JP5116227B2 - 通気性の成型容器の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、通気性の成型容器およびその製造方法に関し、特に、通気性、離型性に優れ、脱落繊維がなく、生活資材向け容器や食品の調理用容器などに用いることができる通気性を有する成型容器およびその製造方法に関する。
従来、赤飯、饅頭、またはパンなどの蒸し調理用として、クッキングペーパーや硫酸紙等が使用されている。これらは、通気性を付与するために、シートに孔開け加工を施し、通気性と、食品の離型性とを保持したシートとして、蒸し調理に利用されている。しかし、これらのほとんどは、食品シートの底面部分に孔加工がされているものであり、容器底面からスチーム加熱するものが中心であり、加熱の調理時間がかかるなど、蒸し調理性が不十分であるという問題がある。
一方、通気性を有する不織布から構成された成型容器が知られているが、不織布を用いるので、通気性は十分であるが、食品等が不織布の繊維間隙に食い込むなどして、食品の離型性が悪いこと、また、不織布の脱落繊維が付着することなどの問題がある。
特許文献1には、耐熱性プラスチックと、無数の小孔を設けたフイルムとをラミネートした食品蒸し用トレイが開示されている。しかし、このトレイは、水蒸気の通過する小孔に間隔があるため、均一な蒸気処理ができす、また、トレイの廃棄処理の問題がある。
特許文献2には、無数の微小孔があり、撥水性、耐水性を有する、紙製の袋から構成された調理用袋が提案されている。しかし、この袋は、平袋形状であるため、食品を入れると、形状が変形することなどの問題がある。
特許文献3には、蒸し用食品包装体と、製品を作るための蒸し器を兼ね備えた食品収納容器が開示されている。しかし、この食品収納容器は、孔明き紙スノコを設け、食品の調理と、製品の容器が兼ね備えているため、便利であるが、紙スノコが水蒸気で濡れて破れ易く、また、容器が嵩張るなどの問題がある。
特開平04−242574号公報 特許3121828号公報 特開2005−35602号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、不織布とフィルムまたはシートとの通気性複合シートから一体成型された容器を用いることで、繊維の脱落がなく、食品との離型性が優れ、かつ、適度な通気性、水蒸気の透過性を有する、特に食品等の収容または調理容器として優れた成型容器を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために、加熱延伸性を有する不織布と熱可塑性フイルムとを圧着または接着で接合し、この複合シートを、特定温度範囲の熱圧着などの熱処理を施すことで、適度な通気性を発現させることができ、さらにこの複合シートを熱成型により一体成型して通気性を有する成型容器とすることにより、上記課題を解決し、本発明を完成するに到った。すなわち、本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
(1)不織布Aと、フイルムまたは樹脂シートBとを接合した複合シートを容器状に一体成型した成型容器であって、該複合シートは、温度100℃の破断伸度が50%以上、透気度(JIS-L-1096)が0.1〜10000秒/100cc、剥離強度が5N/25mm以上であり、該複合シートを一体成型する際の展開比(深さ/口径)が0.1〜1.3であることを特徴とする通気性の成型容器。
(2)前記不織布Aと、フイルムまたは樹脂シートBの重量比A:Bが、(50〜95):(5〜50) であることを特徴とする上記(1)に記載の通気性の成型容器。
(3)前記不織布Aの平均繊維径が1〜30μm、目付けが50〜500g/m2であり、かつフイルムまたは樹脂シートBの厚みが10〜200μmであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の通気性の成型容器。
