設計時、この固定層の磁化方向を考慮する必要がなく、設計効率が改善される。また、MRAMマクロRMCJおよびRMCKは、同じレイアウトを有しており、1つのライブラリ化されたMRAMマクロを用いてこれらのMRAMマクロRMCJおよびRMCKを生成することができ、ミラー反転操作を行って鏡映対称のレイアウトを有するマクロを生成する必要がなく、設計効率がさらに改善される。
図25は、図22に示すデータ反転回路46jおよび46kの構成を概略的に示す図である。データ反転回路46jおよび46kは、同一構成を有するため、図25においては、データ反転回路46により、これらをデータ反転回路46jおよび46kを代表的に示す。
図25において、データ反転回路46は、外部からの書込データDを受け、相補書込データWDATAおよび/WDATAを生成する書込データバッファ50と、データ反転制御信号PMSに従って内部書込データWDATAおよび/WDATAの伝達経路を切換え書込制御信号BLP1およびBLP2を生成するデータスワップ回路52を含む。
ビット線BLの両側には、ビット線書込電流制御回路54aおよび54bが設けられる。これらのビット線書込電流制御回路54aおよび54bは、内部にビット線電流ドライバを含み、それぞれ書込制御信号BLP1およびBLP2と図示しない列選択信号に従って、ビット線BLに書込電流を供給する。書込制御信号BLP1およびBLP2は、内部書込データWDATAおよび/WDATAに対応しており、相補な制御信号であり、ビット線書込電流制御回路54aおよび54bの一方がビット線BLに電流を供給し、他方が、ビット線BLから電流を引抜く。したがって、ビット線BLには書込制御信号BLP1およびBLP2の論理レベルに応じた方向に書込電流が流れる。
なお、書込データバッファ50は、図7に示す書込データバッファ7に対応する。
図26は、図25に示すデータスワップ回路52の構成の一例を示す図である。図26において、データスワップ回路52は、データ反転制御信号PMSを受けて補のデータ反転制御信号PMSZを生成するインバータIV1と、これらの相補データ反転制御信号PMSおよびPMSZに従って内部書込データWDATAおよび/WDATAの伝達経路を切換えるCMOSトランスミッションゲートTX1−TX4を含む。
CMOSトランスミッションゲートTX1およびTX3は、データ反転制御信号PMSがLレベル(論理ローレベル)のとき導通し、内部書込データWDATAおよび/WDATAをそれぞれ、書込制御信号線55および56上に伝達する。書込制御線55は、書込制御信号BLP1を伝達し、書込制御線56は、書込制御信号BLP2を伝達する。
CMOSトランスミッションゲートTX2およびTX4は、データ反転制御信号PMSがHレベル(論理ハイレベル)のとき導通し、内部書込データWDATAおよび/WDATAを、書込制御信号線56および55にそれぞれ伝達する。
したがって、データ反転制御信号PMSがLレベルのときには、書込制御信号BLP1およびBLP2が、内部書込データWDATAおよび/WDATAに対応づけられる。一方、データ反転制御信号PMSがHレベルのときには、書込制御信号BLP1およびBLP2が、それぞれ、内部書込データ/WDATAおよびWDATAに対応づけられる。データ反転制御信号PMSにより書込データの論理レベルを反転/非反転を固定的に行うことにより、外部からの書込データDとメモリセルMCの記憶データの論理レベルを一致させることができる。
図27は、このデータ反転制御信号の論理レベルとビット線書込電流の関係を示す図である。データ反転制御信号PMSが、デフォルト時が、Lレベルであり、MRAMマクロRMCJが、基本マクロとして用いられ、MRAMマクロRMCKが、このMRAMマクロRMCJのレイアウトを180°回転させて配置配線させて形成される場合を考える。今、磁気抵抗素子VRにおいて固定層の磁化方向が、矢印で示すように上向きの状態を考える。MRAMマクロRMCJにおいて、データ“1”および“0”に従ってビット線書込電流Ibp1およびIbp0を流す。MRAMマクロRMCJにおいて、ビット線書込電流Ibp1がインタフェース回路(I/F)から遠ざかる方向にビット線BL上を流れ、ビット線書込電流Ibp0が、インタフェース回路(I/F)方向に向かってビット線BL上を流れる状態を考える。この場合、磁気抵抗素子VRにおいては、自由層が、データ“1”書込時においては下向き方向に磁化され、データ“0”書込時においては、自由層が上向き方向に磁化される。したがって、MRAMマクロRMCJにおいては、書込データと読出データの論理レベルが一致しており、データ反転制御信号PMSはLレベルに維持される。
この状態において、MRAMマクロRMCKにおいては、ビット線書込電流の流れる方向を反対にする必要があり、データ反転制御信号PMSをHレベルに設定する。この場合、データ“1”を書込むときには、ビット線BLには、インタフェース回路(I/F)方向に向かう電流Ibp1が流れ、またデータ“0”を書込むときには、インタフェース回路(I/F)から遠ざかる方向にビット線書込電流Ibp0が流れる。これにより、MRAMマクロRMCKにおいても、書込データと記憶データの論理レベルを一致させることができ、論理データと物理データの一貫性を維持することができる。
逆に、このMRAMマクロRMCJが、基本マクロとして利用される場合において、外部磁場の印加方向が異なり、磁気抵抗素子VRにおいて固定層の磁化方向が図の下向き方向の場合には、MRAMマクロRMCJにおいて、データ反転制御信号PMSがHレベルとなり、一方、MRAMマクロRMCKにおいては、データ反転制御信号PMSがLレベルに設定される。したがって、基本マクロのレイアウトのみを用いて、ロジック回路LGGの両側に、固定層の磁化方向、すなわちプロセス時における外部磁場の印加方向を考慮することなくMRAMマクロを配置して、システム・オン・チップを実現することができる。
図28は、データ反転制御信号PMSを発生する部分の構成の一例を示す図である。図28において、データ反転制御信号PMSを発生するためのデータは、メモリセルアレイ58の特定のアドレス領域のメモリセル60に格納される。図28においては、デフォルト値に対応するデータ“0”が、この特定のアドレスのメモリセル60に格納される状態を一例として示す。このメモリセル60の記憶データが、リードアンプ56(図7のリードアンプ11に相当)を介してレジスタ回路62に格納される。レジスタ回路62から、データ反転制御信号PMSが生成されて、データスワップ回路52へ与えられる。
このメモリセル60へは、テスト工程時において、外部から識別データMSが書込データバッファ50(図7の書込データバッファ7に相当)へ与えられる。このとき、テストデータMSとして、デフォルト値のデータ(“0”)を与える。これにより、メモリセルアレイ58におけるメモリセルの磁気抵抗素子の磁化特性と同じ特性のメモリセル60に、データ“0”が識別データとして格納される。メモリセルアレイ58において、論理データと物理データの論理レベルが不一致の場合には、メモリセル60からリードアンプ56を介して読出されるデータは論理“1”となり、レジスタ回路62に、データ“1”が格納される。応じて、データ反転制御信号PMSがHレベルに設定され、データスワップ回路52において、書込データバッファ50からの相補書込データの交換が行なわれる。
メモリセルアレイ58において、論理データと物理データの論理レベルが一致している場合には、メモリセル60からリードアンプ56を介してデータ“0”が読出される。応じて、レジスタ回路62からのデータ反転制御信号PMSはLレベルに設定され、データスワップ回路52における書込データの交換は行なわれない。
メモリセルアレイ58に配置されるメモリセルは、固定層の磁化方向はすべて同じである。したがって、メモリセル60も、メモリセルアレイ58の他のメモリセルの磁化特性と同じ磁化特性を有しており、確実に、このMRAMマクロにおいて、論理データと物理データの論理レベルの不一致が生じているかに応じて、データ反転制御信号PMSの論理レベルを設定することができる。
このメモリセル60へのデータの書込は、プロセス完了後のテスト工程時において最初に実行されて、以後、メモリセル60へのデータの書込は行なわれない。したがって、メモリセル60のアドレスとして、実使用時において用いられないアドレス領域のアドレスを使用することにより、正確に、物理データと論理データとの論理レベルの対応関係に応じて、書込データの内部での反転を行なうことができる。ただし、この場合、レジスタ回路62からのデータ反転制御信号PMSを設定するため、システム立上げ時においては常に、初期化シーケンスとして、このメモリセル60のデータを読出してレジスタ回路62に格納する操作が必要とされる。
図29は、このデータ反転制御信号PMSを発生する部分の他の構成を示す図である。図29において、データ反転制御信号発生部は、書込データバッファ50からの書込データを、テストモード活性化信号TENの活性化時格納するレジスタ回路64と、テストモード時、レジスタ回路64からのモード制御信号TESTに従ってデータ反転制御信号PMSを生成し、かつ通常動作モード時には、内部のヒューズ素子の状態に応じてデータ反転制御信号PMSの論理レベルを設定する反転制御データプログラム回路66を含む。
レジスタ回路64は、リセット信号RSTに従ってそのモード制御信号TESTがLレベルに設定される。
反転制御データプログラム回路66は、電源ノードに結合される溶断可能なリンク素子66aと、リンク素子66aと内部ノード66eの間に接続されかつそのゲートにモード制御信号TESTを受けるPチャネルMOSトランジスタ66bと、内部ノード66eと接地ノードの間に接続される高抵抗の抵抗素子66cと、内部ノード66eの電圧レベルに応じてデータ反転制御信号PMSを生成するインバータ66dを含む。
リンク素子66aは、製造工程完了時においては、導通状態にあり、対応のメモリセルの磁化特性に応じて、選択的に溶断される。具体的に、このリンク素子66aは、外部からの書込データと内部読出データの論理レベルが不一致のときに、溶断される。
図30は、この図29に示すデータ反転制御信号を発生する部分のプログラム動作を示すフロー図である。以下、図30を参照して、図29に示すデータ反転制御信号発生部の動作について説明する。
まずテスト工程時、最初にメモリセルアレイの任意のアドレスに、テストデータの書込を行なう(ステップS1)。この書込を行なったメモリセルからテストデータを読出す(ステップS2)。書込データと読出データの論理レベルが一致しているかの判定を行なう(ステップS3)。このステップS1からS3までのテスト動作においては、リンク素子66aは導通状態にあり、またモード制御信号TESTは、レジスタ回路64の初期設定によりLレベルに設定されており、データ反転制御信号PMSはLレベルである。したがって、内部書込データの反転を行わないデフォルト状態で、テストデータの書込および読出が行なわれる。
この書込データおよび読出データの論理レベルの一致/不一致判定結果に基づいてレジスタ回路64への状態設定データの書込が行なわれる。すなわちテストモード活性化信号TENを活性化し、論理レベルが不一致のときには、“1”のデータを書込み、論理レベルが一致しているときには、レジスタ回路64に“0”のデータを書込む。したがって、論理レベルが不一致のときには、モード制御信号TESTがHレベルに設定され、一致しているときには、モード制御信号TESTがLレベルに設定される(ステップS4)。これにより、論理レベルが不一致のときにはリンク素子66aが等価的に溶断された状態に設定され、データ反転制御信号PMSが、Hレベルに設定される。一方、書込データと読出データの論理レベルが一致しているときには、MOSトランジスタ66bはオン状態であり、データ反転制御信号PMSは、Lレベルに維持される。
この状態で、各テスト項目を行ない必要なテストを実行する(ステップS5)。
全テスト項目の完了後、メモリセルアレイの不良セルの救済を行なうための冗長置換などの不良アドレスプログラム時に、リンク素子66aのプログラムを実行する。すなわち、ステップS3における一致判定結果に基づいて、リンク素子66aを選択的に溶断する(ステップS6)。これにより、必要なテスト工程がすべて完了する。
実使用時においては、初期化時にリセット信号RSTにより、レジスタ回路64は、モード制御信号TESTをLレベルに設定する。内部ノード66eの電圧レベルは、リンク素子66aの溶断/非溶断状態に応じてHレベルまたはLレベルに設定され、応じて、データ反転制御信号PMSの論理レベルが設定される。
この図29に示す構成の場合、テスト工程時においてメモリセルアレイの任意のアドレスにテストデータの書込および読出を行なうことができ、このデータ反転制御のために特別なアドレス領域を設ける必要はない。また、複数のメモリセルに対しテストデータの書込および読出を行なうことにより、不良セルの影響を受けることなく正確に、データ反転操作を行なう必要があるか否かの判定を行なうことができる。また、リンク素子66aのプログラム後は、データ反転制御信号PMSの電圧レベルは実使用時固定的に設定されるため、初期化シーケンスにおいて、新たに、メモリセルからデータ反転制御のためにデータを読出す必要がなく、初期化シーケンスは簡略化される。
図31は、データ反転制御信号PMSを発生する部分のさらに他の構成を示す図である。図31において、データ反転制御信号発生部は、メモリセルアレイ68の外部に、ビット線BLと平行に配置される信号線70と、デジット線DLと平行に配置される信号線71と、信号線70および71の交差部に対応して配置される磁気抵抗素子72を含む。この磁気抵抗素子72は、メモリセルアレイ68内に配置される磁気抵抗素子VRと同一方向に整列して配置されかつ同一形状を有する(サイズは異なっていてもよい)。
データ反転制御信号発生部は、さらに、信号線70の一端に設けられ、テストモード指示信号/TEST1の活性化時導通し、信号線70に電流を供給するPチャネルMOSトランジスタ73と、信号線70の他端に配置され、テストモード指示信号TEST1の活性化時導通して信号線70を接地電圧レベルに駆動するNチャネルMOSトランジスタ74と、電源投入検出信号PORとテストモード指示信号TEST2とを受けるORゲート79と、ORゲート79の出力信号に従って磁気抵抗素子72の固定層を接地ノードに結合するNチャネルMOSトランジスタ78を含む。
MOSトランジスタ73および74は、メモリセルアレイ68のビット線BLの両端に設けられるビット線電流ドライバのレプリカ回路を構成し、メモリセルアレイ68においてデフォルト状態時にデータ“0”を書込むときにビット線BLを流れる電流と同一方向に信号線70に電流を流す。信号線71は、他端が接地ノードに結合されており、デジット線DLを流れるデジット線電流と同じ大きさの電流がMOSトランジスタ75により供給される。したがって磁気抵抗素子72は、メモリセルアレイ68における磁気抵抗素子VRがデフォルト状態時においてデータ“0”を書込むときと同じ方向に、その自由層が磁化される。磁気抵抗素子VRおよび72の固定層は、同一方向に磁化される。
