JP4359372B2 - 積層不織布および熱融着物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通気性、透湿性、耐水性等にすぐれ、特に微粉末の漏れ防止性を有する積層不織布に関し、特にメルトブロー不織布とスパンボンド不織布を用い熱積層した熱積層性、ヒートシール性、耐熱性にすぐれた積層不織布および熱融着物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂からなる不織布は、製造方法、繊維長、繊維径などにより種々の不織布が知られている。これらの中で、メルトブロー不織布(以下、MB不織布と略記する場合がある。)は、溶融した熱可塑性樹脂を加熱した高速空気流で吐出し、得られた超極細繊維を補集して不織布にしたものである。MB不織布の繊維径は0.1〜10μmの範囲であり、微細な空隙を持つため、通気性、透湿性はあるが水を通さない防水透湿性や微粉末を通さないなどの機能を有するとともに、風合いがソフトであるなどの特徴がある。
【0003】
しかしながら、繊維が極細であることに起因して不織布強度が低く、毛羽立ちし易いなどの問題点がある。このため、ヒートシールしても溶融部で千切れてしまうなど加工が困難であり、MB不織布単独での使用は少なく、他の不織布などの素材と組み合わせて使用する必要がある。
【0004】
このMB不織布の欠点を補う方法として、特公昭60−11148号公報には、強度の高いスパンボンド不織布(以下、SB不織布と略記する場合がある。)と積層一体化する積層複合体が提案されている。例えば、ポリプロピレン樹脂からなるMB不織布をポリプロピレン樹脂SB不織布でサンドイッチし、熱エンボス加工した積層不織布では、不織布強度は改善されるものの、繊維材質が同じポリプロピレン樹脂であり、融点差がないため、熱エンボス加工時にMB不織布、SB不織布の通気性が損なわれる場合がある。また、この積層複合体をヒートシールすると溶融部で千切れてしまいヒートシールすることは困難で、ヒートシールによる二次加工ができず、糸や接着剤による縫製加工など効率に劣る他の二次加工によらなければならない問題点がある。
【0005】
また、特開平11−61622号公報には、スチレン系エラストマーを10〜70重量%含むポリオレフィンの、繊維径が0.1〜10ミクロンのメルトブローン不織布(A層)と、0.5〜10デニールのポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンから選ばれた1種またはそれ以上の成分の長繊維からなるスパンボンド不織布(B)とを熱融着してなる不織布複合体が開示されている。この公報には、この不織布複合体の(A)層同士、または(A)層と他部材と重ねて熱融着してなる熱融着成形物も開示されている。
【0006】
しかしながらこの方法では、MB不織布の樹脂が限定されること、即ち耐熱性、強度の低下が予想されるとともに、エラストマーが含有されることによる熱可塑性樹脂の極細紡糸性の低下も考えられる。
【0007】
さらに、特開平9−105060号公報、特開平9−209254号公報には、低融点樹脂成分と高融点樹脂成分からなる複合スパンボンド不織布と、繊維径が10μm以下のメルトブロー極細繊維不織布が積層され、各不織布の繊維同士および両層が熱融着した積層不織布が開示されている。しかし、この方法では、積層をスルーエアー型加熱機を用いて行わなければならない問題点がある。すなわち、この複合スパンボンド不織布は高融点樹脂を用いながら、この高融点樹脂は低融点樹脂で被覆または低融点樹脂が露出した構造であり、積層に当たっては前記のスルーエアー型加熱機を用いざるを得ないことになる。したがって、積層工程が煩雑となるとともに、当然ながら熱エンボス加工では、不織布の特性低下が生じることとなり適用は困難である。また、ヒートシールによる二次加工が困難である問題点があるものと考えられる。
【0008】
なお、これらのことから、高融点の耐熱性熱可塑性樹脂不織布と低融点熱可塑性樹脂不織布の組み合わせからなる積層不織布が考えられる。たとえば、ポリエステルスパンボンド不織布とポリプロピレンメルトブロー不織布を積層して貼り合わせる不織布が考えられる。しかしながら、この貼り合わせのためにはポリプロピレンが溶融する温度まで加熱しなければ接着しない。また、仮に接着しても、接着強度は極めて弱く、メルトブロー不織布は溶融し、繊維形状が保持できず、フィルム状となり、MB不織布が有する機能性はなくなり、実用性が低下する。