(4)前記不織布の融点が、前記フイルムまたは樹脂シートの融点より、30℃以上高いことを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の通気性の成型容器。
(5)前記不織布が、温度100℃の破断伸度が50%以上のポリエステル系長繊維不織布であり、前記フイルムまたは樹脂シートが、ポリオレフイン系樹脂からなることを特徴とする上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の通気性の成型容器。
(6)前記ポリエステル系長繊維不織布が、脂肪族ポリエステル系長繊維からなることを特徴とする上記(5)に記載の通気性の成型容器。
(7)熱可塑性合成長繊維不織布と、熱可塑性フイルムまたは樹脂シートとを貼り合わせ、その後該フイルムまたはシートの軟化点または融点以上、かつ該不織布の軟化点または融点以下の温度範囲で、熱圧着または熱処理して複合シートとし、その後該複合シートを展開比(深さ/口径)が0.1〜1.3となるように加熱展伸して容器状に一体成型することを特徴とする通気性の成型容器の製造方法。
本発明の通気性成型容器は、特定温度範囲の熱圧着などの熱処理を施し、適度な通気性を発現させた複合シートを、熱成型により一体成型して通気性を有する成型容器としたことにより、フイルム面において、微小な領域に亘り、亀裂またはクラック状の微小孔を有し、複合シートに極少量の通気性を特定範囲で生じさせているため、通気性と共に、透湿性にも優れ、耐水圧、防水性などの特性を維持している。このため、本発明の成型容器は、繊維の脱落がなく、食品との離型性に優れ、かつ、適度な通気性、水蒸気の透過性を有し、乾燥剤、シリカゲル、除湿剤などの生活資材向け成型容器や、蒸し調理用、スモーク調理などの食品分野の調理用容器、などに好適に使用できる。
本発明は以下の原理を利用したものである。つまり、不織布とフイルムを、特定温度条件で熱圧着により複合一体化するに際し、フイルムの熱可塑特性を利用して、熱可塑性フイルムを軟化点から融点付近の温度に加熱することにより、熱可塑性フイルムが溶融変形し易くなり、不織布を構成する繊維層に侵入し、フイルムと不織布との積層構造体を形成するとともに、一定の通気性を有するようになる。すなわち、熱圧着または熱成形における特定の条件により、フイルムの溶融変形の度合いが変化し、それに従い、フイルムと不織布との積層構造体の構造が大きく変化し、このような構造的な変化に伴ない、非通気性のフイルムが、一定範囲の通気性を有するまでになる。つまり、非通気性の熱可塑性樹脂フイルムと不織布とを積層して、繊維は融解せず、フイルムが溶融ないし軟化するような特定温度条件で熱圧着または熱プレス成形を行うことにより、不織布の構成繊維が溶融状態のフイルムの界面に食い込み、樹脂フイルム表面において、その微小領域に亀裂またはクラック状の通気性微小孔が形成され、積層シートに通気特性、例えば水蒸気の透過性を付与することができる。
詳述すれば、本発明の不織布は、補強材的役割を有するとともに、不織布を構成する繊維が本来、無孔性(非通気性)の熱可塑性フイルムに通気性を発現させる点で、重要な意味合いを持つ。不織布の構成要件、例えば素材、凹凸形状、構成繊維径、繊維密度などの不織布構造と、フイルム面の素材、軟化点、融点、厚みなど構成要件の組み合わせにより、熱圧着または熱成形の加工条件と密接に関係して、フイルム面に構造的な変化を促し、最終的な通気性を発現するのである。また本発明の不織布は、熱圧着および/または接着の加工支持体としての役割、および、熱処理加工において熱可塑性フイルムに通気性を発現させるための媒体としての役割や、フィルムを保形するなどの役割、さらには、加熱展伸性に優れ、加熱展伸による一体成形性に優れるという重要な働きを有する。
フイルムやシートの役割は、食品と直接接触する面に用いられ、不織布からの繊維脱落を防止し、食品との離型性を向上させるとともに、複合シート化後の熱処理で表面に微小孔を有して、通気性、透湿性、耐水性等の透過性に関係ある特性を調整する役割がある。