MOSトランジスタ78は、メモリセルのアクセストランジスタのレプリカトランジスタである。電源投入検出信号PORは、電源投入時、電源電圧が安定化するとワンショットパルスの形態で発生され、すなわち、電源電圧が安定化すると所定期間Hレベルに設定される。
データ反転制御信号発生部は、さらに、電源投入検出信号PORの活性化時、信号線70を流れる電流の大きさを検出する電流センス回路76と、電流センス回路76の出力信号をラッチしてデータ反転制御信号PMSを生成するラッチ回路77を含む。磁気抵抗素子72の固定層は、テストモード指示信号TEST2の活性化時導通するNチャネルMOSトランジスタ78を介して接地ノードに結合される。電流センス回路76は、図28に示すリードアンプ56と同様の構成を備え、活性化時信号線70に電流を供給し、この磁気抵抗素子72を介して信号線70から接地ノードへMOSトランジスタ78を介して電流が流れるかを判定し、その検出結果に応じた信号を生成する。
図32は、図31に示すデータ反転制御信号発生部の動作を示す信号波形図である。以下、図32を参照して図31に示すデータ反転制御信号発生部の動作について説明する。
製造プロセス工程完了後、テストモード指示信号TEST1および/TEST1を活性状態に設定し、信号線70に電流を流し、磁気抵抗素子72の自由層をデフォルト状態時におけるデータ“0”を格納する状態に設定する。このとき、テストモード指示信号TEST2および電源投入検出信号PORは非活性状態であり、MOSトランジスタ78は非導通状態である。
次いで、テストモード指示信号TEST2を活性化する。応じて、可変磁気抵抗素子72の固定層は、MOSトランジスタ78を介して接地ノードに結合され、また、電流センス回路76が活性化され、信号線70に電流を供給し、このビット線に対応する信号線70を流れる電流の大小を検出する。磁気抵抗素子72が、データ“0”を格納する状態のときには、ラッチ回路77に、Lレベルの信号が格納され、ラッチ回路77からのデータ反転制御信号PMSがLレベルに設定される。一方、磁気抵抗素子72がデータ“1”を格納する状態のときには、電流センス回路76の出力信号に従ってラッチ回路77にHレベルの信号が格納され、データ反転制御信号PMSはHレベルに設定される。
信号線70および71をビット線BLおよびデジット線DLのレプリカ信号線として利用し、また、磁気抵抗素子72を、メモリセルアレイ68内の磁気抵抗素子VRのレプリカ素子として利用し、さらに、MOSトランジスタ73および74をビット線電流ドライバのレプリカ回路として利用することにより、メモリセルアレイ68において、デフォルト状態時において、正確に、書込データと読出データの論理レベルが一致しているかの判定を行なうことができる。
実使用時の通常モードにおいては、電源投入検出信号PORに従ってORゲート79の出力信号がHレベルとなり、MOSトランジスタ78が導通し、磁気抵抗素子72の固定層が接地ノードに結合される。したがって、電源投入時、電源電圧が安定化した後、電流センス回路76が活性化されて、磁気抵抗素子72の記憶データに応じてラッチ回路77のラッチ信号の論理レベルが設定され、応じて、データ反転制御信号PMSの論理レベルが設定される。
磁気抵抗素子72を、メモリセルアレイ68における磁気抵抗素子VRのレプリカ素子として利用する場合、メモリセルアレイ68の外部の空き領域に信号線70および71がビット線BLおよびデジット線DLとそれぞれ平行となるように配置されてもよい。またこれに代えて、以下の構成が利用されてもよい。すなわち、通常、メモリセルアレイ68の周辺部において、メモリセルのパターンの繰返し性を維持し、正確に、メモリセルのパターニングを行なうために、形状ダミーセルが配置される。このメモリセルアレイ68の周辺部に配置される形状ダミーセルを、データ反転制御用セルとして利用することにより、ビット線BLおよびデジット線DLと平行な形状ダミービット線および形状ダミーデジット線を容易に実現することができる。
また、上述の説明において、デフォルト状態がデータ反転制御信号PMSがLレベルであり、データ“0”を書込み、読出データの論理レベルに従っ、データ反転制御信号PMS論理レベルを設定している。しかしながら、データ“1”を書込み、その書込データと読出データとの論理レベルの一致/不一致に従って、データ反転制御信号PMSの論理レベルが設定されてもよい。
[変更例]
図33は、実施の形態5に従う磁気メモリ装置の変更例の構成を示す図である。図33に示すMRAMマクロにおいては、外部からの書込データDに従って、書込バッファ50により内部書込データが生成され、メモリセルアレイ80に対するデータの書込が行われる。書込データの論理反転操作は実行されない。
リードアンプ56は、メモリセルアレイ80からの選択メモリセルのデータを増幅する。したがって、このMRAMマクロにおいて、メモリセルアレイ80において、論理データと物理データの論理レベルの一致/不一致に従ってリードアンプ56の出力データを選択的に反転する必要がある。このため、リードアンプ56の出力部に、リードアンプ56の出力信号を受けるインバータ82と、データ反転制御信号PMSおよびPMSZに従って選択的にインバータ82の出力信号を反転するトライステートインバータバッファ84と、相補データ反転制御信号PMSおよびPMSZに従ってリードアンプ56の出力信号を反転して読出データQを生成するトライステートインバータバッファ86が設けられる。トライステートインバータバッファ84および86の出力は共通に結合される。
データ反転制御信号PMSがLレベルのときには、トライステートインバータバッファ84が活性化され、トライステートインバータバッファ86が出力ハイインピーダンス状態に設定される。一方、データ反転制御信号PMSがHレベルのときには、トライステートインバータバッファ84が出力ハイインピーダンス状態に設定され、トライステートインバータバッファ86が活性化される。したがって、データ反転制御信号PMSがLレベルのときには、リードアンプ56の出力信号と同じ論理レベルの出力データQが生成され、一方、データ反転制御信号PMSがHレベルのときには、リードアンプ56の出力信号の論理レベルを反転したデータが出力データQとして生成される。
外部からの書込データ(論理データ)Dが、メモリセルアレイ80において反転して物理データとして記憶されている場合においても、リードアンプ56の出力データを反転することにより、外部では、読出データと書込データの論理レベルが一致しており、等価的に、論理データと物理データの一貫性を維持することができる。
なお、データ反転制御信号PMSおよびPMSZは、互いに相補な信号である。データ反転制御信号PMSを発生する回路構成としては、先の図28から図32を参照して説明した手法を利用することができる。
なお、上述の説明においては、システム・オン・チップを実現するために、複数のMRAMマクロが、用いられている。しかしながら、1つのMRAMマクロを単体で使用する場合においても、磁気抵抗素子の固定磁化層の磁化プロセスが完了した後に行われるウェハテスト時に、そのウェハプロセスにおける固定層の磁化方向を反映したデータの反転/非反転の設定を行なうことにより、この固定層の磁化方向にかかわらず、常に書込データと読出データの論理レベルを一致させることができる。これにより、回路設計時に、データ極性の反転/非反転を考慮する必要がなくなり、データ反転制御信号を発生する回路部分を含むMRAMマクロをライブラリとして登録することにより、このライブラリ化されたMRAMマクロをベースとして、記憶容量およびデータビット幅が異なる他品種の磁気メモリ装置の展開が容易に行なうことができ、設計効率を改善することができる。
[実施の形態6]
図34は、この発明の実施の形態6に従う磁気メモリ装置の要部の構成を示す図である。図34においては、図7に示すビット線書込電流制御回路6Aおよび6Bの部分の1つのビット線BLに対する構成を示す。図34に示すビット線書込電流制御部の構成が、各ビット線BLに対して設けられる。ビット線BLの両端に対向して、ビット線電流ドライバBDVlおよびBDVrが設けられる。ビット線電流ドライバBDVlは、電源ノードとビット線BLの間に接続されるPチャネルMOSトランジスタPT1と、ビット線BLと接地ノードの間に接続されるNチャネルMOSトランジスタNT1を含む。ビット線電流ドライバBDVrは、電源ノードとビット線BLの間に接続されるPチャネルMOSトランジスタPT2と、ビット線BLと接地ノードの間に接続されるNチャネルMOSトランジスタNT2を含む。
ビット線書込電流制御回路6Aは、コラムデコーダからの列選択信号CSLに従ってタイミング制御信号CSLPおよび/CSLNを生成するタイミング制御回路90lと、書込データバッファからの書込データWDATAとタイミング制御信号CSLPとを受けてPチャネルMOSトランジスタPT1のゲートを駆動するNANDゲート92lと、書込データWDATAとタイミング制御信号/CSLNとを受けてMORトランジスタNT1のゲートを駆動するNORゲート94lを含む。NORゲート94lへは、一方動作電源電圧として、電源電圧Vddと接地電圧GNDの間の中間電圧レベルの電圧Vblnが与えられる。
ビット線書込電流制御回路6Bは、列選択信号CSLに従ってタイミング制御信号CSLPおよび/CSLNを生成するタイミング制御回路90rと、補の書込データ/WDATAとタイミング制御信号CSLPとを受けてMOSトランジスタPT2のゲートを駆動するNANDゲート92rと、書込データ/WDATAとタイミング制御信号/CSLNとを受けてMOSトランジスタNT2のゲートを駆動するNORゲート94rを含む。NORゲート94rに対しても、一方動作電源電圧として中間電圧Vblnが与えられる。
図35は、図34に示すビット線書込電流制御回路の動作を示す信号波形図である。以下、図35を参照して、図34に示すビット線電流ドライバおよびビット線書込電流制御回路の動作について説明する。
データ書込時、書込データバッファからの内部書込データWDATAがHレベルに設定され、また補の書込データ/WDATAがLレベルに設定される状態を考える。
時刻t1以前においては、列選択信号CSLはLレベルであり、タイミング制御回路90lおよび90rからのタイミング制御信号CSLPおよび/CSLNは、それぞれ、LレベルおよびHレベルである。この状態においては、NANDゲート92lおよび92rの出力信号はHレベル、NORゲート94lおよび94rの出力信号はLレベルである。したがって、ビット線電流ドライバBDVlおよびBDVrは、MORトランジスタPT1、PT2、NT1およびNT2がすべてオフ状態であり、出力ハイインピーダンス状態にある。
時刻t1において、列選択信号CSLが選択状態へ駆動され、応じて、タイミング制御回路90lおよび90rからのタイミング制御信号CSLPがHレベルに立上がる。内部書込データWDATAがHレベルであり、NANDゲート92lの出力信号がLレベルとなり、ビット線電流ドライバBDVlにおいて、MOSトランジスタPT1がオン状態となり、ビット線BLへ電流が供給される。ビット線電流ドライバBDVrにおいては、MOSトランジスタPT2およびNT2はともにオフ状態であり、ビット線BLは、電源電圧レベルにまで充電される。このビット線BLへの充電動作時、ビット線書込電流Ibpはビット線BLが電源電圧レベルに充電されるまで大きく流れ、ビット線BLの電圧レベルが電源電圧レベルで安定化すると、ビット線書込電流Ibpは、0Vとなる。ビット線充電時の電流は、単にビット線の寄生容量を充電するだけであり、そのピーク電流は十分に抑制される。
ここで、図35において、ビット線BLの電位が、ビット線BLにおける任意の点における電圧波形を示す。ビット線BLの電圧が、電源電圧Vddレベルよりも上昇した後に、低下するのは、ビット線BLの寄生抵抗および寄生容量によるリンギングに起因する。
時刻t2において、タイミング制御回路90lおよび90rからのタイミング制御信号/CSLNがLレベルとなる。応じて、NORゲート94rの出力信号がHレベルとなり、ビット線電流ドライバBDVrにおいてMOSトランジスタNT2がオン状態となり、ビット線BLに、MOSトランジスタPT1およびNT2を介して電流Ibpが流れる。このとき、NORゲート90rの動作電源電圧は中間電圧Vblnレベルであり、MOSトランジスタNT2の電流駆動力は、そのゲート−ソース間電圧(=Vbln)により制御されており、ビット線BLを流れる電流は、このMOSトランジスタNT2の電流駆動力により制御され、それ以上大きな電流は流れない。ビット線書込電流Ibpが、MOSトランジスタNT2が制御するレベルで安定化した状態で、メモリセルへのデータの書込が行われる。
時刻t3において、タイミング制御回路90lおよび90rからのタイミング制御信号CSLPがLレベルとなり、NANDゲート92lの出力信号がHレベルとなる。応じて、ビット線電流ドライバBDVlのMOSトランジスタPT1がオフ状態となる。したがって、この状態においては、ビット線BLへの電流供給が停止され、ビット線書込電流Ibpは流れず、またビット線BLは、ビット線電流ドライバBDVrのMOSトランジスタNT2により、接地電圧レベルへ放電される。これにより、ビット線BLの接地電圧レベルへのプリチャージを実行する。
時刻t4において、タイミング制御信号/CSLNがHレベルとなり、ビット線電流ドライバBDVrにおいてMOSトランジスタNT2がオフ状態となり、ビット線BLのプリチャージ動作が完了する。
MOSトランジスタPT1およびNT2を異なるタイミングで導通状態(オン状態)に駆動することにより、ビット線に大きなピーク電流が流れるのを抑制することができる。特に、NANDゲート92lまたは92rの出力信号の変化速度を小さくことにより、この充電用のMOSトランジスタPT1およびPT2の供給電流の変化速度を低減でき、ビット線充電時のピーク電流を抑制することができる。また、ビット線放電時においては、その電流駆動力が中間電圧Vblnにより抑制されたMOSトランジスタNT1またはNT2によりビット線を放電しており、MOSトランジスタNT1またはNT2が、定電流源として機能し、ビット線書込電流Ibpが、所定値以上に流れるのを抑制することができる。
したがって、図36に示すように、ビット線BLaにおいて、磁気抵抗素子VRaへのデータ書込時ビット線ピーク電流が大きい場合、隣接ビット線BLbへ磁場がリークし、この隣接ビット線BLbにおける磁気抵抗素子VRbの磁化方向を変化させる状態が生じる可能性がある。上述のようにビット線ピーク電流を低減することにより、隣接ビット線BLbの磁気抵抗素子VRbのしきい値以上の磁場Hが印加されるのを防止することができる。これにより、選択メモリセルへのデータ書込時、隣接非選択メモリセルのデータが反転する磁気ディスターバンスが発生するの防止することができる。