また、ヒートシールにあっては、エッジ切れとなりシール強度が非常に低いものとなり、この点からも実用性がないものとなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、メルトブロー不織布の有する、通気性、防水透湿性、微粉末の漏れ防止性などの機能を保持し、熱積層によって十分な原反強度を得るとともにヒートシール性、高いヒートシール強度を有し、ヒートシールにより製袋、縫製などの二次加工が容易な積層不織布および包装体、衣服類などのヒートシールによる熱融着物品を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、メルトブロー不織布を用いた積層不織布の熱積層性、ヒートシール性について鋭意検討した。その結果、従来のヒートシール面に易シール性の素材である低融点樹脂不織布を用いるのではなく、外層にメルトブロー不織布を用い、耐熱性のスパンボンド不織布とで、両外層の不織布の樹脂よりも低融点である熱可塑性樹脂スパンボンド不織布をサンドイッチすると言う全く新しい積層手段の採用によって熱エンボスロールなどによる熱接着が可能であり、得られた積層不織布のヒートシール性、シール強度が著しく向上するとともに、安定的に製造できることを見いだした。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1) (A)メルトブロー不織布、(B)低融点スパンボンド不織布および(C)耐熱性スパンボンド不織布がこの順に熱積層され、
(B)低融点スパンボンド不織布は、(A)または(C)層の熱可塑性樹脂の融点の低い方の樹脂の融点よりも15℃以上低い融点を有し、
(C)耐熱性スパンボンド不織布は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂およびポリプロピレン系樹脂から選ばれた樹脂からなり、融点が150℃以上のスパンボンド不織布であることを特徴とする積層不織布。
(2) (A)メルトブロー不織布がポリプロピレン系樹脂からなる(1)に記載の積層不織布。
(3) (B)低融点スパンボンド不織布がポリエチレン系樹脂からなる(1)又は(2)に記載の積層不織布。
(4) ポリエチレン系樹脂がエチレン−α−オレフィン共重合体である(3)に記載の積層不織布。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の積層不織布を少なくとも一部に用いた熱融着物品。
(6) 熱融着物品が包装体または衣服類である(5)に記載の熱融着物品を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の積層不織布は、(A)メルトブロー不織布、(B)低融点スパンボンド不織布および(C)耐熱性スパンボンド不織布がこの順に熱積層された積層不織布である。そして、(B)低融点スパンボンド不織布の融点が(A)メルトブロー不織布の融点および(C)耐熱性スパンボンド不織布の融点よりも低いものであることに大きな特長を有するものである。すなわち、積層不織布におけるヒートシール層としては、低融点熱可塑性樹脂不織布を用いるのが一般的であるが、本発明の積層不織布では、低融点であるスパンボンド不織布を中間層に用いるものである。
【0013】
本発明の積層不織布は、少なくとも上記(A)、(B)、(C)からなる3層構造である。本発明の積層不織布は、中間層のスパンボンド不織布の融点が最も低いものであり、(A)層、(C)層の不織布の目付などによって、ヒートシール面は、その用途に応じて、(A)層または(C)層から選択される。すなわち、メルトブローの風合いなどを生かす為には、(A)層のMB不織布が表面にくるように製袋あるいは、衣服類などに加工することができる。また、微粉末漏れ防止性のためには、通常、(A)層を内側としてヒートシール面とすることができる。
【0014】
また、本発明の積層不織布は、3層の中間層の低融点不織布により、メルトブロー不織布の有する防水性、透湿性、通気性、微粉末を通さないなどの機能性を損なうことなく、熱積層を可能にするとともに、すぐれたヒートシール性を確保するものである。したがって、さらに、(A)層の側にメルトブロー不織布の毛羽立ちや毛玉の発生を防止する目的で、耐熱性の不織布を積層し、(C)層側をヒートシール層とすることもできる。さらに、(A)層のメルトブロー不織布側に更に、たとえば、(B)低融点SB不織布、(C)高融点SB不織布を積層し、実質的に対称型の5層構造とすることもできる。この場合も、どちらの面をヒートシール面とすることもできる。
【0015】