本発明に用いる不織布を構成する繊維の融点は、積層する熱可塑性フイルムの融点より30℃以上高いことが好ましく、より好ましくは50℃以上である。その理由は、フイルムと不織布とを積層して、繊維は融解せず、フイルムが溶融ないし軟化するような特定温度条件で熱圧着を行えるようにするためである。この様な温度条件を用いることで、不織布を構成する繊維の融解、熱変形および熱収縮などを防止することができる。
本発明の不織布を構成する繊維として、ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレンなどのポリオレフイン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系繊維、ナイロン-6、ナイロン-66、共重合ナイロンなどのポリアミド系繊維、鞘がポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエステル、芯がポリプロピレン、ポリエステルなどの組み合わせから成る芯鞘構造等の複合繊維、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなどの生分解性繊維などの繊維などが用いられる。
これらの構成繊維は、短繊維、長繊維の単独でもよく、また2種以上の繊維を積層または混合して用いることもできる。例えば、2種の融点繊維の構成の場合は、低融点繊維の融点以上の温度で、高融点繊維の融点未満の温度範囲で成型加工すると、繊維結合が弱くなり、不織布の展伸ができ、成型容器が得られ易くなる。繊維の断面形状は、丸型、および扁平型、T型などの異形断面などが用いられる。
不織布の積層形状としては、例えば、SS、SMS、SMMS、SMSMSなどの多層積層不織布なども用いることができる(S:スパンボンド法の繊維、M:メルトブロー法の極細繊維)。
本発明における不織布の製造は、従来公知のスパンボンド法、フラッシュ紡糸法、スパンレース法
ニードルパンチ法などで得られる。特にスパンボンド法から得られる破断伸度が100%以上、複屈折率が0.01〜0.07である長繊維不織布は好ましく用いられる。
本発明の不織布の平均繊維径は、1〜30μm、好ましくは、2〜20μmである。不織布の構成繊維は、単独の繊維でも良いが、細い繊維と太い繊維の混合または積層して用いることもできる。
平均繊維径が1μm未満では、繊維強度が弱くなり、かつ、物理的衝撃が低くなる。一方、30μm超えると、繊維間隙が大きくなり、繊維強度が強く、かつ物理的衝撃が高くなり、フイルム面の衝撃が大き過ぎ、破れたり、大きな孔をあけることがある。
前記不織布の目付は、50〜300g/m2であり、好ましくは、60〜250g/m2である。目付が、50g/m2未満では、繊維間隙が大きく、強度が低く、成型容器の剛性が低くなる。一方、300g/m2を超えると、繊維間隙が小さくなり強度が高くなるが、厚みが大きくなり、熱圧着、または熱成型加工性が低下する
本発明に用いる熱可塑性フイルムは、無孔質なフイルムであり、その融点は不織布の融点より30℃以上低いことが好ましく、より好ましくは不織布の融点より50℃以上低温である。
フィルムの製法としては、熱可塑性樹脂を溶融押し出し法により、スリット状口金からキャステイングドラムに吐出し、フイルムを成形することができれば特に制限はないが、軟化温度または融点が80〜200℃の範囲であることが加工し易くより好ましい。溶融した熱可塑性樹脂の吐出速度、口金スリット寸法、キャステイングドラムの回転数を調節することによって、フイルムの厚みを調整することができる。
フィルムに用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエチレン、共重合ポリプロピレンなどのポリオレフイン系樹脂、 脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリ乳酸、共重合ポリエステルなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、共重合ナイロンなどのポリアミド系樹脂、エチレン-酢酸ビニール共重合樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフイン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーの単層、または、2層以上の積層フイルムが用いられる。例えば、高透湿フイルムの溶融製膜の粘着を防止するため、積層フイルムが好ましい。積層フイルムは、好ましくは表層部がガラス転移点の高い樹脂で芯部が高透湿性フイルムであることが通気性の加工性が優れる。
