JP2007105163A - 使い捨てカイロ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、A)ポリエステル繊維からなる不織布を表皮材に用いてなるカイロにおいて、該表皮材が、結晶性ポリエステル成分に、ガラス転移点温度が50℃以上の非晶性ポリエステル成分を0.5〜50重量%含有する樹脂組成からなる、単繊維での繊度が0.5〜5dtexである連続繊維が開繊された後、ドットで圧着され、熱圧着により潰された部分は個々に独立しており、熱圧着部の形成面積率が5〜40%で接合一体化されている不織布をもちいたことを特徴とする使い捨てカイロ
【選択図】なし
Description
本発明の使い捨てカイロの表皮材は、単繊維での繊度が0.5〜5dtexである連続繊維からなる不織布であることが好ましい。
また、本ドットで圧着することにより、ニードルパンチ等の機械的交絡処理による不織布形態形成のような、繊維の損傷・不織布強力の低下を伴うことなく、不織布の柔軟な風合いを維持することが可能となり、カイロ使用時の破れを防止することができるからである。すなわち、ドットで圧着されることによって、熱圧着により潰された部分を個々に独立させることで、非熱圧着部が不織布全体の厚みを保持し、自由な変形が容易になり柔らかさを維持できる。熱圧着により潰された部分が連続していると、面の自由な屈曲を制約されるので、不織布全体の柔軟性が低下してカイロ使用時にゴワゴワ感が発現し易くなる。
更に詳しくは、前記の他の酸成分としては、たとえばイソフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、ナフタリン−1,4−ジカルボン酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸等が例示されるが、これらに限定されるものではない。一方、前記の他のグリコール成分としては、たとえばプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA等の芳香族ジヒドロキシ化合物等が例示されるが、これらに限定されるものではない。本発明での好ましい結晶性ポリエステルとしては、酸成分が芳香族のジカルボン酸からなり、グリコール成分が直鎖のジオールからなるポリエステルであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどが例示できる。本発明で特に好ましい結晶性ポリエステルは柔軟性と成型性を付与でき、且つ耐熱性も保持できるポリブチレンテレフタレートが最適である。かかる結晶性ポリエステル成分を主原料とすることにより、耐熱性、柔軟性に富み、更には耐光性に優れた商品価値の高い使い捨てカイロを得ることができる。
結晶性ポリエステルとして例えば、固有粘度0.93のポリブチレンテレフタレート90部と、非晶性ポリエステルとして例えば、Tg79℃、固有粘度0.72のグリコール成分としてネオペンチルグリコール成分とエチレングリコール成分、酸成分としてテレフテル酸成分の共重合ポリエステル10部を混合乾燥する。乾燥した混合ポリエステルは紡糸機に供給し、常法により、例えば、紡糸温度260℃にて、オリフィス径φ0.23mmのノズルより、吐出量0.9g/分孔にて紡出する。例えば、スパンボンド不織布を作成する場合には、紡出した繊条は、冷却しつつエジェクターにて4500m/分の速度で引取、下方の100m/分にて移動する引取ネット上に開繊振落して、均質に開繊された目付50g/m2のウエッブを形成した。ウエッブ中の単繊維は、繊度2dtex、IS35cN/dtexであった。ウエッブは次いで、織目柄の圧着面積20%となるエンボスローラーにて、215℃、線圧80KN/mでエンボス加工して、巻き取り、長繊維不織布であるスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布は、目付50g/m2、厚み0.3mm、引張強度は縦70N/5cm、横60N/5cm、引張伸度は縦26%、横38%で、引裂強力は縦16N、横14N、乾熱収縮率は縦3%、横1%であった。