次に、本発明の積層不織布の基本構成に用いられる不織布について説明する。(A)層を構成するメルトブロー不織布としては、極細繊維からなる不織布であり、通常、繊維径が0.1〜10μm、好ましくは0.5〜6μmの繊維からなり、目付が5〜100g/m2 、好ましくは7〜50g/m2 である。これらの繊維径、目付は、積層不織布の防水性、透湿性、通気性、微粉末の耐漏れ性などに大きく関係するものであり、積層不織布の用途によって要求される特性を満足するように、前記範囲から適宜選択することができる。
【0016】
メルトブロー不織布は、溶融熱可塑性樹脂の細流に対して加熱された高速の気流を噴き当て、この気流の作用によって溶融樹脂を引き延ばし極細繊維化し、補集することによりシート化する方法である公知の手法によって得ることができるものである。
【0017】
このメルトブロー不織布を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂などの結晶性樹脂が用いられる。中でも、メトルブロー紡糸性、耐水性などからポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
【0018】
次に、(B)層を構成する低融点スパンボンド不織布としては、前記(A)層を構成する不織布の熱可塑性樹脂および 後記の(C)層を構成する耐熱性スパンボンド不織布の熱可塑性樹脂の融点よりも低融点の熱可塑性樹脂から紡糸されたスパンボンド不織布である。この中間層である(B)層の不織布は、前記の(A)メルトブロー不織布と、後記の(C)耐熱性スパンボンド不織布によりサンドイッチ構造をとって接着層とし熱積層されて積層不織布を構成し、この積層不織布の熱エンボス積層においてMB不織布の機能を損なうことなく積層できることに大きく寄与するとともに、ヒートシール性をも確保するものと考えられる。
【0019】
この低融点スパンボンド不織布は、繊維径が通常2〜50μm、好ましくは5〜30μmであり、目付が2〜200g/m2 、好ましくは5〜100g/m2 、より好ましくは10〜60g/m2 である。
【0020】
これらの繊維径、目付は、他の層の不織布の特性、目付、樹脂の融点、積層不織布の用途によって要求される特性を満足するように、前記範囲から適宜選択することができる。
【0021】
(B)層のスパンボンド不織布は、たとえば、溶融熱可塑性樹脂を押出機から溶融押出し、紡糸用口金から紡糸し、紡糸された繊維をエアサッカーなどの気流牽引装置で引き取り、必要により開繊し、気流とともに繊維をネットコンベアなどのウエブ補集装置で補集し、必要に応じて加熱空気、加熱ロールなどの加熱手段で部分溶着することによる公知の手法によって得ることができるものである。
【0022】
この(B)層を構成する低融点スパンボンド不織布に用いられる熱可塑性樹脂は、その融点が、前記(A)層のメルトブロー不織布に用いられる熱可塑性樹脂および(C)層の耐熱性スパンボンド不織布に用いられる熱可塑性樹脂の融点よりも低いことが重要である。特に、両外層である(A)または(C)層の熱可塑性樹脂の融点の低い方の樹脂の融点よりも15℃以上低い融点、好ましくは25℃以上低い融点の熱可塑性樹脂が用いられる。具体的には、ポリエチレン樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体、エチレン−スチレン共重合体、軟質ポリプロピレン系樹脂、プロピレンと他のオレフィンとのランダム共重合体など、あるいはこれらの混合樹脂などのポリオレフィン系樹脂が用いられる。
【0023】
これらのポリオレフィン系樹脂は、チタンなどを用いたチーグラー系触媒を用いて重合された重合体、メタロセン系触媒を用いて重合された分子量分布の狭い重合体などが用いられる。また、ポリプロピレン系樹脂の融点は、規則性や共重合によって任意に制御されたものから適宜選択して用いることができる。
【0024】
中でも、ポリエチレン系樹脂として、エチレンの単独重合体、エチレンとプロピレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸などの重合性モノマーとの共重合体などを好ましく例示できる。特に、密度が、880〜960kg/m3 、好ましくは900〜950kg/m3 、融点が60〜140℃、好ましくは70〜130℃の範囲、メルトインデックス(MI)が、5〜60g/10分、好ましくは10〜50g/10分の範囲の前記のエチレン−α−オレフィン共重合体が紡糸性、融点、強度の点から好ましく用いられる。また、エチレン−α−オレフィン共重合体が50〜100質量%、他のエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、熱可塑性エラストマー0〜50質量%である樹脂組成物を用いることもできる。
【0025】