本発明に用いるフイルムの厚みは、積層する不織布との加熱、加圧処理において、フイルム面の微小な部分に微小孔や亀裂によって通気性が調整できることが望ましく、このため、厚みは、10〜200μm、好ましくは、15〜150μm、より好ましくは20〜120μmである。厚みが10μm未満では、一体成型での展伸加工時において、フイルムの皮膜強度が破れたり、穴があいたりすることがある。一方、厚みが200μmを超えると、皮膜強度が強すぎて、フイルム面に微小な部分に亀裂または傷つくことが難しくなり、通気性を発現することが難しい。
本発明の複合シートを構成する不織布AとフイルムBとの重量比は、A:Bで、(51〜90):(49〜10)であり、好ましくは、(55〜85):(45〜15)の範囲である。不織布の含有比率が多いと、全体として繊維ライクな触感となり、不織布柄を活かして意匠性がよくなり、また成型加工時に不織布の加工方法に準じた条件で行なうことができる利点がある。
本発明において、不織布自体が加熱展伸性を有し、フィルムとの複合シートにおいて、特定割合の加熱展伸成型加工できることが必要である。成型加工としては、例えば、真空成型、圧空成型、真空圧空成型、熱プレス成型などを用いて、複合シートを、加熱展伸して成型容器を得ることができる。 複合シートの加熱時の延伸性としては、100℃温度で50%以上の破断伸度、好ましくは80%以上、より好ましくは100〜400%の破断伸度である。従って、不織布を構成する繊維としては、破断伸度が100%以上、複屈折率が0.01〜0.07の長繊維からなる不織布が好ましい。特に、ポリエステル系長繊維不織布、脂肪族ポリエステル系長繊維不織布が好ましく、紡糸工程での延伸度合いを低く押さえたものがさらに好ましい。
本発明の不織布とフイルムとの熱圧着および/または接着における接合方法としては、次の(1)〜(4)の方法が挙げられる。
(1)溶融樹脂をスリット口金から押し出したフイルムと不織布とを、冷却ロール間で接着させる。
(2)フイルムと不織布とを、不織布の融点以下の温度で、熱ロール間を通して熱圧着する。
(3)押し出したフイルムと不織布とを、冷却ロール間で接着させてから、加熱ロール間で熱圧着する。
(4)フイルムと不織布とを接着剤接着してから、加熱ロール間で熱圧着する。
具体的には、(1)の方法は、公知の押し出しラミネート方法であり、吐出速度、口金スリット寸法、キャステイングドラム回転数を調節することで、フイルムの厚みを調整しながら、フイルムと不織布をロール間で圧力を調節しながら接合する。(2)の方法は、フイルムの軟化温度以上、不織布融点温度以下の加熱ロール間を通過させ、温度、圧力を調節しながら接合する。加熱ロールとしては、一対の金属ロール、金属ロールと樹脂ロール、金属ロールとペーパーロール、金属ロールとコットンロール、凹凸模様のエンボスロールなどで、特に、不織布側が高い温度でフイルム側が低い温度の温度差を設けて熱圧着することなどで接合する。(3)の方法は、(1)と(2)の組み合わせで接合する。(4)の方法は、共重合ポリエチレン系樹脂、共重合ポリプロピレン系樹脂、共重合ポリエステル系樹脂などのホットメルト系樹脂、ウレタン系樹脂などの反応型樹脂、エチレンー酢酸ビニール系共重合樹脂などの接着剤を使用して、不織布とフイルムとを接合してから、フイルムの軟化温度以上、不織布融点温度以下の加熱ロール間を通過させ、温度、圧力を調節しながら接合する。