また、ビット線電流ドライバBDVlおよびBDVrにおいて、放電用のMOSトランジスタNT1またはNT2を、充電用のMOSトランジスタPT2またはPT1がオフ状態へ移行した後にオフ状態へ移行させることにより、ビット線BLを確実に接地電圧レベルにプリチャージすることができる。これにより、ビット線BLを接地電圧レベルにプリチャージするための回路が不要となり、ビット線電流ドライバが配置されるビット線電流ドライバ帯の面積を低減することができる。
また、タイミング制御回路90lおよび90rは、列選択信号CSLの非活性化タイミングに応じて、それぞれの内部回路構成が適宜定められる。一例として、時刻t3において列選択信号CSLが非選択状態へ移行する場合には、タイミング制御信号CLSPは、列選択信号CSLを受けるバッファ回路により生成され、タイミング制御信号/CSLNは、列選択信号を受ける反転遅延回路により生成される。一方、時刻t4において列選択信号CSLが非活性化されるときには、一例として、タイミング制御信号CSLPは、列選択信号CSLの活性化に応答して所定期間Hレベルとなるワンショットパルス発生回路で生成され、またタイミング制御信号/CSLNは、列選択信号CSLの活性化を所定期間遅延する立上がり遅延回路と、この立上がり遅延回路の出力信号を反転するインバータとで構成される回路により生成される。
また、ビット線電流ドライバBDVlおよびBDVrにおいて充電用のMOSトランジスタPT1およびPT2のゲートのLレベルへの駆動速度を遅くする構成は、NANDゲート92lおよび92rの放電用トランジスタの電流駆動力を小さくすることにより実現される。
以上のように、この発明の実施の形態6に従えば、ビット線電流ドライバの充電用のMOSトランジスタと放電用のMOSトランジスタの導通状態への移行タイミングを異ならせており、ビット線書込電流とビット線および電源ノードの寄生容量からの充填電流とを分離することができ、このビット線を流れるピーク電流を所定値以下に抑制することができる。この結果、隣接メモリセルのデータが誤って反転される磁気ディスターバンスが発生するのを防止することができる。また、放電用のMOSトランジスタを遅いタイミングで非導通状態へ移行させることにより、選択ビット線が非選択状態時確実に、接地電圧レベルにプリチャージすることができ、プリチャージ回路が不要となり、ビット線電流ドライバ帯の面積を低減することができる。
[実施の形態7]
図37は、この発明の実施の形態7に従う、ビット線書込電流制御回路の構成を示す図である。図37において、ビット線書込電流制御回路6Aは、列選択信号CSLに従ってタイミング制御信号CSLPおよび/CSLNを生成するタイミング制御回路100lと、内部書込データWDATAとタイミング制御信号CSLPを受けるNANDゲート102lと、内部書込データWDATAとタイミング制御信号/CSLNを受けるNORゲート104lを含む。NANDゲート102lは、電源電圧Vddと中間電圧Vblpを動作電源電圧として動作し、したがって、ビット線電流ドライバBDVlのPチャネルMOSトランジスタPT1は導通時、ソース−ゲート間電圧が電源電圧Vddよりも小さくなり、導通の度合が小さくされ、電流駆動力が制限される。NORゲート104lは、電源電圧と接地電圧を動作電源電圧として受ける。
ビット線書込電流制御回路6Bも、同様、列選択信号CSLに従ってタイミング制御信号CSLPおよび/CSLNを生成するタイミング制御回路100rと、補の内部書込データ/WDATAとタイミング制御信号CSLPを受けるNANDゲート102rと、補の内部書込データ/WDATAとタイミング制御信号/CSLNを受けるNORゲート104rを含む。NANDゲート102rは、電源電圧Vddと中間電圧Vblpを動作電源電圧として受け、NORゲート104rは、電源電圧と接地電圧を動作電源電圧として受ける。したがって、ビット線電流ドライバBDVrにおいても、MOSトランジスタPT2の導通時の導通の度合が小さくされ、その駆動電流量が制限される。
ビット線電流ドライバBDVlおよびBDVrは、図34に示すビット線電流ドライバBDVlおよびBDVrと同一構成を有し、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
図38は、図37に示すビット線書込電流制御回路の動作を示す信号波形図である。以下、図38を参照して、図37に示すビット線書込電流制御回路6Aおよび6Bの動作について説明する。
書込データWDATAはHレベル、補の内部書込データ/WDATAはLレベルとする。列選択信号CSLが非活性状態のときには、タイミング制御信号/CSLNがHレベル、タイミング制御信号CSLPはLレベルであり、ビット線電流ドライバBDVlおよびBDVrは、出力ハイインピーダンス状態にある。
時刻t10において、列選択信号CSLの活性化に従って、まず、タイミング制御回路100lおよび100rからのタイミング制御信号/CSLNがLレベルに立下がる。応じて、NORゲート104rの出力信号がHレベルとなり、ビット線電流ドライバBDVrのMOSトランジスタNT2がオン状態となり、ビット線BLは、接地ノードに結合される。このとき、残りのMOSトランジスタPT1、NT1およびPT2はオフ状態であり、ビット線BLにおいては電流は流れない。この状態においては、ビット線BLの寄生容量の接地電圧レベルへの放電が実行されるだけであり、ビット線電流は流れない。
時刻t11において、タイミング制御信号CSLPがHレベルとなり、NANDゲート102lの出力信号がHレベルからローレベルに立下がる。NANDゲート102lのローレベル電位は、中間電圧Vblpレベルであり、ビット線電流ドライバBDVlのMOSトランジスタPT1は、導通するものの、その導通の度合は弱く、制限された電流駆動力で電源ノードからビット線へ電流を供給する。MOSトランジスタPT1からビット線BLへの書込電流Ibpの供給時において、ビット線BLの寄生容量の充電および放電が行われる場合であっても、また、電源ノードの寄生容量が存在し、その充電電荷が放電される場合においても、MOSトランジスタPT1の電流駆動量は制限されており、ビット線書込電流Ibpが緩やかに上昇して、MOSトランジスタPT1が規定する電流量にまで増加する。応じて、ビット線BLの電位が緩やかに上昇する。
ビット線書込電流Ibpが一定値となり、所定期間経過した後、タイミング制御信号CSLPがLレベルとなり、NANDゲート102lの出力信号が電源電圧Vddレベルとなり、MOSトランジスタPT1がオフ状態となる。ビット線電流ドライバBDVrにおいては、MOSトランジスタNT2がオン状態にあるため、ビット線BLは接地電圧レベルにまで放電される。
時刻t13において、タイミング制御信号/CSLNがHレベルとなり、MOSトランジスタNT2がオフ状態となり、ビット線電流ドライバBDVlおよびBDVrはともに出力ハイインピーダンス状態となる。
列選択信号CSLは、一例として、時刻t12からt13の間のタイミング、例えば、時刻t12またはt13のタイミングで非活性化される。
図37に示す構成のように、ビット線電流ドライバにおいて充電トランジスタの電流駆動力を制御することにより、ビット線BLにおいて分布して存在する寄生容量の充放電により大きなピーク電流が流れるのを防止することができ、隣接非選択メモリセルにおける誤書込を防止することができる。
なお、この図37に示す構成においても、タイミング制御回路100lおよび100rは、列選択信号CSLの活性/非活性化タイミングに応じてその回路構成が定められる。たとえば、列選択信号CSLが時刻t12のタイミングで非活性される場合には、タイミング制御信号CSLPは、立上がり遅延回路より生成され、タイミング制御信号/CSLNは、列選択信号CSLの立下がりを遅延する立下がり遅延回路と、この立下がり遅延の出力信号を反転するインバータとにより生成される。時刻t13のタイミングで、列選択信号CSLが非活性化される場合には、タイミング制御信号CSLPは、列選択信号CSLの活性化から所定期間遅延した後に、所定期間Hレベルとなるワンショットパルス信号を発生するワンショットパルス発生回路により生成される。タイミング制御信号/CSLNは、この列選択信号CSLを受けるインバータにより生成される。
以上のように、この発明の実施の形態7に従えば、ビット線電流ドライバにおいて放電トランジスタをオン状態へ駆動した後に、充電トランジスタをその電流駆動量が制御された状態でオン状態へ駆動しており、電源ノードの寄生容量の充電電荷の突入を抑制でき、またビット線の寄生容量および寄生インダクタンスによるピーク電流を抑制でき、磁気ディスターバンスの発生を抑制することができる。また、ビット線放電用トランジスタを、充電動作完了後も、その大きな駆動力でオン状態に維持しており、確実に、ビット線BLを接地電圧レベルにプリチャージすることができ、次の列選択サイクル開始タイミングを早くすることができる。
[実施の形態8]
図39は、この発明の実施の形態8に従う磁気メモリ装置の要部の構成を示す図である。図39においては、デジット線DLに対して設けられるデジット線電流ドライバ110をさらに示す。でジット線ドライバ110は、デジット線イネーブル信号DLEの活性化に従って活性化され、デジット線DLに電流を供給する。
ビット線BLに対して設けられるビット線電流ドライバBDVlおよびBDVrとビット線書込電流制御回路6Aおよび6Bの構成は、図34に示す構成と同じであり、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
デジット線DLとビット線BLの交差部に対応して、メモリセルの磁気抵抗素子VRが配置される。
図40は、この図39に示す構成の動作を示す信号波形図である。以下、図40を参照して、図39に示す構成のデータ書込動作について説明する。
内部書込データWDATAがHレベルであり、補の内部書込データ/WDATAはLレベルとする。
非選択状態においては、ビット線電流ドライバBDVlおよびBDVrは、ともに出力ハイインピーダンス状態であり、また、デジット線電流ドライバ110は非活性状態にあり、デジット線DLは接地電圧レベルに維持される。
時刻t20において、列選択信号CSLの活性化に従って、タイミング制御回路90lおよび90rからのタイミング制御信号CSLPがHレベルに立上がり、応じて、NANDゲート92lの出力信号がLレベルに立下がる。この結果、ビット線電流ドライバBDVlにおいて、MOSトランジスタPT1が導通し、ビット線BLへ電流Ibpが供給される。この場合、ビット線BLの寄生容量充電時において、電源ノードの寄生容量からの充電電荷が供給され、比較的大きなビット線書込電流Ibpが流れる。このビット線充電時のビット線ピーク電流は、図34に示す構成と同様、抑制される。しかしながら、図40においては、デジット線電流の影響を示すために、このビット線ピーク電流を誇張して示す。
ビット線BLの電圧レベルが上昇し、電源電圧レベルに到達し、電源電圧レベルで安定化すると、ビット線書込電流Ibpが0Vとなる。ビット線書込電流Ibpが0Vとなった後、時刻t21のタイミングで、デジット線イネーブル信号DLEを活性化する。応じて、デジット線電流ドライバ110が、図示しないロウデコーダからの行選択信号RXSに従って活性化され、デジット線DLへ電流を供給する。デジット線電流Idlが、一定の電流レベルとなった後に、時刻t22のタイミングで、タイミング制御信号/CSLNを活性化し、ビット線電流ドライバBDVrにおいてMOSトランジスタNT2を活性化し、ビット線BLへビット線書込電流Ibpを流す。
これらのビット線書込電流Ibpおよびディジット電流Idlにおいて、ピーク電流発生時のタイミングは互いに異ならされており、これらのピーク電流は、同時に発生しない。したがって、ビット線書込電流Ibpのピーク電流による磁場と、デジット線電流Idlのピーク電流の誘起する磁場とが合成されて、大きな合成磁場が、同一デジット線DLに接続される非選択隣接メモリセルに印加されるのを防止でき、隣接メモリセルにおいて誤書込が生じるのを防止することができる。
タイミング制御信号CSLPおよび/CSLNとデジット線イネーブル信号DLEの非活性化タイミングも、同様、異なるタイミングに設定される。図40においては、タイミング制御信号CSLPが非活性化された後に、デジット線イネーブル信号DLEが非活性化され、続いて、タイミング制御信号/CSLNが非活性化される。この場合、デジット線DLの非選択状態移行時に、ビット線BLは、放電トランジスタにより、接地電圧レベルに維持されており、容量結合によりビット線BLの電位が変化するのは防止される。デジット線DLが非選択状態へ移行した後に、ビット線BLをフローティング状態に設定する。
図41は、図39に示す構成のデータ書込時のメモリセルに対する印加磁場を模式的に示す図である。この図41に示すアステロイド特性線において、横軸にビット線BLを流れるビット線書込電流Ibpが誘起する磁場H(BL)を示し、縦軸にデジット線DLを流れるデジット線電流Idlが誘起する磁場H(DL)を示す。
アステロイド特性線においてはその曲線が、メモリセルの磁化反転のしきい値の磁場強度を示す。ビット線書込電流Iblのピーク電流と、デジット線BLの電流が合成された場合、図41における磁場HAが生成され、選択メモリセルの磁場は反転する。このとき、隣接セルにおいて、ビット線書込電流Ibpにより磁場HBが印加され、デジット線電流Idlによる磁場が発生されると、合成磁場HCが隣接セルに印加される。この場合、隣接セルにおいて、磁化状態の反転が生じ、データの誤書込が生じる。ビット線書込電流Ibpが0のときにデジット線電流Idlを供給することにより、ビット線書込電流Ibpのピーク電流発生時、隣接メモリセルには、磁場HBが印加されるだけであり、隣接セルのデータの誤反転は防止される。
データ書込時において、ビット線電流Ibpが流れ、また、デジット線電流Idlが流れる場合、選択メモリセルにおいて、磁場HCから磁場HAの間の強度の磁場が印加され、一方、隣接メモリセルに対しては、磁場HDが印加され、隣接メモリセルにおける磁気抵抗素子の磁場反転は生じない。
また、デジット線電流Idlが安定化した後に、ビット線BLにビット線書込電流Ibpを流すことにより、このデジット線電流Idlのピーク電流による隣接セルの磁場誤反転が生じるのを防止することができる。
図42は、デジット線イネーブル信号DLE、タイミング制御信号CSLPおよび/CSLNを発生する部分の構成の一例を概略的に示す図である。図42において、タイミング制御信号発生回路90を、タイミング制御回路90lおよび90rの代表として示す。図42において、制御信号発生部は、外部からのクロック信号CLKとデータ書込を示すライトコマンドWRITEとに従ってコラムデコーダイネーブル信号CDEを生成するモード検出回路120と、モード検出回路120からのコラムデコーダイネーブル信号CDEの活性/非活性化タイミングを調整することによりデジット線イネーブル信号DLEを生成する遅延制御回路124を含む。コラムデコーダイネーブル信号CDEは、コラムデコーダ122へ与えられる。このコラムデコーダ122は、図7に示すコラムデコーダ8に対応する。