なお、この低融点スパンボンド不織布としては、たとえば前記ポリエチレン系樹脂単独、または50質量%以下の他の樹脂からなる組成物からなるものが好ましく用いられる。しかし、熱エンボスロール性、ヒートシール性が確保されるならば、他の樹脂との複合繊維、すなわち、鞘部分としてポリエチレン系樹脂、芯部分として、ポリプロピレン系樹脂などの他の樹脂からなる芯−鞘構造の複合繊維、あるいは繊維の通常50質量%以上がポリエチレン系樹脂で、残りが他の樹脂であるサイドバイサイド構造の繊維とする複合繊維とすることもできる。また、この芯−鞘構造複合繊維、サイドバイサイド構造複合繊維としては、前記ポリエチレン系樹脂の中で、融点や密度などの異なる樹脂の組み合わせであってもよいことは勿論である。これらの複合繊維の場合は、低融点熱可塑性樹脂の方の融点が(B)層の融点を示すものである。
【0026】
次に、(C)耐熱性スパンボンド不織布としては、好ましくは、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂およびポリプロピレン系樹脂から選ばれた樹脂からなり、融点が150℃以上、特に150〜300℃の不織布を挙げることができる。中でも、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂からなる融点が180〜300℃の不織布を特に好ましく挙げることができる。この耐熱性樹脂の選択は、積層不織布が用いられる用途からの要求に基づいて適宜選択できる。
【0027】
ここで、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなどのホモポリエステル、およびこれらを主成分単位とする他の成分を共重合したコポリエステル、さらには、これらの混合ポリエステルを挙げることができる。
【0028】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6(ポリカプロラクタミド)、ナイロン6,6(ポリヘキサメチレンアジポアミド)、ナイロン6,10(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ナイロン11(ポリウンデカンアミド)、ナイロン7(ポリ−ω−アミノヘプタン酸)、ナイロン9(ポリ−ω−アミノノナン酸)、ナイロン12(ポリラウリンアミド)などを例示できる。中でも、ナイロン6、ナイロン6,6が好ましく用いられる。
【0029】
また、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンと5質量%以下のエチレン、ブテン−1などのモノマーとのランダム共重合体を挙げることができる。
【0030】
本発明で用いられる、各不織布を構成する熱可塑性樹脂の融点は、JIS K7121に準拠して、DSC(パーキンエルマー社製DSC7型)、昇温速度20℃/分で測定した場合のピーク温度とすることができる。なお、融点が複数のピークとして現れる場合は、最高ピークを示す温度を採用するものである。また、ポリエチレン系樹脂のメルトインデックス(MI)は、JIS K7210に準拠して、温度:190℃、測定荷重:21.18Nの条件で測定することがでる。
【0031】
本発明の積層不織布は、この3種の不織布を選択して熱積層することによって得ることができる。この熱積層手段としては、いろいろ考えられるが、積層の容易さ、簡便さ、コストなどを考慮すると,熱エンボスロール法が採用される。また、熱エンボスロール法によっても、MB不織布の機能性を損なうことなく、十分実用に供する性能を有する接着強度、原反強度が得られると共に、ヒートシール性が得られることに大きな特長を有するものである。したがって、特殊なスルーエアー型加熱機を用いて熱融着することを必要としない。これは、この3種の不織布を選択的に組み合わせることにより、熱エンボスロール方法による積層が容易に可能となったからであり、これによって、不織布を部分的に確実に熱融着された積層不織布とすることができる。
【0032】
本発明の積層不織布の熱積層方法の一例である熱エンボスロール方法は、エンボスロールと平ロールによる公知の積層装置を用いて積層することができる。ここで、エンボスロールとしては、各種形状のエンボスパターンを採用でき、各融着部が連続した格子状、独立した格子状、任意分布などがある。また、エンボス面積率としては、5〜30%程度の範囲である。
【0033】