なお、本発明における例示は、これらに限定されるものではない。
示差走査型熱量計(DSC)にて、20℃〜300℃まで20℃/分にて昇温し、300℃にて5分間保持後、300℃から20℃まで20℃/分にて降温して熱量測定を行い、吸発熱パターンより、結晶化に由来する発熱ピーク及び結晶融解に由来する吸熱ピークを調べる。明瞭な吸発熱ピークを有するものを結晶性ポリエステルと判定し、明瞭な吸発熱ピークを有しないものを非晶性ポリエステルと判定する。
300℃に加熱5分後溶融させたポリエステルを、水中へ入れて急冷させたポリエステルを試料として、上述のDSCにより昇温速度20℃/minで昇温時の潜熱の転移点から求めた値をTgとする。
不織布の任意の部位からサンプリングした試験片の切断面が観察できるように、デジタル式測微接眼装置を装着した光学顕微鏡にセットして、繊維軸を横切る方向にほぼ直角に切断されている任意の繊維50本について、繊維断面の長軸と短軸の長さを測定し、各繊維の断面積を求め、それら値を平均して繊維の断面積を算出する。別途、繊維密度を求めて適用し、長さ10,000mでの重量を計算して求める。
不織布の任意の部位から不織布片をサンプリングし、テトラクロルエタン/フェノール(40部/60部重量比)混合溶媒に1g/100ml溶解させ、30℃雰囲気で粘度管にて測定し、0%濃度に換算した固有粘度(dl/g)を求める。
JIS−L−1015(1999)の方法に準拠して測定。
JIS−L1906(2000)に準拠して測定。
JIS−L1906(2000)に準拠して測定。
上記方法にて測定した目付と厚みより1m3当りの見掛密度(kg/m3)を求める。
JIS−L1906(2000)に準拠して測定。但し、幅は5cmとする。
20℃、湿度65%の環境下で、恒温水槽から水循環され20℃で維持されるように設定された熱板A(5cm角)上に、同寸法の試料片を置き、更にその上に5cm角で40℃の熱板B(6g/cm2)を重ね、試料を通して伝わる熱量を熱板Bの温度を維持する熱量として測定し、試料の熱伝導度Q2とした。試料を置かない場合の維持熱量Q1(W/25cm2・20℃)を保温効率0%とし、次式による値を目付当りの保温効率とした。
目付当りの保温効率(%/(g/m2))={(Q1−Q2)/Q1}×100/目付
パネラー10名に作成したカイロを、朝出勤前に着用させて、12時間以上着用後取り出す条件で以下の項目について官能評価をおこなった。肌触り:良い○、悪い×、柔軟性:柔らか○&ゴワゴワ感あり×、毛羽立ち:なし○&有り×、ももけ:なし○、あり×、変形:なし○&有り×、破れ:なし○&有り×、暖かさ持続:12時間以上○&12時間未満×、で評価し、各項目の○過半数を優れる、×過半数を劣ると判断した。
結晶性ポリエステルとして固有粘度0.94のポリブチレンテレフタレート87部と非晶性ポリエステルとしてTg78℃、固有粘度0.71のグリコール成分としてネオペンチルグリコール成分とエチレングリコール成分、酸成分としてテレフテル酸成分の共重合ポリエステル13部を混合乾燥したポリエステルを紡糸機に供給し、紡糸温度260℃にて、オリフィス径φ0.2mmのノズルより、吐出量0.84g/分孔にて紡出した繊状は、冷却しつつエジェクターにて4200m/分の速度で引取、下方の100m/分にて移動する引取ネット上に開繊振落して、長繊維を均質に開繊された目付30g/m2のウエッブを形成した。ウエッブ中の単繊維は、繊度2dtex、IS9cN/dtexであった。ウエッブは次いで、織目柄の独立ドットとなり、圧着面積20%となるエンボスローラーにて、215℃、線圧80KN/mでエンボス加工して巻き取り、カイロ包材用のスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の特性と評価結果を表1に示す。
実施例1の使い捨てカイロは、柔らかな不織布が外側であり、滑らかな触感、柔軟性を持ち、適度な肌触りのカイロであった。1日の着用では、暖かさが長時間持続し、表面の毛羽だちやモモケもなく、型崩れもしていなかった。