タイミング制御回路90は、コラムデコーダ122からの列選択信号CSLに従ってタイミング制御信号CSLPを生成するCSLP発生回路125と、タイミング制御信号CSLPの活性/非活性のタイミングを調整してタイミング制御信号/CSLNを生成する遅延制御回路127を含む。CSLP発生回路125はバッファ回路で構成されてもよく、またワンショットのパルス発生回路で構成されてもよく、また遅延回路で構成されてもよい。
遅延制御回路124においては、タイミング制御信号CSLPおよび/CSLNの活性化の間のタイミングでデジット線イネーブル信号DLEが活性化され、また、タイミング制御信号CSLPおよび/CSLNの非活性化の間のタイミングでデジット線イネーブル信号DLEが非活性化されるように、コラムデコーダイネーブル信号CDEの活性化および非活性化に対する遅延時間が設定される。これにより、タイミング制御信号CSLP、デジット線イネーブル信号DLEおよびタイミング制御信号/CSLNの順で順次活性化し、また、非活性化することができる。
以上のように、この発明の実施の形態8に従えば、ビット線電流ドライバの放電用トランジスタのゲート電位を調整してビット線電流を制限し、また充電用のトランジスタを放電用トランジスタよりも先に活性化することにより、寄生容量(ビット線および電源ノード)の充電電流とビット線書込電流とを分離することができ、ビット線書込電流のピーク電流を抑制することができる。また、このデジット線へ電流を供給するタイミングを、ビット線の充電動作完了後に設定することにより、ビット線ピーク電流の誘起磁場とデジット線ピーク電流の誘起磁場の合成磁場が隣接メモリセルへ供給されて、隣接非選択セルの記憶データの反転を生じさせるのを防止することができる。
なお、CSLP発生回路125の構成は、列選択信号CSLとタイミング制御信号CSLPの活性化期間の関係において適宜定められる。
[実施の形態9]
図43は、この発明の実施の形態9に従うビット線電流制御回路部の構成を概略的に示す図である。図43において、3本のビット線BL0−BL2に対して設けられる回路部分の構成を代表的に示す。ビット線書込電流制御回路6Aは、ビット線BL0−BL2それぞれに対して設けられる電流ドライバCDA0−CDA2と、ビット線BL0−BL2それぞれに対して設けられ、対応のビット線の選択時には、書込データに応じた方向に電流を駆動し、かつ隣接ビット線の選択時、選択隣接ビット線と逆方向に電流を駆動する電流ドライバ回路CKB0−CKB2と、電流ドライバCDA0−CDA2それぞれに対応して設けられるデータデコーダDDCA0−DDCA2と、電流ドライバ回路CKB0−CKB2それぞれに対応して設けられるデータデコーダDDCB0−DDCB2を含む。
データデコーダDDCAi(i=0−2)は、書込データWDATAと対応の列選択信号CSLA<i>に従ってビット線活性化信号BLEA<i>を生成して対応の電流ドライバCDAiへ伝達する。データデコーダDDCBi(i=0−2)は、内部書込データWDATAと第2の列選択信号CSLB<i>とに従ってビット線活性化信号BLEB<i>を生成して、対応の電流ドライバ回路CKBiと隣接する電流ドライバ回路CKB(i−1)およびCKB(i+1)へ供給する。
電流ドライバ回路CKB0−CKB2は、対応のビット線BL0−BL2の選択時には、対応のビット線イネーブル信号BLEB<0>−BLEB<2>に従って対応のビット線BL0−BL2へ電流を供給する。一方、電流ドライバ回路CKB0−CKB2は、隣接ビット線の選択時には、隣接ビット線の電流ドライバおよび電流ドライバ回路が駆動する電流の方向と逆方向に電流を駆動する。
ビット線書込電流制御回路6Bは、同様、ビット線BL0−BL2それぞれに対して設けられる電流ドライバCDC0−CDC2と、ビット線BL0−BL2それぞれに対して設けられる電流ドライバ回路CKD0−CKD2と、電流ドライバCDC0−CDC2それぞれに対応して設けられるデータデコーダDDCC0−DDCC2と、データデコーダDDCD0−DDCD2を含む。
データデコーダDDCCi(i=0−2)は、補の内部書込データ/WDATAと対応の列選択信号CSLA<i>とに従ってビット線イネーブル信号BLEC<i>を生成する。データデコーダDDCDi(i=0−2)は、補の内部書込データ/WDATAと第2の列選択タイミング信号CSLB<i>に従って第2のビット線イネーブル信号BLED<i>を生成する。ビット線イネーブル信号BLEC<i>により、電流ドライバCDCiの活性/非活性が設定される。
電流ドライバ回路CKDiは、対応のビット線イネーブル信号BLED<i>の選択時には、補の内部書込データ/WDATAが決定する方向にビット線電流を駆動し、隣接ビット線に対するビット線イネーブル信号BLED<i−1>またはBLED<i+1>の選択時には、補の内部書込データ/WATAが決定する方向と逆方向にビット線電流を駆動する。
すなわち、この発明の実施の形態9においては、ビット線選択時、選択ビット線に隣接する非選択ビット線においては、ビット線書込電流と逆方向にキャンセル電流を流してキャンセル磁場を生成して、選択ビット線からのリーク磁場の影響を相殺する。
図44は、この図43に示すビット線書込電流制御回路の6Aおよび6Bの動作を示す信号波形図である。以下、図44を参照して、図43に示すビット線書込電流制御回路6Aおよび6Bの動作について説明する。
いま、内部書込データWDATAがHレベルであり、補の内部書込データ/WDATAがLレベルであり、また、ビット線BL1が選択される状態を考える。
書込が始まる前の時刻t30以前においては、列選択信号CSLB<1>およびCSLA<1>はともにLレベルである。この状態において、図45に示すように、電流ドライバ回路CKB0−CKB2は、出力ハイインピーダンス状態にあり、ビット線BL0−BL2は、プリチャージ状態に維持される。
時刻t30において列選択信号CSLB<1>がHレベルに立上がると、データデコーダDDCB1からのビット線イネーブル信号BLEB<1>が選択状態へ駆動され、電流ドライバ回路CKB1が、ビット線BL1に内部書込データWDATAに応じた方向に電流を駆動する。一方、隣接ビット線BL0およびBL2に対して設けられた電流ドライバ回路CKB0およびCKB2は、この選択ビット線BL1の電流と逆方向に電流を流す。すなわち、図46に示すように、ドライバ回路CKB1およびCKD1においてビット線BL1に、右方向にビット線電流Ibppが流れるとき、ビット線BL0およびBL2には、逆方向に、キャンセル電流Icaが流れる。ここで、図46においては、ビット線電流ドライバ回路CKB0−CKB2およびCKD0−CKD2が、ドライバ回路の上側がPチャネルMOSトランジスタで構成されて下側がNチャネルMOSトランジスタで構成されるCMOSインバータで構成され、図において斜線で示すトランジスタが導通している状態を示す。
したがって、図44に示すように、時刻t30においてビット線BL1にビット線プリチャージ電流Ibppのピーク電流が流れるとき、逆方向にキャンセル電流Icaが流れ、ビット線BL0およびBL2に接続されるメモリセルおいて、磁場が相殺される。
ビット線BL1の電流レベルが安定化すると、続いて、時刻t31において、列選択信号CSLA<1>がHレベルとなり、電流ドライバCDA1が活性化され、ビット線BL1へ、電流ドライバ回路CKB1と同一方向に電流を供給し、ビット線書込電流Ibpが流れる。ビット線BL0およびBL2に対して設けられる電流ドライバCDA0およびCDA2は、列選択信号CSLA<0>およびCSLA<2>が非選択状態にあるため、出力ハイインピーダンス状態を維持し、同様、電流ドライバCDC0およびCDC2も出力ハイインピーダンス状態を維持する。したがって、図47に示すように、選択目もいりセルへのデータ書込時においては、ビット線BL1においてビット線書込電流Ibpが流れるとき、隣接ビット線BL0およびBL2には、逆方向にキャンセル電流Icaが流れる。
ビット線BL1には、電流ドライバCDA1と電流ドライバ回路CKB1によりビット線へ電流が供給され、十分な大きさの書込磁場が生成され、選択メモリセルへのデータの書込が行われる。一方、キャンセル電流Icaは、単にビット線BL1からのリーク磁場がビット線BL0およびBL2に及ぼす影響を相殺する磁場を誘起するだけであり、その磁場は磁場反転のしきい値磁場よりも弱く、この非選択ビット線BL0およびBL2に接続されるメモリセルのデータの反転は生じない。
時刻t32において、まず、列選択信号CSL<1>を非選択状態へ駆動する。このときには、列選択信号CSLB<1>は選択状態を維持する。したがって、図48に示すように、電流ドライバCDA1およびCDC1が非活性化され、ビット線BL1を流れる電流が低減される。一方、ビット線BL0およびBL2においては、電流ドライバ回路CKB0、CKD0、CKB2およびCKD2により、キャンセル電流Icaが流れる。ビット線BL1にビット線書込電流Ibpが流れる状態でキャンセル電流Icaが停止されるのを防止し、確実に、隣接非選択メモリセルの記憶データの誤反転を防止する。このときビット線BL1においては、電流ドライバ回路CKB1およびCKD1により、プリチャージ電流Ibppが流れる。これらの電流IcaおよびIbppは、アステロイド特性線の内部の磁場を誘起するだけであり、メモリセルの磁化状態は変化しない。
時刻t33において、列選択信号CSLB<1>を非選択状態へ駆動することにより、電流ドライバ回路CKB0−CKB2およびCKD0−CKD2がすべて出力ハイインピーダンス状態となり、図45に示す状態に復帰する。
選択ビット線BL1に対し、電流ドライバおよび電流ドライバ回路を用いて2段階で電流を駆動することにより、各回路の活性化時のトランジスタの電流駆動力が小さく、ビット線のピーク電流を抑制でき、隣接非選択セルへの影響を抑制できる。また、このとき、キャンセル電流を同時に隣接ビット線に流しており、確実に、ビット線ピーク電流の発生タイミングとキャンセル電流のピーク電流の発生タイミングを同じとすることにより、選択ビット線のピーク電流の隣接非選択メモリセルへの影響を抑制することができる。
図49は、このビット線BL1選択時における各ビット線の誘起磁場を概略的に示す図である。図49において、ビット線BL1には、紙面の表面から裏面へ向かって電流が流れ、ビット線BL0およびBL2には、紙面の裏側から表側へ電流が流れる状態を考える。この場合、ビット線BL1を流れるビット線書込電流が誘起する磁場H(BL1)は、ビット線BL0を流れる電流(キャンセル電流)が誘起する磁場(BL0)と逆方向となり、ビット線BL0が誘起する磁場H(BL0)とビット線BL1の誘起する磁場(BL1)は打消し合われ、ビット線BL0のメモリセルへのビット線磁場H(BL1)の影響を抑制することができる。同様、ビット線BL2においても、ビット線BL1の磁場H(BL1)は、ビット線BL2の流れる電流が誘起する磁場H(BL2)と反対方向であり、ビット線書込磁場H(BL1)を、キャンセル磁場H(BL2)で打消すことができ、ビット線BL2においても、同様、メモリセルに対するビット線書込磁場H(BL1)の影響を抑制することができる。
図50は、図43に示すデータデコーダDDCA0−DDCA2およびDDCC0−DDCC2の構成の一例を示す図である。図50においては、データデコーダDDCA1の構成を代表的に示す。図50において、データデコーダDDCA1は、内部書込データWDATAと列選択信号CSLA<1>を受けてP活性制御信号PEA1を生成するNANDゲート130aと、内部書込データWDATAと列選択信号CSLA<1>とに従ってN活性制御信号NEA1を生成するゲート回路NORゲート130bを含む。これらの活性制御信号PEA1およびNEA1の組が、ビット線イネーブル信号BLEA<1>に対応する。ゲート回路30bは、書込データWDATAがLレベルでありかつ設選択信号CSL<1>がHレベルのときにN活性制御信号NEA1をHレベルに駆動し、それ以外のときには、N活性制御信号NEA1をLレベルに維持する。
図51は、電流ドライバCDA0−CDA2およびCDC0−CDC2の構成の一例を示す図である。図51においては、これらの電流ドライバは同一構成を有するため、電流ドライバCDA1の構成を代表的に示す。図51において、電流ドライバCDA1は、P活性制御信号PEA1がLレベルのとき導通し、ビット線BL1に電流を供給するPチャネルMOSトランジスタPQA1と、N活性制御信号NEA1がHレベルのとき導通し、ビット線BL1を接地ノードへ結合するNチャネルMOSトランジスタNQA1を含む。
図50および図51に示すように、内部書込データWDATAおよび列選択信号CSLA<1>がともにHレベルのときには、P活性制御信号PEA1がNANDゲート130aによりLレベルとなり、一方、N活性制御信号NEA1は、ゲート回路130bによりLレベルとなる。応じて、MOSトランジスタPQA1がオン状態となり、ビット線BL1に電流が供給される。
一方、内部書込データWDATAがLレベルでありかつ列選択信号CSLA<1>がHレベルのときには、P活性制御信号PEA1がNANDゲート130aによりHレベルとなり、一方N活性制御信号NEA1は、ゲート回路130bの出力信号によりHレベルとなる。応じて、図51に示すMOSトランジスタNQA1がオン状態、MOSトランジスタPQA1がオフ状態となり、ビット線BL1が接地ノードに結合され、他方側に設けられた電流ドライバからの電流が接地ノードへ放電される。
列選択信号CSLA<1>がLレベルのときには、NANDゲート130aからのP活性制御信号PEA1はHレベルであり、またゲート回路130bからのN活性制御信号NEA1はLレベルである。応じて、図51に示すMOSトランジスタPQA1およびNQA1がともにオフ状態となる。従って、電流ドライバCDA0−CDA1およびCDC0−CDC2は、非選択時には出力ハイインピーダンス状態となる。
図52は、図43に示すデータデコーダDDCB0−DDCB2およびDDCD0−DDCD2の構成の一例を示す図である。これらのデータデコーダは同一構成を有するため、図52においては、データデコーダDDCB1の構成を代表的に示す。
図52において、データデコーダDDCB1は、書込データWDATAと列選択信号CSLB<1>を受けて第2のP活性制御信号BEB1を生成するNANDゲート132aと、内部書込データWDATAと列選択信号CSLB<1>を受けて第2のN活性制御信号NEB1を生成するゲート回路132bを含む。ゲート回路132bは、内部書込データWDATAがLレベルでありかつ列選択信号CSLB<1>がHレベルのときにN活性制御信号NEB1をHレベルの活性状態へ駆動する。
データデコーダDDCB1は、その構成は、図50に示すデータデコーダDDCA1と構成が同じであり、単に与えられる列選択信号が異なるだけである。