本発明に用いる熱圧着および/または接着の温度(T℃)は、熱可塑性フイルムの軟化点または融点(A℃)、不織布の融点(B℃)とすると、(A―50℃)<T<B の関係を満たす温度条件が好ましく、より好ましくは(A―30℃)<T<(B−30℃)である。
上記の熱圧着および/接着は、不織布の構成繊維面にフイルムまたは樹脂シートが加熱溶融軟化することで食い込み、フイルムまたは樹脂シートに、微小孔、亀裂または傷が生じ、通気性を発現することができる。
例えば、上下の熱ロールを用いて加熱処理する場合、不織布面側の熱ロール(上ロール)を、フイルム面の熱ロール(下ロール)温度よりもより高い温度に設定し、上下ロール間で温度条件に差を設け、かつ、フイルム側の温度は、フィルムの軟化点または融点付近の温度にすることが好ましい条件である。圧力条件は、5〜1000N/cm、好ましくは、10〜800N/cmで、加工速度は、5〜150m/min、好ましくは10〜100m/minである。但し、加熱は、加熱ロール、遠赤外線ヒーター、熱風などにより、フイルムまたは樹脂シートを予熱してから加圧することが好ましい。
本発明の一体成型方法としては、公知の樹脂シートの成型加工機が用いられ、例えば、熱プレス成型機、真空成型機、真空圧空成型機などで一体成型加工して容器形状に成型することができる。
複合シートの成型加工方法の具体例としては、この複合シートを80〜200℃の温度に予熱するか、または金型の温度を80〜200℃の温度に加熱してから、油圧プレス、空圧プレスなどで加圧し、複合シートを展開比(深さ/口径)が0.1〜1.3となるように展伸することにより、立体形状の一体成型容器が得られる。展開比(深さ/口径)は0.4〜1.0が好ましく、特に好ましく0.5〜0.8である。展開比がこの範囲にあると特に成型加工性の面で優れた効果を有する。
一体成型におけるフイルム面の温度は、フイルムの融点以下が好ましい。さらに、成型加工により、通気性を向上させる方法としては、成型加工において、不織布の接触面にフイルムまたは樹脂シートを食い込むような加熱条件にすることである。例えば、不織布とフイルム面の予熱温度や金型温度をもちいて、フイルム面を融点付近の温度とすることや、凹凸金型の隙間を複合シートの厚みより小さくすることなどが挙げられる。
しかし、成型容器の通気性を向上させる上では、一旦複合シートの状態で通気性を発現させておいて、成型加工で展伸成型して容器形状を得ることが好ましい。その理由は、成型形状により、部分的に展伸の度合いが異なるので、容器の各部分で通気性の違いが生じるためである。
複合シートの剥離強度は、不織布とフイルムとの接合性であり、取り扱い作業時に剥離しないことが必要であり、剥離強度としては、5N/25mm以上、好ましくは10N/25mm以上である。剥離強度としては、0.1N/cm未満では、成型容器の実使用状態で剥離が生じ易くなるという問題を生じる。
不織布における部分熱圧着は、不織布を構成する繊維間隙を小さくして緻密化および、強度の向上ができ、かつ、繊維構成の密度差を有する表面の凹凸形状を形成する上で好ましい。
部分熱圧着は、凹凸の表面構造を有するエンボスロールと、表面が平滑なフラットロールからなる一対の加熱ロール間を通過させ、不織布全体に均等に分散された圧着部を形成させる。
不織布全体に対し、圧着部分の面積を部分熱圧着率として表すと、部分熱圧着率は5〜30%、好ましくは、7〜25%である。部分熱圧着率が5%未満では、圧着部分が少なく緻密化および強度向上が不足する。一方、30%以上では、緻密化および強度が十分であるが硬い風合いとなり、取り扱い性が劣る。
本発明の成型容器の透気度は、複合シートのフイルム面に存在する微小孔、亀裂、または傷などによる通気性である。従って、従来行われる、ニードル針、カッター刃、レザー光線などによる孔開け加工品と異なる。
複合シートにおける透気度は、JIS-L-1096に準じたガーレ方式透気度の数値としては、0.1〜10000秒/100cc、好ましくは0.1〜5000秒/100cc、より好ましくは0.1〜3000秒/100ccである。この数値は、100ccを通気させるの要する時間を秒数で表示したものであり、秒数が小さいほど通気性が大きいことを意味する。