また、エンボスロール積層条件としては、(B)層の低融点スパンボンド不織布を構成する熱可塑性樹脂によっても異なるが、前記のエチレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合には、通常ロール温度80〜250℃、好ましくは 100〜180℃の温度、通常ロール圧力100〜1,000N/cm(線圧)、好ましくは200〜700N/cm(線圧)が採用できる。これらのエンボスパターン、エンボス面積率、温度、圧力などは各不織布の繊維径、厚み、目付、通気性、加工速度などによって適宜選定できる。
【0034】
本発明の積層不織布の構成によって、メルトブロー不織布の有する、防水性、透湿性、通気性、微粉末通過防止性などの特長を保持しながら、熱積層が容易になると共に、ヒートシール性、ヒートシール強度の向上が達成される。すなわち、適度の加熱・加圧による熱エンボスロール加工によって、積層不織布を得ることができ、加熱・加圧条件の設定によりヒートシールが可能となるものである。
【0035】
本発明の積層不織布は、公知のヒートシール方法によってヒートシールすることにより、各種用途に利用することができる。本発明の積層不織布がすぐれたヒートシール性を有するためには、ヒートシール面の不織布に中間層の低融点スパンボンド不織布が加熱、加圧されて侵入あるいは貫通する必要がある。このためには、外層の不織布は、中間層不織布の樹脂が溶融侵入あるいは溶融貫通するまでは少なくとも不織布は溶融しないことが必要である。したがって、これを満足するために、両不織布間の融点の差に相当する不織布の耐熱性が求められる。また、シールバーによる加熱条件(温度・圧力・時間)が選定されることが必要である。したがって、ヒートシール後にメルトブロー不織布が溶融することを特に否定するものではない。
【0036】
ヒートシール方法は、加熱シールバーによる方法に加えて、製袋分野、衣服類の縫製分野などで使われているロールによる連続シール方法など、熱可塑性樹脂を加熱、加圧接合することが可能であるシール方法であれば、その形式に特に制限はない。また、加熱手段としては、熱伝導(熱ジグ、発熱体)、誘電加熱、超音波加熱などによることができる。また、このヒートシールの条件である、温度・圧力・時間・速度などは、不織布の種類、不織布の耐熱性(融点)や分子量、不織布の厚みあるいは目付などを考慮して、適宜条件設定することができる。
【0037】
本発明の積層不織布のヒートシール方法は、本発明の積層不織布同士、あるいは積層不織布と他の熱可塑性樹脂フイルムなどとをヒートシールすることにより、各種包装体、衣服類の製造に用いられる。すなわち、包装体の場合のスパンボンド不織布、メルトブロー不織布の有する特長は、包装体の少なくとも一部に用いられれば機能するからである。
【0038】
したがって、本願の他の発明は、前記発明の(1)〜(5)のいずれかに記載の積層不織布を少なくとも一部に用いた熱融着物品であり、具体的には、たとえば包装体または衣服類である。このように、従来、糸や接着剤による縫製などのために生産性が低く、また微粉末などの漏れなどのために、使用が困難であった各種分野への適用が可能になった。したがって、木炭、活性炭、各種吸湿剤、吸臭剤などの粉体、または粉体含有物などの各種包装分野、ベッド用シート、各種衣服、帽子、フイルター、衛生用品などの製造が効率化、安価に達成できる。また、すぐれたヒートシール性のために、木炭、活性炭、吸収剤、消臭剤などの粉体を封入するベッド用のシートなどの場合にあって、ヒートシールを格子状にすることにより、粉体の分散を確実にすることができる。したがって、メルトブロー不織布の用途の拡大が期待される。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の積層不織布を実施例および比較例により、詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0040】
実施例1
(A)(株)クラレ製ポリプロピレンメルトブロー不織布「ミクロフレックス」PC0020〔繊維径:1〜3μm、目付:20g/m2 、融点:158℃〕と(C)高融点不織布:東洋紡績(株)製ポリエステルスパンボンド不織布「エクーレ」6201A〔繊維径:20μm、目付:20g/m2 、融点:257℃〕とを(B)出光石油化学(株)製ポリエチレンスパンボンド不織布「ストラテック」LN5020〔密度=940kg/m3 、MI=25g/10分のエチレン−ブテン−1共重合体原料、繊維径:20μm、目付:20g/m2 、融点:126℃〕を挟んで、熱ラミネート装置〔三正精機社製熱ラミ機、オイル温調、ロール径:300mm、エンボスロール/スムースロール:エンボス圧着率=21%、格子柄(ピッチ:2mm)、ロール設定温度:140℃、エンボス圧力:300N/cm、ラミ速度:10m/分〕を用いて熱ラミネートし、良好な積層不織布を得た。