図53は、図43に示す電流ドライバ回路CKB0−CKB2およびCKD0−CKD2の構成の一例を示す図である。これらの電流ドライバ回路は同一構成を有するため、図53においては、電流ドライバ回路CKB1の構成を代表的に示す。図53において、電流ドライバ回路CKB1は、隣接列からのビット線イネーブル信号(活性制御信号)と対応のデータデコーダからのビット線イネーブル信号(活性制御信号)を受けてドライブ制御信号を生成するドライブ制御回路133と、ドライブ制御回路133からのドライブ制御信号PGB1およびNGB1に従ってビット線BL1を駆動するビット線電流ドライバ134を含む。
ドライブ制御回路133は、対応のデータデコーダからのP活性制御信号PEB1と隣接列のデータデコーダからのN活性制御信号NEB0およびNEB2を受けてドライブ制御信号PGB1を生成するゲート回路135aと、対応のデータデコーダからのN活性制御信号NEB1と隣接列のデータデコーダからのP活性制御信号PEB0およびPEB2を受けてドライブ制御信号NGB1を生成するゲート回路135bを含む。
ゲート回路135aは、P活性制御信号PEB1がLレベルであるかまたは隣接列からのN活性制御信号NEB0またはNEB2がHレベルのときに、ドライブ制御信号PGB1をLレベルに駆動する。ゲート回路135bは、対応のN活性制御信号NEB1がHレベルであるかまたは隣接列からのP活性制御信号PEB0またはPEB2がLレベルのときに、Nドライブ制御信号NGB1をHレベルへ駆動する。
ビット線電流ドライバ134は、ドライブ制御信号PGB1に従ってビット線BL1に電流を供給するPチャネルMOSトランジスタPQB1と、ドライブ制御信号NGB1に従ってビット線BL1の電流を放電するNチャネルMOSトランジスタNQB1を含む。
図54は、図50から図53に示す回路の動作を示す信号波形図である。図54においては、書込データWDATAがHレベルであり、ビット線BL1が選択される場合の動作波形を示す。以下、図54を参照して、図50から図53に示す回路の動作について説明する。
時刻t30以前においては、列選択信号CSLA<0>−CSLA<2>およびCSLB<0>−CSLB<2>はすべてLレベルであり、活性制御信号PEA0−PEA2およびNEA0−NEA2とドライブ制御信号PGB0−PGB2およびNGB0−NGB2とはすべて非活性状態である。
時刻t30において、選択列の列選択信号CSLB<1>がHレベルの選択状態へ駆動される。応じて、図52に示すデータデコーダDDCB1において、N活性制御信号NEB1はLレベルを維持し、一方、P活性制御信号PEB1がHレベルからLレベルとなる。このP活性制御信号PEB1のLレベルへの立下がりに応答して、図53に示す電流ドライバ回路CKB1においてゲート回路135aの出力するドライブ制御信号PGB1がLレベルの活性状態となり、MOSトランジスタPQB1がオン状態となり、ビット線BL1に電流が供給される。一方、このP活性制御信号PEB1の立下がりに応答して、隣接列の電流ドライバ回路CKB0およびCKB2においては、ゲート回路135bの出力するドライブ制御信号NGB0およびNGB2がHレベルとなり、電流ドライバのMOSトランジスタNQB1がオン状態となる。したがって、ビット線BL0およびBL2では、ビット線BL1と逆方向に電流が流れる。
時刻t31において、第1の列選択信号CSLA<1>が選択状態へ駆動され、応じて、図50に示すデータデコーダDDCA1からのP活性制御信号PEA1がLレベルとなり、図51に示す電流ドライバCDA1のMOSトランジスタPQA1がオン状態となる。隣接列の電流ドライバCDA0およびCDA2においては、列選択信号CSLA<0>およびCSLA<2>はLレベルであり、P活性制御信号PEA0およびPEA2は、Hレベルであり、出力ハイインピーダンス状態を維持する。
時刻t32において、列選択信号CSLA<1>がLレベルとなると、応じて、NANDゲート130aからのP活性制御信号PEA1がHレベルとなり、電流ドライバCDA1のPチャネルMOSトランジスタPQA1がオフ状態となる。このときには、まだ、列選択信号CSLB<1>は選択状態にあるため、電流ドライバ回路CKB0−CKB2は、それぞれ、ビット線BL0−BL2を駆動する。
時刻t33において、列選択信号CSLB<1>がLレベルとなると、図52に示すデータデコーダDDCB1からのP活性制御信号PEB1がHレベルとなり、応じて、図53に示すドライブ制御回路133のゲート回路135aからのドライブ制御信号PGB1がHレベルとなり、電流ドライバ回路CKB1のPチャネルMOSトランジスタPQB1がオフ状態となる。一方、電流ドライバ回路CKB0およびCKB2においては、このP活性制御信号PEB1がHレベルに立上がると、ドライブ制御信号NGB0およびNGB2がLレベルとなり、それぞれの電流ドライバ段のNチャネルMOSトランジスタNQB1がオフ状態となる。
図55は、この図50から図53に示すビット線書込電流制御回路がデータ“0”を書込むときの動作を示す信号波形図である。データ“0”書込時において、書込データWDATAはLレベルである。
時刻t30までの状態は、図54に示す信号波形図と同様であり、ビット線BL0−BL2は、フローティング状態にある。
時刻t30において列選択信号CSLB<1>がHレベルに立上がると、図52に示すデータデコーダDDCD1において、ゲート回路132bからのN活性制御信号NEB1がHレベルとなる。P活性制御信号PEB1は、Hレベルを維持する。応じて、図53に示す電流ドライバ回路CKB1において、ゲート回路135bからのゲートドライブ制御信号NGB1がHレベルとなり、電流ドライバ134のNチャネルMOSトランジスタNQB1がオン状態となる。
隣接列の電流ドライバ回路CKB0およびCKB2においては、このN活性制御信号NEB1の立上がりに従って、ドライブ制御回路のゲート回路135aからのPゲート制御信号PGB0およびPGB2がそれぞれLレベルとなり、電流ドライバ回路134のPチャネルMOSトランジスタPQB0およびPQB2がオン状態となる。
時刻t31において、列選択信号CSLA<1>がHレベルに立上がると、図50に示すデータデコーダDDCA1からのN活性制御信号NEA1がHレベルとなり、図51に示す電流ドライバCDA1のNチャネルMOSトランジスタNQA1がオン状態となる。
時刻t32において、列選択信号CSLA<1>がLレベルに立下がると、図50に示すデータデコーダDDCA1からのN活性制御信号NEA1がLレベルとなり、応じて、図51に示す電流ドライバCDA1のNチャネルMOSトランジスタNQA1はオフ状態となる。
時刻t33において、列選択信号CSLB<1>がLレベルに立下がると、図52に示すデータデコーダDDCB1からのN活性制御信号NEB1がLレベルとなる。応じて、図53に示す電流ドライブ回路CKB1においてドライブ制御信号NGB1がLレベルとなり、NチャネルMOSトランジスタNQB1がオフ状態となる。同様、このN活性制御信号NEB1のLレベルへの立下がりに応答して、電流ドライブ回路CKB0およびCKB2それぞれにおいて、ゲート回路135aからのゲートドライブ制御信号PGB0およびPGB2がHレベルとなり、対応のPチャネルMOSトランジスタPQB0およびPQB2がオフ状態となる。
図50から図53に示す構成を利用することにより、選択ビット線に隣接する非選択ビット線に、選択ビット線と逆方向に電流を供給して、選択ビット線からのリーク磁場をキャンセルすることができる。
図56は、列選択信号CSLA<i>およびCSLB<i>を発生する部分の構成を概略的に示す図である。図56において、列選択信号発生部は、図示しないコラムデコーダからの基本列選択信号CSL<i>に従って列選択信号CSLA<i>を生成するタイミング制御回路140と、この基本列選択信号CSL<i>に従って列選択信号CSLB<i>を生成するタイミング制御回路142を含む。タイミング制御回路140および142の構成は、基本列選択信号CSL<i>とこれらの列選択信号CSLA<i>およびCSLB<i>との位相関係に応じて適当に定められる。たとえば、一例として、タイミング制御回路140は、立上がり遅延回路で構成され、タイミング制御回路142が、立下がり遅延回路で構成される。この構成の場合、列選択信号CSL<i>は、図54に示す時刻t30から時刻t32の間Hレベルに維持される。
[変更例]
図57は、この発明の実施の形態9の変更例を示す図である。図57においては、ビット線BLiに対して設けられる電流ドライバ段の構成を示す。図57において、ビット線BLiに対し並列に、4つの単位インバータ回路UIV0−UIV3が設けられる。これらの単位インバータ回路UIVj(j=0−3)は、CMOSインバータの構成を有し、PチャネルMOSトランジスタPUjとNチャネルMOSトランジスタNUjとを含む。
PチャネルMOSトランジスタPU1およびPU2のゲートの間にスイッチング素子SWP0が接続され、PチャネルMOSトランジスタPU2およびPU3のゲートの間に、スイッチング素子SWP1が接続される。NチャネルMOSトランジスタNU1およびNU2のゲートの間に、スイッチング素子SWN0が接続され、NチャネルMOSトランジスタNU2およびNU3のゲートの間に、スイッチング素子SWN1が接続される。
ドライブ制御信号PGBiは、PチャネルMOSトランジスタPU3のゲートを介してスイッチング素子SWP1に伝達され、さらに、スイッチング素子SWP1およびSWP3を介して伝達される。また、ドライブ制御信号NGBiは、NチャネルMOSトランジスタNU3のゲート、スイッチング素子SWN1およびSWN0を介して伝達される。
P活性制御信号PEAiは、MOSトランジスタPU0およびPU1のゲートを介してスイッチング素子SWP0に伝達される。N活性制御信号NEAiは、MOSトランジスタNU0およびNU1のゲートを介してスイッチング素子SWN0に伝達される。
これらのスイッチング素子SWP0,SWN0およびSWP1およびSWN1は、選択的に導通状態または非導通状態に設定される。スイッチング素子SWP0およびSWN0が非導通状態に設定され、スイッチング素子SWP1およびSWN1が導通状態に設定された場合、単位インバータ回路UIV0−UIV2が、活性制御信号PEAiおよびNEAiに従ってビット線BLiを駆動し、また。単位インバータ回路UIV3が、ドライブ制御信号PGBiおよびNGBiに従ってビット線BLiを駆動する。したがって、ビット線BLiの駆動時、2段階に駆動するときの最初の駆動電流と、次いでビット線書込電流を駆動するときの電流比を1:3に設定することができる(単位インバータ回路UIV0−UIV3は同一サイズを有し、同じ電流駆動力を有する)。また、キャンセル電流を流すときには、ビット線書込電流とこのキャンセル電流の大きさの関係を、4:1の値に設定することができる。
一方、スイッチング素子SWP0およびSWN0を非導通状態に設定し、スイッチング素子SWP1およびSWN1を導通状態に設定した場合には、単位インバータ回路UIV0およびUIV1により、活性制御信号PEAiおよびNEAiに従ってビット線BLiが駆動され、またドライブ制御信号PGBiおよびNGBiに従って単位インバータ回路UIV2およびUIV3が駆動される。したがって、この場合、ビット線BLiの選択時、ピーク電流の2段階駆動時において、同じ大きさのピーク電流を2段階に分散して供給して、ビット線を駆動することができる。また、ビット線書込電流とキャンセル電流の関係を4:2の状態に設定することができる。
活性制御信号PEAiおよびNEAiに従って動作する単位インバータ回路が、図43に示す電流ドライバCDA0−CDA2およびCDC0−CDC2に対応し、ドライブ制御信号PGBiおよびNGBiに従って動作する単位インバータ回路が、図43に示す電流ドライバ回路CKB0−CKB2およびCKD0−CKD2の電流ドライバ段に対応する。スイッチング素子SWP0,SWN0の組およびスイッチング素子SWP1,SWN1の組を、相補的に導通/非導通状態に設定することにより、ビット線電流ドライバの2段階駆動時の駆動電流量を余分のトランジスタを設けることなく調整することができ、ディスターブ率に応じてキャンセル磁場を発生するためのキャンセル電流値を最適値に設定することができる。
図58は、図57に示すスイッチング素子SWP0,SWP1およびSWN0およびSWN1を導通/非導通に設定する信号を発生する部分の構成の一例を示す図である。図58において、スイッチ制御信号発生回路145により、スイッチ制御信号SCTL0およびSCTL1が生成される。スイッチ制御信号SCTL0は、ビット線書込電流制御回路に含まれる電流ドライバのスイッチング素子SWP0およびSWN0に共通に与えられてその導通/非導通を設定し、またスイッチ制御信号SCTL1が、同様、ビット線書込電流制御回路に含まれる電流ドライバ/電流ドライブ回路のスイッチング素子SWP1およびSWN1に共通に与えられる。
このスイッチ制御信号発生回路145は、たとえばヒューズプログラム回路で構成されてもよく、またマスク配線により、その活性信号の電圧レベルが設定されてもよい。また、スイッチ制御信号発生回路145は、MRAMセルを利用するラッチ回路で構成されてもよい。
また、このスイッチ制御信号発生回路145を利用する構成に代えて、スイッチング素子SWP0,SWP1,SWN0およびSWN1が、マスク配線により、その導通/非導通が設定されてもよい。
以上のように、この発明の実施の形態9に従えば、ビット線電流ドライバを、2分割し、この活性化タイミングをずらして順次活性化することにより、ビット線書込電流供給時のピーク電流を抑制することができる。また、このビット線電流ドライバの一方をキャンセル電流発生に利用することにより、別の回路を設けることなく、選択ビット線に隣接するビット線のメモリセルの磁気ディスターバンスが生じるのを抑制することができる。
また、キャンセル電流が流れる期間を、ビット線書込電流が流れる期間よりも長くすることにより、確実に、ビット線書込電流が流れている間、キャンセル磁場を生成することができ、より正確に、選択ビット線からのリーク磁場を打消すことができる。
また、このビット線電流ドライバを、スイッチング素子を設けて複数の単インバータ段の組の段数を調整することにより、ビット線書込時のピーク電流を抑制しつつ、キャンセル電流をリーク磁場の強度に応じて最適値に設定することができる。
[実施の形態10]
図59は、この発明の実施の形態10に従う磁気メモリ装置の要部の構成を概略的に示す図である。図59においては、ビット線BLに関連するデータの書込および読出を行なう部分の構成を示す。
図59において、ビット線BLに対し、データの書込を行なうためのビット線書込電流制御回路6Aおよび6Bが設けられる。ビット線書込電流制御回路6Aは、列選択線CSL上の列選択信号に従ってタイミング制御信号CSLPおよび/CSLNを実質的に同じタイミングで活性/非活性化するタイミング制御回路150lと、書込タイミング信号WTDNLを受けるインバータ152lと、書込タイミング信号WTDPLとタイミング制御信号CSLPとを受けるNANDゲート154lと、タイミング制御信号/CSLNとインバータ152lの出力信号とを受けるNORゲート156lと、これらのNANDゲート154lおよびNORゲート156lの出力信号に従ってビット線BLを駆動するビット線電流ドライバBDVlを含む。列選択線CSLは、メモリセルアレイ上にわたって列方向に延在して配置され、コラムデコーダからの列選択信号を伝達する。書込タイミング信号WTDPLおよびWTDNLは、書込データに基づいて生成される。NORゲート156lは、電源電圧VDDと接地電圧の間の中間電圧Vblnをハイ側電源電圧として受ける。