結晶性ポリエステルとして固有粘度0.93のポリブチレンテレフタレート95部と非晶性ポリエステルとしてTg79℃、固有粘度0.72のグリコール成分としてネオペンチルグリコール成分とエチレングリコール成分、酸成分としてテレフテル酸成分の共重合ポリエステル5部を混合乾燥したポリエステルを紡糸機に供給し、紡糸温度260℃にて、オリフィス径φ0.2mmのノズルより、吐出量0.84g/分孔にて紡出した繊状は、冷却しつつエジェクターにて4200m/分の速度で引取、下方の100m/分にて移動する引取ネット上に開繊振落して、長繊維を均質に開繊された目付30g/m2のウエッブを形成した。ウエッブ中の単繊維は、繊度2dtex、IS9cN/dtexであった。ウエッブは次いで、織目柄の独立ドットとなり、圧着面積20%となるエンボスローラーにて、215℃、線圧80KN/mでエンボス加工して巻き取り、得られたスパンボンド不織布の特性と評価結果を表1に示す。
実施例2の使い捨てカイロは、柔らかな不織布が外側であり、滑らかな触感、柔軟性を持ち、適度な肌触りのカイロであった。1日の着用では、暖かさが長時間持続し、表面の毛羽だちやモモケもなく、型崩れもしていない。
実施例1で用いた結晶性ポリエステルのみを用いた以外は、実施例1と同様にして得られたスパンボンド不織布の特性と評価結果を表1に示す。得られたスパンボンド不織布は、実施例1と同様にして、使い捨てカイロを得た。ヒートシール性が少し劣るが形状の仕上がりはまずますであった。次いで、ガスバリヤー性ポリエチレンフィルムで密封パッキングしてサンプルとした。比較例1の使い捨てカイロは、不織布表面が少し硬く、少しゴワつきのある触感で、柔軟性にやや欠ける肌触り少し劣るカイロであった。1日の着用では、暖かさの持続時間はよいが、表面の毛羽だちやモモケが少し発生しており、若干型崩れもしていた。
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを用い、紡糸温度285℃にて、吐出量0.8g/分、引取速度4000m/分にて紡糸して、目付40g/m2のウエッブとして、エンボス加工温度250℃、線圧50KN/mとした以外、比較例1と同様にして得られたスパンボンド不織布の特性と評価結果を表1に示す。
得られたスパンボンド不織布は、比較例1と同様にして使い捨てカイロを得た。ヒートシール性は悪く、形状の仕上がりは悪いものであった。次いで、ガスバリヤー性ポリエチレンフィルムで密封パッキングしてサンプルとした。
比較例1の使い捨てカイロは、不織布表面が硬く、ゴワゴワした触感で、柔軟性に欠ける肌触りが劣るカイロであった。1日の着用では、暖かさの持続時間はよいが、表面の毛羽だちやモモケが若干発生しており、型崩れも生じていた。
結晶性ポリエステル80部と、非晶性ポリエステルとして、固有粘度0.53のグリコール成分として、ネオペンチルグリコール成分および、酸成分としてイソフタル酸成分及びセバチン酸成分をテレフタル酸成分及びエチレングリコール成分に共重合した、Tg47℃の非晶性ポリエステル20部を用いた以外、比較例2と同様にして得られたスパンボンド不織布の特性と評価結果を表1に示す。
得られたスパンボンド不織布は、比較例1と同様にして使い捨てカイロを得た。ヒートシール性はよいが形状崩れがあり、仕上がりは悪いものであった。次いで、ガスバリヤー性ポリエチレンフィルムで密封パッキングしてサンプルとした。
比較例3の使い捨てカイロは、不織布表面が硬く、ゴワゴワした触感で、柔軟性に欠ける肌触りが劣るカイロであった。1日の着用では、暖かさの持続時間は短く、表面の毛羽だちやモモケが顕著に発生しており、形崩れと包材の一部が破れを生じていたが、発熱体の漏れは生じなかった。
吐出量を2.8g/分孔、引取速度を3500m/分として、短繊維の繊度を8dtexとした以外、実施例2と同様にして得られたスパンボンド不織布の特性と評価結果を表1にしめす。
得られたスパンボンド不織布は、比較例1と同様にして使い捨てカイロを得た。ヒートシール性はやや悪かったが、形状の仕上がりには問題がなかった。次いで、ガスバリヤー性ポリエチレンフィルムで密封パッキングしてサンプルとした。