成型容器の透気度は、展伸成型比率により変化するが、JIS-L-1096に準じたガーレ方式透気度の数値としては、0.1〜5000秒/100ccの範囲であり、好ましくは0.1〜4000秒/100cc、より好ましくは0.1〜3000秒/100ccである。透気度が0.1秒/100cc未満では、通気性が大きくなるが、亀裂および傷が大きくなり、脱落繊維の問題などが生じる。一方、5000秒/100ccを超えると通気性が小さくなり、調理性に通気性の面で問題を生じることがある。
本発明の成型容器の最大孔径測定(バブルポイント法:JIS-K-3832)の最大開口径は、50μm未満、好ましくは、30μm未満、より好ましくは25μm未満である。最大開口径が50μm超えると通気性が大きくなるが、脱落繊維の問題や調理における均一性などの問題を生じることがある。
本発明の複合シートに剥離性を向上させる方法としては、公知の剥離剤が使用できる。例えば、シリコーン系樹脂、シリコーン系オイル、ワックス系樹脂などを公知のグラビア法、キスロール法などにより、フイルム面に塗布することが好ましい。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。本発明に用いる特性値は、下記の方法で測定した。
(1)目付(g/m2):縦20cm×横25cmの試料を3カ所切り取り、重量を測定し、その平均値 を単位当たりの質量に換算して求める。(JIS-L-1906)
(2)平均繊維径(μm):顕微鏡で500倍の拡大写真を取り、10本の平均値で求める。
(3)透気度(sec/100ml):JIS-L-1096に準じる。
(4)透湿度(g/m2・hr):JIS-L-1096に準じる。
(5)最大開口径:バブルポイント法 JIS-K-3832に準じる。すなわち、直径40mmの円形
試料を液体に満たし、毛細管現象を用いて、試料の全細孔に液体が入っている状態 にする。この試料の下面から次第に空気圧をかけていき、気体圧力が毛細管内の液 体表面張力に打ち勝った時、気泡がでてくる。この時に最初に気泡がでるのが、最 大孔径からであり、そのときの気体圧力を測定することで最大孔径を算出すること ができる。
(6)引張強度:引張試験機を用い、幅5cm×長さ30cm試料を切り取り、つかみ間隔 10cm、引張速度10cm/minで測定し、破断時の強度、破断時の伸度をタテ、ヨコ方 向、各々3点測定し、平均値で示す。
(7)剥離強度:JIS−K−6854のT字90度剥離法に基づいて測定し平均値で示す。
(8)離型性 :豚の練り肉を用いて、スモークガス雰囲気中で90℃加熱、30分の調理 を行い、肉の離型性を下記基準で判定する。
○:肉の付着がない。△:肉の付着が少しある。×:肉の付着が多く剥離し 難い。
(9)調理性 :饅頭を成型容器に入れ、蒸し器で30分蒸し、蒸し饅頭の状態から調理性 を判定する。
○:充分に蒸されている。△:蒸されていない部分が少しある。×:蒸され ていない部分が多くある。
豚肉を成型容器の中に入れ、蒸し器で20分蒸し、豚肉の変色状態から調 理性を判定する。
○:肉の変色があり、充分に蒸されている。 △:肉の変色が充分でなく、 蒸されていない部分が少しある。 ×:肉の変色が殆んどなく、蒸され ていない部分が多くある
(10)脱落繊維の付着:調理した食品の表面観察で判定する。
○:繊維付着がまったくない。△:繊維付着が数箇所ある。×:繊維付着が 多い。
[実施例1〜4、比較例1〜2]
目付け100g/m2、部分熱圧着率15%のポリエステル長繊維不織布(平均繊維径が14μm、平均みかけ密度0.26g/cm3、融点265℃、100℃の破断伸度が280%、不織布の構成繊維の破断伸度180%、複屈折率が0.033)と、ポリプロピレン樹脂(融点165℃)をTダイから厚み30μmポリプロピレン樹脂を押し出し、押し出しラミネート方法で熱接着した接着シートを得た(不織布とフイルムとの重量比は79:21である)。この熱接着シート(上面がフィルム層、下面が不織布層)をさらに一対の金属熱ロール間で熱圧着して、複合シートとした。熱圧着の温度、圧力を変え、加工速度20m/minにて、本発明の二段加工の複合シートを得た。複合シートの特性を表1に示す。