ビット線電流ドライバBDVlは、図39に示す構成と同様、電源ノードとビット線BLの間に接続されかつそのゲートにNANDゲート154lの出力信号を受けるPチャネルMOSトランジスタPT1と、ビット線BLと接地ノードの間に接続されかつそのゲートに、NORゲート156lの出力信号を受けるNチャネルMOSトランジスタNT1を含む。
ビット線書込電流制御回路6Bも同様、列選択線CSL上の列選択信号に従ってタイミング制御信号CSLPおよび/CSLNを生成するタイミング制御回路150rと、書込タイミング信号WTDNRを受けるインバータ152rと、タイミング制御信号CSLPと書込タイミング信号WTDPRとを受けるNANDゲート154rと、タイミング制御信号/CSLNとインバータ152rの出力信号とを受けるNORゲート156rと、NANDゲート154rの出力信号とNORゲート156rの出力信号に従ってビット線BLへ電流を駆動するビット線電流ドライバBDVrを含む。書込タイミング信号WTDPRおよびWTDNRは、書込データに基づいて生成され、データ書込期間を決定する。NORゲート156rは、NORゲート156lと同様、中間電圧Vblnをハイ側電源電圧として受ける。
ビット線電流ドライバBDVrは、NANDゲート154rの出力信号がLレベルのときに、ビット線BLへ電流を供給するPチャネルMOSトランジスタPT2と、NORゲート156rの出力信号がハイレベル(中間電圧レベル)のとき導通し、ビット線BLから電流を接地ノードへ放電するNチャネルMOSトランジスタNT2を含む。
ビット線BLと交差する方向にワード線WLおよびデジット線DLが配設され、ビット線BLとワード線WLおよびデジット線DLとの交差部に対応してメモリセルMCが配置される。メモリセルMCは、ビット線BLに電気的に接続されかつデジット線DLに磁気的に結合される磁気抵抗素子VRと、ワード線WL上の信号電位に従って磁気抵抗素子VRを接地ノード(ソース線)に結合するアクセストランジスタATを含む。ワード線WLおよびデジット線DLは、それぞれワード線ドライバ160およびデジット線ドライバ162により駆動される。ワード線ドライバ160は、ワード線イネーブル信号WLEの活性化時、行選択信号RXSに従ってワード線WLを選択状態へ駆動する。デジット線ドライバ162は、デジット線イネーブル信号DLEの活性化時、行選択信号RXSに従ってデジット線DLへ電流を供給する。デジット線DLは、図示しない端部において接地ノードに結合される。この行選択信号RXSは、図示しないロウデコーダから生成される。
列選択線CSLに対し、さらに、列選択線CSL上の列選択信号に従って選択的に導通し、導通時、ビット線BLをリードアンプ172に結合する読出列選択ゲート170が設けられる。リードアンプ172は、図7に示すリードアンプ11に対応し、読出イネーブル信号RDEの活性化時、参照電流Irefとビット線BLを流れる電流とに基づいて内部読出データRDATAを生成する。リードアンプ172は、したがって活性化時、ビット線BLへメモリセル読出電流を供給する読出電流供給部と、このビット線BLを介して流れる電流と参照電流Irefとを比較する電流センス回路とを含む。
この図59に示す構成においては、列選択線CSLは、データ書込時およびデータ読出時共通に列選択信号を伝達する。したがって、列選択線CSLを駆動するコラムデコーダは、データ書込時およびデータ読出時で共用される。
図60は、図59に示す磁気メモリ装置のデータ書込時の動作を示す信号波形図である。以下、図60を参照して、この図59に示す磁気メモリ装置のデータ書込動作について説明する。
時刻t40以前においては、書込タイミング信号WTDPL、WTDNL、WTDPRおよびWTDNRはすべてLレベルであり、また、列選択線CSL上の列選択信号は非選択状態にある。したがって、電流ドライバBDVlおよびBDVrは出力ハイインピーダンス状態であり、ビット線BLはフローティング状態にある。また、デジット線DLおよびワード線WLも非選択状態である。
データ書込サイクルが始まると、時刻t40において、与えられたアドレス信号(図示せず)に従って列選択線CSLが選択状態へ駆動され、列選択線CSL上の寄生容量分布のために大きなピーク電流が流れる。図60においては、列選択線上の電流をIcslで示す。
時刻t41において、列選択線CSLの電圧レベルがHレベルとなると、タイミング制御回路150lおよび150rは、この列選択線CSL上の列選択信号に従ってタイミング制御信号CSLPをHレベルへ駆動し、また、タイミング制御信号/CSLNをLレベルへ駆動する。応じて、NANDゲート154l,154rおよびNORゲート156lおよび156rが、インバータとして動作する。この状態においては、書込タイミング信号WTDPL,WTDNL,WTDPRおよびWTDNRはすべてLレベルであり、ビット線電流ドライバBDVlおよびBDVrは出力ハイインピーダンス状態を維持する。
列選択線CSLがその末端においても電源電圧レベルにまで駆動されると、列選択線電流Icslが、0Vとなる。この列選択線電流Icslが0Vとなると、時刻t42においてデジット線イネーブル信号DLEが活性化され、デジット線DLへデジット線ドライバ162から電流が供給され、デジット線電流Idlが流れる。デジット線DLは、その磁気抵抗素子とは磁気的に結合されているだけであるため、寄生容量は小さく、そのデジット線電流Idlは、小さなリンギングしか生じさせず(寄生容量が小さい)、早いタイミングで所定の電流レベルに到達する。
デジット線電流Idlが安定化すると、時刻t43において、まず書込データ(“1”)に従って書込タイミング信号WTDPLがHレベルへ駆動される。応じて、図59に示すNANDゲート154lの出力信号がLレベルとなり、電流ドライバBDVlにおいてMOSトランジスタPT1が導通し、ビット線BLへ電流を供給する。このときまだ書込タイミング信号WTDNRはLレベルであり、電流ドライバBDVlおよびBDVrはそれぞれにおいて、NチャネルMOSトランジスタNT1およびNT2はオフ状態である。したがって、ビット線BL上のピーク電流を抑制することができ、デジット線電流Idlとビット線電流Ibpが生成する磁場が隣接非選択メモリセルへ悪影響を及ぼすのを防止することができる。
ビット線電流Ibpが0Vとなり、ビット線BLの電圧レベルが安定化すると、時刻t44において、書込タイミング信号WTDNRをHレベルに駆動する。応じて、NORゲート156rの出力信号が中間電圧Vblnレベルとなり、電流ドライバBDVrにおいてMOSトランジスタNT2が導通し、ビット線BLの電流を放電する。このとき、MOSトランジスタNT2の電流駆動力は調整されており、MOSトランジスタNT2の電流駆動力で決定されるビット線電流値にまで、ビット線電流Ibpが増加する。
時刻t45においてビット線書込電流Ibpが一定値となると、この期間から、メモリセルに対するデータの書込が開始される。
時刻t46において、書込タイミング信号WTDPLがLレベルとなり、応じてNANDゲート154lの出力信号がHレベルとなり、ビット線電流ドライバBDVlにおいてMOSトランジスタPT1がオフ状態となり、ビット線書込電流Ibpの供給が停止される。このとき、ビット線BLは、ビット線電流ドライバBDVrのMOSトランジスタNT2により接地電圧レベルまで放電される。
ビット線BLは接地電圧レベルにプリチャージされた後、時刻t47において、書込タイミング信号WTDNRをLレベルへ駆動する。これにより、NORゲート156rの出力信号がLレベルとなり、ビット線電流ドライバBDVrのMOSトランジスタNT2がオフ状態となり、ビット線BLがフローティング状態となる。
次いで、時刻t48においてデジット線イネーブル信号DLEを非活性化し、デジット線電流Idlの供給を停止する。デジット線電流Idlの供給停止を、ビット線BLが接地電圧レベルにプリチャージされた状態で実行することにより、デジット線DLの電圧低下が容量結合によりビット線に伝達され、ビット線電圧が接地電圧と異なる電圧レベルに維持されるのを防止する。
デジット線DLが非選択状態へ駆動された後、時刻t49において、列選択線CSLを非選択状態へ駆動し、次いで、時刻t50においてタイミング制御信号CSLPおよび/CSLNがそれぞれ、LレベルおよびHレベルへ駆動する。列選択線上の信号変化がビット線に伝達されてビット線が接地電圧と異なる電圧レベルに維持されるのを防止する。
デジット線DLを非選択状態へ駆動した後に、列選択線CSLを非選択状態へ駆動することにより、列選択線電流Icslの逆方向ピーク電流が流れても、行選択動作完了後であり、この列選択線電流Icslのピーク電流が誘起する磁場が、選択メモリセルへ影響を及ぼすのを防止することができる。
上述のように、列選択線CSLを選択状態へ駆動し、列選択線にピーク電流が流れたときに、デジット線を選択し、続いて、ビット線BLに電流を供給する。したがって、このようなシーケンスにおいては、列選択線CSLの選択状態への駆動時、デジット線DLは非選択状態であり、またビット線BLも非選択状態にあるため、列選択線電流Icslによる選択メモリセルに対する誤書込は生じない。また、先の実施の形態と同様、ビット線BLを2段階で駆動することにより、ビット線ピーク電流を抑制でき、隣接非選択メモリセルへの誤書込を防止することができる。また、列選択線CSLの非選択移行時には、デジット線DLは非選択状態に移行されており、この列選択線のピーク電流による選択メモリセルへの誤書込は生じない。
このデータ書込動作時、列選択線CSL上の列選択信号に従って、読出列選択ゲート170が導通する。しかしながら、読出イネーブル信号RDEは非活性状態であり、リードアンプ172は非活性状態に維持され、ビット線BLへの読出電流の供給は生じない。
図61は、図59に示す磁気メモリ装置のデータ読出時の動作を示す信号波形図である。以下、図61を参照して、図59に示す磁気メモリ装置のデータ読出動作について説明する。
データ読出時においては、書込タイミング信号WTDPL,WTDNL,WTDPRおよびWTDNRは、すべてLレベルである。したがってこの状態においては、列選択信号の状態にかかわらず、ビット線電流ドライバBDVlおよびBDVrは出力ハイインピーダンス状態に維持される。
時刻t50において、列選択線CSLが選択状態へ駆動され、応じて読出列選択ゲート170がオン状態となり、ビット線BLがリードアンプ172に結合される。
この列選択線CSLの選択状態の駆動に従って、時刻t51においてタイミング制御信号CSLPおよび/CSLNがそれぞれHレベルおよびLレベルへ駆動される。しかしながら、この状態においては、書込タイミング信号WTDPL,WTDNL,WTDPRおよびWTDNRはすべてLレベルであり、ビット線電流ドライバBDVlおよびBDVrは出力ハイインピーダンス状態を維持する。
時刻t52において、ワード線イネーブル信号WLEに従ってワード線ドライバ160が活性化され、列選択信号RXSが指定するワード線WLが選択状態へ駆動される。このワード線WLが選択状態へ駆動されると、メモリセルMCにおいて、アクセストランジスタATが導通し、磁気抵抗素子VRを接地ノードへ結合する。リードアンプ172は、リードアンプイネーブル信号RDEの活性化に従って読出電流をビット線BLへ供給しており、このビット線BLからメモリセルMCを介して接地ノードへ流れる電流と参照電流Irefとの比較に基づいて内部読出データRDATAを生成する。
時刻t53において、列選択線CSLが非選択状態へ駆動されると、読出列選択ゲート170が非導通状態となり、データ読出期間が完了する。この列選択線CSLの非活性化に応答して、時刻t54において、CSLPおよび/CSLNがそれぞれHレベルおよびLレベルへ駆動される。
続いて、時刻t55においてワード線イネーブル信号WLEが非活性化され、ワード線ドライバ160が、ワード線WLを非選択状態へ駆動する。
なお、データ読出時におけるワード線WLの選択状態への駆動タイミングとリードアンプ172の活性化タイミングは、たとえば、以下の関係に設定される。列選択線CSLの選択後、リードアンプ172を活性化し、ビット線BLに読出電流を供給して、ビット線BLを読出電圧レベルにプリチャージする。この後、ワード線WLを選択状態へ駆動する。ビット線BLへの読出電流のピーク電流を抑制し、正確に、ビット線電流と参照電流Irefとの差に基づいてデータの読出を行なう。
図62は、図59に示す各制御信号を発生する部分の構成を概略的に示す図である。図62において、制御信号発生部は、外部からの動作モードを指示するコマンドCMDとクロック信号CLKとを受け、読出モード指示信号REまたは書込モード指示信号WEを活性化するモード検出回路180と、これらの読出モード指示信号REおよび書込モード指示信号WEを受けるORゲート181と、ORゲート181の出力信号に従って内部動作活性化信号ACTを生成する内部動作活性制御回路182を含む。モード検出回路180は、クロック信号CLKに同期して外部からのコマンドCMDを取込み、このクロック信号のエッジで取込んだコマンドCMDがデータ読出モードを指定するときには読出モード指示信号REを活性化し、またコマンドCMDがデータ書込モードを指定するときには、書込モード指示信号WEを活性化する。これらの読出モード指示信号REおよび書込モード指示信号WEは、読出サイクル期間および書込サイクル期間、それぞれ、活性化される。
内部動作活性制御回路182は、ORゲート181の出力信号がHレベル(活性状態)となると、内部動作活性化信号ACTを所定のタイミングで所定期間活性状態へ駆動する。この内部動作活性化信号ACTにより内部動作活性化期間が決定される。内部動作活性化信号ACTがコラムデコーダ183へ与えられ、コラムデコーダ183は、この内部動作活性化信号ACTの活性化に従って図示しない列アドレス信号のデコード動作を行ない、選択列に対応する列選択線CSLを選択状態へ駆動する。この内部動作活性化信号ACTは、また、ロウデコーダへ与えられ、行選択動作が行なわれ、図59に示す行選択信号RXSが生成される。
制御信号発生部は、さらに、読出モード指示信号REと内部動作活性化信号ACTとに従ってリードアンプイネーブル信号RDEを生成するリードアンプ制御回路184と、読出モード指示信号REと内部動作活性化信号ACTとに従ってワード線イネーブル信号WLEを活性化するワード線活性制御回路185と、書込モード指示信号WEと内部動作活性化信号ACTとに従ってデジット線イネーブル信号DLEを生成するデジット線活性制御回路186と、書込モード指示信号WEと内部動作活性化信号ACTとに従って所定のタイミングで書込イネーブル信号WDEを生成する書込制御回路187を含む。