比較例4の使い捨てカイロは、不織布表面が少し硬く、ゴワつく触感で、柔軟性に欠ける肌触りがやや劣るカイロであった。1日の着用では、暖かさの持続時間はやや短く、表面の毛羽だちやモモケが若干発生しており、シール部の一部が型崩れを生じていた。
結晶性ポリエステルを40部、非晶性ポリエステルを60部使用した以外、実施例2と同様にして得たスパンボンド不織布の特性と評価結果を表1に示す。
得られたスパンボンド不織布は、実施例2と同様にして使い捨てカイロを得た。ヒートシール性は良く、シール部の一部に不織布切れが生じた。次いで、ガスバリヤー性ポリエチレンフィルムで密封パッキングしてサンプルとした。
比較例5の使い捨てカイロは、不織布表面は柔らかさがやや劣り、少し硬い触感で、柔軟性の劣る肌触りのカイロであった。1日の着用では、暖かさの持続時間はよいが、表面の毛羽だちやモモケは発生していないが、型崩れも生じていた。
エンボス加工に用いたエンボスローラーが、格子柄で独立していない圧着面積が40%となるものを用いた以外、実施例2と同様にして使い捨てカイロを得た。ヒートシール性は良く、仕上がり形状も良好であった。次いで、ガスバリヤー性ポリエチレンフィルムで密封パッキングしてサンプルとした。比較例6の使い捨てカイロは、エンボス文様が独立していないため不織布表面の柔らかさがやや劣り、少し硬い触感で、柔軟性の劣る肌触りのカイロであった。1日の着用では、暖かさの持続時間はよく、表面の毛羽だちやモモケの発生はないが、型崩れも生じていなかった。
エンボス加工に用いたエンボスローラーが、小判柄の独立ドットで、圧着面積が65%のものを用いた以外、実施例2と同様にして得られた実施例2と同様にして使い捨てカイロを得た。ヒートシール性は良く、仕上がり形状も良好であった。次いで、ガスバリヤー性ポリエチレンフィルムで密封パッキングしてサンプルとした。
比較例7の使い捨てカイロは、エンボス加工による圧着面積が大き過ぎるため不織布表面の柔らかさがやや劣り、少し硬い触感で、柔軟性の劣る肌触りのカイロであった。1日の着用では、暖かさの持続時間はよく、表面の毛羽だちやモモケの発生はないが、型崩れも生じていなかった。
非晶性ポリエステルの替わりに、結晶性のイソフタル酸とジエチレングリコールを共重合した低融点ポリエチレンテレフタレートを20部用いた以外、比較例3と同様にして得られた実施例2と同様にして使い捨てカイロを得た。ヒートシール性は良いが、シール部の切れが生じて仕上がり形状がやや不良であった。次いで、ガスバリヤー性ポリエチレンフィルムで密封パッキングしてサンプルとした。
比較例8の使い捨てカイロは、非晶性ポリエステルの替わりに結晶性の低融点ポリエステルを用いたため、不織布表面が硬く、ゴワゴワした触感で、柔軟性が劣る肌触りの悪いカイロであった。1日の着用では、暖かさの持続時間は短く、表面の毛羽だちやモモケの発生があり、型崩れも生じた。
Claims (4)
- 単繊維での繊度が0.5〜5dtexである連続繊維が開繊された後、ドットで熱圧着され、熱圧着により潰された部分は個々に独立しており、熱圧着部の形成面積率が5〜40%で接合一体化されている不織布を表皮材に用いてなる使い捨てカイロであって、当該不織布が、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルからなり、結晶性ポリエステル成分に対し、ガラス転移点温度が50℃以上の非晶性ポリエステル成分を0.5〜50重量%含有する樹脂よりなることを特徴とする使い捨てカイロ。
- 前記ポリエステル繊維の、結晶性ポリエステル成分がポリブチレンテレフタレートであり、非晶性ポリエステル成分が、エチレンテレフタレートを主成分とした共重合ポリエステルからなる請求項1記載の使い捨てカイロ
- 前記表皮材の目付当りの保温率が1.5%/(g/m2)以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の使い捨てカイロ。
- 前記ポリエステル繊維の共重合ポリエステルが、グリコール成分にネオペンチルグリコールを含有する請求項1〜3いずれかに記載の使い捨てカイロ
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