表1に示したように、実施例1〜4の複合シートにおいて、不織布とフイルムとの接着性を示す剥離強度は20N/25mm以上と高く、脱落繊維の付着がなく、通気性、透湿性、および離型性に優れた複合シートであった。比較例1、2は、表1の温度で比較的低温で圧着した複合シートである。
この複合シート用いて、熱プレス成型機を用い、成型条件として、口径が80mm、底径が60mm、深さ50mmの円錐台形状の金型を用い、フイルム面を容器の内側にして、金型温度150℃で熱プレス成型加工して成型容器を得、展開比0.6の底部の通気性を測定した。また温度150℃で、展開比(深さ/口径)が0.6で加熱展伸成型にて、成型容器を得、成型容器としての離型性、調理性、脱落繊維の付着性を評価し、結果を表1に示した。尚、調理性は、饅頭を成型容器に入れ、蒸し器で30分蒸し、蒸し饅頭の状態から、調理性を評価した。
Figure 0005116227
[実施例5〜8、比較例3〜4]
目付け250g/m2、部分熱圧着率25%の未延伸ポリエステル長繊維不織布(平均繊維径が16μm,平均みかけ密度が0.30g/cm3,融点265℃、100℃の破断伸度が230%、フィラメントの破断伸度は160%、複屈折率は0.035)と、厚み60μmの高密度ポリエチレン樹脂(融点128℃)を、一対の金属熱ロール間で熱圧着して接合し、複合シート(上層がフィルム層、下層が不織布層、不織布とフイルムの重量比は81:19)を得た。上下の熱ロールの温度、圧力を変えて、加工速度30m/minで行った。
得られた複合シートを用いて、熱プレス成型機を用い、成型条件として温度150℃、展開比(深さ/口径)が0.6で加熱展伸成型にて、成型容器を得、成型容器としての離型性、調理性、脱落繊維の付着性を評価し、表2に示した。尚、調理性は、豚肉を成型容器の中に入れ、蒸し器で20分蒸し、肉表面の変色状態から、調理性を評価した。
得られた複合シートおよび成型容器の特性を表2に示す。表2の結果から、実施例5〜8の積層シートは、不織布とフイルムとが接合でき、一体化され、剥離強度の高いものであった、かつ、通気性、透湿性、耐水圧にも優れていた。比較例1、2は不織布とフイルムとが接合性が悪く、簡単に剥離するものであった。実施例1と同様の金型、および成型条件を行ない、得られた成型品の底部の透気度を測定した(成型品の形状:口径が80mm、底径が60mm、深さ50mmの円錐台形状、展開比0.6の底部の通気性を測定した)。
Figure 0005116227
本発明の成型容器は、通気性と共に、透湿性にも優れ、耐水圧、防水性などの特性を有するものであり、使い捨てカイロ、乾燥剤、シリカゲル、除湿剤などの生活資材容器や、蒸し調理、スモーク調理などの食品調理用などの幅広い分野に活用が期待できる。

Claims (1)

  1. リエステル系長繊維不織布と、該不織布の融点より30℃以上低い融点のポリオレフイン系樹脂からなる無孔質フィルムとを貼り合わせ、その後、下記(1)式で表される温度範囲(T℃)で、熱圧着して複合シートとし、
    該複合シートは、100℃の破断伸度が50%以上、透気度(JIS−L−1096)が0.1〜10000秒/100cc、剥離強度が5N/25mm以上、不織布と無孔質フィルムとの重量比が(5190):(4910)であり、
    その後、該複合シートを80〜200℃の温度に予熱するか、または金型の温度を80〜200℃の温度に加熱してから、展開比(深さ/口径)が0.1〜1.3となるように加熱展伸して容器状に一体成型することを特徴とする通気性の食品用成型容器の製造方法。
    (A−50℃)<T<B (1)
    A(℃):無孔質フィルムの軟化点または融点
    B(℃):不織布の融点
    T(℃):熱圧着する温度
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