リードアンプ制御回路184は、読出モード指示信号REが活性状態にありかつ内部動作活性化信号ACTが活性状態のとき、所定期間活性状態にリードアンプイネーブル信号RDEを設定する。ワード線活性制御回路185は、読出モード指示信号REが活性状態にありかつ内部動作活性化信号ACTが活性状態のとき、ワード線イネーブル信号WLEを活性化する。このワード線イネーブル信号WLEの活性化は、リードアンプイネーブル信号RDEの活性化より遅れて行なわれる。ビット線に読出電流が供給されて安定化した後に選択ワード線が選択状態へ駆動される。
デジット線活性制御回路186は、書込モード指示信号WEの活性化と内部動作活性化信号ACTの活性化に従ってデジット線イネーブル信号DLEを活性状態へ駆動する。このデジット線イネーブル信号DLEは、内部動作活性化信号ACTが活性化され、コラムデコーダ183がデコード動作を行なった後に活性化される。
これらのリードアンプ制御回路184、ワード線活性制御回路185およびデジット線活性制御回路186のそれぞれの出力する信号RDE、WLEおよびDLEの活性/非活性化タイミングは、内部で、遅延回路などを用いて適当なタイミングに設定される。
制御信号発生部は、さらに、書込イネーブル信号WDEと内部書込データWDATAとに従って書込タイミング信号WTDPLを生成する左側Pタイミング制御回路188と、補の内部書込データ/WDATAと書込イネーブル信号WDEとに従って書込タイミング信号WTDNLを生成する左側Nタイミング制御回路189と、補の内部書込データ/WDATAと書込イネーブル信号WDEとに従って書込タイミング信号WTDPRを生成する右側Pタイミング制御回路190と、書込イネーブル信号WDEと内部書込データWDATAとに従って書込タイミング信号WTDNRを生成する右側Nタイミング制御回路191を含む。
Pタイミング制御回路188および190は同一構成を有し、またNタイミング制御回路189および191が同一構成を有する。Pタイミング制御回路188および190は、たとえばANDゲートで構成され、Nタイミング制御回路189および191各々は、ANDゲートと、このANDゲートの出力信号を遅延する遅延回路とで構成される。すなわち、列選択信号CSLが選択状態へ駆動された後、書込制御回路189から適当なタイミングで書込活イネーブル信号WDEが活性化されると、書込タイミング信号WTDPLおよびWTDPRの一方がHレベルへ駆動される。書込タイミング信号WTDPLおよびWTDPRが活性化されて所定期間が経過すると、ビット線放電用NチャネルMOSトランジスタに対する書込タイミング制御信号WTDNLまたはWTDNRがHレベルの活性状態へ駆動される。また、書込タイミング信号WTDPLまたはWTDPRが非活性された後、書込タイミング信号WTDNLまたはWTDNRが非活性状態へ駆動される。これらの書込タイミング信号WTDPLおよびWTDPRと書込タイミング信号WTDNLおよびWTDNRの活性/非活性の遅延時間が、遅延回路を用いて適当に定められる。
この図62に示す制御信号発生部を利用することにより、データ書込時およびデータ読出時に共通に、コラムデコーダ183およびロウデコーダを用いてメモリセルへの行および列選択およびデータの書込/読出を行なうことができる。
以上のように、この発明の実施の形態10に従えば、データ書込時、列選択線、デジット線、ビット線をこの順で駆動し、次いでビット線、デジット線および列選択線の順で非選択状態へ駆動しており、各配線におけるピーク電流が重畳されるのを防止でき、選択メモリセルおよび非選択メモリセルのデータが、ピーク電流に誘起される磁場により書換えられるのを防止することができる。
また、データ書込時は、書込タイミング信号、データ読出時はワード線によりデータの書込および読出タイミングをそれぞれ決定しており、列選択線を選択状態へ駆動するタイミングは、データ書込および読出で共通にすることができ、列選択線を書込および読出両者で共用することができ、回路レイアウト面積を低減することができる。
[実施の形態11]
図63は、この発明の実施の形態11に従う磁気メモリ装置の要部の構成を概略的に示す図である。図63において、メモリセルアレイ200の両側に、ビット線書込電流制御回路6Aおよび6Bが配置される。メモリセルアレイ200上をわたって列方向に延在して列選択線CSL0−CSLnが配設される。これらの列選択線CSL0−CSLnへは、コラムデコーダ201からの列選択信号CSL<0>−CSL<n>がそれぞれ伝達される。このコラムデコーダ201は、書込モード指示信号WE(または内部動作活性化信号ACT:図62参照)と列アドレス信号YADとに従って、列選択信号CSL<0>−CSL<n>のいずれかを選択状態へ駆動する。
ビット線書込電流制御回路6Aは、ビット線BL0−BLnそれぞれに対して設けられる電流制御ドライブ回路BCTL0−BCTLnを含む。これらの制御ドライブ回路BCTL0−BCTLnは、同一構成を有するため、図63においては、制御ドライブ回路BCTL0の構成を代表的に示す。制御ドライブ回路BCTL0は、内部書込データWDATAと列選択信号CSL<0>とを受けるゲート回路202aと、ゲート回路202aの出力信号に従ってビット線BL0を駆動する電流ドライバ203aを含む。残りの制御ドライブ回路BCTL1−BCTLnも、共通に内部書込データWDATAを受け、それぞれ対応の列選択信号CSL<1>−CSL<n>の選択時、内部書込データWDATAが決定する方向に対応のビット線に電流を駆動する。
制御ドライブ回路BCTL0−BCTLnの電流ドライバ203aに共通に、電流源204lからの定電流が供給される。ゲート回路202aの構成は、先の実施の形態1から10のいずれの構成が用いられてもよく、また従来と同様の構成が利用されてもよい。電流ドライバ203aは、非選択時、出力ハイインピーダンス状態に設定されるトライステートインバータバッファの構成を有する。
ビット線書込電流制御回路6Bも同様、ビット線BL0−BLnそれぞれに対応して設けられる制御ドライブ回路BCTR0−BCTRnを含む。これらの制御ドライブ回路BCTR0−BCTRnへは共通に補の内部書込データ/WDATAが与えられ、また、それぞれ列選択信号CSL<0>−CSL<n>が与えられる。制御ドライブ回路BCTR0−BCTRnは同一構成を有するため、図63においては、制御ドライブ回路BCTR0の構成を代表的に示す。この制御ドライブ回路BCTR0は、補の内部書込データ/WDATAと列選択信号CSL<0>を受けるゲート回路202bと、ゲート回路202bの出力信号に従ってビット線BL0に電流を供給する電流ドライバ203bを含む。このゲート回路202bは、ゲート回路202aと同様の構成を有し、実施の形態1から10のいずれの構成を備えていてもよく、また従来と同様の構成であってもよい。制御ドライブ回路BCTR0−BCTRnに含まれる電流ドライバ203bに共通に、電流源204rからの定電流が供給される。また、制御ドライブ回路BCTR0−BCTRnは、それぞれ対応の列選択信号CSL<0>−CSL<n>の選択時、補の内部書込データ/WDATAが規定する方向に対応のビット線の電流を駆動する。
図64は、図63に示す列選択線CSL0−CSLnの配置を概略的に示す図である。図64においては、列選択線CSL0およびCSL1の平面レイアウトを概略的に示す。列選択線CSL0およびCSL1は、同じ配置を有するため、図64においては、列選択線CSL0に対する構成要素に参照番号を付す。
列選択線CSL0は、コラムデコーダ201からの列選択信号CSL<0>を受ける主配線210lと、ビット線BL0と平行に、かつ平面的にみてビット線BL0を間に挟むように配置される分割配線211aおよび211bと、これらの分割配線211aおよび211bを主配線210lに接続する取出配線212lと、分割配線211aおよび211bの他方端を、主配線210rに接続する取出配線212rを含む。
ビット線BL0およびBL1には、それぞれ、磁気抵抗素子TMRが整列して配置される。列選択線CSL0およびCSL1は、ビット線BL0およびBL1よりも上層に配置される。分割配線211aおよび211bには、主配線210lおよび210rを流れる電流の1/2の大きさの電流が流れ、誘起磁場が半減される。また、ビット線BL0およびBL1とこれらの分割配線211aおよび211bは、平面図的に見て位置がずらされて配置されており、分割配線211aおよび211bからビット線BL0の磁気抵抗素子TMRに至る距離を、ビット線BL0および列選択線CSL0を整列して配置する場合に比べて長くすることができ、列選択線CSL0の誘起磁場がビット線BL0に及ぼす影響を抑制する。
図65は、図63および図64に示すビット線および列選択線配置におけるデータ書込時のビット線および列選択線の電流波形を概略的に示す図である。図65においては、ビット線BL0が選択されるときの列選択線およびビット線の電流波形を示す。
時刻Taにおいて、列選択信号CSL<0>が選択状態へ駆動され、列選択線CSL0に電流が供給され、ピーク電流が流れる。この列選択信号CSL<0>の選択状態への移行に従って、電流ドライバ203aまたは203b(図63参照)により、ビット線BL0へ電流が供給され、ビット線(BL)に電流が流れ、その後、ビット線BLの電流および電圧レベルが安定する。
データ書込完了後、時刻Tbにおいて列選択信号CSL<0>を非選択状態へ駆動すると、列選択線CSL0へは、選択時と逆方向に放電電流が流れる。図65においては列選択線に負電流が流れるように示す。この列選択信号CSL<0>の非選択状態への移行に応答して、ビット線BL0への電流供給が停止され、ビット線電流の供給が停止される。
時刻Taおよび時刻Tbにおいて、それぞれ列選択線CSL0において列選択信号CSL<0>の選択および非選択移行時に大きな列選択線ピーク電流がその列選択線CSLの充放電のために生じる。
図66(A)および(B)は、図65に示す時刻Taにおける列選択線の誘起磁場を模式的に示す図であり、図66(A)には、従来の配置における列選択線の誘起磁場を示し、図66(B)に、本実施の形態11における列選択線の配置における列選択線誘起磁場を示す。
図66(A)に示すように、列選択線CSL0とビット線BL0が、整列して配置される場合、時刻Taにおける列選択線のピーク電流が、ビット線BL0の電流と同一方向に流れる(紙面の裏側から表側に向かって)。この場合、メモリセルの磁気抵抗素子TMRにおいては、ビット線BL0の列選択線CSL0の誘起磁場が同一方向に印加され、必要以上に大きな磁場が印加される。一方、図66(B)に示すように、列選択線を分割配線211aおよび211bで構成し、ビット線BL0と位置をずらして対称な位置に配置することにより、これらの分割配線211aおよび211bが誘起する磁場は、磁気抵抗素子TMRに対して逆方向となり、互いに相殺される。したがって磁気抵抗素子TMRにおいては、ビット線BL0を流れる電流が誘起する磁場が印加され、正確に、メモリセルにデータを書込むことができる。また、隣接ビット線に対しては、分割配線211aおよび211bが駆動する電流は、非分割構造の場合と較べて半減されており、その誘起磁場は小さく、隣接列のメモリセルの影響は十分に小さくされる。
図67(A)および(B)は、図65に示す時刻Tbにおける列選択線およびビット線の誘起磁場を模式的に示す図であり、図67(A)には、従来の配置の場合を示し、図67(B)には、本実施の形態11における配置における場合を示す。図67(A)に示すように、ビット線BL0と列選択線CSL0が、平面図的に見て整列して配置される場合、このビット線BL0にピーク電流が流れている状態で、列選択線CSL0が非選択状態へ駆動されるため、これらの列選択線CSL0およびビット線BL0に逆方向に電流が流れる。したがって、磁気抵抗素子TMRには、ビット線BL0の誘起磁場と列選択線CSL0の誘起磁場が逆方向に印加され、この磁気抵抗素子TMRが固定層の磁化方向と完全な平行または反平行状態からずれた状態に設定される状態が生じる。この場合、磁気抵抗素子TMRの抵抗値が自由層および固定層の磁化方向が平行および反平行状態の抵抗値の中間値をとり、正確にデータを記憶することができず、応じて正確にデータを読出すことができなくなるという問題が生じる。
一方、図67(B)に示すように、分割配線211aおよび211b上に列選択信号CSL<0>を伝達し、これらの分割配線211aおよび211bを、ビット線BL0と垂直な軸に対して線対称な位置に配置することにより、これらの列選択線CSL0の誘起磁場は、分割配線211aおよび211bにより、ビット線BL0領域で相殺され、磁気抵抗素子TMRにおいては、ビット線BL0の誘起磁場が印加されるだけであり、正確なデータの書込を行なうことができる。この場合、分割配線211aおよび211bが、隣接セルにその誘起磁場を印加する場合が生じる。しかしながら、前述のように、分割配線211aおよび211bは、その流れる電流量が半減されており、誘起磁場は小さく、隣接非選択メモリセルにおける磁場方向の反転は生じない。
図68は、列選択線CSL0およびビット線BL0の他の電流波形を示す図である。図68において、時刻Tcにおいて、列選択信号CSL<0>が選択状態へ駆動され、列選択線CSLに大きなピーク電流が流れ、続いて列選択線CSLが所定電圧(電源電圧)レベルで安定化する。この列選択信号CSL<0>の選択状態への駆動に応答してビット線BL0においても、ビット線電流ドライバより電流が供給される。この時刻Tcにおいては、ビット線BL0を流れる電流は、列選択線CSL上を流れる電流と逆方向に流れる。図68においては負方向に電流が流れるように示す。
時刻Tdにおいては、列選択動作が完了し、列選択信号CSL<0>が非選択状態へ駆動され、逆方向に大きなピーク電流が流れる。この列選択信号CSL<0>の非選択状態への移行に応答して、ビット線BL0が非選択状態へ駆動される。この列選択信号CSL<0>の非選択状態移行時、ビット線BL0には、ビット線書込電流が流れている。
図68に示す電流波形においては、列選択時、ビット線および列選択線に逆方向に電流が流れ、列選択信号非活性化時、列選択線およびビット線に同方向に電流が流れる。
図69(A)および(B)は、図68における時刻Tcにおける列選択線およびビット線の磁気抵抗素子TMRに対する誘起磁場を模式的に示す図である。図69(A)は、ビット線BL0と列選択線CSL0が整列して配置される場合の磁場を示し、図69(B)は、本実施の形態11に従う配置における磁場を模式的に示す。
図69(A)に示すように、列選択線およびビット線を整列して配置した構成において、時刻Tcにおいて、ビット線BL0および列選択線CSL0に逆方向に電流が流れた場合、磁気抵抗素子TMRには、逆方向に磁場が印加される。したがって、この後、ビット線BL0上の書込電流によりデータの書込を行なう場合、このデータの書込が不十分となる可能性がある。一方、図69(B)に示すように、列選択線CSL0が分割配線211aおよび211bで構成される場合、これらの分割配線211aおよび211bの誘起磁場は、磁気抵抗素子TMRにおいて、逆方向となり、その列選択線CSL0の誘起磁場の磁気抵抗素子TMRへの影響は相殺される。したがって、ビット線BL0を流れる書込電流に従って正確に、メモリセルへのデータの書込を行なうことができる。