【0041】
得られた積層不織布の引張強さ、伸びの測定結果、および、MB不織布同士を下記条件でヒートシールした結果のヒートシール強度を第1表に示す。なお、測定方法は下記に準拠して行った。
【0042】
実施例2
(A)(株)クラレ製ポリプロピレンメルトブロー不織布「ミクロフレックス」PC0020〔繊維径:1〜3μm、目付:20g/m2 、融点:158℃〕と(C)高融点不織布:旭化成(株)製ポリアミドスパンボンド不織布「エルタス」N05020〔繊維径:20μm、目付:20g/m2 、融点:220℃〕とを(B)出光石油化学(株)製ポリエチレンスパンボンド不織布「ストラテック」LN5020〔密度=940kg/m3 、MI=25g/10分のエチレン−ブテン−1共重合体原料、繊維径:20μm、目付:20g/m2 、融点:126℃〕を挟んで熱エンボスロール〔ロール設定温度:140℃、エンボス圧力:300N/cm、速度:10m/分〕で、実施例1に準じて熱ラミネートし、良好な積層不織布を得た。得られた積層不織布の引張強さ、伸びの測定結果、およびヒートシール強度を第1表に示す。
【0043】
比較例1
(株)クラレ製ポリプロピレンメルトブロー不織布「ミクロフレックス」PC0020〔繊維径:1〜3μm、目付:20g/m2 、融点:158℃〕を中間層とし出光石油化学(株)製ポリプロピレンスパンボンド不織布「ストラテック」RN2020〔繊維径:25μm、目付:20g/m2 、融点:160℃〕で挟んで熱エンボスロール〔ロール設定温度:160℃、速度:10m/分〕で実施例1に準じて、熱ラミネートし、良好な積層不織布を得た。なお、熱積層温度は、実施例1よりも20℃高くする必要があった。得られた積層不織布の引張強さ、伸びの測定結果、およびヒートシール強度を第1表に示す。
【0044】
比較例2
東洋紡(株)製ポリエステルスパンボンド不織布「エクーレ」6201A〔繊維径:20μm、目付:20g/m2 、融点:257℃〕と(株)クラレ製ポリプロピレンメルトブロー不織布「ミクロフレックス」PC0020〔繊維径:1〜3μm、目付:20g/m2 、融点:158℃〕とを熱エンボスロール〔ロール設定温度:160℃、速度:3m/分〕で、実施例1に準じて熱ラミネートした。なお、この比較例2ではロール設定温度を上げ、ライン速度を下げて熱ラミネートして積層したが、ラミネート強度は弱く、温度を上げ過ぎるとメルトブロー不織布層が溶融してしまい、良好な積層不織布は得られなかった。サンプルは上記設定で得られたもである。積層不織布の引張強さ、伸びの測定結果、およびヒートシール強度を第1表に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
本発明の積層不織布は、熱エンボスロール法などの熱積層方法を用いて、メルトブロー不織布の機能性を損なうことなく容易に積層が可能で、適度な引張強さ、伸びを有するとともに、エッジ切れがないなどのすぐれたヒートシール性を有し、シール外観にすぐれ、ヒートシール強度も高い。したがって、メルトブロー不織布が有する微細粒子漏れ防止性、通気性、防水性、透湿性などの機能性と強度を兼備し、ヒートシールによる縫製加工で各種用途に展開できる。たとえば、通気性、透湿性、微粉末漏れ防止性により炭、活性炭、吸湿剤、吸臭剤などの粉体類など各種包装体、衣服類などの基材として好ましく用いられる。
Claims (6)
- (A)メルトブロー不織布、(B)低融点スパンボンド不織布および(C)耐熱性スパンボンド不織布がこの順に熱積層され、
(B)低融点スパンボンド不織布は、(A)または(C)層の熱可塑性樹脂の融点の低い方の樹脂の融点よりも15℃以上低い融点を有し、
(C)耐熱性スパンボンド不織布は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂およびポリプロピレン系樹脂から選ばれた樹脂からなり、融点が150℃以上のスパンボンド不織布であることを特徴とする積層不織布。 - (A)メルトブロー不織布がポリプロピレン系樹脂からなる請求項1に記載の積層不織布。
- (B)低融点スパンボンド不織布がポリエチレン系樹脂からなる請求項1又は請求項2に記載の積層不織布。
- ポリエチレン系樹脂がエチレン−α−オレフィン共重合体である請求項3に記載の積層不織布。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の積層不織布を少なくとも一部に用いた熱融着物品。
- 熱融着物品が包装体または衣服類である請求項5に記載の熱融着物品。
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