図70(A)および(B)は、図68に示す時刻Tdにおける列選択線およびビット線の磁気抵抗素子TMRに対する誘起磁場を模式的に示す図である。図70(A)は、ビット線および列選択線が整列して配置される場合の磁場を模式的に示し、図70(B)は、本実施の形態11に従う配置における磁場を模式的に示す。
図70(A)に示すように、列選択線およびビット線整列構造において、時刻Tdにおいて列選択信号CSL<0>が非選択状態へ駆動されるとき、ビット線BL0に書込電流が流れている場合、同一方向に列選択線およびビット線に電流が流れ、磁気抵抗素子TMRに対し、この列選択線CSL0の誘起磁場が印加される。しかしながら、この場合には、同一方向に磁気抵抗素子TMRの磁化が促進されるだけであり、特に問題は生じない。
また図70(B)に示すように、ビット線BL0および分割配線211aおよび211bに同一方向に電流が流れる場合でも、これらの分割配線211aおよび211bが誘起する磁場HaおよびHbは、ビット線BL0および磁気抵抗素子TMRに対しては、逆方向に印加され、これらの磁場HaおよびHbの磁極抵抗素子TMRに対する影響は相殺される。
したがって、図65から図70に示すように、列選択線を分割構造とし、ビット線に対し、対称な位置に分割配線を配置することにより、列選択線がメモリセルアレイ上へわたって延在して配置され、列選択信号の選択時および非選択移行時いずれの場合においてもその寄生容量によりピーク電流が大きくなる場合においても、正確に列選択線の誘起磁場の影響を抑制して正確にデータの書込を行なうことができる。特に、ビット線書込電流を
供給する期間を、列選択信号により規定することができ、データ書込時のビット線電流の制御が容易となる。
また、列選択線を、平面図的に見てビット線とずらして配置する場合においても、分割配線構造であり、列選択線駆動時の電流量は低減されるため、隣接ビット線を接続するメモリセル(磁気抵抗素子)に対する影響は十分に抑制される。
[変更例]
図71は、この発明の実施の形態11の変更例の磁気メモリ装置の要部の構成を概略的に示す図である。図71において、磁気メモリ装置は、メモリセルアレイ200に列方向に延在して配置されるビット線BL0−BLnと、メモリセルアレイ上をわたって列方向に延在して所定数のビット線ごとに配置されるメイン列選択線MCSL0−MCSLmを含む。図71に示す構成においては、1つのメイン列選択線MCSLiが、2本のビット線BLjおよびBLj+1に対して設けられる。
メイン列選択線を駆動するために、書込モード指示信号WEの活性化時列アドレス信号YADの上位ビットをデコードし、メイン列選択信号MCSL<0>−MCSL<m>を生成するコラムデコーダ220と、書込モード指示信号WEの活性化に応答して列アドレス信号YADの下位アドレスビットをデコードし、サブ列選択信号SCSL<0>およびSCSL<1>を生成するサブデコーダ222lおよび222rが設けられる。サブデコーダ222lおよび222rは、それぞれ、ビット線書込電流制御回路6Aおよび6Bに対応して配置される。
ビット線書込電流制御回路6Aは、ビット線BL0−BLnそれぞれに対応して設けられる電流制御ドライブ回路BCTL0−BCTLnを含み、ビット線書込電流制御回路6Bは、ビット線BL0−BLnそれぞれに対応して設けられる電流制御ドライブ回路BCTR0−BCTRnを含む。電流制御ドライブ回路BCTL0−BCTLnは同一構成を有するため、電流制御ドライブ回路BCTL0の構成を代表的に示し、また、電流制御ドライブ回路BCTR0−BCTRnは同一構成を有するため、電流制御ドライブ回路BCTR0の構成を代表的に示す。電流制御ドライブ回路BCTL0は、内部書込データWDATAと対応のメイン列選択信号MCSL<0>とサブ列選択信号SCSL<0>とを受けるゲート回路224aと、ゲート回路224aの出力信号に従ってビット線BL0を駆動する電流ドライバ226aを含む。電流制御ドライブ回路BCTL1へは、メイン列選択信号MCSL<0>とサブ列選択信号SCSL<1>が与えられる。電流制御ドライブ回路BCTL2へは、メイン列選択信号MCSL<1>とサブ列選択信号SCSL<0>が与えられる。最終の電流制御ドライブ回路BCTLnへは、メイン列選択信号MCSL<m>とサブ列選択信号SCSL<1>が与えられる。
また、電流制御ドライブ回路BCTL0−BCTLnへは、交互にサブ列選択信号SCSL<0>およびSCSL<1>が与えられ、2つの電流ドライブ制御回路に共通に、メイン列選択信号が与えられる。内部書込データWDATAが、これらの電流制御ドライブ回路BCTL0−BCTLnに共通に与えられる。
電流制御ドライブ回路BCTR0は、補の内部書込データ/WDATAとメイン列選択信号MCSL<0>とサブ列選択信号SCSL<0>を受けるゲート回路224bと、ゲート回路224bの出力信号に従ってビット線BL0の電流を駆動する電流ドライバ226bを含む。電流制御ドライブ回路BCTR1へは、サブ列選択信号SCSL<1>とメイン列選択信号MCSL<0>が与えられ、電流制御ドライブ回路BCTR2、メイン列選択信号MCSL<1>とサブ列選択信号SCSL<0>が与えられる。電流制御ドライブ回路BCTRnへは、メイン列選択信号MCSL<m>とサブ列選択信号SCSL<1>が与えられる。これらの電流制御ドライブ回路BCTR0−BCTRnは共通に補の内部書込データ/WDATAが与えられる。ゲート回路224aおよび224bは、従来と同様の構成であってもよく、また先の実施の形態1から10に示すタイミング制御回路を含んでもよい。
また電流ドライバ226aへは、共通に、電流源204lからの定電流が供給され、また電流ドライバ226bへは、定電流源204rからの定電流が供給される。
この図71に示す磁気メモリ装置においては、列選択信号が、メイン列選択信号とサブ列選択信号の階層構造を有している。メイン列選択信号MCSL<0>−MCSL<m>とサブ列選択信号SCSL<0>およびSCSL<1>とにより1つのビット線が指定される。
図72は、図71に示すメイン列選択線MCSL0−MCSLmの平面レイアウトを概略的に示す図である。図72においては、メイン列選択信号MCSL<0>およびMCSL<1>を伝達するメイン列選択線の平面配置を示す。また、メイン列選択線MCSL0およびMCSL1は、同一平面配置を有するため、図72においては、メイン列選択線MCSL0に対し、その構成要素に参照番号を付す。
メイン列選択線MCSL0は、図71に示すコラムデコーダからのメイン列選択信号MCSL<0>を受ける主配線230と、ビット線BL0およびBL1を間に挟むように列方向に延在して配置される分割配線231a、231bおよび231cと、これらの分割配線231a−231cの一方端を共通に主配線230に結合する取出配線233aと、分割配線231a−231cの他方端を主配線232に結合する取出配線233rを含む。すなわち、メイン列選択線MCSL0は、3分割構造とされ、平面レイアウトにおいて分割配線231aおよび231bの間にビット線BL0が配置され、分割配線231bおよび231cの間にビット線BL1が配置される。
ビット線BL0に対してはその両側に電流制御ドライブ回路BCTL0およびBCTR0が配置され、またビット線BL1に対してはその両側に、電流制御ドライブ回路BCTL1およびBCTR1が配設される。
図73は、図72に示すメイン列選択線分割構造における誘起磁場を模式的に示す図である。図73においては、分割配線231a−231cがそれぞれ誘起する磁場を、破線で示す。メイン列選択線MCSL<0>の活性および非活性化時においては、分割配線231a−231cに同一方向に電流が流れる。したがって、これらの分割配線231a−231cが誘起する磁場はすべて同一方向となる。したがって、分割配線231a−231bが誘起する磁場はビット線BL0について、逆方向となり互いに相殺される。同様、分割配線231bおよび231cが誘起する磁場がビット線BL1に対して及ぼす磁場は、互いに逆方向となり相殺される。
この場合、分割配線231aおよび231cから、隣接ビット線BLaおよびBL2に磁場が誘起される。しかしながら、このメイン列選択線が分割構造とされており、分割配線231a−231cそれぞれを流れる電流は、主配線230および232を流れる電流の1/3倍程度であり、その磁場は十分小さく、隣接ビット線の磁気抵抗素子TMRに対し何ら悪影響は及ぼさない。
なお、メイン列選択線が3分割構造とされる場合、隣接メイン列選択線の分割配線が、隣接ビット線の間に配置される。すなわち、図73において分割配線231aおよび231cに隣接して、隣接メイン列選択線の分割配線が配置される。また、平面レイアウトにおいて、隣接ビット線間に、1つの分割配線および2つの分割配線が交互に配置される。しかしながら、この場合、ビット線3ピッチを2分割配線分、および1分割配線分と交互に繰返し切換えることにより、各分割配線を対応のビット線に対して等距離に配置することができる。たとえば、ビット線BL0に関して、分割配線231aおよび231bを、ビット線BL0と垂直な軸に関して対称な位置に配置することにより等距離に配置することができる。
なお、サブ列選択信号SCSL<0>およびSCSL<1>を伝達する配線234l,234rおよび235lおよび235rは、この分割配線231a−231cよりも下層の配線であってもよく、また上層の配線であってもよい。
[メイン列選択線の変更例]
図74は、メイン列選択線の他の構造を概略的に示す図である。図73において、メイン列選択線MCSL0およびMCSL1の構造を代表的に示す。この図73に示すメイン列選択線の構造は、以下の点で、列選択線CSL0およびMCSL1の構造と異なる。すなわち、メイン列選択線MCSL0は、分割配線231d−231gに分割され、またメイン列選択線MCSL1は、4つの分割配線231h−231kに分割される。これらの分割配線231d−231kは、それぞれ、隣接ビット線の間に2本ずつ配置される。すなわち、ビット線BL0およびBL1の間に、分割配線231eおよび231fが配設され、ビット線BL1およびBL2の間に、分割配線231gおよび231hが配設される。ビット線BL2およびBL3の間に、分割配線231iおよび231jが配設される。図73に示す他の構成は、図72に示す構成と同じであり、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
図75は、図74に示すメイン列選択線構造の誘起磁場を模式的に示す図である。図75においては、磁気抵抗素子TMRは示していない。メイン列選択線MCSL0の選択時においては、分割配線231d−231gに電流が流れ、分割配線231h−231kは、非選択状態の電圧レベルに維持される。したがって、ビット線BL0に対して、分割配線231dおよび231eの誘起磁場が逆方向に印加され、これらの分割配線231dおよび231eからのビット線BL0に対する磁場の影響は相殺される。このとき、分割配線231fの誘起磁場がビット線BL0に影響を及ぼすことが考えられる。しかしながら、メイン列選択線MCSL0が4分割構造であり、分割配線231d−231gそれぞれを流れる電流は、非分割構造の場合に較べて1/4倍程度の電流の大きさに低減されており、その誘起磁場は十分小さく、また、ビット線BL0と分割配線231fとの距離も長く、分割配線231fが生成する誘起磁場は、ビット線BL0には、ほぼ影響を及ぼさない。
同様、ビット線BL1に対しても、分割配線231fおよび231gにより、逆方向の磁場が印加され、これらの分割配線231fおよび231gの誘起磁場のビット線BL1に及ぼす影響は相殺される。この場合においても、ビット線BL1に対し、分割配線231eの誘起磁場が影響を及ぼすことが考えられるものの、この分割配線231eの流れる電流は非分割構造のメイン列選択線を流れる電流量の約1/4倍程度であり、この分割配線231eの誘起磁場がビット線BL1に及ぼす影響はほぼ無視することができる。同様、分割配線231gの誘起磁場は、ビット線BL2に対しては影響をほぼ及ぼさない。
したがって、このメイン列選択線MCSL(MCSL0,MCSL1)を4分割構造とし、隣接ビット線の間に分割配線を2つ配置することにより、ビット線のピッチを一定として、ビット線BL0−BLnを配置することができ、また、ビット線BL0−BLnの幅と間隔が同じ場合、これらのメイン列選択線の分割配線も、ビット線と同じピッチで配置することができる。
[変更例2]
図76は、この発明の実施の形態11のさらに他の変更例を示す図である。図76においては、ビット線BLと平行に、分割制御信号線250aおよび250bが配設される。この分割配線250aおよび250bは、その一端においてドライブ回路252により駆動される。分割制御信号線250aおよび250bは、このビット線BLよりも上層の配線であってもよく、また下層の配線であってもよい。ビット線BLと平行に配設され、ビット線BLの駆動時に、ドライブ回路252により、この分割制御信号線250aおよび250bが駆動される。
分割制御信号線250aおよび250bが、列方向に延在して配設され、メモリセルのアクセストランジスタに接続されるソース線であり、読出動作時第1の基準電位に駆動され、それ以外のときには第2の基準電位源に維持される構成の場合、データ読出時にこのソース線のピーク電流により、メモリセルの記憶データが反転する状態が生じることが考えられる。しかしながら、分割配線構造にこのソース線を形成することにより、データ読出時のメモリセルデータの反転を防止することができる。
また、このメモリセルアレイがブロックに分割され、データ書込が、選択ブロックに対して行われる構成であり、ドライブ回路252がブロック選択信号を伝達する構成の場合、このブロック選択信号を伝達する信号線近傍に配置されたビット線に対する誤書込を防止することができる。
すなわち、その制御信号線として、メモリセルの磁気抵抗素子の磁化容易軸方向にデータの書込時または読出時に磁場を発生し、かつその制御信号線がビット線に近接して配置されている制御信号線であれば、分割構造を利用することにより、近接ビット線に対する制御信号線の誘起磁場の影響を相殺することができる。
また、メイン列選択線およびサブ列選択線の階層構成において、1つのメイン列選択線により2つのビット線が選択されている。しかしながら、1つのメイン列選択線により、4つのビット線が指定される構成であってもよい。
以上のように、この発明の実施の形態11に従えば、ビット線と同方向に延在し、磁気抵抗素子の容易軸方向に磁場を誘起する信号線の分割構造とし、分割信号線をビット線に関して平面レイアウトの対称な位置に配置しており、容易にこの制御信号線の駆動時のピーク電流による影響を抑制して磁気ディスターバンスの発生を防止することができる。